説明

個体管理システム

【課題】無線通信装置を利用した自動認識技術を用いて、物品を管理するための個体管理システムを提供する。
【解決手段】管理対象物には個体管理装置が付され、個体識別装置は該個体管理装置との無線通信が可能であり、個体情報管理装置は個体識別装置との通信が可能な構成を有する。個体管理装置はセンサ等の検知部を有し、個体識別装置は個体管理装置との距離を算出する位置解析部を有する。個体管理装置と個体識別装置の間の距離、及び個体管理装置が有する検知部からの情報が個体識別装置に送られ、システムの利用者が個体管理装置の位置を正確に特定することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体管理装置、個体識別装置、及び個体情報管理装置を有する個体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信を利用した自動認識技術の開発が盛んに行われており、一部の分野では導入も進んでいる。自動認識技術は、情報を電子回路に記憶する無線通信装置、当該無線通信装置に記憶された情報を読み書きするリーダ/ライタ、及び読み取った情報の処理やリーダ/ライタの制御等を行う上位システムで構成される。無線通信装置は、RFIDタグ、ICタグ、又は無線タグ等の様々な名称で呼ばれる。また、無線通信装置は無電池方式のものが多い。無電池方式では、無線通信装置はリーダ/ライタから放射される電磁波により動作し、リーダ/ライタと無線通信を行う。また、これらを制御する上位システムとしてはコンピュータが使用されることが一般的であり、パラレルポート又はシリアルポート(シリアルポートの代表としては、USB(Universal Serial Bus)ポート)等を介してリーダ/ライタと通信を行う。この自動認識技術は、物品の製造、物流、及び小売りに至るまでを総合的に管理する技術として期待されており、そのためにも安価で小型な、利便性の高い無線通信装置の開発が進められている。
【0003】
自動認識技術は、その技術の発達に伴って単に物流を管理するための技術に留まらず、個人の持ち物を管理し、遺失物を探索するシステムにも応用されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の遺失物探索システムは、探索の対象となる物品に無線通信装置を貼付等し、該無線通信装置の位置を特定することで、必要に応じて対象となる物品の位置を検出することができるシステムをいう。
【特許文献1】特開2005−003627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような無線通信装置を利用した自動認識技術を用いて、室内等の限られた領域内で個人の所有物等を容易に管理するための個体管理システムを提供することを課題とする。
【0005】
本発明の個体管理システムは、室内等の一定の面積の領域内で、利用者が持ち物の位置を把握しやすくすることを課題とする。
【0006】
または、個体識別装置を携帯している利用者から個体管理装置が付された管理対象物までの距離及び利用者を基準とした管理対象物が存在する方向、並びに管理対象物周囲の環境(例えば、明るさ又は温度等の情報)の情報を得ることにより、管理対象物の位置を利用者に正確に把握させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の個体管理システムは、個体管理装置、該個体管理装置との無線通信が可能な個体識別装置、及び該個体識別装置との通信が可能な個体情報管理装置を有する。管理対象物に付される個体管理装置はセンサ等の検知部を有し、個体識別装置は個体管理装置との距離を算出する位置解析部を有する。算出された個体管理装置と個体識別装置の間の距離、及び個体管理装置から得られた検知部からの情報により、システムの利用者は個体管理装置が付された管理対象物の位置を特定することが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、管理対象物周囲の状況を取得することができる。そのため、管理対象物の位置の情報を把握しやすくなる。また、管理対象物の位置をより正確に把握することもでき、管理対象物の管理をより正確に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されない。本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解されるからである。したがって、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容のみに限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて本発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
【0010】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の個体管理システムの構成と機能の一例について図面を参照して説明する。本実施の形態にて説明する本発明の一例は、無線通信装置を利用した個体認識技術を利用することで、主に室内等の限られた領域内に存在する物品を管理することを目的とした個体管理システムである。
【0011】
本実施の形態にて説明する個体管理システムの一例を図1に示す。図1に示す個体管理システムは、個体管理装置101、個体識別装置102、及び個体情報管理装置103を有する。個体識別装置102と個体情報管理装置103は、これらの間に接続された通信回線104を介して通信を行うことが好ましいが、通信が可能な構成を有していれば有線通信に限定されず、無線通信により通信を行ってもよい。
【0012】
個体管理装置101は、複数の管理対象物から一の管理対象物を識別するために各々の管理対象物に付される識別情報を有する、個体識別装置102と無線通信可能な半導体装置である。
【0013】
個体識別装置102は、管理対象物に付された複数の個体管理装置から、特定の個体管理装置を識別する。個体識別装置102は個体管理装置101との無線通信が可能な構成を有していればよい。
【0014】
個体管理装置101と個体識別装置102は無線通信を行うための構成を有する。個体管理装置101と個体識別装置102の無線通信に使用される電送媒体としては、13MHz付近、900MHz付近、及び2GHz付近の電磁波が利用される。これらの通信のプロトコルは、例えばISO/IEC18000―3、ISO/IEC18000―4、及びISO/IEC18000―6等に準ずることで実現することができる。
【0015】
個体情報管理装置103は、管理対象物に付された個体管理装置101が有する識別情報と当該管理対象物の名称とを関連づけ、個体情報として記憶する。個体情報管理装置103は、個体識別装置102の外部ではなく、個体識別装置102の内部に設けることも可能である。
【0016】
個体情報とは、個体情報管理装置103に記憶された、登録作業が行われた管理対象物の識別情報及び管理対象物の名称等をいう。管理対象物として、例えばパスポートを例として挙げると、管理対象物の名称には「パスポート」が該当する。ここで、名称とは必ずしも当該物品の普通名称に限定されるものではなく、利用者の用途に応じて様々な名称を与えることができる。利用者の名前が「太郎」である場合には、「太郎のパスポート」との名称を与えることも可能である。
【0017】
図1に示すシステムの動作の概要について説明する。まず、システムの利用者が、個体情報管理装置103に記憶された個体情報から特定の管理対象物(ここでは、管理対象物Aと表記する。)を指定する。特定の管理対象物Aが指定されると、個体情報管理装置103は個体識別装置102に対して、管理対象物Aに付された個体管理装置101と通信を行うことを要求する。そして、個体識別装置102が管理対象物Aに付された個体管理装置101と無線通信を行うことにより、利用者は個体管理装置101から送信された情報により管理対象物Aの位置に関する情報を得ることができる。
【0018】
本発明の個体管理システムの利用形態について簡単に説明する。本システムは、はじめに、登録作業を行う。ここで、登録作業とは、管理すべき管理対象物に個体管理装置を付し、当該管理対象物に対応する個体情報を個体情報管理装置に記憶させることをいう。そして、登録作業を繰り返すことで、複数の管理対象物を個体情報管理装置103に登録することができる。
【0019】
登録作業を行った管理対象物を探索したい場合には、利用者は、個体情報管理装置103に記憶された個体情報から、探索を希望する管理対象物を選択する。個体情報管理装置103は、個体識別装置102に対して、当該管理対象物に付された個体管理装置101と通信を行うように要求する。個体情報管理装置103の要求を受けた個体識別装置102は、指定された個体管理装置101と無線通信を行うことによって、管理対象物の位置を把握することができる。
