位相ロックループ回路
【課題】電圧制御発振回路の入力部でのリークに起因する定常位相誤差を防止できる位相ロックループ回路を提供する。
【解決手段】リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相比較回路と、検出された位相差に応じた電流を第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、第1の容量に蓄積されている電荷に基づく制御電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成する電圧制御発振回路とを有する位相ロックループ回路にて、チャージポンプ回路による第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に第1の電圧を保持し、保持された第1の電圧に基づき電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成し、生成された電流に応じた補正電流をカレントミラー回路を介して第1の容量に出力するようにして、リーク電流による制御電圧の変動を抑制する。
【解決手段】リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相比較回路と、検出された位相差に応じた電流を第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、第1の容量に蓄積されている電荷に基づく制御電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成する電圧制御発振回路とを有する位相ロックループ回路にて、チャージポンプ回路による第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に第1の電圧を保持し、保持された第1の電圧に基づき電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成し、生成された電流に応じた補正電流をカレントミラー回路を介して第1の容量に出力するようにして、リーク電流による制御電圧の変動を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相ロックループ(PLL:Phase Locked Loop)回路に関する。
【背景技術】
【0002】
PLL回路は、クロック周波数の逓倍やLSI(Large-scale Integrated Circuit)内部のクロック信号のスキュー(Skew)調整等を行う機能を有しており、近年のLSIの高速化及び大規模化を実現させるために必須の回路(マクロ)として提供されている。
【0003】
そのような市場動向に伴い、PLL回路が半導体チップに搭載されるのが当然となってきた。半導体チップの低電圧化、微細化に伴い、PLL回路を構成するトランジスタも低電圧化、微細化が進められていることは認知されてきた。しかし、近年、微細化により、アナログ回路のアナログ的動作として無視できていたトランジスタのリークによる特性劣化量が無視できないほど大きくなり、定常位相誤差を悪化させる大きな要因の1つとなってきた。
【0004】
図8は、PLL回路の構成例を示す図であり、図9及び図10は、図8に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。PLL回路は、位相比較回路(PFD)201、チャージポンプ回路(CP)202、ローパスフィルタ(LPF)203、電圧制御発振回路(VCO)204、及び分周器(DIV)205を有する。電圧制御発振回路204は、発振器(OSC)206及び入力トランジスタ207を有する。
【0005】
位相比較回路201は、リファレンスクロック信号REFCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)とフィードバッククロック信号FBCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)の位相を比較する。位相比較回路201は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相差を制御信号UPB及びDNとしてチャージポンプ回路202へ出力する。フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して遅れているときには制御信号UPB及びDNがローレベルになる。また、フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して進んでいるときには制御信号UPB及びDNがハイレベルになる。
【0006】
チャージポンプ回路202は、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ203内の容量に対して注入又は抜くことで、制御電圧VCNTを制御する。制御信号UPB及びDNがローレベルになると、ローパスフィルタ203内の容量は電源電圧に接続され、制御電圧VCNTが上昇する。また、制御信号UPB及びDNがハイレベルになると、ローパスフィルタ203内の容量は基準電位に接続され、制御電圧VCNTが低下する。電圧制御発振回路204は、制御電圧VCNTに応じた発振周波数の出力クロック信号CKOを出力する。制御電圧VCNTが上昇すると出力クロック信号CKOの周波数は高くなり、制御電圧VCNTが低下すると出力クロック信号CKOの周波数は低くなる。分周器205は、出力クロック信号CKOをN分周し、フィードバッククロック信号FBCLKを出力する。出力クロック信号CKOは、リファレンスクロック信号REFCLKに対してN倍高い周波数として出力される。
【0007】
さらに詳しく動作を説明すると、リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が進んでいる場合には、出力クロック信号CKOの周波数が高すぎると認識させて、出力クロック信号CKOの周波数を下げる動作を行う。そのため、位相比較回路201は制御信号UPB及びDNをハイレベルにし、チャージポンプ回路202はローパスフィルタ203内の容量に蓄積されている電荷を抜くことで、制御電圧VCNTを下げる。また、反対に、リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が遅れている場合には、出力クロック信号CKOの周波数が低すぎると認識させて、出力クロック信号CKOの周波数を上げる動作を行う。そのため、位相比較回路201は制御信号UPB及びDNをローレベルにし、チャージポンプ回路202はローパスフィルタ203内の容量に電荷を注入することで、制御電圧VCNTを上げる。このようにPLL回路は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相を合わせるように制御電圧VCNTを変化させることによって、出力クロック信号CKOの周波数を調整しターゲット周波数でロックする。
【0008】
なお、図8のPLL回路において、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間は、チャージポンプ回路202からローパスフィルタ203内の容量への電荷の授受は行われない。すなわち、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間、チャージポンプ回路202の出力及び電圧制御発振回路204の入力はともにハイインピーダンスとなり、ローパスフィルタ203内の容量に蓄積されている電荷は保持される。その結果、図9に示すように制御電圧VCNTは一定値を保ち、出力クロック信号CKOの周波数も一定値を保つ。
【0009】
しかし、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振回路204の入力部でハイインピーダンスをとらなくなってきており、いわゆるゲートリーク電流が発生する。そのため、ローパスフィルタ203内の容量に蓄積されている電荷が電圧制御発振回路204の入力部から抜けてしまう(又は電圧制御発振回路204の入力部から電荷が注入されてしまう)。その結果、図10に示すように、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの期間において、制御電圧VCNTを一定値に保てなくなり、制御電圧VCNTが低下してしまい、出力クロック信号CKOの周波数も低下してしまう。
【0010】
前述のように制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間、制御電圧VCNTを一定値に維持できないため、位相が合うように制御電圧VCNTを調整しても、次に位相比較するときに制御電圧VCNTが調整した値からずれてしまう。そのため、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKにおいて、定常的な位相差(定常位相誤差)φが発生する。さらに、この位相差(定常位相誤差)φをなくすように位相比較回路201がクロック信号の立ち上がり毎に制御電圧VCNTを制御するため、クロック信号の立ち上がり毎に出力クロック信号CKOにスプリアス(周波数ずれ)が発生する。
【0011】
下記特許文献1には、ローパスフィルタにリーク電流のあるゲート酸化膜の薄いMOSトランジスタを容量として用いるために、ローパスフィルタにおけるリーク電流を補償するリーク電流補償回路を備えたPLL回路が提案されている。また、下記特許文献2には、ローパスフィルタにおけるリーク電流を補償するPLL回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−184778号公報
【特許文献2】特開2008−147868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、電圧制御発振回路の入力部でのリークに起因する定常位相誤差を防止することができる位相ロックループ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
位相ロックループ回路の一態様は、リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相比較回路と、第1の電圧を保持する第1の容量と、検出された位相差に応じた電流を第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、第1の容量の第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、出力クロック信号又はそれに応じた信号をフィードバッククロック信号として位相比較回路に出力する電圧制御発振回路とを有する。さらに、チャージポンプ回路による第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に第1の電圧を保持し、第1の時刻に保持された第1の電圧に基づく制御情報を出力する補正制御回路と、補正制御回路からの制御情報に基づいて、電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成する電流生成回路と、生成された電流に応じた補正電流を第1の容量に出力するカレントミラー回路とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補正制御回路及び電流生成回路により位相ロックループ回路が有する電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成し、それに応じた補正電流をカレントミラー回路を介して第1の容量に出力する。これにより、電圧制御発振回路の入力部でのリーク電流により第1の電圧が変動することを抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図2】図1に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図4】図3に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第5の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるPLL回路の構成例を示す図である。
【図8】PLL回路の構成例を示す図である。
【図9】図8に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図10】図8に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図12】図11に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図14】図13に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の第5の実施形態によるPLL回路の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態による位相ロックループ(PLL)回路の構成例を示す図である。また、図2は、図1に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【0019】
図1に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4A、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6A、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路(CM)8Aを有する。
【0020】
チャージポンプ回路2は、スイッチ11、14及び定電流源12、13を有する。スイッチ11及び定電流源12の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNTAのノード間に接続され、定電流源13及びスイッチ14の直列接続回路は、制御電圧VCNTAのノード及び基準電位(例えばグランド電位)間に接続される。ローパスフィルタ3は、抵抗15及び容量16、17を有する。抵抗15及び容量16の直列接続回路は、制御電圧VCNTAのノード及び基準電位間に接続され、容量17は、制御電圧VCNTAのノード及び基準電位間に接続される。電圧制御発振回路4Aは、発振器(OSC)18及び入力トランジスタ19を有する。入力トランジスタ19は、nチャネルMOS電界効果トランジスタであり、ゲートが制御電圧VCNTAのノードに接続され、ソースが基準電位に接続され、ドレインが発振器18に接続される。
【0021】
位相比較回路1は、リファレンスクロック信号REFCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)とフィードバッククロック信号FBCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)の位相を比較する。位相比較回路1は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相差を制御信号UPB及びDNとしてチャージポンプ回路2へ出力する。フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して遅れているときには、制御信号UPB及びDNがローレベルになる。また、フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して進んでいるときには、制御信号UPB及びDNがハイレベルになる。ここで、制御信号UPBはネゲートされているときにハイレベルの信号であり、制御信号DNはネゲートされているときにローレベルの信号である。制御信号UPB及びDNのパルス幅(アサートされる期間の長さ)は、フィードバッククロック信号FBCLK及びリファレンスクロック信号REFCLKの位相差が大きいほど広くなる。
【0022】
チャージポンプ回路2は、制御信号UPB及びDNに応じた電流をローパスフィルタ3に対して出力し、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ3内の容量16及び17に対して注入又は抜くことで制御電圧VCNTAを制御する。スイッチ11は、制御信号UPBがローレベルになるとオンし(導通状態)、制御信号UPBがハイレベルとなるとオフする(非導通状態)。スイッチ14は、制御信号DNがハイレベルになるとオンし(導通状態)、制御信号DNがローレベルとなるとオフする(非導通状態)。制御信号UPB及びDNがローレベルになると、ローパスフィルタ3内の容量16及び17は正の電源電圧に接続されて電荷が注入され、制御電圧VCNTAが上昇する。また、制御信号UPB及びDNがハイレベルになると、ローパスフィルタ3内の容量16及び17は基準電位に接続されて電荷が引き抜かれ、制御電圧VCNTAが低下する。なお、フィードバッククロック信号FBCLK及びリファレンスクロック信号REFCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)位相が同じときには、狭パルス幅で制御信号UPBがローレベル、制御信号DNがハイレベルになり、制御電圧VCNTAは変化しない。
