信号出力装置および洗濯機
【課題】生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止する。
【解決手段】 マイクロコンピュータ42は、I/O510と、発振回路508と、CPU500とを含む。I/O510は、信号を入力したり出力したりする。発振回路508は、一定の周波数で第1の信号を生成する。CPU500は、I/O510を制御する。I/O510に入力される信号は、第1の物理量に対応する信号を含む。CPU500は、発振回路508が生成したクロック信号の数に基づいて、間隔時間を算出する。CPU500は、第2の物理量に基づいて間隔時間の補正値を算出する。CPU500は、その補正値に対応する信号を出力するように、I/O510を制御する。
【解決手段】 マイクロコンピュータ42は、I/O510と、発振回路508と、CPU500とを含む。I/O510は、信号を入力したり出力したりする。発振回路508は、一定の周波数で第1の信号を生成する。CPU500は、I/O510を制御する。I/O510に入力される信号は、第1の物理量に対応する信号を含む。CPU500は、発振回路508が生成したクロック信号の数に基づいて、間隔時間を算出する。CPU500は、第2の物理量に基づいて間隔時間の補正値を算出する。CPU500は、その補正値に対応する信号を出力するように、I/O510を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号出力装置および洗濯機に関し、特に、低い精度の周波数に基づいて監視を行う信号出力装置および洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マイクロコンピュータを備える制御装置を開示する。マイクロコンピュータは、外部から与えられた基準クロック信号と予め記憶されているクロック信号の周波数の情報とに基づいて、マイクロコンピュータ駆動用クロック信号の周波数の誤差を検出し、検出された誤差を記憶し、マイクロコンピュータ駆動用クロック信号を基にして生成されるデータを、誤差の検出結果に基づいて補正する。
【0003】
特許文献1に開示された発明によると、海外向け製品と国内向け製品との区別をなくし、周波数精度が低いマイクロコンピュータ駆動用クロックを使用して水位検出や時間カウントを行うことによって製造コストを低減し、しかも、水位の誤差や時間の誤差を小さくすることができる。
【特許文献1】特開2000−284803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された発明では、生産設備に費やすコストが増加したり生産効率が低下したりするという問題点がある。制御装置を製品に搭載するという生産工程において、基準クロック信号を入力するという誤差の調整作業が必要なためである。
【0005】
図11を参照して、この問題を具体的に説明する。図11は、一般的な洗濯機の構成を表わす図である。図11に示すように、一般的な洗濯機は、マイクロコンピュータ60の外部にクロック信号を生成する発振子を必要とする。発振子として一般的に用いられる物は、セラミック発振子62である。セラミック発振子62の誤差を補正する方法は、入力部64から基準クロック信号を入力し、セラミック発振子62が発振するクロック信号と基準クロック信号との差をEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)66などの不揮発性メモリに記憶させるという方法である。この方法が採用される場合、洗濯機の生産者は、洗濯機の生産のために、基準クロック信号を供給するための発振子を必要とする。また、洗濯機は、誤差を記憶するための不揮発性メモリを必要とする。これらは、いずれも生産に費やすコストの増加をもたらす。
【0006】
セラミック発振子62に代え、マイクロコンピュータ60に内蔵された発振回路によって駆動用クロック信号を得る洗濯機も存在する。この場合、基準クロック信号の入力は不要なので、上述したコストの増加などは回避できる。しかしながら、このような回路が生成したクロック信号を用いる場合、そのクロック信号に基づいて生成されるデータの精度は高くない。たとえば、マイクロコンピュータ60に内蔵された発振回路がクロック信号を生成する場合、マイクロコンピュータ60が計測した時間の精度は高くない。安価なセラミック発振子でもクロック信号における周波数の精度の初期値はセンター値±0.5%であるのに対し、マイクロコンピュータに内蔵された発振回路が生成するクロック信号における周波数の精度の初期値はセンター値±3%〜±10%であるためである。
【0007】
通常、水位センサ17が出力する信号の周波数(20〜27キロHz程度)をマイクロコンピュータ60が検出する場合、クロック信号を基にしてある時間を測定する一方、その時間内に水位センサ17が出力する信号のパルス数を計測することで、水位センサ17が出力する信号の周波数ひいては水位を検出している。ここで、クロック信号の周波数の精度が低いと、その精度に応じて水位の検出誤差が生ずる。マイクロコンピュータ60に内蔵された発信回路がクロック信号を生成する場合、水位の誤差が±60mm以上に達する場合がある。水位に限らず、測定された時間に基づくデータには、同様の誤差が含まれる。例えば、布量を測定するために測定される、モータ7がオフになった後の回転センサ25が出力する信号の間隔には、同様の誤差が含まれる。このことは、セラミック発振子62が生成したクロック信号を用いれば布量の誤差が±0.5%程度であるのに対し、マイクロコンピュータ60に内蔵された発信回路が生成したクロック信号を用いれば布量の誤差が±3%以上になることを意味する。洗濯の際の水位は布量に基づいて決定されるので、布量の誤差が増加することは、洗濯機の性能にも影響することとなる。
【0008】
洗濯機に限らず、エアコン、掃除機、冷蔵庫、電子レンジその他測定された時間に基づいた制御を実施する機器やそのような機器の生産にも、同様の問題が存在する。
【0009】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止できる信号出力装置および洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面にしたがうと、信号出力装置は、入出力手段と、生成手段と、制御手段とを含む。入出力手段は、信号を入力したり出力したりする。生成手段は、一定の周波数で第1の信号を生成する。制御手段は、入出力手段を制御する。入出力手段に入力される信号は、周波数が第1の物理量に対応する信号である第2の信号を含む。制御手段は、第1の算出手段と、決定手段と、第2の算出手段と、入出力手段を制御するための手段とを含む。第1の算出手段は、生成手段が生成した第1の信号の数に基づいて、入出力手段に第2の信号が入力された時から次に第2の信号が入力された時までの時間を、間隔時間として算出する。決定手段は、第2の物理量に基づいて、補正のための値である第1の値を決定する。第2の算出手段は、第1の値を用いて間隔時間を演算することにより、間隔時間の補正値を算出する。入出力手段を制御するための手段は、補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、入出力手段を制御する。
【0011】
また、上述した入出力手段に入力される信号は、交流電力の電圧の範囲を表わす信号である第3の信号の他に、第2の信号を含むことが望ましい。併せて、第1の算出手段は、第1の計数手段と、時間算出手段とを含むことが望ましい。第1の計数手段は、入出力手段に第2の信号が入力された時から次に第2の信号が入力された時までに生成手段が生成した第1の信号の数を計数する。時間算出手段は、第1の計数手段が計数した第1の信号の数に基づいて、間隔時間を算出する。併せて、決定手段は、第2の計数手段と、第3の算出手段と、第1の記憶手段とを含むことが望ましい。第2の計数手段は、第3の信号をトリガとすることにより、基準期間に生成手段が生成する、第1の信号の数を計数する。基準期間は、交流電力の電圧の周期の2分の1の整数倍の期間である。第3の算出手段は、第2の計数手段が計数した第1の信号の数から定数を減算することにより、第1の値を算出する。第1の記憶手段は、第1の値を記憶する。併せて、第2の算出手段は、定数から第1の値を減算した値で定数を除算した値と間隔時間とを用いて、補正値を算出するための手段を含むことが望ましい。
【0012】
もしくは、上述した入出力手段に入力される信号は、周波数が50ヘルツまたは60ヘルツの交流電力の電圧の範囲を表わす第3の信号の他に、第2の信号を含むことが望ましい。
【0013】
もしくは、上述した制御手段は、第2の計数手段が計数した数に応じて、複数の値のいずれかを定数として選択するための第1の選択手段をさらに含むことが望ましい。
【0014】
もしくは、上述した信号出力装置は、検知手段と、第2の記憶手段とをさらに含むことが望ましい。検知手段は、温度を検知する。第2の記憶手段は、複数の値を温度に対応付けて記憶する。併せて、制御手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合、第2の記憶手段が記憶した複数の値のうち検知手段が検知した温度に対応する値を選択するための第2の選択手段をさらに含むことが望ましい。併せて、第2の算出手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合、第1の値に代え、第2の選択手段が選択した値を用いて補正値を算出するための手段を含むことが望ましい。
【0015】
もしくは、上述した第2の信号は、周波数が圧力に対応することが望ましい。併せて、入出力手段に入力される信号は、圧力の目標値に対応する情報を表わす信号をさらに含むことが望ましい。併せて、制御手段は、第3の選択手段と、第4の選択手段とをさらに含むことが望ましい。第3の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に第1の値がある場合に、それぞれ圧力に対応する複数の第2の値の中から、目標値に最も近い圧力に対応する値を、間隔時間の閾値である第3の閾値として選択する。第4の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合に、複数の第2の値のうち2番目以下の圧力に対応する値の中から、目標値に最も近い圧力に対応する値を第3の閾値として選択する。併せて、入出力手段を制御するための手段は、第3の閾値に補正値が達すると、補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、入出力手段を制御するための手段を含むことが望ましい。
【0016】
もしくは、上述した信号出力装置は、第3の記憶手段をさらに含むことが望ましい。第3の記憶手段は、重量と第2の値との対応関係を表わすデータを記憶する。併せて、第2の信号は、周波数が重量に対応することが望ましい。併せて、制御手段は、第5の選択手段と、第6の選択手段とをさらに含むことが望ましい。第5の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に第1の値がある場合に、第2の信号により表わされる重量に最も近い重量に対応する第2の値を、第3の閾値として選択する。第6の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合に、複数の第2の値のうち2番目以下の重量に対応する値の中から、第2の信号により表わされる重量に最も近い重量に対応する値を、第3の閾値として選択する。併せて、入出力手段を制御するための手段は、第3の閾値に補正値が達すると、補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、入出力手段を制御するための手段を含むことが望ましい。
【0017】
また、上述した信号出力装置は、温度を検知するための検知手段をさらに含むことが望ましい。決定手段は、記憶するための手段と、第1の値として値を選択するための手段とを含むことが望ましい。記憶するための手段は、複数の値を温度に対応付けて記憶する。第1の値として値を選択するための手段は、複数の値のうち検知手段が検知した温度に対応する値を第1の値として選択する。
【0018】
もしくは、上述した制御手段は、検知手段が検知した温度が要件を満たす場合に信号を出力するように、入出力手段を制御するための手段をさらに含むことが望ましい。
【0019】
本発明の他の局面に従うと、洗濯機は、上述した信号出力装置を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る信号出力装置および洗濯機は、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態にかかる洗濯機について説明する。
【0023】
図1は本実施の形態にかかる洗濯機30の側面断面図である。洗濯機30は筐体である外箱1に覆われ、外箱1の内部には水槽2が防振機構3によって吊り下げて支持されており、水槽2の内部に脱水槽4が設けられている。脱水槽4は内部に衣類を収容するための洗濯槽を兼ねている。水槽2の下部にはモータ7が設けられ、モータ7の筐体の内側にはモータ7の回転数を検知する回転センサ25が内蔵されている。回転センサ25は、モータ7が回転しているか否かを表わす信号を後述するマイクロコンピュータ42に出力する。モータ7の回転がモータプーリ9とVベルト10とを介してセンタプーリ11に伝えられる。このセンタプーリ11と連結する減速機構8の先端は水槽2内に突出し、そこに脱水槽4と攪拌翼5とが取り付けられている。この機構により、脱水槽4は水槽2内に回転できるように設けられることとなる。この機構により、モータ7は脱水槽4を回転させる装置として動作することとなる。脱水工程時には排水モータ27をオンすることでクラッチ機構12によって脱水槽4と攪拌翼5とが回転し、洗い工程時またはすすぎ工程時には排水モータ27をオフすることでクラッチ機構12および減速機構8によって攪拌翼5のみが回転するようになっている。これらの記載から明らかなように、クラッチ機構12は、脱水槽4とモータ7との間で回転を断続して伝達する機構として動作する。また、減速機構8は脱水槽4の回転を制動するブレーキ機構24を内蔵している。水槽2の下方端部には排水口202が設けられ、排水弁13と排水ホース14とが取り付けられている。減速機構8のケースは二重構造になっている。これらのケースのうち、内側のケースはモータ7が供給する動力により回転する。内側のケースの外周にはブレーキ機構24のブレーキバンドが巻き付けられている。ブレーキバンドが巻き付けられているので、内側のケースはブレーキドラムとして機能する。これらの構造が、ブレーキ機構24を、脱水槽4の回転を制動するためのブレーキとして動作させる。ブレーキ機構24のブレーキバンドはブレーキレバーに連結されている。このブレーキレバーは排水モータ27に連結されている。この排水モータ27には排水弁13が連結されている。これにより排水モータ27はブレーキ機構24と排水弁13とを同時に駆動する装置として機能するようになっている。排水モータ27をオンすることでブレーキ機構24は開放状態となり、オフすることでブレーキ機構24は作動状態となる。外箱1の上部は上面板19で覆われている。上面板19の後方には、水槽2と連結され、水槽2ひいては脱水槽4の水位を検知する水位センサ17が設けられている。水位センサ17は、後述するマイクロコンピュータ42に信号を出力する。この信号の周波数は、水位センサ17が受ける圧力に対応している。マイクロコンピュータ42は、その信号の周波数に基づいて水位センサ17が受ける圧力ひいては水槽2の水位を算出できる。上面板19の後方には、水槽2ひいては脱水槽4に水を供給するための管と、水槽2ひいては脱水槽4への水の流れ道を開閉する給水弁18とが設けられている。給水弁18は、その管の一端に設けられてもよい。しかしながら、本実施の形態の場合、給水弁18は、その管の途中に設けられている。上面板19の中央には蓋16が設けられている。上面板19の中央に設けられているので、蓋16は脱水槽4の口を塞ぐこととなる。上面板19の前方にはユーザインターフェイス部20が設けられている。ユーザインターフェイス部20の背面にはオペレート装置21と蓋ロック機構22とが取り付けられている。オペレート装置21は、給水弁18その他洗濯機30を構成する装置などを制御する。蓋ロック機構22は、蓋16をロックするための機構である。蓋ロック機構22は、蓋ロックソレノイドと、図示しない蓋スイッチとを内蔵している。蓋スイッチは、蓋16が開いているか閉じているかを表わす信号を後述するマイクロコンピュータ42に出力するセンサの一種である。蓋ロック機構22は蓋ロックソレノイドをオンする毎にロックとロック解除とが切り換わるラッチ構造となっている。
【0024】
図2は、本実施の形態にかかる洗濯機30の構成を表わす図である。図2を参照して、洗濯機30は、図1を参照して説明した機構などに加え、ブザー15と、入力部23と、サーミスタ28とを含む。ブザー15は、後述するマイクロコンピュータ42の制御により、終了を報知したり異常を報知したりするために鳴動する。入力部23は、蓋スイッチが出力した信号の入力を受け付ける。サーミスタ28は、温度を検知する。サーミスタ28は、温度を表わす信号を後述するマイクロコンピュータ42に出力する。
【0025】