【0020】
なお、本明細書中では上記のように、管理対象物の所在を把握する作業を「使用」と記載する。
【0021】
なお、識別情報とは、個体管理装置101に記憶された、複数の管理対象物から一の管理対象物を特定するための情報をいい、例えば、識別番号等が該当する。
【0022】
次に、登録作業について、個体管理装置101、個体識別装置102、及び個体情報管理装置103が有する機能及び構成との関連を踏まえて詳細に説明する。
【0023】
まず、識別情報を個体管理装置101に記憶させ、個体管理装置101と個体識別装置102が通信を行う。具体的には、個体管理装置101が個体識別装置102からの情報要求により、個体識別装置102に固有の識別情報を送信する。したがって、個体管理装置101は、個体識別装置102と無線通信を行う無線通信部111、識別情報を記憶する記憶部112、及び検知部114を有する。また、個体管理装置101は、個体管理装置101自身の駆動電力を確保するために蓄電部113を有していてもよい。
【0024】
無線通信部111について、図2(A)を参照して説明する。無線通信部111は、共振回路210、復調回路211、変調回路212、復号化回路213、符号化回路214、記憶制御回路等のロジック回路215、及び電源回路216を有する。共振回路210はアンテナ、又はアンテナと容量素子を有する。共振回路210が有するアンテナに生じた誘導起電圧は整流され、容量素子に蓄えられる。容量に蓄えられた電力は、個体管理装置101全体を駆動する電力として供給される。そのため電源回路216は、整流回路及び容量を有し、更には、整流した電力を制御するための電流・電圧制御回路を有していてもよい。
【0025】
アンテナで受信された搬送波は復調回路211に入力されて復調され、個体識別装置102から送信された信号を取り出す。取り出された信号は、特定の方法によって符号化されているため、復号化回路によって解読される。そして、解読された信号が正しいか、又はこちらからどのような信号を返信すべきか等をロジック回路215が判断し、返信すべきと判断されたときには、記憶部112の情報を読み出す。読み出された情報は、符号化回路214によって符号化される。そして、その情報は変調回路212に入力されて変調され、アンテナを介して個体識別装置102へ送られる。
【0026】
無線通信部111が上記のように機能するため、共振回路210は復調回路211に接続され、復調回路211は符号化回路214と接続される。そして符号化回路214はロジック回路215に接続され、ロジック回路215は記憶部112を制御し、記憶部112のデータは必要に応じてロジック回路215に送られる。ロジック回路215の出力信号は符号化回路214に送られ、符号化回路214で符号化された信号は変調回路212へ送られる。変調回路212で変調された信号は共振回路210へ送られる。
【0027】
次に、蓄電部113について、図2(B)を参照して説明する。蓄電部113は、無線による給電が可能であり、整流回路217、電流・電圧制御回路218、充電制御回路219、及びバッテリ220を有する。
【0028】
アンテナに生じた誘導起電力は、共振回路210を介して整流回路217に供給され、直流の電力へと整流される。そして、その出力電圧が電流・電圧制御回路218に供給され、充電に適した電圧に調整された後、バッテリ220へ供給されることでバッテリ220が無線により充電される。充電制御回路219は、バッテリの充電状況を監視し、電流・電圧制御回路218からバッテリ220へ供給される電力を制御する。具体的には、整流された電力を充電に適した任意の電圧値又は電流値に調整する。また、バッテリ220の充電が終了すると、電流・電圧制御回路218からバッテリ220への電力の供給は終了する。バッテリ220は、充電された電力を用いて個体管理装置101が有する各回路を駆動する電力源として機能する。
【0029】
整流回路217は、半波整流回路、全波整流回路、ブリッジ整流回路、及び半波倍圧整流回路のいずれかを用いて交流を直流にし、大型の容量によって電圧を平滑にする。これらの整流回路は、ダイオードを有する。または、ダイオード接続されたTFTを有しても良い。
【0030】
上記の構成を有する個体管理装置101は登録作業の後に管理対象物に付され(または管理対象物に付され、登録作業が行われた後に)、個体情報管理装置103と通信を行う。個体識別装置102は、個体管理装置101に情報要求を出し、返信される識別情報を受信する。そして、個体識別装置102は、受信した識別情報を個体情報管理装置103に送信する。したがって、個体識別装置102は、個体管理装置101と無線通信を行う無線通信部121、個体管理装置101から受信した識別情報等を一時的に記憶する記憶部122、及び通信回線104を介して個体情報管理装置103と通信を行う回線通信部124を有する。更には、個体識別装置102は個体管理装置101と通信を行い、個体情報管理装置103と有線通信を行うことから、通信によってやり取りされる情報を適切な形に処理するための情報処理部123を有する。なお、無線通信部121は、既に説明した無線通信部111と同様の構成であればよい。
【0031】
なお、本実施の形態では個体識別装置102と個体情報管理装置103が通信回線104を介して通信しているため、回線通信部124を有する形態を示しているが、個体識別装置102と個体情報管理装置103が無線通信を行う構成であっても良い。この場合には、回線通信部124及び回線通信部131に代えて、個体識別装置102が個体情報管理装置103と無線通信を行うための無線通信部を有し、個体情報管理装置103が個体識別装置102と無線通信を行うための無線通信部を有していてもよい。個体識別装置102と個体情報管理装置103が無線通信を行う場合には、個体識別装置102は、蓄電部126を有することが好ましい。蓄電部126は蓄電部113と同様の構成で無線により充電されてもよいし、外部の電源に有線接続されて電力が供給される構成であっても良い。
【0032】
また、個体識別装置102は、個体管理装置101との通信の状態を利用者に知らせるため、対利用者通知部125を有する。対利用者通知部125は、表示部、照明素子、バイブレータ、音声機器、音声通知部等でも良い。
【0033】
更に、個体識別装置102は、個体管理装置101の位置を把握するために、位置解析部128を有する。
【0034】
加えて、個体識別装置102は、登録作業をする管理対象物と当該管理対象物に付される個体管理装置101が有する識別情報とを関連づけるために、管理対象物の像を撮影する撮像部127、例えばカメラを有していてもよい。
【0035】
個体情報管理装置103は、利用者が登録作業をした全ての管理対象物に対応する個体情報を記憶する。利用者は個体管理装置101を管理対象物に付した後、当該管理対象物の名称等の個体情報を個体情報管理装置103に入力する。そして、個体情報管理装置103は、個体識別装置102を介して個体管理装置101が記憶している識別情報を読み出し、利用者が登録作業をした管理対象物の名称等の情報と当該識別情報を関連付けて個体情報として記憶する。したがって、個体情報管理装置103は、個体識別装置102と通信を行うための回線通信部131、及び利用者が入力した情報や個体識別装置102と通信を行う情報を処理する情報処理部132を有する。さらに、登録作業された個体情報や登録作業時若しくは使用時に本システムを動作させるプログラムファイルを記憶する記憶部133、及び利用者からの情報入力の受信若しくは個体情報の表示を行う、情報入出力部134を有する。
【0036】
ここで、個体管理装置101に記憶される識別情報150、及び個体情報管理装置103に記憶される個体情報151について、図3を参照して説明する。識別情報150は、複数の管理対象物の中から一の管理対象物を特定するための情報であり、少なくとも、各管理対象物に割り振られる管理番号150a、領域内に同種のシステムが複数存在するときに混乱を防ぐシステム番号150b、及び利用者番号150c等を有する(図3(A)を参照)。
【0037】
また、個体情報151は、個体管理装置101に記憶される識別情報150、管理対象物の名称等151a、及びその他の情報151bを有する。その他の情報151bとしては、利便性を向上させるための管理対象物画像データ151c、システム運用時に用いるシステムパスワード151d、及び登録作業履歴151e等が挙げられる。そして、個体情報管理装置103の記憶部133は、登録作業された全ての個体管理装置101に関する個体情報151をデータベース152として記憶する(図3(B)を参照)。
【0038】
