説明

位置検出装置及び車両のシート位置検出装置

【課題】近接センサに対する磁性材料の付着を未然に防止できるようにして、検出精度の向上を図ることのできる位置検出装置を提供する。
【解決手段】磁界発生部である永久磁石25と、検知部であるホールIC26を備えた近接センサ20をアッパレール側に設け、ロアレール側のロックプレート8を検出対象物とする。ロックプレート8は、シートが前端部よりも後方側にあるときにだけ近接センサ20に対向するように配置する。ホールIC26はロックプレート8の有無によって異なる検出信号を出力する。近接センサ20には、非磁性材料から成る突起部29を設け、突起部29によって磁性材料Mの付着を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベース部材上に変位可能に設けられた可動部材の位置を近接センサを用いて検出する位置検出装置及び車両のシート位置検出装置に関し、とりわけ、近接センサに永久磁石等の磁界発生部を備えた位置検出装置及び車両のシート位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用シートのスライド位置を検出する位置検出装置として、磁界検知式の近接センサを用いたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
この位置検出装置は、例えば、車体フロアに固定設置されるロアレールの前端側側部に磁性部材から成る検知対象物が設けられ、車両用シートと一体のアッパレールに、磁界発生部(永久磁石)と検知部(ホールIC)を備えた近接センサが設けられている。
この位置検出装置の場合、車両用シートのスライド移動に応じて近接センサが移動すると、その近接センサと検知対象物との位置関係に応じて検知部で検知される磁界発生部の磁界が変化し、この磁界の変化を基にしてシートのスライド位置が検出される。
【特許文献1】特表平9−511357号公報
【特許文献2】特開2003−337004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来の位置検出装置においては、近接センサに磁界発生部(永久磁石)が設けられているため、周囲に微小なビスやクリップ等の磁性材料が存在すると、磁界発生部の磁力がその磁性材料を吸引し、磁性材料が近接センサの周囲に付着することが懸念される。
【0004】
そこでこの発明は、近接センサに対する磁性材料の付着を未然に防止できるようにして、検出精度の向上を図ることのできる位置検出装置及び車両のシート位置検出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、ベース部材(例えば、後述の実施形態におけるロアレール1)上に変位可能に設けられた可動部材(例えば、後述の実施形態におけるアッパレール2)の位置を近接センサ(例えば、後述の実施形態における近接センサ20)によって検出する位置検出装置(例えば、後述の実施形態におけるシート位置検出装置100)において、前記近接センサは、磁界発生部(例えば、後述の実施形態における永久磁石25)と、前記可動部材の変位に応じた磁界の変化を検知する検知部(例えば、後述の実施形態におけるホールIC26)と、検知対象物(例えば、後述の実施形態におけるロックプレート8)に向けて突出する非磁性体製の突起部(例えば、後述の実施形態における突起部29)と、を備えていることを特徴とする。
これにより、周囲の微小な磁性材料が近接センサの磁界発生部に近づこうとしても、その磁性材料は非磁性体製の突起部に遮られ、磁界発生部への近接が阻止される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の位置検出装置において、前記突起部は、付根部からの突出高さがこの付根部と前記検知対象物との離間幅より大きくなるように可撓部材によって形成され、前記検知対象物に対して当接可能とされていることを特徴とする。
これにより、突起部が検知対象物に当接可能となり、突起部が検知対象物に接触している間は、両者間の隙間を通して微小な磁性材料が入り込みにくくなる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の位置検出装置において、前記近接センサは、前記磁界発生部と検知部を収容する非磁性体製のケーシング(例えば、後述の実施形態におけるケーシング24)を備え、前記突起部はこのケーシングと一体に形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置検出装置において、前記検知対象物は、前記ベース部材と可動部材のいずれか一方の磁性部材または前記いずれか一方に設けられた磁性部材であり、前記近接センサは、前記ベース部材と可動部材のいずれか他方に設けられ、前記磁性部材の近接を検知することを特徴とする。
