説明

位置検出装置、及び位置検出方法

【課題】移動部材(例えば、操作レバー)の移動路上での位置の検出を効率良く行うこ
とのできる位置検出装置を提供すること。
【解決手段】操作レバーの移動路上での位置を検出する位置検出装置において、操作レ
バーの移動路上での移動に応じて回転する回転部材の回転角を検出するエンコーダ22d
から送信される、回転角に対応した信号を受信する受信部13と、受信した回転角に対応
した信号に基づいて、操作レバーの移動路上での移動状態を検出する移動状態検出手段と
、その移動状態に基づいて、操作レバーの移動路上での位置を検出する位置検出手段とを
装備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置検出装置、及び位置検出方法に関し、より詳細には、移動部材(例えば、
操作レバー)の移動路上での位置を検出する位置検出装置、及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のアクセル制御やブレーキ制御は、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み方
で調節されるのが主流であるが、例えば、操作レバーを前後に操作することによって調節
されるものもある。特に、これは障害者用車両に採用されている(下記の特許文献1、2
参照)。
【0003】
例えば、ブレーキ領域よりも前側に設定されたアクセル領域で、操作レバーを前へ移動
させると、アクセルペダルに繋がれているワイヤーを介して、アクセルペダルの踏み込み
量が大きくなり、他方、操作レバーを後へ移動させると、アクセルペダルの踏み込み量が
小さくなるようになっている。
【0004】
また、ブレーキ領域で操作レバーを後へ移動させると、ブレーキペダルに繋がれている
ワイヤーを介して、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなり、他方、操作レバーを前へ
移動させると、ブレーキペダルの踏み込み量が小さくなるようになっている。
【0005】
このように、従来の操作レバーによるアクセル制御やブレーキ制御は、ワイヤーを介し
て実際にアクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量を調節するといった、機械式のも
のであった。また、最近では、操作レバーの位置の違いを電圧値で検出し、その電圧値を
ディジタル信号に変換し、変換したディジタル信号に基づいて、アクセル制御などを調節
するといった、電気式のものも考えられている。
しかしながら、操作レバーの位置の違いを示した電圧値をディジタル信号に変換する処
理には時間がかかるため、アクセル制御やブレーキ制御の調節への採用はあまり好ましい
と言えない。
【特許文献1】特開2003−165350号公報
【特許文献2】特開平9−315177号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、移動部材(例えば、操作レバー)の移
動路上での位置の検出を効率良く行うことのできる位置検出装置を提供することを目的と
している。
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る位置検出装置(1)は、移動部材の移動路上で
の位置を検出する位置検出装置において、前記移動部材の前記移動路上での移動に応じて
回転する回転部材の回転角を検出する回転角検出手段から送信される、前記回転角に対応
した信号を受信する受信手段と、該受信手段で受信した前記回転角に対応した信号に基づ
いて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出する移動状態検出手段と、該移動
状態検出手段により検出された移動状態に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での位
置を検出する位置検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記位置検出装置(1)によれば、前記移動部材の前記移動路(例えば、直線)上での
移動に応じて回転する前記回転部材の回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材の
前記移動路上での移動状態(例えば、移動方向、移動の大きさ)が検出され、前記移動状
態に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での位置(例えば、基準点からどの方向へど
れだけ移動したのか)が検出される。
【0009】
例えば、前記回転角に対応した信号が8ビット(16進法で表記すると「00」〜「F
F」、10進法で表記すると「0」〜「255」)で表現される場合、256通りの移動
状態を検出することができる。前記信号が「100」を示している前記移動部材の位置と
、前記信号が「140」を示している前記移動部材の位置とでは、後者が前者よりも+の
方向へ「40」移動した位置にあることになる。また、前記信号が「140」を示してい
る前記移動部材の位置と、前記信号が「80」を示している前記移動部材の位置とでは、
後者が前者よりも−の方向へ「60」移動した位置にあることになる。
【0010】
また、前記移動路上に設けた基準点に前記移動部材が存在するときに、前記信号が「1
00」を示す場合、前記信号が「130」を示しているとき、前記移動部材は基準点から
+の方向へ「30」移動したところに存在していることになり、前記信号が「85」を示
しているとき、前記移動部材は基準点から−の方向へ「15」移動したところに存在して
いることになる。
【0011】
このように、前記回転角に対応した信号に基づいて検出される前記移動状態(例えば、
+の方向へ「40」移動した)から、前記移動部材の前記移動路上での位置を検出するこ
とができる。また、前記移動部材の位置の違いを示した電圧値を検出するのではなく、前
記回転角に対応した信号(例えば、「00」〜「FF」)を利用するため、前記電圧値を
ディジタル信号に変換するといった処理を行う必要がない。従って、前記移動部材の前記
移動路上での位置の検出を効率良く行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る位置検出装置(2)は、上記位置検出装置(1)において、前記信
号は、前記回転角検出手段から複数のチャンネルに分割されて送信され、前記受信手段が
、複数のチャンネルに分割された信号をパラレルに受信するものであることを特徴として
いる。
【0013】
上記位置検出装置(2)によれば、複数のチャンネルに分割された信号がパラレルに受
信される。例えば、前記回転角に対応した信号が8ビットで表現され、この信号が8チャ
ンネルに分割されて送信される場合、受信側では一度に必要な情報を取得することができ
るので、前記情報に対する素早い対応を実現することができる。
【0014】
また、受信側がパラレルに受信できるようになっていないと、前記回転角に対応した信
