説明

作業車両

【課題】
旋回時に駆動力の切れる走行装置に駆動力を供給する状態とする操作装置を設け、旋回時の走行が停滞することのない作業車両を提供する。
【解決手段】
走行装置11,11と伝動切替装置300を走行斜体2に左右一対設け、走行車体2を左右方向に旋回操作する操作部材34を設け、操作部材34の操作に連動して旋回内側の伝動切替装置300を「切」側に作動させる旋回連動機構307を設け、旋回連動機構307と切替部材305を連結する連動操作機構317を設け、伝動操作部材303を設け、伝動操作部材303と切替部材305を連繋操作部材304で連結して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車両に苗植え付け装置などの作業装置を連結した乗用型の作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車両には、電磁バルブを制御して旋回内側の後輪のサイドクラッチを間欠的に入切し、間欠的に旋回内側の後輪に駆動力を供給して回転させることにより、圃場の泥土の抵抗に負けることなく旋回走行を行なう技術が存在する。(特許文献1)
【特許文献1】特開2010−263803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された作業車両は、旋回中に所定間隔ごとに電磁バルブが開閉されてサイドクラッチを入切操作する構成であるため、電磁バルブやサイドクラッチにかかる負荷が大きく、耐久性が低下する問題がある。
また、電磁バルブの送油パイプや、電磁バルブ制御用のケーブル等が複雑に配置されるため、機体構成が複雑化する問題がある、
本発明は、この問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、走行車体(2)に走行装置(11)を設け、該走行装置(11)への駆動力の伝動を入切する伝動切替装置(300)を設け、前記走行車体(2)の走行状態に合わせて伝動切替装置(300)の入切状態を切り替える切替部材(305)を設けると共に、前記走行車体(2)の走行状態にかかわりなく該切替部材(305)を伝動「入」側に操作する伝動操作部材(303)を設けたことを特徴とする作業車両とした。
請求項2記載の発明は、前記走行装置(11,11)と伝動切替装置(300)を左右一対設け、前記走行車体(2)を左右方向に旋回操作する操作部材(34)を設け、該操作部材(34)の操作に連動して旋回内側の伝動切替装置(300)を「切」側に作動させる旋回連動機構(307)を設け、該旋回連動機構(307)と切替部材(305)を連結する連動操作機構(317)を設け、前記伝動操作部材(303)を設け、該伝動操作部材(303)と切替部材(305)を連繋操作部材(304)で連結したことを特徴とする請求項1記載の作業車両とした。
請求項3記載の発明は、前記切替部材(305)を伝動切替装置(300)に回動自在に設け、該切替部材(305)の下部に前記連動操作機構(317)を連結し、該切替部材(305)の上部に連繋操作部材(304)を連結する構成としたことを特徴とする請求項2記載の作業車両とした。
請求項4記載の発明は、前記連動操作機構(317)に伸縮部材(313,319)を設け、該伸縮部材(313,319)は伝動操作部材(303)を操作すると収縮し、前記伝動操作部材(303)の操作を止めると伸張して連動操作機構(317)を機体前側に移動させて前記切替部材(305)を伝動「切」側に回動させる構成としたことを特徴とする請求項2または3に記載の作業車両とした。
請求項5記載の発明は、前記左右の走行装置(11,11)の駆動回転を検知する回転検知部材(323,323)を設け、該左右の回転検知部材(323,323)で検知する回転数に差が生じているときに前記伸縮部材(313,319)を収縮可能とする収縮操作部材(322,322)を設けたことを特徴とする請求項4に記載の作業車両とした。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、走行車体(2)の走行状態にかかわりなく伝動切替装置(300)を走行装置(11)に駆動力を伝動する状態とする伝動操作部材(303)を設けたことにより、走行装置(11)への駆動力が切られる走行状態であっても、伝動操作部材(303)を操作すると伝動切替装置(300)を走行装置(11)に駆動力を供給する状態に切り替えることができるので、走行装置(11)が泥土により回転不能になって走行停止することが防止され、作業能率が向上する。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、操作部材(34)の操作に連動して旋回内側の伝動切替装置(300)を「切」状態とする連動操作機構(317)を作動させる旋回連動機構(307)を設けたことにより、圃場端等で旋回走行する際、旋回内側の走行装置(11)の駆動回転を止めることができるので、旋回走行の径が小さくなり、圃場端間際での旋回走行が容易に行なえる。
そして、伝動操作部材(303)を設けたことにより、伝動操作部材(303)を操作して切替部材(305)を「入」側に操作すると伝動切替装置(300)から旋回内側の走行装置(11)に駆動力を供給kすることができるので、旋回走行不能となることが防止され、作業能率が向上する。
また、伝動操作部材(303)を操作したときのみ走行装置(11)への駆動力が供給されることにより、伝動切替装置(300)が切替操作による負担を受けにくくすることができるので、伝動切替装置(300)の耐久性が向上する。
さらに、切替部材(305)と伝動操作部材(303)を連繋操作部材(304)で連結すると共に、切替部材(305)と連動操作機構(317)を旋回連動機構(307)で機械的に連結したことにより、油圧系統の配管や電子制御系統の配索が不要となるので、走行装置(11)の駆動力の切替機構が簡潔な構成となる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、伝動切替装置(300)の入切を切り替える切替部材(305)の上部に、伝動操作部材(303)の操作に連動して切替部材(305)を回動させる連繋操作部材(304)を設けたことにより、切替部材(305)と連繋操作部材(304)の連結部を圃場面から上方に離間させることができるので、走行装置(11)などが跳ね上げた泥土が連結部に付着することが防止され、切替部材(305)が伝動操作部材(303)の操作に連動しなくなることが防止される。
また、切替部材(305)が回動する際に泥土に接触する摩擦で切替部材(305)や連繋操作部材(304)が傷つくことを防止できるので、耐久性が向上する。
請求項4記載の発明の効果は、請求項2または3記載の発明の効果に加えて、伝動操作部材(303)を操作すると収縮し、伝動操作部材(303)の操作を止めると伸張して連動操作機構(317)を移動させて切替部材(305)を伝動「切」側に移動させる伸縮部材(313,319)を設けたことにより、伝動操作部材(303)の操作を止めると同時に走行装置(11)への駆動力を遮断することができるので、旋回内側の走行装置(11)が泥土から抜け出した後も駆動回転し続けることが防止されるため、走行車体(2)の旋回軌跡が途中で変更されることが防止され、走行性が向上する。
また、作業者が手作業で旋回軌跡を修正する操作が不要となるため、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
さらに、伸縮部材(313,319)が収縮して切替部材(305)を「切」側に移動する力が伝動操作部材(303)にかからないと、旋回内側の伝動装置(11)への駆動力は遮断されたままとなるので、誤って伝動操作部材(303)に触れることがあっても誤操作が防止される。
