説明

交通情報提供装置、交通情報提供方法、及び、プログラム

【課題】効率的な交通情報の蓄積と削除とを行う。
【解決手段】交通情報提供システムにおいて、路側DSRC送受信機は交通情報を配信する。車載機10の制御部13は車載DSRC送受信機15を制御して路側DSRC送受信機から配信される交通情報とこの交通情報の有効期限とを取得する。制御部13は取得した交通情報を出力装置18に出力する。制御部13は取得した交通情報の示す時刻が予め設定された有効期限内であればこの交通情報を記憶部16に記憶し、有効期限外であれば記憶せずに破棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報提供装置、交通情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、交通渋滞や交通規制などの交通情報は、道路交通情報システム(VICS;Vehicle Information and Communication System)を用いてリアルタイムに走行車両へ送信され、ドライバへの注意喚起や迂回路探索のため利用されている。
【0003】
また、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式の専用狭域通信を用いた技術の研究が活発に行われている。DSRCは、直径30m程度の比較的狭い範囲を通信エリアとし、この範囲内に存在する車両へ大容量のデータを通信するシステムである。更には、同時に交通情報を提供する地理的範囲を限定し、場所に応じた交通情報をドライバに提供することができるという特性をも併せ持っている。
【0004】
送信側端末と走行車両の間では、大量の交通情報のやりとりがなされる。また、道路の交通状況は刻々と変化しており、交通情報の示す交通状況は、時間が経つほど現在の交通状況とはかけ離れたものになってしまう。
【0005】
そのため、システムにおいてやりとりされる大量の交通情報を効率よく、有効なものと有効ではないものとに判別し、有効ではないものは削除することが必要になる。特許文献1には、ドライバが情報の有効期限を設定し、その有効期限に基づいて情報の蓄積と削除とを行うカーナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−102051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1によれば、ユーザが全ての情報に有効期限を設定する必要があるため、カーナビゲーションシステムを利用するためには非常に手間を要しユーザにとって負担となっていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ドライバに手間を掛けさせずに効率的な交通情報の蓄積と削除とを行うために好適な交通情報提供装置、交通情報提供方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る交通情報提供装置は、取得手段、第1の判別手段、記憶手段、及び、出力手段を備える。
取得手段は、交通情報を提供する管理装置から、交通情報と、この交通情報の有効期限とを取得する。
第1の判別手段は、取得手段により取得された有効期限に基づいて、取得手段により取得された交通情報が有効であるか否かを判別する。
記憶手段は、第1の判別手段により有効であると判別された場合に、取得手段により取得された交通情報と、取得手段により取得された交通情報の有効期限と、この交通情報を取得手段が取得した時刻とを対応づけて記憶する。
出力手段は、取得手段により取得された交通情報を出力する。
この結果、交通情報提供装置は、配信元から交通情報が配信されて取得したときにこの交通情報の有効期限を判別して、有効な場合にのみ記憶する。これにより、交通情報提供装置は、ユーザに手間を取らせずに効率よく交通情報を蓄積することができる。
【0009】
記憶手段は、第1の判別手段により有効ではないと判別された場合に、取得手段により取得された交通情報を記憶しなくてもよい。
この結果、交通情報提供装置は、配信元から交通情報が配信されて取得したときにこの交通情報の有効期限を判別して、有効ではない場合にはこの交通情報を記憶しない。これにより、交通情報提供装置は、ユーザに手間を取らせずに効率よく交通情報を蓄積することができる。
【0010】
また、交通情報提供装置は、計時手段、第2の判別手段、及び、削除手段を備えていてもよい。
計時手段は、時刻を計時する。
