保護コーティングを有する太陽反射鏡及びその製造方法
太陽反射鏡が、焦点区域を有する成形ガラス基板と、その凸状表面を覆う反射コーティングと、その凹状表面を覆うナトリウムイオンバリア層とを備える。この成形基板は、底部区域に半径方向張力歪みを、及び基板の外周部に円周方向圧縮歪みを有する歪みパターンを有する。成形基板の外周部からの距離が増大するにつれて、円周方向圧縮歪みは、円周方向張力歪みが生じ始める位置である「移行ライン」まで縮小する。移行ラインからガラス基板の底部区域の方向への距離が増大するにつれて、円周方向張力は上昇する。成形ガラス基板における歪みパターンを補償してバリア層の座屈及び表面クラックを回避するために、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含むバリア層の厚さは、とりわけ、応じて変化する。成形セクションから太陽鏡を製造する方法もまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月27日に出願され、「ALKALI BARRIER LAYER」と題された、米国特許仮出願第61/164,047号の利益を主張するものである。出願第61/164,047号はその全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、Abhinav Bhandari、Harry Buhay、William R.Siskos、及びJames P.Thielの名義で2010年2月19日に出願され、「SOLAR REFLECTING MIRROR HAVING A PROTECTIVE COATING AND METHOD OF MAKING SAME」と題された、米国特許出願第12/709,045号と、James P.Thielの名義で2010年2月19日に出願され、「A SOLAR REFLECTING MIRROR AND METHOD OF MAKING SAME」と題された、米国特許出願第12/709,091号との主題に基づくものであり、さらに本出願は、米国特許出願第12/709,045号及び米国特許出願第12/709,091号の利益を主張するものである。出願第12/709,045号及び米国特許出願第12/709,091号はそれらの全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、例えばアルカリバリア層などの保護コーティングを有する放物面状成形太陽反射ガラス鏡などの太陽反射鏡と、その製造方法とに関し、さらに詳細には、鏡の凹状表面上に例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンが析出するのを防ぐための、鏡の凹状表面上のアルカリバリア層に関する。本発明の好ましいアルカリバリア層は、鏡の凹状表面の摩損を防ぐために、引っかき抵抗性及び耐化学性を有する。
【背景技術】
【0004】
現在、例えば、及びこの記述に限定しないが、放物面鏡の焦点に配置されるデバイスに太陽光線を反射させるために使用される放物面状成形鏡などの太陽鏡の効率を向上させることなど、太陽熱集積器の効率を高めることが関心を集めている。このデバイスは、一般的には、太陽のエネルギーを例えば電気エネルギーなどの別の形態の利用可能エネルギーへと変換させる技術において知られているタイプのものである。先行技術の別の実施例においては、放物面鏡は、一次鏡であり、この一次鏡は、太陽光線を変換デバイスに反射させるように一次鏡の焦点に対して位置決めされる二次鏡へと太陽光線を反射させる。
【0005】
一般的には、放物面状成形鏡は、放物面状成形基板を備え、この基板は、この成形基板の凸状表面上に銀コーティングなどの反射表面を有する。この成形基板の好ましい材料は、平坦状ガラスシートを放物面状シート又は放物面状基板に成形する際の歩留まりの高さ、平坦状ガラスシートの製造コストの低さ、並びに成形ガラス基板の表面上に太陽反射コーティングを施す際の歩留まりの高さ及びコストの低さという理由から、ソーダ石灰シリカガラスである。
【0006】
ソーダ石灰シリカガラスは、太陽反射鏡のための基板について許容し得る材料であるが、このガラスの使用については制約がある。より詳細には、成形プロセスにおいて、平坦状ガラスシートは、649℃(華氏(以降においてはFとも呼ぶ)1200°)超の温度まで加熱され放物面形状に成形される。このガラスシートの加熱及び成形の際に、ガラスシート中の例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンが、ガラスシートから外部に放散されるか又は溶出する。さらに、例えば長期間にわたる環境への露出など、放物面状成形ガラス基板を太陽エネルギーに対して露出する際に、さらなるナトリウムイオンが、ガラス基板から溶出する。当業者には理解されるであろうが、ガラスからのナトリウムイオンの溶出又は放散は、予期される事態であり、低温ではプロセスが遅くなる。しかし、ガラスの加熱及び/又は太陽エネルギーに対するガラスの長期間にわたる環境的露出は、ガラスからのナトリウムイオンの溶出又は放散を加速させ、ガラスから溶出するナトリウムイオンの量を増加させる。ガラスから溶出するナトリウムイオンは、大気中の水分と反応し、ナトリウムイオンから例えば水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物へと変化する。ナトリウム化合物は、ガラスの表面を食刻するおそれがあり、ガラスの表面上に析出物として堆積するおそれがある。このナトリウム化合物の析出物は、例えば放物面状成形ガラス基板の場合などにはガラスを通過する可視光の透過率を低下させ、成形ガラス基板の凸状表面上の反射コーティングに対する太陽エネルギーの伝達率を低下させ、反射コーティングから反射され成形ガラス基板を通過し成形ガラス基板の凹状表面に向かう太陽エネルギーの伝達率を低下させる。
【0007】
さらに、当業者には理解されるであろうが、成形ガラス基板の表面は、正反射表面であり、太陽エネルギーは、平行光線としてこのガラス基板の凹状表面に入射する。平行光線は、凹状表面から反射され、反射コーティングから収束光線として反射される。凹状ガラス表面上のナトリウム化合物の析出物は、この正反射表面を非正反射表面又は散乱表面へと変化させ、それによりこの析出物から反射されこの析出物を通過する光線は、一次鏡の焦点から離れるように配向される。本明細書においては、「正反射表面」という用語は、この反射表面に入射する光線が反射角と等しい入射角を有する場合の光反射表面を意味する。本明細書においては、「非正反射表面又は散乱表面」という用語は、この反射表面に入射する光線が反射角とは異なる入射角を有する場合の反射表面を意味する。
【0008】
ガラスのもう1つの制約は、ガラス表面の引っかきを回避するように注意を払う必要があるということである。ガラス表面上の引っかき傷は、やはり、正反射表面を非正反射表面又は散乱表面へと変えてしまうおそれがある。当業者には理解されるであろうが、反射凹状表面が、正反射表面から非正反射表面又は散乱表面に変化すると、放物面状成形鏡の焦点に入射する反射太陽光線の割合は、低下し、太陽反射鏡の効率を低下させる。
【0009】
放物面鏡の凹状表面からナトリウム化合物の析出物を除去及び/又は排除するための現行の技術は、この表面を洗浄すること、及び/又は不活性ガスを含む密閉されたチャンバ内に鏡の凹状表面を封入して、ナトリウムイオンが析出物を形成するのを防ぐことを含む。引っかき傷を除去するための現行の技術は、引っかき傷を有するガラスシートの表面をバフ仕上げすることを含む。太陽鏡の表面を正反射表面に維持するためのこれらの技術は全て、非常に費用がかかる。
【0010】
例えば米国特許第4,238,276号、米国特許第5,270,615号、米国特許第5,830,252号、及び米国特許第6,027,766号、米国特許出願第08/597343号、及び米国特許出願公開第2007/0275253A1号などに開示されるバリア層が、当技術において知られている。現行において入手可能なアルカリバリア層及び/又は引っかき抵抗性層の限界の1つは、それらが、ガラス基板の平坦状の又は成形済みの表面に対する使用については有効であるが、例えば放物面鏡の凹状表面などの湾曲表面へと後に成形される平坦状表面に対する使用については有効ではない点である。先行技術においては、バリア層及び/又は引っかき抵抗性層により被覆された基板が、平坦状被覆基板から放物面状成形被覆基板に成形される場合に解決されるべきこの問題についての認識又は記述が、あるにしても殆どない。より詳細には、先行技術においては、被覆されたガラスの輪郭形状が平坦状表面を有するガラス片から凹状表面を有する成形ガラス基板に変化する際の、コーティング中のクラック及び/又はコーティングの座屈の解消についての記述が、あるにしても殆どない。本出願により理解されるように、バリアコーティングが応力を受けると、コーティングは、クラックを生じ、ナトリウムイオンは、大気にさらされ、ガラス基板の表面上にナトリウム化合物の析出物を形成し、及び/又は、バリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングが座屈した場合に、この表面は、正反射表面から非正反射表面又は散乱表面へと変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
今や当業者には理解され得るであろうが、引っかき抵抗特性を有することにより、一次鏡及び二次鏡の凹状表面が正反射表面から非正反射表面又は散乱表面へと変化するのを防ぐ、例えばナトリウムイオンバリアコーティングなどのアルカリバリアコーティング又は層を設けることが、有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、湾曲反射表面を有する太陽反射鏡であって、とりわけ、凸状表面及び反対側の凹状表面を有する透明基板と、凸状表面を覆う反射コーティング及び凹状表面を覆うアルカリバリア層とを備える太陽反射鏡に関する。この反射コーティングは、電磁スペクトルの選択された波長を反射する。
【0013】
さらに、本発明は、湾曲反射表面を有する太陽反射鏡を製造する方法であって、とりわけ、平坦状透明シートを用意し、このシートを成形して凸状表面及び反対側の凹状表面及び焦点区域を有する成形透明基板を形成し、基板の凸状表面を覆って反射コーティングを施し、基板の凹状表面を覆ってアルカリバリア層を形成することによる製造方法に関する。
【0014】
さらに、本発明は、とりわけシリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含む、アルカリバリアコーティングに関する。
【0015】
さらに、本発明は、湾曲反射表面を有する太陽反射鏡に関する。この鏡は、とりわけ、複数の透明な成形セグメントと、これらのセグメントを共に保持して、凸状表面及び反対側の凹状表面を有し、焦点区域及び成形基板のこれらの表面の一方を覆う太陽反射コーティングを有する成形透明基板を形成する固定設備とを備え、このコーティングは、成形透明基板の焦点区域の方向に電磁スペクトルの可視波及び赤外波を反射する。
【0016】
さらに、本発明は、成形太陽反射鏡を製造する方法に関する。この方法は、とりわけ、2つ以上の平坦状透明セグメントを成形して2つ以上の成形透明セグメントを形成することと(この成形透明セグメントはそれぞれ、成形ガラス透明基板の一部(1/(成形透明基板の全セグメント))を含む)、成形透明セグメント同士を共に固定して成形透明基板を形成することと(この成形透明基板はとりわけ凸状表面及び焦点区域を有する反対側の凹状表面を備える)、透明基板の表面の少なくとも1つを覆って反射コーティングを形成することとにより、実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】先行技術の太陽熱集積器のアレイの立面平面図である。
【0018】
【図2】先行技術の太陽熱集積器の等角図である。
【図2A】図2の太陽熱集積器の凹状表面に入射する太陽光線の拡大図である。
【0019】
【図3】本発明の太陽鏡を示す、図2の図と同様の図である。
【0020】
【図4】本発明のコーティングを有するガラス片の等角図である。図4のコーティングは、明瞭化のために一部が取り除かれている。
【0021】
【図5A】真空成形型の開口端部上に図4のガラス片が取り付けられた、真空成形型の側面立面図である。
【図5B】真空成形型の内部に本発明の成形ガラス基板が位置する、真空成形方の断面図である。
【0022】
【図6】成形ガラス基板の外周部における円周方向圧縮歪みのパターンを示す、本発明の成形ガラス基板の立面上面図である。
【0023】
【図7】とりわけ成形ガラス基板の移行歪みラインを示す、図6の線7−7に沿った図である。
【0024】
【図8】成形ガラス基板の外周方向引張歪み及び半径方向引張歪みを示す、図7の線8−8に沿った図である。
【0025】
【図9A】図4に図示されるガラス片の1つのセグメントの等角図である。
【図9B】ガラス片が成形ガラス基板に成形された後の、図9Aに図示されるセグメントの等角図である。コーティングは、山及び谷を有する。
【図9C】本発明の教示により作製された成形ガラス基板の1つのセグメントを示す、図9Bの図と同様の図である。コーティングは、山及び谷の数が減り、山の高さが低くなり、谷の深さが浅くなっている。
【0026】
【図10】被覆されたガラスを複数セグメントに切断することを含む、本発明の成形太陽鏡を作成するための本発明の別の実施例を示す、図4の図と同様の図である。
【0027】
【図11】図10の被覆されたガラスから切断された複数のセグメントを成形するために、本発明の実施において使用し得る、ガラスシートプレス加工装置の等角上面図である。
【0028】
【図12】成形ガラスセグメント同士を接合することにより作製される、本発明の成形太陽鏡の上面図である。
【0029】
【図13】成形されたガラスセグメントにより作製される、本発明の成形太陽鏡を示す、図3と同様の図である。
【0030】
【図14】円形ガラス片を覆うコーティングシールドを示す、図4と同様の図である。
【0031】
【図15】移行歪みラインと成形ガラス基板の底部との間の位置における、成形ガラス基板の立面断面上面図である。この図は、成形ガラス基板の外周方向張力区域及び半径方向張力区域中の亀裂を示す。コーティングの陰影線は、明瞭化のために図示しない。
【0032】
【図16】ガラス片の両方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【図17】ガラス片の両方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有し、さらに任意にはガラス片の一方の方面を覆う反射表面を有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【図18】ガラス片の一方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有し、さらに任意にはガラス片の一方の方面を覆う反射表面を有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【図19】ガラス片の両方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有し、さらに任意にはガラス片の一方の方面を覆う反射表面を有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【0033】
【図20】本発明のバリア層を有する光電池の1つのセクションの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の記述において、「内方」、「外方」、「左」、「右」、「上」、「下」、「水平方向」、及び「垂直方向」等々の空間又は方向に関する用語は、図面内に示される本発明に関するものである。しかし、本発明は様々な代替的配向をとることが可能であり、したがってかかる用語は限定的なものとして見なされるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる、次元及び物理的特徴等々を表す全ての数字は、全ての事例において、「約」という用語で修飾されるものとして理解されたい。したがって、別様に示唆しない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲において示される数値は、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動することが可能である。少なくとも、及び特許請求の範囲の均等論の適用を制限しようと企図するものとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を鑑みて、及び通常の丸め技法の適用により、少なくとも解釈されるべきである。さらに、本明細書において開示される全ての範囲は、その中に含まれるあらゆる部分範囲を包含するように理解されたい。例えば、「1から10」と述べられた範囲は、最低値1と最大値10との間の(及びそれらを含む)あらゆる部分範囲を、すなわち、例えば1から6.7、又は3.2から8.1、又は5.5から10などの、最低値1以上で始まり最大値10以下で終わるあらゆる部分範囲を含むように見なされるべきである。さらに、本明細書においては、「〜を覆って施される」又は「〜を覆って設けられる」という表現は、上に施されるか、若しくは上に設けられることを意味するが、必ずしも表面接触状態にあるものではない。例えば、基板又は基板表面「を覆って施された」材料は、蒸着される材料と基板又は基板表面との間に位置する同一の又は異なる組成の1つ又は複数の材料が存在することを除外するものではない。
【0035】
本発明の複数の非限定的な実施例を論じる前に、本発明は、その適用において、本明細書に示され論じられる特定の非限定的な実施例の詳細に限定されず、なぜならば本発明は、他の実施例が可能であるためであることを理解されたい。さらに、本発明を論じるために本明細書において使用される術語は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。さらに、別様に示唆しない限り、以下の記述において、同様の数字は、同様の要素を指す。
【0036】
本発明のバリアコーティング又はバリア層は、以下において詳細に論じられるシリコン/アルミニウム酸化物コーティングである。また、本発明のこのシリコン/アルミニウム酸化物コーティングは、例えば引っかき傷などの機械的損傷、及び例えば7〜14の範囲の、特に9〜14の範囲のpHを有する材料による化学腐食などの化学的損傷に対する保護をもたらす。本発明のこのコーティングのバリア特性に関する以下の記述は、別様に示さない限り、本発明のコーティングの引っかき抵抗特性にも当てはまる。これに関連して、50ナノメートル(以降においては「nm」とも表す)未満のコーティング厚さでは、本発明のシリコン/アルミニウム酸化物コーティングは、機械的損傷及び化学的損傷に対する抵抗性を失う。
【0037】
説明を明瞭にするために、「アルカリバリア層又はアルカリバリアコーティング」及び「ナトリウムイオンバリア層又はナトリウムイオンバリアコーティング」という用語は、この層又はコーティングが覆うように又は上に施される表面上へのアルカリ析出物又はナトリウム析出物の形成を防ぐ又は制限するためのバリアとして作用し、任意にはこの表面に対する機械的損傷及び/又は化学的損傷を防ぐ又は制限する抵抗性を有する、層又はコーティングを意味する。「保護層又は保護コーティング」は、この層又はコーティングが覆うように又は上に施される表面に対する機械的損傷及び/又は化学的損傷を防ぐ又は制限する抵抗性を有し、及び/又は、この表面上へのアルカリ析出物又はナトリウム析出物の形成を制限することが可能な、層又はコーティングを意味する。
【0038】
基板表面を覆って又は上に、アルカリイオンに対するバリアである(例えば、ナトリウムイオンが大気中の水分と反応するのを防ぎ、ナトリウムイオンが例えば上述のようにガラスの表面上に析出する化合物である水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物へと転化するのを防ぐ)コーティング又は層を施すために、マグネトロンスパッタリング真空蒸着(以降においては「MSVD」とも呼ぶ)被覆プロセスを利用する、本発明の非限定的な実施例を論じる。理解されるであろうが、本発明は、この被覆プロセスに限定されず、被覆プロセスは、ガラス表面の上に又はそれを覆って、例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンのバリア膜又はバリア層を施すか又は被覆する任意の被覆プロセスであることが可能である。
