説明

作業機械の油圧システム

【課題】配管破断制御弁を備えた作業機械の油圧システムにおいて、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブの本来の機能を低下させることなく、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業では従来よりも高い負荷圧を保持できるようにする。
【解決手段】圧力センサ48,50は、操作レバー装置16が操作されているか否かを検出し、コントローラ42、電磁弁43及び小リリーフバルブ67のリリーフ設定圧調整部67aは、検出信号に基づいて、操作レバー装置16が操作されているときは小リリーフバルブ67のセット圧力として通常の第1圧力を設定し、操作されていないときは小リリーフバルブ67のセット圧力を前記第1圧力よりも高い第2圧力に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の油圧機械に設けられ、シリンダ用ホースまたは鋼管の破断時に負荷の落下を防止する配管破断制御弁(ホースラプチャバルブ)を備えた油圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧機械、例えば油圧ショベルにおいては、アーム等の負荷を駆動するアクチュエータである油圧シリンダに圧油を輸送するホースまたは鋼管が万一破損した場合でも、負荷の落下を防止できるようにしたいというニーズがあり、このようなニーズに対してホースラプチャバルブと呼ばれる配管破断制御弁が設けられている。
【0003】
配管破断制御弁の従来技術として、例えば、特許文献1及び2に記載のものがある。これらの従来技術の配管破断制御弁は、シリンダ接続室と配管接続室との間を遮断及び連通させる主弁としてのポペット弁体と、このポペット弁体の背圧室と配管接続室との間を接続するパイロット通路にパイロット弁としてのスプール弁体とを有している。通常動作時は外部信号(手動パイロット弁のパイロット圧力)によりパイロット弁としてのスプール弁体を作動することで主弁としてのポペット弁体を開け、油圧シリンダからの作動油を排出できるようにするとともに、油圧配管の破断時は主弁としてのポペット弁体が遮断位置を保持し、ロードチェック弁として機能することで油圧シリンダからの作動油の流出を防止し、ブーム、アーム等の負荷の落下を防止できるようにしている。また、主弁としてのポペット弁体は、油圧シリンダに高負荷が作用する作業時にも、ロードチェック弁として機能し、油圧シリンダの負荷圧を保持する状態でリーク量を減少させ、ブーム、アーム等の降下を防止している。
【0004】
また、配管破断制御弁はシリンダ接続室側にオーバーロードリリーフバルブを備え、作業時に油圧シリンダのボトム側に過大な負荷が作用してボトム側の負荷圧が高くなり、配管破断制御弁のシリンダ接続室が高圧となった場合に圧油を排出して、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−187903号公報
【特許文献2】特開2004−60821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題がある。
【0007】
油圧シリンダの負荷圧を保持する作業として吊り荷作業がある。この吊り荷作業は、バケット背部に取り付けたフックに吊り荷を引っかけてブーム上げを行い、吊り荷を所定高さまで持ち上げてその状態(高さ位置)を保持する作業である。この吊り荷作業では、吊り荷の負荷がブーム用油圧シリンダのボトム側に作用するため、ブーム用油圧シリンダのボトム側に高圧の負荷圧が発生する。前述したように、配管破断制御弁の主弁としてのポペット弁体は、その場合にロードチェック弁として機能し、油圧シリンダのボトム側の負荷圧を保持する状態でリーク量を減少させ、ブームの降下(吊り荷の降下)を防止する。
【0008】
吊り荷作業では、吊り荷の荷重(重量)が増加するに従いブームシリンダのボトム側に作用する負荷が増大し、負荷圧が上昇する。このボトム側の最大の負荷圧は配管破断制御弁に設けられたオーバーロードリリーフバルブによって制限される。すなわち、油圧シリンダのボトム側の負荷圧が高くなり過ぎると、オーバーロードリリーフバルブは開弁し、作動油をタンク側に流してそれ以上の圧力上昇が防止される。また、その結果、それ以上の負荷圧を生じる荷重を持ち上げて保持することはできない。
【0009】
オーバーロードリリーフバルブを含めリリーフバルブには、一般に、オーバーライド特性による前漏れがある。その前漏れ開始圧力はリリーフ弁のセット圧力よりも低い。吊り荷作業で荷物を吊り上げるとき(ブームシリンダの動作時)、ブームシリンダへの圧油の供給圧力はオーバーロードリリーフバルブのセット圧力まで上昇することができるため、セット圧力相当の負荷圧を生じる荷重まで吊り上げることができる。しかし、セット圧力相当の負荷圧を保持する場合は、前漏れ開始圧力がセット圧力より低いため、ブームシリンダのボトム側の圧油が前漏れによりリークしてブームが降下し、吊り荷の保持状態を維持し続けられなくなる。その結果、オーバーロードリリーフバルブの前漏れ開始圧力相当の荷重より重いものは吊り上げることができず、吊り荷の最大荷重がオーバーロードリリーフバルブのセット圧力よりも低い前漏れ開始圧力相当の重量に制限される。
【0010】
吊り荷の最大荷重を増加させる方法として、オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を高くすることで前漏れ開始圧力を高くし、保持できる負荷圧を高くすることが考えられる。しかし、その場合は、重負荷作業時にシリンダ接続室の圧力がセット圧力まで上昇してしまうため、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブの本来の機能が低下してしまう。
【0011】
本発明の目的は、配管破断制御弁を備えた作業機械の油圧システムにおいて、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブの本来の機能を低下させることなく、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業では従来よりも高い負荷圧を保持することができる作業機械の油圧システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数のコントロールバルブと、前記複数の油圧アクチュエータに対応して設けられ、前記複数のコントロールバルブをそれぞれ操作する複数の操作手段とを備え、前記複数の油圧アクチュエータは、前記複数のコントロールバルブの対応するものに第1及び第2油圧配管を介して接続された第1及び第2の2つのシリンダ室を有し、かつその第1及び第2のシリンダ室のうち前記第1油圧配管に接続される第1シリンダ室に被駆動部材の自重が作用する少なくとも1つの油圧シリンダを含む作業機械の油圧システムにおいて、前記油圧シリンダのシリンダ本体に取り付けられ、前記複数の操作手段のうちの対応する操作手段からの操作信号に応じて前記第1シリンダ室から前記第1油圧配管に流出する圧油の流量を制御する配管破断制御弁と、前記配管破断制御弁に設けられ、前記給排ポートに接続される前記配管破断制御弁のシリンダ接続室内の異常圧を開放する可変オーバーロードリリーフバルブと、前記複数の操作手段が操作されているか否かを検出する操作検出手段と、前記操作検出手段の検出信号に基づいて前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を変更するセット圧力変更制御手段とを備え、前記セット圧力変更制御手段は、前記複数の操作手段のいずれかが操作されているときは前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力として通常の第1圧力を設定し、前記複数の操作手段のいずれも操作されていないときは前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力よりも高い第2圧力に変更するものとする。