号に対し、パラレル−シリアル変換処理を行う必要があるが、ここではその変換処理を無
くすことができる。すなわち、パラレル−シリアル変換回路を必要としない。従って、前
記回転角検出手段と前記受信手段との間に、前記パラレル−シリアル変換回路を設ける必
要がないので、装置の簡素化を図ることができる。
【0015】
また、本発明に係る位置検出装置(3)は、上記位置検出装置(2)において、前記回
転角に対応した信号が変化するたびに立上り又は立下りを生じる、チャンネルの信号の立
上り/立下りタイミングに基づいて、複数のチャンネルに分割された信号の同期を取る同
期手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
複数のチャンネルに分割された信号をパラレルに受信する場合、例えば、8チャンネル
に分割されて、1度に8ビットの信号(AB0〜AB7)を受信する場合、信号の読み込
み時に同期を取る必要がある。図4は、8ビットエンコーダの出力信号のタイミングチャ
ートを示した図である。図4に示したタイミングチャートから、エンコーダからの出力信
号が変化するたびに、最下位の桁であるAB0の信号の立上り又は立下りが生じているこ
とが分かる。
【0017】
上記位置検出装置(3)によれば、前記回転角に対応した信号が変化するたびに立上り
又は立下りを生じる、チャンネル信号(例えば、最下位の桁であるAB0の信号)の立上
り/立下りタイミングに基づいて、複数のチャンネルに分割された信号の同期が取られる
ので、毎回確実に同期を取ることができる。
【0018】
また、本発明に係る位置検出装置(4)は、上記位置検出装置(3)において、前記同
期手段が、前記立上り/立下りタイミングから所定の遅延時間を設けて、同期を取るもの
であることを特徴としている。
【0019】
前記回転角検出手段から複数のチャンネルに分割されて送信される信号は、センサ特性
など何らかの理由によって、反応速度が遅れ、前記受信手段で受信されるタイミングには
ズレが生じることがある。
上記位置検出装置(4)によれば、前記立上り/立下りタイミングから前記所定の遅延
時間(例えば、50μ秒)を設けて、同期が取られるので、前記回転角検出手段から送信
される取得すべき信号を確実に取得することができる。
【0020】
また、本発明に係る位置検出装置(5)は、上記位置検出装置(1)〜(4)のいずれ
かにおいて、前記移動状態検出手段が、前記受信手段で受信した前記回転角に対応した信
号の変化に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出するものであるこ
とを特徴としている。
【0021】
上記したように、前記回転角に対応した信号が8ビットで表現される場合、256通り
の移動状態を検出することができる。しかしながら、前記回転角に対応した信号からだけ
では、それ以上、すなわち257通り以上の移動状態を検出することはできない。
というのは、前記回転部材が1回転する前に、前記回転角に対応した信号「AF」が示
す前記移動部材の位置と、前記回転部材が1回転した後に、前記回転角に対応した信号[
AF」が示す前記移動部材の位置とは異なっているからである。後者の方が、前者よりも
「256」多く移動していることになる。つまり、前記回転角に対応した信号からだけで
は、前記回転部材の多回転時における前記移動部材の位置を検出することはできない。
【0022】
上記位置検出装置(5)によれば、前記回転角に対応した信号の変化に基づいて、前記
移動部材の前記移動路上での移動状態(例えば、移動方向、移動の大きさ)が検出される
。例えば、前記回転角に対応した信号が8ビット(16進数で表記すると「00」〜「F
F」、10進数で表記すると「0」〜「255」)で表現される場合、前記信号が「12
0」から「121」へ変化すると、前記移動部材が前記移動路上を+の方向へ「1」移動
したことになり、逆に、前記信号が「121」から「120」へ変化すると、前記移動部
材が前記移動路上を−の方向へ「1」移動したことになる。
【0023】
また、前記信号が「255」から「0」へ変化(すなわち、1回転)すると、前記移動
部材が前記移動路上を+の方向へ「1」移動したことになり、逆に、前記信号が「0」か
ら「255」へ変化すると、前記移動部材が前記移動路上を−の方向へ移動したことにな
る。
【0024】
このように、前記回転角に対応した信号の変化に基づいて、前記移動状態を検出するこ
とによって、前記回転部材の多回転時における前記移動部材の位置を検出することができ
るので、検出できる範囲を広くすることができる。例えば、前記回転角に対応した信号が
8ビットで表現される場合であっても、257通り以上の移動状態を検出することができ
る。
【0025】
また、本発明に係る位置検出装置(6)は、上記位置検出装置(1)〜(5)のいずれ
かにおいて、前記移動路上に基準点が設定されており、前記位置検出手段が、前記基準点
からの前記移動部材の移動状態を計測するものであることを特徴としている。
【0026】
前記移動部材の前記移動路上での移動状態(例えば、+の方向へ「40」移動した)か
らでは、移動方向や移動量が分かるだけであり、前記移動部材の前記移動路上での位置を
特定することはできない。
上記位置検出装置(6)によれば、前記基準点からの前記移動部材の移動状態が計測さ
れる。これにより、前記移動部材の前記移動路上での位置を特定することができる。
【0027】
また、本発明に係る位置検出装置(7)は、上記位置検出装置(1)〜(4)のいずれ
かにおいて、前記移動路上を2つの領域に区切る境界部の広さが、前記回転部材が1回転
する間に前記移動部材が移動する大きさよりも狭く設定されると共に、前記移動路上を2
つの領域に区切る境界部における前記移動部材の有無を検出する有無検出手段から得られ
る情報に基づいて、前記移動部材が前記境界部から脱出したか否かを判断する脱出判断手
段と、該脱出判断手段により前記移動部材が前記境界部から脱出したと判断された時の、
前記回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材がいずれの領域へ進入したのかを決
定する進入領域決定手段とを備えていることを特徴としている。
【0028】
上記位置検出装置(7)によれば、前記境界部の広さが、前記回転部材が1回転する間
に前記移動部材が移動する大きさよりも狭く設定されているので、前記境界部内では、前
記回転部材の回転角が同じとなる部分は存在しないことになる。前記回転角に対応した信
号が8ビットで表現される場合、例えば、前記境界部内で検出される前記信号は、「20
0、201、〜、254、255、0、1〜49、50」となる。
【0029】
この場合、前記移動部材が前記境界部から脱出し、いずれか一方の領域へ進入する時の
前記信号の値は「200」となり、もう一方の領域へ進入する時の前記信号の値は「50
」となる。このように、前記移動部材が前記境界部から脱出する時の前記信号の値から、
前記移動部材がいずれの領域へ進入したのかを判断することができる。
【0030】
上記位置検出装置(7)によれば、前記移動部材が前記境界部から脱出したと判断され