第2の判別手段は、計時手段により計時された時刻に基づいて、記憶手段に記憶された交通情報が有効であるか否かを判別する。
削除手段は、交通情報が判別手段により有効ではないと判別された場合、この交通情報を削除する。
この結果、交通情報提供装置は、既に記憶された交通情報の中から、有効期限の過ぎた古い交通情報を削除することができる。これにより、交通情報提供装置は、ユーザに手間を取らせずに効率よく交通情報を削除することができる。
【0011】
本発明のその他の観点に係る交通情報提供方法は、取得部、判別部、記憶部、出力部を有する交通情報提供装置にて実行される交通情報提供方法であって、取得ステップ、判別ステップ、記憶ステップ、及び、出力ステップを備える。
取得ステップは、取得部が、交通情報を配信する配信装置から、交通情報と、この交通情報の有効期限とを取得する。
判別ステップは、判別部が、取得ステップにより取得された有効期限に基づいて、取得ステップにより取得された交通情報が有効であるか否かを判別する。
記憶ステップは、判別ステップにより有効であると判別された場合に、記憶部が、取得ステップにより取得された交通情報と、取得手段により取得された交通情報の有効期限と、この交通情報が取得ステップにより取得された時刻とを対応づけて記憶する。
出力ステップは、出力部が、取得ステップにより取得された交通情報を出力する。
この結果、この交通情報提供方法を用いた交通情報提供装置は、配信元から交通情報が配信されて取得したときにこの交通情報の有効期限を判別して、有効な場合にのみ記憶する。これにより、交通情報提供装置は、ユーザに手間を取らせずに効率よく交通情報を蓄積することができる。
【0012】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを、取得手段、判別手段、記憶手段、及び、出力手段として機能させる。
取得手段は、交通情報を配信する配信装置から、交通情報と、この交通情報の有効期限とを取得する。
判別手段は、取得手段により取得された有効期限に基づいて、取得手段により取得された交通情報が有効であるか否かを判別する。
記憶手段は、判別手段により有効であると判別された場合に、取得手段により取得された交通情報と、取得手段により取得された交通情報の有効期限と、この交通情報を取得手段が取得した時刻とを対応づけて記憶する。
出力手段は、取得手段により取得された交通情報を出力する。
この結果、プログラムは、コンピュータを、配信元から交通情報が配信されて取得したときにこの交通情報の有効期限を判別して、有効な場合にのみ記憶する交通情報提供装置として機能させる。これにより、交通情報提供装置は、ユーザに手間を取らせずに効率よく交通情報を蓄積することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、交通情報提供システムにおいて、ドライバに手間を掛けさせずに効率的な交通情報の蓄積と削除とを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態1)
本発明の実施の形態に係る交通情報提供システムを説明する。本実施形態では、交通情報提供システムはDSRC方式を用いて通信を行うが、これに限定されるものではない。
この交通情報システムは、図1に示すように、車載機10と、路側DSRC送受信機20と、情報管理装置30と、GPS送信人工衛星40と、から構成される。
【0015】
車載機10は、道路を走行する車両に搭載され、路側DSRC送受信機20から交通情報を受信し、受信したデータを蓄積し、所定の条件を満たした交通情報については削除する。ここで、交通情報の配信は、ユーザが情報を引き出す(プル)のではなくユーザが操作しなくても情報管理装置30から自動的に情報が車載機10に送られる、いわゆる「プッシュ配信」で行われる。そして、車載機10は、配信された交通情報を車載機10の表示画面に表示したり音声で出力したりしてユーザに通知する。これにより、ユーザは最新の交通情報を得ることができ、例えば道路の渋滞情報を予め取得して渋滞エリアを回避することができる。なお、本実施形態では、交通情報はプッシュ配信により配信されるものとして説明するが、車載機10はユーザから交通情報を受信する旨の要求があったときに交通情報を受信することもできる。
【0016】
また、車載機10は、GPS送信人工衛星40からGPS信号を受信し、車載機10を搭載する車両の位置情報や、交通情報提供システムのシステム時刻を取得する。位置情報は、緯度・経度で示されるのが典型的である。
