説明

作業機械の動力回生装置

【課題】蓄電装置の容量を増加させることなく、蓄電装置の過充電が防止できる作業機械の動力回生装置を提供する。
【解決手段】油圧シリンダ3aのボトム側油圧室に接続され油圧シリンダの縮短時にタンク6Aに戻る戻り油が流通する油路31と、油路に設けられ油路を複数の油路に分流する分岐部32と、分岐部に接続され、発電機12が接続された油圧モータ11を介して戻り油をタンクに導く回生管路33と、分岐部に接続され、制御弁2を介して戻り油をタンクに導く制御弁管路34と、操作装置4の操作量を検出する操作量検出手段16と、発電機12によって発電された電力を蓄える蓄電装置15と、蓄電装置の充電量を検出する充電量検出手段17と、充電量検出手段からの充電量信号に応じて、回生管路側を流れる戻り油の流量及び制御弁管路側を流れる戻り油の流量をそれぞれ演算する流量演算手段9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の動力回生装置に係わり、特に油圧アクチュエータからの戻り圧油によりエネルギを回収する作業機械の動力回生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータからの戻り流体により油圧モータを駆動してエネルギを回収すると共に、操作性を向上するためブームからの戻り流量を回生側と制御弁側とに分岐する建設機械が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−107616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献のように建設機械が油圧ショベルの場合、例えばダンプへの砂利積み作業などブーム上げ下げ動作を頻繁に行う作業を行うと、回生動力量が増加する。この結果、蓄電装置が過充電になり装置の劣化や破損などを招くおそれ生じる。このような蓄電装置の過充電を防ぐためには、大容量の蓄電装置を配設し余裕を持って使用する方法が考えられる。
【0005】
しかし、例えば、ハイブリッド式油圧ショベルの構成部品において、蓄電装置は非常に高価な部品であり、容量にその価格がほぼ比例するため、蓄電装置の容量を小さくすることが望まれている。
【0006】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、蓄電装置の容量を増加させることなく、蓄電装置の過充電が防止できる作業機械の動力回生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、エンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダに切換え供給する制御弁と、前記制御弁を制御する操作装置とを備える作業機械の動力回生装置において、前記油圧シリンダのボトム側油圧室に接続され当該油圧シリンダの縮短時にタンクに戻る戻り油が流通する油路と、前記油路に設けられ当該油路を複数の油路に分流する分岐部と、前記分岐部に接続され、発電機が接続された油圧モータを介して戻り油をタンクに導く回生管路と、前記分岐部に接続され、前記制御弁を介して戻り油をタンクに導く制御弁管路と、前記操作装置の操作量を検出する操作量検出手段と、前記発電機によって発電された電力を蓄える蓄電装置と、前記蓄電装置の充電量を検出する充電量検出手段と、前記充電量検出手段からの充電量信号に応じて、前記回生管路側を流れる戻り油の流量及び前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量をそれぞれ演算する流量演算手段と、前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記回生管路の流量を制御する第1流量制御手段と、前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記制御弁管路の流量を制御する第2流量制御手段とを備えるものとする。
【0008】
また、第2の発明は、エンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダに切換え供給する制御弁と、前記制御弁を制御する操作装置とを備える作業機械の動力回生装置において、前記油圧シリンダのボトム側油圧室に接続され当該油圧シリンダの縮短時にタンクに戻る戻り油が流通する油路と、前記油路に設けられ当該油路を複数の油路に分流する分岐部と、前記分岐部に接続され、発電機が接続された油圧モータを介して戻り油をタンクに導く回生管路と、前記分岐部に接続され、前記制御弁を介して戻り油をタンクに導く制御弁管路と、前記操作装置の操作量を検出する操作量検出手段と、前記発電機によって発電された電力を蓄える蓄電装置と、前記蓄電装置の充電量を検出する充電量検出手段と、前記油圧シリンダが縮短される場合における前記操作装置の操作量に対する前記油圧シリンダからのメータアウト流量の複数の特性が記憶されると共に、前記充電量検出手段からの充電量信号が入力され、前記充電量信号に応じて前記記憶されたメータアウト流量の複数の特性のいずれか1つを出力する特性選択手段と、前記特性選択手段により出力された操作量とメータアウト流量との関係及び前記操作量検出手段で検出される前記操作量に基づいて、前記回生管路側を流れる戻り油の流量及び前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量をそれぞれ演算する流量演算手段と、前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記回生管路の流量を制御する第1流量制御手段と、前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記制御弁管路の流量を制御する第2流量制御手段とを備えるものとする。
