説明

作業車輌

【課題】走行系ポンプ及び作業機系ポンプの油源に貯留される貯留油全体を効率的に冷却させる。
【解決手段】パワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する走行系ポンプと作業機を昇降させる油圧昇降以降の油圧源として作用し且つ前記走行系ポンプよりも大流量の作動油を吐出する作業機系ポンプとを備え、前記作業機系ポンプからの作動油のうちメインリリーフ弁によってリリーフされた油及び電磁リフトバルブユニットから余剰油として排出された油を合流させて前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの油源に戻す作業機系リターンラインにオイルクーラーを介挿させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する走行系ポンプ及び油圧昇降機構の油圧源として作用する作業機系ポンプを備えた作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の作業車輌において、パワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する走行系ポンプと油圧昇降機構の油圧源として作用する作業機系ポンプとを備えた構成が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、前記特許文献1に記載の作業車輌においては、前記走行系ポンプは、油源として用いられるミッションケースから油を吸引して前記パワステ用油圧作動機構に作動油を供給する。同様に、前記作業機系ポンプは、前記ミッションケースから油を吸引して前記油圧昇降機構に作動油を供給する。そして、前記パワステ用油圧作動機構及び前記油圧昇降機構の戻り油及び余剰油は直接又は間接的に前記ミッションケース内へ戻される。
【0004】
このようにして、前記ミッションケース内の貯留油が循環使用されるが、前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプから吐出された作動油は前記パワステ用油圧作動機構及び前記油圧昇降機構をそれぞれ作動させることで高温となる。前記パワステ用油圧作動機構及び前記油圧昇降機構の戻り油及び余剰油が高温のまま前記ミッションケース内へ戻されると、前記ミッションケース内の貯留油全体の温度が上昇し、前記貯留油を油源とする前記作動油の特性悪化を招く。
【0005】
この点に関し、前記特許文献1に記載の作業車輌においては、前記パワステ用油圧作動機構から前記ミッションケース内へ作動油を戻す走行系リターンラインにオイルクーラーを介挿させることで前記ミッションケース内の貯留油の高温化防止を図っている。
【0006】
しかしながら、前記作業機系ポンプが作業機を昇降させる前記油圧昇降機構の油圧源として作用するのに対し、前記走行系ポンプは前記パワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する為、前記走行系ポンプは前記作業機系ポンプに比して少流量タイプとされる。
従って、前記特許文献1に記載の構成には、前記ミッションケース内の貯留油全体の高温化防止という観点において改善の余地があった。
【0007】
又、前記パワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する前記走行系ポンプと前記油圧昇降機構の油圧源として作用する前記作業機系ポンプとを備えた作業車輌において、前記パワステ用油圧作動機構の戻り油及び余剰油を前記作業車輌に備えられる摩擦板式油圧クラッチの潤滑油として利用する構成が提案されている(下記特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、前記パワステ用油圧作動機構の作動油として作用した後の作動油は比較的高温になることから、前記構成においては前記摩擦板式油圧クラッチを冷却させるという観点において改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−105537号公報
【特許文献2】特開2003−301934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、走行系ポンプ及び作業機系ポンプからパワステ用油圧作動機構及び油圧昇降機構にそれぞれ供給された作動油が前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの油源に戻されるように構成された作業車輌において、前記油源に貯留される貯留油全体を効率的に冷却させ得る作業車輌の提供を、一の目的とする。
又、本発明は、前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの少なくとも一方を油圧源として作動する摩擦板式油圧クラッチが前記両ポンプの油源として作用するミッションケース内に収容されている作業車輌において、前記一の目的を達成しつつ、前記摩擦板式油圧クラッチの潤滑及び冷却を効果的に行える作業車輌の提供を、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために、操向輪を操舵するパワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する走行系ポンプと、付設される作業機を昇降させる油圧昇降機構の油圧源として作用する作業機系ポンプであって、前記走行系ポンプよりも大流量の作動油を吐出する作業機系ポンプと、前記作業機系ポンプに流体接続されたメインインレットラインの油圧を設定するメインリリーフ弁と、前記メインリリーフ弁によって油圧設定された作動油を受け入れる昇降用インレットポート,前記昇降用インレットポートを介して受け入れた作動油の余剰油を排出する昇降用アウトレットポート,前記油圧昇降機構に対して作動油を給排する昇降用給排ポート及び前記油圧昇降機構から排出される作動油をドレンする昇降用ドレンポートを有し、前記昇降用アウトレットポートから余剰油を排出させつつ、人為操作される給排切換電磁弁によって前記昇降用給排ポートを前記昇降用インレットポートに流体接続させる上昇状態,前記昇降用給排ポートを前記昇降用ドレンポートに流体接続させる下降状態及び前記昇降用給排ポートを前記昇降用インレットポート及び前記昇降用ドレンポートに対して遮断させる保持状態をとり得る電磁リフトバルブユニットと、前記昇降用給排ポート及び前記油圧昇降機構を流体接続する昇降用給排ラインに介挿された下降防止バルブ機構であって、人為操作される下降防止電磁弁によって前記給排ポートから前記油圧昇降機構への作動油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止する下降防止状態と前記油圧昇降機構から前記給排ポートへの作動油の流れを許容する下降状態とを選択的にとり得る下降防止バルブ機構とを備えた作業車輌であって、前記メインリリーフ弁のリリーフ油及び前記電磁リフトバルブからの余剰油を合流させて前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの油源へ戻す作業機系リターンラインにオイルクーラーを介挿させた作業車輌を提供する。
【0012】
前記油源として用いられるミッションケースに前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの少なくとも一方を油圧源として作動する摩擦板式油圧クラッチが収容されている場合には、好ましくは、前記リターンラインのうち前記オイルクーラーより油流れ方向下流側から前記摩擦板式油圧クラッチへ潤滑油を供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る作業車輌によれば、パワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する走行系ポンプよりも大流量の作動油を吐出する作業機系ポンプからの作動油のうちメインリリーフ弁によってリリーフされた油及び電磁リフトバルブユニットから余剰油として排出された油を合流させて前記ポンプの油源に戻す作業機系リターンラインにオイルクーラーを介挿させたので、前記油源の貯留油全体を効率的に冷却させることができる。
【0014】
前記オイルクーラーによって冷却された作動油を前記作業車輌に備えられる摩擦板式油圧クラッチの潤滑油として用いれば、前記摩擦板式油圧クラッチの潤滑及び冷却を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明が適用される作業車輌の一形態であるトラクタの斜視図である。
【図2】図2は、前記作業車輌の車体部分の斜視図である。
【図3】図3は、前記車体部分の平面図である。
【図4】図4は、前記作業車輌の伝動模式図である。
【図5】図5は、前記作業車輌の油圧回路図である。
【図6】図6は、前記作業車輌におけるトランスミッション近傍の斜視図である。
【図7】図7は、前記トランスミッション近傍の正面図である。
【図8】図8は、前記トランスミッション近傍の平面図である。
【図9】図9は、前記作業車輌における油圧昇降機構近傍の斜視図である。
【図10】図10は、前記油圧昇降機構近傍の斜視図である。
【図11】図11は、前記油圧昇降機構の前方分解斜視図である。
【図12】図12は、前記油圧昇降機構の後方分解斜視図である。
【図13】図13は、前記油圧昇降機構の横断斜視図である。
【図14】図14は、前記油圧昇降機構におけるシリンダヘッドの縦断背面斜視図である。
【図15】図15は、図13における断面より下方に位置する断面に沿った横断斜視図である。
【図16】図16は、図13における断面より上方に位置する断面に沿った横断斜視図である。
【図17】図17は、前記油圧昇降機構におけるシリンダケースの縦断斜視図である。
【図18】図18は、前記シリンダケース及びミッションケースの縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る作業車輌の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る作業車輌1であるトラクタの斜視図を示す。
又、図2及び図3に、それぞれ、前記作業車輌1の車体部分を右前方から視た斜視図及び平面図を示す。
さらに、図4に、前記作業車輌1の伝動模式図を示す。
なお、本明細書において「左」及び「右」は、特段の説明が無い限り、車輌の後方から前方を向いた状態を基準にした方向を示している。
【0017】
図1〜図4に示すように、前記作業車輌1は、左右一対の車輌フレーム10と、車輌前方側に配設された操舵輪として作用する左右一対の前輪21と、車輌後方に配設された非操舵輪である左右一対の後輪22と、前記一対の車輌フレーム10の前方側に支持された駆動源として作用するエンジンユニット40と、前記エンジンユニット40の後端面に連結されたフライホイールユニット50と、前記フライホイールユニット50から後方に離間された位置において前記一対の車輌フレーム10に連結され且つ前記エンジンユニット40から前記フライホイールユニット50を介して作動的に回転動力を入力するトランスミッション60とを備えている。
