不均等入力電力分割を用いた増加されたバックオフ能力および電力付加効率を持つNウェイRF電力増幅器回路
【課題】RF電力増幅器の高効率動作
【解決手段】入力電力は分割され、不均等にキャリア増幅器および複数のピーク増幅器に供給されることによって、増加された電力負荷効率(PAE)および直線性を実現できる。それぞれのピーク増幅器は、キャリア増幅器へ提供される入力信号レベルより高い入力信号レベルを提供される。ピーク増幅器は、均等電力分割を用いて達成されえるよりも、より効率的にRF信号によって持ち上げられえ、よってスレッショルド近くにトランジスタのトランスコンダクタンス特性を補償し、同じ効率についてのバックオフ能力を増し、または同じバックオフ点における直線性を改善しえる。
【解決手段】入力電力は分割され、不均等にキャリア増幅器および複数のピーク増幅器に供給されることによって、増加された電力負荷効率(PAE)および直線性を実現できる。それぞれのピーク増幅器は、キャリア増幅器へ提供される入力信号レベルより高い入力信号レベルを提供される。ピーク増幅器は、均等電力分割を用いて達成されえるよりも、より効率的にRF信号によって持ち上げられえ、よってスレッショルド近くにトランジスタのトランスコンダクタンス特性を補償し、同じ効率についてのバックオフ能力を増し、または同じバックオフ点における直線性を改善しえる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きくはRF電力増幅器に関し、より具体的には本発明は、ディジタル変調が採用されている基地局において広い範囲の出力電力が必要とされる、現代の無線通信システムに適するRF電力前記増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局における電力増幅器は、ピーク電力よりもずっと低い出力電力レベルおいてしばしば動作する。残念ながらバックオフパワーレベルは、送信機の電力増幅器の効率を下げる。従来の増幅器においては、効率および入力駆動レベルの間には直接の関係がある。したがって高効率(DCからRFへの変換効率)は、RF入力電力レベルが充分に高く増幅器を飽和状態で駆動するまで得られない。マルチキャリア通信システムにおいて増幅器はなるべくリニアを保たなければならないので、高効率のこの領域は使用されえない。
【0003】
バックオフパワーレベルにおいて改良された効率を提供する従来の電力増幅器設計は、ドハティ増幅器であり、これはメイン増幅器からの電力と、補助またはピーク増幅器からの電力とを結合する。W.H.Dohertyの「A New High-Efficiency Power Amplifier for Modulated Waves」、Proc. IRE Vol. 24, No. 9, pp. 1163-1182、1936年を参照されたい。図1(A)に示されるように、従来のドハティ構成においては、キャリア増幅器10およびピーク増幅器12は、最大電力を負荷Rに最適効率で伝達するよう設計される。メインつまりキャリア増幅器は通常のB級増幅器であり、一方、ピーク増幅器はある最小スレッショルドを超える信号だけを増幅するように設計される。LDMOS電力トランジスタについてこれは、C級に似た動作のために、トランジスタをそのピンチオフ電圧より下にDCバイアスすることによって達成されえる。2つの増幅器の出力は、インピーダンスRの1/4波長伝送線路によって接続され、最適負荷Rの半分の負荷がピーク増幅器の出力に付加される。RF入力電力は、ピーク増幅器への入力において1/4波長の遅延で等しく分割され、よって付加R/2における2つの増幅器の出力電力は同相になる。
【0004】
ドハティ増幅器は、B級キャリア増幅器をその最適付加の2倍より大きい見かけの負荷インピーダンスで動作させることによって圧縮の前に高効率を達成する。(ピーク増幅器がアクティブになる前に、1/4波長トランス14の存在のために、キャリア増幅器に示される見かけの負荷インピーダンスは2Rである。)よって、このキャリア増幅器は、その最大電力の半分において圧縮し、ピーク効率に達する。第2つまりピーク増幅器は、入力信号のピークのあいだだけアクティブにされる。ピーク増幅器がアクティブであるとき、キャリア増幅器の出力での見かけの負荷インピーダンスは低減される。第2増幅器がその最大電力を出力するときにやはり最大効率は達成される。よって第1増幅器は、見かけの電力の6dBの範囲で飽和のぎりぎりのところに維持され、ほとんどピーク効率が維持されえる。
【0005】
ピーク増幅器をオンにするのにドハティ増幅器への入力RF電力が充分ではないとき、出力電力の全ては、メインつまりキャリア増幅器によって供給される。図1Bに示されるように、ピーク増幅器がオフのとき、その出力インピーダンスは非常に高くキャリア増幅器の出力電力は全体が負荷R/2に伝達される。上述のように、1/4波長トランス14にわたってキャリア増幅器に実際に示される負荷は2Rである。デバイス電流は、最大電力において伝達されるものの半分であり、一方で電圧は飽和する。これはデバイスがその最大出力電力の半分を伝達することになる。電流のRFおよびDC成分の両方がそのピーク値の半分であるので、効率は最大で、最大のリニア効率で負荷に供給されているキャリア増幅器の最大出力電力の半分を持つ。
【0006】
図1Aに示されるように、ピーク増幅器が飽和するのに充分な入力RF電力が提供されるとき、2つのパラレルの増幅器は、等しく最大出力電力を負荷R/2に伝達している。それぞれの増幅器に見える負荷は、最適負荷Rであり、1/4波長トランスの両端における負荷はRのまま維持される。キャリア増幅器がちょうど飽和し始めるときに、ピーク増幅器は動作を始めるように設計される。最大リニア効率はこの点で得られる。入力RF駆動がさらに深くなるにつれ、ピーク増幅器がオンになり始め、出力電力を負荷に伝達するようになる。ピーク増幅器によって供給される追加の電流は、1/4波長トランスの出力における負荷インピーダンスを増す効果がある。トランスのキャリア増幅器端における実効的な変化は、見かけの負荷インピーダンスの減少であり、キャリア増幅器がより多くの電力を伝達し、一方でその電圧は飽和したままである。ピーク増幅器のデューティファクタが比較的低いので、限界の間の効率は、最大よりもわずかだけ落ちる。
【0007】
ドハティ増幅器の高効率動作の範囲を拡張するための試みが行われてきた。例えばIwamotoらは、キャリアおよびピーク増幅器にスケールドトランジスタ(scaled transistors)つまり異なるサイズのトランジスタ群を、そして入力において不均等電力スプリッタを用いて12dBバックオフ回路を作った。Iwamotoらの「An Extended Doherty Amplifier with High Efficiency Over a Wide Power Range」、2001 IEEE MTT-S Digest, Phoenix, AZを参照されたい。総出力電力が低い(1ワット未満)ときはこの技術は一見うまく働くが、出力電力が10〜100ワットCWレンジにあるときはあまり改善されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RF電力増幅器の高効率動作の範囲を拡張する要求が存在しつづける。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、RF電力増幅器回路は、最大バックオフ電力動作のためのキャリア増幅器、および増加された入力電力レベルにおいて順次動作を始めるよう適切にバイアスされた1つ以上のピーク増幅器を含む。それぞれのピーク増幅器は、ピーク効率が維持される電力範囲において6dBの増加を提供しえる。入力信号をキャリア増幅器およびN−1ピーク増幅器に供給するためにNウェイ分割器が必要とされるので、分割器における電力の有限ロスは、実現されえる効率の改善のうちのいくつかを制限しえる。しかし、高い入力電力条件におけるピーク増幅器の使用は、回路の全体的な効率を改善しえる。
【0010】
