説明

レーザ装置、それを備える極端紫外光生成装置およびレーザ光出力制御方法

【課題】レーザ光を安定させる。
【解決手段】レーザ装置は、外部装置と共に用いられるレーザ装置であって、パルスレーザ光を出力するマスターオシレータと、前記マスターオシレータに接続される第1の電源と、前記マスターオシレータから出力される前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なくとも1つの増幅器と、前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの第2の電源と、前記マスターオシレータと前記少なくとも1つの増幅器との間の光路上に配置される少なくとも1つの光シャッタと、前記外部装置からの信号に基づいて、前記レーザ装置を制御するレーザコントローラと、を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置、それを備える極端紫外光生成装置およびレーザ光出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、たとえば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外光を生成する装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
極端紫外光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma)方式の装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)方式の装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)方式の装置との3種類の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0149862号明細書
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるレーザ装置は、外部装置と共に用いられるレーザ装置であって、パルスレーザ光を出力するマスターオシレータと、前記マスターオシレータに接続される第1の電源と、前記マスターオシレータから出力される前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なくとも1つの増幅器と、前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの第2の電源と、前記マスターオシレータと前記少なくとも1つの増幅器との間の光路上に配置される少なくとも1つの光シャッタと、前記外部装置からの信号に基づいて、前記レーザ装置を制御するレーザコントローラと、を備えてもよい。
【0006】
本発明の他の態様による極端紫外光生成装置は、上記したレーザ装置と、チャンバと、前記チャンバに設けられるターゲット供給部と、外部装置からの信号に基づいて、前記レーザ装置および前記ターゲット供給部を制御する極端紫外光生成制御システムと、を備えてもよい。
【0007】
本発明の他の態様によるレーザ光の出力を制御する方法は、外部装置と共に用いられ、マスターオシレータと、前記マスターオシレータに接続される第1の電源と、少なくとも1つの増幅器と、前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの第2の電源と、光シャッタと、レーザコントローラと、を備えるレーザ装置において、レーザ光の出力を制御する方法であって、前記外部装置からバースト運転を制御するための信号を受信することと、前記マスターオシレータから所定繰り返し周波数で継続的にパルスレーザ光を出力させることと、前記信号に基づいて前記光シャッタを開閉させることと、前記信号に基づいて前記少なくとも1つの増幅器の励起強度を制御することと、を含んでもよい。
【0008】
本発明の他の態様によるレーザ装置は、外部装置と共に用いられるレーザ装置であって、パルスレーザ光を出力するマスターオシレータと、前記マスターオシレータから出力される前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なる少なくとも1つの光シャッタと、前記光シャッタを通過した前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なくとも1つの増幅器と、前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの高周波電源と、前記高周波電源の印加電圧と、前記光シャッタの開閉とを同期して制御するレーザコントローラと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図1】図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成装置の概略構成を示す。
【図2】図2は、本開示の一態様に係るEUV光生成装置の運転状態を示す。
【図3】図3は、本開示の一態様に係るレーザ装置の概略構成を示す。
【図4】図4は、本開示の一態様に係るレーザコントローラが露光装置コントローラからEUV光生成制御システムを経由して受信するバースト許可信号およびバースト禁止信号を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、本開示の一態様に係るレーザコントローラがEUV光生成制御システムから受信するバーストオン信号およびバーストオフ信号を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、本開示の一態様に係るレーザコントローラがEUV光生成制御システムから受信してマスターオシレータに入力する発振トリガを示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、本開示の一態様に係るレーザコントローラが増幅器のRF電源に入力する強励起用信号および弱励起用信号を示すタイミングチャートである。
【図8】図8は、本開示の一態様に係るレーザコントローラが光シャッタに入力する開信号および閉信号を示すタイミングチャートである。
【図9】図9は、本開示の一態様に係るマスターオシレータから出力されるパルスレーザ光を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、本開示の一態様に係る光シャッタより下流側に配置された増幅器から出力されるパルスレーザ光を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、本開示の一態様に係る弱励起期間中の励起強度をデューティ比0%(励起無し)とした場合にRF電源から増幅器に入力される励起用電圧と、弱励起期間中の励起強度をデューティ比20%とした場合にRF電源から増幅器に入力される励起用電圧とを示すタイミングチャートである。
【図12】図12は、図11に示す励起用電圧をそれぞれRF電源から増幅器に入力した場合に増幅器から出力されるパルスレーザ光のエネルギー変化を示すグラフである。
【図13】図13は、図12に示すグラフの部分拡大図である。
【図14】図14は、本開示の一態様に係るレーザコントローラの動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本開示の一態様に係るレーザコントローラがマスターオシレータに所定繰返し周波数でパルスレーザ光を生成させる動作を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本開示の一態様に係るデューティ比をτ/Tとした場合にレーザコントローラからRF電源に入力される励起用信号を示す。
【図17】図17は、図16に示す場合にRF電源から増幅器に供給される励起用電圧を示す。
【図18】図18は、本開示の一態様に係る弱励起期間の弱励起用信号のデューティ比を20%とし、強励起期間の強励起用信号のデューティ比を50%とした場合にRF電源から増幅器に供給されるRF電圧を示す図である。
【図19】図19は、本開示の一態様に係る弱励起期間の弱励起用信号のデューティ比を20%とし、強励起期間の強励起用信号のデューティ比を100%とした場合にRF電源から増幅器に供給されるRF電圧を示す図である。
【図20】図20は、本開示の一態様に係る電位制御方式においてRF電源から増幅器に供給されるRF電圧を示す。
【図21】図21は、本開示の一態様に係るPWM方式と電位制御方式とを組み合わせた場合にRF電源から増幅器に供給されるRF電圧を示す。
【図22】図22は、本開示の一態様に係るレーザ装置におけるマスターオシレータに複数の半導体レーザを用いた場合を示す。
【図23】図23は、本開示の一態様に係るレーザコントローラが再生増幅器に入力する励起用信号を示すタイミングチャートである。
【図24】図24は、本開示の一態様に係るレーザコントローラが光シャッタに入力する開信号および閉信号を示すタイミングチャートである。
【図25】図25は、本開示の一態様に係る再生増幅器から出力されるパルスレーザ光を示すタイミングチャートである。
【図26】図26は、図22に示すレーザ装置を備えるEUV光生成装置を示す。
【図27】図27は、本開示の一態様に係るレーザコントローラの動作を示すフローチャートである。
【図28】図28は、本開示の一態様に係るEUV光生成制御システムがマスターオシレータにパルスレーザ光を生成させる動作を示すフローチャートである。
【図29】図29は、本開示の一態様に係る高速軸流型増幅器の概略構成を示す。
【図30】図30は、本開示の一態様に係るスラブ型増幅器の概略構成を示す。
【図31】図31は、本開示の一態様に係る3軸直交型増幅器の概略構成を示す。
【図32】図32は、図31に示す3軸直交型増幅器のXXXII−XXXII線における断面図を示す。
【図33】図33は、本開示の一態様に係る2つの偏光子とポッケルスセルとを組み合わせて構成された光シャッタの一例を示す。
【図34】図34は、本開示の一態様に係る1つのパルスレーザ光と光シャッタの動作との関係を示す。
【図35】図35は、本開示の一態様に係る2つの偏光子とファラデーローテータとを組み合わせて構成された光シャッタの一例を示す。
【図36】図36は、本開示の一態様に係る光音響素子を用いて構成された光シャッタの一例を示す。
【図37】図37は、変形例1による光シャッタの概略構成を示す。
【図38】図38は、変形例2による光シャッタの概略構成を示す。
【図39】図39は、変形例3による光シャッタの概略構成を示す。
【図40】図40は、変形例4による光シャッタの概略構成を示す。
【図41】図41は、本開示の一態様に係る再生増幅器の一例を示す。
【実施の形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示の一例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成および動作の全てが本開示の構成および動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