【0039】
以下の説明は、アルカリイオンバリアコーティング又はアルカリイオンバリア層を施す非限定的な実施例を対象とする。別様に示さない限り、この説明は、引っかき抵抗性コーティング又は引っかき抵抗性層にも当てはまる。
【0040】
理解されるであろうが、ガラス基板又はガラス片は、本発明を限定するものではなく、ガラスは、任意の組成からなるガラスであることが可能である。ガラスは、透明ガラス又は着色ガラスであることが可能であり、及び/又は、ガラスは、焼きなましガラス、熱強化ガラス、又は強化ガラスであることが可能である。ガラス片又はガラス基板は、任意の形状、厚さ、及びサイズを有することが可能である。本発明の非限定的な実施例は、太陽反射鏡に関連する実施例として提示される。しかし、本発明は、太陽反射鏡に限定されず、工業用窓及び家庭用窓、ガラス製シャワードア、空中機、宇宙機、陸上機、及び水中機のための透明材料、被覆ボトル、薄膜光起電アプリケーションのための被覆ガラス、曇止め型商業用冷蔵庫のための電熱ガラス、並びに家具用途のガラスの製造における実施が可能である。
【0041】
以下の記述においては、成形太陽反射鏡は、放物面状成形反射鏡と呼ばれるが、本発明は、これに限定されず、別様に示さない限り、例えば、しかし本発明に限定されない、放物面状成形鏡及び球面状成形鏡などの、湾曲反射表面及び焦点又は焦点区域を有する任意の鏡に関して実施することが可能である。「焦点」及び「焦点区域」は、太陽光線の80%超がこの鏡収束部から反射される位置として定義される。「焦点区域」のサイズ及び位置は、本発明を限定するものではなく、本発明の非限定的な一実施例においては、焦点区域は、鏡の反射区域の5分の1(1/5)未満である。
【0042】
図1には、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するための先行技術の成形太陽熱集積器20(図2を参照)のアレイ18を示す。本発明は、このアレイ18における太陽熱集積器20の接合態様に限定されず、当技術において知られているどのような技術を使用して太陽熱集積器20をアレイ18へと接合することも可能である。さらに、本発明は、このアレイ18中の太陽熱集積器20の個数に限定されず、例えば、本発明は、1つの太陽熱集積器20において実施することも、並びに2つ、3つ、5つ、10個、20個、50個超、及び任意の個数の太陽熱集積器の組合せからなるアレイにおいて実施することも可能である。さらに、本発明は、太陽熱集積器20のアレイ18が任意の従来的な態様で固定位置に取り付けられること、又は、太陽熱集積器20のアレイ18が任意の従来的な態様で太陽エネルギーに対する太陽熱集積器の露出を最大化するために太陽の経路に倣うように取り付けられることが予期される。太陽熱集積器20はそれぞれ、太陽エネルギーが例えば電気エネルギー又は熱などの代替エネルギー源に変換される特定の区域に太陽エネルギーを向かわせるための、同一の又は異なる設計を有することが可能である。
【0043】
図2を参照すると、太陽熱集積器20はそれぞれ、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するためのデバイス26上に太陽エネルギーを集めるための、例えば放物面状成形鏡22(本明細書においては「一次鏡」とも呼ぶ)などの成形反射鏡を備える。放物面状成形鏡22は、放物面状成形ガラス基板28を備える。このガラス基板28は、好ましくは、0.020重量パーセント未満の総鉄含有量と、電磁スペクトルの例えば350から770ナノメートル(「nm」)などの可視範囲における、及び電磁スペクトルの例えば770nm超から2150nmなどの赤外(「IR」)領域における90%の透過率と、例えば可視範囲及びIR範囲における2%未満などの低い吸光率とを有する。前述の光学特性を有するガラスは、2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275,264号、及び米国特許第5,030,594号に開示され、該文献は、その全体として、参照により本明細書に組み込まれる。PPG Industries,Inc.が、STARPHIRE及びSOLARPHIRE PVという商標の下に、上述の特性を有するガラスを販売している。成形ガラス基板28は、凹状表面30と、反対側の凸状表面32とを有する。成形ガラス基板28の外周部は、側部33を形成するように形状設定される。図1に図示されるように、隣接し合う太陽熱集積器20同士の側部33は、反射表面による所与面積の収斂度を最大化するために、互いに接触する。反射コーティング、反射層、又は反射膜34(図2に明瞭に示す)が、成形ガラス基板28の凸状表面32を覆って、及び好ましくは凸状表面32の上に位置する。反射膜34は、例えば、しかし非限定的には、銀、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、又は金などの、金属であることが可能である。通常は、反射膜34は、銀である。
【0044】
引き続き図2を参照すると、光線36で表される平行な太陽エネルギー光線が、凹状表面30に入射する。光線36の部分37が、凹状表面30から変換デバイス26に反射され、部分38が、凹状表面30を通過し、成形ガラス基板28を通過し、反射光線43(図2Aを参照)として反射膜34の表面42から反射されて成形ガラス基板28を通過して変換デバイス26に戻る。これらの太陽エネルギー光線は、図2においては、明瞭化及び単純化のために、凹状表面30に入射する無数の平行な太陽エネルギー光線の代わりに2つの光線36として示される。さらに、当業者には理解されるであろうが、成形ガラス基板28の凹状表面30と凸状表面32との間には、太陽光線の反射がある。しかし、透明基板に入射し、この透明基板を通過する太陽エネルギー光線の透過、吸光、及び反射の詳細な説明は、当技術においてはよく知られるところのものであり、さらなる説明は不要であろう。
【0045】
図1及び図2に図示される実施例においては、変換デバイス26は、放物面状成形鏡すなわち一次鏡22の焦点に対して位置決めされた成形二次鏡44と、一次鏡44の焦点区域に位置する光学ロッドすなわち光バー46(図2に明瞭に示す)と備える。マルチ接合太陽電池48が、光バー46の端部50に位置決めされる。この構成により、反射光線37及び43(図2Aを参照)は、二次鏡44に入射し、二次鏡は、光線37及び43を光バー46の端部52に反射する(図2に明瞭に示す)。光線37及び43は、光バー46を通過し、光バー46の端部50から出て、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽電池48に入射する。当業者には理解されるであろうが、太陽電池48を一次鏡22の焦点に位置決めして、二次鏡44を省くことが可能である。
【0046】
本発明は、この二次鏡44の形状に限定しない。さらに詳細には、本発明を実施する際の二次鏡は、好ましくは、平坦状の反射表面を有する。本発明の実施において、二次鏡は、例えば銀被覆表面などの太陽反射被覆表面を有する平坦ガラスの円形片であった。しかし、本発明は、凹状表面及び凸状表面と、例えば凸状表面などの少なくとも1つの表面上の反射コーティングとを有する成形二次鏡を使用して実施することも可能である。
【0047】
図1を参照すると、カバー60(図1の左上側の隅に部分的に示す)が、太陽熱集積器のアレイを覆って支持されて、太陽熱集積器20の放物面状成形鏡22の凹状表面30上に埃及び水が付着するのを防ぐ。当技術において知られているように、カバー60は、電磁スケールの可視波長範囲及びIR波長範囲に対する透過性を有する。任意には、一次鏡22の成形ガラス基板28は、光バー46及び太陽電池48へのアクセスを与えるために、ガラス成形基板28の底部に切欠部64(図2に明瞭に示す)を有する。
【0048】
「背景技術」と題する章において上述したように、現行において入手可能な太陽熱集積器の1つの限界は、一次鏡22及び二次鏡44のためのソーダ石灰シリカガラス基板の使用である。このガラス基板は、通常は、例えば米国特許第3,333,936号及び米国特許第4,402,722号に開示されるガラス製造プロセスなどのフロートガラスプロセスにより製造された、連続ガラスリボンから切断されたカットガラス片である。該特許は、それらの全体として、ここに参照により本明細書に組み込まれる。当技術においてよく知られているように、ソーダ石灰シリカガラスは、ナトリウムイオンを含む。例えば一次鏡22に衝突する太陽光線36などに対する長期間にわたる環境露出により、成形ガラス基板28は加熱され、放物面状成形基板28を形成するためのガラスの加熱により、ナトリウムイオンは、成形ガラス基板28から外に放散する又は溶出するエネルギーを与えられる。表面30及び32にて成形ガラス基板28から溶出するナトリウムイオンは、大気中の水分と反応し、ナトリウムイオンを例えば水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物へと転化する。これらのナトリウム化合物は、成形ガラス基板28の表面上に析出物として堆積する。成形ガラス基板28の凹状表面30上のナトリウム化合物の析出物は、成形ガラス基板28の可視光透過率を低下させ、ナトリウム化合物の析出物を有する凹状表面30部分を非正反射表面又は散乱表面へと変化させ、それにより反射光線37及び43は、一次鏡22の焦点から離れるように、又は二次鏡44から離れるように配向される。凸状表面は、反射コーティング34及び反射コーティングを覆う保護プラスチックコーティング又は保護プラスチック層53(図2にのみ示す)を有するため、一次鏡22の凸状表面32上には、ナトリウム化合物の析出物は存在にしても最小限に抑えられる。当技術において知られているように、保護コーティング53は、環境から反射コーティング34を保護し、本発明の実施においては、保護コーティング53は、ガラス基板28の凸状表面32に位置するナトリウムイオンが、環境と反応してナトリウム析出物を形成するのを制限する。反射コーティング34のための保護コーティング53は、ナトリウム化合物の析出物の形成を防ぐが、本発明は、ガラス基板28の凸状表面32上における本発明の実施を企図する。今や理解されるであろうが、ソーダ石灰シリカガラスから作成される二次鏡44は、二次鏡上のナトリウム化合物の析出物により一次鏡22からの反射光線が光ロッド46から離れるように配向される点を除き、一次鏡22と同一の欠点を有する可能性がある。
【0049】
図3を参照すると、本発明の非限定的な一実施例においては、一次鏡22の成形ガラス基板28の凹状表面30は、ナトリウムバリアコーティング又はナトリウムバリア層又はナトリウムバリア膜66を有する。
【0050】
図4を参照すると、ナトリウムバリアコーティング66は、円形形状平坦ガラス片70の表面68を覆って、及び好ましくはこの表面68上に施される。ガラス片70の表面68は、成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定される。本発明の実施において、バリア層66は、好ましくは、電磁波の可視スペクトル及びIRスペクトルの90%超を透過させ、さらに好ましくは95%超を透過させ、最も好ましくは100%を透過させる。バリア層66は、好ましくは、例えばソーダ石灰シリカガラスについては660℃(華氏1220°F)を上回る温度などの、ガラスの成形温度又は曲げ温度を上回る温度に耐えることが可能である。さらに、バリア層66は、好ましくは、ガラス片70を成形する際に、例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンがバリアコーティング66中のクラックを介して移動することが不可能となり、座屈により光線37及び43が放物面状成形鏡22の焦点から著しく逸れなくなる程度まで、クラック及び/又は座屈を生じない。バリアコーティング66中のクラック及びバリアコーティング66の座屈の説明は、以下においてさらに詳細に示す。
【0051】
本発明の非限定的な一実施例においては、円形平坦状ガラス片70は、45.72cm(18インチ)の直径及び2.1mm(0.083インチ)の厚さを有した。85原子パーセントのシリコン及び15原子パーセントのアルミニウムからなる酸化物の800オングストローム厚のバリアコーティング66を、MSVD被覆プロセスにより(成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定した)ガラス片70の表面68上に蒸着した。成形ガラス基板28の凸状表面32となるように指定したコーティングガラス片の表面72を、真空成形型76の開口端部74上に配置した(図5Aを参照)。ガラス片70及び型76を炉(図示せず)内で加熱して、ガラス片を660℃(1220°F)まで加熱した。この被覆ガラス片70及び真空型76を、任意の通常の態様で均一に加熱した。被覆ガラス片70及び真空型76を660℃(1220°F)まで加熱した後に、相互離間された穴77を介して型76の内部78から空気を排出して、真空型76の内部に加熱されたガラス片70を押し込み、それによりコーティング66を有する成形ガラス基板28を作製した(図5Bを参照)。この加熱された成型ガラス基板を制御自在な態様で冷却して、成形ガラス基板を焼きなました。理解されるであろうが、本発明は、ガラス片70及び真空型76をそれぞれ別個に加熱し、その後真空型76の開口端部74上にガラス片70を配置し、上述のようにガラス片70を成形することを予期する。ガラスを加熱するための、真空型内においてガラスを成形するための、並びにガラス及び被覆ガラスを焼きなますためのプロセス及び設備は、当技術においてよく知られており、詳細な説明は不要であろう。
【0052】
成形プロセスの際に、平坦状ガラス片70(図4を参照)が、真空型76の内部78内に付勢されるか又は引き込まれるので、平坦状ガラス片70の中央部分79は、伸張される。この伸張の結果、成形ガラス基板28の底部区域80(図5Bを参照)(図4のガラス片70の中央部分79及び図3の穴64に相当する)の厚さは、平坦状ガラス片70の中央部分79(図4を参照)の厚さの80%となり、成形ガラス基板28の周縁エッジ81(図5Bを参照)の厚さは、平坦状ガラス片70の周縁エッジ82(図4を参照)の厚さの105%となる。理解されるであろうが、成形ガラス基板28の周縁エッジ81は、大きく歪まされ、光学的歪みを有する。本発明の実施においては、非限定的なことではあるが、成形ガラス基板28のセグメント83(図5Bを参照)を切除して、大きく歪まされ光学的に歪まされたガラスの部分を除去し、隣接し合う成形太陽鏡20の側部33同士をアレイ18において示されるように互いに当接するように位置決めした(図1を参照)。本発明のこの実施においては、本発明を限定するものではないが、周縁エッジ84から成形ガラス基板28の底部80(図5Bを参照)の方向に約5.08cm(2インチ)のセクションを切除した。成形ガラス基板の周縁エッジのさらなる部分を除去して、成形ガラス基板28の側部33(図3を参照)を形成した。切欠部又は穴64(図3を参照)を、成形ガラス基板28の底部区域80(図5Bを参照)中に切り込んだ。その後、例えば銀層34などの反射コーティングを、成形ガラス基板28の凸状表面32を覆うように施し(図3を参照)、保護膜53(図2を参照)を、反射コーティング34上に施した。
【0053】
理解されるように、本発明は、成形ガラス基板28の底部区域80(図5Bを参照)中に穴64を切り込み、成形ガラス基板の周縁エッジ24を切除するこのプロセスに限定されず、又は反射コーティング34及び成形ガラス基板28の凸状表面32を覆う保護コーティング53を施すこの被覆プロセスに限定されず、当技術において知られている任意の切断技術及び/又は被覆技術を、本発明の実施において利用することが可能である。
【0054】
649〜704℃(1200〜1300°F)の範囲の温度では、ガラス片70は、加熱軟化されるか、又は粘性であり、その一方で、例えばアルミニウム及びシリコンの酸化物などの本発明のバリアコーティング66は、溶解しにくい材料であり、649〜704℃(1200〜1300°F)の範囲の温度では次元的に安定したままとなる。本明細書においては、「次元的に安定した」という表現は、ガラス片の加熱中及び/又は加熱後のコーティングの物理的次元が、±5%を越えて、好ましくは±2%を超えて変化しないことを意味する。平坦状ガラス片70を成形ガラス基板28に成形する際に、図6〜図8に図示される歪みパターンが、成形ガラス基板28において生じる。図6〜図8を参照すると、必要に応じて、数字90により示される半径方向張力歪みが、成形ガラス基板の底部部分に存在し(図8を参照)、数字92により示される円周方向圧縮歪みが、成形ガラス基板28の外周部84に存在する。バリアコーティング66は、ガラス基板の凹状表面に接着されることにより、これらの応力を受ける。成形ガラス基板28の外周部84からの距離が、成形ガラス基板28の底部区域80の方向に増大する際に(図7を参照)、半径方向張力歪み90は、ほぼ同一のまま留まり、円周方向圧縮歪み92は、「移行ライン」として指定され、図7において数字94が割り当てられる位置まで縮小する。この位置においては、数字102を割り当てられた円周方向張力歪み(図8を参照)が、ガラス中に生じ始め、半径方向張力歪み90(図8を参照)は、ガラス中に存在している。例えば18インチ(45.72cm)の直径及び0.083インチ(2.1mm)の厚さを有する平坦状ガラス片70から作製された成形ガラス基板28などの、論点となっている成形ガラス基板28については、移行ライン94が、平坦状ガラス片70の中心から、すなわち中央部分79の中心から約3インチ(7.62cm)である平坦状ガラス片70上の位置に相当する、成形ガラス基板28上の位置にある。移行ライン94から成形ガラス基板28の底部区域80の方向への距離が、増大すると、成形ガラス基板は、数字102を割り当てられた円周方向張力歪みが増大し、半径方向張力歪み90を有する(図8を参照)。
【0055】
当業者には理解されるであろうが、成形ガラス基板28におけるこれらの歪みは、任意の従来的な態様において測定することが可能である。本発明のこの実施においては、論点となっている成形ガラス片28のこれらの歪みは、ANSYS有限要素コンピュータプログラムを利用して計算した。
【0056】
成形ガラス基板28の円周方向圧縮区域103、すなわち成形ガラス基板28の外周部84と移行ライン94との間の区域におけるナトリウムバリアコーティング66(図7を参照)は、ガラス中の圧縮歪みに対して垂直な半径方向への座屈を有するのが認められた。移行ライン94の位置では、バリアコーティング66は、複数の半径方向クラックからなる区域を有するのが認められた。成形ガラス基板28の円周方向張力区域104、すなわち成形ガラス基板28の移行ライン94と底部区域80との間の区域(図7を参照)においては、バリアコーティング66は、小さなランダムな亀裂又はクラックを有するのが認められた。
【0057】
上述のように、これらの最大圧縮応力は、成形ガラス基板28の周縁エッジ部分81に位置し(図5B及び図7を参照)、バリアコーティング66の最大座屈は、周縁エッジ部分81に生じることが予想される。さらに、初めに成形されたガラス基板28の周縁エッジ部分81上に衝突する太陽光線の中の非常に少量が、成形ガラス基板28の焦点又は焦点区域に配向されることが認められている。前述を鑑みて、周縁エッジ84から初めに成形されるガラス基板の底部区域80の中心までの距離の10〜15%に相当する距離だけ成形ガラス基板28の周縁エッジ84から延在する、初めに成形されるガラス基板28の周縁エッジ部分81を、除去した。本発明の非限定的な一実施例においては、18インチ(45.72cm)の直径を有する平坦状ガラス片70から成形される成形ガラス基板28について、周縁エッジ84から成形ガラス基板の底部80(図5Bを参照)の方向に約2インチ(5.08cm)のセクションを切除して、大きく歪みを受け光学的な歪みのあるガラスの部分を除去した。成形ガラス基板の周縁エッジのさらなる部分を除去して、成形ガラス基板28の側部33(図3を参照)を形成した。
