説明

三次元印刷用資材システムおよび方法

本発明は、三次元印刷システムおよび方法ならびにそれらから製造される物品(38)に向けられている。本発明の方法は、三次元物品の断面部分を構築すること、および個々の断面積を層状形状に組み立てて最終物品を形成することを含む。個々の断面積は、粒子材料に水性流体(26)を送達するためのインクジェットプリントヘッド(28)を用いて構築され、粒子材料は、第1粒子状材料、第2粒子状材料、および第3粒子状材料を含み、第1および第2粒子状材料は流体の存在下で一定時間において反応し、かつ第3粒子状材料は流体の存在下で反応してより長い時間において固形物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般には、ラピッド・プロトタイピング技術、さらに詳細には、粒子状混合物を用いる三次元印刷用資材および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラピッド・プロトタイピングの分野には、直接にコンピュータ作製設計データからの、プロトタイプ物品および少量の機能部品、ならびに構造用セラミックスおよび鋳造用のセラミック・シェル・モールドの製造が含まれる。
【0003】
ラピッド・プロトタイピング用の二つの周知の方法には、選択的レーザー焼結法および液体結合剤三次元印刷法が挙げられる。これらの技術は、それらが両方とも三次元物品を構築するために積層技術を用いる限りでは似通っている。両方法とも所期物品の連続薄断面を形成する。個々の断面は、粒状材料床の平坦表面上の粒状材料の粒子を一緒に結合することにより形成される。各層は前に形成された層に結合されて、各層の粒子が一緒に結合されると同時に所期の三次元物品を形成する。レーザー焼結および液体結合剤技術は、それらがコンピュータ作製設計データから直接的に部品を造りだすと共に複雑形状を有する部品を製造することができるので有利である。さらに、三次元印刷は、プロトタイプ部品の従来型の機械加工、または品目の複雑さに応じて数週間から数ケ月を要することができる従来型の「ハード」または「ソフト」金型技術による鋳造または成形部品の製造よりも、一層速くおよびより安価であることができる。
【0004】
三次元印刷は、焼流し鋳造用のセラミック金型を作製し、それによって十分に機能する金属部品を造りだすために用いられてきた。さらなる用途が三次元印刷用に検討されてきた。
【0005】
例えば、三次元印刷は、それが視覚化、実演および機械プロトタイピング用に用いられる設計関連分野において有用であることが可能である。それは、また、成形工程用のパターンを作製するために有用であることが可能である。三次元印刷技術は、例えば、予想結果が手順を実行する前にモデル化することが可能である医学および歯科医術の分野において、さらに有用であることが可能である。ラピッド・プロトタイピング技術から恩恵を受けることができるであろう他の分野には、建築事務所および設計の視覚化が有用である他のものが挙げられる。
【0006】
選択的レーザー焼結法は、本明細書において参照してその内容を記載したものとする、デッカード(Deckard)への米国特許第4,863,538号に記載されている。選択的レーザー焼結法はDTMにより商業化され、3D・システムズ(3D Systems)により受け継がれた。選択的レーザー焼結法は、粉末の薄層を平坦な表面上に広げることを含む。粉末は、技術上逆回転機構として公知の選択的レーザー焼結法による使用のために開発された用具(以後「カウンタ・ローラー」)を用いて広げられる。カウンタ・ローラーを用いることは、材料の薄層が前の層を乱すことなく均一に広げることを可能とする。粉末層が表面上に広げられてから、レーザーは予定の二次元パターン形態をとる粉末上にレーザー・エネルギーを導く。レーザーは、そのエネルギーにより攻撃される領域中で粉末を一緒に焼結するか、または、溶融する。粉末はプラスチック、金属、ポリマー、セラミックまたは複合材料であることができる。粉末の連続層は、カウンタ・ローラーを用いて前の層上に広げられ、次に、レーザーにより焼結するかまたは溶融する。本方法は本質的に熱的であり、最終物品を形成するために、レーザーによる粉末を一緒におよび前の層に焼結させるために十分な量のエネルギーの送達を必要とする。
【0007】
本明細書において参照してその内容を記載したものとする、バーロウ(Barlow)への米国特許第5,639,402号には、高分子結合剤材料により被覆されるか、または代わりにそれと混合されるリン酸カルシウム粒子を選択的に溶解するための方法が開示されている。
【0008】
本明細書において参照してその内容を記載したものとする、ザックス(Sachs)らへの米国特許第5,204,055号には、液体またはコロイド状結合剤材料を粉末化材料層に送達するためのインクジェットプリントヘッドの使用を含む、早期の三次元印刷技術が記載されている。三次元インクジェット印刷技術(以後「液体結合剤法」)は、カウンタ・ローラーを用いて粉末化材料層を表面に広げることを含む。粉末化材料が表面に広げられた後、インクジェットプリントヘッドは液体結合剤を粉末層に送達する。結合剤は粉末材料中の隙間中に浸透し、硬化して粉末材料を固化層中に結合する。硬化結合剤は、また、各層を前の層に結合する。第1断面部分が形成された後、前の段階が繰り返され、最終物品が形成されるまで連続断面部分を構築する。任意に、結合剤は蒸発する担体中に懸濁することができ、後に硬化結合剤を残す。粉末化材料はセラミック、金属、プラスチックまたは複合材料であることができると共に、繊維をも含むことができる。液体結合剤材料は有機または無機であることができる。用いられる一般的な有機結合剤材料には、高分子樹脂、またはポリカルボシラザンなどのセラミック前駆体がある。無機結合剤は結合剤が最終物品中に組み込まれる場合に用いられる:シリカが一般にこうした用途に用いられる。
【0009】
本明細書において参照してその内容を記載したものとする、チマ(Cima)への米国特許第5,490,962号には、生体活性剤の制御放出用の医療用具を製造するための固形物自由造形技術が開示されている。
【0010】
ザックスらへの米国特許第6,397,922号には、セラミック金型を造りだすために用いられる積層造形技術が開示されており、本明細書においてこの番号を参照してその内容を記載したものとする。
【0011】
レーザーよりむしろインクジェットプリントヘッドを用いる一つの利点は、結合剤を粉末に送達するために用いられる複数の噴射ノズルを単一のプリントヘッド中に並行して配列することができることにある。選択的レーザー焼結機において、粉末にエネルギーを送達する一つのレーザーのみが習慣的に用いられる。いくつかの噴射ノズルの組合せは、より広い面積が一度に印刷されることを可能とすることにより、レーザー焼結に比べて、液体結合剤印刷速度を増大させる。加えて、液体結合剤印刷装置は、レーザーの原価高および関連ビーム偏向光学素子および制御機器の原価高のせいで、レーザー装置よりも一段と安価である。
【0012】
しかし、三次元印刷用資材は、層内および層間の十分な結合力が適切に形成されなかった場合、印刷工程の間およびその後に変形を受けやすい。
【0013】
加えて、選択的レーザー焼結法および液体結合剤技術の両方に用いられる粉末、特に金属粉末は、事務所環境における使用にはそれらが望ましくないとする安全問題を提供する。これらの安全問題は、例えば、有害物質の皮膚接触または吸入を防ぐための特別の衣類および加工設備を必要とすることが可能である。加えて、有害物質の処置用の規制に適合することを通して、さらに費用が嵩んでくることが可能である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの面は、第1粒子状材料、第2粒子状材料および第3粒子状材料の複数の粒子の混合物の生成物(プロダクツ)を含む物品に向けられている。第1粒子状材料および第2粒子状材料は、反応して一定時間において固形物を形成することができ、第3粒子状材料はより長い時間において固化することができる。別の態様において、複数の粒子の混合物はまた、充填剤を含むことが可能である。別の態様において、第1粒子状材料はリン酸塩である。別の態様において、第2粒子状材料はアルカリ酸化物である。さらに別の態様において、第1粒子状材料はプラスターである。別の態様において、第2粒子状材料は促進剤である。さらに別の態様において、第3粒子状材料は接着剤である。
【0015】
本発明のもう1つの面は、三次元印刷において用いられる配合物(コンパウンド)に向けられている。本配合物は、第1粒子状材料および第2粒子状材料が反応して一定時間に固形物を形成することができ、第3粒子状材料がより長い時間で固化することができる、第1粒子状材料、第2粒子状材料、および第3粒子状材料を含む。別の態様において、本配合物はまた、充填剤を含むことが可能である。別の態様において、第1粒子状材料はリン酸塩である。別の態様において、第2粒子状材料はアルカリ酸化物である。さらに別の態様において、第1粒子状材料はプラスターである。別の態様において、第2粒子状材料は促進剤である。さらに別の態様において、第3粒子状材料は接着剤である。
【0016】
本発明の別の面は、第1粒子状材料、第2粒子状材料、および第3粒子状材料を含む乾燥粒子状材料層を提供し、第1層領域上に流体を分配することを含む、三次元印刷法に向けられている。流体は、第1および第2粒子状材料間の反応を惹起して、その反応で固化材料を前記領域で形成することを引き起こすと共に、第3粒子状材料の固化を前記領域で引き起こす。第1および第2粒子状材料間の反応は一定時間で起こり、かつ第3粒子状材料はより長い時間で固化する。別の態様において、乾燥粒子材料層はまた、充填剤を含むことが可能である。別の態様において、第1粒子状材料はリン酸塩である。別の態様において、第2粒子状材料はアルカリ酸化物である。さらに別の態様において、第1粒子状材料はプラスターである。別の態様において、第2粒子状材料は促進剤である。さらに別の態様において、第3粒子状材料は接着剤である。