【0009】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記流量演算手段は、前記操作装置における下げ操作信号が検出されている間は、前記回生管路側を流れる戻り油の流量と前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量との配分特性を固定化させていることを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記流量演算手段は、前記油圧シリンダが縮短される場合における前記操作装置の操作量に対する前記油圧シリンダからのメータアウト流量の特性が記憶されると共に、前記操作量検出手段からの操作量信号が入力され、前記操作量信号に応じて前記記憶されたメータアウト流量の特性から、前記回生管路側を流れる戻り油の流量を演算する第1流量演算手段と、前記油圧シリンダが縮短される場合における前記操作装置の操作量に対する前記油圧シリンダからのメータアウト流量の特性が記憶されると共に、前記操作量検出手段からの操作量信号が入力され、前記操作量信号に応じて前記記憶されたメータアウト流量の特性から、前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量を演算する第2流量演算手段と、前記充電量検出手段からの充電量信号が入力され、前記充電量信号に応じて補正特性を演算する補正信号演算手段とを備え、前記補正信号演算手段からの補正信号により、前記第1流量演算手段の出力信号と前記第2流量演算手段の出力信号とが補正されることを特徴とする。
【0011】
更に、第5の発明は、第1の発明において、前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量を制御する為に、前記制御弁へのパイロット圧を制御する電磁比例弁を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓄電装置の容量を増加させることなく、蓄電装置の過充電を防止することができる。この結果生産性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態を備えた油圧ショベルを示す斜視図である。
【図2】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態を示す制御システムの概略図である。
【図3】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラ内の特性選択回路が備える一のメータリング特性図である。
【図4】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態を構成するコントローラのブロック図である。
【図6A】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラ内の特性選択回路を説明する他のメータリング特性図である。
【図6B】本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラ内の特性選択回路を説明する更に他のメータリング特性図である。
【図7】本発明の作業機械の動力回生装置の他の実施の形態を構成するコントローラのブロック図である。
【図8】本発明の作業機械の動力回生装置の更に他の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の作業機械の動力回生装置の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態を備えた油圧ショベルを示す斜視図、図2は本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態を示す制御システムの概略図である。
図1において、油圧ショベル1は、ブーム1a、アーム1b及びバケット1cを有する多関節型の作業装置1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eを有する車体1Bとを備えている。ブーム1aは、上部旋回体1dに回動可能に支持されていて、ブームシリンダ(油圧シリンダ)3aにより駆動される。上部旋回体1dは下部走行体1e上に旋回可能に設けられている。
【0015】
アーム1bは、ブーム1aに回動可能に支持されていて、アームシリンダ(油圧シリンダ)3bにより駆動される。バケット1cは、アーム1bに回動可能に支持されていて、バケットシリンダ(油圧シリンダ)3cにより駆動される。ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、及びバケットシリンダ3cの駆動は、上部旋回体1dの運転室(キャブ)内に設置され油圧信号を出力する操作装置4(図2参照)によって制御されている。
【0016】
図2に示す実施の形態においては、ブーム1aを操作するブームシリンダ3aに関する制御システムのみを示している。この制御システムは、制御弁2と、操作装置4と、比例電磁弁7と、パイロットチェック弁10と、インバータ13と、チョッパ14と、蓄電装置15と、圧力センサ16と、電圧検出器17とを備えており、制御装置としてコントローラ9を備えている。
【0017】
油圧源装置としては、油圧ポンプ6とパイロット圧油を供給するパイロット油ポンプ8と作動油タンク6Aとを備えている。油圧ポンプ6とパイロット油ポンプ8とは同一の駆動軸で連結され、この駆動軸と直列に接続されたエンジン50によって駆動される。
【0018】
油圧ポンプ6からの圧油をブームシリンダ3aへ供給する油路30には、油路内の圧油の方向と流量を制御する制御弁2が設けられている。制御弁2は、そのパイロット受圧部2A,2Bへのパイロット圧油の供給により、スプール位置を切り換えて、油圧ポンプ6からの圧油を油圧アクチュエータ3aに供給して、ブーム1aを駆動している。
