説明

住宅情報盤

【課題】 在室であっても、一定時間、呼出があると、強制的に通話路を形成して、管理人室からの伝言を録音できるようにする。
【解決手段】 管理人室親機20と接続され、その管理人室親機20からの呼出に応じて通話操作が行われると、切換回路45を切り換えて、通話路を形成する住宅情報盤40において、管理人室親機20からの呼出がある時から所定時間を計測するタイマ46を設け、所定時間が経過したことを判断したら、切換回路45を切り換えて、通話路を形成する。また、切換回路に接続される通話部43と、その通話部に接続される録音部47とを設けて、所定時間が経過して切換回路が切り換えられるとき、録音部により前話部から出力される音声を録音する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅情報盤に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等においては、共同玄関にカメラを有する集合玄関機が設置され、住戸の玄関にカメラを有するテレビドアホン(玄関子機)が設置される。これら玄関機のカメラで撮像された画像は、住戸内に設置した住宅情報盤のモニタで表示される。
【0003】
また、集合住宅の管理人室には、管理人室親機が設置され、各住戸の住宅情報盤を個別に呼び出すことができるようになっている。住宅情報盤には、留守の際の訪問客に備えて、「留守録」用のスイッチが設けられ、このスイッチをオンにしておくことで、不在時の訪問客の画像を録画したり、音声を録音できるようにしてある(例えば、特許文献1、2参照)。この録音録画機能は、管理人室からの管理人の伝言も録音できるようになっている。
【特許文献1】特開平4−45644号公報
【特許文献2】特開平9−261624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の住宅情報盤に設けられる録画録音装置は、留守の設定、つまり在室しているか不在であるかを設定する「在・不在」の設定スイッチの状態によって録音等が行われるようになっている。このため、居住者が、風呂やトイレなどにいる在室の場合であって、設定スイッチが不在になっていないときに呼出がかかると、呼出音が長い間、鳴りっぱなしになるだけであり録音等がされないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、在室であっても、一定時間、呼出があると、強制的に通話路を形成して、管理人室からの伝言を録音できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、管理人室親機と接続され、該管理人室親機からの呼出に応じて通話操作が行われると、切換回路を切り換えて、通話路を形成する住宅情報盤において、管理人室親機からの呼出がある時から所定時間を計測するタイマを設け、所定時間が経過したことを判断したら、切換回路を切り換えて、通話路を形成することを特徴とするものである。
【0007】
また、切換回路に接続される通話部と、その通話部に接続される録音部とを設け、所定時間が経過して切換回路が切り換えられるとき、録音部により通話部から出力される音声を録音することを特徴とするものである。
【0008】
また、カメラを有する玄関機からの映像を表示するモニタを設け、録音部による録音が行われたとき、モニタに録音が行われたことを表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、管理人室親機からの呼出があると、その時からタイマを動かして所定時間を計測する。そして、所定時間が経過したことを判断したら、切換回路を切り換えて、管理人室親機と住宅情報盤の通話路を形成して、両者間で通話を行える状態にする。
【0010】
このように本発明の住宅情報盤では、その呼出の継続時間に基づいて、通話路を自動的に形成するようにしたので、管理人室からの呼出によって呼出音が長い間、鳴りっぱなしになることがない。また、不在ではなく、風呂やトイレにいる場合、又は料理中などで手が離せない場合で、通話に応じられなくても、通話路が自動的に形成されるので、管理人室からの一方的な伝言を聞くことが可能となる。
【0011】
また、呼出が所定時間にわたって継続して行われることに基づいて、居住者が不在であると判断し、通話部から出力される音声の録音を開始するようにしたので、「在・不在」の設定スイッチが不要となる。
【0012】
また、録音部による録音が行われたとき、モニタに録音が行われたことを表示するようにしたので、LEDによる表示に比べ、録音がされたことを認識しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施の形態を添付図1乃至図2に基づき説明する。なお、図1は、この発明の住宅情報盤を含んだインターホンシステムの構成を示すブロック図であり、図2は、住宅情報盤のブロック図である。
【0014】
図1のインターホンシステムは、集合玄関機10、管理人室親機20、通話制御装置30及び住宅情報盤40から構成されている。そして、住宅情報盤40は、通話制御装置30を介して、集合玄関機10、管理人室親機20と接続されており、通話制御装置30を介して相互に通話可能になっている。
