説明

ロボットの遠隔操作システム

【課題】連続的に作業指示を行うことができるロボットの遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】本発明のロボットの遠隔操作システム1(1000)は、第1の撮像手段110(410)と、作業指示手段120(420)と、ロボット200と、を備える。作業指示手段は、第1の撮像手段の位置情報、作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、作業対象物に対して実行させる作業指示情報をロボットに送信する。ロボットは、作業指示手段から受信した第1の撮像手段の位置情報に基づいて移動し、周辺情報取得手段250、260でロボットの周辺の情報を取得し、取得した周辺情報と作業指示手段から受信した画像情報との照合結果から作業対象物の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて作業対象物に近づき、作業指示手段から受信した作業指示情報に基づく作業を作業対象物に対して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からロボットを遠隔操作する技術が知られている。一般的には、ロボットが撮像部を備えており、当該撮像部で撮像したロボットの周辺の画像に基づいて、操作者がロボットを遠隔操作するものである(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−196300号公報
【特許文献2】特開2007−229837号公報
【特許文献3】特表2003−532218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2のロボットの遠隔操縦システムに作業を実行させる場合には、ロボットの撮像部で撮像した画像に基づいて、当該ロボットを遠隔操作するので、必ず作業する現場にロボットを移動させてから、作業指示することになる。そのため、一つの作業が終了するまでは、次の作業指示を行うことができない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、連続的に作業指示を行うことができるロボットの遠隔操作システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボットの遠隔操作システムは、第1の撮像手段と、作業指示手段と、ロボットと、を備え、前記作業指示手段は、前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置情報、前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、前記作業対象物に対して実行させる作業指示情報を前記ロボットに送信し、前記ロボットは、前記作業指示手段から受信した前記第1の撮像手段の位置情報に基づいて、前記第1の撮像手段が前記画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置に移動し、周辺情報取得手段で前記ロボットの周辺の情報を取得し、取得した周辺情報と前記作業指示手段から受信した前記画像情報との照合結果から前記作業対象物の位置情報を取得し、前記取得した位置情報に基づいて前記作業対象物に近づき、前記作業指示手段から受信した前記作業指示情報に基づく作業を前記作業対象物に対して実行することを特徴とする。これにより、作業指示手段を用いてロボットに作業指示するので、ロボットに対して連続的に作業指示を行うことができる。すなわち、従来の遠隔操作システムは、ロボットを作業対象物近傍に移動させてから、ロボットに対して作業指示するため、一つの作業が終了するまでは、次の作業指示を行うことができなかった。一方、当該遠隔操作システムは、作業指示手段を用いて、ロボットに予め作業対象物に関する情報及び作業対象物に実行させる作業指示情報を送信するので、ロボットに対して連続的に作業指示を行うことができる。しかも、ロボットの位置や姿勢に関係なく、ロボットに作業指示を行うことができる。そのため、作業時間を短縮することができる。
【0007】
前記作業指示手段は、表示手段と、前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置を推定する第1の位置推定手段と、前記作業対象物への作業指示情報の一覧を前記表示手段に表示させ、前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業の選択を促す選択手段と、操作者に操作され、前記表示手段に表示された前記作業指示情報の一覧から前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業を選択する操作部と、前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、前記第1の撮像手段の位置情報、前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業指示情報を、前記ロボットに送信する第1の通信手段と、を備え前記ロボットは、前記作業指示手段から前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、前記第1の撮像手段の位置情報、前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業指示情報を受信する第2の通信手段と、移動手段と、ロボットアームと、第1の位置検出手段と、前記第1の位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ロボットの位置を推定する第2の位置推定手段と、前記周辺情報取得手段である前記第2の撮像手段と、前記第2の撮像手段によって撮像された画像に、前記第2の撮像手段によって画像を撮像した際の前記第2の撮像手段の姿勢情報が付加された前記ロボットの周辺画像情報と前記作業指示手段から受信した前記画像情報とを照合して、前記ロボットに対して前記作業対象物が配置されている方向を特定する対象物方向推定手段と、同じく前記周辺情報取得手段である距離検出手段と、前記距離検出手段の検出信号に基づいて、前記作業対象物までの距離を推定する対象物距離推定手段と、前記ロボットの位置情報、前記作業対象物の配置されている方向情報及び前記作業対象物までの距離情報、前記作業指示手段から受信した前記第1の撮像手段の位置情報、前記作業指示情報に基づいて、前記移動手段及び前記ロボットアームを制御する制御手段と、を備えること、が好ましい。
【0008】
前記作業指示手段は、さらに前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の姿勢を推定する姿勢検出手段を備えること、が好ましい。これにより、ロボットの第2の撮像手段で当該ロボットの周辺の画像を撮像する際に、撮像領域が狭い範囲で済み、作業時間をより短縮することができる。
【0009】
前記作業指示手段は、さらに前記第1の撮像手段が撮像した画像から前記作業対象物を含む領域の抽出を促す抽出手段を備え、前記第1の通信手段は、操作者の前記操作部の操作に基づいて、前記画像から作業対象物を含む領域を抽出後の画像情報を、前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報として前記ロボットに送信すること、が好ましい。
【0010】
前記第1の撮像手段と前記作業指示手段とは一体的に構成された端末装置であり、前記端末装置は、第2の位置検出手段を備え、前記第1の位置推定手段は、前記第2の位置検出手段の検出情報に基づいて、前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置を推定すること、が好ましい。これにより、常に操作者視点で直感的にロボットに対して作業指示を行うことができる。
【0011】
前記作業指示手段は、予め位置情報が与えられた前記第1の撮像手段を遠隔操作して前記作業対象物が含まれるように画像を撮像すること、が好ましい。これにより、作業対象物の近傍に操作者が移動しなくても、第1の撮像手段を遠隔操作することで、簡単にロボットに作業指示することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明によると、連続的に作業指示を行うことができるロボットの遠隔操作システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るロボットの遠隔操作システムを模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態1のロボットの遠隔操作システムにおける、端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1のロボットの遠隔操作システムにおける、ロボットの構成を示すブロック図である。
【図4】操作者が作業対象物である絵を端末装置の撮像部で撮像する様子を示す図である。
【図5】撮像部で撮像された画像を示す図である。
【図6】撮像部で撮像された画像から作業対象物である絵を含む領域を抽出する様子を示す図である。
【図7】撮像部に表示された作業指示情報の一覧を示す図である。
【図8】端末装置から情報がロボットに送信される様子を示す図である。
【図9】ロボットが作業対象物である絵に近づく様子を示す図である。
【図10】本発明に係る実施の形態2のロボットの遠隔操作システムにおける、撮像部及び作業指示部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0015】
実施の形態1.