【0023】
電圧制御発振回路4Aは、制御電圧VCNTAに応じた発振周波数の出力クロック信号CKOを出力する。制御電圧VCNTAが上昇すると出力クロック信号CKOの周波数は高くなり、制御電圧VCNTAが低下すると出力クロック信号CKOの周波数は低くなる。分周器5は、出力クロック信号CKOをN分周(Nは自然数)し、フィードバッククロック信号FBCLKを出力する。出力クロック信号CKOは、リファレンスクロック信号REFCLKに対してN倍高い周波数として出力される。
【0024】
第1の実施形態におけるPLL回路の基本動作について説明する。
リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が進んでいる場合には、制御信号UPB及びDNがハイレベルになり、チャージポンプ回路2内のスイッチ11がオフし、スイッチ14がオンする。これにより、ローパスフィルタ3内の容量16及び17が基準電位に接続されて、容量16及び17に蓄積されている電荷が引き抜かれ、制御電圧VCNTAは低下する。電圧制御発振回路4Aは、制御電圧VCNTAが低下すると出力クロック信号CKOの発振周波数を下げる。その結果、リファレンスクロック信号REFCLKに対してフィードバッククロック信号FBCLKは位相の進み量が小さくなり、やがて両者の位相差が0になる。
【0025】
逆に、リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が遅れている場合には、制御信号UPB及びDNがローレベルになり、チャージポンプ回路2内のスイッチ11がオンし、スイッチ14がオフする。これにより、ローパスフィルタ3内の容量16及び17が電源電圧に接続されて、容量16及び17に電荷が注入され、制御電圧VCNTAは上昇する。電圧制御発振回路4Aは、制御電圧VCNTAが上昇すると出力クロック信号CKOの発振周波数を上げる。その結果、リファレンスクロック信号REFCLKに対してフィードバッククロック信号FBCLKは位相の遅れ量が小さくなり、やがて両者の位相差が0になる。
【0026】
ここで、制御電圧VCNTAのノードは、電圧制御発振回路4Aの入力端子(入力トランジスタ19のゲート)に接続されている。前述したように、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振回路4Aの入力部は完全なハイインピーダンスにはならず、入力トランジスタ19のゲートリーク電流IAが発生する。そのため、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフであっても、ローパスフィルタ3内の容量16及び17に蓄積されている電荷が電圧制御発振回路4Aの入力部を介して抜けてしまう。その結果、何ら改善策を施さなければ、電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧は、図2において破線で示した制御電圧VCNTA’のように一定値にならず、低下してしまう。
【0027】
本実施形態では、補正制御回路6A、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aにより、電圧制御発振回路4Aの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0028】
補正制御回路6Aは、2入力の論理積演算回路(AND回路)21、33A、インバータ22、29、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、31、32、スイッチ25、26、及び容量27、28を有する。AND回路21は、一方の入力端に制御信号UPBが入力され、他方の入力端にインバータ22を介して制御信号DNが入力され、出力端から信号PDBAを出力する。この信号PDBAに応じて、カウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作する。本実施形態では、信号PDBAがハイレベルのときにカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作状態となり、信号PDBAがローレベルのときにカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が停止(非動作)状態となる。
【0029】
カウンタ23は、出力クロック信号CKOが入力され、出力クロック信号CKOのパルス数をカウントする。カウンタ23は、動作開始時において出力がローレベルであり、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をパルス状にハイレベルにする。カウンタ23の出力は、信号SWAとしてスイッチ25に出力されるとともに、インバータ29を介して信号SWBとしてスイッチ26及びAND回路33Aに出力される。なお、カウンタ23は、動作開始時において出力をハイレベルとし、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をハイレベルからローレベルに変化させるようにしても良い。
【0030】
アンプ24は、一方の入力端が制御電圧VCNTAのノードに接続され、他方の入力端が自らの出力端に接続される。また、アンプ24の出力端が、スイッチ25を介して、一方の電極が基準電位に接続された容量27の他方の電極、及びアンプ30の一方の入力端に接続される。同様に、アンプ24の出力端が、スイッチ26を介して、一方の電極が基準電位に接続された容量28の他方の電極、及びアンプ31の一方の入力端に接続される。スイッチ25は、信号SWAによってオン/オフ制御され、信号SWAがハイレベルになるとオンし(導通状態)、信号SWAがローレベルとなるとオフする(非導通状態)。スイッチ26は、信号SWBによってオン/オフ制御され、信号SWBがハイレベルになるとオンし(導通状態)、信号SWBがローレベルとなるとオフする(非導通状態)。
【0031】
アンプ30は、出力端及び他方の入力端が電圧VTARGのノードに接続される。アンプ31は、出力端及び他方の入力端が電圧VCNTBのノードに接続される。アンプ32は、一方の入力端が電圧VTARGのノードに接続され、他方の入力端が電圧VCNTBのノードに接続される。AND回路33Aは、一方の入力端に信号PDBAが入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。
【0032】
ゲート容量7Aは、電圧制御発振回路4A内の入力トランジスタ19のゲートサイズと同じサイズのゲート容量であり、入力トランジスタ19と同じサイズのnチャネルトランジスタを用いて構成される。ゲート容量7Aは、ゲートが補正制御回路6Aのアンプ32の出力端に接続され、ソース及びドレインが基準電位に接続される。
【0033】
カレントミラー回路8Aは、pチャネルMOS電界効果トランジスタ34、35、36を有する。pチャネルトランジスタ34は、ソースが正の電源電圧に接続され、ゲート及びドレインが補正制御回路6Aのアンプ32の出力端とゲート容量7Aのゲートとの相互接続点に接続される。pチャネルトランジスタ35は、pチャネルトランジスタ34と同じサイズのトランジスタであり、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインが制御電圧VCNTAのノードに接続される。また、pチャネルトランジスタ35は、ゲートがノードVCNTFBを介してpチャネルトランジスタ34のゲートに接続される。pチャネルトランジスタ36は、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインがノードVCNTFBに接続される。また、pチャネルトランジスタ36のゲートには、信号PDBBが供給される。すなわち、カレントミラー回路8Aは、pチャネルトランジスタ34を入力側トランジスタとし、pチャネルトランジスタ35を出力側トランジスタとし、pチャネルトランジスタ36をリセット用(動作制御用)トランジスタとしたカレントミラー回路である。カレントミラー回路8Aは、信号PDBBがハイレベルのときに動作状態となり、信号PDBBがローレベルのときにリセット状態となる。
【0034】
第1の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6A、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aによる動作について説明する。
【0035】
図2に示すように、位相比較回路1での比較結果に基づいて制御信号UPB及びDNの少なくとも一方がアサートされているとき、補正制御回路6AのAND回路21及び33Aからそれぞれ出力される信号PDBA及びPDBBはローレベルとなる。このとき、補正制御回路6Aのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32は停止状態である。また、カレントミラー回路8Aのpチャネルトランジスタ36がオンであり(導通状態)、カレントミラー回路8Aはリセット状態となる。
【0036】
制御信号UPB及びDNがともにネゲートされる、すなわちチャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされると、補正制御回路6AのAND回路21から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Aのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作を開始し、カウンタ23は、電圧制御発振回路4Aより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントする。カウントしたパルス数が所定数に達しカウンタ23が出力をパルス状にハイレベルにすると、信号SWAがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオンし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGとされる。
【0037】
その後、カウンタ23の出力がローレベルとなることで、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフすると同時にスイッチ26がオンし、制御電圧VCNTAがスイッチ26及びアンプ31を介してアンプ32に電圧VCNTBとして供給される。また、補正制御回路6AのAND回路33Aから出力される信号PDBBがローレベルからハイレベルに変化し、カレントミラー回路8Aは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0038】
このようにして、容量27に保持された制御電圧VCNTAである電圧VTARGと時間経過後の制御電圧VCNTAである電圧VCNTBとがアンプ32で随時比較される。そして、比較結果に基づき電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように補正制御回路6Aが制御をかけることで、ゲート容量7Aにおけるゲートリーク電流IBが、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流IAと等しくなる。また、カレントミラー回路8Aの入力側のpチャネルトランジスタ34における入力電流と、出力側のpチャネルトランジスタ35における出力電流ICは等しいので、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しい。したがって、電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように制御することで、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ出すゲートリーク電流IAと流れ込む電流(補正電流)ICは等しくなり、ゲートリーク電流IAにより抜けた量の電荷が電流ICにより供給される。その結果、制御電圧VCNTAは、図2に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときには、一定値を保つことができる。なお、この制御は、分周器5の出力の位相比較回路1への入力毎に繰り返し実行される。
【0039】
本実施形態によれば、電圧制御発振回路4A内の入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6A及びゲート容量7Aを用いて生成しカレントミラー回路8Aを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流により抜けた量と同じ量の電荷を供給することができ、電圧制御発振回路4Aの入力部における電荷漏れによる制御電圧VCNTAの低下を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Aの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Aの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。また、図4は、図3に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図3において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0041】
図3に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4B、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6B、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路(CM)8Bを有する。
【0042】
ローパスフィルタ3において、抵抗15及び容量16の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNTAのノード間に接続され、容量17は、正の電源電圧及び制御電圧VCNTAのノード間に接続される。電圧制御発振回路4Bは、発振器(OSC)18及び入力トランジスタ41を有する。入力トランジスタ41は、pチャネルMOS電界効果トランジスタであり、ゲートが制御電圧VCNTAのノードに接続され、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインが発振器18に接続される。なお、第2の実施形態におけるPLL回路の基本動作は、第1の実施形態におけるPLL回路の基本動作と同様である。
【0043】
第2の実施形態では、補正制御回路6B、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bにより、電圧制御発振回路4Bの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0044】
補正制御回路6Bは、AND回路21、インバータ22、29、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、31、32、スイッチ25、26、容量27、28、及び2入力の否定論理積演算回路(NAND回路)33Bを有する。補正制御回路6Bでは、容量27は、一方の電極が正の電源電圧に接続され、他方の電極がスイッチ25を介してアンプ24の出力端に接続される。同様に、容量28は、一方の電極が正の電源電圧に接続され、他方の電極がスイッチ26を介してアンプ24の出力端に接続される。NAND回路33Bは、一方の入力端に信号PDBAが入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。
【0045】
ゲート容量7Bは、電圧制御発振回路4B内の入力トランジスタ41のゲートサイズと同じサイズのゲート容量であり、入力トランジスタ41と同じサイズのpチャネルトランジスタを用いて構成される。ゲート容量7Bは、ゲートが補正制御回路6Bのアンプ32の出力端に接続され、ソース及びドレインが正の電源電圧に接続される。
【0046】
カレントミラー回路8Bは、nチャネルMOS電界効果トランジスタ42、43、44を有する。nチャネルトランジスタ42は、ソースが基準電位に接続され、ゲート及びドレインが補正制御回路6Bのアンプ32の出力端とゲート容量7Bのゲートとの相互接続点に接続される。nチャネルトランジスタ43は、nチャネルトランジスタ42と同じサイズのトランジスタである。nチャネルトランジスタ43は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが制御電圧VCNTAのノードに接続され、ゲートがノードVCNTFBを介してnチャネルトランジスタ42のゲートに接続される。nチャネルトランジスタ44は、ソースが基準電位に接続され、ドレインがノードVCNTFBに接続される。また、nチャネルトランジスタ44のゲートには、信号PDBBが供給される。すなわち、カレントミラー回路8Bは、nチャネルトランジスタ42を入力側トランジスタとし、nチャネルトランジスタ43を出力側トランジスタとし、nチャネルトランジスタ44をリセット用(動作制御用)トランジスタとしたカレントミラー回路である。カレントミラー回路8Bは、信号PDBBがローレベルのときに動作状態となり、信号PDBBがハイレベルのときにリセット状態となる。