【0017】
路側DSRC送受信機20は、自機の近傍に設定される通信エリア内の車載機10に交通情報を送信する。路側DSRC送受信機20により送信される交通情報は、情報管理装置30により管理され配信される情報である。路側DSRC送受信機20は、主要な道路脇に複数配置されるのが典型的である。路側DSRC送受信機20は、情報処理装置30から配信される交通情報などを通信エリア内にプッシュ配信する。車載機10が設置された車両が路側DSRC送受信機20の通信エリア内に入ると、車載機10は情報管理装置30から配信された交通情報を路側DSRC送受信機20から受信する。
【0018】
情報管理装置30は、交通情報を作成し、路側DSRC送受信機20に送信する。すなわち、情報管理装置30は、交通情報提供システムがサービス領域内で発生した道路渋滞などの交通情報、あるいは事前に分かっている通行規制などの交通情報を所定のデータ形式で生成し、路側DSRC送受信機20に送信する。
【0019】
GPS送信人工衛星40は、GPS信号を車載機10に送信する。GPS信号には、緯度・経度で表される位置情報や、現在のシステム時刻などが含まれる。
【0020】
次に、車載機10の構成についての詳細な説明を行う。図2に示すように、車載機10は、GPS受信機11と、GPS入力部12と、制御部13と、通信制御部14と、車載DSRC送受信機15と、記憶部16と、出力制御部17と、出力装置18と、から構成される。
【0021】
GPS受信機11は、GPS送信人工衛星40からGPS信号を受信し、受信したGPS信号を後述するGPS入力部12に入力する。
【0022】
GPS入力部12は、GPS受信機11からGPS信号を取得し、このGPS信号を復調処理する。復調して得られたGPSデータは、制御部13に入力され、制御部13の制御により記憶部16に記憶される。
【0023】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、記憶部16に記憶されたオペレーティングシステム(OS)や制御プログラムを読み出して実行し、車載機10の全体制御を行う。制御部13は、内部時計を備え、現在の時刻を計時する。
具体的には、例えば、制御部13は、GPS入力部12から取得したGPSデータから現在のシステム時刻を取得する。また、制御部13は、現在のシステム時刻と交通情報とをもとに交通情報の削除を行うか否かを判別し、削除を行うと判別した場合は交通情報の削除を行う。なお、詳細については後述する。
【0024】
通信制御部14は、車載DSRC送受信機15からDSRC信号を取得し、DSRC信号を復調処理して交通情報データに変換し、交通情報データを制御部13に入力する。交通情報データは制御部13の制御により記憶部16に記憶される。
【0025】
車載DSRC送受信機15は、路側DSRC送受信機20からアンテナを用いてDSRC信号を受信し、受信したDSRC信号を通信制御部14に入力する。
【0026】
記憶部16は、ハードディスク装置、フラッシュメモリ装置、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)ドライブ装置などから構成され、OS、所定の制御プログラムや、受信した交通情報など種々のデータを記憶する。記憶部16は、交通情報提供システムのサービス領域の地図データベースを記憶する。地図データベースはDVD−ROMドライブ装置に装着されるDVD−ROMに記憶され制御部13から適宜読み出される。あるいは、予めDVD−ROMから地図データベースを読み出してハードディスク装置に記憶させて(インストールして)おいてもよい。
【0027】
出力制御部17は、制御部13の制御のもと、交通情報データを出力装置18が出力可能なデータ形式に変換し、出力装置18に入力する。
【0028】
出力装置18は、取得した交通情報などを表示する。例えば、出力装置18は、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ、スピーカ、マイクロフォンなどから構成される。
【0029】
