説明

作業車

【課題】前輪と後輪の間に位置する座席の後方側で、左右一対の後輪の間に原動部を配設してある作業車において、エアクリーナやバッテリーを、簡単な構造で外部から遮蔽しながら保守点検し易いように構成する。
【解決手段】後輪4よりも前側に設けられた座席14の左右方向での横一側部における着座シート14aの下側に、バッテリー55とエアクリーナ56とを配設するための格納空間S3を設け、この格納空間S3内でバッテリー55とエアクリーナ56とを前後に位置をずらして配設するとともに、エアクリーナ56のエレメント挿抜方向を左右方向に向けて機体外方側からエレメント交換可能に構成し、格納空間S3の機体横外側に開閉操作可能な開閉蓋6Bを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体前部側に備えた左右一対の操向用の前輪と、機体後部側に備えた左右一対の非操向用の後輪との間に座席を備えるとともに、前記座席の後方側で左右一対の後輪の間にエンジンを格納するように原動部を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、前輪と後輪の間に位置する座席の後方側で、左右一対の後輪の間に原動部を配設すると、座席よりも前方側に原動部を配置するための空間を設ける必要がないので、座席よりも前方側の車体上に広い運転部空間を確保することができる点で有利である。
このような構造を採用したものとして、従来では下記[1]に示す技術が知られている。
[1] 運転部の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレームと、その後部フレームよりも前方側で前記運転部の床面を支持するように配設された前部フレームとで車体フレームを構成し、エンジン及びミッションケースを、車体フレームの後部フレームの下側で支持フレームにより吊り持ちし、エアクリーナは、エンジン及びミッションケースの前方側の横一側部で機体横外側部に露出させて設けたもの(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−178782号(段落「0017」、図9、図10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来構造の作業車では、エアクリーナが、対地的に低い位置にある原動部の機体横外側箇所に位置する状態で設けられている。このため、エアクリーナの外気導入口部分に、走行路面の土煙や塵埃、あるいは泥水などが浸入してくることを避けるように、その外気導入口の位置を、対地的に高い位置である運転座席横外側の横外カバーの上部に設けている。つまり、エアクリーナ自体は原動部の機体横外側の低い位置にあっても、エアクリーナの外気導入口は、横外カバーの上部に設けた吸気孔に対向するように設けた高い位置から、吸気ダクトを介して外気を吸入導入するように構成してある。
したがって、エアクリーナを原動部の空きスペースを利用してエンジン近くの低い位置に配置しながら、高い位置の清浄な外気を取り込むことができる点で有用なものではあるが、外気導入口を高く位置させるための吸気ダクト等の部品点数の増加とともに、エレメント交換の際に、エアクリーナの取り外しの他に吸気ダクトの脱着などの手数を要する煩わしさがある。
【0005】
また、エアクリーナと同様に、塵埃や泥水などから保護した状態で設ける必要があるバッテリー装置に関しては、前記[1]の従来技術では図示していないが、座席下空間や、後方の荷台下に収容部を設けて格納するようにしているのが一般的である。
この場合には、バッテリーの保守点検に際して、その都度、座席を開放するように操作したり、荷台をダンプ作動させるなどの必要があって、やはり保守点検の際の煩わしさがあった。
【0006】
本発明の目的は、前輪と後輪の間に位置する座席の後方側で、左右一対の後輪の間に原動部を配設してある作業車において、エアクリーナやバッテリーを、簡単な構造で外部から遮蔽しながら保守点検し易いように構成した作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業車の技術手段は、機体前部側に備えた左右一対の操向用の前輪と、機体後部側に備えた左右一対の非操向用の後輪との間に座席を備え、前記座席の後方側で前記左右一対の後輪の間にエンジンを格納する原動部を備えた作業車であって、
前記後輪よりも前側に設けられた前記座席の左右方向での横一側部における着座シートの下側に、バッテリーとエアクリーナとを配設するための格納空間を設け、この格納空間内で前記バッテリーとエアクリーナとを前後に位置をずらして配設するとともに、前記エアクリーナのエレメント挿抜方向を左右方向に向けて機体外方側からエレメント交換可能に構成し、前記格納空間の機体横外側に開閉操作可能な開閉蓋を設けてあることを特徴とする。
【0008】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の作業車では、後輪よりも前側に設けられた座席の左右方向での横一側部における着座シートの下側に格納空間を設け、この格納空間の機体横外側に開閉操作可能な開閉蓋を設けてバッテリーとエアクリーナとを配設するようにしたものであるから、座席の後方側で左右一対の後輪の間にエンジンを格納する原動部近くの低い位置でありながら、エアクリーナやバッテリーを土煙や塵埃、あるいは泥水などから保護した状態で格納することができる。
つまり、機体の低位置で点検し易い機体横外方側にバッテリーを設けた場合に、そのバッテリーを塵埃や泥水からの保護するために格納空間が必要となるが、そのバッテリーの格納空間と同じ空間内にエアクリーナをも配備して、その格納空間を外気導入の際の塵埃除けの手段として活用することができるようにしたものであり、これによって、エアクリーナの外気導入口を機体の高所に設けるような、部品点数の増加や構造の複雑化を招くことが避けられる。