【0047】
第2の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6B、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bによる動作について説明する。
【0048】
図4に示すように、位相比較回路1での比較結果に基づいて制御信号UPB及びDNの少なくとも一方がアサートされているとき、補正制御回路6BのAND回路21から出力される信号PDBAはローレベルとなる。また、補正制御回路6BのNAND回路33Bから出力される信号PDBBはハイレベルとなる。このとき、補正制御回路6Bのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32は停止状態であり、カレントミラー回路8Bはリセット状態である。
【0049】
制御信号UPB及びDNがともにネゲートされる、すなわちチャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされると、補正制御回路6BのAND回路21から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Bのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作を開始し、カウンタ23は、電圧制御発振回路4Bより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントする。カウントしたパルス数が所定数に達しカウンタ23が出力をパルス状にハイレベルにすると、信号SWAがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオンし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGとされる。
【0050】
その後、カウンタ23の出力がローレベルとなることで、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフすると同時にスイッチ26がオンし、制御電圧VCNTAがスイッチ26及びアンプ31を介してアンプ32に電圧VCNTBとして供給される。また、補正制御回路6BのNAND回路33Bから出力される信号PDBBがハイレベルからローレベルに変化し、カレントミラー回路8Bは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0051】
このようにして、容量27に保持された制御電圧VCNTAである電圧VTARGと時間経過後の制御電圧VCNTAである電圧VCNTBとがアンプ32で随時比較される。そして、比較結果に基づき電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように補正制御回路6Bが制御をかけることで、ゲート容量7Bにおけるゲートリーク電流IBが、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流IAと等しくなる。また、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しいので、電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように制御することで、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ込むゲートリーク電流IAと流れ出す電流(補正電流)ICは等しくなる。したがって、ゲートリーク電流IAにより制御電圧VCNTAのノードに注入された電荷量が、電流ICによって制御電圧VCNTAのノードから引き抜かれる。その結果、制御電圧VCNTAは、図4に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときには、一定値を保つことができる。なお、この制御は、分周器5の出力の位相比較回路1への入力毎に繰り返し実行される。
【0052】
第2の実施形態によれば、電圧制御発振回路4Bの入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6B及びゲート容量7Bを用いて生成しカレントミラー回路8Bを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流により注入された量と同じ量の電荷を引き抜くことができ、電圧制御発振回路4Bの入力部からの電荷注入による制御電圧VCNTAの上昇を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Bの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Bの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0053】
なお、前述した第1及び第2の実施形態では、カウンタ23からの1つの出力を用いてスイッチ25及び26を制御するようにしているが、カウンタ23から個別に出力を行うようにしてスイッチ25及び26を独立して制御するようにしても良い。また、電圧VTARGとする制御電圧VCNTAを容量27に保持し、スイッチ25をオフすると同時にスイッチ26をオンするようにしているが、同時でなくとも良く、スイッチ25をオフすると同時に若しくは遅れてスイッチ26をオンすれば良い。すなわち、スイッチ26をオンする前にスイッチ25をオフすれば良い。また、前述した第1及び第2の実施形態ではカウンタ23を用いているが、これに限らず、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされてから一定時間経過後にスイッチ25をオフし、スイッチ26をオンするように切り替える機能を有する任意の回路が適用可能である。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11は、第3の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。また、図12は、図11に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図11において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図11に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4A、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6C、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路(CM)8Aを有する。第3の実施形態におけるPLL回路の基本動作は、第1の実施形態におけるPLL回路の基本動作と同様である。
【0056】
第3の実施形態では、補正制御回路6C、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aにより、電圧制御発振回路4Aの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0057】
補正制御回路6Cは、AND回路21、33A、71、72、インバータ22、29、73、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、スイッチ25、容量27、及びロック状態判定部(LOCK)70を有する。補正制御回路6Cのカウンタ23は、動作開始時において出力がハイレベルとなり、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をハイレベルからローレベルに変化させる。
【0058】
ロック状態判定部70は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相を比較し、比較結果に応じた信号LOCKを出力する。リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しいロック状態のときには、信号LOCKがハイレベルになる。リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくないときには、信号LOCKはローレベルである。
【0059】
AND回路71は、一方の入力端に信号LOCKが入力され、他方の入力端にAND回路21の出力が入力される。AND回路72は、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端にインバータ73を介して信号PDBBが入力され、出力端から信号PDBAを出力する。また、補正制御回路6Cでは、AND回路33Aは、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24は、信号PDBAにより制御され、信号PDBAがハイレベルのときに動作状態となり、信号PDBAがローレベルのときに停止(非動作)状態となる。また、補正制御回路6Cのアンプ30は、AND回路71の出力により制御され、AND回路71の出力がハイレベルのときに動作状態となり、AND回路71の出力がローレベルのときに停止(非動作)状態となる。また、第3の実施形態において、ゲート容量7Aのゲートは、電圧VTARGのノードに接続される。
【0060】
第3の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6C、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aによる動作について説明する。
【0061】
リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくない、すなわちロック状態でないときには、信号LOCKはローレベルであるので、AND回路71の出力はローレベルとなる。したがって、補正制御回路6CのAND回路72から出力される信号PDBA、及びAND回路33Aから出力される信号PDBBは、ローレベルとなる。このとき、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24、30は停止状態であり、カレントミラー回路8Aはリセット状態である。言い換えれば、リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくなり信号LOCKがハイレベルとなるまで、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24、30は動作しない。
【0062】
リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくなると、信号LOCKがハイレベルとなる。この状態で、図12に示すように、制御信号UPB及びDNがともにネゲートされる、すなわちチャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされると、補正制御回路6CのAND回路71の出力、及びAND回路72から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24、30が動作を開始する。
【0063】
カウンタ23は、動作を開始すると、電圧制御発振回路4Aより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントするとともに、出力をハイレベルにする。これにより、信号SWAがハイレベルとなってスイッチ25がオンし、制御電圧VCNTAが容量27に供給される。その後、カウンタ23は、カウントしたパルス数が所定数に達すると、出力をハイレベルからローレベルに変化させる。カウンタ23の出力がローレベルとなることで、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGのノードを介してゲート容量7Aのゲートに供給される。また、補正制御回路6CのAND回路33Aから出力される信号PDBBがローレベルからハイレベルに変化し、カレントミラー回路8Aは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0064】
このとき、ゲート容量7Aには、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流IAと等しいゲートリーク電流IBが流れ、電圧VTARGと電圧VCNTAは同電位となる。また、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しいので、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ出すゲートリーク電流IAと流れ込む電流(補正電流)ICは等しく、ゲートリーク電流IAにより抜けた量の電荷が電流ICにより供給される。その結果、制御電圧VCNTAは、図12に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときに一定値を保つことができる。また、このとき信号PDBBがローレベルからハイレベルに変化することで、信号PDBAがローレベルになり、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24は動作を停止する。これにより、制御電圧VCNTAのノードからのフィードバックはなくなり、容量27からのフィードバックのみで動作する。
【0065】
第3の実施形態によれば、電圧制御発振回路4Aの入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6C及びゲート容量7Aを用いて生成しカレントミラー回路8Aを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流により抜けた量と同じ量の電荷を供給することができ、電圧制御発振回路4Aの入力部における電荷漏れによる制御電圧VCNTAの低下を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Aの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Aの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0066】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13は、第4の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。また、図14は、図13に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図13において、図1、図3、図11に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
図13に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4B、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6D、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路(CM)8Bを有する。第4の実施形態におけるローパスフィルタ3は、第2の実施形態におけるローパスフィルタ3と同様である。また、第4の実施形態におけるPLL回路の基本動作は、第2の実施形態におけるPLL回路の基本動作と同様である。
【0068】
第4の実施形態では、補正制御回路6D、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bにより、電圧制御発振回路4Bの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0069】
補正制御回路6Dは、AND回路21、71、72、インバータ22、29、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、スイッチ25、容量27、NAND回路33B、及びロック状態判定部(LOCK)70を有する。補正制御回路6Dのカウンタ23は、動作開始時において出力がハイレベルとなり、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をハイレベルからローレベルに変化させる。補正制御回路6Dでは、容量27は、一方の電極が正の電源電圧に接続され、他方の電極がスイッチ25を介してアンプ24の出力端に接続される。また、NAND回路33Bは、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。AND回路72は、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端に信号PDBBが入力され、出力端から信号PDBAを出力する。また、第4の実施形態において、ゲート容量7Bのゲートは、電圧VTARGのノードに接続される。