た時の、前記回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材がいずれの領域へ進入した
のかが決定される。従って、前記移動部材がいずれの領域へ進入したのかを適切に決定す
ることができるので、前記移動部材の各領域内(例えば、アクセル制御領域、ブレーキ制
御領域)での移動量などを計測することができるようになる。
【0031】
また、本発明に係る位置検出装置(8)は、上記位置検出装置(1)〜(4)のいずれ
かにおいて、前記移動路上に2つ以上の領域が設定され、各領域それぞれに設けられてい
る、前記移動部材が当該領域に存在することを検出する領域検出手段から得られる情報に
基づいて、前記移動部材がいずれの領域へ進入しているのかを決定する進入領域決定手段
を備えていることを特徴としている。
【0032】
上記位置検出装置(8)によれば、前記移動部材がいずれの領域へ進入したのかを適切
に決定することができるので、前記移動部材の各領域内(例えば、アクセル制御領域、ブ
レーキ制御領域)での移動量などを計測することができるようになる。
【0033】
また、本発明に係る位置検出装置(9)は、上記位置検出装置(7)又は(8)におい
て、前記移動状態検出手段が、前記受信手段で受信した前記回転角に対応した信号の変化
に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出するものであり、前記位置
検出手段が、各領域それぞれに設けられた基準点からの前記移動部材の移動状態を計測す
るものであることを特徴としている。
【0034】
上記位置検出装置(9)によれば、前記回転角に対応した信号の変化に基づいて、前記
移動状態が検出される。従って、前記回転部材の多回転時における前記移動部材の位置を
検出することができるので、検出できる範囲を広くすることができる。例えば、前記回転
角に対応した信号が8ビットで表現される場合であっても、257通り以上の移動状態を
検出することができる。
【0035】
また、本発明に係る位置検出装置(10)は、上記位置検出装置(7)〜(9)のいず
れかにおいて、前記移動部材が、車両などの移動体のアクセル及びブレーキを制御するた
めの操作部材であり、前記移動路上に設けられた2つの領域の一方が、アクセル制御の領
域に設定され、残りの一方が、ブレーキ制御の領域に設定されていることを特徴としてい
る。
【0036】
上記位置検出装置(10)によれば、前記移動部材を前記移動路上で移動させる操作を
行うことによって、車両などのアクセル制御及びブレーキ制御を行うことができる。
【0037】
また、本発明に係る位置検出方法(1)は、移動部材の移動路上での位置を検出する位
置検出方法において、前記移動部材の前記移動路上での移動に応じて回転する回転部材の
回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出する
ステップと、検出した前記移動状態に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での位置を
検出するステップとを有していることを特徴としている。
【0038】
上記位置検出方法(1)によれば、前記移動部材の前記移動路(例えば、直線)上での
移動に応じて回転する前記回転部材の回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材の
前記移動路上での移動状態(例えば、移動方向、移動の大きさ)が検出され、前記移動状
態に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での位置(例えば、基準点からどの方向へど
れだけ移動したのか)が検出される。
【0039】
すなわち、前記移動部材の位置の違いを示した電圧値を検出するのではなく、前記回転
角に対応した信号(例えば、「00」〜「FF」)を利用するため、前記電圧値をディジ
タル信号に変換するといった処理を行う必要がない。これにより、前記移動部材の前記移
動路上での位置の検出を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明に係る位置検出装置、及び位置検出方法の実施の形態を図面に基づいて説
明する。図1は、実施の形態(1)に係る位置検出装置(又は位置検出方法)が採用され
たコントロールユニットを含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムの要部を概
略的に示したブロック図である。
【0041】
図中11はコントロールユニットを示しており、コントロールユニット11は図示しな
いCPU、ROM、RAMなどを有したマイコン12と、操作レバーシステム21を構成
するエンコーダ22d(図2、図3に示した操作レバー22の移動に応じて回転する歯車
22cの回転角を検出する部材)から送信されてくる8ビットの信号(AB0〜AB7)
をパラレルに受信可能な受信部13と、基準センサ25(図3参照)から送信されてくる
信号を受信する受信部14と、アクセル制御部15と、ブレーキ制御部16とを含んで構
成されている。
【0042】
マイコン12は、受信部13、14を介して、操作レバーシステム21から送信されて
くる信号を取得し、取得した信号に基づいて各種演算処理を行い、その演算結果に基づい
て、アクセル制御部15又はブレーキ制御部16を制御することができるようになってい
る。
【0043】
アクセル制御部15、ブレーキ制御部16それぞれには、アクセルペダル31、ブレー
キペダル32とワイヤー33、34を介して接続されており、アクセル制御部15はワイ
ヤー33を介して、アクセルペダル31の踏み込み具合を調節することができ、ブレーキ
制御部16はワイヤー34を介して、ブレーキペダル32の踏み込み具合を調節すること
ができるようになっている。すなわち、マイコン12でアクセルペダル31、ブレーキペ
ダル32の踏み込み具合を調節することができるようになっている。
【0044】
図2は、操作レバーシステム21の外観を示した図であり、(a)はその斜視図であり
、(b)はその平面図である。図3は、操作レバーシステム21の部分透過側面図である
。図中22は操作レバーを示しており、操作レバー22は主軸22aと、主軸22aの上
端部に設けられたハンドル22bとを含んで構成されている。
【0045】
主軸22aの下方部は筐体23に収納され、主軸22aの上方部は筐体23の上面に形
成された縦長の孔部23aから突出し、主軸22aは孔部23aの縦方向と同じ矢印AR
a、ARbの方向に移動可能となるように構成されている。主軸22aの下方部に設けら
れた歯車22cは、孔部23aと同じ方向を向いたラック24とかみ合っており、主軸2
2aが矢印ARaの方向へ移動すると、その移動に応じて歯車22cは矢印ARa’の方
向へ回転し、主軸22aが矢印ARbの方向へ回転すると、その移動に応じて歯車22c
は矢印ARb’の方向へ回転するようになっている。
【0046】
また、操作レバー22には歯車22cの回転角を検出するエンコーダ22dが設けられ