【0058】
次に、バリアコーティング66中の亀裂及び/又はクラックにより生じる、観察された及び/又は予想される欠陥、並びにバリアコーティングの座屈により生じる、観察された及び/又は予想される欠陥について説明する。バリアコーティング66の厚さにわたって延在するクラック又は亀裂により、大気中の水分及びガラスから溶出するナトリウムイオンのための通路が与えられ、それによってこれらの水分及びナトリウムイオンが相互に作用してナトリウム化合物の析出物を形成し、この析出物が、バリアコーティング66の表面108上に(図7を参照)、及び/又はバリアコーティング66と成形ガラス基板28の凹状表面30との間に堆積するおそれがあることが予想される。バリアコーティング66の表面108上のナトリウム化合物は、バリアコーティング66の正反射表面を非正反射表面又は散乱表面へと変化させるおそれがあり、バリアコーティング66と凸状表面30との間のナトリウム化合物の析出物により、バリアコーティング66の剥離が生じるおそれがある。
【0059】
座屈の欠陥は、正反射表面から非正反射表面又は散乱表面へとバリアコーティング66の表面108を変化させるおそれがあり、座屈が酷い事例においては、バリアコーティング中にクラックをさらに生じさせるおそれがある。次に、バリアコーティング66を対象として説明するが、この説明は、別様に示さない限り、バリアコーティングの引っかき抵抗特性(上述の)にも当てはまる。
【0060】
図9A〜図9Cを参照すると、必要に応じて、円周方向圧縮103(図7を参照)の区域内に位置することが予想されるガラス片70のセグメント110上のバリアコーティング66(図9A)は、側部112と113との間のある長さと、側部116と117との間のある幅とを有する。ガラス片70が、成形ガラス基板28に成形された後では、平坦状ガラス片70のセグメント110は、成形ガラス基板28のセグメント118に対応する。成形ガラス基板28のセグメント118の凸状表面32は、セグメント118の側部112と113との間のある長さを有し、この長さは、平坦状ガラス片70のセグメント110の側部112と113との間の長さよりも若干大きく、成形ガラス基板28のセグメント118の凸状表面32は、セグメント118の側部116と117との間にある幅を有し、この幅は、セグメント118の側部116と117との間の平坦ガラス片70のセグメント110の幅よりも小さい。成形ガラス基板28のセグメント110の凹状表面30は、セグメント118の側部112と113との間にある長さを有し、この長さは、平坦状ガラス片70のセグメント110の側部112と113との間の長さよりも若干大きく、成形ガラス基板28のセグメント118の凹状表面30は、セグメント118の側部116と117との間にある幅を有し、この幅は、セグメント118の側部116と117との間の平坦状ガラス片70の幅よりも小さい。
【0061】
セグメント118の側部112と113との間の凸状表面32の長さと凹状表面30の長さとの間の増大量の差は、小さい。セグメント118の側部116と117との間の凹状表面30の幅との間の減少量の差は、セグメント118の凹状表面の長さと凸状表面の長さとの間の差よりも大きい。例示的なものとして、及び本発明を限定するものではないが、セグメント110の側部112と113との間の、並びにセグメント118の側部112と113との間の測定拡張率は、凹状側及び凸状側の両方について2〜6%であった。成形ガラス基板28の外周部のセグメント110の側部116と118との間の、並びにセグメント118の側部116と118との間の収縮率は、14%であり、凹状側30は、14%の収縮率を有し、凸状側32は、13%の収縮率を有した。成形ガラス基板28の底部80では、凸状側及び凹状側についての伸び率は、それぞれ5%及び4%であった。
【0062】
他方では、バリアコーティング66の長さ及び幅は、同一に留まり、一般的には歪みと呼ばれる、平坦状ガラス片70の対応する幅と比較した場合の成形ガラス基板28の凹状表面及び凸状表面の幅の縮小により、座屈する。より詳細には、ガラスは、成形プロセスの間は粘性であり、バリアコーティング66の座屈は、成形ガラス基板28の凹状表面30の輪郭外形を、例えば波状表面(図9Bを参照)などの襞120を有する表面へと変化させることにより、平坦状ガラス片70の表面72の幅の縮小に応じる。これらの襞120は、バリアコーティング66の表面108及び成形ガラス基板28の凹状表面30を、図9Aの正反射表面から図9Bの非正反射表面又は散乱表面へと変化させる。第1の実例(図9B)にいては、バリアコーティング66の厚さが増大し、例えばバリアコーティングが160ナノメートル(「nm」)の厚さまで増大し、その一方で平坦状ガラス片の幅の収縮量が同一のままに留まると、襞120の個数及び襞120の高さが増大し、散乱される反射太陽光線37及び43(図2及び図2Aを参照)の割合が上昇する。第2の実例(図9C)においては、バリアコーティング66の厚さが増大し、例えばバリアコーティング66が60nmの厚さまで増大し、その一方で平坦状ガラス片70の収縮量が同一のままに留まると、この第2の実例(図9C)における襞120の個数及び襞の高さは、第1の実例(図9Bを参照)における襞120の個数及び襞120の高さを下回り、散乱される反射太陽光線37及び43(図2及び図2Aを参照)の割合が低下する。上述のように、円周方向圧縮の区域103(図7を参照)は、成形ガラス基板28の外周部84からの距離が増大する(図6〜図8を参照)ことにより、縮小し、したがって、成形ガラス基板28の凹状表面30の円周方向幅の収縮率は、成形ガラス基板28の外周部84からの距離が増大することにより、低下し、バリアコーティング66の厚さは、襞12の個数及び襞120の幅(図9B及び図9Cを参照)の増大を伴うことなく、増大され得る。
【0063】
本発明の非限定的な一実施例においては、バリアコーティング66の厚さは、ナトリウムバリア特性を有し、座屈を最小限に抑えるように、選択される。より詳細には、バリアコーティング66の最小厚さは、ナトリウムイオンが大気中の水分と反応してナトリウムイオンをナトリウム化合物の析出物へと転化させるのを防ぐように、及び座屈を最小限に抑えるように、選択される。当業者には理解されるであろうが、ナトリウムイオンがガラスから外部に移動する現象は、放散プロセスであり、本発明においては、注目のパラメータは、ガラス中に存在するナトリウムイオンの量である。放散率、例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンのサイズ、及びナトリウムイオンを成形ガラス基板28の表面まで追いやるエネルギーは、太陽の利用が例えば30年などの長期間にわたる利用であることから、本説明に関連するものとは見なされない。
【0064】
前述に基づき、ガラス中のアルカリイオン又はナトリウムイオンの量は、ガラス組成とガラス片の厚さとの関数となり、例えば、ガラス片70の又は成形ガラス基板28の厚さが増大すると、ガラス片中のナトリウムイオンの個数は増加し、バリアコーティングの厚さ及び/又は密度は好ましくは上昇する。ソーダ石灰シリカガラスについては、ナトリウム濃度は、ほぼ14重量パーセントである。本発明の非限定的な一実施例においては、放物面状成形鏡22は、2.1mm(0.083インチ)の厚さを有するガラス基板から作製される。本発明のこの非限定的な実施例においては、バリアコーティングは、85原子パーセントのシリコン及び15原子パーセントのアルミニウムからなる酸化物のMSVDコーティングである。ナトリウムイオンが環境内の水分と反応してナトリウムイオンをナトリウム化合物の析出物へと転化させるのを防ぐための最小コーティング厚さは、40nmである。理解されるように、この最小厚さを上回る任意の厚さにより、ナトリウムイオンが環境内の水分と反応することが防がれるが、バリアコーティング66の厚さが増大すると、座屈の深刻度が上昇する。本発明のこの実施においては、円周方向張力区域104内のバリアコーティング66(図7を参照)は、好ましくは40〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは60〜100nmの範囲であり、最も好ましくは60〜80nmの範囲である。40〜100nmの範囲のコーティング厚さを有する同一のコーティング組成体は、機械的及び化学的な侵食及び/又は損傷に対する保護コーティングを形成する。
【0065】
上述のように、平坦状ガラス片70は、真空型76(図5A及び図5Bを参照)を使用して成形される。平坦状ガラス片70が成形された後に、成形ガラス基板は、ガラスが次元的に安定した際に型76から取り外され、焼きなまされる。本発明においては、ガラスは、成形ガラスがその形状を変化させることなく自体の重量を支持することが可能となる場合に、次元的に安定したものと見なされる。2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275,264号及び米国特許第5,030,594号に開示されているガラスについては、このガラスは、566℃(1050°F)の温度にて次元的に安定する。焼きなましプロセスは、バリアコーティング66及び成形ガラス基板28における固有応力を低下させて、残留応力を最小限に抑え、それによりバリアコーティング及び成形ガラス基板28は、基板28の粉砕又はバリアコーティングの破損を伴わずに切断され得るようになる。焼きなまし設備及び平坦状ガラス基板28を焼きなます割合は、本発明を限定するものではなく、当技術において知られている焼きなましのための任意の設備、方法、及び割合を、本発明の実施において利用することが可能である。被覆ガラス物及び非被覆ガラス物の焼きなましは、当技術においてよく知られており、さらなる説明は不要であろう。
【0066】
本発明は、ガラス片70のこの厚さに限定されず、ガラス片は、任意の厚さであることが可能である。本発明の好ましい実施において、ガラス片70は、好ましくは、軽量英系ガラス基板28を形成するように薄い。薄ガラスが好ましいが、ガラスの厚さは、構造的安定性を有するのに十分な厚さであるべきである。本明細書においては、「構造的安定」という用語は、最小限のガラス破損にて真空型又はプレス型を使用してガラスが平坦状ガラス片70(図4を参照)から放物面状成形鏡22(3を参照)へと加工されなければならないことを意味する。本発明のこの実施においては、ガラスの厚さは、好ましくは1.9〜3.2mm(0.075〜0.126インチ)の範囲であり、さらに好ましくは2.0〜2.8mm(0.078〜0.110インチ)の範囲であり、最も好ましくは2.1〜2.3mm(0.083〜0.091インチ)の範囲である。
【0067】
本発明のこの好ましい実施においては、バリアコーティング66は、15原子パーセントのアルミニウム及び85原子パーセントのシリコンからなる酸化物である。アルミニウムの原子パーセントの上昇により、コーティングはさらに硬くなる。さらに硬いコーティングは、座屈を低減させるが、クラックを生じさせやすい。コーティング中のこれらのクラックは、大気中の水分がナトリウムイオンと反応し、ナトリウムイオンをナトリウム化合物に添加させる結果を招き得る。アルミニウム及びシリコンからなる酸化物のバリアコーティングについては、コーティングは、好ましくは30〜100原子パーセントのシリコン及び0〜70原子パーセントのアルミニウムを含み、さらに好ましくは50〜95原子パーセントのシリコン及び5〜50原子パーセントのアルミニウムを含み、例えば30から100未満の原子パーセントのシリコン及び0超から70原子パーセントのアルミニウムを含み、最も好ましくは60〜90原子パーセントのシリコン及び10〜40原子パーセントのアルミニウムを含む。理解されるであろうが、本発明は、アルミニウム及びシリコンからなる酸化物のバリアコーティング又はバリア膜に限定されず、当技術において知られているタイプの任意のナトリウムバリア膜を、本発明の実施において使用することが可能である。本発明の実施において使用し得るタイプのバリアコーティングには、米国特許出願第2007/0275253A1号に開示されるコーティング又は膜が含まれるが、それに限定されない。該文献は、その全体として、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
MSVD被覆の当業者には理解されるであろうが、蒸着パラメータは、被覆バリア膜における固有応力を低減させるように変更することが可能である。しかし、上述のように、バリア膜及び成形ガラス基板は、成形ガラス基板28が基板28の粉砕を伴わずに切断され得るように残留応力を最小限に抑えるために、同時に焼きなまされる。したがって、コーティングの蒸着の際のバリアコーティングにおける固有応力の低減は、任意のものであり、本発明を限定するものではない。
【0069】
本発明は、ガラス片70(図4を参照)を成形ガラス基板28(図5Bを参照)に成形するための時間を短縮することにより、成形ガラス基板28における歪みを低減させることを企図する。理解されるであろうが、ガラス片70の温度が上昇すると、ガラスの粘性は低下し、バリアコーティング66の座屈の幅は、コーティングが完全に座屈する時間を有することにより増大し、例えばガラスがバリアコーティング60又は120(図9Cを参照)の襞同士の間に流れる時間を有するなど、ガラスは、コーティングの平面中に流れるための時間を有する。さらに、成形時間、すなわちガラス片70を成形型76の空洞部内に引き込むのに要する時間が増加することにより、コーティング66が完全に座屈する時間を有することによって、バリアコーティング66の座屈の幅は増大し、ガラスは、バリアコーティング66(図4を参照)又は120(図9Cを参照)の襞同士の間に流れる時間を有する。
【0070】
本発明のこの実施においては、成形時のガラス片70は、ガラス片がシンク型76内に引き込まれる際に、好ましくは、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの範囲の粘度を有する。この粘度範囲では、成形時間が3秒である場合に、バリアコーティング66の最小座屈が生じ、成形時間が25秒である場合に、バリアコーティング66の最大座屈が生じた。前述に基づき、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの粘度範囲のガラスについては、バリアコーティング66の最小座屈は、0超から5秒であり、好ましくは3秒であり、バリアコーティング66の最大座屈は、25秒以上であることが予想される。
【0071】
当業者には理解されるであろうが、ガラスの温度対粘性曲線は、ガラス組成により左右される。STARPHIREの登録商標の下にPPG Industries,Inc.から販売されているタイプのソーダ石灰シリカガラスは、649〜704℃(1200〜1300°F)の範囲の温度にて、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの範囲の粘度を有することが判明している。本発明のこの実施においては、STARPHIREガラスの片70を、704℃(1300°F)に設定された炉内において加熱して、660℃(1220°F)の予期温度までガラス片70を加熱した。ガラスは、2.60×109ポアズの粘度を有し、バリアコーティング66の最小座屈は、成形時間が3秒である場合に生じ、バリアコーティング66の最大座屈は、成形時間が25秒である場合に生じた。
【0072】
今や当業者には理解されるであろうが、成形ガラス片28の凸状側についての歪みパターンは、成形ガラス片28の凹状側についての歪みパターンと同様である。
【0073】
図10〜図13を参照すると、必要に応じて、本発明は、平坦状ガラスシートから複数セグメントを切断し、これらのセグメントを成形し、成形されたセグメントを共に接合して、成形ガラス基板28(図3を参照)と形状において同様の成形ガラス基板を形成することにより、成形ガラス基板28における歪みを低減させることを企図する。本発明の非限定的な一実施例においては、平坦状ガラスシート126の表面124は、バリアコーティング66により被覆される(図10を参照)。ガラスシート126の表面124は、成形ガラス基板130の凹状表面128となることが予測される(図12及び図13を参照)。4つの平坦状セグメント132〜135が、ガラスシート126から切断される。平坦状セグメント132〜135はそれぞれ、側部138及び140を接合する丸み角136と、側部144及び146を接合する平坦状端部142とを備え、側部138は、角148にて側部144に接合され、側部140は、角149にて側部146に接合される。
【0074】
セグメント132〜135はそれぞれ、以下において説明されるようなセグメント132〜135の成形により、成形ガラス基板130の1/4が形成され(図12及び図13を参照)、これにより、以下に説明される態様で成形セグメント132〜135を接合することによって成形ガラス基板28(図3を参照)と同様の成形ガラス基板130が形成されるように、サイズ設定される。
【0075】
本発明は、セグメント132〜135がガラスシート126から切断される態様に限定されず、本発明の実施において、当技術において知られているいかなる切断技術又は引っかき技術を利用することも可能である。セグメント132〜135の縁部同士は、安全のために、当技術において知られているようにシームされ得る。平坦状セグメント132〜135はそれぞれ、例えば、しかし非限定的ではあるが、米国特許第7,240,519号及び米国特許第7,437,892号に開示されるように、成形表面を有する剛性上方型及び可撓性支持表面を有する下方型、成形表面を有する剛性上方型及び下方リング型、並びに成形表面を有する真空上方型を使用するプレス曲げなどの、当技術において知られているプレス加工方法及びプレス加工設備のいずれかを利用して任意の従来の態様において成形される。該特許は、その全体として、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本発明の好ましい実施においては、セグメント132〜135は、成形表面を有する上方真空型を使用して成形される。図11を参照すると、例えばセグメント132などのセグメント132〜135の中の1つが、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの範囲の粘度まで加熱され、下方支持部材157の湾曲表面156上に設けられる。成形表面を有する上方真空整形型158及び支持部材157は、互いに対して移動され、例えば上方型158が、下表支持部材157の方向に移動されて、セグメント132を成形表面159と接触状態にさせる。上方型158の成形表面159から真空が引かれて、セグメント132を成形する。このプロセスは、残りの3つのセグメント133〜135を成形して4つの成形セグメント160〜163を形成するように繰り返される。任意には、これら4つのセグメントは、4つの成形区域を有する成形型を用意することにより、同時に成形することが可能である。
【0077】
反射コーティング34及び保護コーティング53(図2を参照)は、成形セグメント160〜163の凸状表面に施される。
【0078】
本発明の好ましい実施においては、バリアコーティング66は、セグメント132〜135がガラスシート126から切断される前に、平坦状ガラスシート126の表面124に施される。しかし、本発明は、平坦状セグメント132〜135又は成形セグメント160〜163にバリアコーティング66を施すことを予期する。本発明のこの実施においては、反射コーティング34及び保護コーティング54は、成形セグメント160〜163の凸状表面に施されるが、本発明は、ガラスシートの表面124の反対側のガラスシート126の表面に、反射コーティング34及び保護コーティング53を施すことを予期する。理解されるであろうが、反射コーティング34及び保護コーティング54が、セグメント132〜135が成形される前に施される場合には、反射コーティング34及び保護コーティング54は、ガラスセグメント132〜135を成形する温度に耐えなければならない。任意には、保護コーティング54は、セグメントが成形された後に施されてもよい。
【0079】
