説明

下りリンク干渉制御方法および下りリンク干渉制御装置

【課題】干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する移動体通信システムにおいて、干渉制御用無線リソースでは信号を停波、若しくは送信電力を制御する際に、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信方法に応じて送信電力制御用情報を通知することにより、ネットワークに与える負荷の削減を図る。
【解決手段】マクロ局1は、マクロ局1の干渉制御用無線リソースにおいて送信可否を仮決定し(S1)、マクロ局1が信号を送信する場合のみピコ局2へ送信電力制御用情報要求を通知し(S2)、ピコ局2は、該送信電力制御用情報要求を受信後、マクロ局へ送信電力制御用情報を通知し(S3)、マクロ局1は、送信電力制御用情報を受信後、送信可否、並びに送信電力を決定する(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下りリンク干渉制御方法および下りリンク干渉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内の移動通信システムでは、W-CDMAおよびCDMA2000に代表される第3世代移動通信システムが普及している。第3世代移動通信システムの高度化およびその次世代システムとして、3GPP(Third Generation Partnership Project)の標準規格の一つである「LTE(Long Term Evolution)」が知られている(例えば、非特許文献1参照)。近年、3GPPでは、LTEを更に高度化させた、LTE-Advancedに関する検討が行われている。その中でも、低コストで迅速なエリア展開を目指し、ピコやフェムト基地局などの小型、かつ、安価なローカルノードを併用してエリア品質を改善するヘテロジニアスネットワーク(HetNet)の検討が活発である。
【0003】
HetNetでは、マクロ基地局のエリア内にピコやフェムト局が混在するセル配置となるため、マクロ局が与える干渉が問題となるが、適切な干渉制御により、スループットを大きく向上することができる。3GPPでは、HetNetにおける干渉制御技術として、サブフレーム(SF)単位で干渉制御を行う時分割多重(TDM)型干渉制御(例えば、非特許文献2参照)と、複数のComponent Carrier(CC)を用い、周波数軸上で干渉制御を行うCarrier Aggregation(CA)ベース干渉制御(例えば、非特許文献3参照)が検討されている。
【0004】
図1に、干渉制御技術の概念を示す。マクロ局とピコ局が夫々1局ずつ存在する。マクロ局はピコ局と比較して送信電力が大きいため、マクロ局がマクロ局に接続する端末(マクロ端末)へ信号を送信する場合、ピコ局に接続する端末(ピコ端末)へ与える干渉が非常に大きい。これに対し、マクロ局は、決められたSFやCCといった無線リソースにおいて、信号を停波、若しくは送信電力を抑えて(低送信電力で)信号を送信する。ピコ局は、マクロ局が信号を停波、若しくは低送信電力で送信する無線リソース(干渉制御用無線リソース)では、高い受信品質を得ることができ、ユーザスループットを向上できる。その結果、セル全体のスループット(セル容量)を向上できる。
【0005】
非特許文献4では、あらかじめ、ターゲットとなる受信信号対雑音干渉電力(SINR)を設定し、ピコ端末のSINRを補償するマクロ局の送信電力を計算する。当該送信電力情報は、基地局が設定パラメータを更新する際に、ピコ局からマクロ局へ、送信電力制御用情報として通知される。図2に、従来のマクロ局装置100、及び、従来のピコ局装置200の各構成例を示す。マクロ局100とピコ局200が共に有する機能として、デジタル無線信号変調部106,204で送信信号を変調し、D/A変換器107,205を通過後、高電力増幅器108,206を介してアンテナ109,207から送信する。
【0006】
マクロ局100は、無線リソースサブセットパターン管理部104で、干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースのパターンを管理する。ここでは、無線リソースサブセットのパターン数を2として記載する。また、無線リソースサブセットパターン管理部104より取得できるパターン情報を元に、送信電力管理部105で、各無線リソースにおける送信電力を管理する。高電力増幅器108では、無線リソースサブセットパターン管理部104より取得できるパターン情報と、送信電力管理部105より取得できる各無線リソースにおける送信電力情報を元に、無線リソース毎に送信電力を切り替えながら信号を送信する。
【0007】
ネットワークを介してピコ局200から通知される送信電力制御用の情報は、基地局が設定パラメータを更新する際に、送信電力制御用情報受信部103で受信され、停波・送信決定部102へ入力される。停波・送信決定部102では、無線リソース情報管理部101より取得するマクロ端末の無線品質情報、トラヒック情報等と、送信電力制御用情報受信部103より通知される情報から、当該無線リソースを停波するか又は信号を送信するか、そして信号を送信する場合にはどのような送信電力を設定するか、を決定する。
【0008】
ピコ局200は、基地局が設定パラメータを更新する際に、無線リソース情報管理部201で取得できる、ピコ端末の無線品質情報、トラヒック情報等を元に、送信電力制御用情報生成部202で、マクロ局100へ通知する送信電力制御用情報(非特許文献3では、ピコ端末のSINRを補償するマクロ局の送信電力)を生成するとともに、送信電力制御用情報送信部203で、送信電力制御用情報をマクロ局100へ送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP, TS36.201, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); LTE physical layer; General description”, V9.1.0, Mar. 2010.
