説明

位置決めユニット及びこれを用いた位置決めアーム

例えば内視鏡を用いた外科手術において、手術用具を挿入するために人体に開設した穴を押し拡げることなく、かかる手術用具の先端を体内において処置が必要な部位へ位置決めするユニットを提供する。このユニットは手術用具等の可動部材に対して枢動自在に接続されると共に互いに平行に且つ往復動自在に設けられた第1及び第2の出力軸と、この第1の出力軸に対して任意の進退量を与えると共に、前記第2の出力軸に対しては第1の出力軸の進退量と常に一定比率(≠1)の進退量を与える駆動手段とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、可動部材の配設角度を変更すると共に、その先端を所定の位置に位置決めするための位置決めユニットに関するものであり、例えば、内視鏡を用いた外科手術に使用される手術用具を保持すると共に、人体内に差し入れられた前記手術用具の先端を処置部位に対して位置決めする用途に用いられる。
【背景技術】
近年、人体に対する医療外科手術としては、内視鏡と呼ばれるビデオカメラを体内に挿入し、この内視鏡によって映し出される体内映像を頼りに、開腹することなく手術を行う所謂内視鏡術が拡大してきている。この内視鏡術は、例えば患者の腹部に数cm程度の穴を数箇所設け、この穴から内視鏡と鉗子、レーザメス等の処置具を腹腔内に挿入し、腹腔内の問題箇所に対して外科的治療を施すものであり、患者の腹部を開腹して外科的治療を施す場合と比較して人体のダメージが小さく、術後、患者が早期に社会復帰をなし得ることから、近年急速に普及しつつある。
このような内視鏡術を行うためには、数cm程度の穴から人体に挿入することができ、しかも人体内では外科医の手に変わって処置作業を行い得る手術用具が必要となる。従来、この種の手術用具としては、特開平7−194608号公報に開示されるように、体内に挿入されるパイプ部の先端に開閉自在な腕部を設け、体内において前記腕部を開閉させて体組織を押さえる、引っ張る等の処置を行うものが知られている。また、特開平7−136173号公報には、体内に挿入したパイプ部の先端が人間の手首と同様に前後に屈曲するように構成された手術用マニュピュレータが開示されている。
一方、内視鏡術においては、人体内に挿入した内視鏡を用いて患部を捜索し、また、かかる患部に対して人体内に挿入したレーザメスや鉗子等の手術用具をアプローチさせる必要があることから、人体内において手術用具の先端を縦横に動かす必要が生じる。しかし、内視鏡術は患者の皮膚や筋肉を切開して形成した数cm程度の穴から手術用具を挿入しており、かかる穴を拡大することは許されない。従って、人体内において手術用具の先端を走査して患部を処置するためには、皮膚組織に形成した穴を中心として手術用具の配設角度を変更し、それによって手術用具の先端を縦横に動かすことが必要となる。
また、内視鏡術は開腹して行う通常の手術と比較すると、施術する医者にある程度の熟練が必要とされ、専門医でないと施術が困難であり、患者にしてみれば、かかる専門医を抱える限られた病院でしか内視鏡術を受けることができないといった実態がある。しかし、内視鏡術はモニタに映し出される体内映像を見ながら手術用具を操って行う手術であり、内視鏡で捉えた映像は電話回線を介して遠方に送信することが可能であるため、手術用具を遠隔操作で適切に動かすことができれば、遠方の専門医が内視鏡術を施術することも可能であり、専門医が不在の地方都市等においても治療方法として内視鏡術を選択することが可能となって有益である。
【発明の開示】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、例えば内視鏡を用いた外科手術において、手術用具を挿入するために人体に開設した穴を押し拡げることなく、かかる手術用具の先端を体内において処置が必要な部位へ位置決めすることが可能であり、しかもそのような手術用具の位置決め動作を遠隔操作によって実現することが可能な位置決めユニットを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の位置決めユニットは、先端が手術用具等の可動部材に対して枢動自在に接続されると共に互いに平行に且つ往復動自在に設けられた第1及び第2の出力軸と、この第1の出力軸に対して任意の進退量を与えると共に、前記第2の出力軸に対しては第1の出力軸の進退量と常に一定比率(≠1)の進退量を与える駆動手段とから構成されている。