【0009】
そしてまた、格納空間内では、バッテリーとエアクリーナとが前後に位置をずらして配設されていて、その格納空間の機体横外側に開閉操作可能な開閉蓋を設けてあるので、その開閉蓋を開放するだけで、バッテリーとエアクリーナとのそれぞれを、互いが他方を遮るような不具合なく点検することが可能となる。
さらに、エアクリーナのエレメント挿抜方向を左右方向に向けて機体外方側からエレメント交換可能に構成してあるので、座席の開放や荷台のダンプ作動、あるいは関連部品との接続解除などの作業も必要なく、機体横外方からのエレメント交換作業を容易に行うことができる利点がある。
【0010】
〔解決手段2〕
本発明の作業車における第2の解決手段は、請求項2の記載のように、機体前部側における運転部の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレームと、その後部フレームよりも前方側で前記運転部の床面を支持するように配設された前部フレームとで車体フレームを構成し、前記後部フレームの上部に着座シートの支持部を設けると共に、前記後部フレームの下方に原動部を配設し、前記車体フレームよりも外側で、かつ後部フレームよりも下方側に格納空間を形成してある点に特徴がある。
【0011】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の作業車では、車体フレームとして、運転部の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレームと、その前方側で床面を支持する前部フレームとで構成された段違い状の車体フレームを用い、高い位置の後部フレームの上部に着座シートの支持部を設け、後部フレームの下方に原動部を配設している。
そして、格納空間は、車体フレームよりも機体左右方向での外側で、かつ後部フレームよりも下方側である座席下の空きスペースを有効に利用することによって形成し、座席と後輪との間の比較的狭い空間において、機体横側方側からアクセスが可能となる格納空間を構成したものである。
これによって、格納空間を段違い状の車体フレームと、座席と後輪とで、上側及び前後が囲まれた状態として保護しながら、前記座席の開放操作などの必要がない横側方から開閉可能にして、メンテナンス作業を、座席の開放操作や他部品との接続解除を行うような煩わしさを伴うことなく、容易に行えるようにしたものである。
【0012】
〔解決手段3〕
本発明の作業車における第3の解決手段は、請求項3の記載のように、格納空間の底面側は、前後方向での一方側が高く、他方側が低い段違い状に形成してあり、高い側にエアクリーナを配設し、低い側にバッテリーを設けて、前記エアクリーナの吸気口を格納空間内でバッテリーの上側に向けてある点に特徴がある。
【0013】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の作業車では、エアクリーナの吸気口を格納空間内でバッテリーの上側に向けてあるので、稼働中のバッテリーからの放熱で暖められた格納空間内の気体をエアクリーナで吸引することになり、狭い格納空間内での室温上昇を抑止することができる。したがって、バッテリーからの放熱がスムース行われ、格納室内の室温上昇によるバッテリーへの熱的悪影響を緩和し得る利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
本発明の作業車における第4の解決手段は、請求項4の記載のように、格納空間内で、エアクリーナの吸気口の前方側にヒューズボックスを設けてある点に特徴がある。
【0015】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明の作業車では、格納空間内で、エアクリーナの吸気口の前方側にヒューズボックスを設けてあるので、エアクリーナの吸気口から吸引される気体の流れがヒューズボックスの付近を通過することになり、その気体の流れによってヒューズボックスで発生した熱が吸引除去されることになる。
これによって、エアクリーナがヒューズボックスの冷却手段としての役割をも果たすことになり、ヒューズボックスの無用な温度上昇に起因した電気系統の故障を回避する上でも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】二列座席仕様での作業車の全体側面図
【図2】一列座席仕様での作業車の全体側面図
【図3】二列座席仕様での作業車の全体平面図
【図4】車体コア部を示す斜視図
【図5】車体フレームとロプスとを分離した状態示す斜視図
【図6】第1コア部材と第2コア部材とを分離した状態を示す斜視図
【図7】仕切部材付近の側面図
【図8】仕切部材付近の背面図
【図9】仕切部材上部の支持構造を説明する斜視図
【図10】荷台の概略斜視図
【図11】原動部を示す平面図
【図12】上下方向断面での格納空間を示す側面図
【図13】水平方向断面での格納空間を示す平面図
【図14】図12における格納空間のXIVーXIV線断面図
【図15】蓋側ケース部を外した格納空間を示す斜視図
【図16】ダンプシリンダの操作弁の操作構造を示す側面図
【図17】カップの取付構造を示す側面図
【図18】カップの取付構造を示す斜視図
【図19】エアクリーナの取付状態の別例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[作業車の全体構成]
本発明にかかる作業車の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
図1は、前後二列に着座可能な座席が存在する使用形態での作業車の全体側面図であり、図2は、前側一列にのみ着座可能な座席が存在する使用形態での作業車の全体側面図である。図3は、図1における使用形態での作業車の全体平面図である。