ており、エンコーダ22dから回転角に対応した8ビットの信号がコントロールユニット
11(図1参照)へ送信されるようになっている。すなわち、16進法で表現するならば
、回転角に応じて「00」〜「FF」(256通り)のいずれかの信号がコントロールユ
ニット11へ送信されることになる。図4は、エンコーダ22dから出力される信号のタ
イミングチャートを示した図である。また、図5は、エンコーダ22dから出力される信
号を符号で表した図であり、2進法と10進法とで表現している。この10進法で表現し
た数値(「0」〜「255」)が後で説明するカウンタαとなる。
【0047】
また、ラック24の下方には基準センサ25が配設されており、操作レバー22の主軸
22aが基準領域Enに存在する場合、基準センサ25からコントロールユニット11へ
信号「1」が送信され、操作レバー22の主軸22aが基準領域Enに存在しない場合、
基準センサ25からコントロールユニット11へ信号「0」が送信されるようになってい
る。これによって、マイコン12は操作レバー22の基準領域Enにおける存在有無を認
識することができる。なお、基準領域Enよりも矢印ARb側の領域がブレーキ領域Eb
に設定され、基準領域Enよりも矢印ARa側の領域がアクセル領域Eaに設定されてい
る。また、基準領域Enの大きさは、歯車22cが1回転する間に操作レバー22が移動
する距離よりも小さく設定されている。
【0048】
次に、実施の形態(1)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11に
おけるマイコン12の行う処理動作[1−1]を図6に示したフローチャートに基づいて
説明する。なお、この処理動作[1−1]はIGスイッチがオンされた後に行われる動作
である。
【0049】
まず、エンコーダ22dから送信されてくる「AB0」の信号(8ビット信号のうち、
最下位の桁の信号)の立上り又は立下りを検出したか否かを判断し(ステップS1)、「
AB0」の信号の立上り又は立下りを検出した(すなわち、操作レバー22が移動するこ
とによって、歯車22cが回転した)と判断すれば、次に、時間t(例えば、50μ秒)
経過後、エンコーダ22dから送信されてくる8ビットの信号(「AB0」〜「AB7」
の信号)を取り込む(ステップS2)。ここで時間tの経過を待つのは、遅延時間を設け
て同期を取るためである。一方、「AB0」の信号の立上り、立下りいずれも検出してい
ないと判断すれば、そのままステップS1へ戻る。
【0050】
次に、取り込んだ8ビットの信号に応じたカウンタαを算出し(ステップS3)、カウ
ンタα(今回値)とカウンタα0(前回値)との差分を算出する(ステップS4)。8ビ
ットの信号には「00」〜「FF」の256通りあるため、図5に示したように、信号「
00」に応じたカウンタαが「0」となり、信号「01」に応じたカウンタαとなり、信
号「FF」に応じたカウンタαが「255」となるように、カウンタαを算出する。
【0051】
次に、算出した差分値がいくつであるか判断し(ステップS5)、差分値が「+1」で
あると判断すれば、例えば、カウンタαが「7」から「8」へ変化するように、操作レバ
ー22が矢印ARbの方向へ移動し、歯車22cが矢印ARb’の方向へ回転したことに
なるので、カウンタβに「1」を加算し(ステップS6)、その後、ステップS10へ進
む。
【0052】
図7は、カウンタαとカウンタβとの関係を示した図である。後で詳しく説明するが、
操作レバー22が基準領域Enに存在するときに、カウンタαが「0」になった場合(す
なわち、操作レバー22が基準点に位置する場合)、カウンタβが「0」となるように設
定されている(後述するステップS11、S13、S16、S17参照)。
【0053】
一方、ステップS5において、差分値が「−1」であると判断すれば、例えば、カウン
タαが「8」から「7」へ変化するように、操作レバー22が矢印ARaの方向へ移動し
、歯車22cが矢印ARa’の方向へ回転したことになるので、カウンタβから「1」を
減算し(ステップS7)、その後、ステップS10へ進む。
【0054】
差分値が「+255」であると判断すれば、カウンタαが「0」から「255」へ変化
するように、操作レバー22が矢印ARaの方向へ移動し、歯車22cが矢印ARa’の
方向へ回転したことになるので、カウンタβから「1」を減算し(ステップS8)、その
後、ステップS10へ進む。
【0055】
差分値が「−255」であると判断すれば、カウンタαが「255」から「0」へ変化
するように、操作レバー22が矢印ARbの方向へ移動し、歯車22cが矢印ARb’の
方向へ回転したことになるので、カウンタβに「1」を加算し(ステップS9)、その後
、ステップS10へ進む。
【0056】
ステップS10では、カウンタαをカウンタα0とすることによって、カウンタαの前
回値(カウンタα0)を更新し、次に、操作レバー22がブレーキ領域Ebに存在するこ
とを示すためのブレーキ領域フラグfbが「1」であるか否かを判断する(ステップS1
1)。ブレーキ領域フラグfbが「1」である(操作レバー22がブレーキ領域Ebに存
在する)と判断すれば、次に、ブレーキ制御量となるカウンタγb(=カウンタβ)を求
め(ステップS12)、その後、ステップS1へ戻る。操作レバー22が基準点に位置す
る場合、カウンタβは「0」となるため、カウンタβの大きさがブレーキ制御量(カウン
タγb)となる。
【0057】
一方、ブレーキ領域フラグfbは「1」でない(操作レバー22はブレーキ領域Ebに
存在しない)と判断すれば、次に、操作レバー22がアクセル領域Eaに存在することを
示すためのアクセル領域フラグfaが「1」であるか否かを判断する(ステップS13)
。アクセル領域フラグfaが「1」である(操作レバー22がアクセル領域Eaに存在す
る)と判断すれば、次に、アクセル制御量となるカウンタγa(=−カウンタβ)を求め
(ステップS14)、その後、ステップS1へ戻る。操作レバー22が基準点に位置する
場合、カウンタβは「0」となるため、カウンタβの大きさがアクセル制御量(カウンタ
γb)となる(但し、正負は異なる)。
【0058】
ステップS13において、アクセル領域フラグfaは「1」でない(すなわち、操作レ
バー22はブレーキ領域Eb、アクセル領域Eaのいずれにも存在せず、基準領域Enに
存在する)と判断すれば、次に、カウンタγa、γbを「0」にし(ステップS15)、
そして、カウンタαが「0」であるか否かを判断する(ステップS16)。カウンタαが
「0」であると判断すれば、カウンタβを「0」にし(ステップS17)、その後、ステ
ップS1へ戻る。一方、カウンタαが「0」でないと判断すれば、そのままステップS1
へ戻る。図8に、基準センサからの信号と、カウンタαと、カウンタβと、カウンタγa
、γbとの関係を示す。
【0059】
次に、実施の形態(1)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11に
おけるマイコン12の行う処理動作[1−2]を図9に示したフローチャートに基づいて
説明する。なお、この処理動作[1−2]はIGスイッチがオンされた後に行われる動作