なお、個体管理装置101に、識別情報150ではなく、個体情報151が記憶されていても良い。しかし、個体管理装置101は、管理対象物に付されるので小型であることが好ましく、個体管理装置101には必要最低限の情報のみを記憶させることで記憶容量を小さく抑えることが好ましい。
【0039】
次に、本発明の個体管理システムについて「使用時」の説明を行う。
【0040】
個体管理装置101には、装置に固有の識別情報150が記憶されている。そして登録作業時と同じく、個体管理装置101が個体識別装置102からの情報要求を受信すると、識別情報150を個体識別装置102へ送信する。
【0041】
ここで、個体管理装置101が有する検知部114について説明する。検知部114は、個体管理装置101の状況を検知するもの、例えば、温度センサ、光センサ(好ましくは、周囲の色を識別できる光センサ)、湿度センサ、加速度センサ、角速度センサ、又は磁気センサ(好ましくは地磁気を検出する)等が相当する。個体管理装置101が検知部114として光センサを有することで、個体管理装置101が存在する場所の明るさの度合を検知し、所在を把握したい管理対象物の場所を特定するための情報を得ることができる。また、個体管理装置101が複数種のセンサ等を有することで、管理対象物の場所を特定するための複数の情報を取得することができ、管理対象物の位置についてより正確な把握が可能になる。
【0042】
個体管理装置101が有する検知部114の構成の一例について、図4(A)を参照して説明する。検知部114は、光センサ、温度センサ、若しくは湿度センサ等のセンサ230、センサから出力されるアナログ信号を増幅してデジタル信号に変換するA/D変換回路231、及びデジタル信号を処理する情報処理回路232を有する。このように、検知部114によって検知され、情報処理回路232で加工された情報は符号化回路214に入力され、無線通信部111が有する変調回路212で変調され、共振回路210が有するアンテナを介して個体識別装置102へ送信される。検知部114の駆動電力の確保には、無線通信部111が有する電源回路216又は蓄電部113が有するバッテリ220を用いる。
【0043】
個体識別装置102は、個体情報管理装置103からの命令を受けて、複数の個体管理装置から一の個体管理装置を選択し、通信を行う。具体的には、個体情報管理装置103が指定した識別情報を有する個体管理装置101と無線通信を行う。
【0044】
ここで、情報処理部123は、通信のための情報処理の他、個体識別装置102と通信している特定の個体管理装置101までの距離や個体識別装置102を基準とした個体管理装置101の存在する方向を解析する機能を有する。そして、情報処理部123が解析した個体管理装置101の位置、又は個体管理装置101が有する検知部114によって検知された情報等を、個体識別装置102の対利用者通知部125により利用者に伝える。
【0045】
ここで、個体識別装置102と通信している特定の個体管理装置までの距離や存在する方向を解析する機能について説明する。まず、距離のみを解析する場合について説明する。
【0046】
個体管理装置101と個体識別装置102との無線通信により、個体管理装置101と個体識別装置102との距離や、個体識別装置102を基準として個体管理装置101がどの方向に存在するかを測ることができる。
【0047】
例えば、個体管理装置101から発信された電磁波によって個体識別装置102の無線通信部121が有するアンテナに生じる誘導起電圧の大きさを利用することにより、個体識別装置102は個体管理装置101と個体識別装置102との距離を検知することができる。個体管理装置101が所定の電力で電磁波を送信したとき、個体管理装置101と個体識別装置102との距離は、個体識別装置102のアンテナに生じる誘導起電圧の大きさに依存するからである。したがって、個体管理装置101が有する無線通信部111に所定の電力で電磁波を送信し、個体識別装置102のアンテナに生じる誘導起電圧の大きさから個体管理装置101と個体識別装置102との距離を求めることができる。
【0048】
この場合の、個体識別装置102が有する位置解析部128について図4(B)を参照して説明する。位置解析部128は、整流回路241、比較回路242、及び比較電位生成回路243を有する。
【0049】
整流回路241は、個体管理装置101からの電磁波を受信して生じた誘導起電力を整流し、出力信号を比較回路242に入力する。比較電位生成回路243は、整流回路241の出力信号の電位と比較するための基準電位を生成し、比較回路242に入力する。比較回路242は、整流回路241から入力された信号の電位と基準電位とを比較する。比較された結果は、個体識別装置102が有する情報処理部123に入力され、情報処理部123が演算して距離を算出し、算出した結果は対利用者通知部125に送信される。ここで、比較回路の出力情報を処理する情報処理部123は、論理演算を行うことのできる回路、具体的には中央演算処理装置(CPU)等を有していることが望ましい。
【0050】
また、個体管理装置101と個体識別装置102間の距離と個体識別装置102のアンテナに生じる誘導起電圧の大きさの関係は比例関係である必要はない。したがって、その距離をより正確に求める必要がある場合には、個体管理装置101がある一定の電力(第1の電力と記載する。)で電磁波を送信したときと、第1の電力とは異なる電力(第2の電力と記載する。)で電磁波を送信したときで、個体識別装置102のアンテナに生じる誘導起電圧の大きさを比較し、そこから距離を求める。この場合、個体管理装置101は、第1の電力及び第2の電力を生成し、アンテナに印加するための電流・電圧制御回路を有する。この電流・電圧制御回路は図2(B)にて説明した電流・電圧制御回路218と同様の構成でよい。
【0051】
次に、個体識別装置102が、個体管理装置101と個体識別装置102間の距離のみならず、個体管理装置101が存在する方向をも解析することができる構成を有する場合について、図5を参照して説明する。この場合、図1に示す無線通信部121は無線通信部121aに置換され、位置解析部128は位置解析部128aに置換される。個体識別装置102を基準として個体管理装置101がどの方向に存在するのかを検知するには、個体識別装置102の無線通信部に受信用のアンテナを設け、該アンテナに指向性を持たせる構成とすればよい。受信用のアンテナに指向性を持たせることで、アンテナを様々な方向に向けたときに起電力の最も大きい方向が個体管理装置101の存在する方向であると特定することができる。
【0052】
図5は、無線通信部121a及び位置解析部128aを示す。無線通信部121aは受信用アンテナ251及び発信用指向性アンテナ252を有する。発信用指向性アンテナ252は発信方向が変更可能なものが好ましい。無線通信部121aが有するその他の回路は、無線通信部121と同様の構成を有していればよい。位置解析部128aは、受信した電磁波の電力の大きさを比較する。位置解析部128aは、整流回路261、比較回路262、比較電位生成回路263、及び通信電力制御回路264を有する。整流回路261、比較回路262、及び比較電位生成回路263は、それぞれ整流回路241、比較回路242、及び比較電位生成回路243と同様の構成を有していればよい。比較された結果は情報処理部123に入力され、情報処理部123は通信電力制御回路264を介して発信用指向性アンテナ252に供給する電力を制御する。
【0053】
無線通信部121a及び位置解析部128aを有する個体識別装置102が、個体管理装置101の存在する方向を検知する方法について図6を参照して説明する。まず、処理を開始する(ステップ300)。個体識別装置102が角度θで個体管理装置101と通信を行う(ステップ301)。個体管理装置101からの返信の有無を判断する(ステップ302)。個体管理装置101からの返信があった場合には角度θで返信があった旨を記憶する(ステップ304)。個体管理装置101からの返信がない場合には電力を強め(ステップ303)、再度、個体管理装置101と通信を行う。出力可能な範囲での最大の電力でも返信がない場合には、その角度では返信がなかった旨を記憶する。次に、可能な範囲で角度θを変化させて個体管理装置101と通信し、ステップ301から再度処理を行う(ステップ305)。記憶された結果から、返信があった方向、又は返信された電力の強度が最も強かった方向を個体管理装置101が存在する方向として表示し(ステップ306)、処理が終了する(ステップ307)。
【0054】
