説明

保管装置

【課題】被搬送物の安定な載置を確保しつつ装置全体の重量を抑制し、室内に気流がある場合にはその気流を妨げにくい。
【解決手段】棚ユニット120は、棒形状のフレーム部材121〜125から構成されている。フレーム部材121〜124は軌道92に平行に配置されており、互いに離隔している。フレーム部材121〜124の間には、棚ユニット120を鉛直方向に貫通する貫通領域120a〜120cが形成されている。フレーム部材121及び122の間は被搬送物の幅より小さく離隔しており、フレーム部材121及び122の上面に被搬送物が載置される。棚ユニット120を軌道92に固定する固定ユニット110も、一方向に長尺なフレーム部材111〜114で構成されており、固定ユニット110同士も離隔して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に敷設された軌道上を走行する搬送台車からの被搬送物を保管する保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造工場において、半導体基板が収容されたフープ(FOUP;Front Opening Unified Pod)などの被搬送物を、天井に敷設された軌道上を走行するOHT(Overhead Hoist Transport)などの搬送台車に搬送させる搬送システムが設けられていることがある。
【0003】
また、かかる搬送システムに付随して、搬送台車が被搬送物を一時的に載置するための装置が軌道や天井に設置される場合がある。例えば特許文献1に記載のストレージラックは、軌道の直下に吊り下げられた水平なラックを有しており、天井走行車によって搬送されたボックスがこのラックに載置される。
【0004】
【特許文献1】特開平10−109887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように被搬送物を一時的に載置するための装置において、被搬送物を安定に載置するため、被搬送物を載置する棚部に板材などの幅の広いものが使用されることが多い。しかし、棚部が板材などで構成されていると、装置全体の重量が増す。重量が大きい装置は天井近くに固定するのが困難であったり、不安定であったりするおそれがある。
【0006】
また、例えば半導体製造工場で装置が用いられる場合には、クリーンルーム内に設置されることが多くなる。クリーンルーム内においては室内を清浄に保つために気流を発生させるが、棚部が板材などで構成されていると、かかる気流が妨げられ、その効果が損なわれるおそれがある。また、これによって気流が乱れると、装置や搬送台車に付着した塵埃が飛散し、半導体基板などの歩留まりに影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、被搬送物の安定な載置を確保しつつ装置の重量を抑制し、室内に気流がある場合にはその気流を妨げにくい、被搬送物の保管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の保管装置は、被搬送物を把持しつつ天井に敷設された軌道上を走行する搬送台車からの前記被搬送物を保管する保管装置であって、長尺状に延在する第1、第2のフレームからなり、前記第1、第2のフレーム上面で構成される水平面に前記被搬送物が載置される棚部と、長尺状に延在する第3〜第5のフレームからなり、前記第3〜第5のフレームが概略コの字形状に構成され、前記軌道の下方に前記棚部が位置するように、前記棚部を前記軌道及び天井の少なくともいずれかに固定するための複数の棚固定部材とを備えており、前記コの字形状の両端部を構成する前記第3及び第4のフレームが、それぞれ前記延在する方向が鉛直方向に沿い且つ前記搬送台車が走行する領域を水平方向に関して互いに挟むように、前記軌道及び天井の前記いずれかに固定されており、前記第5のフレームが、前記延在する方向が前記第3のフレームから前記第4のフレームへと向かう方向に沿うように、前記第3及び第4のフレームの両方と前記軌道の下方において固定されており、前記第1及び第2のフレームが、前記上面が水平方向に関して前記被搬送物の幅より小さい距離だけ互いに離隔するように、前記第5のフレームに固定されており、前記複数の棚固定部材が前記軌道に沿って互いに離隔するように配列されており、前記第1及び第2のフレームの間に前記棚部を鉛直方向に貫通する貫通領域が形成されている。
【0009】
