説明

不燃性吸音フォーム

【課題】薄型、高性能でしかも優れた不燃性を有する不燃性吸音フォームを提案すること。
【解決手段】吸音フォームであって、フォームを構成するベースポリマー中に、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、ジフェニルアクリレート基を持つ化合物、及びベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる有機系高減衰剤が含まれており、前記フォームの一方表面に金属層及び又は無機繊維層からなる表皮層を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建造物における配管に適用される防音カバー、家電製品や車両の内張り、住宅の内装材など、幅広い用途に適用することができる不燃性吸音フォームに関する。詳細には、薄型であって、しかも優れた吸音性、遮音性及び不燃性を有する不燃性吸音フォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸音フォームとしては、ポリウレタンやポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの高分子よりなる発泡成形体が知られている。これらの吸音フォームにあっては、当該フォームに音が当たると、その空気振動がフォーム内部の気泡部分の空気に伝わる。そしてこの気泡部分で空気の粘性摩擦が生じ、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、吸音性が生じるという吸音メカニズムで吸音効果が導かれていた。
【0003】
ところがこれらの従来の吸音フォームにあっては、2000Hzを下回る周波数の音に対しては殆ど効果がないという技術的課題があった。
【0004】
例えば2000Hzを下回る周波数の音を完全に吸音しようとする場合には、吸音フォームの厚みを増やしてやればよいのであるが、10KHzの音の場合、3.4cmの厚さで完全な音の吸収がなされるのに対し、100Hzの場合は3.4mもの厚さが必要となり、現実的にはスペースやコストなどの問題で実施することはできなかった。
【0005】
そこで、吸音フォームの密度や発泡倍率、気泡率を変えて、当該フォームの吸音性のレベルを上げて高性能化する、つまり底上げをすることで、2000Hzを下回る周波数の音に対して吸音性が発揮されるようにする試みもなされてはいるが、2〜3割程度の改善がなされるだけであり、十分な吸音性を得ることはできなかった。
【0006】
本出願人は、このような技術的課題の解決のために鋭意検討を重ねた結果、薄型でしかも2000Hzを下回る周波数の音に対して十分な吸音性を有する吸音フォームを提案した。
【0007】
この吸音フォームは、フォームを構成するベースポリマー中に、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、及びジフェニルアクリレート基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる有機系高減衰剤を含ませたことを特徴とするものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3318593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人の提案による、薄型、高性能(2000Hzを下回る周波数の音に対して十分な吸音性を有する)吸音フォームは、自動車、内装材、建材、家電機器などに幅広く適用されるに至ったが、そこで、新たな技術的課題に取り組むことなった。その技術的課題とは「不燃化」である。
【0009】
住宅や劇場、集会場、病院、ホテル等の公共性の高い特殊建築物には建築基準法により内装制限が課せられている。その内装制限とは、公共性の高い特殊建築物の施工を行う場合、不燃材料または、準不燃材料として認定された断熱材を使用するか、断熱材表面を法的に許可を得た不燃性材料で覆わなければならないという制限である(建築基準法:第35条の2、施工令、第128条の3の2項から第129条まで)。
【0010】
このような法的制限は船舶や航空機の内装にも課せられている。また、特殊建築物に限らず、一般の住宅やビルの内装、自動車などの車両の内装においても、ユーザー側、メーカー側の双方から、不燃又は難燃を求める声が大きい。
【0011】
本出願人は、このように法的に規制され、または要求されている「不燃化」という課題に向けて検討し、その結果、本発明を完成させたのである。
【0012】
すなわち、本発明は、薄型、高性能でしかも優れた不燃性を有する不燃性吸音フォームを提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、吸音フォームであって、フォームを構成するベースポリマー中に、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、ジフェニルアクリレート基を持つ化合物、及びベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる有機系高減衰剤が含まれており、前記フォームの一方表面に金属層及び又は無機繊維層からなる表皮層を設けたことを特徴とする不燃性吸音フォームをその要旨とした。
【0014】
尚、本発明における「不燃性」の範疇には、建築基準法等に規定される「不燃性」の他に「難燃性」も含むものとする。
