説明

乳化剤および安定剤を含むパン改良剤

本発明は、20℃で0.1〜20Pa・sの範囲内の粘度および3.5〜5.5の範囲内のpHを有する水性懸濁液の形態の、食品、パーソナルケア製品および製剤において使用するのに適した組成物であって、(a)粒子、微粒子、粉末、フレークまたは顆粒の形態の、約20〜45重量%の乳化剤であって、ステアロイル乳酸塩、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドのクエン酸エステル、および脂肪酸の糖エステル、ならびにそれらの混合物の中から選択される乳化剤、(b)約0.02〜1.0重量%の安定剤、および(c)100%までの水、を含んで成る(なおここで百分率は全組成物に対する重量百分率である)組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物に関する。特に、本発明は、例えば食品、パーソナルケア製品および製剤において使用するのに適した、両親媒性粉末の水性懸濁液に関する。食品には、乳製品、菓子製品、調理製品および焼成製品、特にパン改良剤が含まれる。
【背景技術】
【0002】
パン改良剤は、製パン業界において広く使用されている。現在、これらは主として粉末形態で利用されている。しかしながら粉末には数多くの欠点がある。例えば、粉末は粉塵となることがあり、取扱いが難しく、アレルギー反応をひき起こし得る。したがって、ポンプによる取り扱いが可能な、均質な液体形態でパン改良剤を提供することがきわめて望ましい。
【0003】
既知の液体パン改良剤は油性である。このため、その生産には複雑な機器そして処理が必要とされている。例えば、加熱と、制御かきとり型熱交換器が必要とされ、かくして生産コストは高くなる。その上、パン内に油が存在することは、好ましからざる質感特性を結果としてもたらし得ることから、必ずしも望ましいわけではない。その上、低脂肪、低カロリーの系統が増々好まれるようになっている。
【0004】
欧州特許出願公開第1443823号明細書は、ポリカルボン酸誘導体のエステルに基づく液体乳化剤、グリセリドベースの安定剤(ハードファットタイプ)そして最高20%の油を含んで成る液体パン改良剤について開示している。全ての構成要素は、溶融され混合され、制御かきとり型熱交換器が必要とされる。
【0005】
欧州特許出願公開第1236400号明細書は、粉末画分の沈降を防止する手段を内含する、粉末画分と油画分を含む液体パン改良剤について開示している。構成要素は全て溶融され混合され、制御かきとり型熱交換器が必要とされる。
【0006】
欧州特許出願公開第0421510号明細書は、液体グリセリド中に分散された乳化剤と脂肪との混合物を含む液体パン改良剤について開示している。この系は油性であり、パン改良剤の生産には複雑な処理が必要とされる。例えば、規定の粒度をもつ噴霧冷却された脂肪が用いられ、制御かきとり型熱交換器が必要とされ、混合物は0.05mm未満の粒度まで粉砕されなくてはならない。
【0007】
英国特許出願公開第2335433号明細書は、液体油、完全硬化油および粒子状構成要素(例えば酵素または乳化剤)から調製された流動性パン改良剤について開示している。この系は油性であり、それを安定化させるためにハードファットが必要とされる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1443823号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1236400号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術の問題を回避するかまたは最小限におさえることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従うと、20℃で0.1〜20Pa・sの範囲内の粘度および3.5〜5.5の範囲内のpHを有する水性懸濁液の形態の、食品、パーソナルケア製品および製剤において使用するのに適した組成物であって、
(a) 粒子、微粒子、粉末、フレークまたは顆粒の形態の、約20〜45重量%の乳化剤であって、ステアロイル乳酸塩、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドのクエン酸エステル、および脂肪酸の糖エステル、ならびにそれらの混合物の中から選択される乳化剤、
(b) 約0.02〜1.0重量%の安定剤、および
(c) 100%までの水、
を含んで成る(なおここで百分率は全組成物に対する重量百分率である)組成物が提供される。
【0010】
本発明は、3.5〜5.5の範囲内のpHで、水中での固体の乳化剤および安定剤の安定した均質な水性懸濁液を達成できるという、予想外の発見に基づくものである。本発明の水性組成物においては、少なくとも20℃または25℃までの温度では固体のいかなる沈降も相分離も生じず、使用前の攪拌は全く必要とされない。その上、本発明の水性組成物は、乳化剤中に本来存在しうる幾分かの油を除けば、油を含んでいない。
【0011】
本発明の水性組成物中では、乳化剤は、好ましくは約25〜40重量%、より好ましくは約30〜35重量%の量で存在する。安定剤は、好ましくは約0.05〜0.3重量%、より好ましくは約0.1〜0.2重量%の量で存在する。水は、好ましくは約50〜80重量%、より好ましくは約65〜75重量%の量で存在する。