以下、本開示の一実施の形態によるレーザ装置、それを備える極端紫外光生成装置およびレーザ光出力制御方法を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、下記目次の流れに沿って説明する。
【0012】
目次
1.概要
2.用語の説明
3.EUV光生成装置の全体説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 バースト運転
4.レーザ装置の制御システム
4.1 構成
4.2 動作
4.3 作用
4.4 その他のバリエーション
4.5 タイミングチャート
4.6 バースト運転とパルスエネルギー特性
4.7 制御フロー
5.増幅器の励起強度の制御方式
5.1 PWM方式
5.2 電位制御方式
5.3 PWM方式と電位制御方式との組合せ
6.半導体レーザをマスターオシレータとするレーザ装置
6.1 構成
6.2 動作
6.3 作用
6.4 タイミングチャート
7.レーザ装置を備える極端紫外光生成装置
7.1 構成
7.2 動作
7.3 作用
7.4 制御フロー
7.4.1 EUV光生成制御システムにおけるバースト信号の生成制御フロー
7.4.2 EUV光生成制御システムにおけるトリガ信号の生成制御フロー
8.補足説明
8.1 COガスを増幅媒体とする増幅器の構成
8.2 光シャッタ
8.2.1 ポッケルスセルと偏光子との組合わせ
8.2.2 ファラデーローテータと偏光子との組合わせ
8.2.3 光音響素子
8.2.4 光シャッタのバリエーション
8.2.4.1 変形例1
8.2.4.2 変形例2
8.2.4.3 変形例3
8.2.4.4 変形例4
8.3 再生増幅器
【0013】
1.概要
本実施の形態の概要について、以下に説明する。本実施の形態に係るレーザ装置は、マスターオシレータと、少なくも1つの増幅器と、少なくとも1つの光シャッタと、少なくとも1つの電源と、少なくとも1つの光シャッタ制御部と、を備えてもよい。前記電源は、前記増幅器に印加する励起強度を制御する。前記光シャッタは、前記マスターオシレータおよび前記少なくとも1つの増幅器の間の光路上に配置される。前記制御装置は、バーストを生成する所定時間前に前記少なくとも1つの増幅器を第1の所定の励起強度に制御する。また、前記制御装置は、前記バーストを生成後に前記増幅器を第1の所定の励起強度よりも弱い第2の所定の励起強度に制御する。さらに、前記制御装置は、前記マスターオシレータを所定の繰り返し周波数で発振させる。さらにまた、前記制御装置は、前記少なくとも1つの増幅器によって増幅されたパルスレーザ光の前記バーストを生成させるために前記少なくとも1つの光シャッタを動作させる。
【0014】
2.用語の説明
つぎに、本開示において使用される用語を、以下のように定義する。「ドロップレット」とは、溶融したターゲット物質の液滴である。したがって、その形状は、表面張力によって略球形となる。「プラズマ生成領域」とは、プラズマが生成される空間として予め設定された3次元空間である。「ビーム拡大」とは、ビーム断面が徐々に広がることをいう。「バースト運転」とは、所定の時間、所定繰返し周波数で、パルスレーザ光またはパルスEUV光が出力され、所定の時間外ではパルスレーザ光またはパルスEUV光が出力されない運転と定義する。「強励起」とは、バースト運転時にパルスレーザ光またはパルスEUV光を出力させている際の増幅器における励起強度と定義する。また、「弱励起」とは、増幅器を強励起時よりも小さいエネルギー(電圧、電流、または電力量)で動作させた際の励起強度と定義する。レーザ光の光路において、レーザ光の生成源側を「上流」とし、レーザ光の到達目標側を「下流」とする。また、「所定繰返し周波数」とは、略所定の繰返し周波数であればよく、必ずしも一定の繰返し周波数でなくてもよい。
【0015】
本開示では、レーザ光の進行方向がZ方向と定義される。また、このZ方向と垂直な一方向がX方向と定義され、X方向およびZ方向と垂直な方向がY方向と定義される。レーザ光の進行方向がZ方向であるが、説明において、X方向とY方向は言及するレーザ光の位置によって変化する場合がある。例えば、レーザ光の進行方向(Z方向)がX−Z平面内で変化した場合、進行方向変化後のX方向は進行方向の変化に応じて向きを変えるが、Y方向は変化しない。一方、レーザ光の進行方向(Z方向)がY−Z平面内で変化した場合、進行方向変化後のY方向は進行方向の変化に応じて向きを変えるが、X方向は変化しない。なお、理解のために各図では、図示されている光学素子のうち、最上流に位置する光学素子に入射するレーザ光と、最下流に位置する光学素子から出射するレーザ光とのそれぞれに対して、座標系が適宜図示される。また、その他の光学素子に対して入射するレーザ光の座標系は、必要に応じて適宜図示される。
【0016】
反射型の光学素子に関し、光学素子に入射するレーザ光の光軸と該光学素子によって反射したレーザ光の光軸との双方を含む面を入射面とすると、「S偏光」とは、入射面に対して垂直な方向の偏光状態であるとする。一方、「P偏光」とは、入射面に対して平行な方向の偏光状態であるとする。
【0017】
3.EUV光生成装置の全体説明
3.1 構成
図1に例示的なLPP方式のEUV光生成装置1の概略構成を示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いることができる(以下、EUV光生成装置1およびレーザ装置3を含むシステムを、EUV光生成システム11と称する)。図1に示し、かつ以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置1は、チャンバ2を含むことができる。チャンバ2内は大気圧よりも低圧に保持されていてもよく、好ましくは真空であってよい。あるいは、チャンバ2の内部にはEUV光の透過率が高いガスが存在してもよい。また、EUV光生成装置1は、ターゲット供給部(例えばドロップレット生成器26)をさらに含むことができる。ターゲット供給部は、例えばチャンバ2の壁に取り付けられていてもよい。ターゲット供給部から供給されるターゲット物質は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、またはそれらのいずれかの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
【0018】
チャンバ2の壁部には少なくとも1つの貫通孔が設けられている。その貫通孔にはウィンドウ21が設けられていてもよい。チャンバ2の内部には例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV集光ミラー23が配置されてもよい。EUV集光ミラー23は、第1および第2の焦点を有する。EUV集光ミラー23の表面には例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成されていてもよい。EUV集光ミラー23は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成位置またはプラズマ生成位置およびその近傍を含む領域(プラズマ生成領域25)内に位置し、その第2の焦点が中間焦点(IF)292に位置するよう配置されるのが好ましい。EUV集光ミラー23の中央部には、パルスレーザ光33が通過することができる貫通孔24が設けられていてもよい。
【0019】
再び図1を参照に、EUV光生成装置1は、EUV光生成制御システム5に接続されていてもよい。また、EUV光生成装置1は、ターゲットセンサ4を含むことができる。ターゲットセンサ4は、ターゲットの存在、軌道、位置の少なくとも1つを検出可能であるとよい。ターゲットセンサ4は、撮像機能を有していてもよい。
【0020】
さらに、EUV光生成装置1は、チャンバ2内部と露光装置60内部とを連通する接続部29を含むことができる。接続部29内部にはアパーチャを備えた壁291が設けられていてもよく、そのアパーチャがEUV集光ミラー23の第2の焦点に位置するように壁291を配置することが好ましい。
【0021】
さらに、EUV光生成装置1は、レーザ光進行方向制御アクチュエータ34、レーザ光集光ミラー22、ドロップレットターゲット27のターゲット回収器28なども含むことができる。
【0022】
3.2 動作
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御アクチュエータ34を経てパルスレーザ光32としてウィンドウ21を透過してチャンバ2内に入射してもよい。パルスレーザ光32は、レーザ装置3から少なくとも1つのレーザ光路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光ミラー22で反射されてもよい。そして、レーザ光集光ミラー22で反射されたパルスレーザ光33は、少なくとも1つのドロップレットターゲット27に照射されてもよい。
【0023】
ドロップレット生成器26は、ドロップレットターゲット27をチャンバ2内部のプラズマ生成領域25に向けて出力してもよい。ドロップレットターゲット27には、少なくとも1つのパルスレーザ光33が照射される。パルスレーザ光に照射されたドロップレットターゲット27はプラズマ化し、そのプラズマからEUV光が放射される。なお、1つのドロップレットターゲット27に、複数のパルスレーザ光が照射されてもよい。
【0024】
EUV光生成制御システム5は、EUV光生成システム11全体の制御を統括することができる。EUV光生成制御システム5は、ターゲットセンサ4によって撮像されたドロップレットターゲット27のイメージ情報等を処理することができる。EUV光生成制御システム5はまた、例えばドロップレットターゲット27を出力するタイミングの制御、ドロップレットターゲット27の出力方向の制御等を行うことができる。EUV光生成制御システム5はさらに、例えばレーザ装置3のレーザ発振タイミングの制御、パルスレーザ光の進行方向の制御、パルスレーザ光の集光位置変更の制御等を行うことができる。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御を追加することもできる。
【0025】
3.3 バースト運転
図2は、EUV光生成システムの運転状態を示す図である。露光装置と共に用いられるEUV光生成システムは、露光装置においてウエハを露光する際、所定繰返し周波数のパルスのEUV光(以下、パルスEUV光という)を露光装置へ出力する(図2参照)。この期間を、バースト期間TBとする。これに対し、EUV光生成システムは、露光装置におけるウエハの移動時間、ウエハの交換時間およびマスクの交換時間等において、露光装置へのパルスEUV光の供給を休止する(図2参照)。この期間を、バースト休止期間TRとする。
【0026】
EUV光生成システムにおいては、図2に示すように、必要に応じてパルスEUV光を出力する運転(バースト運転)をさせるために、レーザ装置も同様に、必要に応じて所定繰返し周波数のパルスレーザ光を出力する運転(バースト運転)をさせる場合がある。
【0027】