【発明の効果】
【0015】
上記のとおり、本発明は、吸音フォームであって、フォームを構成するベースポリマー中に、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、ジフェニルアクリレート基を持つ化合物、及びベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる有機系高減衰剤が含まれており、前記フォームの一方表面に金属層及び又は無機繊維層からなる表皮層を設けたことにより、薄型であって、優れた吸音性及び遮音性、特には2000Hz以下の低周波数域の吸音性に優れ、しかも十分な不燃性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の不燃性吸音フォームをさらに詳しく説明する。本発明の不燃性吸音フォームにおいて、フォームは、例えばポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルホルマール、エポキシ、フェノール、ユリア、及びシリコンの中から選ばれる高分子の1種若しくは2種以上の混合物、あるいはアクリルゴム(ACR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)の中から選ばれるゴム系高分子の1種若しくは2種以上の混合物をベースポリマーとして構成することができる。
【0017】
フォームは、上記ベースポリマーを従来公知の気泡発生手段、すなわち熱分解型発泡剤を用いた気泡発生手段、揮発性溶剤を用いた気泡発生手段、あるいは高圧下で不活性ガスを高分子中に吸収させ、常圧で発泡させる気泡発生手段等を用いて発泡成形することにより得られる。
【0018】
尚、フォームを構成するベースポリマーの選択に際しては、当該フォームの適用される用途や使用形態、取り扱い性、成形性、入手容易性、温度性能(耐熱性や耐寒性)、耐候性、価格なども考慮するのが望ましい。
【0019】
尚、フォームを構成するベースポリマーの発泡倍率としては任意であるが、好ましくは5〜50倍、より好ましくは10〜30倍である。というのは発泡倍率が5倍を下回る場合には、十分な吸音性を得ることができなくなり、発泡倍率が50倍を上回る場合には、機械的強度が低下するからである。また、フォームの気孔の数やかさ密度についても、これらの数値が大きくなればなるほど吸音性も大きくなることから、フォームを成形する場合には、前記発泡倍率と合わせて適宜決定するとよい。
【0020】
尚、フォームの気泡構造は、原則として連続気泡構造であるが、当該フォームの適用箇所、求められる吸音性や機械的強度の大小によっては、独立気泡型の場合もあり得る。
【0021】
フォームを構成するベースポリマーには有機系高減衰剤が含まれている。有機系高減衰剤とは、フォームを構成するベースポリマーの持つ双極子モーメントの量を大幅に増大させることにより、吸音性、特には2000Hz以下の低周波数域の吸音性を飛躍的に高めることができる添加剤である。
【0022】
このような作用効果を奏する有機系高減衰剤としては、例えばN、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N、N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等のベンゾチアジル基を含む化合物、ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)等のベンゾトリアゾール基を持つ化合物、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のジフェニルアクリレート基を含む化合物、あるいは2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)等のベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上を挙げることができる。
【0023】
上述の有機系高減衰剤の含有量としては、フォームを構成するベースポリマー100重量部に対し、1〜100重量部の割合で含まれているのが望ましい。というのは例えば有機系高減衰剤の含有量が1重量部を下回る場合、双極子モーメントの量を増大させるという有機系高減衰剤を添加したことによる十分な効果が得られず、有機系高減衰剤の含有量が100重量部を上回る場合には、フォームを構成するベースポリマーと有機系高減衰剤とが十分に相溶しなかったりすることがあるからである。
【0024】
尚、フォームを構成するベースポリマーに含ませる有機系高減衰剤の種類を決定するに当たり、有機系高減衰剤とフォームを構成するベースポリマーとの相溶し易さ、すなわちSP値を考慮し、その値の近いものを選択すると良い。
【0025】
尚、双極子モーメントの量は、前述のフォームを構成するベースポリマーや有機系高減衰剤の種類により様々に異なっている。また、同じ有機系高減衰剤を用いたとしても、音のエネルギーが伝わったときの温度により、その双極子モーメントの量は変わる。また、音のエネルギーの大小によっても、双極子モーメントの量は変わる。このため、当該フォームの適用時の温度や音のエネルギーの大きさなどを考慮して、そのとき最も大きな双極子モーメント量となるように、フォームを構成するベースポリマーや有機系高減衰剤を選択して用いるのが望ましい。
【0026】