本発明の保管装置によると、棚部が2本のフレームを有しており、これらのフレームの間に被搬送物の幅より小さい貫通領域が形成されている。したがって、被搬送物の安定な載置を確保しつつ、重量を抑制した保管装置が実現する。また、例えばクリーンルーム内においては、下方に向かう気流を棚部が妨げにくい保管装置が実現する。さらに、棚固定部材の全体が長尺状に延在するフレームから構成されており、棚固定部材同士も離隔されているため、保管装置全体として重量が抑制されており、気流を妨げにくい構成が実現している。
【0010】
また、本発明においては、前記第3のフレームが、前記軌道に交差する平面に沿って鉛直方向及び前記軌道から離隔する方向の両方向に延在する板部を有していることが好ましい。上記のように保管装置全体として重量が抑制された構成においては、装置の変形に対してその強度が十分に確保されないおそれがある。上記の構成によると、第3のフレームが軌道に交差する平面に沿って軌道から離隔する方向に延在する板部を有している。したがって、上記の平面に沿った方向に関する装置の変形が抑制される。これによって、例えば搬送台車の進行方向に対して左右方向に関する棚部の揺れ等が抑制される。
【0011】
また、本発明においては、前記棚固定部材が、水平方向に長尺に延在し、前記軌道と平面視において交差するように前記軌道の上面に固定された第6のフレームをさらに有しており、前記第3及び第4のフレームが、前記第6のフレーム上の前記軌道を平面視において互いに挟む位置に固定されていることが好ましい。この構成によると、棚固定部材が第6のフレームによって軌道の上面に固定されるため、保管装置を軌道に安定且つ確実に固定することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記軌道に沿って互いに隣り合う2つの前記棚固定部材に両端が固定された斜交い部材をさらに備えていることが好ましい。この構成によると、軌道に平行で鉛直方向に平行な平面に沿った方向に関する装置の変形が抑制される。これによって、上記の平面に沿った棚部の揺れ等が抑制される。
【0013】
また、本発明においては、前記第3のフレーム同士を結ぶ線分、並びに、前記第3のフレーム及び斜交い部材間を結ぶ線分が、いずれも平面視において前記軌道と交差しないことが好ましい。この構成は、平面視において、第3のフレーム同士が軌道を挟まず、且つ、第3のフレームと斜交い部材とが軌道を挟まないように配置されていることに相当する。つまり、第3のフレーム及び斜交い部材のいずれも、軌道上を走行する搬送台車から見て左右方向のいずれかのみに配置されていることを意味している。したがって、軌道上を走行する搬送台車から見て第3のフレームや斜交い部材が配置されていない方に、製造装置や他の保管装置を棚部に隣接させて配置することが可能である。
【0014】
また、本発明においては、前記第1及び第2のフレームが、いずれも前記軌道に沿って延在しており、前記棚部が、前記軌道に沿って延在する第7及び第8のフレームをさらに有しており、前記第7及び第8のフレームが、前記第1のフレームから前記第2のフレームに向かう方向に関して前記第1及び第2のフレームの両方を互いに挟み、且つ、前記第1及び第2のフレームのいずれからも離隔するように、前記第5のフレームに固定されており、前記第7及び第8のフレームと前記第1及び第2のフレームとの間に前記棚部を貫通する貫通領域が形成されていることが好ましい。この構成によると、棚部が第1及び第2のフレームに加えてさらに2本のフレームを有している。そして、これらのフレームはいずれも第1及び第2のフレームとの間に貫通領域を有している。したがって、棚部の強度をさらに確保しつつ、重量が抑制されており、気流を妨げない構成が実現する。
【0015】
また、本発明においては、前記第1及び第2のフレームの両方または一方に前記被搬送物を載置する際の位置合わせ部材が固定されていることが好ましい。この構成によると、第1及び第2のフレームのみに位置合わせ部材が固定されている。例えば第3〜第8のフレームを軌道又は天井に固定した後に位置合わせを行う場合には、第1及び第2のフレームを第5のフレームに固定する位置を調整するだけでよい。したがって、位置合わせの作業を簡易且つ速やかに完了することが可能である。
【0016】
また、本発明においては、前記棚部の上面の一端近傍に固定されており、前記棚部の上面から上方へと延在する板部材をさらに備えていることが好ましい。この構成によると、棚部の一端から下方へと被搬送物が転落するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態の一例であるバッファ100について図面を参照しつつ説明する。図1〜図3は、バッファ100(保管装置)の構成を示す図である。
【0018】
