説明

一部がプラスチック板からなる合わせガラスの製造方法、および合わせガラス

【課題】
軽量性に利点を有する一部がプラスチック板からなる合わせガラスにおいて、反り量が小さく、透視歪みがほとんどなく、中間膜を介するプラスチック板と無機ガラス板との接着性が良好であり、さらには透明性にも優れた新規な合わせガラスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】
軽量性に利点を有する一部がプラスチック板からなる合わせガラスにおいて、プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で60℃まで冷却する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道車両、船舶、建築物の窓に用いられる一部がプラスチック板からなる合わせガラス、および該合わせガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ガラス板を自動車、鉄道車両、船舶、建築物の窓材として用いる場合、これらの窓の耐衝撃性を高める目的、および衝突物の貫通を防止する目的で、一対のガラス板間に、可塑化されたポリビニルブチラール樹脂膜、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜などの中間膜を挟んだ合わせガラスが使用される。
【0003】
しかし、前記無機ガラス板を用いてなる合わせガラスは、重量が重い、衝撃を受けた際に無機ガラス板に割れが発生するという問題がある。これらの問題を解決する目的で、合わせガラスの構成の一部において、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板のような割れにくいプラスチック板を無機ガラス板の代わりに用いた、プラスチック板/中間膜/無機ガラス板のような構成の合わせガラスが使用されている。
【0004】
前記プラスチック板を用いた合わせガラスにおいて、可塑化されたポリビニルブチラール樹脂膜を中間膜として使用した場合には、可塑剤の影響によりプラスチック板の変色や透明性の低下という問題が生じることがある。この問題を回避したい場合には、可塑剤を用いなくても容易に成型可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜などが中間膜として選択される。
なお、前記プラスチック板を用いた合わせガラスは、例えば、特許文献1に、無機ガラス/中間膜(エチレン−酢酸ビニル共重合体)/ポリカーボネートの構成である合わせガラスとして開示されている。
【0005】
しかしながら、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、またはポリウレタン樹脂膜を介して、プラスチック板と無機ガラス板とを接着する工程では、一般的に真空バッグ法、熱プレス法、押圧ロール法またはオートクレーブ法により80℃を超える温度で加熱加圧処理を施す必要があるが、プラスチック板と無機ガラス板との線熱膨張係数の違いが原因となり、加熱圧着処理後の合わせガラスが室温に戻った際に合わせガラスに反りが発生する。
【0006】
合わせガラスに反りが発生した場合、合わせガラスに大きな透視ひずみが発生し、合わせガラスを通して見た対象物の形状が変形して見えるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−35349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するものであり、軽量性に利点を有する一部がプラスチック板からなる合わせガラスにおいて、反り量が小さく、透視歪みがほとんどなく、中間膜を介するプラスチック板と無機ガラス板との接着性が良好であり、さらには透明性にも優れた新規な合わせガラスおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上記課題の解決に次の三通りの手段が有効であることを見出した。
第一の手段として、第一の中間膜が一方の面に接着されたプラスチック板と、第二の中間膜が一方の面に接着された無機ガラス板とを、第一の中間膜と第二の中間膜とを介して貼り合わせるという手段により合わせガラスを製造したところ、反りがなく、また、上記従来の問題を一挙に解決できる合わせガラスが得られることを見出した。さらに、この手段において、上記第一の中間膜と第二の中間膜の十点平均表面粗さをいずれも10μm以下とすることによって、透明性が向上することを見出した。
また、第二の手段として、プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着した後、加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で60℃まで冷却することにより、反りが小さく、透視歪みのない合わせガラスが得られることを見出した。
さらに、第三の手段として、プラスチック板と、無機ガラス板とを、厚みが2.0mmを超え5.0mm未満の中間膜を介して、80℃を超え150℃未満で加熱圧着することにより、反り量が小さく、透視歪みがほとんどなく、中間膜を介するプラスチック板と無機ガラス板との接着性および透明性に優れた合わせガラスが得られることを見出した。
本発明者らは、上記それぞれの知見についてさらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
〔1〕 第一の中間膜が一方の面に接着されたプラスチック板と、第二の中間膜が一方の面に接着された無機ガラス板とを、第一の中間膜と第二の中間膜とを介して貼り合わせる工程を備えたことを特徴とする合わせガラスの製造方法、
〔2〕 第一の中間膜および第二の中間膜の十点平均表面粗さが共に、10μm以下であることを特徴とする前項〔1〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔3〕 貼り合わせる工程を、80℃を超えない温度で実施することを特徴とする前項〔1〕または〔2〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔4〕 第二の中間膜が一方の面に接着された無機ガラス板が、シランカップリング剤が一方の面に塗布された無機ガラス板と第二の中間膜とを、シランカップリング剤を介して接着したものであることを特徴とする前項〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔5〕 第一の中間膜と第二の中間膜とが共に熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする前項〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔6〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜がエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であることを特徴とする前項〔5〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔7〕 エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂中の酢酸ビニル含量(JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に基づいて測定)が20〜40重量%であることを特徴とする前項〔6〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔8〕 エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対して、シランカップリング剤が0.01〜4重量部含有されていることを特徴とする前項〔6〕または〔7〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔9〕 エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対して、粘着性付与剤が1〜40重量部含有されていることを特徴とする前項〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔10〕 エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対して、結晶核剤が0.01〜4重量部含有されていることを特徴とする前項〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔11〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜がエチレン−アクリル共重合体樹脂膜であることを特徴とする前項〔5〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔12〕 エチレン−アクリル共重合体樹脂膜が、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂膜、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂膜およびエチレン−ブチルアクリレート共重合体樹脂膜からなる群より選ばれる一種であることを特徴とする前項〔11〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔13〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、硫黄元素を含んでいてもよい熱可塑性ポリウレタン樹脂膜であることを特徴とする前項〔5〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔14〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜であることを特徴とする前項〔5〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔15〕 プラスチック板の線熱膨張係数が5×10−5cm/cm・℃以上10×10−5cm/cm・℃以下であることを特徴とする前項〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔16〕 プラスチック板がポリカーボネート板であり、かつ該ポリカーボネート板の線熱膨張係数が5×10−5cm/cm・℃以上8×10−5cm/cm・℃以下であることを特徴とする前項〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔17〕 プラスチック板がポリメチルメタクリレート板であり、かつ該ポリメタクリレート板の線熱膨張係数が5×10−5cm/cm・℃以上10×10−5cm/cm・℃以下であることを特徴とする前項〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔18〕 無機ガラス板の線熱膨張係数が、0.01×10−6cm/cm・℃以上100×10−6cm/cm・℃以下である前項〔1〕〜〔17〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、および
〔19〕 前項〔1〕〜〔18〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法により製造された合わせガラス
に関する。
【0011】
また、本発明は、
〔20〕 プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で60℃まで冷却する工程とを備えた合わせガラスの製造方法、
〔21〕 プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で50℃まで冷却する工程とを備えた合わせガラスの製造方法、
〔22〕 プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で40℃まで冷却する工程とを備えた合わせガラスの製造方法、
〔23〕 中間膜が、熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする前項〔20〕〜〔22〕のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法、
〔24〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、平均膜厚が2.0mmを超え5.0mm未満の熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする前項〔23〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔25〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であることを特徴とする前項〔23〕または〔24〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔26〕 前記の30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で冷却する工程は、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜樹脂の補外結晶化終了温度(JIS K 7121(1987)に準拠して測定)よりも10℃高い温度から、中間膜樹脂の補外結晶化開始温度(JIS K 7121(1987)に準拠して測定)よりも10℃低い温度まで、50℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で冷却する工程を含むことを特徴とする前項〔25〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔27〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜であることを特徴とする前項〔23〕または〔24〕に記載の合わせガラスの製造方法、
〔28〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜であることを特徴とする前項〔23〕または〔24〕に記載の合わせガラスの製造方法、および
〔29〕 前項〔20〕〜〔28〕のいずれかに記載の製造方法によって製造された合わせガラス
に関する。
【0012】
また、本発明は、
〔30〕 プラスチック板と無機ガラス板とが中間膜を介して加熱圧着により貼り合わされてなる合わせガラスにおいて、前記中間膜の平均膜厚が2.0mmを超え5.0mm未満であり、かつ前記加熱圧着温度が80℃を超え150℃未満の温度であることを特徴とする合わせガラス、
〔31〕 中間膜が、熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする前項〔30〕に記載の合わせガラス、
〔32〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であることを特徴とする前項〔31〕に記載の合わせガラス、
〔33〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜であることを特徴とする前項〔31〕に記載の合わせガラス、および
〔34〕 熱可塑性エラストマー樹脂膜が、硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜であることを特徴とする前項〔31〕に記載の合わせガラス
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、一部がプラスチック板からなる軽量な合わせガラスであって、反りが小さく、そのため透視歪みがほとんどなく優れた視認性を有しているとともに、中間膜を介するプラスチック板と無機ガラス板との透明性に優れ、さらには透明性に優れた合わせガラスが提供される。
本発明により得られる合わせガラスは、建築物、自動車、鉄道車両、航空機、船舶などに設置される窓ガラスとして有用であり、特に建築物の窓ガラスに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の合わせガラスの製造方法のうち、第一の中間膜が一方の面に接着されたプラスチック板と、第二の中間膜が一方の面に接着された無機ガラス板とを、第一の中間膜および第二の中間膜を介して貼り合わせる工程を備えた製造方法(以下で「第一の製造方法」ということがある)について説明する。
【0016】
第一の製造方法において、第一の中間膜と、第二の中間膜とは、これらの界面にて良好な接着性が得られるものであれば同一の材質からなる中間膜であってもよいし、各々異なる材質からなる中間膜であってもよいが、同一の材質からなる中間膜である場合には、加熱処理時における熱的挙動が同一となるため、流動性の大きさに差が生じることがなく取り扱いが容易となる。
【0017】
プラスチック板の一方の面に第一の中間膜を接着する方法としては、ゴム製の真空バッグ内にて加熱加圧処理する真空バッグ法、熱プレス法、押圧ロール法、オートクレーブ法など従来公知の方法を用いることができる。
【0018】
プラスチック板の一方の面に第一の中間膜を接着する際の温度は、50℃以上150℃以下の温度範囲であることが好ましい。温度が50℃未満であると、第一の中間膜とプラスチック板との接着力が不足する場合がある。150℃を超す温度であると、プラスチック板が変形しやすくなり、また、中間膜の流動性が大きくなりすぎて、中間膜の寸法安定性が悪くなる場合がある。