【0019】
制御弁2のスプール位置は、操作装置4の操作レバー等の操作によって切換え操作される。操作装置4には、パイロット弁5が設けられていて、操作レバー等の図上a方向の傾動操作(ブーム上げ方向操作)により、パイロット油ポンプ7からの図示しないパイロット一次側油路を介して供給されるパイロット一次圧油を、パイロット二次側油路20aを通して制御弁2のパイロット受圧部2aに供給している。また、パイロット弁5は、操作レバー等の図上b方向の傾動操作(ブーム下げ方向操作)により、パイロット油ポンプ7からの図示しないパイロット一次側油路を介して供給されるパイロット一次圧油を、パイロット二次側油路20cを通してパイロットチェック弁10の受圧部に供給している。
【0020】
このパイロット二次側油路20cには、圧力センサ16が取り付けられている。この圧力センサ16は、操作装置4のパイロット弁5の下げ側パイロット圧Pbを検出してその圧力に対応する電気信号に変換する信号変換手段として機能するもので、変換した電気信号をコントローラ9に出力可能に構成されている。
【0021】
一方、制御弁2のパイロット受圧部2bには、パイロット二次側油路20bの一端側が接続され、パイロット二次側油路20bの他端側は、2位置2ポート型の電磁比例弁8の出力側ポートに接続されている。電磁比例弁8の入力側ポートは、パイロット油ポンプ7からの圧油を供給するパイロット油路20が接続されている。
【0022】
次に、動力回生装置70について説明する。動力回生装置70は、図2に示すように、油路31と、分岐部32と、回生管路33と、制御弁管路34と、圧力センサ16と、コントローラ9と、インバータ13と、チョッパ14と、蓄電装置15と、電圧検出器17とを備えている。
【0023】
油路31は、ブームシリンダ3aの縮短時にタンク6Aに戻る油(戻り油)が流通する油路であり、ブームシリンダ3aのボトム側油圧室に接続されている。油路31には当該油路31を複数の油路に分流する分岐部32が設けられている。分岐部32には、回生管路33と、制御弁管路34とが接続されている。
【0024】
回生管路33は、パイロットチェック弁10と、このパイロットチェック弁10の下流側に設置され発電機12が接続された油圧モータ11を備えており、当該油圧モータ11を介してボトム側油圧室からの戻り油をタンク6Aに導いている。ブーム下げ時における戻り油を回生管路33に導入して油圧モータ11を回転させると発電機12が回転して回生電力を発生させ、その電力はインバータ13、昇圧のためのチョッパ14を介して蓄電装置15に蓄電される。なお、本実施の形態においては、蓄電装置15としてキャパシタを例に説明する。
【0025】
蓄電装置15の充電量であるSOC(State of Charge)の値は、コントローラ9に入力されている。蓄電装置15がキャパシタの場合、SOCの値は、キャパシタの電圧を検出することで確認することができる。本実施の形態においては、蓄電装置15に電圧検出器17を設け、この電圧検出器17が検出した信号をコントローラ9に入力している。
【0026】
パイロットチェック弁10は、回生管路33の漏れ防止など、油路31から回生管路33への不用意な圧油流入(ブーム落下)を防止するために設けられていて、通常は回生管路33を遮断している。
【0027】
パイロットチェック弁10には、オペレータによってブーム下げ操作が行われたときに操作装置4のパイロット弁5の下げ側パイロット圧Pbが導かれていて、ブーム下げ操作時における操作装置4の操作量が所定量に達したときに出力される操作信号(パイロット圧Pb)によって開くように設定されている。これにより操作装置4の操作量が所定値以上になったときに油圧モータ11に戻り油が供給されるようになっている。
【0028】
また、ブーム下げ操作時における油圧モータ11及び発電機12の回転数はインバータ13によって制御されている。このように油圧モータ11の回転数をインバータ13で制御すると油圧モータ11を通過する油の流量を調整できるので、ボトム側油圧室から回生管路33に流れる戻り油の流量を調整することができる。すなわち、本実施の形態におけるインバータ13は、回生管路33の流量を制御する流量制御手段として機能している。
【0029】
制御弁管路34は、流量調整手段である制御弁2(スプール型方向切換弁)を介してボトム側油圧室からの戻り油をタンク6Aに導いている。制御弁2における一方のパイロット受圧部2bにはブーム下げ操作時にパイロット油ポンプ7から電磁比例弁8を介して出力される操作信号(油圧信号)が入力されており、また、他方のパイロット受圧部2aにはブーム上げ操作時に操作装置4からのパイロット弁5の上げ側パイロット圧Paが入力されている。制御弁2のスプールは、これら2つのパイロット受圧部に入力される操作信号に応じて移動し、油圧ポンプ6からブームシリンダ3aに供給される圧油の方向及び流量を切り換える。
【0030】
電磁比例弁8は、ブーム下げ操作時における操作装置4の操作量に応じた操作信号を制御弁2のパイロット受圧部2bに出力するものであり、これによりボトム側油圧室から制御弁2を通過する戻り油の流量(すなわち、制御弁管路34を流れる戻り油の流量)を調整している。すなわち、本実施の形態における電磁比例弁8は、制御弁管路34の流量を制御する流量制御手段として機能している。
【0031】
本実施の形態における電磁比例弁8の入力ポートには、パイロット油ポンプ7から出力される圧油が入力されている。一方電磁比例弁8の操作部には、コントローラ9の後述する電磁比例弁出力値演算部104(図5参照)から出力される指令値が入力されている。この指令値に応じて電磁比例弁8のポート位置が調整され、これにより、パイロット油ポンプ7から制御弁2の受圧部2bに供給される圧油の圧力が適宜調整されている。