本発明は、成形ガラス基板130を作製するために接合されるセグメント132〜135のこの個数に限定されず、成形ガラス基板130は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のセグメントを接合することにより形成することが可能である。今や理解されるであろうが、成形ガラス基板130を形成するために接合される成形セグメントの個数が多いほど、成形ガラス基板28又は130における歪みの低減が大きくなる。
【0080】
図12及び図13を参照すると、成形ガラスセグメント160〜163は、任意の従来的な態様において共に接合される。本発明の非限定的な一実施例においては、セグメント160〜163は、成形ガラス基板130を形成するように共に位置決めされ、一対のリング166及び168(図12のみに示される)が、接着剤により反射コーティング34に固定される。本発明の非限定的な別の実施例においては、リング166及び168は、成形ガラス基板の凸状表面32に接合される。その後、接合された成形セグメント160〜163の凸状表面並びにリング166及び168は、反射コーティング34及び保護コーティング53により任意の従来的な態様において被覆される。本発明のさらに別の非限定的な実施例においては、成形セグメントの側部同士が、接着剤により共に接合され、例えば、接着剤が、図12に示されるように、成形セグメントの中の隣接し合うもの同士の側部140を共に接合し、成形セグメントの中の隣接し合うもの同士の側部138を共に接合する。図10及び図13に示すように、丸み角136は、成形基板130の切欠部64を形成する。
【0081】
本発明は、平坦状セグメント132〜135のこれらの次元を導出する態様に限定されない。例えば、おび本発明を限定するものではないが、平坦状セグメントのこれらの次元は、コンピュータプログラムから、及び成形放物面基板を作製し、成形基板を所望の個数のセグメントに切断し、セグメントの側部を測定することから、導出することが可能である。
【0082】
今や理解されるであろうが、上述の技術の利用により、ガラスにおける歪みが低減され、バリアコーティング66の座屈及び破損が低減されるが、ガラス中に歪みが残る限り、バリアコーティング66は、ある程度の座屈及びクラックを有する。前述を鑑みて、本発明は、成形ガラス基板28(図3を参照)及び成形ガラス基板126(図13を参照)の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の複数の選択表面部分を覆うそれぞれ異なる厚さの複数のバリアコーティング66を設けることにより、バリアコーティング66の破損及び座屈をさらに低減させることを予期する。以下の説明においては、本発明の実施例は、平坦ガラス片70から成形される成形ガラス基板28を形成するために、平坦状ガラス片70上において実施される。しかし、別様に示さない限り、この説明は、ガラスセグメント132〜135に対する、又は成形ガラスセグメント160〜163に対するバリアコーティング66の設置にも当てはまる。
【0083】
本発明の第1の非限定的な実施例においては、バリアコーティング66は、成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の表面68(図4を参照)を覆う一定の厚さを有する(以降においては「被覆技術第1」と呼ぶ)。本発明の第2の非限定的な実施例においては、成形ガラス基板28の凹状表面30における円周方向歪みの変化が、例えば円形閉誕生ガラス片70の外周部150(図4を参照)からの距離が平坦状ガラス片70の中央部分79の方向に増大するにつれて増大する厚さなどの、変化する厚さを有するバリアコーティング又はバリア層66を施す又は蒸着することにより、補償される(以降においては「被覆技術第2」と呼ぶ)。第3の非限定的な実施例においては、成形ガラス基板28の凹状表面30における円周方向歪みの変化は、平坦状ガラス片70の外周部170から移行ライン94の予想位置にかけての第1の一定厚さ(図7を参照)と、移行ライン94から平坦ガラス片70の中央部分79にかけての第2の一定厚さとを有し、バリアコーティングのこの第2の厚さが、バリアコーティングのこの第1の厚さよりも厚い、バリア層66を施す又は蒸着させることにより、補償される(以降においては「被覆技術第3」と呼ぶ)。
【0084】
成形ガラス基板28(図3及び図5Bを参照)を作製するためのコーティング厚さの変化は、例えばシールド170を使用して、平坦状ガラス片70の中央部分79が被覆される際に円周方向圧縮区域103(図7を参照)内に位置することが予想されるガラス片70(図14を参照)の表面を覆うなど、平坦状片70の複数区域をマスキングして薄コーティングを得ることによって、実現することが可能である。
【0085】
被覆技術第1は、平坦状ガラスシート126中にセグメント132〜136の輪郭を切り込む前又は後に、このシートの表面124を被覆することにより、セグメント160〜163を形成するために実施される。被覆技術第2は、セグメント132〜136が切断ラインにより平坦状ガラスシート126中に輪郭設定された後に、又はセグメント132〜136がガラスシートから取り外された後に、セグメントを被覆することにより、セグメント160〜163を形成するために実施される。被覆技術第2のためのコーティング66の厚さは、平坦状端部142(図10を参照)からの距離が丸み角136の方向に増大するにつれて、増大する。被覆技術第3は、セグメント132〜136が切断ラインにより平坦状ガラスシート126中に輪郭設定された後に、又はセグメント132〜136がガラスシートから取り外された後に、セグメントを被覆することにより、セグメント160〜163を形成するために実施される。被覆技術第3のためのコーティング66は、平坦状セグメント132〜136の側部144及び146から移行ライン94の予想位置(図7を参照)にかけての第1の一定厚さと、移行ライン94からセグメント132〜136の丸み端部136にかけての第2の一定厚さとを有するセグメント132〜135に対して施される。
【0086】
被覆技術第1のためのバリアコーティング66は、40〜100nmの範囲の、又は80〜100nmの範囲の一定厚さを有する。本発明の非限定的な一実施例においては、バリアコーティング66は、85原子パーセントのシリコン及び15原子パーセントのアルミニウムからなる酸化物を含んでいた。80nmの厚さを有するバリアコーティング66を、MSVDにより平坦状片ガラス70の表面72上に蒸着した。このガラスは、2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275,264号又は米国特許第5,030,594号に開示されるタイプのものであった。平坦状ガラス片70は、45.1cm(17.75インチ)の直径と、0.020重量パーセント未満の総鉄含有量と、電磁スペクトルの可視範囲及びIR範囲における90%の透過率と、可視範囲及びIR範囲における2%未満の吸光度とを有する、ガラスの円形片であった。平坦状ガラス片70を、例えば25秒未満の曲げ時間などにわたり、成形ガラス基板28を形成するために真空型内で成形した。成形ガラス基板を冷却した後に、成形ガラス基板28の外周部を、側部33及び中央穴28(図3を参照)を成形ガラス基板28に形成するために、上述のように成形した。反射銀コーティング34を、成形ガラス基板28の凸状表面32を覆うように施して、放物面状成形鏡22を形成した。
【0087】
被覆技術第2は、例えばバリアコーティング66が、好ましくは、しかし本発明を限定するものではないが、平坦状ガラス片70の外周部172における40nmの厚さから、平坦状ガラス片70の中央部分79における80nmの厚さにまで増大するなど、平坦状ガラス片70の外周部から中央部分79の方向への距離が増大するにつれて厚さが増大するバリアコーティング66を形成する。この態様においては、バリアコーティング66の厚さは、ガラスにおける円周方向歪みが上昇し、成形ガラス基板28の凹状表面30の%幅収縮率が低下して、座屈が減少するにつれて、増大する。成形ガラス基板28の中央部分80の方向に移行ライン94を過ぎると、バリアコーティング66の厚さは、円周方向張力が増大するにつれて増大する。図15を参照すると、円周方向張力区域104における成形ガラス基板28の断面が示され、この円周方向張力区域104は、移行ライン94と中央区域80との間に位置する(図7及び図15を参照)。バリアコーティング66は、亀裂174を有するが、バリアコーティング66は、例えば80nmなど、亀裂154がバリアコーティング66の表面108まで延在しないように、十分な厚さである。
【0088】
被覆技術第3のためのバリアコーティング66は、平坦状ガラス片70の外周部172から成形ガラス基板28の移行ライン94の予想位置にかけての第1の一定厚さと、移行ライン94から平坦状ガラス片70の中央部分79にかけての第2の一定厚さとを有し、バリアコーティング66の第1の厚さは、バリアコーティング66の第2の厚さよりも薄い。本発明の非限定的な一実施例においては、バリアコーティング66の第1の一定厚さは、40〜60nmの範囲であり、さらに好ましくは、40から50nmの範囲であり、第2の一定厚さは、60超から100nmの範囲であり、さらに好ましくは60超から80nmの範囲である。この構成により、バリアコーティング66の座屈は、円周方向圧縮区域103において最小限に抑えられ、バリアコーティング66の厚さは、亀裂174がバリアコーティング66の表面108まで延在しないように、円周方向張力区域104において十分な厚さとなる。さらに、この構成により、バリアコーティング66の厚さは、周縁エッジ84と移行ライン94との間において、すなわちガラス厚の厚い区域において、比較的薄くなり、バリアコーティング66の座屈を低減させ、バリアコート66の厚さは、移行ライン94と成形ガラス基板28の底部区域80との間において、すなわち比較的薄いガラスの区域において比較的厚くなり、この位置においては、座屈は円周方向圧縮区域103におけるほど酷くはなく、亀裂174が懸念される。理解されるであろうが、本発明は、移行ライン94の区域におけるこのコーティング厚さの変化に限定されず、コーティング厚さの変化は、漸次的変化又は段階的変化であることも可能である。
【0089】
今や理解されるであろうが、二次鏡44が成形基板を備える場合の実例においては、バリアコーティング66の座屈を防ぐ技術は、成形二次鏡を作成するために実施することが可能である。
【0090】
本発明の別の実施例は、非限定的にではあるが以下のことを含む。
1.成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の表面68を覆うバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングと、凸状表面となるように指定された平坦状ガラス片70の表面72を覆うバリア層66(図16を参照)とを施し、平坦状ガラスシート70を成形ガラス基板28に合致するように成形する。その後、反射層34及び任意には保護コーティング53が、成形ガラス基板28の凸状表面32上のバリア層66を覆って施される。
2.成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の表面68を覆うバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングと、平坦状ガラス片70の凸状表面となるように指定された平坦状ガラス片70の表面72を覆うバリア層66とを施し、表面72上のバリア層66を覆って反射コーティング層34を施し(図17を参照)、その後平坦状ガラスシート70を成形ガラス基板28へと成形する。
3.平坦状ガラス片70を放物面状成形ガラス基板28へと成形し、凹状表面30を覆うバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングと、放物面状成形ガラス基板28の凸状表面32を覆う反射コーティング34とを施す(図18を参照)。
4.平坦状ガラス片70を放物面状成形ガラス基板28へと成形し、凸状表面32を覆うバリア層66と、成形ガラス基板28の凹状表面30を覆うバリア層及び/又は引っかき抵抗性コーティングとを施し、凸状表面32を覆う又は凸状表面32上のバリア層66を覆う又はバリア層66上の反射コーティング34を施す(図19を参照)。
【0091】
理解されるであろうが、反射層34及び/又はバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングが、平坦状ガラス片70に施され、被覆平坦状ガラスが、例えば上述のように本発明の非限定的な一実施例の実施において加熱され成形される場合には、反射層34及びバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングは、例えば649℃(1200°F)を上回るような高温の成形温度に耐えることが可能でなければならない。高温に耐えることが可能な反射コーティングが、当技術において知られており、例えば米国特許第7,329,433号を参照されたい。該特許は、その全体において、ここに参照により本明細書に組み込まれる。該特許は、高温処理の際に反射層を保護するために反射層上に蒸着される下地膜を開示する。
【0092】
本発明の好ましい実施においては、バリア層66は、MSVD設備を利用して施される。当業者には理解されるであろうが、MSVD被覆のためのカソードは、導電性でなければならない。導電性のシリコンカソードを形成するために、例えば5重量パーセント超などのアルミニウムが、シリコンに添加される。しかし、本発明は、バリア層のMSVDによる設置に限定されず、バリア層を施すための任意の既知の被覆プロセスを、本発明の実施において利用することが可能である。さらに、本発明は、均質のバリア層を有するようには限定されず、本発明は、シリコン及びアルミニウムからなる様々な組成の酸化物を有するバリア層を予期する。例えば、本発明の非限定的な一実施例においては、60原子重量パーセントのアルミニウム及び40原子重量パーセントのシリコンからなる酸化物の第1のバリア層が、ガラスの表面に施され85原子重量パーセントのアルミニウム及び15原子重量パーセントのシリコンからなる酸化物の第2のバリア層が、第1のバリア層の上に施される。
【0093】
今や理解されるであろうが、本発明のバリア層66は、ナトリウムイオンが光起電デバイスの導電性層に損傷を与えるのを防ぐために使用することが可能である。さらに詳細には、及び図20を参照すると、本発明のバリア層66を覆う導電性コーティング186を有する光起電デバイス184が示される。バリア層66は、ガラスシート190の表面188に施される。バリア層66は、ナトリウムイオンがナトリウム化合物の析出物を形成して、この析出物により光電池184の導電性コーティング186を侵食し損傷を与えるのを防ぐ。
【0094】
上記において詳細に論じたように、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物のバリア層は、ナトリウムイオンがガラスから外に移動するのを防ぐためのバリアを形成するのに加えて、ガラス表面に対する機械的損傷及び化学的損傷を防ぐための保護層をガラスにもたらす。
【0095】
先述の説明において開示されたコンセプトから逸脱することなく、本発明のこれらの非限定的な実施例を修正することが可能であることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書において詳細に説明される本発明のこれらの特定の非限定的な実施例は、例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲には、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物の全範囲が与えられるべきである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月27日に出願され、「ALKALI BARRIER LAYER」と題された、米国特許仮出願第61/164,047号の利益を主張するものである。出願第61/164,047号はその全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、Abhinav Bhandari、Harry Buhay、William R.Siskos、及びJames P.Thielの名義で2010年2月19日に出願され、「SOLAR REFLECTING MIRROR HAVING A PROTECTIVE COATING AND METHOD OF MAKING SAME」と題された、米国特許出願第12/709,045号と、James P.Thielの名義で2010年2月19日に出願され、「A SOLAR REFLECTING MIRROR AND METHOD OF MAKING SAME」と題された、米国特許出願第12/709,091号との主題に基づくものであり、さらに本出願は、米国特許出願第12/709,045号及び米国特許出願第12/709,091号の利益を主張するものである。出願第12/709,045号及び米国特許出願第12/709,091号はそれらの全体として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、例えばアルカリバリア層などの保護コーティングを有する放物面状成形太陽反射ガラス鏡などの太陽反射鏡と、その製造方法とに関し、さらに詳細には、鏡の凹状表面上に例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンが析出するのを防ぐための、鏡の凹状表面上のアルカリバリア層に関する。本発明の好ましいアルカリバリア層は、鏡の凹状表面の摩損を防ぐために、引っかき抵抗性及び耐化学性を有する。
【背景技術】
【0004】
現在、例えば、及びこの記述に限定しないが、放物面鏡の焦点に配置されるデバイスに太陽光線を反射させるために使用される放物面状成形鏡などの太陽鏡の効率を向上させることなど、太陽熱集積器の効率を高めることが関心を集めている。このデバイスは、一般的には、太陽のエネルギーを例えば電気エネルギーなどの別の形態の利用可能エネルギーへと変換させる技術において知られているタイプのものである。先行技術の別の実施例においては、放物面鏡は、一次鏡であり、この一次鏡は、太陽光線を変換デバイスに反射させるように一次鏡の焦点に対して位置決めされる二次鏡へと太陽光線を反射させる。
【0005】
一般的には、放物面状成形鏡は、放物面状成形基板を備え、この基板は、この成形基板の凸状表面上に銀コーティングなどの反射表面を有する。この成形基板の好ましい材料は、平坦状ガラスシートを放物面状シート又は放物面状基板に成形する際の歩留まりの高さ、平坦状ガラスシートの製造コストの低さ、並びに成形ガラス基板の表面上に太陽反射コーティングを施す際の歩留まりの高さ及びコストの低さという理由から、ソーダ石灰シリカガラスである。
【0006】
ソーダ石灰シリカガラスは、太陽反射鏡のための基板について許容し得る材料であるが、このガラスの使用については制約がある。より詳細には、成形プロセスにおいて、平坦状ガラスシートは、649℃(華氏(以降においてはFとも呼ぶ)1200°)超の温度まで加熱され放物面形状に成形される。このガラスシートの加熱及び成形の際に、ガラスシート中の例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンが、ガラスシートから外部に放散されるか又は溶出する。さらに、例えば長期間にわたる環境への露出など、放物面状成形ガラス基板を太陽エネルギーに対して露出する際に、さらなるナトリウムイオンが、ガラス基板から溶出する。当業者には理解されるであろうが、ガラスからのナトリウムイオンの溶出又は放散は、予期される事態であり、低温ではプロセスが遅くなる。しかし、ガラスの加熱及び/又は太陽エネルギーに対するガラスの長期間にわたる環境的露出は、ガラスからのナトリウムイオンの溶出又は放散を加速させ、ガラスから溶出するナトリウムイオンの量を増加させる。ガラスから溶出するナトリウムイオンは、大気中の水分と反応し、ナトリウムイオンから例えば水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物へと変化する。ナトリウム化合物は、ガラスの表面を食刻するおそれがあり、ガラスの表面上に析出物として堆積するおそれがある。このナトリウム化合物の析出物は、例えば放物面状成形ガラス基板の場合などにはガラスを通過する可視光の透過率を低下させ、成形ガラス基板の凸状表面上の反射コーティングに対する太陽エネルギーの伝達率を低下させ、反射コーティングから反射され成形ガラス基板を通過し成形ガラス基板の凹状表面に向かう太陽エネルギーの伝達率を低下させる。