ここで、バースト休止期間TRでのレーザ装置の消費電力を抑制するためには、バースト休止期間TRに、増幅器内での放電を停止するか、または放電による励強度を弱くすること(弱励起)が考えられる。しかし、バースト運転の際に、レーザ装置の運転状態を停止状態または弱励起状態から強励起状態に切り替えると、バースト期間TBの初期のパルスレーザ光のエネルギーが不安定になる場合がある。
【0028】
4.レーザ装置の制御システム
そこで本開示では、レーザ装置3の一態様として、以下のようなレーザ装置を提案する。
【0029】
4.1 構成
図3は、本態様に係るレーザ装置3の概略構成を示す。図3に示すように、レーザ装置3は、マスターオシレータ(MO)302と、1つまたは複数の増幅器(PA)310〜310と、RF電源320〜320と、少なくとも1つの光シャッタ303と、レーザコントローラ301を含んでもよい。マスターオシレータ(MO)302には不図示の電源が接続されていてもよい。各増幅器(PA)310〜310には、RF電源320〜320がそれぞれ接続されていてもよい。少なくとも1つの光シャッタ303は、マスターオシレータ302から出力されるパルスレーザ光の光路上に配置されてもよい。1つまたは複数の増幅器310〜310は、マスターオシレータ302から出力されるパルスレーザ光の光路上に配置されてもよい。但し、光シャッタ303は必須ではない。
【0030】
マスターオシレータ302は、レーザコントローラ301に接続されていてもよい。各々の増幅器310〜310のRF電源320〜320は、レーザコントローラ301に接続されていてもよい。
【0031】
4.2 動作
上記構成において、レーザコントローラ301は、マスターオシレータ302を所定の繰返し周波数で、レーザ発振させてもよい。レーザコントローラ301は、レーザ装置3をバースト運転させるために、少なくとも1つの光シャッタ303を動作させてもよい。レーザコントローラ301は、バースト期間TBでは光シャッタ303を開(パルスレーザ光を透過させる状態)とし、バースト休止期間TRでは光シャッタ303を閉(パルスレーザ光を透過させない状態)としてもよい。レーザコントローラ301は、バースト期間TBの開始よりも所定時間前に、増幅器310〜310が第1の励起強度となるように、RF電源320〜320を動作させる。この所定時間をTsとする(図4参照)。また、レーザコントローラ301は、バースト休止期間TRの開始からバースト期間TBの開始よりも所定時間Ts前までの間、増幅器310〜310が第1の励起強度よりも弱い第2の励起強度となるように,RF電源320〜320を動作させる。但し、省エネルギー化にとって有効であるのは、増幅器310〜310の励起強度の強弱制御であってよい。省エネルギー化の実現に関しては、光シャッタ303の開閉動作は必須ではない。
【0032】
4.3 作用
このように、マスターオシレータ302を所定の繰返し周波数で常に発振させておくことで、マスターオシレータ302から出力されるパルスレーザ光を安定させることができてもよい。また、パルスレーザ光のバースト出力は、光シャッタ303を用いて生成しているので、バースト休止期間TRにマスターオシレータ302を休止させなくてもよい。
【0033】
レーザコントローラ301は、バースト期間TBの開始よりも所定時間Ts前に、増幅器310〜310が第1の励起強度となるように、RF電源320〜320を動作させる。これにより、増幅後のパルスレーザ光のエネルギー安定性を改善できてもよい。
【0034】
この安定性の意味については、後述において図12を用いて説明する。
【0035】
レーザコントローラ301はまた、バースト休止期間TRの開始からバースト期間TBの開始よりも所定時間Ts前までの間、増幅器310〜310が第1の励起強度よりも弱い第2の励起強度となるように、RF電源320〜320を動作させる。これにより、RF電源320〜320に供給する電力を低減でき、省エネルギー化ができてもよい。
【0036】
4.4 その他のバリエーション
レーザコントローラ301には、バースト期間TBの開始よりも所定時間Ts前に、露光装置60(図2参照)の露光装置コントローラ61(図3参照)からバースト許可信号S1が入力されてもよい。この場合、レーザコントローラ301は、バースト許可信号S1の入力をトリガとして、バースト期間TBの開始よりも所定時間Ts前から、RF電源320〜320を強励起で動作させる。また、レーザコントローラ301には、露光装置コントローラ61からバースト終了信号が入力されてもよい。この場合、レーザコントローラ301は、バースト終了信号の入力をトリガとして、RF電源320〜320を弱励起で動作させる。
【0037】
図3では、マスターオシレータ302と増幅器310との間に、光シャッタ303を配置した場合を例示した。しかし、この例に限定されることなく、増幅器310〜310の間のいずれかの光路上に、光シャッタ303を配置してもよい。この場合、レーザコントローラ301は、レーザ装置3をバースト運転させる際に、全ての増幅器、あるいは少なくとも光シャッタ303の下流側の光路上に配置された増幅器の励起強度を、上述の動作と同様に、強励起および弱励起とするようにRF電源を制御する。
【0038】
4.5 タイミングチャート
つづいて、レーザ装置3における各種信号およびパルスレーザ光の波形を、図面を参照に説明する。
【0039】
図4は、レーザコントローラ301が露光装置コントローラ61からEUV光生成制御システム5を経由して受信するバースト許可信号S1およびバースト禁止信号S2を示すタイミングチャートである。図5は、レーザコントローラ301がEUV光生成制御システム5から受信するバーストオン信号S3およびバーストオフ信号S4を示すタイミングチャートである。バースト許可信号S1は、露光装置コントローラ61がパルスEUV光のバースト出力をレーザ装置3に対して許可する信号である。一方、バーストオン信号S3は、EUV光生成制御システム5がレーザ装置3のレーザコントローラ301に対してパルスレーザ光のバースト出力を命令する信号である。したがって、バーストオン信号S3がEUV光生成制御システム5から出力されている期間が、バースト期間TBとなる。なお、本説明では、電圧レベルが“ON”にある信号がバースト許可信号S1とされ、“OFF”にある信号がバースト禁止信号S2とされる。同様に、電圧レベルが“ON”にある信号がバーストオン信号S3とされ、“OFF”にある信号がバーストオフ信号S4とされる。“OFF”に相当する電圧レベルは、ゼロであってもよい。
【0040】
バースト許可信号S1の立ち上がりタイミングよりも所定時間Ts遅れたタイミングで、バーストオン信号S3がレーザコントローラ301に入力される。なお、バースト禁止信号S2は、露光装置コントローラ61がレーザ装置3に対してパルスEUV光のバースト出力を禁止する信号であってもよい。また、バーストオフ信号S4は、EUV光生成制御システム5がレーザ装置3に対してパルスEUV光のバースト出力を停止させる信号であってもよい。このバースト禁止信号S2およびバーストオフ信号S4のレーザコントローラ301への入力タイミング、すなわち、バースト許可信号S1およびバーストオン信号S3の立ち下がりタイミングは、同じタイミングであってもよい。あるいは、バースト禁止信号S2のタイミングよりも所定時間Ts後のタイミングで、バーストオフ信号S4がレーザコントローラ301に入力されるようにしてもよい。
【0041】
図6は、レーザコントローラ301がEUV光生成制御システム5から受信してマスターオシレータ302に入力する発振トリガS5を示すタイミングチャートである。図6に示すように、マスターオシレータ302には、レーザ装置3が起動してシステム動作可能となったタイミングから、発振トリガS5が所定繰返し周波数で入力されてもよい。システム動作可能となったタイミングとは、レーザ装置3がレーザ発振可能となったタイミングを意味する。また、たとえばマスターオシレータ302には、EUV光生成制御システム5からバースト許可信号S1を最初に受信したタイミング以降、発振トリガS5が所定繰返し周波数で継続的に入力されてもよい。したがって、バースト休止期間TR中でも、マスターオシレータ302には、所定繰返し周波数で発振トリガS5が入力されていてもよい。
【0042】
図7は、レーザコントローラ301が増幅器310〜310のRF電源320〜320に入力する強励起用信号S6および弱励起用信号S7を示すタイミングチャートである。図7に示すように、レーザコントローラ301は、露光装置コントローラ61からEUV光生成制御システム5を経由してバースト許可信号S1が入力されている期間、強励起用信号S6をRF電源320〜320に入力してもよい。したがって、各RF電源320〜320は、強励起用の高周波電圧を増幅器310〜310に入力することとなる。バーストオン信号S3の立ち上がりタイミングは、前記強励起用信号S6の立ち上がりタイミングよりも所定時間Ts後のタイミングであってよい。
【0043】
図8は、レーザコントローラ301が光シャッタ303に入力する開信号S8および閉信号S9を示すタイミングチャートである。図9は、マスターオシレータ302から出力されるパルスレーザ光L1を示すタイミングチャートである。図10は、光シャッタ303より下流に配置された増幅器310〜310のたとえば最下流側増幅器から出力されるパルスレーザ光L2を示すタイミングチャートである。図8に示すように、レーザコントローラ301は、EUV光生成制御システム5からバーストオン信号S3が入力されている期間、すなわちバースト期間TB、光シャッタ303を開状態とする開信号S8を光シャッタ303に入力してもよい。その他の期間、すなわちバースト休止期間TR、レーザコントローラ301は、光シャッタ303を閉状態とする閉信号S9を光シャッタ303に入力する。これに対し、図9に示すように、マスターオシレータ302は、図6に示す発振トリガS5に応じた所定繰返し周波数でパルスレーザ光L1を継続的に出力する。このため、バースト休止期間TR、パルスレーザ光L1は光シャッタ303によって出力して遮断されてもよい。この結果、図10に示すように、光シャッタ303より下流側の増幅器310〜310のたとえば最下流側増幅器からは、バースト期間TBのみ、増幅されたパルスレーザ光L2が出力されてもよい。
【0044】
4.6 バースト運転とパルスエネルギー特性
つづいて、増幅器を弱励起から強励起に切り替えたと同時に増幅器にパルスレーザ光を入射させた際の増幅後のパルスレーザ光のエネルギー変化について説明する。図11は、弱励起期間Twk中、RF電源から増幅器に入力される励起用電圧をデューティ比0%(励起無し)の場合とデューティ比20%の場合について示すタイミングチャートである。図11中、破線はデューティ比0%とした場合の励起用電圧A0、実線はデューティ比20%とした場合の励起用電圧A20とを示す。図12は、図11に示す励起用電圧A0およびA20をそれぞれRF電源から増幅器に入力した場合に増幅器から出力されるパルスレーザ光のエネルギー変化を示すグラフである。図12では、励起用電圧A0の場合のパルスレーザ光のエネルギーをE0、励起用電圧A20の場合のパルスレーザ光のエネルギーをE20として、各データ点がプロットされている。図13は、図12に示すグラフの部分拡大図である。
【0045】
