説明

個人用ナビゲーション装置のための車載システムインターフェース

車載システムは、個人用ナビゲーション装置と交信して、自動的な指図および運転者の指図の両方を個人用ナビゲーション装置に渡すことができる。車載システムから渡された情報および指図を使用して、ナビゲーション装置は、数ある中でも、道案内の提供、車両ステータス警告の提供、およびGPS信号なしでのナビゲーションを制御することができる。個人用ナビゲーション装置からの出力は、車載システムに渡して、例えば、車両のスピーカーを通して再生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に個人用ナビゲーション装置のための車載コンピューティングシステムインターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
TOMTOMやGARMINといった装置などの個人用ナビゲーション装置(PND)では、それらの装置が置かれている車両の位置を追跡するためにGPS座標が使用される。これらはまた、使用者が持ち歩き、移動を追跡することもでき、また目的地への適切な移動経路を決定するために使用することもできる。
【0003】
TOMTOMは、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)フォンと接続し、およびその電話にかけられた通話を無線で受信する能力を含む、ブルートゥース機能も持つ。これらは、出力として機能する内蔵スピーカーと、運転者または他の使用者からの音声入力を受信するピックアップマイクを持つ。
【0004】
TOMTOMはまた、交通情報へのアクセス、追加的な経路、ポイント情報(POI)、新規音声および他のサービスを含めた一連の付加サービスも提供している。
【0005】
GARMINは、ナビゲーション装置に電話としての機能を持たせる、目的地に電話をかける、SMS(テキストメッセージング)対応、およびアドレス帳機能を含めた、類似した互換性を提供している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施態様において、車載コンピューティングシステムは、PNDと無線で交信する。システムは、PNDを制御するために使用できる。この実施態様において、車載コンピューティングシステムは、運転者からの音声コマンドで制御できる。車載システムへの音声コマンド入力は、PNDに送信されるコマンドに変換され、そこでコマンドが実行される。これによって、運転者は、車載コンピューティングシステムの使用を通してPNDを音声で制御できる。
【0007】
本発明の別の実施態様において、車載システムには、事前設定、またはその他の方法で使用者が選択することができる一連の設定が含まれる。システムは、PNDと連動するため、これらの設定はPNDに直接伝送でき、例えば、異なる車両に設置したときなどに、その設定を変更できる。例えば、使用者が、車載システムを、スペイン語で発話・応答するように設定している場合には、その車両に配置されたPNDは、車載システムとの交信を通して、スペイン語でディスプレイ/発話するよう自動的に設定する。設定をその内部に保存しうる車載システムは、PNDと交信するため、これらの設定は自動的にPNDに伝送される。
【0008】
さらに、車載システムは、PNDを通して情報を中継することができる。さらなる説明のための実施態様において、車載システムは、車両自体に関する各種の情報にアクセスできる。例としては、限定されないものの、空気圧不足、ガソリン不足、オイルチェンジの必要性、車両速度などが含まれる。この情報は、PNDに伝達でき、また実際の情報として表示したり、さらに別の機能と併用して追加的なユーザーオプションを提供したりすることもできる。
【0009】
非限定的な一例において、車両速度をPNDに伝達しうる。これは、例えば、「都会の峡谷」において有用でありうる。これらは、都市/トンネル/その他において、高層ビルまたは他の構造がGPS信号を遮断する場所である。「推測航法」として知られている技法によって、PNDは、既存の地図データなどの情報や伝達された車両速度を使用して、GPS信号に実際にアクセスして所在地を決定できなくても、現時点で車両が所在している場所を正確に決定することができる。車両はまた、少なくとも一つの例示的な実施態様においてコンパスの方向を提供することもできる。
【0010】
別の非限定的な例において、ガソリン不足および/またはタイヤの圧力不足の状態を、PNDに伝達することができる。次に、PNDは、使用者にメッセージを表示することなく、自動的に潜在的な問題を認識して、使用者が最寄のガソリンスタンドへのナビゲーションを希望するかどうかを尋ねることができる。
【0011】
