説明

ロータリフィーダ及び石炭ガス化装置

【課題】粉粒体の付着・堆積を防止または抑制したロータリフィーダを提供すること。
【解決手段】ハウジング51内で回転するロータ52が粉粒体を送出するロータリフィーダ5において、ハウジング51の粉粒体出口側で、かつ、ロータ52の翼体54が粉粒体出口の通過を完了する位置の近傍に、翼体54に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズル60を設置し、該噴射ノズル60に翼体54の回転方向裏面側表面54aへ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリフィーダ及び石炭ガス化装置に係り、特に、石炭ガス化複合発電設備のガスタービン燃料を石炭から精製する石炭ガス化装置において、石炭ガス化ガスに含まれるチャーを回収する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、石炭をガス化して得られる石炭ガス化ガス(以下、「石炭ガス」と呼ぶ)を燃料としてガスタービンを運転するとともに、ガスタービンの排ガスから排熱を回収して得られた蒸気で蒸気タービンを運転して、ガスタービン及び蒸気タービンにより発電機を駆動して発電する石炭ガス化複合発電設備(IGCC)が知られている。
このような石炭ガス化複合発電設備の石炭ガス化装置においては、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスを生成ガス冷却器で所望の温度に冷却した後、石炭ガス中に含まれているチャー(未燃分)を除去して回収する必要がある。
【0003】
ここで、図4に基づいて、石炭ガス化複合発電設備の石炭ガス化装置に適用される従来のチャー回収システムを説明する。
図示のチャー回収システム1において、チャーを含む石炭ガスは、所望の温度に冷却された後、サイクロン2に導入されて比較的粗い粒径のチャー(粗粒子)が遠心分離により除去され、下方のチャービン3に落下してチャーホッパーに回収される。一方、粗粒子が分離・除去された石炭ガスは、サイクロン上部に開口するガス出口2aからポーラスフィルタ装置4に導かれ、サイクロン2で遠心分離されることなく残ったチャー(微粒子)がポーラスフィルタ4aに捕獲される。この微粒子は、粗粒子と同様に下方のチャービン3に落下してチャーホッパーに回収される。
一方、粗粒子及び微粒子のチャーを除去された石炭ガスは、ポーラスフィルタ装置4の上部からガス精製装置へ供給されてガスタービン燃料に精製される。
【0004】
このように、サイクロン2及びポーラスフィルタ装置4から回収した粗粒子及び微粒子のチャーは、いずれもチャービン3からチャーホッパーに回収して貯められるが、サイクロン差圧の低減によるチャービン3からポーラスフィルタ装置4へ向けた逆流を防止するため、ポーラスフィルタ装置4の下部にはロータリーフィーダ5が設置されている。
また、図中の符号6は、ポーラスフィルタ装置4内のチャー堆積量検出手段として設けた温度計測装置であり、チャーの堆積量増加と温度上昇との関係を利用して堆積量を検出している。
【0005】
このようなロータリーフィーダは、たとえば粒状物を供給口から排出口へ定量的に供給して袋詰め等の他の工程を円滑に進めるなど、従来より使用されている。
また、ロータリーフィーダにおいては、ロータの羽根先端部とロータ室(ハウジング)の内周壁面との間に設けた隙間に粉粒体が侵入していわゆる噛み込みを生じるので、ロータのスムーズな回転が妨げられるという問題が指摘されており、このような問題を解決するため、羽根先端部の吹出ノズルから内周壁面に向けてエアーを噴出させ、エアーカーテンを形成することが提案されている。(たとえば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−253544号公報(第2−5頁、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した石炭ガス化装置のチャー回収システム1では、ロータリーフィーダ5により排出される微粒子のチャーは、チャービン3側から逆圧を受けるため、長期間の使用によりロータ52の翼体表面でチャーが圧密されて付着量を増加させる原因となる。ここで作用する逆圧は、サイクロン差圧にサイクロン側とポーラスフィルタ装置側との粉体ヘッド差を加えたものである。
また、石炭ガス化の際に液状のタールが発生し、このタールが石炭ガス中のチャーに含まれる場合には、粘着性の強いタールがロータ52の翼体表面に付着して残るため、微粒子のチャーが翼体表面に付着する速度は加速される。