請求項5記載の発明の効果は、請求項4記載の発明の効果に加えて、左右の回転検知部材(323,323)が検知する左右の走行装置(11,11)の回転数に差が生じているときのみ伸縮部材(313,319)を収縮させる収縮操作部材(322,322)を設けたことにより、伝動切替装置(300)が左右の走行装置(11,11)への駆動力を遮断している停車時に誤って伝動操作部材(303)を操作しても、伝動切替装置(300)が「入」になり走行車体(2)が発信してしまうことを防止できるので、安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】乗用型田植機の側面図
【図2】乗用型田植機の平面図
【図3】サイドクラッチ装置周辺を示す要部側面図
【図4】クラッチ操作装置の要部側面図
【図5】積層形態の予備苗枠の側面図
【図6】展開形態の予備苗枠の側面図
【図7】別実施例のサイドクラッチ装置周辺を示す要部側面図
【図8】各制御部材のブロック図
【図9】仰角センサの検知により、走行状態に合わせたサーボモータの減速制御を示すフローチャート
【図10】光センサを設けたセンターロータまたはサイドロータの側面図
【図11】光センサの検知により、走行状態に合わせたサーボモータの減速制御を示すフローチャート
【図12】グリップセンサを設けたハンドルの平面図
【図13】グリップセンサが非検知状態になると走行を停止する制御を示すフローチャート
【図14】走行速度に合わせて整地装置の作業高さを変更する部材の繋がりを示すブロック図
【図15】走行速度に合わせて整地装置の作業高さを変更する制御を示すフローチャート
【図16】走行速度に合わせて苗植付部の作業高さを変更する制御を示すフローチャート
【図17】サイドフロートに波検知装置を設けた要部平面図
【図18】走行操作レバーを高速域から低速域に急操作した際に仰角センサの検知による苗植付部の昇降を行なわない制御を示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
図1及び図2は、本発明の作業機の一実施例である乗用型田植機の側面図と平面図である。
この乗用型田植機は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4を昇降可能に設け、該走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分を配置している。そして、該走行車体2の前部にミッションケース12を設け、該ミッションケース12の左右側方にそれぞれ前輪ファイナルケース13,13を設けると共に、該左右の前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右の前輪車軸14に駆動輪である左右一対の前輪10,10を設ける。
また、前記ミッションケース12の背面部に機体のメインフレーム15の前端部を固着し、該メインフレーム15の後端部で且つ左右方向中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸(図示省略)を支点として左右の後輪ギアケース18,18をローリング自在に設け、該後輪ギアケース18,18から外側方向に向けて突出させた左右の後輪車軸18a,18aにそれぞれ後輪11,11を軸着する。
さらに、前記メインフレーム15の上部で且つ、機体の前後及び左右方向の略中央位置にエンジン20を設け、該エンジン20の駆動力をベルト伝動装置21及び油圧式無段変速装置(HST)23を介して前記ミッションケース12に伝動する構成とする。そして、前記ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ミッションケース12に内装するトランスミッション(図示省略)により変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
これにより、走行駆動力の一部が前記左右の前輪ファイナルケース13,13に伝達されて左右の前輪10,10を回転駆動させると共に、残りの走行駆動力は前記左右の後輪ギアケース18,18に伝達されて左右の後輪11,11を回転駆動させる。
また、外部取出動力は、前記走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、該植付クラッチケース25から植付伝動軸26を経由して苗植付部4へ伝動されると共に、施肥伝動機構(図示省略)を経由して前記施肥装置5に伝動される。
前記メインフレーム15の上部に、該メインフレーム15を覆う平坦なフロアステップ35をエンジン20を避けて設け、該フロアステップ35上で且つエンジン20の外周に、エンジン20を覆うエンジンカバー30を設ける。該エンジンカバー30は前側下部を回動支点として回動可能に構成すると共に、上部に作業者が着座する作業座席31を装着する。
そして、該作業座席31よりも機体前側で且つフロアステップ35上に、本件作業車両の各種作業機構を内装するボンネット32を設け、該ボンネット32の上部に各作業部の設定を変更操作するスイッチ類を配置する操作パネル33と、作業者が前記左右の前輪10,10を操舵するハンドル34を設ける。
また、前記フロアステップ35のうち、作業座席31の左右両側は格子状に形成し、フロアステップ35上を異動する作業者の足等に付着した泥土が圃場に落下する構成としている。さらに、図2に示すとおり、フロアステップ35の左右両側に、左右の延長ステップ35a,35aを設け、該左右の延長ステップ35a,35aを格子形状とすることにより、作業座席31に到達する前に泥土を落とし、フロアステップ35上に泥土が残りにくく、作業後の掃除に要する労力が軽減される構成としている。
そして、前記フロアステップ35の後部には、前記左右の後輪11,11のフェンダを兼ねるリアステップ36,36を設ける。該リアステップ36,36は、機体前側から後側に向かう後上り傾斜姿勢の部分と、この後上り傾斜姿勢の終端部から機体後方に向かう平坦な部分を有しており、作業者は前記苗植付部4に苗を補充する時には、この平坦な部分に立って作業をすることができるので、苗の補充作業の能率が向上する。
なお、前記左右の延長ステップ35a,35aの機体後部も、前記左右のリアステップ36,36と同じ形状に構成すると、植付条数が多く、苗植付部4の左右幅が広い機体であっても、作業者は苗植付部4に近付いて苗の補充作業をすることができるので、作業能率が向上する。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載置する予備苗枠38,38が、機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。該左右の予備苗枠38,38は苗を載置する複数の予備苗載せ台38a,38b,38c,38dを備え、該予備苗載せ台38a,38b,38c,38dが側面視で前後方向に並ぶ展開形態(第1の形態)と、上下方向に並ぶ積層形態(第2の形態)に切替可能な構成とする。
本件実施例では、この複数の予備苗載せ台を、展開形態では機体前側から第1、第2、第3、第4の予備苗載せ台と呼称し、積層形態では機体上側から第1、第2、第3、第4の予備苗載せ台と呼称する。但し、この呼称は参考として提示するものであり、予備苗載せ台の数量を限定するものではない。
苗の植付作業をするときは前記左右の予備苗枠38,38を機体よりも側方に張り出させることにより、該左右の予備苗枠38,38とボンネット32との間に、機体前側から走行車体2上に作業者が乗り降りするスペースを確保することができるので、作業者は圃場の位置に合わせて乗り降りする位置を選択することができ、作業能率が向上するとともに、乗り降りの際の安全性が向上する。