【0019】
真空バッグ法を用いる場合は別として、プラスチック板の一方の面に第一の中間膜を接着する際の圧力は、第一の中間膜をプラスチック板に重ねた積層体の両方の面に対して1kgf/cm以上100kgf/cm以下の圧力が均一に加えられることが望ましい。圧力が1kgf/cm未満である場合には、プラスチック板と第一の中間膜との接着力が劣ったものとなってしまう恐れがある。また、第一の中間膜の表面にエンボスが設けられている場合には、エンボス痕跡が残ってしまう場合がある。圧力が100kgf/cmよりも大きい場合には、プラスチック板が変形してしまうことがある。
【0020】
無機ガラス板の一方の面に第二の中間膜を接着する方法としては、ゴム製の真空バッグ内にて加熱加圧処理する真空バッグ法、熱プレス法、押圧ロール法、オートクレーブ法などの従来公知の方法を用いることができる。
【0021】
無機ガラス板の一方の面に第二の中間膜を接着する際の温度は、80℃以上150℃以下であることが好ましい。温度が80℃未満であると、無機ガラス板と第二の中間膜との接着力が不足する場合がある。150℃を超す温度であると、中間膜の流動性が大きくなりすぎて、中間膜の寸法安定性が悪くなる場合がある。
【0022】
真空バッグ法を用いる場合は別として、無機ガラス板の一方の面に第二の中間膜を接着する際の圧力は、第二の中間膜を無機ガラス板に重ねた積層体の両方の面に対して1kgf/cm以上100kgf/cm以下の圧力が均一に加えられることが好ましい。圧力が1kgf/cm未満である場合には、無機ガラス板と第二の中間膜との接着力が不足する場合がある。また、第二の中間膜の表面にエンボスが設けられている場合には、エンボス痕跡が残ってしまう場合がある。圧力が100kgf/cmよりも大きい場合には、無機ガラスに亀裂や割れが発生することがある。
【0023】
第一の中間膜が一方の面に接着されたプラスチック板と、第二の中間膜が一方の面に接着された無機ガラス板とを、第一の中間膜および第二の中間膜を介して貼り合わせる方法としては、ゴム製の真空バッグ内にて加熱加圧処理する真空バッグ法、熱プレス法、押圧ロール法、オートクレーブ法などの従来公知の方法を用いることができる。
【0024】
貼り合わせる際の温度は、80℃を超えない温度であることが好ましく、室温(約20℃)から80℃以下であることがより好ましい。80℃を超える場合には、得られる合わせガラスの反り量が大きくなる傾向にある。さらにより好ましい温度は室温から50℃以下、最も好ましくは室温から40℃以下である。
【0025】
真空バッグ法を用いる場合は別として、貼り合わせる際の圧力は、合わせガラスの両方の面に対して1kgf/cm以上100kgf/cm以下の圧力が均一に加えられることが望ましい。圧力が1kgf/cm未満である場合には、第一の中間膜と第二の中間膜との接着力が劣ったものとなることがある。また、第一の中間膜および/または第二の中間膜の表面にエンボスが設けられている場合には、エンボス痕跡が残ってしまう場合がある。圧力が100kgf/cmよりも大きい場合には、プラスチック板の変形や、無機ガラスの亀裂、割れを引き起こすことがある。
【0026】
合わせガラスの構成は、プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板のような構造のみならず、無機ガラス板/中間膜層/プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板というように無機ガラス板を両最外層に設けることも可能である。無機ガラス板を最外層に設けることにより、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性、耐湿性に優れたものとなる。
【0027】
プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板のような構成とする場合には、プラスチック板と無機ガラス板のうちでどちらを屋内側に設け、どちらを屋外側に設けるかは限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されればよい。
【0028】
また、プラスチック板、中間膜層、無機ガラス板の他に、1層以上の層を追加で設けることも可能である。かかる層としては例えば、無機ガラスと中間膜との接着力を強化するためのプライマー層、プラスチック板と中間膜との接着力を強化するためのプライマー層、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層、合わせガラスが燃焼することを防止するための難燃層、各種模様が印刷された装飾層、赤外線(熱線)反射層、耐貫通性向上を目的としたポリエステルフィルム層などが挙げられ、これらの層は、所望の位置、すなわちプラスチック板上、中間膜層上または無機ガラス板上に常法に従い設けられる。
【0029】
なお、無機ガラス板と中間膜との接着力を強化するためのプライマー層としては、公知の成分が適宜用いられているが、中でもシランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランを用いることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。また有機溶剤により希釈されて用いられてもよい。
【0030】
本発明で用いられる第一の中間膜および第二の中間膜としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、硫黄元素を含んでいてもよいポリウレタン樹脂膜、可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜のような熱可塑性エラストマー樹脂膜が挙げられる。
【0031】
第一の中間膜と、第二の中間膜とが、接着される際には、第一の中間膜全体または第二の中間膜の全体が流動性を有する必要はないが、これらが接する界面付近では良好な接着性が得られる程度の流動性を有している必要がある。
【0032】
本発明で用いられる第一の中間膜および/または第二の中間膜は、取り扱い性を高めるために表面にエンボスが設けられていてもよいが、表面にエンボスが設けられている場合のみならず、第一の中間膜および/または第二の中間膜の表面が、起伏のある形状である場合には、起伏の山の部分が残ってしまい、得られる合わせガラスの透明性が低下する場合がある。このため、本発明の第一の中間膜および第二の中間膜においては、これらが貼り合わされる面側での表面粗さが、JIS B 0601に基づいて測定される十点平均粗さで10μm以下であることが好ましい。
【0033】
貼り合わされる時点での表面粗さが10μmよりも大きいと、第一の中間膜と第二の中間膜を貼り合わせる工程において十分な密着性が得られず合わせガラスの透明性が低下する場合がある。
【0034】
表面粗さが10μm以下であると、第一の中間膜と第二の中間膜とを常温から80℃以下の低温で貼り合わせを行った場合でも、また、中間膜樹脂として可塑化ポリビニルアセタール樹脂を用いた場合でも、第一の中間膜と第二の中間膜とがより確実に密着し、合わせガラスの透明性が高められる。より好ましい表面粗さは5μm以下、さらにより好ましくは3μm以下である。
【0035】
また、取扱性を高める目的にて第一の中間膜の表面および第二の中間膜に表面粗さの大きいエンボスが形成されている場合には、平滑な表面形状を有する離型PET等を中間膜表面に積層し、その後加熱プレス処理することで中間膜表面を平滑にすることができる。
【0036】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物やエチレン−酢酸ビニルの加水分解物のようなエチレン−酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
【0037】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が20〜40重量%であるものが好ましい。酢酸ビニル含量が20重量%未満であると、得られる中間膜が硬くなりすぎて、ガラスとの接着性や合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向にある。また、酢酸ビニル含量が40重量%を超えると、得られる中間膜の破断強度が不十分となる傾向にあり、合わせガラスの耐衝撃性が不足する場合がある。
【0038】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で接着力調整剤が含有されていてもよい。接着力調整剤としては、シランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランを用いることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0039】
上記接着力調整剤として用いられるシランカップリング剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対して、0.01〜4重量部であることが好ましい。シランカップリング剤の添加量が0.01重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、シランカップリング剤の添加量が4重量部を超えると、中間膜の強度が低下する傾向にある。
【0040】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で粘着性付与剤が含有されていてもよい。粘着性付与剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、不均化水添ロジン、エステル化ロジン、金属塩化ロジン、重合ロジン、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、脂環式石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂が好適に用いられる。これら粘着性付与剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0041】
上記粘着性付与剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対して、1〜40重量部であることが好ましい。粘着性付与剤の添加量が1重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、粘着性付与剤の添加量が40重量部を超えると、中間膜の透明性が低下する傾向にある。
【0042】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、中間膜の透明性を高める目的にて、結晶核剤が含有されていてもよい。結晶核剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンキシリトール、ジベンジリデンズルシトール、ジベンジリデンマンニトール、カリックスアレーンが好適に用いられる。これら結晶核剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0043】
上記結晶核剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対して、0.01〜4重量部であることが好ましい。結晶核剤の添加量が0.01重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、結晶核剤の添加量が4重量部を超えると、中間膜内で結晶核剤が析出することがある。
【0044】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、赤外線(熱線)吸収剤、耐湿性向上剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、耐電防止剤が含有されていてもよい。
【0045】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対して、上述のような各種添加剤を所定量配合し、これを均一に混練りした後に、カレンダーロール法、押出シートキャスティング法、インフレーションチューブ法等により樹脂膜を形成することができる。
【0046】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜よりなる中間膜の厚みは、用途によって適宜決定されるものであるが、一般に0.2〜2mmであることが好ましい。
【0047】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜よりなる中間膜の厚みが0.2mm未満であると、得られる合わせガラスの耐衝撃性および衝突物の耐貫通性が不足する場合がある。また、厚みが2mmを超えると、得られる合わせガラスの透明性が低下する傾向にある。
【0048】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜においては、無機ガラス板との接着力を高める目的で、コロナ処理やプラズマ処理等により極性基が表面に導入されていてもよい。
【0049】
上記エチレン−アクリル共重合体樹脂膜としては、エチレン−メチルアクリレート共重合物樹脂膜、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂膜、エチレン−ブチルアクリレート共重合体樹脂膜等を用いることができる。なお、前記エチレン−アクリル共重合体樹脂には、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜と同様、公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0050】
上記硫黄元素を含んでいてもよい熱可塑性ポリウレタン樹脂膜としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂膜または硫黄元素を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂膜が挙げられ、前記硫黄元素を含有している熱可塑性ポリウレタン樹脂膜としては、例えば、ポリイソシアネートと、ポリチオールおよび/または含硫ポリオールとを重合させて得られる硫黄含有ポリウレタン樹脂膜などが挙げられる。なお、前記硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜には、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜と同様、公知の各種添加剤が含有されていてもよい。
【0051】
上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜としては、公知の可塑剤を用いて常法に従いポリビニルアセタール樹脂を可塑化したポリビニルアセタール樹脂膜が挙げられる。かかるポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されず、従来より合わせガラス用中間膜用樹脂として用いられているものを使用することができ、例えば、アセタール化度60〜75モル%、重合度800〜3000のもの等が好適に用いられる。重合度が800未満であると、樹脂膜の強度が弱くなりすぎて得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがあり、重合度が3000を超えると、樹脂膜の成形性が難しくなったり、樹脂膜の強度が強くなりすぎて得られる合わせガラスの衝撃吸収性が低下したりすることがある。なかでも、ガラスに対する適正な接着力、透明性、耐候性に優れるという点からポリビニルブチラール樹脂が好適である。
【0052】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより得ることができる。上記ポリビニルアルコールは、通常ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
【0053】
上記ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度は200〜3000であることが好ましい。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがあり、3000を超えると、樹脂膜の成形性が悪くなり、樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなることがある。より好ましくは500〜2000である。なお、ポリビニルアルコール樹脂の粘度平均重合度及び鹸化度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
【0054】
上記アルデヒドとしては特に限定されず、一般に、炭素数が1〜10のアルデヒドが用いられ、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好適に用いられる。特に好ましくは炭素数が4のブチルアルデヒドである。
【0055】
上記可塑剤としては通常ポリビニルアセタール樹脂に使用されるものであれば特に限定されず、中間膜用の可塑剤として一般的に用いられている公知の可塑剤を用いることができ、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機系可塑剤;有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、樹脂との相溶性等を考慮して、ポリビニルアセタール樹脂の種類に応じて使い分けられる。
