説明

作業用車両

【課題】バッテリーに異常が発生しても、その異常を警報することができる作業用車両を提供する。
【解決手段】油圧ポンプ32を駆動する電動モータ31と、直流電力を供給するメインバッテリー50aと、メインバッテリー50aからの直流電力を交流電力に変換して電動モータ31を作動させるインバータ43と、メインバッテリー50aおよびインバータ43を接続・切断する第2リレー47と、油圧アクチュエータ20およびインバータ43の作動を制御するとともに、第2リレー47を接続・切断する制御コントローラ42と、メインバッテリー50aおよび制御コントローラ42を接続・切断する第1リレー46と、メインバッテリー50aの状態を監視するとともに、電源コントローラ41、制御コントローラ42、および、インバータ43の順で電源を投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーで駆動される電動モータを動力源とする作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業用車両の動力源はエンジンが主流である。しかし、地下の建設現場のように、周囲環境との関係でエンジンを使用できない現場では、電動モータを動力源として搭載した作業用車両が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この電動モータの電源としては、商用電源や、作業用車両に搭載され商用電源により充電されるバッテリーが用いられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−225355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような作業用車両においては、コントローラもバッテリーからの電力により作動するように構成されているため、バッテリーに異常が発生して電力供給ができなくなると、この作業用車両の全てが停止してしまう。すなわち、バッテリーの異常をオペレータに警告することもできなくなってしまう。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、バッテリーに異常が発生しても、その異常を警報することができる作業用車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る作業用車両(例えば、実施形態におけるクローラ型パワーショベル車1)は、油圧アクチュエータにより駆動されるものであり、この油圧アクチュエータを作動させるための作動油を吐出する油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動する電動モータと、直流電力を供給するメインバッテリーと、メインバッテリーからの直流電力を交流電力に変換して電動モータに供給することによりこの電動モータを作動させるインバータと、メインバッテリーおよびインバータを接続・切断する電動モータ用リレー(例えば、実施形態における第2リレー47)と、メインバッテリーからの直流電力により動作して、油圧アクチュエータおよびインバータの作動を制御するとともに、電動モータ用リレーによりメインバッテリーおよびインバータを接続・切断する制御コントローラと、メインバッテリーおよび制御コントローラを接続・切断するコントローラ用リレー(例えば、実施形態における第1リレー46)と、メインバッテリーの状態を監視するとともに、コントローラ用リレーによりメインバッテリーおよび制御コントローラを接続・切断する電源監視コントローラと、この電源監視コントローラに電力を供給するバックアップバッテリーと、電源監視コントローラおよびバックアップバッテリーを接続・切断するキースイッチとを有して構成される。そして、この作業用車両は、キースイッチにより電源監視コントローラおよびバックアップバッテリーが接続されて、電源監視コントローラを起動したときに、電源監視コントローラが、メインバッテリーの状態を取得し、メインバッテリーが使用可能であるか否かを判断する第1のステップ、この第1のステップにおいてメインバッテリーが使用可能であると判断されたときに、電源監視コントローラが、コントローラ用リレーによりメインバッテリーおよび制御コントローラを接続して、制御コントローラを起動する第2のステップ、および、制御コントローラが、電動モータ用リレーによりメインバッテリーおよびインバータを接続して電動モータを駆動させる第3のステップ、を実行するように構成される。
【0007】
