説明

一方向に整列した繊維を含む補強当て布

マスチックと、そのマスチックの第1の主表面に少なくとも部分的に埋め込まれた複数の一方向に整列した繊維とを含む補強当て布が記載される。一般に、一方向に整列した繊維の少なくとも90%は、一方向に整列した繊維の平均整列軸の+/−10°以内に整列軸を有するよう配向される。封入樹脂及び被覆層を含む補強当て布も記載される。補強パネルを用いるパネルの補強方法、及び当て布を用いて補強されたパネルも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補強当て布、例えば、金属パネルを強化し、強固にするために用いられる補強当て布に関する。補強当て布は、一方向に整列した補強繊維及びマスチックを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
簡潔に述べると、1つの態様では、本開示は、マスチックと、そのマスチックの第1の主表面に少なくとも部分的に埋め込まれた複数の一方向に整列した繊維とを含む補強当て布を提供する。繊維の少なくとも90%は、一方向に整列した繊維の平均整列軸の+/−10°以内に整列軸を有するよう配向される。
【0003】
幾つかの実施形態では、マスチックは、熱硬化性エポキシ樹脂を含む。幾つかの実施形態では、マスチックは、熱硬化性エポキシ樹脂、アクリルコポリマー、及びミクロスフィアを含み、例えば、幾つかの実施形態では、マスチックは、エポキシ樹脂、アクリルコポリマー、及びミクロスフィアの総重量に基づいて、40〜65重量部のエポキシ樹脂と、10〜30重量部のアクリルコポリマーと、25〜35重量部のミクロスフィアとを含む。
【0004】
幾つかの実施形態では、複数の繊維は、ガラス繊維を含む。幾つかの実施形態では、少なくとも95%の繊維が単繊維である。幾つかの実施形態では、繊維の少なくとも95%の整列軸が、一方向に整列した繊維の平均整列軸の+/−10°以内にある。幾つかの実施形態では、繊維の少なくとも90%の整列軸が、一方向に整列した繊維の平均整列軸の+/−5°以内にある。
【0005】
幾つかの実施形態では、補強当て布は、一方向に整列した繊維の平均整列軸の+/−10°超にある整列軸を有する軸外繊維を更に含む。幾つかの実施形態では、隣接する軸外繊維間の平均間隙と隣接する配向繊維間の平均間隙との比は、少なくとも50:1である。
【0006】
幾つかの実施形態では、繊維は、マスチックに完全に埋め込まれている。幾つかの実施形態では、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%の繊維が、マスチックに部分的にしか埋め込まれていない。幾つかの実施形態では、補強当て布は、マスチック表面に隣接する封入樹脂を更に含む。幾つかの実施形態では、封入樹脂は、接着剤を含む。幾つかの実施形態では、補強当て布は、封入樹脂に接合された被覆層を更に含む。幾つかの実施形態では、補強当て布は、繊維の反対側の、マスチックの第2の主表面に接触する剥離ライナを更に含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、補強当て布でパネルを補強する方法を提供する。その方法は、マスチックを用いてパネルに補強当て布を接着させ、マスチックを硬化させることを含む。
【0008】
更に別の態様では、本開示は、パネルと、マスチックによりパネルに接合された補強当て布とを含む補強されたパネルを提供する。
【0009】
本開示の上記の概要は、本発明の各実施形態を説明することを意図したものではない。また、本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガラスマット織物を含む先行技術の補強当て布を示す。
【図2】本開示の幾つかの実施形態に係る代表的な補強当て布を示す。
【図3】本開示の幾つかの実施形態に係る代表的な補強当て布の断面図を示す。
【図4】本開示の幾つかの実施形態に係る封入樹脂を含む代表的な補強当て布の断面図を示す。
【図5】本開示の幾つかの実施形態に係る被覆層及び剥離ライナを含む代表的な補強当て布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一般に、補強当て布は、補強材料及びマスチックを含む。マスチックを用いて、補強される基材に補強当て布を接着し、パネルの曲げ応力を補強材料に伝達する。補強当て布を用いて、パネル、例えば、金属及びプラスチックパネルを強化し、強固にする。例えば、自動車産業では、低印加応力における曲げ強度を改善し、不所望の座屈を避けるために、低ゲージ金属パネル、特に自動車のドア、ボンネット、及びトランクに用いられるパネルと共に、補強当て布を用いてきた。
【0012】