【0070】
第4の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6D、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bによる動作について説明する。
【0071】
ロック状態でなく信号LOCKがローレベルであるときには、信号PDBAはローレベルとなり、信号PDBBはハイレベルとなる。このとき、補正制御回路6Dのカウンタ23及びアンプ24、30は停止状態であり、カレントミラー回路8Bはリセット状態である。
【0072】
ロック状態になり信号LOCKがハイレベルとなった状態で、図14に示すように、制御信号UPB及びDNがともにネゲートされると、補正制御回路6DのAND回路71の出力、及びAND回路72から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Dのカウンタ23及びアンプ24、30が動作を開始する。
【0073】
カウンタ23は、動作を開始すると、電圧制御発振回路4Bより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントするとともに、出力をハイレベルにする。これにより、信号SWAがハイレベルとなってスイッチ25がオンし、制御電圧VCNTAが容量27に供給される。その後、カウントしたパルス数が所定数に達しカウンタ23が出力をハイレベルからローレベルに変化させると、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGのノードを介してゲート容量7Bのゲートに供給される。また、補正制御回路6DのNAND回路33Bから出力される信号PDBBがハイレベルからローレベルに変化し、カレントミラー回路8Bは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0074】
このとき、ゲート容量7Bには、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流IAと等しいゲートリーク電流IBが流れ、電圧VTARGと電圧VCNTAは同電位となる。また、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しいので、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ込むゲートリーク電流IAと流れ出す電流(補正電流)ICは等しく、制御電圧VCNTAのノードにおいてゲートリーク電流IAにより注入された電荷量が電流ICによって引き抜かれる。その結果、制御電圧VCNTAは、図14に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときに一定値を保つことができる。また、このとき信号PDBBがハイレベルからローレベルに変化することで、信号PDBAがローレベルになり、補正制御回路6Dのカウンタ23及びアンプ24は動作を停止する。これにより、制御電圧VCNTAのノードからのフィードバックはなくなり、容量27からのフィードバックのみで動作する。
【0075】
第4の実施形態によれば、電圧制御発振回路4Bの入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6D及びゲート容量7Bを用いて生成しカレントミラー回路8Bを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流により注入された量と同じ量の電荷を引き抜くことができ、電圧制御発振回路4Bの入力部からの電荷注入による制御電圧VCNTAの上昇を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Bの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Bの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0076】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図5は、第5の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。図5において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第5の実施形態(図5)は、第1の実施形態(図1)に対して、定電流源12及び13を削除し、抵抗51を追加したものである。以下では、第5の実施形態が、第1の実施形態と異なる点を説明する。抵抗51は、スイッチ11及び14の相互接続点と制御電圧VCNTAのノードとの間に接続される。スイッチ11は正の電源電圧及び抵抗51間に接続され、スイッチ14は抵抗51及び基準電位間に接続される。
【0077】
以上のように、本実施形態は、図1のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第1の実施形態と同様の効果を実現できる。同様に、図3のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第2の実施形態と同様の効果を実現できる。また、図15に例示するように、図11のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第3の実施形態と同様の効果を実現できる。また、同様に、図13のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第4の実施形態と同様の効果を実現できる。
【0078】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図6は、第6の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。図6において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第6の実施形態(図6)は、第1の実施形態(図1)に対して、ローパスフィルタ3を1つの半導体チップとして構成されたPLL回路用IC(集積回路)61の外部に設けた点が異なる。その他の点については、第6の実施形態は、第1の実施形態と同様である。ローパスフィルタ3をPLL回路用IC61の外部に設けて、ローパスフィルタ3をPLL回路用IC61内の制御電圧VCNTAのノードに接続した場合でも、第1の実施形態と同様の効果を実現できる。また、同様に、図3、図11、図13のローパスフィルタ3をPLL回路用ICの外部に設けて、ローパスフィルタ3をPLL回路用IC内の制御電圧VCNTAのノードに接続した場合でも、それぞれの実施形態と同様の効果を実現できる。また、さらに、第5の実施形態と同様に、チャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続するようにしても良い。
【0079】
なお、前述した各実施形態において、ローパスフィルタ3内の抵抗15及び容量16は削除しても良い。また、分周器5を削除し、電圧制御発振回路4A(又は4B)の出力クロック信号CKOをフィードバッククロック信号FBCLKとして位相比較回路1に直接入力しても良い。その場合、出力クロック信号CKOは、リファレンスクロック信号REFCLKと同じ周波数として出力される。
【0080】
また、各実施形態では、電圧制御発振回路4A(又は4B)内の入力トランジスタ19(又は41)と同じサイズのゲート容量を用いて、電圧制御発振回路の入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制するようにしているが、これに限定されるものではない。電圧制御発振回路の入力部でのリークが原因で発生する入力ノードの電位変化を抑制できれば良く、例えば図7に示すように電圧制御発振回路を2つ設け、出力クロック信号を出力する電圧制御発振回路における入力ノードの電位変化を抑制するようにしても良い。
【0081】
図7は、本発明の実施形態によるPLL回路の他の構成例を示す図である。PLL回路は、位相比較回路101、チャージポンプ回路102、ローパスフィルタ103、第1の電圧制御発振回路104、及び分周器105を有する。また、PLL回路は、補正制御回路106、第2の電圧制御発振回路107、及びカレントミラー回路108を有する。位相比較回路101、チャージポンプ回路102、ローパスフィルタ103、及び第1の電圧制御発振回路104は、前述した実施形態における位相比較回路1、チャージポンプ回路2、ローパスフィルタ3、及び電圧制御発振回路4A(又は4B)にそれぞれ相当する。また、分周器105、補正制御回路106、及びカレントミラー回路108は、前述した実施形態における分周器5、補正制御回路6A(又は6B、6C、6D)、及びカレントミラー回路8A(又は8B)にそれぞれ相当する。なお、第1の電圧制御発振回路104、補正制御回路106、及びカレントミラー回路108に対応する電圧制御発振回路4A又は4B、補正制御回路6A、6B、6C、又は6D、及びカレントミラー回路8A又は8Bは、前述した各実施形態に示した組み合わせで適用される。
【0082】
第2の電圧制御発振回路107は、その入力部が第1の電圧制御発振回路104の入力部と同様に構成されている。第2の電圧制御発振回路107は、例えば内部構成が第1の電圧制御発振回路104と同様に構成された第1の電圧制御発振回路104の複製回路である。第2の電圧制御発振回路107は、補正制御回路106がアンプ32を有していればアンプ32の出力が、アンプ32を有していなければアンプ30の出力が、制御電圧として供給されている。第2の電圧制御発振回路107の入力部で発生したリーク電流は、カレントミラー回路108で複製され補正電流ICMとして制御電圧VCNTのノードに出力される。これにより、第1の電圧制御発振回路104の入力部でロック状態時に発生するリーク電流に等しい補正電流を供給することができ、第1の電圧制御発振回路104の入力部でのリークによる制御電圧VCNTの変動を抑制し、定常位相誤差を防止することができる。
【0083】
また、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の諸態様を付記として以下に示す。
【0084】
(付記1)
リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相を比較して位相差を検出する位相比較回路と、
第1の電圧を保持する第1の容量と、
前記位相比較回路により検出された位相差に応じた電流を前記第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、
前記第1の容量の前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相比較回路に出力する電圧制御発振回路と、
前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧に基づく制御情報を出力する補正制御回路と、
前記補正制御回路より出力された前記制御情報に基づいて、前記電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路により生成された電流に応じた補正電流を前記第1の容量に出力するカレントミラー回路とを有することを特徴とする位相ロックループ回路。
(付記2)
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持して、前記第1の時刻以後は、前記第1の容量の前記第1の電圧と前記第1の時刻に保持した前記第1の電圧とを比較し、比較結果を前記制御情報として出力することを特徴とする付記1記載の位相ロックループ回路。
(付記3)
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持した前記第1の電圧が一方の入力端に入力され、前記第1の時刻以後において前記第1の容量の前記第1の電圧が他方の入力端に入力され、出力が前記補正制御回路の出力とされるアンプとを有することを特徴とする付記2記載の位相ロックループ回路。
(付記4)
前記補正制御回路は、前記第1の容量の前記第1の電圧を、前記第1の時刻に前記第2の容量に入力し、前記第1の時刻以後は前記アンプの前記他方の入力端に入力するよう切り替える切り替え回路を有することを特徴とする付記3記載の位相ロックループ回路。
(付記5)
前記切り替え回路は、
前記第1の容量の前記第1の電圧を前記第2の容量に入力させる第1のスイッチと、
前記第1の容量の前記第1の電圧を前記アンプの前記他方の入力端に入力させる第2のスイッチと、
前記第1の時刻に前記第1のスイッチを導通させ、前記第1の時刻以後は前記第1のスイッチを非導通とし前記第2のスイッチを導通させる制御回路とを有することを特徴とする付記4記載の位相ロックループ回路。
(付記6)
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記制御情報として前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧を出力することを特徴とする付記1記載の位相ロックループ回路。
(付記7)
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持された前記第1の電圧を前記制御情報として出力する出力回路とを有することを特徴とする付記6記載の位相ロックループ回路。
(付記8)
前記電流生成回路は、前記電圧制御発振回路の入力トランジスタと同じサイズであって、ゲートに前記補正制御回路より出力された前記制御情報が入力されるゲート容量を有することを特徴とする付記1〜7の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記9)
前記電流生成回路は、前記補正制御回路の出力が入力電圧として入力される、前記電圧制御発振回路の複製回路であることを特徴とする付記1〜7の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記10)
前記チャージポンプ回路は、電源電圧及び前記第1の容量間に接続される第3のスイッチ及び第1の電流源と、前記第1の容量及び基準電位間に接続される第4のスイッチ及び第2の電流源とを有することを特徴とする付記1〜9の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記11)
前記チャージポンプ回路及び前記第1の容量間に接続される抵抗を有し、
前記チャージポンプ回路は、電源電圧及び前記抵抗間に接続される第3のスイッチと、前記抵抗及び基準電位間に接続される第4のスイッチとを有することを特徴とする付記1〜9の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記12)
前記位相比較回路、前記チャージポンプ回路、前記電圧制御発振回路、前記補正制御回路、前記電流生成回路、及び前記カレントミラー回路は、同一の半導体チップ内に設けられ、
前記第1の容量は、前記半導体チップの外部に設けられることを特徴とする付記1〜11の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
【符号の説明】
【0085】
1 位相比較回路
2 チャージポンプ回路
3 ローパスフィルタ
4A、4B 電圧制御発振回路
5 分周器
6A、6B、6C、6D 補正制御回路
7A、7B ゲート容量
8A、8B カレントミラー回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相ロックループ(PLL:Phase Locked Loop)回路に関する。
【背景技術】
【0002】
PLL回路は、クロック周波数の逓倍やLSI(Large-scale Integrated Circuit)内部のクロック信号のスキュー(Skew)調整等を行う機能を有しており、近年のLSIの高速化及び大規模化を実現させるために必須の回路(マクロ)として提供されている。
【0003】
そのような市場動向に伴い、PLL回路が半導体チップに搭載されるのが当然となってきた。半導体チップの低電圧化、微細化に伴い、PLL回路を構成するトランジスタも低電圧化、微細化が進められていることは認知されてきた。しかし、近年、微細化により、アナログ回路のアナログ的動作として無視できていたトランジスタのリークによる特性劣化量が無視できないほど大きくなり、定常位相誤差を悪化させる大きな要因の1つとなってきた。
【0004】
図8は、PLL回路の構成例を示す図であり、図9及び図10は、図8に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。PLL回路は、位相比較回路(PFD)201、チャージポンプ回路(CP)202、ローパスフィルタ(LPF)203、電圧制御発振回路(VCO)204、及び分周器(DIV)205を有する。電圧制御発振回路204は、発振器(OSC)206及び入力トランジスタ207を有する。