図1〜図3に示すように、車体1は、車体フレーム2の前部に支持された操向可能な左右の前輪3と、車体フレーム2の後部に支持された操向不能な左右の後輪4とを備えて、4輪走行式の四輪駆動車に構成されている。
【0018】
車体1の前後中間部に、図1に示す前部運転座席13及び後部座席14に乗員が着座可能な二列座席仕様(四人又は五人乗り用)と、図2に示す前部運転座席13に乗員が着座可能な一列座席仕様(二人乗り用)とに使用形態を変更可能な運転部5が備えられている。
運転部5の後方には、後述する延長状態と短縮状態とに状態変更可能でダンプ可能な荷台40を備えた後部積載部7が配備されており、運転部5と後部積載部7との間には、運転部5と後部積載部7との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が配設されている。
上記の後部座席14は、展開して着座可能である使用姿勢状態と、後方側を持ち上げて折り畳まれることにより着座不能である非使用姿勢とに姿勢変更可能に構成されたものであり、このような後部座席14を配備するための運転部5における後方側の空間が、後部座席設置用空間S1である。
【0019】
車体フレーム2の後部下部には、作業車の駆動力源となるエンジン51を装備した原動部50が配設されている。前記エンジン51から出力された動力はミッションケース52を介して静油圧式無段変速装置53に伝達され、静油圧式無段変速装置53により無段に変速された動力により左右の後輪4が回転駆動されるように構成してある(図11参照)。
【0020】
前記ミッションケース52からは、前方に向けて前輪駆動軸9が延出されており、この前輪駆動軸9に、前輪デフ装置(図示せず)を介して左右の前輪3が連動連結されている。これにより、エンジン51からの動力が静油圧式無段変速装置53及びミッションケース52を介して前輪デフ装置に伝達されて左右の前輪3が回転駆動するように構成されている。
【0021】
[車体構造]
車体1は、前記前輪3及び後輪4に支持された車体フレーム2に対して、運転部5を覆うロプス30を取り付けて構成される車体コア部200を備えている。
この車体コア部200は、図4乃至図6に示すように、メインフレーム20を主材として構成される第1コア部材201と、その第1コア部材201に対して一体的に組み付けられる第2コア部材202と、前記ロプス30によって構成される第3コア部材203とで構成されている。そして、前記第1コア部材201と第2コア部材202との組み合わせで前記車体フレーム2が構成されている。
【0022】
前記第1コア部材201は、図6に示すように、前後に長い角パイプ状の左右のメインフレーム20と、各種機器取付用のブラケット類とから構成してある。
前記メインフレーム20は、車体前方側で車体前後方向に沿って位置する左右一対のメインフレーム前部20aと、そのメインフレーム前部20aの後端側から上方へ立ち上がるメインフレーム立ち上がり部20bと、さらにそのメインフレーム立ち上がり部20bの上端から後方へ延出されたメインフレーム後部20cとで、側面視で略クランク状に屈曲形成されている。
前記メインフレーム立ち上がり部20bは、前記メインフレーム前部20aの後端部から上方へ立ち上がる後部座席支持フレーム25によって構成され、その後部座席支持フレーム25の上部から後方側へ延出された荷台支持フレーム26によって前記メインフレーム後部20cが構成されている。前記メインフレーム前部20aの後端部とメインフレーム後部20cとの間に架設されたリヤサスペンション4aを介して前記後輪4が連結支持されている。
【0023】
前記第2コア部材202は、図6に示すように、操縦ハンドル12及び左右の前輪3を支持する前輪支持フレーム21と、前部運転座席13が設けられる前部運転座席構成フレーム22と、後部座席14が設けられる後部座席構成フレーム23とを備えているとともに、前部運転座席13の前方側で運転部5の床面を構成する前部デッキ板28と、後部座席14の前方側で運転部5の床面を構成する後部デッキ板29とを備えて構成されている。
【0024】
前記前輪支持フレーム21は、左右両端部の上部にロプス30の前部支柱受け部21aを備え、左右方向の両端部における前方側に設けたサスペンションバネ受け部を介して前輪3を独立懸架状態で支持する前輪支持部21bを備え、かつ、左右方向中央部における上部側に左右の前輪3を操向操作する操縦ハンドル12のハンドル支持部21cを備えている。
【0025】
前記前部運転座席構成フレーム22は、前部運転座席13の前部着座シート13aを支持するように、左右のメインフレーム20のそれぞれの上側で門形に形成されたシート支え部22aと、これよりも左右方向での両端側寄り箇所で前記前輪支持フレーム21の後部における両側から上方に向けて延出された乗降用の手摺り兼用のパイプフレーム22bと、さらに前記前輪支持フレーム21の後方側で、前部運転座席13の背部側における両側から上方向きに延出された角パイプ状の支持フレーム22cとで構成されている。
前記後部座席構成フレーム23は、前記メインフレーム立ち上がり部20bによって構成される後部座席支持フレーム25、及び荷台支持フレーム26の前端部とともに、後部座席14を支持するように構成されている。
【0026】
車体1の前部にはフロントカバー10が装着されており、このフロントカバー10は、車体1の前部に位置する前輪支持フレーム21を上方から覆う上部カバー10aと、車体1の前部を前方及び側方から覆う下部カバー10bとを備えて構成されている。フロントカバー10の後部には、運転部5の前面側を覆う操作パネル11が装着されており、この操作パネル11の左側部から左右の前輪3を操向操作する操縦ハンドル12が延出されている。
