乳漿タンパクミセルのinsitu調製
本発明は、乳漿タンパクミセル、特に、それらをin situで形成するための方法に関する。本発明は、前記ミセルを含有するインスタントの飲料又は液体食料品にも関する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、乳漿タンパクミセル、特に、in situでそれらを形成するための方法及び組成物に関する。本発明は、前記ミセルを含有するインスタントの飲料又は液体食料品にも関する。
【0002】
[背景]
タンパクは、多くの人々の食事の不可欠な部分を構成する。タンパクは、その栄養的価値のために使用されるだけでなく、食品に望ましい質感及び安定化を付与する。例えば、脂肪含有製品において、脂肪は、相分離が起きないように、製品の全有効期間にわたって安定化されたままでなければならない。
【0003】
この目的で、乳化剤が利用され、乳化剤は、非水相に可溶である親油性又は疎水性部分及び水に可溶である極性又は親水性部分のそれらの固有の特性に基づいて、一旦形成された乳濁液の安定化を提供し、その結果、前記分子は、一方の相を他方の相に乳化するのを容易にする。さらに、乳化剤は、一旦形成された液滴を凝集及び合体から守る。乳化剤として、親水コロイド、リン脂質(レシチン)又は糖脂質などの天然に存在する物質が使用され、一方、ステアリル−2−ラクチレート又はモノ−、ジアシルグリセリドなどのような合成試剤が使用されることもある。
【0004】
これらの試剤の主な欠点の1つは、それらが、最終製品のコストを実質的に増やすことがあり、製品の栄養的価値を増やさないという点にある。そのような種類の材料は、タンパクとの界面競合のため、十分な安定化特性を示さないこともある。
【0005】
したがって、タンパクは、乳化剤として及び脂肪の部分的代替物としても益々使用されつつある。
【0006】
米国特許第6767575B1号明細書は、凝集乳漿タンパク製品の調製を開示しており、乳漿タンパクは、酸性化及び加熱により変性される。こうして得られるタンパク凝集体は、食品応用で使用される。
【0007】
英国特許出願(公開)第1079604号明細書は、チーズの製造の改良について記載しており、乳漿タンパクは、その後で生乳に添加される不溶性乳漿タンパクを得るために、最適pH値における熱処理を受ける。
【0008】
国際公開第93/07761号パンフレットは、脂肪代替物として使用することができる乾燥微粒子化タンパク製品の提供に関する。
【0009】
米国特許第5750183号明細書は、脂肪を含有しない脂肪代替物として有用であるタンパク性微粒子を生成するためのプロセスを開示している。
【0010】
タンパク性脂肪代替物は、国際公開第91/17665号パンフレットにも開示されており、タンパクは、水分散性微粒子化変性乳漿タンパクの形態をしている。
【0011】
食品応用は別として、タンパクは、多くの医薬品及び化粧品組成物中にも存在する。
【0012】
しかしながら、一般に球状タンパク、特に乳漿タンパクを含有する製品の製造で遭遇する問題の1つは、それらの制限された加工性である。実際に、加熱される場合、又は酸性若しくはアルカリ性環境にさらされる場合、又は塩の存在下で、タンパク分子は、それらの天然構造を失い、例えば、ゲルなどの様々なランダム構造で再構築する傾向がある。
【0013】
乳漿タンパクのゲル化水性組成物の調製は、欧州特許出願公開第1281322号明細書の主題である。
【0014】
Elofsson他は、International Dairy Journal、1997、p.601〜608において、乳漿タンパク濃縮物の冷間ゲル化について記載している。
【0015】
同様に、Kilara他は、Journal of Agriculture and Food 20 Chemistry、1998、p.1830〜1835において、乳漿タンパクの凝集及びそれらのゲル化に対するpHの影響について記載している。
【0016】
このゲル効果は、加工性(例えば、タンパク含有製品の製造で使用される機械の目詰まり)という点からだけでなく、広範囲のタンパク応用にとって望ましくないことがある、こうして得られる質感という点からも制限を与える。
【0017】
したがって、タンパクの使用を広げるためには、タンパクの制御された変性が望ましい。
【0018】
International Dairy Federation、1998、189〜196に報告されているProceedings of the Second International Whey Conference、Chicago、1997年10月において、Britten M.は、乳漿タンパクの機能特性を改良するための熱処理について議論している。95℃において乳漿タンパク微粒子分散液を生成するためのプロセスが記載されている。
【0019】
Erdmanは、Journal of American College of Nutrition、1990、p.398〜409において、微粒子化タンパクの品質が、高剪断及び高熱を使用しても影響を受けないことを記載している。
【0020】
欧州特許出願公開第0603981号明細書も、タンパクを含有する熱安定性の水中油型乳濁液について記載している。
【0021】
Sato他は、米国特許第5,882,705号明細書において、加水分解された乳漿タンパク溶液を熱処理することによりミセル状乳漿タンパクを得た。ミセル状乳漿タンパクは、不規則な形状を特徴とする。
【0022】
したがって、本発明の目的は、加熱プロセスにおけるタンパクの有用性及び応用性を改良することである。
【0023】
[発明の概要]
したがって、この目的は、独立クレームの特徴によって実現される。従属クレームは、本発明の中心思想をさらに発展させる。
【0024】
この目的を実現するために、温かい飲料又は液体食料品を調製するための方法であって、以下の、天然乳漿タンパクを含む飲料又は液体食料品パッケージを提供するステップと、加熱されたすぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製するために前記パーケージを加熱し、同時に、天然乳漿タンパクを少なくも部分的に乳漿タンパクミセルへ変換するステップとを含む方法が提供される。
【0025】
第2の態様において、本発明は、こうして得られる食品又は飲料組成物に関する。
【0026】
本発明は、第3の態様において、乳漿タンパク及び飲料又は液体食料品成分を含むインスタントの食品パッケージも提供する。
【0027】
本発明は、添付の図に示される一部の好ましい実施形態を参照して、以降さらに説明される。
【0028】
[発明の詳細な説明]
本発明によれば、温かい飲料又は液体食料品を調製するための方法が提供され、加熱する前にパッケージ中に存在する天然乳漿タンパクは、少なくとも部分的に乳漿タンパクミセルに変換される。
【0029】
図7は、本発明の方法により得られるミセルの概略図であり、乳漿タンパクは、タンパクの親水性部分が凝集体の外側部分に向いて配向し、タンパクの疎水性部分がミセルの内部「コア」に向いて配向するように配置されている。このエネルギー的に有利な立体配置は、親水性環境におけるこれらの構造に良好な安定性を提供する。
【0030】
特定のミセル構造は、図、特に図3、8、9から知ることができ、ミセルは、本質的に、変性乳漿タンパクの球状凝集体からなる。本発明のミセルは、特に、それらの規則的な球状の形状を特徴とする。
【0031】
それらの二重特性(親水性及び疎水性)のために、タンパクのこの変性状態は、疎水性相、例えば、脂肪滴又は空気、及び親水性相との相互作用を可能にするように見える。したがって、乳漿タンパクミセルは、完全な乳化特性及び起泡特性を有する。
【0032】
さらに、本発明の方法により生成されるミセルは、80%を超える生成されるミセルが、1ミクロン未満、好ましくは100nm〜900nm、より好ましくは100〜770nm、最も好ましくは200〜400nmのサイズを有するような極めて鋭いサイズ分布を有する(図12を参照)。
【0033】
ミセルの平均直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。そうするためには、液体ミセル試料を、寒天ゲルチューブに封入する。固定は、0.1M、pH7.4のカコジル酸塩緩衝液中の2.5%グルタルアルデヒドの溶液中に浸漬することにより行い、後固定は、同じ緩衝液中の2%四酸化オスミウムで行い、両溶液は、0.04%ルテニウムレッドを含有する。段階的なエタノール系列(70、80、90、96、100%エタノール)における脱水後、試料を、スパー樹脂(スパー/エタノール1:1、2:1、100%)に包埋する。樹脂の重合(70℃、48時間)後、半薄切片及び超薄切片を、LeicaウルトラカットUCTウルトラミクロトームで切り出す。次いで、酢酸ウラニル水溶液及びクエン酸鉛水溶液で染色した超薄切片を、透過型電子顕微鏡(Philips CM12、80kV)により調べる。
【0034】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明のプロセスによるミセル形成中に、いかなる追加のタンパク分子もはねつけるミセルの全静電荷のために、ミセルは「最大」サイズに達し、ミセルは、それ以上のサイズに成長できないと考えられている。このことは、観測される狭いサイズ分布を説明している(図12を参照)。
【0035】
上記に記載されているミセルは、本発明に従ってin situで形成することができ、本発明の方法により得ることができる食品又は飲料組成物中に存在する。
【0036】
本発明の方法における第1ステップは、天然乳漿タンパクを含む飲料又は液体食料品パッケージを提供することである。
【0037】
本発明の方法で使用される乳漿タンパクとして、任意の市販乳漿タンパク単離物又は濃縮物、すなわち、当技術分野において知られている乳漿タンパクを調製するための任意のプロセスにより得られる乳漿タンパク、並びにそれらから調製される乳漿タンパク画分、又はβ−ラクトグロブリン(BLG)、α−ラクトアルブミン及び血清アルブミンなどのタンパクを使用することができる。特に、チーズ製造における副成物として得られる甘性乳漿、酸カゼイン製造における副成物として得られる酸性乳漿、ミルク精密ろ過により得られる天然乳漿又はレンネットカゼイン製造における副成物として得られるレンネット乳漿を乳漿タンパクとして使用することができる。乳漿タンパクは、単一供給源からでも任意の供給源の混合物からであってもよい。乳漿タンパクは、ミセル形成の前に、いかなる加水分解ステップも受けないことが好ましい。したがって、乳漿タンパクは、ミセル化の前に、いかなる酵素処理にもさらされない。本発明によれば、ミセル形成プロセスでは乳漿タンパクを使用し、その加水分解物は使用しないことが重要である。
【0038】
本発明は、ウシ起源からの乳漿単離物に限定されることはないが、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びラクダなどのすべての哺乳動物種からの乳漿単離物に関する。また、本発明によるプロセスは、ミネラル化された、脱ミネラル化された、又はわずかにミネラル化された乳漿調製物に当てはまる。「わずかにミネラル化された」とは、透析可能又は透析ろ過可能な遊離ミネラルを除去した後の乳漿調製物で、例えば、乳漿タンパク濃縮物又は単離物を調製した後の天然ミネラル化により、それに関連したミネラルを維持している、任意の乳漿調製物を意味する。これらの「わずかにミネラル化された」乳漿調製物は、特定のミネラル強化がされていない。
【0039】
乳漿タンパクは、必須アミノ酸(AA)の優れた供給源である(45%)。カゼイン(0.3gシステイン/100gタンパクを含有する)と比較して、甘性乳漿タンパクは、システインを7倍多く含有し、酸性乳漿は、システインを10倍多く含有する。システインは、ストレスの場合に身体の防御で一番重要な機能を有するグルタミン酸、システイン及びグリシンでできているトリペプチドであるグルタチオン(GSH)合成の律速アミノ酸である。これらのアミノ酸の必要性は、ストレスの場合及び高齢者で増加することがある。また、乳漿タンパクを含むグルタチオンの経口補給は、HIV感染患者の血漿中GSHレベルを高めることが明らかにされている(Eur.J.Clin.Invest.2001;31、171〜178)。
【0040】
乳漿タンパクにより提供される他の健康上の利益は、筋肉の発生及び構築の強化、並びに小児、成人又は高齢者における筋肉の維持、免疫機能の強化、認知機能の改善、糖尿病患者に適しているような血糖の管理、体重管理及び満腹、抗炎症作用、創傷治癒及び皮膚修復、血圧の低下などを包含する。
【0041】
