説明

主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスからの粒子の除去

【課題】主として化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガスからの粒子およびガス状の有害物質の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)を除去し、かつ1100℃までの温度および高い耐温度変化性にて十分な熱老化安定性を有する触媒活性粒子フィルターを提供する。
【解決手段】フィルター体および2つの互いに重ねて配置された層から成る触媒活性コーティングを含有し、第二の層が排ガスと直接接触しかつ第一の層を完全に覆い、かつ両層は酸化アルミニウムを含有し、第一の層において酸化アルミニウムはパラジウムにより触媒活性化されており、他方で第二の層はロジウムを含有し、かつその際、第二の層のみが付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する、触媒活性粒子フィルターの使用、その排ガス浄化装置の使用ならびに該フィルターを用いた排ガス浄化法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスから粒子を除去するのに殊に適している触媒活性粒子フィルター、主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスから、粒子、一酸化炭素、炭化水素および窒素酸化物を除去するための方法およびそれに適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスは、三元触媒を用いた従来の方法において浄化される。該三元触媒は、3つの主要なガス状のエンジンの有害物質、すなわち炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物を同時に無害成分に変換することができる。ガス状の有害物質の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)以外にガソリンエンジンの排ガスは、燃料の不十分な燃焼から結果として生じかつ本質的にすすから成るきわめて微細な粒子(PM)も含む。
【0003】
ディーゼルエンジンの粒子排出と異なり、主として化学量論的に運転されるガソリンエンジンの排ガス中の粒子は非常に小さく、つまり、該粒子は1μm未満の平均粒度を有する。典型的な粒度は10〜100nmの範囲にある。肺を通るきわめて小さい粒子("粒子状物質")に起因する健康を損ねる可能性が潜んでいることに基づき、すでに2010年から欧州でEU5排ガス規準(EU-5-Abgasnorm)が導入されることに伴って、許容された粒子排出の制限がガソリンエンジンに関しても与えられる。粒子質量を把握する方法の粒子測定法から粒子カウント法への転換によって、その次の欧州排ガス規準EU6に関して、粒子質量基準値からより臨界的な粒子カウント基準値(Partikelzahlgrenzwert)への転換が考慮に入れられなければならない。それに従って、化学量論的に運転される内燃機関エンジンに関する将来的な排ガス浄化構想は、粒子の除去に効果的に作用する装置も含んでいなければならない。
【0004】
ディーゼルエンジンの排ガスから粒子を除去するための方法および装置は良く知られている。これは触媒活性ディーゼル粒子フィルターを含有し、その際、ディーゼル排ガス浄化法のための粒子フィルター上の触媒コーティングは、たいてい酸化触媒コーティングであり、該コーティングはなかでも、フィルター上で分離されるべきすす粒子の燃焼を容易にし、ひいてはすす着火温度(Russzuendtemperatur)を下げるのに用いられる。すす着火温度を下げることによって、フィルターに特有の"バランスポイント温度"(BPT)が下げられる。"バランスポイント温度"(BPT)とは、単位時間当たりにフィルター内に集積された粒子の量が、単位時間当たりに燃焼除去された粒子の量に相当する温度のことである。該BPTは、触媒活性フィルターに特有の値であり、それはエンジンの選択された運転点もしくはフィルターの入口での排ガス温度、排ガス質量流量および排ガスの組成に依存する。
【0005】
WO00/29726は、触媒活性フィルターが含有されている、ディーゼル排ガスを浄化するための装置を記載する。該フィルターは、第一の白金族金属および第一のセリウム化合物を含有する第一の触媒を包含する。それ以外に該装置は、第二のセリウム化合物を含む第二の触媒を含有する。2つの触媒がフィルター基材上に配置されている実施態様が記載されている。該系は、第二の触媒中に含有されたセリウム化合物により、すす粒子に付着するディーゼル粒子物質中の揮発性有機成分("volatile organic fraction"VOF)の部分が酸化によって除去されうることを特徴とする。従って、とりわけ有利な実施態様において、第二の触媒は触媒活性ディーゼル粒子フィルターの前に配置される。
【0006】
本出願人のWO02/26379は、粒子フィルターの使用下でリーンバーンエンジンの排ガス中の一酸化炭素、炭化水素およびすす粒子を減少させるための方法を記載し、その際、すす粒子は、すす着火温度Tを有し、かつ粒子フィルターは時々すす着火温度およびすす粒子の燃焼を介して該粒子フィルターの温度を上げることによって再生される。使用される粒子フィルターには触媒活性コーティングが備え付けられており、該コーティングは、すすの着火温度を減少させるために、少なくとも1つの酸素吸蔵性成分と、白金族金属、白金、パラジウムおよびロジウムの少なくとも1つを含有する。粒子フィルターの有利な一実施態様において、該コーティングは一酸化炭素および炭化水素の酸化に用いられ、かつ酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライトまたはそれらの混合物から成る群から選択された担体材料上に担持された白金族金属の白金、パラジウムおよびロジウムの少なくとも1つを含有する化合物の第二の群を含む。2つの物質群は、有利には2つに分けられた、互いに重なり合う層に配置され、その際、酸化触媒活性コーティングは、フィルター基材の流入路(Anstroemkanaele)内に直接施与されており、かつすす着火温度を減少させるコーティングがその上に配置されているため、浄化されるべき排ガスはまず、すす着火温度を下げるコーティングと接触する。