【0013】
このように構成された本発明においては、何らかの作業を行っている最中は、複数の操作手段のいずれかが操作されているため、可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力は通常の第1圧力に設定され、油圧シリンダの第1シリンダ室に過大な負荷が作用し、第1シリンダ室の負荷圧が高圧になる場合は、可変オーバーロードリリーフバルブが開弁して圧油を排出し、それ以上の圧力上昇を防止し、内部機器の破損を防止する。一方、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業で、他のアクチュエータも操作されていない場合は、複数の操作手段のいずれも操作されていない状態となるため、可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力は第1圧力よりも高い第2圧力に変更され、保持する負荷圧が第1圧力のセット圧力相当の負荷圧であったとしても、前漏れによりオーバーロードリリーフバルブから圧油がリークすることはなく、その高負荷圧を保持することができる。このように本発明は、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブの本来の機能を低下させることなく、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業では従来よりも高い負荷圧を保持することができる。
【0014】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記セット圧力変更制御手段は、前記複数の操作手段のうち前記油圧シリンダに対応する操作手段が操作状態から非操作状態に切り換わったときは、所定時間経過するまでは、前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力に維持し、所定時間経過後で、かつ前記複数の操作手段のいずれも操作されていないときは、前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に変更する。
【0015】
これにより油圧シリンダの被駆動部材を停止直後においても、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブの本来の機能を発揮させることができ、かつ油圧シリンダの負荷圧を保持する作業に際しては従来よりも高い負荷圧を保持することができる。
【0016】
すなわち、油圧シリンダに高負荷圧が作用する場合として下記の2通りがある。
(a)当該油圧シリンダ以外のアクチュエータを駆動して行う作業中に、車体の振動や揺れが発生したり、当該油圧シリンダの被駆動部材に物が当たるなどして当該油圧シリンダに負荷が作用する場合。
(b)当該油圧シリンダの被駆動部材を停止時に被駆動部材の慣性により当該油圧シリンダに負荷が作用する場合。
【0017】
上記(a)の場合は、複数の操作手段のいずれかが操作されている場合であるため、上記(1)で述べたように、可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力は通常の第1圧力に設定され、オーバーロードリリーフバルブは本来の機能を発揮し、高負荷圧による内部機器の破損を防止することができる。
【0018】
上記(b)の場合は、もし、油圧シリンダの被駆動部材を停止時に直ちに可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を第1圧力から第2圧力に変更すると、油圧シリンダの負荷圧は第2圧力のセット圧力まで上昇し、配管破断制御弁の内部機器を破損するおそれがある。
【0019】
本発明においては、上記(b)の場合で、他のアクチュエータが操作されていないときは、所定時間経過するまでは、可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力は通常の第1圧力に維持されるため、オーバーロードリリーフバルブは本来の機能を発揮し、高負荷圧による内部機器の破損を防止することができる。
【0020】
(3)また、上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記油圧シリンダの前記第1シリンダ室の負荷圧を検出する圧力センサを更に備え、前記セット圧力変更制御手段は、前記操作検出手段の検出信号と前記圧力センサの検出信号に基づいて、前記複数の操作手段が操作されておらずかつ前記被駆動部材の自重が作用する前記第1シリンダ室の負荷圧が所定圧力より高いときにのみ、前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に変更する。
【0021】
これにより複数の操作手段が操作されておらず、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業を行っている場合であっても、第1シリンダ室の負荷圧が軽く所定圧力以下であるときは、可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力は第2圧力に変更されないため、可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力変える手段の不要な動作を防止し、可変オーバーロードリリーフバルブの寿命を長くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、配管破断制御弁を備えた作業機械の油圧システムにおいて、配管破断制御弁の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブの本来の機能を低下させることなく、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業では従来よりも高い負荷圧を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0024】
〜第1の実施の形態〜
<全体構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態による配管破断制御弁を備えた油圧システムの全体構成図である。
【0025】
本実施の形態に係わる油圧システムは、原動機例えばディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)1と、このエンジン1によって駆動される可変容量型の複数の油圧ポンプ(メインポンプ)、例えば第1及び第2油圧ポンプ2,3と、第1及び第2油圧ポンプ2,3から吐出される圧油の最大圧力(油圧供給回路の最大圧力)を決定するメインのリリーフバルブ4と、第1油圧ポンプ2から吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータ5,6及び第2油圧ポンプ3から吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータ7,8を含む複数の油圧アクチュエータと、第1油圧ポンプ2から油圧アクチュエータ5,6に供給される圧油の流量及び方向を制御するコントロールバルブ11,12及び第2油圧ポンプ3から油圧アクチュエータ7,8に供給される圧油の流れ(流量及び方向)を制御するコントロールバルブ13,14を含む複数のコントロールバルブと、エンジン1によって駆動されるパイロットポンプ15と、パイロットポンプ15からの吐出油に基づいてコントロールバルブ11〜14を操作するための制御パイロット圧力を生成する操作レバー装置16〜19を含む複数の操作レバー装置とを備えている。
【0026】