【0056】
上記一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)又はデシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステルが挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール−ジカプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングリコールの一塩基性有機酸エステルが好適に用いられる。
【0057】
上記多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸又はアゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールとのエステル等が挙げられる。なかでも、ジブチルセバシン酸エステル(例えばトリエチレングリコール−ジ−ブチルセバケート等)、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適に用いられる。
上記有機リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0058】
上記可塑剤としては、なかでも、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−ブチルセバケート等が好適に用いられる。
【0059】
上記可塑剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20〜60重量部であることが好ましい。20重量部未満であると、得られる中間膜や合わせガラスの衝撃吸収性が不充分となることがあり、60重量部を超えると、可塑剤がブリードアウトして得られる中間膜や合わせガラスの光学歪みが大きくなったり、透明性やガラスと中間膜との接着性等が損なわれたりすることがある。より好ましくは30〜50重量部である。
【0060】
上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂膜には、さらにリン酸エステルが含有されていることが好ましい。
上記リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルホスフェート、トリアルコキシアルキルホスフェート、トリアリルホスフェート、アルキル・アリルホスフェートなどが挙げられる。
上記リン酸エステルの含有量としては、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して好ましい下限が0.005重量部、好ましい上限が2重量部である。0.005重量部未満であると、充分な耐湿性の向上効果が得られないことがあり、3重量部を超えると、ガラスとの接着性が低くなりすぎる傾向にある。より好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は2重量部である。
【0061】
本発明に用いられる中間膜は、単層構造であってもよいし、また、2層以上の複層構造であってもよい。
【0062】
上記中間膜には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに、熱安定剤、酸化防止剤、接着力調整剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、赤外線(熱線)吸収剤、耐湿性向上剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、耐電防止剤が含有されていてもよい。
【0063】
上記中間膜においては、無機ガラス板との接着力を高める目的で、コロナ処理やプラズマ処理等により極性基が表面に導入されていてもよい。
【0064】
本発明で用いられる無機ガラス板としては、特に限定されるものではなく、例えば、通常の合わせガラスに用いられるフロート板ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、紫外線吸収板ガラス、赤外線(熱線)反射板ガラス、赤外線(熱線)吸収板ガラス等が挙げられる。また、無機ガラス板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。なお、本発明で用いられる無機ガラスの線熱膨張係数は、通常、0.01×10−6cm/cm・℃以上100×10−6cm/cm・℃以下である。
【0065】
本発明で用いられるプラスチック板としては、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板、アクリロニトリルスチレン共重合体板、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体板、ポリエステル板、フッ素系樹脂板、ポリ塩化ビニル板、塩素化ポリ塩化ビニル板、ポリプロピレン板、ポリスチレン板、ポリサルホン板、エポキシ樹脂板、フェノール樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリイミド樹脂板等が挙げられる。
【0066】
上記プラスチック板の内で、ポリカーボネート板は、透明性、耐衝撃性、耐燃焼性に優れるため好適に用いられる。
ポリカーボネート板の表面には、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性などを高める目的で、シリコーン系ハードコートなどの表面保護層が設けられていてもよい。また、ポリカーボネート板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0067】
また、上記ポリカーボネート板は、吸湿性があり、加熱時に吸着水が気泡となって合わせガラスの透明性や外観を損なうことがあるので、ポリカーボネート板を第一の中間膜に接着させる前に、80℃〜125℃で1〜10時間程度乾燥処理することでポリカーボネート板の水分を除去しておくのが望ましい。
【0068】
また、プラスチック板としては、透明性が高く、耐候性、力学的性質に優れるポリメチルメタクリレート板を好適に用いることができる。
【0069】
ポリメチルメタクリレート板の表面には、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性などを高める目的で、表面保護層が設けられていてもよい。また、ポリメチルメタクリレート板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0070】
また、上記ポリメチルメタクリレート板は、吸湿性があり、加熱時に吸着水が気泡となって合わせガラスの透明性や外観を損なうことがあるので、ポリメチルメタクリレート板を第一の中間膜に接着させる前に、80℃〜125℃で1〜10時間程度乾燥処理することでポリメチルメタクリレート板の水分を除去しておくのが望ましい。
【0071】
なお、上記プラスチック板は、線熱膨張係数が5×10−5cm/cm・℃以上10×10−5cm/cm・℃以下であるのが好ましい。より具体的には、プラスチック板がポリカーボネート板である場合には、該ポリカーボネート板の線熱膨張係数が5×10−5cm/cm・℃以上8×10−5cm/cm・℃以下であるのが好ましい。また、プラスチック板がポリメチルメタクリレート板である場合には、該ポリメチルメタクリレート板の線熱膨張係数が5×10−5cm/cm・℃以上10×10−5cm/cm・℃以下であるのが好ましい。
【0072】
上記で説明した第一の製造方法により、反りが少なく優れた視認性を有し、接着性の良好な、一部がプラスチック板からなる透明な合わせガラスが得られる。そのような第一の製造方法により製造された合わせガラスもまた、本発明のひとつである。
【0073】
次に、本発明の合わせガラスの製造方法のうち、 プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で60℃まで冷却する工程とを備えた製造方法(以下で「第二の製造方法」ということがある)について詳細に説明する。
【0074】
第二の製造方法においては、プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着した後、処理時の最高到達温度から60℃に至るまでの平均冷却速度が30℃/分以上500℃/分以下となるようにして冷却する。
【0075】
プラスチック板、中間膜、無機ガラス板を貼り合わせる方法としては、特に限定されるものではなく、真空バッグ法、加熱プレス法、押圧ロール法、オートクレーブ法などの合わせガラスを製造する際に用いられる従来公知の方法を使用することができる。
【0076】
第二の製造方法においては、合わせガラスの加熱圧着に必要な温度は80℃を超え150℃未満である。80℃以下の低温で加熱圧着した場合には、中間膜と無機ガラスとの接着力が劣ったものとなり、合わせガラスに剥がれが生じる。また、中間膜の自着によるブロッキングを防止するために表面に設けられたエンボスが十分に平滑化されずに残ってしまい、その結果得られる合わせガラスの透明性が劣ったものとなってしまう。150℃以上である場合には、得られる合わせガラスの反り量が大きくなってしまい、大きな透視ひずみが発生する。また、中間膜の流動性が大きくなりすぎて、中間膜の寸法安定性が悪化する。より好ましい温度範囲は90℃以上140℃以下である。
【0077】
第二の製造方法においては、合わせガラスの加熱圧着後の60℃に至るまでの平均冷却速度は、30℃/分以上500℃/分以下である。平均冷却速度が、30℃/分未満であると、室温まで戻った合わせガラスの反りが大きくなり、得られる合わせガラスの透視ひずみが大きくなってしまう。平均冷却速度が500℃/分を超える場合、中間膜と無機ガラスとの界面において剥離が生じることがある。また、本発明では、合わせガラスの加熱圧着後の平均冷却速度が50℃まで30℃/分以上500℃/分以下であるのが好ましく、40℃まで30℃/分以上500℃/分以下であるのがより好ましい。
【0078】
なお、中間膜がエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜である場合には、合わせガラスを冷却する過程においてエチレン部位の結晶化が起こり、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の透明性が低下し、ヘーズが上昇することがある。この現象を防止するためには、中間膜樹脂の補外結晶化終了温度(Tec)よりも10℃高い温度から、中間膜樹脂の補外結晶化開始温度(Tic)よりも10℃低い温度まで、50℃/分以上500℃/分以下の平均冷却温度、好ましくは100℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で冷却することが好ましい。
【0079】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の補外結晶化終了温度(Tec)および補外結晶化開始温度(Tic)とは、JIS K 7121(1987)「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)装置を使用して、冷却速度5℃/分で冷却した際に発熱ピークとして観測されるエチレン部位の結晶化に基づく温度を意味する。
【0080】
上記平均冷却速度とは、ある時刻tから、時刻tまでの間に、温度がTからTへと下がった場合に、下記式により算出するものとする。ただし、特定の温度で保持する場合を除く。
【0081】
平均冷却速度=−(T−T)/(t−t
【0082】
平均冷却速度を所望の範囲内とするための手段としては、特に限定されるものではなく、公知の温度調節のための手段を適宜採用すればよい。簡便な方法としては、例えば真空バッグ法で成形した場合、真空バッグを液体中に浸す方法や、真空バッグに冷却材を押し当てる方法が挙げられる。冷却機構付きの成形装置を用いてもよいことは勿論である。
【0083】
合わせガラスの構成としては、プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板のような構成のみならず、無機ガラス板/中間膜層/プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板というように無機ガラス板を両最外層に設けた構成とすることも可能である。無機ガラス板を最外層に設けることにより、耐摩耗性、耐擦性、耐薬品性、耐光性、耐湿性に優れたものとなる。
【0084】
プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板のような構成とする場合には、プラスチック板と無機ガラス板のうちでどちらを屋内側に設け、どちらを屋外側に設けるかは限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されればよい。
【0085】
また、プラスチック板、中間膜層、無機ガラス板の他に、1層以上の層を追加で設けることも可能である。かかる層としては、例えば、無機ガラスと中間膜との接着力を強化するためのプライマー層、プラスチック板と中間膜との接着力を強化するためのプライマー層、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層、合わせガラスが燃焼することを防止するための難燃層、各種模様が印刷された装飾層、赤外線(熱線)反射層、耐貫通性向上を目的としたポリエステルフィルム層などが挙げられる。これらの層を設ける場合には、所望の位置、すなわちプラスチック板上、中間膜層上または無機ガラス板上に常法に従い設けることができる。
【0086】
なお、無機ガラスと中間膜との接着力を強化するためのプライマー層の成分としては、公知の成分を適宜用いることができるが、中でもシランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を用いることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。また有機溶剤により希釈されて用いられてもよい。
【0087】
第二の製造方法で用いられる中間膜としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、または硫黄元素を含んでいてもよいポリウレタン樹脂膜のような熱可塑性エラストマーとしての性質を有する熱可塑性エラストマー樹脂膜が挙げられる。
【0088】
第二の製造方法で用いられる中間膜の平均膜厚は、0.1mm以上5.0mm未満であることが好ましい。平均膜厚が0.1mm未満であると、80℃を超える高温で加熱圧着処理を施した場合、得られる合わせガラスの反りが大きくなる傾向にあり、大きな透視ひずみが発生することがある。また、中間膜の自着によるブロッキングを防止するために表面に設けられたエンボスが十分に平滑化されずに残ってしまい、その結果得られる合わせガラスの透明性が劣ったものとなってしまう場合がある。中間膜の平均膜厚が5.0mm以上の場合には、得られる合わせガラスの透明性が低下する傾向にある。より好ましい範囲は2.0mm以上5.0mm未満である。
【0089】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物やエチレン−酢酸ビニルの加水分解物のようなエチレン−酢酸ビニルの変性体樹脂膜も用いることができる。
【0090】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が20〜40重量%であるものが好ましい。酢酸ビニル含量が20重量%未満であると、得られる中間膜が硬くなりすぎて、ガラスとの接着性や合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向にある。また、酢酸ビニル含量が40重量%を超えると、得られる中間膜の破断強度が不十分となる傾向にあり、合わせガラスの耐衝撃性が不足する場合がある。
【0091】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で接着力調整剤が含有されていてもよい。接着力調整剤としては、シランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を用いることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0092】
上記接着力調整剤として用いられるシランカップリング剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対し、0.01〜4重量部であることが好ましい。シランカップリング剤の添加量が0.01重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、シランカップリング剤の添加量が4重量部を超えると、中間膜の強度が低下する傾向にある。
【0093】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で粘着性付与剤が含有されていてもよい。粘着性付与剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、不均化水添ロジン、エステル化ロジン、金属塩化ロジン、重合ロジン、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、脂環式石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂が好適に用いられる。これら粘着性付与剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0094】
