説明

作業車輌

【課題】作業機を機体フレームに対して相対移動させる為の油圧リフト装置を備えた作業車輌において、作業機移動の際のミッションケースへの荷重負荷量を軽減させる。
【解決手段】付設される作業機を機体フレーム10に対して相対移動させる油圧リフト装置120を備えた作業車輌1であって、前記機体フレーム10は、車輌前後方向に沿って延びる左右一対のメインフレーム11と、車輌前後方向一方側において、前記一対のメインフレーム11の上面に跨るように配設されたクロスメンバ13とを備える。前記油圧リフト装置120は、前記クロスメンバ13に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機を機体フレームに対して相対移動させる為の油圧リフト装置を備えた作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車等の車輌は、エンジンからの駆動力を変速装置を介して駆動車軸へ伝達するように構成されており、前記変速装置を操作することによって駆動車軸を所望速度で回転させ得るようになっている。
さらに、前記駆動車軸の変速域を広げたい場合、及び/又は変速装置の負荷を軽減させたい場合には、主変速装置に加えて副変速装置が備えられる。
【0003】
図19に、主変速装置及び副変速装置を備え、且つ、後車軸が駆動車軸とされた従来の車輌の模式図を示す。
図19に示すように、副変速装置を備えた従来の車輌においては、車輌前後方向一方側から他方側へ向かって、互いに分離可能なエンジン801,フライホイール802,主変速装置803,副変速装置804及び駆動車軸アクスル装置805が相互に直列連結されている為、以下に示す問題点があった。
【0004】
即ち、従来の副変速装置付車輌においては、互いに別体とされたエンジン801,フライホイール802,主変速装置803,副変速装置804及びアクスル装置805のそれぞれのハウジングが互いに直列連結されており、前輪及び後輪間にスペースが存在しない。
従って、運転席のステップ台を前記何れかのハウジングの上方に配設しなければならず、該ステップ台の設置位置が高くなってしまったり、及び/又は、前輪及び後輪間にミッドマウントモアを備える場合には前記ハウジング全体の設置位置を高くしなければならず、車輌重心の上昇を招くという問題がある。
【0005】
さらに、前記従来構成において、前記主変速装置803として静油圧式無段変速装置(HST)を用いる場合、該HST内を循環する作動油圧の脈動等によってHST自身が振動する。前述のように、主変速装置803,副変速装置804及びアクスル装置805が互いに連結されていると、前記HSTの振動が副変速装置804及びアクスル装置805を介して機体フレーム800に伝わり、これにより、運転環境が悪化するという問題がある。
【0006】
この点に関し、前記エンジンと副変速装置とをハウジングで連結し、主変速装置として作用するHSTを防振部材を介して前記副変速装置の前面に連結すると共に、該HSTの前部と前記ハウジングとを他の防振部材を介して連結することも提案されている。
【0007】
しかしながら、前記構成においては、エンジンの振動に関しては一切考慮されていない。即ち、前記HSTを防振支持するハウジング自体がエンジンからの伝播振動によって振動するという問題がある。
【0008】
又、必要/所望に応じて、作業車輌には、作業機を昇降駆動させる為の油圧リフト装置が備えられる。
従来、該油圧リフト装置は、トランスミッションのミッションケースの上面又は該ミッションケースの内部に設置されている。
斯かる従来の構成においては、前記作業機昇降の際の荷重が前記ミッションケースに負荷される。従って、従来の構成においては、前記ミッションケースの強度を高くしなければならなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、作業機を機体フレームに対して相対移動させる為の油圧リフト装置を備えた作業車輌において、前記作業機移動の際のミッションケースへの荷重負荷量を軽減させ得る作業車輌の提供を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成する為に、付設される作業機を機体フレームに対して相対移動させる油圧リフト装置を備えた作業車輌であって、前記機体フレームは、車輌前後方向に沿って延びる左右一対のメインフレームと、車輌前後方向一方側において、前記一対のメインフレームの上面に跨るように配設されたクロスメンバとを備え、前記油圧リフト装置は、前記クロスメンバに支持されている作業車輌を提供する。
【0011】
好ましくは、前記機体フレームは、ロプス支持フレームをさらに備えるものとされる。前記ロプス支持フレームは、車輌前後方向一方側において、前記一対のメインフレームのそれぞれに連結される一対の上下方向延在片と、該一対の上下方向延在片の上端部を連結する上部プレートとを有し得る。
【0012】
より好ましくは、前記ロプス支持フレームは、前記一対の上下方向延在片の下端部を連結する下部プレートをさらに備えることができる。該下部プレートには、牽引バーが挿通される牽引バー収納ボックスが固着され得る。
【0013】
好ましくは、前記機体フレームは、前記一対のメインフレーム間に連結される門状の補強フレームをさらに備えることができる。前記補強フレームは、左右の側面にローダマストが取付可能とされ、且つ、上面にハンドルコラムが取付可能とされ得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る作業車輌によれば、機体フレームを、車輌前後方向に沿って延びる左右一対のメインフレームと、車輌前後方向一方側において、前記一対のメインフレームの上面に跨るように配設されたクロスメンバとを備えるものとし、且つ、付設される作業機を機体フレームに対して相対移動させる油圧リフト装置を、前記クロスメンバに支持したので、前記作業機移動の際の負荷を機体フレームで支持することができる。従って、ミッションケース等の他の部材を要求される強度以上に高強度とする必要がなく、ミッションケース等の他の部材の低コスト化を図ることができる。
又、斯かる構成によれば、ミッションケース等の他の部材に影響を与えることなく、油圧リフト装置の交換や修理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、それぞれ、本実施の形態に係る作業車輌1の概略側面図及び伝動模式図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、該作業車輌1は、機体フレーム10と、該機体フレーム10の車輌前後方向一方側で防振支持されたエンジン20と、該エンジンからの駆動力を変速伝達する主変速装置30と、該主変速装置の出力を受けて駆動車軸を駆動するトランスミッション40とを備えている。
図2に示すように、該作業車輌1は、前記主変速装置30として、HST300及び遊星歯車装置350が連結されてなるHMTユニットを備えている。
【0017】
図3に前記エンジンを後方から視た部分斜視図を示す。
図1及び図3に示すように、前記機体フレーム10は、車輌前後方向に沿って延びる左右一対のメインフレーム11を備えており、前記エンジン20は、該一対のメインフレーム11に防振支持されている。
詳しくは、前記エンジン20は車両前後方向に沿うエンジン出力軸を備えたホリゾンタル式に構成され、そのクランクケースの側面の前方下部に固着したブラケット20aに、防振ゴム111を介して、前記一対のメインフレーム11に支持されており、これにより、該エンジン20からの振動が機体フレーム10へ伝播するのを防止している。
【0018】
図4に、前記HST300及び遊星歯車装置350近傍の縦断側面図を示す。
前記HST300は、フライホイール60を介してエンジン20からの駆動力を受ける入力軸(ポンプ軸)301と、該入力軸301によって駆動される油圧ポンプユニット310と、該油圧ポンプユニット310との共働下に前記エンジン20からの駆動力を無段変速する油圧モータユニット320と、該油圧モータユニット320によって回転駆動される出力軸(モータ軸)302と、該油圧ポンプユニット310及び油圧モータユニット320を支持すると共に、両者を流体的に接続する油圧回路が形成されたセンターセクション330と、前記油圧ポンプユニット310及び油圧モータユニット320を囲繞するように前記センターセクション330に連結されるHSTケース340とを備えている。
本実施の形態においては、後述するように、該センターセクション330には前記油圧回路として一対の油圧ラインが形成されている。
【0019】
前記油圧ポンプユニット310及び油圧モータユニット320の少なくとも一方は出力調整部材の操作により吸引/吐出量が変化する可変容積型とされており、該出力調整部材の傾転位置を制御することによって、油圧モータユニット320によって駆動される前記モータ軸302から無段変速出力を得るようになっている。なお、本実施の形態においては、油圧ポンプユニット310を可変容積型とし、油圧モータユニット320を固定容積型としている。
【0020】
前記センターセクション330は、伝動方向上流側及び下流側を向く第1面331及び第2面332を有しており、該第1面331に前記油圧ポンプユニット310及び油圧モータユニット320の双方を支持している。
さらに、前記HSTケース340は、該第1面331に連結されており、これにより、前記油圧ポンプユニット310及び油圧モータユニット320を囲繞している。
【0021】
前記入力軸301は、伝動方向上流側端部が前記HSTケース340から伝動方向上流側へ延在し、且つ、伝動方向下流側端部が前記センターセクション330を貫通して伝動方向下流側へ延在するように、前記センターセクション330及びHSTケース340に回転自在に支持されており、車輌前後方向に沿った回転軸線を有するように構成されている。
【0022】