【0007】
上述したチャーの付着は、ロータ52の翼体間に形成される移送室55の容積を小さくし、ロータリーフィーダ5からチャービン3へのチャー排出量を減少させる原因となるので、ポーラスフィルタ装置4におけるチャー回収量がチャー排出量を上回った場合には、ポーラスフィルタ装置4の下部にチャーが堆積することとなる。従って、温度計測装置6で検出したチャー堆積量が許容値を超えると石炭ガス化装置の運転継続が困難になり、最終的には運転停止を余儀なくされる。
また、ロータリーフィーダ5を復旧させて石炭ガス化装置の運転を再開するためには、ロータリーフィーダ5を開放して清掃により付着物を除去し、移送室55の容積を元に戻すメンテナンス作業が必要となる。しかし、特にタールが付着している場合には、粘着性が強いため清掃による物理的な除去作業は困難なものとなる。
【0008】
このように、従来の石炭ガス化装置においては、チャー回収システムのロータリーフィーダ等において、チャーの付着・堆積を防止または抑制して運転継続時間を延長することが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チャー回収システムのロータリーフィーダ等におけるチャーの付着・堆積を防止または抑制した石炭ガス化装置を提供することにある。また、本発明の目的は、石炭ガス化装置で回収するチャーのような粉粒体の付着・堆積を防止または抑制たロータリフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明のロータリフィーダは、ハウジング内で回転するロータが粉粒体を送出するロータリフィーダにおいて、
前記ハウジングの粉粒体出口側で、かつ、前記ロータの翼体が前記粉粒体出口の通過を完了する位置の近傍に、前記翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、該噴射ノズルに前記翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のロータリフィーダによれば、ハウジングの粉粒体出口側で、かつ、ロータの翼体が粉粒体出口の通過を完了する位置の近傍に、翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、該噴射ノズルに前記翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させるので、高圧ガスの噴射圧力で翼体の回転方向裏側表面に付着した粉粒体を払い落とし、粉粒体出口から落下させることができる。すなわち、翼体の回転方向裏面側表面は、回転するロータの翼体間に形成される移動室とともに回転移動してきた粉粒体が粉粒体出口から落下した後に粉粒体出口上で露出するので、露出した翼体表面が粉粒体出口上にあるタイミングで高圧ガスを噴き付ければ、翼体表面の粉粒体付着部に対し直接高圧ガスを噴射し、少ない噴射量で効率よく払い落とすことができる。
この場合、噴射する高圧ガスとしては、窒素ガス等の不活性ガスが好ましい。
【0011】
本発明のロータリフィーダは、ハウジング内で回転するロータが粉粒体を送出するロータリフィーダにおいて、
前記ハウジングを処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記ハウジング内の付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0012】
このようなロータリフィーダによれば、ハウジングを処理温度に保持する加熱手段と、処理温度でハウジング内の付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えているので、ハウジングを処理温度(たとえば、付着物となる炭素成分が気化する温度)に保持することにより、粉粒体に含まれて付着物となる炭素成分が気化するためハウジング等に付着して残ることはない。さらに、処理温度に保持し、付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持することにより、清掃時等に灰化した炭素成分を容易に除去することができる。
【0013】
本発明の石炭ガス化装置は、石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を分離・除去して回収するチャー回収手段を備え、該チャー回収手段のチャー排出流路にハウジング内でロータが回転するロータリーフィーダを備えている石炭ガス化装置において、