【0005】
位相比較回路201は、リファレンスクロック信号REFCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)とフィードバッククロック信号FBCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)の位相を比較する。位相比較回路201は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相差を制御信号UPB及びDNとしてチャージポンプ回路202へ出力する。フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して遅れているときには制御信号UPB及びDNがローレベルになる。また、フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して進んでいるときには制御信号UPB及びDNがハイレベルになる。
【0006】
チャージポンプ回路202は、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ203内の容量に対して注入又は抜くことで、制御電圧VCNTを制御する。制御信号UPB及びDNがローレベルになると、ローパスフィルタ203内の容量は電源電圧に接続され、制御電圧VCNTが上昇する。また、制御信号UPB及びDNがハイレベルになると、ローパスフィルタ203内の容量は基準電位に接続され、制御電圧VCNTが低下する。電圧制御発振回路204は、制御電圧VCNTに応じた発振周波数の出力クロック信号CKOを出力する。制御電圧VCNTが上昇すると出力クロック信号CKOの周波数は高くなり、制御電圧VCNTが低下すると出力クロック信号CKOの周波数は低くなる。分周器205は、出力クロック信号CKOをN分周し、フィードバッククロック信号FBCLKを出力する。出力クロック信号CKOは、リファレンスクロック信号REFCLKに対してN倍高い周波数として出力される。
【0007】
さらに詳しく動作を説明すると、リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が進んでいる場合には、出力クロック信号CKOの周波数が高すぎると認識させて、出力クロック信号CKOの周波数を下げる動作を行う。そのため、位相比較回路201は制御信号UPB及びDNをハイレベルにし、チャージポンプ回路202はローパスフィルタ203内の容量に蓄積されている電荷を抜くことで、制御電圧VCNTを下げる。また、反対に、リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が遅れている場合には、出力クロック信号CKOの周波数が低すぎると認識させて、出力クロック信号CKOの周波数を上げる動作を行う。そのため、位相比較回路201は制御信号UPB及びDNをローレベルにし、チャージポンプ回路202はローパスフィルタ203内の容量に電荷を注入することで、制御電圧VCNTを上げる。このようにPLL回路は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相を合わせるように制御電圧VCNTを変化させることによって、出力クロック信号CKOの周波数を調整しターゲット周波数でロックする。
【0008】
なお、図8のPLL回路において、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間は、チャージポンプ回路202からローパスフィルタ203内の容量への電荷の授受は行われない。すなわち、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間、チャージポンプ回路202の出力及び電圧制御発振回路204の入力はともにハイインピーダンスとなり、ローパスフィルタ203内の容量に蓄積されている電荷は保持される。その結果、図9に示すように制御電圧VCNTは一定値を保ち、出力クロック信号CKOの周波数も一定値を保つ。
【0009】
しかし、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振回路204の入力部でハイインピーダンスをとらなくなってきており、いわゆるゲートリーク電流が発生する。そのため、ローパスフィルタ203内の容量に蓄積されている電荷が電圧制御発振回路204の入力部から抜けてしまう(又は電圧制御発振回路204の入力部から電荷が注入されてしまう)。その結果、図10に示すように、制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの期間において、制御電圧VCNTを一定値に保てなくなり、制御電圧VCNTが低下してしまい、出力クロック信号CKOの周波数も低下してしまう。
【0010】
前述のように制御信号UPBがハイレベルかつ制御信号DNがローレベルの間、制御電圧VCNTを一定値に維持できないため、位相が合うように制御電圧VCNTを調整しても、次に位相比較するときに制御電圧VCNTが調整した値からずれてしまう。そのため、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKにおいて、定常的な位相差(定常位相誤差)φが発生する。さらに、この位相差(定常位相誤差)φをなくすように位相比較回路201がクロック信号の立ち上がり毎に制御電圧VCNTを制御するため、クロック信号の立ち上がり毎に出力クロック信号CKOにスプリアス(周波数ずれ)が発生する。
【0011】
下記特許文献1には、ローパスフィルタにリーク電流のあるゲート酸化膜の薄いMOSトランジスタを容量として用いるために、ローパスフィルタにおけるリーク電流を補償するリーク電流補償回路を備えたPLL回路が提案されている。また、下記特許文献2には、ローパスフィルタにおけるリーク電流を補償するPLL回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−184778号公報
【特許文献2】特開2008−147868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、電圧制御発振回路の入力部でのリークに起因する定常位相誤差を防止することができる位相ロックループ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
位相ロックループ回路の一態様は、リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相差を検出する位相比較回路と、第1の電圧を保持する第1の容量と、検出された位相差に応じた電流を第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、第1の容量の第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、出力クロック信号又はそれに応じた信号をフィードバッククロック信号として位相比較回路に出力する電圧制御発振回路とを有する。さらに、チャージポンプ回路による第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に第1の電圧を保持し、第1の時刻に保持された第1の電圧に基づく制御情報を出力する補正制御回路と、補正制御回路からの制御情報に基づいて、電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成する電流生成回路と、生成された電流に応じた補正電流を第1の容量に出力するカレントミラー回路とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補正制御回路及び電流生成回路により位相ロックループ回路が有する電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成し、それに応じた補正電流をカレントミラー回路を介して第1の容量に出力する。これにより、電圧制御発振回路の入力部でのリーク電流により第1の電圧が変動することを抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図2】図1に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図4】図3に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第5の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるPLL回路の構成例を示す図である。
【図8】PLL回路の構成例を示す図である。
【図9】図8に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図10】図8に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図12】図11に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。
【図14】図13に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の第5の実施形態によるPLL回路の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態による位相ロックループ(PLL)回路の構成例を示す図である。また、図2は、図1に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【0019】
図1に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4A、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6A、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路(CM)8Aを有する。
【0020】
チャージポンプ回路2は、スイッチ11、14及び定電流源12、13を有する。スイッチ11及び定電流源12の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNTAのノード間に接続され、定電流源13及びスイッチ14の直列接続回路は、制御電圧VCNTAのノード及び基準電位(例えばグランド電位)間に接続される。ローパスフィルタ3は、抵抗15及び容量16、17を有する。抵抗15及び容量16の直列接続回路は、制御電圧VCNTAのノード及び基準電位間に接続され、容量17は、制御電圧VCNTAのノード及び基準電位間に接続される。電圧制御発振回路4Aは、発振器(OSC)18及び入力トランジスタ19を有する。入力トランジスタ19は、nチャネルMOS電界効果トランジスタであり、ゲートが制御電圧VCNTAのノードに接続され、ソースが基準電位に接続され、ドレインが発振器18に接続される。
【0021】
位相比較回路1は、リファレンスクロック信号REFCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)とフィードバッククロック信号FBCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)の位相を比較する。位相比較回路1は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相差を制御信号UPB及びDNとしてチャージポンプ回路2へ出力する。フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して遅れているときには、制御信号UPB及びDNがローレベルになる。また、フィードバッククロック信号FBCLKがリファレンスクロック信号REFCLKに対して進んでいるときには、制御信号UPB及びDNがハイレベルになる。ここで、制御信号UPBはネゲートされているときにハイレベルの信号であり、制御信号DNはネゲートされているときにローレベルの信号である。制御信号UPB及びDNのパルス幅(アサートされる期間の長さ)は、フィードバッククロック信号FBCLK及びリファレンスクロック信号REFCLKの位相差が大きいほど広くなる。
【0022】
チャージポンプ回路2は、制御信号UPB及びDNに応じた電流をローパスフィルタ3に対して出力し、制御信号UPB及びDNに応じた電荷をローパスフィルタ3内の容量16及び17に対して注入又は抜くことで制御電圧VCNTAを制御する。スイッチ11は、制御信号UPBがローレベルになるとオンし(導通状態)、制御信号UPBがハイレベルとなるとオフする(非導通状態)。スイッチ14は、制御信号DNがハイレベルになるとオンし(導通状態)、制御信号DNがローレベルとなるとオフする(非導通状態)。制御信号UPB及びDNがローレベルになると、ローパスフィルタ3内の容量16及び17は正の電源電圧に接続されて電荷が注入され、制御電圧VCNTAが上昇する。また、制御信号UPB及びDNがハイレベルになると、ローパスフィルタ3内の容量16及び17は基準電位に接続されて電荷が引き抜かれ、制御電圧VCNTAが低下する。なお、フィードバッククロック信号FBCLK及びリファレンスクロック信号REFCLKの立ち上がり(又は立ち下がり)位相が同じときには、狭パルス幅で制御信号UPBがローレベル、制御信号DNがハイレベルになり、制御電圧VCNTAは変化しない。
【0023】
電圧制御発振回路4Aは、制御電圧VCNTAに応じた発振周波数の出力クロック信号CKOを出力する。制御電圧VCNTAが上昇すると出力クロック信号CKOの周波数は高くなり、制御電圧VCNTAが低下すると出力クロック信号CKOの周波数は低くなる。分周器5は、出力クロック信号CKOをN分周(Nは自然数)し、フィードバッククロック信号FBCLKを出力する。出力クロック信号CKOは、リファレンスクロック信号REFCLKに対してN倍高い周波数として出力される。
【0024】
第1の実施形態におけるPLL回路の基本動作について説明する。
リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が進んでいる場合には、制御信号UPB及びDNがハイレベルになり、チャージポンプ回路2内のスイッチ11がオフし、スイッチ14がオンする。これにより、ローパスフィルタ3内の容量16及び17が基準電位に接続されて、容量16及び17に蓄積されている電荷が引き抜かれ、制御電圧VCNTAは低下する。電圧制御発振回路4Aは、制御電圧VCNTAが低下すると出力クロック信号CKOの発振周波数を下げる。その結果、リファレンスクロック信号REFCLKに対してフィードバッククロック信号FBCLKは位相の進み量が小さくなり、やがて両者の位相差が0になる。
【0025】
逆に、リファレンスクロック信号REFCLKよりフィードバッククロック信号FBCLKの位相が遅れている場合には、制御信号UPB及びDNがローレベルになり、チャージポンプ回路2内のスイッチ11がオンし、スイッチ14がオフする。これにより、ローパスフィルタ3内の容量16及び17が電源電圧に接続されて、容量16及び17に電荷が注入され、制御電圧VCNTAは上昇する。電圧制御発振回路4Aは、制御電圧VCNTAが上昇すると出力クロック信号CKOの発振周波数を上げる。その結果、リファレンスクロック信号REFCLKに対してフィードバッククロック信号FBCLKは位相の遅れ量が小さくなり、やがて両者の位相差が0になる。
【0026】
ここで、制御電圧VCNTAのノードは、電圧制御発振回路4Aの入力端子(入力トランジスタ19のゲート)に接続されている。前述したように、近年のトランジスタの微細化の影響により、電圧制御発振回路4Aの入力部は完全なハイインピーダンスにはならず、入力トランジスタ19のゲートリーク電流IAが発生する。そのため、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフであっても、ローパスフィルタ3内の容量16及び17に蓄積されている電荷が電圧制御発振回路4Aの入力部を介して抜けてしまう。その結果、何ら改善策を施さなければ、電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧は、図2において破線で示した制御電圧VCNTA’のように一定値にならず、低下してしまう。
【0027】
本実施形態では、補正制御回路6A、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aにより、電圧制御発振回路4Aの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0028】