一方、作業を終えて本件作業車両を軽トラック等の輸送車両や、倉庫等の収納場所に収納するときは、前記左右の予備苗枠38,38を回動させて走行車体1の左右幅内に収めることにより、左右幅をコンパクトにすることができるので、余分な収納スペースを取ることがなくなる。
前記予備苗枠38の構成について、図5、図6で説明する。
走行車体1の左右両側に支柱381をそれぞれ設け、該支柱381の上部に主支持フレーム381aを設けると共に、該主支持フレーム381aよりも後ろ側に、側面視でL字型の副支持フレーム381bを設ける。そして、該主支持フレーム381aの上端部に主リンクアーム383を回動中心軸384を介して回動自在に装着し、前記副支持フレーム381bの上端部に副回動軸385を介して後側の副リンクアーム386bを回動自在に配置する。
また、前記主リンクアーム383及び副リンクアーム386bが積層状態であるときの下端部に第4の予備苗載せ台38dを取り付ける第4取付フレーム387dを設け、前記回動中心軸384及び副回動軸385よりも上方位置に第3の予備苗載せ台38cを取り付ける第3取付フレーム387cを設ける。さらに、前記主リンクアーム383の上端部に第2の予備苗載せ台38bを取り付ける第2取付フレーム387bの後部側を取り付け、該第2取付フレーム387bの前部側に前側の副リンクアーム386aの上端部を取り付けると共に、該前側の副リンクアーム386aの下端部を前記第3取付フレーム387cの前部側に取り付ける。
そして、前記回動中心軸384に回動ギア388を軸着し、該回動ギア388に電動モータ390に取り付けた駆動ギア389を噛み合わせ、該回動ギア388と電動モータ390を苗枠伝動ケース391に内装する。
さらに、前記第2取付フレーム387bの上部で且つ前後方向の略中央位置に取付支柱393を設け、該取付支柱393の上端部に第1の予備苗載せ台38aを取り付ける第1取付フレーム387aを取り付ける。前記取付支柱393は、積層形態であるときに第1の予備苗載せ台38aと第2の予備苗載せ台38bの上下間隔が、第2の予備苗載せ台38bと第3の予備苗載せ台38c、及び第3の予備苗載せ台38cと第4の予備苗載せ台38dの上下間隔よりも広くなる長さとする。また、前記予備苗枠38を展開形態に切り替えると、第1の予備苗載せ台38aは第2の予備苗載せ台38bと共に前側に移動する構成とする。
なお、前記取付支柱393は、第1取付フレーム387aの前後方向にそれぞれ一つずつ設ける構成とすると、支持強度が向上し、耐久性が向上する。
上記により、前記電動モータ390を作動させて駆動ギア390を回転させ、回動ギア388を回転させると、主リンクアーム383、前側及び後側の副リンクアーム386a,386bが積層形態となる方向及び展開形態となる方向に回動させる構成となるので、作業者は予備苗枠38を積層形態または展開形態に切り替える際、手作業で主リンクアーム383等を移動させる必要がなく、作業者の労力が軽減される。
また、図2で示すとおり、前記電動モータ390の作動を入切操作する苗枠操作スイッチ392をボンネット32の上部で且つ、操縦座席31に着座した作業者が手を伸ばすと届く位置に配置すると、作業者は操縦座席31から降りることなく予備苗枠38の形態の切替操作を行なうことができるので、作業能率が向上する。
そして、予備苗枠38を展開形態に切り替えると、第2、第3、第4の予備苗枠38b,38c,38dが前後方向に直線状に並ぶことによって、第2の予備苗枠38bに積み込んだ苗を押すと後側の第3または第4の予備苗枠38c,38dに移動させることができるので、苗の積み込み作業能率が向上する。
さらに、第2の予備苗載せ台38bの上方に第1の予備苗載せ台38aが位置することにより、作業者は第1の予備苗載せ台38aに苗を積み込むことができるので、作業能率が向上するとともに、展開形態にした予備苗枠38が前方に突出し過ぎないため、苗の積み込み作業中に予備苗枠38が撓むことがなく、苗が振り落とされることが防止される。
また、第1の予備苗載せ台38aと第2の予備苗載せ台38bの上下間隔を、第2、第3の予備苗載せ台38b,38c、及び第3、第4の予備苗載せ台38c,38dの上下間隔よりも広くしたことより、積層形態または展開形態に予備苗枠38を切り替えるとき、主リンクアーム383の回動軌跡に第1の予備苗載せ台38a及び第1取付フレーム387aが干渉することを防止できる。
なお、電動モータ390に温度変化によって屈曲するバイメタル、あるいは許容量以上の負荷がかかると即座に通電を遮断する通電遮断部材を内装し、主リンクアーム383、前側及び後側の副リンクアーム386a,386bが積層形態または展開形態になってそれ以上回動できなくなった際に電動モータ390に負荷がかかると自動的に電動モータ390の通電が停止する構成とすると、予備苗枠38が積載状態または展開状態になると同時に電動モータ390を停止させるためのスイッチ等の停止制御部材が不要となるので、予備苗枠38の切替操作機構が簡易化される。
次に、苗植付部4等について説明する。
図1及び図2で示すとおり、前記昇降リンク装置3は、上部リンクアーム40と左右一対の下部リンクアーム41,41で構成する平行リンクとし、該上部リンクアーム40と下部リンクアーム41,41の一側端部を前記メインフレーム15の後部側に立設する背面視門型のリンクベースフレーム42に取り付ける。また、前記上部リンクアーム40と下部リンクアーム41,41の他側端部を苗植付部4側の上下リンクアーム43に取り付ける。
さらに、前記上下リンクアーム43の下端部に、苗植付部4に回転自在に支承された連結軸を(図示省略)挿し込んで連結し、該連結軸を中心として苗植付部4をローリング自在に連結する。そして、前記メインフレーム15に固着した支持部材と上部リンクアーム40に一体形成したスイングアーム(図示せ省略)の先端部の間に昇降油圧シリンダ46を伸縮自在に設け、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより前記上部リンクアーム40が上下に回動して苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する構成とする。
上記により、苗植付部4を略同じ姿勢のままで上下移動させることができるので、圃場端での旋回時等に苗植付部4を上昇させ、旋回終了後に苗植付部4を下降させれば植付姿勢に戻るため、細かい調節操作が不要となり、作業能率が向上する。
図1及び2で示すとおり、本件では、前記苗植付部4は8条植の構成とし、苗を一条分ずつ積載する複数の(本件では8つの)苗載せ台51…を左右方向に連結して設け、該苗載せ台51…の下方に苗植付部4のフレームを兼ねる苗植付伝動ケース50を設け、該苗植付伝動ケース50の駆動力により複数の苗載せ台51…を左右方向に往復移動させる構成とする。そして、前記苗植付伝動ケース50から駆動力を取り出す苗植え伝動ケース54…を左右方向に等間隔を空けて複数(本件では4つ)装着し、該苗植え伝動ケース54…の左右両側に楕円軌跡を描いて回転駆動しながら苗を取って圃場に植え付ける植付装置52,52をそれぞれ装着する。
さらに、前記連結した苗載せ台51…の左右幅よりも左右方向に長い、苗載せ台51…に積載された苗を受け止める側面視L字型の苗受け板51cを設け、該苗受け板51cに、前記苗載せ台50に積載した苗を植付装置52…が掻き取る際に通過する苗取出口51a…を複数ヶ所(本件では8ヶ所)切り欠いて形成する。また、前記苗載せ台51…の下部側に、各条に所定間隔ごとに苗を苗受け板51c側(苗植付装置4の下部側)に移動させる左右一対の苗送りベルト51b,51bを設け、該左右の苗送りベルト51b,51bの左右間に、積載された苗の量が所定量未満になったことを検知する苗補充センサ140…を各条毎に設ける。