前記ハウジングのチャー出口側で、かつ、前記ロータの翼体が前記チャー出口の通過を完了する位置の近傍に、前記翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、
該噴射ノズルに前記翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させることを特徴とするものである。
【0014】
このような石炭ガス化装置によれば、ハウジングのチャー出口側で、かつ、ロータの翼体がチャー出口の通過を完了する位置の近傍に、翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、該噴射ノズルに翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させるので、高圧ガスの噴射圧力で翼体の回転方向裏側表面に付着したチャーを払い落とし、チャー出口から落下させて回収することができる。すなわち、翼体の回転方向裏面側表面は、回転するロータの翼体間に形成される移動室とともに回転移動してきたチャーがチャー出口から落下した後にチャー出口上で露出するので、露出した翼体表面がチャー出口上にあるタイミングで高圧ガスを噴き付ければ、翼体表面のチャー付着部に対し直接高圧ガスを噴射し、少ない噴射量で効率よく払い落とすことができる。
この場合、噴射する高圧ガスとしては、窒素ガス等の不活性ガスが好ましい。
【0015】
上記の石炭ガス化装置において、ロータリーフィーダがポーラスフィルタ装置のチャー出口に接続されたチャー排出流路に設置され、ロータリーフィーダに設けたチャー堆積量検出手段が所定値以上の堆積量を検出してから噴射ノズルに間欠噴射を開始させることが好ましく、これにより、所定の付着状態となった時点から高圧ガスの噴射を開始することが可能になるので、高圧ガスの消費量を最小限に抑えることができる。
この場合のチャー堆積量検出手段は、チャー出口を通過した直後の位置において、移送室内の静電容量を検出して判断してもよいし、あるいは、移送室内の温度を検出して判断してもよい。
【0016】
本発明の石炭ガス化装置は、石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を分離・除去して回収するチャー回収手段を備えている石炭ガス化装置において、
前記チャー回収手段のチャー付着部が、該チャー付着部を処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記チャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
このような石炭ガス化装置によれば、チャー回収手段のチャー付着部が、該チャー付着部を処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記チャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段と、を備えているので、チャー付着部を処理温度(たとえば、付着物となる炭素成分が気化する温度)に保持することにより、チャーに含まれて付着物となるタール等の炭素成分が気化するため、付着物として残ることはない。さらに、チャーを灰化させる酸素濃度に維持することにより、清掃時等に灰化した炭素成分を容易に除去することができる。
【0018】
本発明の石炭ガス化装置は、石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を分離・除去して回収するチャー回収手段を備え、該チャー回収手段のチャー排出流路にハウジング内でロータが回転するロータリーフィーダを備えている石炭ガス化装置において、
前記チャー回収手段のチャー付着部が、該チャー付着部を処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記チャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
このような石炭ガス化装置によれば、チャー回収手段のチャー付着部が、該チャー付着部を処理温度に保持する加熱手段と、処理温度でチャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えているので、チャー付着部を処理温度(たとえば、付着物となる炭素成分が気化する温度)に保持することにより、チャーに含まれて付着物となるタール等の炭素成分が気化するため、付着物として残ることはない。さらに、チャーを灰化させる酸素濃度に維持することにより、清掃時等に灰化したチャーを容易に除去することができる。
【0020】