既存の補強当て布は、典型的には、ガラス織物裏材と、硬化性エポキシマスチックとを含む。ガラス織物裏材は適切な性能を提供していたが、低コスト、低重量の補強当て布を見出すための努力も行われてきた。例えば、無機布地、有機布地、プラスチックフィルム、紙、不織布、及び金属箔が提案されてきた。本発明者らは、このような材料をスクリーニングした。木綿(有機布地)、プラスチック、紙、及び短繊維ガラスシートは、十分な強度及び弾性率に欠けていた。金属箔(アルミニウム及びステンレス鋼)は、強度及び剛性を付与したが、熱膨張の差により、金属箔が取り付けられた鋼パネルが歪んだ。
【0013】
一般に、織布(例えば、ガラス繊維織物)及び有機布地は、少なくとも二方向に配向された繊維を含む。例えば、図1を参照すると、ガラス繊維織物10は、マスチック30を介してパネル40に接着されている。ガラス繊維織物10は、第1の繊維21と、第1の繊維21に対して垂直に配向された第2の繊維22とを含む。したがって、パネル40が曲がると、第1の繊維21は、x方向の変形に耐える、一方、第2の繊維22は、y方向の変形に耐える。同様に、不織布、プラスチックフィルム、紙、及び金属箔は、x方向及びy方向の両方の変形に耐える。
【0014】
本発明者らは、一方向に整列した繊維が、一方向の変形にしか耐えないにもかかわらず、低コストの歪まない補強をもたらすことを見出した。一般に、補強当て布に用いることが知られている繊維のいずれを用いてもよい。幾つかの実施形態では、無機繊維、例えば、ガラス繊維を用いることができる。他の代表的な繊維としては、炭素繊維、高分子繊維(例えば、ポリアミド及びポリイミド繊維)、及び有機繊維(例えば、天然繊維)が挙げられる。
【0015】
幾つかの実施形態では、繊維は、単一の個々の繊維である。幾つかの実施形態では、繊維は、集められて(例えば、撚り合わせられて)、多繊維束を形成し得る。
【0016】
単繊維の整列軸は、その繊維の主軸、即ち、繊維の長さ方向である。複数の繊維の整列軸は、複数の繊維内の繊維の平均整列軸である。本明細書で使用するとき、個々の繊維は、整列軸が、複数の繊維内の繊維の平均整列軸の+/−10°以内にある場合、「配向されている」。本明細書で使用するとき、複数の繊維は、繊維の少なくとも90%が配向されている場合(即ち、繊維の少なくとも90%の整列軸が、複数の繊維内の繊維の平均整列軸の+/−10°以内にある場合)、「一方向に整列している」。幾つかの実施形態では、少なくとも95%、又は更には少なくとも98%の繊維が、複数の繊維内の繊維の平均整列軸の+/−10°以内に整列している。幾つかの実施形態では、少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、又は更には少なくとも98%)の繊維の整列軸が、複数の繊維内の繊維の平均整列軸の+/−5°以内(例えば、+/−2°以内)にある。
【0017】
繊維を提供する方法によって、比較的少数の繊維が、複数の繊維内の繊維の平均整列軸に対して、10°超(例えば、45°超、又は更には75°超(例えば、約90°))の整列軸を有し得る。単位長さ当たりの、このような「軸外」繊維数は、典型的には、単位長さ当たりの配向繊維数よりも遥かに少ない。例えば、幾つかの実施形態では、隣接する軸外繊維間の平均間隙と、隣接する配向繊維間の平均間隙との比は、少なくとも50:1であり、幾つかの実施形態では、少なくとも100:1、少なくとも500:1、又は更には少なくとも1000:1である。
【0018】
幾つかの実施形態では、隣接する配向繊維間の平均間隙は、繊維の平均幅よりも小さい。幾つかの実施形態では、平均間隙は、繊維の平均幅の80%以下、例えば、繊維の平均幅の50%以下、25%以下、又は更には10%以下である。幾つかの実施形態では、配向繊維の少なくとも一部は、隣接する配向繊維に接触している。対照的に、織布ウェブでは、一方向に整列している隣接繊維(例えば、ダウンウェブ繊維)は、少なくとも織り合わせられた繊維(例えば、クロスウェブ繊維)の幅だけ隔てられている。
【0019】
図2を参照すると、パネル140に接着されている、本開示の幾つかの実施形態に係る代表的な補強当て布100が示されている。補強当て布100は、マスチック130と、一方向に整列した繊維120とを含む。一方向に整列した繊維120は、主に配向繊維121を含むが、幾つかの実施形態では、幾つかの軸外繊維122を含んでもよい。
【0020】
一般に、既知のマスチックのいずれを用いてもよい。幾つかの実施形態では、マスチックは、硬化性材料、例えば、熱硬化性材料を含む。幾つかの実施形態では、マスチックは、エポキシ樹脂を含む。マスチックの選択は、繊維の組成、及び補強布地が適用される基材、及び利用可能な硬化条件を含む、広範な要因に依存し得る。例えば、自動車産業では、補強当て布は、油のついた、未塗装の金属パネルに直接適用されることが多く、マスチックは、従来の乾燥プロセス中に硬化される。このようなプロセス条件に加えて、マスチックの選択はまた、温度及び水分への曝露を含む最終用途パラメータにも依存し得る。
