説明

伸縮性シートの製造方法、及び製造装置

【課題】エンボス部などの凹部を有する原シートに伸縮性を均一に発現させる。
【解決手段】外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを準備することと、前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸することと、を有する伸縮性シートの製造方法である。前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有する。前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性シートの製造方法、及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生材料の一例としての使い捨ておむつにおいて、着用者の胴周りを締める締め付け部材(例えば前身頃や後身頃のウエスト周りの部分)として、伸縮性シートが使用されることがある。この伸縮性シートは、例えば、材料としての不織布等の原シートに延伸加工を施すことにより製造される。そして、この延伸加工の一例として「ギア延伸」という方法がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−228145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このギア延伸は、例えば、外周部の周方向に所定の配置ピッチPtで歯が配置された上下一対のギアロールを用いて原シートを延伸する方法である。詳しくは、回転する上下一対のギアロールのロール間隙に原シートを通し、その際に、互い噛み合う上下のギアロールの歯によって三点曲げ状に原シートを変形してギアロールの回転方向に原シートを延伸する。そして、この延伸後には原シートに伸縮性が発現されて、つまり伸縮性シートとなる。
ここで、一般に原シートには、エンボス加工が施されている。すなわち、原シートの略全面には、例えば千鳥や格子状等の所定パターンでエンボス部が凹状に形成されており、これにより、原シートからの構成繊維の脱落を防止している。
【0005】
但し、かかるエンボス部を有した原シートに対してギア延伸を行う場合には、ギアロールの歯の配置ピッチPtと、エンボス部の延伸方向の形成ピッチPeとの大小関係によっては、延伸ムラを生じてしまい、結果、伸縮ムラを有した伸縮性シートが生成される虞があった。つまり、エンボス部に起因して、ギアロールの歯で有効に延伸できない部分が原シートに局所的に生じてしまい、その結果として、場所により伸縮性が異なった不均一な伸縮性シートが生成されてしまう虞があった。
そして、この点につき、本願出願人が鋭意検討したところによれば、下式1の関係を満足していれば、伸縮性の不均一を抑制可能であることが判明した。
Pe<Pt<2×Pe … (1)
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、エンボス部などの凹部を有する原シートに伸縮性を均一に発現させることが可能な伸縮性シートの製造方法、及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを準備することと、
前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸することと、を有する伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有し、
前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法である。
【0008】
また、
外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを有し、前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸して伸縮性シートを製造する装置であって、
前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有し、
前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エンボス部などの凹部を有する原シートに伸縮性を均一に発現させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るギア延伸装置40の説明図であり、一部を拡大して示している。
【図2】図2A及び図2Bは、延伸加工によって不織布3に伸縮性が発現されるメカニズムの説明図であり、不織布3の荷重−伸び曲線を示している。
【図3】図3Aは、延伸加工前の繊維の状態を示す模式図である。図3Bは延伸加工中の繊維の状態を示す模式図である。図3Cは延伸加工後の繊維の状態を示す模式図である。図3Dは延伸加工後の不織布3を再度伸ばした際の繊維の状態を示す模式図である。