これにより、可動部材がベース部材上を変位して近接センサが検知対象物に近接すると、近接センサの検知部で検知される磁界が変化するようになる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置検出装置において、前記近接センサは、前記磁界発生部が略U字状の永久磁石によって形成されるとともに、前記検知部が前記略U字状の永久磁石の脚部間に配置されて成り、前記突起部は、前記各脚部に近接して設けられていることを特徴とする。
これにより、周囲の微小な磁性材料が永久磁石の脚部に近づきにくくなり、検知部での検知結果が周囲の磁性材料の影響をより受けにくくなる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位置検出装置の構成を含む車両のシート位置検出装置において、前記ベース部材は、車体フロアに固定設置されたロアレール(例えば、後述の実施形態におけるロアレール1)によって構成され、前記可動部材は、車両用シートに取り付けられて前記ロアレールにスライド可能に係合されるとともに、前記ロアレール上の任意のスライド位置で固定可能とされたアッパレール(例えば、後述の実施形態におけるアッパレール2)によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、近接センサの磁界発生部に近づこうとする周囲の微小な磁性材料を、近接センサから検知対象物に向けて突出する非磁性体製の突起部によって避けることができるため、近接センサに対する周囲の磁性材料の付着を未然に防止して検出精度の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、突起部が検知対象物に接触して両者の隙間を通した微小な磁性材料の進入が阻止されるようになるため、近接センサに対する磁性材料の付着をより有利に阻止することができる。また、検知対象物や突起部に微小な磁性材料が付着した場合であっても、突起部と検知対象物の接触によってその磁性材料を払い落とすことができるため、近接センサの検出精度を常に高く維持することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、近接センサに対する磁性材料の付着を阻止する突起部が、磁界発生部と検知部を収容する非磁性体製のケーシングと一体に形成されているため、突起部の剥れ等の劣化が生じにくくなるうえ、製造が容易になり、その結果、製品寿命の向上と製造コストの低減が可能になる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、近接センサに検知される検知対象物が、ベース部材と可動部材のいずれか一方の磁性部材または前記いずれか一方に設けられた磁性部材であるため、別機能を持つ磁性金属部品等を検知対象物として共用し、部品点数の削減を図ることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、略U字状の永久磁石の各脚部に近接して突起部が設けられるため、周囲の微小な磁性材料が永久磁石の脚部に近接した位置に付着するのを確実に防止し、周囲の微小な磁性材料による検出結果への悪影響をより確実に低減することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、ビスや座金、ホチキス等の微小な磁性材料が入り込む虞のある環境下において、近接センサの磁界発生部に微小な磁性材料が付着するのを確実に防止できるため、シート位置の検出精度をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図8は、車両のシートスライド装置を示すものであり、このシートスライド装置には、シートの前後スライド位置を検出するためのシート位置検出装置100が組み込まれている。このシート位置検出装置100の検出信号は、例えば、エアバッグの展開出力やインフレータの点火タイミングを、シートの前後スライド位置に応じて制御するのに用いられる。
【0018】
シートスライド装置は、図1に示すように、車両のフロアに固定設置されるロアレール1(ベース部材)と、シートの下面に取付けられるアッパレール2(可動部材)とを備え、ロアレール1とアッパレール2が図示しないローラ等の滑り部材を介して長手方向(車体前後方向)にスライド自在に組み付けられている。
【0019】
ロアレール1は、上部側が開口する略コ字状の基本断面の両側の側壁上端に幅方向外側下向きに屈曲する下向き屈曲部1aが形成されるとともに、底壁の長手方向の両端部近傍が車両のフロアに締結固定されている。一方、アッパレール2は、下部側が開口する略コ字状の基本断面の両側の側壁下端に幅方向外側上向きに屈曲する上向き屈曲部2aが形成されている。このアッパレール2は、ロアレール1の開口部内に嵌装され、両側の上向き屈曲部2aがロアレール1の下向き屈曲部1aの内面に対向するようになっている。