コントロールバルブ11〜14はセンタバイパスタイプであり、コントロールバルブ11,12はセンタバイパスライン21上に配置され、コントロールバルブ13,14はセンタバイパスライン22上に配置されている。センタバイパスライン21の上流側は第1油圧ポンプ2の吐出油路2aに接続され、下流側はタンクTに接続され、センタバイパスライン22の上流側は第2油圧ポンプ3の吐出油路3aに接続され、下流側はタンクTに接続されている。また、コントロールバルブ11,12は第1油圧ポンプ2の吐出油路2aにパラレルに接続され、油圧アクチュエータ5,6とともに第1油圧回路を構成している。コントロールバルブ13,14は第2油圧ポンプ3の吐出油路3aにパラレルに接続され、油圧アクチュエータ7,8とともに第2油圧回路を構成している。
【0027】
油圧アクチュエータ5は油圧ショベルのブームを上下させる油圧シリンダ(ブームシリンダ)であり、油圧アクチュエータ6は同アームを押し引きする油圧シリンダ(アームシリンダ)であり、油圧アクチュエータ7は同上部旋回体を旋回させる油圧モータ(旋回モータ)であり、油圧アクチュエータ8は同バケットを押し引きする油圧シリンダ(バケットシリンダ)である。コントロールバルブ11,12はそれぞれブーム用及びアーム用であり、コントロールバルブ13,14はそれぞれ旋回用及びバケット用であり、操作レバー装置16はブーム用であり、操作レバー装置17はアーム用であり、操作レバー装置18は旋回用であり、操作レバー装置19はバケット用である。
【0028】
操作レバー装置16は操作レバーの操作方向に応じてブーム上げ指令の操作パイロット圧力PB1又はブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2を生成し、コントロールバルブ11はその操作パイロット圧力PB1又はPB2によりブーム上げ方向(図示右方向)又はブーム下げ方向(図示左方向)に切り換えられる。操作レバー装置17は操作レバーの操作方向に応じてアームクラウド(アーム引き)指令の操作パイロット圧力PA1又はアームダンプ(アーム押し)指令の操作パイロット圧力PA2を生成し、コントロールバルブ12はその操作パイロット圧力PA1又はPA2によりアームクラウド方向(図示左方向)又はアームダンプ方向(図示右方向)に切り換えられる。操作レバー装置18は操作レバーの操作方向に応じて旋回右指令の操作パイロット圧力PS1又は旋回左指令の操作パイロット圧力PS2を生成し、コントロールバルブ13はその操作パイロット圧力PS1又はPS2により旋回右方向(図示左方向)又は旋回左方向(図示右方向)に切り換えられる。操作レバー装置19は操作レバーの操作方向に応じてバケットクラウド(バケット引き)指令の操作パイロット圧力PW1又はバケットダンプ(バケット押し)指令の操作パイロット圧力PW2を生成し、コントロールバルブ14はその操作パイロット圧力PW1又はPW2によりバケットクラウド方向(図示左方向)又はバケットダンプ方向(図示右方向)に切り換えられる。
【0029】
ブームシリンダ5は対応するコントロールバルブ11に第1及び第2アクチュエータライン(油圧配管)31,32を介して接続され、第1及び第2アクチュエータライン31,32にはブームシリンダ5の駆動圧(負荷圧)の最大圧力を規制するオーバーロードリリーフバルブ33a,33bが設けられている。アームシリンダ6、旋回モータ7、バケットシリンダ8も同様にアクチュエータライン(符号省略)を介して接続され、これらアクチュエータラインには図示しないオーバーロードリリーフバルブが設けられている。
【0030】
ブームシリンダ5はボトム側及びロッド側の2つのシリンダ室(第1及び第2シリンダ室)5a,5bを有し、ボトム側シリンダ室5aがアクチュエータライン31に接続され、ロッド側シリンダ室5bがアクチュエータライン32に接続されている。ボトム側シリンダ室5aは被駆動部材であるブームの自重が作用するシリンダ室である(後述)。
【0031】
また、本実施の形態の油圧システムは、ブームシリンダ5のシリンダ本体(外筒)に取り付けられ、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2に応じてボトム側シリンダ室5aからアクチュエータライン32に流出する圧油の流量を制御するブーム用の配管破断制御弁40と、操作レバー装置16〜19が操作されているか否かを検出する操作検出装置41と、操作検出装置41の検出信号に基づいて配管破断制御弁40に内蔵される可変オーバーロードリリーフバルブ(後述)のセット圧力を変更するコントローラ42及び電磁弁43(セット圧力変更制御手段)とを備えている。電磁弁43の出力ポートは制御ライン44を介して配管破断制御弁40に接続されている。
【0032】
操作検出装置41は、操作レバー装置16〜19が生成した操作パイロット圧力のうちの最も圧力の高い操作パイロット圧力PXmaxを選択して出力するシャトル弁45a〜45c,46a〜46c,47と、シャトル弁45a〜45c,46a〜46c,47の最上段のシャトル弁47に接続され、選択された操作パイロット圧力PXmaxを検出する圧力センサ48と、操作レバー装置16のブーム下げ指令側のパイロットライン49に接続され、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2を検出する圧力センサ50とを有している。
【0033】
コントローラ42は圧力センサ48,50の検出信号を入力して所定の演算処理を行い、電磁弁43にON/OFFの制御信号(電気信号)を出力する。電磁弁43はコントローラ42から出力された制御信号がOFFであるときは図示の位置にあり、制御ライン44をタンクTに連通する。このとき、制御ライン44の圧力(電磁弁43の出力圧)はタンク圧である。コントローラ42から出力される制御信号がOFFからONに切り換わると、電磁弁43は図示の位置から切り換わり、制御ライン44をパイロットポンプ15に連通させる。このとき、制御ライン44の圧力(電磁弁43の出力圧)はパイロットポンプ15の吐出圧、すなわちパイロット一次圧となる。このように電磁弁43はコントローラ42から出力される制御信号に応じて制御ライン44を介して配管破断制御弁40に導かれる制御圧力をタンク圧とパイロット一次圧とに切り換える。
<配管破断制御弁の詳細>
図2は配管破断制御弁40の詳細を、周囲の油圧回路を簡略化して示す図である。
【0034】
図2において、配管破断制御弁40は、2つの入出力ポート61,62を備えたハウジング63を有し、入出力ポート61は油圧シリンダ(ブームシリンダ)5のボトム側ポート(ボトム側シリンダ室5aの給排ポート)に連通し、入出力ポート62はアクチュエータライン32を介してコントロールバルブ11のアクチュエータポートの1つに接続されている。コントロールバルブ11のアクチュエータポートの他方はアクチュエータライン31を介してブームシリンダ5のロッド側ポート(ロッド側シリンダ室5bの給排ポート)に接続されている。ハウジング63内には、主弁としてのポペット弁体65と、外部信号である操作レバー装置16からのブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2によって作動しポペット弁体65を作動させるパイロット弁としてのスプール弁体66と、オーバーロードリリーフバルブの機能を有する小リリーフバルブ67とが設けられている。
【0035】
ハウジング63内には、また、入出力ポート61に接続されるシリンダ接続室68、入出力ポート62に接続される配管接続室69、背圧室70が設けられ、主弁としてのポペット弁体65は背圧室70の圧力を背面で受け、シリンダ接続室68と配管接続室69との間を遮断及び連通しかつ移動量に応じて開口面積を変化させるようハウジング63内に摺動自在に配置されている。ポペット弁体65には、ポペット弁体65の移動量に応じて開口面積を増大させ、その開口面積に応じてシリンダ接続室68から背圧室70へ流出するパイロット流量の通過量を制御するフィードバック可変絞り通路としてのフィードハックスリット71が設けられている。背圧室70内にはポペット弁体65を図示の遮断位置に保持するバネ73が配設されている。
【0036】