【図4】原シート3の平面図である。
【図5】図5Aは、局所的に伸縮性の発現が大きく阻害される場合の説明図であり、図5Bには、あまり阻害されない場合の説明図である。
【図6】図6A乃至図6Cは、Pt=Pe及びPt=2×Peの場合に伸縮ムラが大きくなり得ることを説明するための概念図である。
【図7】エンボス部11の配置パターンの第1例の平面図である。
【図8】図8A及び図8Bは、同第2例の平面図である。
【図9】同第3例の平面図である。
【図10】図10Aは、第2実施形態のギア延伸装置50の正面図であり、図10Bは、図10A中のB−B断面図である。
【図11】第2実施形態に係る原シート3の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを準備することと、
前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸することと、を有する伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有し、
前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、少なくとも延伸方向に沿った同一直線上に位置する前記複数の凹部については、前述の式1を満足している。よって、少なくともこれら凹部にあっては、伸縮性シートの伸縮性の不均一化に寄与し難くなる。よって、伸縮性シートの伸縮性の均一化を図れる。
【0014】
かかる伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートは、前記延伸方向に同一直線上に並ぶ複数の前記凹部からなる凹部列を、前記延伸方向と直交する方向に複数列並んで有し、
前記凹部列毎に、それぞれ、前記延伸方向に所定の形成ピッチで前記凹部が形成されており、
前記原シートの全ての前記凹部列について、前記歯の前記延伸方向の前記配置ピッチが、前記形成ピッチの1倍よりも大きく前記形成ピッチの2倍未満であるのが望ましい。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、原シートに形成された全ての凹部列毎に、それぞれ、前述の式1を満足している。よって、伸縮性シートの伸縮性のより一層の均一化を図れる。
【0015】
かかる伸縮性シートの製造方法であって、
前記複数列の凹部列のなかには、前記形成ピッチの値が第1所定値の凹部列と、前記形成ピッチの値が第2所定値の凹部列とが存在し、
前記第1所定値と前記第2所定値とは互いに相違し、
前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記第1所定値の1倍よりも大きく、前記第1所定値の2倍未満であり、
前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記第2所定値の1倍よりも大きく、前記第2所定値の2倍未満であるのが望ましい。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、伸縮性の均一化を図りながらも、形成ピッチの異なる凹部列を原シート上に混在させることができる。よって、凹部の配置パターンのバリエーションを増やすことができる。
【0016】
かかる伸縮性シートの製造方法であって、
前記凹部では、前記原シートを構成する繊維同士が溶着されており、
前記原シートにおける前記複数の凹部の配置パターンは、千鳥配置であるのが望ましい。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、原シートは、千鳥配置の各凹部で溶着されているので、伸縮性シートの一体性を高めることができる。
【0017】
かかる伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートの複数の前記凹部は、前記延伸方向と直交する方向に関しても同一直線状に整列して凹部列をなしているとともに、前記凹部列は、前記延伸方向に第2ピッチで複数列並んでおり、
前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記第2ピッチの1倍よりも大きく、前記第2ピッチの2倍未満であるのが望ましい。
このような伸縮性シートの製造方法によれば、伸縮性シートの伸縮性のより一層の均一化を図ることができる。
【0018】
また、
外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを有し、前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸して伸縮性シートを製造する装置であって、
前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有し、