【0012】
本発明の水性組成物は、好ましくは20℃で0.1〜5Pa・s、より好ましくは20℃で0.3〜2.5Pa・s、そしてさらに一層好ましくは20℃で0.4〜1.5Pa・sの範囲内の粘度を有している。相反する記載のないかぎり、本明細書中の全ての粘度測定はThermo Haake粘度計VT550で実施された。スピンドルSV1および試料チャンバSVが使用され、粘度は10s-1のせん断速度および20℃で測定された。
【0013】
本発明の水性組成物のpHは、好ましくは3.5〜5.0、そしてより好ましくは4.0〜4.5の範囲内にある。
【0014】
本発明は同様に、本発明にしたがった水性懸濁液を形成するべく水中で懸濁させることができる、食品、パーソナルケア製品および製剤において使用するのに適したドライミックス組成物であって、
(a) 約45〜60重量%の上述の乳化剤、
(b) 約40〜55重量%の塩もしくは糖またはその組合せ、および
(c) 約0.05〜1.0重量%の安定剤、そして任意に、
(d) pH調節剤
を含んで成る(なおここで百分率はドライミックス組成物に対する重量百分率である)ドライミックス組成物をも提供する。
【0015】
本発明において使用される乳化剤は、粒子、微粒子、粉末、フレークまたは顆粒の形態のものであり、ステアロイル乳酸塩、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、脂肪酸のモノおよびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステル、および脂肪酸の糖エステル、ならびにそれらの混合物の中から選択される。
【0016】
好適には、本発明において使用される乳化剤は、動物源、魚源および植物源に由来するものといったような食用油脂中に存在する脂肪酸に好ましくは由来するステアロイル乳酸塩である。脂肪酸は、水素化されかつ/または分画され得る。植物性油脂の例としては、ひまわり油、大豆油、菜種油、ヤシ油、綿実油、カノーラ油、パーム核油、ココヤシ油およびベニバナ油が含まれる。動物性油脂の例としては、ラード、獣脂、牛脂および鶏脂が含まれる。魚油脂の例としては、鯨油、ニシン油、イワシ油、サケ油およびタラの肝油が含まれる。
【0017】
特に好ましい乳化剤はステアロイル乳酸カルシウムである。
【0018】
乳化剤の平均粒度は、好ましくは約10〜750μm、より好ましくは約30〜400μm、さらに一層好ましくは約50〜250μmの範囲内にある。
【0019】
本発明の組成物中で使用される安定剤には、好ましくは親水コロイドが含まれる。適切な親水コロイドには、λ−カラギナン、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、でんぷん、ジェランガム、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースならびにそれらの組合せが含まれる。キサンタンガムが特に好ましい。
【0020】
本発明の水性組成物は、塩もしくは糖またはその組合せをさらに含んで成ってもよい。適切な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムが含まれる。塩化ナトリウムが特に好ましい。適切な糖として、グルコース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ペクチン、セルロース、マルトデキストリンおよびそれらの組合せが含まれる。
【0021】
本発明の水性組成物中に存在する塩の量は、好ましくは水における飽和に近いものである。
【0022】
適切な塩の水への溶解度は、以下のとおりである。
【0023】
【表1】

【0024】
本発明のドライミックス組成物は、好ましくは、約40〜55重量%の塩、好ましくは塩化ナトリウム、および約45〜60重量%のステアロイル乳酸塩、特にステアロイル乳酸カルシウム、そして約0.1〜0.6重量%の安定剤、好ましくは親水コロイド、特にキサンタンガムを含んで成る。
【0025】
本発明に従った特に好ましいドライミックス組成物は、
(a) 約45〜60重量%のステアロイル乳酸塩、好ましくはステアロイル乳酸カルシウム、
(b) 約0.2〜0.4重量%の安定剤、好ましくは親水コロイド、より好ましくはキサンタンガム、
(c) 約40〜55重量%の塩、好ましくは塩化ナトリウム、そして任意に、
(d) ドライミックス組成物の約0.75〜1.5重量%の量のpH調節剤、好ましくはクエン酸、
を含んで成る。
【0026】
本発明の組成物は、食品、パーソナルケア製品および化粧品、製剤および栄養物を含む数多くの利用分野で使用可能である。食品には、パン製品、乳製品、菓子製品および調理製品が含まれる。特に本発明の組成物は、パン改良剤またはその前駆物質の形をとり得る。該パン改良剤は、同様に、例えば防腐剤、酸化剤、酵素、大豆粉、ミネラル、糖、緩衝剤および香味料などのうちの一つまたはそれ以上から選択された複数の従来の成分を含んでいてよい。
【0027】
本発明は同様に、本発明に従った水性組成物の調製方法であって、
(a) 乳化剤および安定剤、そして任意に塩もしくは糖またはその組合せを含んで成るドライミックス組成物を形成する段階、