【0007】
すす着火温度を下げることは、ディーゼル排ガスを浄化するための粒子フィルターの使用に際して特別な意味を持っている。それというのも、ディーゼルエンジンにおける"コールド"燃焼プロフィールにより、後方配置された排ガス装置中で400℃より高い温度を発生させることはしばしば困難だからである。それに応じて、酸化触媒活性コーティングおよび/またはすす着火温度を下げるコーティングを有する粒子フィルターを対象に持つ、さらに他の多数の特許出願が存在する。例えばUS2006/0057046A1のようないくつかの出願の中には、それに加えて、フィルター基材の排ガス背圧の問題点が考慮される。この際、触媒コーティングの特別な空間的配置によって、フィルター壁を通る出来る限り均一な流量が構成部材(Bauteil)の全体の長さにわたって発生される。
【0008】
主として化学量論的に運転されるガソリンエンジンの排ガスからの粒子が除去される場合、排ガス温度、排ガス組成および粒子の性質の点で本質的な違いが存在する。これらは適した排ガス浄化構想において示されなければならない。
【0009】
すでに記載したように、ガソリンエンジンの排ガス中の粒子は明らかにより小さい平均粒度を有する。これにより導き出されるのは、粒子排出の排ガスを可能な限り完全に浄化するのに、従来技術において公知のフィルター体全てが適しているとうわけではなく、微細粒子に関しても貫通しない基材が使用されなければならないということである。それに応じて、US2006/0133969A1は、酸化触媒および窒素酸化物吸着剤を包含するウォッシュコート組成物が備え付けられている、触媒されたセラミック製ウォールフロー型フィルター(Wandflussfiltersubstrate)を含有する内燃機関エンジンのための排ガス系を記載し、その際、未コーティングのセラミック製ウォールフロー型フィルターは、>40%の多孔率および8〜25μmの平均細孔度(Porengroesse)を有し、かつ該ウォッシュコート組成物は8μm以下のD50を有する。該ウォッシュコート組成物は、酸化触媒活性成分として白金および/またはパラジウムを、かつ窒素酸化物吸着剤としてアルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属またはそれらの混合物の群から選択された金属を包含する。一実施態様において、フィルターの出発路にロジウムが施与されている。US2006/0133969の中で記載される触媒活性化されたフィルターは、"NO−粒子−トラップ"("NO粒子トラップ"NPT)であり、それは殊に、主としてリーンバーン運転されるディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンの排ガスからの粒子および窒素酸化物の除去に適しており、かつリッチおよびリーン排ガスからのシフトによりサイクル運転されうる。
【0010】
主として化学量論的空気/燃料混合物により運転されるガソリンエンジンは、たいていリーンバーンエンジンよりずっと高い排ガス温度を有する。従って、主として化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガスの浄化に使用される触媒コーティングされた粒子フィルターは、なかでも高い熱老化安定性(thermische Alterungsstabilitaet)によって際立たなければならない。殊に、このような粒子トラップは、十分な触媒活性にて、より長い期間および激しい温度変化を通しても1100℃までの温度に耐えなければならない。従来技術から公知の触媒活性化されたディーゼル粒子フィルターは、一般にこれらの要求を満たさない。
【0011】
本出願人のEP1300193A1は、内燃機関エンジンの排ガス中の有害物質の触媒反応法を記載し、その際、排ガスは、場合により両側が触媒コーティングされた、開孔構造を有する多孔質の担体壁を通り抜ける。その際、担体自体は触媒活性材料から成っていてよい。該方法の特別な一実施態様は、化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガスの浄化に適している。その際、基材には、詳細に述べられなかった三元触媒コーティングが備え付けられており、該触媒コーティングは、同時に窒素酸化物、炭化水素および一酸化炭素を変換しうる。
【特許文献1】WO00/29726
【特許文献2】WO02/26379
【特許文献3】US2006/0057046A1
【特許文献4】US2006/0133969A1
【特許文献5】EP1300193A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、主として化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガスからの粒子およびガス状の有害物質の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)を除去し、かつ1100℃までの温度および高い耐温度変化性にて十分な熱老化安定性を有する触媒活性粒子フィルターを提供することである。さらに本発明の課題は、粒子、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)を除去するための装置および方法を提供することであり、それにより主として化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガスは、将来的な法律上の排ガス規準が守られうる形で浄化される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、フィルター体および触媒活性コーティングを含有する触媒活性粒子フィルターの使用によって解決され、その際、該触媒活性コーティングは2つの重ねて配置された層から成る。