上記粘着性付与剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対し、1〜40重量部であることが好ましい。粘着性付剤の添加量が1重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、粘着性付剤の添加量が40重量部を超えると、中間膜の透明性が低下する傾向にある。
【0095】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、中間膜の透明性を高める目的で、結晶核剤が含有されていてもよい。結晶核剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンキシリトール、ジベンジリデンズルシトール、ジベンジリデンマンニトール、カリックスアレーンが好適に用いられる。これら結晶核剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0096】
上記結晶核剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対し、0.01〜4重量部であることが好ましい。結晶核剤の添加量が0.01重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、結晶核剤の添加量が4重量部を超えると、中間膜内で結晶核剤が析出することがある。
【0097】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対して、上述のような各種添加剤を所定量配合し、これを均一に混練りした後に、カレンダーロール法、押出シートキャスティング法、インフレーションチューブ法等により樹脂膜を形成することができる。
【0098】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜においては、無機ガラス板との接着力を高める目的で、コロナ処理やプラズマ処理等により極性基が表面に導入されていてもよい。
【0099】
上記エチレン−アクリル共重合体樹脂膜としては、エチレン−メチルアクリレート共重合物樹脂膜、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂膜、エチレン−ブチルアクリレート共重合体樹脂膜等を用いることができる。なお、前記エチレン−アクリル共重合体樹脂膜には、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜と同様、公知の各種添加剤が含有されていてもよい。
【0100】
上記硫黄元素を含んでいてもよい熱可塑性ポリウレタン樹脂膜としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂膜または硫黄元素を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂膜が挙げられる。前記硫黄元素を含む熱可塑性ポリウレタン樹脂膜としては、例えば、ポリイソシアネートと、ポリチオールや含硫ポリオールとを重合させて得られる硫黄含有ポリウレタン樹脂膜などが挙げられる。なお、前記硫黄元素を含んでいてもよい熱可塑性ポリウレタン樹脂膜には、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜と同様、公知の各種添加剤が含有されていてもよい。
【0101】
第二の製造方法で用いられる中間膜には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、赤外線(熱線)吸収剤、耐湿性向上剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、耐電防止剤が含有されていてもよい。
【0102】
第二の製造方法に用いられる無機ガラス板としては、特に限定されるものではなく、例えば、通常の合わせガラスに用いられるフロート板ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、紫外線吸収板ガラス、赤外線(熱線)反射板ガラス、赤外線(熱線)吸収板ガラス等が挙げられる。また、無機ガラス板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0103】
第二の製造方法に用いられるプラスチック板としては、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板、アクリロニトリルスチレン共重合体板、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体板、ポリエステル板、フッ素系樹脂板、ポリ塩化ビニル板、塩素化ポリ塩化ビニル板、ポリプロピレン板、ポリスチレン板、ポリサルホン板、エポキシ樹脂板、フェノール樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリイミド樹脂板等が挙げられる。
【0104】
上記プラスチック板の内で、ポリカーボネート板は、透明性、耐衝撃性、耐燃焼性に優れるため好適に用いられる。
ポリカーボネート板の表面には、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性などを高める目的で、シリコーン系ハードコートなどの表面保護層が設けられていてもよい。また、ポリカーボネート板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0105】
また、上記ポリカーボネート板は、吸湿性があり、加熱時に吸着水が気泡となって合わせガラスの透明性や外観を損なうことがあるので、ポリカーボネート板を中間膜に接着させる前に、80℃〜125℃で1〜10時間程度乾燥処理することでポリカーボネート板の水分を除去しておくのが望ましい。
【0106】
また、プラスチック板としては、透明性が高く、耐候性、力学的性質に優れるポリメチルメタクリレート板を好適に用いることができる。
【0107】
ポリメチルメタクリレート板の表面には、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性などを高める目的で、表面保護層が設けられていてもよい。また、ポリメチルメタクリレート板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0108】
また、上記ポリメチルメタクリレート板は、吸湿性があり、加熱時に吸着水が気泡となって合わせガラスの透明性や外観を損なうことがあるので、ポリメチルメタクリレート板を中間膜に接着させる前に、80℃〜125℃で1〜10時間程度乾燥処理することでポリメチルメタクリレート板の水分を除去しておくのが望ましい。
【0109】
上記で説明した第二の製造方法により、反りが少なく優れた視認性を有し、接着性の良好な、一部がプラスチック板からなる透明な合わせガラスが得られる。そのような第二の製造方法により製造された合わせガラスもまた、本発明のひとつである。
【0110】
次に、本発明のうち、プラスチック板と無機ガラス板とが中間膜を介して加熱圧着により貼り合わされてなる合わせガラスであって、前記中間膜の平均膜厚が2.0mmを超え5.0mm未満であり、かつ前記加熱圧着温度が80℃を超え150℃未満の温度である合わせガラス(以下で「第三の合わせガラス」ということがある)について詳細に説明する。
【0111】
本発明の第三の合わせガラスは、プラスチック板と、無機ガラス板とを、平均膜厚が2.0mmを超え5.0mm未満の中間膜を介して積層し、ついで80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着することによって得られる。
【0112】
第三の合わせガラスの構成としては、プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板のような構成のみならず、無機ガラス板/中間膜層/プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板というように無機ガラス板を最外層に設けた構成とすることも可能である。無機ガラス板を最外層に設けることにより、耐摩耗性、耐擦性、耐薬品性、耐光性、耐湿性に優れたものとなる。
【0113】
プラスチック板/中間膜層/無機ガラス板のような構成とする場合には、プラスチック板と無機ガラス板の内でどちらを屋内側に設けて、またどちらを屋外側に設けるかは限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されればよい。
【0114】
また、プラスチック板、中間膜層、無機ガラス板の他に、1層以上の層を追加で設けることも可能である。かかる層としては例えば、無機ガラス板と中間膜との接着力を強化するためのプライマー層、プラスチック板と中間膜との接着力を強化するためのプライマー層、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層、合わせガラスが燃焼することを防止するための難燃層、各種模様が印刷された装飾層、赤外線(熱線)反射層、耐貫通性向上を目的としたポリエステルフィルム層などが挙げられる。これらの層を設ける場合には、所望の位置、すなわちプラスチック板上、中間膜層上または無機ガラス板上に常法に従い設けることができる。
【0115】
なお、無機ガラスと中間膜との接着力を強化するためのプライマー層の成分としては、公知の成分が適宜用いられるが、中でもシランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を用いることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。また有機溶剤により希釈されて用いられてもよい。
【0116】
第三の合わせガラスに用いられる中間膜としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、硫黄元素を含んでいてもよいポリウレタン樹脂膜のような熱可塑性エラストマーとしての性質を有する熱可塑性エラストマー樹脂膜が挙げられる。
【0117】
第三の合わせガラスに用いられる中間膜の膜厚計により測定した平均膜厚は、2.0mmを超え5.0mm未満である。平均膜厚が2.0mm以下では、80℃を超える高温で加熱圧着処理を施した場合、得られる合わせガラスの反りが大きくなる傾向にあり、大きな透視歪みが発生することがある。また、中間膜の自着によるブロッキングを防止するために表面に設けられたエンボスが十分に平滑化されずに残ってしまい、その結果得られる合わせガラスの透明性が劣ったものとなってしまう場合がある。中間膜の平均膜厚が5.0mm以上の場合には、得られる合わせガラスの透明性が低下する傾向にある。
【0118】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物やエチレン−酢酸ビニルの加水分解物のようなエチレン−酢酸ビニルの変性体樹脂膜もエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜として用いることができる。
【0119】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が20〜40重量%であるものが好ましい。酢酸ビニル含量が20重量%未満であると、得られる中間膜が硬くなりすぎて、ガラスとの接着性や合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向にある。また、酢酸ビニル含量が40重量%を超えると、得られる中間膜の破断強度が不十分となる傾向にあり、合わせガラスの耐衝撃性が不足する場合がある。
【0120】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で接着力調整剤が含有されていてもよい。接着力調整剤としては、シランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を用いることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0121】
上記接着力調整剤として用いられるシランカップリング剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対し、0.01〜4重量部であることが好ましい。シランカップリグ剤の添加量が0.01重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、シランカップリグ剤の添加量が4重量部を超えると、中間膜の強度が低下する傾向にある。
【0122】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲で粘着性付与剤が含有されていてもよい。粘着性付与剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、不均化水添ロジン、エステル化ロジン、金属塩化ロジン、重合ロジン、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、脂環式石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂が好適に用いられる。これら粘着性付与剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0123】
上記粘着性付与剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対し、1〜40重量部であることが好ましい。粘着性付与剤の添加量が1重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、粘着性付与剤の添加量が40重量部を超えると、中間膜の透明性が低下する傾向にある。
【0124】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、中間膜の透明性を高める目的で、結晶核剤が含有されていてもよい。結晶核剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンキシリトール、ジベンジリデンズルシトール、ジベンジリデンマンニトール、カリックスアレーンが好適に用いられる。これら結晶核剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
【0125】
上記結晶核剤の添加量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜100重量部に対し、0.01〜4重量部であることが好ましい。結晶核剤の添加量が0.01重量部未満であると、十分な効果が得られないことがある。また、結晶核剤の添加量が4重量部を超えると、中間膜内で結晶核剤が析出することがある。
【0126】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、赤外線(熱線)吸収剤、耐湿性向上剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、耐電防止剤などが含有されていてもよい。
【0127】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対して、上述のような各種添加剤を所定量配合し、これを均一に混練りした後に、カレンダーロール法、押出シートキャスティング法、インフレーションチューブ法等により樹脂膜を形成することができる。
【0128】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜においては、無機ガラス板との接着力を高める目的にて、コロナ処理やプラズマ処理等により極性基が表面に導入されていてもよい。
【0129】
上記エチレン−アクリル共重合体樹脂膜としては、エチレン−メチルアクリレート共重合物樹脂膜、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂膜、エチレン−ブチルアクリレート共重合体樹脂膜等を用いることができる。なお、前記エチレン−アクリル共重合体樹脂膜には、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と同様、公知の各種添加剤が含有されていてもよい。
【0130】
上記硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜としては、ポリウレタン樹脂膜、硫黄元素を含有しているポリウレタン樹脂膜が挙げられ、前記硫黄元素を含有しているポリウレタン樹脂膜としては、公知のものであってよく、例えば、ポリイソシアネートとポリチオールおよび/または含硫ポリオールとを重合させて得られる硫黄含有ポリウレタン樹脂膜などが挙げられる。なお、前記硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜には、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と同様、公知の各種添加剤が含有されていてもよい。
【0131】
第三の合わせガラスにおける無機ガラス板としては、特に限定されるものではなく、例えば、通常の合わせガラスに用いられるフロート板ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、紫外線吸収板ガラス、赤外線(熱線)反射板ガラス、赤外線(熱線)吸収板ガラス等が挙げられる。また、無機ガラス板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0132】