前記入力軸301の伝動方向上流側端部は、前記フライホイール60を介して、エンジン20に作動的に連結される。なお、該フライホイール60には、ダンパー61を備えることができ、これにより、前記エンジン出力軸の角速度変動を抑えた状態で、後続のHST300及び該HST300との協動下においてHMT(Hydro−Mechanical−Transmission)を構成するための遊星歯車装置350に動力伝達を行うことができる。
【0023】
前記油圧ポンプユニット310は、前記入力軸301の回転に伴って該入力軸301の軸線回りに回転運動を行うと共に、該回転運動に連動して往復運動を行うピストンユニット311と、該ピストンユニット311を往復動自在に支持すると共に、前記一対の油圧ラインに連通されるようにセンターセクション330の第1面331に回転摺動自在に支持されたシリンダブロック312と、傾転位置によって前記ピストンユニット311のストローク長を規制し、該ピストンユニット311による吸入/吐出油量を変化させる出力調整部材313とを備えている。
該出力調整部材313の傾転位置は、後述の油圧制御装置によって制御される。
【0024】
なお、本実施の形態においては、油圧ポンプユニット310としてアキシャルピストンタイプを採用している為、前記出力調整部材313としては可動斜板が採用されている。従って、ラジアルピストンタイプの油圧ポンプユニットを採用した場合には、前記出力調整部材としてカムリングが用いられる。
【0025】
固定容積型とされた前記油圧モータユニット320は、前記一対の油圧ラインに連通されるように前記センターセクション330の第1面331に回転摺動自在に支持されたシリンダブロック322と、該シリンダブロック322内に摺動自在に支持され、前記一対の油圧ラインからの圧油によって往復運動と共に回転運動を行い、該回転運動を前記出力軸に伝達するピストンユニット321とを備えている。
【0026】
前記出力軸302は、伝動方向下流側端部が前記センターセクション330を貫通して外方(本実施の形態においては後方)へ延びるように、前記HSTケース340及びセンターセクション330に支持されており、前記入力軸301に対して平行となるように、車輌前後方向に沿った回転軸線を有している。
【0027】
さらに、該車輌1は、図2及び図4に示すように、前記ポンプ軸301の伝動方向上流側端部によって駆動されるチャージポンプユニット70を、HSTケース340の前面に備えている。
該チャージポンプユニット70は、HST30への作動油補給用、及び、前記出力調整部材を制御する油圧制御装置の作動油供給用として使用される。
【0028】
前記遊星歯車装置350は、太陽歯車351と、該太陽歯車351と噛合する遊星歯車352を自転可能に支持し且つ該遊星歯車352の公転に従って回転する遊星キャリア353と、前記遊星歯車352と噛合する内歯歯車354と、該歯車群を囲繞するように、前記センターセクション330の第2面332に連結された遊星ハウジング360とを備えている。
【0029】
該遊星歯車装置350における前記太陽歯車351、遊星キャリア353及び内歯歯車354の3要素のうちの第1要素及び第2要素には、それぞれ、前記HST300の入力軸301及び出力軸302が作動的に連結されており、且つ、第3要素から前記駆動輪20へ伝達する走行駆動力を取り出し得るように構成されている。
本実施の形態においては、遊星キャリア353,太陽歯車351及び内歯歯車354が、それぞれ、前記第1〜第3要素に対応している。
【0030】
本実施の形態において、該遊星歯車装置350には、前記HST入力軸301及びHST出力軸302に対して、それぞれ、同軸上に配設されたPTO系出力軸371及び走行系出力軸(HMT出力軸)372が備えられている。
前記PTO系出力軸371は、伝動方向上流側端部が前記HST入力軸301に軸線回り相対回転不能に連結され、且つ、伝動方向下流側端部が前記遊星ハウジング360から伝動方向下流側へ突出するように、前記遊星ハウジング360に支持されている。
【0031】
より詳しくは、前記遊星ハウジング360は、伝動方向下流側の端壁部361(本実施の形態においては後壁部)と、該端壁部361の周縁から伝動方向上流側へ延在された周壁部362とを備え、伝動方向上流側(本実施の形態においては前方側)が開口とされている。
前記遊星ハウジング360の周壁部362には、内周面から径方向内方へ延びるボス部363が一体形成されており、該ボス部363に軸受板364が螺着されるようになっている。
【0032】
前記PTO系出力軸371は、伝動方向上流側端部が前記軸受板364から伝動方向上流側へ突出し、且つ、伝動方向下流側端部が前記端壁部361から伝動方向下流側へ突出するように、前記軸受板364と端壁部361とによって回転自在に支持されている。
前記PTO系出力軸371の伝動方向上流側端部には、前記HST入力軸301の伝動方向下流側端部が相対回転不能に突入されるように、スプライン継手部が設けられている。
【0033】
前記軸受板364には、さらに、前記HST出力軸302と同軸上に配設され、且つ、該HST出力軸302と軸線回り相対回転不能に連結される走行系中間軸373が支持されている。
該走行系中間軸373の伝動方向上流側端部側端部には、前記HST出力軸302の伝動方向下流側端部が相対回転不能に突入されるように、スプライン継手部が設けられている。
該走行系中間軸373のうち,前記軸受板364より伝動方向下流側に位置する部分には、第2要素として作用する前記太陽歯車351が設けられている。
【0034】
さらに、該走行系中間軸373のうち,前記軸受板364より伝動方向下流側に位置する部分には、伝動ギア381が相対回転自在に支持されている。該伝動ギア381は、前記PTO系入力軸371又はHST入力軸301と第1要素として作用する前記遊星キャリア353とを連動連係する歯車列380の一部をなしている。
即ち、前記PTO系出力軸371のうち,前記軸受板364より伝動方向下流側に位置する部分には、前記伝動ギア381と噛合するように、固定歯車382が相対回転不能に支持されている。
そして、前記遊星キャリア353は、伝動ギア381の回転に伴って遊星キャリア352が太陽歯車351回りに公転し得るように、該伝動ギアギア381に連結されている。
【0035】
前記走行系出力軸372は、伝動方向上流側端部が第3要素として作用する前記内歯歯車354に相対回転不能に連結され、且つ、伝動方向下流側端部が前記遊星ハウジング360から伝動方向下流側へ突出するように、前記端壁部361に相対回転自在に支持されている。
該走行系出力軸372は、HMT出力軸として作用する。
【0036】
斯かる構成により、前記遊星歯車装置350を組み立ててから、前記遊星ハウジング360の伝動方向上流側開口を前記センターセクション330の第2面332に取り付けるという単純作業によって、遊星キャリア353が前記HST入力軸301に作動的に連結され、且つ、太陽歯車351が前記HST出力軸302に作動的に連結されると共に、前記PTO系出力軸371及び走行系出力軸372の伝動方向下流側端部から、それぞれ、一定回転のPTO系駆動力及び可変の走行系駆動力を取り出せるようになっている。
【0037】
このように本実施の形態においては、走行系伝動経路に備えられる主変速装置30として、HST300と遊星歯車装置350とを組み合わせてなるHMTを採用しており、従って、HST容量を増大させることなく、変速幅を広げることができ、走行系伝動経路に介挿されるべき副変速装置を不要、若しくは、該副変速装置の変速段を少なくしてここでの変速幅を可及的に縮小させ得る。
【0038】
図5に、HST300における出力調整部材313(本実施の形態においては可動斜板)の傾転位置と、HMT出力軸(本実施の形態においては走行系出力軸372)の回転速度との関係を示す。
【0039】
図5に示すように、本実施の形態におけるHMT30は、HST300の正逆一方側(図5においては逆回転)の最大出力時にHMT30が略出力停止状態となり、且つ、HST300の正逆他方側(図5においては正回転)の最大出力時にHMT30が最大出力状態となるように、構成されている。つまり、HMT30は、走行系出力軸372を一方回転で零から車輌の最高速度まで駆動するだけの構成しか持たないから、HST30の大型化を招くことがない。
そして、車輌の前後進は、後述のギア式の前後進切換装置によって切り換えられ、これにより、車輌前進及び後進を含む走行変速範囲を2倍に拡大するようになっている。
【0040】
又、前記構成によれば、HST出力軸302の出力がゼロの場合(即ち、HST300が中立状態の場合)においても、HMT30からは走行駆動力が出力されることになる。従って、HST300の出力調整部材313(可動斜板)が中立位置の際に、エンジンから駆動車輪への伝動経路を、効率の良い機械的伝動状態とすることができる。
【0041】
ここで、前記HMT30の取付構造について説明する。
前記HMT30は前記エンジン20に固定的に連結されており、これにより、機体フレーム10に対して防振支持された該エンジン20と共に、機体フレーム10に対して揺動自在な駆動側ユニットを形成している。
【0042】
即ち、前記エンジン20及びHMT30が連結されてなる駆動側ユニットは、図6で示すように、前記一対のメインフレーム11の前部側で前後に離間させて固着した左右4個の防振ゴムブラケット11dに、防振ゴム111を介して、支持されている。
より詳しくは、該駆動側ユニットのエンジン20部分は、クランクケースの左右側面における前下方部に固着したブラケット20a及び防振ゴム111を介して、前記防振ゴムブラケット11dに支持されている。
一方、前記駆動側ユニットのHMT30部分は、図3に示すように、遊星ハウジング360の左右側面に固着したブラケット30a及び防振ゴム(図示せず)を介して、前記防振ゴムブラケット11dに支持されている。
このように、駆動側ユニットを機体フレームに対して防振支持することにより、エンジン20の振動やHST300内を循環する作動油圧の脈動等によって生じるHST自身の振動が、機体フレーム10に伝播することを有効に防止し、該振動に起因する運転環境の悪化を防いでいる。