である。
【0060】
まず、基準センサ25がHigh状態であるか否か(すなわち、信号「1」を出力して
いるか否か)を判断し(ステップS21)、基準センサ25がHigh状態である(すな
わち、操作レバー22は基準領域Enに存在する)と判断すれば、アクセル領域フラグf
a、ブレーキ領域フラグfbを「0」にし(ステップS22)、その後、ステップS21
へ戻る。
【0061】
一方、基準センサ25がHigh状態でないと判断すれば、次に、基準センサ25がH
igh状態からLow状態になったか否か(すなわち、信号「0」を出力するようになっ
たか否か)を判断し(ステップS23)、基準センサ25がHigh状態からLow状態
になった(すなわち、操作レバー22が基準領域Enから脱出した)と判断すれば、次に
、そのときのカウンタαが「100」未満であるか否かを判断する(ステップS24)。
【0062】
カウンタαが「100」未満である(すなわち、操作レバー22はブレーキ領域Eb側
へ脱出した)と判断すれば、ブレーキ制御フラグfbを「1」にし(ステップS25)、
その後、ステップS21へ戻る。一方、カウンタαは「100」未満でない(すなわち、
操作レバー22はアクセル領域Ea側へ脱出した)と判断すれば、アクセル制御フラグf
aを「1」にし(ステップS26)、その後、ステップS21へ戻る。操作レバー22が
ブレーキ領域Eb側へ脱出する場合に、カウンタαが「100」未満であることと、操作
レバー22がアクセル領域Ea側へ脱出する場合に、カウンタαが「100」以上である
ことは、図8に示したタイミングチャートから明らかである。
また、ステップS23において、基準センサ25はHigh状態からLow状態になっ
ていないと判断すれば、そのままステップS21へ戻る。
【0063】
上記実施の形態(1)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11を含
んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムによれば、操作レバー22の移動路(孔
部23a)上での移動に応じて回転する歯車22cの回転角に対応した信号に基づいて、
操作レバー22の前記移動路上での移動状態(例えば、移動方向、移動の大きさ)が検出
される。そして、前記移動状態に基づいて、操作レバー22の前記移動路上での位置(例
えば、基準点からどの方向へどれだけ移動したのか)が検出され、アクセル制御、ブレー
キ制御が行われる。
【0064】
このように、前記回転角に対応した信号に基づいて検出される操作レバー22の移動状
態から、操作レバー22の前記移動路上での位置を検出することができる。また、操作レ
バー22の位置の違いを示した電圧値を検出するのではなく、前記回転角に対応した信号
(例えば、「00」〜「FF」)を利用するため、前記電圧値をディジタル信号に変換す
るといった処理を行う必要がないので、操作レバー22の前記移動路上での位置の検出を
効率良く行うことができる。
【0065】
図10は、実施の形態(2)に係る位置検出装置(又は位置検出方法)が採用されたコ
ントロールユニットを含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムの要部を概略的
に示したブロック図である。なお、図1に示したアクセル&ブレーキ制御システムと同様
の構成部分については同符号を付している。
【0066】
図中111は、コントロールユニットを示しており、コントロールユニット111は図
示しないCPU、ROM、RAMなどを有したマイコン112と、操作レバーシステム1
21を構成するエンコーダ22dから送信されてくる8ビットの信号(AB0〜AB7)
をパラレルに受信可能な受信部13と、操作レバー22がアクセル領域Eaに存在するこ
とを検出するアクセル領域センサ122から送信されてくる信号を受信する受信部113
と、操作レバー22がブレーキ領域Ebに存在することを検出するブレーキ領域センサ1
23から送信されてくる信号を受信する受信部114と、アクセル制御部15と、ブレー
キ制御部16とを含んで構成されている。
【0067】
マイコン112は、受信部13、113、114を介して、操作レバーシステム121
から送信されてくる信号を取得し、取得した信号に基づいて各種演算処理を行い、その演
算結果に基づいて、アクセル制御部15又はブレーキ制御部16を制御することができる
ようになっている。また、マイコン112は、図6に示したマイコン12の行う処理動作
[1−1]と同様の処理動作[2−1]を行うことができるように構成されている。
【0068】
図11は、操作レバーシステム121の部分的透過側面図である。なお、操作レバーシ
ステム121の外観図は、図2に示した操作レバーシステム21と同様の構成であるので
、ここではその説明を省略する。ラック24の下方にはアクセル領域センサ122と、ブ
レーキ領域センサ123とが配設されており、操作レバー22の主軸22aがアクセル領
域Eaに存在する場合、アクセル領域センサ122からコントロールユニット111へ信
号「1」が送信され、操作レバー22の主軸22aがブレーキ領域Ebに存在する場合、
ブレーキ領域センサ123からコントロールユニット111へ信号「1」が送信されるよ
うになっている。
【0069】
また、操作レバー22の主軸22aが基準領域Enに存在する場合、アクセル領域セン
サ122、ブレーキ領域センサ123からコントロールユニット11へ信号「0」が送信
されるようになっている。なお、基準領域Enよりも矢印ARb側の領域がブレーキ領域
Ebに設定され、基準領域Enよりも矢印ARa側の領域がアクセル領域Eaに設定され
ている。
【0070】
次に、実施の形態(2)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット111
におけるマイコン112の行う処理動作[2−2]を図12に示したフローチャートに基
づいて説明する。なお、この処理動作[2−2]はIGスイッチがオンされた後に行われ
る動作である。
【0071】
まず、アクセル領域センサ122がHigh状態であるか否か(すなわち、信号「1」
を出力しているか否か)を判断し(ステップS31)、アクセル領域センサ122がHi
gh状態である(すなわち、操作レバー22はアクセル領域Eaに存在する)と判断すれ
ば、アクセル領域フラグfaを「1」にし(ステップS32)、その後、ステップS31
へ戻る。
【0072】
一方、アクセル領域センサ122がHigh状態でないと判断すれば、次に、ブレーキ
領域センサ123がHigh状態であるか否か(すなわち、信号「1」を出力しているか
否か)を判断し(ステップS33)、ブレーキ領域センサ123がHigh状態である(
すなわち、操作レバー22はブレーキ領域Ebに存在する)と判断すれば、ブレーキ領域
フラグfbを「1」にし(ステップS34)、その後、ステップS31へ戻る。
【0073】
また、ブレーキ領域センサ123がHigh状態でない(すなわち、操作レバー22は
基準領域Enに存在する)と判断すれば、次に、アクセル領域フラグfa、ブレーキ領域
