説明

ローラーによる精細な模様の形成方法

【課題】従来利用されてきた、外周面に模様のあるローラーを塗面上に転がして、模様を形成する方法は、利用できる離型剤や離型剤の使用方法に制約があり、精細な模様の形成が困難であり、又作業者への健康影響があった。
【解決手段】建材又は建築物の塗装基材面に塗剤を塗布し、塗剤が乾燥する前に塗剤上にシリコン系離型剤を噴霧した後、外周面に模様のあるローラーを塗剤の上に転がし、塗剤上に模様を形成する方法であり、精細な模様を作業者への健康影響なしに形成出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラーにより建材、または、建築物に精細な模様を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラーによる模様の形成方法としては、種々のものがある。これら模様の形成方法のうち、例えば特開昭60−241971では、ローラー表面に平行なリブを設け、あらかじめローラー凹部に塗料が入るように馴染ませたのち、塗剤表面にローラーを転がし、模様を形成する方法である。
【特許文献1】特開昭60−241971
【0003】
また、特許文献2として示す特開2008−86971では、ローラー表面に平行な凸形状を設け、離型性を向上させるために、ローラー表面を離型剤に浸した後、塗材表面を転がし、模様を形成する方法である。
【特許文献2】特開2008−86971
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−241971
【特許文献2】特開2008−86971
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた、従来の方法では、離型性を確保するために、頻繁にローラーを離型剤に浸さねばならないため、作業性が悪く、又、離型剤の使用量が多くなり、結果としてシリコン系の高価な離型剤の使用が難しかった。そのため、低廉な灯油や、塗料用シンナーを、離型剤として使用しなければならず、頭痛・眼刺激・吐き気などの作業者への健康影響があった。更に、離型剤に浸すという方法では、離型剤量の制御が難しく、特に精細な模様を形成することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような従来の方法が有していた問題を解決しようとするものであり、外周面に模様のあるローラーにより精細な模様を形成出来、且つ、作業者の健康にも影響が少ない方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして本発明は、乾燥前の塗剤上にシリコン系離型剤を噴霧した後、外周面に模様のあるローラーを塗剤の上に転がし、塗剤上に模様を形成するものである。
【0008】
請求項2に記載した発明は、シリコン系離型剤の噴霧量が、塗面1mあたり40g〜80gが好ましく、より好ましくは塗面1mあたり50g〜70gであることを示している。
噴霧量が40g以下になると、離型性が悪化し、特に精細な模様の形成が困難になる。又、噴霧量が80g以上では、塗材表面樹脂がシリコン系離型剤と一緒に流れ落ちてしまうためである。
【0009】
前記ローラーの転がし回数はローラーの外周面の模様の1回転毎の重なり部分を目立たなくするために、2回ないし3回転がすことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明のローラーによる精細な模様形成方法は、従来、困難であった、建材、建築物への、精細な模様を生産性よく形成出来、又、作業者に対する健康影響も少ないものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明による模様形成例
【図2】 本発明によるローラーの外周面
【図3】 図2A−A断面
【図4】 図2B−B断面
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明による模様形成例であり、縄から形状を模写した模様を塗剤上に形成したものである。
【0014】
図2は本発明のローラーの外周面の外観図である。
【0015】
図3〜4は本発明のローラーの構造であり、内径は、一般的に販売されているローラーハンドル同等の内径42mm±1mmとなっており、外径寸法は65mm前後となる。
【0016】
以下、上記の方法を説明する。建材または、建築物の塗装基材面に、塗材を金コテまたはステンレスコテを使用して1mm〜5mmに塗る。次に塗材が乾燥する前に噴霧器を使用してシリコン系離型剤を1m当たり40g〜80g好ましくは50gから70g噴霧する。その後、図1のように外周面に模様のあるローラーを2回ないし3回、離型剤上を転がす。
【符号の説明】
【0017】
a.シリコンゴム層 3mm〜15mm
b.外径 62±1mm径
c.内径 42±1mm径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に模様のあるローラーを乾燥前の塗材上に転がすことにより、塗材上に模様を形成する方法であって、前記塗材上に、前記ローラーを転がす前にシリコン系離型剤を噴霧する模様形成方法。
【請求項2】
前記シリコン系離型剤噴霧量は、塗面1mあたり40g〜80g。好ましくは、塗面1mあたり50g〜70gであるところの請求項1に記載の模様形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−203214(P2010−203214A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72747(P2009−72747)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(509082422)
【Fターム(参考)】