前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造装置。
このような伸縮性シートの製造装置によれば、少なくとも延伸方向に沿った同一直線上に位置する前記複数の凹部については、前述の式1を満足している。よって、少なくともこれら凹部にあっては、伸縮性シートの伸縮性の不均一化に寄与し難くなる。よって、製造される伸縮性シートの伸縮性の均一化を図れる。
【0019】
===第1実施形態===
<<ギア延伸について>>
図1はギア延伸の説明図である。ギア延伸は、ギア延伸装置40を用いて行われる。ギア延伸装置40は、回転軸C41,C43周りに回転する互いに略同形の上下一対のギアロール41,43を有する。また、各ギアロール41,43の外周部41a,43aには、その回転方向に沿って均等な配置ピッチPtで略波型に歯41t,43t(所謂「平歯車」と同様の歯形の歯)が設けられている。
【0020】
よって、これらギアロール41,43が所定の周速Sで駆動回転している間に、そのロール間隙に原シート3を通せば、原シート3は、互いに噛み合う上ギアロール41の歯41tと下ギアロール43の歯43tとによって三点曲げ状に変形されて(図1の右側の拡大図を参照)回転方向に延伸される。そして、当該延伸後には原シート3に伸縮性が発現されて伸縮性シート3aとなる。
【0021】
なお、以下では、原シート3が通される方向たる搬送方向のことを、「MD方向」とも言い、またMD方向と直交する方向のうちで、原シート3の幅方向と平行な方向のことを「CD方向」とも言う。ちなみに、上下のギアロール41,43の回転軸C41,C43はCD方向を向いている。
【0022】
このギア延伸の材料となる原シート3は、例えば不織布であり、より具体的には、溶融紡糸等によって伸長性繊維と伸縮性繊維とを所定の配合比で混合生成してなる不織布3である。ここで、伸縮性繊維とは、弾性的に伸長可能な繊維のことを言い、伸長性繊維とは、概ね非弾性的に伸長可能な繊維のことを言う。なお、換言すると、伸長性繊維とは、伸縮性繊維の弾性限界の伸びよりも小さな伸びで塑性変形を起こす繊維であると言うこともできる。
【0023】
ここで、伸長性繊維としては熱可塑性ポリオレフィン繊維を例示でき、また、伸縮性繊維としては熱可塑性エラストマ繊維を例示できる。熱可塑性ポリオレフィン繊維は、例えばポリプロピレン繊維やポリエステル繊維などの単独繊維や、ポリプロピレンやポリエステルからなる芯鞘構造の複合繊維などであり、また、熱可塑性エラストマ繊維は、例えばポリウレタン繊維などである。
【0024】
不織布3の製法としては、例えば、スパンボンド法やケミカルボンド法等が挙げられる。また、不織布3の坪量及び繊維径は、それぞれ、例えば20〜50(g/m)の範囲及び10〜30(μm)の範囲から適宜選択され、更に、伸長性繊維と伸縮性繊維との配合比は、20〜80%の範囲から適宜選択される。
【0025】
ギアロール41(43)の歯41t(43t)の配置ピッチPt(歯41t(43t)の頂部41p(43p)でのピッチ)は、1〜6(mm)の範囲から選択され、より好ましくは2〜3(mm)の範囲から選択される。ギアロール41(43)の直径φ(前記頂部41p(43p)での直径)は、120〜600(mm)の範囲から選択される。ギアロール41(43)の周速S(前記頂部43pでの速度)は、50〜300(m/min)の範囲から選択される。なお、歯41t(43t)の頂部41p(43p)は、回転方向に沿った平坦面に形成され、この平坦面の回転方向の長さDは、0.1〜0.4mmの範囲から選択される。なお、歯41t(43t)のCD方向の全長(全幅)は、原シート3のCD方向の全長(全幅)よりも広くなっており、もって、延伸加工時には、原シート3の略全幅に亘って、歯41t(43t)の頂部41p(43p)が原シート3に当接する。
【0026】
また、上ギアロール41と下ギアロール43との最大噛み合い深さFは、延伸時に不織布3に付与すべき延伸歪みεallと前記配置ピッチPtとに基づいて定まり(後述の式3を参照)、つまり、上記の配置ピッチPtの範囲において、例えば0.6〜3.0の範囲から選択された延伸歪みεallが達成されるように選択される。
【0027】
なお、ここで、上述の延伸歪みεallは、通常の歪みの概念と同様に、延伸時の延伸方向の全長Lbと延伸前の延伸方向の全長Laとを用いて下式2で定義される。
εall=(Lb−La)/La … (2)
【0028】
そして、ギア延伸の場合には、この延伸歪みεallは、歯41t,43t同士の噛み合いの幾何学的関係に基づいて表現され、つまり、歯41tと歯43tとの最大噛み合い深さF及び歯41t(43t)の配置ピッチPtの関数として表現される。詳しくは、噛み合い開始点において元々全長が前記Ptであった不織布3が、図1Bの右拡大図の最大噛み合い点における延伸時には、最大噛み合い深さFで互いに噛み合う歯41t,43tによって三点曲げ状に変形されて延伸されることから、延伸歪みεallは概ね下式3のように表される。