次に、無線通信部121a及び位置解析部128aを有する個体識別装置102が、個体管理装置101の存在する方向及び個体管理装置101の位置から判断できる個体識別装置102と個体管理装置101の距離を検知する方法について図7を参照して説明する。まず、処理を開始する(ステップ400)。個体識別装置102がある電力Pで個体管理装置101と通信を行う(ステップ401)。個体管理装置101からの返信がある場合(ステップ402)には、電力を弱めて(ステップ403A)個体管理装置101との通信を行い、個体識別装置102に対して個体管理装置101からの返信が無くなるまで電力を徐々に弱めていく(ステップ404A)。ここで、最後に通信を行うことができた電力Pを記憶する(ステップ405A)。ステップ402において、個体管理装置101からの返信がなかった場合には、電力を強めて(ステップ403B)個体管理装置101との通信を行い、個体識別装置102に対し、個体管理装置101からの返信があるまで電力を徐々に強めていく(ステップ404B)。ここで、初めて通信を行うことができたときの電力Pを記憶する(ステップ405B)。ここで、個体管理装置101と個体識別装置102との無線通信が電波で行われる場合、特定の電力Pで発信された電波は個体管理装置101と個体識別装置102との距離の二乗に反比例して減衰する。したがって、個体管理装置101と個体識別装置102との距離が遠い程強い電力が必要となり、ステップ403Bからステップ405Bを経る。逆に、個体管理装置101と個体識別装置102との距離が近い程電力は小さくてもよいため、ステップ403Aからステップ405Aを経る。このようなことから、個体識別装置102がある距離に固定されている場合、個体識別装置102が発信する電力にはP<P<Pの関係が成り立つ。したがって、個体識別装置102は、電力がP以上P以下で必ず通信を行うことのできる構成であるとする。更に好ましくは、本システムを利用する範囲内において最長となる距離間の通信が可能な電力で通信を行うことのできる構成を有する。
【0055】
そして、発信用指向性アンテナ252を用いてある角度θの方向に向け、電力P又は電力Pで個体管理装置101と通信を行い、個体管理装置101からの返信があるか否か、返信がある場合にはその電力Pを記憶し、角度を変化させて、同様に個体管理装置101と通信を行う(ステップ406)。角度の変化は可能な限り行う。これらの結果、個体管理装置101と通信可能な方向、又は個体管理装置101から返信された電力が最大の方向を、個体管理装置101の存在する方向であると判断して表示し(ステップ407)、処理が終了する(ステップ408)。
【0056】
また、個体識別装置102が有する位置解析部は、指向性のアンテナではなく複数のアンテナ及び遅延加算回路を有する構成としても良い。このとき、好ましくは一列、又はマトリックス状等、特定の配列に並べられた複数のアンテナを有する。そして、複数のアンテナの各々に生じた交流電力を遅延加算回路に入力して遅延加算を行うことで個体管理装置101が存在する方向を算出することができる。個体識別装置102に設けられた複数のアンテナの各々は、発信源(本実施の形態では個体管理装置101)との距離が異なるため、各々のアンテナに生じる誘導起電力の位相が異なることを利用したものである。そして、異なる位相をもった電力を各々のアンテナ間の距離分だけ遅延して加算することにより、発信源の方向に最大値を持つ解が得られる。
【0057】
また、本発明の個体管理システムを室内で使用すると壁面からの反射波等により、図6及び図7にて説明した方法では有効に使用出来ない場合が想定される。この場合には、距離の場合と同様に個体識別装置102のアンテナに生じた誘導起電圧を利用すればよい。例えば、個体識別装置102が位置Aにある場合に個体識別装置102のアンテナに生じた誘導起電圧を記憶し、個体識別装置102が位置Bに移動し、位置Bにおける個体識別装置102の誘導起電圧を比較する。位置Aにおける誘導起電圧よりも位置Bにおける誘導起電圧の方が小さい場合には、個体管理装置101は位置Bよりも位置Aに近い位置にあると判断できる。
【0058】
このように誘導起電圧の比較を繰り返すことによって、個体管理装置101が存在する方向を概ね明らかにすることができる。このとき、個体識別装置102の動きを知ることによって、より正確に個体管理装置101が存在する方向を知ることができる。このような機能を実現する場合、個体識別装置102は個体識別装置102の動きを検知する加速度センサ又は角速度センサ等を有する構成とすればよい。また、対利用者通知部125が表示部として使われる場合は、例えば対利用者通知部125に部屋のレイアウトを表示しても良い。そうすることで、利用者は個体識別装置102の位置と関連した個体管理装置101の位置を簡単に見ることが出来る。
【0059】
さらに、利用者が本システムを使用する際に、個体識別装置102と個体情報管理装置103が通信回線で接続されていない場合には電力の確保が難しくなるため、個体識別装置102は自身を駆動するための電力源として蓄電部126を有していてもよい。蓄電部126は、蓄電部113と同様の構成を有していればよい。
【0060】
個体情報管理装置103は、登録作業された全ての管理対象物に対応する個体情報を記憶している。利用者が位置を把握したい管理対象物を選択すると、指定された管理対象物に付された個体管理装置101が有する識別情報等を、通信回線104を介して個体識別装置102に送信する。
【0061】
以上のように、本発明により、管理対象物の正確な位置を把握することができ、管理対象物の管理を正確に行うことができる。
【0062】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる構成を有する個体管理装置101について説明する。実施の形態1にて説明したように、個体管理装置101は識別情報を記憶し、無線で個体識別装置102と通信する。実施の形態1では、個体管理装置101があらかじめ特定の識別情報を記憶している場合について説明した。しかし、本発明の個体管理システムでは、個体管理装置101が、あらかじめ特定の識別情報を記憶していない構成とすることも可能である。
【0063】
個体管理装置101が、あらかじめ特定の識別情報を記憶していない場合、個体管理装置101は個体識別装置102からの無線通信により、個体情報管理装置103に登録された特定の識別情報を記憶する構成とすればよい。
【0064】
個体管理装置101があらかじめ識別情報を記憶していない場合の登録作業について説明する。登録作業では、個体管理装置101は、無線通信部111により、電磁波を介して個体識別装置102と通信を行う。このとき、無線通信部111は、個体識別装置102から特定の識別情報を受信し、この識別情報を記憶部112に記憶させる。
【0065】
したがって、記憶部112は、書き込み可能な記憶回路、好ましくは書き込み可能な不揮発性メモリを有し、さらに好ましくはライトワンス型の不揮発性メモリを有する。記憶部112にライトワンス型の不揮発性メモリを用いることで、不正な書き換えを防止することができ、システムの信頼性が向上する。
【0066】
本実施の形態のように、個体管理装置101に固有の識別情報が記憶されていない場合には、記憶部112には、個体識別装置102から送信された識別情報が書き込まれる。一般に、記憶部に情報を書き込む場合は高い電圧を要するため、個体管理装置101は、実施の形態1にて説明した蓄電部113を有することが好ましい。蓄電部113の構成は実施の形態1にて説明した通りである。蓄電部は、さらに昇圧回路又は降圧回路のように、高い電圧又は低い電圧を生成する回路を有していても良い。
【0067】
また、個体管理装置101にあらかじめ固有の識別情報が記憶されていない場合には、個体識別装置102や個体情報管理装置103の機能も、実施の形態1とは若干異なることになる。
【0068】
たとえば、登録作業において個体識別装置102は、通信回線104を介して、個体情報管理装置103から特定の識別情報を受信する。そして、個体管理装置101と無線通信を行い、個体管理装置101に識別情報を記憶させる。そのため、個体情報管理装置103は登録作業時に、個体管理装置101に記憶させるための識別情報を決定しなければならない。つまり、個々の管理対象物に付される個体管理装置101に対応して発行される識別情報がすべて異なるように識別情報150(特に、図3(A)に示す管理番号150a)を決定しなければならない。このような作業は、個体情報管理装置103が有する情報処理部132によって行うことが可能である。また、個体情報管理装置103は、個体識別装置102の外部ではなく、個体識別装置102の内部に設けることも可能である。
【0069】
したがって、個体管理装置101が固有の識別情報を記憶していない場合の登録作業は次のようになる。
【0070】