本実施の形態のロボットの遠隔操作システム(以下、単に遠隔操作システムと云う場合がある。)1は、図1に示すように、端末装置100からの遠隔操作に基づいて、ロボット200が作業対象物300に対して所定の作業を実行する。
【0016】
遠隔操作システム1は、端末装置100、ロボット200を備える。端末装置100は、図2に示すように、撮像部110、作業指示部120を備える。撮像部110は、通例の光電変換する撮像素子を有するカメラである。すなわち、撮像部110は、デジタル処理が可能な静止画又は動画を取得することができる撮像装置であれば良い。ここで、撮像部110は、取得した画像から特徴点を抽出し易いように、カラー画像を取得できる撮像素子を備えることが好ましい。但し、撮像部110は、モノクロ画像を取得できる撮像素子でも良い。
【0017】
作業指示部120は、記憶部1200、位置検出部1300、姿勢検出部1400、演算処理部1500、表示部1600、操作部1700、通信部1800を備える。すなわち、端末装置100は、一般的な携帯端末装置と略同様の構成とされている。
【0018】
記憶部1200には、指示プログラム1201、画像取得プログラム1202、画像情報1203、画像抽出プログラム1204、抽出画像情報1205、対象物サンプル情報1206、対象物判定プログラム1207、対象物情報1208、作業指示情報1209、作業指示情報選択プログラム1210、選択指示情報1211、自己位置推定プログラム1212、自己位置情報1213、自己姿勢推定プログラム1214、自己姿勢情報1215、通信制御プログラム1216等が格納される。
【0019】
指示プログラム1201は、ロボット200を遠隔操作するために、作業指示部120に実行させるプログラムである。指示プログラム1201が演算処理部1500上に読み出されて動作することによって、作業指示部120として動作する。
【0020】
画像取得プログラム1202は、演算処理部1500に撮像部110を制御させ、撮像部110に画像を撮像させるためのプログラムである。画像情報1203は、撮像部110が撮像した画像情報である。
【0021】
画像抽出プログラム1204は、演算処理部1500に撮像部110が撮像した画像を表示部1600に表示させ、表示された画像から操作者が操作部1700を操作することによって作業対象物300を特定するべく、当該作業対象物300を含む領域の抽出を促すためのプログラムである。抽出画像情報1205は、当該作業対象物300を含む領域を抽出後の画像情報である。
【0022】
対象物サンプル情報1206は、作業対象物のサンプル画像情報である。対象物サンプル情報1206は、例えば抽象的な円錐形、多角錐、円柱、多角柱などの画像情報であったり、具体的な物品の画像情報であったりする。対象物判定プログラム1207は、演算処理部1500に当該作業対象物300を含む領域を抽出後の画像情報と対象物サンプル情報1206とを照合させ、作業対象物300の形状又は物品や作業対象物300の姿勢を判定させるためのプログラムである。対象物情報1208は、判定された作業対象物300の形状又は物品や姿勢を示す情報である。
【0023】
作業指示情報1209は、ロボット200に作業対象物300に対して実行させる作業指示情報である。作業指示情報1209は、例えば作業対象物300を取る(把持する)作業指示情報、作業対象物300を移動させる作業指示情報、作業対象物300を捨てる作業指示情報、作業対象物300を収納する作業指示情報などである。作業指示情報選択プログラム1210は、演算処理部1500に作業指示情報1209の一覧を表示部1600に表示させ、表示された作業指示情報1209の一覧から操作者が操作部1700を操作することによって、実際にロボット200に実行させる作業指示情報の選択を促すためのプログラムである。選択指示情報1211は、作業指示情報1209の一覧から選択された一つの作業指示情報である。
【0024】
自己位置推定プログラム1212は、演算処理部1500に位置検出部1300を制御させ、当該位置検出部1300の検出情報に基づいて、撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の位置を推定させるためのプログラムである。自己位置情報1213は、推定した撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の位置情報である。
【0025】
自己姿勢推定プログラム1214は、演算処理部1500に姿勢検出部1400を制御させ、当該姿勢検出部1400の検出情報に基づいて、撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の姿勢や方向を推定させるためのプログラムである。自己姿勢情報1215は、推定した撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の姿勢や方向を示す情報である。
【0026】
通信制御プログラム1216は、演算処理部1500に通信部1800を制御させ、読み出した抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等をロボット200に送信する。
【0027】
位置検出部1300は、例えばGPS(Global Positioning System)などを備える。位置検出部1300は、読み出した自己位置推定プログラム1212に基づいて演算処理部1500に制御される。
【0028】
姿勢検出部1400は、例えば地磁気センサや加速度センサなどを備える。姿勢検出部1400は、読み出した自己姿勢推定プログラム1214に基づいて演算処理部1500に制御される。
【0029】
演算処理部1500は、画像取得部1501、抽出部1502、判定部1503、選択部1504、位置推定部1505、姿勢推定部1506、通信制御部1507等を備える。画像取得部1501は、読み出した画像取得プログラム1202に基づいて、撮像部110を制御し、当該撮像部110に画像を撮像させる。画像取得部1501は、撮像した画像を画像情報1203として記憶部1200に格納する。
【0030】
抽出部1502は、読み出した画像抽出プログラム1204に基づいて、撮像部110が撮像した画像から操作者に作業対象物300が含まれた領域の抽出を促すために、当該画像を表示部1600に表示する。そして、抽出部1502は、操作者が操作部1700を操作することによって、作業対象物300が含まれた領域を抽出すると、抽出画像情報1205として記憶部1200に格納する。
【0031】