【0018】
前記一対の車輌フレーム10は、図2及び図3に示すように、板面が略垂直に沿った状態で互いに対向するように車輌前後方向に延びている。
本実施の形態においては、前記一対の車輌フレーム10は、車輌前方側に位置し且つ平面視略直線状に延びる左右一対のフロントフレーム11と、前記一対のフロントフレーム11より車輌幅方向外方側に位置し且つ側面視において前端側が対応する前記フロントフレーム11の後端側とオーバーラップした状態で該フロントフレーム11に連結された左右一対のメインフレーム12であって、平面視略直線状に後方側へ延びる左右一対のメインフレーム12とを含んでいる。
【0019】
前記トランスミッション60は、図2〜図4に示すように、前記フライホイールユニット50から後方へ離間された状態で、前記一対のメインフレーム12の後端側に連結されるミッションケース61と、伝動軸55を介して前記フライホイールユニット50に作動連結されるように前記ミッションケース61に支持された入力軸62と、メイン駆動輪として作用する前記一対の後輪22へ向けて回転動力を出力する左右一対のメイン走行出力軸63と、付設される作業機(図示せず)へ向けて回転動力を出力するPTO軸64と、前記入力軸62から前記一対のメイン走行出力軸63へ回転動力を伝達するように前記ミッションケース61に収容された走行系伝動機構と、前記入力軸62から前記PTO軸64へ回転動力を伝達するように前記ミッションケース61に収容されたPTO系伝動機構とを有している。
【0020】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記走行系伝動機構は、主変速機構として作用するHST110と、前記HST110から出力される回転動力の回転方向を切り換える油圧前後進切替装置120と、副変速機構として作用する多段式ギヤ変速装置130と、前記多段式ギヤ変速装置130から回転動力を入力するメイン走行駆動軸140と、前記メイン走行駆動軸140の回転動力を前記一対のメイン走行出力軸63に差動伝達するメイン駆動輪側ディファレンシャルギヤ装置150とを備えている。
【0021】
図5に、前記作業車輌1の油圧回路図を示す。
図4及び図5に示すように、前記作業車輌1は、さらに、前記一対のメイン走行出力軸63に対してそれぞれ制動力を選択的に付加し得る左右一対の油圧ブレーキ機構160を備えている。
【0022】
なお、本実施の形態に係る前記作業車輌1は、前記メイン駆動輪として作用する前記一対の後輪22に加えて、前記一対の前輪21にも回転動力を伝達し得るように構成されている。
従って、前記トランスミッション1は、さらに、サブ駆動輪として作用する前記一対の前輪21へ向けて回転動力を出力可能なサブ走行駆動軸65を有しており、前記走行系伝動機構は、さらに、前記メイン走行駆動軸140の回転動力を前記サブ走行駆動軸65に伝達可能な油圧サブ駆動輪伝動装置170を備えている。
【0023】
前記油圧サブ駆動輪伝動装置170は、図4及び図5に示すように、前記サブ走行駆動軸65を前記メイン走行駆動軸140と同期回転させる際に係合される同期側油圧クラッチ171と、前記サブ走行駆動軸65を前記メイン走行駆動軸140よりも増速回転させる際に係合される増速側油圧クラッチ172とを有しており、前記サブ走行駆動軸65を前記メイン走行駆動軸140と同期回転させる同期伝動状態,前記サブ走行駆動軸65を前記メイン走行駆動軸140より増速回転させる増速駆動状態又は前記メイン走行駆動軸140から前記サブ走行駆動軸65への動力伝達を遮断する遮断状態を選択的にとり得るように構成されている。
【0024】
なお、図4における符号180は、前記サブ走行駆動軸65からサブ走行伝動軸66を介して入力される回転動力を左右一対のサブ走行出力軸67に差動伝達する為にフロントアクスルケース30(図1参照)に収容されたサブ駆動輪側ディファレンシャルギヤ装置である。
【0025】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記PTO系伝動機構は、前記入力軸62から前記PTO軸64への動力伝達を選択的に係合又は遮断させる油圧PTOクラッチ装置210と、前記入力軸62から前記PTO軸64へ伝達される回転動力を多段変速させるPTO多段変速装置220とを有している。
【0026】
なお、本実施の形態においては、前記油圧PTOクラッチ装置210は、前記入力軸62から前記PTO軸64への動力伝達を選択的に係合又は遮断させる油圧PTOクラッチ機構211と、前記PTO油圧クラッチ機構211に対して背反的に作動する油圧PTOブレーキ機構212とを有している。
【0027】
図6〜図8に前記トランスミッション60近傍の斜視図,正面図及び平面図を示す。
前記作業車輌1は、図5〜図8に示すように、さらに、前記一対の操舵輪21を操舵させる為のパワステ用油圧作動機構250と、付設される作業機を昇降させる為の油圧昇降機構300と、前記作業機の車輌本機に対する水平姿勢を変更させる為の油圧傾斜機構350と、前記パワステ用油圧作動機構250の油圧源として作用する走行系ポンプ260と、前記油圧昇降機構300及び前記油圧傾斜機構350の油圧源として作用する作業機系ポンプ270とを備えている。
【0028】
前記油圧昇降機構300は、図6〜図8に示すように、前記ミッションケース61の上面に載置されるシリンダケース305と、前記シリンダケース305の前面に連結されるシリンダヘッド315と、車輌前後方向に沿うように前記シリンダケース305及び前記シリンダヘッド315によって画される昇降用シリンダ室310に摺動自在に収容される昇降用ピストン320と、前記昇降用ピストン320の摺動に応じて車輌幅方向に沿った回動軸回りに揺動するように基端部が前記シリンダケース305に回動可能に支持された左右一対のリフトアーム325L,325Rとを備えている。