さらに第三の非限定的な例において、車両は、ヘッドライトがオンになったこと(例えば、その時点で夜間であることを車両が判断したことを示す)をPNDに伝達しうる。これに応答して、PNDは、使用者が夜間の運転にさらに適した配色の使用を希望するかどうかを尋ねることができる。
【0012】
これらおよびその他の車両情報の使用を通じて、PNDは、さらにずっと強力なツールとなりうる。さらに、車両が車両情報を表示するためにPNDを使用する場合、PNDのディスプレイを、大抵の車両に提供されている限られたディスプレイスペースよりもずっと効果的に使用することができる。
【0013】
車載システムに応じて、PNDとの各種のタイプの発話による交信が可能である。車両に取り付けたボタンを押し、システムおよび/またはPNDにコマンドが入力されることを知らせるというケースが考えられる。次にシステムは、コマンドの入力を待機しうる。別の非限定的な例において、「ダイアログ」を指図して、使用者が車載システムを通じてPNDと「対話をする」こともできる。
【0014】
車載システムから情報を受け取ることに加えて、PNDは車載システムに情報を返信することもできる。例えば、PNDは、音声案内を車載システムに送信しうる。次に、車載システムは、例えば、現在再生中の任意の音声(例えば、音楽など)を消音または一時停止して、自動車のスピーカーを通して指示を再生することができる。これによって、二つの音声源が干渉するのを防止でき、さらには、ずっと大きな音量で明瞭なかたちの指示が提供される。指示が提供された後、車載システムは、抑制した音声があればその再生を再開する。
【0015】
別の方法として、PNDに音声または音響再生の機能が備わっている場合、PNDは、指図を車載システムに中継し、PNDの出力を聞き取りやすくするように、システムに音声の再生を消音するよう指図することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
実例となる実施態様のその他の目的、形態および特性は、模範的な実施態様についての下記の詳細な説明を、添付図面に照らして読むことにより明らかとなる:
【図1】PNDと対話可能な車載システムを説明するための模式図である。
【図2】車載システムとPNDとの間の通信のための、例示的な説明のための初期化プロセスを示す図である。
【図3】PNDと車載システムとの間の設定を転送するための、例示的な説明のためのプロセスを示す図である。
【図4】PNDシステムからのメニューコマンドを車載システムに転送するための、例示的な説明のためのプロセスを示す図である。
【図5】移動先の場所を、車載システムを通じてPNDに入力するための、例示的な説明のためのプロセスを示す図である。
【図6】車載システムからPNDに送信する、例示的な車両ステータスのプロンプトを示す図である。
【図7】車載システムからの情報を使用したPNDでの推測航法のための、例示的なプロセスを示す図である。
【図8】方向指示アイコンを車両制御パネル上に表示するための、例示的なプロセスを示す図である。
【図9】2台のブルートゥース装置間での調整と、コマンドの受信の非限定的な例を示す、例示的な状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、特定の例示的な実例となる実施態様と関連して説明している。しかしながら、本発明の真正な範囲および精神から逸脱することなく、開示した例示的な実例となる実施態様への修正、拡張および変更をしうることは当業者によって理解される。要するに、下記の説明はあくまで例示を目的としたものであり、また本発明は、本明細書で開示されている特定の実例となる実施態様に限定されない。
【0018】
図1は、指示を自動車に送信するために使用可能な説明のための車載通信システムの例示的なシステムアーキテクチャを図示したものである。車両通信およびエンターテイメントシステム(VCES)などの車載システムを有効にした車両には、車両内に位置する可視的なフロントエンドインターフェース4が含まれうる。使用者は、それが提供されている場合には、例えば、タッチセンシティブスクリーンを用いて、インターフェースと対話することもできる。実例となる別の実施態様において、対話は、可聴音声および音声合成によって発生する。
【0019】
図1に示す実例となる実施態様1において、プロセッサ3は、システムの動作を制御する。車両内部に提供されていることで、プロセッサによりコマンドおよびルーチンの車内での処理が可能である。さらに、プロセッサは、一時記憶装置5および永久記憶装置7の両方に接続される。この実例となる実施態様において、一時記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)であり、永久記憶装置はハードディスクドライブ(HDD)またはフラッシュメモリである。
【0020】