判定部1503は、読み出した対象物判定プログラム1207に基づいて、抽出画像情報1205と対象物サンプル情報1206とを照合し、作業対象物300の形状又は物品や姿勢を判定する。すなわち、判定部1503は、抽出画像情報1205を二値化処理したり、エッジ検出したりして特徴点を抽出し、作業対象物300の輪郭を抽出する。そして、判定部1503は、対象物サンプル情報1206を変形させる前の特徴点又は対象物サンプル情報1206を変形(拡大、縮小、回転など)させた後の特徴点(以後、相互を含めて対象物サンプル情報の特徴点と云う)を抽出し、作業対象物300の輪郭と対象物サンプル情報の特徴点との一致度を検出する。この工程を対象物サンプル情報分だけ繰り返し、最も一致度が高かった対象物サンプル情報の形状又は物品や姿勢が作業対象物300の形状又は物品や姿勢であると判定する。判定部1503は、判定した作業対象物300の形状又は物品や姿勢を示す情報を対象物情報1208として記憶部1200に格納する。
【0032】
選択部1504は、読み出した作業指示情報選択プログラム1210に基づいて、作業指示情報1209の一覧から操作者に特定の作業指示情報の選択を促すために、当該作業指示情報1209の一覧を表示部1600に表示する。そして、選択部1504は、操作者が操作部1700を操作することによって、ロボット200に実行させる作業指示情報を選択すると、選択指示情報1211として記憶部1200に格納する。
【0033】
位置推定部1505は、読み出した自己位置推定プログラム1212に基づいて、位置検出部1300を制御し、当該位置検出部1300の検出情報に基づいて撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の位置を推定する。位置推定部1505は、例えば撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の緯度や経度を推定する。位置推定部1505は、推定した端末装置100の位置情報を自己位置情報1213として記憶部1200に格納する。
【0034】
姿勢推定部1506は、読み出した自己姿勢推定プログラム1214に基づいて、姿勢検出部1400を制御し、当該姿勢検出部1400の検出情報に基づいて撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の姿勢や方向を推定する。姿勢推定部1506は、例えば撮像部110が画像を撮像した際の端末装置100の傾斜角度や方位を推定する。姿勢推定部1506は、推定した端末装置100の姿勢や方向を示す情報(以下、単に姿勢情報と云う)を自己姿勢情報1215として記憶部1200に格納する。
【0035】
通信制御部1507は、読み出した通信制御プログラム1216に基づいて、通信部1800を制御し、当該通信部1800によって読み出した抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等をロボット200に送信させる。
【0036】
表示部1600は、画像情報1203や作業指示情報1209の一覧などを表示する画像表示装置である。表示部1600としては、一般的な画像表示装置を用いることができ、例えば液晶表示装置などを用いることができる。
【0037】
操作部1700は、一般的なキーボードやマウスなどでも良く、表示部1600と一体的となったタッチパネルでも良い。要するに、操作部1700は、表示部1600に表示された画像情報1203から作業対象物を含む領域を抽出したり、作業指示情報1209の一覧からロボット200に実行させる作業指示情報を選択したりすることができる構成であれば良い。
【0038】
通信部1800は、ロボット200に抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等をロボット200に送信する無線通信装置又は有線通信装置である。但し、端末装置100やロボット200の機動性を考慮して、通信部1800は無線通信装置であることが好ましい。
【0039】
ロボット200は、図3に示すように、記憶部210、移動部220、ロボットアーム230、位置検出部240、撮像部250、距離検出部260、演算処理部270、通信部280を備える。
【0040】
記憶部210は、自己位置推定プログラム2101、自己位置情報2102、周辺画像取得プログラム2103、周辺画像情報2104、対象物方向推定プログラム2105、対象物方向情報2106、対象物距離推定プログラム2107、対象物距離情報2108、動作制御プログラム2109、通信制御プログラム2110等が格納される。
【0041】
自己位置推定プログラム2101は、位置検出部240の検出情報に基づいて、演算処理部270にロボット200の現在の位置を推定させるためのプログラムである。自己位置情報2102は、推定したロボット200の位置情報である。
【0042】
周辺画像取得プログラム2103は、演算処理部270に撮像部250がロボット200の周辺の画像を撮像するように当該撮像部250を制御させるためのプログラムである。周辺画像情報2104は、撮像部250によってロボット200の周辺が撮像された画像情報である。周辺画像情報2104には、撮像部250が当該画像を撮像した際の方向及び高さを示す情報が付加されている。
【0043】
対象物方向推定プログラム2105は、演算処理部270に周辺画像情報2104と、端末装置100から送信された抽出画像情報1205と、を照合させ、ロボット200に対する作業対象物が配置されている方向や高さを推定させるためのプログラムである。対象物方向情報2106は、推定したロボット200に対する作業対象物が配置されている方向や高さを示す情報である。
【0044】
対象物距離推定プログラム2107は、距離検出部260の検出情報に基づいて、演算処理部270に作業対象物までの距離を推定させるためのプログラムである。対象物距離情報2108は、推定した作業対象物までの距離情報である。
【0045】
動作制御プログラム2109は、端末装置100から送信された対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等に基づいて、演算処理部270に移動部220やロボットアーム230を制御させるためのプログラムである。ここで、動作制御プログラム2109は、作業指示情報に対応するように作業対象物に対してロボットアーム230をどのようにアプローチさせるかを導出させるプログラムが含まれている。すなわち、例えばロボット200が作業対象物を取る作業指示の場合、動作制御プログラム2109は、作業対象物の形状、姿勢等に基づいて、ロボットアーム230で作業対象物をどのように把持させるかを演算処理部270に導出させる。また、例えばロボット200が作業対象物を捨てる作業指示の場合、動作制御プログラム2109は、上述のようにロボットアーム230で作業対象物を把持させた状態から、当該作業対象物をゴミ箱内にどのように捨てさせるのかを演算処理部270に導出させる。さらに、例えばロボット200が作業対象物を収納させる作業指示の場合、動作制御プログラム2109は、上述のようにロボットアーム230で作業対象物を把持させた状態から、どのようにロボットアーム230で収納棚の扉を開けさせ又は引き出しを引き出させ、収納棚の内部に作業対象物を収納させ、さらに収納棚の扉を閉めさせ又は引き出しを押込ませるかを演算処理部270に導出させる。加えて動作制御プログラム2109は、距離検出部260等の検出信号に基づいて、演算処理部270に導出させたロボット200の移動ルート上に人や障害物が存在する場合、人や障害物を避けるように当該移動ルートを再度導出させる。