【0015】
集合玄関機10はカメラ11を有しており、訪問者を撮影してその映像信号を通話制御装置30を介して訪問先の住宅情報盤40に送信する。住宅情報盤40にはドアホン50が接続されており、ドアホン50にはカメラ51が内蔵されている。住宅情報盤40は住戸内に取り付けられ、ドアホン50は住戸の玄関等の外側に取り付けられ、ドアホン50のカメラ51は訪問者を撮影すると、その映像信号を住宅情報盤40に出力する。なお、図1において、各機器が通話線Tで接続されている状態を示したが、各機器は通話線Tだけでなく、映像信号線や伝送用の制御線にも、通話線Tと同様に接続されている。
【0016】
管理人室親機20は、住宅情報盤40を指定するテンキー21と、テンキー21で指定された住戸番号の住宅情報盤40を呼び出す呼出釦22と、スピーカやマイクからなる通話部23を少なくとも備え、後述する住宅情報盤40とほぼ同じ機能を有している。
【0017】
住宅情報盤40の内部構成について図2を用いて説明する。41は制御線Lに接続された呼出信号検出部で、集合玄関機10や管理人室親機20からの呼出信号を検出する。42は音響部で、呼出信号を検出した時に、呼出音を出力する。43は切換回路45に接続された通話部で、スピーカやマイクから構成される。44は通話釦である。45は切換回路としての切換スイッチで、管理人室親機20等からの呼出に応じて通話操作、例えば通話釦24の押し操作が行われると、切り換えられて、住宅情報盤40の通話部43と、管理人室親機20の通話部23とを接続するように通話路を形成する。
【0018】
46はタイマで、管理人室親機20からの呼出がある時から所定時間、例えば10秒間を計測する。47は通話部43に接続される録音部で、管理人室親機20からの音声を所定時間、例えば30秒程度録音できるものである。録音部47には、録音された音声が順次格納され、メモリ容量が全て使用されている時には、一番古い案件の音声が削除されて上書きされる。
【0019】
48は集合玄関機10やドアホン50などの玄関機からの映像を表示するモニタである。49はMPUなどから構成される制御部で、住宅情報盤40内の各構成ブロックである呼出信号検出部41〜モニタ48に接続されて、各ブロックと信号命令のやりとりをして各ブロックを制御する。具体的には、タイマ46により、所定時間が経過したことを判断したら、切換回路45を切り換えて、通話路を自動的に形成する。また、その切り換えの際、録音部47により通話部43から出力される音声を録音するように制御する。そして、この録音部47による録音が行われたとき、モニタ48に録音が行われたことを表示する。
【0020】
次に、この発明の動作について説明する。まず住戸内に居住者がいて呼出に応答する場合について説明する。管理人室親機20のテンキー21を操作して住戸番号を入力し呼出釦22を押して、ある住戸を呼び出すと、制御線Lを介して、その住戸を指定した呼出信号が送出される。呼び出された住宅情報盤40側では、呼出信号検出部41が呼出信号を検出して、音響部42から呼出音が出力される。ここで、通話釦44を押すと、切換回路45が切り換えられて、住宅情報盤40の通話部43と管理人室親機20の通話部23が接続されるように通話路が形成され、両者の間で通話が可能となり、管理人から居住者へ連絡事項を伝えることができる。
【0021】
続いて、住戸内に居住者がいない不在状態、又は料理等で手が離せない場合について説明する。同様にして、管理人室親機20から特定の住戸を呼び出すと、住宅情報盤40の音響部42から呼出音が鳴る。また呼出信号検出部41が呼出信号を検出すると、その時からタイマ46を動かして10秒間を計測する。そして、呼出状態が継続して、通話釦44の操作がなく、10秒間が経過したことを判断したら、制御部49は、切換回路45を切り換えて、管理人室親機20と住宅情報盤40の通話路を自動的に形成して、両者間で通話を行える状態にする。
【0022】
この際、特定の音、例えば「ピー」という音を管理室親機20の通話部23から出力することで、回線が、居住者の操作によってではなく、自動接続されたことをわからせるようにする。そして管理人が「宅配便を預かっています」とか「落とし物が届いています」などの連絡事項を通話部23を介して伝えると、その音声は、住宅情報盤40側で通話部43を介して出力されると共に、録音部47で録音されるように制御される。
【0023】
このように本発明の住宅情報盤40では、その呼出の継続時間に基づいて、通話路を自動的に形成するようにしたので、管理人室からの呼出によって呼出音が長い間、鳴りっぱなしになることがない。また、不在ではなく、風呂やトイレにいる場合や料理中などで手が離せない場合で、通話に応じられなくても、通話路が自動的に形成されるので、管理人室からの伝言を聞くことが可能となる。特に管理人室からの伝言は、「落とし物が届いています」などの一方的な連絡事項が多いので、通話釦44を押さずに、自動で回線が接続されると、手の離せない忙しい時は便利である。
【0024】
また、呼出が所定時間にわたって継続して行われることに基づいて、居住者が不在であると判断し、通話部43から出力される音声の録音を開始するようにしたので、「在・不在」の設定スイッチが不要となる。