該苗補充センサ140…が苗の減少を検知すると、ブザー141aや点灯ランプ141b等の報知装置141を作動させて、作業者に苗の補充作業の必要があることを報知する。
上記により、苗が無くなったことに作業者が気づかず、苗が植え付けられない区間が発生することを防止できるので、苗の植付作業能率が向上する。
また、作業者が苗の植え付けられなかった場所に、手作業で苗を植え付ける作業が不要となるため、作業者の労力が軽減される。
前記苗植付部4の下部には、左右方向の略中央位置にセンターフロート55を設け、該センターフロート55の左右両側にミドルフロート57,57とサイドフロート56,56をそれぞれ設ける。該センターフロート55、サイドフロート56,56及びミドルフロート57,57は、苗植付部4を下降させて苗の植え付け作業を行うとき、圃場の泥面(圃場の表土面)に接地し、機体を進行させると、センターフロート55、サイドフロート56,56及びミドルフロート57,57が泥面を整地しつつ滑走する。この整地跡に前記苗植付装置52…が苗が植え付けるよう、前記苗植え伝動ケース54…の前後長さ及び苗植付装置52…の植付軌跡が設定されている。
そして、前記センターフロート55、サイドフロート56,56及びミドルフロート57,57は、圃場の表土面の凹凸に合わせて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられている。特に、前記センターフロート55の取付基部には、該センターフロート55の前部の上下動する角度を検知する仰角センサ(ポテンショメータ)235が設けられており、該仰角センサ235の検知した角度に合わせて前記昇降油圧シリンダ46を伸縮制御する比例バルブ(油圧バルブ)161の開度を変更し、苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを一定に維持する構成としている。
上記により、苗をセンターフロート55、サイドフロート56,56及びミドルフロート57,57で均した場所に植えることができるので、苗の周りの土の高さに偏りが生じにくくなり、苗の生長が安定し、作物の品質が向上する。
そして、仰角センサ235が検出するセンターフロート55の上下角度に合わせて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを安定させることができるので、苗の植付深さが浅くなり過ぎ、圃場に張った水の流れで苗が流されたり、強風で苗が飛ばされたりすることが防止されるため、作物の収穫量が向上する。
また、苗の植付深さが深くなり過ぎ、日照不足や水分過多により作物の生育が乱れることを防止できるので、作物の品質が向上すると共に、植付作業後に苗が枯れることを防止できる。
前記施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留した粒状の肥料を複数条分(本件では8条分)の繰出部61…から一定量ずつ繰り出し、その肥料を複数条分(本件では8条分)の施肥ホース62…で前記センターフロート55、サイドフロート56,56、ミドルフロート57,57の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示省略)まで案内し、該施肥ガイド…の前側に設けた作溝体(図示省略)…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む構成としている。
また、ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させた風が、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して前記施肥ホース62…に吹き込まれ、該施肥ホース62…内の肥料を風圧で強制的に搬送する構成としている。
上記により、各条の苗の植付位置に作溝体で形成した溝に粒状の肥料を落とすことができるので、肥料が水流や風によって苗から離れた位置に移動することが防止され、苗が肥料不足で生育不良を起こすことがなく、作物の生育が安定する。
また、肥料が一ヶ所に集まり、養分過多が原因となる生育不良の発生、一部の作物だけが急速に生長して収穫時期が乱れることを防止できるので、作物の品質が安定する。
前記苗植付部4には、整地装置の一例であるセンターロータ27aと、左右一対のサイドロータ27b,27bが設けられている。また、前記連結した苗載せ台51…は、苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成としている。
該センターロータ27aと左右のサイドロータ27b,27bは、苗載せ台51…の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材と、該梁部材の両端に固着した支持アームと、該支持アームに回動自在に取り付けられたロータ支持フレームからなる支持構造部に支持されている。該ロータ支持フレームの下端には、センターロータ27aとサイドロータ27b,27bのそれぞれの駆動軸70a,70bが取り付けられている。また、前記ロータ支持フレーム68の下端部近くは、前記苗植付伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結されている。
そして、前記センターフロート55の前方にセンターロータ27aを配置し、該センターフロート27aは、前記サイドフロート56,56とミドルフロート57,57の前方に配置するサイドロータ27b,27bよりも前方に配置する。さらに、前記左右一側、本件では機体左側の前記後輪ギアケース18と左側のサイドロータ27bのロータ入力ケース(図示省略)を、ロータ伝動ロッド27cで連結し、センターロータ27a及び左右のサイドロータ27b,27bに駆動力が伝動される構成とする。
なお、左側の後輪ギアケース18からロータ伝動ロッド27cを経由してロータ入力ケースに入力された駆動軸は、左側のサイドロータ27bの駆動軸70bを回転させ、左右のサイドロータ27b,27bとセンターロータ27aを連結する左右の整地伝動ケース73,73のうち、左側の整地伝動ケース73を経由してセンターロータ27aの駆動軸70aを回転させる。そして、該駆動軸70aから右側の整地伝動ケース73を経由して左側のサイドロータ27bの回転軸70bを回転させる。
前記苗植付部4は、走行車体2のメインフレーム15に昇降リンク装置3で昇降自在に装着されているが、昇降させる構成と苗植付部4の構成について説明する。
前記走行車体2に基部側を回動自在に設けた油圧シリンダ46のピストン上端部を昇降リンク装置3に連結し、図3及び図4に示す、前記走行車体2に設けた比例バルブ161により油圧シリンダ46に圧油を供給及び排出して、油圧シリンダ46のピストンを伸進・縮退させて昇降リンク装置3に連結した苗植付部4が上下動する構成としている。
図3及び図4で示すとおり、前記ボンネット32の内部に機体後側から前側に向かう前上がり上方傾斜姿勢で左右のクラッチ操作アーム301,301の上端部を回動自在に設け、該左右のクラッチ操作アーム301,301の下端部に作業者が足を当てて操作するペダルプレート302をそれぞれ取り付けて、前記左右の後輪11,11への駆動力の伝達を切り替えるサイドクラッチ300を操作する左右のクラッチ操作ペダル303,303を形成する。そして、前記左右のクラッチ操作アーム301,301の上端部側にクラッチ操作ワイヤ304,304の一側端部を取り付ける。