【0020】
また、アッパレール2とロアレール1の間には、アッパレール2を任意のスライド位置で固定するためのロック機構4が設けられている。このロック機構4は、アッパレール2に揺動自在に支持され複数のロック爪5を有する略コ字形状のラッチレバー6と、ロアレール1に結合され前記ロック爪5と係脱可能な複数の嵌合孔7を有するロックプレート8と、前記ロック爪5を嵌合孔7方向に付勢する棒状スプリング9と、ロック時にロックプレート8の手前側でロック爪5の付根部を係合支持する爪支持プレート10とを備えている。
【0021】
棒状スプリング9は、その両端部がアッパレール2の上壁に支持され、その湾曲した中央部でラッチレバー6をロックプレート8方向に付勢するようになっている。
ラッチレバー6は、アッパレール2の上壁内面に軸支持部材11を介して回動自在に取付けられ、その一端には、外部から操作力を取り入れるための入力アーム12が一体に設けられている。
【0022】
ロックプレート8は、ロアレール1の長手方向に沿って延在し、ロアレール1の内側底面に固定設置されている。ロックプレート8は磁性金属(磁性部材)によって断面略L字状に形成され、その底面を成す基壁8aがロアレール1の底面の幅方向略中央にスポット溶接やプロジェクション溶接によって結合されるとともに、基壁8aの幅方向の一端側に垂立壁8bが延設されている。垂立壁8bには、複数の嵌合孔7が長手方向に等間隔に形成され、その任意の嵌合孔7にラッチレバー6のロック爪5が嵌合し得るようになっている。
【0023】
爪支持プレート10は、ラッチレバー6のロック爪5の付根部が挿入係合される複数の支持孔14が設けられ、アッパレール2の上壁下面に固定設置されている。そして、アッパレール2の一方の側壁のうちの、爪支持プレート10の支持孔14と対応する位置には、図2に示すようにラッチレバー6のロック爪5の先端部が挿入係合される支持孔15が形成されている。爪支持プレート10とアッパレール2の各支持孔14,15は、ラッチレバー6のロック爪5がロックプレート8上の任意の嵌合孔7に挿入係合されるときに、ロック爪5の付根部側と先端部側をロックプレート8の前後で支持するようになる。
【0024】
また、アッパレール2には、図2に示すように一方の側壁と上壁とに跨るように切欠き16が形成され、ラッチレバー6の入力アーム12がその切欠き16を介してアッパレール2の外部に突出している。一方、図1に示すようにアッパレール2の外面には、図示しないブラケットを介してホルダー17が上下揺動可能に取り付けられ、このホルダー17にロック解除用の操作レバー18の基端が支持されている。ホルダー17には、ラッチレバー6の入力アーム12に係合される操作片17aが設けられ、操作レバー18の上方側への揺動操作によってラッチレバー6をロック解除方向に回動操作し得るようになっている。具体的には、操作レバー18を上方へ回動操作すると、操作片17aが入力アーム12を下方に押し下げ、それによってラッチレバー6が棒状スプリング9の付勢力に抗してロック爪5を嵌合孔7から引き抜く方向に回動操作されるようになる。
【0025】
ところで、アッパレール2の上壁のロック機構4よりも車体前方側位置には、図3,図7に示すブラケット19を介して磁界検知式の近接センサ20が取り付けられている。なお、図1においてはブラケット19の図示が省略されている。
近接センサ20は、電気系統の配線コネクタを接続する端子ブロック21と、その端子ブロック21と略直交する方向に延出する矩形断面のセンサブロック22とを備え、センサブロック22が、アッパレール2の上壁に形成された貫通孔23を通してアッパレール2の内側に配置されている。
【0026】
センサブロック22は、非磁性で、かつ弾性を有する樹脂材料によってケーシング24が形成され、図3〜図6に示すように、このケーシング24の内部に、磁界発生部としての略U字状の永久磁石25と、磁界を検知する検知部としてのホールIC26とが収容されている。永久磁石25とホールIC26はケーシング24の内部に下端の開口を通して装填され、その後に開口がポッティング材27(図3参照)によって封止されている。このセンサブロック22では、略U字形状の永久磁石25の一対の脚部25A,25Aの先端方向が検出方向とされ、両脚部25A,25Aの前方に位置されるケーシング24の側壁がロックプレート8の垂立壁8bに近接状態で対峙するようになっている。ただし、ロックプレート8の垂立壁8bは、図7に示すようにロアレール1上の前端部側の領域Bよりも後方側の領域Aのみに存在するため、センサブロック22は領域A内にあるときにだけ垂立壁8bと対峙する。ロックプレート8は前述のように磁性金属によって形成されており、近接センサ20の検出対象物とされている。
【0027】
ここで、この実施形態の近接センサ20の検出原理について、図8を参照して説明する。