【0017】
本発明の別の面は、三次元印刷において用いられる固形物の混合物であって、流体と接触する場合、第1速度で起こる第1固化反応を被り、かつ同時に、第1速度よりも遅い第2速度で起こる第2固化反応も被る混合物に向けられている。
【0018】
本発明のその他の利点、新規な特徴、および目的は、模式図であり一定の比例に拡大しては描かれていない添付の図面と併せて考えれば、以下の本発明の非限定態様の詳細な説明から明らかになるであろう。なお、図面において、いろいろな図面で説明されるそれぞれ同一のまたはほぼ同一の成分(要素)は、一般に、1つの数字により表される。簡略化のために、すべての成分がすべての図面中に表示されるわけではなく、当業者が本発明を理解することを可能とするために説明が必ずしも必要でない場合、本発明の各態様のすべての成分が示されるわけでもない。本明細書および参考のため記載する文献が矛盾する開示内容を含む場合、本明細書の記載が優先するのは当然である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、鋳造用の金型などの鋳物用の金型を調製するためにとりわけ有用である三次元印刷用資材システムに関する。多数の鋳造物は、溶融金属をセラミック金型中に注ぐことにより作製される。砂型鋳造のために、金型は結合剤により一緒に保持される砂から作製することが可能である。焼流し鋳造のために、金型はシリカにより一緒に保持されるアルミナ粉末などの耐火物から作製することが可能である。
【0020】
鋳造用に調製される金型は、金属などの溶融材料の型穴中への流し込みに耐えるために十分強くあることが好ましい。しかし、金型は、また、冷却過程の間に壊れるか、または冷却過程の後に壊れることができて成形物の除去を可能にすることが好ましい。
【0021】
三次元印刷用資材システムにおいて、金型または外観モデルを調製する場合、良好な脱粉末化能力、十分な強度、および急速な固化機構を有することが望ましい。本明細書において用いられる用語「脱粉末化能力(de powderability)」は、それが固化して後に印刷化物品からゆるい粉末を取り除く能力として定義される。本明細書において記載される代表的な態様が、それらの強度、耐熱性および他の特徴のせいで金型用に特に有利である一方で、それらは、また、外観モデルおよび他の物品を製造するためにも用いることができる。
【0022】
本発明は、第1粒子状材料、第2粒子状材料、第3粒子状材料、および充填剤の混合物を含む三次元印刷用資材システムに関する。流体は、第1粒子状材料および第2粒子状材料が反応して第1時間において固形物を形成することを引き起こすと共に、第3粒子状材料が第1時間よりも長い第2時間において固化することを引き起こす。第1粒子状材料と第2粒子状材料間の反応は、印刷過程の間およびその後での印刷化部分に対する初期強度を提供し、高精度を促進し、印刷段階の終りから取扱いまでのより短い時間を可能とすることができ、部分変形を低減するかまたは排除することが可能である。第3粒子状材料の固化は最終製品に強度を提供する。本明細書において用いられる用語「固形物(solid)」は、一定の体積および形状を有し、その体積または形状を変える傾向のある力に抵抗する物質を意味すると共に、ゲルなどの固形状物質を含むように意図されている。本発明はまた、こうした資材システムのための使用の方法、および本発明の方法により製造される物品に関する。
【0023】
ここで図1を参照すると、本発明の資材システムを用いる印刷法の略図が示されている。本方法により、粒子状材料20の層または膜は、容器24の下方移動可能表面22上に広げられる。粒子状材料の層または膜はどのようなやり方においても形成することができると共に、好ましくは、カウンタ・ローラーを用いて広げられる。表面に広げられる粒子状材料は、第1粒子状材料、第2粒子状材料、第3粒子状材料、および充填剤を含む。本明細書において用いられる「充填剤」は、実質的に流体中に不溶であり最終製品に構造を付与する、流体添加前には固形物である不活性材料を定義するように意図されている。第1および第2粒子状材料は、流体の存在で反応して構築しようとする部品に初期結合力を提供し、一方で、第3粒子状材料はより長い時間で固化して最終部品強度を提供する。
【0024】
本発明の目的のため、「粒子状材料」は、有意な量の粒子状材料を含有するあらゆる乾燥材料を定義するように意図されている。粒子状材料は、実施しようとする本発明の特定態様に応じて、流体材料またはそのいかなる部分にも可溶であるか、またはそれと相互作用することが可能である。例えば、一部の態様において、粒子状材料が流体材料中に溶解することは望ましいことが可能である。
【0025】
一般に、粒子状材料における粒子径は、印刷しようとする層の厚さにより限定される。すなわち、粒子は、好ましくは、印刷しようとする層の厚さよりもわずかに小さい。粒子状材料は、あらゆる規則的または不規則な形状を有することが可能である。より小さな粒子を用いることは、より小さな形状、より薄い層を使える能力、および技術上「ステアー・ステッピング」効果として知られる縮小する能力などの利点を提供することが可能である。好ましい態様において、資材システムは、約1μm〜約300μmの範囲、好ましくは約2μm〜約250μmの範囲、さらに好ましくは約10μm〜約100μmの範囲、さらに好ましくは約10μm〜約50μmの範囲にある平均径を持つ粒子を有する粒子状材料を含む。
【0026】
粒子状材料は、不純物および/または不活性粒子を含むことが可能である。不活性粒子または粒子状材料のあらゆる部分は、顆粒状、粉末化または繊維状の材料を含むことができる。不活性粒子の部類には、ポリマー、セラミック、金属、有機材料、無機材料、鉱物、粘土および塩が挙げられる。
【0027】
本発明の資材システムに適する粒子状材料の選択には、当業者による日常的な実験を通して容易に達成することが可能である種々の定性的評価が含まれる。最初に、粒子状材料の小山が形成され、その小山に窪みが形成され、少量の流体が窪みに置かれる。とりわけ、流体が粒子状材料中に拡散する速度、流体導入粒子状材料の粘度、および膜が流体周りに形成されるかどうかについて、目視観測を行う。次に、注射器を流体で満たし、粒子状材料の小山を掃射することにより、線条試験(ラインテスト)を行う。約24時間後、粒子状材料の小山を検査する。小山の中に粒子状材料の小石が形成されたものは適する。というのは、それが、流体が蒸発するかまたは周囲の乾燥粉末中に拡散することができるよりもさらに速く粒子状材料と流体が反応することを意味するからである。硬化材料の小石とロッドの両方が形成されたものはなおさらに適する。というのは、流体が蒸発するかまたは周囲の乾燥粉末中に拡散する速度よりも流体と粒子状材料が硬化する速度の方がより大きいことを示しているからである。一部の例において、硬化材料のロッドは縮小し、粒子状材料が歪みに伴う問題点を生じることが可能であることを示す。上述のように、種々の添加剤を粒子状材料および/または流体中に含んで粒子状材料が硬化する速度を加速させることが可能である。
【0028】
粒子状材料は、また、広がりの容易さを決定するために評価することが可能である。とりわけ、曲げ強度、歪み、硬化速度、最適層厚さ、および流体対粒子状材料の最適比を決定するために、簡単な試験部品をも形成することが可能である。三次元印刷法における使用に適する資材システムには、比較的高い曲げ強度に加えて最小の歪みを伴い硬化するものが挙げられる。高い曲げ強度値を有する硬化製品は、歪みが最終印刷物品の精度を危うくする場合、三次元印刷法における使用に適しない場合があり、このことは比較的精密な形状が望まれる場合に特にあてはまる。
【0029】
材料が線条試験を通して潜在的材料として識別された後、三次元印刷機上に試験パターンを印刷することにより、製法をさらに開発することが可能である。強度、精度、および取扱い上の困難度は、すべて、一組の試験部品により特性分析することが可能である(例えば、強度用の破壊棒および精度用のゲージブロック)。これらの試験は必要とするだけ繰り返すことが可能であり、粉末製法は最適の特性が得られるまで繰り返される。
【0030】
本発明の態様のいくつかの面によれば、粒子状材料を選択するための追加の基準は、流体の存在下における反応および/または固化の相対速度である。第1粒子状材料および第2粒子状材料は、流体存在下における第3粒子状材料の固化よりも短い時間で流体の存在下において反応し固化するように選択される。流体の存在下における第1および第2粒子状材料の反応生成物の固化は、約20分以内に起こることができるであろう。別の態様において、第1粒子状材料および第2粒子状材料は反応して、流体添加後約10分以内、好ましくは約5分以内、さらに好ましくは約2分以内、最も好ましくは約1分以内に固形物を形成する。第3粒子状材料の固化は、第1粒子状材料と第2粒子状材料間の反応よりも長い時間で起こる。一つの態様において、第3粒子状材料は約10分〜約2時間以上の範囲にある時間において固化する。第1および第2粒子状材料の固化用の絶対時間、および第3粒子状材料の固化用の絶対時間は、それぞれ、広範囲にわたり変動することができるが、しかし、第3粒子状材料の固化用の時間は、少なくとも、第1粒子状材料および第2粒子状材料の固化用の時間よりも長くある。
【0031】