図11〜図13を参照すると明らかなように、励起強度を切り替えた直後(たとえば1ms間)では、パルスレーザ光のエネルギー(以下、パルスエネルギーという)は、定常状態よりも低い水準から急激に上昇する。つづいて、パルスエネルギーは、励起強度を切り替えたタイミングから約時間Ta後に、定常状態のパルスエネルギーを超えてオーバーシュートする。その後、パルスエネルギーは、徐々に減衰し、励起強度を切り替えたタイミングから約時間Tb後に、定常状態のパルスエネルギーで安定する。
【0046】
ここで、E0がパルスエネルギー定常状態の値を超えるまでの時間Ta0は、約0.17msとなり、定常状態の値を超えてから定常状態の値で安定するまでの時間Tb0は、約4msとなった。また、E0では励起強度を切り替えた直後にパルスエネルギーが瞬間的に0付近となる。一方、E20がパルスエネルギー定常状態の値を超えるまでの時間Ta20は、約0.15msとなり、定常状態の値を超えてから定常状態の値で安定するまでの時間Tb20は、約3msとなった。また、E20のオーバーシュート時のパルスエネルギーのピーク値は、E0のオーバーシュート時のパルスエネルギーのピーク値よりも約1割低かった。さらに、E20では、励起強度を切り替えた直後であってもパルスエネルギーが0とならなかった。
【0047】
このように、弱励起のときのデューティ比を20%とした場合の方が、0%とした場合よりも、定常状態のパルスエネルギーに安定するまでの時間Tbおよびオーバーシュート時のピーク値が小さくなっている。このことから、弱励起期間中であっても励起を完全に停止することなく所定の強度で励起させておいた方が、強励起へ移行した際のパルスエネルギーをより早く安定させられることが分かる。このことから、弱励起期間中に増幅器に与える励起用電圧は、省エネルギーを考慮しつつできるだけ強励起時と近い電圧とした方が好ましいことが推測される。また、弱励起期間中の励起強度を僅かでも維持していれば、瞬間的にパルスエネルギーが出力されないという状況を回避できると考えられる。
【0048】
また、弱励起期間Twk中の励起強度をデューティ比の数値にかかわらず、バーストオン信号S3は、バースト許可信号S1の立ち上がりから時間Ta経過した後に立ち上がるようにするとよいことが分かる。これにより、バースト初期にパルスレーザ光が出力されないという不具合を低減できてもよい。より好ましくは、バーストオン信号S3をバースト許可信号S1の立ち上がりから時間Tb経過した後に立ち上げるとよい。これにより、パルスエネルギーのオーバーシュートによる影響を低減することができてもよい。時間TaおよびTbは、実験、経験、シミュレーションにより事前に求めておいてもよい。
【0049】
4.7 制御フロー
つぎに、レーザコントローラ301の動作について、説明する。図14は、レーザコントローラ301の動作を示すフローチャートである。図14に示すように、レーザコントローラ301は、露光装置コントローラ61からEUV光生成制御システム5を経由してバースト許可信号S1(図4参照)を受信するまで待機してもよい(ステップS101、S101のNO)。バースト許可信号S1を受信すると(ステップS101のYES)、レーザコントローラ301は、増幅器310〜310のRF電源320〜320に、強励起用信号S6(図7参照)を入力してもよい(ステップS102)。
【0050】
つぎに、レーザコントローラ301は、EUV光生成制御システム5からバーストオン信号S3を受信するまで待機してもよい(ステップS103、S103のNO)。バーストオン信号S3を受信すると(ステップS103のYES)、レーザコントローラ301は、光シャッタ303を開状態にする開信号S8(図8参照)を光シャッタ303に入力してもよい(ステップS104)。
【0051】
つぎに、レーザコントローラ301は、EUV光生成制御システム5からバーストオフ信号S4(図5参照)またはバースト禁止信号S2(図4参照)を受信するまで待機してもよい(ステップS105、S105のNO)。バーストオフ信号S4またはバースト禁止信号S2を受信すると(ステップS105のYES)、レーザコントローラ301は、増幅器310〜310のRF電源320〜320に供給する電圧を弱励起用信号S7(図7参照)に切り替えてもよい(ステップS106)。また、レーザコントローラ301は、光シャッタ303を閉状態にする閉信号S9(図8参照)を光シャッタ303に入力してもよい(ステップS107)。
【0052】
その後、レーザコントローラ301は、露光装置コントローラ61からの信号に基づいて、バースト運転を中止するか否かを判定し(ステップS108)、バースト運転を中止する場合(ステップS108のYES)、本動作を終了してもよい。一方、バースト運転を継続する場合(ステップS108のNO)、レーザコントローラ301は、ステップS101へ帰還し、以降の動作を繰り返してもよい。
【0053】
また、レーザコントローラ301は、図14に示す動作と並行して、マスターオシレータ302に所定繰返し周波数でパルスレーザ光を生成させてもよい。図15は、レーザコントローラ301がマスターオシレータ302に所定繰返し周波数でパルスレーザ光を生成させる動作を示すフローチャートである。図15に示すように、レーザコントローラ301は、EUV光生成制御システム5から、たとえば1つの発振トリガS5(図6参照)を受信するまで待機してもよい(ステップS121、S121のNO)。発振トリガS5を受信すると(ステップS121のYES)、レーザコントローラ301は、マスターオシレータ302に1つの発振トリガS5(図6参照)を送信してもよい(ステップS122)。これにより、マスターオシレータ302からは、たとえば1つのパルスレーザ光L1(図9参照)が出力されてもよい。その後、レーザコントローラ301は、露光装置コントローラ61からの信号に基づいて、バースト運転を中止するか否かを判定し(ステップS123)、バースト運転を中止する場合(ステップS123のYES)、本動作を終了する。一方、バースト運転を継続する場合(ステップS123のNO)、レーザコントローラ301は、ステップS121へ帰還し、以降の動作を繰り返す。
【0054】
5.増幅器の励起強度の制御方式
つぎに、本実施の形態における励起強度の制御について、説明する。本実施の形態では、励起強度の制御方式として、PWM(Pulse Width Modulation)方式と、電位制御方式と、これらの組合せとを例に挙げる。
【0055】
5.1 PWM方式
PWM方式は、電圧パルスのデューティ比を変化させる変調方式である。そこで、本実施の形態では、強励起制御と弱励起制御とで、RF電源320〜320から増幅器310〜310に供給される電圧パルスのデューティ比を変化させてもよい。ここで、デューティ比とは、周期的なパルス波を出したときの1周期に対するパルス幅の比を意味し、以下の式(1)で表される。
D=τ/T ・・・(1)
なお、式(1)において、Dはデューティ比を示し、τはパルス幅を示し、Tは1周期の時間的長さを示す。たとえば、周期Tを10μsとし、パルス幅τを1μsとすると、デューティ比Dは、式(1)より、0.1(10%)となる。
【0056】
図16に、デューティ比をτ/Tとした場合にレーザコントローラ301からRF電源320〜320に入力される励起用信号(S6またはS7)を示す。図17に、図16に示す場合にRF電源320〜320から増幅器310〜310に供給される励起用電圧を示す。図16に示すように、PWM方式の場合、レーザコントローラ301からRF電源320〜320には、たとえば矩形波の信号が入力されてもよい。これにより、RF電源320〜320から増幅器310〜310には、図17に示すような、断続的なRF電圧が供給されてもよい。
【0057】
PWM方式の場合、弱励起の制御と強励起の制御とは、たとえば矩形波のデューティ比を変えることで実現できる。図18は、弱励起期間Twkの弱励起用信号S7によって指定されるデューティ比を20%とし、強励起期間Tstの強励起用信号S6によって指定されるデューティ比を50%とした場合にRF電源320〜320から増幅器310〜310に供給されるRF電圧を示す図である。図19は、弱励起期間Twkの弱励起用信号S7によって指定されるデューティ比を20%とし、強励起期間Tstの強励起用信号S6によって指定されるデューティ比を100%とした場合に各RF電源320〜320から増幅器310〜310に供給されるRF電圧を示す図である。
【0058】
図18および図19に示すように、増幅器310〜310が備える電極間に印加されるRF電圧のデューティ比を変化させることによって、レーザ媒質の励起強度を変化させてもよい。そこで、弱励起期間Twkにおけるデューティ比を強励起期間Tstにおけるデューティ比よりも小さくしてもよい。これにより、弱励起期間Twkにおいて単位時間あたりに増幅器310〜310に供給される励起エネルギーを強励起期間Tstにおけるそれよりも小さくすることが可能となるため、省エネルギー化を図れてもよい。
【0059】
なお、COガスを増幅媒体とする増幅器のRF周波数は、典型的には10〜100MHzである。本実施の形態のように周期Tが10μSである場合、PWMの周波数は100kHz(=1/T)となる。このようにPWMの周波数は増幅器のRF周波数に対して十分大きくなるように設定されるとよい。その上で、マスターオシレータ302から出力されるパルスレーザ光の繰返し周波数が、たとえば100kHzとされて、PWMの周期Tに同期されるとよい。
【0060】
5.2 電位制御方式
つづいて、電位制御方式について説明する。図20は、電位制御方式においてRF電源320〜320から増幅器310〜310に供給されるRF電圧を示す。電位制御方式では、弱励起用信号S7によって指定される振幅を強励起用信号S6によって指定される振幅よりも小さくしてもよい。この結果、図20に示すように、弱励起期間Twk中では、RF電源320〜320から増幅器310〜310に供給されるRF電圧の振幅が小さくなってもよい。このように、弱励起期間TwkにおけるRF電圧の振幅を強励起期間TstにおけるRF電圧の振幅よりも小さくしてもよい。これにより、弱励起期間Twkにおいて単位時間あたりに増幅器310〜310に供給される励起エネルギーを強励起期間Tstにおけるそれよりも小さくすることが可能となるため、省エネルギー化を図れてもよい。
【0061】
5.3 PWM方式と電位制御方式との組合せ
また、上述したPWM方式と電位制御方式とを組み合わせてもよい。図21は、PWM方式と電位制御方式とを組み合わせた場合にRF電源320〜320から増幅器310〜310に供給されるRF電圧を示す。このように、PWM方式と電位制御方式とを組み合わせることで、励起強度制御のダイナミックレンジが大きくなってもよい。この結果、より自在にRF電源320〜320から増幅器310〜310に供給されるRF電圧を調整することが可能となってもよい。
【0062】
6.半導体レーザをマスターオシレータとするレーザ装置
つづいて、図3に示すレーザ装置3におけるマスターオシレータ302に複数の半導体レーザを用いた場合を、以下に説明する。
【0063】
6.1 構成