尚、フォームには、当該フォームの吸音性を阻害しない範囲で、酸化防止剤、補強剤・強化剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、着色剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0027】
上記フォームの一方表面に金属層及び又は無機繊維層からなる表皮層が設けられているのである。金属層としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属からなるものが望ましい。具体的には、上記金属を打ち延ばして5〜30ミクロンの厚みに設けた金属箔という形態で用いることができる。この金属層を上記フォームの一方表面に設けることで、当該フォームに不燃性を付与することができる。尚、金属層には、金属箔のほか金属を圧延して薄板状に成形したものも用いることができる。
【0028】
上記金属層を構成する金属の中でもアルミニウムは、不燃性に優れることは勿論、軽量であり、しかも低価格で入手容易性に優れるという点で好ましい。その他、用途や使用状態によっては、ステンレスや銅なども使用できる。また、金属層は、1枚の金属箔や薄板からなるものに限らず、複数枚の金属箔や薄板を重ね合わせて層状にして使用することもできる。
【0029】
金属層の厚みとしては、十分な不燃性を確保しつつ、しかも取り扱い性を阻害しない範囲が望ましく、具体的には、20〜100ミクロンである。
【0030】
上記金属層表面(非接着側面)には黒色の塗料を塗布することもできる。金属層は酸化により黒色や赤色に変色することがある。このため、金属層表面(非接着側面)に黒色の塗料を塗布して見栄えが損なわれないようにするのである。黒色塗料は、ゴム系、プラスチック系、アスファルト系といった粘弾性高分子を主成分とする塗膜成分にカーボンなどからなる黒色染料を加えたものであり、金属層表面に塗布することで、金属層の酸化を防ぎ、層の強度を高める働きがある。また、塗料の塗膜成分は粘弾性高分子を主成分とするため、これを塗布した場合、金属層の熱伝導率が下がり、当該吸音フォームの不燃性向上に寄与することにもなる。
【0031】
無機繊維層は、ガラス繊維、ロックウール繊維、カーボン繊維、セラミック繊維の中から選ばれる1種若しくは2種以上からなる。繊維層の形態としては、織物、編物、不織布、紙などを挙げることができる。
【0032】
無機繊維層の繊維密度としては、10kg/m3以上が望ましい。10kg/m3よりも密度が小さくなると、十分な不燃性が得られなくなるからである。また、無機繊維層の厚さとしては、0.5mm以上が好ましい。無機繊維層の厚さが0.5mmを下回るの場合、十分な不燃性が得られなかったり、取り扱い性が悪くなったりする恐れがある。
【0033】
また、表皮層は、上記金属層と無機繊維層を併用した複合層という形態を採ることもできる。表皮層を金属層と無機繊維層を併用した複合層とする場合、無機繊維層を内側(フォーム側)とし金属層を外側とするのが望ましい。
【0034】
フォームと表皮層、表皮層を構成する金属層間、無機繊維層間、金属層と無機繊維層との間は接着剤を介して接着される。接着剤としては特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、あるいはポリビニルアセタール/フェノール、エポキシ/ナイロンの複合ポリマーの中から選ばれた1種若しくはそれらの混合物からなる接着成分からなるものを挙げることができる。
【0035】
尚、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」に記載された範囲で自由に変更して実施することができる。
【実施例】
【0036】
実施例1
厚さ20mmの吸音フォーム(ダイポルギー吸音フォーム 耐熱タイプ(80℃、24時間における熱収縮率が−1.14%のもの)、シーシーアイ株式会社製)の一方表面に厚さ50ミクロンのアルミニウム箔をアクリル系接着剤を介して接着し、不燃性吸音フォームを得た。
【0037】
実施例2
実施例1の吸音フォームに黒色染料を塗布した厚さ50ミクロンのアルミニウム箔を接着した以外は実施例1と同様にして不燃性吸音フォームを得た。
【0038】
実施例3
厚さ20mmの吸音フォーム(ダイポルギー吸音フォーム 標準タイプ(70℃、24時間における熱収縮率が−1.7%のもの)、シーシーアイ株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして不燃性吸音フォームを得た。
【0039】
実施例4
吸音フォーム(ダイポルギー吸音フォーム 標準タイプ(70℃、24時間における熱収縮率が−1.7%のもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして不燃性吸音フォームを得た。
【0040】
比較例
厚さ20mmの吸音フォーム(バソテクト、BASFジャパン株式会社製)に実施例2の黒色塗料を塗布した厚さ50ミクロンのアルミニウム箔を接着した不燃性吸音フォーム。
【0041】
上記実施例1〜4並びに比較例につき、吸音性を評価した。吸音性の評価は、管内垂直入射吸音率(JIS A 1405-1963)に準拠して行った。具体的には一端にスピーカ、他端に試料を取り付けた音響管(直径99mmおよび29mmの2種類)を用い、スピーカから規定の周波数の純音を発生させ、管内に生じた定在波の腹・節の音圧比から、音が垂直に入射した場合の試料の吸音率を求めるという方法で行った。その結果を図1に示す。
