説明

二次電池

【課題】二次電池を提供する。
【解決手段】第1電極物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板と、第2電極物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板と、第1極板と第2極板との間に備えられるセパレータと、を備え、第1無地部と第1コーティング部との間の第1長さは、第2無地部と第2コーティング部との間の第2長さより長い電極組立体及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に係り、特に二次電池の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、ノート型コンピュータ、カムコーダなどのコンパクトかつ軽量化された携帯用の電気/電子装置が活発に開発及び生産されている。したがって、携帯用の電気/電子装置は、別途の電源が備えられていない場所でも作動されるように電池パックを内蔵している。かかる電池パックは、経済的な側面を考慮して、最近には充放電が可能な二次電池を採用している。代表的な二次電池には、ニッケル・カドミウム(Ni−Cd)電池、ニッケル・水素(Ni−MH)電池、リチウム(Li)電池及びリチウムイオン二次電池などがある。特に、リチウムイオン二次電池は、携帯用の電子装備の電源として多く使われているニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池より作動電圧が約3倍高い。また、単位重量当たりのエネルギー密度が高いという側面で広く使われている。二次電池は、主に正極活物質としてリチウム系酸化物を、負極活物質として炭素材を使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、二次電池を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一側面によれば、第1活物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板と、第2活物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板と、前記第1極板と前記第2極板との間に備えられるセパレータと、を備え、第1無地部と第1コーティング部との間の第1長さは、第2無地部と第2コーティング部との間の第2長さより長く形成される電極組立体を提供する。
【0005】
本発明の一特徴によれば、前記第1極板は、正極板を含み、前記第2極板は、負極板を含み、前記第1長さは、前記正極板での長さを含み、前記第2長さは、前記負極板での長さを含む。
【0006】
本発明の他の特徴によれば、前記第1長さは、前記第1極板により発生する熱が、前記第2極板で発生する熱と実質的に同じであるか、または前記第2極板により発生する熱より小さいように、前記第2長さより長く形成される。
【0007】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板の前記コーティングされた第1活物質と前記第1無地部との間隔は、wの幅を有する第1境界間隔を含み、前記第2極板の前記コーティングされた第2活物質と前記第2無地部との間隔は、wの幅を有する第2境界間隔を含む。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1境界間隔wの長さは、下記の式と同じであるか、またはそれより小さい。
【数1】

【0009】
ここで、wは、第2極板の前記コーティング部と前記第2無地部との第2境界間隔の長さを含み、Rは、第1極板の前記コーティング部の抵抗を、Rは、前記第2極板の前記コーティング部の抵抗を、dは、前記第1極板の厚さを、dは、前記第2極板の厚さを含む。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記wに対する前記wの比率は、1から11.39の範囲内でありうる。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板の前記第1無地部と前記第1コーティング部との第1境界間隔は、第1長さwを備え、前記第2極板の前記第2無地部と前記第2コーティング部との第2境界間隔は、第2長さwを備え、前記第1及び第2極板の第1及び第2コーティング部は、互いに隣接して位置するように整列され、前記wと前記wとの和は、前記第1及び第2極板の幅の長さと同じであるか、またはそれより小さい。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1長さwは、前記第1及び第2境界間隔間の相対的な抵抗の比率、及び前記第1及び第2境界間隔間の相対的な厚さの比率の積に比例する。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板の前記第1無地部の幅は、前記第1境界間隔の幅wを含み、前記第2極板の前記第2無地部の幅は、前記第2境界間隔の幅wを含み、前記第1及び第2極板の前記第1及び第2無地部は、前記第1及び第2無地部が互いにオーバーラップされないように前記第1及び第2コーティング部と連結される。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板の前記第1無地部の幅wは、前記第1及び第2極板の幅の長さの50%ないし92%でありうる。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1及び第2極板の第1及び第2無地部は、それぞれ第1及び第2電極タブを含む。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板は、前記第1無地部と前記第1コーティング部との間に、前記第1コーティング部の幅と同じ長さwを有する境界間隔を定義し、前記第1極板の第1無地部は、実質的に完全に前記第1無地部から延在された前記長さwの幅を有する第1領域、及び前記第1領域から延在された前記長さwより短い幅を有する第2領域を備える。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、第1活物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板を形成するステップと、第2活物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板を形成するステップと、前記第1極板の前記第1コーティング部と前記第1無地部との第1境界間隔の長さ、及び前記第2極板の前記第2コーティング部と前記第2無地部との第2境界間隔の長さをサイジングするステップと、前記第1及び第2極板間にセパレータを配置し、前記第1極板及び前記第2極板を組み立てるステップと、を含み、前記サイジングするステップは、前記第1境界間隔を通じて流れる電流により発生する熱が、前記第1境界間隔の長さの増加により減少するように、前記第1及び第2極板で前記第1及び第2境界間隔を通じて流れる電流により発生する熱に基づいてサイジングする二次電池用の電極組立体の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の他の側面によれば、第1活物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板と、第2活物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板と、前記第1極板と前記第2極板との間に介在されるセパレータと、前記第1極板、前記第2極板及び前記セパレータを収容するケースと、を備え、前記第1無地部と前記第1コーティング部との間の第1長さは、前記第2無地部と前記第2コーティング部との間の第2長さより長く形成されるバッテリー組立体を提供する。
【0019】
本発明の一特徴によれば、前記第1極板は、正極板を含み、前記第2極板は、負極板を含み、前記第1長さは、前記正極板上での長さを含み、前記第2長さは、前記負極板上での長さを含む。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記第1長さは、前記第1極板により発生する熱が、前記第2極板により発生する熱と実質的に同じであるか、または前記第2極板により発生する熱より小さいように、前記第2長さより長く形成される。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板の前記第1無地部と前記コーティングされた第1活物質との間隔は、wの幅を有する第1境界間隔を含み、前記第2極板の前記第2無地部と前記コーティングされた第2活物質との間隔は、wの幅を有する第2境界間隔を含む。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1境界間隔wの長さは、下記の式と同じであるか、またはそれより小さい。
【数2】