上記の石炭ガス化装置において、前記処理温度及び前記酸素濃度は、前記チャーの炭素成分及び/またはタールを灰化させる値に設定されることが好ましい。この場合の具体的な処理温度としてはタール気化温度がある。なお、好適なタール気化温度は400〜450℃であり、このタール気化温度でチャーを灰化させる好適な酸素濃度は5〜15%である。
また、上述した石炭ガス化装置において、好適なチャー付着部としてはロータリーフィーダがある。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明のロータリフィーダは、ハウジングの粉粒体出口側で、かつ、ロータの翼体が粉粒体出口の通過を完了する位置の近傍に、翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、この噴射ノズルが翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射するので、粉粒体の付着・堆積を防止または抑制して運転時間の延長が可能となる。
【0022】
また、上述した本発明のロータリフィーダは、ハウジングを処理温度に保持する加熱手段と、処理温度でハウジング内の付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えているので、ハウジングを処理温度に保持することにより、粉粒体に含まれて付着物となる炭素成分が気化するためハウジング等に付着して残ることはなく、さらに、処理温度に保持し、付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持することにより、清掃時等に灰化した炭素成分を容易に除去することができ、従って、粉粒体の付着・堆積を防止または抑制して運転継続時間の延長が可能となる。
【0023】
上述した本発明によれば、高圧ガスの噴射圧力で翼体の回転方向裏側表面に付着したチャーを払い落とし、チャー出口から落下させて回収することができるので、チャー回収システムを構成しているロータリーフィーダ等におけるチャーの付着・堆積を防止または抑制し、運転継続時間が延長されて生産効率の向上した石炭ガス化装置を提供することができる。
また、露出した翼体表面がチャー出口上にあるタイミングで高圧ガスを間欠的に噴き付けるため、翼体表面のチャー付着部が露出する状況でのみ高圧ガスを付着部に向けて直接噴射し、少ない噴射量で効率よく払い落とすことができる。
【0024】
上述した本発明によれば、チャー回収手段のチャー付着部に、タール気化温度等の処理温度に保持する加熱手段と、この処理温度でチャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを設けたので、これをロータリーフィーダに適用すると、運転中には加熱により内部の付着物(チャーの炭素成分及び/またはタール等)が気化して付着することはなく、停止中には加熱及び酸素濃度の維持により内部の付着物が灰化するため、容易に清掃して除去することができる。また、同様の構成は、ロータリフィーダを備えていない石炭ガス化装置のチャー付着部にも適用可能である。
従って、チャー回収システムのロータリーフィーダ等におけるチャー及び/またはタールの付着・堆積が防止または抑制されて運転継続時間の延長を可能とし、優れた生産効率及びメンテナンス性を有する石炭ガス化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る石炭ガス化装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、石炭(微粉炭)をガス化してガスタービン運転用の石炭ガスを得る石炭ガス化装置の構成を示す系統図であり、石炭ガス化複合発電設備(IGCC)で使用する石炭ガス化燃料を製造するための装置(工程)となる。
図2に示す石炭ガス化装置において、図中の符号10は石炭(微粉炭)をガス化する石炭ガス化炉、11は石炭ガス化炉で生成されたガスを冷却する生成ガス冷却器である。また、図中の符号2は生成された石炭ガス中のチャー(粗粒子)を遠心分離させるサイクロン、3はサイクロン2及びポーラスフィルタ装置4で分離された粗粒子及び微粒子のチャーを収容するチャービン(ホッパー)、4はサイクロン2を経た石炭ガス中に残存している微粒子のチャーを捕獲するポーラスフィルタ装置であり、これらによりチャー回収システム1が構成される。
上述したチャー回収システム1でチャーを回収した後の石炭ガスは、ガス精製装置13に供給される。
【0026】
上述した生成ガス冷却器11とサイクロン2のガス入口との間は、ガス通路14で接続されている。
サイクロン2は、ガス出口とポーラスフィルタ装置4のガス入口との間がガス通路15で接続され、チャー出口とチャービン3との間がチャー通路16で接続されている。
ポーラスフィルタ装置4は、ガス出口とガス精製装置13との間がガス通路17で接続され、チャー出口とチャービン3との間がチャー通路18で接続されている。そして、チャー通路18には、サイクロン差圧の低減によるチャービン3からポーラスフィルタ装置4への逆流を防止するため、ロータリーフィーダ5が設置されている。
なお、図中の符号19は、チャービン3から石炭ガス化炉10にチャーを供給するためのチャー通路である。
【0027】
<第1の実施形態>
さて、上述した構成の石炭ガス化装置は、排ガス源の石炭ガス化炉10で生成された石炭ガスが生成ガス冷却器11を経て所望の温度に冷却された後工程に、ガス流路(排ガス流路)14に接続されたチャー回収システム(チャー回収手段)1を備えている。このチャー回収システム1は、石炭ガス中に含まれる粗粒子のチャーを分離除去するサイクロン2と、粗粒子除去後の石炭ガス中に含まれる微粒子のチャーを分離除去するポーラスフィルタ装置4とを具備して構成される。
【0028】
このうち、ポーラスフィルタ装置4で分離除去した微粒子のチャーは、ポーラスフィルタ装置4の下方に溜まり、逆圧対策としてチャー通路(チャー排出流路)18に設けたロータリーフィーダ5の動作により排出され、チャー通路18を通ってチャービン3へ確実に排出される。
ロータリーフィーダ5は、図1に示すように、ハウジング51内をロータ52が回転するように構成されている。ロータ52は、図示省略の駆動源に連結された軸部53から複数の翼体54が放射状に突出する構成とされ、隣接する翼体54,54間には移送室55となる空間が形成されている。図示の例では、軸部53から90度ピッチに4枚の翼体54が突設され、円周方向を分割した4つの移送室54が形成されている。
なお、翼体54の先端部とハウジング51の内周面との間には、熱伸びを考慮した隙間が形成されている。
【0029】
上述した構成のロータリーフィーダ5に対して、ハウジング51の下方に設けられたチャー出口側で、かつ、ロータ52の翼体54がチャー出口の通過を完了する位置の近傍には、翼体54に向けて高圧ガスである不活性ガスを噴き出す噴射ノズル60が設置されている。換言すれば、移送室55がチャービン3への排出側に移動したとき、各移送室55を仕切る翼体54の表面に不活性ガスを噴き付ける噴射ノズル60を設置してある。
この噴射ノズル60を設置する具体的な位置は、たとえば時計回りに回転する翼体54がチャー通路18に接続されるチャー出口側の開口部を通過した直後の位置近傍が好適であり、すなわち、ハウジング51がチャー通路18から外側への膨出を開始した直後となる位置に取り付けることが好ましい。この設置位置近傍に翼体54があると、移動室55とともに回転移動してきたチャーがチャー出口からチャー通路18に落下し、翼体54の回転方向裏面側表面54aが露出した状態になるので、噴射ノズル60の噴射方向を回転方向裏面側表面54aの付着物に向けて容易に噴射することができる。
【0030】
上述した噴射ノズル60は、ロータ52のロータ軸方向へ等間隔に複数箇所(図示の例では4箇所)設置されている。すなわち、ロータ52の軸部53と平行に複数個の噴射ノズル60を等間隔に設置し、翼体54の軸方向が全面にわたってカバーされる配置とすればよく、各噴射ノズル60は、ヘッダー61を介して不活性ガス供給配管62に連結されている。
不活性ガス供給配管32は図示省略の不活性ガス供給源に接続され、配管途中の適所には制御弁63を備えている。この制御弁63は、ロータ52の回転に同期して開閉することにより、翼体54が所定の回転範囲内に存在する場合にのみ開き、不活性ガスを間欠噴射させる機能を有している。なお、ここで使用する高圧ガスは、たとえば窒素ガス等の不活性ガスが好ましい。
【0031】
さらに、上述した流量制御弁63の開閉操作は、ロータリーフィーダ5の適所にチャー堆積量検出手段として設けた静電容量検出装置70の検出値に基づく制御信号を受けて許容される。すなわち、流量制御弁63は、静電容量検出装置70が所定値(閾値)以上の堆積量を意味する静電容量値を検出した場合にのみ開閉操作が許容され、噴射ノズル60による不活性ガスの間欠噴射が実施可能となるように制御される。
静電容量検出装置70は、ロータ52の回転方向において、チャー出口側の開口部からハウジング51の上部に開口するチャー入口側の開口部までの間に形成される移送室55の領域、すなわち、チャーの排出を完了して新たなチャーの受入をする前の移送室55が空となる回転領域に設置して測定する配置とされる。