図22は、レーザ装置3Aにおけるマスターオシレータ302Aに複数の半導体レーザを用いた場合を示す。なお、図22では、1段目の増幅器310として再生増幅器310Rを用いている。また、再生増幅器310Rの下流側に、光シャッタ304が追加されている。なお、以下の説明において、再生増幅器310Rおよび増幅器310〜310内の増幅媒体は、COガスを一成分として含む混合ガスである。
【0064】
図22に示すように、本実施の形態によるマスターオシレータ302Aは、半導体レーザ302〜302を備えてもよい。半導体レーザ302〜302は、たとえば量子カスケードレーザであってよい。この半導体レーザ302〜302は、それぞれ同じ波長または異なる波長で発振することが可能であってよい。ただし、半導体レーザ302〜302は、COガスを含む増幅媒体の複数の増幅波長領域の何れかに含まれる波長で発振可能であることが好ましい。半導体レーザ302〜302は、シングル縦モード発振しても、マルチ縦モード発振してもよい。また、マスターオシレータ302Aは、半導体レーザ302〜302から出力されたパルスレーザ光の光路を1つの光路に重畳させる光路調節器302Zを備えてもよい。
【0065】
6.2 動作
つぎに、図22に示すレーザコントローラ301の動作について説明する。レーザコントローラ301は、複数の半導体レーザ302〜302を所定の繰返し周波数および所定のタイミングで、レーザ発振させてもよい。複数の半導体レーザ302〜302から出力されたパルスレーザ光は、光路調節器302Zによってその光路が一致するように重畳されてもよい。
【0066】
レーザコントローラ301は、レーザ装置3Aをバースト運転させるために、光シャッタ303および304のうち少なくとも一方を動作させてもよい。好ましくは、再生増幅器310Rの下流側の光シャッタ304をバースト運転のために動作させてもよい。また、光シャッタ303および304のうち少なくとも1つは、パルスレーザ光の戻り光抑制用としてもよい。たとえば、パルスレーザ光が光シャッタに到達するタイミングに合わせて光シャッタを開とし、パルスレーザ光が光シャッタを通過したタイミングに合わせて光シャッタを閉とするように動作させてもよい。なお、パルスレーザ光が光シャッタに到達するタイミング及び通過したタイミングは、光シャッタまでの光路長と発振トリガタイミングとパルス幅とを用いて、予め計算されていてもよい。
【0067】
レーザコントローラ301は、バーストオン信号、バーストオフ信号に関係なく、再生増幅器310Rが所定の励起強度となるように、再生増幅器310RのRF電源320に励起用信号を入力してもよい。
【0068】
一方で、レーザコントローラ301は、他の増幅器310〜310のRF電源320〜320に、以下の信号を送信してもよい。これらの信号としては、上述において図4等の説明で示した信号を用いることができる。
強励起用信号:バーストオン開始の所定時間Ts前からバーストオフ開始までの期間、増幅器310〜310を第1の励起強度で動作させる信号
弱励起用信号:バーストオフ開始からバーストオン開始の所定時間Ts前までの期間、増幅器310〜310を第1の励起強度よりも弱い第2の励起強度となるように動作させる信号
【0069】
6.3 作用
以上のように、半導体レーザ302〜302を所定の繰返し周波数で発振させることで、半導体レーザ302〜302の熱的変動を抑制することができてもよい。また、再生増幅器310Rより下流側の光シャッタ304によってレーザ装置3Aをバースト運転させる場合、再生増幅器310Rは、所定の繰返し周波数でパルスレーザ光を継続的に再生増幅することとなってもよい。これにより、再生増幅器310Rの熱的変動を抑制することができてもよい。この結果、再生増幅されたパルスレーザ光のパルスエネルギー変動を低減することが可能となってもよい。
【0070】
そして、光シャッタ304より下流側の光路上に配置された増幅器310〜310の励起強度を、バースト休止期間TR中、弱励起とすることによって、省エネルギー化が可能となってもよい。
【0071】
6.4 タイミングチャート
つぎに、図22に示すレーザ装置3Aにおける各種信号およびパルスレーザ光の波形を、図面を参照に説明する。なお、レーザ装置3の説明において図4〜図10に示した波形を参照に説明した動作は、レーザ装置3Aにおいても同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、図8に示す光シャッタの開信号S8および閉信号S9は、光シャッタ304に入力されるものとする。
【0072】
図23は、レーザコントローラ301が再生増幅器310Rに入力する励起用信号S10を示すタイミングチャートである。図23に示すように、再生増幅器310Rには、マスターオシレータ302Aからパルスレーザ光を出力させている期間、バースト期間TBとバースト休止期間TRとに関わらず、再生増幅器310Rを動作させるための励起用信号S10が入力されてもよい。
【0073】
図24は、レーザコントローラ301が光シャッタ303に入力する開信号S11および閉信号S12を示すタイミングチャートである。図24に示すように、マスターオシレータ302Aと再生増幅器310Rとの間の光シャッタ303には、1つのパルスレーザ光の通過タイミングに合わせて光シャッタ303を開閉する開信号S11および閉信号S12が入力されてもよい。これにより、再生増幅器310R側からマスターオシレータ302Aへの戻り光を抑制することが可能となってよい。
【0074】
図25は、再生増幅器310Rから出力されるパルスレーザ光を示すタイミングチャートである。図9、図23および図24に示すように、再生増幅器310Rには、光シャッタ303を通過した所定繰返し周波数の継続的なパルスレーザ光L1が入力され、このとき励起用信号S10が入力されていてもよい。このため、再生増幅器310Rからは、図25に示すように、所定繰返し周波数の継続的な増幅されたパルスレーザ光L3が出力されてもよい。
【0075】
7.レーザ装置を備える極端紫外光生成装置
図22に示すレーザ装置3Aを備えるEUV光生成装置1Aを、図26に示す。
【0076】
7.1 構成
露光装置コントローラ61を備えた露光装置60とともに用いられるEUV光生成装置1Aは、レーザ装置3Aと、EUV光生成制御システム5と、ドロップレット生成器26と、ターゲットセンサ4と、チャンバ2と、を含んでもよい。
【0077】
露光装置コントローラ61は、EUV光生成制御システム5に接続されていてもよい。EUV光生成制御システム5は、レーザコントローラ301に接続されていてもよい。レーザ装置3Aは、図22に示した構成と同様の構成を備えてもよい。ただし、レーザ装置3Aは、3つの増幅器310、310および310を備えるものとする。増幅器310、310および310の出力側には、それぞれリレー光学系R1、R2およびR3が設けられていてもよい。
【0078】
7.2 動作
つぎに、図26に示すEUV光生成装置1Aの動作を説明する。EUV光生成制御システム5は、露光装置コントローラ61からのバースト許可信号S1またはバースト禁止信号S2を受信すると、それぞれの場合において、レーザコントローラ301にバースト許可S1信号またはバースト禁止S2信号を送信してもよい。
【0079】
また、レーザ光の生成動作を開始するに際して、EUV光生成制御システム5は、ドロップレット27にパルスレーザ光33が照射されるように、半導体レーザ302〜302をレーザ発振させる発振トリガS5を半導体レーザ302〜302に入力してもよい。発振トリガS5は、レーザコントローラ301を介して半導体レーザ302〜302に入力されてもよい。発振トリガS5は、所定の繰返し周波数で出力されてもよい。
【0080】
EUV光生成制御システム5は、ターゲットセンサ4によって検出されたドロップレット27の通過タイミングに応じて、半導体レーザ302〜302をレーザ発振させる発振トリガS5の生成タイミングを修正してもよい。EUV光生成制御システム5は、タイミング修正された発振トリガS5を、レーザコントローラ301を介して半導体レーザ302〜302に送信するようにしてもよい。このように、ドロップレット27の通過タイミングに応じて発振トリガS5のタイミングを修正するのは、ドロップレット27の通過タイミングが所定の繰返し周波数から僅かに変化する可能性があるためである。その変化に応じて半導体レーザ302〜302がパルスレーザ光を出力するタイミングを調節することで、より的確にプラズマ生成領域25にあるドロップレット27にパルスレーザ光33を照射することが可能となってもよい。
【0081】
また、EUV光生成制御システム5は、バースト許可信号S1の立ち上がりから所定時間Ts経過した後に、バーストオン信号S3を生成してもよい。このバーストオン信号S3は、レーザコントローラ301を介して光シャッタ304に入力されてもよい。
【0082】
7.3 作用
レーザ装置3Aの構成では、半導体レーザ302〜302は所定の繰返し周波数で継続的に動作してもよく、再生増幅器310Rが継続的に動作していてもよい。このため、半導体レーザ302〜302および再生増幅器310Rにおける熱負荷の変動が少なくてもよい。その結果、安定してパルスレーザ光が再生増幅器310Rから出力され得る。
【0083】
また、増幅器310、310および310のRF電源320、320および320は、バースト休止期間TRの開始からバースト許可信号S1の立ち上がりまでの間、光シャッタ304より下流側の光路上に配置された増幅器310、310および310の励起強度が弱励起となるように制御されてもよい。このため、この期間のエネルギー消費量を低減することができてもよい。
【0084】
さらに、EUV光生成制御システム5が、バースト許可信号S1が立ち上がってから所定時間Ts待機した後、バーストオン信号S3を生成して、パルスレーザ光33がドロップレット27に照射されてもよい。そのため、所望の安定したパルスエネルギーのパルスレーザ光33をドロップレット27に照射できてもよい。その結果、EUV光252のエネルギー安定性の改善と、レーザ照射時に発生するデブリの抑制とが可能となってよい。
【0085】
7.4 制御フロー
つぎに、図26に示すレーザコントローラ301の動作について、説明する。
【0086】
7.4.1 EUV光生成制御システムにおけるバースト信号の生成制御フロー
図27は、レーザコントローラ301の動作を示すフローチャートである。図27に示すように、レーザコントローラ301は、露光装置コントローラ61からEUV光生成制御システム5を経由してバースト許可信号S1(図4参照)を受信するまで待機してもよい(ステップS201、S201のNO)。バースト許可信号S1を受信すると(ステップS201のYES)、レーザコントローラ301は、不図示のタイマの計時カウントを開始してもよい(ステップS202)。そして、レーザコントローラ301は、再生増幅器310Rおよび増幅器310〜310のRF電源320〜320に、励起用信号S10(図23参照)および強励起用信号S6(図7参照)を入力してもよい(ステップS203)。
【0087】
つぎに、レーザコントローラ301は、タイマのカウント値TがTs以上となるまで待機してもよい(ステップS204、S204のNO)。カウント値Tが所定時間Ts以上となると(ステップS204のYES)、レーザコントローラ301は、光シャッタ304に開信号S8(図8参照)を送信し(ステップS205)、タイマをリセットしてもよい(ステップS206)。