(b) 段階(a)のドライミックス組成物を水に添加して水性懸濁液を形成する段階、そして必要な場合には、
(c) 段階(b)の水性懸濁液に対してpH調節剤を添加して3.5〜5.5の範囲内のpHを達成する段階、
を含んで成るか、または、
(a1) 1:5から5:1までのドライミックス組成物対水の重量比で、本発明のドライミックス組成物を水に添加して水性懸濁液を形成する段階、そして必要な場合には、
(b1) 段階(a1)の水性懸濁液に対してpH調節剤を添加して3.5〜5.5の範囲内のpHを達成する段階、
を含んで成る方法も提供している。
【0028】
本発明の水性またはドライミックス組成物がパン改良剤を目的としている場合には、これは、大豆粉、酵素(固体形態)および酸化剤といったような粉末形態の従来の成分を内含していてよい。液体酵素といったような従来の液体成分を水画分に添加することもできる。代替的には、液体成分を最終水性懸濁液に添加してもよい。
【0029】
本発明の方法においては、段階(a)のドライミックス組成物および/または水は、塩もしくは糖またはそれらの組合せ、好ましくは塩、最も好ましくは塩化ナトリウムを含み得る。
【0030】
pH調節剤は、酸または塩基であり得る。適切な酸としては、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸、ソルビン酸、コハク酸、アジピン酸、酢酸、およびギ酸またはそれらの組合せが含まれる。乳酸およびクエン酸が好ましい。適切な塩基としては、NH3、NaHCO3、KOHおよびNaOHが含まれる。
【0031】
本発明は、さらに、パン改良剤の形での本発明に従った水性懸濁液またはドライミックス組成物を含む、パン生地または焼成食品も提供している。パン生地または焼成食品中のパン改良剤の量は、典型的には、パン生地または焼成食品の小麦粉の重量に基づいて約0.1〜0.5重量%、好ましくは約0.22〜0.3重量%の範囲内の乳化剤(乾燥形態で)というものである。
【0032】
本発明を以下の実施例の中で例示する。
【実施例1】
【0033】
パン改良剤としての使用に適した本発明に従った組成物を、以下の成分を用いて調製した。
Admul CSL2010 25.00%
ソルビン酸カリウム 0.17%
キサンタンガム 0.1%
水 100%まで
【0034】
Admul CSL2010(例えばKerry Bio−Science、オランダ)は、ステアロイル乳酸カルシウムを含む。粉末化した成分すなわちAdmul CSL2010、ソルビン酸カリウムおよびキサンタンガムを合わせて混合し、水に添加した。約5分間攪拌しながら乳酸を添加することで、水性懸濁液のpHを4.0に調整した。懸濁液は5℃の貯蔵温度で12週間、安定した状態を維持した。この貯蔵期間後に懸濁液の試料の粘度を上述のとおりに測定したところ、20℃で600mPa・sであった。
【実施例2】
【0035】
型焼きパンを焼成することで、実施例1の組成物の焼成特性を評価した。レシピは以下のとおりであった。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例1で得た水性組成物を用いて型焼きパンを焼成し、同量の市販のステアロイル乳酸カルシウム(例えば、オランダ、Kerry Bio−Science社製のAdmul CSL2010)を含有する型焼きパン、およびステアロイル乳酸カルシウムを全く含まないブランクと比較した。
【0038】
処理:
混捏:「Kemper Spiral」:低速2分/高速4分(300/1000回)、
生地温度:26〜27℃、
一次発酵:製パン室内で5〜15分(25℃、RH(相対湿度)80%)、
計量:焼き型のサイズによる(800〜900グラム)、
まとめ作業:手作業、
二次発酵:製パン室内で15〜20分(25℃、RH60%);
整形:適切な形状に、
最終発酵:50〜70分(32℃、RH80%)、
焼成:230℃で30分間。
【0039】
焼成特性は、熟練パン職人のチームにより評価された。結果は以下にまとめられている。
【0040】
【表3】

【実施例3】
【0041】
本発明に従った組成物を以下の成分を用いて調製した。
Admul CSL2010 30.0%
ソルビン酸カリウム 0.17%
キサンタンガム 0.15%
塩水(355gのNaCl/リットル) 100%まで
【0042】
実施例1で示された手順にしたがって組成物を調製した。乳酸を用いて懸濁液のpHを4.0に調整した。懸濁液は20℃の貯蔵温度で12週間、安定した状態を維持した。上述のとおりにこの貯蔵期間後に懸濁液の試料の粘度を測定したところ、20℃で600mPa・sであった。
【実施例4】
【0043】
本発明に従った組成物を以下の成分を用いて調製した。
Admul CSL2010 54.5%
ソルビン酸カリウム 0.31%
キサンタンガム 0.27%
塩化ナトリウム 44.92%
【0044】
粉末化した構成要素を乾燥配合した。配合物55gを70gの水に添加した。結果として得た懸濁液を20℃で約90分間攪拌した。クエン酸を添加することにより水性懸濁液のpHをpH4.0に調整した。懸濁液は20℃の貯蔵温度で12週間、安定した状態を維持した。上述のとおりにこの貯蔵期間後に懸濁液の試料の粘度を測定したところ、20℃で550mPa・sであった。