【0029】
前記左右一対のリフトアーム325L,325Rの自由端部は、図6〜図8に示すように、左右一対のリフトロッド75L,75Rを介して前記作業機に作動的に連結されている。
詳しくは、本実施の形態に係る前記作業車輌1は、図6〜図8に示すように、トップリンク81及び左右一対のロワーリンク82L,82Rを介して前記作業機を昇降可能に付設し得るように構成されており、前記左右一対のリフトロッド75L,75Rは、上端部が前記左右一対のリフトアーム325の自由端部に連結され且つ下端部が前記左右一対のロワーリンク82に連結されている。
【0030】
前記油圧傾斜機構350は、前記左右一対のリフトロッド75L,75Rの一方(本実施の形態においては右側に位置するリフトロッド75R)に介挿されており、作動油の給排制御によって伸縮することで前記作業機の前記車輌本機に対する水平姿勢を変更させ得るように構成されている。
【0031】
詳しくは、前記油圧傾斜機構350は、図5〜図8に示すように、傾斜用シリンダ355と、前記傾斜用シリンダ355の傾斜用シリンダ室を伸長室360a及び圧縮室360bに液密に分離した状態で前記傾斜用シリンダ室に摺動自在に収容された傾斜用ピストン365とを備えている。
【0032】
前記走行系ポンプ260及び前記作業機系ポンプ270は、前記ミッションケース61を油源とした状態で前記駆動源によって作動的に駆動されている。
本実施の形態においては、図6〜図8に示すように、前記走行系ポンプ260及び前記作業機系ポンプ270は車輌前後方向に直列状態で前記ミッションケース61の前面に支持されている。
【0033】
詳しくは、図4に示すように、前記トランスミッション60は、前記入力軸62に作動連結されたポンプ駆動軸68を有しており、前記走行系ポンプ260及び前記作業機系ポンプ270は前記ポンプ駆動軸68によって駆動される状態で前記ミッションケース61の前面に支持されている。
前記作業機系ポンプ270は、前記作業機を昇降させる前記油圧昇降機構300の油圧源として作用する為、前記走行系ポンプ260よりも大流量の作動油を吐出するものとされる。
【0034】
ここで、前記作業車輌1における油圧構造について説明する。
図5に示すように、前記作業車輌1は、前記走行系ポンプ260からの作動油を前記パワステ用油圧作動機構250を含む油圧アクチュエータへ給排する為の走行系油圧構造と、前記作業機系ポンプ270からの作動油を前記油圧昇降機構300及び前記油圧傾斜機構350を含む油圧アクチュエータへ給排する為の作業機系油圧構造とを有している。
【0035】
前記走行系油圧構造は、図5に示すように、前記走行系ポンプ260に流体接続された走行系メインインレットライン410と、前記走行系メインインレットライン410から供給される作動油を前記パワステ用油圧作動機構250に対して給排する為のパワステ用油圧回路415と、前記パワステ用油圧作動機構250からの戻り油及び余剰油を受け入れる走行系供給ライン420と、前記走行系供給ライン420からの作動油を前記油圧前後進切替装置120の摩擦板式油圧クラッチに対して給排するの為の前後進用油圧回路425と、前記走行系供給ライン420からの作動油を前記一対の油圧ブレーキ機構160の摩擦板式油圧クラッチに対して給排する為のブレーキ用油圧回路430と、前記走行系供給ライン420からの作動油を前記油圧サブ駆動輪伝動装置170の摩擦板式油圧クラッチに対して給排する為のサブ駆動輪用油圧回路435と、前記走行系供給ライン420からの作動油を前記HST110にチャージ油として供給するHSTチャージ用油圧回路440とを有している。
【0036】
本実施の形態に係る前記作業車輌1は、図5に示すように、前記HST110の出力調整部材(ポンプ側可動斜板)111を作動させる油圧HST出力変更機構115を有している。
従って、前記走行系油圧構造は、さらに、前記走行系供給ライン420からの作動油を前記油圧HST出力変更機構115に対して給排する為のHST出力調整用油圧回路445を有している。
【0037】
なお、本実施の形態においては、図5に示すように、前記油圧PTOクラッチ機構211及び前記油圧PTOブレーキ機構212は前記走行系ポンプ260を油圧源として作動するように構成されている。
従って、前記走行系油圧構造は、さらに、前記走行系供給ライン420からの作動油を前記油圧PTOクラッチ機構211及び前記油圧PTOブレーキ機構212の摩擦板式油圧クラッチに対して給排する為のPTO用油圧回路450を有している。
【0038】
前記作業機系油圧構造は、図5に示すように、油圧源として作用する前記作業機系ポンプ270に流体接続された作業機系メインインレットライン510と、前記作業機系メインインレットライン510の油圧を設定するメインリリーフ弁520と、前記メインリリーフ弁520によって調圧された作動油を前記油圧昇降機構300及び前記油圧傾斜機構350にそれぞれ流体接続された昇降用インレットライン610及び傾斜用インレットライン540へ分配する分流弁530と、前記油圧傾斜機構350における前記傾斜用シリンダ室の前記伸長室360a及び前記圧縮室360bにそれぞれ流体接続された傾斜用伸長ライン550a及び傾斜用圧縮ライン550bと、前記傾斜用伸長ライン550a及び前記傾斜用圧縮ライン550bに介挿されたパイロットチェック弁560と、傾斜用ドレンライン570と、前記傾斜用インレットライン540,前記傾斜用伸長ライン550a,前記傾斜用圧縮ライン550b及び前記傾斜用ドレンライン570間の接続を切り換える傾斜用電磁弁580と、前記油圧昇降機構300に対する作動油の給排を切り換える電磁リフトバルブユニット620と、前記電磁リフトバルブユニット620及び前記油圧昇降機構300の間に介挿された下降防止バルブ機構630とを備えている。
