説明

保護膜層用封止剤

【課題】 硬化後に、耐熱性、及び耐クラック性に優れ、かつめっき液に対する耐久性を有する保護膜層用封止剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、フェノールアラルキル樹脂と、フェノール変性キシレン樹脂とを含むことを特徴とする保護膜層用封止剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜層用封止剤、及びこれを用いる電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、チップ抵抗器、ハイブリッドICなどの電子部品に使用される抵抗体は、厚膜で形成される。図1に、一般的なチップ抵抗器の断面図を示す。チップ抵抗器1は、アルミナ、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素等を主成分とする絶縁性のチップ基板3と、このチップ基板3上に形成された抵抗体層4と、抵抗体層4を被覆するガラスコート層41と、ガラスコート層41を被覆する保護膜層2と、チップ基板3の側部の上面、下面、端面に形成され、抵抗体層4と電気的に接続された電極層5と、電極層5を被覆するニッケルめっき層6と、ニッケルめっき層6を被覆する錫めっき層7とから構成されている。
【0003】
このチップ抵抗器1は、通常、電極層5が形成された後、抵抗体層4が形成され、形成された抵抗体層4の抵抗値が所定値になるようトリミングされた後、電極層5がめっきされる。このめっきに使用されるめっき液に抵抗体層4が腐食等されないように、抵抗体層4上には、めっき前に抵抗体層4を封止するための保護膜層2が形成されている。
【0004】
耐熱性、耐湿性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物として、脂環式エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂と硬化促進剤を含んでなるエポキシ樹脂組成物が開示されている(特許文献1等参照)。
【0005】
しかしながら、車載関連等では、耐熱性、及び耐クラック性等への要求性能が高くなっており、耐熱性、及び耐クラック性を満たし、かつ電極のめっきに使用されるめっき液に対する耐久性を満足する保護膜層等に利用可能な保護膜層用封止剤は、まだ、実用化されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−278260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、硬化後に、耐熱性、及び耐クラック性に優れ、かつめっき液に対する耐久性を有する保護膜層になり得る保護膜層用封止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、フェノールアラルキル樹脂と、フェノール変性キシレン樹脂とを含むことを特徴とする保護膜層用封止剤に関する。
【0009】
また、本発明は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、フェノールアラルキル樹脂と、フェノール変性キシレン樹脂とを含むことを特徴とする保護膜層用封止剤を硬化してなる抵抗体向け保護膜層を含む電子部品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硬化後に、耐熱性、及び耐クラック性に優れ、かつめっき液に対する耐久性が優れる保護膜層になり得る保護膜層用封止剤が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、硬化後に、耐熱性、及び耐クラック性に優れ、かつめっき液に対する耐久性が優れる保護膜層用封止剤を硬化してなる抵抗体向け保護膜層を含む電子部品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の保護膜層用封止剤は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含む。このクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、具体的には、式(2):
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、nは平均値を表し、1〜10、好ましくは1〜5である。)で示される、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を選択することにより、硬化後の耐熱性向上、耐薬品性向上が図られる。
【0015】
本発明の保護膜層用封止剤は、フェノールアラルキル樹脂を含む。このフェノールアラルキル樹脂は、式(3):
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R1は、独立して、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、rは0〜3の整数を表し、好ましくはrが0であり、mは、平均値を表し、1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1である。)で示されるフェノールアラルキル樹脂が挙げられる。フェノールアラルキル樹脂を配合することにより、硬化後の耐熱性、膜形成性、耐クラック性の向上が図られる。
【0018】