なお、このような本発明に係る作業用車両は、メインバッテリーの状態を収集する保護回路を有し、第1のステップにおいて、電源監視コントローラが、保護回路にバックアップバッテリーからの電力を供給してこの保護回路を起動した後に、この保護回路からメインバッテリーの状態を取得するように構成されることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る作業用車両は、メインバッテリーが使用不可能であることを警報する警報手段(例えば、実施形態における警報用パイロットランプ52)を有し、第1のステップにおいて、メインバッテリーが使用不可能であると判断されたときに、電源監視コントローラが警報手段により警報を発するように構成されることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る作業用車両は、メインバッテリーの直流電圧を、電源監視コントローラを作動させる電圧に変換するDC−DCコンバータを有し、コントローラ用リレーが、メインバッテリーおよび制御コントローラを接続すると同時に、DC−DCコンバータの出力をバックアップバッテリーおよび電源監視コントローラに接続するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る作業用車両を以上のように構成すると、インバータに対する電力供給を制御する制御コントローラとは別に、メインバッテリーを監視するとともに制御コントローラに対する電力供給を制御する電源監視コントローラ、および、メインバッテリーユニットから電力が供給されない状態でもこの電源監視コントローラを作動させるバックアップバッテリーを設けることにより、メインバッテリーに異常が発生したときでも、全ての処理が停止することがない。例えば、メインバッテリーの異常を電源監視コントローラで検出して警報手段により警報を発することができるので、この作業用車両を操作するオペレータは、メインバッテリーの異常をすぐに認識することができる。
【0011】
また、電源投入時の処理は、電源監視コントローラから順に電源を投入していくことにより行うことができるので、電源監視コントローラおよび制御コントローラの処理および構成を簡単にすることができる。
【0012】
さらに、メインバッテリーが正常な状態で、制御コントローラに電力が供給されたときは、同時に、メインバッテリーにより電源監視コントローラを作動させるとともに、バックアップバッテリーを充電することにより、メインバッテリーの異常時に、バックアップバッテリーで電源監視コントローラを作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る作業用車両の一例として、クローラ型パワーショベル車1について図1を用いて説明する。なお、このパワーショベル車1は、地下等の比較的密閉された空間で使用されることを目的に、バッテリー(後述するメインバッテリー50a)からの電力を利用して作動するものである。このパワーショベル車1は、走行装置2を構成する走行台車4と、この走行台車4の後部に上下に揺動自在に設けられたブレード9と、走行台車4の上に旋回可能に設けられた旋回台11と、旋回台11の前部に枢結されたパワーショベル機構13と、旋回台11の上に設けられたオペレータキャビン15とを有している。
【0014】
走行装置2は、略H型をなす走行台車4と、この走行台車4の左右に設けられた走行機構3とからなる。走行機構3は、走行台車4の左右の前部に設けられた駆動用スプロケットホイール5と、後部に設けられたアイドラホイール6(駆動用スプロケットホイール5とアイドラホイール6とを合わせて「クローラホイール」と呼ぶ場合がある)と、これら両ホイール5,6に掛け回されて駆動される左右一対の履帯7とからなる。なお、駆動用スプロケットホイール5の各々は、図示しない左右の走行モータ(油圧モータ)により駆動され、このパワーショベル車1を走行させることができる。また、旋回台11は、図示しない旋回モータ(油圧モータ)により走行台車4に対して旋回動させることができる。
【0015】
パワーショベル機構13は、旋回台11の前部に起伏動自在に枢結されたブーム16、ブーム16の先端部にこのブーム16の起伏面内で上下に揺動自在に枢結されたアーム17、および、このアーム17の先端に上下に揺動自在に枢結されたバケット18から構成される。ブーム16は、ブームシリンダ21により起伏動され、アーム17は、アームシリンダ22により揺動され、バケット18は、バケットシリンダ23により揺動される。なお、このようなシリンダや上述した走行モータおよび旋回モータは、図2に示すように、油圧ユニット30から供給される作動油により駆動されるため、以降の説明においては、これらをまとめて「油圧アクチュエータ20」と呼ぶ。また、このパワーショベル機構13の操作は、オペレータキャビン15内に設けられた操作装置14により行われる。