ハウジング63内には更にパイロット通路75a,75bが形成され、背圧室70と配管接続室69はパイロット通路75aとスプール弁体66とパイロット通路75bを介して接続されている。スプール弁体66はパイロット通路75a,75bを連通可能なパイロット可変絞り部66aを有し、スプール弁体66の閉弁方向作動端部にはパイロット可変絞り部66aの初期開弁力を設定するバネ76が設けられ、スプール弁体66の開弁方向作動端部には上記外部信号である操作パイロット圧力PB2がパイロットライン80を介して導かれる受圧室77が設けられ、この受圧室77に導かれる操作パイロット圧力PB2による制御力とバネ76の付勢力とによってスプール弁体66の移動量が決定され、この移動量に応じてパイロット可変絞り部66aの開口面積が変化し、パイロット通路75a,75bを流れるパイロット流量を遮断及び制御する。バネ76が配置されるスプール弁体端部はスプール弁体66の動きをスムーズにするためドレン通路81及びドレンライン82(図1)を介してタンクTに接続されている。
【0037】
ハウジング63内には、また、サブ通路75cが形成され、シリンダ接続室68と配管接続室69はサブ通路75cとスプール弁体66とパイロット通路75bを介して接続されている。スプール弁体66は、小流量域の流量を制御する補助弁としてのスプール弁体を兼ねており、そのためにスプール弁体66はサブ通路75cとパイロット通路65bを連通可能なサブ可変絞り部66bを更に有し、スプール弁体66の移動量に応じてサブ可変絞り部66bの開口面積が変化し、サブ通路75cとパイロット通路75bを流れるサブ流量を遮断及び制御する。
【0038】
ハウジング3内には、また、小リリーフバルブ67の入側に位置するリリーフ通路75eと出側に位置するドレン通路75fとが設けられ、リリーフ通路75eはシリンダ接続室68に接続され、ドレン通路75fはドレン通路83及びドレンライン82を介してタンクTに接続されている。また、ドレン通路75fには圧力発生手段である絞り(固定絞り)84が設けられ、小リリーフバルブ67と絞り84との間から信号通路85が分岐し、信号通路85はスプール弁体66の操作パイロット圧力PB2が導かれる受圧室77と同じ側に設けられた受圧室86に接続されている。これにより絞り84で発生した圧力は信号通路85を介してスプール弁体66の受圧室85に導かれ、スプール弁体66に受圧室77と同じ方向の駆動力を作用させる。
【0039】
図3に、ポペット弁体65の移動量(ストローク)に対するポペット弁体65の開口面積及びフィードバックスリット71の開口面積の関係を示す。ポペット弁体65が遮断位置にあるとき、フィードバックスリット71は所定の初期開口面積A0を有しており、ポペット弁体65が遮断位置から開き始め、移動量が増大するにしたがってポペット弁体65及びフィードバックスリット71の開口面積は比例的に増大する。フィードバックスリット71が初期開口面積A0を有することにより、ポペット弁体65はチェックバルブの機能を果たすことができる。
【0040】
図4に、外部信号である操作レバー装置16からの操作パイロット圧力PB2に対するスプール弁体66のパイロット可変絞り部66aの通過流量(パイロット流量)とポペット弁体65の通過流量(メインの流量)との関係、これらとスプール弁体66のサブ可変絞り部66bの通過流量(サブ流量)との関係、更にはこれらと配管破断制御弁40の総通過流量との関係を示す。図中、X1はパイロット可変絞り部66aの流量制御の特性線、X2はポペット弁体65の流量制御の特性線、X3はサブ可変絞り部66bの流量制御の特性線、X4はそれらを合計した流量制御の特性線、つまり配管破断制御弁40の流量制御の特性線である。
【0041】
図4において、操作パイロット圧力PB2が0からP2になるまでの範囲はスプール弁体66のパイロット可変絞り部66aの不感帯であり、この間はパイロット可変絞り部66aは遮断状態にある。操作パイロット圧力PB2がP2に達すると、特性線X1で示すようにスプール弁体66のパイロット可変絞り部66aは開き始め、操作パイロット圧力PB2がP2を越えて上昇するにしたがってパイロット可変絞り部66aの開口面積が増大し、これに応じてパイロット可変絞り部66aの通過流量、即ちパイロット通路75a,75bを流れるパイロット流量も増大する。
【0042】
また、操作パイロット圧力PB2がP3(>P2)でパイロット流量が所定流量となるまでの範囲はポペット弁体65の不感帯であり、この間はパイロット流量が生じてもフィードバックスリット71による背圧室70の圧力低下が不十分であり、ポペット弁体65はバネ73の初期設定力により遮断位置に保たれている。操作パイロット圧力PB2がP3でパイロット流量が所定流量に達すると、特性線X2で示すようにポペット弁体65は開き始め、操作パイロット圧力PB2がP3を越えて上昇するにしたがってポペット弁体65の開口面積が増大し、これに応じてポペット弁体65の通過流量、即ちメインの流量も増大する。
【0043】
更に、操作パイロット圧力PB2が0からP1になるまでの範囲はスプール弁体66のサブ可変絞り部66bの不感帯であり、この間はサブ可変絞り部66bは遮断状態にある。操作パイロット圧力PB2がP1に達すると、特性線X3で示すようにスプール弁体66のサブ可変絞り部66bは開き始め、操作パイロット圧力PB2がP1を越えて上昇するにしたがってサブ可変絞り部66bの開口面積が増大し、これに応じてサブ可変絞り部66bの通過流量、即ちサブ通路75cとパイロット通路75bを流れるサブ流量も増大する。
【0044】
また、P1<P2であり、スプール弁体66のサブ可変絞り部66bはパイロット可変絞り部66aよりも早く開くように開口タイミングが設定され、サブ可変絞り部66bに微操作領域での流量制御機能を受け持たせている。
【0045】
以上のようにスプール弁体66のパイロット可変絞り部66a、ポペット弁体65、スプール弁体66のサブ可変絞り部66bの通過流量が変化する結果、配管破断制御弁40の総通過流量は特性線X4で示すように変化する。
【0046】
図2に戻り、小リリーフバルブ67は昇圧式の可変リリーフバルブであり、リリーフ設定圧調整部67aを有している。リリーフ設定圧調整部67aは制御ライン44を介して電磁弁43の出力ポートに接続されており、電磁弁43の出力圧(制御ライン44の圧力;制御圧力)がタンク圧であるときは、小リリーフバルブ67のセット圧力をバネ67bの設定値に基づく通常の第1圧力とし(通常設定)、電磁弁43の出力圧(制御ライン44の圧力;制御圧力)がパイロットポンプ15の吐出圧、すなわちパイロット一次圧に切り換えられると、小リリーフバルブ67のセット圧力をバネ67bの設定値にパイロット一次圧に基づく補正値を加算した昇圧した第2圧力に変更する(昇圧設定)。通常の第1圧力は例えば35MPaであり、昇圧した第2圧力は例えば40MPaである。
<コントローラ42の処理機能>
図5はコントローラ42の処理機能を示すフローチャートである。
【0047】
まず、コントローラ42は圧力センサ48及び圧力センサ50の検出信号を入力する(ステップS100)。次いで、圧力センサ50の検出信号に基づいてブーム下げ操作中であるかどうか(ブーム用の操作レバー装置16の操作レバー(以下ブーム用操作レバーという)がブーム下げ方向に操作されているかどうか)を判定する(ステップS110)。この判定は、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2がしきい値Pthより高いかどうかを判定することにより行う。ここで、しきい値Pthは、操作レバー装置16〜19の操作レバーが操作されたときの最低圧力に相当する圧力であり、パイロットポンプ15の吐出油によって生成されるパイロット一次圧が4MPaとした場合、しきい値Pthは例えば1MPaである。
【0048】
ステップS110でブーム下げ操作中である(PB2≧Pthである)と判定されると、電磁弁43にOFFの制御信号を出力する(ステップS120)。このとき電磁弁43は図示の位置にあり、制御ライン44の圧力はタンク圧となり、小リリーフバルブ67のセット圧力は通常の第1圧力となる。
【0049】