【0088】
つぎに、レーザコントローラ301は、EUV光生成制御システム5からバーストオフ信号S4(図5参照)またはバースト禁止信号S2(図4参照)を受信するまで待機してもよい(ステップS207、S207のNO)。バーストオフ信号S4またはバースト禁止信号S2を受信すると(ステップS207のYES)、レーザコントローラ301は、増幅器310〜310のRF電源320〜320に供給する電圧を弱励起用信号S7(図7参照)に基づく電圧に切り替えてもよい(ステップS208)。また、レーザコントローラ301は、光シャッタ304を閉状態にする閉信号S9(図8参照)を光シャッタ304に入力してもよい(ステップS209)。
【0089】
その後、レーザコントローラ301は、露光装置コントローラ61からの信号に基づいてバースト運転を中止するか否かを判定し(ステップS210)、バースト運転を中止する場合(ステップS210のYES)、本動作を終了してもよい。一方、バースト運転を継続する場合(ステップS210のNO)、レーザコントローラ301は、ステップS201へ帰還し、以降の動作を繰り返してもよい。
【0090】
7.4.2 EUV光生成制御システムにおけるトリガ信号の生成制御フロー
また、レーザコントローラ301は、図27に示す動作と並行して、マスターオシレータ302Aに所定繰返し周波数でパルスレーザ光を生成させてもよい。図28は、レーザコントローラ301がマスターオシレータ302Aにパルスレーザ光を生成させる動作を示すフローチャートである。図28に示すように、レーザコントローラ301は、所定の繰返し周波数の発振トリガS5(図22参照)をマスターオシレータ302Aに送信してもよい(ステップS221)。これにより、マスターオシレータ302Aは、所定繰返し周波数でパルスレーザ光L1(図9参照)の出力を開始してもよい。
【0091】
つぎに、EUV光生成制御システム5は、バースト許可信号S1(図5参照)を受信するまで待機してもよい(ステップS222、S222のNO)。バースト許可信号S1を受信すると(ステップS222のYES)、EUV光生成制御システム5は、ドロップレット生成器26に所定繰返し周波数でドロップレット27を生成させるドロップレット生成信号を送信してもよい(ステップS223)。なお、所定繰返し周波数のドロップレット生成信号の送信は、EUV光生成制御システム5がバースト禁止信号S2(図4参照)を受信するまで継続されてもよい。
【0092】
つぎに、EUV光生成制御システム5は、ターゲットセンサ4からドロップレット27の検出信号を受信するのを待機してもよい(ステップS224、S224のNO)。ドロップレット27の検出信号を受信すると(ステップS224のYES)、EUV光生成制御システム5は、プラズマ生成領域25にドロップレット27が到達するタイミングに合わせてパルスレーザ光33がプラズマ生成領域25に照射されるように、発振トリガS5の出力タイミングを修正し、この発振トリガS5をマスターオシレータ302Aに送信する(ステップS225)。すなわち、本実施の形態では、ドロップレット27の出力タイミングに合わせて、オンデマンドでパルスレーザ光を出力してもよい。このとき、発振トリガS5は必ずしも所定の繰返し周波数でなくともよい。
【0093】
つぎに、EUV光生成制御システム5は、バースト禁止信号S2(図4参照)を受信したか否かを判定する(ステップS226)。バースト禁止信号S2を受信していなければ(ステップS226のNO)、EUV光生成制御システム5は、ステップS223に帰還して、つぎのドロップレット27の生成およびパルスレーザ光の発振を制御してもよい(ステップS223〜S225)。一方、EUV光生成制御システム5がバースト禁止信号S2(図4参照)を受信していた場合(ステップS226のYES)、EUV光生成制御システム5は、再び、所定の繰返し周波数の発振トリガS5(図6参照)をマスターオシレータ302Aに送信してもよい(ステップS227)。このとき、所定の繰返し周波数の発振トリガS5はドロップレット27の出力タイミングと必ずしも合っていなくともよい。これにより、マスターオシレータ302Aは、所定繰返し周波数でパルスレーザ光L1(図9参照)を出力してもよい。
【0094】
その後、EUV光生成制御システム5は、露光装置コントローラ61からの信号に基づいてバースト運転を中止するか否かを判定してもよい(ステップS228)。バースト運転を中止する場合(ステップS228のYES)、本動作を終了してもよい。一方、バースト運転を継続する場合(ステップS228のNO)、EUV光生成制御システム5は、ステップS222へ帰還し、以降の動作を繰り返してもよい。
【0095】
8.補足説明
つぎに、本実施の形態における増幅器310〜310の例を、以下に説明する。
【0096】
8.1 COガスを増幅媒体とする増幅器の構成
本説明では、COガスを増幅媒体とした増幅器を例に挙げる。COガスを増幅媒体とした増幅器としては、図29に示す高速軸流型増幅器、図30に示すスラブ型増幅器、図31および図32に示す3軸直交型増幅器などが挙げられる。
【0097】
/高速軸流型増幅器
図29は、高速軸流型増幅器310Aの概略構成を示す。図29に示すように、高速軸流型増幅器310Aは、放電管411と、入射ウィンドウ412と、出射ウィンドウ413と、2つの電極414および415と、RF電源416と、ガス管417と、熱交換器418と、送風機419と、を備えてもよい。増幅対象のパルスレーザ光31は、入射ウィンドウ412から入射し、放電管411内を通過して、出射ウィンドウ413から出射する。放電管411内には、ガス管417および送風機419によって、ガス状の増幅媒体が循環している。放電管411を挟む位置に配置された2つの電極414および415にRF電源416からRF電圧を印加することで、放電管411内の増幅媒体が励起され、通過するパルスレーザ光31が増幅される。なお、放電により増幅媒体に蓄積される熱は、ガス管417上に配置された熱交換器418によって放熱される。
【0098】
/スラブ型増幅器
図30は、スラブ型増幅器310Bの概略構成を示す。なお、図30では、内部構成を示すため、スラブ型増幅器310Bの外部筐体(気密容器)を省略する。図30に示すように、スラブ型増幅器310Bは、入力側ウィンドウ511と、互いに対向する2つの放電電極515および516と、2つの凹球面ミラー513および514と、出力側ウィンドウ512と、を備えてもよい。一方の放電電極516はたとえば接地されており、他方の放電電極515には、たとえばRF電源518からRF電圧が印加されてもよい。この2つの放電電極515および516の間には、ガス状の増幅媒体が充填され、放電電極515への電圧印加により放電領域517が形成される。放電領域517では、放電により増幅媒体が励起されている。パルスレーザ光31は、入力側ウィンドウ511を介してスラブ型増幅器310Bに入射する。2つの凹球面ミラー513および514は、入射したパルスレーザ光31を反射し、反射されたパルスレーザ光31は放電領域517内を往復する。パルスレーザ光31は放電領域517を通過する際にエネルギーを付与されて増幅される。その後、増幅されたパルスレーザ光31は、出力側ウィンドウ512より出力される。2つの放電電極515および516内には、不図示の冷却装置から供給された冷却媒体519が流れる流路が形成されていてもよい。冷却装置から供給された冷却媒体519は、放電電極515および516内の不図示の内部流路を通過する際に、放電電極515および516内の、放電によって蓄積された熱を奪い、その後、排水520として放電電極515および516から流出する。
【0099】
/3軸直交型増幅器
図31は、3軸直交型増幅器310Cの概略構成を示す。図32は、図31のXXXII−XXXII線における断面図を示す。図31および図32に示すように、3軸直交型増幅器310Cは、チャンバ611と、入射ウィンドウ612と、出射ウィンドウ613と、対向する2つの電極614および615と、クロスフローファン617と、熱交換器622と、を備えてもよい。チャンバ611内部には、ガス状の増幅媒体が充填されている。2つの電極614および615は、RF電源621に接続されている。RF電源621を用いて2つの電極614および615間にRF電圧を与えることで、2つの電極614および615間の増幅媒体が励起され増幅領域616が形成される。入射ウィンドウ612を介して入射したパルスレーザ光31は、2つの電極614および615間の増幅領域616を通過する際に増幅され、その後、出射ウィンドウ613から出射する。クロスフローファン617は、チャンバ611外部または内部に設けられた回転軸619を介してモータ618と連結されている。モータ618を駆動してクロスフローファン617を回転させることで、チャンバ611内部で増幅媒体が循環する。放電によって増幅媒体に蓄積された熱は、循環過程において熱交換器622を通過する際に、熱交換器622によって奪われる。
【0100】
8.2 光シャッタ
つぎに、光シャッタについて、例を挙げて説明する。本実施の形態における光シャッタとしては、図33に示すポッケルスセルと偏光子との組合わせによる光シャッタ303A、図35に示すファラデーローテータと偏光子との組合わせによる光シャッタ303B、図36に示す光音響素子を用いた光シャッタ303Cなどが挙げられる。
【0101】
8.2.1 ポッケルスセルと偏光子との組合わせ
図33は、2つの偏光子とポッケルスセルとを組み合わせて構成された光シャッタの一例を示す。
【0102】
図33において、偏光子701は、たとえば入射した光のうち、Y方向の偏光成分を透過させ、X方向の偏光成分を遮断してもよい。一方、偏光子702は、たとえば入射した光のうち、X方向の偏光成分を透過させ、Y方向の偏光成分を遮断してもよい。このように、偏光子701と偏光子702とでは、透過させる光の偏光成分が異なっていてもよい。本例では、偏光子701を透過した光の偏光方向と偏光子702を透過した光の偏光方向とが90°異なっていてもよい。
【0103】
ポッケルスセル703には、コントローラ301からの制御のもと、高圧電源704から高電圧パルスが印加されてもよい。ポッケルスセル703は、たとえば高電圧パルスが印加されている期間、入射した光の偏光方向を変更してもよい。本例では、入射光の偏光方向を90°変更する電圧値の高電圧パルスが、高圧電源704からポッケルスセル703に印加されてもよい。
【0104】
以上のような構成の光シャッタ303Aに入射したパルスレーザ光31は、まず、偏光子701に入射してもよい。偏光子701は、入射したパルスレーザ光31のうち、Y方向の直線偏光成分(以下、Y直線偏光パルスレーザ光という)を透過させてもよい。偏光子701を透過したY直線偏光パルスレーザ光31は、ポッケルスセル703に入射してもよい。
【0105】
ポッケルスセル703に高電圧パルスが印加されていない場合、ポッケルスセル703に入射したY直線偏光パルスレーザ光は、Y方向の直線偏光のまま、ポッケルスセル703から出力され得る。出力されたY直線偏光パルスレーザ光は、偏光子702に入射してもよい。偏光子702は、入射したY直線偏光パルスレーザ光を反射または吸収し得る。その結果、パルスレーザ光31が、光シャッタ303Aによって遮断され得る。