なお、図5中の符号690は安全弁である。
【0039】
前記傾斜用電磁弁580は、前記傾斜用インレットライン540,前記傾斜用伸長ライン550a及び前記傾斜用圧縮ライン550bを前記傾斜用ドレンライン570に流体接続させて前記油圧傾斜機構350をその時点の状態に保持する保持状態と、前記傾斜用伸長ライン550aを前記傾斜用インレットライン540に流体接続させ且つ前記傾斜用圧縮ライン550bを前記傾斜用ドレンライン570に流体接続させて前記油圧傾斜機構350を伸長させる伸長状態と、前記傾斜用伸長ライン550aを前記傾斜用ドレンライン570に流体接続させ且つ前記傾斜用圧縮ライン550bを前記傾斜用インレットライン540に流体接続させて前記油圧傾斜機構350を圧縮させる圧縮状態とを選択的にとり得るように構成されている。
【0040】
前記電磁リフトバルブユニット620は、図5に示すように、前記昇降用インレットライン610に流体接続される昇降用インレットポート620a,前記昇降用インレットポート620aを介して受け入れた作動油の余剰油を排出する昇降用アウトレットポート620b,前記油圧昇降機構300に対して作動油を給排する昇降用給排ポート620c及び前記油圧昇降機構300から排出される作動油をドレンする昇降用ドレンポート620dを有するバルブブロック621と、前記バルブブロック621に装着された給排切換電磁弁622とを有している。
【0041】
前記給排切換電磁弁622は、前記昇降用アウトレットポート620bから余剰油を排出させつつ、人為操作に応じて、前記昇降用給排ポート620aを前記昇降用インレットポート620cに流体接続させて前記油圧昇降機構300に作動油を供給する上昇状態と、前記昇降用給排ポート620cを前記昇降用ドレンポート620dに流体接続させて前記油圧昇降機構300から作動油を排出させる下降状態と、前記昇降用給排ポート620cを前記昇降用インレットポート620a及び前記昇降用ドレンポート620dに対して遮断させて前記油圧昇降機構300をその時点での状態に保持する保持状態とを選択的にとり得るように構成されている。
【0042】
前記下降防止バルブ機構630は、前記昇降用給排ポート620c及び前記昇降用シリンダ室310を流体接続する昇降用給排ライン640に介挿された下降防止弁631と、下降防止電磁弁632とを備えている。
【0043】
前記下降防止弁631は、パイロット圧に応じて、前記昇降用給排ポート620cから前記昇降用シリンダ室310への作動油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止する下降防止状態と、前記昇降用シリンダ室310から前記昇降用給排ポート620cへの作動油の流れを許容する下降状態とを選択的にとり得るように構成されている。
前記下降防止電磁弁632は、人為操作に応じて、前記下降防止弁631のパイロットラインを下降用ドレンライン645に対して選択的に接続又は遮断させるように構成されている。
【0044】
なお、本実施の形態においては、前記作業機系油圧構造は、図5に示すように、さらに、前記下降防止弁631及び前記油圧昇降機構300の間に介挿されたスローリターン弁650を有している。
前記スローリターン弁650は、前記昇降用給排ポート620cから前記昇降用シリンダ室310への作動油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止する第1流路と、前記昇降用給排ポート620c及び前記昇降用シリンダ室310の間を可変絞りを介して流体接続する第2流路とを有しており、前記可変絞りによる絞り量が人為操作によって変更可能とされている。
【0045】
前記作業車輌1は、図5に示すように、さらに、前記メインリリーフ弁520のリリーフ油及び前記電磁リフトバルブユニット620からの余剰油を合流させて前記走行系ポンプ260及び前記作業機系ポンプ270の油源(本実施の形態においては前記ミッションケース61)へ戻す作業機系リターンライン700と、前記作業機系リターンライン700に介挿されたオイルクーラー750とを備えている。
【0046】
なお、前記作業車輌1は、さらに、前記オイルクーラー750を保護する為に、一次側が前記作業機系リターンライン700に流体接続され且つ二次側が油源(本実施の形態においては前記ミッションケース61)内に開口されたオイルクーラー用リリーフ弁760を備えている。
【0047】
このように、前記作業機系ポンプ270から吐出された作動油のうち前記メインリリーフ弁520によってリリーフされた油及び前記電磁リフトバルブユニット620から余剰油として排出された油を前記オイルクーラー750によって冷却させてから前記作業機系ポンプ260及び前記走行系ポンプ270の油源に戻すことにより、前記油源の貯留油全体を効果的に冷却させることができる。
【0048】
即ち、前述の通り、前記作業機系ポンプ270は前記走行系ポンプ260よりも大流量の作動油を吐出する。
さらに、前記作業機系ポンプ270から前記電磁リフトバルブユニット620へ供給された作動油は、前記油圧昇降機構300を上昇動作させる時間以外の多くの時間においてはそのまま前記昇降用アウトレットポート620bから排出される。又、前記油圧昇降機構300を上昇動作させる時間においても前記作動油のうちの余剰油は前記昇降用アウトレットポート620bから排出される。