乳漿タンパクは、例えば、カゼイン(PER=100)と比較して、より良好なタンパク効率(PER=118)を有する。PERは、そのようなタンパクが、いかに良く体重増加を支えるかを測定することにより評価されるタンパク品質の尺度である。PERは、以下の式により計算することができる。:
PER=体重増加(g)/タンパク摂取重量(g)
例: PER 対カゼイン%
カゼイン 3.2 100
卵 3.8 118
乳漿 3.8 118
全大豆 2.5 78
小麦グルテン 0.3 9
【0042】
本発明のプロセスの場合、天然乳漿タンパクは、パッケージで提供される。パッケージの内容物は、希釈される乾燥成分の形態又は液体形態であってよい。
【0043】
乾燥成分の形態で提供される場合、パッケージの内容物は、本質的に乾燥した粉末であることが好ましい。前記粉末は、少なくとも4%、好ましくは6%程度の量で天然乳漿タンパクを含む。さらに、粉末は、脱水された料理、塩、乾燥可溶性コーヒー顆粒、茶抽出物、植物抽出物、砂糖などの粉末形態の他の食品成分を含むことがある。
【0044】
加熱する前に、乾燥パッケージ内容物は、乳漿タンパクが溶液中にある場合、溶液の総重量を基準にして0.1重量%〜12重量%の量で、好ましくは0.1重量%〜8重量%の量で、より好ましくは0.2重量%〜7重量%の量で、さらにより好ましくは0.5重量%〜6重量%の量で、最も好ましくは1重量%〜4重量%の量で存在するように希釈される。
【0045】
粉末は、水で希釈されることが好ましい。
【0046】
パッケージの内容物が液体形態で提供される場合、液体は、溶液の総重量を基準にして0.1重量%〜12重量%の量で、好ましくは0.1重量%〜8重量%の量で、より好ましくは0.2重量%〜7重量%の量で、さらにより好ましくは0.5重量%〜6重量%の量で、最も好ましくは1重量%〜4重量%の量で天然乳漿タンパクを含む。
【0047】
加熱ステップの前に存在するような乳漿タンパク調製物の水溶液は、粉末成分又は溶液自体に由来してもよい追加の化合物を含むこともある。そのような追加の化合物は、例えば、それぞれの乳漿生成プロセスの副成物、他のタンパク、ガム又は炭水化物である。
【0048】
パッケージは、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物、甘性デザート成分、脂肪、食塩、乳化剤、砂糖、マルトデキストリン、アカシアガム又はカラゲナンなどの多糖、穀類、可溶性繊維などの他の食品成分を含むことがある。パッケージは、バニラ、カラメル、果実、チョコレート、コーヒー、シナモンアロマなどのアロマを含むことがある。パッケージは、甘味料、カフェイン、ビタミン、ミネラル、薬物、リガンド、生物活性剤などの他の機能成分を含むこともある。
【0049】
乳漿タンパク、並びにその画分及び/又はその主要タンパクは、精製形態で、又は粗生成物の形態で同様に使用することができる。好ましい実施形態によれば、飲料又は液体食料品を調製するための乳漿タンパク中の二価カチオンの含量は、2.5%未満、より好ましくは2%未満、さらにより好ましくは0.2%未満であってよい。乳漿タンパクは、完全に脱ミネラル化されていることが最も好ましい。
【0050】
本発明の知見によれば、天然乳漿タンパク水溶液のpH及びイオン強度は、本発明の方法における重要な要素である。したがって、Ca、K、Na、Mgなどの遊離カチオンを実質的に欠いている、又はそれらが激減している天然乳漿タンパクの広範囲に透析された試料の場合、5.4未満のpHで10秒〜最大2時間の熱処理を行う場合、凝乳が得られるが、6.8を超えるpHでは、可溶性乳漿タンパクが生じることが分かった(図1を参照)。したがって、このかなり狭いpH領域においてのみ、1μm未満の直径を有する乳漿タンパクミセルが得られるであろう。これらのミセルは、全体として負電荷を有するであろう。同じミセル形態は、対称的に等電pH未満、すなわち、3.5〜5.0、より好ましくは3.8〜4.5で得ることもでき、正に帯電したミセルが生じる(図6を参照)。
【0051】
したがって、正に帯電したミセルを得るために、乳漿タンパクのミセル化は、タンパク源のミネラル含量に応じて3.8〜4.5の間に調整されたpH値で塩を含まない溶液中で行うことができる。
【0052】
本発明の方法により得られるミセルは、全体として負電荷を有することが好ましい。したがって、好ましい実施形態において、加熱する前の水溶液のpHは、5〜9の範囲であってよい。
【0053】
より具体的には、負に帯電したミセルを得るために、pHは、低い二価カチオン含量では(例えば、初期乳漿タンパク粉末の0.2%未満)、5.6〜6.4、より好ましくは5.8〜6.0の範囲であってよい。pHは、乳漿タンパク源(濃縮物又は単離物)のミネラル含量に応じて8.4まで高められる。特に、pHは、大量の遊離ミネラルの存在下で負に帯電したミセルを得るために7.5〜8.4、好ましくは7.6〜8.0であってよく、pHは、中程度の量の遊離ミネラルの存在下で負に帯電したミセルを得るために6.4〜7.4、好ましくは6.6〜7.2であってよい。一般規則として、初期乳漿タンパク粉末のカルシウム及び/又はマグネシウム含量が高ければ高いほど、ミセル化のpHは高くなる。
【0054】
乳漿タンパクミセルの形成の条件を標準化するために、知られている脱ミネラル化技法(透析、限外ろ過、逆浸透、イオン交換クロマトグラフィーなど)のいずれかにより、甘性乳漿、乳の精密ろ過浸透液又は酸性乳漿(タンパク含量0.9%)のタンパク濃度からタンパク含量30%の濃縮物のタンパク濃度までの範囲にあるタンパク濃度を有する任意の供給源の天然液体乳漿タンパクを脱ミネラル化することが最も好ましい。透析は、水(蒸留水、脱イオン水又は軟水)に対して行うことができるが、これは、乳漿タンパクに弱く結合しているイオンを除去するに過ぎないため、pH4.0未満の酸(有機又は無機)に対して透析し、乳漿タンパクのイオン組成をより良く制御することがより好ましい。そうすることにより、乳漿タンパクミセル形成のpHは、pH7.0未満、より好ましくは5.8〜6.6となる。
【0055】
パーケージの内容物が液体形態である場合、pHは、一般的に、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸又は乳酸などの食品等級であることが好ましい酸の添加により調整される。ミネラル含量が高い場合、pHは、一般的に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化アンモニウムなどの食品等級であることが好ましいアルカリ溶液の添加により調整される。いかなる場合でも、液体のpHは、5〜9、好ましくは5〜8である。
【0056】
パーケージの内容物が乾燥形態である場合、乾燥成分は、水で希釈した場合、加熱する前の溶液のpHが5〜9、好ましくは5〜8であるように選択される。
【0057】
代替方法として、pH調整ステップが望ましくない場合、pHを一定に保ちながら、乳漿タンパク調製物のイオン強度を調整することが可能である。次いで、イオン強度を、7の一定pH値でミセル化が可能になるように有機又は無機イオンにより調整することができる。図4は、イオン強度を70〜80mMのアルギニンHClの添加により変化させながら、7.0の一定pH値でミセルを形成できることを示している。
【0058】
乳漿タンパクの熱処理中のpH値の実質的な変化を避けるために、乳漿タンパクの水溶液又は乾燥粉末に緩衝液をさらに加えることができる。原則的に、緩衝液は、任意の食品等級緩衝系、すなわち、例えば酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムなどの酢酸及びその塩、リン酸及びその塩、例えば、NaH2PO4、Na2HPO4、KH2PO4、K2HPO4、又はクエン酸及びその塩などから選択することができる。
【0059】
水溶液のpH及び/又はイオン強度を調整することは、100nm〜900nm、好ましくは100〜700nm、最も好ましくは200〜400nmのサイズを有するミセルが得られる制御されたプロセスをもたらす。100〜700nmの寸法を有するミセルの分布は、本発明のプロセスを行う場合に80%を超えることが好ましい(図12を参照)。
【0060】
規則的な形状のミセルを得るために、本発明によれば、乳漿タンパクが、ミセル形成の前にいかなる加水分解ステップをも受けないことも重要である。
【0061】
次いで、本発明のプロセスの第2のステップにおいて、天然乳漿タンパクを含む調製物は、熱処理にかけられる。本発明のパッケージが粉末の形態である場合、水は、一般的に、加熱ステップの前に添加される。この点については、乳漿タンパクミセルを得るためには、約70〜95℃未満、好ましくは約82〜約89℃、より好ましくは約84〜約87℃の範囲、最も好ましくは約85℃の温度を有することが重要であることが分かった。
【0062】
望ましい温度に達した時点で、乳漿タンパクを含む調製物は、最短10秒及び最長2時間にわたってこの温度に保たれる。乳漿タンパク水溶液が望ましい温度範囲に保たれる時間は、12〜25分、より好ましくは12〜20分の範囲であり、最も好ましくは約15分であることが好ましい。
【0063】
熱処理は、溶液1ml当たり0.8秒〜1.2秒の時間/量比でマイクロ波により加熱することができる電子レンジ又は任意の類似機器内で行うこともできる。これは、加熱する前の溶液の初期温度及び電子レンジの出力により異なるであろう。例えば、沸騰温度(833mの高度で98℃)まで1500Wの機器内で加熱される4重量%タンパク溶液は、溶液1mL当たり約1秒を必要とする。
【0064】
本発明に従ってパッケージの内容物を加熱すると、同時に天然乳漿タンパクを少なくとも部分的に乳漿タンパクミセルへ変換しながら、すぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製することができる。溶液は、80℃〜100℃、好ましくは70〜95℃未満の温度まで加熱されることが好ましい。
【0065】
図2に示すように、濁度測定は、ミセル形成の指標である。本発明によれば500nmにおける吸光度により測定される濁度は、1%タンパク溶液については少なくとも3吸光度単位であるが、ミセル化の収率が80%を超える場合(図2を参照)、16吸光度単位に達することがある。本発明の結果として、加熱された溶液は、乳漿タンパクミセルの存在によって乳状の外見を有するであろう。
【0066】
物理化学的な観点からミセル形成の影響をさらに例示するために、Bipro(登録商標)の1重量%分散液を、MilliQ水中、pH6.0及び6.8で85℃にて15分にわたって加熱した。熱処理後に得られる凝集体の流体力学的直径は、動的光散乱により測定した。凝集体の見かけの分子量は、いわゆるデバイプロットを用いる静的光散乱により決定した。表面疎水性は、疎水性ANSプローブを用いて精査し、遊離のアクセス可能なチオール基は、標準アミノ酸としてシステインを用いるDTNB法により精査した。最後に、凝集体の形態は、ネガティブ染色TEMにより検討した。結果を表1に示す。
【表1】
【0067】
表1から、pH6.0で形成された乳漿タンパクミセルは、タンパクの固有ANS表面疎水性を、同じ条件であるがpH6.8で加熱された非ミセル化乳漿タンパクと比較して、1/2に減少させることは明らかである。ミセル形成は、非ミセル化タンパクの0.64×106g・mol−1と比較して極めて高い分子量27×106g・mol−1にも見ることができ、ミセル内における物質の極めて凝縮された状態を示している(水の量が少ない)。大変興味深いことに、ミセルのζ−電位は、非ミセル化タンパクがミセルよりも塩基性のpHで形成された場合であっても、非ミセル化タンパクよりもさらに陰性である。これは、溶媒にさらされているミセルのより親水性の表面の結果である。最後に、ミセルのチオール反応性が、異なる熱処理のpHのために、非ミセル化タンパクの反応性よりもかなり低いことに留意すべきである。
【0068】
天然乳漿タンパクのミセルへの変換収率は、天然乳漿タンパクの初期タンパク濃度が高い場合に低下することが分かった。例えば、乳漿タンパク単離物Prolacta 90(Lactalisからのロット番号673)から出発した場合、乳漿タンパクミセル形成の収率は、85%(タンパク4%から出発した場合)から50%(タンパク12%から出発した場合)まで低下する。乳漿タンパクミセルの形成を最大限に高めるためには(>85%の初期タンパク含量)、12%未満、好ましくは4%未満のタンパク濃度を有する乳漿タンパク水溶液から出発した方が良い。意図した最終的応用に応じて、タンパク濃度を熱処理の前に調整し、最適な乳漿タンパクミセル収率を管理する。
【0069】