【0007】
さらに、当業者には理解されるであろうが、成形ガラス基板の表面は、正反射表面であり、太陽エネルギーは、平行光線としてこのガラス基板の凹状表面に入射する。平行光線は、凹状表面から反射され、反射コーティングから収束光線として反射される。凹状ガラス表面上のナトリウム化合物の析出物は、この正反射表面を非正反射表面又は散乱表面へと変化させ、それによりこの析出物から反射されこの析出物を通過する光線は、一次鏡の焦点から離れるように配向される。本明細書においては、「正反射表面」という用語は、この反射表面に入射する光線が反射角と等しい入射角を有する場合の光反射表面を意味する。本明細書においては、「非正反射表面又は散乱表面」という用語は、この反射表面に入射する光線が反射角とは異なる入射角を有する場合の反射表面を意味する。
【0008】
ガラスのもう1つの制約は、ガラス表面の引っかきを回避するように注意を払う必要があるということである。ガラス表面上の引っかき傷は、やはり、正反射表面を非正反射表面又は散乱表面へと変えてしまうおそれがある。当業者には理解されるであろうが、反射凹状表面が、正反射表面から非正反射表面又は散乱表面に変化すると、放物面状成形鏡の焦点に入射する反射太陽光線の割合は、低下し、太陽反射鏡の効率を低下させる。
【0009】
放物面鏡の凹状表面からナトリウム化合物の析出物を除去及び/又は排除するための現行の技術は、この表面を洗浄すること、及び/又は不活性ガスを含む密閉されたチャンバ内に鏡の凹状表面を封入して、ナトリウムイオンが析出物を形成するのを防ぐことを含む。引っかき傷を除去するための現行の技術は、引っかき傷を有するガラスシートの表面をバフ仕上げすることを含む。太陽鏡の表面を正反射表面に維持するためのこれらの技術は全て、非常に費用がかかる。
【0010】
例えば米国特許第4,238,276号、米国特許第5,270,615号、米国特許第5,830,252号、及び米国特許第6,027,766号、米国特許出願第08/597343号、及び米国特許出願公開第2007/0275253A1号などに開示されるバリア層が、当技術において知られている。現行において入手可能なアルカリバリア層及び/又は引っかき抵抗性層の限界の1つは、それらが、ガラス基板の平坦状の又は成形済みの表面に対する使用については有効であるが、例えば放物面鏡の凹状表面などの湾曲表面へと後に成形される平坦状表面に対する使用については有効ではない点である。先行技術においては、バリア層及び/又は引っかき抵抗性層により被覆された基板が、平坦状被覆基板から放物面状成形被覆基板に成形される場合に解決されるべきこの問題についての認識又は記述が、あるにしても殆どない。より詳細には、先行技術においては、被覆されたガラスの輪郭形状が平坦状表面を有するガラス片から凹状表面を有する成形ガラス基板に変化する際の、コーティング中のクラック及び/又はコーティングの座屈の解消についての記述が、あるにしても殆どない。本出願により理解されるように、バリアコーティングが応力を受けると、コーティングは、クラックを生じ、ナトリウムイオンは、大気にさらされ、ガラス基板の表面上にナトリウム化合物の析出物を形成し、及び/又は、バリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングが座屈した場合に、この表面は、正反射表面から非正反射表面又は散乱表面へと変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
今や当業者には理解され得るであろうが、引っかき抵抗特性を有することにより、一次鏡及び二次鏡の凹状表面が正反射表面から非正反射表面又は散乱表面へと変化するのを防ぐ、例えばナトリウムイオンバリアコーティングなどのアルカリバリアコーティング又は層を設けることが、有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、湾曲反射表面を有する太陽反射鏡であって、とりわけ、凸状表面及び反対側の凹状表面を有する透明基板と、凸状表面を覆う反射コーティング及び凹状表面を覆うアルカリバリア層とを備える太陽反射鏡に関する。この反射コーティングは、電磁スペクトルの選択された波長を反射する。
【0013】
さらに、本発明は、湾曲反射表面を有する太陽反射鏡を製造する方法であって、とりわけ、平坦状透明シートを用意し、このシートを成形して凸状表面及び反対側の凹状表面及び焦点区域を有する成形透明基板を形成し、基板の凸状表面を覆って反射コーティングを施し、基板の凹状表面を覆ってアルカリバリア層を形成することによる製造方法に関する。
【0014】
さらに、本発明は、とりわけシリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含む、アルカリバリアコーティングに関する。
【0015】
さらに、本発明は、湾曲反射表面を有する太陽反射鏡に関する。この鏡は、とりわけ、複数の透明な成形セグメントと、これらのセグメントを共に保持して、凸状表面及び反対側の凹状表面を有し、焦点区域及び成形基板のこれらの表面の一方を覆う太陽反射コーティングを有する成形透明基板を形成する固定設備とを備え、このコーティングは、成形透明基板の焦点区域の方向に電磁スペクトルの可視波及び赤外波を反射する。
【0016】
さらに、本発明は、成形太陽反射鏡を製造する方法に関する。この方法は、とりわけ、2つ以上の平坦状透明セグメントを成形して2つ以上の成形透明セグメントを形成することと(この成形透明セグメントはそれぞれ、成形ガラス透明基板の一部(1/(成形透明基板の全セグメント))を含む)、成形透明セグメント同士を共に固定して成形透明基板を形成することと(この成形透明基板はとりわけ凸状表面及び焦点区域を有する反対側の凹状表面を備える)、透明基板の表面の少なくとも1つを覆って反射コーティングを形成することとにより、実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】先行技術の太陽熱集積器のアレイの立面平面図である。
【0018】
【図2】先行技術の太陽熱集積器の等角図である。
【図2A】図2の太陽熱集積器の凹状表面に入射する太陽光線の拡大図である。
【0019】
【図3】本発明の太陽鏡を示す、図2の図と同様の図である。
【0020】
【図4】本発明のコーティングを有するガラス片の等角図である。図4のコーティングは、明瞭化のために一部が取り除かれている。
【0021】
【図5A】真空成形型の開口端部上に図4のガラス片が取り付けられた、真空成形型の側面立面図である。
【図5B】真空成形型の内部に本発明の成形ガラス基板が位置する、真空成形方の断面図である。
【0022】
【図6】成形ガラス基板の外周部における円周方向圧縮歪みのパターンを示す、本発明の成形ガラス基板の立面上面図である。
【0023】
【図7】とりわけ成形ガラス基板の移行歪みラインを示す、図6の線7−7に沿った図である。
【0024】
【図8】成形ガラス基板の外周方向引張歪み及び半径方向引張歪みを示す、図7の線8−8に沿った図である。
【0025】
【図9A】図4に図示されるガラス片の1つのセグメントの等角図である。
【図9B】ガラス片が成形ガラス基板に成形された後の、図9Aに図示されるセグメントの等角図である。コーティングは、山及び谷を有する。
【図9C】本発明の教示により作製された成形ガラス基板の1つのセグメントを示す、図9Bの図と同様の図である。コーティングは、山及び谷の数が減り、山の高さが低くなり、谷の深さが浅くなっている。
【0026】
【図10】被覆されたガラスを複数セグメントに切断することを含む、本発明の成形太陽鏡を作成するための本発明の別の実施例を示す、図4の図と同様の図である。
【0027】
【図11】図10の被覆されたガラスから切断された複数のセグメントを成形するために、本発明の実施において使用し得る、ガラスシートプレス加工装置の等角上面図である。
【0028】
【図12】成形ガラスセグメント同士を接合することにより作製される、本発明の成形太陽鏡の上面図である。
【0029】
【図13】成形されたガラスセグメントにより作製される、本発明の成形太陽鏡を示す、図3と同様の図である。
【0030】
【図14】円形ガラス片を覆うコーティングシールドを示す、図4と同様の図である。
【0031】
【図15】移行歪みラインと成形ガラス基板の底部との間の位置における、成形ガラス基板の立面断面上面図である。この図は、成形ガラス基板の外周方向張力区域及び半径方向張力区域中の亀裂を示す。コーティングの陰影線は、明瞭化のために図示しない。
【0032】
【図16】ガラス片の両方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【図17】ガラス片の両方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有し、さらに任意にはガラス片の一方の方面を覆う反射表面を有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【図18】ガラス片の一方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有し、さらに任意にはガラス片の一方の方面を覆う反射表面を有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【図19】ガラス片の両方の表面上に本発明のバリアコーティング及び/又は引っかき抵抗性コーティングを有し、さらに任意にはガラス片の一方の方面を覆う反射表面を有する、図4の平坦状ガラス片の複数セクションの断面側面図である。
【0033】
【図20】本発明のバリア層を有する光電池の1つのセクションの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の記述において、「内方」、「外方」、「左」、「右」、「上」、「下」、「水平方向」、及び「垂直方向」等々の空間又は方向に関する用語は、図面内に示される本発明に関するものである。しかし、本発明は様々な代替的配向をとることが可能であり、したがってかかる用語は限定的なものとして見なされるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる、次元及び物理的特徴等々を表す全ての数字は、全ての事例において、「約」という用語で修飾されるものとして理解されたい。したがって、別様に示唆しない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲において示される数値は、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動することが可能である。少なくとも、及び特許請求の範囲の均等論の適用を制限しようと企図するものとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を鑑みて、及び通常の丸め技法の適用により、少なくとも解釈されるべきである。さらに、本明細書において開示される全ての範囲は、その中に含まれるあらゆる部分範囲を包含するように理解されたい。例えば、「1から10」と述べられた範囲は、最低値1と最大値10との間の(及びそれらを含む)あらゆる部分範囲を、すなわち、例えば1から6.7、又は3.2から8.1、又は5.5から10などの、最低値1以上で始まり最大値10以下で終わるあらゆる部分範囲を含むように見なされるべきである。さらに、本明細書においては、「〜を覆って施される」又は「〜を覆って設けられる」という表現は、上に施されるか、若しくは上に設けられることを意味するが、必ずしも表面接触状態にあるものではない。例えば、基板又は基板表面「を覆って施された」材料は、蒸着される材料と基板又は基板表面との間に位置する同一の又は異なる組成の1つ又は複数の材料が存在することを除外するものではない。
【0035】
本発明の複数の非限定的な実施例を論じる前に、本発明は、その適用において、本明細書に示され論じられる特定の非限定的な実施例の詳細に限定されず、なぜならば本発明は、他の実施例が可能であるためであることを理解されたい。さらに、本発明を論じるために本明細書において使用される術語は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。さらに、別様に示唆しない限り、以下の記述において、同様の数字は、同様の要素を指す。
【0036】
本発明のバリアコーティング又はバリア層は、以下において詳細に論じられるシリコン/アルミニウム酸化物コーティングである。また、本発明のこのシリコン/アルミニウム酸化物コーティングは、例えば引っかき傷などの機械的損傷、及び例えば7〜14の範囲の、特に9〜14の範囲のpHを有する材料による化学腐食などの化学的損傷に対する保護をもたらす。本発明のこのコーティングのバリア特性に関する以下の記述は、別様に示さない限り、本発明のコーティングの引っかき抵抗特性にも当てはまる。これに関連して、50ナノメートル(以降においては「nm」とも表す)未満のコーティング厚さでは、本発明のシリコン/アルミニウム酸化物コーティングは、機械的損傷及び化学的損傷に対する抵抗性を失う。
【0037】
説明を明瞭にするために、「アルカリバリア層又はアルカリバリアコーティング」及び「ナトリウムイオンバリア層又はナトリウムイオンバリアコーティング」という用語は、この層又はコーティングが覆うように又は上に施される表面上へのアルカリ析出物又はナトリウム析出物の形成を防ぐ又は制限するためのバリアとして作用し、任意にはこの表面に対する機械的損傷及び/又は化学的損傷を防ぐ又は制限する抵抗性を有する、層又はコーティングを意味する。「保護層又は保護コーティング」は、この層又はコーティングが覆うように又は上に施される表面に対する機械的損傷及び/又は化学的損傷を防ぐ又は制限する抵抗性を有し、及び/又は、この表面上へのアルカリ析出物又はナトリウム析出物の形成を制限することが可能な、層又はコーティングを意味する。
【0038】
基板表面を覆って又は上に、アルカリイオンに対するバリアである(例えば、ナトリウムイオンが大気中の水分と反応するのを防ぎ、ナトリウムイオンが例えば上述のようにガラスの表面上に析出する化合物である水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物へと転化するのを防ぐ)コーティング又は層を施すために、マグネトロンスパッタリング真空蒸着(以降においては「MSVD」とも呼ぶ)被覆プロセスを利用する、本発明の非限定的な実施例を論じる。理解されるであろうが、本発明は、この被覆プロセスに限定されず、被覆プロセスは、ガラス表面の上に又はそれを覆って、例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンのバリア膜又はバリア層を施すか又は被覆する任意の被覆プロセスであることが可能である。
【0039】
以下の説明は、アルカリイオンバリアコーティング又はアルカリイオンバリア層を施す非限定的な実施例を対象とする。別様に示さない限り、この説明は、引っかき抵抗性コーティング又は引っかき抵抗性層にも当てはまる。
【0040】
理解されるであろうが、ガラス基板又はガラス片は、本発明を限定するものではなく、ガラスは、任意の組成からなるガラスであることが可能である。ガラスは、透明ガラス又は着色ガラスであることが可能であり、及び/又は、ガラスは、焼きなましガラス、熱強化ガラス、又は強化ガラスであることが可能である。ガラス片又はガラス基板は、任意の形状、厚さ、及びサイズを有することが可能である。本発明の非限定的な実施例は、太陽反射鏡に関連する実施例として提示される。しかし、本発明は、太陽反射鏡に限定されず、工業用窓及び家庭用窓、ガラス製シャワードア、空中機、宇宙機、陸上機、及び水中機のための透明材料、被覆ボトル、薄膜光起電アプリケーションのための被覆ガラス、曇止め型商業用冷蔵庫のための電熱ガラス、並びに家具用途のガラスの製造における実施が可能である。
【0041】
以下の記述においては、成形太陽反射鏡は、放物面状成形反射鏡と呼ばれるが、本発明は、これに限定されず、別様に示さない限り、例えば、しかし本発明に限定されない、放物面状成形鏡及び球面状成形鏡などの、湾曲反射表面及び焦点又は焦点区域を有する任意の鏡に関して実施することが可能である。「焦点」及び「焦点区域」は、太陽光線の80%超がこの鏡収束部から反射される位置として定義される。「焦点区域」のサイズ及び位置は、本発明を限定するものではなく、本発明の非限定的な一実施例においては、焦点区域は、鏡の反射区域の5分の1(1/5)未満である。
【0042】
図1には、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するための先行技術の成形太陽熱集積器20(図2を参照)のアレイ18を示す。本発明は、このアレイ18における太陽熱集積器20の接合態様に限定されず、当技術において知られているどのような技術を使用して太陽熱集積器20をアレイ18へと接合することも可能である。さらに、本発明は、このアレイ18中の太陽熱集積器20の個数に限定されず、例えば、本発明は、1つの太陽熱集積器20において実施することも、並びに2つ、3つ、5つ、10個、20個、50個超、及び任意の個数の太陽熱集積器の組合せからなるアレイにおいて実施することも可能である。さらに、本発明は、太陽熱集積器20のアレイ18が任意の従来的な態様で固定位置に取り付けられること、又は、太陽熱集積器20のアレイ18が任意の従来的な態様で太陽エネルギーに対する太陽熱集積器の露出を最大化するために太陽の経路に倣うように取り付けられることが予期される。太陽熱集積器20はそれぞれ、太陽エネルギーが例えば電気エネルギー又は熱などの代替エネルギー源に変換される特定の区域に太陽エネルギーを向かわせるための、同一の又は異なる設計を有することが可能である。
【0043】
図2を参照すると、太陽熱集積器20はそれぞれ、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するためのデバイス26上に太陽エネルギーを集めるための、例えば放物面状成形鏡22(本明細書においては「一次鏡」とも呼ぶ)などの成形反射鏡を備える。放物面状成形鏡22は、放物面状成形ガラス基板28を備える。このガラス基板28は、好ましくは、0.020重量パーセント未満の総鉄含有量と、電磁スペクトルの例えば350から770ナノメートル(「nm」)などの可視範囲における、及び電磁スペクトルの例えば770nm超から2150nmなどの赤外(「IR」)領域における90%の透過率と、例えば可視範囲及びIR範囲における2%未満などの低い吸光率とを有する。前述の光学特性を有するガラスは、2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275,264号、及び米国特許第5,030,594号に開示され、該文献は、その全体として、参照により本明細書に組み込まれる。PPG Industries,Inc.が、STARPHIRE及びSOLARPHIRE PVという商標の下に、上述の特性を有するガラスを販売している。成形ガラス基板28は、凹状表面30と、反対側の凸状表面32とを有する。成形ガラス基板28の外周部は、側部33を形成するように形状設定される。図1に図示されるように、隣接し合う太陽熱集積器20同士の側部33は、反射表面による所与面積の収斂度を最大化するために、互いに接触する。反射コーティング、反射層、又は反射膜34(図2に明瞭に示す)が、成形ガラス基板28の凸状表面32を覆って、及び好ましくは凸状表面32の上に位置する。反射膜34は、例えば、しかし非限定的には、銀、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、又は金などの、金属であることが可能である。通常は、反射膜34は、銀である。
【0044】