まず、利用者は個体管理装置101を付す管理対象物の情報を個体情報管理装置103に入力する。次に、個体情報管理装置103は、個体管理装置101に書き込む識別情報150を発行し、個体識別装置102に送信する。個体識別装置102は、受信した識別情報150を個体管理装置101に送信し、個体管理装置101は識別情報150を記憶部112に記憶する。これと同時に、個体情報管理装置103は利用者が入力した管理対象物の情報と、個体管理装置101に対応して発行した識別情報150とを関連づけ、個体情報151として記憶部133に記憶する。
【0071】
上記の構成により、個体管理装置101が固有の識別情報を記憶していなくても、特定の識別情報を付与することで個体管理システムを実現することができる。
【0072】
本実施の形態にて説明した個体管理システムは、例えば、管理対象物を追加する場合に、個体管理装置101の追加を要する場合等に特に有効である。すなわち、最初に利用者が所有していた個体管理装置101の数量以上に管理対象物が追加登録される場合には、個体管理装置101のみを増やせばよいのだが、実施の形態1にて説明した方法では、これが困難である。そこで、個体管理システムが本実施の形態に示す構成を有することで、最初に設定された個体管理装置101が有する識別情報150と、後に追加された個体管理装置101が有する識別情報を異なるものにすることができ、異なる個体管理装置101に同一の識別情報が発行されシステムが混乱するという危険性を回避できる。
【0073】
また、本実施の形態の方法を採用することで、管理対象物が更新された場合にも極めて有効である。例えば、管理対象物が自動車の鍵である場合には、自動車を新たに買い換えると、鍵も新しいものに変更される。その場合、古い自動車の鍵に付していた個体管理装置101を新しく購入した自動車の鍵に付け替えることもできるが、新しい個体管理装置101を入手し、新しい鍵に取り付けることも可能になる。
【実施例1】
【0074】
実施の形態1及び実施の形態2で説明した、本発明を実現するためのデバイスは、トランジスタを有する。また、トランジスタとして、例えば薄膜トランジスタを用いることができる。更には、薄膜トランジスタはガラス基板上に形成されていてもよい。本実施例では、ガラス基板上にシリコンを成膜して形成する薄膜トランジスタの作製方法の一例について、図8を参照して説明する。また、半導体装置の用途に応じて、ガラス基板上に形成した半導体素子を剥離して、可撓性を有する基板上に貼り付けることも可能である。この工程については、図9を参照して説明する。
【0075】
まず、ガラス基板801上に剥離層802を形成する。基板はガラス基板以外にも、石英基板、シリコン基板、金属基板等を用いることができるが、ここではガラス基板を用いる。剥離層802は、金属又はシリコン等の元素や化合物を基板の全面又は一部に形成する。なお、半導体素子を剥離して可撓性を有する基板上に貼り付ける工程を行わない場合には、剥離層802を形成しなくてもよい。
【0076】
次に、剥離層802を覆うように、絶縁層803を形成する。絶縁層803は、シリコン酸化物やシリコン窒化物等をCVD法又はスパッタリング法により形成すればよい。次に、絶縁層803上に半導体層804となる半導体膜を形成し、約500度の加熱処理により半導体層804内に残留している水素を除去する。なお、半導体膜の形成は、例えばシランガスを用いてCVD法により行えばよい。そして、半導体膜を結晶化する。半導体膜の結晶化は、例えばレーザ結晶化法又は金属触媒を用いた熱結晶化法等により行う。そして、結晶化した半導体膜を所望の形状にパターニングすることで、半導体層804を形成する。次に、半導体膜を覆うようにゲート絶縁層805を形成する。ゲート絶縁層805は、絶縁層803と同様に、シリコン酸化物やシリコン窒化物等で形成すればよい。
【0077】
次に、ゲート電極層806を形成する。ゲート電極層806は、導電性を持つ元素や化合物で導電層を形成し、所望の形状にパターニングする。フォトリソグラフィー法によりパターニングを行う場合、レジストマスクをプラズマ等でエッチングすると、ゲート電極幅を短くし、トランジスタの性能を高めることができる。図8(A)はゲート電極層を積層して形成した場合を示す。
【0078】
次に、半導体層804に不純物元素を添加してN型不純物領域807及びP型不純物領域808を形成する。不純物領域は、フォトリソグラフィー法によりレジストマスクを形成し、リン、ヒ素又はボロン等の不純物元素を添加することで形成する(図8(A)を参照)。
【0079】
次に、シリコン窒化物等により絶縁膜を形成し、当該絶縁膜を基板に対して垂直に異方性エッチングすることで、ゲート電極層806の側面に接するサイドウォールとして絶縁層809を形成する(図8(B)を参照)。
【0080】
次に、N型不純物領域を有する半導体層804に不純物を更に添加し、絶縁層809の下に位置する第1のN型不純物領域810と、第1の不純物領域よりも不純物濃度が高い第2のN型不純物領域811と、を形成する。以上のようにして、N型トランジスタ812及びP型トランジスタ813が形成される。
【0081】
続いて、N型トランジスタ812及びP型トランジスタ813を覆って絶縁層814を形成する。絶縁層814は、絶縁性を有する無機化合物や、有機化合物等により形成する。図8(C)は、絶縁層814を積層して形成した例を示す。その後、第2のN型不純物領域811と、P型不純物領域808と、を露出させるコンタクトホールを形成する。そして、該コンタクトホールを介して接続され、且つ所望のパターンとなるように導電層815を形成する。導電層815は、導電性を有する金属元素や化合物等で形成すればよい。
【0082】
次に、導電層815を覆うように絶縁層816を形成する。絶縁層816は、絶縁性を有する無機化合物又は有機化合物等で形成すればよい。絶縁層816は、例えば、SOG(Spin On Glass)法、液滴吐出法、スパッタリング法又はCVD法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層で又は積層して形成する。また、絶縁層816は、好ましくは0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
【0083】
なお、以上説明した半導体素子を形成する各々の層(絶縁層、又は導電層等)は、特に記載がなくとも単一材料の膜を単層で形成してもよいし、又は複数の材料の膜を積層して形成してもよい。
【0084】
また、上記の半導体素子が有する半導体層は、非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体、又は有機半導体等を用いて形成することができる。
【0085】
例えば、良好な特性の半導体素子を得るためには、200度以上600度以下の温度(好適には350度以上500度以下の温度)で結晶化した結晶質半導体層(低温ポリシリコン層)、又は600度以上の温度で結晶化した結晶質半導体層(高温ポリシリコン層)を用いることができる。さらに良好な特性の半導体素子を得るためには、金属元素を触媒として結晶化した半導体層や、レーザ照射法により結晶化した半導体層を用いるとよい。また、プラズマCVD法により、SiH/Fガス又はSiH/Hガス等を用いて形成した半導体層や、前記半導体層にレーザ照射を行ったものを用いるとよい。
【0086】
また、デバイスに設けられた薄膜トランジスタが有する結晶質半導体層は、結晶粒界がキャリアの流れる方向(チャネル長方向)と平行に延びるように設けられていることが好ましい。このような結晶質半導体層は、連続発振レーザ、又は10MHz以上好ましくは60MHz以上100MHz以下で動作するパルスレーザにより形成することができる。
【0087】
さらに、半導体層804の厚さは、10nm以上200nm以下、好ましくは50nm以上150nm以下とするとよい。また、半導体層804中の、特にチャネル形成領域には、1×1019atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下の濃度、好ましくは1×1019atoms/cm以上5×1020atoms/cm以下の濃度で、水素又はハロゲンを添加することにより、欠陥が少なく、クラックが生じにくい半導体層を得ることができる。
【0088】
上記のように作製した薄膜トランジスタは、サブスレッシュホールド値が0.35V/dec以下、好ましくは0.09V/dec以上0.25V/dec以下となる。また、移動度は、10cm/Vs以上の特性を有するとよい。
【0089】
また、本実施例では、基板上に半導体層、ゲート絶縁層、及びゲート電極層を順に積層させた薄膜トランジスタ(トップゲート型薄膜トランジスタ)を示したが、これに限定されない。ゲート電極層、ゲート絶縁層、及び半導体層をこの順に積層させた薄膜トランジスタ(ボトムゲート型薄膜トランジスタ)であってもよい。更には、本実施例のN型トランジスタは、第1のN型不純物領域及び第2のN型不純物領域を有するが、これに限定されず、N型不純物領域の不純物濃度は一様であっても良い。