補正制御回路6Aは、2入力の論理積演算回路(AND回路)21、33A、インバータ22、29、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、31、32、スイッチ25、26、及び容量27、28を有する。AND回路21は、一方の入力端に制御信号UPBが入力され、他方の入力端にインバータ22を介して制御信号DNが入力され、出力端から信号PDBAを出力する。この信号PDBAに応じて、カウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作する。本実施形態では、信号PDBAがハイレベルのときにカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作状態となり、信号PDBAがローレベルのときにカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が停止(非動作)状態となる。
【0029】
カウンタ23は、出力クロック信号CKOが入力され、出力クロック信号CKOのパルス数をカウントする。カウンタ23は、動作開始時において出力がローレベルであり、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をパルス状にハイレベルにする。カウンタ23の出力は、信号SWAとしてスイッチ25に出力されるとともに、インバータ29を介して信号SWBとしてスイッチ26及びAND回路33Aに出力される。なお、カウンタ23は、動作開始時において出力をハイレベルとし、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をハイレベルからローレベルに変化させるようにしても良い。
【0030】
アンプ24は、一方の入力端が制御電圧VCNTAのノードに接続され、他方の入力端が自らの出力端に接続される。また、アンプ24の出力端が、スイッチ25を介して、一方の電極が基準電位に接続された容量27の他方の電極、及びアンプ30の一方の入力端に接続される。同様に、アンプ24の出力端が、スイッチ26を介して、一方の電極が基準電位に接続された容量28の他方の電極、及びアンプ31の一方の入力端に接続される。スイッチ25は、信号SWAによってオン/オフ制御され、信号SWAがハイレベルになるとオンし(導通状態)、信号SWAがローレベルとなるとオフする(非導通状態)。スイッチ26は、信号SWBによってオン/オフ制御され、信号SWBがハイレベルになるとオンし(導通状態)、信号SWBがローレベルとなるとオフする(非導通状態)。
【0031】
アンプ30は、出力端及び他方の入力端が電圧VTARGのノードに接続される。アンプ31は、出力端及び他方の入力端が電圧VCNTBのノードに接続される。アンプ32は、一方の入力端が電圧VTARGのノードに接続され、他方の入力端が電圧VCNTBのノードに接続される。AND回路33Aは、一方の入力端に信号PDBAが入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。
【0032】
ゲート容量7Aは、電圧制御発振回路4A内の入力トランジスタ19のゲートサイズと同じサイズのゲート容量であり、入力トランジスタ19と同じサイズのnチャネルトランジスタを用いて構成される。ゲート容量7Aは、ゲートが補正制御回路6Aのアンプ32の出力端に接続され、ソース及びドレインが基準電位に接続される。
【0033】
カレントミラー回路8Aは、pチャネルMOS電界効果トランジスタ34、35、36を有する。pチャネルトランジスタ34は、ソースが正の電源電圧に接続され、ゲート及びドレインが補正制御回路6Aのアンプ32の出力端とゲート容量7Aのゲートとの相互接続点に接続される。pチャネルトランジスタ35は、pチャネルトランジスタ34と同じサイズのトランジスタであり、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインが制御電圧VCNTAのノードに接続される。また、pチャネルトランジスタ35は、ゲートがノードVCNTFBを介してpチャネルトランジスタ34のゲートに接続される。pチャネルトランジスタ36は、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインがノードVCNTFBに接続される。また、pチャネルトランジスタ36のゲートには、信号PDBBが供給される。すなわち、カレントミラー回路8Aは、pチャネルトランジスタ34を入力側トランジスタとし、pチャネルトランジスタ35を出力側トランジスタとし、pチャネルトランジスタ36をリセット用(動作制御用)トランジスタとしたカレントミラー回路である。カレントミラー回路8Aは、信号PDBBがハイレベルのときに動作状態となり、信号PDBBがローレベルのときにリセット状態となる。
【0034】
第1の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6A、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aによる動作について説明する。
【0035】
図2に示すように、位相比較回路1での比較結果に基づいて制御信号UPB及びDNの少なくとも一方がアサートされているとき、補正制御回路6AのAND回路21及び33Aからそれぞれ出力される信号PDBA及びPDBBはローレベルとなる。このとき、補正制御回路6Aのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32は停止状態である。また、カレントミラー回路8Aのpチャネルトランジスタ36がオンであり(導通状態)、カレントミラー回路8Aはリセット状態となる。
【0036】
制御信号UPB及びDNがともにネゲートされる、すなわちチャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされると、補正制御回路6AのAND回路21から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Aのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作を開始し、カウンタ23は、電圧制御発振回路4Aより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントする。カウントしたパルス数が所定数に達しカウンタ23が出力をパルス状にハイレベルにすると、信号SWAがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオンし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGとされる。
【0037】
その後、カウンタ23の出力がローレベルとなることで、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフすると同時にスイッチ26がオンし、制御電圧VCNTAがスイッチ26及びアンプ31を介してアンプ32に電圧VCNTBとして供給される。また、補正制御回路6AのAND回路33Aから出力される信号PDBBがローレベルからハイレベルに変化し、カレントミラー回路8Aは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0038】
このようにして、容量27に保持された制御電圧VCNTAである電圧VTARGと時間経過後の制御電圧VCNTAである電圧VCNTBとがアンプ32で随時比較される。そして、比較結果に基づき電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように補正制御回路6Aが制御をかけることで、ゲート容量7Aにおけるゲートリーク電流IBが、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流IAと等しくなる。また、カレントミラー回路8Aの入力側のpチャネルトランジスタ34における入力電流と、出力側のpチャネルトランジスタ35における出力電流ICは等しいので、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しい。したがって、電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように制御することで、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ出すゲートリーク電流IAと流れ込む電流(補正電流)ICは等しくなり、ゲートリーク電流IAにより抜けた量の電荷が電流ICにより供給される。その結果、制御電圧VCNTAは、図2に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときには、一定値を保つことができる。なお、この制御は、分周器5の出力の位相比較回路1への入力毎に繰り返し実行される。
【0039】
本実施形態によれば、電圧制御発振回路4A内の入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6A及びゲート容量7Aを用いて生成しカレントミラー回路8Aを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流により抜けた量と同じ量の電荷を供給することができ、電圧制御発振回路4Aの入力部における電荷漏れによる制御電圧VCNTAの低下を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Aの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Aの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。また、図4は、図3に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図3において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0041】
図3に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4B、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6B、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路(CM)8Bを有する。
【0042】
ローパスフィルタ3において、抵抗15及び容量16の直列接続回路は、正の電源電圧及び制御電圧VCNTAのノード間に接続され、容量17は、正の電源電圧及び制御電圧VCNTAのノード間に接続される。電圧制御発振回路4Bは、発振器(OSC)18及び入力トランジスタ41を有する。入力トランジスタ41は、pチャネルMOS電界効果トランジスタであり、ゲートが制御電圧VCNTAのノードに接続され、ソースが正の電源電圧に接続され、ドレインが発振器18に接続される。なお、第2の実施形態におけるPLL回路の基本動作は、第1の実施形態におけるPLL回路の基本動作と同様である。
【0043】
第2の実施形態では、補正制御回路6B、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bにより、電圧制御発振回路4Bの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0044】
補正制御回路6Bは、AND回路21、インバータ22、29、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、31、32、スイッチ25、26、容量27、28、及び2入力の否定論理積演算回路(NAND回路)33Bを有する。補正制御回路6Bでは、容量27は、一方の電極が正の電源電圧に接続され、他方の電極がスイッチ25を介してアンプ24の出力端に接続される。同様に、容量28は、一方の電極が正の電源電圧に接続され、他方の電極がスイッチ26を介してアンプ24の出力端に接続される。NAND回路33Bは、一方の入力端に信号PDBAが入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。
【0045】
ゲート容量7Bは、電圧制御発振回路4B内の入力トランジスタ41のゲートサイズと同じサイズのゲート容量であり、入力トランジスタ41と同じサイズのpチャネルトランジスタを用いて構成される。ゲート容量7Bは、ゲートが補正制御回路6Bのアンプ32の出力端に接続され、ソース及びドレインが正の電源電圧に接続される。
【0046】
カレントミラー回路8Bは、nチャネルMOS電界効果トランジスタ42、43、44を有する。nチャネルトランジスタ42は、ソースが基準電位に接続され、ゲート及びドレインが補正制御回路6Bのアンプ32の出力端とゲート容量7Bのゲートとの相互接続点に接続される。nチャネルトランジスタ43は、nチャネルトランジスタ42と同じサイズのトランジスタである。nチャネルトランジスタ43は、ソースが基準電位に接続され、ドレインが制御電圧VCNTAのノードに接続され、ゲートがノードVCNTFBを介してnチャネルトランジスタ42のゲートに接続される。nチャネルトランジスタ44は、ソースが基準電位に接続され、ドレインがノードVCNTFBに接続される。また、nチャネルトランジスタ44のゲートには、信号PDBBが供給される。すなわち、カレントミラー回路8Bは、nチャネルトランジスタ42を入力側トランジスタとし、nチャネルトランジスタ43を出力側トランジスタとし、nチャネルトランジスタ44をリセット用(動作制御用)トランジスタとしたカレントミラー回路である。カレントミラー回路8Bは、信号PDBBがローレベルのときに動作状態となり、信号PDBBがハイレベルのときにリセット状態となる。
【0047】
第2の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6B、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bによる動作について説明する。
【0048】
図4に示すように、位相比較回路1での比較結果に基づいて制御信号UPB及びDNの少なくとも一方がアサートされているとき、補正制御回路6BのAND回路21から出力される信号PDBAはローレベルとなる。また、補正制御回路6BのNAND回路33Bから出力される信号PDBBはハイレベルとなる。このとき、補正制御回路6Bのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32は停止状態であり、カレントミラー回路8Bはリセット状態である。
【0049】
制御信号UPB及びDNがともにネゲートされる、すなわちチャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされると、補正制御回路6BのAND回路21から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Bのカウンタ23及びアンプ24、30、31、32が動作を開始し、カウンタ23は、電圧制御発振回路4Bより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントする。カウントしたパルス数が所定数に達しカウンタ23が出力をパルス状にハイレベルにすると、信号SWAがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオンし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGとされる。
【0050】
その後、カウンタ23の出力がローレベルとなることで、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフすると同時にスイッチ26がオンし、制御電圧VCNTAがスイッチ26及びアンプ31を介してアンプ32に電圧VCNTBとして供給される。また、補正制御回路6BのNAND回路33Bから出力される信号PDBBがハイレベルからローレベルに変化し、カレントミラー回路8Bは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0051】
このようにして、容量27に保持された制御電圧VCNTAである電圧VTARGと時間経過後の制御電圧VCNTAである電圧VCNTBとがアンプ32で随時比較される。そして、比較結果に基づき電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように補正制御回路6Bが制御をかけることで、ゲート容量7Bにおけるゲートリーク電流IBが、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流IAと等しくなる。また、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しいので、電圧VCNTBが電圧VTARGと等しくなるように制御することで、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ込むゲートリーク電流IAと流れ出す電流(補正電流)ICは等しくなる。したがって、ゲートリーク電流IAにより制御電圧VCNTAのノードに注入された電荷量が、電流ICによって制御電圧VCNTAのノードから引き抜かれる。その結果、制御電圧VCNTAは、図4に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときには、一定値を保つことができる。なお、この制御は、分周器5の出力の位相比較回路1への入力毎に繰り返し実行される。