該層は、第二の層が、流入する排ガスと直接接触し、かつ第一の層を排ガス側で完全に覆うように配置されている。両層は酸化アルミニウムを含有し、その際、酸化アルミニウムは第一の層においてはパラジウムにより触媒活性化されており、その一方で、第二の層は触媒活性成分としてロジウムを含有し、かつその際、第二の層のみが付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する。そのうえ課題は、相応する触媒活性粒子フィルターがエンジンに近接した位置に配置されている(請求項2)排ガス浄化装置の使用によって、ならびに主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスの浄化法において、排ガスを、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)および粒子の除去のために、相応する粒子フィルターに送る(請求項7)ことを特徴とする排ガスの浄化法によって解決される。
【0014】
リーンバーンエンジンの排ガスおよび主として化学量論的に運転されるガソリンエンジンとの間の本質的な違いは、排ガスの酸素含有量にある。リーンバーンエンジンの排ガス中には15体積%までの酸素が含有されうる一方で、主として化学量論的に運転されるガソリンエンジンの排ガスは、一般にわずかな酸素含有量によって際立つ。その結果、フィルター基材上ですす着火温度を下げるコーティングの使用は実質的に効果を持たない。それというのも排ガスは、すす燃焼除去のための酸化剤を、下げられた温度では十分に含有しないからである。他方で、主として化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガス中ではわずかなすす量しか存在しないので、使用されるフィルターは、規則的に存在する約0.7体積%の酸素量により、すす着火温度を上回る温度で可能な限り多量のすすが持続的に燃焼除去されうるように形作られるべきである。従って、1つの層または両層が付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有することが有利である。殊にわずかなリッチ運転状態でまたはフィルターがすすで負荷された状態で良好なHC転化率およびCO転化率を達成するために、第二の層のみが付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有することが重要である。
【0015】
触媒活性貴金属のための担体触媒として、活性酸化アルミニウムおよび場合により酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物が使用される。有利には、酸化アルミニウムの全質量に対して1〜10質量%の酸化ランタンにより安定化されている活性酸化アルミニウムが使用される。大部分がドープされたこれらの酸化アルミニウムは、高い温度で、純粋な酸化アルミニウムより明らかに高い表面安定性を有する。
【0016】
第一の層の活性酸化アルミニウム上にはパラジウムが施与される。US6,103,660の中で記載された方法によれば、パラジウムは、有利には硝酸パラジウムから出発して塩基としての水酸化バリウムまたは水酸化ストロンチウムの使用下で分離される。そのようにして得られた懸濁液により、フィルター体は直ちにコーティングされうる。施与された層は、引き続き乾燥され、かつ場合によりか焼される。その際、懸濁液中のパラジウムの量もしくはコーティング懸濁液の量は、第一の層におけるパラジウムの濃度が、乾燥およびか焼後に粒子フィルターの体積に対して0.1〜10g/L、有利には0.5〜8g/Lとなるように選択される。
【0017】
硝酸パラジウムを沈殿させるために塩基として水酸化バリウムまたは水酸化ストロンチウムを使用することで、か焼後、第一の層における活性酸化アルミニウムの表面上で分離される酸化バリウムまたは酸化ストロンチウムがとどまることになる。
【0018】
記載された手法の代替案として、貴金属を触媒の任意の固体成分上で別個に分離させてもよい。その後に初めて、次いで、例えばパラジウムまたはロジウムにより活性化された酸化アルミニウムまたはロジウムおよび/またはパラジウムにより活性化されたセリウム/ジルコニウム混合酸化物が、製造されるべき層に必要な比率で水に懸濁され、かつフィルター体に施与される。そのような手法により、触媒活性貴金属の濃度を一方では酸化アルミニウム上で、かつ他方ではセリウム/ジルコニウム混合酸化物上で目的に合わせて調整することが可能となり、このことは殊に、第二のロジウム含有層の老化安定性のために有利でありうる。有利には、酸化アルミニウムおよびセリウム/ジルコニウム混合酸化物上で貴金属を別個に分離するためにEP0957064の中で記載された方法が用いられる。
【0019】
第二の層における貴金属の導入の仕方とは無関係に、コーティング懸濁液中のロジウム量およびコーティング懸濁液自体の量は、完成した粒子フィルターの第二の層におけるロジウムの濃度が、粒子フィルターの体積に対して0.01〜1g/L、有利には0.03〜0.5g/Lとなるように選択されるべきである。
【0020】