ある実施形態において、4ウェイ増幅器回路が提供され、4ウェイ電力分割器によって全て駆動されるキャリア増幅器および3つのピーク増幅器を含む。理論的には、この増幅器は、効率的な電力の範囲を18dB伸長しえる。そのような効率的電力範囲の伸長は、平均電力に対するピーク比が13dBの高さにもなりえるワイドバンドCDMA(W−CDMA)またはOFDMのような変調方式を用いたディジタル通信システムにおいては非常に重要である。4ウェイ構成は、2ウェイ増幅器構成に比較して3dBmの全体的な電力増加も提供する。よって120ワットピーク増幅器は、それぞれの増幅器パス(キャリア増幅器および3つのピーク増幅器)が30ワットのトランジスタを利用する4ウェイ構成によって提供されえる。
【0011】
本発明の実施形態において、入力電力は分割され、不均等にキャリア増幅器および1つ以上のピーク増幅器に供給されることによって、増加された電力負荷効率(PAE)および直線性を実現できる。ある実施形態において、それぞれのピーク増幅器は、キャリア増幅器へ提供される入力信号レベルより高い入力信号レベルを提供される。ピーク増幅器は、均等電力分割を用いて達成されえるよりも、より効率的にRF信号によって持ち上げられえ、よってスレッショルド近くにトランジスタのトランスコンダクタンス特性を補償し、同じ効率についてのバックオフ能力を増し、または同じバックオフ点における直線性を改善しえる。4ウェイドハティ構成において、例えば、4つの異なるRF電力レベルがキャリア増幅器および3つのピーク増幅器に提供されえる。不均等分割は、バックオフ効率における向上されたパフォーマンスおよび直線性を提供する。他の実施形態においては、それぞれのピーク増幅器は、キャリア増幅器に提供される入力信号レベルより小さい入力信号レベルを提供される。
【0012】
本発明およびその目的および特徴は、図面と共に参照されれば以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から容易により明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】従来のドハティ増幅器回路の概略図である。
【図1B】従来のドハティ増幅器回路の概略図である。
【図2】本発明の実施形態による4ウェイ増幅器回路の概略図である。
【図3】図2による4ウェイ増幅器のより詳細な図である。
【図4】図2および3によるシミュレーションされた電力増幅器についての電力入力対電力出力および電力付加効率を示すグラフである。
【図5】均等入力信号分割の180ワットドハティ増幅器回路についての電力入力対電力出力およびPAEを示すグラフである。
【図6】不均等入力信号分割を有する180ワットドハティ増幅器回路についての電力入力対電力出力およびPAEを示すグラフである。
【図7】不均等電力分割を持つ3ウェイ90ワットドハティ増幅器回路の概略図である。
【図8】図7の増幅器についての電力入力対電力出力およびPAEを示すグラフである。
【図9】2ウェイ20ワット不均等分割ドハティ増幅器回路についての周波数が異なるときのドレイン効率対出力電力を示すグラフである。
【図10】均等および不均等分割の2ウェイドハティ増幅器回路についての効率曲線の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、複数のピーク増幅器が追加され、Nウェイスプリッタがメイン増幅器およびN−1個のピーク増幅器のために提供されたドハティ電力増幅器の変形といえる。実際の増幅器の構成を容易にするために、入力におけるピーク増幅器への従来のドハティ増幅器の1/4波長トランス、およびキャリア増幅器の出力における従来のドハティ増幅器の1/4波長トランスが入れ替えられているが、パフォーマンスに影響はない。しかし、その場合、増幅器のためのインピーダンス整合ネットワークは、1/4波長トランスの再配置を計算に入れるよう調整されなければならない。キャリア増幅器入力においては一つの90°(1/4波長)位相長しか必要とされず、よって、マルチウェイ電力ディバイダを通した複数のピーク増幅器がより簡単に実現できる。
【0015】
図2は、本発明による電力増幅器のある実施形態の機能ブロック図であり、これは、キャリア増幅器20および3つのピーク増幅器21、22、23を含み、ピーク増幅器群は、90°トランス24、25、26を通して出力負荷28へ接続される。単一の90°トランス30は、4ウェイスプリッタ32をキャリア20に接続する。ピーク増幅器のそれぞれのDCバイアスを適切な値に設定することによって、追加されたピーク増幅器は、ドハティ機能が拡張されることを可能にする。第1のものに加えて追加されたピーク増幅器群のそれぞれについて、電力レンジにおいて6dBの対応する増加が見込め、この分だけピーク効率が維持される。Nウェイスプリッタの有限損失のために、効率のある程度の悪化が発生する。4ウェイ増幅器は、効率的な電力の範囲を18dBの理論値へ拡張する。上述のようにこのような拡張は、平均電力に対するピークの比が13dBの高さにもなる変調スキームを用いるディジタル通信システムにおいては非常に重要である。4ウェイ構成は、2ウェイの従来のドハティ回路に比べて3dBmの全体的電力増加を提供する。よって120ワットピークの増幅器は、4ウェイドハティ構成によって30ワットのトランジスタを利用するそれぞれのパス(キャリアおよび3つのピーク増幅器)で提供されえる。
【0016】
図3は、キャリア増幅器トランジスタ40および3つのピーク増幅器トランジスタ41〜43を含むCREE Microwave, Inc.からの30ワットLDMOSFETパワートランジスタを利用してシミュレーションされた図2の増幅器のより詳細な回路図である。入力信号の4ウェイ分配は、2ウェイスプリッタ44、46および48によって提供される。キャリア増幅器トランジスタ40は、スプリッタ46を入力整合回路52に接続する90°トランス50を含む。ゲートバイアス54、ドレインバイアス56、出力整合回路58、およびオフセットマイクロストリップ位相長60は、直列に増幅器を位相スプリッタ46および62における出力の間で接続し、トランス64および抵抗負荷65を含む。ピーク増幅器のそれぞれは、図2に示されるように増幅器回路を負荷に接続する90°トランス66を有する。高調波終端、例えばグラウンドに接続されたコイルおよびキャパシタは、出力整合回路58に含まれえて、出力高調波をトランジスタ出力に戻し、それによってピーク効率を増す。ピーク増幅器回路のそれぞれは、入力信号強度が増すにつれてピーク増幅器を順番に動作させるゲートバイアス回路を持つ類似の入力および出力回路を有する。
【0017】
図3の4ウェイ増幅器は、UMTSバンド(2110〜2170MHz)にわたって出力電力、電力付加効率(PAE)、および利得についてApplied Wave Research Microwave Office Simulatorを用いてシミュレーションされた。図4は、23〜43dBm(200ミリワットから20ワット)の範囲で広がる入力電力のレンジにわたって、150ワット(52dBm)に近い飽和出力で、PAEと共に入力RF電力対出力RF電力を示す。出力電力レベルが42dBm(10dBバックオフ)までバックオフするとき、PAEは46%である。従来の(すなわち非ドハティ)増幅器は、同じバックオフパワーについては10%未満のPAEを有する。2ウェイのドハティ増幅器回路は、対応するPAEとして23%を有しえる。ピーク増幅器のためのバイアス電圧の選択においては、増幅器のダイナミックレンジ全体にわたって利得の直線性を維持するために正しい点においてトランジスタが順番にオンにされることが重要である。
【0018】
表1は、従来の2ウェイドハティ増幅器、Iwamotoらによって記述された不均等電力スプリット付き2ウェイドハティ増幅器、本発明の実施形態による3ウェイ(2ピーク増幅器を持つキャリア増幅器)、および4ウェイスプリット(3ピーク増幅器を持つキャリア増幅器)の間の比較を示す。4ウェイ増幅器は、2ウェイドハティによるアプローチに比べて10dBバックオフにおいてPAEの2倍の改善を達成する。
【表1】
【0019】