【0042】
図1から、実施例1〜4に係るフォームは、2000Hzを下回る周波数領域において、比較例のフォームを大きく上回る優れた吸音性(吸音率)を有していることが確認された。
【0043】
次に、上記実施例1〜4並びに比較例につき、遮音性を評価した。遮音性の評価は、残響室法吸音率試験(JIS A 1416)に準拠して行った。具体的には、隣接した2つの残響室(界壁の場合、第2・第3残響室、界床の場合、第2・第4残響室)の界壁(界床)開口部に試料を装着し、一方を音源室、他方を受音室として透過した音響エネルギーを測定し、界壁・界床の遮音性能を判定するという方法である。その結果を図2に示す。
【0044】
図2から、実施例1〜4に係るフォームは、2000Hzを下回る周波数領域において、比較例のフォームを上回る優れた遮音性を有していることが確認された。
【0045】
次に、上記実施例1〜4について不燃性を評価した。不燃性の評価は、加熱してから20分間、以下の3つの要件を満たせるかどうかを基準に行った。(1)燃焼しない。(2)有害な変形、溶解、亀裂、その他を生じない。(3)避難上有害な煙又はガスを発生させない。その結果を表1及び表2に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

表1及び表2から、実施例1〜4に係るフォームは、いずれも着火や着炎はなく、煙の発生もごく僅かであり、変形も無い若しくはあってもごく僅かであり、不燃性に優れていることが確認された。また、黒色塗料を塗布した実施例2及び実施例4のフォームは、未塗布の実施例1及び実施例3の各フォームに比べて、炭化量も少なく、変形もないことから、不燃性に優れていることが確認された。尚、上記実施例1〜4に係る各フォームは、社団法人日本鉄道車両機会技術協会から「不燃性」又は「難燃性」の認定を得ている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1〜4並びに比較例について、100〜5000Hzの各周波数における垂直入射吸音率を示したグラフ。
【図2】実施例1〜4並びに比較例について、100〜5000Hzの各周波数における透過損失(dB)を示したグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音フォームであって、
フォームを構成するベースポリマー中に、ベンゾチアジル基を持つ化合物、ベンゾトリアゾール基を持つ化合物、ジフェニルアクリレート基を持つ化合物、及びベンゾフェノン基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる有機系高減衰剤が含まれており、前記フォームの一方表面に金属層及び又は無機繊維層からなる表皮層を設けたことを特徴とする不燃性吸音フォーム。
【請求項2】
フォームを構成するベースポリマー100重量部に対し、有機系高減衰剤が1〜100重量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項3】
ベンゾチアジル基を持つ化合物が、N、N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、及びN、N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項4】
ベンゾトリアゾール基を持つ化合物が、ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″テトラハイドロフタリミデメチル)−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、及び2−{2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項5】
ジフェニルアクリレート基を持つ化合物が、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項6】
ベンゾフェノン基を持つ化合物が、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、及び2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項7】
金属層が、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅から選ばれる金属からなることを特徴とする請求項1記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項8】
金属層表面に黒色塗料が塗布されていることを特徴とする請求項1又は7記載の不燃性吸音フォーム。
【請求項9】
無機繊維層が、ガラス繊維、ロックウール繊維、カーボン繊維、セラミック繊維の中から選ばれる1種若しくは2種以上からなることを特徴とする請求項1記載の不燃吸音フォーム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−218797(P2006−218797A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35942(P2005−35942)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】