【0052】
第2の実施形態によれば、電圧制御発振回路4Bの入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6B及びゲート容量7Bを用いて生成しカレントミラー回路8Bを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流により注入された量と同じ量の電荷を引き抜くことができ、電圧制御発振回路4Bの入力部からの電荷注入による制御電圧VCNTAの上昇を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Bの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Bの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0053】
なお、前述した第1及び第2の実施形態では、カウンタ23からの1つの出力を用いてスイッチ25及び26を制御するようにしているが、カウンタ23から個別に出力を行うようにしてスイッチ25及び26を独立して制御するようにしても良い。また、電圧VTARGとする制御電圧VCNTAを容量27に保持し、スイッチ25をオフすると同時にスイッチ26をオンするようにしているが、同時でなくとも良く、スイッチ25をオフすると同時に若しくは遅れてスイッチ26をオンすれば良い。すなわち、スイッチ26をオンする前にスイッチ25をオフすれば良い。また、前述した第1及び第2の実施形態ではカウンタ23を用いているが、これに限らず、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされてから一定時間経過後にスイッチ25をオフし、スイッチ26をオンするように切り替える機能を有する任意の回路が適用可能である。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11は、第3の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。また、図12は、図11に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図11において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図11に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4A、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6C、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路(CM)8Aを有する。第3の実施形態におけるPLL回路の基本動作は、第1の実施形態におけるPLL回路の基本動作と同様である。
【0056】
第3の実施形態では、補正制御回路6C、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aにより、電圧制御発振回路4Aの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0057】
補正制御回路6Cは、AND回路21、33A、71、72、インバータ22、29、73、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、スイッチ25、容量27、及びロック状態判定部(LOCK)70を有する。補正制御回路6Cのカウンタ23は、動作開始時において出力がハイレベルとなり、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をハイレベルからローレベルに変化させる。
【0058】
ロック状態判定部70は、リファレンスクロック信号REFCLKとフィードバッククロック信号FBCLKの位相を比較し、比較結果に応じた信号LOCKを出力する。リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しいロック状態のときには、信号LOCKがハイレベルになる。リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくないときには、信号LOCKはローレベルである。
【0059】
AND回路71は、一方の入力端に信号LOCKが入力され、他方の入力端にAND回路21の出力が入力される。AND回路72は、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端にインバータ73を介して信号PDBBが入力され、出力端から信号PDBAを出力する。また、補正制御回路6Cでは、AND回路33Aは、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24は、信号PDBAにより制御され、信号PDBAがハイレベルのときに動作状態となり、信号PDBAがローレベルのときに停止(非動作)状態となる。また、補正制御回路6Cのアンプ30は、AND回路71の出力により制御され、AND回路71の出力がハイレベルのときに動作状態となり、AND回路71の出力がローレベルのときに停止(非動作)状態となる。また、第3の実施形態において、ゲート容量7Aのゲートは、電圧VTARGのノードに接続される。
【0060】
第3の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Aへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6C、ゲート容量7A、及びカレントミラー回路8Aによる動作について説明する。
【0061】
リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくない、すなわちロック状態でないときには、信号LOCKはローレベルであるので、AND回路71の出力はローレベルとなる。したがって、補正制御回路6CのAND回路72から出力される信号PDBA、及びAND回路33Aから出力される信号PDBBは、ローレベルとなる。このとき、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24、30は停止状態であり、カレントミラー回路8Aはリセット状態である。言い換えれば、リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくなり信号LOCKがハイレベルとなるまで、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24、30は動作しない。
【0062】
リファレンスクロック信号REFCLK及びフィードバッククロック信号FBCLKの位相が等しくなると、信号LOCKがハイレベルとなる。この状態で、図12に示すように、制御信号UPB及びDNがともにネゲートされる、すなわちチャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフにされると、補正制御回路6CのAND回路71の出力、及びAND回路72から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24、30が動作を開始する。
【0063】
カウンタ23は、動作を開始すると、電圧制御発振回路4Aより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントするとともに、出力をハイレベルにする。これにより、信号SWAがハイレベルとなってスイッチ25がオンし、制御電圧VCNTAが容量27に供給される。その後、カウンタ23は、カウントしたパルス数が所定数に達すると、出力をハイレベルからローレベルに変化させる。カウンタ23の出力がローレベルとなることで、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGのノードを介してゲート容量7Aのゲートに供給される。また、補正制御回路6CのAND回路33Aから出力される信号PDBBがローレベルからハイレベルに変化し、カレントミラー回路8Aは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0064】
このとき、ゲート容量7Aには、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流IAと等しいゲートリーク電流IBが流れ、電圧VTARGと電圧VCNTAは同電位となる。また、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しいので、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ出すゲートリーク電流IAと流れ込む電流(補正電流)ICは等しく、ゲートリーク電流IAにより抜けた量の電荷が電流ICにより供給される。その結果、制御電圧VCNTAは、図12に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときに一定値を保つことができる。また、このとき信号PDBBがローレベルからハイレベルに変化することで、信号PDBAがローレベルになり、補正制御回路6Cのカウンタ23及びアンプ24は動作を停止する。これにより、制御電圧VCNTAのノードからのフィードバックはなくなり、容量27からのフィードバックのみで動作する。
【0065】
第3の実施形態によれば、電圧制御発振回路4Aの入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6C及びゲート容量7Aを用いて生成しカレントミラー回路8Aを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ19におけるゲートリーク電流により抜けた量と同じ量の電荷を供給することができ、電圧制御発振回路4Aの入力部における電荷漏れによる制御電圧VCNTAの低下を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Aの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Aの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0066】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13は、第4の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。また、図14は、図13に示すPLL回路の動作例を示すタイミングチャートである。図13において、図1、図3、図11に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0067】
図13に示すように、PLL回路は、位相比較回路(PFD)1、チャージポンプ回路(CP)2、ローパスフィルタ(LPF)3、電圧制御発振回路(VCO)4B、及び分周器(DIV)5を有する。また、PLL回路は、補正制御回路(CTL)6D、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路(CM)8Bを有する。第4の実施形態におけるローパスフィルタ3は、第2の実施形態におけるローパスフィルタ3と同様である。また、第4の実施形態におけるPLL回路の基本動作は、第2の実施形態におけるPLL回路の基本動作と同様である。
【0068】
第4の実施形態では、補正制御回路6D、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bにより、電圧制御発振回路4Bの入力部のリークによる制御電圧の変化を補正し電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つ。
【0069】
補正制御回路6Dは、AND回路21、71、72、インバータ22、29、カウンタ(CNTR)23、アンプ24、30、スイッチ25、容量27、NAND回路33B、及びロック状態判定部(LOCK)70を有する。補正制御回路6Dのカウンタ23は、動作開始時において出力がハイレベルとなり、カウントしたパルス数が所定数に達すると出力をハイレベルからローレベルに変化させる。補正制御回路6Dでは、容量27は、一方の電極が正の電源電圧に接続され、他方の電極がスイッチ25を介してアンプ24の出力端に接続される。また、NAND回路33Bは、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端に信号SWBが入力され、出力端から信号PDBBを出力する。AND回路72は、一方の入力端にAND回路71の出力が入力され、他方の入力端に信号PDBBが入力され、出力端から信号PDBAを出力する。また、第4の実施形態において、ゲート容量7Bのゲートは、電圧VTARGのノードに接続される。
【0070】
第4の実施形態によるPLL回路において、電圧制御発振回路4Bへ入力される制御電圧を一定値に保つための補正制御回路6D、ゲート容量7B、及びカレントミラー回路8Bによる動作について説明する。
【0071】
ロック状態でなく信号LOCKがローレベルであるときには、信号PDBAはローレベルとなり、信号PDBBはハイレベルとなる。このとき、補正制御回路6Dのカウンタ23及びアンプ24、30は停止状態であり、カレントミラー回路8Bはリセット状態である。
【0072】
ロック状態になり信号LOCKがハイレベルとなった状態で、図14に示すように、制御信号UPB及びDNがともにネゲートされると、補正制御回路6DのAND回路71の出力、及びAND回路72から出力される信号PDBAがハイレベルとなる。これにより、補正制御回路6Dのカウンタ23及びアンプ24、30が動作を開始する。
【0073】
カウンタ23は、動作を開始すると、電圧制御発振回路4Bより出力される出力クロック信号CKOのパルス数をカウントするとともに、出力をハイレベルにする。これにより、信号SWAがハイレベルとなってスイッチ25がオンし、制御電圧VCNTAが容量27に供給される。その後、カウントしたパルス数が所定数に達しカウンタ23が出力をハイレベルからローレベルに変化させると、信号SWAがローレベルになり、信号SWBがハイレベルとなる。これにより、スイッチ25がオフし、そのときの制御電圧VCNTAが容量27に記憶(保持)される。この容量27に保持された制御電圧VCNTAが電圧VTARGのノードを介してゲート容量7Bのゲートに供給される。また、補正制御回路6DのNAND回路33Bから出力される信号PDBBがハイレベルからローレベルに変化し、カレントミラー回路8Bは、リセット状態が解除され動作状態となる。
【0074】
このとき、ゲート容量7Bには、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流IAと等しいゲートリーク電流IBが流れ、電圧VTARGと電圧VCNTAは同電位となる。また、ゲートリーク電流IBと出力電流ICは等しいので、制御電圧VCNTAのノードにおいて流れ込むゲートリーク電流IAと流れ出す電流(補正電流)ICは等しく、制御電圧VCNTAのノードにおいてゲートリーク電流IAにより注入された電荷量が電流ICによって引き抜かれる。その結果、制御電圧VCNTAは、図14に示したように、チャージポンプ回路2内のスイッチ11、14がともにオフのときに一定値を保つことができる。また、このとき信号PDBBがハイレベルからローレベルに変化することで、信号PDBAがローレベルになり、補正制御回路6Dのカウンタ23及びアンプ24は動作を停止する。これにより、制御電圧VCNTAのノードからのフィードバックはなくなり、容量27からのフィードバックのみで動作する。
【0075】
第4の実施形態によれば、電圧制御発振回路4Bの入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流による電圧変化を抑制するための電流を、補正制御回路6D及びゲート容量7Bを用いて生成しカレントミラー回路8Bを介して制御電圧VCNTAのノードに流す。これにより、制御電圧VCNTAのノードに対して、入力トランジスタ41におけるゲートリーク電流により注入された量と同じ量の電荷を引き抜くことができ、電圧制御発振回路4Bの入力部からの電荷注入による制御電圧VCNTAの上昇を防止することができる。したがって、電圧制御発振回路4Bの入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制することができ、定常位相誤差を防止することができる。また、定常位相誤差を防止することにより、電圧制御発振回路4Bの出力クロック信号CKOに発生するスプリアス(周波数ずれ)を抑制することができる。