図2を参照して、オペレート装置21は、第1駆動回路32と、第2駆動回路34と、形成回路36と、リセット回路38と、AC(Alternating Current)回路40と、マイクロコンピュータ42とを含む。第1駆動回路32は、マイクロコンピュータ42が出力した信号に従い、クラッチ機構12、給水弁18、および排水弁13を制御する。第2駆動回路34は、マイクロコンピュータ42が出力した信号に従い、モータ7を制御する。形成回路36は、商用交流電源6が供給する交流電源から回路用の直流電源を生成する。マイクロコンピュータ42は、形成回路36から駆動電源を得ている。リセット回路38は、電源が投入(後述する電源スイッチ204がオン)された時に、マイクロコンピュータ42に対してリセット信号を出力する。AC回路40は、信号を生成する。図3は、商用交流電源6が供給する電力の電圧とAC回路40が生成した信号の矩形波との関係を表わす図である。図3から明らかなように、AC回路40が生成した信号は、商用交流電源6が供給する交流電力の電圧の範囲を表わす。AC回路40は、生成した信号をマイクロコンピュータ42に出力する。なお、以下の説明において、AC回路40が生成した信号を「ACクロック信号」と称する。マイクロコンピュータ42は、洗濯機30の運転を制御するための信号を出力する、信号出力装置である。そのような信号を出力するため、マイクロコンピュータ42は、値や情報を記憶する記憶部、後述する間隔時間を算出する第1算出部、補正のための値を決定する決定部、間隔時間の補正値を算出する第2算出部、および信号の出力を制御する出力制御部として動作する。さらに、マイクロコンピュータ42は、ユーザインターフェイス部20からの各種のスイッチ信号の入力を受け付けると共に、ユーザインターフェイス部20を制御する装置でもある。さらに、マイクロコンピュータ42は、一定の周波数で後述するクロック信号を生成する生成部でもある。
【0026】
図4は、マイクロコンピュータ42の制御ブロック図である。図4を参照して、マイクロコンピュータ42を実現するコンピュータハードウェアは、CPU(Central Processing Unit)500と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)504と、メモリ駆動装置506と、発振回路508と、I/O(Input/Output)510と、バス512とを含む。CPU500は、各処理手順が記述されたプログラムをROM502から得る。CPU500は、そのプログラムを実行する。また、CPU500は、ROM502、RAM504、メモリ駆動装置506、およびI/O510とデータのやりとりを行う。ROM502は、図4のコンピュータが情報処理を行うために必須の情報を格納する。その情報には、それぞれ水槽2の水位に対応し、かつ水位センサ17が出力する信号の周波数を表わす複数の値の情報と、それら複数の値と水槽2の内部の衣類の量との対応関係を表わすデータと、CPU500近傍の温度に対応付けられた、誤差の候補となる複数の値とが含まれる。本実施の形態の場合、この「対応関係を表わすデータ」は、それぞれが衣類の量を表わす複数のデータの集合体である。本実施の形態の場合、衣類の量を表わす複数のデータのアドレスと、前述した水位センサ17が出力する信号の周波数を表わす複数の値がそれぞれ記憶されたアドレスとの間隔が一定値となっているため、CPU500は、衣類の量を表わす複数のデータの集合体を、前述した「対応関係を表わすデータ」として利用できる。ROM502には、マイクロコンピュータ42が洗濯を制御するための制御プログラムもその必須の情報として記憶されている。RAM504は、プログラムを実行するために必要なデータを格納する装置である。メモリ駆動装置506は、PC(Personal Computer)カード600などの、装着や脱着が可能な記録媒体からプログラムを読取る。発振回路508は、一定の周波数でクロック信号を生成する。I/O510は、マイクロコンピュータ42の外部から、信号の入力を受け付ける。本実施の形態の場合、入力される信号の一種には、上述したACクロック信号がある。I/O510が受け付けるACクロック信号は、周波数が50ヘルツの交流電力の電圧の範囲を表わす信号であっても周波数が60ヘルツの交流電力の電圧の範囲を表わす信号であってもよい。ROM502に記憶されたデータなどの相違によって、あるときは前者の信号を受け付け、別のときは後者の信号を受け付けることになっていてもよい。I/O510は、マイクロコンピュータ42の外部へ信号を出力する装置でもある。バス512は、コンピュータを構成する装置を相互に接続する。
【0027】
図5は、ユーザインターフェイス部20の詳細を示す図である。ユーザインターフェイス部20は、複数の操作スイッチと、各種のLED(Light Emitting Diode)とを含む。ユーザインターフェイス部20に含まれるスイッチには、電源スイッチ204と、スタートスイッチ206と、コーススイッチ208と、マニュアルスイッチ210とが含まれる。電源スイッチ204は、洗濯機30の電源をオンにしたりオフにしたりするスイッチである。スタートスイッチ206は、運転の開始や停止をユーザが指示するためのスイッチである。コーススイッチ208は、洗濯コースをユーザが選択するためのスイッチである。マニュアルスイッチ210は、洗濯の条件を工程別に設定するためのスイッチである。ユーザインターフェイス部20のLEDは、選択された洗濯コースや、運転状態や、運転時間などを表示する。
【0028】
図6を参照して、マイクロコンピュータ42で実施されるプログラムは、給水に関し、以下の制御を実行する。
【0029】
ステップS100にて、発振回路508は、一定の周波数でクロック信号を生成する。CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が出力したクロック信号の数を数える。クロック信号の数を数えるため、CPU500は、次に述べる第1の手順と第2の手順とを繰返す。第1の手順は、商用交流電源6の電圧が「0」ボルトか否かをCPU500が定期的に判断する手順である。この判断のため、I/O510は、AC回路40から、商用交流電源6の電圧の範囲を表わす信号である、ACクロック信号の入力を受け付ける。第2の手順は、1度目にその電圧が「0」ボルトになった時から3度目にその電圧が「0」ボルトになった時までの間、発振回路508がクロック信号を出力するたびにCPU500がカウンタの値を「1」増加させる手順である。本来、4度目でも5度目でもそれ以上でもよいのであるが、本実施の形態の場合、商用交流電源6の電圧が3度目に「0」ボルトになった時までの間、発振回路508がクロック信号を出力するたびにCPU500はカウンタの値を「1」増加させる。本実施の形態の場合、「カウンタ」とはCPU500に内蔵された記憶装置の一種である。これにより、CPU500は、ACクロック信号をトリガとすることにより、交流電力の電圧の周期の2分の1に整数を乗算した期間に発振回路508が生成する、クロック信号の数を計数することとなる。なお、以下の説明においてこの期間を「基準期間」と称する。クロック信号の数が数えられると、CPU500は、自らが計数したクロック信号の数から基準カウント数「10000」を減算した値を誤差として算出する。誤差が算出されると、RAM504は、誤差を記憶する。本実施の形態において、「基準カウント数」は、発振回路508が基準期間に出力するクロック信号の数を表わす。本実施の形態において、基準期間は20ミリ秒であることとする。本実施の形態において、基準カウント数の値は「10000」であることとする。これにより、基準カウント数「10000」は、クロック信号の周波数と基準期間との積に対応する定数となる。
【0030】
ステップS102にて、CPU500は、ステップS100にて自らが算出した誤差が所定の範囲に含まれているか否かを判断する。ステップS102において、「所定の範囲」とは、「−300」から「300」までを意味することとする。所定の範囲に含まれていると判断した場合には(ステップS102にてYES)、処理はステップS104へと移される。もしそうでないと(ステップS102にてNO)、処理はステップS118へと移される。
【0031】
ステップS104にて、回転センサ25は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。I/O510は、回転センサ25が出力した信号の入力を受け付ける。この信号が出力される間隔は、脱水槽4の内部の衣類の量に対応する。以下の説明において、回転センサ25からの信号が到達した後、回転センサ25から次に信号が到達するまでの時間を、「間隔時間」と称する。CPU500は、間隔時間に発振回路508が生成するクロック信号の数をカウントする。クロック信号の数が計数されると、CPU500は、自らが計数したクロック信号の数に基づいて、前述した間隔時間を算出する。
【0032】
図7を参照して、間隔時間について説明する。図7は、2種類のパルス信号の対応関係を表わす。図7のうち、上の実線は回転センサ25の出力を時系列に従って示す。下の実線は、発振回路508の出力を時系列に従って示す。上述した間隔時間は、図7において矢印で図示した時間である。
【0033】
ステップS106にて、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する。この補正は、ステップS100にて算出された誤差に基づいて実施される。CPU500は、次に述べる第1の手順から第3の手順までの手順を経て、間隔時間の補正値を算出する。第1の手順は、基準カウント数「10000」から誤差を減算する手順である。第2の手順は、第1の手順において算出した値で基準カウント数「10000」を除算する手順である。第3の手順は、第2の手順において算出した値で、ステップS104にてCPU500が算出した間隔時間を除算する手順である。補正が実施されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量すなわち衣類の重量を決定する。水槽2の内部の衣類の量は、間隔時間に対応するので、所定の係数を乗じたりデータベースを参照したりすることで、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定できる。これにより、回転センサ25とCPU500とは、水槽2の内部の衣類の量を検知する装置を構成することとなる。
【0034】
衣類の量が決定されると、CPU500は、ROM502に記憶された複数の値の中から、閾値を選択する。選択される閾値は、後述するステップS110にてCPU500が計数する周波数の閾値である。本実施の形態の場合、その補正が不要か否かは、発振回路508が生成した信号の数が基準カウント数「10000」に等しいか否かによって判断できる。精度が低いので、前述した基準期間に発振回路508が生成する信号の数は原則として基準カウント数に等しくない。これにより、このステップにおいて選択される閾値は閾値として適当ではない。しかしながら、回転センサ25が出力した信号の周波数が補正されることにより、このステップにおいて選択される閾値は閾値として適当な値となる。なお、前述した複数の値は、それぞれ水槽2の水位に対応している。また、閾値は、次に述べる要件を満たすか否かに応じて選択される。その要件とは、CPU500がステップS100にて計数した数から基準カウント数「10000」を減算した値が「−300」から「300」までの範囲の中にあるか否かという要件である。この要件が満たされている場合、前述した複数の値すべての中から閾値は選択される。この要件が満たされていない場合、前述した複数の値のうち2番目以下の水位に対応する値のいずれかが閾値として選択される。
【0035】
洗濯の開始の際、ユーザインターフェイス部20に水位の目標値が入力されていないために、I/O510にその目標値を表わす信号が入力されていない場合、CPU500は、水槽2の内部の衣類の量に対応するように、閾値を選択する。ただし、「−300」から「300」までの範囲の中にあるか否かという要件が満たされていない場合、選択される閾値は、水槽2の内部の衣類の量に最も近い値である。
【0036】
洗濯の開始の際、ユーザインターフェイス部20に水位の目標値が入力されている場合、選択される閾値はユーザインターフェイス部20に入力された目標値に対応する値である。ただし、「−300」から「300」までの範囲の中にあるか否かという要件が満たされていない場合、選択される閾値は、ユーザインターフェイス部20に入力された目標値に最も近い水位に対応する値である。
【0037】
ステップS108にて、CPU500は、給水弁18を開くための信号を第1駆動回路32に出力する。第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる。
【0038】
ステップS110にて、水位センサ17は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。I/O510は、水位センサ17が出力した信号の入力を受け付ける。上述したように、水位センサ17が出力した信号の周波数は、水位センサ17が受ける水圧ひいては水位に対応している。以下の説明において、水位センサ17が出力した信号を「水位信号」と称する。CPU500は、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の数を計数する。100ミリ秒という時間が経過したことは、発振回路508がいくつのクロック信号を生成したかということに基づいてCPU500によって検知される。信号の数が計数されると、CPU500は、水位信号の周波数を算出する。CPU500が、このステップにて計数した水位信号の数を「0.1」秒で除算することで、1秒間のパルス数が求められる。すなわち周波数である。たとえば、このステップにおいて信号を計数する期間が200ミリ秒であれば、水位信号の周波数を算出するため、CPU500は、このステップにて計数した信号の数を「0.2」で除算することとなる。100ミリ秒という時間が経過したことがクロック信号の数に基づいて検知され、かつこのステップにて計数した水位信号の数を所定の時間で除算することにより水位信号の周波数が算出されるので、CPU500は、クロック信号の数と水位信号の数とに基づいて、水位信号の周波数を算出することとなる。
【0039】
ステップS112にて、CPU500は、ステップS110にて測定した周波数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。この補正のため、CPU500は、次に述べる第1の手順から第3の手順までの手順を経て、周波数の補正値を算出する。第1の手順は、基準カウント数「10000」から誤差を減算する手順である。第2の手順は、第1の手順において算出した値で基準カウント数「10000」を除算する手順である。第3の手順は、第2の手順において算出した値で、ステップS110にてCPU500が算出した周波数を除算する手順である。周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する。
【0040】
ステップS114にて、CPU500は、自らが算出した水槽2の水位がユーザによって設定された水位または次に述べる水位か否かを判断する。その水位とは、CPU500が衣類の量に基づいて設定した水位である。CPU500は、回転センサ25からの信号に基づいて、衣類の量を算出する。CPU500は、ユーザによって水位が設定されていない場合、水槽2の水位が衣類の量に基づいて設定された水位か否かを判断する。ユーザによって設定された水位または衣類の量に基づいて設定された水位と判断した場合には(ステップS114にてYES)、処理はステップS116へと移される。もしそうでないと(ステップS114にてNO)、処理はステップS110へと移される。
【0041】
ステップS116にて、CPU500は、洗濯のための次の工程に進む。そのために、CPU500は、まず給水弁18を閉じるための信号を出力する。前述したように、水槽2の内部における衣類の量は、ステップS106にて補正された間隔時間に対応する。その信号が出力されると、第1駆動回路32は、給水弁18を閉じる。給水弁18が閉じると、給水は停止する。
【0042】
ステップS118にて、CPU500は、自らが算出した誤差がステップS102における「所定の範囲」に含まれていない場合の処理を実施する。CPU500が算出した誤差がステップS102における「所定の範囲」に含まれていないことは、何らかの異常が発生した可能性があることを表す。何らかの異常の例には、商用交流電源6が供給する電力の周波数が50Hzまたは60Hzからずれていることや、発振回路508が故障していることなどが含まれる。このような異常が発生したと考えられるので、ステップS100にてCPU500が算出した誤差は、データの補正に用いる値として適切な値ではない。適切な値ではないので、CPU500は、ROM502に予め記憶された値とサーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度とに基づいて、適切な誤差を算出する。ただし、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度が予め設定された温度の範囲の外である場合、CPU500は、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度を無視し、ROM502に予め記憶された値のみに基づいて、適切な誤差を算出する。「設定された温度の範囲」の例には、263Kから353Kまでの範囲が含まれる。
【0043】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、洗濯機30の動作について説明する。本実施の形態の場合、商用交流電源6が供給する電力の周波数は50Hzであることとする。