引き続き図2を参照すると、光線36で表される平行な太陽エネルギー光線が、凹状表面30に入射する。光線36の部分37が、凹状表面30から変換デバイス26に反射され、部分38が、凹状表面30を通過し、成形ガラス基板28を通過し、反射光線43(図2Aを参照)として反射膜34の表面42から反射されて成形ガラス基板28を通過して変換デバイス26に戻る。これらの太陽エネルギー光線は、図2においては、明瞭化及び単純化のために、凹状表面30に入射する無数の平行な太陽エネルギー光線の代わりに2つの光線36として示される。さらに、当業者には理解されるであろうが、成形ガラス基板28の凹状表面30と凸状表面32との間には、太陽光線の反射がある。しかし、透明基板に入射し、この透明基板を通過する太陽エネルギー光線の透過、吸光、及び反射の詳細な説明は、当技術においてはよく知られるところのものであり、さらなる説明は不要であろう。
【0045】
図1及び図2に図示される実施例においては、変換デバイス26は、放物面状成形鏡すなわち一次鏡22の焦点に対して位置決めされた成形二次鏡44と、一次鏡44の焦点区域に位置する光学ロッドすなわち光バー46(図2に明瞭に示す)と備える。マルチ接合太陽電池48が、光バー46の端部50に位置決めされる。この構成により、反射光線37及び43(図2Aを参照)は、二次鏡44に入射し、二次鏡は、光線37及び43を光バー46の端部52に反射する(図2に明瞭に示す)。光線37及び43は、光バー46を通過し、光バー46の端部50から出て、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽電池48に入射する。当業者には理解されるであろうが、太陽電池48を一次鏡22の焦点に位置決めして、二次鏡44を省くことが可能である。
【0046】
本発明は、この二次鏡44の形状に限定しない。さらに詳細には、本発明を実施する際の二次鏡は、好ましくは、平坦状の反射表面を有する。本発明の実施において、二次鏡は、例えば銀被覆表面などの太陽反射被覆表面を有する平坦ガラスの円形片であった。しかし、本発明は、凹状表面及び凸状表面と、例えば凸状表面などの少なくとも1つの表面上の反射コーティングとを有する成形二次鏡を使用して実施することも可能である。
【0047】
図1を参照すると、カバー60(図1の左上側の隅に部分的に示す)が、太陽熱集積器のアレイを覆って支持されて、太陽熱集積器20の放物面状成形鏡22の凹状表面30上に埃及び水が付着するのを防ぐ。当技術において知られているように、カバー60は、電磁スケールの可視波長範囲及びIR波長範囲に対する透過性を有する。任意には、一次鏡22の成形ガラス基板28は、光バー46及び太陽電池48へのアクセスを与えるために、ガラス成形基板28の底部に切欠部64(図2に明瞭に示す)を有する。
【0048】
「背景技術」と題する章において上述したように、現行において入手可能な太陽熱集積器の1つの限界は、一次鏡22及び二次鏡44のためのソーダ石灰シリカガラス基板の使用である。このガラス基板は、通常は、例えば米国特許第3,333,936号及び米国特許第4,402,722号に開示されるガラス製造プロセスなどのフロートガラスプロセスにより製造された、連続ガラスリボンから切断されたカットガラス片である。該特許は、それらの全体として、ここに参照により本明細書に組み込まれる。当技術においてよく知られているように、ソーダ石灰シリカガラスは、ナトリウムイオンを含む。例えば一次鏡22に衝突する太陽光線36などに対する長期間にわたる環境露出により、成形ガラス基板28は加熱され、放物面状成形基板28を形成するためのガラスの加熱により、ナトリウムイオンは、成形ガラス基板28から外に放散する又は溶出するエネルギーを与えられる。表面30及び32にて成形ガラス基板28から溶出するナトリウムイオンは、大気中の水分と反応し、ナトリウムイオンを例えば水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物へと転化する。これらのナトリウム化合物は、成形ガラス基板28の表面上に析出物として堆積する。成形ガラス基板28の凹状表面30上のナトリウム化合物の析出物は、成形ガラス基板28の可視光透過率を低下させ、ナトリウム化合物の析出物を有する凹状表面30部分を非正反射表面又は散乱表面へと変化させ、それにより反射光線37及び43は、一次鏡22の焦点から離れるように、又は二次鏡44から離れるように配向される。凸状表面は、反射コーティング34及び反射コーティングを覆う保護プラスチックコーティング又は保護プラスチック層53(図2にのみ示す)を有するため、一次鏡22の凸状表面32上には、ナトリウム化合物の析出物は存在にしても最小限に抑えられる。当技術において知られているように、保護コーティング53は、環境から反射コーティング34を保護し、本発明の実施においては、保護コーティング53は、ガラス基板28の凸状表面32に位置するナトリウムイオンが、環境と反応してナトリウム析出物を形成するのを制限する。反射コーティング34のための保護コーティング53は、ナトリウム化合物の析出物の形成を防ぐが、本発明は、ガラス基板28の凸状表面32上における本発明の実施を企図する。今や理解されるであろうが、ソーダ石灰シリカガラスから作成される二次鏡44は、二次鏡上のナトリウム化合物の析出物により一次鏡22からの反射光線が光ロッド46から離れるように配向される点を除き、一次鏡22と同一の欠点を有する可能性がある。
【0049】
図3を参照すると、本発明の非限定的な一実施例においては、一次鏡22の成形ガラス基板28の凹状表面30は、ナトリウムバリアコーティング又はナトリウムバリア層又はナトリウムバリア膜66を有する。
【0050】
図4を参照すると、ナトリウムバリアコーティング66は、円形形状平坦ガラス片70の表面68を覆って、及び好ましくはこの表面68上に施される。ガラス片70の表面68は、成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定される。本発明の実施において、バリア層66は、好ましくは、電磁波の可視スペクトル及びIRスペクトルの90%超を透過させ、さらに好ましくは95%超を透過させ、最も好ましくは100%を透過させる。バリア層66は、好ましくは、例えばソーダ石灰シリカガラスについては660℃(華氏1220°F)を上回る温度などの、ガラスの成形温度又は曲げ温度を上回る温度に耐えることが可能である。さらに、バリア層66は、好ましくは、ガラス片70を成形する際に、例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンがバリアコーティング66中のクラックを介して移動することが不可能となり、座屈により光線37及び43が放物面状成形鏡22の焦点から著しく逸れなくなる程度まで、クラック及び/又は座屈を生じない。バリアコーティング66中のクラック及びバリアコーティング66の座屈の説明は、以下においてさらに詳細に示す。
【0051】
本発明の非限定的な一実施例においては、円形平坦状ガラス片70は、45.72cm(18インチ)の直径及び2.1mm(0.083インチ)の厚さを有した。85原子パーセントのシリコン及び15原子パーセントのアルミニウムからなる酸化物の800オングストローム厚のバリアコーティング66を、MSVD被覆プロセスにより(成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定した)ガラス片70の表面68上に蒸着した。成形ガラス基板28の凸状表面32となるように指定したコーティングガラス片の表面72を、真空成形型76の開口端部74上に配置した(図5Aを参照)。ガラス片70及び型76を炉(図示せず)内で加熱して、ガラス片を660℃(1220°F)まで加熱した。この被覆ガラス片70及び真空型76を、任意の通常の態様で均一に加熱した。被覆ガラス片70及び真空型76を660℃(1220°F)まで加熱した後に、相互離間された穴77を介して型76の内部78から空気を排出して、真空型76の内部に加熱されたガラス片70を押し込み、それによりコーティング66を有する成形ガラス基板28を作製した(図5Bを参照)。この加熱された成型ガラス基板を制御自在な態様で冷却して、成形ガラス基板を焼きなました。理解されるであろうが、本発明は、ガラス片70及び真空型76をそれぞれ別個に加熱し、その後真空型76の開口端部74上にガラス片70を配置し、上述のようにガラス片70を成形することを予期する。ガラスを加熱するための、真空型内においてガラスを成形するための、並びにガラス及び被覆ガラスを焼きなますためのプロセス及び設備は、当技術においてよく知られており、詳細な説明は不要であろう。
【0052】
成形プロセスの際に、平坦状ガラス片70(図4を参照)が、真空型76の内部78内に付勢されるか又は引き込まれるので、平坦状ガラス片70の中央部分79は、伸張される。この伸張の結果、成形ガラス基板28の底部区域80(図5Bを参照)(図4のガラス片70の中央部分79及び図3の穴64に相当する)の厚さは、平坦状ガラス片70の中央部分79(図4を参照)の厚さの80%となり、成形ガラス基板28の周縁エッジ81(図5Bを参照)の厚さは、平坦状ガラス片70の周縁エッジ82(図4を参照)の厚さの105%となる。理解されるであろうが、成形ガラス基板28の周縁エッジ81は、大きく歪まされ、光学的歪みを有する。本発明の実施においては、非限定的なことではあるが、成形ガラス基板28のセグメント83(図5Bを参照)を切除して、大きく歪まされ光学的に歪まされたガラスの部分を除去し、隣接し合う成形太陽鏡20の側部33同士をアレイ18において示されるように互いに当接するように位置決めした(図1を参照)。本発明のこの実施においては、本発明を限定するものではないが、周縁エッジ84から成形ガラス基板28の底部80(図5Bを参照)の方向に約5.08cm(2インチ)のセクションを切除した。成形ガラス基板の周縁エッジのさらなる部分を除去して、成形ガラス基板28の側部33(図3を参照)を形成した。切欠部又は穴64(図3を参照)を、成形ガラス基板28の底部区域80(図5Bを参照)中に切り込んだ。その後、例えば銀層34などの反射コーティングを、成形ガラス基板28の凸状表面32を覆うように施し(図3を参照)、保護膜53(図2を参照)を、反射コーティング34上に施した。
【0053】
理解されるように、本発明は、成形ガラス基板28の底部区域80(図5Bを参照)中に穴64を切り込み、成形ガラス基板の周縁エッジ24を切除するこのプロセスに限定されず、又は反射コーティング34及び成形ガラス基板28の凸状表面32を覆う保護コーティング53を施すこの被覆プロセスに限定されず、当技術において知られている任意の切断技術及び/又は被覆技術を、本発明の実施において利用することが可能である。
【0054】
649〜704℃(1200〜1300°F)の範囲の温度では、ガラス片70は、加熱軟化されるか、又は粘性であり、その一方で、例えばアルミニウム及びシリコンの酸化物などの本発明のバリアコーティング66は、溶解しにくい材料であり、649〜704℃(1200〜1300°F)の範囲の温度では次元的に安定したままとなる。本明細書においては、「次元的に安定した」という表現は、ガラス片の加熱中及び/又は加熱後のコーティングの物理的次元が、±5%を越えて、好ましくは±2%を超えて変化しないことを意味する。平坦状ガラス片70を成形ガラス基板28に成形する際に、図6〜図8に図示される歪みパターンが、成形ガラス基板28において生じる。図6〜図8を参照すると、必要に応じて、数字90により示される半径方向張力歪みが、成形ガラス基板の底部部分に存在し(図8を参照)、数字92により示される円周方向圧縮歪みが、成形ガラス基板28の外周部84に存在する。バリアコーティング66は、ガラス基板の凹状表面に接着されることにより、これらの応力を受ける。成形ガラス基板28の外周部84からの距離が、成形ガラス基板28の底部区域80の方向に増大する際に(図7を参照)、半径方向張力歪み90は、ほぼ同一のまま留まり、円周方向圧縮歪み92は、「移行ライン」として指定され、図7において数字94が割り当てられる位置まで縮小する。この位置においては、数字102を割り当てられた円周方向張力歪み(図8を参照)が、ガラス中に生じ始め、半径方向張力歪み90(図8を参照)は、ガラス中に存在している。例えば18インチ(45.72cm)の直径及び0.083インチ(2.1mm)の厚さを有する平坦状ガラス片70から作製された成形ガラス基板28などの、論点となっている成形ガラス基板28については、移行ライン94が、平坦状ガラス片70の中心から、すなわち中央部分79の中心から約3インチ(7.62cm)である平坦状ガラス片70上の位置に相当する、成形ガラス基板28上の位置にある。移行ライン94から成形ガラス基板28の底部区域80の方向への距離が、増大すると、成形ガラス基板は、数字102を割り当てられた円周方向張力歪みが増大し、半径方向張力歪み90を有する(図8を参照)。
【0055】
当業者には理解されるであろうが、成形ガラス基板28におけるこれらの歪みは、任意の従来的な態様において測定することが可能である。本発明のこの実施においては、論点となっている成形ガラス片28のこれらの歪みは、ANSYS有限要素コンピュータプログラムを利用して計算した。
【0056】
成形ガラス基板28の円周方向圧縮区域103、すなわち成形ガラス基板28の外周部84と移行ライン94との間の区域におけるナトリウムバリアコーティング66(図7を参照)は、ガラス中の圧縮歪みに対して垂直な半径方向への座屈を有するのが認められた。移行ライン94の位置では、バリアコーティング66は、複数の半径方向クラックからなる区域を有するのが認められた。成形ガラス基板28の円周方向張力区域104、すなわち成形ガラス基板28の移行ライン94と底部区域80との間の区域(図7を参照)においては、バリアコーティング66は、小さなランダムな亀裂又はクラックを有するのが認められた。
【0057】
上述のように、これらの最大圧縮応力は、成形ガラス基板28の周縁エッジ部分81に位置し(図5B及び図7を参照)、バリアコーティング66の最大座屈は、周縁エッジ部分81に生じることが予想される。さらに、初めに成形されたガラス基板28の周縁エッジ部分81上に衝突する太陽光線の中の非常に少量が、成形ガラス基板28の焦点又は焦点区域に配向されることが認められている。前述を鑑みて、周縁エッジ84から初めに成形されるガラス基板の底部区域80の中心までの距離の10〜15%に相当する距離だけ成形ガラス基板28の周縁エッジ84から延在する、初めに成形されるガラス基板28の周縁エッジ部分81を、除去した。本発明の非限定的な一実施例においては、18インチ(45.72cm)の直径を有する平坦状ガラス片70から成形される成形ガラス基板28について、周縁エッジ84から成形ガラス基板の底部80(図5Bを参照)の方向に約2インチ(5.08cm)のセクションを切除して、大きく歪みを受け光学的な歪みのあるガラスの部分を除去した。成形ガラス基板の周縁エッジのさらなる部分を除去して、成形ガラス基板28の側部33(図3を参照)を形成した。
【0058】
次に、バリアコーティング66中の亀裂及び/又はクラックにより生じる、観察された及び/又は予想される欠陥、並びにバリアコーティングの座屈により生じる、観察された及び/又は予想される欠陥について説明する。バリアコーティング66の厚さにわたって延在するクラック又は亀裂により、大気中の水分及びガラスから溶出するナトリウムイオンのための通路が与えられ、それによってこれらの水分及びナトリウムイオンが相互に作用してナトリウム化合物の析出物を形成し、この析出物が、バリアコーティング66の表面108上に(図7を参照)、及び/又はバリアコーティング66と成形ガラス基板28の凹状表面30との間に堆積するおそれがあることが予想される。バリアコーティング66の表面108上のナトリウム化合物は、バリアコーティング66の正反射表面を非正反射表面又は散乱表面へと変化させるおそれがあり、バリアコーティング66と凸状表面30との間のナトリウム化合物の析出物により、バリアコーティング66の剥離が生じるおそれがある。
【0059】
座屈の欠陥は、正反射表面から非正反射表面又は散乱表面へとバリアコーティング66の表面108を変化させるおそれがあり、座屈が酷い事例においては、バリアコーティング中にクラックをさらに生じさせるおそれがある。次に、バリアコーティング66を対象として説明するが、この説明は、別様に示さない限り、バリアコーティングの引っかき抵抗特性(上述の)にも当てはまる。
【0060】
図9A〜図9Cを参照すると、必要に応じて、円周方向圧縮103(図7を参照)の区域内に位置することが予想されるガラス片70のセグメント110上のバリアコーティング66(図9A)は、側部112と113との間のある長さと、側部116と117との間のある幅とを有する。ガラス片70が、成形ガラス基板28に成形された後では、平坦状ガラス片70のセグメント110は、成形ガラス基板28のセグメント118に対応する。成形ガラス基板28のセグメント118の凸状表面32は、セグメント118の側部112と113との間のある長さを有し、この長さは、平坦状ガラス片70のセグメント110の側部112と113との間の長さよりも若干大きく、成形ガラス基板28のセグメント118の凸状表面32は、セグメント118の側部116と117との間にある幅を有し、この幅は、セグメント118の側部116と117との間の平坦ガラス片70のセグメント110の幅よりも小さい。成形ガラス基板28のセグメント110の凹状表面30は、セグメント118の側部112と113との間にある長さを有し、この長さは、平坦状ガラス片70のセグメント110の側部112と113との間の長さよりも若干大きく、成形ガラス基板28のセグメント118の凹状表面30は、セグメント118の側部116と117との間にある幅を有し、この幅は、セグメント118の側部116と117との間の平坦状ガラス片70の幅よりも小さい。
【0061】
セグメント118の側部112と113との間の凸状表面32の長さと凹状表面30の長さとの間の増大量の差は、小さい。セグメント118の側部116と117との間の凹状表面30の幅との間の減少量の差は、セグメント118の凹状表面の長さと凸状表面の長さとの間の差よりも大きい。例示的なものとして、及び本発明を限定するものではないが、セグメント110の側部112と113との間の、並びにセグメント118の側部112と113との間の測定拡張率は、凹状側及び凸状側の両方について2〜6%であった。成形ガラス基板28の外周部のセグメント110の側部116と118との間の、並びにセグメント118の側部116と118との間の収縮率は、14%であり、凹状側30は、14%の収縮率を有し、凸状側32は、13%の収縮率を有した。成形ガラス基板28の底部80では、凸状側及び凹状側についての伸び率は、それぞれ5%及び4%であった。
【0062】
他方では、バリアコーティング66の長さ及び幅は、同一に留まり、一般的には歪みと呼ばれる、平坦状ガラス片70の対応する幅と比較した場合の成形ガラス基板28の凹状表面及び凸状表面の幅の縮小により、座屈する。より詳細には、ガラスは、成形プロセスの間は粘性であり、バリアコーティング66の座屈は、成形ガラス基板28の凹状表面30の輪郭外形を、例えば波状表面(図9Bを参照)などの襞120を有する表面へと変化させることにより、平坦状ガラス片70の表面72の幅の縮小に応じる。これらの襞120は、バリアコーティング66の表面108及び成形ガラス基板28の凹状表面30を、図9Aの正反射表面から図9Bの非正反射表面又は散乱表面へと変化させる。第1の実例(図9B)にいては、バリアコーティング66の厚さが増大し、例えばバリアコーティングが160ナノメートル(「nm」)の厚さまで増大し、その一方で平坦状ガラス片の幅の収縮量が同一のままに留まると、襞120の個数及び襞120の高さが増大し、散乱される反射太陽光線37及び43(図2及び図2Aを参照)の割合が上昇する。第2の実例(図9C)においては、バリアコーティング66の厚さが増大し、例えばバリアコーティング66が60nmの厚さまで増大し、その一方で平坦状ガラス片70の収縮量が同一のままに留まると、この第2の実例(図9C)における襞120の個数及び襞の高さは、第1の実例(図9Bを参照)における襞120の個数及び襞120の高さを下回り、散乱される反射太陽光線37及び43(図2及び図2Aを参照)の割合が低下する。上述のように、円周方向圧縮の区域103(図7を参照)は、成形ガラス基板28の外周部84からの距離が増大する(図6〜図8を参照)ことにより、縮小し、したがって、成形ガラス基板28の凹状表面30の円周方向幅の収縮率は、成形ガラス基板28の外周部84からの距離が増大することにより、低下し、バリアコーティング66の厚さは、襞12の個数及び襞120の幅(図9B及び図9Cを参照)の増大を伴うことなく、増大され得る。