本発明の方法によれば、天然乳漿タンパクは、加熱ステップ中に乳漿タンパクミセルへ変換される。天然乳漿タンパクをミセルへ変換する収率は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%であり、残りの可溶性凝集体又は可溶性タンパク含量は、20%未満であることが好ましい。本発明の方法に従って得られる乳漿タンパクミセルは、1μm未満、好ましくは、100〜900nm、より好ましくは、100〜700nm、最も好ましくは、200〜400nmの平均直径を有する。
【0070】
平均ミセルサイズは、多分散性指数が0.200未満であることを特徴とする。
【0071】
本発明の方法の利点は、このようにして調製される乳漿タンパクミセルが、形成中の粒子サイズの減少につながるいかなる機械的ストレスも受けなかったことである。この方法は、剪断がない熱処理中に乳漿タンパクの自発的ミセル化を誘発する。
【0072】
乳漿タンパクミセルが、白色化剤、乳化剤、脂肪代替物、ミセル状カゼインの代替物又は起泡剤として使用するのに理想的に適していることが明らかにされたのは、それらが、長期にわたって水性系において脂肪及び/又は空気を安定化することができるからである。
【0073】
乳漿タンパクミセルは、例えば、乳状の泡マトリックスにおける安定剤であることが明らかにされた。泡安定性は、非ミセル化乳漿タンパクの使用を本発明のミセル化乳漿タンパクと対比して比較している図5に示されている。
【0074】
したがって、乳漿タンパクミセルを乳化剤として使用することができ、この材料が理想的に適しているのは、乳漿タンパクミセルが、中間の味を有し、そのような材料の使用により異臭が生じないからである。それらは、ミセル状カゼイン代替物として使用することもできる。
【0075】
さらに、本発明の乳漿タンパクミセルは、白色化剤としての機能を果たすことができるため、1つの化合物でいくつかの仕事を遂行することができる。乳漿は、大量に入手できる材料であるため、その使用は、その栄養的価値を同時に高めながら、乳化剤、充填剤、白色化剤又は起泡剤を必要とする製品のコストを軽減する。実際に、本発明により得られるミセルは、出発乳漿タンパクに等しい少なくとも100、好ましくは少なくとも110のタンパク効率を有し、このことが、ミセルを重要な栄養成分にしている。
【0076】
したがって、本発明によるパッケージは、コーヒー成分及び乳漿タンパクを含むことがあり、加熱することにより、乳漿タンパクミセルは、白色化剤としての役割を果たす。パッケージ中のコーヒー成分は、乾燥、可溶性状態であってよい。
【0077】
熱処理後の、それらの中間の味、それらの白色化力及びそれらの安定性のために、本発明の乳漿タンパクミセルを使用し、脱脂粉乳の白色度及び口当たりを高めることができる。
【0078】
同じ総タンパク含量について乳製品系の白色化力を高めることばかりでなく、食品マトリックス中の脂肪含量を低減することができる。この特徴が本発明の乳漿タンパクミセルの特別な利点であるのは、例えば、ミルク自体に由来する追加の脂肪を添加することなくミルククリーマーを加えることができるからである。
【0079】
したがって、本発明の方法は、例えば、カプチーノインスタント飲料、コーヒークリーマーなどの乳濁液又は泡の安定化を必要とするあらゆる種類のすぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製するために、又は低脂肪若しくは本質的に脂肪を含まない乳製品においても、又は乳漿タンパクミセルがミセル状カゼイン代替物として応用される場所でも使用することができる。「液体食料品」とは、ヒト又は動物が消費することができる液体又は半液体形態の任意の食品を意味する。
【0080】
したがって、本発明のパッケージは、コーヒー、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物成分、甘性デザート成分などから選択される成分を含むことがある。
【0081】
本発明の乳漿タンパクミセルを応用することができる製品の例は、例えば、スープ、乳製品、低温殺菌UHTミルク、加糖練乳、フラッペ、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ダークチョコレート、ホットチョコレート、ソース、デザート製品、カプチーノコーヒー、コーヒークリーマー、フォーム剤、乳剤、発酵穀類ベースの製品、特殊調製粉乳、ペットフード、液体経口サプリメントなどの食品である。
【0082】
さらに、本発明は、天然乳漿タンパク及び他の飲料又は液体食料品成分を含むインスタント食品パッケージを提供する。パッケージの内容物を加熱することにより、乳漿タンパクミセルは、容易なステップにおいてin situで得られる。したがって、乳漿タンパクミセルに関連したすべての利益(例えば、乳化剤、白色化剤、安定化剤、栄養剤など)は、乳漿タンパクミセルを形成するための手の込んだ技法を用いる必要なく得られる。さらに、高価な乳化剤、安定化剤などの代わりに天然乳漿タンパクを用いるコスト優位性は、途方もなく大きい。したがって、栄養的にバランスがとれた魅力的な温かい飲料又は液体消費物が容易に得られる。
【0083】
本発明の他の態様において、生成されるすぐに食べられる飲料又は液体食料品は、消費する前に冷却することができる。代替方法として、乳製品、マヨネーズ、サラダ用ドレッシング、低温殺菌UHTミルク、加糖練乳、ヨーグルト、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ダークチョコレート、ムース、フォーム剤、乳剤、アイスクリーム、発酵穀類ベースの製品、ミルクベースの粉末、特殊調製粉乳、食事強化剤、ペットフード、錠剤、液体細菌懸濁剤、乾燥経口サプリメント、液体経口サプリメントなどの他の消費物の製造における成分としてさらに使用することができる。
【0084】
実際に、それらの安定性のため、熱処理中に生成されるミセルは、いかなる冷却及びさらなる処理にもかかわらず、それらの特徴及び機能を保全するであろう。
【0085】
図10及び11は、乳漿タンパクミセルの安定性を天然乳漿タンパクと比較しており、乳漿タンパクミセルは、加熱に対して著しくより抵抗性である。
【0086】
さらに、乳漿タンパクの基本的ミセル構造は、濃縮、噴霧乾燥、凍結乾燥、ローラー乾燥などのさらなる処理にもかかわらず、保全されることが分かった。実際に、乳漿タンパクミセル濃縮物から得られる粉末は、室温又は50℃にて水中に容易に再分散させることができる。乳漿タンパクミセルのサイズ及び構造は、初期濃縮物と比較して、十分に保全される。例えば、タンパク濃度20%で噴霧乾燥された乳漿タンパクミセル濃縮物を、タンパク濃度50%で50℃にて脱イオン水中に再分散させた。ミセルの構造を、TEMにより精査し、図9と比較することができる。類似の形状のミセルが得られた。ミセルの直径は、動的光散乱により315nmであり、多分散性指数は0.2であることが分かった。
【0087】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明をそれらに限定するものではない。
【実施例】
【0088】
本発明のミセルの調製について詳細に記載する以下の実施例を参照することにより、本発明をさらに明確にする。本明細書に記載され請求の範囲に記載されている本発明が、本明細書に開示されている具体的な実施形態により範囲が限定されてはならないのは、これらの実施形態が、本発明のいくつかの態様の例示として意図されているからである。いかなる等価な実施形態も、本発明の範囲内にあることが意図されている。実際に、本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明の様々な変更形態は、上記の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲に含まれることも意図されている。
【0089】
実施例1:β−ラクトグロブリンのミセル化
β−ラクトグロブリン(ロットJE002−8−922、13−12−2000)は、Davisco(Le Sueur、MN、USA)から入手した。タンパクは、限外ろ過及びイオン交換クロマトグラフィーにより甘性乳漿から精製した。粉末の組成は、タンパク89.7%、水分8.85%、灰分1.36%(Ca2+0.079%、Mg2+0.013%、K+0.097%、Na+0.576%、Cl−0.050%)である。使用される他の試薬はすべて、分析等級(Merck Darmstadt、Germany)とした。
【0090】
タンパク溶液は、MilliQ(登録商標)水(Millipore)中でのβ−ラクトグロブリンの溶媒和、及び2時間にわたって20℃にて撹拌することにより、濃度0.2%にて調製した。次いで、アリコートのpHを、HCl添加により5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0に調整した。溶液を、20mlのガラスバイアル(Agilent Technologies)に充填し、ケイ素/PTFEシーリングを含有するアルミニウムカプセルで密封した。溶液を、15分にわたって85℃(この温度に到達する時間は2.30〜3.00分)にて加熱した。熱処理後、試料を氷水中で20℃まで冷却した。
【0091】
生成物の視覚的外観(図1)は、ミセル化の最適pHが5.8であることを示している。
【0092】
実施例2:乳漿タンパク単離物のミセル化
乳漿タンパク単離物(WPI)(Bipro(登録商標)、バッチJE032−1−420)は、Davisco (Le Sueur、MN、USA)から入手した。粉末の組成を表2に報告する。
【0093】
タンパク溶液は、MilliQ(登録商標)水(Millipore)中での乳漿タンパク粉末の溶媒和、及び2時間にわたって20℃にて撹拌することにより、タンパク3.4%にて調製した。初期pHは7.2であった。次いで、アリコートのpHを、0.1N HCl添加により5.6、5.8、6.0、6.2、6.4及び6.6に調整した。
【0094】
溶液を、20mlのガラスバイアル(Agilent Technologies)に充填し、ケイ素/PTFEシーリングを含有するアルミニウムカプセルで密封した。溶液を、15分にわたって85℃(この温度に到達する時間は2.30〜2.50分)にて加熱した。
【0095】
熱処理後、試料を氷水中で20℃まで冷却した。
【0096】
加熱された乳漿タンパクの濁度を、500nm及び25℃にて測定した。試料を、0.1〜3吸光度単位の範囲で測定できるように希釈した(Spectrophotometer Uvikon 810、Kontron Instrument)。値は、初期タンパク濃度3.4%について計算した。
【0097】
図2に例示されているように、同じ試料について10分の間隔内で500nmにおいて測定される吸光度が安定(初期値の5%未満の変動)した時点で、ミセル化のpHに達したと見なした。この生成物の場合、ミセル化の最適pHは、6.0〜6.2であった。熱処理前に調整されたこのpHの場合、安定な濁度は、21であり、遠心分離後に280nmにおける吸光度により評価された残りの可溶性タンパクは、1.9%であった。我々は、初期タンパクの45%が、pH6.0にてミセルへ変換されたという結論を下すことができる。
【表2】
【0098】
実施例3:ミセルの顕微鏡観察
ミセルの生成:
タンパク溶液は、MilliQ(登録商標)水(Millipore)中での乳漿タンパク粉末(WPI90バッチ989/2、Lactalis、Retier、France)の溶媒和によりタンパク2%にて調製し、2時間にわたって20℃において撹拌した。次いで、アリコートのpHを、0.1N HCl又は0.1N NaOHを用いて調整した。
【0099】
溶液を、20mlのガラスバイアル(Agilent Technologies)に充填し、ケイ素/PTFEシーリングを含有するアルミニウムカプセルで密封した。溶液を、15分にわたって85℃(この温度に到達する時間は2.30〜2.50分)にて加熱した。熱処理後、試料を氷水中で20℃まで冷却した。この生成物の場合、ミセル化の最適pHは7.4であった。
【0100】
顕微鏡観察:
液体ミセル試料を、寒天ゲルチューブ中に封入した。固定は、0.1M、pH7.4のカコジル酸塩緩衝液中の2.5%グルタルアルデヒドの溶液中に浸漬することにより行い、後固定は、同じ緩衝液中の2%四酸化オスミウムで行ったが、両溶液は、0.04%ルテニウムレッドを含有していた。段階的なエタノール系列(70、80、90、96、100%エタノール)における脱水後、試料を、スパー樹脂(スパー/エタノール1:1、2:1、100%)に包埋した。樹脂の重合(70℃、48時間)後、半薄切片及び超薄切片を、LeicaウルトラカットUCTウルトラミクロトームで切り出した。酢酸ウラニル水溶液及びクエン酸鉛水溶液で染色した超薄切片を、透過型電子顕微鏡(Philips CM12、80kV)で調べた。