【0016】
油圧ユニット30は、電動モータ31、この電動モータ31により駆動されて所定油圧・流量の作動油を吐出する油圧ポンプ32、作動油を溜めるタンク33、油圧ポンプ32から吐出される作動油を操作装置14の操作に応じた供給方向および供給量で油圧アクチュエータ20に供給制御するコントロールバルブ(電磁比例弁)34、並びに、温度上昇した作動油を冷却するオイルクーラ35等から構成される。なお、操作装置14から出力される操作信号は、後述する制御コントローラ42に入力され、この制御コントローラ42が操作信号に応じた指令信号をコントロールバルブ34に出力してこのコントロールバルブ34を制御するように構成されている。
【0017】
電動モータ31は、メインバッテリーユニット50から供給される直流電力を、インバータ43で所定の電圧および周波数を有する交流電力に変換して供給することにより駆動される。なお、メインバッテリーユニット50は、リチウムイオンバッテリーで構成され、直流高電圧(例えば、直流336V)を出力することができるメインバッテリー50aと、このメインバッテリー50aの状態を取得するとともに保護する保護回路50bとから構成される。
【0018】
次に、この電動モータ31にメインバッテリーユニット50を用いて電力を供給する電源システム40について説明する。電源システム40は、メインバッテリーユニット50の状態および出力電圧を監視する電源監視コントローラ41、並びに、インバータ43およびコントロールバルブ34を制御して電動モータ31および油圧アクチュエータ20を作動させるとともに、インバータ43に供給される電力を接続および切断する制御コントローラ42を有している。
【0019】
この電源システム40は、パワーショベル車1の始動時に電源監視コントローラ41を作動させるために、この電源監視コントローラ41を作動させる直流電圧(例えば、直流12.6V)を出力するリチウムイオンバッテリーで構成されたバックアップバッテリー44を有しており、このバックアップバッテリー44と電源監視コントローラ41とは、オペレータキャビン15内に設けられたキースイッチ(メイン電源スイッチ)45により接続および切断されるように構成されている。また電源監視コントローラ41は、メインバッテリーユニット50の保護回路50bにバックアップバッテリー44からの電力を供給するように構成されるとともに、この保護回路50bからメインバッテリー50aの状態を収集するように構成されている。
【0020】
メインバッテリーユニット50のメインバッテリー50aは、制御コントローラ42とインバータ43とに電力を供給するように接続されている。メインバッテリー50aと制御コントローラ42との間には第1リレー46の第1接点46aが接続されており、メインバッテリー50aと制御コントローラ42とはこの第1リレー46により接続および切断される。また、メインバッテリー50aとインバータ43との間には第2リレー47の接点47aが接続されており、メインバッテリー50aとインバータ43とはこの第2リレー47により接続および切断される。この制御コントローラ42は、メインバッテリー50aから供給される高圧直流電圧を低圧直流電圧(電源監視コントローラ41を作動させるための電圧)に変換するDC−DCコンバータ48を有しており、このDC−DCコンバータ48の出力は保護用のダイオード51を介してバックアップバッテリー44とキースイッチ45の間、すなわち、電源監視コントローラ41とバックアップバッテリー44とに接続されており、これらの接続は第1リレー46の第2接点46bにより接続および切断されるように構成されている。
【0021】
第1リレー46の第1および第2接点46a,46bは、電源監視コントローラ41の制御により接続および切断されるように構成されている。この第1および第2接点46a,46bは、通常は切断状態(オフ状態)に維持され、電源監視コントローラ41から第1リレー46に電圧が印加されるとオン状態となり、これらの接点46a,46bが接続してメインバッテリー50aと制御コントローラ42、並びに、DC−DCコンバータ48と電源監視コントローラ41およびバックアップバッテリー44を接続するように構成されている。なお、第1リレー46の第2接点46bが接続されると、DC−DCコンバータ48は、電源監視コントローラ41に電力を供給するとともに、バックアップバッテリー44を充電するように構成されている。また、第2リレー47の接点47aは、制御コントローラ42の制御により接続および切断されるように構成されている。この接点47aは、通常は切断状態(オフ状態)に維持され、制御コントローラ42から第2リレー47に電圧が印加されるとオン状態となり、この接点47aが接続してメインバッテリー50aとインバータ43とを接続するように構成されている。