実際に使用されるべき貴金属濃度は、まずもって、ガス状の有害物質の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)に関して所望された転化率によって決定される。しかしながら該濃度は、結果として生じる触媒活性化された粒子フィルターのBPTにも影響を及ぼす。活性および老化安定性の特別な要求の下で、触媒活性フィルターの特殊な実施態様は1つの層においてまたは両層においてパラジウムもしくはロジウムに加えて白金を含有してよい。有利には、次いで第一の層の活性酸化アルミニウムおよび/または第二の層の活性酸化アルミニウムおよび/または酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物が付加的に白金により触媒活性化される。その際、白金の濃度は、該濃度が第一の層においてかつ/または第二の層において、そのつど粒子フィルターの体積に対してそれぞれ0.01〜10g/Lとなるように選択される。
【0021】
殊に温度安定性および耐温度変化性に鑑みて、触媒活性フィルターの寿命をさらに改善するために、コーティング中への酸化助剤の添加が有利でありうる。そうして本発明に従う粒子フィルターの有利な実施態様は、第一の層において付加的に酸化ランタンまたは酸化ネオジムを、かつ/または第二の層において付加的に酸化ジルコニウムを含有する。酸化ジルコニウムは、有利には該酸化ジルコニウムの全質量に対して1〜30質量%の希土類金属酸化物により安定化されており、その際、とりわけ良く適した実施態様においては、安定化された酸化ジルコニウムの全質量に対して15質量%以下の酸化セリウムが含有されている。
【0022】
本発明に従う粒子フィルターは、粒子の他に排ガスからのガス状の有害物質の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)を除去しうる。最大0.7体積%のOを有する主として化学量論的に運転される内燃機関エンジンの排ガスは、わずかな量の酸素しか含有しないので、適した酸素吸蔵材料の選択が意味を持つ。一方では効果のあるすす燃焼除去と、他方では可能な限り高い三元活性との間の最適なバランスを達成するために、第一のパラジウム含有層は酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含んでいなくてもよい。第二のロジウム含有層は、有利には酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有し、ひいてはガス状の有害物質のCO、HCおよびNOの転化に必要とされる触媒活性化された粒子フィルターの三元触媒活性を保証する。その際、有利には、第二の層において、混合酸化物の全質量に対して1〜15質量%の、とりわけ有利には5〜10質量%の金属酸化物により安定化されているセリウム/ジルコニウム混合酸化物が使用される。有利には、鉄、マンガン、チタン、ケイ素、スズ、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウムまたはそれらの混合物から成る群から選択された金属の酸化物である。良く適しているのは、1〜0.1、殊に0.8〜0.2の酸化セリウム対酸化ジルコニウムの質量比を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物である。これらの材料の比表面積は、有利には50〜100m/gの範囲にある。
【0023】
主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガス中に含有された粒子は、一般にディーゼルエンジンの排ガス中に含有された粒子より小さい平均粒度を有する。これはフィルター体の選択に際して考慮されなければならない。適しているのは、セラミック製ウォールフロー型フィルター基材、焼結金属フィルター体およびセラミック製および金属製のフォーム構造体の群から選択されたフィルター体である。殊にフォーム構造体および焼結金属フィルター体の場合、適切なフィルター作用を得るため細孔度が大きすぎないように選択されなければならない。有利なのは、セラミック製ウォールフロー型フィルター基材の群から選択されたフィルター体である。殊に、その壁が40〜80%の、有利には45〜65%の多孔率を有する開孔構造および、9〜30マイクロメートルの平均細孔径(mittlerer Porendurchmesser)を有するセラミック製ウォールフロー型フィルター基材が適している。とりわけ有利なのは、9〜22μmの、およびとりわけ微細な粒子の場合、9〜18μmの平均細孔径を有するウォールフロー型フィルター基材である。
【0024】
本発明に従う触媒活性粒子フィルターのフィルター体には、2つの触媒活性層が施与されている。層の配置は任意にされるものではなく、可能な限りわずかな排ガス背圧の発生にて、老化安定性の高い要求を構成部材によって満たしうるように選択されなければならない。以下の点は、コーティング配置の選択に際してとりわけ考慮に入れられなければならない:
・触媒コーティングされたフィルターは、1100℃までの温度でのより長い熱負荷の後にも、排ガス中で最大0.7体積%の酸素含有率にて良好なCO転化率、HC転化率およびNO転化率を示すべきである。熱老化後の触媒活性粒子フィルターの不可欠の高い三元活性は、触媒活性成分のパラジウムおよびロジウムが空間的に分離される場合に達成されうる。両貴金属の空間的な近接は、より高い温度の場合に、より少ない触媒活性合金の形成につながりうる。
・構成部材によって発生され、かつ駆動に利用されうるエンジン出力の損失につながる排ガス背圧を最小にするために、該層は、それらが可能な限りわずかな流抵抗で排ガスに対置するように配置されていなければならない。それにも関わらず、排ガスと触媒活性成分との接触時間は、高い空間速度の場合にも十分な空時収量を保証するのに十分な長さでなければならない。
【0025】
本発明に従う触媒活性粒子フィルターは、第一の層において触媒活性成分としてパラジウムを含有し、第二の触媒活性層はロジウムを含有する。
【0026】
本発明に従う粒子フィルターの一実施態様において、フィルター体は、第一のパラジウム含有層のための担体として用いられる。第一の層を備え付けられたフィルター体は、次いで第二のロジウム含有層のための担体として用いられ、該層は結局のところ、流入する排ガスと直接接触しかつ同時に第一の層を完全に覆うように配置されている。図1は、概略的に相応する層配置を示し、その際、(1)はパラジウムを含有する第一の層を、(2)はロジウムを含有する第二の層を、かつ(3)はフィルター体の場合により気密性の壁を意味する。