バッファ100は、例えば半導体製造工場に設置されたクリーンルーム内で用いられる。図1〜図3に示されているように、バッファ100は軌道92に設置されている。軌道92はクリーンルームの天井99に沿って、クリーンルーム内に設置された各種の製造装置の上方に敷設されている。軌道92上には搬送台車91が設置されている。搬送台車91は、図示されていない制御装置に制御されて軌道92上を図1の方向Aに沿って走行する。そして、容器93を図1の方向Bに沿って鉛直方向に移動させる。これによって、各製造装置間で容器93を搬送する。容器93内には半導体基板等が収容されており、容器93が製造装置に搬送されると、容器93内の半導体基板に各種の製造処理が施される。
【0019】
バッファ100は、容器93が載置される棚ユニット120を有している。棚ユニット120は、図2に示されているように平面視において長方形の概略形状を有しており、長尺方向が軌道92に沿うように配置されている。棚ユニット120は、フレーム部材121〜125(第1、第2、第7及び第8のフレーム)を有している。棚ユニット120のうち、フレーム部材121及び122からなる部分が上面に容器93が載置される棚部として機能する。
【0020】
棚ユニット120は、フレーム部材121〜124をそれぞれ1本ずつ有している。フレーム部材121〜124は、方向Aに沿って直線状に延在するように配置された、棒形状を有する部材である。フレーム部材123及び124は、水平面に平行で方向Aに垂直な方向Cに関して最も外側に配置されている。フレーム部材121及び122は、方向Cに関してフレーム部材123及び124の内側に配置されている。フレーム部材125は方向Cに沿って延在するように4本配置されている。フレーム部材125の両端はフレーム部材121及び122に固定されている。
【0021】
フレーム部材121〜124は、方向Cに関して互いに離隔している。また、フレーム部材125同士は方向Aに関して互いに離隔している。これによって、フレーム部材121〜125同士の間には、鉛直方向に棚ユニット120を貫通する貫通領域が形成されている。例えば、フレーム部材121、122及び125同士の間には貫通領域120aが形成されている。フレーム部材121及び123同士の間には貫通領域120bが形成されている。フレーム部材122及び124の間には貫通領域120cが形成されている。
【0022】
フレーム部材121及び122は平面に沿った上面121a及び122aを有しており、これらの上面121a及び122aが同一の水平面に含まれるように配置されている。フレーム部材121及び122は、互いの離隔距離が方向Cに関して容器93の幅より小さくなるように配置されている。容器93は、フレーム部材121及び122の間の貫通領域120aを跨ぐように上面121a及び122a上に載置される。棚ユニット120上には、図1の破線で示されているように容器93の載置領域が8個分用意されている。
【0023】
上面121a及び122a上には、図2のように複数の突起126が固定されている。上面121a上には8個の突起126が固定されており(不図示)、上面122a上には16個の突起126が固定されている。上面121a上の各突起126は容器93の各載置領域内に配置されており、方向Aに沿って互いに等間隔に配列されている。また、上面122a上の突起126は、2つを1組として、各組が容器93の各載置領域内に配置されている。つまり、各載置領域内には上面121a上の1つの突起126と上面122a上の2つの突起126との、合計で3つの突起126が配置されている。そして、これら3つの突起126は、水平方向に関して所定の位置関係を互いに有するように配置されている。
【0024】
一方で、容器93の下面には突起126が嵌合するような形状を有する3つの位置合わせ穴が形成されている(不図示)。これらの3つの位置合わせ穴も、上記の所定の位置関係と同じ位置関係を有するように形成されており、容器93が棚ユニット120上に載置される場合には、互いに対応する位置合わせ穴と突起126とが嵌合するように位置合わせがなされる。
【0025】
棚ユニット120の周囲には、複数の転落防止板103が固定されている。転落防止板103は正方形の概略形状を有している。これらの転落防止板103のうちの8枚は方向Cに関して棚ユニット120の最も外側の一方の側面に固定されている。この側面は、フレーム部材123の側面に相当する。これら8枚の転落防止板103は、図1に示されているように棚ユニット120上の容器93の載置位置に正面視で重なり合うように配置されている。
【0026】