ある態様において、第1粒子状材料は酸であることが可能であり、第2粒子状材料は流体の存在下に相互に反応する塩基であることが可能である。例えば、第1粒子状材料はリン酸塩であることが可能であり、一方で、第2粒子状材料はアルカリ酸化物、および/またはアルカリ水酸化物であることが可能である。水性流体がこれらの材料を含有する粉末上に印刷される場合、リン酸塩は溶解しアルカリ酸化物および/またはアルカリ水酸化物上で反応してセメントを形成する。
【0032】
本発明の態様において用いられるリン酸塩には、オルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、およびメタリン酸などのリン酸の塩を含むリンの酸素酸塩が挙げられる。
【0033】
本明細書において用いられる用語「リン酸塩」は総称であり、結晶性および非晶質の無機リン酸塩の両方を含む。さらに、「リン酸塩」には、オルトリン酸塩および凝縮リン酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。オルトリン酸塩は、単量体4面体イオン単位(PO43を有する化合物である。典型的なオルトリン酸塩には、1ナトリウムリン酸塩、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウムなどのオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸カリウムおよびオルトリン酸アンモニウムが挙げられる。リン酸塩は、さらに、ジョンソン(Johnson)らへの米国特許第6,299,677号に記載されており、本明細書においてこの番号を参照することによりその全体を記載したものとする。
【0034】
本発明の態様において用いることが可能である過リン酸塩の例には、1アンモニウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、無水1カルシウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩、および過リン酸アルミニウムが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の態様において用いることが可能である過リン酸塩の例には、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、無水ポリリン酸ナトリウム、およびポリリン酸アンモニウムが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の態様において用いることが可能である過リン酸塩の例には、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、およびピロリン酸4カリウムが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の態様において用いることが可能である他のリン酸塩の例には、リン酸2アンモニウム、リン酸2カリウム、リン酸2ナトリウム、1カルシウムリン酸塩一水和物、リン酸2カルシウム二水和物、無水リン酸2カルシウム、リン酸3カルシウム、リン酸2ナトリウム、およびリン酸3カリウムが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい態様において、リン酸塩は、無水1カルシウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、過リン酸アルミニウム、1アンモニウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、およびそれらの組合せなどのリン酸塩である。
【0035】
第2粒子状材料として用いることが可能であるアルカリ酸化物には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化銅、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、酸化カドミウム、酸化スズ、鉛丹、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。第2粒子状材料として用いることが可能であるアルカリ水酸化物の例には、水酸化マグネシウム、二水酸化ベリリウム、三水酸化コバルト、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。一つの態様において、第2粒子状材料はアルカリ酸化物である。好ましい態様において、アルカリ酸化物は酸化マグネシウムである。酸化マグネシウムはリン酸塩化合物と反応してリン酸マグネシウムセメントを形成することが可能である。ある態様において、酸化マグネシウムと過リン酸塩の比率は、多様な樹脂、充填剤、および結合剤成分を供給するために変動することが可能である。
【0036】
別の態様において、酸化マグネシウムは硫酸塩含有化合物と反応して塩基性硫酸マグネシウムセメントを形成するか、または塩化物含有化合物と反応して塩基性塩化マグネシウムセメントを形成することが可能である。別の態様において、酸化亜鉛は硫酸塩含有化合物または塩化物含有化合物と反応することが可能である。硫酸塩含有化合物の例には、硫酸マグネシウムおよび硫酸亜鉛が挙げられるが、それらに限定されない。塩化物含有化合物の例には、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、および塩化カルシウムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
別の態様において、第1粒子状材料はプラスターであることが可能であり、第2粒子状材料は促進剤であることが可能である。プラスターは、しばしば、「焼石膏(Plaster of Paris)」と呼ばれ、その名前はそれから焼石膏が製造される豊富な鉱物石膏を含有するパリおよびその周辺領域の土に由来する。プラスターは、また、限定されないが、硫酸石灰、硫酸カルシウムの半水和物、鋳造プラスター、石膏プラスター、含水硫酸石灰、含水硫酸カルシウム、および歯科用プラスターを含む多くの他の名前ならびに多様な商品名で呼ばれる。本明細書において用いられる用語「プラスター」は、水性流体添加の前に粉末形態にあるCaSO4・1/2H2Oの実質的な量を含む材料のあらゆる変形を定義するように意図されている。用語「水和プラスター」および「凝結プラスター」は本明細書において交換可能に用いられ、凝結または再水和後のCaSO4・2H2Oの実質的な量を含むプラスターのあらゆる変形を包含するように意図されている。例えば、構造強度、凝結用に必要な時間、および凝結の間に起こる体積変化の変わるプラスターの多くの変形品が、市販されている。一般に、市販されているプラスターには、シリカ、粉末化石灰石、でんぷん、白土、および石灰などの他の成分が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の態様のために適する市販プラスター材料の例には、白色ハイドロカル・セメント、デュラボンド90、およびドライストーン(それぞれイリノイ州、シカゴにあるU.S.ジプサム(Gypsum)から市販されている)、ならびに鋳造プラスター、成形プラスター、およびスパックリング化合物の大部分のブランドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0038】
促進剤は第2粒子状材料として用いることが可能である。本明細書において用いられる「促進剤」は、プラスターが凝結する速度を増大させるあらゆる材料を定義するように意図されている。プラスターの速度を促進するための方法の例には、結晶形成用の追加の核生成部位を提供するか、または結晶の成長速度を増大させることにより、水中におけるプラスターの溶解度を増大させることが挙げられるがそれらに限定されない。促進剤は、一般に、それらがプラスターの強度特性に悪影響を与えることが可能であるので、従来型のプラスター工程において控えめに用いられる。しかし、促進剤は、それらが印刷およびさらなる処理の間比較的速い凝結を生みだすことを支援するという理由により、本発明の特定の態様において好ましい。プラスターの強度特性に対する潜在的な悪影響は、第3粒子状材料が最終部品に強度を提供するために存在するので、それほど重要なものではない。適する促進剤には、白土、硫酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、か焼不足のプラスター、ミョウバン、カリウム・ミョウバン、石灰、か焼石灰、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。粉砕された粗製石膏である白土は、好ましい促進剤であり、石膏結晶形成用の追加の核生成部位を提供することにより機能する。別の好ましい促進剤には、水中のプラスターの溶解度を増大させることにより機能すると考えられる硫酸カリウムがある。白土および硫酸カリウムの両方とも物品の最終強度を増大させる。一つの態様において、少なくとも一つの促進剤は、好ましくは、プラスターが凝結する速度を増大させるために第2粒子状材料として用いられる。プラスター成分は、さらに、1998年10月29日出願の米国特許出願第09/182,295号の継続出願である2001年4月10日出願の米国特許第6,610,429号に記載されており、これらの番号を参照することで本明細書においてその内容の全体を記載したものとする。本発明の態様の第3粒子状材料は、流体の存在下で反応して、第1粒子状材料と第2粒子状材料間の反応のそれよりも遅い速度で固化し、最終部品に対する強度を与える。ある態様において、第3粒子状材料は接着剤である。別の態様において、第3粒子状材料は接着剤により被覆される充填剤である。