【非特許文献2】小西他,“TDM型干渉制御手法を適用したピコ局混在型HetNetにおける下りリンクの性能評価,”B-5-73,信学総大,Mar. 2011.
【非特許文献3】伏木他,“ピコ局混在型HetNet用干渉制御手法に関する下りリンクでの性能比較,”B-5-48,信学通ソ,Sep. 2011.
【非特許文献4】Huawei,“Tuning Transmission Power of ABSs”R3-112370,3GPP TSG-RAN WG3 Meeting #73bis,Oct. 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
干渉制御用無線リソースにおいて、セル容量を向上するためには、マクロ端末とピコ端末の無線品質情報などを考慮して、干渉制御用無線リソースを停波・信号送信、及び信号送信の場合、送信電力を決定する必要がある。この理由は、セル容量が向上するかは、マクロ局が信号を送信することによる「マクロ端末のスループットの総和(以降、マクロ局スループットと称する)」の増加と、マクロ局がピコ端末に与える干渉が増加することによる「ピコ端末のスループットの総和(以降、ピコ局スループットと称する)」の低下により決定されるためである。
【0011】
干渉制御用無線リソースにおいて、マクロ局が低送信電力で信号を送信する場合、マクロ局は、送信電力を決定するために、ピコ局に送信電力制御用情報を生成、及び通知してもらう必要がある。しかし、干渉制御用無線リソースにおいて、マクロ局が信号を送信しても十分なマクロ局スループット増加が得られなければ、マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて信号を停波するが、その場合、送信電力制御用情報は不要であり、マクロ局は、ピコ局へ送信電力制御用情報を通知する必要はない。
【0012】
しかしながら、上述した従来技術では、ピコ局は、マクロ局が干渉制御用無線リソースにおいて信号を停波するか、低送信電力で送信するか、に関する情報を知ることができない。このため、マクロ局が信号を送信することで十分なマクロ局スループット増加が得られず、信号を停波する場合にも、ピコ局は常に送信電力制御用情報を生成、及びマクロ局へ通知する。このため、マクロ局とピコ局の間で不要な制御情報がネットワークを介してやり取りされ、ネットワークに負荷をかけてしてしまうという課題があった。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する移動体通信システムにおいて、干渉制御用無線リソースでは信号を停波、若しくは送信電力を制御する際に、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信方法に応じて送信電力制御用情報を通知することにより、ネットワークに与える負荷を削減できる下りリンク干渉制御方法および下りリンク干渉制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係る下りリンク干渉制御方法は、干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する下りリンク干渉制御方法であって、マクロ局は、マクロ局の干渉制御用無線リソースにおいて送信可否を仮決定し、マクロ局が信号を送信する場合のみピコ局へ送信電力制御用情報要求を通知し、ピコ局は、該送信電力制御用情報要求を受信後、マクロ局へ送信電力制御用情報を通知し、マクロ局は、送信電力制御用情報を受信後、送信可否、並びに送信電力を決定する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局は、送信可否を仮決定する際、マクロ局送信電力のセットに対する干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値を計算し、該マクロ局スループット増加期待値を閾値判定することで、干渉制御用無線リソースにおいて信号を停波するか又は送信するか、を仮決定する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局送信電力のセットは、あらかじめ決められた固定値である、ことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局送信電力のセットは、マクロ局の送信電力とマクロ局が設定しているハンドオフマージンを考慮した値である、ことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局送信電力のセットは、マクロ局の送信電力と上位システムから通知されるピコ局のハンドオフマージンを考慮した値である、ことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、マクロ局送信電力のセットを送信し、ピコ局は、該マクロ局送信電力のセットを受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値との対応関係を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、マクロ局は、該送信電力制御用情報と、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、セル容量が向上しない場合、信号を停波する、ことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、マクロ局送信電力のセットを送信し、ピコ局は、該マクロ局送信電力のセットを受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値を、マクロ局が計算するために必要な情報を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、マクロ局は、該送信電力制御用情報から干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するとともに、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、セル容量が向上しない場合、信号を停波する、ことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力セットに対するマクロ局スループット増加期待値との対応関係を送信し、ピコ局は、該情報を受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