【0043】
具体的には、前記HMT30は、前記エンジン20のクランクケース後面に取り付けられる装着フランジ81と、該装着フランジ81に取り付けられるHMT取付台82とを含むHMT取付部材80を介して、前記エンジン20に連結されている。
【0044】
前記HMT取付台82は、前記装着フランジ81に立設される4本の脚部83と、該脚部83の伝動方向下流側端部間に延びる垂直面部84とを備えている。
前記4本の脚部83は、前記フライホール60の外周部が、隣接する脚部間を結ぶ仮想線から外方へ露出するように、構成されている。
このように、本実施の形態においては、前記フライホール60を完全に覆うタイプの従来のフライホイールハウジングの代わりに、前記HMT取付台82を用いており、これにより、前記一対のメインフレーム11の幅方向間隔の最小化を図っている。
【0045】
前記垂直面部84には、前記HST入力軸301が挿通され且つチャージポンプユニット70が収容される中央開口を有する取付フランジ85が設けられており、該取付フランジ85に前記HSTケーシング340の前壁が取り付けられる。
【0046】
次に、前記トランスミッション40について説明する。
前記トランスミッション40は、図2に示すように、ミッションケース410と、伝動方向上流側端部が外方へ延在するように、該ミッションケース410に支持された走行系入力軸401と、前輪及び/又は後輪へ駆動力を出力する為の走行系出力軸402と、前記走行系入力軸401から走行系出力軸402へ駆動力を伝達する車輪駆動用ドライブトレーン420とを備えている。
【0047】
図6に、前記機体フレーム10及びトランスミッション40の部分分解斜視図を示す。
図1及び図6に示すように、前記ミッションケース410は、前記駆動側ユニットとは離間された状態で、車輌前後方向他方側において前記一対のメインフレーム11に固定的に支持されている。
なお、前記ミッションケース410の左右には、車軸ブレーキ装置451が内装されたリアアクスルハウジング450が取り付けられる(図2及び図6参照)。
【0048】
好ましくは、該リアアクスルハウジング450は左右共用とされる。本実施の形態においては、側面の上下2ヶ所にブレーキ装置を制御するブレーキアーム451の支持用ボス452を設けると共に、上面及び下面に前記一対のメインフレーム11への取付用ボス453を設けている(図6参照)。
なお、図6中の符号411は、前記ミッションケース410の前側左右側面に形成された前記一対のメインフレーム11への取付用ボスである。
又、図6中の符号11eは、前記一対のメインフレーム11のそれぞれ後部側外面に固着したトランスミッション取付ブラケットであり、リアアクスルハウジング450の上側を向く方の前記取付用ボス453に設置して固着される。
【0049】
前記走行系入力軸401は、車輌前後方向に沿い、且つ、後方へいくに従って下方へ延びる軸継手91を介して、前記遊星歯車装置350の走行系出力軸372に作動的に連結されている。
好ましくは、前記軸継手91は、両端部に自在継手が備えられた振動吸収型軸継手とされる。
【0050】
前記車輪駆動用ドライブトレーン420は、前記走行系入力軸401に対する走行系出力軸402の出力方向(回転方向)を切り換える前後進切換装置430を備えている。
より詳しくは、前記車輪駆動用ドライブトレーン420は、前進時に動力を伝達する前進用伝動経路と、後進時に動力を伝達する後進用伝動経路とを備えている。
そして、前記前後進切換装置430は油圧作動クラッチを備え、圧油の作用によって、前進時伝動経路を選択する(即ち、従動軸431を前記走行系入力軸401に直接係合させる)前進状態と、後進時伝動経路を選択する(即ち、前記走行系入力軸401と従動軸431とをアイドルギアを介して係合させる)後進状態と、該車輪駆動用ドライブトレーンの前後進両方の伝動経路を遮断(HMT出力と駆動車輪との伝動関係を遮断)して、駆動車輪を空転状態とするフリーホイール状態とをとり得るように構成されている。
【0051】
本実施の形態においては、前記車輪駆動用ドライブトレーン420は、前記前後進切換装置430の前記従動軸431と前記走行系出力軸402との間に、2段のギア式副変速装置440を備えているが、前記主変速装置(HMT)の変速出力域で車輌の規定速度をカバーできる場合には、該副変速装置を不要とすることができる。
【0052】
このように、本実施の形態においては、主変速装置として作用する前記HMT30を車輌前後方向一方側において機体フレーム10に防振支持されたエンジン20に連結して駆動側ユニットを形成すると共に、前記ミッションケース410を該駆動側ユニットとは離間された状態で、車輌前後方向他方側において前記機体フレーム10に固定支持し、且つ、前記遊星歯車装置350の走行系出力軸(HMT出力軸)372と前記トランスミッション40の走行系入力軸401とを軸継手91を介して連結しており、これにより、車輌全長を拡大することなく、機体フレーム10の車輌前後方向略中央部に自由スペースを確保している。
該自由スペースを確保することによって、運転席のステップ台やミッドマウントモア等の配置に際し、設計自由度を広げることができる。
【0053】
さらに、前記軸継手91を振動吸収型とすれば、前記駆動側ユニットの振動が前記トランスミッション40へ伝播することをより効果的に防止しつつ、該駆動側ユニットから該トランスミッション40への動力伝達を確実に行うことができる。
なお、図2及び図6における符号403は、前記走行系出力軸402にクラッチを介して動力伝達を入切自在作動的に連結された前輪駆動力取出軸であり、機体前方側に向けて延伸する軸継手94を介して、機体フレーム10の前側に懸架されたフロントアクスル装置90に連結される。又、図2における符号50は、前記走行系出力軸402に作動的に連結されたディファレンシャルギア装置であり、左右の後輪を差動可能に連結する。
【0054】
本実施の形態においては、前記トランスミッション40は、さらに、伝動方向上流側端部が外方へ延在するように、ミッションケース410に支持されたPTO系入力軸405と、該PTO系入力軸405に入力された駆動力を伝動する作業機動力取出用ドライブトレーン460と、車輌後方へ突出するように設けられたリアPTO軸406と、車輌下腹部に設けられたミッドPTO軸407と、補助ポンプユニット480とを備えている。
【0055】
前記PTO系入力軸405は、車輌前後方向に沿い、且つ、後方へいくに従って下方に延びる軸継手92を介して、前記遊星歯車装置350のPTO系出力軸371に作動的に連結されている。
斯かる構成により、本実施の形態に係る作業車輌1は、作業機駆動系路を備えながら、車輌全長を拡大することなく、機体フレーム10の車輌前後方向略中央部に自由スペースを確保している。
【0056】
好ましくは、前記軸継手92は、両端部に自在継手が備えられた振動吸収型軸継手とされ、これにより、前記駆動側ユニットの振動が前記トランスミッション40へ伝播することをさらに有効に防止し得る。
【0057】
前記作業機動力取出用ドライブトレーン460は、前記PTO系入力軸405から前記補助ポンプユニット480に動力を伝達する補助ポンプユニット駆動ギア列465と、該補助ポンプユニット駆動ギア列465の伝動方向下流側において、前記PTO系入力軸405から前記ミッドPTO軸407及びリアPTO軸406への動力伝達を係合/遮断する油圧PTOクラッチ装置470と、該油圧PTOクラッチ装置470の伝動方向下流側において、前記PTO系入力軸405からの駆動力を、前記ミッドPTO軸407のみ、前記リアPTO軸406のみ、又はミッドPTO軸407及びリアPTO軸406の双方に、選択的に伝達可能とされた切換機構475とを備えている。
さらに、リアPTO軸406の駆動系路には、前記切換機構475の伝動方向下流側において、2段のリアPTO変速装置476が設けられている。図6に示すように、前記前輪駆動力取出軸403と前記ミッドPTO軸407とは、ミッションケースの下部前面で左右方向に配列するように突出しており、前記ミッドPTO軸407は、車輌下腹部に装着されたモアに軸継手93を介して連結される。
【0058】
前記補助ポンプユニット480は、前述の通り、前記油圧PTOクラッチ装置470の伝動方向上流側に配設された前記補助ポンプユニット駆動ギア列465によって駆動されている。従って、該補助ポンプユニット480は、エンジン稼働中においては、常時駆動されている。
【0059】
図7に、該補助ポンプユニット480の油圧回路を示す。
該補助ポンプユニット480は、前述の如く、ミッションケース410上にあり、機体フレーム10側と一体関係にある。従って、エンジン20と一体的に振動するHST300側の油圧源とはせず、機体フレーム10側と一体関係にある油圧機器の油圧源として使用している。
即ち、該補助ポンプユニット480は、所望又は必要に応じ該車輌に備えられる前輪用パワーステアリング装置110、ネガティブブレーキ機構付の前記PTOクラッチ装置470、前記前後進切換装置430、車輌後部に付設される作業機を昇降させる為に、所望又は必要に応じ該車輌に備えられる油圧リフト装置120、及び、所望又は必要に応じ該車輌の前部に備えられるフロントローダFの油圧供給装置130等の油圧源として使用される。
なお、本実施の形態においては、前記補助ポンプユニット480から供給される圧油を、まず、パワーステアリング装置110に供給し、ここからのドレン油を分流弁を用いて前後進切換装置430とその他の油圧機器とに振り分けるようにしたが、油圧回路としてこれに限るものではなく種々の形態をとり得る。
【0060】
次に、本実施の形態に係る車輌の機体フレーム10について説明する。
該機体フレーム10は、前述の通り、車輌長手方向に延びる左右一対の前記メインフレーム11を備えている。