εall=2×(√(F+(P/2))−(P/2))/P … (3)
【0029】
図2A及び図2Bは、ギア延伸によって不織布3に伸縮性が発現されるメカニズムの説明図である。両図とも、不織布3の荷重−伸び曲線を示している。
【0030】
未延伸の不織布3に対して延伸加工を施すべく、伸縮性繊維の弾性限界内で前記不織布3に張力(以下、荷重とも言う)を付与すると、その延伸加工中においては、図2Aのような荷重−伸び曲線を描く。すなわち、張力の負荷時よりも除荷時の方が、同じ伸びにおける荷重が低くなるようなヒステリシスを有した荷重−伸び曲線を描く。
【0031】
そして、この延伸後に再度張力を付与した場合には、図2Bに示すような荷重−伸び曲線を描く。詳しくは、図2Bの原点P0から変曲点P1までは、非常に低い弾性率で伸縮するが、変曲点P1を超えると荷重が概ね二次曲線状に急激に上昇するようになる。そして、通常は、この低い弾性率の範囲Rの発現をもって、延伸加工により不織布3に伸縮性が発現されたものと見なしており、また、無負荷状態の原点P0から前記変曲点P1までの伸びの量Jを、「発現された伸縮量J」と定義している。
【0032】
ちなみに、このように延伸加工後において、前記原点P0から前記変曲点P1までに亘り非常に低い弾性率で伸縮するようになる理由については、次のように説明できる。
【0033】
図3Aは、延伸加工前(つまり未延伸)の繊維の状態を示す模式図であり、図3Bは延伸加工中(つまり負荷中)の繊維の状態を示す模式図であり、図3Cは延伸加工後(つまり除荷後)の繊維の状態を示す模式図である。なお、一般に不織布3を構成する最小単位構造は、図3Aに示すように伸縮性繊維と伸長性繊維とが並列接続されたものとしてモデル化できる。
【0034】
図3Aに示す未延伸の不織布3を延伸すると、図3Bに示すように、伸縮性繊維の方は弾性変形をするが、前記伸縮性繊維よりも弾性限界の伸びの小さい伸長性繊維の方は、比較的早い段階から塑性変形を開始して細長く塑性変形する。よって、この状態から張力を除荷すると、図3Cに示すように、伸縮性繊維の方は弾性伸びが無くなるだけで、つまり、その全長は張力の付与前と概ね同じ長さに戻るのであるが、伸長性繊維の方は、塑性伸び分だけ全長が伸びて弛んだ状態になっている。
【0035】
そして、このような延伸加工後の不織布3に対して再度張力を付与すると、伸長性繊維の弛み分が伸びきってその全長が張るまでは、伸縮性繊維の弾性変形のみで上記張力に抗するので、図2Bに示すように、不織布3は非常に低い弾性率で伸びていくが、図3Dに示すように、上述の伸長性繊維の弛みが無くなってその全長が張った時点からは、当該伸長性繊維の弾塑性変形も前記張力に抗するようになるので、ここからは、不織布3を伸ばすのに要する張力の大きさが急激に上昇する。つまり、この伸長性繊維の弛みが無くなるポイントが図2Bの変曲点P1であり、もって、このようなことから、延伸加工後の荷重−伸び曲線は、図2Bに示すように、変曲点P1までは不織布3は非常に低い弾性率で伸縮し、そして、変曲点P1を超えると荷重が急激に増加するような荷重−伸び曲線になるのである。ちなみに、前記原点P0から前記変曲点P1までの範囲R、すなわち、「発現された伸縮量J」の範囲Rの内側であれば、張力が除荷されると、概ね図2Bの負荷時の荷重−伸び曲線を辿って原点P0まで戻るのは言うまでもない。
【0036】
<<<エンボス部11が原シート3の伸縮性の発現に及ぼす影響について>>>
ところで、一般に原シート3には、押圧加工の一例としてのエンボス加工により、凹部の一例としてのエンボス部11,11…が、所定の配置パターンで凹状に形成されている。図4の平面図の例では、MD方向及びCD方向の両方向に沿った格子目状に形成されている。そして、各エンボス部11,11…では、それぞれその部位の繊維同士が溶着されており、これにより、原シート3の一体化が図られている。
【0037】
但し、かかるエンボス部11が、原シート3における伸縮性の発現を局所的に阻害する虞がある。図5A及び図5Bは、その説明図である。図5Aには、局所的に伸縮性の発現が大きく阻害される場合を示し、図5Bには、あまり阻害されない場合を示している。
【0038】
例えば、後者の図5Bのように、延伸時において上ギアロール41の歯41t(以下、上歯41tとも言う)と下ギアロール43の歯43t(以下、下歯43tとも言う)との間に、一つだけエンボス部11が入っている場合や一つも入っていない場合には、上歯41tと下歯43tとの間に位置する原シート3の部分3pは、大きな問題無く速やかに目標の延伸量まで延伸される。よって、概ね目標レベルの伸縮性が発現される。
【0039】