ここで、図3は、出力装置18のディスプレイに表示される交通情報の一例である。例えば、路側DSRC送受信機20から送信されるDSRC信号の示す交通情報には、識別情報としての「交通情報ナンバー(No.)」と、交通情報が対象とする地点の「座標」と、その地点の「渋滞レベル」と、「通行止め」の有無と、「その他障害レベル」と、この交通情報が有効な地理的な範囲を示す「有効範囲」と、この交通情報の「有効期限」と、が含まれている。なお、交通情報は、これに限られるものではなく、他の情報を含んでいてもよい。また、交通情報は、これらの情報の全部ではなく一部を含むものであってもよい。制御部13は、通信制御部14と車載DSRC送受信機15を制御してDSRC信号を受信することにより交通情報を取得し、出力制御部17と出力装置18を制御して本図のように交通情報を表示する。画面のレイアウトは任意に設定することができる。また、制御部13は、出力装置18のディスプレイに交通情報を表示してもよいし、スピーカに音声で出力してもよい。本実施形態では、制御部13は受信した交通情報の詳細をディスプレイに表示しているが、交通情報の画像や音声を受信して再生するようにしてもよい。この場合、情報管理装置30が交通情報を含む画像データや音声データを配信し、路側DSRC送受信機20がこれらの画像データや音声データをプッシュ配信し、車載DSRC送受信機15がこれらの画像データや音声データを受信し、制御部13がこれらの画像データや音声データを記憶部16に記憶された所定の再生プログラムで再生して出力すればよい。
【0030】
「交通情報ナンバー」は、情報管理装置30から配信される交通情報を識別するための情報であり、例えば数字による通し番号が用いられる。交通情報ナンバーは交通情報を識別できるものであればよく、その設定方法は任意である。
【0031】
「座標」は、その交通情報が対象とする地点や地域を特定するための情報であり、典型的には具体的な緯度・経度を表す数値で表現される。また、具体的な数値の代わりに、その地点や地域を指す地名、建物名などの文字情報であってもよい。あるいは、例えば「○○交差点の先50メートル付近」などのように、相対的、概略的に示される情報であってもよい。なお、数値や文字を用いて座標を表示する代わりに、座標の示す地点・地域周辺の地図画像を、記憶部16に記憶された地図データベースから読み出して、この地図画像と緯度・経度の座標とをマッチングさせて表示するようにしてもよい。
【0032】
「渋滞レベル」は、交通情報の1つである渋滞情報の程度を示す情報である。例えば、渋滞レベルは、混雑の度合いが比較的小規模の「1」、中程度の「2」、大規模の「3」などのようにレベル分けされている。ユーザは、同じ渋滞情報でも、その渋滞レベルによってその渋滞がどの程度の規模のものなのかを判断することができる。なお、渋滞レベルの分類の仕方は任意に変更可能である。
【0033】
「通行止め」は、交通情報の1つである通行規制に関する情報であり、通行止めの道路があるか否かを判別するための情報である。通行止めの道路がある場合には「有」、ない場合には「無」が設定される。例えば、ある渋滞情報に通行止め「有」が対応づけられている場合、ユーザはその渋滞が道路の通行止めによる渋滞であることを知ることができる。なお、この通行規制に関する情報は、通行止めの有無だけでなく、その通行止めの原因を表す情報を含んでいてもよい。例えば、交通事故、道路工事、大雨、大雪、その他の事故などを示す情報であってもよい。
【0034】
「その他障害レベル」は、渋滞情報のほかに、通行するために障害となる情報や運転者に注意を喚起するための情報の程度を示す情報である。例えば、大雨や大風による大幅な速度規制が「2」、小幅な速度規制が「1」、速度規制がない「0」などのようにレベル分けされている。なお、この障害レベルは、数値による情報のほかに、速度規制の具体的な速度、雪によるチェーン規制の有無、大型車のみ通行禁止等の車種別の交通情報、などの情報を含んでいてもよい。この場合、この項目には「その他障害レベル」の代わりに「その他障害情報」としてこれらの交通情報が出力されるように構成すればよい。
【0035】
「有効範囲」は、交通情報を有効とする地域範囲を指定する情報である。交通情報には様々な地点・地域を対象としたものが多数存在し、ある路側DSRC送受信機20の近辺からほど遠い地点・地域に関するものも含まれる。そのため、情報管理装置30は、配信する交通情報に有効範囲を設定して路側DSRC送受信機20に送信する。
【0036】
「有効期限」は、交通情報を有効とする時間的な範囲を指定する情報である。交通情報には予め有効期限が設定され、有効期限内の交通情報が有効であり、有効期限を過ぎた情報は無効となる。例えば、車載機10が有効範囲内に長時間(例えば1日など)留まって時間が有効期限を過ぎたとき、制御部13はその交通情報を無効にする。
