説明

ワークの研削方法

【課題】割れ易い方向を有する電子部品素子が集合されているワークの厚みをインフィード研削により薄くすることができ、しかも電子部品素子の割れや欠けが生じ難い、ワークの研削方法を提供する。
【解決手段】回転駆動されるチャックテーブル12の回転中心Oがワーク6の下面の外側に位置するようにチャックテーブル12上にワーク6を配置し、チャックテーブル12を回転させつつ、ワーク6の上面に、チャックテーブル12と同一方向に回転駆動されている研削ホイール13を当接させ、ワーク6を上面から研削する、ワークの研削方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電子部品素子に分割することが予定されているワークを研削するワークの研削方法に関し、より詳細には、インフィード研削によりワークを研削し、ワークの厚みを薄くするワークの研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の薄型化にともなって、シリコンなどからなる半導体ウェーハの厚みを薄くするために、様々な研削方法が用いられている。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、図9に示すワーク研削装置が開示されている。ワーク研削装置101では、ワーク103が、回転駆動されるチャックテーブル104上に載置されている。
【0004】
また、ワーク103の上方には、研削ホイール105が配置されている。研削ホイール105は、チャックテーブル104と同方向に、ただしチャックテーブル104よりも高速で回転駆動される。研削ホイール105は、回転軸106の周りに回転駆動されるが、上下方向移動装置107により上下方向に移動され得る。研削に際しては、チャックテーブル104の上面において、回転中心上に、ワーク103の下面の中心が位置するように、ワーク103を載置する。そして、回転しているワーク103の上面に、研削ホイール105を当接させ、ワーク103を研削する。この場合、ワーク103の上面の全面を均一に研削するために、研削ホイール105の下面の回転による軌道がワーク103の上面の回転中心を通過するように、研削ホイール105が、ワーク103の上面に当接される。このように、ワークと、研削ホイールの双方を同方向に回転させつつ研磨する方法は、インフィード研削と称されている。
【0005】
他方、下記の特許文献2には、インフィード研削と、クリープフィード研削とを組み合わせたウェーハの研削方法が開示されている。特許文献2では、まず、特許文献1に記載のインフィード研削方法と同様にして、半導体ウェーハを研削する。図10に示すように、特許文献2に記載の研削方法では、回転駆動されるチャックテーブル111上に、ウェーハ112が載置されている。図10では、ウェーハ112は、既にインフィード研削により研削された後の状態とされている。インフィード研削では、チャックテーブル111の回転中心が、円盤状のウェーハ112の中心に位置するようにウェーハ112をチャックテーブル111上に載置する。次に、チャックテーブル111を回転しつつ、研削ホイールによりウェーハ112の上面を研削する。
【0006】
インフィード研削によれば、図10に示すように、ウェーハ112の回転中心112aから、放射状に径方向外側に延びる多数の研削痕113が生じる。このような研削痕113をなくすために、特許文献2に記載の研削方法では、インフィード研削されたウェーハ112をチャックテーブル111を図示の矢印A方向に移動させつつ、図示の矢印B方向に回転されている研削ホイール114によりさらに研磨する。すなわち、クリープフィード研削によりさらにウェーハ112を研削する。従って、上記研削痕113をなくし、上面が平滑なウェーハを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−32252号公報
【特許文献2】特開2010−16181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のようなインフィード研削では、図10に示したような研削痕113が多数生じる。ところで、シリコンなどからなるワークは、結晶方位により、へき開しやすい方向すなわち割れ易い方向がある。従って、ワークのなかに、上記研削痕の延びる方向が、割れ易い方向と一致していたり、割れ易い方向に近い領域が存在する。このような領域では、ワークを分割する工程において、個片化されたチップの割れや欠けが生じやすいという問題があった。
【0009】