【0101】
TEM顕微鏡写真を図3に示す。得られるミセルは、直径200nmの球形形状を呈している。
【0102】
粒径分布
強度ベースのミセルのサイズ分布は、pH4.25(約+25mVのゼータ電位で正に帯電している)及びpH6.0(約−30mVのゼータ電位で負に帯電している)で85℃にて15分にわたる1重量%β−ラクトグロブリン分散液の熱処理により得られるミセルについて測定した。ミセルのZ平均流体力学的直径は、pH4.25にて229.3mm及びpH6.0にて227.2であった。β−LG及び乳漿タンパク凝集体は、動的光散乱を用いて追跡した。633nmのレーザー放射及び4.0mWの出力を備えたNanosizer ZS装置(Malvern Instruments、UK)を使用した。装置は、検出が173°の散乱角で行われる後方散乱配置で使用した。これにより、混濁試料で見られる複数の散乱シグナルをかなり低減することができる。試料は、正方形の石英セル(Hellma、光路長1cm)に入れた。光線の光路長は、試料濁度(減衰)に応じて、装置により自動的に設定した。自己相関関数は、散乱強度の変動から計算した。結果を図6に示す。これは、平均的な粒子が、極めて狭い多分散指数(<0.200)を特徴としていることを示している。
【0103】
実施例4:一定pHにおけるβ−ラクトグロブリンのミセル化
2%β−ラクトグロブリンの水溶液を用いるという条件で、実施例1に記載されている方法を繰り返した。この溶液のpHは、アルギニンHCl溶液を添加し、5〜200mMの最終塩濃度及び1%の最終β−ラクトグロブリン濃度を得た後で、7.0に調節されていた。続いて、熱処理(80℃、10分、昇温に約2分)を行い、ミセルを生成させた。
【0104】
結果を図4に示す。この結果は、約50〜70mMのイオン強度範囲においてのみ、乳漿タンパクミセルの存在を示す実質的な濁度を観察することができることを明確に示している。
【0105】
実施例5:白色化剤の調製
天然乳漿タンパク(WPI95バッチ848、Lactalis;8重量%水溶液)を、実施例2に従って処理した。得られた生成物の明度(L)は、2mmの測定セルを備えたMacBeth CE−XTH D65 10° SCE装置を用い、透過−反射モードで測定した。得られた明度は、L=74.8であり、高脂肪乳のL=74.5という値と比較することができそうである。
【0106】
実施例6:乳漿タンパクミセルのin situ形成
【表3】
【0107】
スリーインワン(コーヒー、甘味料、白色化剤)コーヒー乾燥製品のための方法
可溶性コーヒーを、インスタントWPI粉末、スクロース及びリン酸二水素ナトリウム一水和物と一緒に乾燥混合する。次いで、このブレンドを、密封したアルミニウムパックに保存し、一定の含水量を確保する。このドライミックス10gを、カップ中の水90gに分散させ、100秒にわたって電子レンジで加熱すると、乳漿タンパク強化ミルクコーヒーを得ることができる。
【0108】
液体製品のための方法
可溶性コーヒーを、インスタントWPI粉末、スクロース及びリン酸二水素ナトリウム一水和物と一緒に水に分散させる。次いで、この液体ブレンドを、精密ろ過し、ポリプロピレン瓶中に4℃にて保存する。このすぐに使えるスリーインワンコーヒーブレンド100mlをカップに注ぎ、100秒にわたって電子レンジで加熱すると、乳漿タンパク強化ミルクコーヒーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】β−ラクトグロブリンのミセル化に対するpH及び熱処理の影響を明らかにする実験の結果を示す図である。
【図2】500nmにおける濁度測定を用い、市販調製物(Bipro(登録商標)、バッチJE032−1−420)についてミセル化のpHを決定するための手段を示す図である。
【図3】pH7.4における乳漿タンパクミセル(2重量%、WPI95、Lactalis)の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。スケールバーは、200nmである。
【図4】7.0の一定pHにおけるタンパクミセルの形成に対するイオン強度(アルギニンHCl)の影響を評価する実験の結果を示す図である。
【図5】60mMアルギニンHClの存在下、pH7.0にて1重量%β−ラクトグロブリンミセル(Davisco)により安定化された泡の容積安定性(FVS)を、非ミセル化β−ラクトグロブリンと比較して示す図である。
【図6】2〜8のpHにて85℃において15分にわたる1重量%β−ラクトグロブリン分散液の熱処理により得られる乳漿タンパクの強度ベースの流体力学的相当直径を示す図である。乳漿タンパクミセルは、pH4.25(約+25mVのゼータ電位で正に帯電している)及びpH6.0(約−30mVのゼータ電位で負に帯電している)にて得られる。ミセルのZ平均流体力学的直径は、pH4.25にて229.3nmであり、pH6.0にて227.2nmであった。ネガティブ染色後にTEMにより得られるミセルの対応する顕微鏡写真を示す。スケールバーは、1μmである。
【図7】乳漿タンパクミセルの高度に簡略化した構造を示す図である。
【図8】タンパク含量4%にて得られる乳漿タンパクミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡写真を示す図である。
【図9】精密ろ過後にタンパク含量20%にて得られる乳漿タンパクミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡写真を示す図である。
【図10】15分にわたって85℃において加熱した後のNaClの存在下、pH7.0における精密ろ過後、タンパク含量10%にて得られる乳漿タンパクミセル分散液の熱安定性を示す図である。
【図11】15分にわたって85℃において加熱した後のNaClの存在下、pH7.0にてタンパク含量4%にて得られる乳漿タンパク分散液の熱安定性を示す図である。
【図12】pH5.9にて処理された4%Prolacta90乳漿タンパク単離物を用いる本発明のプロセスにより得られるミセルのサイズ分布を示すグラフを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、乳漿タンパクミセル、特に、in situでそれらを形成するための方法及び組成物に関する。本発明は、前記ミセルを含有するインスタントの飲料又は液体食料品にも関する。
【0002】
[背景]
タンパクは、多くの人々の食事の不可欠な部分を構成する。タンパクは、その栄養的価値のために使用されるだけでなく、食品に望ましい質感及び安定化を付与する。例えば、脂肪含有製品において、脂肪は、相分離が起きないように、製品の全有効期間にわたって安定化されたままでなければならない。
【0003】
この目的で、乳化剤が利用され、乳化剤は、非水相に可溶である親油性又は疎水性部分及び水に可溶である極性又は親水性部分のそれらの固有の特性に基づいて、一旦形成された乳濁液の安定化を提供し、その結果、前記分子は、一方の相を他方の相に乳化するのを容易にする。さらに、乳化剤は、一旦形成された液滴を凝集及び合体から守る。乳化剤として、親水コロイド、リン脂質(レシチン)又は糖脂質などの天然に存在する物質が使用され、一方、ステアリル−2−ラクチレート又はモノ−、ジアシルグリセリドなどのような合成試剤が使用されることもある。
【0004】
これらの試剤の主な欠点の1つは、それらが、最終製品のコストを実質的に増やすことがあり、製品の栄養的価値を増やさないという点にある。そのような種類の材料は、タンパクとの界面競合のため、十分な安定化特性を示さないこともある。
【0005】
したがって、タンパクは、乳化剤として及び脂肪の部分的代替物としても益々使用されつつある。
【0006】
米国特許第6767575B1号明細書は、凝集乳漿タンパク製品の調製を開示しており、乳漿タンパクは、酸性化及び加熱により変性される。こうして得られるタンパク凝集体は、食品応用で使用される。
【0007】
英国特許出願(公開)第1079604号明細書は、チーズの製造の改良について記載しており、乳漿タンパクは、その後で生乳に添加される不溶性乳漿タンパクを得るために、最適pH値における熱処理を受ける。
【0008】
国際公開第93/07761号パンフレットは、脂肪代替物として使用することができる乾燥微粒子化タンパク製品の提供に関する。
【0009】
米国特許第5750183号明細書は、脂肪を含有しない脂肪代替物として有用であるタンパク性微粒子を生成するためのプロセスを開示している。
【0010】
タンパク性脂肪代替物は、国際公開第91/17665号パンフレットにも開示されており、タンパクは、水分散性微粒子化変性乳漿タンパクの形態をしている。
【0011】
食品応用は別として、タンパクは、多くの医薬品及び化粧品組成物中にも存在する。
【0012】
しかしながら、一般に球状タンパク、特に乳漿タンパクを含有する製品の製造で遭遇する問題の1つは、それらの制限された加工性である。実際に、加熱される場合、又は酸性若しくはアルカリ性環境にさらされる場合、又は塩の存在下で、タンパク分子は、それらの天然構造を失い、例えば、ゲルなどの様々なランダム構造で再構築する傾向がある。
【0013】
乳漿タンパクのゲル化水性組成物の調製は、欧州特許出願公開第1281322号明細書の主題である。
【0014】
Elofsson他は、International Dairy Journal、1997、p.601〜608において、乳漿タンパク濃縮物の冷間ゲル化について記載している。
【0015】
同様に、Kilara他は、Journal of Agriculture and Food 20 Chemistry、1998、p.1830〜1835において、乳漿タンパクの凝集及びそれらのゲル化に対するpHの影響について記載している。
【0016】
このゲル効果は、加工性(例えば、タンパク含有製品の製造で使用される機械の目詰まり)という点からだけでなく、広範囲のタンパク応用にとって望ましくないことがある、こうして得られる質感という点からも制限を与える。
【0017】
したがって、タンパクの使用を広げるためには、タンパクの制御された変性が望ましい。
【0018】
International Dairy Federation、1998、189〜196に報告されているProceedings of the Second International Whey Conference、Chicago、1997年10月において、Britten M.は、乳漿タンパクの機能特性を改良するための熱処理について議論している。95℃において乳漿タンパク微粒子分散液を生成するためのプロセスが記載されている。
【0019】
Erdmanは、Journal of American College of Nutrition、1990、p.398〜409において、微粒子化タンパクの品質が、高剪断及び高熱を使用しても影響を受けないことを記載している。
【0020】
欧州特許出願公開第0603981号明細書も、タンパクを含有する熱安定性の水中油型乳濁液について記載している。
【0021】
Sato他は、米国特許第5,882,705号明細書において、加水分解された乳漿タンパク溶液を熱処理することによりミセル状乳漿タンパクを得た。ミセル状乳漿タンパクは、不規則な形状を特徴とする。
【0022】
したがって、本発明の目的は、加熱プロセスにおけるタンパクの有用性及び応用性を改良することである。
【0023】
[発明の概要]
したがって、この目的は、独立クレームの特徴によって実現される。従属クレームは、本発明の中心思想をさらに発展させる。
【0024】
この目的を実現するために、温かい飲料又は液体食料品を調製するための方法であって、以下の、天然乳漿タンパクを含む飲料又は液体食料品パッケージを提供するステップと、加熱されたすぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製するために前記パーケージを加熱し、同時に、天然乳漿タンパクを少なくも部分的に乳漿タンパクミセルへ変換するステップとを含む方法が提供される。
【0025】
第2の態様において、本発明は、こうして得られる食品又は飲料組成物に関する。
【0026】
本発明は、第3の態様において、乳漿タンパク及び飲料又は液体食料品成分を含むインスタントの食品パッケージも提供する。
【0027】
本発明は、添付の図に示される一部の好ましい実施形態を参照して、以降さらに説明される。
【0028】
[発明の詳細な説明]
本発明によれば、温かい飲料又は液体食料品を調製するための方法が提供され、加熱する前にパッケージ中に存在する天然乳漿タンパクは、少なくとも部分的に乳漿タンパクミセルに変換される。
【0029】