【0044】
[誤差に異常がない場合]
運転をスタートした直後に、CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が出力したクロック信号の数を数える。なお、商用交流電源6が供給する電力の周波数が50Hzの場合、AC回路40がACクロック信号を1つ生成するための時間は、0.02秒である。この0.02秒すなわち20ミリ秒が基準期間である。発振回路508が出力するクロック信号の周波数が4MHzの場合、そのクロック信号を分周することにより、2マイクロ秒という時間が得られる。これと先に述べた基準期間とにより基準カウント数の値は「10000」となる。クロック信号の数が数えられると、CPU500は、その数と基準カウント数「10000」との差を誤差として算出する(ステップS100)。
【0045】
誤差が算出されると、CPU500は、その誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれているか否かを判断する(ステップS102)。発振回路508から出力されるクロック信号の周波数がセンター値に等しければ、ステップS100の処理によって数えられた数は、次の式の通り「10000」となる。この場合、CPU500が数えたクロック信号の数の上限値は、約10300となる。その下限値は、約9700となる。これらの値は、クロック信号の誤差の許容値がセンター値から±3%以内であることを表わす。なお、この場合のセンター値は4MHz±0.0%である。
【0046】
0.02秒/2マイクロ秒=0.02秒/0.000002秒=10000
この場合、誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれているとすると(ステップS102にてYES)、CPU500は、間隔時間を算出する(ステップS104)。間隔時間が算出されると、CPU500は、ステップS100にて算出した誤差を用いて演算することにより、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する。補正が実施されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する(ステップS106)。
【0047】
衣類の量すなわち重量を決定するための手順は、次の通りである。まず、運転を開始してから、水槽2に水を入れる前に、第2駆動回路34は、モータ7を左右に反転させる。モータ7が左右に反転すると、CPU500は、前述した間隔時間を算出する。その間隔が算出されると、CPU500は、その間隔に係数を乗じることで、衣類の量を算出する。衣類が多ければ、間隔時間は小さくなる。衣類が少なければ、間隔時間は大きくなる。
【0048】
衣類の量が決定されると、第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる(ステップS108)。給水弁18が開くと、水位センサ17は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。CPU500は、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数を算出する(ステップS110)。
【0049】
本実施の形態の場合、CPU500は、予め設定された時間にCPU500に入力される信号の数をカウントし、その数を「0.1」秒で除算することで水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数を算出している。その「予め設定された時間」は、クロック信号の生成の間隔を基にして設定される時間である。本実施の形態の場合、「予め設定された時間」の具体的な値は、100ミリ秒であることとする。これにより、CPU500に入力される信号の数が「2500」ならば、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数は25キロHzとなる。
【0050】
水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数が算出されると、CPU500は、その数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。その数に誤差が含まれている場合、水槽2の水位が正しく検出されないためである。例えば、クロック信号の誤差がセンター値に対して−3%ずれている場合、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数は約2575Hzとなる。ステップS100にて算出された誤差は「約−300」となる。これにより、CPU500は、補正後の周波数を、次式の演算により算出できる。
【0051】
補正後の周波数=補正前の周波数/(1−誤差/10000)
なお、この式における「誤差」とは、ステップS100にて算出されたクロック信号の誤差を意味する。クロック信号の誤差がセンター値に対して−3%ずれている場合、補正後の周波数は、2500Hzとなる。
【0052】
周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する(ステップS112)。水槽2の水位は、水位センサ17が出力する水位信号の周波数に比例する。これにより、実験その他の方法により予め特定しておいた係数を補正後の周波数に乗じるという方法で、CPU500は、水槽2の水位を算出できる。
【0053】
水槽2の水位が算出されると、CPU500は、自らが算出した水槽2の水位がユーザによって設定された水位または衣類の量に基づいて設定された水位か否かを判断する(ステップS114)。給水が開始された直後の水位はそのような水位ではないので(ステップS114にてNO)、ステップS110からステップS114までの処理が繰返される。その後、水槽2の水位がユーザによって設定された水位または衣類の量に基づいて設定された水位に達すると(ステップS114にてYES)、CPU500は、洗濯のための次の工程に進む(ステップS116)。
【0054】
[誤差に異常がある場合]
ステップS100の処理を経て誤差が算出されると、CPU500は、その誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれているか否かを判断する(ステップS102)。この場合、誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれていないとすると(ステップS102にてNO)、CPU500は、ROM502に予め記憶された値の中から、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度に対応する値を誤差の値として選択する。ただし、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度が予め設定された温度の範囲の外である場合、CPU500は、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度を無視し、ROM502に予め記憶された値のみに基づいて、適切な誤差を算出する(ステップS118)。この場合、ユーザインターフェイス部20に対する入力のうち、最高の水位を設定するための入力をCPU500は受け付けない。水槽2から水がオーバーフローしてしまうことを防止するためである。
【0055】
誤差が算出されると、ステップS104の処理を経て、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する(ステップS106)。この場合、衣類の量は、最高の水位から数えて2番目以下の所定の水位に対応する量に決定される。水槽2から水がオーバーフローしてしまうことを防止するためである。
【0056】
以上のようにして、本実施の形態にかかる洗濯機は、動作のためのクロック信号を容易に補正できる。クロックが容易に補正されるので、外部から基準クロックを入力する必要がない。これにより、生産設備の設置を抑制できる。基準クロックを入力することによる、生産効率の低下も防止される。クロックの発振器を内蔵したコンピュータを利用できるので、生産コストも低下する。その結果、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止でき、かつ生産コストを抑制できる洗濯機を提供できる。
【0057】
また、本実施の形態にかかる洗濯機は、交流電力の電圧の範囲に基づいて、動作のためのクロック信号を容易に補正できる。交流電力の電圧は、基準とする時間を検知するためには便利な物理量である。基準とする時間を検知するためには便利な物理量なので、クロック信号の生成のために必要な回路はそれほど多くない。その結果、生産コストを効果的に抑制できる洗濯機を提供できる。
【0058】
また、本実施の形態にかかる洗濯機は、算出された誤差が適切でない場合には、予め記憶された値や検出された温度に基づいて制御を実施する。検知された温度も適切でない場合には、サーミスタが検知した温度を無視し、予め記憶された値に基づいて制御を実施する。これにより、適切な誤差が算出できない場合であっても洗濯を実施することができる。
【0059】
また、本実施の形態にかかる洗濯機は、算出された誤差が適切でない場合には、水槽の水位を制限する。これにより、水槽から水がオーバーフローしてしまうことを防止できる。
【0060】
なお、本実施の形態の第1の変形例において、CPU500は、運転をスタートした直後ばかりではなく、クロック信号を利用するたびにその誤差を補正してもよい。近年、乾燥機能が付き、運転時間が長くなったことにより、マイクロコンピュータ周囲の温度が運転中に変わる場合もあるためである。
【0061】
また、本実施の形態の第2の変形例において、CPU500は、ステップS118の処理として、ブザー15を鳴らしたりユーザインターフェイス部20のLEDを点灯させたりしてもよい。この場合、I/O510は、ブザー15やLEDを介して情報を出力するよう動作する。これにより、洗濯機は、算出された誤差が適切でない場合には、そのことをユーザに報知できる。
【0062】
また、本実施の形態の第3の変形例において、マイクロコンピュータ42は、洗濯機以外の装置に搭載されたマイクロコンピュータであってもよい。「洗濯機以外の装置」の例には、エアコンや、掃除機や、冷蔵庫や、電子レンジが含まれる。
【0063】
また、本実施の形態の第4の変形例において、CPU500は、ステップS100の処理として、AC回路40がACクロック信号を2分の1サイクル分変換する時間に、発振回路508が出力したクロックの数を数えてもよい。この場合、CPU500は、交流電力の電圧の周期の2分の1の期間に発振回路508が生成する信号の数を計数することとなる。
【0064】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態にかかる洗濯機について説明する。
【0065】
本実施の形態にかかる洗濯機30のハードウェア構成は、前述した第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0066】
図8を参照して、マイクロコンピュータ42で実施されるプログラムは、給水に関し、以下の制御を実行する。
【0067】
ステップS130にて、CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が生成したクロック信号の数を数える。その数が数えられると、CPU500は、その数を表わすデータをRAM504に記憶させる。
【0068】
ステップS132にて、CPU500は、ステップS130にて自らが数えたクロック信号の数が閾値以上か否かを判断する。本実施の形態のステップS132において、閾値の値は「8900」である。この値は、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が50Hzの場合、基準カウント数が「10000」になり、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が60Hzの場合、基準カウント数が「8333」になることに基づく。ステップS130にて自らが数えたクロック信号の数が閾値以上と判断した場合には(ステップS132にてYES)、処理はステップS134へと移される。もしそうでないと(ステップS132にてNO)、処理はステップS136へと移される。
【0069】
ステップS134にて、CPU500は、自らが内蔵するレジスタのうちフラグの値を格納する領域に「0」という値を記憶させる。このことは、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が50Hzであることを表わす。ステップS136にて、CPU500は、自らが内蔵するレジスタのうちフラグの値を格納する領域に「1」という値を記憶させる。このことは、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が60Hzであることを表わす。ステップS130からステップS134までの処理またはステップS130からステップS136までの処理により、CPU500は、基準期間にCPU500が計数する信号の数に応じて、複数の値のいずれかを選択することとなる。
【0070】
ステップS138にて、CPU500は、RAM504のうち基準カウント数を表わす領域に値を記憶させる。記憶される値は、ステップS134またはステップS136の処理によって記憶されたフラグの値に対応する。フラグの値が「0」の場合、基準カウント数を表わす領域に記憶される値は「10000」である。フラグの値が「1」の場合、基準カウント数を表わす領域に記憶される値は「8333」である。
【0071】
ステップS139にて、CPU500などは、洗濯機30を運転するための処理を実施する。この処理は、第1の実施の形態におけるステップS100からステップS116までの処理に相当する。
【0072】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、洗濯機30の動作について説明する。
【0073】
CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が生成したクロック信号の数を数える。その数が数えられると、CPU500は、その数を表わすデータをRAM504に記憶させる(ステップS130)。データが記憶されると、CPU500は、ステップS130にて自らが数えたクロック信号の数が「8900」以上か否かを判断する(ステップS132)。この場合、クロック信号の数が「8900」以上とすると(ステップS132にてYES)、CPU500は、自らが内蔵するレジスタのうちフラグの値を格納する領域に「0」という値を記憶させる(ステップS134)。「0」という値が記憶されると、CPU500は、RAM504のうち基準カウント数を表わす領域に「10000」という値を記憶させる(ステップS138)。
【0074】
基準カウント数を表わす領域に「10000」という値が記憶されると、CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に発振回路508が出力したクロック信号の数を数える。クロック信号の数が数えられると、CPU500は、その数と基準カウント数との差を誤差として算出する(ステップS100)。これにより、CPU500は、CPU500自身が計数したクロック信号の数からCPU500自身が選択した基準カウント数の値を減算することにより、誤差の値を算出することとなる。
【0075】
誤差が算出されると、CPU500は、センター値から±3%の範囲にその誤差が含まれているか否かを判断する(ステップS102)。発振回路508から出力されるクロック信号がセンター値に等しければ、ステップS100の処理によって数えられた数は、ステップS138にて記憶された基準カウント数に等しくなる。
【0076】
この場合、センター値から±3%の範囲にその誤差が含まれているとすると(ステップS102にてYES)、CPU500は、間隔時間を算出する(ステップS104)。間隔時間が算出されると、CPU500は、ステップS100にて算出した誤差を用いて演算することにより、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する。補正が実施されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する(ステップS106)。衣類の量を決定するための手順は、第1の実施の形態と同様である。
【0077】
衣類の量が決定されると、CPU500は、第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる(ステップS108)。給水弁18が開くと、水位センサ17は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。CPU500は、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する水位信号の周波数を算出する(ステップS110)。
【0078】
水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する水位信号の周波数が算出されると、CPU500は、その周波数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する(ステップS112)。