図6に示すように、該メインフレーム11は、第1水平部11aと、該第1水平部11aの車輌前後方向一端部(本実施の形態においては後端部)から斜め上方に延びる傾斜部11bと、該傾斜部11bの車輌前後方向一端部(本実施の形態においては後端部)から水平に延びる第2水平部11cとを備えた側面視略Z状(又は略逆Z状)をなしており、前記傾斜部11b及び第2水平部11cを、前記ミッションケース410及びリアアクスルハウジング450の連結体の上方から被せた状態で該連結体を支持し得るように構成されており、該連結体が前記一対のメインフレームに対するクロスメンバを兼ねるようになっている。
【0061】
前記機体フレーム10は、さらに、前記一対のメインフレーム11間に連結される門状の補強フレーム12を備えている。該補強フレーム12も、クロスメンバとして機能する。
該補強フレーム12は、好ましくは、前記第1水平部11aの前後方向略中間の位置にあって、フライホイール60やHST300を跨ぐように、配設される。
【0062】
より詳しくは、該補強フレーム12は、前記一対のメインフレーム11のそれぞれに連結される左右一対の側面部12aと、該一対の側壁部12aの上端部間に延びる上面部12bとを有している。
前記側面部12aの上方部分にはフロントローダマスト131が取付可能とされている。
又、前記上面部12bの左右方向略中央部には、図1に示すようにパワーステアリング装置110用のコントローラ110aや、ハンドルSを支えるハンドルコラムSaを設置する為の台座12cが備えられている。更に、その周辺に位置するダッシュボード(計器パネル)等のぎ装パーツを取り付けるためのステーをこの補強フレーム12に固定させることもできる。
本実施の形態においては、前記補強フレーム12は鋼板製としたが、おり強度を高める必要がある場合には鋳物製とし得る。
【0063】
又、前記機体フレーム10は、さらに、前記一対のメインフレーム11の上面に跨るように配設されたクロスメンバとして機能する天板13を備えている。
該天板13は、前記油圧リフト装置120を吊り下げ支持し得るように構成されており、好ましくは、前記トランスミッション40の上方近傍に配設される。
本実施の形態においては、該天板13は、前記一対のメインフレーム11の第2水平部11cの上面に跨るように配設されている。
【0064】
ここで、前記油圧リフト装置120及び該油圧リフト装置120の前記天板13による支持構造について説明する。
図8及び図9は、それぞれ、前記油圧リフト装置近傍の平面図及び側面図であり、一部を断面で示している。
【0065】
図6,図8及び図9に示すように、前記油圧リフト装置120は、前記天板13に固着される取付部材121と、該取付部材121に枢支される,単動型(又は復動型)の油圧シリンダ122と、油圧の作用によって往復動し得るように前記油圧シリンダ122内に収容された油圧ピストン123と、該油圧ピストン123のピストンロッドに作動的に連結された一対のリフトアーム124とを備えている。
【0066】
より詳しくは、前記取付部材121は、前記天板13の下表面に装着される上面部121aと、前記油圧シリンダ122の直径よりも若干幅広となるように、該上面部121aの車輌幅方向両端部から下方へ延在された左右の側面部121bとを有する断面コの字状とされている。該取付部材121は、例えば、鋼板を折り曲げることによって形成される。さらに、左右の側面部121bの一方側の外面には前記油圧リフト装置120の昇降制御弁120aが装着されている。該昇降制御弁120aには、前記パワーステアリング装置110からのドレン油を受けるポンプポート120bと、前記油圧リフト装置120の前記油圧ピストン123に対する圧油給排を行なうシリンダポート120cとが備えられている。
【0067】
該取付部材121の前方には、前記左右の側面部121bに支持された前側クロスバー121cが設けられており、前記油圧シリンダ122は、前記左右の側面部121b間に位置するように、該前側クロスバー121cに揺動自在に枢支されている。
又、該取付部材121の後方には、前記左右の側面部121bに支持された後側クロスバー121dが設けられている。該後側クロスバー121dは、両端部が前記取付部材121の側面部121bから外方へ延在されており、該両端部に前記一対のリフトアーム124が揺動自在に枢支されている。
【0068】
図8及び図9に詳細に示すように、前記一対のリフトアーム124は、側面視略V字状をなしている。より詳しくは、該一対のリフトアーム124は、それぞれ、一端部が前記後側クロスバー121dに枢支され且つ他端部が該一端部から前方及び下方に延びる第1片124aと、該第1片124aの他端部から後方に延びる第2片124bとを備えている。
該一対のリフトアーム124における前記第1片124aの他端部(頂点部)間は、連結バー124cによって連結されており、該連結バー124cの略中央位置にピストンロッドが連結されている。
前記第2片124bの後端部には、一般的な3点リンクヒッチ機構を構成するロアリンクに連結されるリフトリンク150の上端部が装着される。
さらに、前記取付部材121の後端部には、前記3点リンクヒッチ機構のトップリンクを装着する為のヒンジ151が備えられる。
なお、図9における符号122aは前記油圧シリンダ122の油給排ポートであり、前記昇降制御弁120aのシリンダポート120cと配管を通じて接続される。また、符号122bは前記油圧シリンダ122が単動式である場合のエア/漏れ油抜きポートであり、前記ミッションケース410の上部エア溜りと配管を通じて接続される。
【0069】
このように、本実施の形態においては、油圧リフト装置120が装着された天板13が、前記一対のメインフレーム11の上面に着脱可能に固着されており、これにより、以下の効果を得ることができる。
即ち、斯かる構成によれば、前記油圧リフト装置120によって作業機を昇降させる際の負荷が、ミッションケース410ではなく、一対のメインフレーム11に直接作用する。従って、ミッションケース410を必要以上に高強度に製造する必要がない。しかも、この天板13はメインフレーム11を相互に連結しているのでクロスメンバとしても機能する。
【0070】
又、前記構成によれば、油圧リフト装置120を天板13に装着して油圧リフト装置組立体を得てから、該組立体を一対のメインフレーム11に取り付けることができるので、組立作業の容易化を図ることができると共に、油圧リフト装置120の交換又は修理を容易に行うことができる。例えば、容量の異なる油圧シリンダと交換する際に、ミッションケース等の他の部材に関係無く、油圧リフト装置組立体単位で交換を行うことができる。
【0071】
前記機体フレーム10は、さらに、車輌前後方向一端部(本実施の形態においては後端部)において、前記一対のメインフレーム11間を連結するロプス(Roll Over Protection System)支持フレーム14を備えている。
【0072】
該ロプス支持フレーム14は、前記一対のメインフレーム11における第2水平部11cの後端部にそれぞれ連結される一対の上下方向延在片14aと、該一対の上下方向延在片14aの上端部を連結する上部プレート14bとを有しており、該上部プレート14bにロプス140が装着可能とされている。
又、前記一対の上下方向延在片14aには、該一対の上下方向延在片14a間に跨るように、ロアリンク枢支バー14cを支持させることができる(図1及び図6参照)。
【0073】
さらに、前記機体フレーム10は、前記ロプス支持フレーム14における一対の上下方向延在片14aの下端部を相互に連結する下部プレート15を備えることができる。
該下部プレート15は、前記ロプス支持フレーム14との共働下に、四角形状の補強フレームを形成し、これにより、ロプス支持フレーム14の剛性を高めるのはもとより、そこに連結した機体フレーム10の剛性も高めることができる。
該下部プレート15の底面には、好ましくは、牽引バーを支持する牽引バー収納ボックス15aが装着される。
なお、本実施の形態においては、該下部プレート15の上面に前記ミッションケース410が固着されるようになっており、該ミッションケース410の安定支持と共に、ロプス支持フレーム14及び機体フレーム10のさらなる剛性向上を図っている。
【0074】
次に、本実施の形態に係る作業車輌1の変速制御機構について説明する。
図10に、該作業車輌の変速制御回路を示す。
【0075】
図10に示すように、該作業車輌1は、変速制御機構として、前進用走行ペダル510及び後進用走行ペダル520と、前記HST300における出力調整部材313の傾転位置を制御する速度用油圧装置530と、前記前後進切換装置430を制御する走行方向切換用油圧装置540と、各装置の制御を司る制御装置550とを備えている。
【0076】
前記制御装置550は、CPU等の制御部551と、各種装置又は部材の作動状態を検知・検出するセンサ部552とを備えている。
本実施の形態において、前記センサ部552には、前記前進用走行ペダル510及び後進用走行ペダル520が、それぞれ、操作されているか否かをペダル軸の回転の有無で検知する操作検知センサ552aと、両ペダルのそれぞれのペダル軸回転操作量(踏み込み角度)を検出するポテンシオメータ等の操作量検出センサ552bと、前記HST300の出力調整部材313の傾転量を検出する傾転位置検出センサ552cと、前記HST300の入力軸301又は該HST入力軸301に直結される前記PTO系出力軸371の回転数を検出するHST入力センサ552dと、前記HST出力軸302の回転数を検出するHST出力センサ552eとが含まれる。
【0077】
なお、ペダル510,520が操作されたか否かは、前記操作量検出センサ552bから初期値信号以外の信号が送信されたか否かによっても、検知することができる。即ち、前記操作量検出センサ552bから非初期値信号が送信された時点を、ペダル510,520が操作された時点とみなすことができ、斯かる態様においては、前記操作検知センサ552aを不要とすることができる。
なお、各ペダルには、例えば、戻しバネ(図示せず)が介装され、これにより、ペダル面から足を離したときには各センサ552からの検出値はゼロとなるように構成される。