【0049】
従って、前記メインリリーフ弁520のリリーフ油に加えて前記昇降用アウトレットポート620bから排出される油を前記オイルクーラー750によって冷却させることにより、大流量の作動油を効率的に冷却させることができ、これにより、油源(本実施の形態においては前記ミッションケース61)に貯留される貯留油の全体を効率的に冷却させることができる。
【0050】
前述の通り、本実施の形態に係る前記作業車輌1においては、油源として作用する前記ミッションケース61内に種々の摩擦板式油圧クラッチが収容されている。
斯かる構成においては、好ましくは、前記オイルクーラー750によって冷却された油を前記摩擦板式油圧クラッチの潤滑油として使用することができ、これにより、前記摩擦板式油圧クラッチの潤滑及び冷却を効果的に行うことができる。
【0051】
図5に示すように、本実施の形態においては、前記オイルクーラー750によって冷却された油を、前記油圧前後進切替装置120における前記摩擦板式油圧クラッチ及び前記PTOクラッチ装置210における前記摩擦板式油圧クラッチの潤滑油として用いている。
【0052】
なお、本実施の形態においては、前記オイルクーラー750によって冷却された油を前記HST110のモータ軸を支持するニードル軸受の潤滑油としても用いている。
【0053】
さらに、本実施の形態においては、前記作業機系油圧構造のコンパクト化を図る為に下記構成を備えている。
図9及び図10に、前記油圧昇降機構300近傍の右側び左側の拡大斜視図を示す。
又、図11及び図12に、前記油圧昇降機構300及び前記ミッションケース61を前方及び後方から視た分解斜視図を示す。なお、図11及び図12においては理解容易化の為に外部配管の図示を省略している。
【0054】
図9〜図12に示すように、前記シリンダヘッド315は、前記シリンダケース305と共働して前記昇降用シリンダ室310を形成する本体部316を有している。
前記本体部316は、前記下降防止弁631及び前記下降防止電磁弁632が内装され、さらに、車輌幅方向第1側(本実施の形態においては車輌前方側を向いた状態で左側)に前記電磁リフトバルブユニット620が連結されるように構成されている。
【0055】
本実施の形態においては、図9〜図12に示すように、前記シリンダヘッド315は、前記本体部316に加えて、前記本体部316から車輌幅方向第2側(本実施の形態においては右側)へ延びる延在部317を一体的に有している。
前記延在部317は、前記分流弁530,前記パイロットチェック弁560及び前記傾斜電磁弁580の装着部として作用するように構成されている。
【0056】
図13に、前記シリンダケース305及び前記シリンダヘッド315の横断斜視図を示す。
図13に示すように、前記分流弁530は軸線方向が車輌前後方向に沿った状態で前記延在部317に内装され、且つ、前記パイロットチェック弁560は前記分流弁530より車輌幅方向第2側(本実施の形態においては右側)において軸線方向が車輌前後方向に沿った状態で前記延在部317に内装されている。
そして、図9〜図12に示すように、前記傾斜電磁弁580は前記延在部317の上面に装着されている。
【0057】
斯かる構成によれば、前記分流弁530,前記傾斜電磁弁580及び前記パイロットチェック弁560をコンパクトに配置させつつ、前記分流弁530から前記油圧傾斜機構350へ至る油圧ラインの短縮化を図ることができる。
【0058】
図14に、前記シリンダヘッド315の縦断背面斜視図を示す。なお、図14においては理解容易化の為に前記分流弁530及び前記パイロットチェック弁560の図示を省略し、それぞれの装着孔に、対応する符号530,560を付している。
図13及び図14に示すように、前記分流弁530及び前記傾斜電磁弁580の間を流体接続する前記傾斜用インレットライン540は前記シリンダヘッド315の前記延在部317に形成された傾斜用インレット油路541を有している。
前記傾斜用インレット油路541は、下端部が前記分流弁530に流体接続され且つ上端部が前記傾斜電磁弁580に流体接続されるように前記延在部317の上面に開口されている。
【0059】
前記パイロットチェック弁560が介挿された状態で前記傾斜用電磁弁580及び前記油圧傾斜機構350の間を流体接続する前記傾斜用伸長ライン550a及び前記傾斜用圧縮ライン550bは、前記延在部317に形成された傾斜用上流側伸長油路551a及び傾斜用上流側圧縮油路551b並びに傾斜用下流側伸長油路552a及び傾斜用下流側圧縮油路552bと、傾斜用伸長配管553a及び傾斜用圧縮配管553bとを有している。
【0060】
前記傾斜用上流側伸長油路551a及び前記傾斜用上流側圧縮油路551bは、図13及び図14に示すように、上端部が前記傾斜用電磁弁580に流体接続されるように前記延在部317の上面に開口され且つ下端部が前記パイロットチェック弁560に流体接続されている。
【0061】
前記傾斜用下流側伸長油路552a及び前記傾斜用下流側圧縮油路552bは、図13及び図14に示すように、上流側の端部が前記パイロットチェック弁560に流体接続され且つ下流側の端部が前記延在部317の車輌幅方向第2側(本実施の形態においては右側)の側面に開口して傾斜用伸長ポート555a及び傾斜用圧縮ポート555bを形成している。
【0062】
前記傾斜用伸長配管553a及び前記傾斜用圧縮配管553bは、前記傾斜用伸長ポート555a及び前記傾斜用圧縮ポート555bと前記伸長室360a及び前記圧縮室360b(図5参照)とをそれぞれ流体接続している。