このように、互いに平行に配置された第1の出力軸及び第2の出力軸の先端に可動部材を枢動自在に接続してリンク機構を構成し、これら第1及び第2の出力軸に対して別々の進退量を与えると、かかる進退量に応じて可動部材の配設角度が変更され、かかる可動部材の先端を位置決めすることが可能となる。このとき、第2の出力軸に対して常に第1の出力軸の進退量と一定比率の進退量を与えるようにすると、三角形の相似則との関係から、可動部材は常に一点を中心として配設角度が変更されることになる。このため、前記可動部材として鉗子等の手術用具を用いた場合を考慮すると、かかる手術用具を本発明の位置決めユニットで保持するに当たり、配設角度を変更する際の中心点が人体を切開して形成した挿入口と重なるようにすれば、譬え手術用具の配設角度を変更しても、手術用具が前記挿入口を押し拡げることなく、かかる手術用具の先端を体内において処置が必要な部位へ位置決めすることができる。従って、手術用具を術者の手を介することなく取り扱うことが可能となり、手術用具の位置決め動作を遠隔操作によって実現することも可能となる。
また、本発明の位置決めユニットは可動部材の配設角度を一方向へ向けて連続的に変化させるものであり、可動部材の先端は直線状にのみ移動することになるが、2基の位置決めユニットを直列的につなぎ合わせて位置決めアームを構成することにより、可動部材の先端を縦横に移動させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の位置決めユニットを用いて行われ内視鏡術の様子を示す概略図である。
図2は本発明を適用した位置決めユニットの外観を示す斜視図である。
図3は図2に示した位置決めユニットの内部構造を示す斜視図である。
図4は実施例に係る接続部の他の例を示す斜視図である。
図5は図2に示した位置決めユニットの内部構造を示す断面図である。
図6は第1及び第2出力軸の進退比と手術用具の配設角度との関係を示す図である。
図7はラック及びピニオンギヤを用いた出力軸の進退機構を示す概略図である。
図8は第1ユニットと第2ユニットとの接続状態を示す平面図である。
図9は本発明の位置決めユニットを用いた部品排出装置の概略構成を示す図である。
図10は図9に示した部品排出装置の動作状態を示す概略図である。
【符号の説明】
10…手術用具、11…ロッド、20…第1ユニット、21…第1出力軸、22…第2出力軸、21a,22a…雄ねじ溝、23…ケーシング、24…第1ボールねじナット、25…第2ボールねじナット、30…第2ユニット、50…中空モータ、P…患者
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の位置決めユニットを詳細に説明する。
図1は本発明の位置決めユニットを用いて鉗子やレーザメス等の手術用具を保持し、かかる位置決めユニットで手術用具を操作しながら内視鏡術を行う様子を示す図である。この内視鏡術は、施術対象である患者Pの皮膚数カ所を2〜3cm程度切開すると共に、これら切開によって形成された個々の挿入口からビデオスコープである内視鏡10aや、鉗子10b、レーザメス10cといった手術用具10の先端を人体内に挿入して行われ、術者は内視鏡10aが撮影した人体内患部の映像をテレビモニタで観察し、その観察結果を基に、他の手術用具10b,10cを操作して、患部を摘む、押える、切除する等の適当な処置を行うものである。
この図1に示す例において、各手術用具10は人体内に挿入されるロッド11を備えると共に、このロッド11の先端には各手術用具毎にその用途に応じた機構部12を備えており、また、ロッド11の後端には前記機構部12を動かすための駆動部13が備えられている。
一方、各手術用具10は本発明を適用した位置決めユニットによって保持されている。各手術用具10の駆動部13を収容するケーシングには第1ユニット20が接続される一方、この第1ユニット20には第2ユニット30が接続され、これら第1及び第2ユニット20,30が手術用具10を縦横に動かす位置決めアーム1を構成している。更に、第2ユニット30は天井に固定された自在腕2によって保持されており、第1ユニット20及び第2ユニット30を患者Pに対して所定の高さ、所定の位置に固定することができるようになっている。
図2は前記第1ユニット20の外観を示すものであり、また、図3はその内部構造を示すものである。この位置決めユニット20は互いに平行に配設された第1出力軸21と第2出力軸22とを備え、各出力軸21,22が互いに連動しながらケーシング23から進退するように構成されている。各出力軸21,22の先端には手術用具10のケーシングに枢支される接続部40が設けられており、手術用具10が一点鎖線で示す軸P,Qを中心として揺動し得るように保持されている。尚、前記接続部40の構造としては、図2の第1出力軸21の先端に描かれたものであっても差し支えないし、第2出力軸22の先端に描かれた比較的コンパクトな構造のものであっても差し支えない。また、第1出力軸21と第2出力軸22とを進退させて手術用具10に適当な配設角度を与えた場合に、第1出力軸21の先端の回転軸Pと第2出力軸22の先端の回転軸Qとの距離Lが変動することを考慮に入れれば、図4に示すように、かかる変動を吸収するリニアベアリング41を介して接続部40を設けるようにしても良い。