【0078】
前記速度用油圧装置530は、前記HST300の出力調整部材313に作動的に連結されたピストンを有する油圧ピストン装置531と、該油圧ピストン装置531の給排油路を切り換える電磁比例式制御弁532とを備え、前記給排油路を切り換えることによって前記出力調整部材313の傾転位置を変更又は保持させ得るように構成されている。
即ち、該電磁比例式制御弁532の弁本体は、前記HST300の出力を正逆一方側へ変速させる第1位置と、前記HST300の出力を正逆他方側へ変速させる第2位置と、前記HSTの出力をその状態に維持する中立位置とをとり得るように構成されている。
なお、図10に示すように、前記電磁比例式制御弁532は、前記チャージポンプユニット70から圧油が供給される。従って、好ましくは、該電磁比例式制御弁532は、前記油圧ピストン装置531と共に、前記駆動側ユニットに装着される(図示せず)。
【0079】
前記走行方向切換用油圧装置540は、前記前後進切換装置430の給排油路を切り換える電磁切換弁541を備えており、前記給排油路を切り換えることによって、前記トランスミッション40の走行系行出力軸402の回転方向を前進方向及び後進方向に切り換えると共に、該走行系出力軸402への動力伝達を遮断させ得るようになっている。
【0080】
即ち、前記電磁切換弁541の弁本体は、前記前進時伝動経路が係合するように前記前後進切換装置430に圧油を作用させる前進位置と、前記後進時伝動経路が係合するように前記前後進切換装置430に圧油を作用させる後進位置と、前記車輪駆動用ドライブトレーン420の伝動経路を遮断させる中立位置とをとり得るように構成されている。
なお、前記電磁切換弁541には、前記補助ポンプユニット480から圧油が供給される。
【0081】
斯かる構成の変速制御機構は以下のように作動する。
前述のように、前記HMT30は、HST300の出力調整部材313が正逆一方側の最大傾転位置(以下、初期位置という)まで傾転された状態で、略出力停止状態となり、且つ、該出力調整部材313を前記初期位置から正逆他方側の最大傾転位置へ向けて傾転させていくに従ってHMT出力が増大していくように構成されている。
【0082】
本実施の形態に係る作業車輌1においては、斯かるHST出力調整部材313とHMT出力との関係を得る為に、以下のように構成されている。
エンジン20が稼働中であり、且つ、両ペダル510,520が操作されていない車輌停止時には各センサ552から制御部551へ検出値ゼロが入力される。斯かる入力信号に基づき、該制御部551は、前記電磁比例式制御弁532を第1位置に位置させる。これにより、前記油圧ピストン装置530は、前記出力調整部材313を初期位置に向けて押動する。そして、該出力調整部材313が、初期位置に到達したことが検出されると、前記制御部551は、前記電磁比例式制御弁532を中立位置へ戻す。
【0083】
この際、前記出力調整部材313の初期位置設定は、傾転位置検出センサ552cからの信号と共に、前記HST入力センサ552d及びHST出力センサ552eからの検出信号に基づく前記制御部551の演算に基づき、調整される。
即ち、HST出力センサ552e及びHST入力センサ552dの信号から、それぞれ、太陽歯車351及び遊星キャリア353への入力回転数が分かるから、遊星歯車装置350の設定歯車比に基づく演算によってHMT30が略出力停止状態となっているか否かが確認され得る。
【0084】
なお、本実施の形態においては、HST入力軸301の回転数とHST出力軸302の回転数とに基づく演算によってHMT出力のゼロを確認するように構成したが、これに代えて、HMT出力軸(走行系出力軸)372に回転数センサを設けることも可能である。
但し、HMT出力軸(走行系出力軸)372に対する回転数センサによるHMT30の略出力停止状態の検出と、HST入力軸301の回転数及びHST出力軸302の回転数に基づく演算によるHMT30の略出力停止状態の検出とを比較すると、後者の方が検出誤差が少ない為、好ましくは、HST入力軸301の回転数とHST出力軸302の回転数とに基づく演算によってHMT出力の無回転が検知される。
【0085】
次に、作業車輌1を前進又は後進させる場合について説明する。
作業車輌1を前進又は後進させる場合、運転者は、前進用ペダル510又は後進用ペダル520の何れかを選択的に押圧する。
例えば、運転者が前進用ペダル510を押圧したとする。前記操作検知センサ552a又は前記操作量検出センサ552bからの入力信号によってによって前記制御部551が斯かる前進用ペダル510の操作開始を検知すると、該制御部551は、前記走行方向切換用油圧装置540における電磁切換弁541の弁本体を前進位置へ位置させる。これにより、前記前後進切換装置430は、前進時伝動経路を係合させる前進状態となる。
【0086】
運転者が前進用ペダル510を押圧していくと、前記制御部551は、前記操作量検出センサ552b、前記傾転位置検出センサ552c、HST入力センサ552d及びHST出力センサ552eからの入力信号に基づき、前進用ペダル510の操作量、HST300の出力調整部材313の傾転位置及びHMT出力が図5に示す関係となるように、前記電磁比例式制御弁532を制御する。
【0087】
運転者が前進用ペダル510を押圧操作している状態から該前進用ペダルへの操作を解除した場合には、前記制御部551は、前記電磁切換弁541をそれまでの状態(即ち、電磁切換弁541の弁本体が前進位置に位置する状態)に保持するように、構成されている。
即ち、運転者が前進用ペダル510を押圧操作している場合には、前記制御部551は、前記電磁切換弁541における前進時励磁用ソレノイド541aを励磁させることによって、該電磁切換弁541の弁本体を前進位置に位置させている。この状態から、運転者が前進用ペダル510の押圧操作を解除すると、前記制御部551は、前進時励磁用ソレノイド541aの励磁状態を維持するように、前記電磁制御弁541を制御する。
【0088】
このように構成することによって、前進用ペダル510を押圧操作して車輌を前進走行させている際に、該前進用ペダル510の操作を解除した場合には、前進時伝動経路の係合状態が維持されることになる。
ところで、前進用ペダル510の操作を解除した場合には、HST300は正逆一方側に最大出力状態となり、HMTは強制的なゼロ出力停止状態となる。即ち、前進用ペダル510の押圧操作を解除した場合には、駆動車輪が、強制的にゼロ出力とされたHMT出力軸372と作動的に連結され、これにより、駆動車輪にはHMT30による制動力が付加される。該HMT制動力は、車輌前進状態から車輌を停止させた際に、回転抵抗として作用し、作業車輌の不意の移動を有効に防止する。
なお、HMT制動力は、後進用ペダル操作状態から該後進用ペダルの操作を解除した場合にも同様に作用する。
【0089】
このように、本実施の形態に係る作業車輌1においては、前進用ペダル510又は後進用ペダル520を未操作状態から押圧操作した際には、前後進切換装置430が対応する伝動経路を係合させると共に、前進用ペダル510又は後進用ペダル520を押圧操作状態から解放した際には、前後進切換装置430が、係合していた伝動経路の係合状態を維持するように構成されており、これにより、作業車輌を走行状態から停止させた際に、駆動車輪にHMT制動力が付加されるようになっている。
【0090】
さらに、本実施の形態に係る作業車輌1は、HMT30が略出力停止状態の際に、前後進切換装置430を強制的に中立状態にさせるフリーホイール機構600を備えている。
より詳しくは、前記フリーホイール機構600は、運転席に備えられた操作レバー等の操作部材601と、該操作部材601のON/OFFを検出する操作検出センサ602とを備えており、HMT30が略出力停止状態の際に、該操作検出センサ602からのON信号が前記制御部551へ入力されると、該制御部551は前記電磁切換弁541の弁本体を中立位置へ位置させるようになっている。
【0091】
該電磁切換弁541の弁本体が中立位置に位置させられると、前後進切換装置430から圧油がドレンされると共に、前記補助ポンプ70からの圧油もドレンされ、これにより、車輪駆動用ドライブトレーンの伝動経路が遮断される。即ち、前記電磁切換弁541の弁本体が中立位置に位置すると、駆動車輪はHMT出力軸372に対してフリーホイール状態となる。
【0092】
斯かるフリーホイール機構600を備えることによって、エンジン20を駆動させた状態のまま、該作業車輌1を強制的に牽引又は押動する際に、該作業車輌1を容易に移動させることができる。
なお、HMT30が略出力停止状態か否かは、HST入力センサ552d及びHST出力センサ552eからの入力信号を演算することによって、検知される。
【0093】
斯かる構成の作業車輌1においては、以下の効果を得ることができる。
即ち、駆動源20から駆動車輪に至る車輪駆動用伝動経路に、HST300及び遊星歯車装置350が組み合わされてなるHMT30と、該HMT30の出力を作動的に受け、該HMT出力の回転方向を切り換える前後進切換装置430とが直列に介挿されてなる作業車輌において、前記HST300を、少なくとも一方が可変容積型とされた油圧ポンプユニット310及び油圧モータユニット320と、前記駆動源20に作動的に連結され、前記油圧ポンプユニット310を駆動するポンプ軸301と、前記油圧モータユニット320によって駆動されるモータ軸302とを備えるものとすると共に、前記モータ軸302を介して出力される正逆双方向のHST可変出力を前記遊星歯車装置350の第2要素に作動的に入力している。
そして、前記HMT30を、前記HST可変出力が正逆一方側最大状態の際に、略出力停止状態となり、且つ、前記HST可変出力が正逆一方側最大状態から正逆他方側最大状態へ変化するに従って、略出力停止状態から最大出力状態へ移行するように構成している。
【0094】