本発明の保護膜層用封止剤は、フェノール変性キシレン樹脂を含む。このフェノール変性キシレン樹脂は、硬化性、耐薬品性向上のために併用されるものであり、一般に、m−キシレンとフェノールとホルムアルデヒドを反応させて生成される。中でも熱硬化タイプが好ましく、特にレゾール型の熱硬化タイプが好ましい。
【0019】
また、このフェノール変性キシレン樹脂は、m-キシレン骨格を含むことが硬化性、耐薬品性、保存安定性の観点から、さらに好ましい。
【0020】
このようなフェノール変性キシレン樹脂の例として、式(4):
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、pは、平均値を表し、1〜5、好ましくは1である。)、又は式(5)
【0023】
【化5】

【0024】
(式中、qは、平均値を表し、1〜5、好ましくは1である。)の構造単位を含むフェノール変性キシレン樹脂が好ましい。
【0025】
数平均分子量200〜1500である式(4)、又は式(5)のフェノール変性キシレン樹脂が硬化性、耐薬品性、保存安定性の観点から好ましい。
【0026】
さらに、式(4)のp=1である特に好ましい化合物の例として、式(1):
【0027】
【化6】

【0028】
のメチロール基を含有するレゾール型のフェノール変性キシレン樹脂が示される。
【0029】
本発明の保護膜層用封止剤は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂100重量部に対して、フェノールアラルキル樹脂50〜100重量部、フェノール変性キシレン樹脂100〜150重量部で含むことが好ましい。配合量がこの範囲であると、硬化性が良好で、ペースト化し易い。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂100重量部に対して、フェノールアラルキル樹脂60〜100重量部、フェノール変性キシレン樹脂100〜130重量部で含むことが、硬化性、耐薬品性、耐熱性、耐クラック性、膜形成性の観点からさらに好ましい。
【0030】
この保護膜層用封止剤には、上記の他にカップリング剤、エラストマー、チクソ剤、フィラー、溶剤等を含有させ、印刷性、保存性等を適宜調整することができる。
【0031】
カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられ、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシランが、密着性の観点から好ましい。カップリング剤の配合量は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂とフェノール変性キシレン樹脂の合計100重量部に対して、2〜7重量部であることが密着性向上の点から好ましい。
【0032】
エラストマーとしては、末端カルボキシル基アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴムパウダー等があげられる。一般に、R[(CH2CH=CHCH2)x{CH2CH(CN)}y]zR(式中、Rはカルボキシル基、アミン基又はビニル基を表し、xは1〜8、yは1〜5、zは1〜15を表す。)で示されるエラストマーが相溶性の観点から好ましい。これらは、(a)主鎖がゴム状であり、(b)主鎖の両末端に官能基を有し、(c)主鎖にアクリロニトリル基を有することにより、相溶性の向上が図られる。特に、Rがカルボキシル基である末端カルボキシル基アクリロニトリルブタジエンゴムであって、数平均分子量が3,000〜5,000、アクリロニトリル含有量0〜30重量%のものが、粘性、応力緩和特性の点から好ましい。エラストマーの配合量は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂とフェノール変性キシレン樹脂の合計100重量部に対して、8〜15重量部であることが可撓性向上の点から好ましい。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いた値とする。
【0033】
チクソ剤としては、コロイダルシリカ、疎水性シリカ等のシリカ、ベントナイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられ、シリカ、ベントナイトが耐熱性の観点から好ましい。チクソ剤の配合量は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂とフェノール変性キシレン樹脂の合計100重量部に対して、10〜40重量部であることが印刷性、形状保持性の点から好ましい。また、フィラーとしては、溶融シリカ、マイカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水和アルミナ等が挙げられ、溶融シリカ、タルクが耐熱性、安定性、密着性の観点から好ましい。フィラーの平均粒径は、0.5〜20μmであることが印刷性向上、硬度向上が図られる点から好ましく、フィラーの配合量は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂とフェノール変性キシレン樹脂の合計100重量部に対して、30〜75重量部であると低膨張性の点から好ましい。
【0034】
溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の高沸点溶媒等が挙げられる。溶剤の使用量は、特に限定されず、従来から使用されている量とすることができるが、好ましくは、保護膜層用封止剤全体の5〜25重量%である。