本発明によるNウェイドハティ増幅器は、広い範囲の入力/出力電力レベルにわたってリニア電力増幅器の電力付加効率を大きく改善する。この増幅器は、高電力増幅器に特に適するが、これはそれぞれのトランジスタの電力要件がパワートランジスタの個数Nに反比例するからである。2ウェイドハティ構成においては、それぞれのトランジスタのピークパワー要件が総出力電力の半分にせざるを得なかった。そのような条件は、キャリアおよびピーク増幅器の非常に低い入力および出力インピーダンスにつながり、実際には現実化の困難を伴った。Nウェイドハティ増幅器回路においては、それぞれのトランジスタは、出力電力の1/Nのピーク電力要件を必要とし、よってNが2より大きいときは、より高い入力および出力インピーダンスにつながる。さらに増幅器中に依然と残る非効率から発生する熱は、より小さな個別のトランジスタ群を用いることによって、より大きな物理的領域に分散されるので、全体的な熱抵抗が下がる。
【0020】
本発明の他の実施形態において、入力電力は分割され、均等ではないようにキャリアおよび1つ以上のピーク増幅器群に与えられることによって、増加された電力付加効率(PAE)および直線性を実現する。
【0021】
従来のドハティ増幅器回路においては、均等な信号レベルがいわゆるキャリアおよびピーク増幅器に伝達される。ピーク増幅器のバイアス点は意図的にスレッショルドに近く設定されているので、キャリア増幅器と比べ、ピーク増幅器をより高い信号レベルで駆動することは有利でありえる。そのような不均等電力分割は、均等分割のバージョンよりもピーク増幅器がRF信号によってより効率良く「ポンプされる」ことを可能にし、よってトランジスタのトランスコンダクタンス特性をスレッショルドに近いように補償する。
【0022】
図5および6は、1つのキャリア増幅器および1つのピーク増幅器を有する180ワットドハティ増幅器回路についての電力入力および電力出力およびPAEを示すグラフである。図5において、均等分割を持つドハティ増幅器回路のパフォーマンスは、7dBバックオフにおけるPAEが34%であり、9dBバックオフにおけるPAEが27%であることを示す。しかし、−1.8dBがピーク増幅器に与えられ、−4.8dBがキャリア増幅器に与えられる不均等電力分割を用いることによって、7dBバックオフにおけるPAEの3%から37%の改善が実現される。不均等電力分割は、ピーク増幅器がスレッショルドにおいてバイアスされることを可能にし、よってPAE改善を実現する。
【0023】
ここで図7に概略が示された不均等電力分割を持つ3ウェイ90ワットドハティ増幅器回路を考える。電力分割器70を用いることによって、−4.8dBの入力電力がキャリア増幅器72に与えられ、一方、−1.8dBの入力電力が分割器74に与えられ、これが今度は入力信号の−3dBをピーク増幅器76に与え、入力信号の−3dBをピーク増幅器78に与える。増幅器のそれぞれは、異なる入力ゲートバイアスを有し、例えば、あるLDMOSトランジスタについては4.3ボルトがキャリア72に与えられえ、4.1ボルトおよび3.0ボルトがそれぞれピーク増幅器76および78に与えられえる。ピーク増幅器76および78の電圧バイアスレベルは、キャリア増幅器72が飽和し始めるときにピーク増幅器76がちょうどターンオンし始め、かつキャリア増幅器72およびピーク増幅器76を備える増幅器回路が飽和し始めるときに、すなわちピーク増幅器76がアクティブになった点からさらに約6dBのRF入力電力が回路に与えられた後に、ピーク増幅器78がちょうどターンオンし始めるように選ばれる。理想的には、ピーク増幅器76および78についての電圧バイアスレベルは、可能な最大範囲にわたって出力電力対入力電力の直線性および/または効率を最大化するよう選択される。
【0024】
図7の増幅器のシミュレーションされたパフォーマンスは、図8のグラフに示され、ここで入力電力が出力電力およびPAEに対してプロットされ、シミュレーションされたドハティ増幅器回路について、曲線80はPAEを表し、曲線82は電力出力を表す。90ワットの電力のとき7dBバックオフにおけるPAEは45%であり、90ワットの電力のとき9dBバックオフにおけるPAEは35%である。
【0025】
図9は、入力電力の−4.77dBをキャリア増幅器に供給し、入力電力の−1.77dBをピーク増幅器に供給するよう構成されるウィルキンソン電力分割器を有する2ウェイ20ワット不均等分割増幅器を用いたいくつかの周波数範囲にわたるドレイン効率対出力電力を示すグラフである。シミュレーションされた増幅器は、10.5 +/−0.75dBのゲイン、7dBより大きい入力リターンロス、6dBにおいて42%の効率、および10dBバックオフにおいて31.5%の効率を有する。2ワット平均における相互変調成分は−36dBc未満だった。図9において、ドレイン効率(パーセント)対電力出力(dBm)は2110MHz、2140MHzおよび2170MHzの周波数についてプロットされている。
【0026】
図10は、90で示される不均等分割および92で示される均等分割を持つ均等および不均等分割2ウェイドハティ増幅器回路についての効率曲線の比較を示すプロットである。ここでパフォーマンスは、アナレン(Anaren)電力分割器を用いた2ウェイ20ワット不均等分割についてである。増幅器ゲインは11.3 +/−0.2dBであり、11dBより大きい入力リターンロス、6dBバックオフにおいて40.5%の効率、および10dBバックオフにおいて30%の効率である。2ワット平均における相互変調成分は−32dBc未満だった。
【0027】
ここで効率は、3GPP標準によるワイドバンド符号分割マルチプルアクセス(W−CDMA)ディジタル波長の下で計測された。効率計測は、ドハティ増幅器回路のバックオフ効率および直線性の間の重要な関係を示す。比較は、2ワット平均電力において、単一のトランジスタ(13%効率)、均等電力分割を持つ2ウェイドハティ増幅器回路(22.3%効率)および不均等入力電力分割を持つ2ウェイドハティ増幅器回路(27.2%効率)についてなされた。よってドハティ増幅器回路は単一のトランジスタ増幅器よりも大きくされた効率を提供し、不均等電力分割によるドハティ増幅器回路は、与えられたバックオフ電力において向上された効率および直線性を提供できることがわかる。
【0028】
同じ設計配慮は、キャリアおよびピーク増幅器におけるRFトランジスタのサイズが異なる非対称ドハティ増幅器の場合にも用いられえる。全ての場合において、キャリアおよびピーク増幅器間の入力電力分割の最適化は、電力増幅器全体のゲイン、効率および直線性を改善できる。本発明は、シリコンLDMOSFETを用いる高電力、高効率および高直線性のRFおよびマイクロ波増幅器を参照して説明されてきたが、本発明は、シリコンバイポーラ、ガリウムヒ素MESFET、インジウムガリウムリンHBT、シリコンカーバイドMESFETおよび窒化ガリウムHEMTのような幅広い半導体技術を用いて実現されえる。
【0029】
本発明は、具体的な4ウェイ実施形態について説明されてきたが、記載は本発明を例示的に示し、本発明を限定するように意図されていない。添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者にはさまざまな改変および応用が理解されるだろう。
【0030】
なお、本願は、原出願2006年509882号の分割出願であり、
原出願2006年509882号の出願当初の特許請求の範囲には、以下の請求項が記載されていた。
〔請求項1〕
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された複数のピーク増幅器であって、前記ピーク増幅器のそれぞれは、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅された出力信号を順次供給するようバイアスされる、複数のピーク増幅器、
c)入力信号を分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器に与える信号分割器であって、前記キャリア増幅器への前記入力電力は、前記ピーク増幅器への前記入力電力とは異なる、信号分割器および
d)前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器からの増幅された出力信号群を受け取り結合する出力
を備えるRF電力増幅器回路。