【0022】
なお、制御コントローラ42は、油圧ユニット30に設けられ油圧ポンプ32の吐出圧力を検出する油圧センサ36の出力値と、メインバッテリー50aからインバータ43に供給される負荷電流を計測する電流センサ49の検出値が入力されるように構成されている。また、電源監視コントローラ41には、第1リレー46がオン状態であること、すなわち、制御コントローラ42に電力が供給されていることを示す第1パイロットランプ41aと、第1リレー46がオフ状態のときに押下することにより、第1リレー46をオンする電源スイッチ41bと、メインバッテリーユニット50の異常等が発生していることを報知する警報用パイロットランプ52とが設けられている。さらに、制御コントローラ42には、第2リレー47がオン状態であること、すなわち、インバータ43に電力が供給されていることを示す第2パイロットランプ42aと、第2リレー47がオフ状態のときに押下することにより、第2リレー47をオンするモータ起動スイッチ42bとが設けられている。こられの第1および第2パイロットランプ41a,42a、警報用パイロットランプ52、電源スイッチ41b、並びに、モータ起動スイッチ42bは、オペレータキャビン15内に配置されている。
【0023】
それでは、この電源システム40による電力供給の制御について図3を用いて説明する。最初に、電源の投入処理から説明する。オペレータキャビン15に搭乗したオペレータは、このオペレータキャビン15に配置されたキースイッチ45をオンすると、バックアップバッテリー44から電源監視コントローラ41に電力が供給され、この電源監視コントローラ41が起動する(ステップS100)。電源監視コントローラ41は、まず、メインバッテリーユニット50の保護回路50bに電力を供給しこの保護回路50bを起動させ、保護回路50bは、メインバッテリー50aの状態の収集を開始する(ステップS110)。そして、電源監視コントローラ41は、保護回路50bからメインバッテリー50aの状態を取得し(ステップS120)、メインバッテリー50aが使用可能か否かを判断する(ステップS130)。例えば、メインバッテリー50aが過放電状態である場合等、このメインバッテリー50aが使用不可能であると判断すると、電源監視コントローラ41は、警報用パイロットランプ52を点灯させ、電源投入処理を終了する(ステップS160)。
【0024】
一方、メインバッテリー50aが正常な状態であり、使用可能であると判断すると、電源監視コントローラ41は、第1リレー46をオンして、メインバッテリー50aから制御コントローラ42に電力を供給し、この制御コントローラ42を起動させるとともに、第1パイロットランプ41aを点灯する(ステップS140)。なお、上述のように、第1リレー46がオン状態になると、DC−DCコンバータ48から電源監視コントローラ41およびバックアップバッテリー44に電力が供給され、以降は、電源監視コントローラ41は、このDC−DCコンバータ48から供給される電力で動作するとともに、バックアップバッテリー44の充電が開始される。
【0025】
最後に、制御コントローラ42が起動すると、この制御コントローラ42は、第2リレー47をオン状態にしてメインバッテリー50aからインバータ43に電力を供給し、このインバータ43を制御して、所定の電圧および周波数の交流電力を電動モータ31に供給して、電動モータ31を駆動させるとともに、第2パイロットランプ42aを点灯し(ステップS140)、電源システム40における電源投入処理を修了する。
【0026】
次に、電源システム40による省電力制御について図4を用いて説明する。なお、省電力制御とは、油圧アクチュエータ20に作動油を供給する必要が無いときに、電動モータ31を停止したり、制御コントローラ42を停止したりすることにより、メインバッテリー50aに充電された電力の消耗を防ぐ制御である。図4は、制御コントローラ42における制御を示しており、上述のように電源投入処理が終了すると、省電力制御が開始される。
【0027】
制御コントローラ42は、油圧センサ36および電流センサ49により吐出油圧および負荷電流を計測する(ステップS200)。そして、設定時間内(例えば、5秒間)で吐出油圧若しくは負荷電流の変化があるかを判断し(ステップS210)、変化がある場合は、ステップS200に戻りこれらの処理を繰り返す。一方、設定時間内に吐出油圧および負荷電流に変化が無いときは、制御コントローラ42は第2リレー47をオフし、インバータ43への電力供給を切断して、電動モータ31を停止させるとともに、第2パイロットランプ42aを消灯する(ステップS220)。