【0039】
接着剤は、流体中での高溶解度、低溶液粘度、低吸湿性、および高結合力の特性のために選択される化合物である。接着剤は、それが流体中に早急におよび完全に組み込まれることを確実にするために、流体中で高度に可溶性であることが好ましい。一旦流体中で溶解すると、溶液が粉末床中の部位にすばやく移動して補強材を一緒に接着的に結合することを確実にするために、低溶液粘度が好ましい。接着剤は、好ましくは、充填剤との混合の前、および/または有効表面積を増大させるために充填剤粒子を被覆する前に、望ましくない物品特性「ケーキング」を引き起こすほどに細かくはないが、できるだけ細かく粉砕され、溶媒中の溶解を増進する。一般的な接着剤粒子粒径は、約10〜40μmである。接着剤の低吸湿性は、空気からの過剰水分、および未活性化粉末が中で部品の外表面に見せかけで接着し、有効でない表面定義をもたらす「ケーキング」を引き起こす粉末床の印刷領域中の蒸発流体の吸収を避ける。
【0040】
他の化合物も用いることができるが、水溶性化合物が本発明の態様における接着剤として好ましい。本発明の態様における接着剤としての使用に適する化合物は、以下の非限定的一例から選択することが可能である:水溶性ポリマー、炭水化物、糖、糖アルコール、タンパク質、および一部の無機化合物。低分子量を有する水溶性ポリマーは、より小さい分子が溶液中でより迅速に拡散するので、より速く溶解する。適する水溶性ポリマーには、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マレイン酸とのポリアクリル酸ナトリウムコポリマー、ポリ酢酸ビニルとのポリビニルアルコールコポリマー、および酢酸ビニルとのポリビニルピロリドンコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、マレイン酸とのポリアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、およびそれらのアルカリ塩、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、マレイン酸官能基を組み込むポリマー、およびそれらの組合せが挙げられるがそれらに限定されない。炭水化物には、アカシアゴム、イナゴマメゴム、前ゼラチン化でんぷん、酸変性でんぷん、加水分解でんぷん、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられるが、それらに限定されない。適する糖および糖アルコールには、蔗糖、デキストロース、果糖、乳糖、ポリデキストロース、ソルビトールおよびキシリトールが挙げられる。クエン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、ゼラチン、ウサギ毛皮のグルー、大豆タンパク、および尿素を含む有機酸およびタンパク質を含む有機化合物もまた用いることができる。無機化合物には、プラスター、ベントナイト、ケイ酸ナトリウムおよび塩が挙げられる。
【0041】
別の態様において、固形物材料の混合物は流体と接触し、流体接触により始まり第1速度で起こる第1固化を行い、また、流体と接触し、流体接触により始まり第1速度よりも遅い第2速度で起こる第2固化反応を行う。本明細書において用いられる用語「固形物材料(solid material)」は、粒子状材料および砂などを含む。本発明のある態様において、固形物材料は、固化反応が固形物材料内、および隣接固形物材料間で起こることを引き起こす流体により活性化される皮膜を有する粒子状材料などの1以上のタイプの材料を含むことが可能である。本明細書において用いられる用語「固化反応」は、自由流動性固形物材料が硬化し、他の隣接固形物に対して結合されるかまたはしっかりと固定されるあらゆる化学的、熱的、または物理的過程として定義される。
【0042】
ある態様において、混合物は、固形物材料の一つが他の固形物材料と反応する量より過剰に存在する二つの固形物材料の混合物であることが可能である。この態様において、流体と接触する場合、二つの固形物材料は反応し第1時間帯において固化し、他の固形物材料との反応から残される一つの固形物材料の過剰分は、第1時間帯よりも長い第2時間帯において流体と接触する場合に反応する。例えば、混合物は、酸化マグネシウムなどのアルカリ酸化物、およびポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、マレイン酸とのポリアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマーおよびそれらのアルカリ塩の少なくとも一つを含むことが可能である。流体の存在下において、アルカリ酸化物はポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、マレイン酸とのポリアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、およびそれらのアルカリ塩の少なくとも一つの部分と反応して固形物を形成する。アルカリ酸化物との反応から取り残されたポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、マレイン酸とのポリアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、およびそれらのアルカリ塩の少なくとも一つの残留部分は、次に、より長い時間帯において流体の存在下で固化することが可能である。
【0043】
別の態様において、混合物は、一つの固形物材料が一定時間帯において流体の存在下で固化し、一方で他の粒子状材料が第1時間帯よりも長い第2時間帯において流体の存在下で固化する二つの固形物を含むことが可能である。
【0044】
別の態様において、混合物は、第1および第2固形物材料が流体存在下で反応して一定時間帯において固形物を形成し、第3固形物材料がより長い時間帯において流体の存在下で固化する三つの固形物材料を含むことが可能である。他の態様において、第1粒子状材料は一定時間帯において流体の存在下で固化することが可能であり、第2固形物材料および第3固形物材料は、反応して第1時間帯よりも長い第2時間帯において流体の存在下で固形物を形成することが可能である。
【0045】
別の態様において、混合物は第1被覆粒子状材料および第2粒子状材料を含むことが可能である。一つの態様において、第1被覆粒子状材料は流体と接触する場合反応して一定時間帯において固形物を形成し、第2粒子状材料は流体と接触する場合より長い時間帯において固化する。別の態様において、第1被覆粒子状材料は流体と接触する場合反応して一定時間帯において固形物を形成し、第2粒子状材料は流体と接触する場合より短い時間帯において固化する。別の態様において、1以上の粒子状材料がカプセル化されるか、またはアグリゲートの形態をとって存在することが可能である。
【0046】
本発明の態様における流体は、上述した混合物の種々の粒子成分に必要とされる溶解度の程度に適合するように選択される。流体は、第3粒子状材料ならびに第1粒子状材料および第2粒子状材料の少なくとも一つがその中で活性であり、好ましくは可溶性である溶媒を含むと共に、湿潤剤、流量エンハンサー、および染料などの加工助剤を含むことが可能である。理想的な溶媒は、第3粒子状材料ならびに第1粒子状材料、第2粒子状材料、および第3粒子状材料の少なくとも一つがそれに高度に可溶性であると共に、充填剤がそれに不溶性または実質的に溶けにくいものである。流体は水性または非水性であることができる。好ましい態様において、水性流体は少なくとも一つの共溶媒を含む。適する溶媒および共溶媒は、以下の非限定一例から選択することが可能である:水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、塩化メチレン、酢酸、アセト酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、n−メチルピロリドン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノエタノール、1−[ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、およびそれらの組合せ。他の極性有機化合物は当業者に明らかである。好ましい態様において、流体は、イソプロパノール、エタノール、またはこれらの両方の組合せを有する2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの水溶液である。
【0047】
本発明の態様における充填剤は、流体中における不溶性または極めて低い溶解度、急速な湿潤化、低吸湿性、および高結合力の特性のために選択される化合物である。充填剤は硬化組成物に対して機械的構造を提供する。やや溶けにくい充填剤材料を用いることが可能であるが、不溶性充填剤材料が好ましい。充填剤粒子は、第1粒子状材料および第2粒子状材料が流体添加の際に相互作用する場合、一緒に接着的に結合されることになる。充填剤粒子は、さらに、流体が添加された後第3粒子状材料が乾燥/硬化する場合、一緒に結合される。好ましくは、充填剤は、約250〜300μmの実際上の最大値から下へ約1μmの実際上の最小値までの範囲にある粒径分布を含む。大きな粒径は、それらを通して流体が急速に移動することができる粉末中の大きな気孔を形成し、より均質な材料の製造を可能とすることにより、最終物品品質を改善するように見える。より小さな粒径は、物品強度を補強するために役立つ。