また、転落防止板103のうちの他の8枚は、方向Cに関して棚ユニット120の最も外側の他方の側面に固定されている。この側面は、フレーム部材124の側面に相当する。これら8枚の転落防止板103は、フレーム部材123に固定された別の8枚の転落防止板103と、方向Aに関して同じ位置に配置されている。つまり、フレーム部材123に固定された各転落防止板103とフレーム部材124に固定された各転落防止板103とは、方向Cに関して容器93の各載置領域を互いに挟むように配置されている。
【0027】
さらに、棚ユニット120の方向Aに関する両側面にも、転落防止板103がそれぞれ固定されている。これらの転落防止板103はフレーム部材125に固定されており、方向Aに関して容器93の8つの載置領域を互いに挟むように配置されている。
【0028】
バッファ100は4つの固定ユニット110を有している。これらの固定ユニット110は軌道92に沿った方向(方向A)に関して互いに離隔して配列されている。各固定ユニット110の上端は軌道92の上面に固定されており、固定ユニット110の下端には棚ユニット120が固定されている。これによって、棚ユニット120は軌道92の下方に吊り下げられている。以下、固定ユニット110の構成について説明する。なお、4つの固定ユニット110は全て同じ構成を有しており、以下の説明は全ての固定ユニット110について同様である。
【0029】
図1〜図3に示されているように、固定ユニット110はフレーム部材111〜114(第3〜第6のフレーム)を有している。フレーム部材111は概略的に長方形の平板形状を有する部材であり、長尺方向が鉛直方向に沿うように配置されている。また、その平板形状の面方向が鉛直方向及び方向Cに沿うように配置されている(図3参照)。フレーム部材112は、鉛直方向に沿って直線状に延在するように配置された、棒形状を有する部材である。フレーム部材111及び112のいずれも、その上端がフレーム部材114に固定されており、下端がフレーム部材113に固定されている。フレーム部材111〜113は図3に示されるように概略形状がコの字状に構成されており、フレーム部材111及び113がコの字の両端部を構成している。フレーム部材111〜113は、軌道に棚部を固定するための棚固定部材として機能する。
【0030】
フレーム部材111及び112は、フレーム部材113及び114の方向Cに関して両端の近傍にそれぞれ固定されている。これによって、フレーム部材111及び112は、その下部において棚ユニット120を方向Cに関して挟みつつ、その上部において軌道92及び搬送台車91の走行領域を方向Cに関して挟むように配置されている。また、全ての固定ユニット110について、フレーム部材111は図3においてバッファ100の左端近傍の同一の位置に配置されている。さらに、全ての固定ユニット110について、フレーム部材112は図3においてバッファ100の右端近傍の同一の位置に配置されている。
【0031】
フレーム部材113及び114はいずれも、方向Cに沿って直線状に延在するように配置されている。そして、いずれも方向Cに垂直な断面に関してコの字型の形状を有している。フレーム部材113は、上記断面に関してコの字型が下方に開口するように配置されている。フレーム部材114は、上記断面に関してコの字型が上方に開口するように配置されている。フレーム部材113の上面にはフレーム部材111、112及び121〜124が固定されている。フレーム部材114の下面にはフレーム部材111及び112が固定されている。
【0032】
図1〜図3に示されているように、バッファ100は2本の斜交い部材102を有している。いずれの斜交い部材102も、図3においてバッファ100の左端近傍に配置されている。斜交い部材102の一端102aは、方向Aに関して最も外側の固定ユニット110において、フレーム部材114の方向Cに関する一端に固定されている。斜交い部材102の他端102bは、一端102aが固定された固定ユニット110の隣の固定ユニット110において、フレーム部材113の方向Cに関する一端に固定されている。これによって、いずれの斜交い部材102も、バッファ100の方向Cに関する一側面に沿って斜めに延在するように、互いに隣り合う2つの固定ユニット110に固定されている。
【0033】
以下、フレーム部材111〜114及びフレーム部材121〜125のさらに詳細な構成について図4及び図5を参照しつつ説明する。図4(a)は、フレーム部材121の長さ方向に垂直な断面を示している。なお、フレーム部材121〜124はいずれも同じ断面形状を有しているため、フレーム部材121以外の構成については省略する。フレーム部材121は、概略的に正方形の断面形状を有している。フレーム部材121内には空洞121b〜121dが形成されている。空洞121b〜121dは、フレーム部材121の図4(a)において左側面、下面及び右側面のそれぞれに開口している。かかる空洞121b〜121dは、フレーム部材121の長さ方向に沿って延在している。フレーム部材121は、上記の断面形状において左右対称に形成されている。
