説明

ワイヤハーネス寸法検査具及びワイヤハーネス寸法検査方法

【課題】短時間で正確にワイヤハーネス寸法を検査することのできるワイヤハーネス寸法検査具及びワイヤハーネス寸法検査方法を提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス13の載置面29に、基端ガイド31と指標ガイド33とを設けて、ワイヤハーネス13の一端部21を基端ガイド31に位置合わせし、ワイヤハーネス13の他端部25が一致する指標ガイド33の指標35にてワイヤハーネス13の寸法L1を検査するワイヤハーネス寸法検査具11であって、載置面29には寸法の方向に延在する基準線部37が設けられ、基端ガイド31は、基準線部37に直交する位置合わせ部39を有し、指標ガイド33は、位置合わせ部39からの寸法L1となる基準線部37の上の点43を通る傾斜辺部45を有し、指標35は、点43を挟み寸法の公差D1の範囲で傾斜辺部45に設けられた異なる表示部51,53を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス寸法検査具及びワイヤハーネス寸法検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載電装品の配線として用いられるワイヤハーネスは、所定の寸法に切断された複数の電線を結束して構成され、複数の分岐電線を備えるものもある。また、ワイヤハーネスには、異なる種類のコネクタ、クリップ、グロメット、コルゲートチューブ、及びプロテクター等の部品が取り付けられ、多種多様に構成される。ワイヤハーネスは、コネクタやクリップの取付位置が定められた位置からずれていると、自動車に固定する際に車体に設けられた電装品やクリップ挿入孔の位置とコネクタやクリップが一致せず、固定できなくなることがある。このため、ワイヤハーネスは、生産完了時に、部品間寸法が公差の範囲内であるか否かの検査が行われる。
【0003】
従来、この検査は、図5に示すように、単純なワイヤハーネス(ショートコード)500等の場合、テープメジャー501を用いて、毎回測定する検査方法が取られている。この検査方法は、作業者がテープメジャー501を製品であるワイヤハーネス500と平行に当てて、一端側のコネクタ503を基準として、他端側のコネクタ505の端部位置と、中央部のクリップ507の中心位置と、をテープメジャー501の寸法L1,L2で読み取り、公差範囲K1,K2か否かを判定して合格品と不合格品に選別する。
【0004】
また、下記特許文献1には、帯状の物差しを治具枠体のスリットに入れ、左右方向にスライド可能に装着し、スリットに入れた物差しの目盛面が読み取れる横長の測定窓と、測定窓の上方に、被計測物のクランプの中心が存在すべき位置になす中心インデックスと、中心インデックスの両側に位置して、クランプの取付位置の許容公差限界を示す公差限界インデックスを設けた取付位置計測用治具が開示されている。この計測用治具は、被計測物が存在すべき中心位置を基準とした許容公差限界位置に、公差限界インデックスが存在しているので、その被計測物に、計測用治具を装着した物差しを当て添えることによって、その被計測物が許容公差内に存在するかどうかを、正確かつ迅速に計測検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−19802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、テープメジャー501とワイヤハーネス500を両方持ちながら端を合わせて寸法を読み取ることは容易でなく、測定基準となる一端側のコネクタ503にずれが発生したりして、正確に測定することが難しかった。
【0007】
このような不具合を改善するために、検査用机の上にテープメジャー501を貼り付けその上に製品を置いて測定する方法が取られる場合もあるが、メジャー寸法の目盛り幅はmm単位と小さく、公差範囲内であるか否かを判定するのに時間を費やし、しかも、目盛りの幅方向に沿って平行に当てる通常レンジの視認による判定では読み取り精度に限界があった。