【0023】
ここで、wは、第2極板の前記第2コーティング部と前記第2無地部との第2境界間隔の長さを含み、Rは、第1極板の前記第1コーティング部の抵抗を、Rは、前記第2極板の前記第2コーティング部の抵抗を、dは、前記第1極板の厚さを、dは、前記第2極板の厚さを含む。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記wに対する前記wの比率は、1から11.39の範囲内でありうる。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1極板の前記第1無地部と前記第1コーティング部との第1境界間隔は、第1長さwを有し、前記第2極板の前記第2無地部と前記第2コーティング部との第2境界間隔は、第2長さwを有し、前記第1及び第2極板の第1及び第2コーティング部は、互いに隣接して位置するように整列され、前記wと前記wとの和は、前記第1及び第2極板の幅の長さと同じであるか、またはそれより小さい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態による二次電池によれば、劣化を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電池セルの分解斜視図である。
【図2】電極組立体の部分分解斜視図である。
【図3】正極極板の放電末期の温度分布を示したイメージである。
【図4A】図2のIVa部分を拡大した概略的な斜視図である。
【図4B】図2のIVb部分を拡大した概略的な斜視図である。
【図5】図2の実施形態の変形例であって、電極組立体を上方から見た平面図である。
【図6】図2の実施形態の正極極板の一変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図面に示した実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明は、二次電池の構成に関する発明であって、二次電池は、多様なタイプで構成される。例えば、二次電池は、ニッケル・カドミウム(Ni−Cd)電池、ニッケル・水素(Ni−MH)電池、リチウム(Li)二次電池などでありうる。リチウム二次電池は、例えば、液体電解質を使用するリチウム金属電池、リチウムイオン電池及び高分子固体電解質を使用するリチウムポリマー電池でありうる。リチウムポリマー電池は、高分子固体電解質の種類によって、有機電解液が含有されていない完全固体型リチウムポリマー電池、または有機電解液を含有しているゲル型高分子電解質を使用するリチウムイオンポリマー電池でありうる。以下、電池セル1の構造を、リチウムイオンポリマー電池を中心に説明するが、本発明の保護範囲は、これに制限されず、多様なタイプの二次電池に適用されることはいうまでもない。
【0030】
図1及び図2を参照して、電池セル1の構造を説明する。図1は、電池セル1の分解斜視図である。図2は、電極組立体100の部分分解斜視図である。電池セル1は、電極組立体100、ケース200及び電解液(図示せず)を備える。
【0031】
電極組立体100は、正極極板110、負極極板120、及び正極極板110と負極極板120との間に介在されるセパレータ130を備える。電極組立体100は、正極極板110、セパレータ130及び負極極板120を順次に積層して構成される。
【0032】
正極極板110は、正極基材111、正極無地部タブ111a及び正極活物質112を備える。正極基材111は、例えば、アルミニウム(Al)を含む。正極無地部タブ111aは、正極基材111の一部がさらに延びて形成される。正極活物質112は、従来の活物質材料を使用できる。例えば、正極活物質112は、コバルト酸リチウム(LiCoO)でありうる。活物質は、これに制限されず、シリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料などで構成してもよい。この時、活物質の材料は、従来の材料だけでなく、リチウムチタン酸化物(LTO)を備えてもよい。図1を参照すれば、正極無地部タブ111aは、ケース200の外部端子と連結される正極リードタブ115と連結される。
【0033】