一方、ステップS110でブーム下げ操作中でない(PB2<Pthである)と判定されると、次いでブーム下げ操作からブーム下げ停止に切り換えられたときであるかどうか(ブーム用操作レバーがブーム下げ方向に操作されている状態から中立状態(非操作状態)に切り換えられたときであるかどうか)を判定し(ステップS130)、ブーム下げ操作からブーム下げ操作停止に切り換えられたときであると判定されると、その操作切り換え後所定時間Ta経過したかどうかを判定する(ステップS140)。ブーム下げ操作からブーム下げ操作停止に切り換えられたときであるかどうかの判定は、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2がしきい値Pth以上の圧力(PB2≧Pth)からそれより低い圧力(PB2<Pth)に変化したかどうかを判定することにより行い、操作切り換え後所定時間Ta経過したかどうかの判定は、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2が変化した時点から所定時間Taが経過したかどうかを判定することにより行う。所定時間Taは例えば1〜3秒である。
【0050】
ステップS140で操作切り換え後所定時間Ta経過していないと判定されると、所定時間Ta経過するまでステップS140の処理を繰り返す。これにより操作切り換え後所定時間Ta経過するまでは、ブーム下げ操作中であると判定されたときのステップS120の処理が継続され、小リリーフバルブ67のセット圧力は通常の第1圧力に保持される。
【0051】
ステップS130でブーム下げ操作からブーム下げ操作停止に切り換えられたときでないと判定された場合、及びステップS140で操作切り換え後所定時間Ta経過したと判定された場合は、ステップS150に進み、圧力センサ48の検出信号に基づいて操作レバー装置16〜19のいずれかが操作中であるかどうかを判定する。この判定は、圧力センサ50により検出された操作パイロット圧力PXmax(操作レバー装置16〜19が生成した操作パイロット圧力のうちの最も圧力の高い操作パイロット圧力PXmax)がしきい値Pthより高いかどうかを判定することにより行う。
【0052】
ステップS150で操作レバー装置16〜19のいずれかが操作中であると判定されると、ステップS120に進み、電磁弁43にOFFの制御信号を出力する。このときは前述したように、制御ライン44の圧力はタンク圧となり、小リリーフバルブ67のセット圧力は通常の第1圧力となる。
【0053】
一方、ステップS150で操作レバー装置16〜19のいずれかも操作中でないと判定されると、電磁弁43にONの制御信号を出力する(ステップS160)。電磁弁43にONの制御信号が出力されると、電磁弁43は図示の位置から切り換えられ、制御ライン44の圧力はパイロット一次圧となり、小リリーフバルブ67のセット圧力は昇圧した高圧の第2圧力に変更される。
<小リリーフバルブ67のセット圧力(第1圧力及び第2圧力)>
図6は、小リリーフバルブ67の通過流量と制御圧力の関係を示す図である。図中、Aは小リリーフバルブ67のセット圧力を通常の第1圧力に設定したときの関係を示す特性線であり、Bは小リリーフバルブ67のセット圧力を昇圧した第2圧力に設定したときの関係を示す特性線である。
【0054】
リリーフバルブにはオーバライド特性による前漏れがあり、小リリーフバルブ67のセット圧力を通常の第1圧力Prset1に設定したときは、特性線Aに示すように、作動油の圧力がセット圧力(第1圧力Prset1)より低い圧力Paまで上昇すると小リリーフバルブ67は開き始め、作動油は小リリーフバルブ67を通過してタンクTへと流れ始める。その後、小リリーフバルブ67の通過流量が増大するにしたがってバネの付勢力(バネ力)が増加するため制御圧力は上昇し、セット圧力である第1圧力Prset1に達する。小リリーフバルブ67のセット圧力を昇圧した第2圧力Prset2に設定した場合も同様であり、このときの前漏れ開始圧力はPbである。
【0055】
本発明において、第2圧力Prset2は、小リリーフバルブ67のセット圧力をその第2圧力Prset2に設定したときの前漏れ開始圧力Pbが第1圧力Prset1より高くなるように設定されている。
【0056】
通常の第1圧力Prset1を35MPaとしたとき、前漏れ開始圧力Paは例えば31MPaであり、昇圧した第2圧力Prset2を40MPaとしたとき、前漏れ開始圧力Pbは例えば36MPa(>Prset1)である。
<請求項記載事項との対応>
以上において、圧力センサ48,50は、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)が操作されているか否かを検出する操作検出手段を構成し、コントローラ42の図5のフローチャートに示す処理(ステップS100〜S160の処理)と、電磁弁43及び小リリーフバルブ67のリリーフ設定圧調整部67aは、操作検出手段の検出信号に基づいて小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を変更するセット圧力変更制御手段を構成する。
【0057】
また、上記セット圧力変更制御手段は、図5のフローチャートにおけるステップS150,S120及びS160において、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)のいずれかが操作されているときは小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力として通常の第1圧力を設定し、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)のいずれも操作されていないときは小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を前記第1圧力よりも高い第2圧力に変更する。
【0058】
さらに、上記セット圧力変更制御手段は、図5のフローチャートにおけるステップS110〜S140及びS160において、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)のうち油圧シリンダ5に対応する操作レバー装置16の操作レバー(操作手段)が(ブーム下げ方向の)操作状態から非操作状態に切り換わったときは、所定時間Ta経過するまでは、小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を第1圧力に維持し、所定時間Ta経過後で、かつ操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)のいずれも操作されていないときは、小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を第1圧力から第2圧力に変更する。
<油圧ショベル>
図7は、図1に示した油圧システムを搭載した油圧ショベルの外観を示す図である。油圧ショベルは下部走行体100と上部旋回体101とフロント作業機102を備えている。下部走行体100は左右のクローラ式走行装置103a,103bを有し、左右の走行モータ104a,104bにより駆動される。上部旋回体101は下部走行体100上に旋回可能に搭載され、旋回モータ7により旋回駆動される。フロント作業機102は上部旋回体101の前部に俯仰可能に取り付けられている。上部旋回体101にはエンジンルーム106、キャビン(運転室)107が備えられ、エンジンルーム106にエンジン1や第1及び第2油圧ポンプ2,3、パイロットポンプ15等の油圧機器が配置され、キャビン107内には上記操作レバー装置16〜19やエンジン回転数指令操作装置37が配置されている。
【0059】