【0008】
特許文献1に開示される計測用治具においても、目盛り幅と同一の小さいレンジにて公
差範囲内であるか否かを判定するのは同様であり、時間がかかり且つ高い検査精度は望めなかった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、短時間で正確にワイヤハーネス寸法を検査することのできるワイヤハーネス寸法検査具及びワイヤハーネス寸法検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ワイヤハーネスの載置面に、基端ガイドと指標ガイドとを設けて、前記ワイヤハーネスの一端部を前記基端ガイドに位置合わせし、前記ワイヤハーネスの他端部が一致する前記指標ガイドの指標にて前記ワイヤハーネスの寸法を検査するワイヤハーネス寸法検査具であって、前記載置面には前記寸法の方向に延在する基準線部が設けられ、前記基端ガイドは、前記基準線部に直交する位置合わせ部を有し、前記指標ガイドは、前記位置合わせ部からの前記寸法となる前記基準線部の上の点を通る傾斜辺部を有し、前記指標は、前記点を挟み前記寸法の公差の範囲で前記傾斜辺部に設けられた異なる表示部を有することを特徴とするワイヤハーネス寸法検査具。
【0011】
(2) 上記(1)のワイヤハーネス寸法検査具であって、前記位置合わせ部は、直線ガイド壁からなり、前記傾斜辺部は、傾斜ガイド壁からなり、前記載置面には、前記基準線部を挟んで該基準線部と平行な複数の補助線部が設けられていることを特徴とするワイヤハーネス寸法検査具。
【0012】
(3) ワイヤハーネスの載置面に、基端ガイドと指標ガイドとを設けて、前記ワイヤハーネスの一端部を前記基端ガイドに位置合わせし、前記ワイヤハーネスの他端部が一致する前記指標ガイドの指標にて前記ワイヤハーネスの寸法を検査するワイヤハーネス寸法検査具を用いた寸法検査方法であって、前記ワイヤハーネスを前記載置面に置いて、前記ワイヤハーネスの一端部を前記基端ガイドに一致させ、前記基端ガイドからの前記寸法となる前記基準線部の上の点を通る傾斜辺部に、前記基準線部と平行に置いた前記ワイヤハーネスの他端部を一致させ、前記ワイヤハーネスの他端部が一致する、前記点を挟み前記寸法の公差の範囲で前記傾斜辺部に設けられた表示部を読み取ることを特徴とするワイヤハーネス寸法検査具を用いた寸法検査方法。
【0013】
上記(1)のワイヤハーネス寸法検査具によれば、指標ガイドが傾斜辺部を有し、この傾斜辺部に指標が設けられるので、ワイヤハーネスと平行に配置される指標ガイドに比べ、例えば45°の傾斜辺部の場合、表示部を√2倍のレンジに広げて他端部を読み取ることができ、目視による測定が容易となる。
【0014】
上記(2)のワイヤハーネス寸法検査具によれば、ワイヤハーネスを位置合わせ部に沿って平行移動させ、他端部を傾斜ガイド壁に一致させる際、複数の補助線部が設けられていることで、平行移動中のワイヤハーネスを常に基準線部と平行に姿勢させることができ、検査精度を高めることができる。
【0015】
上記(3)のワイヤハーネス寸法検査具を用いた寸法検査方法によれば、一端部を位置合わせ部に一致させながら、ワイヤハーネスを平行移動させて、他端部を指標ガイドに合わせて読み取りを行う際、指標ガイドの傾斜辺部に設けられる表示部を読み取ることとなり、ワイヤハーネスと平行に配置される指標ガイドに比べ、例えば45°の傾斜辺部の場合、表示部を√2倍のレンジに広げて他端部を読み取ることができ、目視による測定が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るワイヤハーネス寸法検査具によれば、傾斜辺部に設けられた表示部は斜め寸法方向でレンジを大きく取ることができ、作業者の目視による測定を楽にして誤差を小さくできる。この結果、寸法判定を迅速に且つ正確に行うことができ、ワイヤハーネスを短時間で正確に検査できる。