〔請求項2〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器への入力電力は、それぞれのピーク増幅器への前記入力電力よりも大きいRF電力増幅器回路。
〔請求項3〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器への入力電力は、それぞれのピーク増幅器への前記入力電力よりも小さいRF電力増幅器回路。
〔請求項4〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、それぞれのピーク増幅器は、効率的な電力増幅を6dB伸長するRF電力増幅器回路。
〔請求項5〕
請求項4に記載のRF電力増幅器回路であって、前記複数のピーク増幅器は、3つのピーク増幅器を備え、前記伸長された効率的電力増幅はほぼ18dBであるRF電力増幅器回路。
〔請求項6〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記入力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項7〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項8〕
請求項7に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
〔請求項9〕
請求項8に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
〔請求項10〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項11〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項12〕
請求項11に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
〔請求項13〕
請求項12に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
〔請求項14〕
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された少なくとも1つのピーク増幅器であって、前記少なくとも1つのピーク増幅器は、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅を始めるようバイアスされる、少なくとも1つのピーク増幅器、および
c)入力信号を不均等に分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記少なくとも1つのピーク増幅器に与える信号分割器
を備えるRF電力増幅器回路。
〔請求項15〕
請求項14に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器は、前記少なくとも1つのピーク増幅器が受け取るよりも小さい入力信号電力を受け取るRF電力増幅器回路。
〔請求項16〕
請求項14に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器は、前記少なくとも1つのピーク増幅器が受け取るよりも大きい入力信号電力を受け取るRF電力増幅器回路。
〔請求項17〕
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する第1トランジスタを備え、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された第2トランジスタを備える少なくとも1つのピーク増幅器であって、前記第2トランジスタは、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅を始めるようバイアスされる、少なくとも1つのピーク増幅器、および
c)入力信号を不均等に分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記少なくとも1つのピーク増幅器に与える信号分割器
を備えるRF電力増幅器回路。
〔請求項18〕
請求項17に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器は、前記少なくとも1つのピーク増幅器が受け取るよりも小さい入力信号電力を受け取るRF電力増幅器回路。
〔請求項19〕
請求項17に記載のRF電力増幅器回路であって、前記第1トランジスタは、前記第2トランジスタとサイズが異なるRF電力増幅器回路。
〔請求項20〕
請求項19に記載のRF電力増幅器回路であって、前記第1トランジスタは、前記第2トランジスタよりサイズが小さいRF電力増幅器回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きくはRF電力増幅器に関し、より具体的には本発明は、ディジタル変調が採用されている基地局において広い範囲の出力電力が必要とされる、現代の無線通信システムに適するRF電力前記増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局における電力増幅器は、ピーク電力よりもずっと低い出力電力レベルおいてしばしば動作する。残念ながらバックオフパワーレベルは、送信機の電力増幅器の効率を下げる。従来の増幅器においては、効率および入力駆動レベルの間には直接の関係がある。したがって高効率(DCからRFへの変換効率)は、RF入力電力レベルが充分に高く増幅器を飽和状態で駆動するまで得られない。マルチキャリア通信システムにおいて増幅器はなるべくリニアを保たなければならないので、高効率のこの領域は使用されえない。
【0003】
バックオフパワーレベルにおいて改良された効率を提供する従来の電力増幅器設計は、ドハティ増幅器であり、これはメイン増幅器からの電力と、補助またはピーク増幅器からの電力とを結合する。W.H.Dohertyの「A New High-Efficiency Power Amplifier for Modulated Waves」、Proc. IRE Vol. 24, No. 9, pp. 1163-1182、1936年を参照されたい。図1(A)に示されるように、従来のドハティ構成においては、キャリア増幅器10およびピーク増幅器12は、最大電力を負荷Rに最適効率で伝達するよう設計される。メインつまりキャリア増幅器は通常のB級増幅器であり、一方、ピーク増幅器はある最小スレッショルドを超える信号だけを増幅するように設計される。LDMOS電力トランジスタについてこれは、C級に似た動作のために、トランジスタをそのピンチオフ電圧より下にDCバイアスすることによって達成されえる。2つの増幅器の出力は、インピーダンスRの1/4波長伝送線路によって接続され、最適負荷Rの半分の負荷がピーク増幅器の出力に付加される。RF入力電力は、ピーク増幅器への入力において1/4波長の遅延で等しく分割され、よって付加R/2における2つの増幅器の出力電力は同相になる。
【0004】
ドハティ増幅器は、B級キャリア増幅器をその最適付加の2倍より大きい見かけの負荷インピーダンスで動作させることによって圧縮の前に高効率を達成する。(ピーク増幅器がアクティブになる前に、1/4波長トランス14の存在のために、キャリア増幅器に示される見かけの負荷インピーダンスは2Rである。)よって、このキャリア増幅器は、その最大電力の半分において圧縮し、ピーク効率に達する。第2つまりピーク増幅器は、入力信号のピークのあいだだけアクティブにされる。ピーク増幅器がアクティブであるとき、キャリア増幅器の出力での見かけの負荷インピーダンスは低減される。第2増幅器がその最大電力を出力するときにやはり最大効率は達成される。よって第1増幅器は、見かけの電力の6dBの範囲で飽和のぎりぎりのところに維持され、ほとんどピーク効率が維持されえる。
【0005】