【0079】
CPU500は、ステップS110にて算出した周波数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。この補正のため、CPU500は、次に述べる第1の手順から第3の手順までの手順を経て、周波数の補正値を算出する。第1の手順は、ステップS138にて記憶された基準カウント数から誤差を減算する手順である。第2の手順は、第1の手順において算出した値でステップS138にて記憶された基準カウント数を除算する手順である。第3の手順は、第2の手順において算出した値で、ステップS110にてCPU500が算出した周波数を除算する手順である。周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する。
【0080】
水槽2の水位が算出されると、CPU500は、自らが算出した水槽2の水位が設定された水位か否かを判断する(ステップS114)。給水が開始された直後の水位はそのような水位ではないので(ステップS114にてNO)、ステップS110からステップS114までの処理が繰返される。その後、水槽2の水位がが設設定された水位に達すると(ステップS114にてYES)、CPU500は、洗濯のための次の工程に進む(ステップS116)。
【0081】
以上のようにして、本実施の形態にかかる洗濯機は、商用交流電源が供給する交流電源の周波数にあわせて水位や衣類の量を補正できる。これにより、交流電源の周波数にあわせた補正が実施されない場合に比べて、補正されたクロックの精度が向上する。また、クロックが容易に補正されるので、外部から基準クロックを入力する必要がない。基準クロックを入力する必要がないので、生産設備の設置を抑制できる。基準クロックを入力することによる、生産効率の低下も防止される。発振回路を内蔵したコンピュータを利用できるので、生産コストも低下する。その結果、ある程度クロックの精度を高めることができ、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止でき、かつ生産コストを抑制できる洗濯機を提供できる。
【0082】
なお、本実施の形態の第1の変形例において、CPU500は、運転をスタートした直後ばかりではなく、繰返して周波数の判定や基準カウント数の設定を実施してもよい。それらを実施する周期は、一定の周期であっても、不定期であってもよい。
【0083】
また、本実施の形態の第2の変形例において、マイクロコンピュータ42は、洗濯機以外の装置に搭載されたマイクロコンピュータであってもよい。「洗濯機以外の装置」の例には、エアコンや、掃除機や、冷蔵庫や、電子レンジが含まれる。
【0084】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態にかかる洗濯機について説明する。
【0085】
本実施の形態にかかる洗濯機30のROM502は、第1の実施の形態の説明において説明したデータなどに加え、マイコン駆動用クロックの補正値を表わすデータベースを記憶する。図9は、このデータベースを表わす概念図である。図9を参照して、このデータベースを構成するデータは、サーミスタ28が検知する温度に対応付けられている。本実施の形態の場合、このデータベースは、基準温度である298Kの場合の補正値を「1.00」とし、かつ5Kおきの補正値を含む。なお、その他のハードウェア構成は、前述した第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0086】
図10を参照して、マイクロコンピュータ42で実施されるプログラムは、給水に関し、以下の制御を実行する。なお、図10に示すフローチャートの中で、前述の図6に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0087】
ステップS140にて、サーミスタ28は、温度を検知する。サーミスタ28は、その温度を表す信号をマイクロコンピュータ42に出力する。
【0088】
ステップS142にて、CPU500は、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度が所定の範囲に含まれているか否かを判断する。ステップS142において、「所定の範囲」とは、「263K」から「353K」までを意味することとする。所定の範囲に含まれていると判断した場合には(ステップS142にてYES)、処理はステップS104へと移される。もしそうでないと(ステップS142にてNO)、処理はステップS158へと移される。
【0089】
ステップS146にて、CPU500は、ROM502が記憶したデータベースのうち、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度に対応するデータをRAM504に複写する。これにより、CPU500は、ROM502がデータベースとして記憶した複数の値のうちサーミスタ28が検知した温度に対応する値を係数として選択することとなる。データが複写されると、CPU500は、ステップS104にて自らが算出した間隔時間を、RAM504に複写されたデータが表わす値すなわち係数で除算する。これにより、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間の補正値を算出することとなる。間隔時間が補正されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する。
【0090】
ステップS148にて、CPU500は、給水弁18を開くための信号を第1駆動回路32に出力する。第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる。
【0091】
ステップS152にて、CPU500は、ステップS110にて算出した周波数に、ステップS146にて複写されたデータが表わす値を乗算する。値が乗算されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する。
【0092】
ステップS158にて、CPU500は、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度がステップS142における「所定の範囲」に含まれていない場合の処理を実施する。本実施の形態の場合、その処理は、ブザー15を鳴らしたり、ユーザインターフェイス部20のLEDに異常が発生したことを表示させたりする処理である。この場合、マイクロコンピュータ42のI/O510は、ブザー15やユーザインターフェイス部20のLEDを介して情報を出力するよう動作する。
【0093】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、洗濯機30の動作について説明する。
【0094】
サーミスタ28は、温度を検知する。この場合、検知された温度は313Kであったとする。サーミスタ28は、その温度を表す信号をマイクロコンピュータ42に出力する(ステップS140)。信号が出力されると、CPU500は、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度が所定の範囲に含まれているか否かを判断する(ステップS142)。この場合、所定の範囲に含まれていると判断したとすると(ステップS142にてYES)、ステップS104の処理を経て、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する(ステップS146)。ROM502が記憶したデータベースのうち313Kに対応付けられたデータは、基準温度に対応付けられた周波数に対し、2%周波数が高くなることを表わす。このデータに基づいて、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間を「1.02」で除算する。除算の結果として得られた値が、補正後の間隔時間を表わす。間隔時間が補正されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する。
【0095】
衣類の量が決定されると、CPU500は、給水弁18を開くための信号を第1駆動回路32に出力する。第1駆動回路32は、給水弁18を開く(ステップS148)。これにより、水槽2の内部には水が満たされる。給水弁18が開かれると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する(ステップS152)。
【0096】
以上のようにして、本実施の形態にかかる洗濯機は、温度に応じて周波数の値を補正する。値が補正されるので、外部から基準クロックを入力する必要がない。基準クロックを入力する必要がないので、生産設備の設置を抑制できる。基準クロックを入力することによる、生産効率の低下も防止される。クロックの発振器を内蔵したコンピュータを利用できるので、生産コストも低下する。あわせて、使用中の温度の変化に対応するように周波数を補正できる。その結果、温度の影響により生じる誤差の発生を防止でき、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止でき、かつ生産コストを抑制できる洗濯機を提供できる。
【0097】
また、本実施の形態の変形例において、マイクロコンピュータ42は、洗濯機以外の装置に搭載されたマイクロコンピュータであってもよい。「洗濯機以外の装置」の例には、エアコンや、掃除機や、冷蔵庫や、電子レンジが含まれる。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機の構成を表わす図である。
【図3】商用交流電源が供給する電力の電圧とAC回路が生成した信号の矩形波との関係を表わす図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロコンピュータの制御ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るユーザインターフェイス部の詳細を表わす図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る給水処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る2種類のパルス信号の対応関係を表わす図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る給水処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るROMに保存されたデータベースを表わす概念図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る給水処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図11】一般的な洗濯機の構成を表わす概念図である。
【符号の説明】
【0100】
1 外箱、2 水槽、3 防振機構、4 脱水槽、5 攪拌翼、6 商用交流電源、7 モータ、8 減速機構、9 モータプーリ、10 Vベルト、11 センタプーリ、12 クラッチ機構、13 排水弁、14 排水ホース、15 ブザー、16 蓋、17 水位センサ、18 給水弁、19 上面板、20 ユーザインターフェイス部、21 オペレート装置、22 蓋ロック機構、23,64 入力部、24 ブレーキ機構、25 回転センサ、27 排水モータ、28 サーミスタ、30 洗濯機、32 第1駆動回路、34 第2駆動回路、36 形成回路、38 リセット回路、40 AC回路、42,60 マイクロコンピュータ、62 セラミック発振子、66 EEPROM、202 排水口、204 電源スイッチ、206 スタートスイッチ、208 コーススイッチ、210 マニュアルスイッチ、500 CPU、502 ROM、504 RAM、506 メモリ駆動装置、508 発振回路、510 I/O、512 バス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号出力装置および洗濯機に関し、特に、低い精度の周波数に基づいて監視を行う信号出力装置および洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マイクロコンピュータを備える制御装置を開示する。マイクロコンピュータは、外部から与えられた基準クロック信号と予め記憶されているクロック信号の周波数の情報とに基づいて、マイクロコンピュータ駆動用クロック信号の周波数の誤差を検出し、検出された誤差を記憶し、マイクロコンピュータ駆動用クロック信号を基にして生成されるデータを、誤差の検出結果に基づいて補正する。
【0003】
特許文献1に開示された発明によると、海外向け製品と国内向け製品との区別をなくし、周波数精度が低いマイクロコンピュータ駆動用クロックを使用して水位検出や時間カウントを行うことによって製造コストを低減し、しかも、水位の誤差や時間の誤差を小さくすることができる。
【特許文献1】特開2000−284803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された発明では、生産設備に費やすコストが増加したり生産効率が低下したりするという問題点がある。制御装置を製品に搭載するという生産工程において、基準クロック信号を入力するという誤差の調整作業が必要なためである。
【0005】
図11を参照して、この問題を具体的に説明する。図11は、一般的な洗濯機の構成を表わす図である。図11に示すように、一般的な洗濯機は、マイクロコンピュータ60の外部にクロック信号を生成する発振子を必要とする。発振子として一般的に用いられる物は、セラミック発振子62である。セラミック発振子62の誤差を補正する方法は、入力部64から基準クロック信号を入力し、セラミック発振子62が発振するクロック信号と基準クロック信号との差をEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)66などの不揮発性メモリに記憶させるという方法である。この方法が採用される場合、洗濯機の生産者は、洗濯機の生産のために、基準クロック信号を供給するための発振子を必要とする。また、洗濯機は、誤差を記憶するための不揮発性メモリを必要とする。これらは、いずれも生産に費やすコストの増加をもたらす。
【0006】
セラミック発振子62に代え、マイクロコンピュータ60に内蔵された発振回路によって駆動用クロック信号を得る洗濯機も存在する。この場合、基準クロック信号の入力は不要なので、上述したコストの増加などは回避できる。しかしながら、このような回路が生成したクロック信号を用いる場合、そのクロック信号に基づいて生成されるデータの精度は高くない。たとえば、マイクロコンピュータ60に内蔵された発振回路がクロック信号を生成する場合、マイクロコンピュータ60が計測した時間の精度は高くない。安価なセラミック発振子でもクロック信号における周波数の精度の初期値はセンター値±0.5%であるのに対し、マイクロコンピュータに内蔵された発振回路が生成するクロック信号における周波数の精度の初期値はセンター値±3%〜±10%であるためである。
【0007】
通常、水位センサ17が出力する信号の周波数(20〜27キロHz程度)をマイクロコンピュータ60が検出する場合、クロック信号を基にしてある時間を測定する一方、その時間内に水位センサ17が出力する信号のパルス数を計測することで、水位センサ17が出力する信号の周波数ひいては水位を検出している。ここで、クロック信号の周波数の精度が低いと、その精度に応じて水位の検出誤差が生ずる。マイクロコンピュータ60に内蔵された発信回路がクロック信号を生成する場合、水位の誤差が±60mm以上に達する場合がある。水位に限らず、測定された時間に基づくデータには、同様の誤差が含まれる。例えば、布量を測定するために測定される、モータ7がオフになった後の回転センサ25が出力する信号の間隔には、同様の誤差が含まれる。このことは、セラミック発振子62が生成したクロック信号を用いれば布量の誤差が±0.5%程度であるのに対し、マイクロコンピュータ60に内蔵された発信回路が生成したクロック信号を用いれば布量の誤差が±3%以上になることを意味する。洗濯の際の水位は布量に基づいて決定されるので、布量の誤差が増加することは、洗濯機の性能にも影響することとなる。
【0008】
洗濯機に限らず、エアコン、掃除機、冷蔵庫、電子レンジその他測定された時間に基づいた制御を実施する機器やそのような機器の生産にも、同様の問題が存在する。
【0009】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止できる信号出力装置および洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面にしたがうと、信号出力装置は、入出力手段と、生成手段と、制御手段とを含む。入出力手段は、信号を入力したり出力したりする。生成手段は、一定の周波数で第1の信号を生成する。制御手段は、入出力手段を制御する。入出力手段に入力される信号は、周波数が第1の物理量に対応する信号である第2の信号を含む。制御手段は、第1の算出手段と、決定手段と、第2の算出手段と、入出力手段を制御するための手段とを含む。第1の算出手段は、生成手段が生成した第1の信号の数に基づいて、入出力手段に第2の信号が入力された時から次に第2の信号が入力された時までの時間を、間隔時間として算出する。決定手段は、第2の物理量に基づいて、補正のための値である第1の値を決定する。第2の算出手段は、第1の値を用いて間隔時間を演算することにより、間隔時間の補正値を算出する。入出力手段を制御するための手段は、補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、入出力手段を制御する。