フラグfbを「0」にし(ステップS35)、その後、ステップS31へ戻る。図13に
、アクセル領域センサからの信号と、ブレーキ領域センサからの信号と、カウンタαと、
カウンタβと、カウンタγa、γbとの関係を示す。
【0074】
上記実施の形態(2)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット111を
含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムによれば、上記実施の形態(1)に係
る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11を含んで構成されるアクセル&ブ
レーキ制御システムと同様の効果を有している。また、操作レバー22がアクセル領域E
a、ブレーキ領域Eb、基準領域Enのいずれに存在するかの判断を、複数のセンサを使
って行うようにしているので、前記判断の精度を高めることができる。
【0075】
次に、実施の形態(3)に係る位置検出装置(又は位置検出方法)が採用されたコント
ロールユニットを含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムについて説明する。
但し、このアクセル&ブレーキ制御システムは、コントロールユニット及びマイコンを除
き、図1に示したアクセル&ブレーキ制御システムと同様の構成であるので、コントロー
ルユニット及びマイコンには異なる符号を付し、その他の説明をここでは省略する。
【0076】
図中11Aは、コントロールユニットを示しており、コントロールユニット11Aは図
示しないCPU、ROM、RAMなどを有したマイコン12Aと、受信部13、14と、
アクセル制御部15と、ブレーキ制御部16とを含んで構成されている。マイコン12A
は、受信部13、14を介して、操作レバーシステム21から送信されてくる信号を取得
し、取得した信号に基づいて各種演算処理を行い、その演算結果に基づいて、アクセル制
御部15又はブレーキ制御部16を制御することができるようになっている。
【0077】
実施の形態(3)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11Aにおけ
るマイコン12Aの行う処理動作[3−1]を図14に示したフローチャートに基づいて
説明する。なお、この処理動作[3−1]はIGスイッチがオンされた後に行われる動作
である。
【0078】
まず、エンコーダ22dから送信されてくる「AB0」の信号(8ビット信号のうち、
最下位の桁の信号)の立上り又は立下りを検出したか否かを判断し(ステップS41)、
「AB0」の信号の立上り又は立下りを検出した(すなわち、操作レバー22が移動する
ことによって、歯車22cが回転した)と判断すれば、次に、時間t(例えば、50μ秒
)経過後、エンコーダ22dから送信されてくる8ビットの信号(「AB0」〜「AB7
」の信号)を取り込む(ステップS42)。ここで時間tの経過を待つのは、遅延時間を
設けて同期を取るためである。一方、「AB0」の信号の立上り、立下りいずれも検出し
ていないと判断すれば、そのままステップS41へ戻る。
【0079】
次に、取り込んだ8ビットの信号に応じたカウンタαを算出し(ステップS43)、カ
ウンタα(今回値)とカウンタα0(前回値)との差分を算出する(ステップS44)。
8ビットの信号には「00」〜「FF」の256通りあるため、図5に示したように、信
号「00」に応じたカウンタαが「0」となり、信号「01」に応じたカウンタαとなり
、信号「FF」に応じたカウンタαが「255」となるように、カウンタαを算出する。
【0080】
次に、算出した差分値がいくつであるか判断し(ステップS45)、差分値が「+1」
又は「−255」であると判断すれば、次に、ブレーキ領域フラグfbが「1」であるか
否かを判断し(ステップS46)、ブレーキ領域フラグfbが「1」であると判断すれば
、ブレーキ制御量となるカウンタγbに「1」を加算し(ステップS47)、その後、ス
テップS54へ進む。
【0081】
一方、ブレーキ領域フラグfbが「1」でないと判断すれば、次に、アクセル領域フラ
グfaが「1」であるか否かを判断し(ステップS48)、アクセル領域フラグfaが「
1」であると判断すれば、アクセル制御量となるカウンタγaから「1」を減算し(ステ
ップS49)、その後、ステップS54へ進む。
【0082】
また、アクセル領域フラグfaが「1」でない(すなわち、基準領域Enに存在する)
と判断すれば、そのままステップS54へ進む。差分値が「+1」又は「−255」にな
るのは、歯車22cが矢印ARb’の方向へ回転した場合である。すなわち、操作レバー
22が矢印ARbの方向(アクセル制御量を増大させる方向、又はブレーキ制御量を減少
させる方向)へ移動した場合である。
【0083】
ステップS45において、差分値が「−1」又は「+255」であると判断すれば、次
に、ブレーキ領域フラグfbが「1」であるか否かを判断し(ステップS50)、ブレー
キ領域フラグfbが「1」であると判断すれば、ブレーキ制御量となるカウンタγbから
「1」を減算し(ステップS51)、その後、ステップS54へ進む。
【0084】
一方、ブレーキ領域フラグfbが「1」でないと判断すれば、次に、アクセル領域フラ
グfaが「1」であるか否かを判断し(ステップS52)、アクセル領域フラグfaが「
1」であると判断すれば、アクセル制御量となるカウンタγaに「1」を加算し(ステッ
プS53)、その後、ステップS54へ進む。
【0085】
また、アクセル領域フラグfaが「1」でない(すなわち、基準領域Enに存在する)
と判断すれば、そのままステップS54へ進む。差分値が「−1」又は「+255」にな
るのは、歯車22cが矢印ARa’の方向へ回転した場合である。すなわち、操作レバー
22が矢印ARaの方向(ブレーキ制御量を減少させる方向、又はアクセル制御量を増大
させる方向)へ移動した場合である。図15に、基準センサからの信号と、カウンタαと
、カウンタγa、γbとの関係を示す。
【0086】
次に、実施の形態(3)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11A
におけるマイコン12Aの行う処理動作[3−2]を図16に示したフローチャートに基
づいて説明する。なお、この処理動作[3−2]はIGスイッチがオンされた後に行われ
る動作である。
【0087】
まず、基準センサ25がHigh状態であるか否か(すなわち、信号「1」を出力して
いるか否か)を判断し(ステップS61)、基準センサ25がHigh状態である(すな
わち、操作レバー22は基準領域Enに存在する)と判断すれば、アクセル領域フラグf
a、ブレーキ領域フラグfb、カウンタγa、γbを「0」にし(ステップS62、S6
3)、その後、ステップS61へ戻る。
【0088】
一方、基準センサ25がHigh状態でないと判断すれば、次に、基準センサ25がH
igh状態からLow状態になったか否か(すなわち、信号「0」を出力するようになっ