【0037】
(交通情報蓄積処理)
次に、車載機10が記憶部16に交通情報を蓄積する処理(以下、「交通情報蓄積処理」と呼ぶ)について図4のフローチャートを用いて説明する。交通情報蓄積処理は、車載DSRC送受信機15がDSRC信号を受信したときに制御部13により実行される処理である。制御部13は、この交通情報蓄積処理を実行して、交通情報を蓄積し、また、交通情報を出力装置18に出力する。以下詳述する。
【0038】
まず、車載DSRC送受信機15は、DSRC信号を受信したか否かを判別する(ステップS11)。このDSRC信号には、情報管理装置30から配信された交通情報が含まれる。このDSRC信号は、情報管理装置30からプッシュ配信により配信される。ただし、ユーザから交通情報を受信する旨の要求があったときにDSRC信号を受信することもできる。車載DSRC送受信機15は、DSRC信号を受信すると、受信したDSRC信号を通信制御部14に入力する。通信制御部14はDSRC信号を復調処理して交通情報データに変換し、交通情報データを制御部13に入力する。
【0039】
DSRC信号を受信したと判別された場合(ステップS11;Yes)、制御部13は、取得した交通情報データの有効期限を取得する(ステップS12)。例えば、交通情報データは図3に示すような情報を含んでおり、この中から交通情報データの有効期限を取得する。一方、DSRC信号を受信しないと判別された場合(ステップS11;No)、制御部13は交通情報蓄積処理を終了する。
【0040】
制御部13は、交通情報の有効期限と、車載機10の現在の時刻とから、通信制御部14から入力された交通情報が有効期限内であるか否かを判別する(ステップS13)。交通情報が有効期限内であれば(ステップS13;Yes)、制御部13は、この交通情報データを記憶部16に記憶する(ステップS14)。一方、交通情報が有効期限外であれば(ステップS13;No)、ステップS15に進む。
【0041】
そして、制御部13は、出力制御部17を制御して、ステップS11で取得した交通情報を出力装置18に出力する(ステップS15)。
【0042】
すなわち、制御部13は、交通情報が有効期限内であれば取得した交通情報を記憶部16に記憶し、有効期限外であれば記憶しないで破棄する。なお、制御部13は、有効期限外のときには出力装置18に出力しないようにしてもよい。
【0043】
このように、本実施形態によれば、車載機10は、所定の有効期限内にある交通情報を保持し、有効期限を過ぎた交通情報を保持しないようにすることができる。すなわち、車載機10は、受信する交通情報が大量に存在しても、その交通情報を取得したときに保持すべき情報か否かを判断して、効率よく交通情報を管理することができる。
【0044】
(交通情報削除処理)
次に、車載機10が記憶部16に蓄積している交通情報を削除する処理(以下、「交通情報削除処理」と呼ぶ)について図5のフローチャートを用いて説明する。交通情報削除処理は、定期的な所定のタイミング(例えば、1秒ごとの割り込み等)で制御部13により実行される処理である。ただし、この交通情報削除処理を行うタイミングはこれに限定されない。
【0045】
まず、制御部13は、GPS受信機11を制御してGPS受信機11を起動し、GPS信号を受信する(ステップS21)。
【0046】
制御部13は、GPS信号を受信したか否かを判別する(ステップS22)。ここで、GPS信号を受信したと判別されれば(ステップS22;Yes)、制御部13は、車載機10が計時している時刻を、GPS信号が示す交通情報提供システムの時刻に合わせる(ステップS23)。
【0047】
一方、GPS信号を受信していないと判別されれば(ステップS22;No)、ステップS24に進む。この場合、制御部13は、車載機10の時刻合わせを行わず、現在車載機10が計時している時刻に基づいて以下の処理を行う。
【0048】
なお、制御部13は、GPS受信機11を制御して、定期的な所定のタイミングで、GPS信号を受信して時刻合わせをする処理(ステップS21〜ステップS23に相当する処理)を行うようにしてもよい。この場合、交通情報削除処理のステップS21〜ステップS23を省略することができる。
【0049】
次に、制御部13は、記憶部16に交通情報が蓄積されているか否かを判別する(ステップS24)。交通情報が記憶部16に蓄積されていれば(ステップS24;Yes)、ステップS25に進み、交通情報が記憶部16に蓄積されていなければ(ステップS24;No)、交通情報削除処理を終了する。