プロセッサには、使用者がプロセッサとのインターフェースをとるための、複数の異なる入力も提供されている。この実例となる実施態様において、マイクロホン29、補助入力25、USB入力23、およびブルートゥース入力15が全て提供されている。使用者が各種の入力間で切り換えができるよう、入力セレクター51も提供されている。マイクロホンおよび補助コネクタの両方への入力は、プロセッサに渡される前に、コンバータ27によりアナログからデジタルに変換される。
【0021】
システムへの出力には、限定はされないものの、表示装置4およびスピーカー13またはステレオシステム出力が含まれうる。スピーカーは、アンプ(増幅器)11に接続され、プロセッサ3からのその信号を、デジタル・アナログ変換器9を通して受信する。出力は、リモートブルートゥース装置またはUSB装置に対しても、それぞれ参照番号19および21に示す双方向データストリームに沿ってなすことができる。
【0022】
実例となる一実施態様において、システム1は、使用者のノマディック装置53(例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、など)と通信17するために、ブルートゥーストランシーバ15を使用する。次に、ノマディック装置は、車両31外のネットワーク61と通信59するために、例えば、セルラータワー57との通信55により使用できる。
【0023】
ノマディック装置53とブルートゥーストランシーバ15とのペアリングは、ボタン52または類似した入力により、CPUに内蔵ブルートゥーストランシーバがノマディック装置内のブルートゥーストランシーバとペアとなることを知らせ、命令することができる。
【0024】
データは、ノマディック装置53に関連したブロードバンド無線データプランを利用して、CPU 3とネットワーク61との間の通信をしうる。別の方法として、CPU 3とネットワーク61の間でボイスバンドを介してデータを転送するためのオンボード(車載)モデム63を含めることが望ましいことがある。実例となる一実施態様において、プロセッサは、モデムアプリケーションソフトウェアと通信するAPIを含むオペレーティングシステムを備えている。モデムアプリケーションソフトウェアは、リモートブルートゥーストランシーバ(ノマディック装置にあるものなど)との無線通信を完了するために、ブルートゥーストランシーバ上の埋め込みモジュールまたはファームウェアにアクセスしうる。別の実施態様において、ノマディック装置53には、ボイスバンドまたはブロードバンドデータ通信用のモデムが含まれる。データ・オーバー・ボイスの実施態様において、データの転送中にノマディック装置の所有者が装置を介して会話できるときに、周波数分割多重伝送方式として知られている技術を導入することができる。また、所有者が装置を使用していないときには、データ転送は、帯域全体(一例で、300 Hz〜3.4kHz)を使用できる。使用者が、ノマディック装置に関連したデータプランを有しているとき、データプランにより、ブロードバンド伝送ができるようにすることが可能で、またシステムは、より幅広い帯域を使用すること(データ転送のスピードアップ)ができる。さらに別の実施態様において、ノマディック装置53は、車両31に取り付けたセルラー通信装置(図示せず)と置き換えられる。
【0025】
一実施態様において、受信データは、ノマディック装置を通し、データ・オーバー・ボイスまたはデータプランを経由し、車載ブルートゥーストランシーバを通し、および車両内部のプロセッサ3内に通過させることができる。
【0026】
ノマディック装置との通信に加えて、車両はPNDとも通信しうる。一部の例において、ノマディック装置およびPNDは、一つであり、同一である(例えば、GPS機能が搭載された携帯電話)。他の例において、PNDは、別個の装置としうる。
【0027】
複数のブルートゥース装置が存在する場合、システムは、情報がそれぞれの装置にスムーズに流れ、かつ適切な情報が適切な装置に送信されるように、両方の装置への通信間で調整する必要がある場合がある。さらに、システムは、使用者の入力コマンドを受信する必要がある場合があり、また情報の送信とコマンドの受信の状態間で調整を必要とする。図9は、調整の非限定的な例を示す例示的な状態図である。
【0028】
図2は、車載システムとPNDとの間の通信のための、例示的な説明のための初期化プロセス200を示す。いったん車載システムに電源が投入されると、システムは接続先のBT装置(または信号)を連続的に探索201できる。少なくとも一つの例示的な実施態様において、車両は車載システムとペアリングされた装置とのみ接続できる。ペアリングされた装置が存在する場合には、車載システムは、装置との通信を確立203できる。
【0029】