【0046】
移動部220は、ロボット200の移動機構である。移動部220は、ロボット200が歩行ロボットの場合は脚部、当該脚部の関節を駆動させる電動モータ、当該電動モータの回転トルクを増幅させる減速ギア等を備える。一方、移動部220は、ロボット200が駆動輪によって移動するロボットの場合は車輪、当該車輪を回転駆動させる電動モータ、当該電動モータの回転トルクを増幅させる減速ギア等を備える。
【0047】
ロボットアーム230は、多関節ロボットアームである。すなわち、ロボットアーム230は、端末装置100の記憶部1200に格納されている各種の作業指示を実行可能な可動範囲を有する。ロボットアーム230は、ロボットハンドを有する腕部、当該腕部等の関節を駆動させる電動モータ、当該電動モータの回転トルクを増幅させる減速ギア等を備える。
【0048】
位置検出部240は、例えばGPSなどを備える。位置検出部240は、読み出した自己位置推定プログラム2101に基づいて演算処理部270に制御される。
【0049】
撮像部250は、通例の光電変換する撮像素子を有するカメラである。すなわち、撮像部250は、デジタル処理が可能な静止画又は動画を取得することができる撮像装置であれば良い。ここで、撮像部250は、取得した画像から特徴点を抽出し易いように、カラー画像を取得できる撮像素子を備えることが好ましい。但し、撮像部250は、モノクロ画像を取得できる撮像素子でも良く、詳細は後述するが、抽出画像情報1205と照合できる程度の画像を撮像できれば良い。この撮像部250は、ロボット200の周辺の画像を撮像することができるように、上下左右に回動可能な構成とされている。撮像部250は、読み出した周辺画像取得プログラム2103に基づいて演算処理部270に制御される。
【0050】
距離検出部260は、例えば作業対象物までの距離等を検出することができる測距センサを備える。この距離検出部260は、上下左右に回動可能な構成とされている。距離検出部260は、読み出した対象物距離推定プログラム2107に基づいて演算処理部270に制御される。但し、本実施の形態では、作業対象物までの距離を検出するために距離検出部260を備えているが、上述の撮像部250が例えばステレオカメラ等の場合、画像情報から距離を検出することができるので、省略しても良い。
【0051】
演算処理部270は、自己位置推定部2701、周辺画像取得部2702、対象物方向推定部2703、対象物距離推定部2704、動作制御部2705、通信制御部2706を備える。自己位置推定部2701は、読み出した自己位置推定プログラム2101に基づいて、位置検出部240を制御し、当該位置検出部240の検出情報に基づいてロボット200の位置を推定する。自己位置推定部2701は、例えばロボット200の現在の緯度や経度を推定する。自己位置推定部2701は、推定したロボット200の位置情報を自己位置情報2102として記憶部210に格納する。
【0052】
周辺画像取得部2702は、読み出した周辺画像取得プログラム2103に基づいて、撮像部250を制御し、当該撮像部250によってロボット200の周辺の画像を撮像させる。すなわち、周辺画像取得部2702は、撮像部250を上下左右に振りながら当該撮像部250がロボット200の周辺の画像を複数撮像するように制御し、各々の画像情報に当該画像を撮像した際の撮像部250の姿勢情報、即ち撮像部250が向いた方向情報を付加して、周辺画像情報2104として記憶部210に格納する。
【0053】
対象物方向推定部2703は、読み出した対象物方向推定プログラム2105に基づいて、周辺画像情報2104と、端末装置100から送信された抽出画像情報1205と、を照合させ、ロボット200に対する作業対象物が配置されている方向や高さを推定する。すなわち、対象物方向推定部2703は、周辺画像情報2104を二値化処理したり、エッジ検出したりして特徴点を抽出する。そして、対象物方向推定部2703は、端末装置100から送信された抽出画像情報1205も二値化処理したり、エッジ検出したりして特徴点を抽出する。さらに対象物方向推定部2703は、特徴点が抽出された画像情報相互を照合して、端末装置100から送信された抽出画像情報1205が、周辺画像情報2104の何れの画像情報に含まれているかを特定する。対象物方向推定部2703は、端末装置100から送信された抽出画像情報1205が、周辺画像情報2104の何れの画像情報に含まれているかを特定すると、当該画像情報に付加されている方向情報を作業対象物が配置されている方向や高さであると推定し、当該方向や高さを示す情報を対象物方向情報2106として記憶部210に格納する。
【0054】
対象物距離推定部2704は、読み出した対象物距離推定プログラム2107に基づいて、距離検出部260を制御し、当該距離検出部260の検出情報に基づいて、作業対象物までの距離を推定する。対象物距離推定部2704は、推定した作業対象物までの距離を対象物距離情報2108として記憶部210に格納する。
【0055】
動作制御部2705は、読み出した動作制御プログラム2109に基づいて、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215、対象物方向情報2106、対象物距離情報2108等に基づいて、移動部220やロボットアーム230を制御する。また、動作制御部2705は、読み出した動作制御プログラム2109及び距離検出部260の検出信号に基づいて、移動部220やロボットアーム230を制御する。
【0056】
通信制御部2706は、読み出した通信制御プログラム2110に基づいて、通信部280を制御し、端末装置100の通信部1800から送信される抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等を当該通信部280によって受信させる。
【0057】
通信部280は、端末装置100の通信部1800との情報の伝達を実現するように通信制御部2706に制御される。通信部280は、端末装置100の通信部1800から抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等を受信する。
【0058】
このような構成の遠隔操作システム1は、具体的に以下のように動作する。以下の例では、ロボット200に絵を取る動作を実行させる。