ピーク増幅器をオンにするのにドハティ増幅器への入力RF電力が充分ではないとき、出力電力の全ては、メインつまりキャリア増幅器によって供給される。図1Bに示されるように、ピーク増幅器がオフのとき、その出力インピーダンスは非常に高くキャリア増幅器の出力電力は全体が負荷R/2に伝達される。上述のように、1/4波長トランス14にわたってキャリア増幅器に実際に示される負荷は2Rである。デバイス電流は、最大電力において伝達されるものの半分であり、一方で電圧は飽和する。これはデバイスがその最大出力電力の半分を伝達することになる。電流のRFおよびDC成分の両方がそのピーク値の半分であるので、効率は最大で、最大のリニア効率で負荷に供給されているキャリア増幅器の最大出力電力の半分を持つ。
【0006】
図1Aに示されるように、ピーク増幅器が飽和するのに充分な入力RF電力が提供されるとき、2つのパラレルの増幅器は、等しく最大出力電力を負荷R/2に伝達している。それぞれの増幅器に見える負荷は、最適負荷Rであり、1/4波長トランスの両端における負荷はRのまま維持される。キャリア増幅器がちょうど飽和し始めるときに、ピーク増幅器は動作を始めるように設計される。最大リニア効率はこの点で得られる。入力RF駆動がさらに深くなるにつれ、ピーク増幅器がオンになり始め、出力電力を負荷に伝達するようになる。ピーク増幅器によって供給される追加の電流は、1/4波長トランスの出力における負荷インピーダンスを増す効果がある。トランスのキャリア増幅器端における実効的な変化は、見かけの負荷インピーダンスの減少であり、キャリア増幅器がより多くの電力を伝達し、一方でその電圧は飽和したままである。ピーク増幅器のデューティファクタが比較的低いので、限界の間の効率は、最大よりもわずかだけ落ちる。
【0007】
ドハティ増幅器の高効率動作の範囲を拡張するための試みが行われてきた。例えばIwamotoらは、キャリアおよびピーク増幅器にスケールドトランジスタ(scaled transistors)つまり異なるサイズのトランジスタ群を、そして入力において不均等電力スプリッタを用いて12dBバックオフ回路を作った。Iwamotoらの「An Extended Doherty Amplifier with High Efficiency Over a Wide Power Range」、2001 IEEE MTT-S Digest, Phoenix, AZを参照されたい。総出力電力が低い(1ワット未満)ときはこの技術は一見うまく働くが、出力電力が10〜100ワットCWレンジにあるときはあまり改善されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RF電力増幅器の高効率動作の範囲を拡張する要求が存在しつづける。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、RF電力増幅器回路は、最大バックオフ電力動作のためのキャリア増幅器、および増加された入力電力レベルにおいて順次動作を始めるよう適切にバイアスされた1つ以上のピーク増幅器を含む。それぞれのピーク増幅器は、ピーク効率が維持される電力範囲において6dBの増加を提供しえる。入力信号をキャリア増幅器およびN−1ピーク増幅器に供給するためにNウェイ分割器が必要とされるので、分割器における電力の有限ロスは、実現されえる効率の改善のうちのいくつかを制限しえる。しかし、高い入力電力条件におけるピーク増幅器の使用は、回路の全体的な効率を改善しえる。
【0010】
ある実施形態において、4ウェイ増幅器回路が提供され、4ウェイ電力分割器によって全て駆動されるキャリア増幅器および3つのピーク増幅器を含む。理論的には、この増幅器は、効率的な電力の範囲を18dB伸長しえる。そのような効率的電力範囲の伸長は、平均電力に対するピーク比が13dBの高さにもなりえるワイドバンドCDMA(W−CDMA)またはOFDMのような変調方式を用いたディジタル通信システムにおいては非常に重要である。4ウェイ構成は、2ウェイ増幅器構成に比較して3dBmの全体的な電力増加も提供する。よって120ワットピーク増幅器は、それぞれの増幅器パス(キャリア増幅器および3つのピーク増幅器)が30ワットのトランジスタを利用する4ウェイ構成によって提供されえる。
【0011】
本発明の実施形態において、入力電力は分割され、不均等にキャリア増幅器および1つ以上のピーク増幅器に供給されることによって、増加された電力負荷効率(PAE)および直線性を実現できる。ある実施形態において、それぞれのピーク増幅器は、キャリア増幅器へ提供される入力信号レベルより高い入力信号レベルを提供される。ピーク増幅器は、均等電力分割を用いて達成されえるよりも、より効率的にRF信号によって持ち上げられえ、よってスレッショルド近くにトランジスタのトランスコンダクタンス特性を補償し、同じ効率についてのバックオフ能力を増し、または同じバックオフ点における直線性を改善しえる。4ウェイドハティ構成において、例えば、4つの異なるRF電力レベルがキャリア増幅器および3つのピーク増幅器に提供されえる。不均等分割は、バックオフ効率における向上されたパフォーマンスおよび直線性を提供する。他の実施形態においては、それぞれのピーク増幅器は、キャリア増幅器に提供される入力信号レベルより小さい入力信号レベルを提供される。
【0012】
本発明およびその目的および特徴は、図面と共に参照されれば以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から容易により明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】従来のドハティ増幅器回路の概略図である。
【図1B】従来のドハティ増幅器回路の概略図である。
【図2】本発明の実施形態による4ウェイ増幅器回路の概略図である。
【図3】図2による4ウェイ増幅器のより詳細な図である。
【図4】図2および3によるシミュレーションされた電力増幅器についての電力入力対電力出力および電力付加効率を示すグラフである。
【図5】均等入力信号分割の180ワットドハティ増幅器回路についての電力入力対電力出力およびPAEを示すグラフである。
【図6】不均等入力信号分割を有する180ワットドハティ増幅器回路についての電力入力対電力出力およびPAEを示すグラフである。
【図7】不均等電力分割を持つ3ウェイ90ワットドハティ増幅器回路の概略図である。
【図8】図7の増幅器についての電力入力対電力出力およびPAEを示すグラフである。
【図9】2ウェイ20ワット不均等分割ドハティ増幅器回路についての周波数が異なるときのドレイン効率対出力電力を示すグラフである。
【図10】均等および不均等分割の2ウェイドハティ増幅器回路についての効率曲線の比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、複数のピーク増幅器が追加され、Nウェイスプリッタがメイン増幅器およびN−1個のピーク増幅器のために提供されたドハティ電力増幅器の変形といえる。実際の増幅器の構成を容易にするために、入力におけるピーク増幅器への従来のドハティ増幅器の1/4波長トランス、およびキャリア増幅器の出力における従来のドハティ増幅器の1/4波長トランスが入れ替えられているが、パフォーマンスに影響はない。しかし、その場合、増幅器のためのインピーダンス整合ネットワークは、1/4波長トランスの再配置を計算に入れるよう調整されなければならない。キャリア増幅器入力においては一つの90°(1/4波長)位相長しか必要とされず、よって、マルチウェイ電力ディバイダを通した複数のピーク増幅器がより簡単に実現できる。
【0015】
図2は、本発明による電力増幅器のある実施形態の機能ブロック図であり、これは、キャリア増幅器20および3つのピーク増幅器21、22、23を含み、ピーク増幅器群は、90°トランス24、25、26を通して出力負荷28へ接続される。単一の90°トランス30は、4ウェイスプリッタ32をキャリア20に接続する。ピーク増幅器のそれぞれのDCバイアスを適切な値に設定することによって、追加されたピーク増幅器は、ドハティ機能が拡張されることを可能にする。第1のものに加えて追加されたピーク増幅器群のそれぞれについて、電力レンジにおいて6dBの対応する増加が見込め、この分だけピーク効率が維持される。Nウェイスプリッタの有限損失のために、効率のある程度の悪化が発生する。4ウェイ増幅器は、効率的な電力の範囲を18dBの理論値へ拡張する。上述のようにこのような拡張は、平均電力に対するピークの比が13dBの高さにもなる変調スキームを用いるディジタル通信システムにおいては非常に重要である。4ウェイ構成は、2ウェイの従来のドハティ回路に比べて3dBmの全体的電力増加を提供する。よって120ワットピークの増幅器は、4ウェイドハティ構成によって30ワットのトランジスタを利用するそれぞれのパス(キャリアおよび3つのピーク増幅器)で提供されえる。