従って、HMT30により得られる変速幅の全域を、車輌前進用変速域又は車輌後進用変速域に充てることができ、これにより、前後進を含む走行変速幅(即ち、前進最大速度と後進最大速度との絶対値差)を広くしつつ、HSTの小型化を図ることができる。
即ち、従来のHMTにおいては、HMT出力の正逆回転を、HSTの可変モータ出力によって現出させていた。より詳しくは、従来のHMTにおいては、HSTの可変モータ出力を正逆一方側最大出力状態から正逆他方側最大出力状態へ変化させることによって、正逆双方向のHMT出力を得ていた。
斯かる従来の構成において、前後進を含む走行変速幅を広くとる為には、HSTの容量を大型化させる必要がある。HSTの大型化は、高コスト,HMT全体の大型化・高重量化及び冷却装置の大型化を招く。
【0095】
これに対し、本実施の形態においては、前述の通り、HST可変出力を正逆一方側最大状態から正逆他方側最大状態へ変化させることによって得られるHMT出力可変範囲を全て、前進方向及び後進方向への回転出力として取り出すと共に、HMTの伝動方向下流側に前後進切換装置430を備え、該前後進切換装置430によってHMT出力の正逆回転を行い、駆動輪へ伝達している。
従って、前後進を含む走行変速幅のうち,HSTが担う走行変速幅を狭くすることができ、これにより、HSTの小型化を図ることができる。
斯かるHSTの小型化は前記不都合の解消に加えて、本実施の形態におけるように、HST300がエンジン側で駆動ユニットを構成する場合には、該駆動ユニットの小型化・軽量化に好都合であり、該駆動ユニットの防振支持構造の簡素化に貢献できる。
【0096】
さらに、本実施の形態に係る作業車輌1においては、前記前後進切換装置430は、前記HMT30が略出力停止状態の場合には、前記車輪駆動用伝動経路を遮断して、前記駆動車輪を前記HMTに対して無関係とするフリーホイール状態をとり得るように構成されている。
【0097】
斯かる構成においては、HMT単体で正確な出力停止状態を得るように、HMTの精度を厳格に管理する必要がなく、従って、HMTを比較的容易に製造することができる。
即ち、HST出力調整部材の傾転位置によってHMTの出力停止状態を得ていた従来の構成においては、HMTを高精度に製造する必要がある。又、HST出力調整部材の制御のみによってHMTを出力停止状態とすることができない場合には、HMTの伝動方向下流側に、走行系伝動経路を遮断するクラッチを別途設ける必要がある。
【0098】
これに対し、本実施の形態においては、HMT30の伝動方向下流側に配設される前後進切換装置430を利用して、フリーホイール状態を得るように構成しているので、HMT単体で正確な出力停止状態を得る必要がない。従って、HMT30を比較的容易に製造することができる。又、前後進切換装置430を利用してフリーホイール状態を得ている為、追加すべき部品を可及的に減少させつつクラッチ機能を得ることができる。
【0099】
なお、本実施の形態においては、HMT30が略出力停止状態の際に、操作部材600を介して外部操作信号が入力されると、前後進切換装置430がフリーホイール状態となるように構成したが、これに代えて、HMT30が略出力停止状態となると自動的に前後進切換装置430がフリーホイール状態となるように構成することも可能である。
【0100】
図11に、HMT30が略停止状態となると自動的に前後進切換装置430がフリーホイール状態となり得るように構成された作業車輌における変速制御回路の一例を示す。
以下、図11に示す作業車輌について、本実施の形態との相異点を中心に説明する。
【0101】
図11に示す変速制御機構は、前後進共用走行ペダル510’と、前後進切換操作部材520’と、前記速度用油圧装置530と、前記走行方向切換用油圧装置540と、各装置の制御を司る制御装置550と、フリーホイール機構600’とを備えている。
【0102】
前記フリーホイール機構600’は、前記前後進切換装置430の伝動方向下流側に位置する部材に対して選択的に回転抵抗を付与/解除する回転抵抗付与可能状態と、駆動車輪をフリーホイール状態とし得るフリーホイール可能状態とを切り換え得るように構成されている。
【0103】
より詳しくは、前記フリーホイール機構600’は、運転席に備えられる操作部材601’と、該操作部材601’のON/OFFを検出するON/OFFセンサ602’と、該操作部材601’がOFF位置に位置する場合には回転抵抗付与可能状態となり、且つ、該操作部材がON位置に位置する場合には回転抵抗解除となる油圧ブレーキ装置603’とを備えている。
【0104】
前記油圧ブレーキ装置603’は、付勢部材によって、常時、前後進切換装置430における従動軸431に対して制動力を付加するように構成された油圧ピストン603a’と、該油圧ピストンの給排油路を切り換えるブレーキ切換弁603b’とを備え、前記油圧ピストン603a’に圧油が供給されると、前記回転抵抗が解除されるように構成されている。
【0105】
前記ブレーキ切換弁603b’は、前記操作部材601’がON位置にある際には、前記油圧ピストン603a’へ圧油を供給する回転抵抗解除状態に固定保持され、且つ、前記操作部材601’がOFF位置にある際には、前後進共用ペダル510’及び前後進切換操作部材520’に連動して、回転抵抗解除状態と回転抵抗付与状態とを選択的にとり得るように、制御部551によって制御される。
【0106】
即ち、前記操作部材601’がON位置にある際には、前記油圧ブレーキ装置603’は、他の操作部材の操作如何に拘わらず、制動力を付加しない回転抵抗解除状態とされる。
他方、前記操作部材601’がOFF位置にある際には、前記油圧ブレーキ装置603’は、他の操作部材の操作状態に応じて、回転抵抗を選択的に付与/解除する回転抵抗付与可能状態とされる。
【0107】
斯かる構成の変速制御機構は以下のように作動する。
まず、前記操作部材601’をOFF位置に位置させている場合について説明する。
前後進共用ペダル510’の未操作状態においては、前記制御部551は、前記電磁切換弁541の弁本体が中立位置に位置し、且つ、前記ブレーキ切換弁603b’の弁本体が回転抵抗付与位置に位置するように、該電磁切換弁541及びブレーキ切換弁603b’を制御する。
【0108】
運転者が前記前後進切換部材520’を前進位置又は後進位置に位置させ、且つ、共用ペダル510’を押圧操作すると、制御部551は、前記電磁切換弁541の弁本体が前進位置又は後進位置に移行し、且つ、前記ブレーキ切換弁603B’が回転抵抗解除位置に移行するように、該電磁切換弁541及びブレーキ切換弁603b’を制御すると共に、共用ペダル510’の操作量に応じたHMT出力が得られるように、電磁比例式電磁弁532を制御する。これにより、前後進切換部材520’によって選択された方向への共用ペダル510’操作量に応じた車輌走行速度が得られる。
なお、前記前後進切換部材520’の位置検出は、切換部材位置センサ552fからの信号によって行われる。
【0109】
この状態から、前記共用ペダル510’の押圧操作を解除すると、前記制御部551は、HMT30が略出力停止状態となるように、電磁比例式制御弁532を制御すると共に、前後進切換操作部材520’の位置に拘わらず、前記電磁切換弁541の弁本体が中立位置に位置し、且つ、前記ブレーキ切換弁603b’が回転抵抗付与位置に位置するように、該電磁切換弁541及びブレーキ切換弁を制御する。
【0110】
即ち、図11に示す態様において、前記操作部材をOFF位置に位置させている場合には、車輌発進時には、前後進切換部材520’を前進位置又は後進位置の何れかに位置させ、且つ、共用ペダル510’を押圧操作した場合に、前後進切換装置430が伝動状態となり、且つ、油圧ブレーキ装置603’が回転抵抗解除状態となる。
そして、車輌走行状態から共用ペダル510’の押圧操作を解除して、HMT30が略出力停止状態となると、前後進切換部材520’の係合位置に拘わらず前後進切換装置430は動力遮断状態となり、且つ、油圧ブレーキ装置603’が回転抵抗付与状態となる。
【0111】
次に、図11に示す態様において、前記操作部材601’をON位置に位置させている場合について説明する。
図11に示す態様において、前記操作部材601’をON位置に位置させている場合には、前記制御部551は、操縦者が車輌を走行させない意志表示をしたと判断し、前後進切換部材520'の操作に拘わらず、HMT30の略出力停止状態に基づき、前後進切換装置430を自動的に中立状態とする。
【0112】
前述のように、前記操作部材601’がON位置に位置されている場合には、前記油圧ブレーキ装置603’は回転抵抗解除状態とされているから、前記前後進切換装置430が中立状態となると、駆動車輪は回転自在なフリーホイール状態となる。
【0113】
なお、本実施の形態においては、前後進切換装置430として、油圧クラッチ式切換装置を例に説明したが、図12に示すように、カラーシフト式若しくはドッグクラッチ式前後進切換装置430’を採用することも可能である。
【0114】
図12に示す態様においては、単一の電磁切換弁541に代えて、前進用切換弁541F及び後進用切換弁541Rが備えられる。両切換弁541F,541Rの各々の出力ポートは、2段伸縮式外装油圧シリンダ700の油入力ポートに接続されている。
斯かる構成により、両切換弁541F,541Rが圧油供給位置(図12中のI位置)に位置する際には、前後進切換装置430’が中立状態をとるようになっている。
そして、前進用切換弁541Fが圧油供給位置(I位置)に位置し且つ後進用切換弁541Rが圧油排出位置(II位置)に位置する際には、油圧シリンダ700が収縮してピストン701が紙面右方へ移行して、前後進切換装置430’が後進状態をとるようになっている。
これとは反対に、前進用切換弁541Fが圧油排出位置(II位置)に位置し且つ後進用切換弁541Rが圧油供給位置(II位置)に位置する際には、油圧シリンダ700が伸長してピストン701が紙面左方へ移行して、前後進切換装置430’が、前進状態をとり得るようになっている。なお、図12中の符号702は、クラッチ係合が完全に行われなかった場合の、ピストン701の操作力を蓄積してクラッチシフタ431'を係合方向に押しつづけておくためのバネである。