【0027】
前記前部運転座席構成フレーム22は、ボックス状の前部座席支持パネル24で覆われており、この前部座席支持パネル24に前部運転座席13が固定されている。前部運転座席13は、前部座席支持パネル24の前部に固定された前部着座シート13aと、後述するロプス30の中間支柱32の間を繋ぐ補強フレーム32cに固定されたシートバック13bとを備えて構成されている。
【0028】
前記前部運転座席構成フレーム22の前側におけるメインフレーム前部20aの上面側には、前部デッキ板28が固定されており、これにより、運転部5の前部の床面が形成されている。また、前記後部座席構成フレーム23及び後部座席支持フレーム25の前側におけるメインフレーム前部20aの上面側には、後部デッキ板29が固定されており、これにより、運転部5の後部の床面が形成されている。
このメインフレーム前部20aは、前記座席支持フレーム25よりも後方側へ延出された部分を備え、ここに後述するエンジン51やミッションケース52等を吊り下げ支持するための後部支持フレーム26cの前端側を接続するとともに、後述するバッテリー55やエアクリーナ56を収容する格納ボックス6の支持部材としても利用できるように構成されている。
【0029】
前記後部座席構成フレーム23及び後部座席支持フレーム25の上部には、後部座席14が装着されている。後部座席14は、後部座席支持フレーム25の上端部に前後揺動可能に支持された後部着座シート14aと、後述する仕切部材90の前面側に固定されたシートバック14bとを備えて構成されている。
【0030】
上記のように構成したことにより、車体フレーム2は、メインフレーム20を主材とする前記第1コア部材201と、そのメインフレーム20の上側に搭載して一体的に組み付けられる前記第2コア部材202との組み合わせで構成されている。
また、この車体フレーム2は、前記メインフレーム20の長手方向で、その前部側に位置するメインフレーム前部20aと、前記メインフレーム立ち上がり部20bと、前記第2コア部材202との組み合わせで前部フレーム2Aが構成され、前記荷台支持フレーム26によって構成されるメインフレーム後部20cによって後部フレーム2Bが構成されている。
【0031】
[ロプスの構造]
上記のように構成された車体フレーム2に対して、次のようにロプス30が装着され、車体コア部200を構成する。
ロプス30は、図4、5、及び図9に示すように、それぞれが門形に形成された前部支柱31と、中間支柱32と、後部支柱34とを備えて、6柱式に構成されている。前輪支持フレーム21の上部における左右両側部に左右の前部支柱受け部21aが固定されており、この左右の前部支柱受け部21aに亘って、丸パイプ材により形成された前部支柱31が固定されている。また、前記前部運転座席構成フレーム22の左右の支持フレーム22cの上部に亘って、丸パイプ材により形成された中間支柱32が固定されている。
【0032】
前部支柱31の上部における左右両側部には、左右の第1ブラケット31aが固着されており、中間支柱32の上部における左右両側部には、前向きの左右の第2ブラケット32aが固着されている。左右の第1ブラケット31aと左右の第2ブラケット32aとに亘って、丸パイプ材により形成された左右の前部前後フレーム33が締め付け固定されている。左右の中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部に亘って、補強フレーム32cが固定されており、この補強フレーム32cは、後部座席14に着座した乗員用の手摺として機能する。
補強フレーム32cには、取付ブラケット32dが固定されており、この取付ブラケット32dの前側に、前部運転座席13のシートバック13bが締め付け固定されている(図7参照)。
前記補強フレーム32cに設けられた取付ブラケット32dには、門形ヘッドレストフレーム32eの下端側を溶接して固定してあり、この門形ヘッドレストフレーム32eの上部両側に前部座席用のヘッドレスト13cを取り付けてある。
【0033】
後部支柱34は丸パイプ材により形成され、その上部における左右両側部には、左右の第4ブラケット34aが固着されており、中間支柱32の上部における左右両側部には、後向きの左右の第3ブラケット33aが固着されている。左右の第4ブラケット34aと左右の第3ブラケット33aとに亘って、チャンネル状断面を有した部材により形成された左右の後部前後フレーム35が締め付け固定されている。
後部支柱34の左右の下端側は、左右の荷台支持フレーム26の横外側面に対して着脱自在に連結されている。
【0034】
後部支柱34及び後部前後フレーム35は、着脱可能に取り付けられているので左右の後部支柱34を左右の荷台支持フレーム26から取り外し、後部前後フレーム35を中間支柱32から取り外すことで、6柱式のロプス30を、4柱式のロプスに変更して使用することができる。
また、図7に示すように、このロプス30は、前記前部支柱31、中間支柱32、後部支柱34、前部前後フレーム33、後部前後フレーム35、のそれぞれが組み付け分解可能に構成してある。
【0035】
[仕切部材の説明]
図1,2、及び図7〜図9に基づいて運転部5と後部積載部7との間に配設された仕切部材90の構造について説明する。図7は、仕切部材90付近の側面図であり、図8は仕切部材90付近の背面図、図9は仕切部材90上部の支持構造を示している。
図1,2、及び図7に示すように、運転部5の後部には、運転部5と後部積載部7との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が設けられており、この仕切部材90は、荷台40の短縮状態で後方に移動した後方移動位置(図1の実線の位置)と、荷台40の延長状態で前方に移動した前方移動位置(図2の実線の位置)とに位置変更可能に構成されている。