たか否か)を判断し(ステップS64)、基準センサ25がHigh状態からLow状態
になった(すなわち、操作レバー22が基準領域Enから脱出した)と判断すれば、次に
、そのときのカウンタαが「100」未満であるか否かを判断する(ステップS65)。
【0089】
カウンタαが「100」未満である(すなわち、操作レバー22はブレーキ領域Eb側
へ脱出した)と判断すれば、ブレーキ制御フラグfbを「1」にし(ステップS66)、
その後、ステップS61へ戻る。一方、カウンタαは「100」未満でない(すなわち、
操作レバー22はアクセル領域Ea側へ脱出した)と判断すれば、アクセル制御フラグf
aを「1」にし(ステップS67)、その後、ステップS61へ戻る。操作レバー22が
ブレーキ領域Eb側へ脱出する場合に、カウンタαが「100」未満であることと、操作
レバー22がアクセル領域Ea側へ脱出する場合に、カウンタαが「100」以上である
ことは、図15に示したタイミングチャートから明らかである。
また、ステップS64において、基準センサ25はHigh状態からLow状態になっ
ていないと判断すれば、そのままステップS61へ戻る。
【0090】
上記実施の形態(3)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11Aを
含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムによれば、上記実施の形態(1)に係
る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11を含んで構成されるアクセル&ブ
レーキ制御システムと同様の効果を有している。また、カウンタβを算出する処理を必要
としないので、マイコン12Aにかかる負荷を軽減することができる。
【0091】
次に、実施の形態(4)に係る位置検出装置(又は位置検出方法)が採用されたコント
ロールユニットを含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムについて説明する。
但し、このアクセル&ブレーキ制御システムは、コントロールユニット及びマイコンを除
き、図10に示したアクセル&ブレーキ制御システムと同様の構成であるので、コントロ
ールユニット及びマイコンには異なる符号を付し、その他の説明をここでは省略する。
【0092】
図中111Aは、コントロールユニットを示しており、コントロールユニット111A
は図示しないCPU、ROM、RAMなどを有したマイコン112Aと、受信部13、1
13、114と、アクセル制御部15と、ブレーキ制御部16とを含んで構成されている

【0093】
マイコン112Aは、受信部13、113、114を介して、操作レバーシステム12
1から送信されてくる信号を取得し、取得した信号に基づいて各種演算処理を行い、その
演算結果に基づいて、アクセル制御部15又はブレーキ制御部16を制御することができ
るようになっている。また、マイコン112は、図14に示したマイコン112の行う処
理動作[3−1]と同様の処理動作[4−1]を行うことができるように構成されている

【0094】
次に、実施の形態(4)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット111
Aにおけるマイコン112Aの行う処理動作[4−2]を図17に示したフローチャート
に基づいて説明する。なお、この処理動作[4−2]はIGスイッチがオンされた後に行
われる動作である。
【0095】
まず、アクセル領域センサ122がHigh状態であるか否か(すなわち、信号「1」
を出力しているか否か)を判断し(ステップS71)、アクセル領域センサ122がHi
gh状態である(すなわち、操作レバー22はアクセル領域Eaに存在する)と判断すれ
ば、アクセル領域フラグfaを「1」にし(ステップS72)、その後、ステップS71
へ戻る。
【0096】
一方、アクセル領域センサ122がHigh状態でないと判断すれば、次に、ブレーキ
領域センサ123がHigh状態であるか否か(すなわち、信号「1」を出力しているか
否か)を判断し(ステップS73)、ブレーキ領域センサ123がHigh状態である(
すなわち、操作レバー22はブレーキ領域Ebに存在する)と判断すれば、ブレーキ領域
フラグfbを「1」にし(ステップS74)、その後、ステップS71へ戻る。
【0097】
また、ブレーキ領域センサ123がHigh状態でない(すなわち、操作レバー22は
基準領域Enに存在する)と判断すれば、次に、アクセル領域フラグfa、ブレーキ領域
フラグfb、カウンタγa、γbを「0」にし(ステップS75、S76)、その後、ス
テップS71へ戻る。図18に、アクセル領域センサからの信号と、ブレーキ領域センサ
からの信号と、カウンタαと、カウンタγa、γbとの関係を示す。
【0098】
上記実施の形態(4)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット111A
を含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムによれば、上記実施の形態(3)に
係る位置検出装置が採用されたコントロールユニット11Aを含んで構成されるアクセル
&ブレーキ制御システムと同様の効果を有している。また、操作レバー22がアクセル領
域Ea、ブレーキ領域Eb、基準領域Enのいずれに存在するかの判断を、複数のセンサ
を使って行うようにしているので、前記判断の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットを含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図2】操作レバーシステムの外観を示した図であり、(a)はその斜視図であり、(b)はその平面図である。
【図3】操作レバーシステムの部分透過側面図である。
【図4】エンコーダからの出力信号のタイミングチャートである。
【図5】エンコーダからの出力信号を符号で表した図である。
【図6】実施の形態(1)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットにおけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図7】各種カウンタの関係を示した図である。
【図8】各種カウンタ等の関係を示した図である。
【図9】実施の形態(1)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットにおけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図10】実施の形態(2)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットを含んで構成されるアクセル&ブレーキ制御システムの要部を概略的に示したブロック図である。
【図11】操作レバーシステムの部分透過側面図である。