【0090】
また、本発明のデバイスの作製に際して、上記の工程で作製された半導体素子の形成されている層は、複数の膜が積層された構造であってもよい。このように半導体素子を多層構造で形成する場合には、層間での寄生容量を低減するために、層間絶縁膜の材料に低誘電率材料(low−k材料)を用いるとよい。このようなlow−k材料として、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の樹脂材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料等が挙げられる。多層配線構造の隣接する配線間の寄生容量を低減すると、小面積化、動作の高速化及び低消費電力化を実現することができる。
【0091】
また、アルカリ金属による汚染を防ぐための保護層を設けることで、デバイスの信頼性が向上する。この保護層は、窒化アルミニウム又は窒化珪素膜等の無機材料により、回路内の半導体素子を覆って、又は回路全体を覆って形成するとよい。
【0092】
また、本発明の半導体装置はアンテナを有する。アンテナは半導体素子を作製する工程の中で形成することも可能であり、本実施例では、アンテナを半導体素子と同一の工程で形成する場合について説明する。
【0093】
まず、上記のように形成した半導体素子の絶縁層816の所望の箇所をエッチングし、導電層815を露出させるコンタクトホールを形成する。
【0094】
次に、導電層815に接し、アンテナとして機能する導電層817を形成する(図8(C)を参照)。導電層817は、プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、又は液滴吐出法等を用いて、所望のパターンに形成された導電性材料により形成する。
【0095】
好ましくは、導電層817は、アルミニウム、チタン、銀、銅から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層で又は積層して形成する。ここでは、導電層817はスクリーン印刷法により銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。スパッタリング法によりアルミニウム層を形成し、当該アルミニウム層を所望のパターンに加工することで形成してもよい。アルミニウム層をパターン加工する場合には、ウエットエッチング法を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300度の加熱処理を行うとよい。
【0096】
また、アンテナを別の基板に形成し、後で貼り合わせることも可能である。例えば、半導体素子を基板によって上下から挟む工程において、一方の基板にアンテナ832を形成しておき、これを半導体素子と電気的に接続されるように貼り合わせることができる(図10(C)を参照)。この場合、図8(C)の導電層817は、アンテナではなく、アンテナ832と接続するための配線として形成される。
【0097】
ここで、アンテナ832と導電層817を接続させるためには、導電層817と接続されるバンプを形成することが好ましい。更には、半導体素子とバンプの間には接着層を設け、該接着層は異方性導電接着剤により設けられることが好ましい。
【0098】
異方性導電膜及び異方性導電接着剤は、厚さ方向(貼り合わせた時の垂直方向)にのみ導電性を有する材料であり、粒径数nm〜数μmの導電性粒子が分散された接着性の有機樹脂で構成されている。有機樹脂としては、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子は、金、銀、銅、パラジウム若しくは白金から選ばれた一又は複数の元素で形成される。また、これらの元素が積層された、多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム若しくは白金から選ばれた一又は複数の金属で形成される薄膜がコーティングされた導電性粒子を用いてもよい。
【0099】
次に、上記のように設けた半導体素子をガラス基板801から剥離し、フィルム等の可撓性を有する基板へ張り付ける工程について、図9を参照して説明する。以上のようにアンテナまで形成した半導体素子をガラス基板801から剥離し、可撓性を有する基板へ張り付ける場合には、当該半導体素子の厚さは5μm以下、好ましくは、1μm以上3μm以下であることが望ましい。また、デバイスを構成する半導体素子の面積は25mm以下、好ましくは9mm以上16mm以下とする。
【0100】
まず、図9(A)に示すように、剥離層802が露出するように開口部820を形成し、開口部820にエッチング剤を導入し、剥離層802を部分的に除去する。
【0101】
次に、ガラス基板の上面方向から第1の可撓性基板822を接着し、剥離層802を起点として半導体素子821をガラス基板801から剥離することで、半導体素子821を第1の可撓性基板822側へ移しとる(図9(B)を参照)。
【0102】
ここで、第1の可撓性基板822としては、柔軟性を有する絶縁層と、接着層と、を積層した基板を用いることができる。この接着層は、加熱処理により接着力が低下する熱可塑性樹脂であり、例えば、加熱によって軟化する材料、加熱により膨張するマイクロカプセル若しくは発泡剤を混入した材料、熱硬化性樹脂に熱溶融性や熱分解性を付与した材料、水の侵入による界面強度劣化又はそれに伴って吸水性樹脂が膨張する材料を用いて形成される。本明細書において、柔軟性を有する絶縁層と、接着層と、を有する第1の可撓性基板822は熱剥離型の支持基板とも記載される。
【0103】
また、熱剥離型の支持基板に代えて、加熱処理によって接着力が低下するフィルムからなる熱剥離フィルムや、UV(紫外線)照射を行うことによって接着力が低下するUV(紫外線)剥離フィルム等を用いてもよい。UV剥離フィルムは、絶縁層と、UV(紫外線)照射を行うことによって粘着力が弱くなる接着層と、を積層して形成したフィルムである。
【0104】
次に、半導体素子821がガラス基板801と接していた側に第2の可撓性基板823を接着し、第1の可撓性基板822を剥離する(図9(C)を参照)。また、第1の可撓性基板822を剥離することで半導体素子がむき出しになるので、それを保護するために可撓性を有する保護基板を貼り付けてもよい。
【0105】
第1の可撓性基板822及び第2の可撓性基板823としては、プラスティックフィルム又は紙等を用いることができる。完成された半導体装置が、外部からの影響を受けないように、半導体素子を上下から挟む2枚の可撓性基板は概略同一の厚さとし、半導体素子が概略中心に存在することが望ましい。
【0106】
ここで、曲面を有する可撓性基板に半導体素子821を貼り付ける場合や、上記のようにして作製された半導体装置を曲げて使用する場合には、半導体素子のキャリアの流れる方向(チャネル長方向)と曲線の方向とを同一にすると、半導体素子への影響を小さくすることができる。
【0107】
また、本実施例においては開口部820から剥離層802をエッチングした後に、半導体素子821を第1の可撓性基板822へ移しとる方法を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、剥離層802をエッチング工程のみで除去した後、半導体素子821をほかの基板へ移しかえる方法を用いても良い。または、開口部820を設けず、第1の可撓性基板822を貼り付けて半導体素子821をガラス基板から剥離する方法、更には、ガラス基板801を裏面から研磨する方法を用いても良い。これらの方法を適宜組み合わせてもよい。
【0108】
ガラス基板を裏面から研磨する方法を除けば、半導体素子821を他の基板へ移しかえる工程を用いるため、半導体素子821を作製するためのガラス基板801の再利用が可能となる。
【0109】
このようにして、本発明のデバイスを構成する各回路が有する薄膜トランジスタを作製することができる。
【実施例2】
【0110】
本実施例では、実施の形態1及び実施の形態2にて説明したデバイスの作製方法であって、実施例1とは異なる作製方法について説明する。本実施例では、基板としてSOI(Silicon On Insurator。以下、SOIという。)基板を用いて、SOI基板上に薄膜トランジスタを形成する。
【0111】
まず、SOI基板を準備する。ここでは、支持基板上に下地絶縁膜が形成され、下地絶縁膜上に半導体膜が形成されたものを用いる。SOI基板としては、公知のSOI基板を用いればよく、その作製方法や構造は特に限定されない。SOI基板として、代表的にはSIMOX基板や貼り合わせ基板が挙げられる。また、貼り合わせ基板の例として、ELTRAN(登録商標)、UNIBOND(登録商標)、スマートカット(登録商標)等が挙げられる。