先ず、操作者が端末装置100の操作部1700を操作して指示プログラム1201を起動させる。その状態で、操作者は、図4及び5に示すように、作業対象物である絵300の近傍に立ち、端末装置100の操作部1700を操作して撮像部110によって、絵300が含まれるように画像を撮像する。すなわち、操作者の操作部1700の操作により、操作部1700から画像を撮像する指示情報が演算処理部1500に入力される。演算処理部1500の画像取得部1501は、読み出した画像取得プログラム1202に基づいて、撮像部110を制御し、絵300が含まれるように撮像された画像情報を画像情報1203として記憶部1200に格納する。同時に、演算処理部1500の位置推定部1505は、読み出した自己位置推定プログラム1212に基づいて、位置検出部1300を制御し、位置検出部1300が検出した端末装置100の緯度、経度、即ち端末装置100の位置情報を自己位置情報1213として記憶部1200に格納する。また、演算処理部1500の姿勢推定部1506は、読み出した自己姿勢推定プログラム1214に基づいて、姿勢検出部1400を制御し、姿勢検出部1400が検出した端末装置100の傾斜角度や方位、即ち端末装置100の姿勢情報を自己姿勢情報1215として記憶部1200に格納する。これにより、操作者が絵300を撮像した際の端末装置100、しいては撮像部110の位置、姿勢等が判明する。
【0059】
次に、演算処理部1500の抽出部1502は、読み出した画像抽出プログラム1204に基づいて、読み出した画像情報1203を表示部1600に表示する。そして、操作者は、操作部1700を操作することで、表示された画像情報から作業対象物である絵300を特定する。例えば、操作部1700がタッチパネルで構成され、表示部1600と一体的に構成されている場合、操作者は、図6に示すように、操作部1700の一部を成すタッチペン1701を、絵300を囲むように表示部1600と接触させる。これにより、当該抽出部1502は、抽出した範囲情報を画像情報1203に付加して、抽出画像情報1205として記憶部1200に格納する。但し、抽出部1502は、抽出した絵300を含む領域のみの画像情報を、抽出画像情報1205として記憶部1200に格納しても良い。
【0060】
次に、演算処理部1500の判定部1503は、読み出した対象物判定プログラム1207に基づいて、抽出画像情報1205と対象物サンプル情報1206とを照合し、作業対象物の形状又は物品や姿勢を判定する。すなわち、判定部1503は、抽出画像情報1205を二値化処理したり、エッジ検出したりして特徴点を抽出する。これにより、絵300の額縁の形状や内部の絵画の色が変化する場所等が現れる。そして、判定部1503は、対象物サンプル情報1206の特徴点を抽出し、相互の一致度を検出する。この工程を対象物サンプル情報分だけ繰り返し、最も一致度が高かった対象物サンプル情報の形状又は物品や姿勢が作業対象物の形状又は物品や姿勢であると判定する。本実施の形態では、具体的な物品である絵の対象物サンプル情報又は抽象的な形状である四角柱を変形させた後の対象物サンプル情報が最も一致度が高くなる。これにより、判定部1503は、作業対象物が絵又は輪郭が薄い四角柱形状であって、且つ直立な状態であると判定し、対象物情報1208として記憶部1200に格納する。
【0061】
次に、演算処理部1500の選択部1504は、読み出した作業指示情報選択プログラム1210に基づいて、作業指示情報1209の一覧から操作者に、ロボット200に実行させる作業指示情報の選択を促すために、図7に示すように、当該作業指示情報1209の一覧を表示部1600に表示する。例えば、選択部1504は、作業指示情報1209の一覧をボタンオブジェクトとして表示部1600に表示する。選択部1504は、操作者がタッチペン1701によって、ロボット200に実行させる作業指示情報が示されたボタンオブジェクトを選択すると、選択した作業指示情報を選択指示情報1211として記憶部1200に格納する。
【0062】
次に、演算処理部1500の通信制御部1507は、図8に示すように、読み出した通信制御プログラム1216に基づいて通信部1800を制御し、読み出した抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等をロボット200に送信する。
【0063】
次に、ロボット200における演算処理部270の通信制御部2706は、読み出した通信制御プログラム2110に基づいて通信部280を制御し、端末装置100の通信部1800から抽出画像情報1205、対象物情報1208、選択指示情報1211、自己位置情報1213、自己姿勢情報1215等を受信する。
【0064】
次に、演算処理部270の動作制御部2705は、読み出した動作制御プログラム2109、及び受信した自己位置情報1213、自己姿勢情報1215に基づいて、撮像部110が画像を撮像した位置に移動するように、移動部220を制御する。このとき、演算処理部270の自己位置推定部2701は、読み出した自己位置推定プログラム2101に基づいて、ロボット200自身の緯度、経度、即ちロボット200の位置情報を自己位置情報2102として記憶部210に格納する。そして、動作制御部2705は、当該自己位置情報2102を参照しつつ、ロボット200が端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の位置に移動するように、移動部220を制御する。つまり、動作制御部2705は、ロボット200が端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の位置に移動するように移動ルートを導出し、当該移動ルートに沿ってロボット200を移動させる。このとき、動作制御部2705は、距離検出部260等の検出信号に基づいて、移動ルート上に人や障害物が存在するか否かを判定し、移動ルート上に人や障害物が存在すると、移動ルートを再度導出し、導出し直した移動ルートに沿ってロボット200を移動させる。そして、ロボット200が端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の位置に移動を完了すると、動作制御部2705は、ロボット200が端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の方位に向くように移動部220を制御する。
【0065】
次に、演算処理部1500の周辺画像取得部2702は、読み出した周辺画像取得プログラム2103及び受信した自己姿勢情報1215に基づいて、ロボット200の周辺画像を撮像するように、撮像部250を制御する。すなわち、周辺画像取得部2702は、ロボット200が端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の方位に向いた状態で、やはり端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の傾斜角度方向に撮像部250が向くように当該撮像部250を制御する。その状態から周辺画像取得部2702は、撮像部250を上下左右に振りながらロボット200の周辺の画像を複数撮像するように当該撮像部250を制御し、各々の画像情報に当該画像を撮像した際の撮像部250が向いた方向や高さを示す情報を付加して、周辺画像情報2104として記憶部210に格納する。