【0027】
セラミック製ウォールフロー型フィルター基材がフィルター体として用いられる時、本発明の有利な実施態様においてコーティングは完全にまたは少なくとも部分的にウォールフロー型フィルター基材の多孔質の壁に配置されている。そのような措置は、結果として生じる本発明に従う構成部材によって発生された排ガス背圧を最小にするのに寄与する。
【0028】
図2は、本発明に従う粒子フィルターの有利な一実施態様を示し、その中で第二のロジウム含有層(2)は構成部材の全体の長さにわたってセラミック製ウォールフロー型フィルター基材の壁の細孔に導入されており、かつ均一に壁に分布されている。第一のパラジウム含有層(1)は、流出路(Abstroemkanaele)(5)の壁面に施与されている。ウォールフロー型フィルター基材において、流入路(4)は流出側が、流出路(5)は流入側が目封止されているので(3b)、排ガスは多孔質の壁を通って横断するようにし向けられる。矢印は排ガスの流行程を示す。
【0029】
図3は、本発明に従う粒子フィルターの有利な他の一実施態様を示し、その中で第一のパラジウム含有層(1)は構成部材の全体の長さにわたってセラミック製ウォールフロー型フィルター基材の壁の細孔(3a)に導入されており、かつ均一に壁に分布されている。第二のロジウム含有層は、流入路(4)の壁面に施与されている。
【0030】
構成部材の最小にされた排ガス背圧よりも熱老化後の高い三元活性に優先を置く適用においては、それ以外に、第一のパラジウム含有層(1)が流出路(5)の壁(3a)面に施与されており、かつ第二のロジウム含有層(2)が流入路(4)の壁(3a)面に施与されている、本発明に従う粒子フィルターの実施態様が良く適している。そのような実施態様は概略的に図4の中で表示されている。
【0031】
本発明に従う粒子フィルターは、記載された実施態様において、主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスからの粒子、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)の除去ために殊に用いられうる。そのために該フィルターは、車両の相応する排ガス浄化装置中に取り付けられなければならない。可能な限り効果のある持続的なすす燃焼除去を保証するために、本発明に従う触媒活性粒子フィルターはエンジンに近接した位置に配置される。
【0032】
排ガス装置の実施態様および車両の浄化されるべきローエミッションに応じて、本発明に従う粒子フィルターに加えて、セラミック製または金属製のフロー型基材(Durchflusssubstrat)および触媒活性コーティングを含有する三元触媒を使用することが有利でありうる。付加的な三元触媒は、本発明に従う粒子フィルターに対し流入側または流出側に配置されていてよい。
【0033】
三元触媒が本発明に従う粒子フィルターに対し流入側に配置されている時は、該触媒が三元触媒の体積に対して100g/L未満の酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する場合に有利である。本発明に従う粒子フィルターに対し流入側で酸素吸蔵性材料の含有量が高すぎると、フィルター上での粒子燃焼除去のために必要とされる酸化剤(酸素)の元々すでに制限された量が望ましくない形で減少する。従って、そのような配置に際して、粒子フィルターに対し流入側に配置された三元触媒が、該三元触媒の体積に対して75g/L未満の酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を0.35〜0,1の、とりわけ有利には0.25〜0.15の酸化セリウム対酸化ジルコニウムの比により含有する場合、排ガス装置のとりわけ有利な実施態様が必要である。
【0034】
付加的な三元触媒が本発明に従う粒子フィルターに対し流出側に配置されている時、殊に、例えば車両の加速段階中に存在しうるわずかなリッチ排ガス中で良好なCO変換率およびHC変換率を保証するために、酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物の含有量を高めてよい。そのような配置において、付加的な三元触媒は、有利には該三元触媒の体積に対して100g/Lを上回る酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する。とりわけ有利には、そのような配置において、三元触媒の体積に対して100g/Lを上回る、0.4〜1の酸化セリウム/酸化ジルコニウムの比率を有する酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する三元触媒が使用される。極めて有利には、酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物は、本発明に従う粒子フィルターに対し流出側に配置された三元触媒中で0.5〜0.9の酸化セリウム/酸化ジルコニウムの比率を有する。
【0035】
本発明に従う排ガス装置中で本発明に従う粒子フィルターに加えて配置されている三元触媒中のOSC材料が、リッチ排ガスによる一時的な負荷に際して良好なCO変換率およびHC変換率を保証しうるのと同じように、付加的な三元触媒が、そのうえアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物および希土類金属酸化物またはそれらの組み合わせ物の群から選択された窒素酸化物吸蔵材料を含有する場合、役に立ちうる。そのような補完は、リーン排ガスによる排ガス装置の一時的な負荷に際して不所望の窒素酸化物エミッションが発生しないことを保証する。
【0036】