【0032】
上述した構成により、ロータリーフィーダ5の翼体54に付着するチャーの堆積量を静電容量検出装置70で検出し、その検出値が所定値より小さい場合はチャーを払い落とす必要がないと判断し、ロータ52の回転に同期する制御弁63の開閉動作は停止される。
しかし、石炭ガス化装置の運転を継続することによりチャーが付着し、静電容量検出装置70の検出値が所定値以上に大きくなった場合には、ロータ52の回転に同期する制御弁63の開閉動作が許容され、噴射ノズル60から不活性ガスを間欠噴射して付着したチャーを払い落とすことが可能になる。このとき、噴射ノズル60から噴射される不活性ガスは、移送室55が搬送してきたチャーをチャー通路18に落下させた後の露出した翼体表面に向けて直接噴射されるので、翼体表面のチャー付着部に噴射力を確実に作用させて払い落とすことができる。なお、噴射ノズル60の噴射角度、翼体54に向けた間欠噴射の噴射開始位置及び噴射終了位置については、翼体54が回転移動しているので、空となった移動室55内の翼体表面に向けて、特に、回転方向裏面側表面54aに向けた噴射タイミングで噴射を開始してから翼体表面の全面にわたって略均一な噴射がなされるように設定すればよい。
【0033】
こうして払い落とされたチャーは、チャー通路18に落下してチャービン3に回収される。従って、翼体54の回転方向裏面側表面54aは、回転するロータ52の翼体54間に形成される移動室55とともに回転移動してきたチャーがチャー出口から落下した後、噴射ノズル60に近いチャー出口上で露出するので、露出した翼体表面がチャー出口上にあるタイミングで不活性ガスの噴射を開始すれば、ロータ52が回転してくるため常に噴射ノズル60に近い位置で翼体表面に付着したチャーに対して直接不活性ガスの噴射力が作用するので、少ない噴射量で効率よく払い落とすことができる。
また、チャーの付着量が所定値以上に多い場合のみ不活性ガスの噴射を行うので、これによっても不活性ガスの消費量を最小限に抑えることができる。
【0034】
また、翼体54の先端とハウジング51の内面との間には、熱伸びを考慮した隙間が設けられているため、差圧によりチャービン3からポーラスフィルタ装置4側へ向かうガス流れがあり、従って、このガス流れが噴射ノズル60のガス吹出口を常にパージする効果を生む。
なお、上述した実施形態では、チャー堆積量検出手段は、チャー出口を通過した直後の位置において移送室55内の静電容量を検出して判断するものとしたが、同じ位置における移送室55内の温度を検出し、温度が所定値以上に上昇した場合に付着量が多いと判断してもよい。
【0035】
ところで、上述した実施形態では、ロータリフィーダ5が取り扱う粉粒体を石炭ガス化装置のチャーとしたが、本発明のロータリフィーダ5はこれに限定されることはなく、石炭ガス化装置以外でチャーを取り扱う場合は勿論のこと、付着性を有する他の粉粒体を処理する場合にも適用可能である。
【0036】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態を図3に基づいて説明する。
この実施形態の石炭ガス化装置では、チャー回収システム1のチャー付着部に、チャー付着部をタール気化温度等の処理温度に保持する加熱手段と、タール気化温度等の処理温度でチャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えている。なお、タール気化温度は、チャーに含まれる灰成分及び炭素成分のうち、タールを含む炭素成分を気化させる温度である。
【0037】
図3は、チャー付着部がロータリーフィーダ5である場合の加熱手段を示しており、ハウジング51の周囲を電気加熱ヒータ80で覆い、この電気加熱ヒータに80に通電して内部をタール気化温度に加熱する。この電気加熱ヒータ80は、温度センサ81の検出温度に応じてスイッチ82がON/OFF制御され、ロータリーフィーダ5の内部を所定の温度範囲に維持することができる。この場合のタール気化温度は、400〜450℃に維持することが好ましい。
なお、ロータリーフィーダ5に接続されたチャー通路18についても、ロータリーフィーダ5の近傍等を部分的に加熱してもよい。
【0038】
このような構成の石炭ガス化装置は、チャー付着部となるロータリーフィーダ5を電気加熱ヒータ80により加熱してタール気化温度に維持するため、チャーに含まれる炭素成分及び/またはタール分が気化してしまい、付着して残るようなことはない。従って、ロータリーフィーダ5の運転中に加熱してタール気化温度を維持すれば、ロータリーフィーダ5の内部に、チャーの炭素成分、タールを含むチャーの炭素成分、あるいは、タールのみが付着して残留することを防止できる。