負極極板120は、負極基材121、負極無地部タブ121a及び負極活物質122を備える。負極基材121は、例えば、銅(Cu)を含む。負極無地部タブ121aは、負極基材121の一部がさらに延びて形成される。負極活物質122は、従来の活物質材料を使用できる。例えば、負極活物質122は、黒鉛などの負極活物質をコーティングできる。図1を参照すれば、負極無地部タブ121aは、ケース200の外部端子と連結される負極リードタブ125と連結される。
【0034】
ケース200は、電極組立体100及び電解液(図時せず)を収容できる。ケース200は、柔軟性を有するポーチ型でありうる。
【0035】
図3は、正極極板101の放電末期の温度分布を示すイメージである。図3を参照すれば、正極活物質112に対応する第1正極極板部P、及び第1正極極板部Pからさらに延びた第2正極極板部P上の温度が異なって表れるということが分かる。ここで、P及びPは、それぞれ図2の111及び111aに対応する。第1正極極板部Pの中央部Mの温度分布を見れば、図3に示したように最小38.4℃、最大41.3℃であり、平均39.6℃である。中央部M内の一点での温度は、図3に示したように40.0℃を表している。これに対し、第1正極極板部Pと第2正極極板部Pとの境界部B地域は、温度が45.1℃に達するということが分かる。すなわち、第1正極極板部Pと第2正極極板部Pとの境界部Bの温度が中央部Mなどの他の部分より高いということが分かる。正極活物質112と正極無地部タブ111aとの境界に対応する部分で温度が上昇するということが分かる。かかる境界部Bの温度上昇は、負極極板120と比較して正極極板101,110でさらに活発に起こる。その理由は、一般的に正極活物質112の抵抗値が高く、正極活物質112と正極基材111との境界部Bでジュール熱が発生するためである。正極活物質112と正極基材111との間に発生する熱は、C−rateの電流値が大きくなるほどさらに大きく発生する。かかる熱は、充放電を反復するにつれて現れる劣化現象を深刻化させて、電池の寿命を短縮させるか、または安定性を低下させる。したがって、かかる劣化を最小化することが必要である。
【0036】
図4A、図4B及び図5を参照して、正極活物質112と正極無地部タブ111aとの正極境界間隔w、及び負極活物質122と負極無地部タブ121aとの負極境界間隔wについて説明する。図4Aは、図2でのIVa部分を拡大した概略的な斜視図である。図4Bは、図2でのIVb部分を拡大した概略的な斜視図である。図5は、図2の実施形態の変形例であって、電極組立体100を上方から見た平面図である。
【0037】
正極極板110と負極極板120とを比較すれば、負極極板120の負極活物質122には、黒鉛などの抵抗の低い物質が使われるので、銅などを含む負極無地部タブ121aと抵抗差が大きくないのに対して、抵抗値が高い正極活物質112と正極無地部タブ111aとの間には抵抗差が大きく発生する。
【0038】
ここで、正極境界間隔wを、正極活物質112と正極無地部タブ111aとの間隔幅として、負極境界間隔wを、負極活物質122と負極無地部タブ121aとの間隔幅として定義する。充放電を通じて、電流が正極無地部タブ111a及び負極無地部タブ121aなどを通過し、ジュール熱が正極活物質112と正極無地部タブ111aとの間、及び負極活物質122と負極無地部タブ121aとの間に集中的に発生する。この時、ジュール熱は、正極境界間隔w及び負極境界間隔wの影響を受ける。したがって、抵抗が高くて熱がさらに発生する正極境界間隔wを負極境界間隔wより広く形成できる。ここで、図5は、図2の実施形態において、正極境界間隔wが負極境界間隔wより大きく形成された電極組立体100を上方から見た平面図である。以下、数式を参照してさらに詳細に説明する。
【0039】
電池セル1の全体容量を、正極極板110及び負極極板120の総個数で割った単位極板当たりの容量をCとする時、正極/負極極板110,120の単位面積当たりの電流密度は、Cを単位面積で割って求める。例えば、図4Aにおいて、正極極板110の容量をCとする時、正極活物質112と正極無地部タブ111aとの境界部で、単位面積当たりの電流密度(mA/mm)は、C/wで求める。ここで、同様に図4Bにおいて、負極極板110の容量をCとする時、負極活物質122と負極無地部タブ121aとの境界部で、単位面積当たりの電流密度(mA/mm)は、C/wで求める。ここで、dは、正極極板110の厚さを意味し、dは、負極極板120の厚さを意味する。
【0040】
この時、単位面積当たり発生する熱量Qは、次の数式を通じて計算できる。
【数3】