主として化学量論的空気/燃料混合により運転される内燃機関エンジンの排ガスの浄化のために、排ガスは、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)および粒子の除去のために本発明に従う触媒活性粒子フィルターに送られる。ガス状の有害ガスは、フィルター体上に施与されたコーティングの触媒作用下で無害の排ガス成分(CO、N、HO)に変換される。流入する排ガス中に含有された粒子は粒子フィルター内に集められ、かつ十分な排ガス温度および相応する酸化剤の供給にてフィルターコーティング上で直接燃焼される。粒子フィルター内に運び込まれる粒子材料が、持続的に燃焼除去される粒子の量より大きい時、粒子のアグロメレーションが増加するにつれてフィルター内で排ガス背圧が上昇することになる。排ガス背圧がエンジン制御において規定された臨界的な値を超える時、粒子フィルター再生のための付加的な措置がとられなければならない。
【0037】
粒子フィルターの再生は、酸素富化排ガス(sauerstoffreicher Abgas)を400〜700℃の排ガス温度で導入することによって行う。主として化学量論的空気/燃料混合物により運転されるエンジンの場合、酸素富化排ガスの発生は燃料カットオフの方法において行われうる。その際、シリンダー内への燃料供給が、完全に開いたスロットルバルブにてインテークマニホールド内で一時的に中断される。そのような燃料カットオフは、燃料を節約する最新の車両にて、例えば走行動作時にいわゆる"エンジンブレーキ"の利用によって減速が行われる場合に常に生ずる。それに加えて、本発明に従う粒子フィルターの再生に必要とされる酸素富化排ガスの発生は、二次空気を排ガスレーン(Abgasstrang)に送り込むことによって行われうる。そのような処理実施態様は、元々二次空気ポンプを携える全ての車両に提供される。
【0038】
本発明は、いくつかの図および実施例を基にして詳細に説明される。
【0039】
図1〜4は、本発明に従う触媒活性粒子フィルター内での種々のコーティング配置を示す。その中で、
(1)は第一のパラジウム含有層;
(2)は第二のロジウム含有層;
(3)はフィルター体の壁;
(3a)はウォールフロー型フィルター基材の多孔質の壁;
(3b)はウォールフロー型フィルター基材における流路の目封止端部;
(4)は流入路;
(5)は流出路を意味する。
【0040】
図5〜7は、本発明に従う粒子フィルターおよび従来技術による粒子フィルターを用いて実施した種々の試験の結果を示す。図は以下のものを示す:
図5: 新たに再生されたかつすす不含の状態における従来技術による粒子フィルター(比較例からのVGPF(たて縞))と比較した本発明に従う粒子フィルターGPF(黒ぬり)のλ=1の時のHC転化率、CO転化率およびNO転化率
図6: すす不含の状態における熱水老化(Hydrothermalalterung)後の従来技術による粒子フィルター(比較例からのVGPF(たて縞))と比較した本発明に従う粒子フィルターGPF(黒ぬり)のX=1の時のHC転化率、CO転化率およびNO転化率
図7: 熱水老化および触媒活性粒子フィルターの体積に対して約5g/Lのすすの施与後の従来技術による粒子フィルター(比較例からのVGPF(たて縞))と比較した本発明に従う粒子フィルターGPF(黒ぬり)のX=1の時のHC転化率、CO転化率およびNO転化率
実施例および比較例の中で記載される粒子フィルターの製造および試験:
実施例および比較例の中で記載される触媒活性粒子フィルターの製造のために、楕円形の断面(端面直径(Stirnflaechendurchmesser):10.21cm×19.84cm)および17.4cmの長さを有するチタン酸アルミニウム(型:Corning Duratrap AT)からのウォールフロー型フィルター基材をコーティングした。該ウォールフロー型フィルター基材は、0.33mmのセル壁厚さで、1平方センチメートル当たり46.5個のセルのセル密度を有していた。それはフィルター体の体積に対して52%の多孔率および3.5kg/Lの密度を有していた。
【0041】
比較例において、流入路にコーティング懸濁液を施与した。実施例において、2つの異なるコーティング懸濁液を相次いで施与し、その際、第一のコーティング懸濁液を流入路に配置した。第二のコーティングも同様に流入路内で、すなわち第一の層を覆うように配置した。各コーティング懸濁液の施与後、部材を乾燥し、かつ500℃で4時間のあいだか焼した。
【0042】
そのようにして得られた部材から、触媒による特徴確認のために、そのつど2.54cmの直径および17.4cmの長さを有する2つのシリンダー状のコア(Bohrkerne)を取り出した。
【0043】
そのつどそのようにして得られたテストピースの一つをまず、新たに再生した、すす不含の状態でモデルガス装置を用いて当業者によく知られた通常の試験方法により"λスイープテスト(lambda-Sweeptest)"に供した。
【0044】
そのつどとどまるテストピースを、触媒特性の特徴確認の前に、窒素中で酸素10体積%および水蒸気10体積%を含有する雰囲気下で16時間のあいだにわたり925℃の温度にさらした。そのようにして老化させた部材も同様に"λスイープテスト"に供した。
【0045】
引き続き、これらの部材を室温で目的に合わせてすすで負荷した。そのために、商業的に入手されうるすす(製造元:degussa)を、テストピースの体積に対し5g/Lの量のすすが生じるまで、空気の導入によってすすを渦流させかつフィルターを通して吹き込んだ。"λスイープテスト"における測定を再び行った。
【0046】
いずれの場合も、"λスイープテスト"において以下のパラメータを設定した:
【表1】

【0047】
比較例:
水酸化バリウムを水に溶解した後、セリウム/ジルコニウム混合酸化物の全量に対して20質量%の酸化セリウム含有率を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物を懸濁させ、かつ常時攪拌下で硝酸ロジウム溶液の添加によってロジウムにより活性化した。その後、酸化ランタン3質量%により安定化された酸化アルミニウム(比表面積:140g/m)およびセリウム/ジルコニウム混合酸化物の全量に対して40質量%の酸化セリウム含有率を有するさらに他のセリウム/ジルコニウム混合酸化物を懸濁のために加えた。それに続いて、常時攪拌下で硝酸パラジウム溶液の添加を行った。結果として生じるコーティング懸濁液を、ウォールフロー型フィルター基材のコーティングのために直接使用した。該懸濁液をフィルター体の流入路にのみ施与した。コーティングしたフィルターを乾燥し、かつか焼した。完成した触媒活性粒子フィルターは、流入路内で以下の組成物を有するコーティングを含有していた:
14g/l 酸化セリウム20質量%を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物
28g/l ランタンにより安定化された酸化アルミニウム
14g/l 酸化セリウム40質量%を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物
2g/l 酸化バリウム
1.236g/l パラジウム(全ての成分に対して)
0.176g/l ロジウム(CeO20質量%を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物に対して)。
【0048】
そのようにして得られた触媒活性粒子フィルターVGPFの全体の貴金属負荷量は、7:1のパラジウム対ロジウムの比率で1.412g/lであった。
【実施例】
【0049】
実施例:
第一の層の作製:
酸化ランタン3質量%により安定化された酸化アルミニウム(比表面積140m/g)および40質量%の酸化セリウム含有率を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物を、US6,103,660に従って、塩基としての水酸化バリウムの使用下で硝酸パラジウムから出発するパラジウムと一緒に活性化した。結果として生じる懸濁液を、ウォールフロー型フィルター基材のコーティングのために直接使用した。懸濁液をフィルター体の流入路にのみ施与した。コーティング後にフィルターを乾燥し、かつか焼した。完成した第一の層は以下のコーティング量を含んでいた:
10g/l ランタンにより安定化された酸化アルミニウム
10g/l 酸化セリウム40質量%を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物
1g/l 酸化バリウム
1.236g/l パラジウム(全ての成分に対して)
第二の層の作製:
20質量%の酸化セリウム含有率を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物を水に懸濁させた。その後、該懸濁液に常時攪拌下で硝酸ロジウムの水溶液を供給し、かつ酸化ランタン3質量%により安定化された酸化アルミニウム(比表面積:140m/g)を加えた。すでに第一の層が流入路内に備え付けられたウォールフロー型フィルター基材を、第二のコーティング懸濁液によりコーティングし、その際、第二の層も同様に流入路内で生じさせた。該フィルターを乾燥し、かつか焼した。完成した第二の層は以下のコーティング量を含んでいた:
10g/l ランタンにより安定化された酸化アルミニウム
10g/l 酸化セリウム20質量%を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物
0.176g/l ロジウム(CeO20質量%を有するセリウム/ジルコニウム混合酸化物に対して)
そのようにして製造された触媒活性粒子フィルターGPFの全体の貴金属負荷量は、7:1のパラジウム対ロジウムの比率で1.412g/lであった。
【0050】
"λスイープテスト"において触媒による特徴を調べた結果
すでに記載したように、製造した触媒活性粒子フィルターから、そのつど2.54cmの直径および17.4cmの長さを有する2つのシリンダー状のコアを取り出した。そのつどテストピースの1つを、すす不含の新たに再生した状態において試験した。そのつどとどまるコアをまず、水蒸気10体積%および酸素10体積%を含有する雰囲気下で16時間のあいだにわたり925℃で人工老化させ、次いですす不含の状態およびすすで負荷された状態において測定した。
【0051】
"λスイープテスト"の結果は、図5〜7の中で表示されている。
【0052】
図5は、λ=1の時の新たに再生した触媒活性粒子フィルターを用いたCO転化率、HC転化率およびNO転化率を示す。本発明に従う触媒活性粒子フィルターGPFが従来技術により製造された粒子フィルターVGPFと比べて新鮮な状態においてはほとんど利点を示さないことは明白である。
【0053】
本発明に従う粒子フィルターの利点は、熱老化後に初めて示される。すでにすす不含の状態において、明らかにより良好な有害ガス転化率が観察される。すすによる負荷後、本発明に従うフィルターGPFを用いた、3つの存在する有害ガスNO、COおよびHCの転化率は、従来技術によるコーティングされた粒子フィルターVGPFを用いた時よりも明らかに高い。例えば92%の本発明に従うGPFのNO転化率は、VGPFの転化率より9%(絶対)高い。HC転化率は、95%でVGPFの転化率を8%(絶対)上回る。98%のCO転化率は、従来技術によるコーティングされた粒子フィルターの転化率より6%(絶対)高い。
【0054】
熱老化した状態において初めて示される本発明に従う触媒活性粒子フィルターの転化率の利点は、主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスからの粒子および従来の有害ガスCO、HCおよびNOを除去するためのそのような構成部材の効果的な使用を前提としている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に従う触媒活性粒子フィルター内での種々のコーティング配置を示す図