特許文献2に記載の研削方法では、クリープフィード研削によりこのような研削痕をなくすことができるとされている。しかしながら、インフィード研削と、クリープフィード研削とを組み合わせるため、研削装置が複雑となり、装置のコストが高くつくという問題があった。加えて、インフィード研削により厚みが薄くなったウェーハをさらにクリープフィード研削すると、ウェーハの搬送等の作業中にウェーハが割れたり、欠けたりするという問題もあった。
【0010】
上記のような問題を有するため、クリープフィード研削は、実際にはあまり広く用いられていないのが現状である。
【0011】
なお、半導体素子に限らず、様々な電子部品素子において、薄型化を果たすために、集合体の段階で厚みを薄くすることが求められている。従って、上記のような研削方法は、ウェーハだけでなく、様々な電子部品素子集合体の研削にも用いられている。しかしながら、やはり割れ易い方向を有する電子部品素子等が集合されている集合体では、研削後の電子部品素子において、割れや欠けが生じるおそれがあった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、割れ易い方向を有する電子部品素子が集合されているワークの厚みを、インフィード研削により薄くすることができ、しかも電子部品素子の割れや欠けが生じ難い、ワークの研削方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るワークの研削方法は、複数の電子部品素子に分割されることが予定されている集合体であり、割れ易い方向を有するワークを研削するワークの研削方法であって、回転駆動されるテーブルの回転中心が前記ワークの下面の外側に位置するように前記テーブル上に前記ワークを配置して前記テーブルを回転させる工程と、回転している前記テーブル上の前記ワークの上面に、前記テーブルと同一方向に回転駆動されている研削ホイールを当接させ、前記ワークを上面から研削する工程とを備える、ワークの研削方法である。
【0014】
本発明に係るワークの研削方法のある特定の局面では、前記研削ホイールにより前記ワークを研削した際に前記ワーク上面に形成される研削痕が延びる方向が、前記ワークの割れ易い方向と交差する方向である。従って、割れや欠けを確実に抑制することができる。
【0015】
本発明に係るワークの研削方法の他の特定の局面では、前記テーブル上に、複数の前記ワークを各ワークの下面の外側に前記テーブルの回転中心が位置するように配置し、前記研削ホイールにより前記複数のワークを研削する。この場合には、生産性を高めることができる。
【0016】
本発明に係るワークの研削方法のさらに他の特定の局面では、前記複数のワークが、前記テーブル上において、前記回転中心の周りにおける周方向に均一に分散配置されている。この場合には、さらに加工効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るワークの研削方法では、チャックテーブルの回転中心がワークの下面の外側に位置するようにワークを配置し、チャックテーブルを回転させつつ、研削ホイールをワークの上面に当接させてワークを研削するため、研削痕がワークの中心から放射状に延びずに、ワークの上面において、ほぼ同じ方向に研削痕が延びることとなる。従って、ワークの割れ易い方向と、研削痕が交差するようにワークをチャックテーブル上に配置することにより、研削後のワークや、ワークを分割して得られる電子部品素子の割れや欠けを確実に抑制することができる。
【0018】
よって、装置及び工程が複雑なクリープフィード研削を併用することなく、簡便なインフィード研削により、高い生産性で割れや欠けが生じ難い電子部品素子を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態のワークの研削方法における、チャックテーブル、ワーク及び研削ホイールの位置関係を説明するための模式的平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るワークの研削方法に用いられる研削装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態におけるワーク研削工程によりワークが研削される過程を説明するための各模式的正面断面図である。
【図4】比較例のワークの研削方法におけるチャックテーブル、ワーク及び研削ホイールの位置関係を示す模式的平面図である。
【図5】比較例のワークの研削方法において、ワーク内の各電子部品チップにおけるクラックを説明するための実体顕微鏡写真である。
【図6】比較例のワークの研削方法における回転中心位置と、ワーク中のクラック及びチッピングが生じている部分との関係を示す模式的平面図である。
【図7】実施形態のワークの研削方法における回転中心位置と、ワーク中のクラック及びチッピングが生じている部分との関係を示す模式的平面図である。