【0041】
ここで、Iは単位面積当たりの電流(mA/mm)、Rは抵抗(Ω)、tは時間(sec)を意味する。正極極板110で、単位面積当たりの熱量Q1は、
【数4】

である。ここで、Rは、正極活物質112と正極基材111との間の抵抗値である。負極極板120で、単位面積当たりの熱量Q2は、
【数5】

である。ここで、Rは、負極活物質122と負極基材121との間の抵抗値である。
【0042】
一般的に、正極活物質112と正極基材111との間の抵抗値であるRが、負極活物質122と負極基材121との間の抵抗値であるRの値より大きい。したがって、正極/負極活物質112,122と無地部タブ111a,121aとの境界部において、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1が、負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2より大きく表れて、正極極板110上に劣化による損傷が発生しうる。
【0043】
ここで、一般的に、正極極板110の厚さdと負極極板120の厚さdとは差がなく、RとRとの値は、設計変更が容易でないので、正極境界間隔wと負極境界間隔wとを調節することで、正極極板110の境界部が負極極板120の境界部と同じであるか、または負極極板120の境界部より熱発生が多くないように調節できる。
【0044】
下記数式2及び数式3を参照して、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1が、負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2と同じになる場合における正極境界間隔w及び負極境界間隔wを求める。
【数6】

【数7】

【0045】
すなわち、数式2により、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1と、負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2とが同じになる点を探せば、数式3のように正極境界間隔wを負極境界間隔w及び定数の値で表現できる。
【0046】
したがって、数式3を満たす正極境界間隔w及び負極境界間隔wを有する時、どちらの極板にも偏らず、正極極板110及び負極極板120の境界部に熱を均一に発生させる。
【0047】
以下、正極境界間隔w及び負極境界間隔wにおける正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1、及び負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2を説明する。正極基材111は、アルミニウムを含み、アルミニウムの抵抗は、約0.3Ωでありうる。正極活物質112の表面抵抗は、約620Ωでありうる。この時、正極基材111と正極活物質112との間の抵抗は、約300Ωでありうる。正極基材111の厚さは、20μmでありうる。
【0048】
また、負極基材121は、銅を含み、銅の抵抗は、約0.3Ωでありうる。負極活物質122の表面抵抗は、約2.8Ωでありうる。負極基材121と負極活物質122との間の抵抗は、約1.3Ωでありうる。負極基材121の厚さは、15μmでありうる。ここで、各定数値を数式3に代入すれば、下記数式4を通じて、次の値が得られる。
【数8】