【0017】
本発明に係るワイヤハーネス寸法検査方法によれば、ワイヤハーネスの他端部を、寸法の公差の範囲で傾斜辺部に設けたレンジの大きい表示部に一致させて判断が行え、作業者の目視による測定を楽にして誤差を小さくできる。この結果、寸法判定を迅速に且つ正確に行うことができ、ワイヤハーネスを短時間で正確に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るワイヤハーネス寸法検査具をワイヤハーネスと共に表した平面図である。
【図2】図1に示したワイヤハーネス寸法検査具の正面図である。
【図3】(a)は平行な指標ガイドの要部平面図、(b)は傾斜した指標ガイドに変形例に係る表示部を設けた要部平面図である。
【図4】分岐線の検査状況を表した平面図である。
【図5】従来のテープメジャーによる検査状況を表した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るワイヤハーネス寸法検査具をワイヤハーネスと共に表した平面図、図2は図1に示したワイヤハーネス寸法検査具の正面図である。
【0020】
ワイヤハーネス寸法検査具11は、製造完了後のワイヤハーネス寸法の検査に好適に用いられる。ワイヤハーネス13には、上記のようにコネクタ、クリップ15、グロメット、コルゲートチューブ17、及びプロテクター等の部品が取り付けられる。ワイヤハーネス寸法検査具11は、これらの部品間寸法L1,L2が公差D1,D2の範囲内であるか否かの検査を可能とする。
【0021】
本実施形態では、図1に示すワイヤハーネス13を被検査対象の例として説明する。なお、図示のワイヤハーネス13は一例であり、ワイヤハーネス寸法検査具11は、図例とは異なる部品間寸法のワイヤハーネス13や、分岐ワイヤハーネス寸法も被検査対象とすることができるものである。
【0022】
ワイヤハーネス13は、複数本が束ねられた電線19の一端部21に基端側コネクタ23が接続され、他端部25には指標側コネクタ27が接続されている。電線19の略中央部には車体への図示しない取付穴へ固定されるクリップ15が取り付けられている。なお、クリップ15は取り付けられなくても良いし、複数が取り付けられていても良い。
【0023】
ワイヤハーネス寸法検査具11は、ワイヤハーネス13の載置面29に、基端ガイド31と指標ガイド33とを備える。ワイヤハーネス寸法検査具11では、ワイヤハーネス13の一端部21である基端側コネクタ23を基端ガイド31に位置合わせし、ワイヤハーネス13の他端部25である指標側コネクタ27が一致する指標ガイド33の指標35にてワイヤハーネス13の寸法L1を検査する。
【0024】
載置面29には、ワイヤハーネス13の検査寸法の方向に延在する基準線部37が設けられる。基準線部37は、載置面29に描かれた目印、指標の他、溝や凸条としてもよい。基端ガイド31は、基端側コネクタ23が作業者の手前(図1の下側)から奥側(図1
の上側)へ平行移動できるように、検査の基準となる側のずれを防止するものである。基端ガイド31は、基準線部37に直交する位置合わせ部39を有する。本実施形態において、位置合わせ部39は、直線ガイド壁41からなる。つまり、基端ガイド31は、載置面29から起立した立体部材からなる。基端側コネクタ23は、直線ガイド壁41に摺接しながら図1の上下方向に平行移動される。
【0025】
一方、指標ガイド33は、位置合わせ部39からの寸法となる基準線部37の上の点43を通る傾斜辺部45を有する。傾斜辺部45は、傾斜ガイド壁47からなる。この傾斜ガイド壁47も載置面29から起立した立体部材からなる。傾斜ガイド壁47は、指標ガイド33の全長としてもよく、指標ガイド33の一部分に形成してもよい。なお、後述するように、本発明に係るワイヤハーネス寸法検査具11は、基端ガイド31、指標ガイド33が載置面29に描かれた目印、指標であってもよい。指標ガイド33の傾斜ガイド壁47には指標35が設けられる。指標は、上記した基準線部37の上の点43を挟み寸法L1の公差D1の範囲で設けられた異なる表示部であるマイナス公差側範囲部51と、プラス公差側範囲部53とを有する。