これに対して、図5Aに示すように、上歯41tと下歯43tとの間に、二つのエンボス部11,11が入っている場合には、エンボス部11とエンボス部11との間の部分3e(以下、エンボス間部分3eとも言う)には、上歯41tや下歯43tから延伸に係る張力が伝達され難くなり、目標の延伸量まで延伸されず、延伸不良部分となる。これにより、当該部分3eは、目標レベルの伸縮性を発現しなくなる。つまり、その周囲の部分3rたる目標の延伸量まで延伸された部分3rと比べて伸縮性が劣ってしまい、結果、伸縮性シート3aには大きな伸縮ムラが生じてしまう。
【0040】
ちなみに、エンボス間部分3eに、張力が伝達され難い理由は次の通りである。通常、エンボス部11は、繊維同士が押圧や溶着等されて変質した部分であるため強度が低く、また、同エンボス部11は、介在物の一種とも言えることから周囲の部分と比べて応力集中し易く、結果、破れ易い。よって、上歯41t又は下歯43tからの延伸に係る張力が、エンボス間部分3eに伝達される前に、エンボス部11にて破れる等して張力伝達が阻害され、その結果、エンボス間部分3eは延伸され難くなるのである。
【0041】
ここで、上述の延伸に係る張力は、延伸方向に直線的に作用するものと考えられる。よって、上述のような延伸不良部分の発生を防ぐには、図4に示すように、延伸方向に沿って同一直線上に存在するエンボス部11,11…に着目した場合に、その着目したエンボス部11,11…からなるエンボス部列11R毎に、上歯41tと下歯43tとの間に存在するエンボス部11の数が、常に一つ以下になるようにすれば良いと考えられる。そして、この条件は、上記延伸方向に沿う同一直線上のエンボス部11,11…の形成ピッチをPeとし、ギアロール41(43)の歯41t(43t)の配置ピッチをPtとした場合には、下式4により表される。
Pt≦2×Pe … (4)
【0042】
つまり、歯41t(43t)の配置ピッチPtを、延伸方向に沿って同一直線上に存在するエンボス部11,11…の形成ピッチPeの2倍以下にすれば良い。
【0043】
但し、上述の式4の関係を満足する場合でも、伸縮ムラが大きくなる場合がある。これは、Pe=Ptの場合である。図6A及び図6Bは、その説明図である。
例えば、図6Aに示すように、Pe=Ptの場合には、当然ながら、エンボス部11の形成ピッチPeと、下歯43tの配置ピッチPtとは一致する。従って、場合によっては、同図6Aに示すように、互いに隣り合う下歯43tと下歯43tとが、それぞれ対応する各エンボス部11,11に当接する。そして、このような位置関係は、最も高い伸縮性が発現される位置関係である。詳しくは次の通りである。
【0044】
エンボス部11は、変質していることから、伸縮性の発現に寄与し難い部分である。一方、ギアロール43(41)の方にあっては、あくまで歯43tと歯41tとの間で原シート3を延伸していることから、当該歯43t(41t)の先端の頂部43p(41p)も伸縮性の発現には寄与し難い部位である。よって、伸縮性に寄与し難いもの同士、つまりエンボス部11と歯43t(41t)の頂部43p(41p)とが、互いに当接しているという位置関係は、最も伸縮性が発現される位置関係ということになる。
【0045】
しかし、原シート3は張力に応じて伸縮するので、延伸加工の際に常にこの位置関係を保つのは難しく、つまり、現実的には、ギアロール41,43の回転に伴って、この位置関係になったり(図6A)、同位置関係からMD方向の前後にずれたり(図6B)を繰り返すとものと考えられる。そして、その結果、生成される伸縮性シート3aには、最も伸縮性が発現された部分と、そうでない部分とがMD方向に繰り返し現れるものと考えられ、もって、大きな伸縮ムラを生じ得る。そして、これを防ぐ一案としては、最も伸縮性が発現される上述の位置関係(図6A)にならないようにすることが挙げられる。
【0046】
よって、上記式4の条件からは、Pe=Ptの場合を除外すべきであり、これを加味すると、以下の式5が、伸縮性シート3aの伸縮性の均一性を高め得る条件となる。
Pe<Pt≦2×Pe … (5)
【0047】
但し、上式5の条件からは、Pt=2×Peの場合も除外すべきである。これは、Pt=2×Peというのも、上述のPt=Peの場合と同様の位置関係になるからである(図6Cを参照)。よって、これも考慮すると、伸縮性の均一性を高め得る条件は、下式6のようになる。
Pe<Pt<2×Pe … (6)
【0048】
<<<エンボス部11の配置パターンの具体例>>>
以下、具体的なエンボス部11の配置パターンを例示しながら、上述の式6について説明する。図7乃至図9に、その説明図として原シート3の平面図を示す。
【0049】
図7は、エンボス部11の配置パターンの第1例の説明図である。この配置パターンは、所謂格子目状パターンである。すなわち、原シート3は、MD方向にエンボス部11,11…が所定の形成ピッチPeで並んでなるエンボス部列11R(凹部列に相当)を有し、また、かかるエンボス部列11R,11R…は、CD方向に複数列並んで配置され、そして、何れのエンボス部列11R,11R…も互いにMD方向のエンボス部11の位置が揃っている。
【0050】