力セットに対する、ピコ局スループット低下期待値を計算し、マクロ局スループット増加期待値と比較し、セル容量が最も向上する送信電力を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、マクロ局は、該送信電力制御用情報を元に送信電力を決定し、セル容量が向上しない場合、信号を停波する、ことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、干渉制御用無線リソースを停波するか又は低送信電力で信号を送信するかの判断に使用した閾値を満たす最小の送信電力と該閾値を送信し、ピコ局は、該情報を受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値を計算し、マクロ局スループット増加期待値と比較し、セル容量が改善する場合にはマクロ局から通知された送信電力で信号を送信しても良い事を表す指標を、一方、セル容量が改善しない場合には干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信電力に対するピコ局スループット低下期待値との対応関係を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、マクロ局は、該送信電力制御用情報を元に、ピコ局2へ通知した送信電力で良ければ該通知した送信電力で信号を送信し、一方、ピコ局2へ通知した送信電力で良くなければ、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値とマクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、他方、セル容量が向上しない場合には信号を停波する、ことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、停波するか又は低送信電力で信号を送信するかの判断に使用した閾値を満たす最小の送信電力と該閾値を送信し、ピコ局は、該情報を受信した場合、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値を計算し、マクロ局スループット増加期待値と比較し、セル容量が改善する場合にはマクロ局から通知された送信電力で信号を送信しても良い事を表す指標を、一方、セル容量が改善しない場合にはマクロ局が干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、マクロ局は、該送信電力制御用情報を元に、ピコ局2へ通知した送信電力で問題なければ通知した送信電力で信号を送信し、一方、ピコ局2へ通知した送信電力で良くなければ、ピコ局2から通知された情報から、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するとともに、マクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、他方、セル容量が向上しない場合には信号を停波する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、マクロ局の送信電力に対する受信SINRの統計値である、ことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、ピコ局の無線リソース使用率である、ことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、マクロ局の送信電力に対する空間多重伝送におけるランクの変化量である、ことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る下りリンク干渉制御方法において、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、マクロ局の送信電力に対するMCSの変化量である、ことを特徴とする。
【0028】
本発明に係る下りリンク干渉制御装置は、干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する下りリンク干渉制御装置であって、マクロ局スループット増加期待値を計算するスループット期待値算出部と、前記スループット期待値算出部で計算された値と閾値とを比較する比較部と、前記比較部による比較結果を元に、干渉制御用無線リソースにおいて、信号を停波するか、又は送信するかを仮決定する停波・送信仮決定部と、前記停波・送信仮決定部による結果を元に、ピコ局へ通知する情報を生成する送信電力制御用情報要求生成部と、前記送信電力制御用情報要求生成部が生成した情報をピコ局へ送信する送信電力制御用情報要求送信部と、ピコ局から通知される送信電力制御用情報を受信する送信電力制御用情報受信部と、該送信電力制御用情報と前記スループット期待値算出部で計算された値を比較し、停波するか又は送信するか、送信する場合にはどのような送信電力で送信するか、を決定する停波・送信決定部と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
本発明に係る下りリンク干渉制御装置は、干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する下りリンク干渉制御装置であって、マクロ局からの送信電力制御用情報要求を受信する送信電力制御用情報要求受信部と、該送信電力制御用情報要求を元に送信電力制御用情報を生成する送信電力制御用情報要求生成部と、該送信電力制御用情報をマクロ局へ送信する送信電力制御用情報要求送信部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する移動体通信システムにおいて、干渉制御用無線リソースでは信号を停波、若しくは送信電力を制御する際に、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信方法に応じて送信電力制御用情報を通知することができる。これにより、ネットワークに与える負荷を削減できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】干渉制御技術の概念を示す図である。
【図2】従来のマクロ局装置100、及び、従来のピコ局装置200の各構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る送信電力制御情報共有方法の流れを示すシーケンスチャートである。