図7は、本発明の方法により得られるミセルの概略図であり、乳漿タンパクは、タンパクの親水性部分が凝集体の外側部分に向いて配向し、タンパクの疎水性部分がミセルの内部「コア」に向いて配向するように配置されている。このエネルギー的に有利な立体配置は、親水性環境におけるこれらの構造に良好な安定性を提供する。
【0030】
特定のミセル構造は、図、特に図3、8、9から知ることができ、ミセルは、本質的に、変性乳漿タンパクの球状凝集体からなる。本発明のミセルは、特に、それらの規則的な球状の形状を特徴とする。
【0031】
それらの二重特性(親水性及び疎水性)のために、タンパクのこの変性状態は、疎水性相、例えば、脂肪滴又は空気、及び親水性相との相互作用を可能にするように見える。したがって、乳漿タンパクミセルは、完全な乳化特性及び起泡特性を有する。
【0032】
さらに、本発明の方法により生成されるミセルは、80%を超える生成されるミセルが、1ミクロン未満、好ましくは100nm〜900nm、より好ましくは100〜770nm、最も好ましくは200〜400nmのサイズを有するような極めて鋭いサイズ分布を有する(図12を参照)。
【0033】
ミセルの平均直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。そうするためには、液体ミセル試料を、寒天ゲルチューブに封入する。固定は、0.1M、pH7.4のカコジル酸塩緩衝液中の2.5%グルタルアルデヒドの溶液中に浸漬することにより行い、後固定は、同じ緩衝液中の2%四酸化オスミウムで行い、両溶液は、0.04%ルテニウムレッドを含有する。段階的なエタノール系列(70、80、90、96、100%エタノール)における脱水後、試料を、スパー樹脂(スパー/エタノール1:1、2:1、100%)に包埋する。樹脂の重合(70℃、48時間)後、半薄切片及び超薄切片を、LeicaウルトラカットUCTウルトラミクロトームで切り出す。次いで、酢酸ウラニル水溶液及びクエン酸鉛水溶液で染色した超薄切片を、透過型電子顕微鏡(Philips CM12、80kV)により調べる。
【0034】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明のプロセスによるミセル形成中に、いかなる追加のタンパク分子もはねつけるミセルの全静電荷のために、ミセルは「最大」サイズに達し、ミセルは、それ以上のサイズに成長できないと考えられている。このことは、観測される狭いサイズ分布を説明している(図12を参照)。
【0035】
上記に記載されているミセルは、本発明に従ってin situで形成することができ、本発明の方法により得ることができる食品又は飲料組成物中に存在する。
【0036】
本発明の方法における第1ステップは、天然乳漿タンパクを含む飲料又は液体食料品パッケージを提供することである。
【0037】
本発明の方法で使用される乳漿タンパクとして、任意の市販乳漿タンパク単離物又は濃縮物、すなわち、当技術分野において知られている乳漿タンパクを調製するための任意のプロセスにより得られる乳漿タンパク、並びにそれらから調製される乳漿タンパク画分、又はβ−ラクトグロブリン(BLG)、α−ラクトアルブミン及び血清アルブミンなどのタンパクを使用することができる。特に、チーズ製造における副成物として得られる甘性乳漿、酸カゼイン製造における副成物として得られる酸性乳漿、ミルク精密ろ過により得られる天然乳漿又はレンネットカゼイン製造における副成物として得られるレンネット乳漿を乳漿タンパクとして使用することができる。乳漿タンパクは、単一供給源からでも任意の供給源の混合物からであってもよい。乳漿タンパクは、ミセル形成の前に、いかなる加水分解ステップも受けないことが好ましい。したがって、乳漿タンパクは、ミセル化の前に、いかなる酵素処理にもさらされない。本発明によれば、ミセル形成プロセスでは乳漿タンパクを使用し、その加水分解物は使用しないことが重要である。
【0038】
本発明は、ウシ起源からの乳漿単離物に限定されることはないが、ヒツジ、ヤギ、ウマ、及びラクダなどのすべての哺乳動物種からの乳漿単離物に関する。また、本発明によるプロセスは、ミネラル化された、脱ミネラル化された、又はわずかにミネラル化された乳漿調製物に当てはまる。「わずかにミネラル化された」とは、透析可能又は透析ろ過可能な遊離ミネラルを除去した後の乳漿調製物で、例えば、乳漿タンパク濃縮物又は単離物を調製した後の天然ミネラル化により、それに関連したミネラルを維持している、任意の乳漿調製物を意味する。これらの「わずかにミネラル化された」乳漿調製物は、特定のミネラル強化がされていない。
【0039】
乳漿タンパクは、必須アミノ酸(AA)の優れた供給源である(45%)。カゼイン(0.3gシステイン/100gタンパクを含有する)と比較して、甘性乳漿タンパクは、システインを7倍多く含有し、酸性乳漿は、システインを10倍多く含有する。システインは、ストレスの場合に身体の防御で一番重要な機能を有するグルタミン酸、システイン及びグリシンでできているトリペプチドであるグルタチオン(GSH)合成の律速アミノ酸である。これらのアミノ酸の必要性は、ストレスの場合及び高齢者で増加することがある。また、乳漿タンパクを含むグルタチオンの経口補給は、HIV感染患者の血漿中GSHレベルを高めることが明らかにされている(Eur.J.Clin.Invest.2001;31、171〜178)。
【0040】
乳漿タンパクにより提供される他の健康上の利益は、筋肉の発生及び構築の強化、並びに小児、成人又は高齢者における筋肉の維持、免疫機能の強化、認知機能の改善、糖尿病患者に適しているような血糖の管理、体重管理及び満腹、抗炎症作用、創傷治癒及び皮膚修復、血圧の低下などを包含する。
【0041】
乳漿タンパクは、例えば、カゼイン(PER=100)と比較して、より良好なタンパク効率(PER=118)を有する。PERは、そのようなタンパクが、いかに良く体重増加を支えるかを測定することにより評価されるタンパク品質の尺度である。PERは、以下の式により計算することができる。:
PER=体重増加(g)/タンパク摂取重量(g)
例: PER 対カゼイン%
カゼイン 3.2 100
卵 3.8 118
乳漿 3.8 118
全大豆 2.5 78
小麦グルテン 0.3 9
【0042】
本発明のプロセスの場合、天然乳漿タンパクは、パッケージで提供される。パッケージの内容物は、希釈される乾燥成分の形態又は液体形態であってよい。
【0043】
乾燥成分の形態で提供される場合、パッケージの内容物は、本質的に乾燥した粉末であることが好ましい。前記粉末は、少なくとも4%、好ましくは6%程度の量で天然乳漿タンパクを含む。さらに、粉末は、脱水された料理、塩、乾燥可溶性コーヒー顆粒、茶抽出物、植物抽出物、砂糖などの粉末形態の他の食品成分を含むことがある。
【0044】
加熱する前に、乾燥パッケージ内容物は、乳漿タンパクが溶液中にある場合、溶液の総重量を基準にして0.1重量%〜12重量%の量で、好ましくは0.1重量%〜8重量%の量で、より好ましくは0.2重量%〜7重量%の量で、さらにより好ましくは0.5重量%〜6重量%の量で、最も好ましくは1重量%〜4重量%の量で存在するように希釈される。
【0045】
粉末は、水で希釈されることが好ましい。
【0046】
パッケージの内容物が液体形態で提供される場合、液体は、溶液の総重量を基準にして0.1重量%〜12重量%の量で、好ましくは0.1重量%〜8重量%の量で、より好ましくは0.2重量%〜7重量%の量で、さらにより好ましくは0.5重量%〜6重量%の量で、最も好ましくは1重量%〜4重量%の量で天然乳漿タンパクを含む。
【0047】
加熱ステップの前に存在するような乳漿タンパク調製物の水溶液は、粉末成分又は溶液自体に由来してもよい追加の化合物を含むこともある。そのような追加の化合物は、例えば、それぞれの乳漿生成プロセスの副成物、他のタンパク、ガム又は炭水化物である。
【0048】
パッケージは、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物、甘性デザート成分、脂肪、食塩、乳化剤、砂糖、マルトデキストリン、アカシアガム又はカラゲナンなどの多糖、穀類、可溶性繊維などの他の食品成分を含むことがある。パッケージは、バニラ、カラメル、果実、チョコレート、コーヒー、シナモンアロマなどのアロマを含むことがある。パッケージは、甘味料、カフェイン、ビタミン、ミネラル、薬物、リガンド、生物活性剤などの他の機能成分を含むこともある。
【0049】
乳漿タンパク、並びにその画分及び/又はその主要タンパクは、精製形態で、又は粗生成物の形態で同様に使用することができる。好ましい実施形態によれば、飲料又は液体食料品を調製するための乳漿タンパク中の二価カチオンの含量は、2.5%未満、より好ましくは2%未満、さらにより好ましくは0.2%未満であってよい。乳漿タンパクは、完全に脱ミネラル化されていることが最も好ましい。
【0050】
本発明の知見によれば、天然乳漿タンパク水溶液のpH及びイオン強度は、本発明の方法における重要な要素である。したがって、Ca、K、Na、Mgなどの遊離カチオンを実質的に欠いている、又はそれらが激減している天然乳漿タンパクの広範囲に透析された試料の場合、5.4未満のpHで10秒〜最大2時間の熱処理を行う場合、凝乳が得られるが、6.8を超えるpHでは、可溶性乳漿タンパクが生じることが分かった(図1を参照)。したがって、このかなり狭いpH領域においてのみ、1μm未満の直径を有する乳漿タンパクミセルが得られるであろう。これらのミセルは、全体として負電荷を有するであろう。同じミセル形態は、対称的に等電pH未満、すなわち、3.5〜5.0、より好ましくは3.8〜4.5で得ることもでき、正に帯電したミセルが生じる(図6を参照)。
【0051】
したがって、正に帯電したミセルを得るために、乳漿タンパクのミセル化は、タンパク源のミネラル含量に応じて3.8〜4.5の間に調整されたpH値で塩を含まない溶液中で行うことができる。
【0052】
本発明の方法により得られるミセルは、全体として負電荷を有することが好ましい。したがって、好ましい実施形態において、加熱する前の水溶液のpHは、5〜9の範囲であってよい。
【0053】
より具体的には、負に帯電したミセルを得るために、pHは、低い二価カチオン含量では(例えば、初期乳漿タンパク粉末の0.2%未満)、5.6〜6.4、より好ましくは5.8〜6.0の範囲であってよい。pHは、乳漿タンパク源(濃縮物又は単離物)のミネラル含量に応じて8.4まで高められる。特に、pHは、大量の遊離ミネラルの存在下で負に帯電したミセルを得るために7.5〜8.4、好ましくは7.6〜8.0であってよく、pHは、中程度の量の遊離ミネラルの存在下で負に帯電したミセルを得るために6.4〜7.4、好ましくは6.6〜7.2であってよい。一般規則として、初期乳漿タンパク粉末のカルシウム及び/又はマグネシウム含量が高ければ高いほど、ミセル化のpHは高くなる。
【0054】
乳漿タンパクミセルの形成の条件を標準化するために、知られている脱ミネラル化技法(透析、限外ろ過、逆浸透、イオン交換クロマトグラフィーなど)のいずれかにより、甘性乳漿、乳の精密ろ過浸透液又は酸性乳漿(タンパク含量0.9%)のタンパク濃度からタンパク含量30%の濃縮物のタンパク濃度までの範囲にあるタンパク濃度を有する任意の供給源の天然液体乳漿タンパクを脱ミネラル化することが最も好ましい。透析は、水(蒸留水、脱イオン水又は軟水)に対して行うことができるが、これは、乳漿タンパクに弱く結合しているイオンを除去するに過ぎないため、pH4.0未満の酸(有機又は無機)に対して透析し、乳漿タンパクのイオン組成をより良く制御することがより好ましい。そうすることにより、乳漿タンパクミセル形成のpHは、pH7.0未満、より好ましくは5.8〜6.6となる。
【0055】
パーケージの内容物が液体形態である場合、pHは、一般的に、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸又は乳酸などの食品等級であることが好ましい酸の添加により調整される。ミネラル含量が高い場合、pHは、一般的に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化アンモニウムなどの食品等級であることが好ましいアルカリ溶液の添加により調整される。いかなる場合でも、液体のpHは、5〜9、好ましくは5〜8である。
【0056】
パーケージの内容物が乾燥形態である場合、乾燥成分は、水で希釈した場合、加熱する前の溶液のpHが5〜9、好ましくは5〜8であるように選択される。
【0057】