第三の合わせガラスにおけるプラスチック板としては、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板、アクリロニトリルスチレン共重合体板、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体板、ポリエステル板、フッ素系樹脂板、ポリ塩化ビニル板、塩素化ポリ塩化ビニル板、ポリプロピレン板、ポリスチレン板、ポリサルホン板、エポキシ樹脂板、フェノール樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリイミド樹脂板等が挙げられる。
【0133】
上記プラスチック板の内で、ポリカーボネート板は、透明性、耐衝撃性、耐燃焼性に優れるため好適に用いられる。
ポリカーボネート板の表面には、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性などを高める目的で、シリコーン系ハードコートなどの表面保護層が設けられていてもよい。また、ポリカーボネート板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0134】
また、上記ポリカーボネート板は、吸湿性があり、加熱時に吸着水が気泡となって合わせガラスの透明性や外観を損なうことがあるので、ポリカーボネート板を使用前に80℃〜125℃で1〜10時間程度乾燥処理することで、水分を除去しておくのが望ましい。
【0135】
また、プラスチック板としては、透明性が高く、耐候性、力学的性質に優れるポリメチルメタクリレート板を好適に用いることができる。
【0136】
上記ポリメチルメタクリレート板の表面には、耐摩耗性、耐擦傷性、耐薬品性、耐光性などを高める目的で、表面保護層が設けられていてもよい。また、ポリメチルメタクリレート板の厚みおよび形状は、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではない。
【0137】
また、上記ポリメチルメタクリレート板は、吸湿性があり、加熱時に吸着水が気泡となって合わせガラスの透明性や外観を損なうことがあるので、ポリメチルメタクリレート板を使用前に80℃〜125℃で1〜10時間程度乾燥処理することで、水分を除去しておくのが望ましい。
【0138】
上記第三の合わせガラスを製造するにあたり、プラスチック板と、無機ガラス板とを、中間膜を介して加熱圧着することにより貼り合わせる方法としては、特に限定されるものではなく、真空バッグ法、加熱プレス法、押圧ロール法、オートクレーブ法などの合わせガラスを製造する際に用いられる従来公知の方法を使用することができる。
【0139】
第三の合わせガラスを得るための、プラスチック板と、無機ガラス板とを、中間膜を介して加熱圧着する際の加熱圧着温度は、80℃を超え、150℃未満である。加熱圧着温度が80℃以下である場合には、中間膜とプラスチック板との界面接着力、あるいは中間膜と無機ガラス板との界面接着力が不十分なものとなり合わせガラスに剥がれが生じることがある。また、中間膜表面にエンボスが設けられている場合には、エンボス痕跡が残ってしまうことがある。加熱圧着温度が150℃以上である場合には、合わせガラスの反り量が大きくなり、透視歪みが大きくなってしまう。より好ましい範囲は90℃以上140℃以下、とりわけ好ましい範囲は100℃以上120℃以下である。
【0140】
上記で説明した第三の合わせガラスは、反りが少なく優れた視認性を有し、接着性の良好な、一部がプラスチック板からなる透明な合わせガラスである。
【実施例】
【0141】
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明する。
まず、第一の製造方法およびそれにより製造される合わせガラスの実施例としての実施例1〜16、ならびにそれらの比較例としての比較例1〜34を示す。なお、それらの実施例においては、下記のいずれかの方法により第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着し、下記のいずれかの方法により第二の中間膜を無機ガラス板の一方の面に接着した。ただし、実施例11および12においては一部異なる方法を用いた。
【0142】
(第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着する方法1)
ポリカーボネート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.37mm、積水化学工業社製)、離型PET(30mm×30mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を「構成体PC−EVA」とした。
【0143】
(第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着する方法2)
ポリメチルメタクリレート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、離型PET(30mm×30mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜は、構成体PC−EVAを作製する際に使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリメチルメタクリレート板を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を「構成体PMMA−EVA」とした。
【0144】
(第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着する方法3)
ポリカーボネート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、ポリウレタン樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.61mm、Morton社製)、離型PET(30mm×30mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、ポリウレタン樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を得た。得られたポリウレタン樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を「構成体PC−PU」とした。
【0145】
(第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着する方法4)
ポリカーボネート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、ポリビニルブチラール樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.76mm、積水化学工業社製)、離型PET(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、ポリビニルブチラール樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を「構成体PC−PVB」とした。
【0146】
(第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着する方法5)
ポリメチルメタクリレート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、ポリビニルブチラール樹脂膜、離型PET(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリビニルブチラール樹脂膜は、構成体PC−PVBを作製する際に使用したものと同様である。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、ポリビニルブチラール樹脂膜が一方の面に接着されたポリメチルメタクリレート板を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を「構成体PMMA−PVB」とした。
【0147】
(第二の中間膜を無機ガラス板の一方の面に接着する方法1)
無機ガラス板(300mm×300mm×2.5mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、離型PET(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜は、構成体PC−EVAを作製する際に使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を得た。得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を「構成体G−EVA」とした。
【0148】
(第二の中間膜を無機ガラス板の一方の面に接着する方法2)
無機ガラス板(300mm×300mm×2.5mm、日本テストパネル社製)、ポリウレタン樹脂膜、離型PET(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリウレタン樹脂膜は、構成体PC−PUを作製する際に使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、ポリウレタン樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を得た。得られたポリウレタン樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を「構成体G−PU」とした。
【0149】
(第二の中間膜を無機ガラス板の一方の面に接着する方法3)
無機ガラス板(300mm×300mm×2.5mm、日本テストパネル社製)、ポリビニルブチラール樹脂膜、離型PET(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリビニルブチラール樹脂膜は、構成体PC−PVBを作製する際に使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型PETを取り除くことによって、ポリビニルブチラール樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を「構成体G−PVB」とした。
【0150】
(実施例1)
構成体PC−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを30℃まで加熱し、温度が30℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
なお、第一の中間膜および第二の中間膜の各十点平均表面粗さは、表1に示したとおりである。
【0151】
(実施例2)
構成体PC−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0152】
(実施例3)
構成体PC−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて30℃の温度にて15kgf/cmの圧力を5分間加えることで、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0153】
(実施例4)
構成体PC−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて40℃の温度にて15kgf/cmの圧力を5分間加えることで、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0154】
(比較例1)
ポリカーボネート板、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリカーボネート板、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、無機ガラス板は、実施例1で使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体をポリカーボネート板が無機ガラス板よりも下になるように設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを30℃まで加熱し、温度が30℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0155】
(比較例2)
真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例1と同じにして合わせガラスを得た。
【0156】
(比較例3)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例1と同じにして合わせガラスを得た。
【0157】
(比較例4)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を連続2層使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例1と同じにして合わせガラスを得た。
【0158】
(比較例5)
真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例4と同じにして合わせガラスを得た。
【0159】
(比較例6)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例4と同じにして合わせガラスを得た。
【0160】
(比較例7)
ポリカーボネート板、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリカーボネート板、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、無機ガラス板は、比較例1で使用したものと同じである。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて30℃の温度にて15kgf/cmの圧力を5分間加えることで、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0161】
(比較例8)
油圧プレス機による加熱温度を40℃としたことを除いては比較例7と同じにして合わせガラスを得た。
【0162】
(比較例9)
油圧プレス機による加熱温度を100℃としたことを除いては比較例7と同じにして合わせガラスを得た。
【0163】
(比較例10)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を連続2層使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例7と同じにして合わせガラスを得た。
【0164】
(比較例11)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を2枚使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例8と同じにして合わせガラスを得た。
【0165】
(比較例12)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を2枚使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例9と同じにして合わせガラスを得た。
【0166】
(実施例5)
構成体PMMA−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを30℃まで加熱し、温度が30℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0167】
(実施例6)
構成体PMMA−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2Kg)を用いて両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて30℃の温度にて15kgf/cmの圧力を1分間加えることで、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0168】
(実施例7)
構成体PMMA−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0169】
(実施例8)
構成体PMMA−EVAと、構成体G−EVAとを、両構成体のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて40℃の温度にて15kgf/cmの圧力を1分間加えることで、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0170】
(比較例13)
ポリメチルメタクリレート板、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリメチルメタクリレート板、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、無機ガラス板は、実施例5で使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体をポリカーボネート板が無機ガラス板よりも下になるように設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを30℃まで加熱し、温度が30℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0171】