【図4】本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例1である。
【図5】本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例2である。
【図6】本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例3である。
【図7】本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例4である。
【図8】本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例5である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0033】
図3を参照して、実施例1に係る、マクロ局1とピコ局2間の、送信電力制御情報共有方法について説明する。まず、マクロ局1は、マクロ端末の無線品質、過去のトラヒック、等から、マクロ局1が信号を送信した場合、送信電力のセットに対して、マクロ局1が停波する場合に対するマクロ局スループット増加の期待値を計算し、該期待値が閾値を超えているか否かで、マクロ局1が停波するか、又は低送信電力で信号を送信するかを仮決定する(ステップS1)。
【0034】
送信電力のセットとしては、あらかじめ固定で与える、マクロ局1の送信電力とマクロ局1が設定しているハンドオフマージンを考慮した値を与える、若しくは、マクロ局の送信電力と上位システムから通知されるピコ局のハンドオフマージンを考慮した値を与える、等がある。マクロ局スループット増加の期待値は、非干渉制御用無線リソースの無線品質情報から計算する。閾値は、あらかじめシステム等で決められた固定値を用いてもよいし、過去に信号を送信した際に増加したマクロ局スループットの統計値を用いてもよい。
【0035】
ステップS1の結果、干渉制御用無線リソースにおいて、マクロ局1が信号を送信することを仮決定した場合、マクロ局1は、ピコ局2へ、送信電力制御用情報要求を通知する。具体的には、送信電力のセットを、ピコ局2へ通知する(ステップS2)。
【0036】
ピコ局2は、送信電力制御用情報要求を受信後、通知する送信電力制御用情報を計算する。具体的には、ピコ端末の無線品質、過去のトラヒック、等の無線リソースに関する情報から、干渉制御用無線リソースにおいて、マクロ局1の送信電力セットに対して、マクロ局1が停波した場合に対するピコ局スループット低下期待値を計算する。ピコ局スループット低下期待値は、非干渉制御用無線リソースの無線品質情報と、マクロ局停波時の干渉制御用無線リソースの無線品質から計算する。ピコ局2は、その計算結果である送信電力制御用情報をマクロ局1へ通知する(ステップS3)。
【0037】
マクロ局1は、ピコ局2より送信電力制御用情報を受信した後、マクロ局スループット増加期待値とピコ局スループット低下期待値を比較する。その結果、マクロ局1は、セル容量が向上しない場合には干渉制御用無線リソースにおいて信号を停波し、一方、セル容量が向上する場合には低送信電力で送信し、かつ、最もセル容量が向上する送信電力で送信することを決定する(ステップS4)。
【0038】
図4は本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例1である。なお、図4において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
【0039】
図4に示す実施例1に係るマクロ局1では、図2のマクロ局100に対して、スループット期待値算出部11と比較部12と停波・送信仮決定部13と送信電力制御用情報要求生成部14と送信電力制御用情報要求送信部15とが追加されている。
【0040】
スループット期待値算出部11は、送信電力のセットに対して、マクロ局スループット増加期待値を計算する。比較部12は、スループット期待値算出部11から取得するマクロ局スループット増加期待値と、閾値とを比較する。停波・送信仮決定部13は、比較部12から取得する結果を元に、干渉制御用無線リソースにおける停波・送信を仮決定する。この際に停波と仮決定された場合、ピコ局2へ送信電力制御用情報要求は行わず、送信電力管理部105に対して停波することを通知する。停波・送信仮決定部13で送信と仮決定された場合、送信電力制御用情報要求生成部14は送信電力のセットに基づく情報を生成する。送信電力制御用情報要求送信部15は、送信電力制御用情報要求生成部14が生成した情報をピコ局2へ通知する。
【0041】
図4に示す実施例1に係るピコ局2では、図2のピコ局200に対して、送信電力制御用情報要求受信部21とスループット期待値算出部22とが追加されている。送信電力制御用情報要求受信部21は、マクロ局1から通知される送信電力制御用情報要求を受信する。スループット期待値算出部22は、マクロ局1から通知された送信電力のセットに対して、ピコ局スループット低下期待値を計算する。
【実施例2】
【0042】
実施例2において、送信電力制御情報共有方法の流れは、図3に示す実施例1と同様である。マクロ局1は、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値を計算し、マクロ局1が当該無線リソースにおいて停波するか、又は低送信電力で信号を送信するかを仮決定する(ステップS1)。マクロ局1が信号を送信することを仮決定した場合、マクロ局1は、送信電力制御用情報要求をピコ局へ通知する(ステップS2)。
【0043】
ピコ局2は、送信電力制御用情報要求を受信した場合、通知する送信電力制御用情報を計算する。ただし、ピコ局2は、マクロ局1が干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報を計算する。具体的には、当該無線リソースにおける無線リソース使用率、マクロ局1の送信電力セットに対する受信SINRの統計値、マクロ局1の送信電力セットに対する複数アンテナを用いた空間多重伝送におけるランクの劣化量、マクロ局1の送信電力セットに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)の劣化量、等がある。これにより、マクロ局よりも演算性能が落ちるピコ局において、ピコ局スループット低下値が計算不要であり、演算量を少なくすることができる。ピコ局2は、マクロ局1がピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報を、送信電力制御用情報としてマクロ局1へ通知する(ステップS3)。