【0048】
本発明の態様における充填剤としての使用に適する化合物は、上述の溶解度、吸湿性および結合力の基準に合致するならば、それらから第3粒子状材料が選択される同じ一般的なグループから選択することが可能である。充填剤の例には、石灰石、かんらん石、ジルコン、アルミナ、十字石、および溶融石英が挙げられるが、それらに限定されない。ある態様において、充填剤は、石灰石、十字石、シリカ砂、ジルコン砂、かんらん石砂、クロム鉄鉱砂、マグネサイト、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム、溶融石英、リン酸カルシウム、ルチル、ベントナイト、モンモリロナイト、ガラス、石粉、耐火粘土、およびそれらの混合物に限定されないがそれらを含む顆粒状耐火粒子であることが可能である。好ましい態様において、充填剤は、かんらん石、結晶シリカが低く低熱膨張率を有する鋳物砂((Mg−Fe)2SiO4)用に用いられる鉱物である。別の好ましい態様において、充填剤はジルコン(ZrSiO4)である。
【0049】
促進剤、接着剤、流量エンハンサー、湿潤剤、可視染料、繊維、充填剤、およびそれらの組合せに限定されないが、それらを含む種々の加工助剤が、粒子状材料、流体、または両方に添加することが可能である。これらのおよびその他の添加剤の例は、両方とも本明細書において番号を参照することでそれらの内容の全体を記載したものとする、ブレット(Bredt)らへの米国特許第5,902,441号およびブレットらへの第6,416,850号に見出すことが可能である。
【0050】
図2は、二次元パターンにおける粒子状混合物の層または膜20の部分30に流体26を送達するインクジェットノズル28の略図である。本方法により、流体26は、プロセスが技術上公知であるコンピュータ支援設計(以後「CAD」)システムからのデータを受け取るカスタム・ソフトウエアにより駆動するドロップ・オン・デマンド(以後「DOD」)プリントヘッドなどの、あらゆる使いやすい機構を用いて、あらゆる予定された二次元パターン(図では円、説明目的のみ)において、粒子状材料の層または膜に送達される。粒子状混合物の最初の部分30は、流体により、第1粒子状材料および第2粒子状材料が一緒に接着すると共に第3粒子状材料が接着して、最終物品の断面部分となる本質的に固形の輪状層を形成することを引き起こしている。本明細書において用いられる「活性化する」は、本質的に不活性から接着性への状態変化を定義するように意図されている。流体が最初に粒子状混合物と接触する場合、それは、最初の数秒の内に接着剤を溶解して、毛管現象によりすぐに衝撃点から流出する(顕微鏡尺度で)。一般的に約100plの体積を有する流体小滴は、一旦それが粒子状混合物と接触すると、約100μmの表面積に広がることが可能である。溶媒が第3粒子状材料ならびに第1粒子状材料および第2粒子状材料の少なくとも一つを溶解するので、流体粘度は劇的に増大し、最初の衝撃点からのさらなる流体の移動を停止させる。数分の内に、その中に溶解粒子状材料を有する流体は、溶けにくく少々多孔質の粒子に浸透し、充填剤粒子間の結合を形成する。流体は、流体の小滴量の数倍にあたる量の粒子混合物を一緒に結合することができる。流体の揮発性成分が蒸発するので、接着剤は硬化し、充填剤を最終物品の断面部分となる剛構造に連結する。
【0051】
流体に暴露されなかったあらゆる非活性化粒子状混合物32は、可動表面上で緩んだ自由流れの状態のままで残る。好ましくは、非活性化粒子状混合物は最終物品の形成が完成するまで所定の位置に残される。非活性化緩み粒子状混合物を所定の位置に残すことは、物品が処理の間支持され、突出、切り下げ、および空洞(示されないが、従来型の)などの形状を、支持構造物を用いることなく限定することを可能とすることを確実にする。最終物品の第1断面部分の形成後、可動表面は下方に割り出される。
【0052】
次に、例えばカウンター・ローリング機構を用いて、粒子状混合物の第2膜または層は第1の上に広げられ、第1剛断面部分およびそれが取り囲まれるあらゆる緩み粒子状混合物の両方を覆う。流体の第2添加は上述のやり方に従い、接着剤を溶解し、前の断面部分の一部、充填剤、および任意に第2層の繊維間の接着結合を形成し、硬化して最終物品の第1剛断面部分に付加された第2剛断面部分を形成する。可動表面は、再度、下方に割り出される。
【0053】
接着剤を含む粒子状混合物層を広げること、流体を添加すること、および可動表面を下方に割り出すことは、最終物品が完成するまで繰り返される。図3は、最終円筒型物品が完全に形成された後のその略図である。工程の最後では、最終物品38の頂部表面34のみが容器中で見ることができる。最終物品は、好ましくは、完全に非活性化粒子状材料の床36中に浸漬される。あるいは、当業者は、一連のこうした層を連続的に堆積し、平滑化し、印刷することにより、いかに固定台から上に向かって層中に物品を構築するかを知るであろう。
【0054】
図4は、最終円筒型物品38の略図である。非活性化粒子状材料は、好ましくは、ブローン・エアまたは真空により除去される。最終物品38からの非活性化粒子状材料の除去後、洗浄、安定化材料による浸透、塗装、などを含む加工後処理は行うことが可能である。
【0055】
図5は、本発明の態様での三次元印刷技術を用いて調製される金型を示す。金型40はインナー・シェル42、外殻44、および鋳造工程の間インナー・シェルに付加強度を提供する支持体46を含む。三次元印刷が完了した後、非活性化粒子状材料は空洞48から除去され、その結果、鋳肌を提供する。非活性化粒子状材料は、間質スペース50から除去することが可能であるがそうする必要はない。間質スペース中に残る非活性化粒子状材料は、続く鋳造の間インナー・シェルに付加強度を提供することが可能である。
【0056】
本発明の態様は、さらに限定するものとは決してみなされるべきでない以下の実施例により、詳細に説明される。なお、以下の代表的な製法は、焼流し鋳造用の金型を調製することを意図したものである。
【実施例】
【0057】
粒子状配合物I
かんらん石砂(−140メッシュ)67%
プラスター29.6%
PVA3%
白土0.3%
2SO40.1%
【0058】
配合物Iにおいて、かんらん石は、結晶シリカが低く低熱膨張率を有する鋳物砂((Mg−Fe)2SiO4)用に用いられる鉱物である。かんらん石砂(−140メッシュ)はプラスター(ハイドロカル(Hydrocal))およびPVAと結合するが、しかし、PVAとかんらん石間の結合は十分に強いので樹脂は一段と少なくてすむ。減少した有機物含量は、実施例IIの配合物により作製される金型が鋳造の間により少ない煙を放出することにつながる。これは鋳造の間の環境条件を改善すると共に、気泡の生成がより少ないことにより一層の高品質鋳造をもたらす。この配合物から得られる金型は、鋳造アルミニウム、マグネシウムおよび亜鉛などの低温鋳造に適する。
【0059】
流体I
水92.6%
グリセロール6.0%
イソプロパノール0.5%
ポリビニルピロリドン0.5%
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート0.2%
ソルビン酸カリウム0.2%
【0060】
流体Iは、粒子状配合物Iに好ましい流体である。
【0061】
粒子状配合物IIおよびIIIは、真鍮、鋳造鉄、および鋼などの高温材料鋳造用に意図されている。プラスターは1200℃近辺で分解し二酸化硫黄を放出するので、それを高温鋳造用に用いることは望ましくない。
【0062】
粒子状配合物II
ジルコン83.9%
オクタクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー2.5%
酸化亜鉛1.5%
石灰石10%
MgO1.28%
無水1カルシウムリン酸塩0.72%
エチレングリコールオクチル/デシルジエステル0.1%
【0063】
リン酸マグネシウムセメントは、硬化処理の初期に結合を形成して乾燥応力および付随部品歪みに耐える。活性セメント充填剤は、酸化マグネシウムの無水1カルシウムリン酸塩との組合せにより形成される。あらゆる市販されているレベルの酸化マグネシウムまたは無水1カルシウムリン酸塩は、用いることが可能である。この材料は部品の寸法安定性を保持するゲルを急速に形成するが、一方で、約70μm未満の粒径を有するオクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマーは、溶解し、それ自体が顆粒状固形物の気孔中に堆積し、鋳造段階を処理する間材料を支持するより強い結合を形成する。140メッシュ粒径を有するジルコン(ZrSiO4)は、極めて低い熱膨張率を有する極めて耐火性のある(鋳物砂)充填剤である。残留成分:約10ミクロンの粒径を有する酸化亜鉛、約40ミクロン未満の粒径を有する石灰石、およびエチレングリコールオクチル/デシルジエステルは、広がりおよび印刷の間の粉末の流れを制御するために添加される。あらゆる市販されているレベルのエチレングリコールオクチル/デシルジエステルは、用いることが可能である。
【0064】
粒子状配合物III
かんらん石75.9%
オクタクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー2.0%
ZnO2.4%
溶融石英(SiO2)15.9%
MgO2.2%
無水1カルシウムリン酸塩1.4%
エチレングリコールオクチル/デシルジエステル0.18%
ソルビタントリオレアート(SPAN85)0.02%
【0065】