【0032】
コントローラ9は、圧力センサ16から操作装置4のパイロット弁5の下げ側パイロット圧Pbを、電圧検出器17から蓄電装置15のSOCの値をそれぞれ入力し、これらの入力値に応じた演算がなされ、電磁比例弁8及びインバータ13へ制御指令を出力することで、回生管路33と制御弁管路34とを通過する戻り油の流量を制御している。
【0033】
次に、操作装置4の操作による各部動作の概要を図2を用いて説明する。
まず、操作装置4の操作レバーをa方向に傾動操作すると、パイロット弁5から生成されるパイロット圧Paが制御弁2のパイロット受圧部2aに導かれ、制御弁2が切換操作される。これにより、油圧ポンプ6からの圧油がブームシリンダ3aの油路31に導かれ、ブームシリンダ3aは伸長動作する。これに伴い、ブームシリンダ3aのロッド側油室から排出される戻り流量は、油路30、制御弁2を通ってタンク6Aに導かれる。このとき、パイロットチェック弁10には操作圧力が導かれないので、回生管路33は遮断された状態となっており、回生動作は行われない。
【0034】
次に、操作装置4の操作レバーをb方向に傾動操作すると、パイロット弁5から生成されるパイロット圧Pbが圧力センサ16で検出されコントローラ9に入力される。コントローラ9では予め決められたテーブルにより、入力されたパイロット圧に応じて電磁比例弁8に制御指令を出力する。この結果、制御弁2のパイロット受圧部2bにパイロット圧が加わり、制御弁2が切換操作される。これにより、油圧ポンプ6からの圧油がブームシリンダ3aの油路30に導かれ、ブームシリンダ3aは縮小動作する。これに伴い、ブームシリンダ3aのボトム側油室から排出される戻り流量は、油路31、制御弁2を通ってタンク6Aに導かれる。
【0035】
このとき、パイロット弁5からパイロット圧Pbがパイロット二次側油路20cを介してパイロットチェック弁10に操作圧として導かれるため、パイロットチェック弁10が開動作する。これにより、ブームシリンダ3aのボトム側油室から排出される戻り流量の一部が油圧モータ11に導かれ、油圧モータ11に接続された発電機12が発電動作を行う。発電された電気エネルギは蓄電装置15に蓄電される。
【0036】
一方、コントローラ9は、入力されたパイロット圧Pbの信号、及びSOCの信号から状態を判断し、電磁比例弁8への指令値および発電機12の制御装置であるインバータ13への制御指令値を算出・出力する。この結果、ブーム下げ動作においてブームシリンダ3aのボトム側油室から排出される戻り流量が、制御弁2側(制御弁側流量)と回生用の油圧モータ11側(回生側流量)とに導かれるので、操作性を確保しつつ適切な回生動作が行われる。
【0037】
ここで、コントローラ9のパイロット圧Pbに基づくブームシリンダ3aのボトム側油室から排出される戻り流量の関係を図3を用いて説明する。図3は、本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラ内の特性選択回路が備える一のメータリング特性図である。
図3において、細い実線で示したメータリング線図は、操作装置4のレバー操作量と制御弁管路34側を流れる戻り油の流量(制御弁管路流量Q1)との関係を示したものであり、破線で示したメータリング線図は、操作装置4のレバー操作量と回生管路33側を流れる戻り油の流量(回生管路流量Q2)との関係を示したものである。また、太い実線で示したメータリング線図は、先の2つのメータリング線図を合成したものを示し、制御弁管路流量Q1と回生管路流量Q2の合計流量を示している。
【0038】
これらのメータリング線図が示すように、操作装置4のレバー操作量が第1設定値L1未満の場合(以下において「微操作域」と称することがある)には、合計流量は制御弁管路流量Q1と一致している。すなわち、このとき、ボトム側油圧室からの戻り油は全て制御弁管路34に流されるようになっており、回生管路33はパイロットチェック弁10によって閉じられている。
【0039】
また、操作装置4のレバー操作量が第2設定値L2(第1設定値よりも大きな値)以上の場合(以下において「フル回生域」と称することがある)には、合計流量は回生管路流量Q2と一致している。すなわち、このとき、ボトム側油圧室からの戻り油は全て回生管路33に流されるようになっており、制御弁管路34は制御弁2によって閉じられている。
【0040】
一方、操作量が第1設定値L1以上かつ第2設定値L2未満の場合(以下において「中間域」と称することがある)には、回生管路33と制御弁管路34の双方に戻り油が流されている。具体的には、操作装置4のレバー操作量が第1設定値L1から第2設定値L2まで増加する間に、制御弁管路流量Q1は第1設定値L1のときの合計流量q1からゼロに向かって漸減しつつ、回生管路流量Q2はゼロから第2設定値L2のときの合計流量q2に向かって漸増するように設定されている。
【0041】
次に、本実施の形態において、コントローラ9が実行する蓄電装置15のSOCの状態に応じて回生管路流量と制御弁管路流量とを変える方法について、図4を用いて概要を説明する。図4は本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャート図である。
まず、スタートの状態としては、例えば、オペレータが図示しない油圧ショベルのキーをONにした状態とする。
【0042】
ステップ(S1)では、ブーム下げレバー操作の有無を判断する。具体的には、圧力センサ16から入力されるパイロット圧Pbの信号の有無で判断する。ブーム下げレバー操作ありと判断されれば、ステップ(S2)へ進み、NOと判断された場合には、YESと判断されるまで繰り返される。
【0043】