また、前記左右の後輪11,11の伝動軸にサイドクラッチアーム305,305を回動自在に装着し、該左右のサイドクラッチアーム305,305よりも機体前側に固定プレート306,306をボルト等で固定して設ける。そして、該左右の固定プレート306,306に屈曲部306aを形成し、該屈曲部306aに前記左右のクラッチ操作ワイヤ304,304を貫通させると共に、該左右のクラッチ操作ワイヤ304,304の他側端部を左右のサイドクラッチアーム305,305の上部側に取り付ける。
なお、前記左右のクラッチ操作ワイヤ304,304の長さは、クラッチ操作ペダル303を踏んでクラッチ操作アーム301を下方回動させると張り、サイドクラッチアーム305を機体前側に引っ張ることのできる長さとする。
さらに、前記前記ハンドル34を左旋回方向または右旋回方向の操作に連動して回動する旋回連動機構307を前記ボンネット32の内部及びメインフレーム15の枠内に亘って設け、該旋回連動機構307の下部に、旋回連動機構307に連動して前後方向に回動する左右の回動アーム308,308をそれぞれ設ける。該左右の回動アーム308,308は、旋回方向内側に操作された側が前方に回動する構成とする。
そして、前記サイドクラッチアーム305,305の下端部側に連動操作ロッド314,314の後端部を装着し、該左右の連動操作ロッド314,314の前端部を前記左右の回動アーム308,308に装着する連結メタル309をそれぞれ取り付ける。
また、前記左右の連動操作ロッド314,314には、移動不能に設けるストッパメタル310と、該ストッパメタル310に接触する中空のカラー311と、該カラー311に接触する座金312と、伸縮可能なスプリング313を機体後側から順に設ける。そして、該スプリング313の機体前側位置と、カラー311の内部で且つ座金312に接触する側に、前側のダブルナット316aと後側のダブルナット316bをそれぞれ設け、機体前側のダブルナット316aに前記連結メタル309を接触させて、クラッチ操作装置317を左右それぞれに構成する。
なお、該スプリング313は、サイドクラッチ300が「入」となるときは連結メタル309に機体後側に向かって押されることにより収縮し、サイドクラッチ300が「切」となるときは伸張して連結メタル309を機体前側に押し出す構成とする。
該クラッチ操作装置317は、前記ハンドル34を操舵すると旋回連動機構307を介して回動アーム308が機体前側に回動し、連結メタル309と共に連動操作ロッド314が機体前側に移動する。該ハンドル34の操舵量が多くなると共に回動アーム308は機体前側に回動し、サイドクラッチアーム305をサイドクラッチ「切」方向、時計回り方向に回動させて、旋回内側のサイドクラッチ300を段階的に離間させ、旋回内側の後輪11への駆動力を遮断する。
これにより、ハンドル34を操舵限界位置まで操作すると、走行車体2は左右の前輪10,10と旋回外側の後輪11の駆動力で旋回走行するため、旋回半径が小さくなると共に、駆動しない旋回内側の後輪11を軸として旋回することができるので、旋回終了位置が旋回前の植付条に近接する位置となり、苗の植付条の間隔がばらつくことが防止され、植付精度が向上する。
しかしながら、旋回内側の後輪11の駆動力を遮断して走行するため、圃場の土質によっては、旋回時に旋回内側の後輪11が土壌抵抗で空転し、その場から進めなくなることがある。
このとき、作業者は旋回内側のクラッチ操作ペダル303を足で踏み込むと、クラッチ操作アーム301が回動し、このクラッチ操作アーム301の回動によってクラッチ操作ワイヤ304が引っ張られ、端部を接続しているサイドクラッチアーム305をサイドクラッチ「入」方向、反時計回り方向に回動させて、旋回内側のサイドクラッチ300を連結し、旋回内側の後輪11を駆動回転させる。
これにより、旋回内側の後輪11が駆動力によって回転するため、土壌の抵抗に打ち勝って旋回方向に前進することができるので、旋回操作をやり直す必要がなく、作業能率が向上する。
また、クラッチ操作装置317にスプリング313を設け、クラッチ操作ペダル303を所定量以上踏み込むとこのスプリング313が回動アーム308の下部に設けられた連結メタル309に押されて収縮する構成としたことにより、作業者がクラッチ操作ペダル303を踏むのを止める、またはクラッチ操作ペダル303を踏む力を弱めると、スプリング313が伸びる力によって連動操作ロッド307を機体前側に押し戻し、サイドクラッチアーム305がサイドクラッチ「切」方向に回動されるため、再びサイドクラッチ300が遮断状態となる。
これにより、走行車体2が旋回走行を再開すると同時にクラッチ操作ペダル303を踏むのを止めると、再び旋回内側の後輪11への駆動力が遮断されるため、旋回軌跡が乱れることを防止でき、苗の植付条同士の間隔が乱れることを防止できるので、苗の植付精度が向上する。
また、スプリング313が十分に伸ばされる力がかからないとサイドクラッチアーム305はサイドクラッチ「入」方向に回動しないため、誤ってクラッチ操作ペダル303に足が当たってもサイドクラッチ「入」になることを防止できるので、旋回軌跡が乱れて植付条の間隔が乱れることが防止され、苗の植付精度が向上する。
そして、サイドクラッチアーム305の上端部側にクラッチ操作ワイヤ304を設けたことにより、サイドクラッチアーム305とクラッチ操作ワイヤ304の連結部を圃場面から上方に離間させることができるので、サイドクラッチアーム305が泥で固着したり、回動する際に摩擦で傷つくことが防止されるため、耐久性が向上する。
本件の作業車両には、前記ハンドル34の下端部に、ハンドル34の操作量を検出するハンドル切角センサ(ハンドルポテンショメータ)318を設け、該ハンドル切角センサ318が所定値以上のハンドル操舵角度(例:45〜90度以上)を検出すると、前記比例バルブ161により油圧シリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させ、前記ハンドル切角センサ318の検出する操舵角度が所定値未満になると旋回終了と判断して比例バルブ161により油圧シリンダ46を伸長させて苗植付部4を下降させる、旋回時自動昇降制御機構を搭載している。
この旋回時自動昇降制御機構は、旋回走行軌跡が途中で乱れないとき、旋回前の植付終了位置と旋回後の植付開始位置を適切な位置にすることができるが、旋回走行軌跡が途中で乱れると、旋回後の植付開始位置がずれることがある。
本件では、クラッチ操作ペダル303を踏み込むと旋回内側の後輪11に駆動力が伝達され、クラッチ操作ペダル303を緩めると速やかに旋回内側の後輪11への駆動力が遮断されるため、旋回軌跡の乱れを最低限に抑えることができ、苗の植付精度が向上する。
なお、従来の技術として、クラッチ操作ワイヤ304を設けず、電磁バルブ161により伸縮するプルシリンダ319,319で連動操作ロッド314,314を押し引きし、旋回内側の後輪11への駆動力の切り替えを間欠的に行なうものが存在する。
上記では、ハンドル34を操舵すると電磁バルブ320が旋回内側のプルシリンダ319を収縮させてサイドクラッチアーム305をサイドクラッチ「切」方向に回動させ、旋回走行を開始した後、電磁バルブ320が間欠的にプルシリンダ319を収縮させて、駆動力を間欠的に旋回内側の後輪11に伝動される。これにより、圃場端がぬかるんでいても、後輪11が間欠的に駆動力を受けて回転するため、泥に足を取られることなく旋回走行を行なうことができるので、作業能率が向上するとともに、苗の植付精度が向上する。
しかしながら、旋回内側の後輪11への駆動力を間欠的に入切するため、サイドクラッチ300や電磁バルブ161などにかかる負荷が大きく、耐久性が低下する問題があると共に、電磁バルブ161の油圧回路や、この電磁バルブ161を作動させるコントローラ321の配線が複雑になるため、配管や配線がメンテナンス作業スペースを減らしてしまい、機体のメンテナンス性が低下する問題がある。