【0050】
さらに、制御部13は、交通情報に付加されている有効期限と、車載機10の現在の時刻とから、記憶部16に記憶された交通情報が有効期限内であるか否かを判別する(ステップS25)。交通情報が有効期限内であれば(ステップS25;Yes)、制御部13は交通情報削除処理を終了する。一方、交通情報が有効期限外であれば(ステップS25;No)、ステップS26に進む。
【0051】
そして、制御部13は、有効期限外と判別された交通情報を記憶部16から削除する(ステップS26)。
【0052】
なお、ステップS25〜ステップS26の処理は、記憶部16に記憶されたすべての交通情報について行われる。例えば、記憶部16は、交通情報と、この交通情報を受信した時刻とに加えて、この交通情報が交通情報削除処理で削除されるべきものであるか否か(有効なデータであるか否か)を示すフラグを対応づけて記憶する。そして、ステップS25で、制御部13は、有効期限内ではないと判別した交通情報に対応づけられたフラグにこの交通情報が有効ではないことを示す所定値(例えば「1」など)を設定し、有効期限内であると判別した交通情報に対応づけられたフラグにこの交通情報が有効であることを示す所定値(例えば「0」など)を設定する。さらに、ステップS26で、制御部13は、このフラグに有効ではないことを示す所定値が設定された交通情報を削除し、有効であることを示す所定値が設定された交通情報を保持する。
【0053】
このように、本実施形態によれば、車載機10は、所定の有効期限内にある交通情報を保持し、有効期限を過ぎた交通情報を自動的に削除することができる。すなわち、受信した交通情報が大量に存在しても、有効期限の過ぎた古い情報を効率よく削除するように管理することができる。
【0054】
(実施形態2)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態では、車載機10は、車載機10の位置情報に基づいて交通情報を削除する。なお、本実施形態の車載機10のその他の構成は上述の実施形態と同様であるため、重複する構成については説明を省略する。以下、本実施形態の交通情報削除処理について図6のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
(交通情報削除処理、その2)
まず、制御部13は、GPS受信機11を制御してGPS受信機11を起動し、GPS信号を受信する(ステップS31)。
【0056】
次に、制御部13は、GPS信号を受信したか否かを判別する(ステップS32)。GPS信号を受信していると判別されれば(ステップS32;Yes)、ステップS33に進む。一方、GPS信号を受信していないと判別されれば(ステップS32;No)、交通情報削除処理を終了する。
【0057】
さらに、制御部13は、記憶部16に交通情報が蓄積されているか否かを判別する(ステップS33)。交通情報が記憶部16に蓄積されていれば(ステップS33;Yes)、ステップS34に進み、交通情報が記憶部16に蓄積されていなければ(ステップS33;No)、交通情報削除処理を終了する。
【0058】
そして、制御部13は、記憶部16に記憶された交通情報が示す地域情報(例えば、交通情報の緯度・経度情報など)と、GPS信号に含まれる位置情報(例えば、現在の車載機10の緯度・経度情報)とから、記憶部16に記憶された交通情報が所定の設定エリア内の情報であるか否かを判別する(ステップS34)。交通情報が設定エリア内であれば(ステップS34;Yes)、制御部13は交通情報削除処理を終了する。一方、交通情報が設定エリア外であれば(ステップS35;No)、ステップS35に進む。
【0059】
ここで、所定の設定エリアとは、例えば、車載機10の現在の緯度・経度を中心とした所定の半径の円で示されるエリアである。この設定エリアは、記憶部16に記憶されるプログラムに予め記憶されて初期値が設定されるが、ユーザにより任意に変更して設定され、記憶部16に記憶されてもよい。また、設定エリアは円に限らず任意の形状であってもよい。
【0060】
そして、制御部13は、設定エリア外の交通情報を記憶部16から削除する(ステップS35)。
【0061】