【0044】
マクロ局1は、ピコ局2から送信電力制御用情報を受信した後、該送信電力制御用情報から、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算する。次いで、マクロ局1は、そのピコ局スループット低下期待値と、既に計算している干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値とを比較し、信号を停波するか、又は低送信電力で送信するかを決定し、そして信号を送信する場合にはセル容量が最大となる送信電力を送信電力として決定する(ステップS4)。
【0045】
図5は本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例2である。なお、図5において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
【0046】
図5に示す実施例2に係るマクロ局1では、図2のマクロ局100に対して、(マクロ)スループット期待値算出部11と比較部12と停波・送信仮決定部13と送信電力制御用情報要求生成部14と送信電力制御用情報要求送信部15と(ピコ)スループット期待値算出部31とが追加されている。
【0047】
(マクロ)スループット期待値算出部11は、図4に示す実施例1のスループット期待値算出部11と同じである。(ピコ)スループット期待値算出部31は、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算する。比較部12、停波・送信仮決定部13、送信電力制御用情報要求生成部14および送信電力制御用情報要求送信部15は、図4に示す実施例1と同じである。
【0048】
図5に示す実施例2に係るピコ局2では、図2のピコ局200に対して、送信電力制御用情報要求受信部21が追加されている。送信電力制御用情報要求受信部21は、図4に示す実施例1と同じである。
【0049】
実施例2では、実施例1と異なり、ピコ局2にはスループット期待値算出部22が存在しない。このため、ピコ局2において、無線リソース情報管理部201が管理する情報の統計値を、送信電力制御用情報生成部202へ入力する。この統計値としては、例えば、干渉制御用無線リソースの使用率、マクロ局の送信電力セットに対する受信SINRの統計値、マクロ局の送信電力セットに対する複数アンテナを用いた空間多重伝送におけるランクの劣化量、マクロ局の送信電力セットに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)の劣化量、等がある。
【実施例3】
【0050】
実施例3において、送信電力制御情報共有方法の流れは、図3に示す実施例1と同様である。マクロ局1は、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値を算出し、干渉制御用無線リソースにおいてマクロ局1が停波するか、又は低送信電力で信号を送信するかを仮決定する(ステップS1)。マクロ局1が信号を送信することを仮決定した場合、マクロ局1は、ピコ局2へ、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信電力セットと、この送信電力セットに対するマクロ局スループット増加期待値の対応関係を、送信電力制御情報要求として、ピコ局2へ通知する(ステップS2)。マクロ局1の送信電力セットの計算は、実施例1と同じである。
【0051】
ピコ局2は、送信電力制御情報要求を受信すると、まず、ピコ端末の無線品質、過去のトラヒック、等から、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局1の送信電力セットに対するピコ局スループット低下期待値を計算する。次いで、ピコ局2は、その計算結果のピコ局スループット低下期待値と、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値の対応関係を比較し、最もセル容量を改善する送信電力を、送信電力制御用情報として、マクロ局1へ通知する(ステップS3)。
【0052】
マクロ局1は、ピコ局2から送信電力制御用情報を受信した後、該送信電力制御用情報の送信電力で送信することを決定する(ステップS4)。
【0053】
図6は本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例3である。なお、図6において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
【0054】
図6に示す実施例3に係るマクロ局1では、図2のマクロ局100に対して、スループット期待値算出部11と比較部12と停波・送信仮決定部13と送信電力制御用情報要求生成部14と送信電力制御用情報要求送信部15とが追加されている。
【0055】
スループット期待値算出部11は、実施例1と同じ動作を行うと共に、送信電力制御用情報要求生成部14に対して、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局送信電力セットとマクロ局スループット増加期待値との対応関係を出力する。送信電力制御用情報要求生成部14は、送信電力制御用情報要求として、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信電力に対するマクロ局スループット増加期待値との対応関係を生成する。比較部12、停波・送信仮決定部13および送信電力制御用情報要求送信部15は、図4に示す実施例1と同じである。
【0056】
図6に示す実施例3に係るピコ局2では、図2のピコ局200に対して、送信電力制御用情報要求受信部21とスループット期待値算出部22と比較部41とが追加されている。送信電力制御用情報要求受信部21は、マクロ局1から通知された、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局1の送信電力セットとマクロ局スループット増加期待値との対応関係を、比較部41へ出力する。スループット期待値算出部22は、干渉制御用無線リソースにおいてピコ局スループット低下期待値を計算し、比較部41へ通知する。比較部41は、ピコ局スループット低下期待値と、マクロ局1の送信電力セットとマクロ局スループット増加期待値との対応関係とから、最もセル容量を向上する送信電力を判断する。この判断結果は、送信電力制御用情報生成部202へ通知される。
【実施例4】