【0011】
また、上述した入出力手段に入力される信号は、交流電力の電圧の範囲を表わす信号である第3の信号の他に、第2の信号を含むことが望ましい。併せて、第1の算出手段は、第1の計数手段と、時間算出手段とを含むことが望ましい。第1の計数手段は、入出力手段に第2の信号が入力された時から次に第2の信号が入力された時までに生成手段が生成した第1の信号の数を計数する。時間算出手段は、第1の計数手段が計数した第1の信号の数に基づいて、間隔時間を算出する。併せて、決定手段は、第2の計数手段と、第3の算出手段と、第1の記憶手段とを含むことが望ましい。第2の計数手段は、第3の信号をトリガとすることにより、基準期間に生成手段が生成する、第1の信号の数を計数する。基準期間は、交流電力の電圧の周期の2分の1の整数倍の期間である。第3の算出手段は、第2の計数手段が計数した第1の信号の数から定数を減算することにより、第1の値を算出する。第1の記憶手段は、第1の値を記憶する。併せて、第2の算出手段は、定数から第1の値を減算した値で定数を除算した値と間隔時間とを用いて、補正値を算出するための手段を含むことが望ましい。
【0012】
もしくは、上述した入出力手段に入力される信号は、周波数が50ヘルツまたは60ヘルツの交流電力の電圧の範囲を表わす第3の信号の他に、第2の信号を含むことが望ましい。
【0013】
もしくは、上述した制御手段は、第2の計数手段が計数した数に応じて、複数の値のいずれかを定数として選択するための第1の選択手段をさらに含むことが望ましい。
【0014】
もしくは、上述した信号出力装置は、検知手段と、第2の記憶手段とをさらに含むことが望ましい。検知手段は、温度を検知する。第2の記憶手段は、複数の値を温度に対応付けて記憶する。併せて、制御手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合、第2の記憶手段が記憶した複数の値のうち検知手段が検知した温度に対応する値を選択するための第2の選択手段をさらに含むことが望ましい。併せて、第2の算出手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合、第1の値に代え、第2の選択手段が選択した値を用いて補正値を算出するための手段を含むことが望ましい。
【0015】
もしくは、上述した第2の信号は、周波数が圧力に対応することが望ましい。併せて、入出力手段に入力される信号は、圧力の目標値に対応する情報を表わす信号をさらに含むことが望ましい。併せて、制御手段は、第3の選択手段と、第4の選択手段とをさらに含むことが望ましい。第3の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に第1の値がある場合に、それぞれ圧力に対応する複数の第2の値の中から、目標値に最も近い圧力に対応する値を、間隔時間の閾値である第3の閾値として選択する。第4の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合に、複数の第2の値のうち2番目以下の圧力に対応する値の中から、目標値に最も近い圧力に対応する値を第3の閾値として選択する。併せて、入出力手段を制御するための手段は、第3の閾値に補正値が達すると、補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、入出力手段を制御するための手段を含むことが望ましい。
【0016】
もしくは、上述した信号出力装置は、第3の記憶手段をさらに含むことが望ましい。第3の記憶手段は、重量と第2の値との対応関係を表わすデータを記憶する。併せて、第2の信号は、周波数が重量に対応することが望ましい。併せて、制御手段は、第5の選択手段と、第6の選択手段とをさらに含むことが望ましい。第5の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に第1の値がある場合に、第2の信号により表わされる重量に最も近い重量に対応する第2の値を、第3の閾値として選択する。第6の選択手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に第1の値がある場合に、複数の第2の値のうち2番目以下の重量に対応する値の中から、第2の信号により表わされる重量に最も近い重量に対応する値を、第3の閾値として選択する。併せて、入出力手段を制御するための手段は、第3の閾値に補正値が達すると、補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、入出力手段を制御するための手段を含むことが望ましい。
【0017】
また、上述した信号出力装置は、温度を検知するための検知手段をさらに含むことが望ましい。決定手段は、記憶するための手段と、第1の値として値を選択するための手段とを含むことが望ましい。記憶するための手段は、複数の値を温度に対応付けて記憶する。第1の値として値を選択するための手段は、複数の値のうち検知手段が検知した温度に対応する値を第1の値として選択する。
【0018】
もしくは、上述した制御手段は、検知手段が検知した温度が要件を満たす場合に信号を出力するように、入出力手段を制御するための手段をさらに含むことが望ましい。
【0019】
本発明の他の局面に従うと、洗濯機は、上述した信号出力装置を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る信号出力装置および洗濯機は、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態にかかる洗濯機について説明する。
【0023】
図1は本実施の形態にかかる洗濯機30の側面断面図である。洗濯機30は筐体である外箱1に覆われ、外箱1の内部には水槽2が防振機構3によって吊り下げて支持されており、水槽2の内部に脱水槽4が設けられている。脱水槽4は内部に衣類を収容するための洗濯槽を兼ねている。水槽2の下部にはモータ7が設けられ、モータ7の筐体の内側にはモータ7の回転数を検知する回転センサ25が内蔵されている。回転センサ25は、モータ7が回転しているか否かを表わす信号を後述するマイクロコンピュータ42に出力する。モータ7の回転がモータプーリ9とVベルト10とを介してセンタプーリ11に伝えられる。このセンタプーリ11と連結する減速機構8の先端は水槽2内に突出し、そこに脱水槽4と攪拌翼5とが取り付けられている。この機構により、脱水槽4は水槽2内に回転できるように設けられることとなる。この機構により、モータ7は脱水槽4を回転させる装置として動作することとなる。脱水工程時には排水モータ27をオンすることでクラッチ機構12によって脱水槽4と攪拌翼5とが回転し、洗い工程時またはすすぎ工程時には排水モータ27をオフすることでクラッチ機構12および減速機構8によって攪拌翼5のみが回転するようになっている。これらの記載から明らかなように、クラッチ機構12は、脱水槽4とモータ7との間で回転を断続して伝達する機構として動作する。また、減速機構8は脱水槽4の回転を制動するブレーキ機構24を内蔵している。水槽2の下方端部には排水口202が設けられ、排水弁13と排水ホース14とが取り付けられている。減速機構8のケースは二重構造になっている。これらのケースのうち、内側のケースはモータ7が供給する動力により回転する。内側のケースの外周にはブレーキ機構24のブレーキバンドが巻き付けられている。ブレーキバンドが巻き付けられているので、内側のケースはブレーキドラムとして機能する。これらの構造が、ブレーキ機構24を、脱水槽4の回転を制動するためのブレーキとして動作させる。ブレーキ機構24のブレーキバンドはブレーキレバーに連結されている。このブレーキレバーは排水モータ27に連結されている。この排水モータ27には排水弁13が連結されている。これにより排水モータ27はブレーキ機構24と排水弁13とを同時に駆動する装置として機能するようになっている。排水モータ27をオンすることでブレーキ機構24は開放状態となり、オフすることでブレーキ機構24は作動状態となる。外箱1の上部は上面板19で覆われている。上面板19の後方には、水槽2と連結され、水槽2ひいては脱水槽4の水位を検知する水位センサ17が設けられている。水位センサ17は、後述するマイクロコンピュータ42に信号を出力する。この信号の周波数は、水位センサ17が受ける圧力に対応している。マイクロコンピュータ42は、その信号の周波数に基づいて水位センサ17が受ける圧力ひいては水槽2の水位を算出できる。上面板19の後方には、水槽2ひいては脱水槽4に水を供給するための管と、水槽2ひいては脱水槽4への水の流れ道を開閉する給水弁18とが設けられている。給水弁18は、その管の一端に設けられてもよい。しかしながら、本実施の形態の場合、給水弁18は、その管の途中に設けられている。上面板19の中央には蓋16が設けられている。上面板19の中央に設けられているので、蓋16は脱水槽4の口を塞ぐこととなる。上面板19の前方にはユーザインターフェイス部20が設けられている。ユーザインターフェイス部20の背面にはオペレート装置21と蓋ロック機構22とが取り付けられている。オペレート装置21は、給水弁18その他洗濯機30を構成する装置などを制御する。蓋ロック機構22は、蓋16をロックするための機構である。蓋ロック機構22は、蓋ロックソレノイドと、図示しない蓋スイッチとを内蔵している。蓋スイッチは、蓋16が開いているか閉じているかを表わす信号を後述するマイクロコンピュータ42に出力するセンサの一種である。蓋ロック機構22は蓋ロックソレノイドをオンする毎にロックとロック解除とが切り換わるラッチ構造となっている。
【0024】
図2は、本実施の形態にかかる洗濯機30の構成を表わす図である。図2を参照して、洗濯機30は、図1を参照して説明した機構などに加え、ブザー15と、入力部23と、サーミスタ28とを含む。ブザー15は、後述するマイクロコンピュータ42の制御により、終了を報知したり異常を報知したりするために鳴動する。入力部23は、蓋スイッチが出力した信号の入力を受け付ける。サーミスタ28は、温度を検知する。サーミスタ28は、温度を表わす信号を後述するマイクロコンピュータ42に出力する。
【0025】
図2を参照して、オペレート装置21は、第1駆動回路32と、第2駆動回路34と、形成回路36と、リセット回路38と、AC(Alternating Current)回路40と、マイクロコンピュータ42とを含む。第1駆動回路32は、マイクロコンピュータ42が出力した信号に従い、クラッチ機構12、給水弁18、および排水弁13を制御する。第2駆動回路34は、マイクロコンピュータ42が出力した信号に従い、モータ7を制御する。形成回路36は、商用交流電源6が供給する交流電源から回路用の直流電源を生成する。マイクロコンピュータ42は、形成回路36から駆動電源を得ている。リセット回路38は、電源が投入(後述する電源スイッチ204がオン)された時に、マイクロコンピュータ42に対してリセット信号を出力する。AC回路40は、信号を生成する。図3は、商用交流電源6が供給する電力の電圧とAC回路40が生成した信号の矩形波との関係を表わす図である。図3から明らかなように、AC回路40が生成した信号は、商用交流電源6が供給する交流電力の電圧の範囲を表わす。AC回路40は、生成した信号をマイクロコンピュータ42に出力する。なお、以下の説明において、AC回路40が生成した信号を「ACクロック信号」と称する。マイクロコンピュータ42は、洗濯機30の運転を制御するための信号を出力する、信号出力装置である。そのような信号を出力するため、マイクロコンピュータ42は、値や情報を記憶する記憶部、後述する間隔時間を算出する第1算出部、補正のための値を決定する決定部、間隔時間の補正値を算出する第2算出部、および信号の出力を制御する出力制御部として動作する。さらに、マイクロコンピュータ42は、ユーザインターフェイス部20からの各種のスイッチ信号の入力を受け付けると共に、ユーザインターフェイス部20を制御する装置でもある。さらに、マイクロコンピュータ42は、一定の周波数で後述するクロック信号を生成する生成部でもある。
【0026】
図4は、マイクロコンピュータ42の制御ブロック図である。図4を参照して、マイクロコンピュータ42を実現するコンピュータハードウェアは、CPU(Central Processing Unit)500と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)504と、メモリ駆動装置506と、発振回路508と、I/O(Input/Output)510と、バス512とを含む。CPU500は、各処理手順が記述されたプログラムをROM502から得る。CPU500は、そのプログラムを実行する。また、CPU500は、ROM502、RAM504、メモリ駆動装置506、およびI/O510とデータのやりとりを行う。ROM502は、図4のコンピュータが情報処理を行うために必須の情報を格納する。その情報には、それぞれ水槽2の水位に対応し、かつ水位センサ17が出力する信号の周波数を表わす複数の値の情報と、それら複数の値と水槽2の内部の衣類の量との対応関係を表わすデータと、CPU500近傍の温度に対応付けられた、誤差の候補となる複数の値とが含まれる。本実施の形態の場合、この「対応関係を表わすデータ」は、それぞれが衣類の量を表わす複数のデータの集合体である。本実施の形態の場合、衣類の量を表わす複数のデータのアドレスと、前述した水位センサ17が出力する信号の周波数を表わす複数の値がそれぞれ記憶されたアドレスとの間隔が一定値となっているため、CPU500は、衣類の量を表わす複数のデータの集合体を、前述した「対応関係を表わすデータ」として利用できる。ROM502には、マイクロコンピュータ42が洗濯を制御するための制御プログラムもその必須の情報として記憶されている。RAM504は、プログラムを実行するために必要なデータを格納する装置である。メモリ駆動装置506は、PC(Personal Computer)カード600などの、装着や脱着が可能な記録媒体からプログラムを読取る。発振回路508は、一定の周波数でクロック信号を生成する。I/O510は、マイクロコンピュータ42の外部から、信号の入力を受け付ける。本実施の形態の場合、入力される信号の一種には、上述したACクロック信号がある。I/O510が受け付けるACクロック信号は、周波数が50ヘルツの交流電力の電圧の範囲を表わす信号であっても周波数が60ヘルツの交流電力の電圧の範囲を表わす信号であってもよい。ROM502に記憶されたデータなどの相違によって、あるときは前者の信号を受け付け、別のときは後者の信号を受け付けることになっていてもよい。I/O510は、マイクロコンピュータ42の外部へ信号を出力する装置でもある。バス512は、コンピュータを構成する装置を相互に接続する。
【0027】
図5は、ユーザインターフェイス部20の詳細を示す図である。ユーザインターフェイス部20は、複数の操作スイッチと、各種のLED(Light Emitting Diode)とを含む。ユーザインターフェイス部20に含まれるスイッチには、電源スイッチ204と、スタートスイッチ206と、コーススイッチ208と、マニュアルスイッチ210とが含まれる。電源スイッチ204は、洗濯機30の電源をオンにしたりオフにしたりするスイッチである。スタートスイッチ206は、運転の開始や停止をユーザが指示するためのスイッチである。コーススイッチ208は、洗濯コースをユーザが選択するためのスイッチである。マニュアルスイッチ210は、洗濯の条件を工程別に設定するためのスイッチである。ユーザインターフェイス部20のLEDは、選択された洗濯コースや、運転状態や、運転時間などを表示する。
【0028】
図6を参照して、マイクロコンピュータ42で実施されるプログラムは、給水に関し、以下の制御を実行する。
【0029】
ステップS100にて、発振回路508は、一定の周波数でクロック信号を生成する。CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が出力したクロック信号の数を数える。クロック信号の数を数えるため、CPU500は、次に述べる第1の手順と第2の手順とを繰返す。第1の手順は、商用交流電源6の電圧が「0」ボルトか否かをCPU500が定期的に判断する手順である。この判断のため、I/O510は、AC回路40から、商用交流電源6の電圧の範囲を表わす信号である、ACクロック信号の入力を受け付ける。第2の手順は、1度目にその電圧が「0」ボルトになった時から3度目にその電圧が「0」ボルトになった時までの間、発振回路508がクロック信号を出力するたびにCPU500がカウンタの値を「1」増加させる手順である。本来、4度目でも5度目でもそれ以上でもよいのであるが、本実施の形態の場合、商用交流電源6の電圧が3度目に「0」ボルトになった時までの間、発振回路508がクロック信号を出力するたびにCPU500はカウンタの値を「1」増加させる。本実施の形態の場合、「カウンタ」とはCPU500に内蔵された記憶装置の一種である。これにより、CPU500は、ACクロック信号をトリガとすることにより、交流電力の電圧の周期の2分の1に整数を乗算した期間に発振回路508が生成する、クロック信号の数を計数することとなる。なお、以下の説明においてこの期間を「基準期間」と称する。クロック信号の数が数えられると、CPU500は、自らが計数したクロック信号の数から基準カウント数「10000」を減算した値を誤差として算出する。誤差が算出されると、RAM504は、誤差を記憶する。本実施の形態において、「基準カウント数」は、発振回路508が基準期間に出力するクロック信号の数を表わす。本実施の形態において、基準期間は20ミリ秒であることとする。本実施の形態において、基準カウント数の値は「10000」であることとする。これにより、基準カウント数「10000」は、クロック信号の周波数と基準期間との積に対応する定数となる。