略U字状を成す永久磁石25は、長さの等しい第1,第2磁石片25a,25bと、この第1,第2磁石片25a,25bの間に介装される両磁石片25a,25bよりも長さの短い第3磁石片25cとから成り、各磁石片25a,25b,25cは同一磁極が同方向を向くようにして接合されている。
【0028】
このように略U字状に形成された永久磁石25においては、図8(a),(b)に示す脚部25A,25A間のある位置において、第1,第2磁石片25a,25bによる磁界と第3磁石片25cによる磁界が互いに打ち消しあい、トータルの磁界がゼロになる。ホールIC26は、この脚部25A,25A間の磁界ゼロの領域28に配置されている。ただし、トータルの磁界がゼロになるのは、永久磁石25の磁界が外部の磁性部材の影響を受けないときだけであり、図8(b)に示すように永久磁石25の脚部25Aの先端側が磁性部材であるロックプレート8(垂立壁8b)に近接すると、ホールIC26に作用する磁界が増大する。
【0029】
したがって、この近接センサ20においては、永久磁石25の脚部25Aがロックプレート8に近接しているときと、離間しているときでホールIC26が異なる検出信号を出力し、それによってシートのスライド位置、つまり、シートが前端部側にあるか、それともそれよりも後方側にあるかを検出することができる。
【0030】
ところで、ケーシング24のうちの、ロックプレート8の垂立壁8bと対向する側の面には、舌片状の一対の突起部29,29が一体に形成されている。この各突起部29は、永久磁石25の各脚部25Aの前方側に永久磁石25とほぼ同高さ範囲に亙って形成されている。また、各突起部29の垂立壁8b方向に向かう突出高さは、近接センサ20のケーシング24とロックプレート8の垂立壁8bとの離間幅よりも大きくなっており、近接センサ20が垂立壁8bと対向する位置にあるときに、突起部29の先端部が撓んで垂立壁8bの側面に接触するようになっている。
【0031】
以上の構成において、シートの前後位置を調整する場合には、運転者が操作レバー18を上方に引き上げることによってラッチレバー6のロック爪5がロックプレート8の嵌合孔7から引き抜かれ、その状態においてシートを任意の前後位置にスライド調整する。この後、操作レバー18の引き上げを解除すると、ラッチレバー6が棒状スプリング9によって再度付勢され、ロック爪5がロックプレート8上の対応する嵌合孔7に挿入係合される。
【0032】
シートの前後位置はこうして自由に調整されるが、シートが前端部位置よりも後方にあるときには、近接センサ20が図7の領域Aにおいてロックプレート8の垂立壁8bに対向し、センサ20のホールIC26が、シートが前端部位置以外にあることを意味する電流信号をコントローラ(図示せず)に出力する。
また、シートが前端部位置にあるときには、近接センサ20が垂立壁8bに対向しない図7の領域B内に位置され、センサ20のホールIC26が、シートが前端部位置にあることを意味する電流信号をコントローラ(図示せず)に出力する。
【0033】
このシート位置検出装置100においては、近接センサ20のケーシング24のうちの、永久磁石25の各脚部25Aの前方側位置に夫々非磁性の突起部29が形成されているため、図5に示すように、万一、近接センサ20の周囲にビスや座金、ホチキス等の微小な磁性材料Mが存在することがあっても、永久磁石25の脚部25A近傍への磁性材料Mの近接を突起部29が確実に阻止するようになる。したがって、周囲の微小な磁性材料Mが近接センサ20の検出結果に影響を与えることがなくなり、シートの位置検出精度が高まる。また、シートが前端部位置にある場合でも、近接センサ20に非磁性体製の突起部29を有しているため、シート位置に拘わらず、微小な磁性材料Mが近接センサ20に近接するのを阻止することができる。
【0034】
また、このシート位置検出装置100の場合、突起部29の突出高さが近接センサ20とロックプレート8の垂立壁8bの離間幅よりも大きく設定されているため、シートが前端部位置以外にあるときには、各突起部29がロックプレート8の垂立壁8bに当接し、その結果、垂立壁8bが、磁性材料Mが隣接する突起部29,29間に回り込むのを阻止する壁として機能するようになる。したがって、シートが前端部位置以外にあるときには、突起部29と垂立壁8bとの協働によって近接センサ20に対する磁性材料Mの付着をより有効に防止することができる。
【0035】
さらに、この位置検出装置100では、各突起部29が弾性を有する樹脂材料によって形成され、シートのスライド調整時に突起部29と垂立壁8bが摺接するようになっているため、万一、突起部29や垂立壁8bに磁性材料Mが付着したとしても、突起部29と垂立壁8bとの摺接によって付着した磁性材料Mを払い落とすことができる。特に、この実施形態においては、突起部29の先端部が当接する垂立壁8bには長手方向に沿って複数の嵌合孔7が形成されているため、シートスライドに伴う嵌合孔7の孔縁に対する突起部29の間欠的な当接により、磁性材料Mをより有効に払い落とすことができる。