代替方法として、pH調整ステップが望ましくない場合、pHを一定に保ちながら、乳漿タンパク調製物のイオン強度を調整することが可能である。次いで、イオン強度を、7の一定pH値でミセル化が可能になるように有機又は無機イオンにより調整することができる。図4は、イオン強度を70〜80mMのアルギニンHClの添加により変化させながら、7.0の一定pH値でミセルを形成できることを示している。
【0058】
乳漿タンパクの熱処理中のpH値の実質的な変化を避けるために、乳漿タンパクの水溶液又は乾燥粉末に緩衝液をさらに加えることができる。原則的に、緩衝液は、任意の食品等級緩衝系、すなわち、例えば酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムなどの酢酸及びその塩、リン酸及びその塩、例えば、NaH2PO4、Na2HPO4、KH2PO4、K2HPO4、又はクエン酸及びその塩などから選択することができる。
【0059】
水溶液のpH及び/又はイオン強度を調整することは、100nm〜900nm、好ましくは100〜700nm、最も好ましくは200〜400nmのサイズを有するミセルが得られる制御されたプロセスをもたらす。100〜700nmの寸法を有するミセルの分布は、本発明のプロセスを行う場合に80%を超えることが好ましい(図12を参照)。
【0060】
規則的な形状のミセルを得るために、本発明によれば、乳漿タンパクが、ミセル形成の前にいかなる加水分解ステップをも受けないことも重要である。
【0061】
次いで、本発明のプロセスの第2のステップにおいて、天然乳漿タンパクを含む調製物は、熱処理にかけられる。本発明のパッケージが粉末の形態である場合、水は、一般的に、加熱ステップの前に添加される。この点については、乳漿タンパクミセルを得るためには、約70〜95℃未満、好ましくは約82〜約89℃、より好ましくは約84〜約87℃の範囲、最も好ましくは約85℃の温度を有することが重要であることが分かった。
【0062】
望ましい温度に達した時点で、乳漿タンパクを含む調製物は、最短10秒及び最長2時間にわたってこの温度に保たれる。乳漿タンパク水溶液が望ましい温度範囲に保たれる時間は、12〜25分、より好ましくは12〜20分の範囲であり、最も好ましくは約15分であることが好ましい。
【0063】
熱処理は、溶液1ml当たり0.8秒〜1.2秒の時間/量比でマイクロ波により加熱することができる電子レンジ又は任意の類似機器内で行うこともできる。これは、加熱する前の溶液の初期温度及び電子レンジの出力により異なるであろう。例えば、沸騰温度(833mの高度で98℃)まで1500Wの機器内で加熱される4重量%タンパク溶液は、溶液1mL当たり約1秒を必要とする。
【0064】
本発明に従ってパッケージの内容物を加熱すると、同時に天然乳漿タンパクを少なくとも部分的に乳漿タンパクミセルへ変換しながら、すぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製することができる。溶液は、80℃〜100℃、好ましくは70〜95℃未満の温度まで加熱されることが好ましい。
【0065】
図2に示すように、濁度測定は、ミセル形成の指標である。本発明によれば500nmにおける吸光度により測定される濁度は、1%タンパク溶液については少なくとも3吸光度単位であるが、ミセル化の収率が80%を超える場合(図2を参照)、16吸光度単位に達することがある。本発明の結果として、加熱された溶液は、乳漿タンパクミセルの存在によって乳状の外見を有するであろう。
【0066】
物理化学的な観点からミセル形成の影響をさらに例示するために、Bipro(登録商標)の1重量%分散液を、MilliQ水中、pH6.0及び6.8で85℃にて15分にわたって加熱した。熱処理後に得られる凝集体の流体力学的直径は、動的光散乱により測定した。凝集体の見かけの分子量は、いわゆるデバイプロットを用いる静的光散乱により決定した。表面疎水性は、疎水性ANSプローブを用いて精査し、遊離のアクセス可能なチオール基は、標準アミノ酸としてシステインを用いるDTNB法により精査した。最後に、凝集体の形態は、ネガティブ染色TEMにより検討した。結果を表1に示す。
【表1】
【0067】
表1から、pH6.0で形成された乳漿タンパクミセルは、タンパクの固有ANS表面疎水性を、同じ条件であるがpH6.8で加熱された非ミセル化乳漿タンパクと比較して、1/2に減少させることは明らかである。ミセル形成は、非ミセル化タンパクの0.64×106g・mol−1と比較して極めて高い分子量27×106g・mol−1にも見ることができ、ミセル内における物質の極めて凝縮された状態を示している(水の量が少ない)。大変興味深いことに、ミセルのζ−電位は、非ミセル化タンパクがミセルよりも塩基性のpHで形成された場合であっても、非ミセル化タンパクよりもさらに陰性である。これは、溶媒にさらされているミセルのより親水性の表面の結果である。最後に、ミセルのチオール反応性が、異なる熱処理のpHのために、非ミセル化タンパクの反応性よりもかなり低いことに留意すべきである。
【0068】
天然乳漿タンパクのミセルへの変換収率は、天然乳漿タンパクの初期タンパク濃度が高い場合に低下することが分かった。例えば、乳漿タンパク単離物Prolacta 90(Lactalisからのロット番号673)から出発した場合、乳漿タンパクミセル形成の収率は、85%(タンパク4%から出発した場合)から50%(タンパク12%から出発した場合)まで低下する。乳漿タンパクミセルの形成を最大限に高めるためには(>85%の初期タンパク含量)、12%未満、好ましくは4%未満のタンパク濃度を有する乳漿タンパク水溶液から出発した方が良い。意図した最終的応用に応じて、タンパク濃度を熱処理の前に調整し、最適な乳漿タンパクミセル収率を管理する。
【0069】
本発明の方法によれば、天然乳漿タンパクは、加熱ステップ中に乳漿タンパクミセルへ変換される。天然乳漿タンパクをミセルへ変換する収率は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%であり、残りの可溶性凝集体又は可溶性タンパク含量は、20%未満であることが好ましい。本発明の方法に従って得られる乳漿タンパクミセルは、1μm未満、好ましくは、100〜900nm、より好ましくは、100〜700nm、最も好ましくは、200〜400nmの平均直径を有する。
【0070】
平均ミセルサイズは、多分散性指数が0.200未満であることを特徴とする。
【0071】
本発明の方法の利点は、このようにして調製される乳漿タンパクミセルが、形成中の粒子サイズの減少につながるいかなる機械的ストレスも受けなかったことである。この方法は、剪断がない熱処理中に乳漿タンパクの自発的ミセル化を誘発する。
【0072】
乳漿タンパクミセルが、白色化剤、乳化剤、脂肪代替物、ミセル状カゼインの代替物又は起泡剤として使用するのに理想的に適していることが明らかにされたのは、それらが、長期にわたって水性系において脂肪及び/又は空気を安定化することができるからである。
【0073】
乳漿タンパクミセルは、例えば、乳状の泡マトリックスにおける安定剤であることが明らかにされた。泡安定性は、非ミセル化乳漿タンパクの使用を本発明のミセル化乳漿タンパクと対比して比較している図5に示されている。
【0074】
したがって、乳漿タンパクミセルを乳化剤として使用することができ、この材料が理想的に適しているのは、乳漿タンパクミセルが、中間の味を有し、そのような材料の使用により異臭が生じないからである。それらは、ミセル状カゼイン代替物として使用することもできる。
【0075】
さらに、本発明の乳漿タンパクミセルは、白色化剤としての機能を果たすことができるため、1つの化合物でいくつかの仕事を遂行することができる。乳漿は、大量に入手できる材料であるため、その使用は、その栄養的価値を同時に高めながら、乳化剤、充填剤、白色化剤又は起泡剤を必要とする製品のコストを軽減する。実際に、本発明により得られるミセルは、出発乳漿タンパクに等しい少なくとも100、好ましくは少なくとも110のタンパク効率を有し、このことが、ミセルを重要な栄養成分にしている。
【0076】
したがって、本発明によるパッケージは、コーヒー成分及び乳漿タンパクを含むことがあり、加熱することにより、乳漿タンパクミセルは、白色化剤としての役割を果たす。パッケージ中のコーヒー成分は、乾燥、可溶性状態であってよい。
【0077】
熱処理後の、それらの中間の味、それらの白色化力及びそれらの安定性のために、本発明の乳漿タンパクミセルを使用し、脱脂粉乳の白色度及び口当たりを高めることができる。
【0078】
同じ総タンパク含量について乳製品系の白色化力を高めることばかりでなく、食品マトリックス中の脂肪含量を低減することができる。この特徴が本発明の乳漿タンパクミセルの特別な利点であるのは、例えば、ミルク自体に由来する追加の脂肪を添加することなくミルククリーマーを加えることができるからである。
【0079】
したがって、本発明の方法は、例えば、カプチーノインスタント飲料、コーヒークリーマーなどの乳濁液又は泡の安定化を必要とするあらゆる種類のすぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製するために、又は低脂肪若しくは本質的に脂肪を含まない乳製品においても、又は乳漿タンパクミセルがミセル状カゼイン代替物として応用される場所でも使用することができる。「液体食料品」とは、ヒト又は動物が消費することができる液体又は半液体形態の任意の食品を意味する。
【0080】
したがって、本発明のパッケージは、コーヒー、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物成分、甘性デザート成分などから選択される成分を含むことがある。
【0081】
本発明の乳漿タンパクミセルを応用することができる製品の例は、例えば、スープ、乳製品、低温殺菌UHTミルク、加糖練乳、フラッペ、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ダークチョコレート、ホットチョコレート、ソース、デザート製品、カプチーノコーヒー、コーヒークリーマー、フォーム剤、乳剤、発酵穀類ベースの製品、特殊調製粉乳、ペットフード、液体経口サプリメントなどの食品である。
【0082】
さらに、本発明は、天然乳漿タンパク及び他の飲料又は液体食料品成分を含むインスタント食品パッケージを提供する。パッケージの内容物を加熱することにより、乳漿タンパクミセルは、容易なステップにおいてin situで得られる。したがって、乳漿タンパクミセルに関連したすべての利益(例えば、乳化剤、白色化剤、安定化剤、栄養剤など)は、乳漿タンパクミセルを形成するための手の込んだ技法を用いる必要なく得られる。さらに、高価な乳化剤、安定化剤などの代わりに天然乳漿タンパクを用いるコスト優位性は、途方もなく大きい。したがって、栄養的にバランスがとれた魅力的な温かい飲料又は液体消費物が容易に得られる。
【0083】
本発明の他の態様において、生成されるすぐに食べられる飲料又は液体食料品は、消費する前に冷却することができる。代替方法として、乳製品、マヨネーズ、サラダ用ドレッシング、低温殺菌UHTミルク、加糖練乳、ヨーグルト、発酵乳、ミルクベースの発酵製品、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ダークチョコレート、ムース、フォーム剤、乳剤、アイスクリーム、発酵穀類ベースの製品、ミルクベースの粉末、特殊調製粉乳、食事強化剤、ペットフード、錠剤、液体細菌懸濁剤、乾燥経口サプリメント、液体経口サプリメントなどの他の消費物の製造における成分としてさらに使用することができる。
【0084】
実際に、それらの安定性のため、熱処理中に生成されるミセルは、いかなる冷却及びさらなる処理にもかかわらず、それらの特徴及び機能を保全するであろう。
【0085】
図10及び11は、乳漿タンパクミセルの安定性を天然乳漿タンパクと比較しており、乳漿タンパクミセルは、加熱に対して著しくより抵抗性である。
【0086】
さらに、乳漿タンパクの基本的ミセル構造は、濃縮、噴霧乾燥、凍結乾燥、ローラー乾燥などのさらなる処理にもかかわらず、保全されることが分かった。実際に、乳漿タンパクミセル濃縮物から得られる粉末は、室温又は50℃にて水中に容易に再分散させることができる。乳漿タンパクミセルのサイズ及び構造は、初期濃縮物と比較して、十分に保全される。例えば、タンパク濃度20%で噴霧乾燥された乳漿タンパクミセル濃縮物を、タンパク濃度50%で50℃にて脱イオン水中に再分散させた。ミセルの構造を、TEMにより精査し、図9と比較することができる。類似の形状のミセルが得られた。ミセルの直径は、動的光散乱により315nmであり、多分散性指数は0.2であることが分かった。
【0087】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明をそれらに限定するものではない。