【0036】
図8に示すように、仕切部材90は、フレーム部材91と、網状部材92と、前記フレーム部材91の上部側での左右位置に設けた上部支持ローラ93とを備えて構成されている。
前記フレーム部材91は、丸パイプ材を後部支柱34の内側縁に沿うように門形に屈曲形成した上部外周フレーム91aと、その上部外周フレーム91aの両側下部にわたって設けた板状の下部外周フレーム91bとで構成してあり、前記網状部材92は、帯板材により枠状に形成された枠状フレーム92bに、例えば金網、樹脂網又はパンチングメタル等の複数の通気穴を設けたネット92aを装着して構成されている。
【0037】
下部外周フレーム91bの前面側には、後部座席14のシートバック14bが締め付け固定されており、後部座席14のシートバック14bが仕切部材90と共に移動するように構成されている。また、前記ネット92aの前面側に、前記下部外周フレーム91bと前記上部外周フレーム91の上部位置とを連結する縦フレーム91cが設けてあり、この縦フレーム91cの上下方向での中間位置にヘッドレスト14cを設けてある。
【0038】
図4、8、及び図9に示すように、中間支柱32と後部支柱34との上部側を接続する後部前後フレーム35は、前後方向視での縦断面形状が、横内方側に開口したチャンネル状に形成されている。
そして、この後部前後フレーム35は、左右方向での内向き面側に、チャンネル状断面の開口部分によって形成される前後方向に長いガイド溝35aを備えるとともに、そのガイド溝35aの内奥側の空間に前記仕切部材90の上部支持ローラ93が嵌入して転動するためのローラ案内部35bを備えており、このガイド溝35aとローラ案内部35bとによって前後に長いガイドレール部36を構成している。
【0039】
上記のガイドレール部36に上部支持ローラ93を嵌入させた仕切部材90は、図7に実線で示すように、後部支柱34側に固定した後方移動位置で使用する状態と、同図に仮想線で示すように、前方の中間支柱32に固定させた前方移動位置で使用する状態とに、位置変更自在に構成されている。
【0040】
[荷台の構造]
図1、2、及び図10に基づいて荷台40の構造について説明する。
図1、2、及び図10に示すように、荷台40は、積載物を積載する後部底部41と、積載物を積載する前部底部42と、荷台40の後面を形成する後壁部43と、荷台40後部の側面を形成する左右の後部側壁部44と、荷台40前部の側面を形成する左右の前部側壁部45と、荷台40の前面を形成する前壁部46とを備えて構成されている。
これにより、荷台40が、図2、及び図10(a)に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が前方に移動し荷台40の全長が長くなった延長状態(第1状態)と、図1、及び図10(d)に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が後方に移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態(第2状態)とに状態切換可能に構成されている。
【0041】
図10に基づいて荷台40の延長状態と短縮状態との切換状況について説明する。
図10は、荷台40の切換状態を示す概略斜視図であり、図10(a)が延長状態を示し、図10(b)及び(c)が延長状態と短縮状態との間の中間状態を示し、図10(d)が短縮状態を示している。
【0042】
図10(a)及び(b)に示すように、左右の前部側壁部45を起立した前部底部42に固定した状態から、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心y周りに外側(前方)へ揺動させて、前壁部46の前側に固定する。
次に、図10(b)及び(c)に示すように、前壁部46を左右向きの軸心x1周りに後方へ揺動させて、前壁部46を前記左右の前部側壁部45とともに前部底部42側に折り畳む。
次に、図10(c)及び(d)に示すように、前部底部42を左右向きの軸心x2周りに後方へ揺動させて、折り畳まれた左右の前部側壁部45、前壁部46とともに図10(d)に示すように起立させて、短縮された荷台40の前壁を構成する。
【0043】
[後部座席の姿勢変更]
図7に示すように、後部座席14の後部着座シート14aは、その前縁側の下部の左右向きの軸心P3周りで前後及び上下揺動可能に支持されていて、後部着座シート14aが、前端縁側が下方に、かつ後端縁側が上方に位置する状態となるように前方に揺動した起立姿勢と、前記後部着座シート14aが後方に揺動して後部着座シート14aの上面が上向きとなる着座可能姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0044】
後部座席支持フレーム25の上部前側には、ブラケット37が固定されている。ブラケット37には、後部着座シート14aの前方下部に固定された支持ブラケット38が左右向きの軸心P3周りで揺動自在に支持されている。
【0045】
これにより、シートバック14bを仕切部材90と共に前方に移動させて、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更することで、延長状態での荷台40の前側に作業者が着座できない非使用状態で位置した第1姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。
また、後部着座シート14aを後方側に揺動させた姿勢に姿勢変更し、シートバック14bを仕切部材90と共に後方に移動させることで、短縮状態での荷台40の前側に作業者が着座できる使用状態で位置した第2姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。
【0046】