【0026】
傾斜ガイド壁47は、斜めに配置され、基準寸法部55を境にマイナス公差側範囲部51と、プラス公差側範囲部53が例えば異なる色分け等により明記され、寸法公差範囲が判り易くなっている。ワイヤハーネス寸法検査具11では、この指標ガイド33の傾斜ガイド壁47を斜めに配置することが特徴となっている。
【0027】
傾斜ガイド壁47は、基準線部37に対して例えば45度に傾斜させることが望ましい。この場合、ワイヤハーネス13の長さ方向の寸法公差D1を例えば+10mm、−5mmとすると、ワイヤハーネス13の寸法公差の上限から下限までは15mmの長さ範囲となる。したがって、傾斜ガイド壁47に沿った点aと点bの間の長さは、15√2mm(21.2mm)の長さとなる。なお、基端ガイド31からのクリップ15の寸法L2の公差D2は、例えば+5mm、−5mmとする。このためのクリップ用指標62は、ワイヤハーネス13の移動の障害とならない薄板、シート等の部材であるか、載置面29に直接印刷等によって設けたものである。
【0028】
このように、ワイヤハーネス寸法検査具11では、指標ガイド33が傾斜辺部45を有し、この傾斜辺部45に指標35が設けられているので、ワイヤハーネス13と平行に配置される指標ガイド33に比べ、例えば45度の傾斜辺部45の場合、表示部を√2倍のレンジに広げて(15mmから21.2mmに広げて)他端部25を読み取ることができ、目視による測定が容易となっている。
【0029】
指標35は、ノミナル寸法基準線となる基準線部37を境に、マイナス公差側範囲部51とプラス公差側範囲部53の色を変えることが望ましい。こうすることで、作業者は、寸法交差内において製品ワイヤハーネスをその都度、プラス公差範囲内、又はマイナス公差範囲内として認識しながら寸法確認作業が可能になる。これにより、電線切断寸法の傾向を把握することが可能となり、製品寸法測定結果の傾向を前工程にフィードバックし易くなる効果が生じる。
【0030】
載置面29には、基準線部37を挟んで基準線部37と平行な複数の補助線部57が設けられている。ワイヤハーネス13を位置合わせ部39に沿って平行移動させ、他端部25を傾斜ガイド壁47に一致させる際、複数の補助線部57が設けられていることで、平行移動中のワイヤハーネス13を常に基準線部37と平行に姿勢させることができ、検査精度を高めることができるようになされている。
【0031】
図3(a)は平行な指標ガイドの要部平面図、(b)は傾斜した指標ガイドに変形例に
係る表示部を設けた要部平面図である。
【0032】
この変形例に係るマイナス公差側範囲部51とプラス公差側範囲部53は、図3(b)に示すように、指標ガイド33の一対の平行な辺部47a,47bと、基準線部37に直交する公差範囲線部47c,47dとに囲まれた平行四辺形となる。平行四辺形は、載置面29上に印刷等によって直接設けることができる。この変形例では、図3(a)に示すように、目盛りの幅方向に沿って平行に他端側のコネクタ505を当てる従来の小さいレンジR1に比べ、図3(b)に示す広いレンジR2が得られ、視認による判定が容易となる。このレンジの拡大効果は、図1に示した基本構成においても同様である。
【0033】
さらに、この変形例によれば、平行四辺形の外形線で囲まれたマイナス公差側範囲部51及びプラス公差側範囲部53を、指標側コネクタ27の測定点61の公差許容範囲と一致させることができる。つまり、測定点61が平行四辺形の外形線内に存在すれば、合格とすることができる。これにより、一層検査を迅速且つ容易にすることが可能となる。
【0034】
また、図1に示すようなクリップ15が取り付けられたワイヤハーネス13の場合においても、載置面29に、クリップ15の取付公差範囲部を設けておくことで、一連の作業の中でクリップ取付位置も同時に確認することが可能となる。