【図8】本発明の変形例に係るワークの研削方法におけるワーク、チャックテーブル及び研削ホイールの位置関係を説明するための模式的平面図である。
【図9】従来のワーク研削装置を説明するための模式的正面図である。
【図10】従来のワークの研削方法の他の例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
本発明の一実施形態に係るワークの研削方法として、基板上に実装された複数の弾性表面波素子チップが樹脂により一体化されたワークを研削する工程を説明する。
【0022】
図3(a)に示すように、アルミナからなる基板1上に、複数の電極ランド2a,2bを備える領域が複数形成されている。各領域に、LiTaOからなる圧電基板を用いたSAW素子チップ3がフリップチップボンディング法により実装されている。すなわち、各SAW素子チップ3の入出力用および接地用のパッド(図示せず)は、バンプ4a,4bを介して、電極ランド2a,2bに電気的に接続されている。さらに、基板1上には、複数のSAW素子チップ3を被覆するように、樹脂層5が形成されている。以上のように、ワーク6は基板1に実装された複数のSAW素子チップ3が樹脂層5により一体化されて成るSAW素子の集合体である。したがって、後にワーク6が分割されることにより、個片化した複数のSAW素子が得られる。
【0023】
本実施形態のワークの研削方法では、図3(a)に示す上記ワーク6を上面から研磨し、図3(b)及び(c)に示すように、その厚みを薄くしていく。図3(b)では、ワーク6の上面から樹脂層5を研削し、SAW素子チップ3の圧電基板の上面が露出している状態とされている。本実施形態では、ワーク6をさらに研磨し、図3(c)に示すように、SAW素子チップ3の圧電基板の厚みを薄くするように、ワーク6を研削する。それによって、目的とする厚みの圧電基板を有するSAW素子チップ3が得られる。
【0024】
上記ワーク6を研削するにあたり、図2に示すワーク研削装置11を用いる。ワーク研削装置11は、図9に示した従来のインフィード研削に用いられるワーク研削装置101とほぼ同様に構成されている。すなわち、回転駆動されるチャックテーブル12上にワーク6を載置し、真空吸着して固定する。チャックテーブル12は、ワーク研削装置11に内蔵されているモーターなどの回転駆動源により回転駆動される。
【0025】
他方、研削ホイール13が上下方向移動装置14に接続されている。上下方向移動装置14により、研削ホイール13は上下方向に移動される。また、研削ホイール13は回転軸15に連結されており、回転軸15を回転駆動することにより、研削ホイール13が回転駆動される。研削ホイール13は、略円盤状の支持部13aの下面に、円環状のホイール部13bが連ねられた形状を有する。円環状のホイール部13bの下面には、周方向に沿って複数の砥石が固定されている。
【0026】
図1は、チャックテーブル12と、ワーク6と、上記研削ホイール13のホイール部13bとの位置関係を示す模式的平面図である。ここでは、複数の砥石を図示するために、研削ホイール13の支持部13aを省略し、ホイール部13bを透かし、下方の複数の砥石13cを図示している。複数の砥石13cは、ホイール部13bの周方向において均等な間隔で分散配置されている。
【0027】
本実施形態のワークの研削方法の特徴は、図1に示すように、チャックテーブル12の回転中心Oが、ワーク6の下面の外側に位置するようにワーク6をチャックテーブル12上に載置し研磨を行うことにある。言い換えれば、回転中心Oの外側の位置にワーク6を配置する。ワーク研削装置11では、チャックテーブル12を図示の矢印で示すように回転中心Oの周りに、反時計周りに回転させる。
【0028】
他方、研削ホイール13もまた、反時計方向すなわちチャックテーブル12と同一方向に回転される。すなわち、図示の矢印で示すように円環状のホイール部13bの中心Pの周りに、反時計周りにホイール部13bを回転する。研削ホイール13の回転速度は、チャックテーブル12の回転速度よりも高くされている。
【0029】
研削ホイール13が回転されると、ホイール部13bの下面に固定されている複数の砥石13cが、反時計回りに移動する。この砥石13cの移動による軌跡は円を描くこととなる。
【0030】
ワーク6の研削に際しては、図2に示した上下方向移動装置14を駆動し、回転されている研削ホイール13をワーク6の上面に当接させる。従って、上記円の軌跡を描いている砥石13cにより、ワーク6の上面が研削される。この場合、上記砥石13cの移動による軌跡である円が、回転中心Oを通るように研削ホイール13をチャックテーブル12に対して位置決めしておく。
【0031】