【0030】
ステップS102にて、CPU500は、ステップS100にて自らが算出した誤差が所定の範囲に含まれているか否かを判断する。ステップS102において、「所定の範囲」とは、「−300」から「300」までを意味することとする。所定の範囲に含まれていると判断した場合には(ステップS102にてYES)、処理はステップS104へと移される。もしそうでないと(ステップS102にてNO)、処理はステップS118へと移される。
【0031】
ステップS104にて、回転センサ25は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。I/O510は、回転センサ25が出力した信号の入力を受け付ける。この信号が出力される間隔は、脱水槽4の内部の衣類の量に対応する。以下の説明において、回転センサ25からの信号が到達した後、回転センサ25から次に信号が到達するまでの時間を、「間隔時間」と称する。CPU500は、間隔時間に発振回路508が生成するクロック信号の数をカウントする。クロック信号の数が計数されると、CPU500は、自らが計数したクロック信号の数に基づいて、前述した間隔時間を算出する。
【0032】
図7を参照して、間隔時間について説明する。図7は、2種類のパルス信号の対応関係を表わす。図7のうち、上の実線は回転センサ25の出力を時系列に従って示す。下の実線は、発振回路508の出力を時系列に従って示す。上述した間隔時間は、図7において矢印で図示した時間である。
【0033】
ステップS106にて、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する。この補正は、ステップS100にて算出された誤差に基づいて実施される。CPU500は、次に述べる第1の手順から第3の手順までの手順を経て、間隔時間の補正値を算出する。第1の手順は、基準カウント数「10000」から誤差を減算する手順である。第2の手順は、第1の手順において算出した値で基準カウント数「10000」を除算する手順である。第3の手順は、第2の手順において算出した値で、ステップS104にてCPU500が算出した間隔時間を除算する手順である。補正が実施されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量すなわち衣類の重量を決定する。水槽2の内部の衣類の量は、間隔時間に対応するので、所定の係数を乗じたりデータベースを参照したりすることで、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定できる。これにより、回転センサ25とCPU500とは、水槽2の内部の衣類の量を検知する装置を構成することとなる。
【0034】
衣類の量が決定されると、CPU500は、ROM502に記憶された複数の値の中から、閾値を選択する。選択される閾値は、後述するステップS110にてCPU500が計数する周波数の閾値である。本実施の形態の場合、その補正が不要か否かは、発振回路508が生成した信号の数が基準カウント数「10000」に等しいか否かによって判断できる。精度が低いので、前述した基準期間に発振回路508が生成する信号の数は原則として基準カウント数に等しくない。これにより、このステップにおいて選択される閾値は閾値として適当ではない。しかしながら、回転センサ25が出力した信号の周波数が補正されることにより、このステップにおいて選択される閾値は閾値として適当な値となる。なお、前述した複数の値は、それぞれ水槽2の水位に対応している。また、閾値は、次に述べる要件を満たすか否かに応じて選択される。その要件とは、CPU500がステップS100にて計数した数から基準カウント数「10000」を減算した値が「−300」から「300」までの範囲の中にあるか否かという要件である。この要件が満たされている場合、前述した複数の値すべての中から閾値は選択される。この要件が満たされていない場合、前述した複数の値のうち2番目以下の水位に対応する値のいずれかが閾値として選択される。
【0035】
洗濯の開始の際、ユーザインターフェイス部20に水位の目標値が入力されていないために、I/O510にその目標値を表わす信号が入力されていない場合、CPU500は、水槽2の内部の衣類の量に対応するように、閾値を選択する。ただし、「−300」から「300」までの範囲の中にあるか否かという要件が満たされていない場合、選択される閾値は、水槽2の内部の衣類の量に最も近い値である。
【0036】
洗濯の開始の際、ユーザインターフェイス部20に水位の目標値が入力されている場合、選択される閾値はユーザインターフェイス部20に入力された目標値に対応する値である。ただし、「−300」から「300」までの範囲の中にあるか否かという要件が満たされていない場合、選択される閾値は、ユーザインターフェイス部20に入力された目標値に最も近い水位に対応する値である。
【0037】
ステップS108にて、CPU500は、給水弁18を開くための信号を第1駆動回路32に出力する。第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる。
【0038】
ステップS110にて、水位センサ17は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。I/O510は、水位センサ17が出力した信号の入力を受け付ける。上述したように、水位センサ17が出力した信号の周波数は、水位センサ17が受ける水圧ひいては水位に対応している。以下の説明において、水位センサ17が出力した信号を「水位信号」と称する。CPU500は、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の数を計数する。100ミリ秒という時間が経過したことは、発振回路508がいくつのクロック信号を生成したかということに基づいてCPU500によって検知される。信号の数が計数されると、CPU500は、水位信号の周波数を算出する。CPU500が、このステップにて計数した水位信号の数を「0.1」秒で除算することで、1秒間のパルス数が求められる。すなわち周波数である。たとえば、このステップにおいて信号を計数する期間が200ミリ秒であれば、水位信号の周波数を算出するため、CPU500は、このステップにて計数した信号の数を「0.2」で除算することとなる。100ミリ秒という時間が経過したことがクロック信号の数に基づいて検知され、かつこのステップにて計数した水位信号の数を所定の時間で除算することにより水位信号の周波数が算出されるので、CPU500は、クロック信号の数と水位信号の数とに基づいて、水位信号の周波数を算出することとなる。
【0039】
ステップS112にて、CPU500は、ステップS110にて測定した周波数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。この補正のため、CPU500は、次に述べる第1の手順から第3の手順までの手順を経て、周波数の補正値を算出する。第1の手順は、基準カウント数「10000」から誤差を減算する手順である。第2の手順は、第1の手順において算出した値で基準カウント数「10000」を除算する手順である。第3の手順は、第2の手順において算出した値で、ステップS110にてCPU500が算出した周波数を除算する手順である。周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する。
【0040】
ステップS114にて、CPU500は、自らが算出した水槽2の水位がユーザによって設定された水位または次に述べる水位か否かを判断する。その水位とは、CPU500が衣類の量に基づいて設定した水位である。CPU500は、回転センサ25からの信号に基づいて、衣類の量を算出する。CPU500は、ユーザによって水位が設定されていない場合、水槽2の水位が衣類の量に基づいて設定された水位か否かを判断する。ユーザによって設定された水位または衣類の量に基づいて設定された水位と判断した場合には(ステップS114にてYES)、処理はステップS116へと移される。もしそうでないと(ステップS114にてNO)、処理はステップS110へと移される。
【0041】
ステップS116にて、CPU500は、洗濯のための次の工程に進む。そのために、CPU500は、まず給水弁18を閉じるための信号を出力する。前述したように、水槽2の内部における衣類の量は、ステップS106にて補正された間隔時間に対応する。その信号が出力されると、第1駆動回路32は、給水弁18を閉じる。給水弁18が閉じると、給水は停止する。
【0042】
ステップS118にて、CPU500は、自らが算出した誤差がステップS102における「所定の範囲」に含まれていない場合の処理を実施する。CPU500が算出した誤差がステップS102における「所定の範囲」に含まれていないことは、何らかの異常が発生した可能性があることを表す。何らかの異常の例には、商用交流電源6が供給する電力の周波数が50Hzまたは60Hzからずれていることや、発振回路508が故障していることなどが含まれる。このような異常が発生したと考えられるので、ステップS100にてCPU500が算出した誤差は、データの補正に用いる値として適切な値ではない。適切な値ではないので、CPU500は、ROM502に予め記憶された値とサーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度とに基づいて、適切な誤差を算出する。ただし、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度が予め設定された温度の範囲の外である場合、CPU500は、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度を無視し、ROM502に予め記憶された値のみに基づいて、適切な誤差を算出する。「設定された温度の範囲」の例には、263Kから353Kまでの範囲が含まれる。
【0043】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、洗濯機30の動作について説明する。本実施の形態の場合、商用交流電源6が供給する電力の周波数は50Hzであることとする。
【0044】
[誤差に異常がない場合]
運転をスタートした直後に、CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が出力したクロック信号の数を数える。なお、商用交流電源6が供給する電力の周波数が50Hzの場合、AC回路40がACクロック信号を1つ生成するための時間は、0.02秒である。この0.02秒すなわち20ミリ秒が基準期間である。発振回路508が出力するクロック信号の周波数が4MHzの場合、そのクロック信号を分周することにより、2マイクロ秒という時間が得られる。これと先に述べた基準期間とにより基準カウント数の値は「10000」となる。クロック信号の数が数えられると、CPU500は、その数と基準カウント数「10000」との差を誤差として算出する(ステップS100)。
【0045】
誤差が算出されると、CPU500は、その誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれているか否かを判断する(ステップS102)。発振回路508から出力されるクロック信号の周波数がセンター値に等しければ、ステップS100の処理によって数えられた数は、次の式の通り「10000」となる。この場合、CPU500が数えたクロック信号の数の上限値は、約10300となる。その下限値は、約9700となる。これらの値は、クロック信号の誤差の許容値がセンター値から±3%以内であることを表わす。なお、この場合のセンター値は4MHz±0.0%である。
【0046】
0.02秒/2マイクロ秒=0.02秒/0.000002秒=10000
この場合、誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれているとすると(ステップS102にてYES)、CPU500は、間隔時間を算出する(ステップS104)。間隔時間が算出されると、CPU500は、ステップS100にて算出した誤差を用いて演算することにより、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する。補正が実施されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する(ステップS106)。
【0047】
衣類の量すなわち重量を決定するための手順は、次の通りである。まず、運転を開始してから、水槽2に水を入れる前に、第2駆動回路34は、モータ7を左右に反転させる。モータ7が左右に反転すると、CPU500は、前述した間隔時間を算出する。その間隔が算出されると、CPU500は、その間隔に係数を乗じることで、衣類の量を算出する。衣類が多ければ、間隔時間は小さくなる。衣類が少なければ、間隔時間は大きくなる。
【0048】
衣類の量が決定されると、第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる(ステップS108)。給水弁18が開くと、水位センサ17は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。CPU500は、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数を算出する(ステップS110)。
【0049】
本実施の形態の場合、CPU500は、予め設定された時間にCPU500に入力される信号の数をカウントし、その数を「0.1」秒で除算することで水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数を算出している。その「予め設定された時間」は、クロック信号の生成の間隔を基にして設定される時間である。本実施の形態の場合、「予め設定された時間」の具体的な値は、100ミリ秒であることとする。これにより、CPU500に入力される信号の数が「2500」ならば、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数は25キロHzとなる。
【0050】
水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数が算出されると、CPU500は、その数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。その数に誤差が含まれている場合、水槽2の水位が正しく検出されないためである。例えば、クロック信号の誤差がセンター値に対して−3%ずれている場合、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する信号の周波数は約2575Hzとなる。ステップS100にて算出された誤差は「約−300」となる。これにより、CPU500は、補正後の周波数を、次式の演算により算出できる。
【0051】
補正後の周波数=補正前の周波数/(1−誤差/10000)
なお、この式における「誤差」とは、ステップS100にて算出されたクロック信号の誤差を意味する。クロック信号の誤差がセンター値に対して−3%ずれている場合、補正後の周波数は、2500Hzとなる。
【0052】
周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する(ステップS112)。水槽2の水位は、水位センサ17が出力する水位信号の周波数に比例する。これにより、実験その他の方法により予め特定しておいた係数を補正後の周波数に乗じるという方法で、CPU500は、水槽2の水位を算出できる。
【0053】
水槽2の水位が算出されると、CPU500は、自らが算出した水槽2の水位がユーザによって設定された水位または衣類の量に基づいて設定された水位か否かを判断する(ステップS114)。給水が開始された直後の水位はそのような水位ではないので(ステップS114にてNO)、ステップS110からステップS114までの処理が繰返される。その後、水槽2の水位がユーザによって設定された水位または衣類の量に基づいて設定された水位に達すると(ステップS114にてYES)、CPU500は、洗濯のための次の工程に進む(ステップS116)。
【0054】
[誤差に異常がある場合]
ステップS100の処理を経て誤差が算出されると、CPU500は、その誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれているか否かを判断する(ステップS102)。この場合、誤差が「−300」から「300」までの範囲に含まれていないとすると(ステップS102にてNO)、CPU500は、ROM502に予め記憶された値の中から、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度に対応する値を誤差の値として選択する。ただし、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度が予め設定された温度の範囲の外である場合、CPU500は、サーミスタ28が検知したCPU500近傍の温度を無視し、ROM502に予め記憶された値のみに基づいて、適切な誤差を算出する(ステップS118)。この場合、ユーザインターフェイス部20に対する入力のうち、最高の水位を設定するための入力をCPU500は受け付けない。水槽2から水がオーバーフローしてしまうことを防止するためである。