【0112】
SIMOX基板は、単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入し、1300℃以上で熱処理して埋め込み酸化膜層(BOX;Buried Oxide)を形成することにより、表面に薄膜シリコン層を形成し、SOI構造を得ることができる。薄膜シリコン層は、埋め込み酸化膜層により、単結晶シリコン基板と絶縁分離されている。また、埋め込み酸化膜層形成後に、さらに熱酸化するITOX(Internal Thermal Oxidation−SIMOX)と呼ばれる技術を用いることもできる。
【0113】
貼り合わせ基板は、酸化膜層を介して2枚の単結晶シリコン基板(第1単結晶シリコン基板、第2単結晶シリコン基板とする。)を貼り合わせ、一方の単結晶シリコン基板を貼り合わせた面の裏面から薄膜化することにより、表面に薄膜シリコン層を形成し、SOI構造を得ることができる。酸化膜層は、一方の基板(ここでは第1単結晶シリコン基板)を熱酸化して形成することができる。また、2枚の単結晶シリコン基板は、接着剤を用いることなく、直接貼り合わせることができる。例えば、第1単結晶シリコン基板を熱処理して酸化膜層を形成した後、第2単結晶シリコン基板と重ね合わせ、800℃以上、好ましくは1100℃程度で熱処理することにより、貼り合わせ面で化学的に結合させることで、2枚の基板を貼り合わせることができる。その後、第2単結晶シリコン基板を貼り合わせ面の裏面から研磨することで、所望の厚さの薄膜シリコン層を形成することができる。なお、貼り合わせ後に第2単結晶シリコン基板を研磨せずに、第2単結晶シリコン基板の所定の深さの領域に水素イオン注入して微小ボイドを形成し、この微小ボイドを熱処理によって成長させて基板を劈開する、スマートカット(登録商標)法(Smart−Cut(登録商標)法)と呼ばれる技術を用いることもできる。また、第2単結晶シリコン基板を研磨後、小型のプラズマエッチング装置で局所的に制御しながら基板をエッチングして薄膜化するPACE(Plasma Assisted Chemical Etching)と呼ばれる技術を用いることもできる。
【0114】
本実施の形態で示すSOI基板において、支持基板は単結晶シリコン基板であり、下地絶縁膜は埋め込み酸化膜層又は酸化膜層であり、半導体層は表面に形成される薄膜シリコン層である。
【0115】
半導体層である薄膜シリコン層は、単結晶シリコン層である。半導体層の膜厚は、SOI基板の作製時に研磨量及びイオン注入の深さ等の条件を制御することによって、適宜選択することができる。例えば、膜厚40nm以上200nm以下の半導体層を形成することができる。本実施例では、薄膜シリコン層は、膜厚10nm以上150nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下となるように形成する。
【0116】
次に、半導体層を選択的にエッチングして、島状のシリコン層を形成する。このとき、島状のシリコン層は端部が垂直形状となるように形成してもよいし、端部がテーパ形状となるように形成してもよい。島状のシリコン層の端部の形状は、エッチング条件等を変化させることにより調整することができる。好ましくは島状のシリコン層の端部をテーパ角が45°以上95°未満、より好ましくはテーパ角が60°以上95°未満となるように形成するとよい。島状のシリコン層の端部を垂直に近い形状とすることで寄生チャネルを低減することができる。
【0117】
また、島状のシリコン層は端部に絶縁層を有するように形成するとよい。該絶縁層は、CVD法又はスパッタリング法を用いて、酸化シリコン系材料、窒化シリコン系材料、又はSiOF、SiOC、DLC若しくはポーラスシリカ等の材料を用いて形成する。該絶縁層の前駆体となる絶縁膜が半導体層を覆うように形成され、垂直方向を主体とした異方性エッチングを行うことにより選択的にエッチングされて形成される。形成に際してのエッチング方法は、垂直方向を主体とした異方性エッチングを行えるものであれば特に限定されない。例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)を利用することができる。また、反応性イオンエッチングは、プラズマ発生法により、平行平板方式、マグネトロン方式、2周波方式、ECR方式、ヘリコン方式、ICP方式などに分類される。このとき用いるエッチングガスは、絶縁層と、基板及びシリコン層との間でエッチング選択比がとれるものを選択すればよい。絶縁膜を選択的にエッチングする際には、例えば、CHF、CF、C、C、NF等のフッ素系のガスを用いることができる。その他、He、Ar若しくはXe等の不活性ガス、又はOガス、Hガスを適宜加えてもよい。
【0118】
その後、実施例1と同様、ゲート絶縁層を形成し、以下の工程は実施例1と同様に行えばよい。
【0119】
本実施例にて説明したようにSOI基板を用いることで、高速な動作が可能で、諸特性に優れたデバイスを作製することができる。
【実施例3】
【0120】
実施の形態1及び実施の形態2で説明した、本発明のデバイスが有するトランジスタとしては電界効果型トランジスタを用いてもよい。本実施例では、電界効果型トランジスタを用いて本発明のデバイスを形成する工程について、図11を参照して説明する。
【0121】
図11は本発明に適用することのできる電界効果型トランジスタの一部の断面図である。基板900上に素子分離領域901a〜901eが形成され、素子分離領域901a〜901eの各々の間に電界効果型トランジスタ902が形成される。
【0122】
電界効果型トランジスタ902は、基板900上に形成されるゲート絶縁層903と、ゲート絶縁層903上に形成されるゲート電極層904と、ソース領域及びドレイン領域905aと、ソース領域及びドレイン領域905bと、ゲート電極層904の側部に設けられたサイドウォール907a及びサイドウォール907bと、ゲート電極層904並びにサイドウォール907a及びサイドウォール907b上に形成される層間絶縁層908と、LDD領域906aと、LDD領域906bと、ソース領域及びドレイン領域905aに接続されるソース配線及びドレイン配線909aと、ソース領域及びドレイン領域905bに接続されるソース配線及びドレイン配線909bと、を有する。
【0123】
基板900は、単結晶シリコン基板又は化合物半導体基板であり、代表的には、n型若しくはp型の単結晶シリコン基板、GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイヤ基板又はZnSe基板等である。本実施例では、基板900として、n型の単結晶シリコン基板を用いる。
【0124】
素子分離領域901a〜901eは、公知の選択酸化法(LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法)又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成することができる。ここでは、素子分離領域901a〜901eは、トレンチ分離法を用いて酸化珪素層により形成される。
【0125】
ゲート絶縁層903は、単結晶シリコン基板を熱酸化又は高密度プラズマにより酸化することで形成される。ゲート電極層904は、100nm以上300nm以下の多結晶シリコン層や、多結晶シリコン層上にタングステンシリサイド層、モリブデンシリサイド層又はコバルトシリサイド層等のシリサイド層を設けた積層構造とすることができる。更には、多結晶シリコン層上に窒化タングステン層及びタングステン層を積層して形成しても良い。
【0126】
ソース領域及びドレイン領域905a、並びにソース領域及びドレイン領域905bとしては、pウェル領域にリンが添加されたn型高濃度不純物領域やnウェル領域にボロンが添加されたp型高濃度不純物領域を用いることができる。また、LDD領域906a及びLDD領域906bとしては、pウェル領域にリンが添加されたn型低濃度不純物領域やnウェル領域にボロンが添加されたp型低濃度不純物領域を用いることができる。ここでは、n型単結晶シリコン基板を用いているため、ボロンを基板に添加してp型高濃度不純物領域からなるソース領域及びドレイン領域、並びにp型低濃度不純物領域からなるLDD領域が形成される。
【0127】
なお、ソース領域及びドレイン領域905a、並びにソース領域及びドレイン領域905bに、マンガンシリサイド、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、又はニッケルシリサイド等のシリサイドを有していても良い。シリサイドをソース領域及びドレイン領域の表面に有することで、ソース配線及びドレイン配線とソース領域及びドレイン領域とのコンタクト抵抗を低下させることが可能である。
【0128】