【0028】
次に、制御コントローラ42は、モータ起動スイッチ42bがオンされたか否かを判断する(ステップS230)。モータ起動スイッチ42bがオンされたと判断したときは、第2リレー47をオンしてインバータ43へ電力を供給することにより電動モータ31を駆動させ、また、第2パイロットランプ42aを点灯する(ステップS240)。そして、ステップS200に戻り、上述の処理を繰り返す。ステップS230で、モータ起動スイッチ42bがオンされていないと判断されたときは、制御コントローラ42は、操作装置14等の操作状態を取得し(ステップS250)、設定時間内で無操作制御状態であるか否かを判断し(ステップS260)、無操作制御状態でないときはステップS230に戻りこれらの処理を繰り返す。
【0029】
ステップS230で設定時間の間、無操作制御状態が継続したと判断されたときは、制御コントローラ42は、電源監視コントローラ41に指令信号を送信する(ステップS270)。そして、電源監視コントローラ41は、この指令信号を制御コントローラ42から受信すると、第1リレー46をオフして、制御コントローラ42への電力供給を切断することによりこの制御コントローラ42を停止させるとともに第1パイロットランプ41aを消灯し、また、メインバッテリーユニット50の保護回路50bへの電力供給を停止し、その後、スリープモードに移行する。
【0030】
電源監視コントローラ41は、スリープモードに入ると、電源スイッチ41bが押下されるのを監視する以外の動作を停止し、バックアップバッテリー44の電力消費を極力抑えるように動作する。そして、電源スイッチ41bが押下されたのを検出すると、電源監視コントローラ41は、スリープモードを解除して、図3で示した電源投入処理のうちステップS110以降の処理を実施し、第1および第2リレー46,47をオン状態にして、制御コントローラ42およびインバータ43に電力を供給して電動モータ31を作動させる。
【0031】
このように、インバータ43に対する電力供給を制御する制御コントローラ42とは別に、メインバッテリーユニット50を監視するとともに制御コントローラ42に対する電力供給を制御する電源監視コントローラ41、および、メインバッテリーユニット50から電力が供給されない状態でもこの電源監視コントローラ41を作動させるバックアップバッテリー44を設けることにより、メインバッテリー50aに異常が発生したときでも、この異常を電源監視コントローラ41で検出して警報用パイロットランプ52等により警告することができるので、このパワーショベル車1を操作するオペレータは、メインバッテリーユニット50の異常をすぐに認識することができる。
【0032】
このとき、上述のように電源投入時の処理は、電源監視コントローラ41から順に電源を投入していくことにより行うことができるので、電源監視コントローラ41および制御コントローラ42の処理および構成を簡単にすることができる。また、メインバッテリー50aが正常な状態で、制御コントローラ42に電力が供給されたときは、同時に、メインバッテリー50aにより電源監視コントローラ41を作動させるとともに、バックアップバッテリー44を充電することにより、メインバッテリー50aの異常時に、バックアップバッテリー44で電源監視コントローラ41を作動させることができる。
【0033】
さらに、油圧アクチュエータ20への作動油の供給状況や操作装置14の操作状況を制御コントローラ42で監視し、油圧が必要ないときはインバータ43への電力供給を停止したり、さらには、制御コントローラ42への電力供給を停止したりすることにより、メインバッテリー50aの不要な電力消費を抑え、このメインバッテリーユニット50を充電することなく行えるパワーショベル車1の作業時間を長くすることができる。なお、このようにインバータ43や制御コントローラ42への電力供給を停止したとしても、モータ起動スイッチ42a若しくは電源スイッチ41aを押下することにより、簡単に、インバータ43や制御コントローラ42へ電力を供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る作業用車両の一例であるクローラ型パワーショベル車の構成を示す斜視図である。
【図2】上記パワーショベル車に搭載される油圧ユニットおよび電源ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】上記電源ユニットにおける電源投入時の処理を示すフローチャートである。
【図4】上記電源ユニットにおける省電力制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 クローラ型パワーショベル車(作業用車両)