【実施例5】
【0045】
本発明に従った組成物を以下の成分を用いて調製した。
Admul CSL2010 54.0%
ソルビン酸カリウム 0.31%
キサンタンガム 0.27%
塩化ナトリウム 44.42%
クエン酸 1.0%
【0046】
粉末化した構成要素を乾燥配合した。配合物55gを70gの水に添加した。懸濁液を20℃で約90分間攪拌した。懸濁液は4.0のpHを有し、20℃の貯蔵温度で安定した状態を維持した。上述のとおりにこの貯蔵期間後に懸濁液の試料の粘度を測定したところ、20℃で550mPa・sであった。
【実施例6】
【0047】
本発明に従った組成物を以下の成分を用いて調製した。
Myverol 18−04PK 54.5%
ソルビン酸カリウム 0.31%
キサンタンガム 0.27%
塩化ナトリウム 44.92%
【0048】
Myverol 18−04PK(例えばKerry Bio−Science、オランダ)は、3未満のヨウ素価を有する、ヤシをベースとした蒸留モノグリセリドである。
【0049】
粉末化した構成要素を乾燥配合した。配合物55gを70gの水に添加した。結果として得た懸濁液を20℃で約90分間攪拌した。乳酸を添加することにより水性懸濁液のpHをpH4.0に調整した。懸濁液は5℃の温度で少なくとも10週間、安定した状態を維持した。上述のとおりに5℃で10週間の貯蔵期間後に懸濁液の試料の粘度を測定したところ、20℃で820mPa・sであった。
【実施例7】
【0050】
本発明に従った組成物を以下の成分を用いて調製した。
Admul SSL2012 54.5%
ソルビン酸カリウム 0.31%
キサンタンガム 0.36%
塩化ナトリウム 44.83%
【0051】
Admul SSl2012(例えばKerry Bio−Science、オランダ)は、ステアロイル乳酸ナトリウムを含んでいる。
【0052】
粉末化した構成要素を乾燥配合した。配合物55gを70gの水に添加した。結果として得た懸濁液を20℃で約90分間攪拌した。乳酸を添加することにより水性懸濁液のpHをpH4.0に調整した。懸濁液は5℃の温度で少なくとも10週間、安定した状態を維持した。上述のとおりに5℃で10週間の貯蔵期間後に懸濁液の試料の粘度を測定したところ、20℃で420mPa・sであった。
【0053】
以上のことから、本発明の水性組成物が5℃および20℃での長い貯蔵期間後でさえ安定した状態すなわち液体で均質な状態を維持し、使用前に組成物を攪拌する必要は全くないということがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃で0.1〜20Pa・sの範囲内の粘度および3.5〜5.5の範囲内のpHを有する水性懸濁液の形態の、食品、パーソナルケア製品および製剤において使用するのに適した組成物であって、
(a) 粒子、微粒子、粉末、フレークまたは顆粒の形態の、約20〜45重量%の乳化剤であって、ステアロイル乳酸塩、脂肪酸のモノおよびジグリセリド、脂肪酸のプロパン−1,2−ジオールエステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノおよびジグリセリドのクエン酸エステル、および脂肪酸の糖エステル、ならびにそれらの混合物の中から選択される乳化剤、
(b) 約0.02〜1.0重量%の安定剤、および
(c) 100%までの水、
を含んで成る(なおここで百分率は全組成物に対する重量百分率である)組成物。
【請求項2】
(a) 乳化剤が約25〜40重量%、好ましくは約30〜35重量%の量で存在し、かつ/または、
(b) 安定剤が約0.05〜0.3重量%、好ましくは約0.1〜0.2重量%の量で存在し、かつ/または、
(c) 水が約50〜80重量%、好ましくは約65〜75重量%の量で存在する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
乳化剤の平均粒度が約10〜750μm、好ましくは約30〜400μm、そしてより好ましくは約50〜250μmの範囲内にある、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
乳化剤がステアロイル乳酸塩である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
ステアロイル乳酸塩が食用油脂中に存在する脂肪酸に由来する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
乳化剤がステアロイル乳酸カルシウムである、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
粘度が20℃で0.1〜5Pa・s、好ましくは20℃で0.3〜2.5Pa・s、そしてより好ましくは20℃で0.4〜1.5Pa・sの範囲内にある、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
pHが3.5〜5.0、好ましくは4.0〜4.5の範囲内にある、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
安定剤が親水コロイドを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