フロント作業機102はブーム111、アーム112、バケット113を有する多関節構造であり、ブーム111はブームシリンダ5の伸縮により上下方向に回動し、アーム112はアームシリンダ6の伸縮により上下、前後方向に回動し、バケット113はバケットシリンダ8の伸縮により上下、前後方向に回動する。バケット113の背部には格納式のフック130が設けられている。フック130は吊り荷作業で用いられる。この吊り荷作業は、図示の如く、バケット背部に取り付けたフック130に吊り荷131を引っかけてブーム上げを行い、吊り荷131を所定高さまで持ち上げてその状態(高さ位置)を保持する作業である。
【0060】
なお、図1の油圧回路図では左右の走行モータ104a,104b等のアクチュエータやそれらの操作系を省略して示している。ブームシリンダ40のシリンダ本体のボトム側には配管破断制御弁40が設置されている。
<動作>
次に、以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0061】
(1)ブーム上げ操作
ブーム用操作レバー装置16の操作レバーをブーム上げ方向に操作すると、ブーム上げ指令の操作パイロット圧力PB1が発生し、コントロールバルブ11はその操作パイロット圧力PB1により図示右方向に切り換えられ、油圧ポンプ2の吐出油がコントロールバルブ11、アクチュエータライン32を介して配管破断制御弁40の配管接続室69に供給される。油圧ポンプ2の吐出油が配管破断制御弁40の配管接続室69に供給されると、配管破断接続室69の圧力上昇によりポペット弁体65は図示上方へ移動し、ポペット弁体65は開弁する。このとき、背圧室70内の圧油は初期開口面積A0を有するフィードバックスリット71を介してシリンダ接続室68へと移動する。ポペット弁体65が開弁すると、油圧ポンプ2の吐出油はシリンダ接続室68を介してブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aに供給され、ブームシリンダ5のロッド側シリンダ室5bからの圧油はアクチュエータライン31、コントロールバルブ11を介してタンクTに排出され、これによりブームシリンダ5は伸長し、ブーム111が上げ方向に駆動される。
【0062】
(2)ブーム下げ操作
ブーム用操作レバー装置16の操作レバーをブーム下げ方向に操作すると、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2が発生し、コントロールバルブ11はその操作パイロット圧力PB2により図示左方向に切り換えられ、油圧ポンプ2の吐出油がコントロールバルブ11、アクチュエータライン31を介してブームシリンダ5のロッド側シリンダ室5bに供給される。これと同時に、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2はスプール弁体66の受圧室77に導かれ、操作パイロット圧力PB2によりスプール弁体66が図示左方に移動し、スプール弁体66のサブ可変絞り部66b及びパイロット可変絞り部66aがそれぞれその移動量に見合った開口面積となり、これによりサブ通路75c及びパイロット通路75aからパイロット通路75bへと操作パイロット圧力PB2に応じたパイロット流量が流れ、このパイロット流量に応じてポペット弁体65が開弁しかつその移動量が制御される。ポペット弁体65が開弁すると、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの圧油は配管破断制御弁40のシリンダ接続室68、ポペット弁体65、配管接続室69、アクチュエータライン32、コントロールバルブ11を介してタンクTへと排出され、これによりブームシリンダ5は収縮し、ブーム111が下げ方向に動作する。
【0063】
(3)ブーム上げ操作又はブーム下げ操作での配管破断時
ブーム上げ操作中に、万一、アクチュエータライン32が破断した場合は、配管破断制御弁40の配管接続室69が大気圧となるため、背圧室70に導かれているブームシリンダ5の高圧の負荷圧によりポペット弁体65は直ちに閉じ、ブームシリンダ5の高圧のボトム側シリンダ室5aの圧油の流出を阻止し、ブーム111の落下を防止する。ブーム下げ操作中に、万一、アクチュエータライン32が破断した場合も、同様に、配管破断制御弁40の配管接続室69が大気圧となるため、背圧室70に導かれているブームシリンダ5の負荷圧によりポペット弁体65は直ちに閉じ、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの圧油の流出を阻止し、ブーム111の落下を防止する。
【0064】
(4)ブーム下げ停止時
ブーム用操作レバー装置16の操作レバーをブーム下げ方向に操作し、ブーム下げ操作をしている状態から、操作レバーを中立に戻し、ブーム下げを停止すると、ブーム下げ指令の操作パイロット圧力PB2はタンク圧となり、コントロールバルブ11が図示の中立位置に戻ると同時に、配管破断制御弁40のスプール弁体66も図示左側の閉位置に切り換えられ、ポペット弁体65も閉じる。これにより、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの圧油の流出が阻止され、ブームシリンダ5の収縮が停止し、ブーム111の下げ方向の動作(ブーム下げ)が停止する。ここで、ブーム111にはアーム112及びバケット113が取り付けられており、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aには被駆動部材であるブーム111の自重だけでなくアーム112及びバケット113も含めたフロント作業機102の全荷重が作用する。この場合、もし、ブーム下げの停止時に直ちに小リリーフバルブ67のセット圧力を通常の第1圧力からそれよりも高い第2圧力に変更すると、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの負荷圧は第2圧力のセット圧力まで上昇し、配管破断制御弁40の内部に高圧が発生し、配管破断制御弁40の内部機器を破損するおそれがある。
【0065】
本実施の形態では、ブーム下げ操作からブーム下げ操作停止に切り換えられたときで、他のアクチュエータが操作されていないときは、図5に示したフローチャートにおいて、ブーム下げ停止後所定時間Ta経過するまでは、ブーム下げ操作中であると判定されたときのステップS120の処理が継続されて電磁弁43にOFFの制御信号が出力され、小リリーフバルブ67は通常のセット圧力である第1圧力に維持される。
【0066】
これによりブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの負荷圧が小リリーフバルブ67の通常のセット圧力(第1圧力)を超えると小リリーフバルブ67は開弁し、絞り84を設けたドレン通路75fに圧油が流れ込む。この結果、信号通路85及び受圧室86の圧力が上昇し、スプール弁体66を図示左方に移動してサブ可変絞り部66b及びパイロット可変絞り部66aを開き、サブ通路75c及びパイロット通路15aからパイロット通路15bにパイロット流量が流れる。これによりポペット弁体65も開弁し、ブーム下げ停止時の高圧の圧油をアクチュエータライン32に接続されたオーバーロードリリーフバルブ33bによってタンクTヘと排出し、配管破断制御弁40の内部機器の破損を防止する。すなわち、小リリーフバルブ67は本来の機能を発揮し、高負荷圧による内部機器の破損を防止することができる。
【0067】
(5)ブーム非操作中における他の操作による高圧発生時
油圧ショベルが行う作業には、アーム用操作レバー装置17の操作レバーをアームクラウド方向に操作し、アーム112がクラウド方向に駆動して行う掘削作業や、旋回用操作レバー装置18の操作レバーを旋回右方向或いは旋回左方向に操作し、旋回モータ7を駆動して行う上部旋回体106の方向転換作業がある。このような作業では、ブーム111を操作していなくても、車体の振動や揺れが発生したり、ブーム111に物が当たるなどして、ブーム111に下向きの外力が加わり、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aに過大な負荷が作用することがある。この場合も、上記(4)の場合と同様、もし、小リリーフバルブ67のセット圧力が通常の第1圧力からそれよりも高い第2圧力に変更されると、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの負荷圧は第2圧力のセット圧力まで上昇し、配管破断制御弁40の内部に高圧が発生し、配管破断制御弁40の内部機器を破損するおそれがある。