この製法において、かんらん石は耐火性充填剤としてジルコンに置き換える。かんらん石はジルコンよりもわずかに高い熱膨張を有するが、しかし、それはより低い密度であるので、印刷部品は操作するうえでより軽くより容易である。酸化マグネシウム/1カルシウムリン酸塩セメントは、部品が構築され早急に機械から除去され、乾燥オーブン中に置かれることを可能として、有機コポリマーを十分な強度まで硬化する。約200メッシュの粒径を有する酸化亜鉛および溶融石英は、微細に粉末化された添加剤である。エチレングリコールオクチル/デシルジエステルおよびソルビタントリオレアートは、粉末に小規模の凝集を付与する油性液体であり、さらに、摩擦特性を改善する。
【0066】
流体II
水86.5%
イソプロパノール10.0%
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール2.5%
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート1%
【0067】
流体IIにおいて、水成分はリン酸塩を溶解し、リン酸塩が酸化マグネシウムに作用してセメントを形成することを可能とする。流体IIは、オクチルアクリロニトリル/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマーと適合する有機アルカリ、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを含み、コポリマーを溶解する。イソプロパノールおよび2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレートは、粉末中の流体の濡れを容易にする。
【0068】
接着剤を選択する場合のさらなる考慮点は、充填剤および繊維が最終物品の所期の特性に応じて決まるということである。仕上げ物品の最終強度は、混合物の粒子間の接着接触の特性および接着剤が硬化した後に材料中に残っている空の気孔の径に大きく依存し、これら因子は両方とも粒子状材料の粒径により変動する。一般に、粒子状材料の平均粒径は、好ましくは、層厚さよりも大きくはない。粒径の分布は粒子状材料の記録密度を増大させ、それは、次に、物品強度および寸法制御の両方を増大させる。
【0069】
本発明の上記説明の態様における材料および方法は、従来の三次元印刷法に対していくつかの利点を提供する。粒子状材料は、最終部品を調製するための比較的長い反応時間に加えて比較的速い結合反応を提供する。さらなる速い結合機構は、高精度を提供し、より短い印刷および取り扱い時間を可能とすることができると共に、部品歪みを減少させるかまたは排除することが可能である。本発明の態様において用いられる材料は、比較的非毒性および安価である。結合性粒子が直接粒子混合物に添加されるので、接着剤、特に高レベルの懸濁物を含む接着剤は、プリントヘッドを通して噴霧する必要はない。その代わりに、本発明の態様は、結合剤を粉末層に噴霧することを含む従来技術の方法に関連する目詰まりなどの問題を克服する、好ましくは水性溶媒の噴霧を含む。
【0070】
当業者は、本明細書において記載されるすべてのパラメータが代表的なものであることが意図されており、実際のパラメータは本発明の方法および材料がそのために用いられる特定の用途に応じて決まることを容易に理解することができるであろう。従って、前述の態様が実施例のみを手段として説明され、添付の特許請求の範囲およびそれに対する等価物の範囲内で本発明が本明細書に記載されるもの以外の手法で実施することができることは、理解されるべきである。
【0071】
本発明のいくつかの態様が本明細書において記載され説明されてきたが、一方で、当業者は、本明細書において記載される機能を果たすためおよび/または結果あるいは利点を得るための多様な他の手段および構造を容易に想到すると共に、それぞれのこうした変形または修正は本発明の範囲内にあると見なすことができる。さらに一般的に、当業者は、本明細書において記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構造が代表的なものであることが意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および構造は、本発明の教示内容が用いられる特定の用途に応じて決まることを容易に理解するであろう。当業者は、日常的な実験のみを用いて、本明細書において記載される本発明の特定の態様への多くの等価物を認識するか、または確認することができる。従って、前述の態様が実施例のみの手段により提供され、添付の特許請求の範囲およびそれらに対する等価物の範囲内で本発明が本明細書において記載されるもの以外の方法で実施されることが可能であることは、理解されるべきである。本発明は本明細書において記載されるそれぞれの個別の態様、システム、材料および/または方法を目指す。さらに、こうした態様、システム、材料および/または方法が互いに矛盾しない場合、2以上のこうした態様、システム、材料および/または方法のあらゆる組合せは、本発明の範囲内に包含される。
【0072】
特許請求の範囲において(および上述の明細書の記載において)、「含む」、「包含する」、「担持する」、「有する」、「含有する」、および「巻き込む」などのすべての用語は、限定がないこと、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。用語「からなる」および「本質的にからなる」だけは、それぞれ、限定されるかまたはやや限定される記載である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】流体が送達されてしまう前に、その上に物品が構築される下方に移動可能な表面上に堆積される本発明の粒子状材料の混合物の第1層を模式的に示した斜視図である。
【図2】予定パターンをもった図1の粒子状材料層の部分に、流体を送達するインクジェットノズルを模式的に示した斜視図である。
【図3】それがまだゆるい非活性化粒子中に浸漬されている一方で、容器に収容された図2に示す一連の段階から製造された最終物品を模式的に示した斜視図である。
【図4】図3からの最終物品を模式的に示した斜視図である。
【図5】鋳物を作り上げるための支持体構造物を含む金型を模式的に示した断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1粒子状材料、
第2粒子状材料、および
第3粒子状材料の
複数の粒子の混合物の生成物を含む物品であって、前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料は、反応して一定時間において固形物を形成することができ、かつ前記第3粒子状材料はより長い時間において固化することができる、組成物。
【請求項2】
前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料が流体の存在下で反応する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料の少なくとも一方の材料が流体に実質的に可溶性である、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記第1粒子状材料がリン酸塩である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
リン酸塩が、1アンモニウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、無水1カルシウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩、および過リン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
リン酸塩が、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム塩、トリメタリン酸ナトリウム、およびポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
リン酸塩が、リン酸2アンモニウム、リン酸2カリウム、リン酸2ナトリウム、1カルシウムリン酸塩二水和物、1カルシウムリン酸塩一水和物、リン酸2カルシウム二水和物、無水リン酸2カルシウム、リン酸3カルシウム、リン酸2ナトリウム、およびリン酸3カリウムからなる群から選択される、請求項4に記載の物品。
【請求項8】
リン酸塩が、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸テトラナトリウム、およびピロリン酸テトラカリウムからなる群から選択される、請求項4に記載の物品。
【請求項9】
リン酸塩が、無水1カルシウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、酸性リン酸アルミニウム、1アンモニウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の物品。
【請求項10】
前記第2粒子状材料が、アルカリ酸化物、アルカリ水酸化物、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
アルカリ酸化物が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化銅、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、酸化カドミウム、酸化スズ、鉛丹、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