(比較例14)
真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例13と同じにして合わせガラスを得た。
【0172】
(比較例15)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例13と同じにして合わせガラスを得た。
【0173】
(比較例16)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を2枚使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例13と同じにして合わせガラスを得た。
【0174】
(比較例17)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を2枚使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例14と同じにして合わせガラスを得た。
【0175】
(比較例18)
平均厚みが0.37mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を2枚使用する代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.77mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例15と同じにして合わせガラスを得た。
【0176】
(実施例9)
構成体PC−PUと、構成体G−PUとを、両構成体のポリウレタン樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを60℃まで加熱し、温度が60℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリウレタン樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0177】
(実施例10)
構成体PC−PUと、構成体G−PUとを、両構成体のポリウレタン樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて60℃の温度にて15kgf/cmの圧力を1分間加えることで、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリウレタン樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0178】
(比較例19)
ポリカーボネート板、ポリウレタン樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリカーボネート板、ポリウレタン樹脂膜、無機ガラス板は、実施例9で使用したものと同様である。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体をポリカーボネート板が無機ガラス板よりも下になるように設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを60℃まで加熱し、温度が60℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリウレタン樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0179】
(比較例20)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例19と同じにして合わせガラスを得た。
【0180】
(比較例21)
ポリカーボネート板、ポリウレタン樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリカーボネート板、ポリウレタン樹脂膜、無機ガラス板は、実施例9で使用したものと同じである。
続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて60℃の温度にて15kgf/cmの圧力を1分間加えることで、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリウレタン樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0181】
(比較例22)
油圧プレス機の温度を100℃としたことを除いては比較例21と同じにして合わせガラスを得た。
【0182】
(実施例11)
ポリカーボネート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.37mm、積水化学工業社製)、第一の中間膜を「プラスチック板の一方の面に接着する方法1」で使用した離型PETよりも表面の凹凸が大きい離型紙(30mm×30mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型紙を取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を得た。
【0183】
無機ガラス板(300mm×300mm×2.5mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、第二の中間膜を「無機ガラス板の一方の面に接着する方法1」で使用した離型PETよりも表面の凹凸が大きい離型紙(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型紙を取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を得た。
【0184】
上記で作製したそれぞれエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板と無機ガラス板とを、両者のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを30℃まで加熱し、温度が30℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0185】
(実施例12)
ポリカーボネート板(300mm×300mm×2mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み0.37mm、積水化学工業社製)、第一の中間膜をプラスチック板の一方の面に接着する方法1で使用した離型PETよりも表面の凹凸が大きい離型紙(30mm×30mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型紙を取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板を得た。
【0186】
無機ガラス板(300mm×300mm×2.5mm、日本テストパネル社製)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、第二の中間膜を無機ガラス板の一方の面に接着する方法1で使用した離型PETよりも表面の凹凸が大きい離型紙(300mm×300mm×0.02mm)をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し積層体を取り出した。得られた積層体から離型紙を取り除くことによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着された無機ガラス板を得た。
【0187】
上記で作製したそれぞれエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜が一方の面に接着されたポリカーボネート板と無機ガラス板とを、両者のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、得られた積層体を、板状の重り(330mm×330mm×2.5mm、2kg)を用いて上下両側より挟み込み、油圧プレス機を用いて30℃の温度にて15kgf/cmの圧力を5分間加えることで、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0188】
(実施例13)
構成体PC−PVBと、構成体G−PVBとを、両構成体のポリビニルブチラール樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリビニルブチラール樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0189】
(実施例14)
構成体PC−PVBと、構成体G−PVBとを、両構成体のポリビニルブチラール樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを50℃まで加熱し、温度が50℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリビニルブチラール樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0190】
(比較例23)
ポリカーボネート板、ポリビニルブチラール樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリカーボネート板、ポリビニルブチラール樹脂膜、無機ガラス板は、実施例13で使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体をポリカーボネート板が無機ガラス板よりも下になるように設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリカーボネート板と無機ガラス板とがポリビニルブチラール樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0191】
(比較例24)
真空バッグを50℃まで加熱し、温度が50℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例23と同じにして合わせガラスを得た。
【0192】
(比較例25)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例23と同じにして合わせガラスを得た。
【0193】
(比較例26)
平均厚みが0.76mmのポリビニルブチラール樹脂膜を連続2層使用する代わりに、ポリビニルブチラール樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み1.5mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例23と同じである。
【0194】
(比較例27)
真空バッグを50℃まで加熱し、温度が50℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例26と同じにして合わせガラスを得た。
【0195】
(比較例28)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例26と同じにして合わせガラスを得た。
【0196】
(実施例15)
構成体PMMA−PVBと、構成体G−PVBとを、両構成体のポリビニルブチラール樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがポリビニルブチラール樹脂膜を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0197】
(実施例16)
構成体PMMA−PVBと、構成体G−PVBとを、両構成体のポリビニルブチラール樹脂膜の面同士を合わせるようにして積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体を設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを50℃まで加熱し、温度が50℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがポリビニルブチラール樹脂膜を介して貼りあわされた合わせガラスを得た。
【0198】
(比較例29)
ポリメチルメタクリレート板、ポリビニルブチラール樹脂膜を連続2層、無機ガラス板をこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。尚、ポリメチルメタクリレート板、ポリビニルブチラール樹脂膜、無機ガラス板は、実施例15で使用したものと同じである。
続いて、真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に、得られた積層体をポリカーボネート板が無機ガラス板よりも下になるように設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを40℃まで加熱し、温度が40℃まで到達後に10分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が25℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放することにより、ポリメチルメタクリレート板と無機ガラス板とがポリビニルブチラール樹脂を介して貼り合わされた合わせガラスを得た。
【0199】
(比較例30)
真空バッグを50℃まで加熱し、温度が50℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例29と同じにして合わせガラスを得た。
【0200】
(比較例31)
真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に10分間保持したことを除いては比較例29と同じにして合わせガラスを得た。
【0201】
(比較例32)
平均厚みが0.76mmのポリビニルブチラール樹脂膜を連続2層使用する代わりに、ポリビニルブチラール樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み1.5mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例29と同じにして合わせガラスを得た。
【0202】
(比較例33)
平均厚みが0.76mmのポリビニルブチラール樹脂膜を連続2層使用する代わりに、ポリビニルブチラール樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み1.5mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例30と同じにして合わせガラスを得た。
【0203】
(比較例34)
平均厚みが0.76mmのポリビニルブチラール樹脂膜を2枚使用する代わりに、ポリビニルブチラール樹脂膜(300mm×300mm、平均厚み1.5mm、積水化学工業社製)を一枚使用したことを除いては比較例31と同じにして合わせガラスを得た。
【0204】
(試験例1)
実施例1〜16および比較例1〜34で得られた合わせガラスについて、(1)合わせガラスの反り量、(2)中間膜とプラスチック板との界面での剥がれの有無、(3)中間膜と無機ガラス板との界面での剥がれの有無を下記評価方法に従い評価した。さらに、実施例1〜16の合わせガラスについては、(4)第一の中間膜および第二の中間膜の表面粗さ(十点平均粗さ)、および(5)第一の中間膜と第二の中間膜との界面での剥がれの有無を下記評価方法に従い評価した。
【0205】
(評価方法)
(合わせガラスの反り量を評価する方法)
合わせガラスを20℃相対湿度50%の恒温恒湿室にて24時間保存した後に、JIS R 3202に準拠して、弓形に反った合わせガラスを平滑な鋼板上に鉛直に立てて、それに定規を水平に当て、すき間ゲージを用いて反り量を測定した。
【0206】
(接着性評価)
界面での剥がれの有無を目視により観察した。
【0207】
(表面粗さの測定)
積層体を20℃相対湿度50%の高温高湿室に24時間保存後、第一の中間膜および第二の中間膜の十点平均粗さを、小坂研究所製「触針式表面粗さ測定器 サーフコーダーSE−40D」を用いて測定し、基準長さを8mmとしJIS B 0611に基づいて算出した。
【0208】
(合わせガラスのヘーズ試験)
合わせガラスサンプルを、23℃相対湿度50%の高温高湿の暗室にて48時間静置した。その後、ヘーズメーター(東京電色社製、TC−H3PP型)を用いて、JIS K 7015(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、合わせガラスのヘーズを測定した。尚、試験は23℃相対湿度50%の高温高湿室にて行った。
【0209】
実施例1〜4についての結果を表1に示し、比較例1〜12についての結果を表2に示す。実施例5〜8についての結果を表3に示し、比較例13〜18についての結果を表4に示す。実施例9および10についての結果を表5に示し、比較例19〜22についての結果を表6に示し、実施例11および12についての結果を表7に示す。また、実施例13および14についての結果を表8に示し、比較例23〜28についての結果を表9に示す。実施例15および16についての結果を表10に示し、比較例29〜34についての結果を表11に示す。
【0210】
【表1】