図3に示すように、前記第1出力軸21及び第2出力軸22には螺旋状の雄ねじ溝21a,22aが形成されており、第1出力軸21の雄ねじ溝21aには無限循環する多数のボールを介して第1ボールねじナット24が、第2出力軸22の雄ねじ溝22aには同様にして第2ボールねじナット25が夫々螺合している。図5に断面図を示すように、第1出力軸21に螺合した第1ボールねじナット24は中空モータ50内に収容されている。この中空モータ50は、位置決めユニット20のケーシング23に固定されたモータハウジング51と、このモータハウジング51に固定されたモータステータ52と、ベアリング53を介して前記モータハウジング51に対して回転自在に支承された略円筒状のモータロータ54とから構成されており、前記第1出力軸21がモータロータ54の中空部内を貫通すると共に、前記第1ボールねじナット24はモータロータ54の内周面に嵌合している。従って、モータステータ52を励起してモータロータ54を回転させると、このモータロータ54に固定された第1ボールねじナット24が回転する。第1出力軸21はその先端が手術用具10に固定されていて、それ自体は回転不能なので、モータロータ54の回転によって第1ボールねじナット24が回転すると、その回転数に応じて第1出力軸21が進退することになる。
一方、第2ボールねじナット25に対しては独立のモータが設けられておらず、かかる第2ボールねじナット25は第1ボールねじナット24から動力を伝達されて回転するようになっている。第1ボールねじナット24の端部にはプーリ26が固定される一方、第2ボールねじナット25の端部にもプーリ27が固定されており、これらのプーリ26,27にはタイミングベルト28がかけ回されている。従って、第1ボールねじナット24が中空モータ50によって回転駆動されると、同一の回転数で第2ボールねじナット25も回転するようになっている。第2出力軸22はその先端が手術用具10に固定されていて、それ自体は回転不能なので、このようにして第2ボールねじナット25が回転すると、その回転数に応じて第2出力軸22が進退することになる。尚、第2ボールねじナット25はサポートベアリング29を介して位置決めユニットのケーシング23に支承されている。また、図3及び図5に示されるように、第1出力軸21及び第2出力軸22のジャーナル部は樹脂製の軸受スリーブ31によって位置決めユニット20のケーシング23に支承されている。
この実施例において、第2出力軸22に形成された螺旋状の雄ねじ溝22aは第1出力軸21に形成された螺旋状の雄ねじ溝22aに対して2倍のリードで形成されている。このため、中空モータ50が回転して第1出力軸21が進退すると、第2出力軸22は常に第1出力軸21の2倍の進退量で進退することになる。これにより、図6に示すように、第1出力軸21及び第2出力軸22の先端に枢動自在に取り付けられた手術用具10はその配設角度が変更され、かかる手術用具10の先端に位置する機構部12を患部に対して位置決めすることが可能となる。
このとき、手術用具10のロッド11は一点を中心としてその配設角度を変更することになる。かかる中心点Oは第1出力軸21と第2出力軸22との進退量の比率に応じた位置に生じる。実施例の如く、第1出力軸21と第2出力軸22との進退比が1:2であれば、第1出力軸21と第2出力軸22との間隔をdとした場合、前記中心点Oは第1出力軸21と手術用具10を接続する枢軸Qから距離dの位置に生じる(図6参照)。これは三角形の相似則によるものであり、進退比が1:2であれば、線分OQ:線分OP=1:2となる点Oを中心として手術用具10のロッド11の配設角度が変わるのである。従って、第1出力軸21と第2出力軸22との進退比が常に一定であれば、必ずロッド11の配設角度の変化の中心となる点Oが存在することになる。
第1出力軸21と第2出力軸22との進退比を一定にするためには、前述の如く第1出力軸21の雄ねじ溝21aのリードを第2出力軸22の雄ねじ溝22aのリードと異なるものにすれば良い。また、リードを同一のものにし、第1ボールねじナット24の回転数と第2ボールねじナット25の回転数との間に一定の比率を与えるようにしても良い。タイミングベルトを用いて第1ボールねじナットから第2ボールねじナットへ回転動力を伝達する際に、プーリに形成されている歯数を異ならせれば、そのような回転数比を容易に与えることができる。
そして、中心点Oが患者Pを切開して形成した挿入口に合致するよう、前記自在腕2を用いて第1ユニット20の高さを調節すれば、第1ユニット20を用いて手術用具10の配設角度を変更しても、手術用具10のロッド11が患者Pに形成した挿入口を押し拡げてしまうことがなく、挿入口周辺の皮膚組織等にダメージを与えることなく手術用具10の先端の機構部12を人体内の患部に対して位置決めすることができるものである。