実例となる一実施態様において、車載システムは、装置とシステムとの間で設定を転送205する。これは、言語、時間、またはその他任意の適切な設定などが考えられる。これについては、図3に関連してより詳細に説明する。
【0030】
任意の設定が転送された後205、システムは、使用者に装置が接続されたことを通知207する。これは、しばしば、メッセージまたはトーンなどの音声による通知の形態をとるが、視覚的な通知の可能性もある。
【0031】
この実例となる実施態様において、システムは次に、別のブルートゥースポーリングスレッドの開始209に進む。これにより、追加のブルートゥース装置の検出ができる。非限定的な一例において、使用者は、携帯電話およびPNDを、どちらもブルートゥースを使用して、車載システムに接続することを望む場合がある。この実例となる実施態様のシステムは、新しい接続を連続的にポーリングするため、両方の装置が検出され、接続されるはずである。
【0032】
多くの場合、PNDはメニューを表示する。実例となる一実施態様において、車載システムは、PNDからメニューをダウンロード211する。これについては、図4に関連してより詳細に説明する。
【0033】
メニューがダウンロードされるか、または他の方法で車載システムに供給された後、システムは使用者からのコマンドを待機213する。コマンドが入力されなかった場合、システムは、BT装置にまだ電源が入っているかを確認216する。装置にまだ電源が入っているあいだ、システムは、メニューが変更されずに、引き続きコマンドを待機していることを確認する。いったんコマンドが供給されると、システムは、コマンドの処理215に進む。
【0034】
一部の実施において、PNDにコマンドの分析をさせることが望ましい場合がある。これらの場合には、メニューはダウンロードされずに、むしろコマンドが車載システムによって受信され、分析のためにPNDに渡される。コマンドは、口頭で、または物理的に入力しうる。一定のコマンドは、使用者の任意の相互作用なしに、車両によって自動的に入力されうる。この非限定的な一実施例を、図6に詳細に示す。
【0035】
図3は、PNDと車載システムとの間の設定を転送205するための、例示的な説明のためのプロセスを示す。この実例となる実施態様において、車載システムまたはPNDのいずれかは、二つのシステムの他方に転送することが望ましい一つ以上の設定を持つ。これらの設定には、限定されないものの、時刻、言語などが含まれうる。
【0036】
例えば、車載システムは、スペイン語で動作するようにプログラムできる。PNDをこのシステムと通信状態にすることにより、車載の設定が変更されない限り、システムがスペイン語で動作するようになる。同様に、PNDはスペイン語で動作するようにプログラムできる。スペイン語で動作するPNDを英語に応答するようプログラムされた車両と通信状態にすると、代わりに車両がスペイン語に応答するようになることがある。理想的には、両方が他方の変更を試みる際に二つの装置が衝突する可能性が高くない限り、特定の実施について一方の体系または他方の体系が選択される。
【0037】
同様に、PNDはGPSベースであるため、物理的に時間帯を横切る際に、そのクロックが動的に変更されることがよくある。車載クロックに、適切な場合にPNDの時刻と一致させて変更するように指図する信号を送信することができる。これにより、時間帯を横切った際に、車両はクロック時刻を自動的に変更できる。
【0038】
実例となる実施において、システムはまずPNDに新しい設定を受信する能力があるかどうかチェック301する。能力がない場合には、システムは、使用者がPNDからのクロック設定を使用するかどうかを使用者に尋ねる305。PNDが新しい設定を受信可能な場合、車載システムは該当する設定をPNDに転送303する。次に、車載システムは、使用者がPNDからのクロック設定を使用するかどうかのチェック305に進む。使用者がこれらの設定の使用を希望する場合、車載システムは、PNDからクロック信号を受信し307、それに対応して車両クロックをリセット309する。
【0039】
他の設定には、例えば自宅の所在地が含まれうる。車載システムで使用者の自宅の住所が分かっている場合、個人用ナビゲーション装置を車両に保存されている住所に対応した新しい自宅住所に更新しうる。数多くの他の設定もまた可能である。
【0040】
図4は、PNDシステムからのメニューコマンドを車載システムに転送する211ための、例示的な説明のためのプロセスを示す。多くのPNDには、各種のコマンドをリストした視覚メニューが供給されている。PNDは一般にタッチセンシティブであるため、表示されたそれぞれのコマンドは、一般に触れることで起動される。ところが、これは、自動車の運転中にタッチ式のシステムとの対話を望まない運転者にとって問題となる。したがって、運転者は、車載システムを使用してこれらのメニューコマンドを入力できる。