【0063】
本発明の非限定的な一実施例においては、バリアコーティング66の厚さは、ナトリウムバリア特性を有し、座屈を最小限に抑えるように、選択される。より詳細には、バリアコーティング66の最小厚さは、ナトリウムイオンが大気中の水分と反応してナトリウムイオンをナトリウム化合物の析出物へと転化させるのを防ぐように、及び座屈を最小限に抑えるように、選択される。当業者には理解されるであろうが、ナトリウムイオンがガラスから外部に移動する現象は、放散プロセスであり、本発明においては、注目のパラメータは、ガラス中に存在するナトリウムイオンの量である。放散率、例えばナトリウムイオンなどのアルカリイオンのサイズ、及びナトリウムイオンを成形ガラス基板28の表面まで追いやるエネルギーは、太陽の利用が例えば30年などの長期間にわたる利用であることから、本説明に関連するものとは見なされない。
【0064】
前述に基づき、ガラス中のアルカリイオン又はナトリウムイオンの量は、ガラス組成とガラス片の厚さとの関数となり、例えば、ガラス片70の又は成形ガラス基板28の厚さが増大すると、ガラス片中のナトリウムイオンの個数は増加し、バリアコーティングの厚さ及び/又は密度は好ましくは上昇する。ソーダ石灰シリカガラスについては、ナトリウム濃度は、ほぼ14重量パーセントである。本発明の非限定的な一実施例においては、放物面状成形鏡22は、2.1mm(0.083インチ)の厚さを有するガラス基板から作製される。本発明のこの非限定的な実施例においては、バリアコーティングは、85原子パーセントのシリコン及び15原子パーセントのアルミニウムからなる酸化物のMSVDコーティングである。ナトリウムイオンが環境内の水分と反応してナトリウムイオンをナトリウム化合物の析出物へと転化させるのを防ぐための最小コーティング厚さは、40nmである。理解されるように、この最小厚さを上回る任意の厚さにより、ナトリウムイオンが環境内の水分と反応することが防がれるが、バリアコーティング66の厚さが増大すると、座屈の深刻度が上昇する。本発明のこの実施においては、円周方向張力区域104内のバリアコーティング66(図7を参照)は、好ましくは40〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは60〜100nmの範囲であり、最も好ましくは60〜80nmの範囲である。40〜100nmの範囲のコーティング厚さを有する同一のコーティング組成体は、機械的及び化学的な侵食及び/又は損傷に対する保護コーティングを形成する。
【0065】
上述のように、平坦状ガラス片70は、真空型76(図5A及び図5Bを参照)を使用して成形される。平坦状ガラス片70が成形された後に、成形ガラス基板は、ガラスが次元的に安定した際に型76から取り外され、焼きなまされる。本発明においては、ガラスは、成形ガラスがその形状を変化させることなく自体の重量を支持することが可能となる場合に、次元的に安定したものと見なされる。2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275,264号及び米国特許第5,030,594号に開示されているガラスについては、このガラスは、566℃(1050°F)の温度にて次元的に安定する。焼きなましプロセスは、バリアコーティング66及び成形ガラス基板28における固有応力を低下させて、残留応力を最小限に抑え、それによりバリアコーティング及び成形ガラス基板28は、基板28の粉砕又はバリアコーティングの破損を伴わずに切断され得るようになる。焼きなまし設備及び平坦状ガラス基板28を焼きなます割合は、本発明を限定するものではなく、当技術において知られている焼きなましのための任意の設備、方法、及び割合を、本発明の実施において利用することが可能である。被覆ガラス物及び非被覆ガラス物の焼きなましは、当技術においてよく知られており、さらなる説明は不要であろう。
【0066】
本発明は、ガラス片70のこの厚さに限定されず、ガラス片は、任意の厚さであることが可能である。本発明の好ましい実施において、ガラス片70は、好ましくは、軽量英系ガラス基板28を形成するように薄い。薄ガラスが好ましいが、ガラスの厚さは、構造的安定性を有するのに十分な厚さであるべきである。本明細書においては、「構造的安定」という用語は、最小限のガラス破損にて真空型又はプレス型を使用してガラスが平坦状ガラス片70(図4を参照)から放物面状成形鏡22(3を参照)へと加工されなければならないことを意味する。本発明のこの実施においては、ガラスの厚さは、好ましくは1.9〜3.2mm(0.075〜0.126インチ)の範囲であり、さらに好ましくは2.0〜2.8mm(0.078〜0.110インチ)の範囲であり、最も好ましくは2.1〜2.3mm(0.083〜0.091インチ)の範囲である。
【0067】
本発明のこの好ましい実施においては、バリアコーティング66は、15原子パーセントのアルミニウム及び85原子パーセントのシリコンからなる酸化物である。アルミニウムの原子パーセントの上昇により、コーティングはさらに硬くなる。さらに硬いコーティングは、座屈を低減させるが、クラックを生じさせやすい。コーティング中のこれらのクラックは、大気中の水分がナトリウムイオンと反応し、ナトリウムイオンをナトリウム化合物に添加させる結果を招き得る。アルミニウム及びシリコンからなる酸化物のバリアコーティングについては、コーティングは、好ましくは30〜100原子パーセントのシリコン及び0〜70原子パーセントのアルミニウムを含み、さらに好ましくは50〜95原子パーセントのシリコン及び5〜50原子パーセントのアルミニウムを含み、例えば30から100未満の原子パーセントのシリコン及び0超から70原子パーセントのアルミニウムを含み、最も好ましくは60〜90原子パーセントのシリコン及び10〜40原子パーセントのアルミニウムを含む。理解されるであろうが、本発明は、アルミニウム及びシリコンからなる酸化物のバリアコーティング又はバリア膜に限定されず、当技術において知られているタイプの任意のナトリウムバリア膜を、本発明の実施において使用することが可能である。本発明の実施において使用し得るタイプのバリアコーティングには、米国特許出願第2007/0275253A1号に開示されるコーティング又は膜が含まれるが、それに限定されない。該文献は、その全体として、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
MSVD被覆の当業者には理解されるであろうが、蒸着パラメータは、被覆バリア膜における固有応力を低減させるように変更することが可能である。しかし、上述のように、バリア膜及び成形ガラス基板は、成形ガラス基板28が基板28の粉砕を伴わずに切断され得るように残留応力を最小限に抑えるために、同時に焼きなまされる。したがって、コーティングの蒸着の際のバリアコーティングにおける固有応力の低減は、任意のものであり、本発明を限定するものではない。
【0069】
本発明は、ガラス片70(図4を参照)を成形ガラス基板28(図5Bを参照)に成形するための時間を短縮することにより、成形ガラス基板28における歪みを低減させることを企図する。理解されるであろうが、ガラス片70の温度が上昇すると、ガラスの粘性は低下し、バリアコーティング66の座屈の幅は、コーティングが完全に座屈する時間を有することにより増大し、例えばガラスがバリアコーティング60又は120(図9Cを参照)の襞同士の間に流れる時間を有するなど、ガラスは、コーティングの平面中に流れるための時間を有する。さらに、成形時間、すなわちガラス片70を成形型76の空洞部内に引き込むのに要する時間が増加することにより、コーティング66が完全に座屈する時間を有することによって、バリアコーティング66の座屈の幅は増大し、ガラスは、バリアコーティング66(図4を参照)又は120(図9Cを参照)の襞同士の間に流れる時間を有する。
【0070】
本発明のこの実施においては、成形時のガラス片70は、ガラス片がシンク型76内に引き込まれる際に、好ましくは、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの範囲の粘度を有する。この粘度範囲では、成形時間が3秒である場合に、バリアコーティング66の最小座屈が生じ、成形時間が25秒である場合に、バリアコーティング66の最大座屈が生じた。前述に基づき、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの粘度範囲のガラスについては、バリアコーティング66の最小座屈は、0超から5秒であり、好ましくは3秒であり、バリアコーティング66の最大座屈は、25秒以上であることが予想される。
【0071】
当業者には理解されるであろうが、ガラスの温度対粘性曲線は、ガラス組成により左右される。STARPHIREの登録商標の下にPPG Industries,Inc.から販売されているタイプのソーダ石灰シリカガラスは、649〜704℃(1200〜1300°F)の範囲の温度にて、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの範囲の粘度を有することが判明している。本発明のこの実施においては、STARPHIREガラスの片70を、704℃(1300°F)に設定された炉内において加熱して、660℃(1220°F)の予期温度までガラス片70を加熱した。ガラスは、2.60×109ポアズの粘度を有し、バリアコーティング66の最小座屈は、成形時間が3秒である場合に生じ、バリアコーティング66の最大座屈は、成形時間が25秒である場合に生じた。
【0072】
今や当業者には理解されるであろうが、成形ガラス片28の凸状側についての歪みパターンは、成形ガラス片28の凹状側についての歪みパターンと同様である。
【0073】
図10〜図13を参照すると、必要に応じて、本発明は、平坦状ガラスシートから複数セグメントを切断し、これらのセグメントを成形し、成形されたセグメントを共に接合して、成形ガラス基板28(図3を参照)と形状において同様の成形ガラス基板を形成することにより、成形ガラス基板28における歪みを低減させることを企図する。本発明の非限定的な一実施例においては、平坦状ガラスシート126の表面124は、バリアコーティング66により被覆される(図10を参照)。ガラスシート126の表面124は、成形ガラス基板130の凹状表面128となることが予測される(図12及び図13を参照)。4つの平坦状セグメント132〜135が、ガラスシート126から切断される。平坦状セグメント132〜135はそれぞれ、側部138及び140を接合する丸み角136と、側部144及び146を接合する平坦状端部142とを備え、側部138は、角148にて側部144に接合され、側部140は、角149にて側部146に接合される。
【0074】
セグメント132〜135はそれぞれ、以下において説明されるようなセグメント132〜135の成形により、成形ガラス基板130の1/4が形成され(図12及び図13を参照)、これにより、以下に説明される態様で成形セグメント132〜135を接合することによって成形ガラス基板28(図3を参照)と同様の成形ガラス基板130が形成されるように、サイズ設定される。
【0075】
本発明は、セグメント132〜135がガラスシート126から切断される態様に限定されず、本発明の実施において、当技術において知られているいかなる切断技術又は引っかき技術を利用することも可能である。セグメント132〜135の縁部同士は、安全のために、当技術において知られているようにシームされ得る。平坦状セグメント132〜135はそれぞれ、例えば、しかし非限定的ではあるが、米国特許第7,240,519号及び米国特許第7,437,892号に開示されるように、成形表面を有する剛性上方型及び可撓性支持表面を有する下方型、成形表面を有する剛性上方型及び下方リング型、並びに成形表面を有する真空上方型を使用するプレス曲げなどの、当技術において知られているプレス加工方法及びプレス加工設備のいずれかを利用して任意の従来の態様において成形される。該特許は、その全体として、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本発明の好ましい実施においては、セグメント132〜135は、成形表面を有する上方真空型を使用して成形される。図11を参照すると、例えばセグメント132などのセグメント132〜135の中の1つが、1.00×107.8ポアズから5.36×109ポアズの範囲の粘度まで加熱され、下方支持部材157の湾曲表面156上に設けられる。成形表面を有する上方真空整形型158及び支持部材157は、互いに対して移動され、例えば上方型158が、下表支持部材157の方向に移動されて、セグメント132を成形表面159と接触状態にさせる。上方型158の成形表面159から真空が引かれて、セグメント132を成形する。このプロセスは、残りの3つのセグメント133〜135を成形して4つの成形セグメント160〜163を形成するように繰り返される。任意には、これら4つのセグメントは、4つの成形区域を有する成形型を用意することにより、同時に成形することが可能である。
【0077】
反射コーティング34及び保護コーティング53(図2を参照)は、成形セグメント160〜163の凸状表面に施される。
【0078】
本発明の好ましい実施においては、バリアコーティング66は、セグメント132〜135がガラスシート126から切断される前に、平坦状ガラスシート126の表面124に施される。しかし、本発明は、平坦状セグメント132〜135又は成形セグメント160〜163にバリアコーティング66を施すことを予期する。本発明のこの実施においては、反射コーティング34及び保護コーティング54は、成形セグメント160〜163の凸状表面に施されるが、本発明は、ガラスシートの表面124の反対側のガラスシート126の表面に、反射コーティング34及び保護コーティング53を施すことを予期する。理解されるであろうが、反射コーティング34及び保護コーティング54が、セグメント132〜135が成形される前に施される場合には、反射コーティング34及び保護コーティング54は、ガラスセグメント132〜135を成形する温度に耐えなければならない。任意には、保護コーティング54は、セグメントが成形された後に施されてもよい。
【0079】
本発明は、成形ガラス基板130を作製するために接合されるセグメント132〜135のこの個数に限定されず、成形ガラス基板130は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のセグメントを接合することにより形成することが可能である。今や理解されるであろうが、成形ガラス基板130を形成するために接合される成形セグメントの個数が多いほど、成形ガラス基板28又は130における歪みの低減が大きくなる。
【0080】
図12及び図13を参照すると、成形ガラスセグメント160〜163は、任意の従来的な態様において共に接合される。本発明の非限定的な一実施例においては、セグメント160〜163は、成形ガラス基板130を形成するように共に位置決めされ、一対のリング166及び168(図12のみに示される)が、接着剤により反射コーティング34に固定される。本発明の非限定的な別の実施例においては、リング166及び168は、成形ガラス基板の凸状表面32に接合される。その後、接合された成形セグメント160〜163の凸状表面並びにリング166及び168は、反射コーティング34及び保護コーティング53により任意の従来的な態様において被覆される。本発明のさらに別の非限定的な実施例においては、成形セグメントの側部同士が、接着剤により共に接合され、例えば、接着剤が、図12に示されるように、成形セグメントの中の隣接し合うもの同士の側部140を共に接合し、成形セグメントの中の隣接し合うもの同士の側部138を共に接合する。図10及び図13に示すように、丸み角136は、成形基板130の切欠部64を形成する。
【0081】
本発明は、平坦状セグメント132〜135のこれらの次元を導出する態様に限定されない。例えば、おび本発明を限定するものではないが、平坦状セグメントのこれらの次元は、コンピュータプログラムから、及び成形放物面基板を作製し、成形基板を所望の個数のセグメントに切断し、セグメントの側部を測定することから、導出することが可能である。
【0082】
今や理解されるであろうが、上述の技術の利用により、ガラスにおける歪みが低減され、バリアコーティング66の座屈及び破損が低減されるが、ガラス中に歪みが残る限り、バリアコーティング66は、ある程度の座屈及びクラックを有する。前述を鑑みて、本発明は、成形ガラス基板28(図3を参照)及び成形ガラス基板126(図13を参照)の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の複数の選択表面部分を覆うそれぞれ異なる厚さの複数のバリアコーティング66を設けることにより、バリアコーティング66の破損及び座屈をさらに低減させることを予期する。以下の説明においては、本発明の実施例は、平坦ガラス片70から成形される成形ガラス基板28を形成するために、平坦状ガラス片70上において実施される。しかし、別様に示さない限り、この説明は、ガラスセグメント132〜135に対する、又は成形ガラスセグメント160〜163に対するバリアコーティング66の設置にも当てはまる。
【0083】
本発明の第1の非限定的な実施例においては、バリアコーティング66は、成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の表面68(図4を参照)を覆う一定の厚さを有する(以降においては「被覆技術第1」と呼ぶ)。本発明の第2の非限定的な実施例においては、成形ガラス基板28の凹状表面30における円周方向歪みの変化が、例えば円形閉誕生ガラス片70の外周部150(図4を参照)からの距離が平坦状ガラス片70の中央部分79の方向に増大するにつれて増大する厚さなどの、変化する厚さを有するバリアコーティング又はバリア層66を施す又は蒸着することにより、補償される(以降においては「被覆技術第2」と呼ぶ)。第3の非限定的な実施例においては、成形ガラス基板28の凹状表面30における円周方向歪みの変化は、平坦状ガラス片70の外周部170から移行ライン94の予想位置にかけての第1の一定厚さ(図7を参照)と、移行ライン94から平坦ガラス片70の中央部分79にかけての第2の一定厚さとを有し、バリアコーティングのこの第2の厚さが、バリアコーティングのこの第1の厚さよりも厚い、バリア層66を施す又は蒸着させることにより、補償される(以降においては「被覆技術第3」と呼ぶ)。
【0084】
成形ガラス基板28(図3及び図5Bを参照)を作製するためのコーティング厚さの変化は、例えばシールド170を使用して、平坦状ガラス片70の中央部分79が被覆される際に円周方向圧縮区域103(図7を参照)内に位置することが予想されるガラス片70(図14を参照)の表面を覆うなど、平坦状片70の複数区域をマスキングして薄コーティングを得ることによって、実現することが可能である。
【0085】
被覆技術第1は、平坦状ガラスシート126中にセグメント132〜136の輪郭を切り込む前又は後に、このシートの表面124を被覆することにより、セグメント160〜163を形成するために実施される。被覆技術第2は、セグメント132〜136が切断ラインにより平坦状ガラスシート126中に輪郭設定された後に、又はセグメント132〜136がガラスシートから取り外された後に、セグメントを被覆することにより、セグメント160〜163を形成するために実施される。被覆技術第2のためのコーティング66の厚さは、平坦状端部142(図10を参照)からの距離が丸み角136の方向に増大するにつれて、増大する。被覆技術第3は、セグメント132〜136が切断ラインにより平坦状ガラスシート126中に輪郭設定された後に、又はセグメント132〜136がガラスシートから取り外された後に、セグメントを被覆することにより、セグメント160〜163を形成するために実施される。被覆技術第3のためのコーティング66は、平坦状セグメント132〜136の側部144及び146から移行ライン94の予想位置(図7を参照)にかけての第1の一定厚さと、移行ライン94からセグメント132〜136の丸み端部136にかけての第2の一定厚さとを有するセグメント132〜135に対して施される。
【0086】