本件では、クラッチ操作ペダル303を作業者が踏み込んだときにのみサイドクラッチ300が「入」になるため、サイドクラッチ300に負荷がかかる機会が少なくなり、耐久性が向上する。
また、複雑な油圧回路や配線が不要となるので、メンテナンス作業スペースの確保が容易となり、メンテナンス性が向上する。
上記の従来技術の問題点を緩和する構成を、図2及び7にて説明する。
前記図2で示すとおり、操作パネル33にプルシリンダ319,319を収縮させる収縮操作スイッチ322,322を設け、左右の後輪11,11の回転数を検出する後輪回転センサ323,323を設ける。該後輪回転センサ323,323はミッションケース12から左右の後輪ギアケース18,18に駆動力を伝動する左右のドライブシャフト12a,12aの後端部側に配置し、該ドライブシャフト12a,12aの回転数を検出する。サイドクラッチ300を切った側の回転数は、入った側の回転数に比べて著しく少ないため、駆動力が入っているか否か、及び走行速度を判断する規準となる。
また、前記メインフレーム15、あるいはボンネット32の内部に機体の左右方向の傾斜を検出する傾斜センサ324を設ける。旋回時は機体内側方向に機体が傾斜するため、該傾斜センサ324の検出により、旋回状態の判断基準とすることができる。
前記後輪回転センサ323,323が検出する走行速度が所定速度未満であり、傾斜センサ324が機体の傾きを検出した状態、即ち旋回走行状態であるときに、前記収縮操作スイッチ322,322を操作すると、対応する側のプルシリンダ319が収縮し、サイドクラッチアーム305をサイドクラッチ「入」方向に回動させる。
これにより、旋回内側の後輪11が空転して前進できなくなったとき、旋回内側の後輪11を駆動させて前進再開を試みることができるので、作業能率が向上すると共に、旋回軌跡が乱れにくく、苗の植付精度が向上する。
また、後輪回転センサ323と傾斜センサ324が、旋回走行中であることを検出しているときのみ操作スイッチ322,322の操作を受け付ける構成としたことにより、作業中に誤って操作スイッチ322,322を操作しても、誤操作によりサイドクラッチ300が入り切りされることを防止できるので、苗の植付走行中に突然旋回してしまうことがなく、苗の植付精度が向上する。
なお、操作スイッチ322は作業者が再度操作すると任意のタイミングでプルシリンダ319を収縮させてサイドクラッチ「切」に戻す構成、または操作が行なわれなくても所定時間経過(2〜3秒)後に自動的にプルシリンダ319を収縮させてサイドクラッチ「切」に戻す構成とする。また、旋回方向外側のプルシリンダ319に対応する側の操作スイッチ322の操作は受け付けないものとしておくと、間違えて操作しても旋回外側のサイドクラッチ300が切れることが防止できる。
次に、油圧式無段変速装置23に、トラニオン軸23aを切替操作するサーボモータ330を設けた例について説明する。
作業車両に昇降リンク機構3を介して苗植付部4を装着した苗移植機において、苗植付部4を下降させて仰角センサ235がセンターフロート55の接地を検出しているときは、植付作業時であると判断できる。そして、苗植付部4を上昇させて仰角センサ235がセンターフロート55の接地状態を検出していないときは、路上走行時であると判断できる。
路上走行時は、緊急停止可能とするべく、油圧無段変速装置23のトラニオン軸23aを操作して走行速度を変更する走行操作レバー16を前進最高速から中立位置まで一気に操作できる必要がある。
しかしながら、植付作業時に同様の緊急停止を行なうと、前輪10,10及び後輪11,11が土中に潜り込み、停止時に機体が大きく揺れて作業者が不快感を覚える問題がある。また、苗植付装置52が速度変化に対応できず、苗の前後方向の植付間隔、即ち株間が設定した株間と異なり、苗の植付精度が低下する問題がある。
このため、図8及び図9で示すとおり、前記仰角センサ235がセンターフロート55の接地を検知すると植付作業中であると判断し、このとき走行操作レバー16の操作位置を検出するレバーポジションセンサ332が「中立」位置に操作されたことを検出すると、前記サーボモータ330を作動させる。該サーボモータ330は、前記レバーポジションセンサ332が検出した走行操作レバー16の操作速度を無視してトラニオン軸23aを低速で中立方向に移動させ、トラニオン軸23aのポジションを検出するトラニオンポジションセンサ333が「中立」位置を検出すると、サーボモータ330を停止させて、走行を緩やかに停止させる。
これにより、植付作業時には走行車体2を緩やかに停止させることができるので、停止時に機体が揺れることが防止され、作業者が不快感を覚えにくくなり、作業者の疲労が防止される。
また、苗植付装置52の挙動が安定するため、走行車体2の停止の前後で株間が乱れることを防止でき、苗の植付精度が向上する。
一方、前記仰角センサ235がセンターフロート55の接地を検知していないと路上走行中であると判断し、このとき走行操作レバー16の操作位置を検出するレバーポジションセンサ332が「中立」位置に操作されたことを検出すると、前記サーボモータ330を作動させる。該サーボモータ330は、前記レバーポジションセンサ332が検出した走行操作レバー16の操作速度に合わせてトラニオン軸23aを中立方向に移動させ、トラニオン軸23aのポジションを検出するトラニオンポジションセンサ333が「中立」位置を検出すると、サーボモータ330を停止させて、走行を停止させる。
これにより、走行操作レバー16の操作速度に合わせて走行車体2を停止させることができるので、緊急停止が必要な際に走行操作レバー16を素早く操作すると速やかに停止することができ、路上走行時の安全性が向上する。
また、走行操作レバー16を緩やかに中立に移動させると、走行車体2は緩やかに停止するため、停止時に機体が揺れることが防止され、作業者が不快感を覚えにくくなる。
また、図10で示すとおり、センターフロート55に代わり、前記センターロータ27aの左右端部の一側、または左右両側に光センサ334を設ける。該光センサ334は円形のロータ回転羽根27cの側面の一部に設け、整地作業を行う際に間欠的に水中に没し、水中に没した際のみ検知状態となる構成とする。
上記により、光センサ334が間欠的に検知状態になると整地状態であり、苗植付部4を下げて植付作業時であると判断できると共に、光センサ334が検知状態にならないと苗植付部4を上げた路上走行時であると判断することができる。
このため、図11で示すとおり、前記光センサ334がセンターロータ27aの整地作業状態を検知すると植付作業中であると判断し、このとき走行操作レバー16の操作位置を検出するレバーポジションセンサ332が「中立」位置に操作されたことを検出すると、前記サーボモータ330を作動させる。該サーボモータ330は、前記レバーポジションセンサ332が検出した走行操作レバー16の操作速度を無視してトラニオン軸23aを低速で中立方向に移動させ、トラニオン軸23aのポジションを検出するトラニオンポジションセンサ333が「中立」位置を検出すると、サーボモータ330を停止させて、走行を緩やかに停止させる。
これにより、植付作業時には走行車体2を緩やかに停止させることができるので、停止時に機体が揺れることが防止され、作業者が不快感を覚えにくくなり、作業者の疲労が防止される。
また、苗植付装置52の挙動が安定するため、走行車体2の停止の前後で株間が乱れることを防止でき、苗の植付精度が向上する。