【0016】
図3は、キャリア増幅器トランジスタ40および3つのピーク増幅器トランジスタ41〜43を含むCREE Microwave, Inc.からの30ワットLDMOSFETパワートランジスタを利用してシミュレーションされた図2の増幅器のより詳細な回路図である。入力信号の4ウェイ分配は、2ウェイスプリッタ44、46および48によって提供される。キャリア増幅器トランジスタ40は、スプリッタ46を入力整合回路52に接続する90°トランス50を含む。ゲートバイアス54、ドレインバイアス56、出力整合回路58、およびオフセットマイクロストリップ位相長60は、直列に増幅器を位相スプリッタ46および62における出力の間で接続し、トランス64および抵抗負荷65を含む。ピーク増幅器のそれぞれは、図2に示されるように増幅器回路を負荷に接続する90°トランス66を有する。高調波終端、例えばグラウンドに接続されたコイルおよびキャパシタは、出力整合回路58に含まれえて、出力高調波をトランジスタ出力に戻し、それによってピーク効率を増す。ピーク増幅器回路のそれぞれは、入力信号強度が増すにつれてピーク増幅器を順番に動作させるゲートバイアス回路を持つ類似の入力および出力回路を有する。
【0017】
図3の4ウェイ増幅器は、UMTSバンド(2110〜2170MHz)にわたって出力電力、電力付加効率(PAE)、および利得についてApplied Wave Research Microwave Office Simulatorを用いてシミュレーションされた。図4は、23〜43dBm(200ミリワットから20ワット)の範囲で広がる入力電力のレンジにわたって、150ワット(52dBm)に近い飽和出力で、PAEと共に入力RF電力対出力RF電力を示す。出力電力レベルが42dBm(10dBバックオフ)までバックオフするとき、PAEは46%である。従来の(すなわち非ドハティ)増幅器は、同じバックオフパワーについては10%未満のPAEを有する。2ウェイのドハティ増幅器回路は、対応するPAEとして23%を有しえる。ピーク増幅器のためのバイアス電圧の選択においては、増幅器のダイナミックレンジ全体にわたって利得の直線性を維持するために正しい点においてトランジスタが順番にオンにされることが重要である。
【0018】
表1は、従来の2ウェイドハティ増幅器、Iwamotoらによって記述された不均等電力スプリット付き2ウェイドハティ増幅器、本発明の実施形態による3ウェイ(2ピーク増幅器を持つキャリア増幅器)、および4ウェイスプリット(3ピーク増幅器を持つキャリア増幅器)の間の比較を示す。4ウェイ増幅器は、2ウェイドハティによるアプローチに比べて10dBバックオフにおいてPAEの2倍の改善を達成する。
【表1】
【0019】
本発明によるNウェイドハティ増幅器は、広い範囲の入力/出力電力レベルにわたってリニア電力増幅器の電力付加効率を大きく改善する。この増幅器は、高電力増幅器に特に適するが、これはそれぞれのトランジスタの電力要件がパワートランジスタの個数Nに反比例するからである。2ウェイドハティ構成においては、それぞれのトランジスタのピークパワー要件が総出力電力の半分にせざるを得なかった。そのような条件は、キャリアおよびピーク増幅器の非常に低い入力および出力インピーダンスにつながり、実際には現実化の困難を伴った。Nウェイドハティ増幅器回路においては、それぞれのトランジスタは、出力電力の1/Nのピーク電力要件を必要とし、よってNが2より大きいときは、より高い入力および出力インピーダンスにつながる。さらに増幅器中に依然と残る非効率から発生する熱は、より小さな個別のトランジスタ群を用いることによって、より大きな物理的領域に分散されるので、全体的な熱抵抗が下がる。
【0020】
本発明の他の実施形態において、入力電力は分割され、均等ではないようにキャリアおよび1つ以上のピーク増幅器群に与えられることによって、増加された電力付加効率(PAE)および直線性を実現する。
【0021】
従来のドハティ増幅器回路においては、均等な信号レベルがいわゆるキャリアおよびピーク増幅器に伝達される。ピーク増幅器のバイアス点は意図的にスレッショルドに近く設定されているので、キャリア増幅器と比べ、ピーク増幅器をより高い信号レベルで駆動することは有利でありえる。そのような不均等電力分割は、均等分割のバージョンよりもピーク増幅器がRF信号によってより効率良く「ポンプされる」ことを可能にし、よってトランジスタのトランスコンダクタンス特性をスレッショルドに近いように補償する。
【0022】
図5および6は、1つのキャリア増幅器および1つのピーク増幅器を有する180ワットドハティ増幅器回路についての電力入力および電力出力およびPAEを示すグラフである。図5において、均等分割を持つドハティ増幅器回路のパフォーマンスは、7dBバックオフにおけるPAEが34%であり、9dBバックオフにおけるPAEが27%であることを示す。しかし、−1.8dBがピーク増幅器に与えられ、−4.8dBがキャリア増幅器に与えられる不均等電力分割を用いることによって、7dBバックオフにおけるPAEの3%から37%の改善が実現される。不均等電力分割は、ピーク増幅器がスレッショルドにおいてバイアスされることを可能にし、よってPAE改善を実現する。
【0023】
ここで図7に概略が示された不均等電力分割を持つ3ウェイ90ワットドハティ増幅器回路を考える。電力分割器70を用いることによって、−4.8dBの入力電力がキャリア増幅器72に与えられ、一方、−1.8dBの入力電力が分割器74に与えられ、これが今度は入力信号の−3dBをピーク増幅器76に与え、入力信号の−3dBをピーク増幅器78に与える。増幅器のそれぞれは、異なる入力ゲートバイアスを有し、例えば、あるLDMOSトランジスタについては4.3ボルトがキャリア72に与えられえ、4.1ボルトおよび3.0ボルトがそれぞれピーク増幅器76および78に与えられえる。ピーク増幅器76および78の電圧バイアスレベルは、キャリア増幅器72が飽和し始めるときにピーク増幅器76がちょうどターンオンし始め、かつキャリア増幅器72およびピーク増幅器76を備える増幅器回路が飽和し始めるときに、すなわちピーク増幅器76がアクティブになった点からさらに約6dBのRF入力電力が回路に与えられた後に、ピーク増幅器78がちょうどターンオンし始めるように選ばれる。理想的には、ピーク増幅器76および78についての電圧バイアスレベルは、可能な最大範囲にわたって出力電力対入力電力の直線性および/または効率を最大化するよう選択される。
【0024】
図7の増幅器のシミュレーションされたパフォーマンスは、図8のグラフに示され、ここで入力電力が出力電力およびPAEに対してプロットされ、シミュレーションされたドハティ増幅器回路について、曲線80はPAEを表し、曲線82は電力出力を表す。90ワットの電力のとき7dBバックオフにおけるPAEは45%であり、90ワットの電力のとき9dBバックオフにおけるPAEは35%である。
【0025】
図9は、入力電力の−4.77dBをキャリア増幅器に供給し、入力電力の−1.77dBをピーク増幅器に供給するよう構成されるウィルキンソン電力分割器を有する2ウェイ20ワット不均等分割増幅器を用いたいくつかの周波数範囲にわたるドレイン効率対出力電力を示すグラフである。シミュレーションされた増幅器は、10.5 +/−0.75dBのゲイン、7dBより大きい入力リターンロス、6dBにおいて42%の効率、および10dBバックオフにおいて31.5%の効率を有する。2ワット平均における相互変調成分は−36dBc未満だった。図9において、ドレイン効率(パーセント)対電力出力(dBm)は2110MHz、2140MHzおよび2170MHzの周波数についてプロットされている。
【0026】