【0063】
さらに、本実施の形態においては、前記傾斜用ドレンライン570は、前記延在部317に形成された傾斜用ドレン油路571を有している。
前記傾斜用ドレン油路571は、図14に示すように、一端部が前記傾斜用電磁弁580に流体接続されるように前記延在部317の上面に開口され且つ他端部が車輌前後方向に関し前記傾斜用伸長ポート555a及び前記傾斜用圧縮ポート555bの間において前記延在部317の車輌幅方向第2側の側面に開口して傾斜用ドレンポート575を形成している。
【0064】
斯かる構成によれば、前記傾斜用ドレンライン570を無理なく形成することができる。
なお、前記シリンダヘッド315の前記本体部316には前記下降ドレンライン645を形成する油路(図示せず)が形成されており、前記傾斜用ドレンポート575は、図9等に示すように、傾斜用ドレン配管572を介して前記下降用ドレンライン645を形成する前記油路に流体接続されてる。
【0065】
好ましくは、前記車輌幅方向第2側を前記左右一対のリフトロッド75L,75Rのうち前記油圧傾斜機構350が介挿されたリフトロッド75Rが位置する側とすることができる。
即ち、前記傾斜用伸長ポート555a及び前記傾斜用圧縮ポート555bを車輌幅方向に関し前記油圧傾斜機構350が位置する側と同一側に位置させることができる。
斯かる構成によれば、前記傾斜用伸長配管553a及び前記傾斜用圧縮配管553bの短縮化を図ることができる。
【0066】
さらに、本実施の形態においては、下記構成により、前記メインリリーフ弁520によって調圧された状態で前記作業機系ポンプ270及び前記分流弁530の間を流体接続する前記作業機系メインインレットライン510を効率的に形成している。
【0067】
図15及び図16に、それぞれ、図13よりも下方及び上方に位置する断面に沿った前記シリンダケース305及び前記シリンダヘッド315の横断斜視図を示す。
図13〜図16に示すように、前記作業機系メインインレットライン510は、一端部が前記作業機系ポンプ270に流体接続された作業機系インレット配管511(図6〜図8も併せて参照)と、前記シリンダヘッド315に形成された第1シリンダヘッド側メインインレット油路512及び第2シリンダヘッド側メインインレット油路518と、前記シリンダケース305に形成されたシリンダケース側メインインレット油路とを有している。
【0068】
図13〜図15に示すように、前記第1シリンダヘッド側メインインレット油路512は、一端部が前記分流弁530及び前記パイロットチェック弁560より車輌幅方向一方側(本実施の形態においては左側)において前記延在部317の前面に開口して作業機系インレットポート510Pを形成し且つ他端部が前記シリンダケース305との合わせ面に開口している。
前記作業機系メインインレット配管511の他端部は、前記作業機系メインインレットポート510Pに接続される。
【0069】
図15及び図16に示すように、前記シリンダケース側メインインレット油路は、上流側の端部が前記第1シリンダヘッド側メインインレット油路512に流体接続されるように前記シリンダヘッド315との合わせ面に開口された状態で略車輌前後方向に延びる第1シリンダケース側メインインレット油路513と、前記第1シリンダケース側メインインレット油路513に流体接続された状態で下流側の端部が前記第1シリンダケース側メインインレット油路513の前記上流側端部より上方及び車輌幅方向第1側(左側)において前記シリンダヘッド315との合わせ面に開口された第2シリンダケース側メインインレット油路514とを有している。
【0070】
図14及び図16に示すように、前記第2シリンダヘッド側メインインレット油路518は、一端部が前記第2シリンダケース側メインインレット油路514の前記下流側端部に流体接続されるように前記シリンダケース305との合わせ面に開口され且つ他端部が前記分流弁530に流体接続されている。
【0071】
そして、前記メインリリーフ弁520は、図13及び図15〜図16に示すように、一次側が前記シリンダケース側メインインレット油路に流体接続されるように車輌幅方向第2側(本実施の形態においては右側)から前記シリンダケース315に装着されている。
【0072】
なお、本実施の形態においては、図5に示すように、前記作業機系油圧構造は、前記メインリリーフ弁520によって調圧された作動油をローダー等の外部油圧アクチュエータ用の作動油としても取り出し得るように構成されている。
【0073】
具体的には、図15及び図16に示すように、前記第1シリンダケース側メインインレット油路513の下流側端部は前記シリンダケース305の車輌幅方向第2側の側面に開口されて取出ポート513Pを形成し、且つ、前記第2シリンダケース側メインインレット油路514の上流側端部は前記シリンダケース305の車輌幅方向第2側の側面に開口されて受入ポート514Pを形成している。
【0074】
図17に、前記取出ポート513P及び前記受入ポート514Pを通る断面に沿った前記シリンダケース305の縦断斜視図を示す。
図13,図16及び図17に示すように、前記外部油圧アクチュエータ用の作動油を取り出さない場合には、前記取出ポート513P及び前記受入ポート514Pを流体接続する油路部材515が前記シリンダケース305に装着される。
即ち、前記外部油圧アクチュエータ用の作動油を取り出さない場合には、前記第1及び第2シリンダケース側メインインレット油路513,514は前記油路部材515を介して流体接続される。
【0075】
さらに、本実施の形態においては、下記構成によって、前記作業機系リターンライン700の形成容易化を図っている。