尚、前記第1ユニット20において第1出力軸21及び第2出力軸22を進退させるための構成としては、前述のボールねじナットと雄ねじ溝の組み合わせに限らず、例えば、図7に示すように、各出力軸21,22に形成したラックとピニオンギヤとの組み合わせであっても差し支えない。この場合、第1出力軸21に形成したラック60と噛み合う第1ピニオンギヤ61を設ける一方、第2出力軸22に形成したラック62と噛み合う第2ピニオン63を設け、いずれか一方のピニオンギヤをモータで回転させると共に、このピニオンギヤから他方のピニオンギヤへ回転動力を分配するように構成する。第1出力軸21と第2出力軸22との進退比は、第1ピニオンギヤ61と第2ピニオンギヤ62の回転数を同一とし、各出力軸21,22に形成されたラック60,62の基準ピッチを異ならせるようにしても良いし、両ラック60,62の基準ピッチを同一とし、第1ピニオンギヤ61と第2ピニオンギヤ63の回転数を異ならせるようにしても良い。
また、図3及び図5に示した第1ユニット20の例では、第1ボールねじナット24に対してのみ中空モータ50を設け、この中空モータ50の動力を第2ボールねじナット25へ分配するように構成したが、第2ボールねじナット25に対しても個別にモータを設けるようにして差し支えない。その場合、第1ボールねじナット24を駆動するモータと第2ボールねじナット25を駆動するモータは、常に第2出力軸22の進退量及び進退速度が第1出力軸21の進退量及び進退速度に対して一定の比率を有するように制御しなければならない。
一方、前記第2ユニット30も前記第1ユニット20と全く同一の構造を有しており、互いに平行に配設された第3出力軸64及び第4出力軸65を一定の進退比で進退させることができるように構成されている。図8は手術用具と、第1ユニット及び第2ユニットの接続状態を示す平面図である。この図に示されるように、第2ユニット30の各出力軸64,65は第1ユニット20のケーシングと接続部40を介して枢動自在に連結されているが、かかる連結状態において、第2ユニット30の各出力軸64,65は第1ユニット20の各出力軸21,22と常に直交している。すなわち、第1ユニット20の第1出力軸21及び第2出力軸22を含む平面が第2ユニット30の第3出力軸64及び第4出力軸65を含む平面と常に直交しているのである。第1ユニット20の各出力軸21,22を進退させると、手術用具10のロッド11は図8中の矢線X方向に沿って配設角度を変化させるが、前述したような連結状態で第2ユニット30の各出力軸64,65を進退させると、手術用具10のロッド11はX方向と直交するY方向に沿って配設角度を変化させることになる。従って、第1ユニット及び第2ユニットを連結して図8に示すような位置決めアームを構成すれば、第1ユニットによって保持した手術用具のロッドに対してX方向及びY方向の動きを与えることができ、かかるロッド先端に設けられた機構部を人体内において縦横に位置決めすることが可能となる。
つまり、第1ユニット及び第2ユニットのモータに対して任意の回転量を与えることにより、手術用具の先端に位置して人体内に挿入された機構部を処置すべき患部に対して自在に位置決めすることが可能となり、内視鏡が撮影した映像を観察しながら第1ユニット及び第2ユニットのモータを制御することで、遠隔地の専門医が内視鏡術を施術することも可能となるものである。
図9及び図10は本発明の位置決めユニットを他の用途、具体的には、自動車のボディ部品等の如く加工済みの機械部品80を治具81から取り外すと共に、これを排出するための部品排出装置に適用した例を示している。
この部品排出装置70は、表面が滑らかな板状に形成されると共に加工がなされた機械部品を下方から持ち上げる可動部材としてのシュート71と、このシュート71の一端を揺動中心としてその配設角度を変更するアクチュエータユニット72とから構成されている。かかるアクチュエータユニット72として図2に示した第1ユニット20と同じものが使用されており、その第1出力軸21及び第2出力軸22の先端はシュート71の裏面に対して枢支されている。機械部品80は治具81によって位置決めされた状態で加工がなされるが、この加工中において、前記シュート71は図9に示す待機位置、すなわち機械部品80の下方に設定されている。加工が終了すると、前記機械部品80を治具81から取り外して排出するため、アクチュエータユニット72に内蔵された中空モータ50が回転を開始し、第1出力軸21及び第2出力軸22がケーシング23から進出する。これにより、図10に示すように、前記シュート71は上方へ持ち上げられ、加工済みの機械部品80は治具81から取り外される。また、第1出力軸21及び第2出力軸22は中空モータ50が回転した際の進出量が異なるため、前記シュート71は上方への上昇と同時にその配設角度が変更され、機械部品80はシュート71上を滑り落ちるようにして治具から排出される。
このとき、前記アクチュエータユニット72として本発明の位置決めユニットを用いれば、前記シュート71はその一端を揺動中心として配設角度を変更させることができ、待機位置に設定されたシュート71に隣接してベルトコンベヤ等の搬送装置を設けておけば、シュート71から滑り落ちるようにして治具81から排出された機械部品80を円滑に搬送装置に乗り移らせることが可能となる。従って、本発明の位置決めユニットは産業用ロボット等における各種アクチュエータとしても有用である。