【0066】
次に、演算処理部1500の対象物方向推定部2703は、読み出した対象物方向推定プログラム2105に基づいて、抽出画像情報1205と周辺画像情報2104とを照合させ、ロボット200に対する絵300が配置されている方向や高さを推定する。すなわち、対象物方向推定部2703は、抽出画像情報1205を二値化処理したり、エッジ検出したりして特徴点を抽出する。そして、対象物方向推定部2703は、周辺画像情報2104も二値化処理したり、エッジ検出したりして特徴点を抽出する。さらに対象物方向推定部2703は、特徴点が抽出された画像情報相互を照合して、抽出画像情報1205が、何れの周辺画像情報2104に含まれているかを特定する。対象物方向推定部2703は、抽出画像情報1205が、何れの周辺画像情報2104に含まれているかを特定すると、当該周辺画像情報2104に付加されている方向や高さを示す情報を絵300が配置されている方向や高さであると推定し、当該方向や高さを示す情報を対象物方向情報2106として記憶部210に格納する。
【0067】
次に、演算処理部1500の対象物距離推定部2704は、読み出した対象物距離推定プログラム2107及び対象物方向情報2106に基づいて、距離検出部260を制御し、当該距離検出部260の検出情報に基づいて、絵300までの距離を推定する。すなわち、対象物距離推定部2704は、対象物方向情報2106に基づいて、絵300が配置されていると推定した方向や高さに距離検出部260が向くように当該距離検出部260を制御し、距離検出部260の検出情報に基づいて、絵300までの距離を推定する。距離推定部260は、推定した絵300までの距離を対象物距離情報2108として記憶部210に格納する。
【0068】
次に、演算処理部1500の動作制御部2705は、読み出した動作制御プログラム2109、及び対象物方向情報2106、対象物距離情報2108に基づいて、移動部220を制御する。これにより、ロボット200は、図9に示すように絵300の近傍に移動することになる。
【0069】
続いて演算処理部1500の動作制御部2705は、読み出した動作制御プログラム2109、及び受信した対象物情報1208、選択指示情報1211に基づいて、移動部220及びロボットアーム230を制御する。例えば絵300を取る作業指示情報を選択している場合、動作制御部2705は、対象物情報1208に基づいて、作業対象物である絵300の形状や姿勢を判断し、当該絵300に対してロボットアーム230をどのようにアプローチして把持するかを導出する。そして、動作制御部2705は、当該導出結果や距離検出部260の検出情報等に基づいて、ロボットアーム230を制御する。
【0070】
このような遠隔操作システム1は、端末装置100を用いてロボット200に作業指示するので、ロボット200に対して連続的に作業指示を行うことができる。すなわち、従来の遠隔操作システムは、ロボットを作業対象物近傍に移動させてから、ロボットに対して作業指示するため、一つの作業が終了するまでは、次の作業指示を行うことができなかった。一方、当該遠隔操作システム1は、端末装置100を用いて、ロボット200に予め作業対象物に関する情報及び作業対象物に実行させる作業指示情報を送信するので、端末装置100のみを操作者が持ち歩くことで、ロボット200に対して連続的に作業指示を行うことができる。しかも、ロボット200の位置や姿勢に関係なく、ロボット200に作業指示を行うことができる。そのため、作業時間を短縮することができる。
【0071】
また、当該遠隔操作システム1は、作業対象物を操作者が端末装置100が備える撮像部110で撮像するので、常に操作者視点で直感的にロボット200に対して作業指示を行うことができる。
【0072】
さらに本実施の形態では、端末装置100の撮像部110で画像を撮像した際の当該撮像部110の姿勢情報を取得しているので、ロボット200の撮像部250で当該ロボット200の周辺の画像を撮像する際に、撮像領域が狭い範囲で済み、作業時間をより短縮することができる。但し、遠隔操作システムは、撮像部110の姿勢情報を取得しない構成でも実施でき、その場合はロボット200の撮像部250で当該ロボット200の周辺の画像を撮像する際に、広い範囲で画像を撮像すれば良い。
【0073】
ちなみに、ロボット200が作業対象物300を移動させたり、捨てたり、収納したり、即ちロボット200が作業対象物300を把持した状態で移動先に移動する場合は、端末装置100の撮像部110で先ず作業対象物300を撮像し、その後、例えば作業対象物300を単に移動させる場合は移動先であるテーブル、又は作業対象物300を捨てる場合は移動先であるゴミ箱、又は作業対象物300を収納する場合は移動先である収納棚を撮像する。この場合、撮像した画像は共に、上述したように演算処理部1500に処理され、ロボット200に送信される。そのため、端末装置100を用いてロボット200に連続して作業指示した場合、ロボット200が連続して受信する抽出画像情報1205が、それぞれ個別の作業対象物を示す画像情報なのか、それとも先行する抽出画像情報1205が作業対象物を示す画像情報であって、後続する抽出画像情報1205が当該作業対象物の移動先の物品を示す画像情報であるのかが演算処理部270は判断できない。そのため、ロボット200は、作業対象物を移動させたり、捨てたり、収納したりする選択指示情報1211、すなわち必ず作業対象物の移動先がある選択指示情報1211を端末装置100から受信すると、連続して受信した抽出画像情報1205のうち、先行する抽出画像情報1205が作業対象物を示す画像情報であって、後続する抽出画像情報1205が当該作業対象物の移動先の物品を示す画像情報であると演算処理部270は判断する。
【0074】
このように判断することで、先ずロボット200が作業対象物をロボットアーム230で把持するまでは、上述した工程と同様に実施することができる。そして、上述した工程において、ロボット200がロボットアーム230で作業対象物を把持した状態であること、及び作業対象物が当該作業対象物の移動先の物品に変わること、選択された作業指示情報が作業対象物を取るから作業対象物を移動させたり、捨てたり、収納したりする作業指示に変わることを除いては、上述した工程と同様の工程でロボット200にロボットアーム230で把持した作業対象物を移動させたり、捨てさせたり、収納させたりすることができる。これにより、遠隔操作システム1は、単にロボット200に作業対象物を把持させるだけでなく、当該作業対象物を移動させたり、捨てさせたり、収納させたりすることができる。
【0075】
実施の形態2.