【0049】
すなわち、正極境界間隔wに対する負極境界間隔wの値w/wが8.8%である時、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1、及び負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2が同じになる。図5を参照すれば、正極境界間隔wと負極境界間隔wとの和が、正極/負極極板110,120の幅Aより大きくないように設計できる。そうでない場合、正極無地部タブ111aと負極無地部タブ121aとが互いに重なる部分がショートするという問題が発生しうる。したがって、正極無地部タブ111aと負極無地部タブ121aとが最大に拡大される場合、すなわち、正極境界間隔wと負極境界間隔wとの和が正極/負極極板110,120の幅Aである場合、正極境界間隔wは、正極/負極極板110,120の幅Aに対して最大92%(11.39/12.39)まで拡張できる。
【0050】
正極無地部タブ111aと負極無地部タブ121aとの和を、正極/負極極板110,120の全体幅Aと同一に構成する場合、正極境界間隔wは、少なくとも負極境界間隔wと同じであるか、またはそれよりも大きくなければならないので、正極境界間隔wは、正極/負極電極110,120の全体幅Aに対して50%ないし92%でありうる。
【0051】
また、このように正極境界間隔wがより拡張されて形成される場合、正極リードタブ115と正極無地部タブ111aとの連結面積がさらに広くなって、正極無地部タブ111aと正極リードタブ115との間の抵抗が低くなるという効果もある。すなわち、正極無地部タブ111aと正極リードタブ115とは電気的に連結され、相互間の接触面に抵抗が発生するが、正極無地部タブ111aと正極リードタブ115との接触面積が拡大されるので、相互間の抵抗が低くなるという効果がある。これによって、正極無地部タブ111aと正極リードタブ115との間の抵抗により発生する発熱が少なくなる。
【0052】
以下、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1、及び負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2を求める。電極組立体100は、42対の正極/負極極板110,120を備える。さらに詳しくは、電極組立体100は、正極極板110と対応する負極極板120とが一対をなして合計42対を備え、最外郭の正極に対応する負極極板120をもう一つ備えてもよい。すなわち、総43個の負極極板120と、42個の正極極板110とが交互に配置される。ここで、負極極板120の個数または正極極板110の個数は、一例に過ぎず、負極/正極極板120,110の個数は、これに制限されるものではない。
【0053】
この時、一つの正極/負極極板110,120の面積は、約540cmでありうる。この時、電池セル1の電流密度は、1.25mA/cmでありうる。この時、単位セルの活物質の単位重量当たりの電流容量(mA/mg)を通じて、一つの電池セル1の容量を求めれば、約56.98Aでありうる。したがって、電池セル1の容量を42で割った1枚当たりの正極/負極極板110,120の容量は、1357mAでありうる。
【0054】
下記表1は、正極境界間隔wにおける発熱量を示した表である。図2及び図4Aを参照すれば、正極極板110の全体幅は、約245mmであり、正極境界間隔wは、90mmである時を基準として増加させ、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1を求めた。
【0055】
【表1】

【0056】
表1において、正極基材境界部の断面積は、正極境界間隔wに正極基材111の厚さdを乗じた値である。単位面積当たりの電流密度は、1枚当たりの正極極板110の容量である1357mAを正極基材境界部断面積で割った値である。正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1は、数式1により求めた後、単位換算のために10を乗じた値である。
【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
表2及び表3の値は、表1の方法と類似して求めることができる。ここで、正極/負極境界間隔比率(%)は、正極境界間隔w及び負極境界間隔wがそれぞれ90mmである時を基準として、間隔の増減程度を表した値である。基準に対する増減幅は、正極境界間隔w及び負極境界間隔wがそれぞれ90mmである時を基準として、熱量の増減幅を表したものである。この時、正極境界間隔w及び負極境界間隔wの幅は、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1、及び負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2の和を考慮して決定できる。例えば、負極境界間隔w(mm)が9mmである場合、負極極板の単位面積当たりの熱量Q2(J)は、約131Jであり、正極極板の単位面積当たりの熱量Q1(J)が類似した値を有するためには、幅を99mmないし108mmに決定できる。
【0060】
表1を参照すれば、正極境界間隔比率が100%である時、正極極板の単位面積当たりの熱量Q1が約170Jであり、表2及び表3を参照すれば、負極境界間隔比率が8.8%である時、負極極板の単位面積当たりの熱量Q2が約169.53Jである。このように、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1、及び負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2が類似した値である場合、熱量の不均衡による劣化損傷を減らすことができる。熱量の不均衡により局部的に温度が高くなれば、電池の寿命に損失が発生しうる。例えば、電池に配置されるSEI(Solid Electrolyte Interface)層は、電解液の充放電を安定的に起こさせる保護層であって、熱に弱くて約60℃ないし80℃で損傷されうる。したがって、熱量の均衡が維持されれば、SEI層などの局部的損失を防止できるので、電池寿命の安定性が確保されるという効果がある。
【0061】
ここで、正極極板110の単位面積当たりの熱量Q1、及び負極極板120の単位面積当たりの熱量Q2の組み合わせが多様であることはいうまでもない。それを一般化させれば、次の数式5の通りである。
【数9】