【0041】
多くの場合、車載システムは、音声コマンドに応答する。別の方法として、車載システムは、物理的に入力したコマンドに応答しうる。少なくとも一つの実例となる実施態様において、これらのコマンドは、運転者がコマンドを入力するために自分の手をハンドルから離す必要がないように、ハンドル上にある一つ以上の入力を使用して入力される。PNDがそれ自体で音声コマンドを受信する能力を持つ場合でも、これらの音声コマンドへのメニューパスには、一つ以上のタッチ入力を必要としうる。車載システムを使用して、運転者は、指図を入力するために、自分の手をハンドルから離す必要なく、音声処理モードに入るように、PNDに命令することができる。
【0042】
実例となる一実施態様において、表示されたメニューコマンドは、車載システムに転送401される。この実施態様では、表示されたコマンドのみが転送されるが、平坦化されたメニューシステムを転送することもできる。平坦化されたメニューシステムでは、使用者が、現在の画面では利用できない既知のオプションを、そのオプションが利用できる画面に移動する必要なく、実行するようPNDに指図できるように、メニューツリー全体が車載システムに転送される。他の実施態様では、部分的に平坦化されたメニュー、または一般的および/または人気のあるコマンドのリストを転送できる。
【0043】
いったん車載システムがコマンドを受信すると、この実例となる実施態様において、コマンドはテキストから音声コマンドに変換403される。これにより、発話による指図が音声コマンドに対して比較され、一致を検索することができる。別のオプションは、テキストコマンドを保存し、受信する音声がテキストに変換され、その後テキストが、保存されたテキストに対して比較される。入力コマンドを転送されたコマンドと比較する任意の適切な手段が許容される。なお、実例となるさらなる実施態様において、発話によるコマンドはPNDに直接的に転送され、PNDにより分析が実施される。
【0044】
この実例となる実施態様では、コマンドを発話する前に、ボタン(例えば、ハンドルにあるボタン)を押す405必要がある。これは、自動車内の一般的なノイズ(例えば、ステレオ、乗客、周囲の道路の雑音など)がコマンドとして解釈されることを防止するのに役立つ。しかしながら、ボタンを押すことを必要としないシステムを提供することも可能である。
【0045】
いったんボタンを押すと、システムは、ラジオの雑音がコマンドとして解釈されないように、ラジオを消音407する。次に、システムは、コマンドが発話されるのを待機409する。この実例となる実施態様において、システムの待機中、コマンドが発話されていない間は、システムはコマンドの待機がタイムアウト(時間切れ)となったかどうかを確認411[sic: 211]する。その場合、システムはボタンが押されるのを待つ状態に戻る。コマンドが発話された場合、システムは、コマンドが利用可能な音声コマンド415と一致するかどうかを確認する。その場合、コマンドは処理される215が、そのコマンドと一致するコマンドがない場合、システムは使用者に通知し413、有効なコマンドを待つ状態に戻る。コマンドの入力中に乗客が不注意に雑音を発生させることがあるため、システムは、有効なコマンドが入力されるまで引き続き待機するが、システムは、例えば、別のコマンドを合図するボタンが押されるのを待つ状態に戻ることもある。
【0046】
PNDに入力しうる一つの種類のコマンドは、目的地である。図5は、目的地の場所を、車載システムを通じてPNDに入力する215ための、例示的な説明のためのプロセスを示す。ステップ501に到達する前に、使用者は目的地の住所が入力されるようにPNDに指図することもできる。次に501で、車載システムは、PNDの現在の入力画面を受信する。この実例となる実施態様において、入力画面では、まず使用者に市を選択するよう求める。使用者は、市の名前を発話するか、または市を一字ずつ綴る。名前または文字の入力が提示された後503、システムは入力をPNDに送信505する。次に、システムはPNDから、さらに入力が必要かどうかについてのメッセージを受信507する。例えば、使用者が市の名前を発話する場合には、PNDは入力が完了したことを示すメッセージを送信しうる。ところが、使用者が1文字のみを発話した場合には、可能性のある様々な選択肢が残されているため、PNDは、さらに入力を必要とすることを示すメッセージを送信しうる。
【0047】
車載システムは、さらに入力が必要であるかどうかを判断するために、ステータスメッセージをチェックする。その場合、入力を待つ状態に戻る。それ以上の入力が必要ではない場合、システムは、任意の入力画面が残っているかどうかを確認511する。例えば、住所を市、街路名、番地(city, street, number)の形式で入力する必要があるような場合である。その結果、市を入力した後、使用者はまだ街路名と番地を入力する必要がある。この場合には、システムはPNDの表示された次の入力画面を受信し501、プロセスを開始する。一方、PNDがシステムに提示した情報で道案内を提供することができる場合には、さらなる入力が必要とされないこともある。