【0021】
幾つかの実施形態では、マスチックは、エポキシ樹脂と硬化剤とを含む。代表的なエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシド、エポキシ化ノボラック樹脂、エポキシ化ビスフェノールA又はビスフェノールF樹脂、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、軟化エポキシ樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの樹脂は、カルボキシ終端ブタジエンアクリロニトリルと反応して、ゴム変性エポキシ樹脂を生成し得る。ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルは、カルボキシ終端ブタジエンアクリロニトリルと反応して、剥離強度及び衝撃耐性の改善された架橋性樹脂を生成した。
【0022】
幾つかの実施形態では、マスチックは、可塑剤、難燃剤、流動制御剤、充填剤等の添加剤を含んでもよい。幾つかの実施形態では、硬化剤を用いてもよい。代表的な硬化剤としては、ルイス酸、置換イミダゾール、及びアミン塩が挙げられる。マスチックはまた、適当な触媒(例えば、フェニルジメチル尿素等の置換尿素触媒)を含んでもよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、マスチックは、熱硬化性エポキシ樹脂、アクリルコポリマー、及びミクロスフィア(例えば、ガラスミクロスフィア)を含む。幾つかの実施形態では、マスチックは、40〜65重量部のエポキシ樹脂と、10〜30重量部のアクリルコポリマーと、25〜35重量部のミクロスフィアとを含む。幾つかの実施形態では、マスチックは、40〜55(例えば、44〜46)重量部のエポキシ樹脂と、15〜25(例えば、23〜25)重量部のアクリルコポリマーと、25〜35(例えば、27〜29)重量部のミクロスフィアとを含む。重量部は、エポキシ、アクリルコポリマー、及びミクロスフィアの総重量に基づく。
【0024】
ビーム剛性は、ビーム厚さの第3の力と共に増加する。同様に、パネルに補強当て布を適用することによりもたらされる剛性の向上は、補強繊維からパネルを隔てている距離の3乗と共に増加する。補強繊維のパネルへの接着に加えて、マスチックは、パネルと補強繊維との間に所望の間隙を提供するために用いられる。しかし、この間隙を増加させるためにマスチックの厚さを増加させると、不所望に原材料のコストが高くなる場合がある。
【0025】
パネルと補強繊維との間の距離を最大化するために、幾つかの実施形態では、マスチック表面に直接繊維を適用することが望ましい場合もある。幾つかの実施形態では、繊維は、部分的にマスチックに埋め込まれてもよい。いずれの場合にも、繊維の少なくとも一部は、マスチック表面上に露出したままである。1つのこのような代表的な補強当て布の断面図を図3に示す。補強当て布211は、マスチック230と、複数の一方向に整列した補強繊維221とを含む。繊維221は、繊維の一部が露出した状態で、マスチック230の上面に部分的に埋め込まれている。幾つかの実施形態では、繊維は、完全にマスチックに埋め込まれてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、図4に示すように、繊維を封入することが望ましい場合もある。補強当て布212は、マスチック230と、複数の一方向に整列した補強繊維221とを含む。封入材料250は、マスチック230により露出した状態で残されている繊維表面を被覆する。一般に、既知の封入樹脂のいずれを用いてもよい。幾つかの実施形態では、非硬化性、非構造材料を用いてもよい。幾つかの実施形態では、封入剤は、接着剤であってもよい。幾つかの実施形態では、接着剤は、非構造接着剤である。幾つかの実施形態では、接着剤は感圧接着剤である。
【0027】
幾つかの実施形態では、更なる層を含んでもよい。図5を参照すると、補強当て布213は、封入材料250に接着されている更なる被覆層260を含む。例えば、摩擦及び水分から保護することに加えて、被覆層260はまた、補強当て布に更なる剛性をもたらし得る。代表的な被覆層は、高分子フィルム、例えば、熱可塑性高分子フィルム又はセルロースを含む。幾つかの実施形態では、材料は、マスチックを硬化するために用いられる温度で用いるのに好適でなければならない。幾つかの実施形態では、ポリエステルは、例えば、硬化したエポキシマスチックと共に用いるのに有用であり得る。
【0028】
繊維の保護に加えて、封入剤及び/又は被覆層は、マスチック自体を保護することができる。例えば、エポキシ材料は、水分を吸収し、それによって保存安定性が低下することが多い。幾つかの実施形態では、封入剤及び/又は被覆層は、保存中の水分侵入を遅らせるバリアを提供し、それにより保存安定性を高める。