【0034】
図4(b)は、図2のIV−IV線に沿ったバッファ100下部の断面図である。フレーム部材121〜124はいずれも、ボルト131を介してフレーム部材123の上面に固定されている。ボルト131は、フレーム部材113の上板113aを下方から貫通し、フレーム部材121〜124の下面に形成された空洞の開口に固定されている。
【0035】
また、フレーム部材123の図4(b)において左側面には、ボルト133を介して転落防止板103が固定されている。ボルト133は、転落防止板103を左方から貫通して、フレーム部材123の左側面に形成された空洞の開口に固定されている。フレーム部材124の図4(b)において右側面には、ボルト133を介して転落防止板103が固定されている。ボルト133は、転落防止板103を右方から貫通して、フレーム部材124の右側面に形成された空洞の開口に固定されている。
【0036】
さらに、フレーム部材121及び122には、2本のボルト132を介してフレーム部材125が固定されている。ボルト132の一方はフレーム部材121の左側面に形成された開口から右側面の開口まで貫通し、さらにフレーム部材125の左端に固定されている。ボルト132の他方はフレーム部材122の右側面に形成された開口から左側面の開口まで貫通し、さらにフレーム部材125の右端に固定されている。
【0037】
なお、図4(b)においてはフレーム部材111及び112の図示を省略しているが、これらの部材もフレーム部材121〜124と同様に、ボルトを介してフレーム部材113の上面に固定されている。
【0038】
以下、フレーム部材114と軌道92との固定箇所について説明する。フレーム部材114は、図3に示されているように2本のボルト141を介して軌道92に固定されている。図5は、図3の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。図5には軌道92の断面と、フレーム部材114内の一部とが示されている。フレーム部材112の上端には螺子部144が形成されている。螺子部144は2つのナット145を介してフレーム部材114の底板114aを貫通している。フレーム部材112は、これらの螺子部144及び2つのナット145によってフレーム部材114に固定されている。
【0039】
軌道92の上面には、上方に向かって突出する突起部92aが形成されている。突起部92a内には空洞92bが形成されており、空洞92bは上方に向かって突起部92aの上面に開口し、開口92cが形成されている。空洞92bは、軌道92の長さ方向(図5に向かって手前から奥へと向かう方向)に沿って直線状に延在している。空洞92bの断面形状は、ボルト141のボルト頭141aが収容され、ボルトの本体が開口92cを介して上方へと突出するように調整されている。これによって、突起部92aは、空洞92b内にボルト頭141aが収容されたまま、ボルト141が軌道92に沿って移動可能になるように構成されている。フレーム部材114は、空洞92b内にボルト頭141aが収容されたボルト141とナット142とを介して、軌道92に固定されている。なお、図3においてもう一方のボルト141周辺の構成も、図5に示されている構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0040】
以上の構成を有する本実施形態によって、以下の効果が奏される。固定ユニット110や棚ユニット120は、概略的にフレーム部材111〜114及び121〜125のような、主に棒形状を有する部材によって構成されている。そして、固定ユニット110やフレーム部材同士は互いに離隔して配置されており、全体として非常に通気性の良い構成を有している。したがって、バッファ100全体の重量が抑制されていると共に、クリーンルーム内の気流を妨げにくい構成が実現している。
【0041】
特に、棚ユニット120は、主に、軌道92の延在方向(方向A)に沿って延在するように配置されたフレーム部材121〜124によって構成されている。そして、これらのフレーム部材同士の間には棚ユニット120を鉛直方向に貫通する貫通領域120a、120b及び120cが形成されている。したがって、クリーンルーム内において天井から下方に向かうダウンフローを棚ユニット120が妨げることが抑制されている。また、棚ユニット120が棒形状を有するフレーム部材で構成されていることにより、各貫通領域を広く確保することが可能となっている。したがって、ダウンフローをより妨げにくい構成が実現している。