図10は、90で示される不均等分割および92で示される均等分割を持つ均等および不均等分割2ウェイドハティ増幅器回路についての効率曲線の比較を示すプロットである。ここでパフォーマンスは、アナレン(Anaren)電力分割器を用いた2ウェイ20ワット不均等分割についてである。増幅器ゲインは11.3 +/−0.2dBであり、11dBより大きい入力リターンロス、6dBバックオフにおいて40.5%の効率、および10dBバックオフにおいて30%の効率である。2ワット平均における相互変調成分は−32dBc未満だった。
【0027】
ここで効率は、3GPP標準によるワイドバンド符号分割マルチプルアクセス(W−CDMA)ディジタル波長の下で計測された。効率計測は、ドハティ増幅器回路のバックオフ効率および直線性の間の重要な関係を示す。比較は、2ワット平均電力において、単一のトランジスタ(13%効率)、均等電力分割を持つ2ウェイドハティ増幅器回路(22.3%効率)および不均等入力電力分割を持つ2ウェイドハティ増幅器回路(27.2%効率)についてなされた。よってドハティ増幅器回路は単一のトランジスタ増幅器よりも大きくされた効率を提供し、不均等電力分割によるドハティ増幅器回路は、与えられたバックオフ電力において向上された効率および直線性を提供できることがわかる。
【0028】
同じ設計配慮は、キャリアおよびピーク増幅器におけるRFトランジスタのサイズが異なる非対称ドハティ増幅器の場合にも用いられえる。全ての場合において、キャリアおよびピーク増幅器間の入力電力分割の最適化は、電力増幅器全体のゲイン、効率および直線性を改善できる。本発明は、シリコンLDMOSFETを用いる高電力、高効率および高直線性のRFおよびマイクロ波増幅器を参照して説明されてきたが、本発明は、シリコンバイポーラ、ガリウムヒ素MESFET、インジウムガリウムリンHBT、シリコンカーバイドMESFETおよび窒化ガリウムHEMTのような幅広い半導体技術を用いて実現されえる。
【0029】
本発明は、具体的な4ウェイ実施形態について説明されてきたが、記載は本発明を例示的に示し、本発明を限定するように意図されていない。添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者にはさまざまな改変および応用が理解されるだろう。
【0030】
なお、本願は、原出願2006年509882号の分割出願であり、
原出願2006年509882号の出願当初の特許請求の範囲には、以下の請求項が記載されていた。
〔請求項1〕
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された複数のピーク増幅器であって、前記ピーク増幅器のそれぞれは、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅された出力信号を順次供給するようバイアスされる、複数のピーク増幅器、
c)入力信号を分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器に与える信号分割器であって、前記キャリア増幅器への前記入力電力は、前記ピーク増幅器への前記入力電力とは異なる、信号分割器および
d)前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器からの増幅された出力信号群を受け取り結合する出力
を備えるRF電力増幅器回路。
〔請求項2〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器への入力電力は、それぞれのピーク増幅器への前記入力電力よりも大きいRF電力増幅器回路。
〔請求項3〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器への入力電力は、それぞれのピーク増幅器への前記入力電力よりも小さいRF電力増幅器回路。
〔請求項4〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、それぞれのピーク増幅器は、効率的な電力増幅を6dB伸長するRF電力増幅器回路。
〔請求項5〕
請求項4に記載のRF電力増幅器回路であって、前記複数のピーク増幅器は、3つのピーク増幅器を備え、前記伸長された効率的電力増幅はほぼ18dBであるRF電力増幅器回路。
〔請求項6〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記入力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項7〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項8〕
請求項7に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
〔請求項9〕
請求項8に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
〔請求項10〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項11〕
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
〔請求項12〕
請求項11に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
〔請求項13〕
請求項12に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
〔請求項14〕
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された少なくとも1つのピーク増幅器であって、前記少なくとも1つのピーク増幅器は、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅を始めるようバイアスされる、少なくとも1つのピーク増幅器、および
c)入力信号を不均等に分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記少なくとも1つのピーク増幅器に与える信号分割器
を備えるRF電力増幅器回路。
〔請求項15〕
請求項14に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器は、前記少なくとも1つのピーク増幅器が受け取るよりも小さい入力信号電力を受け取るRF電力増幅器回路。
〔請求項16〕
請求項14に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器は、前記少なくとも1つのピーク増幅器が受け取るよりも大きい入力信号電力を受け取るRF電力増幅器回路。
〔請求項17〕
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する第1トランジスタを備え、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された第2トランジスタを備える少なくとも1つのピーク増幅器であって、前記第2トランジスタは、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅を始めるようバイアスされる、少なくとも1つのピーク増幅器、および
c)入力信号を不均等に分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記少なくとも1つのピーク増幅器に与える信号分割器
を備えるRF電力増幅器回路。
〔請求項18〕
請求項17に記載のRF電力増幅器回路であって、前記キャリア増幅器は、前記少なくとも1つのピーク増幅器が受け取るよりも小さい入力信号電力を受け取るRF電力増幅器回路。
〔請求項19〕
請求項17に記載のRF電力増幅器回路であって、前記第1トランジスタは、前記第2トランジスタとサイズが異なるRF電力増幅器回路。
〔請求項20〕