なお、ステップS34〜ステップS35の処理は、記憶部16に記憶されたすべての交通情報について行われる。例えば、記憶部16は、交通情報に加えて、この交通情報が交通情報削除処理で削除されるべきものであるか否か(有効なデータであるか否か)を示すフラグを対応づけて記憶する。そして、ステップS34で、制御部13は、有効期限内ではないと判別した交通情報に対応づけられたフラグにこの交通情報が有効ではないことを示す所定値(例えば「1」など)を設定し、有効期限内であると判別した交通情報に対応づけられたフラグにこの交通情報が有効であることを示す所定値(例えば「0」など)を設定する。さらに、ステップS35で、制御部13は、このフラグに有効ではないことを示す所定値が設定された交通情報を削除し、有効であることを示す所定値が設定された交通情報を保持する。
【0062】
このように、本実施形態によれば、車載機10は、所定の設定エリア内にある交通情報を保持し、設定エリアに該当しない交通情報を自動的に削除することができる。すなわち、受信した交通情報が大量に存在しても、設定エリア外の古い情報を効率よく削除するように管理することができる。
【0063】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態を自由に組み合わせることも可能である。
【0064】
変形例として、制御部13は、GPS受信機11により受信され取得されたGPSデータの取得時刻と位置情報との履歴情報を記憶部16に記憶し、この履歴情報に基づいて車載機10の移動速度を計算し、この計算結果に基づいて設定エリアを変更するようにすることもできる。例えば、車載機10の移動速度がしきい値(例えば80km/h)未満であれば第1の設定エリア(例えば、半径10キロメートルの円など)に設定し、それ以外であれば第2の設定エリア(例えば、半径20キロメートルの円など)に設定する。このようにすれば、車載機10は、移動速度の大きさに基づいて適切な交通情報を保持し、あるいは、不要な交通情報を削除して、効率的に交通情報を管理することができる。
【0065】
また、他の変形例として、制御部13はGPS受信機11により受信され取得されたGPSデータの取得時刻と位置情報との履歴情報を記憶部16に記憶し、この履歴情報に基づいて車載機10の移動方向を計算し、この計算結果に基づいて設定エリアを変更するようにすることもできる。例えば、車載機10の移動方向が所定の方角(例えば、真北を中心に30度以内)であれば第1の設定エリア(例えば、半径10キロメートルの円など)に設定し、それ以外であれば第2の設定エリア(例えば、円の中心を真北よりにずらした半径10キロメートルの円など)に設定する。このようにすれば、車載機10は、移動方向に基づいて適切な交通情報を保持し、あるいは、不要な交通情報を削除して、効率的に交通情報を管理することができる。
【0066】
また、他の変形例として、制御部13は、記憶部16に記憶された交通情報の中でその情報の優先度に基づいて削除するようにすることもできる。例えば、優先度として、交通情報ナンバー、渋滞レベル、障害レベルなどを用いることができる。あるいは、情報管理装置30は交通情報に予め優先度を示す情報を付加して配信し、制御部13は取得した交通情報に対応づけてこの優先度も記憶部16に記憶するようにしてもよい。この場合、上述の交通情報削除処理のステップS25又はステップS34で、制御部13は、所定の優先度以上か否かを判別し、所定の優先度以上であればその交通情報を保持し、それ以外であれば交通情報を削除するように構成すればよい。
【0067】
また、他の変形例として、車載機10は、ユーザにより交通情報ごとに任意に優先度を入力できる入力手段を備え、制御部13はこの設定された優先度を交通情報に対応づけて記憶し、この優先度に基づいて上述の交通情報削除処理を行うように構成することもできる。この場合、上述の交通情報削除処理のステップS25又はステップS34で、制御部13は、所定の優先度以上か否かを判別し、所定の優先度以上であればその交通情報を保持し、それ以外であれば交通情報を削除するように構成すればよい。例えば、有効期限が過ぎてもユーザが保存しておきたい交通情報がある場合、タッチパネルや操作キーなどの入力手段を操作して、その交通情報を削除しないあるいは保持する優先度を高くするように設定することにより、ユーザの意図通りに効率よく交通情報を管理することができる。
【0068】
以上説明したように、本発明によれば、ドライバに手間を掛けさせずに効率的な交通情報の蓄積と削除とを行うために好適な交通情報提供装置、交通情報提供方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る交通情報提供システムの構成を示す図である。