【0029】
図5を参照すると、幾つかの実施形態では、補強繊維221の反対側の、マスチック230の下面に隣接する層を含むことが望ましい場合がある。例えば、幾つかの実施形態では、剥離ライナ270を用いて、加工、輸送、保存、及び取り付け中の補強当て布の取り扱いに役立つことができる。代表的な剥離ライナは、シリコーン処理された紙及びフィルムを含む。
【0030】
一方向に整列した補強繊維は、マスチックの表面に直接適用され得る。次いで、任意の追加層を、従来の手段(例えば、コーティング又は積層)を用いて適用してもよい。幾つかの実施形態では、繊維は、1層以上の補強当て布の追加層と共に、マスチックに便利に適用され得る。例えば、幾つかの実施形態では、封入材料に適用された一方向に整列した補強繊維を、マスチックに適用してもよい。幾つかの実施形態では、被覆層は、マスチックへの適用前に、構造に含まれていてもよい。例えば、繊維をマスチックに適用する1つの便利な方法は、被覆層、封入材料の層(例えば、接着剤)、及び封入材料に適用された一方向に整列した補強繊維を含むテープを提供することを含む。次いで、マスチックに封入材料を接合させることにより、構造をマスチックに積層してもよい。あるいは、マスチックは、支持繊維(例えば、キャリア上に整列している繊維又は封入材料に接着されている繊維)の表面に適用(例えば、圧延又はコーティング)してもよい。
【0031】
典型的には、補強当て布は、圧力下で、補強を必要としているパネル表面に接着される。次いで、マスチックは、既知の方法、例えば、熱風オーブン、赤外線加熱、及び誘導加熱を用いて硬化される。この熱硬化処理は、別個の工程であってもよく、又は部品組立の後半段階中、例えば、塗料焼き付けサイクル中の塗装された金属パネルに同時に行ってもよい。
【0032】
幾つかの実施形態では、補強当て布は、パネルに直接適用され得る。一般に、補強シートとパネルとの間は良好に接触することが望ましい。幾つかの実施形態では、補強シートを、適用されるパネル表面と一致するよう成形してもよい。
【0033】
実施例1。ビスフェノールAジグリシジルエーテル(179.2グラム、EPON 828、Heloxy Corp.)と、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、及びイソオクチルアクリレートのアクリルコポリマー(100.8グラム、3M Company)とを、先ず150℃で4時間、次いで40℃で15.5時間、ブラベンダミキサ内で練り合わせた。次いで、EPON 828(1.63グラム)、SCOTCHLITE K37ガラス球(30.45グラム、3M Company)、ジシアンジアミド(2.51グラム)、及びOMICURE 24(1.35グラム、Air Products)を連続的に添加したとき、65℃に設定されたブラベンダミキサ内で一部(72.92グラム)を練り合わせた。得られたエポキシマスチックの一部を、70℃のプレスを用いて、ガラス繊維構造体(890NR、3M Company)と、シリコーン処理されたポリエステルフィルムとの間で加圧した。得られたマスチック層の厚さは、1ミリメートルであり、構造体の面質量は0.8kg/m2であった(剥離ライナは除去されている状態で)。
【0034】
890NRガラス繊維構造体は、ポリエステルフィルム裏材、中間接着層、及び複数の長く、部分的に露出しており、一方向に整列したガラス単繊維を含んでいた。マスチックに適用して補強布地を作製するとき、中間接着層は、封入剤として機能し、ポリエステルフィルム裏材は、被覆層として機能した。
【0035】
25mm×150mmのストリップを平均整列軸の方向に切断し、マスチックを40mm×150mmの鋼パネルに固定した。マスチックを177℃で30分間硬化させ、冷却した。屈曲力は、5mm/分で3点屈曲固定具を用いて測定した。固定具の1本の棒を鋼パネルに押し付け、固定具の2本の棒を補強テープ裏材に押し付けた。2本の棒を100mm離した。補強された構造体は、2mmのたわみで63Nの力を必要とし、最大力(即ち、破断点力)は150Nであった。典型的な工業規格は、2mmのたわみで最低60Nの力、及び少なくとも130Nの破断点力を必要とする。
【0036】
12.75グラムのEPON 828、10.20グラムのアクリルコポリマー、2.55グラムのイソデシルベンゾエート、10.20グラムのSCOTCHLITE K37ガラス球、0.70グラムのジシアンジアミド、及び0.38グラムのOMICURE 24を用いたことを除いて、実施例1を繰り返した。得られたエポキシマスチックの一部を、シリコーン処理されたポリエステルフィルムと幾つかの繊維ガラス裏材の各々との間で加圧した。比較例1(CE−1)の裏材は、二方向に配向されたガラス長繊維(ガラス織物裏材#F 07628 0380 642、BGF Industriesから入手)を含んでいた。比較例2(CE−2)の裏材は、ランダムに配向されたガラス繊維(不織布ガラスマット20103A、Technical Fibers Products製)を含んでいた。実施例2(EX−2)の裏材は、890NR繊維構造体を含んでいた。実施例1のようにサンプルを組み立て、硬化させ、試験した。結果を表1に要約する。