【0036】
また、この実施形態の装置100の場合、突起部29が樹脂製のケーシング24と一体に形成されているため、外部からの荷重入力によって突起部29が剥離する劣化が生じにくいうえ、型成形等によって突起部29とケーシング24を容易に形成することができる。したがって、このように突起部29をケーシング24と一体に形成することにより、製品寿命の向上と製造コストの低減を図ることができる。
ただし、このような利点を考えなければ突起部29をケーシング24と別体に形成し、後に突起部29をケーシング24に接着等によって固定することも可能である。また、突起部29は、ケーシング24の下端の開口を封止するポッティング材27によって形成するようにしても良い。
【0037】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、以上では車両のシート位置検出装置について説明したが、同様の構成をシート以外の位置検知装置に適用することも可能である。また、上記の実施形態においては、近接センサを可動部材であるアッパレール側に設け、検出対象物である磁性部材をロアレール側に設けたが、逆に、近接センサをロアレール側に設け、検出対象物である磁性部材をアッパレール側に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施形態を示す分解斜視図。
【図2】同実施形態を示す図1のA−A断面に対応する断面図。
【図3】同実施形態を示す図1のB−B断面に対応する断面図。
【図4】同実施形態を示す図1のC矢視に対応する斜視図。
【図5】同実施形態を示す図4のD−D断面に対応する拡大断面図。
【図6】同実施形態を示す図4のD−D断面に対応する拡大断面図。
【図7】同実施形態を示す図1のE−E断面に対応する断面図。
【図8】同実施形態を示す近接センサの原理図。
【符号の説明】
【0039】
1…ロアレール(ベース部材)
2…アッパレール(可動部材)
8…ロックプレート(検知対象物)
20…近接センサ
24…ケーシング
25…永久磁石(磁界発生部)
26…ホールIC(検知部)
29…突起部
100…シート位置検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材上に変位可能に設けられた可動部材の位置を近接センサによって検出する位置検出装置において、
前記近接センサは、磁界発生部と、前記可動部材の変位に応じた磁界の変化を検知する検知部と、検知対象物に向けて突出する非磁性体製の突起部と、を備えていることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記突起部は、付根部からの突出高さがこの付根部と前記検知対象物との離間幅より大きくなるように可撓部材によって形成され、前記検知対象物に対して当接可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記近接センサは、前記磁界発生部と検知部を収容する非磁性体製のケーシングを備え、
前記突起部はこのケーシングと一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記検知対象物は、前記ベース部材と可動部材のいずれか一方の磁性部材または前記いずれか一方に設けられた磁性部材であり、
前記近接センサは、前記ベース部材と可動部材のいずれか他方に設けられ、前記磁性部材の近接を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記近接センサは、前記磁界発生部が略U字状の永久磁石によって形成されるとともに、前記検知部が前記略U字状の永久磁石の脚部間に配置されて成り、
前記突起部は、前記各脚部に近接して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の位置検出装置の構成を含み、
前記ベース部材は、車体フロアに固定設置されたロアレールによって構成され、
前記可動部材は、車両用シートに取り付けられて前記ロアレールにスライド可能に係合されるとともに、前記ロアレール上の任意のスライド位置で固定可能とされたアッパレールによって構成されていることを特徴とする車両のシート位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−64571(P2008−64571A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241968(P2006−241968)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】