そして、この例では、延伸方向に相当するMD方向のエンボス部11の形成ピッチPeが、歯41t(43t)の配置ピッチPtとの関係において前述の式6を満足するように設定されている。よって、この場合には、当該格子目状パターンを構成する全てのエンボス部列11R,11R…が、式6の関係を満足することとなり、結果、伸縮性の均一化の阻害をほぼ完全に抑制可能となる。
【0051】
ちなみに、この格子目状パターンの場合には、式6の関係を、以下のように表現することもできる。先ず、上記のエンボス部11,11…は、延伸方向と直交するCD方向に関しても同一直線状に整列してエンボス部列11Rcをなしているとともに、当該エンボス部列11Rcは、延伸方向たるMD方向に第2ピッチPecで複数列並んでいる。そして、歯41t(43t)の配置ピッチPtは、前記第2ピッチPecの1倍よりも大きく2倍未満となっている。
【0052】
図8A及び図8Bは、配置パターンの第2例の説明図である。上述の第1例との相違点は、上述の格子目状パターンを構成するエンボス部列11R,11R同士の間に、MD方向に沿った異なる形成ピッチPe2のエンボス部列12Rが追設されている点にある。
【0053】
すなわち、格子目状パターンを構成するエンボス部列11Rを第1エンボス部列11Rとし、追設されたエンボス部列12Rを第2エンボス部列12Rとした場合には、この図8Aの例では、第2エンボス部列12Rに属するエンボス部12,12…の形成ピッチPe2(第2所定値に相当)は、第1エンボス部列11Rに属するエンボス部11,11…の形成ピッチPe(第1所定値に相当)とは異なる値に設定されている。
【0054】
ここで、望ましくは、これら両者11R,12Rが、それぞれ、前述の式6を満足していると良い。そうすれば、伸縮性の均一化の阻害をほぼ完全に抑制することができる。
【0055】
但し、これら両者のエンボス部列11R,12Rに対して、式6を満足するようなPtを見出すには、第1エンボス部列11Rに係る形成ピッチPeと、第2エンボス部列12Rに係る形成ピッチPe2とが、以下の式7を満足しなければならない。
0.5×Pe<Pe2<2×Pe … (7)
【0056】
そして、図8Aの例の場合には、Pe2=1.5×Peであるので、式7を満足している。よって、エンボス部列11R,12Rの両者に対して式6を満足するようなPtを見出すことができる。しかし、図8Bの例の場合には、Pe2=0.4×Peであるので、式7を満足しておらず、もって、両者11R,12Rのうちのどちらか一方しか式6を満足させることができない。よって、伸縮ムラを抑制する観点で言えば、図8Aの例の方が、図8Bの例よりも好ましいことになる。
【0057】
但し、図8Bの場合でも、何れか一方、例えば、第1エンボス部列11Rに関しては、式6の関係を満足させることができるので、その場合には、それ相応の伸縮性の均一化効果を得ることができる。つまり、極論すれば、原シート3が、式6を満足するエンボス部列11Rを少なくとも一列だけでも有していれば、それ相応の均一化効果を得ることができるということである。
【0058】
ところで、上述の式7は、以下のような考え方に基づいて導出される。
先ず、第1エンボス部列11Rについては、式6は次式8のように表せる。
Pe<Pt<2×Pe … (8)
また、第2エンボス部列12Rについては、式6は次式9のように表せる。
Pe2<Pt<2×Pe2 … (9)
ここで、Pe2=α×Peとおき、これを式9に代入すると、式9は下式10のようになる。
α×Pe<Pt<2×α×Pe … (10)
よって、式8及び式10を満足するようなPtが存在すれば、第1エンボス部列11R及び第2エンボス部列12Rの両者に対して式6を満足するPtが存在することになるが、そのためには、式8の左辺と式10の右辺との大小関係に基づいて、式11を満足する必要があり、且つ、式8の右辺と式10の左辺との大小関係に基づいて、式12を満足する必要がある。
Pe<2×α×Pe … (11)
α×Pe<2×Pe … (12)
そして、これらを整理すると、下式13が得られる。
0.5<α<2 … (13)
ここで、上述のようにPe2=α×Peであるので、α=Pe2/Peを式13に代入すると、下式14となり、以上をもって、前述の式7が導出される。
0.5×Pe<Pe2<2×Pe … (14)
【0059】
図9は、配置パターンの第3例の説明図である。図9を参照してわかるように、この配置パターンは所謂千鳥配置である。すなわち、原シート3には、エンボス部11,11…がMD方向に形成ピッチPeで並んでなるエンボス部列11Rが、CD方向に複数列並んで配置されており、更には、互いにCD方向に隣り合うエンボス部列11R,11R同士にあっては、互いの位置が、MD方向に形成ピッチPeの半分(=Pe/2)だけずれている。
【0060】
そして、この例では、各エンボス部列11Rが具備するエンボス部11,11…のMD方向の形成ピッチPeは、それぞれ、式6の関係を満足するように設定されている。よって、この千鳥配置にあっても、各エンボス部列11Rのみに着目すれば、全てのエンボス部列11Rに亘り、式6を満たしている。結果、伸縮性の均一化の阻害を有効に抑制することができる。