なお、上述した説明では加熱手段を電気加熱ヒータ80としたが、これに限定されることはなく、たとえば石炭ガス化複合発電設備を構成するガスタービンや排熱回収ボイラ等の排熱を利用してもよい。
【0039】
また、上述したタール気化温度に維持する加熱手段に加えて、チャーを灰化させる酸素濃度に維持するための酸素供給手段を設けておけば、タール気化温度でチャーの炭素成分及び/またはタールを灰化させることができる。なお、タール気化温度でチャーを灰化させる好適な酸素濃度は、5〜15%である。
この酸素供給手段は、たとえば上述した第1の実施形態における噴射ノズル60を使用し、不活性ガスに代えて酸素を供給すればよい。この場合、不活性ガス及び酸素の供給ガスを選択切り換えする弁を設けておけばよいが、酸素専用の供給系統を設けてもよい。
【0040】
このような構成の石炭ガス化装置では、チャー付着部となるロータリーフィーダ5の運転停止中に、タール気化温度に加熱した状態で5〜15%の酸素濃度を維持することにより、内部に付着しているチャーが灰化(酸化)する。このため、灰化したチャーは、粘性の強いタールとは異なり清掃等により容易に除去することができる。
なお、上述した実施形態ではチャー付着部をロータリーフィーダ5としたが、たとえばロータリフィーダ5の有無に係わらず、チャー回収システム1においてタール付着やチャー付着が懸念されるバルブ等にも適用可能である。
【0041】
上述した本発明によれば、高圧ガスの圧力で翼体54の回転方向裏側表面54a等の翼体表面に付着したチャーを払い落とし、チャー出口から落下させて回収することができるので、チャー回収システム1のロータリーフィーダ5等におけるチャーの付着・堆積を防止または抑制することができ、この結果、運転継続時間が延長されて生産効率のよい石炭ガス化装置となる。また、露出した翼体表面がチャー出口上にあるタイミングで高圧ガスを間欠的に噴き付けるため、翼体表面のチャー付着部が露出して噴射ノズル60に近づいた状況でのみ高圧ガスを付着部に向けて直接噴射することになるので、少ない噴射量で効率よく払い落とすことができる。
【0042】
また、上述した本発明によれば、チャー回収システム1のチャー付着部に、処理温度(タール気化温度等)に保持する電気加熱ヒータ80等の加熱手段と、この処理温度でチャーを灰化させる酸素濃度に維持する噴射ノズル60等の酸素供給手段とを設けたので、これをロータリーフィーダ5に適用すると、運転中には内部のチャーの炭素成分及び/またはタールが気化するため付着して残るようなことはなく、停止中には内部に付着したチャーが灰化するため容易に清掃して除去することができる。従って、チャー回収システム1のロータリーフィーダ5等におけるチャーの付着・堆積が防止または抑制されて運転継続時間の延長を可能とし、優れた生産効率及びメンテナンス性を有する石炭ガス化装置となる。
【0043】
また、上述した本発明によれば、ハウジング51の粉粒体出口側で、かつ、ロータ52の翼体54が粉粒体出口の通過を完了する位置の近傍に、翼体54に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズル60を設置し、噴射ノズル60に翼体54の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させるロータリフィーダ5としたので、高圧ガスの噴射圧力で翼体54の回転方向裏側表面に付着した粉粒体を払い落とし、粉粒体出口から落下させることができるようになり、粉粒体の付着や堆積を防止または抑制して連続運転時間を延長することができる。
【0044】
また、上述した本発明によれば、ハウジング51を処理温度に保持する加熱手段と、処理温度でハウジング51内の付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えたロータリフィーダ5としたので、ハウジング51を処理温度に保持することにより、粉粒体に含まれて付着物となる炭素成分が気化するためハウジング51等に付着して残ることはない。さらに、処理温度に保持し、付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持することにより、清掃時等に灰化した炭素成分を容易に除去することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る石炭ガス化装置の一実施形態としてロータリーフィーダ周辺の第1の実施形態を示す構成図で、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図2】石炭ガス化装置の全体構成例を示す系統図である。