アルカリ水酸化物が、水酸化マグネシウム、三水酸化コバルト、二水酸化ベリリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
アルカリ酸化物が酸化マグネシウムである、請求項10に記載の物品。
【請求項14】
前記第1粒子状材料が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、ポリアクリル酸およびメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー、およびそれらのアルカリ塩からなる群から選択される、請求項10に記載の物品。
【請求項15】
前記第3粒子状材料が接着剤である、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記接着剤が、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニル・ピロリドン、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、加水分解でんぷん、ポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記複数の粒子の混合物がさらに充填剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記充填剤が、石灰石、十字石、シリカ砂、ジルコン砂、かんらん石砂、クロム鉄鉱砂、マグネサイト、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム、溶融石英、リン酸カルシウム、ルチル、ベントナイト、モンモリロナイト、ガラス、石粉、耐火粘土、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記流体が水性である、請求項2に記載の物品。
【請求項20】
前記第1粒子状材料がプラスターである、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
前記第2粒子状材料が促進剤である、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記促進剤が、白土、硫酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、か焼不足のプラスター、ミョウバン、カリウムミョウバン、石灰、か焼粘土、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記第3粒子状材料が接着剤である、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記接着剤が、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、加水分解でんぷん、ポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記第1粒子状材料が、硫酸塩含有化合物、塩化物含有化合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
前記硫酸塩含有化合物が、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記塩化物含有化合物が、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の物品。
【請求項28】
第1粒子状材料、
第2粒子状材料、および
第3粒子状材料
を含む三次元印刷において用いられる配合物であって、前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料は反応して一定時間において固形物を形成することができ、前記第3粒子状材料はより長い時間において固化することができる、配合物。
【請求項29】
前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料が流体の存在下で反応する、請求項28に記載の配合物。
【請求項30】
前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料の少なくとも一方の材料が流体に実質的に可溶性である、請求項29に記載の配合物。
【請求項31】
前記第1粒子状材料がリン酸塩である、請求項28に記載の配合物。
【請求項32】
リン酸塩が、1アンモニウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、無水1カルシウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩、および過リン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項31に記載の配合物。
【請求項33】
リン酸塩が、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム塩、トリメタリン酸ナトリウム、およびポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項31に記載の配合物。
【請求項34】
リン酸塩が、リン酸2アンモニウム、リン酸2カリウム、リン酸2ナトリウム、1カルシウムリン酸塩二水和物、1カルシウムリン酸塩一水和物、リン酸2カルシウム二水和物、無水リン酸2カルシウム、リン酸3カルシウム、リン酸2ナトリウム、およびリン酸3カリウムからなる群から選択される、請求項31に記載の配合物。
【請求項35】
リン酸塩が、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸テトラナトリウム、およびピロリン酸テトラカリウムからなる群から選択される、請求項31に記載の配合物。
【請求項36】
リン酸塩が、無水1カルシウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、酸性リン酸アルミニウム、1アンモニウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項31に記載の配合物。
【請求項37】
第2粒子状材料が、アルカリ酸化物、アルカリ水酸化物、またはそれらの組合せである、請求項28に記載の配合物。
【請求項38】
アルカリ酸化物が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化銅、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、酸化カドミウム、酸化スズ、鉛丹、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項37に記載の配合物。
【請求項39】
アルカリ水酸化物が、水酸化マグネシウム、三水酸化コバルト、二水酸化ベリリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項37に記載の配合物。
【請求項40】
アルカリ酸化物が酸化マグネシウムである、請求項37に記載の配合物。
【請求項41】
前記第1粒子状材料が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、ポリアクリル酸およびメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー、およびそれらのアルカリ塩からなる群から選択される、請求項37に記載の配合物。
【請求項42】
前記第3粒子状材料が接着剤である、請求項28に記載の配合物。
【請求項43】
前記接着剤が、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、加水分解でんぷん、ポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項42に記載の配合物。
【請求項44】
複数の粒子の混合物がさらに充填剤を含む、請求項28に記載の配合物。
【請求項45】
前記充填剤が、石灰石、十字石、シリカ砂、ジルコン砂、かんらん石砂、クロム鉄鉱砂、マグネサイト、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム、溶融石英、リン酸カルシウム、ルチル、ベントナイト、モンモリロナイト、ガラス、石粉、耐火粘土、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項44に記載の配合物。
【請求項46】
前記流体が水性である、請求項29に記載の配合物。
【請求項47】
前記第1粒子状材料がプラスターである、請求項28に記載の配合物。
【請求項48】
前記第2粒子状材料が促進剤である、請求項47に記載の配合物。
【請求項49】
前記促進剤が、白土、硫酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、か焼不足のプラスター、ミョウバン、カリウムミョウバン、石灰、か焼粘土、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項48に記載の配合物。
【請求項50】
前記第3粒子状材料が接着剤である、請求項49に記載の配合物。
【請求項51】
前記接着剤が、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、加水分解でんぷん、ポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項50に記載の配合物。