親水コロイドがλ−カラギナン、アルギン酸塩、グアーガム、キサンタンガム、でんぷん、ジェランガム、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ならびにそれらの組合せの中から選択され、好ましくは親水コロイドがキサンタンガムである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
塩もしくは糖またはその組合せをさらに含んで成り、好ましくは塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムの中から選択され、かつ/または糖がグルコース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ペクチン、セルロース、マルトデキストリンおよびそれらの組合せの中から選択される、請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物であって、好ましくは塩を含んで成り、好ましくは塩が塩化ナトリウムである組成物。
【請求項12】
防腐剤、酸化剤、酵素、大豆粉、ミネラル、糖、緩衝剤および香味料のうちの一つまたはそれ以上をさらに含む、食品において使用するのに適した、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
パン改良剤のような、水中に懸濁させた場合に食品、パーソナルケア製品および製剤において使用するのに適した、水性懸濁液を形成するべく水中に懸濁することができる、請求項11に記載のドライミックス組成物であって、
(a) 約45〜60重量%の請求項1で定義した乳化剤、
(b) 約40〜55重量%の塩もしくは糖またはその組合せ、および
(c) 約0.05〜1.0重量%の安定剤、そして任意に、
(d) pH調節剤、
を含んで成る(なおここで百分率はドライミックス組成物に対する重量百分率である)ドライミックス組成物。
【請求項14】
(a) 約45〜60重量%のステアロイル乳酸塩、好ましくはステアロイル乳酸カルシウム、
(b) 約0.2〜0.4重量%の安定剤、好ましくは親水コロイド、より好ましくはキサンタンガム、
(c) 約40〜55重量%の塩、好ましくは塩化ナトリウム、そして任意に、
(d) ドライミックス組成物の約0.75〜1.5重量%の量のpH調節剤、好ましくはクエン酸、
を含んで成る、請求項13に記載のドライミックス組成物。
【請求項15】
パン改良剤またはその前駆物質である、請求項1〜14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
防腐剤、酸化剤、酵素、大豆粉、ミネラル、糖、緩衝剤および香味料のうちの一つまたはそれ以上をさらに含んで成る、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか一つに記載の組成物の調製方法であって、
(a) 乳化剤および安定剤、そして任意に塩もしくは糖またはその組合せを含んで成るドライミックス組成物を形成する段階、
(b) 段階(a)のドライミックス組成物を水に添加して水性懸濁液を形成する段階、そして必要な場合には、
(c) 段階(b)の水性懸濁液に対してpH調節剤を添加して3.5〜5.5の範囲内のpHを達成する段階、
を含んで成るか、または、
(a1) 1:5から5:1までのドライミックス組成物対水の重量比で、請求項13〜15のいずれか一つに記載のドライミックス組成物を水に添加して水性懸濁液を形成する段階、そして必要な場合には、
(b1) 段階(a1)の水性懸濁液に対してpH調節剤を添加して3.5〜5.5の範囲内のpHを達成する段階、
を含んで成る方法。
【請求項18】
段階(a)のドライミックス組成物が塩を含み、好ましくは塩が塩化ナトリウムである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生地または焼成食品の小麦粉の重量に基づいて約0.1〜0.5重量%の乳化剤の量で請求項1〜16のいずれか一つに記載の組成物を含む、パン生地または焼成食品。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれか一つに記載の組成物の調製における請求項13〜15のいずれか一つに記載のドライミックス組成物の使用方法。

【公表番号】特表2009−514514(P2009−514514A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538309(P2008−538309)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010634
【国際公開番号】WO2007/051647
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508135068)ケリー グループ サーヴィシーズ インターナショナル リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KERRY GROUP SERVICES INTERNATIONAL LIMITED
【Fターム(参考)】