【0062】
この時、関数F(w,w)を最小化させる正極境界間隔w及び負極境界間隔wをそれぞれ求めることができる。この時、他の設計条件が課される場合、連立方程式で正極境界間隔w及び負極境界間隔wを求めることができることはいうまでもない。例えば、図5において、正極境界間隔w及び負極境界間隔wの和を、正極/負極極板110,120の幅Aと同一に設計する場合、数式6が成立する。
【数10】

【0063】
この時、数式5及び数式6を連立して、正極境界間隔w及び負極境界間隔wの最大最小範囲を求めることができることはいうまでもない。
【0064】
図6を参照して、図2の実施形態のうち正極極板110の変形例を説明する。図2、図4A、図4B及び図5を参照すれば、正極活物質112が正極基材111を覆い、正極基材111の全体幅Aより狭い幅wを有した正極無地部タブ111aが正極基材111から延在される。しかし、正極極板110で単位面積当たりの熱量Q1は、
【数11】

であるので、正極境界間隔wが増加するほど、熱量Q1の値が減少する。したがって、図6の実施形態のように、正極極板1110の正極境界間隔wを増加させるために、正極境界間隔wと正極基材1111との幅と同一に構成できる。この場合、正極無地部タブ1111a,1111bは、正極基材1111から同じ幅で延びた第1正極無地部タブ1111b、及び第1正極無地部タブ1111bからさらに狭い幅で延びた第2正極無地部タブ1111aを備える。この時、負極無地部タブ121aは、図2の実施形態のように構成できることはいうまでもない。すなわち、電極組立体100は、図6の実施形態による正極極板1110、図2の実施形態による負極極板120、及びその間に介在されたセパレータ130を備える。
【0065】
したがって、図6の第2正極無地部タブ1111aと、図2の負極無地部タブ121aとの幅が同一または類似するように構成しつつ、図6の正極境界間隔wが図4Bの負極境界間隔wより大きく構成できることはいうまでもない。
【0066】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、電池関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 電池セル
100 電極組立体
110 正極極板
111 正極基材
111a 正極無地部タブ
112 正極活物質
120 負極極板
121 負極基材
121a 負極無地部タブ
122 負極活物質
130 セパレータ
200 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1活物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板と、
第2活物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板と、
前記第1極板と前記第2極板との間に備えられるセパレータと、を備え、
前記第1無地部と第1コーティング部との間の第1長さは、前記第2無地部と第2コーティング部との間の第2長さより長いことを特徴とする電極組立体。
【請求項2】
前記第1極板は、正極板を備え、前記第2極板は、負極板を備え、
前記第1長さは、前記正極板での長さを含み、前記第2長さは、前記負極板での長さを含むことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第1長さは、前記第1極板により発生する熱が、前記第2極板により発生する熱と同じであるか、または前記第2極板により発生する熱より小さいように、前記第2長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1極板の前記コーティングされた第1活物質と前記第1無地部との間隔は、wの幅を有する第1境界間隔を含み、前記第2極板の前記コーティングされた第2活物質と前記第2無地部との間隔は、wの幅を有する第2境界間隔を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第1境界間隔wの長さは、下記の式と同じであるか、またはそれより小さいことを特徴とする請求項4に記載の電極組立体:
【数1】