ステップ(S2)では、SOCの値が設定されている値を超えているかどうかを判断する。具体的には、電圧検出器17から入力されるキャパシタ24の電圧値と予め設定された値との大小で判断する。SOCの値が設定されている値を超えていない場合にはNOと判断されてステップ(S3)へ進み、同様に超えている場合にはYESと判断されてステップ(S4)へ進む。
【0044】
ステップ(S3)では、予め定められた回生管路流量と制御弁管路流量との配分が保持される。
【0045】
ステップ(S4)では、予め定められた回生管路流量と制御弁管路流量との配分が変更される。具体的には、回生管路流量を減少させ、制御弁管路流量を増加させる。SOCが基準値を上回った場合、回生管路流量を減らすので、回生電力による蓄電装置15の過充電を防ぐことができる。
【0046】
なお、ステップ(S3)とステップ(S4)からは、ステップ(S1)に戻り、各ステップが繰り返される。
【0047】
次に、本実施の形態におけるコントローラ9の制御について図を用いて説明する。図5は本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態を構成するコントローラのブロック図、図6Aは本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラ内の特性選択回路を説明する他のメータリング特性図、図6Bは本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態におけるコントローラ内の特性選択回路を説明する更に他のメータリング特性図である。図5乃至図6Bにおいて、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0048】
図5に示すコントローラ9は、特性選択演算部100と、第1流量演算部102及び第2流量演算部101(流量演算手段)と、モータ指令値演算部103と、電磁比例弁出力値演算部104とを備えている。
【0049】
特性選択演算部100は、図5に示すように、電圧検出センサ17で検出される蓄電装置15であるキャパシタの電圧値からSOCを検出し、その検出したSOCと予め設定された設定値とを比較した結果により、メータリング特性を選択して出力するものである。
【0050】
図6Aは、予め設定された設定値よりSOCが低い場合、すなわち蓄電装置15の充電量が低い場合に選択されるメータリング特性を示している。このメータリング特性は、操作性が必要となる微操作域ではなるべく制御弁に流量を流すことで操作性を確保し、操作性がそれほど必要ではないフル回生域では回生側に多く流量を流し、回生制御を行うことを表している。
【0051】
図6Bは、SOCの値に応じて、図6Aで示した回生管路流量と制御弁管路流量との配分が変更されたメータリング特性が選択されることを示している。具体的には、SOCの値が上昇するに従い、制御弁管路流量を増加させて回生管路流量を減少させるように、予め決められた配分パターンのメータリング特性が選択されることを示している。すわなち、SOCの値が低い状態では配分パターンaが選択され、SOCの値が増加するにつれて配分パターンはb、c、dと切り替わって選択されることを示している。このように、SOCの値が増加するにつれて制御弁管路流量を増加させて回生管路流量を減少させるので、ブームシリンダ3aの戻り流量を変えずに回生量を抑えることが可能になる。
【0052】
図5に戻り、第1流量演算部102は、特性選択演算部100から出力されたメータリング線図とブーム下げ操作時における操作装置4の操作量に基づいて制御弁管路34側に流れる戻り油の流量Q1を演算する部分であり、第2流量演算部101は、特性選択演算部100から出力されたメータリング線図とブーム下げ操作時における操作装置4の操作量に基づいて回生管路33側を流れる戻り油の流量Q2を演算する部分である。
【0053】
第1流量演算部102及び第2流量演算部101には圧力センサ16の検出値が入力されており、第1流量演算部102及び第2流量演算部101は当該検出値に基づいて操作装置4の操作量を算出する。圧力センサ16の検出値に基づいて操作装置4の操作量を算出したら、当該算出した操作量に対応する流量Q1,Q2を特性選択演算部100から出力されたメータリング線図に基づいて算出し、各回路33,34の目標流量として設定する。第1流量演算部102は算出した制御弁管路流量Q1を電磁比例弁出力値演算部104に出力し、第2流量演算部101は算出した回生管路流量Q2をモータ指令値演算部103に出力する。
【0054】
モータ指令値演算部103は、第2流量演算部101で演算された回生管路流量Q2を回生管路33の油圧モータ11で吸い込むために必要な油圧モータ11の回転数を演算し、油圧モータ11を当該演算した回転数で回転させるための回転数指令値をインバータ13に出力する部分である。モータ指令値演算部103で演算された回転数指令値を入力したインバータ13は当該回転数指令値に基づいて油圧モータ11及び発電機12を回転させ、これにより回生管路33には第2流量演算部101で演算された流量の戻り油が流れる。
【0055】
電磁比例弁出力値演算部104は、第1流量演算部102で演算された制御弁管路流量Q1を制御弁管路34の制御弁2に通過させるために必要な電磁比例弁8の出力値(すなわち、電磁比例弁8から制御弁2のパイロット受圧部2bに出力される油圧信号の圧力(パイロット圧))を演算し、当該演算した出力値を電磁比例弁8から出力させるための指令値を電磁比例弁8に出力する部分である。電磁比例弁出力値演算部104で演算された出力値を入力した電磁比例弁8は当該出力値に基づいて操作信号を制御弁2に出力し、これにより制御弁管路34には第1流量演算部102で演算された流量の戻り油が流れる。
【0056】
次に、本実施の形態におけるブーム下げ操作がなされたときの各部動作について説明する。