【0042】
また、上記のように主に棒形状のフレーム部材から構成されていると、バッファ100の変形に対してその強度が十分に確保されないおそれもある。しかし、本実施形態においては、フレーム部材111が、方向Aに垂直な平面に沿って延在する平板の形状を有している(図3参照)。したがって、方向Aに垂直な平面に沿った方向に関するバッファ100の変形が防止される。例えば方向Cに沿って棚ユニット120が揺れるのが防止される(図2及び図3参照)。さらに、本実施形態においては、2本の斜交い部材102が設置されている。これによって、方向Cに垂直な平面に沿った方向に関するバッファ100の変形が防止される。例えば方向Aに沿って棚ユニット120が揺れるのが防止される(図2及び図3参照)。
【0043】
また、本実施形態によると、斜交い部材102及びフレーム部材111のいずれも図3においてバッファ100の左端近傍に配置されており、バッファ100の右端近傍にはフレーム部材112が配置されている。したがって、バッファ100の右端に斜交い部材102やフレーム部材111が配置されている場合と比べて、棚ユニット120上の容器93の載置領域からバッファ100の右端までの距離を短くすることができる。したがって、図3の破線999に示されているように、バッファ100上の容器93に近接した範囲に製造装置等を配置することが可能である。
【0044】
また、本実施形態によると、全ての位置合わせ用の突起126がフレーム部材121及び122上に固定されている。そして、図4において中2つのボルト131を締めたり外したりすることによって、フレーム部材121及び122のみをフレーム部材113に着脱することができる。したがって、容器93の載置位置を軌道92に沿った方向(方向A)に関して調整する際には、フレーム部材121、122及び125を互いに固定したフレームユニットを組み立て、かかるフレームユニットを位置合わせしてフレーム部材113に固定することにより、全ての載置位置に関して位置合わせを完了することができる。これによって、載置位置ごとに位置合わせ用の突起を位置合わせして固定する場合と比べて、位置合わせの作業が簡易且つ速やかに完了する。また、一旦フレーム部材121〜125をバッファ100に固定した後に位置合わせをする場合にも、フレーム部材121、122及び125からなるフレームユニットのみをフレーム部材113から取り外し、軌道92に沿ってスライドして再びフレーム部材113に固定することにより、全ての載置位置に関して位置合わせが完了する。したがって、載置位置を再調整する場合などの作業が簡易且つ速やかに完了する。
【0045】
また、本実施形態によると、転落防止板103が棚ユニット120上に設置されている。これによって、棚ユニット120上に載置された容器93が、棚ユニット120から下方へと転落するのが防止される。
【0046】
また、本実施形態によると、ナット142を緩め、ボルト頭141aを空洞92b内で軌道92に沿って移動させることにより、フレーム部材114を軌道92に沿って移動させることができる(図5参照)。これによって、固定ユニット110を軌道92に沿って移動させることができ、バッファ100を軌道92に固定する際の位置合わせを容易に行うことが可能になっている。
【0047】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0048】
例えば、上述の実施形態においては、固定ユニット110が軌道92に固定されているが、固定ユニット110が直接天井99に固定されていてもよい。
【0049】
また、上述の実施形態において、フレーム部材111〜114及び121〜125の一部は棒形状を有している。しかし、それぞれ一方向に沿って長尺に延在する形状を有しており、互いに離隔するように固定することでバッファを構成可能であれば、どのような形状を有していてもよい。例えば板形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るバッファの側面図及びバッファの周辺図である。
【図2】図1のバッファの斜視図である。
【図3】図1のバッファの正面図である。
【図4】図4(a)は図1〜図3のバッファを構成する一のフレーム部材の長さ方向に垂直な縦断面図であり、図4(b)は図3のIV−IV線に沿ったバッファの縦断面図である。