【0048】
入力の順序および入力の方法については、数多くの可能性が存在するが、ここで説明するのは、一つの例示的かつ非限定的な実施である。
【0049】
使用者と相互作用することなく、自動的な車両ステータスメッセージをPNDに送信することも望ましい。これらのメッセージには、限定はされないが、タイヤ圧力、ガソリン量、昼間/夜間の検出、および車両速度が含まれうる。
【0050】
図6は、車載システムからPNDに送信する215、例示的な車両ステータスのプロンプトを示す。説明のための実施において、車両は、ガソリン不足の信号をPNDに送信している。まず、車両は燃料レベルが低いかどうかを確認600する。次に、車両は、PNDが自動的に最寄のガソリンスタンドを検索できるかを判断601する。その場合、車両は、PNDにメッセージを送信し、車両が燃料不足であることを通知603する。多くのPNDは、具体的な住所を提供しなくても、ガソリンスタンドおよび他の重要な場所への経路を地図で表すことができる。
【0051】
この実例となる実施態様では、いったんPNDがガソリン不足の信号を受信すると、ガソリン不足のメッセージを表示し、使用者に最寄のガソリンスタンドへの地図を表示するかを尋ねる。このメッセージは、使用者が警告を確実に聞くことができるよう、音声による方法で車載システムを通して伝達される605が、メッセージは、PNDに単に表示することもできる。使用者は、最寄のガソリンスタンドまでのナビゲーションを必要とするかどうか尋ねられ607、また「はい」611または「いいえ」609が、PNDに伝えられる。
【0052】
さらに、車両は、残りの走行距離が一定の閾値を下回った場合に、PNDに自動的に最寄のガソリンスタンドまでの経路をプロットするよう指図することもあるが、ガソリンスタンドが、タンク残量での走行距離内にあると仮定する。これは、ガソリン不足のメッセージを無視して、問題にならないようにするのに役立つ。
【0053】
追加的な「非車両」データを、車両とPNDとの間で中継することもできる。例えば、運転者は、デジタル音楽選集を再生するよう指図でき、またPNDはその選集を処理できる。または、ダイアルする電話連絡先を選択し、指図をPNDに渡して、その連絡先にダイアルするか、または、例えば、ダイアルする連絡先を表示して、適切な電話がかけられることを確認することができる。同様に、電話で受信する通話に、車両を経由してそれに関連した発信者IDを持たせ、PND上に表示することができる。別の機能としては、室温調節オプションをPND上に表示することがある。一つ以上のこれらの実施態様において、指図は車載システムからPND以外の装置に渡される。同時に、PND(またはディスプレイ付きの他の装置)は、その指図に関連した一部の面を表示するようになる。この様に、第二の装置ディスプレイは、第一の装置への指図に関する情報を表示するために使用され、また情報は、車載システムを通じて両方の装置に送られる。
【0054】
図7は、車載システム700からの情報を使用したPNDでの推測航法のための、例示的なプロセスを示す。離れた場所や高層ビルが信号を遮断する「都会の峡谷」など、ある一定の地域では、時にはGPS信号がPNDで失われることがある。ただし、信号が失われた場合でも、PNDには、その上に保存された地域の地図を持ちうる。「推測航法」と呼ばれる技法を使用することにより、GPS信号が再び利用可能となるまで、PNDは車両が地図上のどこにいるかを予測できる。
【0055】
この実例となる実施態様において、少なくともGPS情報が利用できないとき701、車載システムは情報をPNDに送信し、PNDは推測航法を実行するために必要な情報を受信703する。次に、例えば、速度、時刻および進行方向の変化に基づき、PNDは車両位置の変化を計算し705、表示された地図を更新707することができる。
【0056】
いったん地図が更新されると、次の一連の情報が送信されたときに同じ計算を完了することができるように、車両は現時点で送信された速度、時刻、進行方向を保存709できる。車両がこの情報を引き続き送信できる限り、推測航法は、必要に応じてGPS信号が回復するまで、必要なだけ継続できる。
【0057】
図8は、方向指示アイコンを車両制御パネル上に表示するための、例示的なプロセスを示す。どちらの方向に曲がるかを示す方向指示アイコンをPNDに表示することに加え、車両の計器パネルにそのアイコン、または類似したアイコンを表示することが望ましいことがある。
【0058】