ブーム1aの下げ操作が行われると、操作装置4のパイロット弁5のパイロット圧Pbが、圧力センサ16により検出され、コントローラ9に入力されている。このパイロット圧Pbは、操作装置4のレバー操作量として第1流量演算部102及び第2流量演算部101に入力される。
【0057】
一方、SOC信号は、蓄電装置15であるキャパシタの電圧値が電圧検出センサ17で常時検出され、コントローラ9に入力されている。このSOC信号は、特性選択演算部100に入力されている。特性選択演算部100では、SOCが低い場合、すなわち蓄電装置15の充電量が低い場合に、なるべく回生側に流量を流し、制御弁側の流量を抑えるようなメータリング特性が選択され、第1流量演算部102及び第2流量演算部101に出力されている。
【0058】
ここで、検出しているSOC信号が増加した場合には、特性選択演算部100において、回生管路流量を抑え、制御弁管路流量を増加させるようなメータリング特性が選択されることになる。このことにより、第1流量演算部102及び第2流量演算部101に出力されるメータリング特性が変更される。
【0059】
第1流量演算部102及び第2流量演算部101では、操作装置4のレバー操作量に応じた制御弁管路流量Q1と回生管路流量Q2とが出力され、電磁比例弁出力値演算部104、モータ指令値演算部103で、電磁比例弁8及びインバータ13への制御指令が演算され出力される。
【0060】
上述した本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態によれば、蓄電装置15の容量を増加させることなく、蓄電装置15の過充電を防止することができる。この結果、生産性の向上が図れる。
【0061】
また、上述した本発明の作業機械の動力回生装置の一実施の形態によれば、操作装置4の操作量、SOCの状態に応じて回生管路流量を抑えるため、蓄電装置15の過充電を防ぐことが可能となると共に、蓄電装置15の容量を小さくすることができる。また、制御弁管路流量も変更できるので、オペレータが望むブーム下げ速度も確保することができる。
【0062】
次に、本発明の作業機械の動力回生装置の他の実施の形態について図7を用いて説明する。図7は本発明の作業機械の動力回生装置の他の実施の形態を構成するコントローラのブロック図である。なお、図7において、図1乃至図6Bに示す符号と同符号のものは同一部分又は相当する部分であるので、その部分の説明を省略する。
上述した一実施の形態においては、コントローラ9の特性選択演算部100が、SOC信号に応じて選択したメータリング特性を出力し、このメータリング特性を基に第1流量演算部102及び第2流量演算部101が制御弁管路流量Q1と回生管路流量Q2とを算出し、これら流量を実現させるためにコントローラ9から電磁比例弁8やインバータ13へ制御指令を出力している。このため、ブーム下げの動作中に、例えばSOCの値が変化すると、選択されていたメータリング特性が変化し、操作性の急変を招く可能性がある。本実施の形態においては、SOCの値が変化しても、操作性を急変させない作業機械の動力回生装置を提供する。
【0063】
図7に示すコントローラ9は、補正信号演算部120と、第1流量演算部112及び第2流量演算部111(流量演算手段)と、乗算器113と、減算器114と、加算器115と、モータ指令値演算部103と、電磁比例弁出力値演算部104とを備えている。
【0064】
第1流量演算部112は、図3に示すメータリング線図の制御弁管路流量特性が予め設定されていて、ブーム下げ操作時における操作装置4の操作量を入力して、制御弁管路34側に流れる戻り油の流量Q1’を演算し、加算器115へ出力する。第2流量演算部111は、図3に示すメータリング線図の回生管路流量特性が予め設定されていて、ブーム下げ操作時における操作装置4の操作量に基づく回生管路33側に流れる戻り油の流量Q2’を演算し、乗算器113と減算器114へ出力する。
【0065】
補正信号演算部120は、図7に示すように、電圧検出センサ17で検出される蓄電装置15であるキャパシタの電圧値からSOCを検出し、その検出したSOCに応じて予め設定された補正信号を演算し、乗算器113へ出力する。この補正信号により第2流量演算部111の流量出力Q2’が補正される。補正信号演算部120の出力の最大値は1であり、SOCが低い状態では、1の信号を出力し続け、乗算器113で第2流量演算部111の流量値Q2’に乗算される。つまりSOCが低い状態では、第2流量演算部111の出力信号Q2’は、そのまま、モータ指令値演算部103の入力値Q2となる。
【0066】
一方、SOC信号が増加して所定の値以上になると、補正信号演算部120の出力は0を下限値として、1より小さい値を出力する。これにより、第2流量演算部111の出力信号Q2’は乗算器113の出力において、無段階に減少補正されるので、回生流量を抑えることができる。
【0067】
減算器114と加算器115とは、回生流量を減少させた分、制御弁流量を増やす演算を行うものである。減算器114は、乗算器113の出力と第2流量演算部111の出力とを入力し、出力信号を加算器115へ入力している。減算器114は、第2流量演算部111の補正前と補正後の流量差を演算するものであり、加算器115は、減算器114で演算された流量差を第1流量演算部112の出力に加算し、制御弁側流量を増やす演算を行う。これにより、第2流量演算部111と第1流量演算部112の出力の合計は変わらないため、所望するブームシリンダ3aのボトム流量を確保することができる。
【0068】
加算器115は算出した制御弁管路流量Q1を電磁比例弁出力値演算部104に出力し、乗算器113は算出した回生管路流量Q2をモータ指令値演算部103に出力する。
【0069】
次に、本実施の形態におけるブーム下げ操作がなされたときの各部動作について説明する。