一方、前記光センサ334がセンターロータ27aの整地作業状態を検知していないと路上走行中であると判断し、このとき走行操作レバー16の操作位置を検出するレバーポジションセンサ332が「中立」位置に操作されたことを検出すると、前記サーボモータ330を作動させる。該サーボモータ330は、前記レバーポジションセンサ332が検出した走行操作レバー16の操作速度に合わせてトラニオン軸23aを中立方向に移動させ、トラニオン軸23aのポジションを検出するトラニオンポジションセンサ333が「中立」位置を検出すると、サーボモータ330を停止させて、走行を停止させる。
これにより、走行操作レバー16の操作速度に合わせて走行車体2を停止させることができるので、緊急停止が必要な際に走行操作レバー16を素早く操作すると速やかに停止することができ、路上走行時の安全性が向上する。
また、走行操作レバー16を緩やかに中立に移動させると、走行車体2は緩やかに停止するため、停止時に機体が揺れることが防止され、作業者が不快感を覚えにくくなる。
また、前記サーボモータ330とハンドル34を利用した、作業時の安全装置について説明する。
図12で示すとおり、前記ハンドル34の作業者が作業中に手で握り得る箇所のうち、少なくとも1ヶ所に作業者の手で握られていることを検知するグリップセンサ335を設ける。旋回時等、片手をハンドル34から離して操作する機会があるため、グリップセンサ335は2ヶ所以上設けるとともに、所定時間(例:1秒)以内に再度握れば継続して検知を行なう構成とすることが望ましい。
図13で示すとおり、前記レバーポジションセンサ332またはトラニオンポジションセンサ333が「前進」または「後進」位置にあることを検知しており、このときグリップセンサ335が非検知状態、即ち作業者がハンドル34を握っていないと判定すると、前記サーボモータ330を作動させてトラニオン軸23aを「中立」に移動させ、トラニオンポジションセンサ333が「中立」位置を検知すると、サーボモータ330を停止させて、走行を停止させる。
これにより、作業者が何らかの事情でハンドル34から手を離すと、作業車両の走行を停止するため、機体が直進せずに走行し、苗の植付方向が歪むことを防止できるので、苗の植付精度が向上する。
また、作業者が何らかの事情でハンドル34や走行操作レバー16を操作できなくなっても走行が自動的に止まるので、圃場端に作業車両がぶつかることが防止され、作業車両の破損が防止される。
なお、上記の機能が作動した場合、作業者は疾病等により自力で行動できない状態にある可能性が高いため、停止後にブザー141a等の報知装置141を作動させる構成としてもよい。
また、作業者がハンドル34を握ってグリップセンサ335を検知状態にしていないと、走行操作レバー16を操作してもサーボモータ330が作動しない構成としてもよい。
これにより、ハンドル34が旋回方向に操作されており、走行開始時と同時に作業者が意図しない旋回動作を開始することを防止することができるので、圃場に植え付けた苗を踏み潰すことが防止されると共に、走行姿勢を修正する操作が不要となるため、作業能率が向上する。
【0008】
次に、走行速度に合わせた各作業機の作業高さを自動調節について説明する。
【0009】
図14で示すとおり、前記ロータ上下位置調節レバー81に代えてロータ位置調節モータ336を設け、支持アームの基部に該ロータ位置調節モータ336の出力ギア336aと噛み合って回転して支持アーム67を上下回動させる回動ギア337を軸着する。
そして、図15で示すとおり、前記後輪回転センサ323,323が検出するドライブシャフト12a,12aの回転数から走行速度を検出し、該後輪回転センサ323,323の検出開始時から所定時間経過後に、走行速度が減速されていると、前記ロータ位置調節モータ336を作動させてセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bを標準位置に移動させる。この標準位置とは、旋回終了後に苗植付部4が自動下降する高さのことを意味する。
一方、走行速度が加速されているときはセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bの高さを維持し、さらに所定時間経過後に走行速度を判定し、走行速度が加速されているとセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bを上昇させ、走行速度が減速されているとセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bを下降させる。
これにより、植付作業開始位置ではセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bが上方に移動するため、苗の植え始め位置にセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bが当たり続けることを防止できるので、圃場が荒れて苗の植付深さが乱れることが防止され、苗の植付精度が向上する。
また、植付作業終了位置ではセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bが下方に移動するため、圃場の凹凸を確実に平らに均すことができるので、苗の植付深さが浅くなり過ぎたり深くなり過ぎたりすることが防止され、苗の植付精度が向上すると共に、苗の生育が安定する。
【0010】
また、走行速度の加減速の変化により、苗植付部4を上下調節する構成について説明する。
【0011】
図16で示すとおり、前記後輪回転センサ323,323が検出するドライブシャフト12a,12aの回転数から走行速度を検出し、該後輪回転センサ323,323の検出開始時から所定時間経過後に、走行速度が減速されていると、前記比例バルブ161を作動させて苗植付部4を標準位置に移動させる。この標準位置とは、旋回終了後に苗植付部4が自動下降する高さのことを意味する。
【0012】
一方、走行速度が加速されているときは苗植付部4の高さを維持し、さらに所定時間経過後に走行速度を判定し、走行速度が加速されていると苗植付部4を上昇させ、走行速度が減速されていると苗植付部4を下降させる。この後、所定時間経過ごとに走行速度を検出し、加速されていれば苗植付部4を上昇させ、減速されていれば苗植付部4を下降させる。
これにより、植付作業開始位置では苗植付部4が上方に移動するため、苗の植え始め位置に苗植付部4が当たり続けることを防止できるので、圃場が荒れて苗の植付深さが乱れることが防止され、苗の植付精度が向上する。
また、植付作業終了位置では苗植付部4が下方に移動するため、圃場の凹凸を確実に平らに均すことができるので、苗の植付深さが浅くなり過ぎたり深くなり過ぎたりすることが防止され、苗の植付精度が向上すると共に、苗の生育が安定する。
【0013】
次に、センターロータ27a及びサイドロータ27b,27bによる波の過度の発生を防止する構成について説明する。
図17で示すとおり、左右両外側に位置する左右のサイドフロート56,56の外側に機体外側に突出する防波支持アーム338,338をそれぞれ設け、該左右の防波支持アーム338,338に、端部に水に浮くフロートを設けた波検知アーム339,339の基部を回動自在に装着する。なお、波検知アーム339の基部には、波検知アーム339の回動量を検知する回動検知センサ340を設けると共に、波検知アーム339がサイドフロート56側に回動することを規制するストッパプレート341を設けて、波検知装置342を構成する。
なお、前記左右の波検知アーム339,339の回動範囲は、サイドフロート56,56と平行に並ぶ位置から、隣接条に植え付ける苗に接触しない範囲とすることにより、波検知アーム339,339が苗を押し倒してしまうことが防止される。