【0025】
次に、モニタ48によるメッセージの出力について説明する。モニタ48は、集合玄関機10等のカメラ11が撮像した画像を表示するものであるが、通常時は、モニタ48にはメニュー画面が表示されている。モニタ48の横や下には、数個の釦が配置され、モニタ48上に釦の操作内容を表示して、モニタ48の表示内容を切り換える毎に、釦の役割を変更させることできるようになっている。
【0026】
このモニタに表示される釦の役割としては、録音部47で録音された音声を再生する再生釦、不要な録音音声を消去する消去釦、モニタ48に表示されている画面を次の案件に送る送り釦、モニタ28に表示されている画面を、一件分戻すかメニュー画面に戻す戻す釦などがある。
【0027】
そして、録音部47による録音が行われたときは、モニタ48に録音が行われたことを表示する。例えば大きな文字で「管理室伝言あり」というようにモニタ48に表示する。録音部による録音が行われたとき、このような表示を行えば、単一のLEDによる表示に比べ、録音がされたことを認識しやすくなる。
【0028】
なお、実施形態においては、管理人室親機から呼出信号を受信したときにに、タイマにより所定時間を計測するように制御する場合について説明したが、集合玄関機からの呼出信号を受信したときにも、このタイマを起動して、所定時間が経過したら、切換回路を切り換えて、通話路を形成するように制御してもよい。勿論、この場合にも、通話部に接続される録音部を設けて、所定時間が経過して切換回路が切り換えられるとき、録音部により通話部から出力される音声を録音するようにする。
【0029】
集合玄関機からの呼出は、家族や訪問者のようにある程度の通話が必要になる場合もあるが、セールスや押し売りのように、相手からの要件を応じることなく、聞き流せばいいいようなケースもあるので、通話釦を押さずに、自動で回線が接続されると、手の離せない忙しい時は便利である。なお、集合玄関機からの呼出信号か管理人室親機からの呼出信号かは、呼出信号を構成する制御信号のコマンドを識別することで、住宅情報盤の制御部は、どちらから呼出がかかっているかを識別することができる。
【0030】
また、呼出で自動的に回線を接続する場合には、スピーカのアンプのゲインを大きくして、出力される音声の音量を自動的に大きくするようにしてもよい。こうすると、居住者が通話釦が押せない、室内の遠い場所にいても伝言を聞くことができる。また呼出で自動的に回線を接続する場合には、その際に、通話部に接続されたミュート回路(部)を起動して、こちらの音声を管理人親機や集合玄関機に出力させないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】住宅情報盤を含んだインターホンシステムのブロック図である。
【図2】住宅情報盤のブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
10 集合玄関機、 11 カメラ、 20 管理人室親機、
21 テンキー、 22 呼出釦、 23 通話部、 30 通話制御装置、
40 住宅情報盤、 41 呼出信号検出部、 42 音響部、 tt
43 通話部、 44 通話釦、 45 切換回路、 46 タイマ、
47 録音部、 48 モニタ、 49 制御部、 50 ドアホン、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理人室親機と接続され、該管理人室親機からの呼出に応じて通話操作が行われると、切換回路を切り換えて、通話路を形成する住宅情報盤において、
前記管理人室親機からの呼出がある時から所定時間を計測するタイマを設け、
前記所定時間が経過したことを判断したら、前記切換回路を切り換えて、通話路を形成することを特徴とする住宅情報盤。
【請求項2】
前記切換回路に接続される通話部と、該通話部に接続される録音部とを設け、
前記所定時間が経過して切換回路が切り換えられるとき、前記録音部により前記通話部から出力される音声を録音することを特徴とする請求項1記載の住宅情報盤。
【請求項3】
カメラを有する玄関機からの映像を表示するモニタを設け、
前記録音部による録音が行われたとき、前記モニタに録音が行われたことを表示することを特徴とする請求項2記載の住宅情報盤。
【請求項4】
集合玄関機と接続され、該集合玄関機からの呼出に応じて通話操作が行われると、切換回路を切り換えて、通話路を形成する住宅情報盤において、
前記集合玄関機からの呼出がある時から所定時間を計測するタイマを設け、
前記所定時間が経過したことを判断したら、前記切換回路を切り換えて、通話路を形成することを特徴とする住宅情報盤。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−116485(P2007−116485A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306455(P2005−306455)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】