上記後部着座シート14a及び仕切部材90の姿勢変更された第1姿勢、及び第2姿勢での位置は、図外のロック機構によって固定及び固定解除可能に構成されている。
【0047】
[原動部の構成]
車体フレーム2の後部下部に配設された原動部50は次のように構成されている。
図1,2、及び図11に示すように、原動部50では、作業車の駆動力源となるエンジン51と、このエンジン51の後部に連結されたミッションケース52と、ミッションケース52の後部側に連結された静油圧式無段変速装置53とが一体的に連結され、これらが左右の荷台支持フレーム26の間に架設された支持フレーム26aと、その支持フレーム26aから機体前方側下方のメインフレーム前部20aの後端側に対して延設された側面視L字状に屈曲した後部支持フレーム26cによって吊り下げ状態で支持されている。
尚、図1,6、及び図11に示すように、支持フレーム26aの中間位置に装着した取付ブラケット26bは、荷台40をダンプ作動させるためのダンプシリンダ47の下端側を受け止め支持するためのものである。
【0048】
前記エンジン51の後部に連結されたミッションケース52は、エンジン51の下部側のクランクケース部(図外)から後方側へ延出されたエンジン出力軸(図外)の動力を受けて後輪4に駆動力を伝達する。前記エンジン51のシリンダ部51aの左側方から排気管57が導出され、ミッションケース52の左側方を通ってミッションケース52の後方側の上方箇所で荷台40の下側に配設されているマフラー58に排気が導かれる。
【0049】
そして、前記原動部50におけるエンジン51は、図11に仮想線で示すように、後部着座シート14aを第2姿勢にした後部座席14の左右方向でのほぼ中央付近で、かつ、その下方側に相当する箇所に配置してあり、後部着座シート14aを起立させた第1姿勢に切り換えることによって、上方側が開放された状態となる。
尚、同図中に示すように、荷台40の下方側には前記ミッションケース52等が存在しているので、荷台40をダンプ作動させると、その下方の原動部50が開放され、ミッションケース52等の保守点検を行い易くなる。
【0050】
前記エンジン51の左側方には、電動式の冷却ファン54aを備えたラジエータ54を配設してあり、反対側の右側方には格納ボックス6を設けて、この格納ボックス6内にバッテリー55及びエアクリーナ56を配設してある。
このように、ラジエータ54とバッテリー55及びエアクリーナ56をエンジン51の左右に分散配備したことで、エンジン51の一側方で前後に並べてラジエータ54とバッテリー55やエアクリーナ56を配備した場合に比べて、車体の左右バランスを向上させることができる点で有利である。
前記ラジエータ54は、第2姿勢における後部着座シート14aの下側に配置されていて、後部着座シート14aを起立させた第1姿勢に切り換えることによって、前記エンジン51とともに上方側が開放された状態となる。
【0051】
前記ラジエータ54は、図11に示すように、外側に向けた吸気面54bを、機体前後方向に対して前方側ほど機体内方側へ入り込ませた傾斜姿勢で配設してあり、冷却ファン54aによる排風の送風方向は、その送風方向の中心線が平面視でエンジン51やミッションケース52が存在する箇所に向くように斜め後方向きに設定してある。
したがって、この冷却ファン54aの排風は、エンジン51に比べて少し低く位置するミッションケース52の上面側と荷台40の下面側との間に形成される掃気用空間S2(図1参照)を通過して原動部50内の滞留熱気をスムーズに外部へ拡散排出するための掃気手段として役立つ。
また、前記冷却ファン54aによる送風は、ある程度の広がりをもって送風されるので、エンジン51、ミッションケース52、静油圧式無段変速装置53、及びエンジン51から導出された排気管57やマフラー58に対しても接触しながら斜め後方に流動する。
【0052】
図示はしないが、後部座席14の裏面側には、近接配置されるエンジン51の発熱に対する耐性を有した耐熱性材料からなり、かつ、断熱性、及び吸音性を備えた素材からなる裏当て材が装備されている。
【0053】
[格納ボックスの構造]
前記バッテリー55及びエアクリーナ56を内部に格納する格納ボックス6は、図12乃至図15に示すように構成されている。
【0054】
格納ボックス6は、車体フレーム2側に固定支持された固定側ケース部6Aと、その固定側ケース部6Aに対して着脱自在に構成された蓋側ケース部6B(開閉蓋に相当する)とで、内部に格納空間S3を形成するように構成してある。そして、前記蓋側ケース部6Bを固定側ケース部6Aに対して取り外すことにより、格納ボックス6内のバッテリー55及びエアクリーナ56を車体横外方側から点検、ならびに操作可能な開放状態とすることができるように構成してある。
【0055】
前記固定側ケース部6Aは金属製の板材で構成され、段付きの底板60と、底板60の後端側から立ち上がる後壁板61と、車体横幅方向での内側に位置する内側壁板62と、車体横幅方向での外側で底板60の低い段側に位置する立ち上がり片63とで構成されている。
上記底板60は、上段側の底板高部60aと、下段側の底板低部60bと、その中間の立ち上がり部分に相当する底板中間部60cとで構成され、前記立ち上がり片63は底板低部60bの外端部分に立設されている。
【0056】
前記固定側ケース部6Aは、その下端側で、図12及び図14に示すように、その底板60及び内側壁板62の下部が、車体フレーム2を構成するメインフレーム前部20aのうち、メインフレーム立ち上がり部20bを構成する後部座席支持フレーム25よりも後方側へ延出された部分に載置された状態で溶接して固定支持され、図13及び図15に示すように前記立ち上がり片63の前端側が、前記後部座席支持フレーム25から横外方へ向けて延出されたパイプ状の後部座席構成フレーム23の下部に溶接して固定支持されている。