【0115】
実施の形態2
以下、本発明の好ましい他の実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図13及び図14は、それぞれ、本実施の形態に係る作業車輌1’の概略側面図及び伝動模式図である。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一又は相当部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0116】
図14に示すように、本実施の形態に係る作業車輌1’は、前記実施の形態1において、前記トランスミッション40内に備えられた前後進切換装置430の代わりに、前記駆動源20と前記HMT30との間に介挿された前後進切換装置430’を備えている。
【0117】
詳しくは、該作業車輌1’は、前記機体フレーム10と、該機体フレーム10の車輌前後方向一方側で防振支持された前記エンジン20と、該エンジンからの駆動力を変速伝達する主変速装置として作用する前記HMT30と、該HMT30の出力を受けて駆動車軸を駆動するトランスミッション40と’、前記駆動源20とHMT30との間に介挿された前後進切換装置430’とを備えている。
【0118】
図15に、該作業車輌1’における前記HMT30近傍の縦断側面図を示す。
図14及び図15に示すように、前記前後進切換装置430’は、前記フライホイール60に(好ましくは、ダンパー61を介して)連結された駆動軸435’と、該駆動軸435’と略平行に配設された従動軸436’と、前進時に前記駆動軸435’から前記従動軸436’に動力を伝達する前進用伝動経路430F’と、後進時に前記駆動軸435’から前記従動軸436’に動力を伝達する後進用伝動経路430R’と、前記前進用伝動経路430F’及び後進用伝動経路430R’に介挿された油圧作動型クラッチ437とを備えている。
【0119】
本実施の形態において、前記前後進切換装置430’は、前記エンジン20と前記HSTケーシング340との間に連設されたフライホイールハウジング65’内に収容されている。
【0120】
即ち、該作業車輌1’は、前記HMT取付部材80の代わりに、フライホイールハウジング65’を備えている。
該フライホイールハウジング65’は、伝動方向上流側が前記装着フランジ81に連結され、且つ、伝動方向下流側が前記HSTケーシング340に連結される筒状の本体部66’と、該本体部66’の伝動方向略中央部に設けられた軸受壁67’とを備えている。
前記本体部66’は、伝動方向上流側端面に前記フライホイール60が挿通可能な開口を有し、且つ、伝動方向下流側端面に前記前後進切換装置430’が挿通可能な開口を有している。
【0121】
斯かる構成の前記フライホイールハウジング65’は、前記本体部66’のうち,前記軸受壁67’より伝動方向上流側及び伝動方向下流側に位置する部分が、それぞれ、乾室のフライホイール収容室及び油室の前後進切換装置収容室を画するようになっている。
本実施の形態においては、前記チャージポンプユニット70は、前記駆動軸435’によって回転駆動される状態で、フライホイール収容室内に収容されている。
なお、該チャージポンプ70は他の軸によって駆動させることも可能であるし、若しくは、他のポンプをチャージポンプとして兼用させることも可能である。
【0122】
前記駆動軸435’は、前記軸受壁67’及び前記遊星ハウジング60によって軸受支持されている。該駆動軸435’は、伝動方向上流側端部が前記軸受壁67’を貫通して前記フライホイール60に連結され、且つ、伝動方向下流側端部が前記センターセクション330及び前記遊星ハウジング360を貫通して伝動方向下流側へ突出している。
本実施の形態においては、前記駆動軸435’の伝動方向下流端部が前記PTO系出力軸371を構成している。
【0123】
前記従動軸436’は、前記入力軸(ポンプ軸)301と同軸上に位置するように、前記軸受壁67’と前記HSTケーシング340の伝動方向上流端面とによって軸受支持されている。
該従動軸436’及び前記入力軸301は、互いの対向端部が突き合わされた状態で、軸線回り相対回転不能に連結されている。
即ち、前記従動軸436’を介して、前記駆動源20から前記入力軸301に駆動力が伝達されるようになっている。
なお、車輌の仕様等により、前記従動軸436’と前記入力軸301との間で増減速させる場合も当然にあり得る。
【0124】
なお、本実施の形態においては、前記歯車列380における前記固定歯車382はHST入力軸301に相対回転不能に連結されており、これにより、駆動源20からの一定駆動力が、第1要素として作用する前記遊星キャリア353に入力し得るようになっている。
又、図14における符号438’は、前記後進用伝動経路430R’の一構成要素であるカウンタ軸である。
【0125】
図16に、図15におけるXVI−XVI線断面図を示す。
図16に示すように、本実施の形態においては、前記フロントアクスル装置90の揺動中心を車輌幅方向略中央に位置させる為に、前記前輪駆動力取出軸403と該フロントアクスル装置90とを接続する前記軸継手94を車輌幅方向略中央に配置させている。
さらに、斯かる構成において、前記HMT30の上下幅及び左右幅の可及的な縮小を図る為に、前記駆動軸435’(PTO系出力軸371),前記入力軸301及び前記出力軸302(走行系中間軸373)を上下方向に並設させると共に、前記駆動軸430’(PTO系出力軸371)を車輌幅方向略中央に配置させ、且つ、各軸線を通る仮想線Fが垂直方向に対して傾斜するように配置している。
これにより、前記軸継手94との抵触を回避しつつ、該HMT30の可及的な小型化を図ることができる。
【0126】
なお、図16中の符号313a及び313bは、それぞれ、前記出力調整部材313を構成する制御軸及び制御アームであり、該制御アーム313bの自由端部には前記油圧ピストン装置531が作動的に連結されている。
斯かる構成により、前記速度用油圧装置530を制御して、前記制御アーム313bを揺動させることにより、前記制御軸313aが軸線回りに回転し、前記油圧ポンプユニット310の吸入/吐出量が変化し得るようになっている。
又、図16中の符号313cは、中立位置調整機能を備えた中立位置復帰機構である。
【0127】
前記油圧作動型クラッチ437は、後述する油圧回路の制御に基づき、前記前進用伝動経路430F’を介して前記駆動軸435’から前記従動軸436’へ動力を伝達する前進状態と、前記後進用伝動経路430R’を介して前記駆動軸435’から前記従動軸436’へ動力を伝達する後進状態と、前記駆動軸435’から前記従動軸436’への動力伝達を遮断する中立状態とをとり得るように構成されている。
【0128】
斯かる構成の作業車輌1’においては、前記実施の形態1におけると同様、前後進を含む走行変速幅(即ち、前進最大速度と後進最大速度との絶対値差)を広くしつつ、HSTの小型化を図ることができ、且つ、HMTのゼロ出力調整をラフに行えるという効果を得ることができる。
【0129】
さらに、該作業車輌1’においては、前記前後進切換装置430’を、前記HMT30よりも伝動方向上流側に配置しており、これにより、該前後進切換装置430’の小型化を図ることができる。
即ち、斯かる構成により、前記前後進切換装置430’には、駆動力20からの駆動力が減速前の状態で入力される。従って、該前後進切換装置430’に掛かる負荷トルクを小さくでき、これにより、該前後進切換装置430’の小型化を図ることができる。
【0130】
又、該作業車輌1’においては、前述の通り、前記駆動源20,前後進切換装置430’及びHMT30が、機体フレーム10に対して防振支持された駆動側ユニットを形成し、且つ、該駆動側ユニットからの出力を離間配置されたトランスミッション40’に軸継手91,92を介して入力させている。
即ち、本実施の形態においては、主要な走行系変速装置を駆動側ユニットに集約させている。従って、前記駆動側ユニットのみを交換することで、容易に車輌の仕様変更に対応できる。
【0131】
なお、本実施の形態において、クランクケースに固着された前記ブラケット20a(図13参照)及びセンターセクション330の上面に固着されたブラケット30a’(図1,15及び16参照)と、前記メインフレーム11の左右前後に固着された前記防振ゴムブラケット11dと、前記ブラケット20a,30a’と防振ゴムブラケット11dとの間に介挿された前記防振ゴム111とによって、前記駆動側ユニットが前記メインフレーム11に防振支持されており、これにより、該駆動側ユニットの振動が機体フレームに伝播することを有効に抑えている。
【0132】
次に、本実施の形態に係る作業車輌1’の変速制御回路について、前記実施の形態1との相異点を中心に説明する。
図17は、該作業車輌1’における変速制御回路図である。
【0133】
該作業車輌1’は、変速制御機構として、前記前進用走行ペダル510及び前記後進用走行ペダル520(図示せず)と、前記HST300における出力調整部材313の傾転位置を制御する前記速度用油圧装置530と、前記前後進切換装置430’を制御する走行方向切換用油圧装置540’と、各装置の制御を司る前記制御装置550(図示せず)とを備えている。
即ち、該作業車輌1’は、前記実施の形態1において、前記走行方向切換用油圧装置540の代わりに、走行方向切換用油圧装置540’を備えている。
【0134】
前記走行方向切換用油圧装置540’は、前記前後進切換装置430’の前進用給排油路545F及び後進用給排油路545Rに直列に介挿された第1及び第2電磁切換弁541a’,541b’を備えている。
【0135】
詳しくは、前記第1電磁切換弁541a’は、前進用給排油路545Fを圧油供給油路75に連通し、且つ、後進用給排油路545Rをドレイン路76に連通するF位置と、前進用給排油路545Fをドレイン路76に連通し、且つ、後進用給排油路545Rを圧油供給油路75に連通するR位置とをとり得るようになっている(図17においては、F位置に位置している)。