【0055】
誤差が算出されると、ステップS104の処理を経て、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する(ステップS106)。この場合、衣類の量は、最高の水位から数えて2番目以下の所定の水位に対応する量に決定される。水槽2から水がオーバーフローしてしまうことを防止するためである。
【0056】
以上のようにして、本実施の形態にかかる洗濯機は、動作のためのクロック信号を容易に補正できる。クロックが容易に補正されるので、外部から基準クロックを入力する必要がない。これにより、生産設備の設置を抑制できる。基準クロックを入力することによる、生産効率の低下も防止される。クロックの発振器を内蔵したコンピュータを利用できるので、生産コストも低下する。その結果、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止でき、かつ生産コストを抑制できる洗濯機を提供できる。
【0057】
また、本実施の形態にかかる洗濯機は、交流電力の電圧の範囲に基づいて、動作のためのクロック信号を容易に補正できる。交流電力の電圧は、基準とする時間を検知するためには便利な物理量である。基準とする時間を検知するためには便利な物理量なので、クロック信号の生成のために必要な回路はそれほど多くない。その結果、生産コストを効果的に抑制できる洗濯機を提供できる。
【0058】
また、本実施の形態にかかる洗濯機は、算出された誤差が適切でない場合には、予め記憶された値や検出された温度に基づいて制御を実施する。検知された温度も適切でない場合には、サーミスタが検知した温度を無視し、予め記憶された値に基づいて制御を実施する。これにより、適切な誤差が算出できない場合であっても洗濯を実施することができる。
【0059】
また、本実施の形態にかかる洗濯機は、算出された誤差が適切でない場合には、水槽の水位を制限する。これにより、水槽から水がオーバーフローしてしまうことを防止できる。
【0060】
なお、本実施の形態の第1の変形例において、CPU500は、運転をスタートした直後ばかりではなく、クロック信号を利用するたびにその誤差を補正してもよい。近年、乾燥機能が付き、運転時間が長くなったことにより、マイクロコンピュータ周囲の温度が運転中に変わる場合もあるためである。
【0061】
また、本実施の形態の第2の変形例において、CPU500は、ステップS118の処理として、ブザー15を鳴らしたりユーザインターフェイス部20のLEDを点灯させたりしてもよい。この場合、I/O510は、ブザー15やLEDを介して情報を出力するよう動作する。これにより、洗濯機は、算出された誤差が適切でない場合には、そのことをユーザに報知できる。
【0062】
また、本実施の形態の第3の変形例において、マイクロコンピュータ42は、洗濯機以外の装置に搭載されたマイクロコンピュータであってもよい。「洗濯機以外の装置」の例には、エアコンや、掃除機や、冷蔵庫や、電子レンジが含まれる。
【0063】
また、本実施の形態の第4の変形例において、CPU500は、ステップS100の処理として、AC回路40がACクロック信号を2分の1サイクル分変換する時間に、発振回路508が出力したクロックの数を数えてもよい。この場合、CPU500は、交流電力の電圧の周期の2分の1の期間に発振回路508が生成する信号の数を計数することとなる。
【0064】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態にかかる洗濯機について説明する。
【0065】
本実施の形態にかかる洗濯機30のハードウェア構成は、前述した第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0066】
図8を参照して、マイクロコンピュータ42で実施されるプログラムは、給水に関し、以下の制御を実行する。
【0067】
ステップS130にて、CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が生成したクロック信号の数を数える。その数が数えられると、CPU500は、その数を表わすデータをRAM504に記憶させる。
【0068】
ステップS132にて、CPU500は、ステップS130にて自らが数えたクロック信号の数が閾値以上か否かを判断する。本実施の形態のステップS132において、閾値の値は「8900」である。この値は、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が50Hzの場合、基準カウント数が「10000」になり、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が60Hzの場合、基準カウント数が「8333」になることに基づく。ステップS130にて自らが数えたクロック信号の数が閾値以上と判断した場合には(ステップS132にてYES)、処理はステップS134へと移される。もしそうでないと(ステップS132にてNO)、処理はステップS136へと移される。
【0069】
ステップS134にて、CPU500は、自らが内蔵するレジスタのうちフラグの値を格納する領域に「0」という値を記憶させる。このことは、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が50Hzであることを表わす。ステップS136にて、CPU500は、自らが内蔵するレジスタのうちフラグの値を格納する領域に「1」という値を記憶させる。このことは、商用交流電源6が供給する交流電源の周波数が60Hzであることを表わす。ステップS130からステップS134までの処理またはステップS130からステップS136までの処理により、CPU500は、基準期間にCPU500が計数する信号の数に応じて、複数の値のいずれかを選択することとなる。
【0070】
ステップS138にて、CPU500は、RAM504のうち基準カウント数を表わす領域に値を記憶させる。記憶される値は、ステップS134またはステップS136の処理によって記憶されたフラグの値に対応する。フラグの値が「0」の場合、基準カウント数を表わす領域に記憶される値は「10000」である。フラグの値が「1」の場合、基準カウント数を表わす領域に記憶される値は「8333」である。
【0071】
ステップS139にて、CPU500などは、洗濯機30を運転するための処理を実施する。この処理は、第1の実施の形態におけるステップS100からステップS116までの処理に相当する。
【0072】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、洗濯機30の動作について説明する。
【0073】
CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に、発振回路508が生成したクロック信号の数を数える。その数が数えられると、CPU500は、その数を表わすデータをRAM504に記憶させる(ステップS130)。データが記憶されると、CPU500は、ステップS130にて自らが数えたクロック信号の数が「8900」以上か否かを判断する(ステップS132)。この場合、クロック信号の数が「8900」以上とすると(ステップS132にてYES)、CPU500は、自らが内蔵するレジスタのうちフラグの値を格納する領域に「0」という値を記憶させる(ステップS134)。「0」という値が記憶されると、CPU500は、RAM504のうち基準カウント数を表わす領域に「10000」という値を記憶させる(ステップS138)。
【0074】
基準カウント数を表わす領域に「10000」という値が記憶されると、CPU500は、AC回路40がACクロック信号を1つ生成した後、次にAC回路40がACクロック信号を1つ生成するまでの時間に発振回路508が出力したクロック信号の数を数える。クロック信号の数が数えられると、CPU500は、その数と基準カウント数との差を誤差として算出する(ステップS100)。これにより、CPU500は、CPU500自身が計数したクロック信号の数からCPU500自身が選択した基準カウント数の値を減算することにより、誤差の値を算出することとなる。
【0075】
誤差が算出されると、CPU500は、センター値から±3%の範囲にその誤差が含まれているか否かを判断する(ステップS102)。発振回路508から出力されるクロック信号がセンター値に等しければ、ステップS100の処理によって数えられた数は、ステップS138にて記憶された基準カウント数に等しくなる。
【0076】
この場合、センター値から±3%の範囲にその誤差が含まれているとすると(ステップS102にてYES)、CPU500は、間隔時間を算出する(ステップS104)。間隔時間が算出されると、CPU500は、ステップS100にて算出した誤差を用いて演算することにより、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する。補正が実施されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する(ステップS106)。衣類の量を決定するための手順は、第1の実施の形態と同様である。
【0077】
衣類の量が決定されると、CPU500は、第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる(ステップS108)。給水弁18が開くと、水位センサ17は、信号をマイクロコンピュータ42に出力する。CPU500は、水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する水位信号の周波数を算出する(ステップS110)。
【0078】
水位センサ17が100ミリ秒の間に出力する水位信号の周波数が算出されると、CPU500は、その周波数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する(ステップS112)。
【0079】
CPU500は、ステップS110にて算出した周波数を、ステップS100にて算出された誤差に基づき補正する。この補正のため、CPU500は、次に述べる第1の手順から第3の手順までの手順を経て、周波数の補正値を算出する。第1の手順は、ステップS138にて記憶された基準カウント数から誤差を減算する手順である。第2の手順は、第1の手順において算出した値でステップS138にて記憶された基準カウント数を除算する手順である。第3の手順は、第2の手順において算出した値で、ステップS110にてCPU500が算出した周波数を除算する手順である。周波数が補正されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する。
【0080】
水槽2の水位が算出されると、CPU500は、自らが算出した水槽2の水位が設定された水位か否かを判断する(ステップS114)。給水が開始された直後の水位はそのような水位ではないので(ステップS114にてNO)、ステップS110からステップS114までの処理が繰返される。その後、水槽2の水位がが設設定された水位に達すると(ステップS114にてYES)、CPU500は、洗濯のための次の工程に進む(ステップS116)。
【0081】
以上のようにして、本実施の形態にかかる洗濯機は、商用交流電源が供給する交流電源の周波数にあわせて水位や衣類の量を補正できる。これにより、交流電源の周波数にあわせた補正が実施されない場合に比べて、補正されたクロックの精度が向上する。また、クロックが容易に補正されるので、外部から基準クロックを入力する必要がない。基準クロックを入力する必要がないので、生産設備の設置を抑制できる。基準クロックを入力することによる、生産効率の低下も防止される。発振回路を内蔵したコンピュータを利用できるので、生産コストも低下する。その結果、ある程度クロックの精度を高めることができ、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止でき、かつ生産コストを抑制できる洗濯機を提供できる。
【0082】
なお、本実施の形態の第1の変形例において、CPU500は、運転をスタートした直後ばかりではなく、繰返して周波数の判定や基準カウント数の設定を実施してもよい。それらを実施する周期は、一定の周期であっても、不定期であってもよい。
【0083】
また、本実施の形態の第2の変形例において、マイクロコンピュータ42は、洗濯機以外の装置に搭載されたマイクロコンピュータであってもよい。「洗濯機以外の装置」の例には、エアコンや、掃除機や、冷蔵庫や、電子レンジが含まれる。
【0084】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態にかかる洗濯機について説明する。
【0085】
本実施の形態にかかる洗濯機30のROM502は、第1の実施の形態の説明において説明したデータなどに加え、マイコン駆動用クロックの補正値を表わすデータベースを記憶する。図9は、このデータベースを表わす概念図である。図9を参照して、このデータベースを構成するデータは、サーミスタ28が検知する温度に対応付けられている。本実施の形態の場合、このデータベースは、基準温度である298Kの場合の補正値を「1.00」とし、かつ5Kおきの補正値を含む。なお、その他のハードウェア構成は、前述した第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0086】
図10を参照して、マイクロコンピュータ42で実施されるプログラムは、給水に関し、以下の制御を実行する。なお、図10に示すフローチャートの中で、前述の図6に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0087】
ステップS140にて、サーミスタ28は、温度を検知する。サーミスタ28は、その温度を表す信号をマイクロコンピュータ42に出力する。
【0088】
ステップS142にて、CPU500は、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度が所定の範囲に含まれているか否かを判断する。ステップS142において、「所定の範囲」とは、「263K」から「353K」までを意味することとする。所定の範囲に含まれていると判断した場合には(ステップS142にてYES)、処理はステップS104へと移される。もしそうでないと(ステップS142にてNO)、処理はステップS158へと移される。
【0089】
ステップS146にて、CPU500は、ROM502が記憶したデータベースのうち、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度に対応するデータをRAM504に複写する。これにより、CPU500は、ROM502がデータベースとして記憶した複数の値のうちサーミスタ28が検知した温度に対応する値を係数として選択することとなる。データが複写されると、CPU500は、ステップS104にて自らが算出した間隔時間を、RAM504に複写されたデータが表わす値すなわち係数で除算する。これにより、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間の補正値を算出することとなる。間隔時間が補正されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する。
【0090】
ステップS148にて、CPU500は、給水弁18を開くための信号を第1駆動回路32に出力する。第1駆動回路32は、給水弁18を開く。これにより、水槽2の内部には水が満たされる。
【0091】
ステップS152にて、CPU500は、ステップS110にて算出した周波数に、ステップS146にて複写されたデータが表わす値を乗算する。値が乗算されると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する。
【0092】
ステップS158にて、CPU500は、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度がステップS142における「所定の範囲」に含まれていない場合の処理を実施する。本実施の形態の場合、その処理は、ブザー15を鳴らしたり、ユーザインターフェイス部20のLEDに異常が発生したことを表示させたりする処理である。この場合、マイクロコンピュータ42のI/O510は、ブザー15やユーザインターフェイス部20のLEDを介して情報を出力するよう動作する。
【0093】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、洗濯機30の動作について説明する。
【0094】
サーミスタ28は、温度を検知する。この場合、検知された温度は313Kであったとする。サーミスタ28は、その温度を表す信号をマイクロコンピュータ42に出力する(ステップS140)。信号が出力されると、CPU500は、ステップS140にてサーミスタ28が検知した温度が所定の範囲に含まれているか否かを判断する(ステップS142)。この場合、所定の範囲に含まれていると判断したとすると(ステップS142にてYES)、ステップS104の処理を経て、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間を補正する(ステップS146)。ROM502が記憶したデータベースのうち313Kに対応付けられたデータは、基準温度に対応付けられた周波数に対し、2%周波数が高くなることを表わす。このデータに基づいて、CPU500は、ステップS104にて算出した間隔時間を「1.02」で除算する。除算の結果として得られた値が、補正後の間隔時間を表わす。間隔時間が補正されると、CPU500は、補正後の間隔時間に基づき衣類の量を決定する。