【0211】
【表2】

【0212】
【表3】

【0213】
【表4】

【0214】
【表5】

【0215】
【表6】

【0216】
【表7】

【0217】
【表8】

【0218】
【表9】

【0219】
【表10】

【0220】
【表11】

【0221】
表1〜11より、上記実施例の合わせガラスは、反りがなく、透明性が高く、かつ、中間膜とプラスチック板、および中間膜無と無機ガラス板との接着性が良好であり、上記比較例に比べて優れていることがわかる。
【0222】
次に、第二の製造方法およびそれにより製造される合わせガラスの実施例としての実施例17〜20、ならびにそれらの比較例としての比較例35〜38を示す。
【0223】
(実施例17)
(合わせガラスの加熱圧着)
ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム、平均膜厚2.4mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)とをこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、ポリカーボネート板外面の温度が100℃まで到達後に20分間保持した。
【0224】
(加熱圧着後の冷却方法)
上述の加熱圧着後、加熱のための電源を切り、冷却処理を開始した。氷水の入ったポリエチレン製の袋を、真空バッグの上面及び下面に押し当てることで真空バッグを急冷することにより合わせガラスを製造した。
なお、冷却処理開始から所定時間経過後のポリカーボネート板および透明無機ガラス板の温度は、表12に示した通りである。
【0225】
(実施例18)
加熱圧着において、最高到達温度を100℃とする代わりに、120℃としたこと以外は実施例17と同じにして合わせガラスを製造した。
【0226】
(比較例35)
(加熱圧着後の冷却方法)
実施例17と同じ操作にて加熱圧着した後、加熱のための電源を切り、冷却処理を開始した。真空合わせ装置の真空バッグを常温大気にさらして真空バッグを冷却することにより合わせガラスを製造した。
なお、冷却処理開始から所定時間経過後のポリカーボネート板および透明無機ガラス板の温度は、表13に示した通りである。
【0227】
(比較例36)
(加熱圧着後の冷却方法)
実施例17と同じ操作にて加熱圧着した後、加熱のための電源を切り、冷却処理を開始した。真空合わせ装置に設置されている扉を開けないことで熱が装置外に放出されるのをできるだけ遅くした。このような方法により、合わせガラスの冷却は十分時間をかけて行った。無機ガラス表面の温度が40℃を下回ったことを確認後、圧力を常圧に戻し、合わせガラスを真空バッグより取り出した。
【0228】
(実施例19)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の代わりに、ポリウレタン樹脂膜(Morton社製、平均膜厚0.61mm)を用いたこと以外は実施例17と同じにして合わせガラスを製造した。
【0229】
(比較例37)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の代わりに、ポリウレタン樹脂膜(Morton社製、平均膜厚0.61mm)を用いたこと以外は比較例35と同じにして合わせガラスを製造した。
【0230】
(実施例20)
(エチレン−アクリル共重合体樹脂膜の製造)
メタクリル酸エステル含有量が20重量%であるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(住友化学社製、アクリフトWH202)100重量部と、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ社製、サイラエースS310))0.2重量部とを、ロールミルに供給し、温度150℃で溶融混合し、ロールシートを得た。次いで、100μmの離型PETフィルムに挟着し、スペーサを周囲に配置した状態で150℃、100kgf/cmの荷重を加え、30分間プレス成形し、その後離型PETを取り除くことによって平均膜厚が2.1mmのエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を得た。
【0231】
(合わせガラスの製造)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の代わりに、上述の方法により作製したエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を用いたこと以外は実施例17と同じにして合わせガラスを製造した。
【0232】
(比較例38)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の代わりに、実施例20に記載したのと同じ操作にて作製したエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を用いたこと以外は比較例35と同じにして合わせガラスを製造した。
【0233】
(試験例2)
実施例17〜20および比較例35〜38において、ポリカーボネート板、および無機ガラス板の冷却処理時の温度を下記評価方法に従い測定した。結果を表12に示す。
また、実施例17、18および比較例35、36において中間膜として用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の補外結晶化終了温度(Tec)および結晶化開始温度(Tic)を下記評価方法に従い測定した。結果を表12に示す。
また、実施例17〜20および比較例35〜38で得られた合わせガラスの反り量、透視歪み、ヘーズを、下記評価方法に従い測定した。結果を表12および13に示す。
【0234】
(評価方法)
(ポリカーボネート板および無機ガラス板の冷却処理時の温度を測定する方法)
実施例17〜20および比較例35〜38において、ポリカーボネート板および無機ガラス板の冷却処理時の温度を、中間膜が接着される面とは反対側の面に熱電対を耐熱性のテープにより貼り付けておくことにより測定した。
【0235】
(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の結晶化温度を測定する方法)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の薄片を、23℃相対湿度50%の高温高湿室にて48時間状態調節した。続いて、示差走査熱量計(リガク社製、DSC8230)を使用して、窒素ガス流量20mlでJIS K 7121(1987)「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して、5℃/分の冷却速度で測定したエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜の補外結晶化終了温度(Tec)および結晶化開始温度(Tic)を測定した。
【0236】
(合わせガラスの反り量を評価する方法)
合わせガラスを20℃相対湿度50%の恒温恒湿室にて24時間保存した後に、JIS R 3213(1998年)に準拠して、弓形に反った合わせガラスを平滑な鋼板上に鉛直に立てて、それに定規を水平に当て、すき間ゲージを用いて反り量を測定した。
【0237】
(合わせガラスの透視ひずみ測定)
JIS R 3213(1998年)に準拠した方法にて、スクリーン上に投影された円形の最大変形量、及び最小変形量を、デジタルノギスを用いて測定した。合わせガラス供試体は45°の傾斜角度で設置し、合わせガラスの端から50mmの部分を除いた領域を測定領域とした。測定した最大変形量、及び最小変形量より、JIS R 3212(1998年)に記載されている下記式より、透視ひずみの最大値を算出した。
【0238】
Δ(α)=Δd/(0.29×R),R=4
Δ(α)は透視ひずみ(分)
Δdは最大変形量(mm)
は合わせガラス供試体とスクリーンとの距離(m)
【0239】
(合わせガラスのヘーズ試験)
合わせガラスサンプルを、23℃相対湿度50%の高温高湿の暗室にて48時間静置した。その後、ヘーズメーター(東京電色社製、TC−H3PP型)を用いて、JIS K 7015(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、合わせガラスのヘーズを測定した。尚、試験は23℃相対湿度50%の高温高湿室にて行った。
【0240】
【表12】