【図12】実施の形態(2)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットにおけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図13】各種カウンタ等の関係を示した図である。
【図14】実施の形態(3)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットにおけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図15】各種カウンタ等の関係を示した図である。
【図16】実施の形態(3)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットにおけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図17】実施の形態(4)に係る位置検出装置が採用されたコントロールユニットにおけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図18】各種カウンタ等の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0100】
11、11A、111、111A コントロールユニット
12、12A、112、112A マイコン
13、14、113、114 受信部
21、121 操作レバーシステム
22 操作レバー
22a 主軸
22c 歯車
22d エンコーダ
23 孔部
25 基準センサ
122 アクセル領域センサ
123 ブレーキ領域センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部材の移動路上での位置を検出する位置検出装置において、
前記移動部材の前記移動路上での移動に応じて回転する回転部材の回転角を検出する回
転角検出手段から送信される、前記回転角に対応した信号を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した前記回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材の前記移動
路上での移動状態を検出する移動状態検出手段と、
該移動状態検出手段により検出された移動状態に基づいて、前記移動部材の前記移動路
上での位置を検出する位置検出手段とを備えていることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記信号は、前記回転角検出手段から複数のチャンネルに分割されて送信され、
前記受信手段が、複数のチャンネルに分割された信号をパラレルに受信するものである
ことを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記回転角に対応した信号が変化するたびに立上り又は立下りを生じる、チャンネルの
信号の立上り/立下りタイミングに基づいて、複数のチャンネルに分割された信号の同期
を取る同期手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記同期手段が、前記立上り/立下りタイミングから所定の遅延時間を設けて、同期を
取るものであることを特徴とする請求項3記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記移動状態検出手段が、前記受信手段で受信した前記回転角に対応した信号の変化に
基づいて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出するものであることを特徴と
する請求項1〜4のいずれかの項に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記移動路上に基準点が設定されており、
前記位置検出手段が、前記基準点からの前記移動部材の移動状態を計測するものである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記移動路上を2つの領域に区切る境界部の広さが、前記回転部材が1回転する間に前
記移動部材が移動する大きさよりも狭く設定されると共に、
前記移動路上を2つの領域に区切る境界部における前記移動部材の有無を検出する有無
検出手段から得られる情報に基づいて、前記移動部材が前記境界部から脱出したか否かを
判断する脱出判断手段と、
該脱出判断手段により前記移動部材が前記境界部から脱出したと判断された時の、前記
回転角に対応した信号に基づいて、前記移動部材がいずれの領域へ進入したのかを決定す
る進入領域決定手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載
の位置検出装置。
【請求項8】
前記移動路上に2つ以上の領域が設定され、
各領域それぞれに設けられている、前記移動部材が当該領域に存在することを検出する
領域検出手段から得られる情報に基づいて、前記移動部材がいずれの領域へ進入している
のかを決定する進入領域決定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
の項に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記移動状態検出手段が、前記受信手段で受信した前記回転角に対応した信号の変化に
基づいて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出するものであり、
前記位置検出手段が、各領域それぞれに設けられた基準点からの前記移動部材の移動状
態を計測するものであることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記移動部材が、車両などの移動体のアクセル及びブレーキを制御するための操作部材
であり、
前記移動路上に設けられた2つの領域の一方が、アクセル制御の領域に設定され、残り
の一方が、ブレーキ制御の領域に設定されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれ
かの項に記載の位置検出装置。
【請求項11】
移動部材の移動路上での位置を検出する位置検出方法において、
前記移動部材の前記移動路上での移動に応じて回転する回転部材の回転角に対応した信
号に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での移動状態を検出するステップと、
検出した前記移動状態に基づいて、前記移動部材の前記移動路上での位置を検出するス
テップとを有していることを特徴とする位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−234498(P2006−234498A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47611(P2005−47611)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】