【請求項52】
前記第1粒子状材料が、硫酸塩含有化合物、塩化物含有化合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の配合物。
【請求項53】
硫酸塩含有化合物が、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項52に記載の配合物。
【請求項54】
塩化物含有化合物が、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項52に記載の配合物。
【請求項55】
三次元印刷の方法であって、
第1粒子状材料、第2粒子状材料、および第3粒子状材料を含む乾燥粒子状材料層を提供し、
第1層領域上に流体を分配し、
前記第1および第2粒子状材料間の反応を惹起して、その反応で前記領域に固化材料を形成させ、そして
前記第3粒子状材料の固化を前記領域で引き起こすこと、
を含み、前記第1および第2粒子状材料間の反応は一定時間において起こり、前記第3粒子状材料はより長い時間において固化する、方法。
【請求項56】
さらに、乾燥粒子状材料の第2層を提供し、
前記第2層領域上に流体を分配し、
前記第1および第2粒子状材料間の反応を惹起して、その反応で前記第2層領域および少なくとも第1層領域の一部に固化材料を形成させ、そして
前記第3粒子状材料を前記第2層の領域および少なくとも第1層領域の一部で固化させること、
を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記流体が水性である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記流体がアミノアルコールを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
アミノアルコールが、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノエタノール、1−[ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1粒子状材料および前記第2粒子状材料の少なくとも一方の材料が流体に実質的に可溶性である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記第1粒子状材料がリン酸塩である、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
リン酸塩が、1アンモニウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウム・ナトリウム、無水1カルシウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩、および過リン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
リン酸塩が、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム塩、トリメタリン酸ナトリウム、およびポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
リン酸塩が、リン酸2アンモニウム、リン酸2カリウム、リン酸2ナトリウム、1カルシウムリン酸塩二水和物、1カルシウムリン酸塩一水和物、リン酸2カルシウム二水和物、無水リン酸2カルシウム、リン酸3カルシウム、リン酸2ナトリウム、およびリン酸3カリウムからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
リン酸塩が、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、およびピロリン酸4カリウムからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
リン酸塩が、無水1カルシウムリン酸塩、酸性リン酸アルミニウムナトリウム、酸性リン酸アルミニウム、1アンモニウムリン酸塩、1カリウムリン酸塩、1ナトリウムリン酸塩およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記第2粒子状材料が、アルカリ酸化物、アルカリ水酸化物、またはそれらの組合せである、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
アルカリ酸化物が、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化銅、酸化ベリリウム、酸化ビスマス、酸化カドミウム、酸化スズ、鉛丹、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
アルカリ水酸化物が、水酸化マグネシウム、三水酸化コバルト、二水酸化ベリリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
アルカリ酸化物が酸化マグネシウムである、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記第1粒子状材料が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、ポリアクリル酸およびメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー、およびそれらのアルカリ塩からなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記第3粒子状材料が接着剤である、請求項55に記載の方法。
【請求項73】
前記接着剤が、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、加水分解でんぷん、ポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
複数の粒子の混合物がさらに充填剤を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項75】
前記充填剤が、石灰石、十字石、シリカ砂、ジルコン砂、かんらん石砂、クロム鉄鉱砂、マグネサイト、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム、溶融石英、リン酸カルシウム、ルチル、ベントナイト、モンモリロナイト、ガラス、石粉、耐火粘土、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1粒子状材料がプラスターである、請求項55に記載の方法。
【請求項77】
前記第2粒子状材料が促進剤である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記促進剤が、白土、硫酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、か焼不足のプラスター、ミョウバン、カリウムミョウバン、石灰、か焼粘土、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第3粒子状材料が接着剤である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記接着剤が、オクチルアクリルアミド/アクリル酸塩/メタクリル酸ブチルアミノエチルのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、硫酸ポリスチレンナトリウム、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、マルトデクストリン、加水分解ゼラチン、糖、加水分解でんぷん、ポリメタクリル酸のナトリウム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸、スルホン化ポリエステル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記第1粒子状材料が、硫酸塩含有化合物、塩化物含有化合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項82】
前記硫酸塩含有化合物が、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記塩化物含有化合物が、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
三次元印刷において用いられる固形物の混合物であって、流体と接触する場合、流体接触により始まり第1速度で起こる第1固化反応を被り、かつ流体接触により始まり第1速度よりも遅い第2速度で起こる第2固化反応もまた被る、混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−504813(P2006−504813A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540142(P2004−540142)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/029714
【国際公開番号】WO2004/028787
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(505107136)ズィー コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】