【0106】
一方、ポッケルスセル703に高電圧パルスが印加されている場合、ポッケルスセル703に入射したY直線偏光パルスレーザ光の偏光方向は、90°変更され得る。その結果、ポッケルスセル703からは、X方向の直線偏光のパルスレーザ光(以下、X直線偏光パルスレーザ光という)が出力され得る。このX直線偏光パルスレーザ光は、偏光子702に入射してもよい。偏光子702は、入射したX直線偏光パルスレーザ光を透過させ得る。その結果、パルスレーザ光31が、光シャッタ303Aから出力され得る。光シャッタ303Aから出力されたパルスレーザ光31は、下流側の増幅器に入射する前に、図示しない偏光子によって、Y直線偏光パルスレーザ光に変更されてもよい。
【0107】
ここで、各パルスレーザ光31がポッケルスセル703に到達するタイミングに合わせてポッケルスセル703に高電圧パルスを印加し、パルスレーザ光31がポッケルスセル703を通過したタイミングに合わせて高電圧パルスの印加を停止してもよい。そのようにすることで、光シャッタ303Aによって、下流側の増幅器からの自励発振光や戻り光を低減するようにしてもよい。また、バースト休止期間TR中、ポッケルスセル703への高電圧パルスの印加を停止することで、パルスレーザ光31のバースト運転を行うようにしてもよい。すなわち、光シャッタ303Aは、自励発振光や戻り光の抑制およびバースト運転の2つの機能を果たすようにしてもよい。
【0108】
また、図34に示されるように、たとえばパルスレーザ光31の1パルスの持続時間(パルス時間幅)を20nsとすると、光シャッタ303Aのポッケルスセル703には、パルスレーザ光31の多少のタイミングジッタを吸収できる程度の時間幅(たとえば40ns)を持つ高電圧パルスが印加されるのが好ましい。ただし、高電圧パルスの時間幅を長くしすぎると、戻り光の抑制効果が低い場合が生じ得る。このため、高電圧パルスの時間幅は、適度に設定されることが好ましい。なお、ポッケルスセルは、通常、数nsの応答性を有しているため、高速スイッチングが要求されるレーザ装置の光シャッタに適している。
【0109】
本例による光シャッタ303Aは、偏光子701を透過したレーザ光と偏光子702を透過したレーザ光との偏光方向を90°変えた構成を備える。このため、ポッケルスセル703に高電圧パルスを印加した期間、光シャッタ303Aがパルスレーザ光31を透過させ得る。ただし、この例に限定されるものではない。たとえば偏光子701を透過したレーザ光と偏光子702を透過したレーザ光との偏光方向を同じ方向としてもよい。この場合、ポッケルスセル703に高電圧パルスを印加しない期間、光シャッタ303Aがパルスレーザ光31を透過させ得る。
【0110】
8.2.2 ファラデーローテータと偏光子との組み合わせ
図35は、2つの偏光子701および702とファラデーローテータ803とを組み合わせて構成された光シャッタ303Bの一例を示す。
【0111】
図33と図35とを比較すると明らかなように、光シャッタ303Bは、光シャッタ303Aにおけるポッケルスセル703および高圧電源704が、それぞれファラデーローテータ803および磁場発生源804に置き換えられている。その他の構成は、光シャッタ303Aと同様である。
【0112】
ファラデーローテータ803内には、レーザコントローラ301からの制御のもと、磁場発生源804によって磁場が生成される。ファラデーローテータ803は、たとえば磁場が生成されている期間、入射した光の偏光方向を回転させる。本例では、入射光の偏光方向を90°回転させる強度の磁場が、磁場発生源804によってファラデーローテータ803内に生成されるものとする。
【0113】
このように、ポッケルスセル703に代えて、ファラデーローテータ803を用いることでも、光シャッタ303Aと同様に、自励発振光や戻り光の遮断およびバースト運転の2つの機能を果たすことが可能な光シャッタ303Bを実現できる。
【0114】
8.2.3 光音響素子
図36は、光音響素子903を用いて構成された光シャッタ303Cの一例を示す。
【0115】
光音響素子903には、レーザコントローラ301からの制御のもと、RF発生器904から高周波(RF)信号が入力される。光音響素子903は、たとえばRF信号が入力されている期間、入射した光の出射方向を変更する。そこで本例では、RF信号を光音響素子903に入力している際のパルスレーザ光31の出射方向に、下流側の増幅器を配置する。あるいは、RF信号を光音響素子903に入力している際のパルスレーザ光31の出射方向を、レーザ装置3のパルスレーザ光31の出射方向とする。
【0116】
このように、光音響素子903を用いることでも、光シャッタ303Aと同様に、自励発振光や戻り光の遮断およびバースト運転の2つの機能を果たすことが可能な光シャッタ303Cを実現できる。なお、RF信号を光音響素子903に入力していない際のパルスレーザ光31の出射方向には、パルスレーザ光31を吸収するためのダンパ905等を配置しておくのが好ましい。また、下流側の増幅器とダンパ905との配置を入れ換えてもよい。この場合、RF信号を光音響素子903に入力していない期間、光シャッタ303Cを開にする。
【0117】
8.2.4 光シャッタのバリエーション
また、偏光子とポッケルスセルとを組み合わせた光シャッタ303Aは、以下のようにも変形することができる。
【0118】
8.2.4.1 変形例1
図37は、変形例1による光シャッタ710の概略構成を示す。光シャッタ710では、たとえば透過型の偏光子701および702の代わりに、反射型の偏光子(以下、単にミラーという)711および712が用いられる。ミラー711および712には、それぞれATFRミラー等の偏光子を用いることができる。このような構成によっても、図33に示す光シャッタ303Aと同様の機能を実現することが可能となる。なお、図37では、高圧電源704を省略する。
【0119】
8.2.4.2 変形例2
図38は、変形例2による光シャッタ720の概略構成を示す。図38に示すように、光シャッタ720は、ポッケルスセル703の入力側に、4つのミラー721〜724が配置された構成を備える。また、光シャッタ720は、ポッケルスセル703の出力側に、4つのミラー725〜728が配置された構成を備える。ミラー721〜724および725〜728は、それぞれATFRミラー等の偏光子で構成することができる。また、ポッケルスセル703に対して上流側(マスターオシレータ側)に配置されたミラー721〜724は、たとえば垂直方向の偏光成分のパルスレーザ光31のみを反射し、他の方向の偏光成分の光を吸収する。一方、ポッケルスセル703に対して下流側に配置されたミラー725〜728は、たとえば水平方向の偏光成分のパルスレーザ光31のみを反射し、他の方向の偏光成分の光を吸収する。このように、ポッケルスセル703の入出力側それぞれに、同一の方向の偏光成分の光のみを反射し、他の方向の偏光成分の光を吸収するミラーを複数枚設けてもよい。これにより、他の方向の偏光成分の光の総吸収率を高め、特定の方向の偏光成分の光の純度を高くすることが可能となる。結果として、特定の方向の偏光成分以外の光は、光シャッタによってより効果的に遮断される。
【0120】
8.2.4.3 変形例3
図39は、変形例3による光シャッタ730の概略構成を示す。図39に示すように、光シャッタ730は、2つのポッケルスセル703および713を備える。ポッケルスセル713は、ポッケルスセル703と同様である。ポッケルスセル703は、たとえばポッケルスセル713よりも上流側に配置される。ポッケルスセル703の入力側に配置されたミラー731および732と、ポッケルスセル713の出力側に配置されたミラー741および742とは、それぞれ同一の方向の偏光成分(たとえば垂直方向の偏光成分)のパルスレーザ光31のみを反射してもよい。また、これらのミラー731、732、741および742は、他の方向の偏光成分の光を吸収してもよい。また、ポッケルスセル703とポッケルスセル713との間には、それぞれ同一の方向の偏光成分(たとえば水平方向の偏光成分)のパルスレーザ光31のみを反射し、他の方向の偏光成分の光を吸収する少なくとも1つのミラー734〜737が配置される。ただし、上流側のポッケルスセル703の出力側および下流側のポッケルスセル713の入力側には、それぞれ高反射ミラー733および738が配置される。このように、複数のポッケルスセセル703および713を使用することで、他の方向の偏光成分の光の総吸収率を高め、特定の方向の偏光成分の光の純度を高くすることが可能となる。結果として、特定の方向の偏光成分以外の光は、光シャッタによってさらに効果的に遮断される。
【0121】
8.2.4.4 変形例4
図40は、変形例4による光シャッタ740の概略構成を示す。図40に示すように、光シャッタ740は、図37に示す光シャッタ710と同様の構成において、ミラー711および712に、それぞれ冷却装置751が取り付けられた構成を備える。冷却装置751から供給された冷却媒体は、流路752を通ってミラー711および712にそれぞれ流れ込む。ミラー711および712には、それぞれ反射面の裏側に対して冷却媒体を効率的かつバランスよく流す内部流路が設けられている。このため、ミラー711および712の反射面を効率的かつバランスよく冷却できるので、ミラー面の熱変形を抑えることが可能となる。この結果、光シャッタ740から出力されたパルスレーザ光31の反射方向および波面を安定させることが可能となる。なお、ポッケルスセル703にも冷却装置を接続して、ポッケルスセル703の過熱を防止するようにしてもよい。
【0122】
8.3 再生増幅器
つぎに、本実施の形態における再生増幅器について説明する。図41に、再生増幅器310Rの一例を示す。再生増幅器310Rは、偏光ビームスプリッタ311と、COガス増幅部312と、EOポッケルスセル313および316と、λ/4板314と、共振器ミラー315および317と、を備えてもよい。
【0123】
偏光ビームスプリッタ311は、たとえば薄膜ポラライザー(Thin−Film Polarizer)を用いて構成されてもよい。偏光ビームスプリッタ311は、たとえば偏光ビームスプリッタ311の入射面においてS偏光成分の光を反射し、P偏光成分の光を透過させ得る。したがって、偏光ビームスプリッタ311は、入射したパルスレーザ光31のうち、S偏光成分の光を再生増幅器310R内に導入し得る。図41においては、パルスレーザ光31の進行方向をZ方向とすると、再生増幅器310R内に導入されるパルスレーザ光31の偏光方向は、X方向となってもよい。再生増幅器310R内に導入されたパルスレーザ光31は、2つの共振器ミラー315および317が形成する光共振器内を進行してもよい。光共振器内のパルスレーザ光31は、COガス増幅部312を通過する際に増幅されてもよい。また、光共振器内のパルスレーザ光31は、電圧が印加されていないポッケルスセル313を通過した後、λ/4板314を透過し、共振器ミラー315で反射されて再びλ/4板314を透過してもよい。これにより、パルスレーザ光31の偏光方向が、X方向からY方向へ変化し得る。
【0124】