ブーム1aの下げ操作が行われると、操作装置4のパイロット弁5のパイロット圧Pbが、圧力センサ16により検出され、コントローラ9に入力されている。このパイロット圧Pbは、操作装置4のレバー操作量として第1流量演算部112及び第2流量演算部111に入力され、レバー操作量に応じた流量信号が第1流量演算部112及び第2流量演算部111から出力される。
【0070】
一方、SOC信号は、補正信号演算部120に入力され、SOCの状態により補正信号演算部120から回生側流量である第2流量演算部111の流量値Q2’を補正する信号が出力されている。補正信号演算部120の出力信号は、SOCの状態に応じて連続的に変化するため、第2流量演算部111の出力補正値Q2も連続的に変化する。
【0071】
減算器114及び加算器115では、回生側流量の減少分が制御弁側流量に加算される。これにより、第2流量演算部111と第1流量演算部112の出力の合計は変化しないため、所望するブームシリンダ3aのボトム流量を確保することができる。
【0072】
第2流量演算部111と第1流量演算部112の出力値は、上述したように補正され、制御弁管路流量Q1と回生管路流量Q2とが生成される。それぞれの目標流量が入力される電磁比例弁出力値演算部104、モータ指令値演算部103で、電磁比例弁8及びインバータ13への制御指令が演算され出力される。
【0073】
上述した本発明の作業機械の動力回生装置の他の実施の形態によれば、蓄電装置15の容量を増加させることなく、蓄電装置15の過充電を防止することができる。この結果、生産性の向上が図れる。
【0074】
また、上述した本発明の作業機械の動力回生装置の他の実施の形態によれば、SOCの状態に応じて回生側流量を連続的に変化させることが可能であるため、操作性の急変を防ぎ、オペレータの望む良好な動作を確保することができる。
【0075】
次に、本発明の作業機械の動力回生装置の更に他の実施の形態について図8を用いて説明する。図8は本発明の作業機械の動力回生装置の更に他の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャート図である。なお、図8において、図1乃至図7に示す符号と同符号のものは同一部分又は相当する部分であるので、その部分の説明を省略する。
まず、スタートの状態としては、例えば、オペレータが図示しない油圧ショベルのキーをONにした状態とする。
【0076】
ステップ(S101)では、ブーム下げレバー操作の有無を判断する。具体的には、圧力センサ16から入力されるパイロット圧Pbの信号の有無で判断する。ブーム下げレバー操作なしと判断されれば、ステップ(S102)へ進み、YESと判断された場合には、ステップ(S105)へ進む。
【0077】
ステップ(S102)では、SOCの値が設定されている値を超えているかどうかを判断する。具体的には、電圧検出器17から入力されるキャパシタ24の電圧値と予め設定された値との大小で判断する。SOCの値が設定されている値を超えていない場合にはNOと判断されてステップ(S103)へ進み、同様に超えている場合にはYESと判断されてステップ(S104)へ進む。
【0078】
ステップ(S103)では、予め定められた回生管路流量と制御弁管路流量との設定を変えずに配分パターンが保持される。この配分パターンは、例えば、図6Bの配分パターンaの場合であり、回生側流量をなるべく増加させることを示している。
【0079】
ステップ(S104)では、予め定められた回生管路流量と制御弁管路流量との配分が変更される。具体的には、回生管路流量を減少させ、制御弁管路流量を増加させるように設定し、配分パターンを保持する。この配分パターンは、例えば、図6Bの配分パターンb,c,dの場合であり、SOCが基準値を上回った場合、回生管路流量を減らすので、回生電力による蓄電装置15の過充電を防ぐことができる。
【0080】
ステップ(S105)では、ステップ(S101)でブーム下げレバー操作があった場合であり、この場合、ステップ(S103)またはステップ(S104)で設定された配分パターンを保持する。
【0081】
なお、ステップ(S103)とステップ(S104)からは、ステップ(S101)に戻り、各ステップが繰り返される。
【0082】
上述した本発明の作業機械の動力回生装置の更に他の実施の形態によれば、蓄電装置15の容量を増加させることなく、蓄電装置15の過充電を防止することができる。
【0083】
また、上述した本発明の作業機械の動力回生装置の更に他の実施の形態によれば、レバー操作信号が入力されている間、すなわちブーム下げ動作中には流量の配分を変えないため、操作性の急変を防ぎ、オペレータの望む良好な動作を確保することができる。
【0084】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、コントローラ9において4つの配分パターンを有する特性選択演算部100を例に説明したが、これに限るものではない。配分パターンをさらに増加させることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 油圧ショベル
1a ブーム
2 制御弁
2a パイロット受圧部
2b パイロット受圧部
3a ブームシリンダ
4 操作装置
5A コントロールバルブ
6 油圧ポンプ
6A タンク
7 パイロット油ポンプ
8 比例電磁弁
9 コントローラ
10 パイロットチェック弁
11 油圧モータ
12 発電機
13 インバータ
14 チョッパ
15 蓄電装置(キャパシタ)
16 圧力センサ
17 電圧検出器
20a パイロット油路
20b パイロット油路
20c パイロット油路
30 油路
31 油路
32 分岐部
33 回生管路
34 流量調整回路
50 エンジン
100 特性選択演算部
101 第2流量演算部
102 第1流量演算部
103 モータ指令値演算部
104 電磁比例弁出力値演算部
111 第2流量演算部