ここで、wは、前記第2極板の前記コーティング部と前記第2無地部との第2境界間隔の長さを含み、Rは、第1極板の前記コーティング部の抵抗を、Rは、前記第2極板の前記コーティング部の抵抗を、dは、前記第1極板の厚さを、dは、前記第2極板の厚さを含む。
【請求項6】
前記wに対する前記wの比率は、1から11.39の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第1極板の前記第1無地部と前記第1コーティング部との第1境界間隔は、第1長さwを備え、前記第2極板の前記第2無地部と前記第2コーティング部との第2境界間隔は、第2長さwを備え、前記第1及び第2極板の第1及び第2コーティング部は、互いに隣接して位置するように整列され、前記wと前記wとの和は、前記第1及び第2極板の幅の長さと同じであるか、またはそれより小さいことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第1長さwは、前記第1及び第2境界間隔間の相対的な抵抗の比率、及び前記第1及び第2境界間隔間の相対的な厚さの比率の積に比例することを特徴とする請求項7に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記第1極板の前記第1無地部の幅は、前記第1境界間隔の幅wを含み、前記第2極板の前記第2無地部の幅は、前記第2境界間隔の幅wを含み、前記第1及び第2極板の前記第1及び第2無地部は、前記第1及び第2無地部が互いにオーバーラップされないように前記第1及び第2コーティング部と連結されていることを特徴とする請求項7に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第1極板の前記第1無地部の幅wは、前記第1及び第2極板の幅の長さの50%ないし92%であることを特徴とする請求項9に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記第1及び第2極板の第1及び第2無地部は、それぞれ第1及び第2電極タブを含むことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記第1極板は、前記第1無地部と前記第1コーティング部との間に前記第1コーティング部の幅と同じ長さwを有する境界間隔を定義し、
前記第1極板の第1無地部は、前記第1無地部から延在された前記長さwの幅を有する第1領域、及び前記第1領域から延在された前記長さwより短い幅を有する第2領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項13】
第1活物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板を形成するステップと、
第2活物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板を形成するステップと、
前記第1極板の前記第1コーティング部と前記第1無地部との第1境界間隔の長さ、及び前記第2極板の前記第2コーティング部と前記第2無地部との第2境界間隔の長さをサイジングするステップと、
前記第1及び第2極板間にセパレータを配置し、前記第1極板及び前記第2極板を組み立てるステップと、を含み、
前記サイジングするステップは、前記第1境界間隔を通じて流れる電流により発生する熱が、前記第1境界間隔の長さの増加により減少するように、前記第1及び第2極板で前記第1及び第2境界間隔を通じて流れる電流により発生する熱に基づいてサイジングすることを特徴とする二次電池用の電極組立体の製造方法。
【請求項14】
第1活物質でコーティングされた第1コーティング部と第1無地部とを備える第1極板と、
第2活物質でコーティングされた第2コーティング部と第2無地部とを備える第2極板と、
前記第1極板と前記第2極板との間に介在されるセパレータと、
前記第1極板、前記第2極板及び前記セパレータを収容するケースと、を備え、
前記第1無地部と前記第1コーティング部との間の第1長さは、前記第2無地部と前記第2コーティング部との間の第2長さより長いことを特徴とするバッテリー組立体。
【請求項15】
前記第1極板は、正極板を含み、前記第2極板は、負極板を含み、前記第1長さは、前記正極板上での長さを含み、前記第2長さは、前記負極板上での長さを含むことを特徴とする請求項14に記載のバッテリー組立体。
【請求項16】
前記第1長さは、前記第1極板により発生する熱が、前記第2極板により発生する熱と同じであるか、または前記第2極板により発生する熱より小さいように、前記第2長さより長いことを特徴とする請求項14に記載のバッテリー組立体。
【請求項17】
前記第1極板の前記第1無地部と前記コーティングされた第1活物質との間隔は、wの幅を有する第1境界間隔を含み、前記第2極板の前記第2無地部と前記コーティングされた第2活物質との間隔は、wの幅を有する第2境界間隔を含むことを特徴とする請求項14に記載のバッテリー組立体。
【請求項18】
前記第1境界間隔wの長さは、下記の式と同じであるか、またはそれより小さいことを特徴とする請求項17に記載のバッテリー組立体:
【数2】

ここで、wは、前記第2極板の前記第2コーティング部と前記第2無地部との第2境界間隔の長さを含み、Rは、前記第1極板の前記第1コーティング部の抵抗を、Rは、前記第2極板の前記第2コーティング部の抵抗を、dは、前記第1極板の厚さを、dは、前記第2極板の厚さを含む。
【請求項19】
前記wに対する前記wの比率は、1から11.39の範囲内であることを特徴とする請求項18に記載のバッテリー組立体。
【請求項20】
前記第1極板の前記第1無地部と前記第1コーティング部との第1境界間隔は、第1長さwを有し、前記第2極板の前記第2無地部と前記第2コーティング部との第2境界間隔は、第2長さwを有し、前記第1及び第2極板の第1及び第2コーティング部は、互いに隣接して位置するように整列され、前記wと前記wとの和は、前記第1及び第2極板の幅の長さと同じであるか、またはそれより小さいことを特徴とする請求項14に記載のバッテリー組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146651(P2012−146651A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−455(P2012−455)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】