【0095】
衣類の量が決定されると、CPU500は、給水弁18を開くための信号を第1駆動回路32に出力する。第1駆動回路32は、給水弁18を開く(ステップS148)。これにより、水槽2の内部には水が満たされる。給水弁18が開かれると、CPU500は、補正後の周波数に基づいて水槽2の水位を算出する(ステップS152)。
【0096】
以上のようにして、本実施の形態にかかる洗濯機は、温度に応じて周波数の値を補正する。値が補正されるので、外部から基準クロックを入力する必要がない。基準クロックを入力する必要がないので、生産設備の設置を抑制できる。基準クロックを入力することによる、生産効率の低下も防止される。クロックの発振器を内蔵したコンピュータを利用できるので、生産コストも低下する。あわせて、使用中の温度の変化に対応するように周波数を補正できる。その結果、温度の影響により生じる誤差の発生を防止でき、生産設備に費やすコストの増加や生産効率の低下を防止でき、かつ生産コストを抑制できる洗濯機を提供できる。
【0097】
また、本実施の形態の変形例において、マイクロコンピュータ42は、洗濯機以外の装置に搭載されたマイクロコンピュータであってもよい。「洗濯機以外の装置」の例には、エアコンや、掃除機や、冷蔵庫や、電子レンジが含まれる。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る洗濯機の構成を表わす図である。
【図3】商用交流電源が供給する電力の電圧とAC回路が生成した信号の矩形波との関係を表わす図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロコンピュータの制御ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るユーザインターフェイス部の詳細を表わす図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る給水処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る2種類のパルス信号の対応関係を表わす図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る給水処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るROMに保存されたデータベースを表わす概念図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る給水処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図11】一般的な洗濯機の構成を表わす概念図である。
【符号の説明】
【0100】
1 外箱、2 水槽、3 防振機構、4 脱水槽、5 攪拌翼、6 商用交流電源、7 モータ、8 減速機構、9 モータプーリ、10 Vベルト、11 センタプーリ、12 クラッチ機構、13 排水弁、14 排水ホース、15 ブザー、16 蓋、17 水位センサ、18 給水弁、19 上面板、20 ユーザインターフェイス部、21 オペレート装置、22 蓋ロック機構、23,64 入力部、24 ブレーキ機構、25 回転センサ、27 排水モータ、28 サーミスタ、30 洗濯機、32 第1駆動回路、34 第2駆動回路、36 形成回路、38 リセット回路、40 AC回路、42,60 マイクロコンピュータ、62 セラミック発振子、66 EEPROM、202 排水口、204 電源スイッチ、206 スタートスイッチ、208 コーススイッチ、210 マニュアルスイッチ、500 CPU、502 ROM、504 RAM、506 メモリ駆動装置、508 発振回路、510 I/O、512 バス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を入力したり出力したりするための入出力手段と、
一定の周波数で第1の信号を生成するための生成手段と、
前記入出力手段を制御するための制御手段とを含む信号出力装置であって、
前記入出力手段に入力される信号は、周波数が第1の物理量に対応する信号である第2の信号を含み、
前記制御手段は、
前記生成手段が生成した前記第1の信号の数に基づいて、前記入出力手段に前記第2の信号が入力された時から次に前記第2の信号が入力された時までの時間を、間隔時間として算出するための第1の算出手段と、
第2の物理量に基づいて、補正のための値である第1の値を決定するための決定手段と、
前記第1の値を用いて前記間隔時間を演算することにより、前記間隔時間の補正値を算出するための第2の算出手段と、
前記補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段とを含む、信号出力装置。
【請求項2】
前記入出力手段に入力される信号は、交流電力の電圧の範囲を表わす信号である第3の信号の他に、前記第2の信号を含み、
前記第1の算出手段は、
前記入出力手段に前記第2の信号が入力された時から次に前記第2の信号が入力された時までに前記生成手段が生成した前記第1の信号の数を計数するための第1の計数手段と、
前記第1の計数手段が計数した前記第1の信号の数に基づいて、前記間隔時間を算出するための時間算出手段とを含み、
前記決定手段は、
前記第3の信号をトリガとすることにより、前記交流電力の電圧の周期の2分の1の整数倍の期間である基準期間に前記生成手段が生成する、前記第1の信号の数を計数するための第2の計数手段と、
前記第2の計数手段が計数した前記第1の信号の数から定数を減算することにより、前記第1の値を算出するための第3の算出手段と、
前記第1の値を記憶するための第1の記憶手段とを含み、
前記第2の算出手段は、前記定数から前記第1の値を減算した値で前記定数を除算した値と前記間隔時間とを用いて、前記補正値を算出するための手段を含む、請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項3】
前記入出力手段に入力される信号は、周波数が50ヘルツまたは60ヘルツの前記交流電力の電圧の範囲を表わす前記第3の信号の他に、前記第2の信号を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の計数手段が計数した数に応じて、複数の値のいずれかを前記定数として選択するための第1の選択手段をさらに含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項5】
前記信号出力装置は、
温度を検知するための検知手段と、
複数の値を温度に対応付けて記憶するための第2の記憶手段とをさらに含み、
前記制御手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合、前記第2の記憶手段が記憶した複数の値のうち前記検知手段が検知した温度に対応する値を選択するための第2の選択手段をさらに含み、
前記第2の算出手段は、前記第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合、前記第1の値に代え、前記第2の選択手段が選択した値を用いて前記補正値を算出するための手段を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項6】
前記第2の信号は、前記周波数が圧力に対応し、
前記入出力手段に入力される信号は、前記圧力の目標値に対応する情報を表わす信号をさらに含み、
前記制御手段は、
第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に前記第1の値がある場合に、それぞれ前記圧力に対応する複数の第2の値の中から、前記目標値に最も近い圧力に対応する値を、前記間隔時間の閾値である第3の閾値として選択するための第3の選択手段と、
前記第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合に、前記複数の第2の値のうち2番目以下の圧力に対応する値の中から、前記目標値に最も近い圧力に対応する値を前記第3の閾値として選択するための第4の選択手段とをさらに含み、
前記入出力手段を制御するための手段は、前記第3の閾値に前記補正値が達すると、前記補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項7】
前記信号出力装置は、重量と前記第2の値との対応関係を表わすデータを記憶するための第3の記憶手段をさらに含み、
前記第2の信号は、前記周波数が重量に対応し、
前記制御手段は、
第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に前記第1の値がある場合に、前記第2の信号により表わされる重量に最も近い前記重量に対応する前記第2の値を、前記第3の閾値として選択するための第5の選択手段と、
前記第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合に、前記複数の第2の値のうち2番目以下の前記重量に対応する値の中から、前記第2の信号により表わされる前記重量に最も近い前記重量に対応する値を、前記第3の閾値として選択するための第6の選択手段とをさらに含み、
前記入出力手段を制御するための手段は、前記第3の閾値に前記補正値が達すると、前記補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項8】
前記信号出力装置は、温度を検知するための検知手段をさらに含み、
前記決定手段は、
複数の値を温度に対応付けて記憶するための手段と、
前記複数の値のうち前記検知手段が検知した温度に対応する値を前記第1の値として選択するための手段とを含む、請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検知手段が検知した温度が要件を満たす場合に信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段をさらに含む、請求項8に記載の信号出力装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の信号出力装置を含む、洗濯機。
【請求項1】
信号を入力したり出力したりするための入出力手段と、
一定の周波数で第1の信号を生成するための生成手段と、
前記入出力手段を制御するための制御手段とを含む信号出力装置であって、
前記入出力手段に入力される信号は、周波数が第1の物理量に対応する信号である第2の信号を含み、
前記制御手段は、
前記生成手段が生成した前記第1の信号の数に基づいて、前記入出力手段に前記第2の信号が入力された時から次に前記第2の信号が入力された時までの時間を、間隔時間として算出するための第1の算出手段と、
第2の物理量に基づいて、補正のための値である第1の値を決定するための決定手段と、
前記第1の値を用いて前記間隔時間を演算することにより、前記間隔時間の補正値を算出するための第2の算出手段と、
前記補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段とを含む、信号出力装置。
【請求項2】
前記入出力手段に入力される信号は、交流電力の電圧の範囲を表わす信号である第3の信号の他に、前記第2の信号を含み、
前記第1の算出手段は、
前記入出力手段に前記第2の信号が入力された時から次に前記第2の信号が入力された時までに前記生成手段が生成した前記第1の信号の数を計数するための第1の計数手段と、
前記第1の計数手段が計数した前記第1の信号の数に基づいて、前記間隔時間を算出するための時間算出手段とを含み、
前記決定手段は、
前記第3の信号をトリガとすることにより、前記交流電力の電圧の周期の2分の1の整数倍の期間である基準期間に前記生成手段が生成する、前記第1の信号の数を計数するための第2の計数手段と、
前記第2の計数手段が計数した前記第1の信号の数から定数を減算することにより、前記第1の値を算出するための第3の算出手段と、
前記第1の値を記憶するための第1の記憶手段とを含み、
前記第2の算出手段は、前記定数から前記第1の値を減算した値で前記定数を除算した値と前記間隔時間とを用いて、前記補正値を算出するための手段を含む、請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項3】
前記入出力手段に入力される信号は、周波数が50ヘルツまたは60ヘルツの前記交流電力の電圧の範囲を表わす前記第3の信号の他に、前記第2の信号を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の計数手段が計数した数に応じて、複数の値のいずれかを前記定数として選択するための第1の選択手段をさらに含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項5】
前記信号出力装置は、
温度を検知するための検知手段と、
複数の値を温度に対応付けて記憶するための第2の記憶手段とをさらに含み、
前記制御手段は、第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合、前記第2の記憶手段が記憶した複数の値のうち前記検知手段が検知した温度に対応する値を選択するための第2の選択手段をさらに含み、
前記第2の算出手段は、前記第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合、前記第1の値に代え、前記第2の選択手段が選択した値を用いて前記補正値を算出するための手段を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項6】
前記第2の信号は、前記周波数が圧力に対応し、
前記入出力手段に入力される信号は、前記圧力の目標値に対応する情報を表わす信号をさらに含み、
前記制御手段は、
第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に前記第1の値がある場合に、それぞれ前記圧力に対応する複数の第2の値の中から、前記目標値に最も近い圧力に対応する値を、前記間隔時間の閾値である第3の閾値として選択するための第3の選択手段と、
前記第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合に、前記複数の第2の値のうち2番目以下の圧力に対応する値の中から、前記目標値に最も近い圧力に対応する値を前記第3の閾値として選択するための第4の選択手段とをさらに含み、
前記入出力手段を制御するための手段は、前記第3の閾値に前記補正値が達すると、前記補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項7】
前記信号出力装置は、重量と前記第2の値との対応関係を表わすデータを記憶するための第3の記憶手段をさらに含み、
前記第2の信号は、前記周波数が重量に対応し、
前記制御手段は、
第1の閾値から第2の閾値までの範囲の中に前記第1の値がある場合に、前記第2の信号により表わされる重量に最も近い前記重量に対応する前記第2の値を、前記第3の閾値として選択するための第5の選択手段と、
前記第1の閾値から第2の閾値までの範囲の外に前記第1の値がある場合に、前記複数の第2の値のうち2番目以下の前記重量に対応する値の中から、前記第2の信号により表わされる前記重量に最も近い前記重量に対応する値を、前記第3の閾値として選択するための第6の選択手段とをさらに含み、
前記入出力手段を制御するための手段は、前記第3の閾値に前記補正値が達すると、前記補正値に対応する情報を表わす信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段を含む、請求項2に記載の信号出力装置。
【請求項8】
前記信号出力装置は、温度を検知するための検知手段をさらに含み、
前記決定手段は、
複数の値を温度に対応付けて記憶するための手段と、
前記複数の値のうち前記検知手段が検知した温度に対応する値を前記第1の値として選択するための手段とを含む、請求項1に記載の信号出力装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検知手段が検知した温度が要件を満たす場合に信号を出力するように、前記入出力手段を制御するための手段をさらに含む、請求項8に記載の信号出力装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の信号出力装置を含む、洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−109760(P2008−109760A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288960(P2006−288960)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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