【図2】車載機の構成を示す図である。
【図3】交通情報の構成の例を示す図である。
【図4】交通情報蓄積処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】交通情報削除処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施形態2の交通情報削除処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 車載機
11 GPS受信機
12 GPS入力部
13 制御部
14 通信制御部
15 車載DSRC送受信機
16 記憶部
17 出力制御部
18 出力装置
20 路側DSRC送受信機
30 情報管理装置
40 GPS送信人工衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報を配信する配信装置から、当該交通情報と、当該交通情報の有効期限とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記有効期限に基づいて、前記取得手段により取得された前記交通情報が有効であるか否かを判別する第1の判別手段と、
前記第1の判別手段により有効であると判別された場合に、前記取得手段により取得された前記交通情報と、前記取得手段により取得された前記交通情報の有効期限と、当該交通情報を前記取得手段が取得した時刻とを対応づけて記憶する記憶手段と、
前記取得手段により取得された前記交通情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第1の判別手段により有効ではないと判別された場合に、前記取得手段により取得された交通情報を記憶しない
ことを特徴とする、請求項1に記載の交通情報提供装置。
【請求項3】
時刻を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時された前記時刻に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記交通情報が有効であるか否かを判別する第2の判別手段と、
前記交通情報が前記第2の判別手段により有効ではないと判別された場合、当該交通情報を削除する削除手段と
を更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の交通情報提供装置。
【請求項4】
取得部、判別部、記憶部、出力部を有する交通情報提供装置にて実行される交通情報提供方法であって、
前記取得部が、交通情報を配信する配信装置から、交通情報と、当該交通情報の有効期限とを取得する取得ステップと、
前記判別部が、前記取得ステップにより取得された前記有効期限に基づいて、前記取得ステップにより取得された前記交通情報が有効であるか否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより有効であると判別された場合に、前記記憶部が、前記取得ステップにより取得された交通情報と、前記取得ステップにより取得された前記交通情報の有効期限と、当該交通情報が前記取得ステップにより取得された時刻とを対応づけて記憶する記憶ステップと、
前記出力部が、前記取得ステップにより取得された前記交通情報を出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする交通情報提供方法。
【請求項5】
コンピュータを、
交通情報を配信する配信装置から、交通情報と、当該交通情報の有効期限とを取得する取得手段、
前記取得手段により取得された前記有効期限に基づいて、前記取得手段により取得された前記交通情報が有効であるか否かを判別する判別手段、
前記判別手段により有効であると判別された場合に、前記取得手段により取得された交通情報と、前記取得手段により取得された前記交通情報の有効期限と、当該交通情報を前記取得手段が取得した時刻とを対応づけて記憶する記憶手段、
前記取得手段により取得された前記交通情報を出力する出力手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−285979(P2007−285979A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116012(P2006−116012)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】