本実施の形態の遠隔操作システム1000は、図10に示すように、撮像部410と作業指示部420とが別の構成とされている。ちなみに、図10に示す遠隔操作システム1000は、ロボット200の構成は同様であるため、図示を省略している。
【0076】
この場合、操作者は、撮像部410から離れた場所から作業指示部420で当該撮像部410を遠隔操作する。すなわち、本実施の形態の撮像部410は、室内や屋外に複数設置されている。各々の撮像部410には、識別情報が付与されており、遠隔操作する作業指示部420は各々の識別情報から位置情報を取得する。撮像部410は、当該撮像部410が画像を撮像した際の方向を検出する方向検出部4110を備える。方向検出部4110は、例えば撮像部410がパンチルト機構であって、該機構に回転角センサ等を備える。さらに撮像部410は、撮像した画像を作業指示部420に送信したり、作業指示部420からの制御信号を受信したりする通信部4120を備える。
【0077】
作業指示部420としては、一般的なコンピュータを用いることができる。本実施の形態の作業指示部420は、撮像部410が別の構成とされているため、作業指示部420の自己位置を推定したり、作業指示部420の自己姿勢を推定したりする必要がないので、これらに関連する要素は省略されている。それに変わり、作業指示部420は、撮像部410を遠隔操作したり、作業対象物を含む画像を撮像した撮像部410の位置情報や方向情報を取得したりする要素を備える。
【0078】
すなわち、作業指示部420は、作業対象物を撮像する際には、作業対象物に最も近い撮像部410を選択して制御し、当該撮像部410で作業対象物を撮像する。具体的に云うと、記憶部1200には、複数の撮像部410の識別情報や当該識別情報に対応する位置情報等を示す撮像部情報1217が格納されている。演算処理部1500の画像取得部1501は、読み出した画像取得プログラム1202及び撮像部情報1217に基づいて、先ず撮像部410の一覧を表示部1600に表示させ、操作者に操作部1700を介して一つの撮像部410の選択を促す。そして、操作者が操作部1700を操作して撮像部410を選択すると、画像取得部1501は当該撮像部410に現在写っている画像を表示部1600に表示させ、操作者に操作部1700を介して撮像部410の上下左右への駆動を促す。操作者が操作部1700を操作して作業対象物を含む画像を撮像することができるように撮像部410を駆動させ、当該撮像部410で作業対象物を含む画像を撮像させると、画像取得部1501は、撮像した作業対象物を含む画像を画像情報1203として記憶部1200に格納する。それと共に、画像取得部1501は、選択した撮像部310の識別情報から位置情報を取得し、当該位置情報を撮像部位置情報1218として記憶部1200に格納する。さらに画像取得部1501は、撮像部410の方向検出部4110の検出信号に基づいて、撮像部410が作業対象物を含む画像を撮像した際の当該撮像部410が向いた方向を推定し、当該方向情報を撮像部方向情報1219として記憶部1200に格納する。これらの撮像部位置情報1218を自己位置情報1213として用い、さらに撮像部方向情報1219を自己姿勢情報1215として用いることで、遠隔操作システム1000は実施の形態1の工程と同様に動作する。
【0079】
このような遠隔操作システム1000は、作業対象物の近傍に操作者が移動しなくても、撮像部410を遠隔操作することで、簡単にロボット200に作業指示することができる。そのため、遠隔操作システム1000は、例えば工場などで好適に用いることができる。
【0080】
以上、本発明に係る遠隔操作システムの実施の形態を説明したが、上記の構成に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、変更することが可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、作業指示部1500(420)が判定部1503を備える構成とされているが、この限りでない。すなわち、判定部1503は、ロボット200が備えても良く、さらに別途、用意されたサーバ等が備えても良い。この場合、作業指示部1500(420)の演算負担を低減し、メモリ使用量も低減することができる。
【0082】
例えば、上記実施の形態では、画像情報1203から作業対象物を含む領域を抽出しているが、画像情報1203が作業対象物のみが撮像されている画像の場合は、当該画像情報1203をロボット200に送信しても良い。つまり、本発明で云う作業対象物が含まれるように撮像された画像情報とは、画像情報1203及び抽出画像情報1205の両方を示す。
【0083】
例えば、上記実施の形態では、作業対象物を取る作業指示と、作業対象物を移動させる作業指示と、作業対象物を捨てる作業指示と、作業対象物を収納する作業指示とが作業指示情報として記憶部1200に格納されているが、作業指示はこれらに限定されない。
【0084】
例えば、上記実施の形態では、特に言及していないがロボット200はグローバル座標系の地図情報を備えていることが好ましく、この場合、作業対象物を隣の部屋へ移動させる場合に簡単にロボット200を制御することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 ロボットの遠隔操作システム
100 端末装置
110 撮像部
120 作業指示部
200 ロボット
210 記憶部、2101 自己位置推定プログラム、2102 自己位置情報、2103 周辺画像取得プログラム、2104 周辺画像情報、2105 対象物方向推定プログラム、2106 対象物方向情報、2107 対象物距離推定プログラム、2108 対象物距離情報、2109 動作制御プログラム、2110 通信制御プログラム
220 移動部
230 ロボットアーム
240 位置検出部
250 撮像部
260 距離検出部
270 演算処理部、2701 自己位置推定部、2702 周辺画像取得部、2703 対象物方向推定部、2704 対象物距離推定部、2705 動作制御部、2706 通信制御部
280 通信部
300 作業対象物(絵)
410 撮像部
420 作業指示部
1000 遠隔操作システム