【0136】
前記第2電磁切換弁541b’は、前進用給排油路545F,後進用給排油路545R及び圧油供給油路75をドレイン路76に連通させる解放位置と、前進用給排油路545F及び後進用給排油路545Rをそれぞれ圧油供給可能な状態とする連通位置とをとり得るようになっている(図17においては、解放位置に位置している)。
【0137】
前記第1及び第2電磁切換弁541a’,541b’は、前記実施の形態1におけると同様に、前記センサ部552からの信号に基づき、前記制御部551によって制御される。
即ち、例えば、前記前進用走行ペダル510の操作が前記センサ部552によって検出されると、該センサ部552からの検出信号に基づき、前記制御部551は、第1電磁切換弁541a’をF位置に位置させ、且つ、前記第2電磁切換弁541b’を連通位置に位置させる。
【0138】
下記表1に、前記第1及び第2電磁切換弁541a’,541b’の制御方法を示す。
なお、表1におけるFモード,Nモード及びRモードは、それぞれ、前記前進用走行ペダル510及び前記後進走行ペダル520の操作状況に基づき前記制御装置550によって判断される前進操作モード,中立操作モード及び後進操作モードである。
【0139】
【表1】

【0140】
このように、本実施の形態においては、前記制御装置550が、前記前進用走行ペダル510及び前記後進走行ペダル520の操作状況に基づき、車輌走行状態がNモードであると判断すると、前後進切換装置430’を動力遮断状態とする。
従って、前記入力軸301への動力伝達が遮断され、その結果、前記HMT30がゼロ出力状態となる。
【0141】
好ましくは、Nモードにおいても、選択的に、前後進切換装置430’を動力伝達状態とするパワーニュートラル機能を備えることができる。
即ち、表1に示す制御方法においては、前記前進用走行ペダル510及び前記後進走行ペダル520の非操作時に、前記HMT30から駆動車輪へ至る伝動経路は、駆動源20と分断される。従って、前記駆動車輪は、自由に回転し得る状態となる。
【0142】
斯かる制御方法は、エンジン20を駆動させた状態のまま、該作業車輌1’を強制的に牽引又は押動する際には有効であるが、その一方、坂道等で作業車輌1’の走行方向を切り換える際には問題が生じ得る。
【0143】
即ち、車輌走行方向を切り換える場合には、必ず、前記制御装置550はNモードを検出する。例えば、車輌後進状態から車輌前進状態へ移行する際には、前記制御装置550は、Rモード→Nモード→Fモードへの移行を検出する。
従って、坂道等で作業車輌1’の走行方向を切り換える際に、表1に示す制御方法では、Nモード時に、作業車輌1’が意に反して下方へ移動する恐れがある。
【0144】
この点に鑑み、例えば、運転席近傍に備えられるパワーニュートラルスイッチを操作することによって、Nモードにおいても、前進用伝動経路430F’又は後進用伝動経路430R’の何れか一方を伝動状態に維持するパワーニュートラル機能を発現させるように構成し得る。
下記表2に、パワーニュートラル機能を発現させた際の制御方法を示す。
【0145】
【表2】

【0146】
表2に示す制御方法においては、Nモード時においても、前後進切換装置430’が動力伝達状態に維持されるので、坂道等における走行方向切換時において車輌が不意に下方へ移動することを防止できる。
表2は、Nモード時に、前進用伝動経路430F’が伝動状態になるような制御方法を示している。
【0147】
なお、本実施の形態においては、前記走行方向切換用油圧装置540’が、前記前後進切換装置430’の給排油路545F,545Rに直列に介挿された第1及び第2電磁切換弁541a’,541b’を備える形態を例に説明したが、本発明は、斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、図18に示すように、前記走行方向切換用油圧装置540’は、前進用給排油路545Fに介挿された第1電磁切換弁541a''と、後進用給排油路545Rに介挿された第2電磁切換弁541b''とを備えるように構成し得る。
【0148】
前記第1電磁切換弁541a''は、前進用給排油路545Fを圧油供給油路75に連通する連通位置と、前進用給排油路545Fをドレイン路76に連通する解放位置とをとり得るようになっている(図18においては、解放位置に位置している)。
【0149】
前記第2電磁切換弁541b''は、後進用給排油路545Rを圧油供給油路75に連通する連通位置と、後進用給排油路545Rをドレイン路76に連通する解放位置とをとり得るようになっている(図18においては、解放位置に位置している)。
該第2電磁切換弁541b''は、好ましくは、電磁比例弁とすることができ、これにより、後進用給排油路545Rの急激な油圧上昇を防止できる。
【0150】
前記第1及び第2電磁切換弁541a'',541b''の制御方法を下記表3に示す。
【0151】
【表3】

【0152】
このように、図18に示す形態においても、本実施の形態におけると同様の作用効果を奏し得る。
【0153】
又、当然ながら、本実施の形態においても、前記実施の形態1におけると同様、前進用走行ペダル510及び前記後進用走行ペダル520に代えて、前後進共用走行ペダル510’及び前後進切換操作部材520’を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る作業車輌の概略側面図である。
【図2】図2は、図1に示す作業車輌の伝動模式図である。
【図3】図3は、図1に示す作業車輌におけるエンジン及びHMTの部分分解斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す作業車輌におけるHMTの縦断側面図である。
【図5】図5は、HSTにおける出力調整部材の傾転位置と、HMT出力軸の回転速度との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、図1に示す作業車輌における機体フレームの部分分解斜視図である。
【図7】図7は、図1に示す作業車輌における補助ポンプユニットの油圧回路である。
【図8】図8は、図1に示す作業車輌における油圧リフト装置近傍の平面図であり、一部を断面で示している。
【図9】図9は、図1に示す作業車輌における油圧リフト装置近傍の側面図であり、一部を断面で示している。
【図10】図10は、図1に示す作業車輌における変速制御回路である。
【図11】図11は、他の制御方法に係る変速制御回路である。
【図12】図12は、他の形態に係る前後進切換装置の部分油圧回路図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施の形態に係る作業車輌の概略側面図である。
【図14】図14は、図13に示す作業車輌の伝動模式図である。
【図15】図15は、図13に示す作業車輌におけるHMT近傍の縦断側面図である。
【図16】図16は、図15におけるXVI-XVI線断面図である。
【図17】図17は、図13に示す作業車輌の変速制御回路図である。
【図18】図18は、図13に示す作業車輌の他の変速制御回路図である。
【図19】図19は、従来の作業車輌の概略側面図である。
【符号の説明】
【0155】
1,1’ 作業車輌
10 機体フレーム
11 メインフレーム
12 補強フレーム
13 クロスメンバ
14 ロプス支持フレーム
14a 上下方向延在片
14b 上部プレート
15 下部プレート
15a 牽引バー収納ボックス
40 トランスミッション
120 油圧リフト装置
131 ローダマスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付設される作業機を機体フレームに対して相対移動させる油圧リフト装置を備えた作業車輌であって、
前記機体フレームは、車輌前後方向に沿って延びる左右一対のメインフレームと、
車輌前後方向一方側において、前記一対のメインフレームの上面に跨るように配設されたクロスメンバとを備え、
前記油圧リフト装置は、前記クロスメンバに支持されていることを特徴とする作業車輌。
【請求項2】
前記機体フレームは、ロプス支持フレームをさらに備え、
前記ロプス支持フレームは、車輌前後方向一方側において、前記一対のメインフレームのそれぞれに連結される一対の上下方向延在片と、該一対の上下方向延在片の上端部を連結する上部プレートとを有していることを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。
【請求項3】
前記ロプス支持フレームは、前記一対の上下方向延在片の下端部を連結する下部プレートをさらに備え、
該下部プレートには、牽引バーが挿通される牽引バー収納ボックスが固着されていることを特徴とする請求項2に記載の作業車輌。
【請求項4】
前記機体フレームは、前記一対のメインフレーム間に連結される門状の補強フレームをさらに備え、
前記補強フレームは、左右の側面にローダマストが取付可能とされ、且つ、上面にハンドルコラムが取付可能とされていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の作業車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−290705(P2007−290705A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150138(P2007−150138)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【分割の表示】特願2002−333771(P2002−333771)の分割
【原出願日】平成14年11月18日(2002.11.18)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】