【産業上の利用可能性】
以上説明してきたように、本発明の位置決めユニットによれば、互いに平行に配置された第1の出力軸及び第2の出力軸の先端に可動部材を枢動自在に接続してリンク機構を構成すると共に、第2の出力軸に対して常に第1の出力軸の進退量と一定比率の進退量を与え、可動部材の配設角度が常に一点を中心として変化するように構成したので、例えば前記可動部材として手術用具を保持した場合に、かかる手術用具の配設角度を変更しても、手術用具が人体を切開して形成した挿入口を押し拡げることがなく、かかる手術用具の先端を体内において処置が必要な部位へ遠隔操作で位置決めすることが可能となる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材を保持すると共にその配設角度を変更し、前記可動部材の先端を位置決めするユニットであって、
先端が上記可動部材に対して枢動自在に接続されると共に互いに平行に且つ往復動自在に設けられた第1及び第2の出力軸と、この第1の出力軸に対して任意の進退量を与えると共に、上記第2の出力軸に対しては第1の出力軸の進退量と常に一定比率(≠1)の進退量を与える駆動手段とを備えたことを特徴とする位置決めユニット。
【請求項2】
上記駆動手段は、第1及び第2の出力軸に夫々形成された雄ねじと、これら雄ねじに対して夫々螺合する第1ナット及び第2ナットと、これら第1ナット及び第2ナットを回転させるモータとから構成されることを特徴とする請求項1記載の位置決めユニット。
【請求項3】
第1の出力軸に形成された雄ねじのリードが第2の出力軸に形成された雄ねじのリードと異なっていることを特徴とする請求項2記載の位置決めユニット。
【請求項4】
第1ナットの回転数と第2ナットの回転数とを異ならせたことを特徴とする請求項2記載の位置決めユニット。
【請求項5】
上記駆動手段は、第1及び第2の主力軸に夫々形成されたラックと、これらラックと夫々噛み合う第1ピニオン及び第2ピニオンと、これら第1ピニオン及び第2ピニオンを回転させるモータとから構成されることを特徴とする請求項1記載の位置決めユニット。
【請求項6】
第1の出力軸に形成されたラックの基準ピッチが第2の出力軸に形成されたラックの基準ピッチと異なっていることを特徴とする請求項5記載の位置決めユニット。
【請求項7】
第1ピニオンの回転数と第2ピニオンの回転数とを異ならせたことを特徴とする請求項5記載の位置決めユニット。
【請求項8】
前記可動部材が医療用手術用具であり、かかる手術用具の先端を処置部位に対して位置決めすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の位置決めユニット。
【請求項9】
可動部材を保持すると共にその配設角度を変更し、前記可動部材の先端を位置決めするアームであって、
上記可動部材を保持する第1ユニットと、この第1ユニットを保持する第2ユニットとから構成され、
上記第1ユニットは、先端が上記可動部材に対して枢動自在に接続されると共に互いに平行に且つ往復動自在に設けられた第1及び第2の出力軸と、この第1の出力軸に対して任意の進退量を与えると共に、上記第2の出力軸に対しては第1の出力軸の進退量と常に一定比率(≠1)の進退量を与える駆動手段と、この駆動手段を収容するケーシングとを備える一方、
上記第2ユニットは、先端が上記第1ユニットのケーシングに対して枢動自在に接続されると共に互いに平行に且つ往復動自在に設けられ、しかも第1ユニットの各出力軸に対して直交する第3及び第4の出力軸と、この第3の出力軸に対して任意の進退量を与えると共に、上記第4の出力軸に対しては第3の出力軸の進退量と常に一定比率(≠1)の進退量を与える駆動手段とを備えたことを特徴とする位置決めアーム。
【請求項10】
前記可動部材が医療用手術用具であり、かかる手術用具の先端を処置部位に対して位置決めすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の位置決めアーム。

【国際公開番号】WO2004/035270
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544968(P2004−544968)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013249
【国際出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(595046469)
【出願人】(500160505)
【出願人】(502381597)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】