その後、パルスレーザ光31は、再度、電圧が印加されていないポッケルスセル313を通過してもよい。ポッケルスセル313には、パルスレーザ光31の2度目の通過後のタイミングにおいて所定の高電圧パルスが印加されてもよい。パルスレーザ光31は、P偏光の状態で偏光ビームスプリッタ311を透過後、高電圧パルスが印加されていないポッケルスセル316を通過してもよい。その後、パルスレーザ光31は、共振器ミラー317で反射され、再度、ポッケルスセル316を通過してもよい。そして、P偏光の状態を維持したまま偏光ビームスプリッタ311を透過し、COガス増幅部312を通過する際に増幅されてもよい。その後、高電圧パルスが印加されたポッケルスセル313に入射してもよい。高電圧パルスが印加されたポッケルスセル313は、通過する光にλ/4の位相シフトを与え得る。よって、その後、パルスレーザ光31は、λ/4板314を透過し、共振器ミラー315で反射されて再びλ/4板314を透過し、高電圧パルスが印加されたポッケルスセル313を通過することで偏光方向がY方向となり得る。このようにして、ポッケルスセル313に所定の高電圧パルスが印加されている期間、偏光ビームスプリッタ311を透過するパルスレーザ光31の偏光方向が常にY方向となり得る。すなわち、ポッケルスセル313に所定の高電圧パルスが印加されている期間、光共振器内のパルスレーザ光31は、P偏光の状態で偏光ビームスプリッタ311を透過し得る。その結果、パルスレーザ光31が共振器内に閉じ込められ得る。
【0125】
その後、パルスレーザ光31を出力するタイミングで、ポッケルスセル316に所定の高電圧パルスが印加されてもよい。光共振器内を往復するパルスレーザ光31は、偏光ビームスプリッタ311を透過後、ポッケルスセル316を通過する際にλ/4の位相シフトを受け得る。それにより、パルスレーザ光31の偏光状態が、Y方向の直線偏光から円偏光に変換され得る。その後、パルスレーザ光31は、共振器ミラー317で反射され、再度、ポッケルスセル316を通過してもよい。その結果、パルスレーザ光31の偏光状態が、円偏光からX方向の直線偏光に変換され得る。X方向の直線偏光となったパルスレーザ光31は、S偏光の状態で偏光ビームスプリッタ311に入射し得る。そのため、偏光ビームスプリッタ311は、入射したパルスレーザ光31を反射し得る。その結果、パルスレーザ光31が、再生増幅器310Rから出力され得る。
【0126】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0127】
本明細書および添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」または「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、および添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」または「1またはそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0128】
1、1A LPP式EUV光生成装置
2 チャンバ
3、3A レーザ装置
4 ターゲットセンサ
5 EUV光生成制御システム
6 露光装置
21 ウィンドウ
22 レーザ光集光ミラー
23 EUV集光ミラー
24 貫通孔
25 プラズマ生成領域
26 ドロップレット生成器
27 ドロップレット(ドロップレットターゲット)
28 ターゲット回収器
29 接続部
291 壁
292 中間焦点(IF)
31 パルスレーザ光
32 パルスレーザ光
33 パルスレーザ光
34 レーザ光進行方向制御アクチュエータ
61 露光装置コントローラ
301 レーザコントローラ
302、302A マスターオシレータ
302〜302 半導体レーザ
302Z 光路調節器
303、303A〜303C、710〜740 光シャッタ
310〜310、310A〜310C 増幅器
310R 再生増幅器
320〜320 RF電源
A0、A20 励起用電圧
L1、L2 パルスレーザ光
S1 バースト許可信号
S2 バースト禁止信号
S3 バーストオン信号
S4 バーストオフ信号
S5 発振トリガ
S6 強励起用信号
S7 弱励起用信号
S8、S11 開信号
S9、S12 閉信号
S10 励起用信号
TB バースト期間
TR バースト休止期間
st 強励起期間
wk 弱励起期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と共に用いられるレーザ装置であって、
パルスレーザ光を出力するマスターオシレータと、
前記マスターオシレータに接続される第1の電源と、
前記マスターオシレータから出力される前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なくとも1つの増幅器と、
前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの第2の電源と、
前記マスターオシレータと前記少なくとも1つの増幅器との間の光路上に配置される少なくとも1つの光シャッタと、
前記外部装置からの信号に基づいて、前記レーザ装置を制御するレーザコントローラと、
を備えるレーザ装置。
【請求項2】
前記レーザコントローラは、前記マスターオシレータに前記パルスレーザ光を継続的に出力させつつ、前記少なくとも1つの光シャッタを開閉させることで、前記レーザ装置をバースト運転させる、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記レーザコントローラは、
バースト期間開始より所定時間前から該バースト期間終了までの第1の期間、前記少なくとも1つの第2の電源から前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧を第1の励起強度に制御し、
前記バースト期間終了から次のバースト期間開始より前記所定時間と実質的に同じ時間前までの第2の期間、前記少なくとも1つの第2の電源から前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧を、前記第1の励起強度よりも低い第2の励起強度に制御する、
請求項1記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記レーザコントローラは、前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源を制御する、請求項3記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記レーザコントローラは、前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源を制御する、請求項3記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記レーザコントローラは、
前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源を制御し、
前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源を制御する、
請求項3記載のレーザ装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか一項記載のレーザ装置と、
チャンバと、
前記チャンバに設けられるターゲット供給部と、
外部装置からの信号に基づいて、前記レーザ装置および前記ターゲット供給部を制御する極端紫外光生成制御システムと、
を備える、極端紫外光生成装置。
【請求項8】
外部装置と共に用いられ、マスターオシレータと、前記マスターオシレータに接続される第1の電源と、少なくとも1つの増幅器と、前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの第2の電源と、光シャッタと、レーザコントローラと、を備えるレーザ装置において、レーザ光の出力を制御する方法であって、
前記外部装置からバースト運転を制御するための信号を受信することと、
前記マスターオシレータから所定繰り返し周波数で継続的にパルスレーザ光を出力させることと、
前記信号に基づいて前記光シャッタを開閉させることと、
前記信号に基づいて前記少なくとも1つの増幅器の励起強度を制御することと、
を含む、方法。
【請求項9】
バースト期間開始より所定時間前から該バースト期間終了までの第1の期間、前記少なくとも1つの第2の電源から前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧が第1の励起強度に制御され、
前記バースト期間終了から次のバースト期間開始より前記所定時間と実質的に同じ時間前までの第2の期間、前記少なくとも1つの第2の電源から前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧が、前記第1の励起強度よりも低い第2の励起強度に制御される、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源が制御される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源が制御される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧のデューティ比よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源が制御され、
前記第2の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅が、前記第1の期間に前記少なくとも1つの増幅器に印加される高周波電圧の振幅よりも小さくなるように、前記少なくとも1つの第2の電源が制御される、
請求項9記載の方法。
【請求項13】
外部装置と共に用いられるレーザ装置であって、
パルスレーザ光を出力するマスターオシレータと、
前記マスターオシレータから出力される前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なる少なくとも1つの光シャッタと、
前記光シャッタを通過した前記パルスレーザ光の光路上に配置される少なくとも1つの増幅器と、
前記少なくとも1つの増幅器に高周波電圧を印加する少なくとも1つの高周波電源と、
前記高周波電源の印加電圧と、前記光シャッタの開閉とを同期して制御するレーザコントローラと、
を備えるレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図12】
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【図13】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−191171(P2012−191171A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277208(P2011−277208)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】