【図5】図3の一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。
【符号の説明】
【0051】
91 搬送台車
92 軌道
93 容器
99 天井
100 バッファ
102 斜交い部材
103 転落防止板
110 固定ユニット
111〜114 フレーム部材
120 棚ユニット
120a〜120c 貫通領域
121〜125 フレーム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を把持しつつ天井に敷設された軌道上を走行する搬送台車からの前記被搬送物を保管する保管装置であって、
長尺状に延在する第1、第2のフレームからなり、前記第1、第2のフレーム上面で構成される水平面に前記被搬送物が載置される棚部と、
長尺状に延在する第3〜第5のフレームからなり、前記第3〜第5のフレームが概略コの字形状に構成され、前記軌道の下方に前記棚部が位置するように、前記棚部を前記軌道及び天井の少なくともいずれかに固定するための複数の棚固定部材とを備えており、
前記コの字形状の両端部を構成する前記第3及び第4のフレームが、それぞれ前記延在する方向が鉛直方向に沿い且つ前記搬送台車が走行する領域を水平方向に関して互いに挟むように、前記軌道及び天井の前記いずれかに固定されており、
前記第5のフレームが、前記延在する方向が前記第3のフレームから前記第4のフレームへと向かう方向に沿うように、前記第3及び第4のフレームの両方と前記軌道の下方において固定されており、
前記第1及び第2のフレームが、
前記上面が水平方向に関して前記被搬送物の幅より小さい距離だけ互いに離隔するように、前記第5のフレームに固定されており、
前記複数の棚固定部材が前記軌道に沿って互いに離隔するように配列されており、
前記第1及び第2のフレームの間に前記棚部を鉛直方向に貫通する貫通領域が形成されていることを特徴とする保管装置。
【請求項2】
前記第3のフレームが、前記軌道に交差する平面に沿って鉛直方向及び前記軌道から離隔する方向の両方向に延在する板部を有していることを特徴とする請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
前記棚固定部材が、
水平方向に長尺に延在し、前記軌道と平面視において交差するように前記軌道の上面に固定された第6のフレームをさらに有しており、
前記第3及び第4のフレームが、
前記第6のフレーム上の前記軌道を平面視において互いに挟む位置に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保管装置。
【請求項4】
前記軌道に沿って互いに隣り合う2つの前記棚固定部材に両端が固定された斜交い部材をさらに備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の保管装置。
【請求項5】
前記第3のフレーム同士を結ぶ線分、並びに、前記第3のフレーム及び斜交い部材間を結ぶ線分が、いずれも平面視において前記軌道と交差しないことを特徴とする請求項4に記載の保管装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のフレームが、いずれも前記軌道に沿って延在しており、
前記棚部が、
前記軌道に沿って延在する第7及び第8のフレームをさらに有しており、
前記第7及び第8のフレームが、
前記第1のフレームから前記第2のフレームに向かう方向に関して前記第1及び第2のフレームの両方を互いに挟み、且つ、前記第1及び第2のフレームのいずれからも離隔するように、前記第5のフレームに固定されており、
前記第7及び第8のフレームと前記第1及び第2のフレームとの間に前記棚部を貫通する貫通領域が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保管装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のフレームの両方または一方に前記被搬送物を載置する際の位置合わせ部材が固定されていることを特徴とする請求項6に記載の保管装置。
【請求項8】
前記棚部の上面の一端近傍に固定されており、前記棚部の上面から上方へと延在する板部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−247561(P2008−247561A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91943(P2007−91943)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】