【0068】
本実施の形態では、ブーム非操作時であっても、操作レバー装置16〜19のいずれかが操作中であるときは、ステップS120において電磁弁43にOFFの制御信号が出力され、小リリーフバルブ67は通常のセット圧力に設定されるため、上記(4)で述べたように小リリーフバルブ67は本来の機能を発揮し、高負荷圧による内部機器の破損を防止することができる。
【0069】
(6)<油圧シリンダの負荷圧を保持する作業(吊り荷作業)>
油圧シリンダの負荷圧を保持する作業として図7に示した吊り荷作業がある。この吊り荷作業を行う場合は、まず、バケット113の背部に取り付けたフック130に吊り荷131を引っかける。次いで、ブーム用操作レバー装置16の操作レバーをブーム上げ方向に操作してブーム上げ指令の操作パイロット圧力PB1が発生し、上記(1)で述べたように油圧ポンプ2の吐出油をブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aに供給し、ブーム111を上げ方向に駆動し、吊り荷131を吊り上げる。吊り荷131が所定高さまで吊り上がると、ブーム用操作レバー装置16の操作レバーを中立位置に戻してブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aへの圧油の供給を停止し、ブームを停止させ、吊り荷をその高さ位置に保持する。
【0070】
このように吊り荷を吊り上げた高さ位置に保持する場合は、操作レバー装置16〜19のいずれも操作されていないため、図5に示したフローチャートのステップS160において、電磁弁43にONの制御信号が出力され、配管破断制御弁40の小リリーフバルブ67のセット圧力は通常の第1圧力から昇圧した第2圧力に変更される。前述したように、小リリーフバルブ67のセット圧力を第2圧力Prset2(例えば40MPa)に設定したときの前漏れ開始圧力Pb(例えば36MPa)は通常の第1圧力Prset1(例えば35MPa)より高い。これによりブーム用油圧シリンダ5のボトム側シリンダ室5aの負荷圧が第1圧力のセット圧力相当の負荷圧であったとしても、前漏れにより小リリーフバルブ67から圧油がリークすることはなく、油圧シリンダ5のボトム側シリンダ室5aの負荷圧を保持し、吊り荷を吊り上げた高さ位置に保持することができる。
【0071】
以上のように本実施の形態によれば、配管破断制御弁40を備えた作業機械の油圧システムにおいて、配管破断制御弁40の内部機器の破損を防止するというオーバーロードリリーフバルブ(小リリーフバルブ67)の本来の機能を低下させることなく、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業(吊り荷作業)では従来よりも高い負荷圧を保持することができる。
【0072】
〜第2の実施の形態〜
本発明の第2の実施の形態を図7及び図8を用いて説明する。
【0073】
図7は、本実施の形態における配管破断制御弁の詳細を、図2と同様、周囲の油圧回路は簡略化して示す図である。
【0074】
本実施の形態の油圧システムは、ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの圧力(負荷圧)を検出する圧力センサ55をさらに備えている。コントローラ42Aは圧力センサ48,50,55の検出信号を入力して所定の演算処理を行い、電磁弁43にON/OFFの制御信号(電気信号)を出力する。
【0075】
図8は、本実施の形態におけるコントローラ42Aの処理機能を示すフローチャートである。
【0076】
まず、コントローラ42Aは圧力センサ48,50,55の検出信号を入力する(ステップS100A)。その後、ステップS110からステップS150までの処理は図5に示した第1の実施の形態のもとと同じである。
【0077】
ステップS150において、操作レバー装置16〜19のいずれかも操作中でないと判定されると、次いで、圧力センサ55の検出信号に基づいてブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの圧力PBBが所定圧力PBB0より低いかどうかを判定し(ステップS170)、所定圧力PBB0より低ければステップS120に進んで電磁弁43にOFFの制御信号を出力する。このときは前述したように、制御ライン44の圧力はタンク圧となり、小リリーフバルブ67のセット圧力は通常の第1圧力となる。ブームシリンダ5のボトム側シリンダ室5aの圧力PBBが所定圧力PBB0以上であれば、ステップS160に進んで電磁弁43にONの制御信号を出力する。電磁弁43にONの制御信号が出力されると、電磁弁43は図示の位置から切り換えられ、制御ライン44の圧力はパイロット一次圧となり、小リリーフバルブ67のセット圧力は昇圧した高圧の第2圧力に変更される。セット圧力の第1圧力を40PMaとした場合、所定圧力PBB0は例えば25MPaである。
【0078】
ここで、圧力センサ48,50は、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)が操作されているか否かを検出する操作検出手段を構成し、コントローラ42Aの図9のフローチャートに示す処理(ステップS100〜S170の処理)と、電磁弁43及び小リリーフバルブ67のリリーフ設定圧調整部67aは、操作検出手段の検出信号に基づいて小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を変更するセット圧力変更制御手段を構成する。
【0079】
また、上記セット圧力変更制御手段は、図9のフローチャートにおけるステップS150,S120及びS160において、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)のいずれかが操作されているときは小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力として通常の第1圧力を設定し、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)のいずれも操作されていないときは小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を前記第1圧力よりも高い第2圧力に変更する。
【0080】
そして、上記セット圧力変更制御手段は、図9のフローチャートにおけるステップS150,S170及びS160において、上記操作検出手段の検出信号と圧力センサ55の検出信号に基づいて、操作レバー装置16〜19の操作レバー(複数の操作手段)が操作されておらずかつブーム111(被駆動部材)の自重が作用する油圧シリンダ5のボトム側油圧シリンダ5a(第1シリンダ室)の負荷圧が所定圧力PBB0より高いときにのみ、小リリーフバルブ67(可変オーバーロードリリーフバルブ)のセット圧力を第1圧力から第2圧力に変更する。
【0081】
このように構成した本実施の形態では、操作レバー装置16〜19のいずれも操作されておらず、油圧シリンダの負荷圧を保持する作業(吊り荷作業)を行っている場合であっても、ブームシリンダ5のボトム側油圧シリンダ5aの負荷圧が軽い(負荷圧が例えば25MPaより低い)ときは、小リリーフバルブ67のセット圧力は高圧の第2圧力に変更されないため、小リリーフバルブ67のセット圧力を変えるためのリリーフ設定圧調整部67aの不要な動作を防止し、小リリーフバルブ67の寿命を長くすることができる。また、電磁弁43の不要な励磁を省略できるため、電磁弁42を励磁するための電力を節約することができる。
【0082】
〜その他〜