20 油圧アクチュエータ
31 電動モータ
32 油圧ポンプ
50 メインバッテリーユニット
50a メインバッテリー
50b 保護回路
41 電源監視コントローラ
42 制御コントローラ
43 インバータ
44 バックアップバッテリー
45 キースイッチ
46 第1リレー(コントローラ用リレー)
47 第2リレー(電動モータ用リレー)
48 DC−DCコンバータ
52 警報用パイロットランプ(警報手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータにより駆動される作業用車両であって、
前記油圧アクチュエータを作動させるための作動油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動モータと、
直流電力を供給するメインバッテリーと、
前記メインバッテリーからの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに供給することにより前記電動モータを作動させるインバータと、
前記メインバッテリーおよび前記インバータを接続・切断する電動モータ用リレーと、
前記メインバッテリーからの直流電力により作動して、前記油圧アクチュエータおよび前記インバータの作動を制御するとともに、前記電動モータ用リレーにより前記メインバッテリーおよび前記インバータを接続・切断する制御コントローラと、
前記メインバッテリーおよび前記制御コントローラを接続・切断するコントローラ用リレーと、
前記メインバッテリーの状態を監視するとともに、前記コントローラ用リレーにより前記メインバッテリーおよび前記制御コントローラを接続・切断する電源監視コントローラと、
前記電源監視コントローラに電力を供給するバックアップバッテリーと、
前記電源監視コントローラおよび前記バックアップバッテリーを接続・切断するキースイッチと、を有し、
前記キースイッチにより前記電源監視コントローラおよび前記バックアップバッテリーが接続されて、前記電源監視コントローラを起動したときに、
前記電源監視コントローラが、前記メインバッテリーの状態を取得し、前記メインバッテリーが使用可能であるか否かを判断する第1のステップ、
前記第1のステップにおいて前記メインバッテリーが使用可能であると判断されたときに、前記電源監視コントローラが、前記コントローラ用リレーにより前記メインバッテリーおよび前記制御コントローラを接続して、前記制御コントローラを起動する第2のステップ、および、
前記制御コントローラが、前記電動モータ用リレーにより前記インバータおよび前記メインバッテリーを接続して前記電動モータを駆動させる第3のステップ、を実行するように構成された作業用車両。
【請求項2】
前記メインバッテリーの状態を収集する保護回路を有し、
前記第1のステップにおいて、前記電源監視コントローラが、前記保護回路に前記バックアップバッテリーからの電力を供給して前記保護回路を起動した後に、前記保護回路から前記メインバッテリーの状態を取得するように構成された請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記メインバッテリーが使用不可能であることを警報する警報手段を有し、
前記第1のステップにおいて、前記メインバッテリーが使用不可能であると判断されたときに、前記電源監視コントローラが前記警報手段により警報を発するように構成された請求項1または2に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記メインバッテリーの直流電圧を前記電源監視コントローラを作動させるための電圧に変換するDC−DCコンバータを有し、
前記コントローラ用リレーが、前記メインバッテリーおよび前記制御コントローラを接続すると同時に、前記DC−DCコンバータの出力を前記バックアップバッテリーおよび前記電源監視コントローラに接続するように構成された請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業用車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−321462(P2007−321462A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153695(P2006−153695)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000150154)株式会社竹内製作所 (50)
【Fターム(参考)】