【0037】
【表1】

【0038】
一方向に整列したガラス長繊維を含む補強当て布は、織物マット及び不織布マットに比べて、満足のいく補強特性を有する。
【0039】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスチックと、前記マスチックの第1の主表面に少なくとも部分的に埋め込まれた複数の一方向に整列した繊維と、を含む補強当て布であって、前記一方向に整列した繊維の少なくとも90%が、前記一方向に整列した繊維の平均整列軸の+/−10°以内に整列軸を有するよう配向された、補強当て布。
【請求項2】
前記マスチックが、熱硬化性エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の補強当て布。
【請求項3】
前記マスチックが、前記熱硬化性エポキシ樹脂、アクリルコポリマー、及びミクロスフィアを含む、請求項2に記載の補強当て布。
【請求項4】
前記マスチックが、前記エポキシ樹脂、前記アクリルコポリマー、及び前記ミクロスフィアの総重量に基づいて、40〜65重量部のエポキシ樹脂と、10〜30重量部のアクリルコポリマーと、25〜35重量部のミクロスフィアとを含む、請求項3に記載の補強当て布。
【請求項5】
前記アクリルコポリマーが、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、及びイソオクチルアクリレートの反応生成物を含む、請求項3又は4に記載の補強当て布。
【請求項6】
前記複数の一方向に整列した繊維が、ガラス繊維を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の補強当て布。
【請求項7】
前記一方向に整列した繊維の少なくとも95%が単繊維である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の補強当て布。
【請求項8】
前記一方向に整列した繊維の少なくとも95%の前記整列軸が、前記一方向に整列した繊維の前記平均整列軸の+/−5°以内に存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の補強当て布。
【請求項9】
前記一方向に整列した繊維の前記平均整列軸の+/−10°超の整列軸を有する軸外繊維を更に含み、隣接する軸外繊維間の平均間隙と、隣接する配向繊維間の平均間隙との比が少なくとも50:1である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の補強当て布。
【請求項10】
前記複数の一方向に整列した繊維の少なくとも95%が、前記マスチックに部分的にしか埋め込まれていない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の補強当て布。
【請求項11】
前記マスチックの表面に隣接する封入樹脂を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の補強当て布。
【請求項12】
前記封入樹脂が接着剤を含む、請求項11に記載の補強当て布。
【請求項13】
前記封入樹脂に接合された被覆層を更に含む、請求項11又は12に記載の補強当て布。
【請求項14】
前記被覆層が熱可塑性プラスチックを含む、請求項13に記載の補強当て布。
【請求項15】
前記マスチックを用いて前記補強当て布をパネルに接着させ、前記マスチックを硬化させることを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の補強当て布でパネルを補強する方法。
【請求項16】
パネルと、前記マスチックにより前記パネルに接合された請求項1〜14のいずれか一項に記載の補強当て布と、を含む補強されたパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−505952(P2012−505952A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532155(P2011−532155)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060096
【国際公開番号】WO2010/045100
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】