被覆技術第1のためのバリアコーティング66は、40〜100nmの範囲の、又は80〜100nmの範囲の一定厚さを有する。本発明の非限定的な一実施例においては、バリアコーティング66は、85原子パーセントのシリコン及び15原子パーセントのアルミニウムからなる酸化物を含んでいた。80nmの厚さを有するバリアコーティング66を、MSVDにより平坦状片ガラス70の表面72上に蒸着した。このガラスは、2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275,264号又は米国特許第5,030,594号に開示されるタイプのものであった。平坦状ガラス片70は、45.1cm(17.75インチ)の直径と、0.020重量パーセント未満の総鉄含有量と、電磁スペクトルの可視範囲及びIR範囲における90%の透過率と、可視範囲及びIR範囲における2%未満の吸光度とを有する、ガラスの円形片であった。平坦状ガラス片70を、例えば25秒未満の曲げ時間などにわたり、成形ガラス基板28を形成するために真空型内で成形した。成形ガラス基板を冷却した後に、成形ガラス基板28の外周部を、側部33及び中央穴28(図3を参照)を成形ガラス基板28に形成するために、上述のように成形した。反射銀コーティング34を、成形ガラス基板28の凸状表面32を覆うように施して、放物面状成形鏡22を形成した。
【0087】
被覆技術第2は、例えばバリアコーティング66が、好ましくは、しかし本発明を限定するものではないが、平坦状ガラス片70の外周部172における40nmの厚さから、平坦状ガラス片70の中央部分79における80nmの厚さにまで増大するなど、平坦状ガラス片70の外周部から中央部分79の方向への距離が増大するにつれて厚さが増大するバリアコーティング66を形成する。この態様においては、バリアコーティング66の厚さは、ガラスにおける円周方向歪みが上昇し、成形ガラス基板28の凹状表面30の%幅収縮率が低下して、座屈が減少するにつれて、増大する。成形ガラス基板28の中央部分80の方向に移行ライン94を過ぎると、バリアコーティング66の厚さは、円周方向張力が増大するにつれて増大する。図15を参照すると、円周方向張力区域104における成形ガラス基板28の断面が示され、この円周方向張力区域104は、移行ライン94と中央区域80との間に位置する(図7及び図15を参照)。バリアコーティング66は、亀裂174を有するが、バリアコーティング66は、例えば80nmなど、亀裂154がバリアコーティング66の表面108まで延在しないように、十分な厚さである。
【0088】
被覆技術第3のためのバリアコーティング66は、平坦状ガラス片70の外周部172から成形ガラス基板28の移行ライン94の予想位置にかけての第1の一定厚さと、移行ライン94から平坦状ガラス片70の中央部分79にかけての第2の一定厚さとを有し、バリアコーティング66の第1の厚さは、バリアコーティング66の第2の厚さよりも薄い。本発明の非限定的な一実施例においては、バリアコーティング66の第1の一定厚さは、40〜60nmの範囲であり、さらに好ましくは、40から50nmの範囲であり、第2の一定厚さは、60超から100nmの範囲であり、さらに好ましくは60超から80nmの範囲である。この構成により、バリアコーティング66の座屈は、円周方向圧縮区域103において最小限に抑えられ、バリアコーティング66の厚さは、亀裂174がバリアコーティング66の表面108まで延在しないように、円周方向張力区域104において十分な厚さとなる。さらに、この構成により、バリアコーティング66の厚さは、周縁エッジ84と移行ライン94との間において、すなわちガラス厚の厚い区域において、比較的薄くなり、バリアコーティング66の座屈を低減させ、バリアコート66の厚さは、移行ライン94と成形ガラス基板28の底部区域80との間において、すなわち比較的薄いガラスの区域において比較的厚くなり、この位置においては、座屈は円周方向圧縮区域103におけるほど酷くはなく、亀裂174が懸念される。理解されるであろうが、本発明は、移行ライン94の区域におけるこのコーティング厚さの変化に限定されず、コーティング厚さの変化は、漸次的変化又は段階的変化であることも可能である。
【0089】
今や理解されるであろうが、二次鏡44が成形基板を備える場合の実例においては、バリアコーティング66の座屈を防ぐ技術は、成形二次鏡を作成するために実施することが可能である。
【0090】
本発明の別の実施例は、非限定的にではあるが以下のことを含む。
1.成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の表面68を覆うバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングと、凸状表面となるように指定された平坦状ガラス片70の表面72を覆うバリア層66(図16を参照)とを施し、平坦状ガラスシート70を成形ガラス基板28に合致するように成形する。その後、反射層34及び任意には保護コーティング53が、成形ガラス基板28の凸状表面32上のバリア層66を覆って施される。
2.成形ガラス基板28の凹状表面30となるように指定された平坦状ガラス片70の表面68を覆うバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングと、平坦状ガラス片70の凸状表面となるように指定された平坦状ガラス片70の表面72を覆うバリア層66とを施し、表面72上のバリア層66を覆って反射コーティング層34を施し(図17を参照)、その後平坦状ガラスシート70を成形ガラス基板28へと成形する。
3.平坦状ガラス片70を放物面状成形ガラス基板28へと成形し、凹状表面30を覆うバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングと、放物面状成形ガラス基板28の凸状表面32を覆う反射コーティング34とを施す(図18を参照)。
4.平坦状ガラス片70を放物面状成形ガラス基板28へと成形し、凸状表面32を覆うバリア層66と、成形ガラス基板28の凹状表面30を覆うバリア層及び/又は引っかき抵抗性コーティングとを施し、凸状表面32を覆う又は凸状表面32上のバリア層66を覆う又はバリア層66上の反射コーティング34を施す(図19を参照)。
【0091】
理解されるであろうが、反射層34及び/又はバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングが、平坦状ガラス片70に施され、被覆平坦状ガラスが、例えば上述のように本発明の非限定的な一実施例の実施において加熱され成形される場合には、反射層34及びバリア層66及び/又は引っかき抵抗性コーティングは、例えば649℃(1200°F)を上回るような高温の成形温度に耐えることが可能でなければならない。高温に耐えることが可能な反射コーティングが、当技術において知られており、例えば米国特許第7,329,433号を参照されたい。該特許は、その全体において、ここに参照により本明細書に組み込まれる。該特許は、高温処理の際に反射層を保護するために反射層上に蒸着される下地膜を開示する。
【0092】
本発明の好ましい実施においては、バリア層66は、MSVD設備を利用して施される。当業者には理解されるであろうが、MSVD被覆のためのカソードは、導電性でなければならない。導電性のシリコンカソードを形成するために、例えば5重量パーセント超などのアルミニウムが、シリコンに添加される。しかし、本発明は、バリア層のMSVDによる設置に限定されず、バリア層を施すための任意の既知の被覆プロセスを、本発明の実施において利用することが可能である。さらに、本発明は、均質のバリア層を有するようには限定されず、本発明は、シリコン及びアルミニウムからなる様々な組成の酸化物を有するバリア層を予期する。例えば、本発明の非限定的な一実施例においては、60原子重量パーセントのアルミニウム及び40原子重量パーセントのシリコンからなる酸化物の第1のバリア層が、ガラスの表面に施され85原子重量パーセントのアルミニウム及び15原子重量パーセントのシリコンからなる酸化物の第2のバリア層が、第1のバリア層の上に施される。
【0093】
今や理解されるであろうが、本発明のバリア層66は、ナトリウムイオンが光起電デバイスの導電性層に損傷を与えるのを防ぐために使用することが可能である。さらに詳細には、及び図20を参照すると、本発明のバリア層66を覆う導電性コーティング186を有する光起電デバイス184が示される。バリア層66は、ガラスシート190の表面188に施される。バリア層66は、ナトリウムイオンがナトリウム化合物の析出物を形成して、この析出物により光電池184の導電性コーティング186を侵食し損傷を与えるのを防ぐ。
【0094】
上記において詳細に論じたように、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物のバリア層は、ナトリウムイオンがガラスから外に移動するのを防ぐためのバリアを形成するのに加えて、ガラス表面に対する機械的損傷及び化学的損傷を防ぐための保護層をガラスにもたらす。
【0095】
先述の説明において開示されたコンセプトから逸脱することなく、本発明のこれらの非限定的な実施例を修正することが可能であることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書において詳細に説明される本発明のこれらの特定の非限定的な実施例は、例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲には、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物の全範囲が与えられるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲反射表面を有する太陽反射鏡であって、
凸状表面及び反対側の凹状表面を有する透明基板と、
前記凸状表面を覆う、電磁スペクトルの選択された波長を反射する反射コーティング、及び前記凹状表面を覆うアルカリバリア層と
を備える、太陽反射鏡。
【請求項2】
前記アルカリバリア層は、機械的保護特性及び化学的保護特性を有する、請求項1に記載の太陽鏡。
【請求項3】
前記バリア層は、前記基板の前記凹状表面上に位置し、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含む、請求項1に記載の太陽鏡。
【請求項4】
前記バリア層は、アルミニウムの重量パーセントを上回る重量パーセントのシリコンを有する、請求項3に記載の太陽鏡。
【請求項5】
前記バリア層は、15原子パーセントのアルミニウム及び85原子パーセントのシリコンを含み、前記膜は、マグネトロンスパッタリング真空蒸着により蒸着される、請求項4に記載の太陽鏡。
【請求項6】
前記バリア層は、700〜950ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項5に記載の太陽鏡。
【請求項7】
前記透明基板は、焦点区域を有するソーダ石灰シリカ成形ガラス基板であり、前記バリア層は、ナトリウムイオンバリア層である、請求項1に記載の太陽鏡。
【請求項8】
前記バリア層は、第1の表面及び反対側の第2の表面を有し、前記バリア層の前記第1の表面は、前記成形ガラス基板の前記凹状表面と表面接触状態にあり、前記バリア層の前記第2の表面は、前記成形ガラス基板の前記凹状表面から離れて対面している、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項9】
前記バリア層は、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含み、前記バリア層の前記第1の表面は、第1の重量パーセントのシリコンを有し、前記バリア層の前記第2の表面は、第2の重量パーセントのシリコンを有し、シリコンの第1の重量パーセントは、シリコンの第2の重量パーセントとは異なる、請求項8に記載の太陽鏡。
【請求項10】
前記成形ガラス基板は、前記成形ガラス基板を形成するように共に維持された少なくとも2つの成形ガラスセグメントを含む、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項11】
各セグメントが、前記放物面状成形ガラス基板の一部(1/(前記放物面状成形ガラス基板の全セグメント))を含む、請求項10に記載の太陽鏡。
【請求項12】
前記成形ガラス基板の外周部が、4つの角及び4つの側部を備える、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項13】
前記成形ガラス基板は、前記成形ガラス基板の底部区域に半径方向張力歪みを、及び前記成形ガラス基板の外周部に円周方向圧縮歪みを有する歪みパターンを有し、前記成形ガラス基板の前記外周部からの距離が、前記成形ガラス基板の前記底部区域の方向に増大するにつれて、前記円周方向圧縮歪みは、前記ガラスにおいて円周方向張力歪み及び前記半径方向張力歪みが存在する位置である「移行ライン」として指定される区域まで縮小し、前記移行ラインから前記成形ガラス基板の前記底部区域の方向への距離が増大するにつれて、前記円周方向張力歪みは増大する、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項14】
前記バリアコーティングは、前記ガラス成形基板の前記凹状表面を覆い、一定の厚さを有する、請求項13に記載の太陽鏡。
【請求項15】
前記バリア層は、60〜100ナノメートルの範囲の厚さと、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含む組成とを有し、前記反射コーティングは、銀コーティングである、請求項14に記載の太陽鏡。
【請求項16】
前記バリアコーティングは、前記成形ガラス基板の前記外周部から前記成形ガラス基板の前記底部区域の方向への距離が増大するにつれて、厚さが増大する、請求項13に記載の太陽鏡。
【請求項17】
前記バリアコーティングは、40から100ナノメートルの厚さ範囲である、請求項16に記載の太陽鏡。
【請求項18】
前記バリアコーティングは、前記成形ガラス基板の前記外周部から前記成形ガラス基板の前記移行ラインにかけての第1の一定の厚さと、前記成形ガラス基板の前記移行ラインから前記成形ガラス基板の前記底部区域にかけての第2の一定の厚さとを有し、前記第1の一定の厚さは、前記第2の一定の厚さとは異なる、請求項13に記載の太陽鏡。
【請求項19】
前記バリアコーティングの前記第1の一定の厚さは、40から60ナノメートルの範囲であり、前記第2の一定の厚さは、60超から100ナノメートルの範囲である、請求項18に記載の太陽鏡。
【請求項1】
湾曲反射表面を有する太陽反射鏡であって、
凸状表面及び反対側の凹状表面を有する透明基板と、
前記凸状表面を覆う、電磁スペクトルの選択された波長を反射する反射コーティング、及び前記凹状表面を覆うアルカリバリア層と
を備える、太陽反射鏡。
【請求項2】
前記アルカリバリア層は、機械的保護特性及び化学的保護特性を有する、請求項1に記載の太陽鏡。
【請求項3】
前記バリア層は、前記基板の前記凹状表面上に位置し、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含む、請求項1に記載の太陽鏡。
【請求項4】
前記バリア層は、アルミニウムの重量パーセントを上回る重量パーセントのシリコンを有する、請求項3に記載の太陽鏡。
【請求項5】
前記バリア層は、15原子パーセントのアルミニウム及び85原子パーセントのシリコンを含み、前記膜は、マグネトロンスパッタリング真空蒸着により蒸着される、請求項4に記載の太陽鏡。
【請求項6】
前記バリア層は、700〜950ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項5に記載の太陽鏡。
【請求項7】
前記透明基板は、焦点区域を有するソーダ石灰シリカ成形ガラス基板であり、前記バリア層は、ナトリウムイオンバリア層である、請求項1に記載の太陽鏡。
【請求項8】
前記バリア層は、第1の表面及び反対側の第2の表面を有し、前記バリア層の前記第1の表面は、前記成形ガラス基板の前記凹状表面と表面接触状態にあり、前記バリア層の前記第2の表面は、前記成形ガラス基板の前記凹状表面から離れて対面している、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項9】
前記バリア層は、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含み、前記バリア層の前記第1の表面は、第1の重量パーセントのシリコンを有し、前記バリア層の前記第2の表面は、第2の重量パーセントのシリコンを有し、シリコンの第1の重量パーセントは、シリコンの第2の重量パーセントとは異なる、請求項8に記載の太陽鏡。
【請求項10】
前記成形ガラス基板は、前記成形ガラス基板を形成するように共に維持された少なくとも2つの成形ガラスセグメントを含む、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項11】
各セグメントが、前記放物面状成形ガラス基板の一部(1/(前記放物面状成形ガラス基板の全セグメント))を含む、請求項10に記載の太陽鏡。
【請求項12】
前記成形ガラス基板の外周部が、4つの角及び4つの側部を備える、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項13】
前記成形ガラス基板は、前記成形ガラス基板の底部区域に半径方向張力歪みを、及び前記成形ガラス基板の外周部に円周方向圧縮歪みを有する歪みパターンを有し、前記成形ガラス基板の前記外周部からの距離が、前記成形ガラス基板の前記底部区域の方向に増大するにつれて、前記円周方向圧縮歪みは、前記ガラスにおいて円周方向張力歪み及び前記半径方向張力歪みが存在する位置である「移行ライン」として指定される区域まで縮小し、前記移行ラインから前記成形ガラス基板の前記底部区域の方向への距離が増大するにつれて、前記円周方向張力歪みは増大する、請求項7に記載の太陽鏡。
【請求項14】
前記バリアコーティングは、前記ガラス成形基板の前記凹状表面を覆い、一定の厚さを有する、請求項13に記載の太陽鏡。
【請求項15】
前記バリア層は、60〜100ナノメートルの範囲の厚さと、シリコン及びアルミニウムからなる酸化物を含む組成とを有し、前記反射コーティングは、銀コーティングである、請求項14に記載の太陽鏡。
【請求項16】
前記バリアコーティングは、前記成形ガラス基板の前記外周部から前記成形ガラス基板の前記底部区域の方向への距離が増大するにつれて、厚さが増大する、請求項13に記載の太陽鏡。
【請求項17】
前記バリアコーティングは、40から100ナノメートルの厚さ範囲である、請求項16に記載の太陽鏡。
【請求項18】
前記バリアコーティングは、前記成形ガラス基板の前記外周部から前記成形ガラス基板の前記移行ラインにかけての第1の一定の厚さと、前記成形ガラス基板の前記移行ラインから前記成形ガラス基板の前記底部区域にかけての第2の一定の厚さとを有し、前記第1の一定の厚さは、前記第2の一定の厚さとは異なる、請求項13に記載の太陽鏡。
【請求項19】
前記バリアコーティングの前記第1の一定の厚さは、40から60ナノメートルの範囲であり、前記第2の一定の厚さは、60超から100ナノメートルの範囲である、請求項18に記載の太陽鏡。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2012−522265(P2012−522265A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502101(P2012−502101)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027556
【国際公開番号】WO2010/111075
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027556
【国際公開番号】WO2010/111075
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】
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