実例となる一実施態様において、車載システムは、PNDからテキストストリームを受信801する。この説明のための実施態様において、テキストストリームは、運転者に中継するメッセージを車両に提供するストリームである。車載システムは、メッセージを運転者に中継するなど、テキストストリームの他の用途を持ちうるが、車載システムは、方向指示コマンドのためのストリームを、例えば、一度に1語選択することで解析803しうる。
【0059】
方向指示キーワードが見つからない場合805、システムはテキストが残っているかどうかを確認804する。残りのテキストにより、テキスト中の次の単語の選択がなされる。方向指示キーワードがいったん見つかると805、システムは、テキストが残っているかどうかの確認806をし、それに続く追加的なキーワードがないかをチェックする807ことができる(例えば、単語「slight」(わずかに)の後に単語「left」(左))。検出された文字列にそれ以上のキーワードが残っていない場合、またはテキストがそれ以上残っていない場合、車両のディスプレイは、指図した操作を表すアイコンを表示809できる。このディスプレイは、小さなLCDディスプレイで、または他の任意の適切なディスプレイ上で実施できる。
【0060】
テキストストリームの解析に加え、追加的な方法には、限定されないものの、解析のための音声からテキストへの変換、指図の部分の別個の受信、または車載ディスプレイ上に表示される指図の部分の決定するための他の任意の適切な方法などが含まれうる。
【0061】
図9は、2台のブルートゥース装置間での調整の非限定的な例を示す、例示的な状態図である。この実例となる実施態様において、システムはブルートゥース装置が全く接続されていないところ901で始動する。信号を受信していない場合、システムはこの状態にとどまる。
【0062】
第一のブルートゥース信号が検出されると、システムは第一のブルートゥース装置に接続903される。この状態から、データ転送の指図が受信された場合、システムは情報転送状態に移行913する。この状態には、データ送信が完了するまでとどまる。1台の装置のみが接続されている場合、状態903に戻る。
【0063】
また、状態903では、使用者によりコマンドを入力できる。これにより、システムは、コマンドを待つ状態905に移る。コマンドが受信されない限り、システムは状態905で待機する。いったんコマンドが受信されると、システムは、データ転送状態913に移行する。
【0064】
システムが状態903にあるときに第二のブルートゥース信号が検出されると、システムは、第一および第二の両方のブルートゥース装置が接続された状態907に移行する。第一の装置に向けられたコマンドにより、システムは状態905に移り、および第二の装置へのコマンドは、システムを状態909にする。両方の状態905、909によって、コマンド待機状態になり、またそれぞれのコマンドによりシステムは、状態913または911になる。
【0065】
データ転送状態913、911のいずれかにおいて、システムは、データ転送が完了するまで待機した後、接続されている装置の数に応じて、適切な状態に戻る。
【0066】
一つの例示的かつ非限定的な状態図を提示したが、調節プロセスには数多くの可能性があり、またこの実例となる実施態様は、非限定的な実施例であることが意図される。
【0067】
本発明について、現時点で最も実用的かつ望ましいと考えられる実施態様に関連して説明してきたが、本発明は、開示した実施態様に限定されず、添付した請求項の精神および範囲内に含まれる様々な修正および同等なアレンジを網羅することを意図していることが理解されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両通信システムであって:
永続的および非永続的なメモリと交信するコンピュータプロセッサと;
前記コンピュータプロセッサと交信し、また前記車両に配置された一つ以上の無線装置と無線で交信するよう構成された、ローカル無線トランシーバ;および
音声出力を提供するスピーカーを含み;
前記プロセッサは、前記トランシーバを通じて前記一つ以上の無線装置と接続するよう動作可能であり、また少なくとも一つの前記無線装置は、個人用ナビゲーション装置であり;
前記永続的メモリには、少なくとも一つのアプリケーションが含まれ、このアプリケーションは前記プロセッサによって実行可能であり、実行されることによって、システムは:
前記個人用ナビゲーション装置からの道案内出力を示す信号をトランシーバが受信した場合に、スピーカーからの音楽源からの音声出力を抑制し;