【0057】
実施例4において、送信電力制御情報共有方法の流れは、図3に示す実施例1と同様である。マクロ局1は、干渉制御用無線リソースにおいて、マクロ局送信電力セットに対するマクロ局スループット増加期待値を算出し、マクロ局1が停波するか、又は低送信電力で信号を送信するかを仮決定する(ステップS1)。干渉制御用無線リソースにおいてマクロ局が信号を送信することを仮決定した場合、マクロ局1は、ピコ局2へ、停波するか又は低送信電力で信号を送信するかの判断に使用した閾値を満たす最小の送信電力と、該閾値を、送信電力制御情報要求としてピコ局2へ通知する(ステップS2)。
【0058】
ピコ局2は、マクロ局1から送信電力制御情報要求を受信すると、まず、干渉制御用無線リソースにおけるピコ端末の無線品質、過去のトラヒック、等から、マクロ局1の送信電力セットに対する、ピコ局スループット低下期待値を計算する。次いで、ピコ局2は、ピコ局スループット低下期待値と、マクロ局1から通知された閾値とを比較する。この結果、セル容量が改善する場合には、ピコ局2は、マクロ局1から通知された送信電力で信号を送信しても良い事を表す指標をマクロ局1へ通知する。一方、セル容量が改善しない場合には、ピコ局2は送信電力制御用情報をマクロ局1へ通知する(ステップS3)。この送信電力制御用情報とは、マクロ局1の送信電力セットとピコ局スループット低下期待値との対応関係である。
【0059】
マクロ局1は、ピコ局2から送信電力制御用情報を受信した後、ステップS2でピコ局2へ通知した送信電力で信号を送信しても良い場合には、該送信電力で送信することを決定する(ステップS4)。一方、マクロ局1は、ステップS2でピコ局2へ通知した送信電力で信号を送信すると問題がある場合、ピコ局から通知された送信電力制御用情報から送信電力を決定する(ステップS4)。
【0060】
図7は本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例4である。なお、図7において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
【0061】
図7に示す実施例4に係るマクロ局1では、図2のマクロ局100に対して、スループット期待値算出部11と比較部12と停波・送信仮決定部13と送信電力制御用情報要求生成部14と送信電力制御用情報要求送信部15とが追加されている。スループット期待値算出部11、比較部12および停波・送信仮決定部13は図4に示す実施例1と同じである。
【0062】
送信電力制御用情報要求生成部14は、閾値と、この閾値を満たす最小の送信電力を元に、送信電力制御用情報要求を生成する。送信電力制御用情報要求送信部15は、その送信電力制御用情報要求を、ピコ局2へ送信する。
【0063】
図7に示す実施例4に係るピコ局2では、図2のピコ局200に対して、送信電力制御用情報要求受信部21とスループット期待値算出部22と比較部51とが追加されている。
【0064】
送信電力制御用情報要求受信部21は、マクロ局1から送信電力制御用情報要求を受信し、比較部51へ出力する。スループット期待値算出部22は、干渉制御用無線リソースにおいてピコ局スループット低下期待値を計算し、比較部51へ通知する。又、スループット期待値算出部22は、マクロ局1から通知された送信電力でセル容量が低下する場合のために、ピコ局スループット低下期待値を送信電力制御用情報生成部202へ通知する。
【0065】
比較部51は、マクロ局1から通知された送信電力でセル容量が低下しない場合には該送信電力で良いことを送信電力制御用情報生成部202へ通知する。一方、比較部51は、マクロ局1から通知された送信電力でセル容量が低下する場合には該送信電力で問題があることを送信電力制御用情報生成部202へ通知する。
【実施例5】
【0066】
実施例5において、送信電力制御情報共有方法の流れは、図3に示す実施例1と同様である。マクロ局1は、干渉制御用無線リソースにおいて、マクロ局送信電力セットに対するマクロ局スループット増加期待値を算出し、マクロ局1が停波するか、又は低送信電力で信号を送信するかを仮決定する(ステップS1)。干渉制御用無線リソースにおいてマクロ局が信号を送信することを仮決定した場合、マクロ局1は、ピコ局2へ、干渉制御用無線リソースにおいて、停波するか又は信号を送信するかの判断に使用した閾値を満たす最小の送信電力と、該閾値を、送信電力制御情報要求としてピコ局2へ通知する(ステップS2)。
【0067】
ピコ局2は、マクロ局1から送信電力制御情報要求を受信すると、まず、干渉制御用無線リソースにおけるピコ端末の無線品質、過去のトラヒック、等から、マクロ局1の送信電力セットに対する、ピコ局スループット低下期待値を計算する。次いで、ピコ局2は、ピコ局スループット低下期待値と、マクロ局1から通知された閾値とを比較する。この結果、セル容量が改善する場合には、ピコ局2は、マクロ局1から通知された送信電力で信号を送信しても良い事を表す指標をマクロ局1へ通知する。一方、セル容量が改善しない場合には、ピコ局2は送信電力制御用情報をマクロ局1へ通知する(ステップS3)。この送信電力制御用情報とは、マクロ局1が干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報である。具体的には、無線リソース使用率、マクロ局1の送信電力セットに対するSINR統計値、マクロ局1の送信電力セットに対する複数アンテナを用いた空間多重伝送におけるランクの劣化量、マクロ局1の送信電力セットに対するMCS劣化量、等である。
【0068】
マクロ局1は、ピコ局2から送信電力制御用情報を受信した後、ステップS2でピコ局2へ通知した送信電力で信号を送信しても良い場合には、該送信電力で送信することを決定する(ステップS4)。一方、マクロ局1は、ステップS2でピコ局2へ通知した送信電力で信号を送信すると問題がある場合、送信電力制御用情報から、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算する。次いで、マクロ局1は、そのピコ局スループット低下期待値と、既に計算している干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値とを比較し、信号を停波するか、又は低送信電力で送信するかを決定し、そして信号を送信する場合にはセル容量が最大となる送信電力を送信電力として決定する(ステップS4)。
【0069】
図8は本発明に係るマクロ局1およびピコ局2の各装置構成の実施例5である。なお、図8において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