【実施例】
【0088】
本発明のミセルの調製について詳細に記載する以下の実施例を参照することにより、本発明をさらに明確にする。本明細書に記載され請求の範囲に記載されている本発明が、本明細書に開示されている具体的な実施形態により範囲が限定されてはならないのは、これらの実施形態が、本発明のいくつかの態様の例示として意図されているからである。いかなる等価な実施形態も、本発明の範囲内にあることが意図されている。実際に、本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明の様々な変更形態は、上記の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲に含まれることも意図されている。
【0089】
実施例1:β−ラクトグロブリンのミセル化
β−ラクトグロブリン(ロットJE002−8−922、13−12−2000)は、Davisco(Le Sueur、MN、USA)から入手した。タンパクは、限外ろ過及びイオン交換クロマトグラフィーにより甘性乳漿から精製した。粉末の組成は、タンパク89.7%、水分8.85%、灰分1.36%(Ca2+0.079%、Mg2+0.013%、K+0.097%、Na+0.576%、Cl−0.050%)である。使用される他の試薬はすべて、分析等級(Merck Darmstadt、Germany)とした。
【0090】
タンパク溶液は、MilliQ(登録商標)水(Millipore)中でのβ−ラクトグロブリンの溶媒和、及び2時間にわたって20℃にて撹拌することにより、濃度0.2%にて調製した。次いで、アリコートのpHを、HCl添加により5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0に調整した。溶液を、20mlのガラスバイアル(Agilent Technologies)に充填し、ケイ素/PTFEシーリングを含有するアルミニウムカプセルで密封した。溶液を、15分にわたって85℃(この温度に到達する時間は2.30〜3.00分)にて加熱した。熱処理後、試料を氷水中で20℃まで冷却した。
【0091】
生成物の視覚的外観(図1)は、ミセル化の最適pHが5.8であることを示している。
【0092】
実施例2:乳漿タンパク単離物のミセル化
乳漿タンパク単離物(WPI)(Bipro(登録商標)、バッチJE032−1−420)は、Davisco (Le Sueur、MN、USA)から入手した。粉末の組成を表2に報告する。
【0093】
タンパク溶液は、MilliQ(登録商標)水(Millipore)中での乳漿タンパク粉末の溶媒和、及び2時間にわたって20℃にて撹拌することにより、タンパク3.4%にて調製した。初期pHは7.2であった。次いで、アリコートのpHを、0.1N HCl添加により5.6、5.8、6.0、6.2、6.4及び6.6に調整した。
【0094】
溶液を、20mlのガラスバイアル(Agilent Technologies)に充填し、ケイ素/PTFEシーリングを含有するアルミニウムカプセルで密封した。溶液を、15分にわたって85℃(この温度に到達する時間は2.30〜2.50分)にて加熱した。
【0095】
熱処理後、試料を氷水中で20℃まで冷却した。
【0096】
加熱された乳漿タンパクの濁度を、500nm及び25℃にて測定した。試料を、0.1〜3吸光度単位の範囲で測定できるように希釈した(Spectrophotometer Uvikon 810、Kontron Instrument)。値は、初期タンパク濃度3.4%について計算した。
【0097】
図2に例示されているように、同じ試料について10分の間隔内で500nmにおいて測定される吸光度が安定(初期値の5%未満の変動)した時点で、ミセル化のpHに達したと見なした。この生成物の場合、ミセル化の最適pHは、6.0〜6.2であった。熱処理前に調整されたこのpHの場合、安定な濁度は、21であり、遠心分離後に280nmにおける吸光度により評価された残りの可溶性タンパクは、1.9%であった。我々は、初期タンパクの45%が、pH6.0にてミセルへ変換されたという結論を下すことができる。
【表2】
【0098】
実施例3:ミセルの顕微鏡観察
ミセルの生成:
タンパク溶液は、MilliQ(登録商標)水(Millipore)中での乳漿タンパク粉末(WPI90バッチ989/2、Lactalis、Retier、France)の溶媒和によりタンパク2%にて調製し、2時間にわたって20℃において撹拌した。次いで、アリコートのpHを、0.1N HCl又は0.1N NaOHを用いて調整した。
【0099】
溶液を、20mlのガラスバイアル(Agilent Technologies)に充填し、ケイ素/PTFEシーリングを含有するアルミニウムカプセルで密封した。溶液を、15分にわたって85℃(この温度に到達する時間は2.30〜2.50分)にて加熱した。熱処理後、試料を氷水中で20℃まで冷却した。この生成物の場合、ミセル化の最適pHは7.4であった。
【0100】
顕微鏡観察:
液体ミセル試料を、寒天ゲルチューブ中に封入した。固定は、0.1M、pH7.4のカコジル酸塩緩衝液中の2.5%グルタルアルデヒドの溶液中に浸漬することにより行い、後固定は、同じ緩衝液中の2%四酸化オスミウムで行ったが、両溶液は、0.04%ルテニウムレッドを含有していた。段階的なエタノール系列(70、80、90、96、100%エタノール)における脱水後、試料を、スパー樹脂(スパー/エタノール1:1、2:1、100%)に包埋した。樹脂の重合(70℃、48時間)後、半薄切片及び超薄切片を、LeicaウルトラカットUCTウルトラミクロトームで切り出した。酢酸ウラニル水溶液及びクエン酸鉛水溶液で染色した超薄切片を、透過型電子顕微鏡(Philips CM12、80kV)で調べた。
【0101】
TEM顕微鏡写真を図3に示す。得られるミセルは、直径200nmの球形形状を呈している。
【0102】
粒径分布
強度ベースのミセルのサイズ分布は、pH4.25(約+25mVのゼータ電位で正に帯電している)及びpH6.0(約−30mVのゼータ電位で負に帯電している)で85℃にて15分にわたる1重量%β−ラクトグロブリン分散液の熱処理により得られるミセルについて測定した。ミセルのZ平均流体力学的直径は、pH4.25にて229.3mm及びpH6.0にて227.2であった。β−LG及び乳漿タンパク凝集体は、動的光散乱を用いて追跡した。633nmのレーザー放射及び4.0mWの出力を備えたNanosizer ZS装置(Malvern Instruments、UK)を使用した。装置は、検出が173°の散乱角で行われる後方散乱配置で使用した。これにより、混濁試料で見られる複数の散乱シグナルをかなり低減することができる。試料は、正方形の石英セル(Hellma、光路長1cm)に入れた。光線の光路長は、試料濁度(減衰)に応じて、装置により自動的に設定した。自己相関関数は、散乱強度の変動から計算した。結果を図6に示す。これは、平均的な粒子が、極めて狭い多分散指数(<0.200)を特徴としていることを示している。
【0103】
実施例4:一定pHにおけるβ−ラクトグロブリンのミセル化
2%β−ラクトグロブリンの水溶液を用いるという条件で、実施例1に記載されている方法を繰り返した。この溶液のpHは、アルギニンHCl溶液を添加し、5〜200mMの最終塩濃度及び1%の最終β−ラクトグロブリン濃度を得た後で、7.0に調節されていた。続いて、熱処理(80℃、10分、昇温に約2分)を行い、ミセルを生成させた。
【0104】
結果を図4に示す。この結果は、約50〜70mMのイオン強度範囲においてのみ、乳漿タンパクミセルの存在を示す実質的な濁度を観察することができることを明確に示している。
【0105】
実施例5:白色化剤の調製
天然乳漿タンパク(WPI95バッチ848、Lactalis;8重量%水溶液)を、実施例2に従って処理した。得られた生成物の明度(L)は、2mmの測定セルを備えたMacBeth CE−XTH D65 10° SCE装置を用い、透過−反射モードで測定した。得られた明度は、L=74.8であり、高脂肪乳のL=74.5という値と比較することができそうである。
【0106】
実施例6:乳漿タンパクミセルのin situ形成
【表3】
【0107】
スリーインワン(コーヒー、甘味料、白色化剤)コーヒー乾燥製品のための方法
可溶性コーヒーを、インスタントWPI粉末、スクロース及びリン酸二水素ナトリウム一水和物と一緒に乾燥混合する。次いで、このブレンドを、密封したアルミニウムパックに保存し、一定の含水量を確保する。このドライミックス10gを、カップ中の水90gに分散させ、100秒にわたって電子レンジで加熱すると、乳漿タンパク強化ミルクコーヒーを得ることができる。
【0108】
液体製品のための方法
可溶性コーヒーを、インスタントWPI粉末、スクロース及びリン酸二水素ナトリウム一水和物と一緒に水に分散させる。次いで、この液体ブレンドを、精密ろ過し、ポリプロピレン瓶中に4℃にて保存する。このすぐに使えるスリーインワンコーヒーブレンド100mlをカップに注ぎ、100秒にわたって電子レンジで加熱すると、乳漿タンパク強化ミルクコーヒーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】β−ラクトグロブリンのミセル化に対するpH及び熱処理の影響を明らかにする実験の結果を示す図である。
【図2】500nmにおける濁度測定を用い、市販調製物(Bipro(登録商標)、バッチJE032−1−420)についてミセル化のpHを決定するための手段を示す図である。
【図3】pH7.4における乳漿タンパクミセル(2重量%、WPI95、Lactalis)の透過型電子顕微鏡写真を示す図である。スケールバーは、200nmである。
【図4】7.0の一定pHにおけるタンパクミセルの形成に対するイオン強度(アルギニンHCl)の影響を評価する実験の結果を示す図である。
【図5】60mMアルギニンHClの存在下、pH7.0にて1重量%β−ラクトグロブリンミセル(Davisco)により安定化された泡の容積安定性(FVS)を、非ミセル化β−ラクトグロブリンと比較して示す図である。
【図6】2〜8のpHにて85℃において15分にわたる1重量%β−ラクトグロブリン分散液の熱処理により得られる乳漿タンパクの強度ベースの流体力学的相当直径を示す図である。乳漿タンパクミセルは、pH4.25(約+25mVのゼータ電位で正に帯電している)及びpH6.0(約−30mVのゼータ電位で負に帯電している)にて得られる。ミセルのZ平均流体力学的直径は、pH4.25にて229.3nmであり、pH6.0にて227.2nmであった。ネガティブ染色後にTEMにより得られるミセルの対応する顕微鏡写真を示す。スケールバーは、1μmである。
【図7】乳漿タンパクミセルの高度に簡略化した構造を示す図である。
【図8】タンパク含量4%にて得られる乳漿タンパクミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡写真を示す図である。
【図9】精密ろ過後にタンパク含量20%にて得られる乳漿タンパクミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡写真を示す図である。
【図10】15分にわたって85℃において加熱した後のNaClの存在下、pH7.0における精密ろ過後、タンパク含量10%にて得られる乳漿タンパクミセル分散液の熱安定性を示す図である。
【図11】15分にわたって85℃において加熱した後のNaClの存在下、pH7.0にてタンパク含量4%にて得られる乳漿タンパク分散液の熱安定性を示す図である。
【図12】pH5.9にて処理された4%Prolacta90乳漿タンパク単離物を用いる本発明のプロセスにより得られるミセルのサイズ分布を示すグラフを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温かい飲料又は液体食料品を調製するための方法であって、
天然乳漿タンパクを含む飲料又は液体食料品パッケージを提供するステップと、
加熱されたすぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製するためにパッケージの内容物を加熱し、同時に天然乳漿タンパクを少なくとも部分的に乳漿タンパクミセルへ変換するステップとを含む方法。
【請求項2】
パッケージの内容物が、加熱ステップの前に水が添加される粉末の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パッケージの内容物が、液体の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