【0035】
なお、図1,図2には、ストッパー壁63を図示するが、ストッパー壁63は省略してもよい。
【0036】
次に、このワイヤハーネス寸法検査具11を用いた寸法検査方法について説明する。
ワイヤハーネス寸法検査具11を用いてワイヤハーネス寸法を検査するには、ワイヤハーネス13を載置面29に置いて、ワイヤハーネス13の一端部21である基端側コネクタ23を基端ガイド31の直線ガイド壁41に一致させる。ワイヤハーネスは、基端側コネクタ23を直線ガイド壁41から離れないように接触させ、指標側コネクタ27を引っ張って直線状とする。直線状となったワイヤハーネス13は、基準線部37や補助線部57と平行となるように姿勢させる。
【0037】
この状態で、基端側コネクタ23を直線ガイド壁41に摺接させながら、ワイヤハーネス全体を平行移動し、指標側コネクタ27の測定点61(図1では点43と同一となる。)が傾斜ガイド壁47に当接(一致)したところが、マイナス公差側範囲部51かプラス公差側範囲部53か否か、あるいはそれ以外かを判定する。つまり、公差の範囲であるか否かを傾斜辺部45に設けられた表示部にて読み取る。
【0038】
このように、ワイヤハーネス寸法検査具11を用いた寸法検査方法では、基端側コネクタ23を位置合わせ部39に一致させながら、ワイヤハーネス13を平行移動させて、指標側コネクタ27を指標ガイド33に合わせて読み取りを行う際、指標ガイド33の傾斜辺部45に設けられる表示部を読み取ることとなり、ワイヤハーネス13と平行に配置される指標ガイド33に比べ、例えば45度の傾斜辺部45の場合、表示部を√2倍のレンジに広げて他端部25を読み取ることができ、目視による測定が容易となる。
【0039】
図4は分岐線部の検査状況を表した平面図である。
次に、ワイヤハーネス寸法検査具11を用いて分岐ワイヤハーネス69の分岐線部65の寸法を検査する場合を説明する。
【0040】
ここで検査対象となる分岐ワイヤハーネス69は、第1コネクタ71と第2コネクタ73との間の電線19に、分岐部75によって分岐電線77が接続されている。分岐電線77の端部には、指標側コネクタ27が接続され、分岐線部65が構成されている。分岐部
75は、図示のようなコネクタであっても、電線同士を直接接続したものであってもよいが、一般的には、連続した電線19が分岐して配索された形態である。分岐ワイヤハーネス69は、分岐部75から指標側コネクタ27までの寸法L3が、公差D3の範囲内であるか否かの検査がなされる。
【0041】
ワイヤハーネス寸法検査具11を用いた分岐ワイヤハーネス69の検査においては、分岐部75を直線ガイド壁41から離れないように接触させ、指標側コネクタ27を引っ張って分岐電線77を直線状とする。直線状となった分岐電線77は、基準線部37や補助線部57と平行となるように姿勢させる。
【0042】
この状態で、分岐部75を直線ガイド壁41に摺接させながら、分岐電線全体を平行移動し、指標側コネクタ27の測定点61が傾斜ガイド壁47に一致したところが、マイナス公差側範囲部51かプラス公差側範囲部53か否か、あるいはそれ以外かを判定する。分岐ワイヤハーネス69においても、上記同様に、表示部を√2倍のレンジに広げて他端部25を読み取ることができ、目視による測定が容易となる。
【0043】
なお、この分岐ワイヤハーネス69の測定では、載置面29に、分岐電線77を挟持する固定部材79を付加しても良い。この場合、固定部材79は、分岐ワイヤハーネス69の平行移動が可能となるように、直線ガイド壁41に沿う方向にスライド自在に載置面29に設ける。このような固定部材79を設けることで、分岐部75の直線ガイド壁41からの離間を防止でき、検査精度をさらに高めることができる。
【0044】
したがって、本実施形態に係るワイヤハーネス寸法検査具11によれば、傾斜辺部45に設けられた表示部は斜め寸法方向でレンジを大きく取ることができ、作業者の目視による測定を楽にして誤差を小さくできる。この結果、寸法判定を迅速に且つ正確に行うことができ、ワイヤハーネス13を短時間で正確に検査できる。