そして、固定側ケース部6Aの上端側では、図12乃至図15に示すように、内側壁板62の上端側が荷台支持フレーム26の横外側面に溶接により固定支持されている。また、この内側壁板62の前端側は、後部座席支持フレーム25の横外側面に溶接により固定支持されている。
【0057】
前記蓋側ケース部6Bは合成樹脂製材料で一体成形してあり、図12乃至図14に示すように、天井壁65と、その天井壁65の車体前方側に前壁66を備え、車体横外側に横壁67を備え、車体後方側に垂下させた折り曲げ片68を備え、車体内方側と下方側とは開放された形状に構成されている。
【0058】
この蓋側ケース部6Bは、前記天井壁65の車体前方側寄り箇所と、車体後方側寄り箇所との2箇所にボルト挿通孔65aを備え、図12,13、及び図15に示すように前記後部座席構成フレーム23の一部に連設したネジ孔64a付きの取付片64に、化粧ボルト70を介して車体前方側寄り箇所を固定するようにしてある。
同様に、車体後方側寄り箇所は、車体後方側の折り曲げ片68に設けたネジ孔69a付きの取付片69に、化粧ボルト70を介して固定するように構成してある。図12及び図14に示す符号65bは蓋側ケース部6Bの天井壁65に形成された外気導入孔であり、この外気導入孔65bは、後部着座シート14aの下側に位置し、かつ後部着座シート14aの外側端よりも車体内方側に位置している。
【0059】
格納ボックス6内において、バッテリー55は、底板60の底板低部60bに載置して、周知の固定金具71及び止めボルト72を介して取り付けたものであり、前記止めボルト72のうち、車体外方側の止めボルト72の下端は立ち上がり片63に形成した係止孔63aに係止させてあり、車体内方側の止めボルト72の下端は、内側壁板62に形成した係止孔(図外)に係止させてある。
【0060】
前記エアクリーナ56は、吸気口56a及び送気口56bを備える筒状本体56Aと、着脱自在な蓋体56Bとを備え、止め金具としてのバックル56cを介して蓋体56Bを着脱することにより、内部のエレメント(図外)を抜き差しできるように構成してある。
そして、その内部のエレメントを抜き差しする方向が、車体1の横外方側からの操作で行えるように、筒状本体56Aの筒軸心pの方向を車体左右方向に沿わせて、その開口側が車体外側に向き、蓋体56Bが筒状本体56Aの車体横外方側に位置するように配設してある。
【0061】
エアクリーナ56の配設方向を上記のように設定するために、図12乃至図15に示すように、底板60の底板高部60aに立設したブラケット60dに、エアクリーナ56の下部に設けた取付片56dを介してボルト止めしてある。
この取付状態で、エアクリーナ56の吸気口56aは、バッテリー55の上方側で格納ボックス6内の空間に位置して、格納ボックス6内の外気を吸い込むように構成してある。
エアクリーナ56の送気口は、格納ボックス6の内側壁板62を貫通して原動部50側に延出させてあり、図11に示すようにエンジン51の吸気マニホールド(図外)に対して直線的に外気を供給できるように構成されている。
【0062】
格納ボックス6内には、前記後部座席構成フレーム23の一部に連設した取付片64と一体の板材64bに、ヒューズボックス73を取付けてあり、このヒューズボックス73が前記吸気口56aの外気取り入れ箇所の近くに位置するように配置されているので、バッテリー55の放熱によって格納ボックス6内の気温が上昇しても、その上昇した外気を吸気口56aから取り込んでエンジン51側へ供給するので、格納ボックス6内での異常な温度上昇を回避し易い。
【0063】
また、格納ボックス6内には、前記ヒューズボックス73の他、リレーボックス74や各種の電装品75も配設されている。尚、格納ボックス6内への外気の導入は、前記外気導入孔65bと、図13及び図14に示されているように、固定側ケース部6Aと蓋側ケース部6Bとの間に形成される間隙とを介して行われる。
【0064】
前記格納ボックス6の後壁板61には、図15に示すように、前記エアクリーナ56の吸気口56aを格納ボックス6の外部へ導出するための開口61aが形成され、かつ、この開口61aを閉塞するための閉止蓋61bがネジ止めされている。
また、前記後壁板61の上部側には、一対の取付ボルト61c、61cが装着されている。
【0065】
上記の開口61aや取付ボルト61c、61cは、図1の仮想線、及び図19に示すように、ロプス30の上部など、車体1の上部にプレクリーナ76を装備するような機種に対して本発明を適用する場合に、その仕様変更を簡単に行えるようにするためのものである。
つまり、図19に示すように、エアクリーナ56をその筒軸心p周りで180度反転させ、後壁板61に対して、取付補助板77を介してエアクリーナ56の取付片56dを支持し、吸気口56aを開口61aから外部へ露出させ、プレクリーナ76の吸気ダクト76aに連結して用いるように構成されている。
【0066】
[その他]
図16は、荷台40を揺動駆動するダンプシリンダ47を操作する操作弁80の操作構造を示している。
前部運転座席13の左側方にパーキングブレーキレバー15とその支持台15Aを設けてあり、パーキングブレーキレバー15の作動をパーキングブレーキ(図外)側へ伝達するためのリンク部材(図外)を取り付けるためのリンクブラケット16を、前記支持台15Aと車体フレーム2の支持フレーム22cとにわたって設けてある。
この構造において、前記ダンプシリンダ47を操作する操作弁80を、前記リンクブラケット16の下面側に装着してある。
【0067】
この操作弁80の操作は、前記支持台15Aに対して横軸芯x3周りで揺動自在に設けたバルブ操作レバー81と、操作弁80のケースブロック80Aに設けた横軸芯x4周りで揺動操作される揺動リンク83と、その揺動リンク83と前記バルブ操作レバー81とを連結するロッド82とで構成され、前記バルブ操作レバー81を揺動操作するに伴って、揺動リンク83が操作弁80のスプール84を出退させて、ダンプシリンダ47への圧油の給排を行うように構成されている。