圃場に苗を植え付ける際、苗植付部4を下降させるとセンターフロート55、サイドフロート56,56及びミドルフロート57,57と、センターロータ27a及びサイドフロート27b,27bが接地し、圃場面を整地する構成としているが、駆動回転するセンターロータ27a及びサイドフロート27b,27bが圃場に張った水の中に入り込み過ぎると、隣接条に向かって波を発生させ、植え付けられた苗を押し流してしまうことがある。
本件では、サイドフロート56,56にセンターロータ27a及びサイドフロート27b,27bが波を発生させ、この波が左右の波検知アーム339,339を押して回動検知センサ340,340が所定値以上の角度(例:5〜10度)を検出すると、苗を押し流す可能性のある波が生じていると判断し、前記ロータ位置調節モータ336を作動させてセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bを上方に移動させる構成とする。
上記は、波検知アーム339,339が波に押されて移動する検知方法であるが、所定時間内(例:5秒間程度)の間に波検知アーム339,339が所定回数(例:5回以上)、所定角度(例:3〜5度程度)以上に回動した場合にロータ位置調節モータ336を作動させる構成とすると、風などにより偶然波検知アーム339,339が大きく回動したときにセンターロータ27a及びサイドロータ27b,27bが上方に退避してしまうことを防止できるので、確実に圃場の整地を行なうことができ、苗の植付精度が向上する。
上記より、圃場に張った水の量が多いときなど、センターロータ27a及びサイドフロート27b,27bが波を発生させやすい作業条件下であっても、過度の波の発生を防止することができるので、苗が波に流されることが防止され、作業者が手作業で流された苗を植え直す作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
なお、センターロータ27a及びサイドロータ27b,27bの上方への移動量は、水面よりも上方に移動させれば波の発生を完全に止めることができるが、この場合は圃場の凹凸を均すことができなくなる。このため、センターロータ27a及びサイドロータ27b,27bの水中への浸入量を減らすべく、2〜5cm程度上昇させて、苗の植付深さに影響し得る大きな凸部は均すことのできる構成とするとよい。
このため、前記操作パネル33に、防波検知装置342が波の発生を検知した際のロータ位置調節モータ336の作動量を調節する、ロータ上昇調節ダイヤル(図示省略)を設ける構成としてもよい。
次に、急減速した際に、苗植付装置52…が苗の植付の瞬間に上昇することを防止する構成について説明する。
苗の植付作業中に急減速操作を行い、センターフロート55が上方に回動し、このとき仰角センサ235がセンターフロート55の角度の変化を検出すると、連続して比例バルブ161を作動させて油圧シリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させる。このとき、苗植付装置52…が苗を圃場に植え付ける直前であると、急激に植付深さが変わり、苗の植付深さが浅くなり、風や水の流れで流されてしまい、作業者が後で苗を植え付けねばならず、作業者の労力が増大すると共に、無駄な苗が発生してしまう問題がある。
さらに、苗植付装置52が土中に入り込まず、苗が空中で解放されてしまい、苗が植え付けられない箇所が発生し、作業者が後で苗を植え付けねばならず、作業者の労力が増大すると共に、無駄な苗が発生してしまう問題がある。
この問題を解消すべく、図18で示すとおり、前記走行操作レバー16を高速段から低速段に所定時間内(例:1秒未満)に切り替えたとき、前記センターフロート55の前側の回動角度の変化を仰角センサ235で検出しても、所定時間(例:1〜3秒間)に亘って比例バルブ161を作動させない構成とする。
上記により、植付作業中に急減速したときは、仰角センサ235がセンターフロート55の上方回動を検知しても、所定時間中は検出角度比例バルブ161を作動させないことにより、苗植付装置52…の苗の植付深さが変わることを防止できるので、苗の植付深さが浅くなることや苗が空中で解放されることが防止され、苗の植え付けられなかった箇所に作業者が苗を手作業で植える必要がなく、作業者の労力が軽減される。
また、苗が流されたり飛ばされたりして無駄になることを防止できるので、計画的な田植作業が行える。
【符号の説明】
【0014】
2 走行車体
11 後輪(走行装置)
34 ハンドル(操作部材)
300 サイドクラッチ(伝動切替装置)
303 クラッチ操作ペダル(伝動操作部材)
304 クラッチ操作ワイヤ(連繋操作部材)
305 サイドクラッチアーム(切替部材)
307 旋回連動機構
313 スプリング(伸縮部材)
317 クラッチ操作装置(連動操作機構)
319 プルシリンダ(伸縮部材)
322 収縮操作スイッチ(収縮操作部材)
323 後輪回転センサ(回転検知部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)に走行装置(11)を設け、該走行装置(11)への駆動力の伝動を入切する伝動切替装置(300)を設け、前記走行車体(2)の走行状態に合わせて伝動切替装置(300)の入切状態を切り替える切替部材(305)を設けると共に、前記走行車体(2)の走行状態にかかわりなく該切替部材(305)を伝動「入」側に操作する伝動操作部材(303)を設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記走行装置(11,11)と伝動切替装置(300)を左右一対設け、前記走行車体(2)を左右方向に旋回操作する操作部材(34)を設け、該操作部材(34)の操作に連動して旋回内側の伝動切替装置(300)を「切」側に作動させる旋回連動機構(307)を設け、該旋回連動機構(307)と切替部材(305)を連結する連動操作機構(317)を設け、前記伝動操作部材(303)を設け、該伝動操作部材(303)と切替部材(305)を連繋操作部材(304)で連結したことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記切替部材(305)を伝動切替装置(300)に回動自在に設け、該切替部材(305)の下部に前記連動操作機構(317)を連結し、該切替部材(305)の上部に連繋操作部材(304)を連結する構成としたことを特徴とする請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
前記連動操作機構(317)に伸縮部材(313,319)を設け、該伸縮部材(313,319)は伝動操作部材(303)を操作すると収縮し、前記伝動操作部材(303)の操作を止めると伸張して連動操作機構(317)を機体前側に移動させて前記切替部材(305)を伝動「切」側に回動させる構成としたことを特徴とする請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記左右の走行装置(11,11)の駆動回転を検知する回転検知部材(323,323)を設け、該左右の回転検知部材(323,323)で検知する回転数に差が生じているときに前記伸縮部材(313,319)を収縮可能とする収縮操作部材(322,322)を設けたことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−14172(P2013−14172A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146737(P2011−146737)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】