【0035】
保護膜層用封止剤の粘度は、30〜60Pa・sであると、転写性、版離性などの面からスクリーン印刷に適している。ここで、粘度は、DV-I型ブルックフィールド粘度計を用いて、保護膜層用封止剤の温度が25℃で、毎分50回転の条件で求められた測定値である。
【0036】
また、保護膜層用封止剤は、チクソ性を有することが好ましく、チクソ比が2.0〜4.0であるとさらに好ましい。ここで、チクソ比とは、保護膜層用封止剤の流れ易さを表す特性値であり、DV-I型ブルックフィールド粘度計を用いて、毎分5回転の条件で求められた測定値を、毎分50回転の条件で求められた測定値で除した比率、すなわち、(毎分5回転での粘度)/(毎分50回転での粘度)で定義されるものである。チクソ比が2以上の保護膜層用封止剤を用いることにより、印刷後、加熱硬化時の形状保持性や印刷性が確保される。
【0037】
次に、図1〜4を例にとり、本発明の保護膜層用封止剤を形成した抵抗器について説明する。ただし、これらはあくまでも例示であり、本発明を限定するものではない。図1に示す電極層5は、上面電極層51、下面電極層52、端面電極層53から構成され、上面電極層51、及び下面電極層52は、銀、銀・パラジウム、銀・白金、金、白金等の厚膜、又はニッケル・クロム系等の薄膜からなる。端面電極層53は、導電性エポキシ樹脂などの導電性樹脂の厚膜、又はニッケル・クロム系等の薄膜から構成される。この電極層5を被覆するニッケルめっき層6は、チップ基板3を回路基板等にはんだ付け等により実装するときに、電極層5食われを防止したり、電極層5のマイグレーションを防止したり、錫めっき層7の密着性を良くしたりするために施され、ニッケルの代わりにリン含有ニッケル、銅等を使用することができる。このニッケルめっき層6を被覆する錫めっき層7は、チップ基板3のはんだ付けの歩留まり向上等の目的で施され、錫の代わりに、金、銀、はんだ等を使用することができる。なお、保護膜層用封止剤には、適宜選択して使用される各めっきのめっき液への耐久性が要求される。
【0038】
また、抵抗体層4は、一般に、酸化ルテニウム、炭素等を主成分とする厚膜ペーストを印刷、乾燥、場合により焼成することによって形成されるが、蒸着法等によって形成することもできる。この抵抗体層4を被覆するガラスコート層41は、抵抗体層4を外部環境から保護し抵抗値を安定させる目的で施される。このガラスコート層41を被覆する保護膜層2は、抵抗体層4のトリミングされた部分を保護するために施され、特に、後工程でのめっき時、又はチップ抵抗器として使用されるときの抵抗値の安定性保持に有効に働く。
【0039】
さらに具体的に、チップ抵抗器の製造方法について説明する。
【0040】
図2に、一般的なチップ抵抗器の製造方法のフローチャートを示す。受け入れる基板31は、図3に示すように、一次分割用の分割溝311と二次分割用の分割溝312を備えることが好ましい。
【0041】
本発明に係る保護膜層用封止剤は、保護膜層2を形成する工程で使用される。この工程では、保護膜層用封止剤をスクリーン印刷法などで形成し、乾燥後、加熱により硬化させ、保護膜層2を形成する。ここで、乾燥温度は、例えば、50〜120℃であり、乾燥時間は、例えば、5〜60分である。加熱による硬化の温度は、例えば、80〜230℃であり、加熱時間は、例えば、5〜120分である。
【0042】
次に、基板31を一次分割用の分割溝311で一次分割し、二次分割用の溝312を有する短冊状基板32とする。図4に、分割後の短冊状基板32を示す。
【0043】
この後、短冊状基板32の端面に端面電極層53を形成した後、二次分割用の分割溝312に沿って二次分割し、チップ基板3とする。このチップ基板3の電極層5の表面にバレルめっき法、無電解めっき法等でニッケルめっき層6を形成し、さらにこのニッケルめっき6上にバレルめっき法、無電解めっき法等で錫めっき層7を形成することにより、チップ抵抗器1を得ることができる。ここで、ニッケルめっき、又は錫めっきは、通常酸性浴、場合により強酸性浴、若しくはアルカリ性浴で行われるため、本発明に係る保護膜層用封止剤が、効果的に抵抗体層4、ガラスコート層41を保護する。さらに、錫めっきの代わりに、金めっき、銀めっきが行われるときには、シアン浴が使用されることがあり、保護膜層用封止剤が抵抗体層4、ガラスコート層41をシアン浴から保護する。
【0044】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。表示は、断りのない限り、重量部である。
【実施例】
【0045】
表1に示す配合で、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを溶剤として実施例1〜5のペーストを調製した(固形分80〜90重量%)。また、表1に示す配合で、実施例と同様に比較例1、2のペーストを作製した。
【0046】
(粘度の測定)
得られたペーストの粘度をDV-I型ブルックフィールド粘度計でローターの回転数を毎分50回転数で測定した。なお、ペーストの温度は約25℃で、14号スピンドルを使用した。その結果を表2に示す。実施例1〜5のペーストは、38.6〜55.8Pa・sであった。
【0047】
(チクソ比の測定)
上記の粘度の測定と同様にして、毎分50回転と毎分5回転の粘度を測定した。(毎分5回転のときの粘度)/(毎分50回転のときの粘度)をチクソ比とした。その結果を表2に示す。実施例1〜5のペーストは、チクソ比が2.0〜4.0であった。
【0048】
(熱分解温度の測定)