【図3】本発明に係る石炭ガス化装置の一実施形態としてロータリーフィーダ周辺の第2の実施形態を示す側面図である。
【図4】石炭ガス化装置のチャー回収システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0046】
1 チャー回収システム
2 サイクロン
3 チャービン
4 ポーラスフィルタ装置
5 ロータリーフィーダ
51 ハウジング
52 ロータ
54 翼体
55 移送室
60 噴射ノズル
70 静電容量検出装置
80 電気加熱ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内で回転するロータが粉粒体を送出するロータリフィーダにおいて、
前記ハウジングの粉粒体出口側で、かつ、前記ロータの翼体が前記粉粒体出口の通過を完了する位置の近傍に、前記翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、
該噴射ノズルに前記翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させることを特徴とするロータリフィーダ。
【請求項2】
ハウジング内で回転するロータが粉粒体を送出するロータリフィーダにおいて、
前記ハウジングを処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記ハウジング内の付着物中の炭素成分を灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段とを備えていることを特徴とするロータリフィーダ。
【請求項3】
石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を分離・除去して回収するチャー回収手段を備え、該チャー回収手段のチャー排出流路にハウジング内でロータが回転するロータリーフィーダを備えている石炭ガス化装置において、
前記ハウジングのチャー出口側で、かつ、前記ロータの翼体が前記チャー出口の通過を完了する位置の近傍に、前記翼体に向けて高圧ガスを噴き出す噴射ノズルを設置し、
該噴射ノズルに前記翼体の回転方向裏面側表面へ向けた噴射タイミングで高圧ガスを間欠噴射させることを特徴とする石炭ガス化装置。
【請求項4】
前記ロータリーフィーダがポーラスフィルタ装置のチャー出口に接続されたチャー排出流路に設置され、前記ロータリーフィーダに設けたチャー堆積量検出手段が所定値以上の堆積量を検出してから前記噴射ノズルに間欠噴射を開始させることを特徴とする請求項3に記載の石炭ガス化装置。
【請求項5】
石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を分離・除去して回収するチャー回収手段を備えている石炭ガス化装置において、
前記チャー回収手段のチャー付着部が、該チャー付着部を処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記チャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段と、を備えていることを特徴とする石炭ガス化装置。
【請求項6】
石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を分離・除去して回収するチャー回収手段を備え、該チャー回収手段のチャー排出流路にハウジング内でロータが回転するロータリーフィーダを備えている石炭ガス化装置において、
前記チャー回収手段のチャー付着部が、該チャー付着部を処理温度に保持する加熱手段と、前記処理温度で前記チャーを灰化させる酸素濃度に維持する酸素供給手段と、を備えていることを特徴とする石炭ガス化装置。
【請求項7】
前記処理温度及び前記酸素濃度は、前記チャーの炭素成分及び/またはタールを灰化させる値に設定されることを特徴とする請求項5または6に記載の石炭ガス化装置。
【請求項8】
前記チャー付着部が前記ロータリーフィーダであることを特徴とする請求項6または7に記載の石炭ガス化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−153585(P2007−153585A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353716(P2005−353716)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】