【0076】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図5は、第5の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。図5において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第5の実施形態(図5)は、第1の実施形態(図1)に対して、定電流源12及び13を削除し、抵抗51を追加したものである。以下では、第5の実施形態が、第1の実施形態と異なる点を説明する。抵抗51は、スイッチ11及び14の相互接続点と制御電圧VCNTAのノードとの間に接続される。スイッチ11は正の電源電圧及び抵抗51間に接続され、スイッチ14は抵抗51及び基準電位間に接続される。
【0077】
以上のように、本実施形態は、図1のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第1の実施形態と同様の効果を実現できる。同様に、図3のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第2の実施形態と同様の効果を実現できる。また、図15に例示するように、図11のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第3の実施形態と同様の効果を実現できる。また、同様に、図13のチャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続した回路構成でも、第4の実施形態と同様の効果を実現できる。
【0078】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図6は、第6の実施形態によるPLL回路の構成例を示す図である。図6において、図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第6の実施形態(図6)は、第1の実施形態(図1)に対して、ローパスフィルタ3を1つの半導体チップとして構成されたPLL回路用IC(集積回路)61の外部に設けた点が異なる。その他の点については、第6の実施形態は、第1の実施形態と同様である。ローパスフィルタ3をPLL回路用IC61の外部に設けて、ローパスフィルタ3をPLL回路用IC61内の制御電圧VCNTAのノードに接続した場合でも、第1の実施形態と同様の効果を実現できる。また、同様に、図3、図11、図13のローパスフィルタ3をPLL回路用ICの外部に設けて、ローパスフィルタ3をPLL回路用IC内の制御電圧VCNTAのノードに接続した場合でも、それぞれの実施形態と同様の効果を実現できる。また、さらに、第5の実施形態と同様に、チャージポンプ回路2内の定電流源12及び13を削除し、チャージポンプ回路2の出力に抵抗51を直列に接続するようにしても良い。
【0079】
なお、前述した各実施形態において、ローパスフィルタ3内の抵抗15及び容量16は削除しても良い。また、分周器5を削除し、電圧制御発振回路4A(又は4B)の出力クロック信号CKOをフィードバッククロック信号FBCLKとして位相比較回路1に直接入力しても良い。その場合、出力クロック信号CKOは、リファレンスクロック信号REFCLKと同じ周波数として出力される。
【0080】
また、各実施形態では、電圧制御発振回路4A(又は4B)内の入力トランジスタ19(又は41)と同じサイズのゲート容量を用いて、電圧制御発振回路の入力部でのリークによる制御電圧VCNTAの変動を抑制するようにしているが、これに限定されるものではない。電圧制御発振回路の入力部でのリークが原因で発生する入力ノードの電位変化を抑制できれば良く、例えば図7に示すように電圧制御発振回路を2つ設け、出力クロック信号を出力する電圧制御発振回路における入力ノードの電位変化を抑制するようにしても良い。
【0081】
図7は、本発明の実施形態によるPLL回路の他の構成例を示す図である。PLL回路は、位相比較回路101、チャージポンプ回路102、ローパスフィルタ103、第1の電圧制御発振回路104、及び分周器105を有する。また、PLL回路は、補正制御回路106、第2の電圧制御発振回路107、及びカレントミラー回路108を有する。位相比較回路101、チャージポンプ回路102、ローパスフィルタ103、及び第1の電圧制御発振回路104は、前述した実施形態における位相比較回路1、チャージポンプ回路2、ローパスフィルタ3、及び電圧制御発振回路4A(又は4B)にそれぞれ相当する。また、分周器105、補正制御回路106、及びカレントミラー回路108は、前述した実施形態における分周器5、補正制御回路6A(又は6B、6C、6D)、及びカレントミラー回路8A(又は8B)にそれぞれ相当する。なお、第1の電圧制御発振回路104、補正制御回路106、及びカレントミラー回路108に対応する電圧制御発振回路4A又は4B、補正制御回路6A、6B、6C、又は6D、及びカレントミラー回路8A又は8Bは、前述した各実施形態に示した組み合わせで適用される。
【0082】
第2の電圧制御発振回路107は、その入力部が第1の電圧制御発振回路104の入力部と同様に構成されている。第2の電圧制御発振回路107は、例えば内部構成が第1の電圧制御発振回路104と同様に構成された第1の電圧制御発振回路104の複製回路である。第2の電圧制御発振回路107は、補正制御回路106がアンプ32を有していればアンプ32の出力が、アンプ32を有していなければアンプ30の出力が、制御電圧として供給されている。第2の電圧制御発振回路107の入力部で発生したリーク電流は、カレントミラー回路108で複製され補正電流ICMとして制御電圧VCNTのノードに出力される。これにより、第1の電圧制御発振回路104の入力部でロック状態時に発生するリーク電流に等しい補正電流を供給することができ、第1の電圧制御発振回路104の入力部でのリークによる制御電圧VCNTの変動を抑制し、定常位相誤差を防止することができる。
【0083】
また、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の諸態様を付記として以下に示す。
【0084】
(付記1)
リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相を比較して位相差を検出する位相比較回路と、
第1の電圧を保持する第1の容量と、
前記位相比較回路により検出された位相差に応じた電流を前記第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、
前記第1の容量の前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相比較回路に出力する電圧制御発振回路と、
前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧に基づく制御情報を出力する補正制御回路と、
前記補正制御回路より出力された前記制御情報に基づいて、前記電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路により生成された電流に応じた補正電流を前記第1の容量に出力するカレントミラー回路とを有することを特徴とする位相ロックループ回路。
(付記2)
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持して、前記第1の時刻以後は、前記第1の容量の前記第1の電圧と前記第1の時刻に保持した前記第1の電圧とを比較し、比較結果を前記制御情報として出力することを特徴とする付記1記載の位相ロックループ回路。
(付記3)
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持した前記第1の電圧が一方の入力端に入力され、前記第1の時刻以後において前記第1の容量の前記第1の電圧が他方の入力端に入力され、出力が前記補正制御回路の出力とされるアンプとを有することを特徴とする付記2記載の位相ロックループ回路。
(付記4)
前記補正制御回路は、前記第1の容量の前記第1の電圧を、前記第1の時刻に前記第2の容量に入力し、前記第1の時刻以後は前記アンプの前記他方の入力端に入力するよう切り替える切り替え回路を有することを特徴とする付記3記載の位相ロックループ回路。
(付記5)
前記切り替え回路は、
前記第1の容量の前記第1の電圧を前記第2の容量に入力させる第1のスイッチと、
前記第1の容量の前記第1の電圧を前記アンプの前記他方の入力端に入力させる第2のスイッチと、
前記第1の時刻に前記第1のスイッチを導通させ、前記第1の時刻以後は前記第1のスイッチを非導通とし前記第2のスイッチを導通させる制御回路とを有することを特徴とする付記4記載の位相ロックループ回路。
(付記6)
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記制御情報として前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧を出力することを特徴とする付記1記載の位相ロックループ回路。
(付記7)
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持された前記第1の電圧を前記制御情報として出力する出力回路とを有することを特徴とする付記6記載の位相ロックループ回路。
(付記8)
前記電流生成回路は、前記電圧制御発振回路の入力トランジスタと同じサイズであって、ゲートに前記補正制御回路より出力された前記制御情報が入力されるゲート容量を有することを特徴とする付記1〜7の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記9)
前記電流生成回路は、前記補正制御回路の出力が入力電圧として入力される、前記電圧制御発振回路の複製回路であることを特徴とする付記1〜7の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記10)
前記チャージポンプ回路は、電源電圧及び前記第1の容量間に接続される第3のスイッチ及び第1の電流源と、前記第1の容量及び基準電位間に接続される第4のスイッチ及び第2の電流源とを有することを特徴とする付記1〜9の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記11)
前記チャージポンプ回路及び前記第1の容量間に接続される抵抗を有し、
前記チャージポンプ回路は、電源電圧及び前記抵抗間に接続される第3のスイッチと、前記抵抗及び基準電位間に接続される第4のスイッチとを有することを特徴とする付記1〜9の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
(付記12)
前記位相比較回路、前記チャージポンプ回路、前記電圧制御発振回路、前記補正制御回路、前記電流生成回路、及び前記カレントミラー回路は、同一の半導体チップ内に設けられ、
前記第1の容量は、前記半導体チップの外部に設けられることを特徴とする付記1〜11の何れか1項に記載の位相ロックループ回路。
【符号の説明】
【0085】
1 位相比較回路
2 チャージポンプ回路
3 ローパスフィルタ
4A、4B 電圧制御発振回路
5 分周器
6A、6B、6C、6D 補正制御回路
7A、7B ゲート容量
8A、8B カレントミラー回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相を比較して位相差を検出する位相比較回路と、
第1の電圧を保持する第1の容量と、
前記位相比較回路により検出された位相差に応じた電流を前記第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、
前記第1の容量の前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相比較回路に出力する電圧制御発振回路と、
前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧に基づく制御情報を出力する補正制御回路と、
前記補正制御回路より出力された前記制御情報に基づいて、前記電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路により生成された電流に応じた補正電流を前記第1の容量に出力するカレントミラー回路とを有することを特徴とする位相ロックループ回路。
【請求項2】
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持して、前記第1の時刻以後は、前記第1の容量の前記第1の電圧と前記第1の時刻に保持した前記第1の電圧とを比較し、比較結果を前記制御情報として出力することを特徴とする請求項1記載の位相ロックループ回路。
【請求項3】
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持した前記第1の電圧が一方の入力端に入力され、前記第1の時刻以後において前記第1の容量の前記第1の電圧が他方の入力端に入力され、出力が前記補正制御回路の出力とされるアンプとを有することを特徴とする請求項2記載の位相ロックループ回路。
【請求項4】
前記補正制御回路は、前記第1の容量の前記第1の電圧を、前記第1の時刻に前記第2の容量に入力し、前記第1の時刻以後は前記アンプの前記他方の入力端に入力するよう切り替える切り替え回路を有することを特徴とする請求項3記載の位相ロックループ回路。
【請求項5】
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記制御情報として前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の位相ロックループ回路。
【請求項6】
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持された前記第1の電圧を前記制御情報として出力する出力回路とを有することを特徴とする請求項5記載の位相ロックループ回路。
【請求項1】
リファレンスクロック信号とフィードバッククロック信号の位相を比較して位相差を検出する位相比較回路と、
第1の電圧を保持する第1の容量と、
前記位相比較回路により検出された位相差に応じた電流を前記第1の容量に出力するチャージポンプ回路と、
前記第1の容量の前記第1の電圧に応じた発振周波数の出力クロック信号を生成し、前記出力クロック信号又は前記出力クロック信号に応じた信号を前記フィードバッククロック信号として前記位相比較回路に出力する電圧制御発振回路と、
前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力完了後の第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧に基づく制御情報を出力する補正制御回路と、
前記補正制御回路より出力された前記制御情報に基づいて、前記電圧制御発振回路の入力部に流れるリーク電流に応じた電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路により生成された電流に応じた補正電流を前記第1の容量に出力するカレントミラー回路とを有することを特徴とする位相ロックループ回路。
【請求項2】
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持して、前記第1の時刻以後は、前記第1の容量の前記第1の電圧と前記第1の時刻に保持した前記第1の電圧とを比較し、比較結果を前記制御情報として出力することを特徴とする請求項1記載の位相ロックループ回路。
【請求項3】
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持した前記第1の電圧が一方の入力端に入力され、前記第1の時刻以後において前記第1の容量の前記第1の電圧が他方の入力端に入力され、出力が前記補正制御回路の出力とされるアンプとを有することを特徴とする請求項2記載の位相ロックループ回路。
【請求項4】
前記補正制御回路は、前記第1の容量の前記第1の電圧を、前記第1の時刻に前記第2の容量に入力し、前記第1の時刻以後は前記アンプの前記他方の入力端に入力するよう切り替える切り替え回路を有することを特徴とする請求項3記載の位相ロックループ回路。
【請求項5】
前記補正制御回路は、前記チャージポンプ回路による前記第1の容量への電流の出力が完了する度に、出力完了後の前記第1の時刻に前記第1の電圧を保持し、前記制御情報として前記第1の時刻に保持された前記第1の電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の位相ロックループ回路。
【請求項6】
前記補正制御回路は、
前記第1の時刻における前記第1の電圧を保持する第2の容量と、
前記第2の容量に保持された前記第1の電圧を前記制御情報として出力する出力回路とを有することを特徴とする請求項5記載の位相ロックループ回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−231447(P2012−231447A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12292(P2012−12292)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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