【0068】
図17及び図18は、後部座席14用のカップホルダ85の取付構造を示している。
このカップホルダ85は、カップ受け皿部86と取付腕部87とを一体的に備えた合成樹脂材料で構成されている。
前記取付腕部87には、ロプス30の中間支柱32の縦フレーム部分32b同士を連結する補強フレーム32cに対して上方から係合する下向き開口の第1係合部87aと、補強フレーム32cに設けられた取付ブラケット32dに下端側を固定した門形ヘッドレストフレーム32eの上下向きフレーム部分に弾性的に係合する横向き開口の第2係合部87bとを設けてある。
このように、カップホルダ85に作用する重さを、取付腕部87に形成する係合方向が互いにほぼ直交する方向である2種の係合部で支持するように構成したことにより、上下方向でも、左右方向でも安定的にカップホルダ85を支持することができる。
【0069】
[別実施形態の1]
仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能にする構成としては、前述した実施形態のように、仕切部材90をガイドレール部36に沿ってスライド移動させる構造に限らず、異なる構成を採用してもよい。具体的には、例えば前方及び後方移動位置での仕切部材90を、ロプス30に着脱可能に取り付けて、前方又は後方移動位置の一方でロプス30に固定した仕切部材90を取り外して、この取り外した仕切部材90を前方又は後方移動位置の他方でロプス30に固定する着脱式の仕切部材90を採用してもよい。
【0070】
[別実施形態の2]
前述した実施形態では、車体1の後部にダンプ可能な荷台40を備えた作業車を例に示したが、車体1の後部に荷台40を固定したダンプ不能な作業車(図示せず)においても同様に適用できる。
【0071】
[別実施形態の3]
前述の実施形態では、荷台40の長さを変更して、一列座席仕様か二列座席仕様に変更する構造のものを例示したが、これに限らず、例えば、二列座席仕様では荷台40が全くない状態とし、一列座席仕様で前部運転座席13の後方側に荷台40に相当する空間が形成される状態となるようにしてもよい。
【0072】
[別実施形態の4]
前述の実施形態では、固定側ケース部6Aに対して蓋側ケース部6Bを取り外すことにより、格納ボックス6を横側方から開放できるようにしたものであるが、このような着脱構造に限らず、例えば、蓋側ケース部6Bを、固定側ケース部6Aに対して上下軸芯周り、もしくは水平軸芯周りで揺動開閉できるようにして、格納ボックス6を開放できるようにしたものであってもよい。したがって、上記の着脱式のもの、及び開閉式のものを含めて開閉蓋と総称する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の作業車としては、運搬車のみならず、トラクタ等の座席付き車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
2 車体フレーム
2A 前部フレーム
2B 後部フレーム
3 前輪
4 後輪
5 運転部
6 格納ボックス
6A 固定側ケース部
6B 蓋側ケース部(開閉蓋)
13 前部運転座席
14 後部座席
14a 後部着座シート
20 メインフレーム
30 ロプス
40 荷台
90 仕切部材
50 原動部
51 エンジン
55 バッテリー
56 エアクリーナ
56a 吸気口
73 ヒューズボックス
S3 格納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前部側に備えた左右一対の操向用の前輪と、機体後部側に備えた左右一対の非操向用の後輪との間に座席を備え、前記座席の後方側で前記左右一対の後輪の間にエンジンを格納する原動部を備えた作業車であって、
前記後輪よりも前側に設けられた前記座席の左右方向での横一側部における着座シートの下側に、バッテリーとエアクリーナとを配設するための格納空間を設け、この格納空間内で前記バッテリーとエアクリーナとを前後に位置をずらして配設するとともに、前記エアクリーナのエレメント挿抜方向を左右方向に向けて機体外方側からエレメント交換可能に構成し、前記格納空間の機体横外側に開閉操作可能な開閉蓋を設けてあることを特徴とする作業車。
【請求項2】
機体前部側における運転部の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレームと、その後部フレームよりも前方側で前記運転部の床面を支持するように配設された前部フレームとで車体フレームを構成し、前記後部フレームの上部に着座シートの支持部を設けると共に、前記後部フレームの下方に原動部を配設し、前記車体フレームよりも外側で、かつ後部フレームよりも下方側に格納空間を形成してある請求項1記載の作業車。
【請求項3】
格納空間の底面側は、前後方向での一方側が高く、他方側が低い段違い状に形成してあり、高い側にエアクリーナを配設し、低い側にバッテリーを設けて、前記エアクリーナの吸気口を格納空間内でバッテリーの上側に向けてある請求項1又は2記載の作業車。
【請求項4】
格納空間内で、エアクリーナの吸気口の前方側にヒューズボックスを設けてある請求項1、2、又は3記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−116318(P2011−116318A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277961(P2009−277961)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】