加熱する前の溶液のpHが、5〜9、好ましくは5〜8である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
加熱する前の溶液中の天然乳漿タンパク含量が、12%未満である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加熱する前の溶液中の天然乳漿タンパク含量が、4%未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
加熱が、製品1ml当たり0.3〜3秒、好ましくは0.8〜1.2秒にわたって行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
加熱が、マイクロ波照射源を用いて行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溶液が、80℃〜100℃の温度まで加熱される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
パッケージが、コーヒー成分を含み、乳漿タンパクミセルが、白色化剤としての役割を果たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コーヒー成分が、乾燥、可溶性状態である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
パッケージが、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物成分、甘性デザート成分、脂肪、食塩、乳化剤、砂糖、マルトデキストリン、多糖、穀類、可溶性繊維又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加熱ステップ中に、天然乳漿タンパクが、変性され、ミセルへ変換される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
天然乳漿タンパクのミセルへの変換の収率が、少なくとも20%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
変換の収率が、少なくとも50%である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
変換の収率が、少なくとも80%である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ミセルが、100nm〜900nmの平均直径を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
形成されるミセルが、白色化剤としての役割を果たす、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
すぐに食べられる飲料又は液体食料品が、消費の前に冷却される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
すぐに食べられる飲料又は液体食料品が、他の消費可能な製品の製造における成分として使用される、1〜19請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法により得られる食品又は飲料組成物。
【請求項22】
天然乳漿タンパク及び飲料又は液体食料品成分を含むインスタント食品パッケージ。
【請求項23】
パッケージの内容物が、本質的に乾燥粉末である、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項24】
乾燥粉末が、水和された場合に、乳漿タンパクが、5〜9、好ましくは5〜8の範囲で規定のpH値を有する液体中に分散されるようになっている、請求項23に記載のパッケージ。
【請求項25】
パッケージの内容物が、5〜8のpHを有する液体中の天然乳漿タンパクを含む、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項26】
パッケージの内容物が、コーヒー成分を含み、乳漿タンパクミセルが、白色化剤としての役割を果たす、請求項22〜25のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項27】
コーヒー成分が、乾燥、可溶性状態である、請求項26に記載のパッケージ。
【請求項28】
パッケージが、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物成分、甘性デザート成分、脂肪、食塩、乳化剤、砂糖、マルトデキストリン、多糖、穀類、可溶性繊維又はそれらの2種以上の成分の任意の組合せから選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項22〜27のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項29】
パッケージが、バニラ、カラメル、果実、チョコレート、コーヒー、シナモンなどのアロマを含む、請求項22〜28のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項30】
甘味料、カフェイン、ビタミン、ミネラル、薬物、リガンド、生物活性剤又はそれらの2種以上の成分の任意の組合せの群から選択される少なくとも1種の機能成分をさらに含む、請求項22〜29のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項1】
温かい飲料又は液体食料品を調製するための方法であって、
天然乳漿タンパクを含む飲料又は液体食料品パッケージを提供するステップと、
加熱されたすぐに食べられる飲料又は液体食料品を調製するためにパッケージの内容物を加熱し、同時に天然乳漿タンパクを少なくとも部分的に乳漿タンパクミセルへ変換するステップとを含む方法。
【請求項2】
パッケージの内容物が、加熱ステップの前に水が添加される粉末の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パッケージの内容物が、液体の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
加熱する前の溶液のpHが、5〜9、好ましくは5〜8である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
加熱する前の溶液中の天然乳漿タンパク含量が、12%未満である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加熱する前の溶液中の天然乳漿タンパク含量が、4%未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
加熱が、製品1ml当たり0.3〜3秒、好ましくは0.8〜1.2秒にわたって行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
加熱が、マイクロ波照射源を用いて行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溶液が、80℃〜100℃の温度まで加熱される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
パッケージが、コーヒー成分を含み、乳漿タンパクミセルが、白色化剤としての役割を果たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コーヒー成分が、乾燥、可溶性状態である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
パッケージが、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物成分、甘性デザート成分、脂肪、食塩、乳化剤、砂糖、マルトデキストリン、多糖、穀類、可溶性繊維又はそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加熱ステップ中に、天然乳漿タンパクが、変性され、ミセルへ変換される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
天然乳漿タンパクのミセルへの変換の収率が、少なくとも20%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
変換の収率が、少なくとも50%である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
変換の収率が、少なくとも80%である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ミセルが、100nm〜900nmの平均直径を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
形成されるミセルが、白色化剤としての役割を果たす、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
すぐに食べられる飲料又は液体食料品が、消費の前に冷却される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
すぐに食べられる飲料又は液体食料品が、他の消費可能な製品の製造における成分として使用される、1〜19請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法により得られる食品又は飲料組成物。
【請求項22】
天然乳漿タンパク及び飲料又は液体食料品成分を含むインスタント食品パッケージ。
【請求項23】
パッケージの内容物が、本質的に乾燥粉末である、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項24】
乾燥粉末が、水和された場合に、乳漿タンパクが、5〜9、好ましくは5〜8の範囲で規定のpH値を有する液体中に分散されるようになっている、請求項23に記載のパッケージ。
【請求項25】
パッケージの内容物が、5〜8のpHを有する液体中の天然乳漿タンパクを含む、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項26】
パッケージの内容物が、コーヒー成分を含み、乳漿タンパクミセルが、白色化剤としての役割を果たす、請求項22〜25のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項27】
コーヒー成分が、乾燥、可溶性状態である、請求項26に記載のパッケージ。
【請求項28】
パッケージが、スープ成分、ソース成分、ココア成分、茶成分、植物抽出物成分、甘性デザート成分、脂肪、食塩、乳化剤、砂糖、マルトデキストリン、多糖、穀類、可溶性繊維又はそれらの2種以上の成分の任意の組合せから選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項22〜27のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項29】
パッケージが、バニラ、カラメル、果実、チョコレート、コーヒー、シナモンなどのアロマを含む、請求項22〜28のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項30】
甘味料、カフェイン、ビタミン、ミネラル、薬物、リガンド、生物活性剤又はそれらの2種以上の成分の任意の組合せの群から選択される少なくとも1種の機能成分をさらに含む、請求項22〜29のいずれか一項に記載のパッケージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−531044(P2009−531044A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502067(P2009−502067)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052906
【国際公開番号】WO2007/110423
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052906
【国際公開番号】WO2007/110423
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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