【0061】
===第2実施形態===
図10A及び図10Bは、第2実施形態のギア延伸装置50の説明図である。図10Aには正面図を示し、図10Bには、図10A中のB−B断面図を示している。
【0062】
上述の第1実施形態では、原シート3の連続方向(つまりMD方向)に延伸していたが、この第2実施形態では、原シート3の幅方向(つまりCD方向、「回転軸と平行な方向」に相当)に延伸する点で相違する。そして、この相違に伴い、ギアロール51,53の歯51t,53tの構成の点で相違する。
【0063】
詳しくは、図10A及び図10Bに示すように、ギア延伸装置50は、回転軸C51,C53周りに回転する上下一対のギアロール51,53を有する。また、上ギアロール51は、回転軸C51の方向に沿って大径部分51tと小径部分51mとを交互に有し、同様に、下ギアロール53も、回転軸C53の方向に沿って大径部分53tと小径部分53mとを交互に有する。そして、これらギアロール51,53は、互いに、相手の小径部分53m,51mに自身の大径部分51t,53tを挿入しながら上下に配置され、これにより、ギアロール51,53の周方向における一部の領域Abにおいて互いの大径部分51t,53tを、歯の如く噛み合わせている。以下、この領域Abのことを「噛み合い領域Ab」と言う(図10Bを参照)。
【0064】
ここで、原シート3は、この噛み合い領域Abへ向けて搬送され、当該噛み合い領域Abを通過する際には、噛み合わされた大径部分51t,53tによって、図10Aのように三点曲げ状に変形されてCD方向に延伸される。そして、延伸後には、CD方向の伸縮性が発現し、これをもって幅方向に伸縮性を有した伸縮性シート3aが生成される。
【0065】
よって、かかる第2実施形態にあっては、延伸方向がMD方向ではなく、CD方向になっている点で第1実施形態と相違する。
このことから、この第2実施形態では、図11のエンボス部11のCD方向の形成ピッチPedが、前述の第1実施形態における形成ピッチPeに対応し、また、図10Abの歯に相当する大径部分51t(53t)のCD方向の配置ピッチPtdが、同第1実施形態における配置ピッチPtに対応すると考えれば、上述の第1実施形態で説明した内容を、そのままこの第2実施形態に踏襲することができる。よって、その説明については省略する。
【0066】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0067】
上述の実施形態では、複数種類の繊維を含む原シート3として、伸長性繊維と伸縮性繊維との2種類の繊維を含む不織布を例示したが、繊維の種類は何等2種類に限るものではなく、3種類以上であっても良い。
【0068】
上述の実施形態では、複数種類の繊維を含む原シート3として、伸長性繊維と伸縮性繊維とが混合してなるタイプの不織布を例示したが、当該不織布はこのタイプに限るものではない。例えば、不織布の厚み方向に、伸長性繊維のみの層と伸縮性繊維のみの層とが層状に分かれて積層されていても良い。なお、これらの層の数は2層に限るものではなく、例えば、伸縮性繊維のみの層が上下の伸長性繊維のみの層で挟まれた3層構造の不織布であっても良い。
【0069】
上述の実施形態では、ギア延伸の製造方法に係る装置として主にギア延伸装置40,50について説明したが、適宜な付帯装置を設けても良い。例えば、ギア延伸装置40,50の上流の位置に複数のテンションロールを配置して原シート3に張力を付与し、これにより、ギア延伸の前に予備的に延伸処理を施しても良い。また、ギアロール41,43,51,53やテンションロールを加熱するためのヒーター等を配置しても良いし、延伸加工後の伸縮性シート3aを搬送するのに、搬送張力を軽減可能なサクションコンベアを用いても良い。
【0070】
上述の実施形態の説明では、エンボス部11の形状について詳しく説明していなかったが、エンボス部11の形状は、所定面積の底面を有する凹部である。そして、底面の形状は、例えば、正円等の円形や、正方形や菱形等の多角形などである。また、底面の面積は、例えば0.2〜4mmである。このような形状のエンボス部11は、回転する上下一対のロールの間のロール間隙を、原シート3の元となるシートが通過する際に、少なくとも一方のロールの外周面の複数の凸部により押圧されて形成される。なお、押圧時の繊維同士の溶着性を高めるべく、これらロールは、加熱されていても良い。
【0071】
上述の実施形態の説明では、エンボス部11の形成ピッチPe,Pec,Pedの具体的数値については述べていなかったが、これらの形成ピッチPe,Pec,Pedの値は、例えば1〜20mmの中から、式6を満足するように選択される。なお、上記数値範囲は、望ましくは1〜10mmであり、より望ましくは1〜3mmである。