チャックテーブル12が回転し、ワーク6は、チャックテーブル12上において、回転中心Oの周りに反時計方向に回転される。そして、研削ホイールのホイール部13bが上記のように反時計方向に相対的に高い回転速度で回転されることになる。従って、ワーク6の上面の全面が、研削ホイール13により研磨される。よって、ワーク6の上面が、図3(a)に示す状態から図3(c)に示す状態まで薄くなるように、すなわちワーク6の厚みを薄くするようにワーク6を研削することができる。
【0032】
上記のように、本実施形態のワークの研削方法は、装置及び工程が比較的簡単なインフィード研削法である。インフィード研削法では、ワーク6の上面に研削痕が生じる。しかしながら、ワーク6がチャックテーブル12上において、回転中心Oから外れた位置に載置されているため、ワーク6の上面に形成される複数の研削痕Sは、ほぼ同じ方向に延びることとなる。ここで、ほぼ同じ方向とは、必ずしも複数の研削痕Sが平行であることを意味せず、曲線状の研削痕Sが、所定の間隔を隔てて略同じ方向に延びていることを意味する。
【0033】
従って、ワーク6において、割れや欠けが生じやすい方向が存在する場合、割れや欠けが生じやすい方向と研削痕Sが交差する方向となるように、ワーク6を配置しておけば、ワーク6における割れや欠けを抑制することができる。また、ワーク6を各SAW素子チップ3が実装された領域毎に分割して得られる個々のSAW素子における割れや欠けも抑制することができる。
【0034】
このような本実施形態による効果を、図4に示す比較例の研削方法と対比することにより具体的に説明する。
【0035】
図4は、特許文献1に記載のような従来のインフィード研削によるワークの研削方法を説明するための模式的平面図である。ここでは、対比を容易とするために、チャックテーブル及び研削ホイールの参照番号は、上記実施形態と同一とする。従来のインフィード研削法では、チャックテーブル12の回転中心Oに、ワークWの下面の中心が位置するようにワークWをチャックテーブル12上に載置する。そして、研削ホイール13の研削砥石13cの描く軌跡が回転中心Oを通るように研削ホイール13を位置決めし、回転させる。この場合、ワークWは回転中心Oの周りに回転される。従って、ワークWの上面の全面を研削することはできるが、研削痕121は、ワーク6の上面において、回転中心Oから放射状に延びることとなる。従って、複数の研削痕121の方向は、様々である。よって、ワークWにおいて、割れ易い方向が、例えば、矩形のワークWの上面の対角線方向と平行な方向である場合、該方向と近い研削痕121が生じている部分では、ワークWの割れや欠けが生じやすくなる。
【0036】
これに対して、図1に示すワーク6では、複数本の研削痕Sは、矩形の平面形状を有するワーク6の一方の長辺側から他方の長辺側に延びるように略同じ方向とされている。従って、例えばワークの割れ易い方向が対角線方向や一対の短辺を結ぶ方向である場合には、割れ易い方向と研削痕Sの方向が交差しているため、ワーク6における割れや欠けが生じ難い。
【0037】
本実施形態では、上述したように、図3(a)〜(c)に示すように、樹脂層5の厚みを研削し、さらにSAW素子チップ3の圧電基板の厚みを薄くするまで研削する。圧電基板がLiTaOからなる場合、LiTaOの結晶方位によりへき開しやすい方向が存在する。
【0038】
図5は、上記ワーク6を、図4に示した比較例の方法で研削した場合の各SAW素子チップの圧電基板部分におけるクラックが発生している状態を示す実体顕微鏡写真である。ここで、平面形状は矩形の複数の圧電基板の上面がマトリクス状に配置されている構造が示されている。この複数の圧電基板において、矢印で示すように、略対角線方向に延びるクラックが生じている。LiTaOやLiNbOなどの圧電単結晶では、結晶方位により、へき開方向が存在する。本実施形態では、図5に矢印で示すクラックの方向は、本実施形態で用いられているLiTaOのへき開方向に相当する。従って、へき開方向と、上記研削痕が一致もしくは近接している場合、図示のようなクラックが生じているものと考えられる。
【0039】
上記比較例におけるワークW内の複数の圧電基板における上記クラックやチッピングが生じている部分の分布を図6に模式的に平面図で示す。図6は、ワークW内に位置しているマトリクス状に配置されたSAW素子チップの位置を模式的に示し、斜線のハッチングで付した部分Bが、SAW素子チップの圧電基板において上記のようなクラックもしくはチッピングが生じている部分を示す。すなわち、図6のハッチングが付されている部分Bが、上記クラックが生じている部分を示す。また、逆向きの斜めのハッチングが付されたSAW素子チップ部分Cでは、チッピングが生じていることを示す。なお、チッピングとは、圧電基板の欠けが生じているものをいうものとする。