【0045】
また、本実施形態に係るワイヤハーネス寸法検査方法によれば、ワイヤハーネス13の他端部25を、寸法の公差の範囲で傾斜辺部45に設けたレンジの大きい表示部に一致させて判断が行え、作業者の目視による測定を楽にして誤差を小さくできる。この結果、寸法判定を迅速に且つ正確に行うことができ、ワイヤハーネス13を短時間で正確に検査できる。
【0046】
なお、上記の実施形態では、基端ガイド31、指標ガイド33が、直線ガイド壁41、傾斜ガイド壁47の部材である場合を例に説明したが、本発明に係るワイヤハーネス寸法検査具11は、これら基端ガイド31、指標ガイド33が、載置面29に描かれた目印、指標であってもよく、この場合においても上記と同様の効果を奏するものである。
【0047】
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。また、本発明の各構成の材質、形状、寸法、形態、数量、配置箇所等は、本発明の目的を達成できるものであれば、任意であり、前述した各実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0048】
11 ワイヤハーネス寸法検査具
13 ワイヤハーネス
21 一端部
25 他端部
29 載置面
31 基端ガイド
33 指標ガイド
35 指標
37 基準線部
39 位置合わせ部
41 直線ガイド壁
43 点
45 傾斜辺部
47 傾斜ガイド壁
51 マイナス公差側範囲部(表示部)
53 プラス公差側範囲部(表示部)
57 補助線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスの載置面に、基端ガイドと指標ガイドとを設けて、前記ワイヤハーネスの一端部を前記基端ガイドに位置合わせし、前記ワイヤハーネスの他端部が一致する前記指標ガイドの指標にて前記ワイヤハーネスの寸法を検査するワイヤハーネス寸法検査具であって、
前記載置面には前記寸法の方向に延在する基準線部が設けられ、
前記基端ガイドは、前記基準線部に直交する位置合わせ部を有し、
前記指標ガイドは、前記位置合わせ部からの前記寸法となる前記基準線部の上の点を通る傾斜辺部を有し、
前記指標は、前記点を挟み前記寸法の公差の範囲で前記傾斜辺部に設けられた異なる表示部を有することを特徴とするワイヤハーネス寸法検査具。
【請求項2】
請求項1記載のワイヤハーネス寸法検査具であって、
前記位置合わせ部は、直線ガイド壁からなり、
前記傾斜辺部は、傾斜ガイド壁からなり、
前記載置面には、前記基準線部を挟んで該基準線部と平行な複数の補助線部が設けられていることを特徴とするワイヤハーネス寸法検査具。
【請求項3】
ワイヤハーネスの載置面に、基端ガイドと指標ガイドとを設けて、前記ワイヤハーネスの一端部を前記基端ガイドに位置合わせし、前記ワイヤハーネスの他端部が一致する前記指標ガイドの指標にて前記ワイヤハーネスの寸法を検査するワイヤハーネス寸法検査具を用いた寸法検査方法であって、
前記ワイヤハーネスを前記載置面に置いて、前記ワイヤハーネスの一端部を前記基端ガイドに一致させ、
前記基端ガイドからの前記寸法となる前記基準線部の上の点を通る傾斜辺部に、前記基準線部と平行に置いた前記ワイヤハーネスの他端部を一致させ、
前記ワイヤハーネスの他端部が一致する、前記点を挟み前記寸法の公差の範囲で前記傾斜辺部に設けられた表示部を読み取ることを特徴とするワイヤハーネス寸法検査具を用いた寸法検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−13649(P2012−13649A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153088(P2010−153088)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】