【0070】
図8に示す実施例5に係るマクロ局1では、図2のマクロ局100に対して、(マクロ)スループット期待値算出部11と比較部12と停波・送信仮決定部13と送信電力制御用情報要求生成部14と送信電力制御用情報要求送信部15と(ピコ)スループット期待値算出部31とが追加されている。(マクロ)スループット期待値算出部11、比較部12および停波・送信仮決定部13は、図4に示す実施例1と同じである。(ピコ)スループット期待値算出部31は、図5に示す実施例2と同じである。
【0071】
送信電力制御用情報要求生成部14は、閾値と、この閾値を満たす最小の送信電力を元に、送信電力制御用情報要求を生成する。送信電力制御用情報要求送信部15は、その送信電力制御用情報要求を、ピコ局2へ送信する。
【0072】
図8に示す実施例5に係るピコ局2では、図2のピコ局200に対して、送信電力制御用情報要求受信部21とスループット期待値算出部22と比較部51とが追加されている。
【0073】
送信電力制御用情報要求受信部21は、マクロ局1から送信電力制御用情報要求を受信し、比較部51へ出力する。スループット期待値算出部22は、干渉制御用無線リソースにおいてピコ局スループット低下期待値を計算し、比較部51へ通知する。無線リソース情報管理部201は、マクロ局1から通知された送信電力でセル容量が低下する場合のために、管理する情報の統計値を、送信電力制御用情報生成部202へ通知する。
【0074】
比較部51は、マクロ局1から通知された送信電力でセル容量が低下しない場合には該送信電力で良いことを送信電力制御用情報生成部202へ通知する。一方、比較部51は、マクロ局1から通知された送信電力でセル容量が低下する場合には該送信電力で問題があることを送信電力制御用情報生成部202へ通知する。
【0075】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…マクロ局、2…ピコ局、11,31…スループット期待値算出部、12,41,51…比較部、13…停波・送信仮決定部、14…送信電力制御用情報要求生成部、15…送信電力制御用情報要求送信部、21…送信電力制御用情報要求受信部、22…スループット期待値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する下りリンク干渉制御方法であって、
マクロ局は、マクロ局の干渉制御用無線リソースにおいて送信可否を仮決定し、マクロ局が信号を送信する場合のみピコ局へ送信電力制御用情報要求を通知し、
ピコ局は、該送信電力制御用情報要求を受信後、マクロ局へ送信電力制御用情報を通知し、
マクロ局は、送信電力制御用情報を受信後、送信可否、並びに送信電力を決定する、
ことを特徴とする下りリンク干渉制御方法。
【請求項2】
マクロ局は、送信可否を仮決定する際、マクロ局送信電力のセットに対する干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値を計算し、該マクロ局スループット増加期待値を閾値判定することで、干渉制御用無線リソースにおいて信号を停波するか又は送信するか、を仮決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項3】
マクロ局送信電力のセットは、あらかじめ決められた固定値である、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項4】
マクロ局送信電力のセットは、マクロ局の送信電力とマクロ局が設定しているハンドオフマージンを考慮した値である、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項5】
マクロ局送信電力のセットは、マクロ局の送信電力と上位システムから通知されるピコ局のハンドオフマージンを考慮した値である、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項6】
マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、マクロ局送信電力のセットを送信し、
ピコ局は、該マクロ局送信電力のセットを受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値との対応関係を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、
マクロ局は、該送信電力制御用情報と、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、セル容量が向上しない場合、信号を停波する、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項7】
マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、マクロ局送信電力のセットを送信し、
ピコ局は、該マクロ局送信電力のセットを受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値を、マクロ局が計算するために必要な情報を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、
マクロ局は、該送信電力制御用情報から干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するとともに、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、セル容量が向上しない場合、信号を停波する、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項8】
マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力セットに対するマクロ局スループット増加期待値との対応関係を送信し、
ピコ局は、該情報を受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力セットに対する、ピコ局スループット低下期待値を計算し、マクロ局スループット増加期待値と比較し、セル容量が最も向上する送信電力を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、