前記スピーカーを介して道案内の出力を再生し、その一方で音楽源からの音声出力を抑制するが、ここで、前記プロセッサは、道案内の出力がトランシーバによってテキスト信号として受信された場合には、道案内の出力として再生するために、テキスト信号を音声信号に変換するよう動作可能であり、また前記プロセッサは、道案内の出力がトランシーバによって音声信号として受信された場合には、受信した音声信号を道案内の出力として再生するように動作可能であり;および
いったん、道案内の出力が再生されたら、前記スピーカーからの音楽源からの抑制した音声出力を復元する、車両通信システム。
【請求項2】
少なくとも一つの前記無線装置が携帯電話である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
音楽源が、CDプレーヤーであり、また音声出力の抑制にCDの一時停止が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記音楽源が、音声ファイルプレーヤーであり、また音声出力の抑制に音声ファイルの再生の一時停止が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記音楽源が、ラジオであり、また音声出力の抑制に音楽源の消音が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
車載コンピューティングシステムであって:
永続的および非永続的なメモリと交信するコンピュータプロセッサと;
前記コンピュータプロセッサと交信し、また車両に配置された前記一つ以上の無線装置と無線で交信するよう構成された、ローカル無線トランシーバを含み:
前記プロセッサは、前記トランシーバを通じて設定可能な携帯機器と交信するよう動作可能であり;および
前記プロセッサは、一つ以上の保存されたシステム設定を前記携帯機器に転送するよう動作可能であり、前記携帯機器はさらに一つ以上の転送された設定を採用するよう動作可能である、車載コンピューティングシステム。
【請求項7】
前記携帯機器が個人用ナビゲーション装置である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記設定に言語の設定が含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記設定に時間の設定が含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
車載コンピューティングシステムであって:
永続的および非永続的なメモリと交信するコンピュータプロセッサと;
前記コンピュータプロセッサと交信し、また車両に配置された一つ以上の無線装置と無線で交信するよう構成された、ローカル無線トランシーバを含み:
前記プロセッサは、前記携帯機器とトランシーバを通じて通信できるよう動作可能であり;および
前記プロセッサは、車両情報を携帯機器に転送するよう動作可能で、ここで、少なくとも部分的に車両情報の転送に基づき、前記携帯機器が前記携帯機器に備わっている一つ以上の機能を自動的に実行するように動作可能である、車載コンピューティングシステム。
【請求項11】
前記携帯機器が個人用ナビゲーション装置である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサがガソリン不足の通知を前記個人用ナビゲーション装置に転送するように動作可能で、その後、前記個人用ナビゲーション装置が、最寄のガソリンスタンドにナビゲーションするオプションを提供するよう動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサが、車両速度または進行方向のうち少なくとも一つを、前記個人用ナビゲーション装置に転送するよう動作可能で、また、前記個人用ナビゲーション装置が転送された情報を使用して現在の車両の所在地を推測航法するよう動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサが、暗い状況が検出されたことの通知を転送し、また前記携帯機器が夜間または低照度の設定に切り替えるオプションを提供するよう動作可能である、請求項10に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−518789(P2012−518789A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551130(P2011−551130)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/023887
【国際公開番号】WO2010/096330
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(503136222)フォード グローバル テクノロジーズ、リミテッド ライアビリティ カンパニー (236)
【Fターム(参考)】