図18に、前記メインリリーフ弁520を通る前記シリンダケースの縦断正面図を示す。
【0076】
図18に示すように、前記作業機系リターンライン700は、一端部が前記メインリリーフ弁520のリリーフ油を受け入れるように前記メインリリーフ弁520に流体接続され且つ他端部が前記シリンダケース305又は前記ミッションケース61の車輌幅方向第2側の側面に開口してリターンポート701Pを形成するメインリリーフ油路701と、一端部が前記リターンポート701Pに流体接続され且つ他端部が前記ミッションケース内に流体接続されたリターン配管702であって、前記オイルクーラー750が介挿されるリターン配管702(図2及び図9等参照)とを有している。
【0077】
さらに、前記作業機系リターンライン700は、図18に示すように、一端部が前記シリンダケース305又は前記ミッションケース61の車輌幅方向第2側の側面に開口して余剰油受入ポート703Pを形成し且つ他端部が前記メインリリーフ油路701に流体接続された余剰油路703と、一端部が前記昇降用アウトレットポート620bに流体接続され且つ他端部が余剰油受入ポート703Pに流体接続される余剰油外部配管704(図9及び図10等参照)とを備えている。
【0078】
前記作業機系リターンライン700は、さらに、図18に示すように、一端部が前記メインリリーフ油路701に流体接続され且つ他端部が前記ミッションケース61内に開口されたオイルクーラー用リリーフ油路705と、一次側が前記メインリリーフ油路701に流体接続され且つ二次側が前記オイルクーラー用リリーフ油路705に流体接続されるように前記シリンダケース305又は前記ミッションケース61に車輌幅方向第2側から装着された前記オイルクーラー用リリーフ弁760とを有している。
【0079】
そして、前記メインリリーフ弁520,前記余剰油受入ポート703P及び前記リターンポート701Pは、図18に示すように、同一平面内に位置している。
なお、本実施の形態においては、前記オイルクーラー用リリーフ弁760は、前記リターンポート701Pを介して装着されている。
【符号の説明】
【0080】
1 作業車輌
61 油源(ミッションケース)
250 パワステ用油圧作動機構
260 走行系ポンプ
270 作業機系ポンプ
510 メインインレットライン
520 メインリリーフ弁
620 電磁リフトバルブユニット
620a 昇降用インレットポート
620b 昇降用アウトレットポート
620c 昇降用給排ポート
620d 昇降用ドレンポート
622 給排切換電磁弁
630 下降防止バルブ機構
632 下降防止電磁弁
640 昇降用給排ライン
700 作業機系リターンライン
750 オイルクーラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向輪を操舵するパワステ用油圧作動機構の油圧源として作用する走行系ポンプと、付設される作業機を昇降させる油圧昇降機構の油圧源として作用する作業機系ポンプであって、前記走行系ポンプよりも大流量の作動油を吐出する作業機系ポンプと、前記作業機系ポンプに流体接続されたメインインレットラインの油圧を設定するメインリリーフ弁と、前記メインリリーフ弁によって油圧設定された作動油を受け入れる昇降用インレットポート,前記昇降用インレットポートを介して受け入れた作動油の余剰油を排出する昇降用アウトレットポート,前記油圧昇降機構に対して作動油を給排する昇降用給排ポート及び前記油圧昇降機構から排出される作動油をドレンする昇降用ドレンポートを有し、前記昇降用アウトレットポートから余剰油を排出させつつ、人為操作される給排切換電磁弁によって前記昇降用給排ポートを前記昇降用インレットポートに流体接続させる上昇状態,前記昇降用給排ポートを前記昇降用ドレンポートに流体接続させる下降状態及び前記昇降用給排ポートを前記昇降用インレットポート及び前記昇降用ドレンポートに対して遮断させる保持状態をとり得る電磁リフトバルブユニットと、前記昇降用給排ポート及び前記油圧昇降機構を流体接続する昇降用給排ラインに介挿された下降防止バルブ機構であって、人為操作される下降防止電磁弁によって前記給排ポートから前記油圧昇降機構への作動油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止する下降防止状態と前記油圧昇降機構から前記給排ポートへの作動油の流れを許容する下降状態とを選択的にとり得る下降防止バルブ機構とを備えた作業車輌であって、
前記メインリリーフ弁のリリーフ油及び前記電磁リフトバルブからの余剰油を合流させて前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの油源へ戻す作業機系リターンラインにオイルクーラーを介挿させたことを特徴とする作業車輌。
【請求項2】
前記油源として用いられるミッションケースに前記走行系ポンプ及び前記作業機系ポンプの少なくとも一方を油圧源として作動する摩擦板式油圧クラッチが収容されており、
前記リターンラインのうち前記オイルクーラーより油流れ方向下流側から前記摩擦板式油圧クラッチへ潤滑油を供給することを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−210018(P2010−210018A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56894(P2009−56894)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】