なお、以上の実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、可変オーバーロードリリーフバルブを小リリーフバルブ67で構成し、小リリーフバルブ67によって信号通路85及び受圧室86の圧力を上昇させることで、スプール弁体66を動作させ、ポペット弁体65及びオーバーロードリリーフバルブ33bを開弁させするものとしたが、小リリーフバルブ67に代えオーバーロードリリーフバルブ33bと同等の流量を排出可能なオーバーロードリリーフバルブを配置し、このオーバーロードリリーフバルブを開弁することで作動油の全量を直接タンクに排出するようにしてもよい。
【0083】
また、上記の実施の形態では、配管破断制御弁をブーム用油圧シリンダに設けた場合について説明したが、アーム用油圧シリンダ及び/又はバケット用油圧シリンダに配管破断制御弁が設けられる場合は、それらの配管破断制御弁に本発明を適用してもよい。
【0084】
さらに、上記実施の形態では、作業機械として油圧ショベルを例にとって説明したが、非操作時に油圧シリンダの負荷圧を保持する作業を行う作業機械であれば、油圧ショベル以外のもの(例えばクレーン、ホイールショベル、ホイールローダ等)に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態における配管破断制御弁を備えた油圧システムの全体構成図である。
【図2】図1に示す油圧システムにおける配管破断制御弁の詳細を、周囲の油圧回路を簡略化して示す図である。
【図3】ポペット弁体の移動量(ストローク)に対するポペット弁体の開口面積及びフィードバックスリットの開口面積の関係を示す図である。
【図4】配管破断制御弁の操作パイロット圧力に対するパイロット可変絞り部の通過流量(パイロット流量)の特性、ポペット弁体の通過流量(メインの流量)の特性、サブ可変絞り部の通過流量(サブ流量)の特性、それらを合計した通過流量の特性の関係を示す図である。
【図5】コントローラの処理機能を示すフローチャートである。
【図6】小リリーフバルブの通過流量と制御圧力の関係を示す図である。
【図7】図1に示した油圧システムを搭載した油圧ショベルの外観を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における配管破断制御弁の詳細を、図2と同様、周囲の油圧回路を簡略化して示す図である。
【図9】第2の実施の形態におけるコントローラの処理機能を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 エンジン
2,3 油圧ポンプ
4 メインリリーフバルブ
5 油圧アクチュエータ(ブームシリンダ)
5a ボトム側シリンダ室(第1シリンダ室)
5b ロッド側シリンダ室(第2シリンダ室)
6〜8 油圧アクチュエータ
11〜14 コントロールバルブ
15 パイロットポンプ
16〜19 操作レバー装置
31,32 アクチュエータライン
33a,33b オーバーロードリリーフバルブ
40 配管破断制御弁
41 操作検出装置
42 コントローラ
43 電磁弁
44 制御ライン
45a〜45c,46a〜46c,47 シャトル弁
48 圧力センサ
49 パイロットライン
50 圧力センサ
61,62 入出力ポート
3 ハウジング
65 ポペット弁体(主弁)
66 スプール弁体(パイロット弁)
66a パイロット可変絞り部
66b サブ可変絞り部
67 小リリーフバルブ
67a リリーフ設定圧調整部
67b バネ
68 シリンダ接続室
69 配管接続室
70 背圧室
71 フィードバックスリット
73 バネ
75a,75b パイロット通路
75c サブ通路
75e リリーフ通路
75f ドレン通路
76 バネ
77 受圧室
80 パイロットライン
82 ドレンライン
83 ドレン通路
84 絞り
85 信号通路
86 受圧室
100 下部走行体
101 上部旋回体
102 フロント作業機
103a,103b クローラ式走行装置
104a,104b 走行モータ
106 エンジンルーム
107 キャビン(運転室)
111 ブーム
112 アーム
113 バケット
130 フック
131 吊り荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプと、
前記油圧ポンプからの吐出油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数のコントロールバルブと、
前記複数の油圧アクチュエータに対応して設けられ、前記複数のコントロールバルブをそれぞれ操作する複数の操作手段とを備え、
前記複数の油圧アクチュエータは、前記複数のコントロールバルブの対応するものに第1及び第2油圧配管を介して接続された第1及び第2の2つのシリンダ室を有し、かつその第1及び第2のシリンダ室のうち前記第1油圧配管に接続される第1シリンダ室に被駆動部材の自重が作用する少なくとも1つの油圧シリンダを含む作業機械の油圧システムにおいて、
前記油圧シリンダのシリンダ本体に取り付けられ、前記複数の操作手段のうちの対応する操作手段からの操作信号に応じて前記第1シリンダ室から前記第1油圧配管に流出する圧油の流量を制御する配管破断制御弁と、
前記配管破断制御弁に設けられ、前記給排ポートに接続される前記配管破断制御弁のシリンダ接続室内の異常圧を開放する可変オーバーロードリリーフバルブと、
前記複数の操作手段が操作されているか否かを検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段の検出信号に基づいて前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を変更するセット圧力変更制御手段とを備え、
前記セット圧力変更制御手段は、前記複数の操作手段のいずれかが操作されているときは前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力として通常の第1圧力を設定し、前記複数の操作手段のいずれも操作されていないときは前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力よりも高い第2圧力に変更することを特徴とする作業機械の油圧システム。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械の油圧システムにおいて、
前記セット圧力変更制御手段は、前記複数の操作手段のうち前記油圧シリンダに対応する操作手段が操作状態から非操作状態に切り換わったときは、所定時間経過するまでは、前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力に維持し、所定時間経過後で、かつ前記複数の操作手段のいずれも操作されていないときは、前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に変更することを特徴とする作業機械の油圧システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の作業機械の油圧システムにおいて、
前記油圧シリンダの前記第1シリンダ室の負荷圧を検出する圧力センサを更に備え、
前記セット圧力変更制御手段は、前記操作検出手段の検出信号と前記圧力センサの検出信号に基づいて、前記複数の操作手段が操作されておらずかつ前記被駆動部材の自重が作用する前記第1シリンダ室の負荷圧が所定圧力より高いときにのみ、前記可変オーバーロードリリーフバルブのセット圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に変更することを特徴とする作業機械の油圧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−151191(P2010−151191A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328511(P2008−328511)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】