マクロ局は、該送信電力制御用情報を元に送信電力を決定し、セル容量が向上しない場合、信号を停波する、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項9】
マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、干渉制御用無線リソースを停波するか又は低送信電力で信号を送信するかの判断に使用した閾値を満たす最小の送信電力と該閾値を送信し、
ピコ局は、該情報を受信した場合、干渉制御用無線リソースにおける、マクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値を計算し、マクロ局スループット増加期待値と比較し、セル容量が改善する場合にはマクロ局から通知された送信電力で信号を送信しても良い事を表す指標を、一方、セル容量が改善しない場合には干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信電力に対するピコ局スループット低下期待値との対応関係を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、
マクロ局は、該送信電力制御用情報を元に、ピコ局2へ通知した送信電力で良ければ該通知した送信電力で信号を送信し、一方、ピコ局2へ通知した送信電力で良くなければ、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値とマクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、他方、セル容量が向上しない場合には信号を停波する、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項10】
マクロ局は、干渉制御用無線リソースにおいて送信することを仮決定した場合、ピコ局へ送信電力制御用情報要求として、停波するか又は低送信電力で信号を送信するかの判断に使用した閾値を満たす最小の送信電力と該閾値を送信し、
ピコ局は、該情報を受信した場合、干渉制御用無線リソースにおけるマクロ局の送信電力に対する、ピコ局スループット低下期待値を計算し、マクロ局スループット増加期待値と比較し、セル容量が改善する場合にはマクロ局から通知された送信電力で信号を送信しても良い事を表す指標を、一方、セル容量が改善しない場合にはマクロ局が干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報を、送信電力制御用情報としてマクロ局へ通知し、
マクロ局は、該送信電力制御用情報を元に、ピコ局2へ通知した送信電力で問題なければ通知した送信電力で信号を送信し、一方、ピコ局2へ通知した送信電力で良くなければ、ピコ局2から通知された情報から、干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するとともに、マクロ局スループット増加期待値を比較し、セル容量が最も向上する送信電力で信号を送信し、他方、セル容量が向上しない場合には信号を停波する、
ことを特徴とする請求項2に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項11】
干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、マクロ局の送信電力に対する受信SINRの統計値である、
ことを特徴とする請求項7又は10に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項12】
干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、ピコ局の無線リソース使用率である、
ことを特徴とする請求項7又は10に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項13】
干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、マクロ局の送信電力に対する空間多重伝送におけるランクの変化量である、
ことを特徴とする請求項7又は10に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項14】
干渉制御用無線リソースにおけるピコ局スループット低下期待値を計算するために必要な情報は、マクロ局の送信電力に対するMCSの変化量である、
ことを特徴とする請求項7又は10に記載の下りリンク干渉制御方法。
【請求項15】
干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する下りリンク干渉制御装置であって、
マクロ局スループット増加期待値を計算するスループット期待値算出部と、
前記スループット期待値算出部で計算された値と閾値とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果を元に、干渉制御用無線リソースにおいて、信号を停波するか、又は送信するかを仮決定する停波・送信仮決定部と、
前記停波・送信仮決定部による結果を元に、ピコ局へ通知する情報を生成する送信電力制御用情報要求生成部と、
前記送信電力制御用情報要求生成部が生成した情報をピコ局へ送信する送信電力制御用情報要求送信部と、
ピコ局から通知される送信電力制御用情報を受信する送信電力制御用情報受信部と、
該送信電力制御用情報と前記スループット期待値算出部で計算された値を比較し、停波するか又は送信するか、送信する場合にはどのような送信電力で送信するか、を決定する停波・送信決定部と、
を備えたことを特徴とする下りリンク干渉制御装置。
【請求項16】
干渉制御用無線リソースと非干渉制御用無線リソースを多重する下りリンク干渉制御装置であって、
マクロ局からの送信電力制御用情報要求を受信する送信電力制御用情報要求受信部と、
該送信電力制御用情報要求を元に送信電力制御用情報を生成する送信電力制御用情報要求生成部と、
該送信電力制御用情報をマクロ局へ送信する送信電力制御用情報要求送信部と、
を備えたことを特徴とする下りリンク干渉制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−102355(P2013−102355A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244959(P2011−244959)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】