【0040】
図6から明らかなように、回転中心Oに対し、ワークの対角線方向に沿ってチッピングやクラックが多く生じていることがわかる。
【0041】
図7は、上記実施形態において、同様にワーク6を研削した場合のチッピングやクラックが生じている部分の分布を示す模式的平面図である。図7から明らかなように、上記実施形態では、クラックやチッピングがほとんど生じていないことがわかる。
【0042】
これは、上述したように、ワーク6が、チャックテーブル12の回転中心Oからずらされており、複数の研削痕Sは、矩形のワークの一対の長辺を結ぶ方向に延びており、使用しているLiTaOのへき開方向と交差しているためである。
【0043】
よって、使用しているワークにおける割れ易い方向、例えば上記のような単結晶のへき開方向と、研削痕が交差するようにワークを配置すれば、上記実施形態のように、ワークにおけるクラックや欠けを効果的に抑制し得ることがわかる。
【0044】
なお、ワーク6をチャックテーブル上に載置するにあたっては、上記のように回転中心Oがワークの下面に位置しないように、ワーク6を回転中心からずらせばよく、その場合のずらし方については、ワーク6における割れ易い方向と研削痕の延びる方向が交差するように考慮すればよい。このワークの割れ易い方向は、使用するワーク6の材質により予め既知である。また、研削痕の方向は、ワーク6の載置位置と、研削ホイール13に設けられた複数の砥石13cの描く軌跡とにより容易に推測することができる。従って、上記割れ易い方向と研削痕が交差するようにワーク6をチャックテーブル12上に載置することは、容易に行い得る。
【0045】
上記実施形態では、LiTaOの研削によるクラックやチッピングを抑制したが、本発明は、LiTaOやLiNbOなどの圧電単結晶に限らず、シリコンウェーハなどの半導体ウェーハ、あるいは半導体以外の様々な材料からなる、ただし特定の方向に割れ易い方向を有する電子部品材料の研削に広く用いることができる。
【0046】
また、上記実施形態では、図1に示したように、チャックテーブル12上に、1つのワーク6を配置したが、図8に示すように、複数のワーク6A〜6Dをチャックテーブル12上に回転中心Oの周りにおける周方向に均一に分散配置し、研削してもよい。この場合においても、複数のワーク6A〜6Cは、回転中心Oがワーク6A〜6Dの下面の外側に位置するように、言い換えればチャックテーブル12の回転中心Oからはずれたところにワーク6A〜6Dを配置すればよい。それによって、複数のワーク6A〜6Dを同時に研磨でき、上記実施形態に比べて生産性を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…基板
2a,2b…電極ランド
3…SAW素子チップ
4a,4b…バンプ
5…樹脂層
6,6A〜6D…ワーク
11…ワーク研削装置
12…チャックテーブル
13…研削ホイール
13a…支持部
13b…ホイール部
14…上下方向移動装置
15…回転軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品素子に分割されることが予定されている集合体であり、割れ易い方向を有するワークを研削するワークの研削方法であって、
回転駆動されるテーブルの回転中心が前記ワークの下面の外側に位置するように前記テーブル上に前記ワークを配置して前記テーブルを回転させる工程と、
回転している前記テーブル上の前記ワークの上面に、前記テーブルと同一方向に回転駆動されている研削ホイールを当接させ、前記ワークを上面から研削する工程とを備える、ワークの研削方法。
【請求項2】
前記研削ホイールにより前記ワークを研削した際に前記ワーク上面に形成される研削痕が延びる方向が、前記ワークの割れ易い方向と交差する方向である、請求項1に記載のワークの研削方法。
【請求項3】
前記テーブル上に、複数の前記ワークを各ワークの下面の外側に前記テーブルの回転中心が位置するように配置し、前記研削ホイールにより前記複数のワークを研削する、請求項1または2に記載のワークの研削方法。
【請求項4】
前記複数のワークが、前記テーブル上において、前記回転中心の周りにおける周方向に均一に分散配置されている、請求項3に記載のワークの研削方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−40653(P2012−40653A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185067(P2010−185067)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】