【0241】
【表13】

【0242】
表12および13から、実施例17〜20の本発明方法により得られた合わせガラスは、比較例35〜38のものと比べて、反り量が少なく、透視ひずみがほとんどなく、さらに、ヘーズ値も低いことが分かる。
【0243】
次に、第三の合わせガラスの実施例としての実施例21〜26、ならびにそれらの比較例としての比較例39〜44を示す。
【0244】
(実施例21)
ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム、平均膜厚2.4mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)とをこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
【0245】
続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に20分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が30℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し、合わせガラスを得た。
【0246】
(実施例22)
ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、6枚重ねにしたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム、平均膜厚0.37mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)とをこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
【0247】
続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に20分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が30℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し、合わせガラスを得た。
【0248】
(実施例23)
ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、4枚重ねにしたポリウレタン樹脂膜(Morton社製、1枚あたりの平均膜厚0.61mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)とをこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
【0249】
続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に20分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が30℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し、合わせガラスを得た。
【0250】
(実施例24)
(エチレン−アクリル共重合体樹脂膜の製造)
メタクリル酸エステル含有量が20重量%であるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(住友化学社製、アクリフトWH202)100重量部と、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ社製、サイラエースS310))0.2重量部とを、ロールミルに供給し、温度150℃で溶融混合し、ロールシートを得た。次いで、100μmの離型PETフィルムに挟着し、スペーサを周囲に配置した状態で150℃、100kgf/cmの圧力を加え、30分間プレス成形し、その後離型PETを取り除くことによって平均膜厚が2.1mmのエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を得た。
【0251】
(合わせガラスの製造)
得られたエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を、ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)との間に挟着させることで積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
【0252】
続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを100℃まで加熱し、温度が100℃まで到達後に20分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が30℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し、合わせガラスを得た。
【0253】
(実施例25)
ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム、平均膜厚2.4mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)とをこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
【0254】
続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを130℃まで加熱し、温度が130℃まで到達後に20分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が30℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し、合わせガラスを得た。
【0255】
(実施例26)
ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2mm)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム、平均膜厚4.3mm)と、透明無機ガラス板(日本テストパネル社製、300mm×300mm×2.5mm)とをこの順に積層し、耐熱性のテープによりずれることがないように固定した。
【0256】
続いて、得られた積層体を真空合わせ装置(ハイテックエンジニアリング社製)のゴムバッグ内に設置し、常温で70cmHgの真空度にて10分間ゴムバック内の排気を行った。次に、脱気状態を維持したまま真空バッグを130℃まで加熱し、温度が130℃まで到達後に20分間保持した。その後、自然冷却により真空バッグの温度が30℃まで下がったことを確認し、圧力を常圧まで解放し、合わせガラスを得た。
【0257】
(比較例39)
平均膜厚が2.4mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を用いる代わりに、平均膜厚が0.4mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム)を用いたこと以外は実施例21と同じにして合わせガラスを得た。
【0258】
(比較例40)
平均膜厚が2.4mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を用いる代わりに、平均膜厚が0.8mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜(積水化学社製ENフィルム)を用いたこと以外は実施例21と同じにして合わせガラスを得た。
【0259】
(比較例41)
平均膜厚が2.4mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜を用いる代わりに、平均膜厚が0.61mmのポリウレタン樹脂膜(Morton社製EN)を用いたこと以外は実施例21と同じにして合わせガラスを得た。
【0260】
(比較例42)
実施例4に記載した方法と同様の方法により、平均膜厚が0.8mmのエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を得た。得られた厚さ0.8mmのエチレン−アクリル共重合体樹脂膜を用いたこと以外は実施例24と同じにして合わせガラスを得た。
【0261】
(比較例43)
加熱圧着温度を130℃としたこと以外は比較例40と同じにして合わせガラスを得た。
【0262】
(比較例44)
加熱圧着温度を130℃としたこと以外は比較例42と同じにして合わせガラスを得た。
【0263】
(試験例3)
実施例21〜26および比較例39〜44の合わせガラスにつき、合わせガラスの反り量と透視歪みとを下記評価方法に従い評価した。
【0264】
(評価方法)
(合わせガラスの反り量を評価する方法)
合わせガラスを20℃相対湿度50%の恒温恒湿室にて24時間静置した後に、JIS R 3213(1998年)に準拠して、弓形に反った合わせガラスを平滑な鋼板上に鉛直に立てて、それに定規を水平に当て、すき間ゲージを用いて反り量を測定した。
【0265】
(合わせガラスの透視歪み測定)
JIS R 3213(1998年)に準拠した方法にて、スクリーン上に投影された円形の最大変形量、及び最小変形量を、デジタルノギスを用いて測定した。合わせガラス供試体は45°の傾斜角度で設置し、合わせガラスの端から50mmの部分を除いた領域を測定領域とした。測定した最大変形量、及び最小変形量より、JIS R 3212(1998年)に記載されている下記式より、透視歪みの最大値を算出した。
【0266】
Δ(α)=Δd/(0.29×R),R=4
Δ(α)は透視歪み(分)
Δdは最大変形量(mm)
は合わせガラス供試体とスクリーンとの距離(m)
【0267】
実施例21〜26についての結果を下記表14に示し、比較例39〜44についての結果を下記表15に示す。
【0268】
【表14】

【0269】
【表15】

【0270】
表14および15から、実施例21〜26の本発明の合わせガラスは、比較例39〜44の合わせガラスに比べて反り量が小さく、透視歪みがほとんどないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本発明により、建築物、自動車、鉄道車両、航空機、船舶などに設置される窓ガラスとして有用な、一部がプラスチック板からなる合わせガラスを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で60℃まで冷却する工程とを備えた合わせガラスの製造方法。
【請求項2】
プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で50℃まで冷却する工程とを備えた合わせガラスの製造方法。
【請求項3】
プラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜を介して、80℃を超え150℃未満の温度で加熱圧着する工程と、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で40℃まで冷却する工程とを備えた合わせガラスの製造方法。
【請求項4】
中間膜が、熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項5】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、平均膜厚が2.0mmを超え5.0mm未満の熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項6】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第4項または第5項に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項7】
前記の30℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で冷却する工程は、加熱圧着により加熱されたプラスチック板と無機ガラス板とを、中間膜樹脂の補外結晶化終了温度(JIS K 7121(1987)に準拠して測定)よりも10℃高い温度から、中間膜樹脂の補外結晶化開始温度(JIS K 7121(1987)に準拠して測定)よりも10℃低い温度まで、50℃/分以上500℃/分以下の平均冷却速度で冷却する工程を含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項8】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第4項または第5項に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項9】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第4項または第5項に記載の合わせガラスの製造方法。
【請求項10】
請求の範囲第1項〜第9項のいずれかに記載の製造方法によって製造された合わせガラス。
【請求項11】
プラスチック板と無機ガラス板とが中間膜を介して加熱圧着により貼り合わされてなる合わせガラスにおいて、前記中間膜の平均膜厚が2.0mmを超え5.0mm未満であり、かつ前記加熱圧着温度が80℃を超え150℃未満の温度であることを特徴とする合わせガラス。
【請求項12】
中間膜が、熱可塑性エラストマー樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の合わせガラス。
【請求項13】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の合わせガラス。
【請求項14】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の合わせガラス。
【請求項15】
熱可塑性エラストマー樹脂膜が、硫黄元素を含有していてもよいポリウレタン樹脂膜であることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の合わせガラス。

【公開番号】特開2012−35633(P2012−35633A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233298(P2011−233298)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2007−534341(P2007−534341)の分割
【原出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】