1200 記憶部、1201 指示プログラム、1202 画像取得プログラム、1203 画像情報、1204 画像抽出プログラム、1205 抽出画像情報、1206 対象物サンプル情報、1207 対象物判定プログラム、1208 対象物情報、1209 作業指示情報、1210 作業指示情報選択プログラム、1211 選択指示情報、1212 自己位置推定プログラム、1213 自己位置情報、1214 自己姿勢推定プログラム、1215 自己姿勢情報、1216 通信制御プログラム、1217 撮像部情報、1218 撮像部位置情報、1219 撮像部方向情報
1300 位置検出部
1400 姿勢検出部
1500 演算処理部、1501 画像取得部、1502 抽出部、1503 判定部、1504 選択部、1505 位置推定部、1506 姿勢推定部、1507 通信制御部
1600 表示部
1700 操作部、1701 タッチペン
1800 通信部
4110 方向検出部
4120 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像手段と、作業指示手段と、ロボットと、を備え、
前記作業指示手段は、前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置情報、前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、前記作業対象物に対して実行させる作業指示情報を前記ロボットに送信し、
前記ロボットは、前記作業指示手段から受信した前記第1の撮像手段の位置情報に基づいて、前記第1の撮像手段が前記画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置に移動し、周辺情報取得手段で前記ロボットの周辺の情報を取得し、取得した周辺情報と前記作業指示手段から受信した前記画像情報との照合結果から前記作業対象物の位置情報を取得し、前記取得した位置情報に基づいて前記作業対象物に近づき、前記作業指示手段から受信した前記作業指示情報に基づく作業を前記作業対象物に対して実行することを特徴とするロボットの遠隔操作システム。
【請求項2】
前記作業指示手段は、
表示手段と、
前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置を推定する第1の位置推定手段と、
前記作業対象物への作業指示情報の一覧を前記表示手段に表示させ、前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業の選択を促す選択手段と、
操作者に操作され、前記表示手段に表示された前記作業指示情報の一覧から前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業を選択する操作部と、
前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、前記第1の撮像手段の位置情報、前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業指示情報を、前記ロボットに送信する第1の通信手段と、を備え
前記ロボットは、
前記作業指示手段から前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報、前記第1の撮像手段の位置情報、前記ロボットに前記作業対象物に対して実行させる作業指示情報を受信する第2の通信手段と、
移動手段と、
ロボットアームと、
第1の位置検出手段と、
前記第1の位置検出手段の検出情報に基づいて、前記ロボットの位置を推定する第2の位置推定手段と、
前記周辺情報取得手段である前記第2の撮像手段と、
前記第2の撮像手段によって撮像された画像に、前記第2の撮像手段によって画像を撮像した際の前記第2の撮像手段の姿勢情報が付加された前記ロボットの周辺画像情報と前記作業指示手段から受信した前記画像情報とを照合して、前記ロボットに対して前記作業対象物が配置されている方向を特定する対象物方向推定手段と、
同じく前記周辺情報取得手段である距離検出手段と、
前記距離検出手段の検出信号に基づいて、前記作業対象物までの距離を推定する対象物距離推定手段と、
前記ロボットの位置情報、前記作業対象物の配置されている方向情報及び前記作業対象物までの距離情報、前記作業指示手段から受信した前記第1の撮像手段の位置情報、前記作業指示情報に基づいて、前記移動手段及び前記ロボットアームを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項3】
前記作業指示手段は、さらに前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の姿勢を推定する姿勢検出手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項4】
前記作業指示手段は、さらに前記第1の撮像手段が撮像した画像から前記作業対象物を含む領域の抽出を促す抽出手段を備え、
前記第1の通信手段は、操作者の前記操作部の操作に基づいて、前記画像から作業対象物を含む領域を抽出後の画像情報を、前記作業対象物が含まれるように撮像された画像情報として前記ロボットに送信することを特徴とする請求項2又は3に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項5】
前記第1の撮像手段と前記作業指示手段とは一体的に構成された端末装置であり、
前記端末装置は、第2の位置検出手段を備え、前記第1の位置推定手段は、前記第2の位置検出手段の検出情報に基づいて、前記第1の撮像手段によって前記作業対象物が含まれるように画像を撮像した際の前記第1の撮像手段の位置を推定することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項6】
前記作業指示手段は、予め位置情報が与えられた前記第1の撮像手段を遠隔操作して前記作業対象物が含まれるように画像を撮像することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のロボットの遠隔操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−212764(P2011−212764A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80960(P2010−80960)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】