また、エンボス部列11R,11R同士の間のピッチPr(図7)は、1〜20mmの中から適宜選択される。
【0072】
上述の実施形態では、押圧加工による凹部の一例としてエンボス部を例示したが、押圧加工によって形成される凹部であれば何等これに限るものではない。
【符号の説明】
【0073】
3 不織布(原シート)、3a 伸縮性シート、
3e エンボス間部分、3p 部分、3r 周囲の部分、
11 エンボス部(凹部)、
11R エンボス部列(凹部列)、11Rc エンボス部列(凹部列)、
12 エンボス部(凹部)、12R エンボス部列(凹部列)、
40 ギア延伸装置(製造装置)、
41 上ギアロール(ギアロール)、41a 外周部、
41p 頂部、41t 上歯(歯)、
43 下ギアロール(ギアロール)、
43p 頂部、43t 下歯(歯)、
50 ギア延伸装置(製造装置)、
51 上ギアロール(ギアロール)、51m 小径部分、51t 大径部分(歯)、
53 下ギアロール(ギアロール)、53m 小径部分、53t 大径部分(歯)、
Ab 噛み合い領域、
C41 回転軸、C43 回転軸、C51 回転軸、C53 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを準備することと、
前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸することと、を有する伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有し、
前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートは、前記延伸方向に同一直線上に並ぶ複数の前記凹部からなる凹部列を、前記延伸方向と直交する方向に複数列並んで有し、
前記凹部列毎に、それぞれ、前記延伸方向に所定の形成ピッチで前記凹部が形成されており、
前記原シートの全ての前記凹部列について、前記歯の前記延伸方向の前記配置ピッチが、前記形成ピッチの1倍よりも大きく前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の伸縮性シートの製造方法であって、
前記複数列の凹部列のなかには、前記形成ピッチの値が第1所定値の凹部列と、前記形成ピッチの値が第2所定値の凹部列とが存在し、
前記第1所定値と前記第2所定値とは互いに相違し、
前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記第1所定値の1倍よりも大きく、前記第1所定値の2倍未満であり、
前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記第2所定値の1倍よりも大きく、前記第2所定値の2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の伸縮性シートの製造方法であって、
前記凹部では、前記原シートを構成する繊維同士が溶着されており、
前記原シートにおける前記複数の凹部の配置パターンは、千鳥配置であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の伸縮性シートの製造方法であって、
前記原シートの複数の前記凹部は、前記延伸方向と直交する方向に関しても同一直線状に整列して凹部列をなしているとともに、前記凹部列は、前記延伸方向に第2ピッチで複数列並んでおり、
前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記第2ピッチの1倍よりも大きく、前記第2ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
【請求項6】
外周部に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転軸回りに回転する一対のギアロールを有し、前記一対のギアロールの間隙に、複数種類の繊維を含む原シートを通すことにより、該原シートを前記歯によって、前記ギアロールの回転方向又は前記回転軸と平行な方向を延伸方向として延伸して伸縮性シートを製造する装置であって、
前記原シートは、押圧加工されてなる複数の凹部を、少なくとも前記延伸方向に沿った同一直線上に、前記延伸方向に所定の形成ピッチで有し、
前記一対のギアロールの各ギアロールにつき、前記歯の前記延伸方向の配置ピッチは、前記形成ピッチの1倍よりも大きく、前記形成ピッチの2倍未満であることを特徴とする伸縮性シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−184833(P2011−184833A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53603(P2010−53603)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】