【図2】本発明に従う触媒活性粒子フィルター内での種々のコーティング配置を示す図
【図3】本発明に従う触媒活性粒子フィルター内での種々のコーティング配置を示す図
【図4】本発明に従う触媒活性粒子フィルター内での種々のコーティング配置を示す図
【図5】本発明に従う触媒活性粒子フィルター内での種々のコーティング配置を示す図
【図6】すす不含の状態における熱水老化後の従来技術による粒子フィルターVGPFと比較した本発明に従う粒子フィルターGPFのX=1の時のHC転化率、CO転化率およびNO転化率
【図7】熱水老化および触媒活性粒子フィルターの体積に対して約5g/Lのすすの施与後の従来技術による粒子フィルターVGPFと比較した本発明に従う粒子フィルターGPFのX=1の時のHC転化率、CO転化率およびNO転化率
【符号の説明】
【0056】
1 第一のパラジウム含有層、 2 第二のロジウム含有層、3 フィルター体の壁、 3a ウォールフロー型フィルター基材の多孔質の壁、3b ウォールフロー型フィルター基材における流路の目封止端部、 4 流入路、 5 流出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスから粒子、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)を除去するための、フィルター体および2つの互いに重ねて配置された層から成る触媒活性コーティングを含有し、その際、第二の層が流入する排ガスと直接接触しかつ第一の層を排ガス側で完全に覆い、かつ両層は酸化アルミニウムを含有し、その際、酸化アルミニウムは、第一の層においてはパラジウムにより触媒活性化されており、一方で第二の層は触媒活性成分としてロジウムを含有し、かつその際、第二の層のみが付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する、触媒活性粒子フィルターの使用。
【請求項2】
フィルター体および2つの互いに重ねて配置された層から成る触媒活性コーティングを含有し、その際、第二の層が流入する排ガスと直接接触しかつ第一の層を排ガス側で完全に覆い、かつ両層は酸化アルミニウムを含有し、その際、酸化アルミニウムは、第一の層においてはパラジウムにより触媒活性化されており、一方で第二の層は触媒活性成分としてロジウムを含有し、かつその際、第二の層のみが付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する、触媒活性粒子フィルターを含有する主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスを浄化するための排ガス浄化装置の使用において、前記触媒活性粒子フィルターがエンジンに近接した位置に配置されていることを特徴とする排ガス浄化装置の使用。
【請求項3】
セラミック製または金属製のフロー型基材および触媒活性コーティングを含有する三元触媒が、粒子フィルターに対し流入側または流出側に含有されていることを特徴とする、請求項2記載の排ガス浄化装置の使用。
【請求項4】
三元触媒が、粒子フィルターに対し流入側に配置されており、かつ該三元触媒の体積に対して100g/L未満の酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有することを特徴とする、請求項3記載の排ガス浄化装置の使用。
【請求項5】
三元触媒が、粒子フィルターに対し流出側に配置されており、かつ三元触媒の体積に対して100g/Lより大きい酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有することを特徴とする、請求項3記載の排ガス浄化装置の使用。
【請求項6】
三元触媒が付加的に、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物および希土類金属酸化物またはそれらの組み合わせ物の群から選択された窒素酸化物吸蔵材料を含有することを特徴とする、請求項4または5記載の排ガス浄化装置の使用。
【請求項7】
主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスの浄化法において、
排ガスを、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)および粒子の除去のために、フィルター体および2つの互いに重ねて配置された層から成る触媒活性コーティングを含有し、その際、第二の層が流入する排ガスと直接接触しかつ第一の層を排ガス側で完全に覆い、かつ両層は酸化アルミニウムを含有し、その際、酸化アルミニウムは、第一の層ではパラジウムにより触媒活性化されており、一方で第二の層は触媒活性成分としてロジウムを含有し、かつその際、第二の層のみが付加的に酸素吸蔵性セリウム/ジルコニウム混合酸化物を含有する、触媒活性粒子フィルターに送ることを特徴とする、主として化学量論的空気/燃料混合物により運転される内燃機関エンジンの排ガスの浄化法。
【請求項8】
粒子フィルターの再生を、400〜700℃の排ガス温度で酸素富化排ガスを導入することによって行うことを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
酸素富化排ガスの発生を燃料カットオフの方法において行うことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
酸素富化排ガスの発生を、排ガスラインへの二次空気の送り込みによって行うことを特徴とする、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−82915(P2009−82915A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250476(P2008−250476)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】