112 第1流量演算部
120 補正信号演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダに切換え供給する制御弁と、前記制御弁を制御する操作装置とを備える作業機械の動力回生装置において、
前記油圧シリンダのボトム側油圧室に接続され当該油圧シリンダの縮短時にタンクに戻る戻り油が流通する油路と、
前記油路に設けられ当該油路を複数の油路に分流する分岐部と、
前記分岐部に接続され、発電機が接続された油圧モータを介して戻り油をタンクに導く回生管路と、
前記分岐部に接続され、前記制御弁を介して戻り油をタンクに導く制御弁管路と、
前記操作装置の操作量を検出する操作量検出手段と、
前記発電機によって発電された電力を蓄える蓄電装置と、
前記蓄電装置の充電量を検出する充電量検出手段と、
前記充電量検出手段からの充電量信号に応じて、前記回生管路側を流れる戻り油の流量及び前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量をそれぞれ演算する流量演算手段と、
前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記回生管路の流量を制御する第1流量制御手段と、
前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記制御弁管路の流量を制御する第2流量制御手段とを備える
ことを特徴とする作業機械の動力回生装置。
【請求項2】
エンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダに切換え供給する制御弁と、前記制御弁を制御する操作装置とを備える作業機械の動力回生装置において、
前記油圧シリンダのボトム側油圧室に接続され当該油圧シリンダの縮短時にタンクに戻る戻り油が流通する油路と、
前記油路に設けられ当該油路を複数の油路に分流する分岐部と、
前記分岐部に接続され、発電機が接続された油圧モータを介して戻り油をタンクに導く回生管路と、
前記分岐部に接続され、前記制御弁を介して戻り油をタンクに導く制御弁管路と、
前記操作装置の操作量を検出する操作量検出手段と、
前記発電機によって発電された電力を蓄える蓄電装置と、
前記蓄電装置の充電量を検出する充電量検出手段と、
前記油圧シリンダが縮短される場合における前記操作装置の操作量に対する前記油圧シリンダからのメータアウト流量の複数の特性が記憶されると共に、前記充電量検出手段からの充電量信号が入力され、前記充電量信号に応じて前記記憶されたメータアウト流量の複数の特性のいずれか1つを出力する特性選択手段と、
前記特性選択手段により出力された操作量とメータアウト流量との関係及び前記操作量検出手段で検出される前記操作量に基づいて、前記回生管路側を流れる戻り油の流量及び前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量をそれぞれ演算する流量演算手段と、
前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記回生管路の流量を制御する第1流量制御手段と、
前記流量演算手段の演算結果に基づいて前記制御弁管路の流量を制御する第2流量制御手段とを備える
ことを特徴とする作業機械の動力回生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の作業機械の動力回生装置において、
前記流量演算手段は、前記操作装置における下げ操作信号が検出されている間は、前記回生管路側を流れる戻り油の流量と前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量との配分特性を固定化させている
ことを特徴とする作業機械の動力回生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械の動力回生装置において、
前記流量演算手段は、前記油圧シリンダが縮短される場合における前記操作装置の操作量に対する前記油圧シリンダからのメータアウト流量の特性が記憶されると共に、前記操作量検出手段からの操作量信号が入力され、前記操作量信号に応じて前記記憶されたメータアウト流量の特性から、前記回生管路側を流れる戻り油の流量を演算する第1流量演算手段と、
前記油圧シリンダが縮短される場合における前記操作装置の操作量に対する前記油圧シリンダからのメータアウト流量の特性が記憶されると共に、前記操作量検出手段からの操作量信号が入力され、前記操作量信号に応じて前記記憶されたメータアウト流量の特性から、前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量を演算する第2流量演算手段と、
前記充電量検出手段からの充電量信号が入力され、前記充電量信号に応じて補正特性を演算する補正信号演算手段とを備え、
前記補正信号演算手段からの補正信号により、前記第1流量演算手段の出力信号と前記第2流量演算手段の出力信号とが補正される
ことを特徴とする作業機械の動力回生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械の動力回生装置において、
前記制御弁管路側を流れる戻り油の流量を制御する為に、前記制御弁へのパイロット圧を制御する電磁比例弁を設けた
ことを特徴とする作業機械の動力回生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−61044(P2013−61044A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201176(P2011−201176)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】