請求項19に記載のRF電力増幅器回路であって、前記第1トランジスタは、前記第2トランジスタよりサイズが小さいRF電力増幅器回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された複数のピーク増幅器であって、前記ピーク増幅器のそれぞれは、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅された出力信号を順次供給するようバイアスされる、前記複数のピーク増幅器、
c)入力信号を分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器に与える信号分割器であって、前記キャリア増幅器への入力電力は、前記ピーク増幅器の全てへの総入力電力とは異なり、前記キャリア増幅器への入力電力は、各ピーク増幅器への入力電力よりも小さく、前記ピーク増幅器のそれぞれに与えられる前記入力信号が等しい、前記信号分割器および
d)前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器からの増幅された出力信号群を受け取り結合する出力
を備えるRF電力増幅器回路。
【請求項2】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、それぞれのピーク増幅器は、効率的な電力増幅を6dB伸長するRF電力増幅器回路。
【請求項3】
請求項2に記載のRF電力増幅器回路であって、前記複数のピーク増幅器は、3つのピーク増幅器を備え、前記伸長された効率的電力増幅はほぼ18dBであるRF電力増幅器回路。
【請求項4】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記入力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項5】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項6】
請求項5に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
【請求項7】
請求項6に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
【請求項8】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項9】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項10】
請求項9に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
【請求項11】
請求項10に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
【請求項12】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号スプリッタが、不均等分割を提供するように構成された第1の信号スプリッタと、前記第1の信号スプリッタの第1の出力を受けるように構成され且つ均等分割を提供する第2の信号スプリッタとを含み、前記ピーク増幅器が、第2の信号スプリッタの出力によって駆動され、且つ前記キャリア増幅器が、前記第1のスプリッタの第2の出力によって駆動されるRF電力増幅器回路。
【請求項1】
広い範囲の電力にわたってRF信号を増幅するRF電力増幅器回路であって、
a)電力の第1範囲にわたって前記RF信号を増幅する、前記広い範囲の電力の最大値より下の電力飽和レベルを持つキャリア増幅器、
b)前記キャリア増幅器に並列に接続された複数のピーク増幅器であって、前記ピーク増幅器のそれぞれは、前記キャリア増幅器が飽和に近づいた後、増幅された出力信号を順次供給するようバイアスされる、前記複数のピーク増幅器、
c)入力信号を分割し、前記分割された入力信号を前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器に与える信号分割器であって、前記キャリア増幅器への入力電力は、前記ピーク増幅器の全てへの総入力電力とは異なり、前記キャリア増幅器への入力電力は、各ピーク増幅器への入力電力よりも小さく、前記ピーク増幅器のそれぞれに与えられる前記入力信号が等しい、前記信号分割器および
d)前記キャリア増幅器および前記複数のピーク増幅器からの増幅された出力信号群を受け取り結合する出力
を備えるRF電力増幅器回路。
【請求項2】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、それぞれのピーク増幅器は、効率的な電力増幅を6dB伸長するRF電力増幅器回路。
【請求項3】
請求項2に記載のRF電力増幅器回路であって、前記複数のピーク増幅器は、3つのピーク増幅器を備え、前記伸長された効率的電力増幅はほぼ18dBであるRF電力増幅器回路。
【請求項4】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記入力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項5】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号分割器は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続された1/4波長トランスを含み、前記出力は、前記1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項6】
請求項5に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
【請求項7】
請求項6に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
【請求項8】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、1/4波長トランスを通してそれぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項9】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記出力は、1/4波長トランスを通して前記キャリア増幅器の前記出力に接続され、それぞれのピーク増幅器の前記出力に接続された抵抗負荷を含むRF電力増幅器回路。
【請求項10】
請求項9に記載のRF電力増幅器回路であって、前記抵抗負荷はR/2であり、それぞれの増幅器は、特性インピーダンスRの1/4波長伝送線路を通して前記負荷に接続されるRF電力増幅器回路。
【請求項11】
請求項10に記載のRF電力増幅器回路であって、飽和未満では前記キャリア増幅器は、見かけの負荷2Rに電流を供給することによって、電流が増幅器が飽和しているときの最大電力電流の半分であるようにするRF電力増幅器回路。
【請求項12】
請求項1に記載のRF電力増幅器回路であって、前記信号スプリッタが、不均等分割を提供するように構成された第1の信号スプリッタと、前記第1の信号スプリッタの第1の出力を受けるように構成され且つ均等分割を提供する第2の信号スプリッタとを含み、前記ピーク増幅器が、第2の信号スプリッタの出力によって駆動され、且つ前記キャリア増幅器が、前記第1のスプリッタの第2の出力によって駆動されるRF電力増幅器回路。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−75193(P2012−75193A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3819(P2012−3819)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2006−509882(P2006−509882)の分割
【原出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【分割の表示】特願2006−509882(P2006−509882)の分割
【原出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
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