ペーストを約20mg量りとり、大気中、毎分10℃の昇温速度で、示差熱−熱重量測定を行った。熱重量測定で、重量減少が開始した温度を熱分解温度とした。その結果を表2に示す。実施例1〜5のペーストの熱分解温度は、419〜421℃であった。これに対し、比較例1、2のペーストの熱分解温度は、332〜338℃であった。
【0049】
(密着性の試験)
松浪硝子工業社製スライドガラス(型番:S−1214)上に、ペーストをスクリーン印刷し、幅1.5mm、長さ1.5mm、厚さ約28μmのパターンを形成した。その後、200℃で30分間硬化後、室温まで放冷し、試験片を作製した。上記パターン上にセロハンテープを貼り付けた後、セロハンテープを剥離し、スライドガラスから剥離したパターン数を測定し、初期の剥離数とした。表2に、パターン100個中の剥離数を示す。実施例1〜5の剥離数は、0であった。これに対し、比較例1、2の剥離数は、3〜5であった。
【0050】
次に、この試験片を温度が50℃で、pHが1の硫酸錫めっき浴中に2時間浸漬した後、水洗し、水分をふき取った。室温で30分放置後、初期の剥離数試験と同様にセロハンテープを用いて試験を行い、めっき液浸漬後の剥離数とした。表2に、パターン100個中の剥離数を示す。実施例1〜5のめっき液浸漬後の剥離数は、0であった。これに対し、比較例1、2のめっき液浸漬後の剥離数は、100であった。
【0051】
(クラック発生試験)
密着性の試験と同じ試験片を用いた。この試験片を温度170℃で、250時間で高温保持した。試験前後のクラック発生の有無を肉眼で確認した。表2に、高温保持前後のパターン20個中のクラック数を示す。実施例1〜5の高温保持後のクラック発生数は、0であった。これに対し、比較例1、2の高温保持後のクラック数は、13〜18であった。
【0052】
(スクリーン印刷時の形状保持性試験)
松浪硝子工業社製スライドガラス(型番:S−1214)上に、ナミックス社製銀ペースト(型番:SR4550)をスクリーン印刷し、幅1.5mm、長さ1.5mm、厚さ約28μmのパターンを塗布後、乾燥、焼成して銀パターンを作製した。この銀パターン上に実施例1〜5、及び比較例1、2のペーストをスクリーン印刷し、温度200℃で、30分間硬化させ、試験片を作製した。スライドガラスの塗布面、及び塗布の反対面から試験片を肉眼で観察して、印刷後、硬化後におけるペーストのにじみや広がりを観察した。その結果を表2に示す。にじみ、広がりがない場合には○、にじみ、広がりがある場合には×とした。実施例1〜5は、○であった。
【0053】
(ポットライフの測定)
ペーストを25℃で保管しながら、1回/日の頻度で、上記粘度測定と同様に、粘度測定を行い、初期の粘度から粘度が20%以上高くなるまでの日数を測定した。その結果を表2に示す。実施例1〜5は、7日であった。
【0054】
(シェルフライフの測定)
ペーストを−20℃で保管しながら、1回/週の頻度で、上記粘度測定と同様に、粘度測定を行い、初期の粘度から粘度が20%以上高くなるまでの日数を測定した。その結果を表2に示す。実施例1〜5は、6ヶ月超であった。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
このように、本発明に係る保護膜層用封止剤は、耐熱性があり、高温で保持してもクラックが発生せず、めっき液への良好な耐久性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】チップ抵抗器の断面図である。
【図2】チップ抵抗器の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】保護膜層形成後の基板を示す上面図である。
【図4】端面電極層形成後の基板を示す上面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 チップ抵抗器
2 保護膜層
3 チップ基板
31 基板
311、312 基板の分割溝
32 一次分割後の基板
4 抵抗体層
41 ガラスコート層
5 電極層
51 上面電極層
52 下面電極層
53 端面電極層
6 ニッケルめっき層
7 錫めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、フェノールアラルキル樹脂と、フェノール変性キシレン樹脂とを含むことを特徴とする保護膜層用封止剤。
【請求項2】
フェノール変性キシレン樹脂が、m−キシレン骨格を含む、請求項1記載の保護膜層用封止剤。
【請求項3】
フェノール変性キシレン樹脂が、式(1):
【化1】


である、請求項2記載の保護膜層用封止剤。
【請求項4】
チクソ比が2.0〜4.0であり、粘度が30〜60Pa・sである、請求項1〜3のいずれか1項記載の保護膜層用封止剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の保護膜層用封止剤を硬化してなる、抵抗体層向け保護膜層。
【請求項6】
請求項5記載の保護膜層を含む、チップ抵抗器。
【請求項7】
請求項5記載の保護膜層を含む、電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−91424(P2009−91424A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262136(P2007−262136)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(591252862)ナミックス株式会社 (133)
【Fターム(参考)】