サイドウォール907a及びサイドウォール907bは、基板上にCVD法を用いて酸化シリコンにより絶縁層を形成し、該絶縁層をRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法により異方性エッチングすることで形成される。
【0129】
層間絶縁層908は、酸化シリコン及び酸化窒化シリコン等の無機絶縁材料、又はアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の有機絶縁材料により形成する。スピン塗布やロールコートなどの塗布法を用いる場合には、有機溶媒中に溶かされた絶縁膜材料を塗布し、熱処理を行うことにより絶縁層を形成する。ここでは、層間絶縁層908は酸化シリコンを用いて形成する。
【0130】
ソース配線及びドレイン配線909a、並びにソース配線及びドレイン配線909bは、チタンとアルミニウムの積層構造、又はモリブデンとアルミニウムの積層構造等、アルミニウムのような低抵抗材料をチタン又はモリブデン等の高融点金属材料により挟んで形成することが好ましい。
【0131】
また、層間絶縁層908、ソース配線及びドレイン配線909a、並びにソース配線及びドレイン配線909b上に層間絶縁層911が形成される。層間絶縁層911は層間絶縁層908と同様に形成される。また、層間絶縁層911上には、電界効果型トランジスタ902に接続される導電層913を有する。
【0132】
また、導電層913の一部及び層間絶縁層911を覆って絶縁層914が形成されていてもよい。絶縁層914は、保護層として機能し、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素又はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等で形成されることが好ましい。
【0133】
また、本発明の半導体装置はアンテナを有する。実施例1と同様に、アンテナを電界効果トランジスタ上に形成することも可能である。例えば、上記の導電層913をアンテナとして機能する導電層として用いることができる。または、導電層913上に層間絶縁層911と同様に絶縁層を形成し、この絶縁層上にアンテナとして機能する導電層を形成しても良い。
【0134】
または、実施例1にて説明したように、アンテナを別の基板に作製し、後で貼り合わせることも可能である。これも実施例1で図10(C)を参照して説明したように、別基板に形成したアンテナ832と半導体素子とを電気的に接続するようにすればよい。この場合、図11の導電層913は、アンテナと半導体素子を接続するための配線としてもよい。
【0135】
このようにして、本発明の半導体装置が有するデバイスを作製することができる。
【実施例4】
【0136】
本実施例では、実施の形態1及び2にて説明した、検知部114の作製方法の一例について、図面を参照して説明する。本実施例では、デバイスとして光センサを用いた場合について簡単に説明する。
【0137】
まず、基板1100上に、下地絶縁層1101及び導電層1102を形成する(図12(A)を参照)。導電層1102として、本実施例では窒化タンタル及びタングステンをそれぞれ膜厚30nm及び370nmで積層した膜を用いる。
【0138】
また、導電層1102として、上記以外にもチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、アルミニウム、金、銀、及び銅から選ばれた元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層膜、或いは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、又は窒化モリブデンからなる単層膜を用いることができる。
【0139】
なお、下地絶縁層1101を基板1100上に形成せず、導電層1102を直接基板1100上に形成してもよい。
【0140】
次に、導電層1102を所望のパターンとなるようにエッチングし、ゲート電極層1103、ゲート電極層1104、配線1105、配線1106及び端子電極1107を形成する(図12(B)を参照)。
【0141】
次いで、ゲート電極層1103及びゲート電極層1104、配線1105、配線1106及び端子電極1107を覆うゲート絶縁層1108を形成する。本実施例では、ゲート絶縁層としてシリコンを主成分として含む絶縁膜を用いる。例えば、プラズマCVD法により、115nmの厚さの窒素を含む酸化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を用いてゲート絶縁層1108を形成する。
【0142】
次に、ゲート絶縁層1108上に島状半導体領域1109及び島状半導体領域1110を形成する。まず、スパッタリング法にてゲッタリングサイトとなるアルゴンを含む非晶質シリコン膜を10nm以上400nm以下の厚さで形成する。アルゴンを含む非晶質シリコン膜は、シリコンターゲットを用いてアルゴンを含む雰囲気下で形成される。その後、650℃に加熱された炉に入れて熱処理を行い、触媒元素を除去(ゲッタリング)することで、結晶構造を有する半導体膜中の触媒元素の濃度が低減される。炉に代えてランプアニール装置を用いてもよい。次に、バリア層をエッチングストッパとして、ゲッタリングサイトであるアルゴンを含む非晶質シリコン膜を選択的に除去し、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすいため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。なお、触媒元素を用いて半導体膜の結晶化を行わない場合には、上述したバリア層の形成、ゲッタリングサイトの形成、ゲッタリングのための熱処理、ゲッタリングサイトの除去、及びバリア層の除去等の工程は不要である。そして、得られた結晶構造を有する半導体膜(例えば結晶性シリコン膜)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、第1のフォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された島状半導体領域を形成する。
【0143】
島状半導体領域を形成した後、レジストマスクを除去する。次いで、必要があれば薄膜トランジスタのしきい値を制御するために微量の不純物元素(ホウ素又はリン)を添加する。ここでは、ジボラン(B)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法を用いる。
【0144】
上記のように、島状半導体領域1109及び島状半導体領域1110を形成した後に、薄膜トランジスタ1119のソース領域及びドレイン領域1112、薄膜トランジスタ1120のソース領域及びドレイン領域1113となる領域以外を覆ってマスク1111を形成し、一導電型を付与する不純物元素を導入する(図12(D)を参照)。一導電型の不純物として、nチャネル型薄膜トランジスタを形成する場合には、リン又は砒素を用い、pチャネル型薄膜トランジスタを形成する場合には、ホウ素を用いればよい。本実施例では、n型不純物であるリンを島状半導体領域1109及び島状半導体領域1110に導入し、薄膜トランジスタ1119のソース領域及びドレイン領域1112、並びにこれら領域の間にチャネル形成領域、薄膜トランジスタ1120のソース領域及びドレイン領域1113、並びにこれら領域の間にチャネル形成領域を形成する。なお、必要があればチャネル形成領域に薄膜トランジスタのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ホウ素又はリン)を添加しても良い。
【0145】
次いで、マスク1111を除去し、絶縁膜1114及び絶縁膜1115を形成する(図12(E)を参照)。ここで、絶縁膜1114及び絶縁膜1115は、酸化シリコンや窒化シリコン等によりCVD法等を用いて形成すれば良い。
【0146】
次に、絶縁膜1114及び絶縁膜1115にコンタクトホールを形成し、導電膜を成膜し、該導電膜を選択的にエッチングすることで、配線1117と、接続電極1118と、端子電極1125と、薄膜トランジスタ1119のソース電極及びドレイン電極1127と、薄膜トランジスタ1120のソース電極及びドレイン電極1128と、を形成し、レジストマスクを除去する。なお、本実施例の導電膜は、膜厚100nmのチタン膜と、膜厚350nmのシリコンを微量に含むアルミニウム膜と、膜厚100nmのチタン膜と、を積層した三層構造とする。
【0147】
また、図13では、配線1117は保護電極1116を、接続電極1118は保護電極1122を、端子電極1125は保護電極1126を、薄膜トランジスタ1119のソース電極及びドレイン電極1127は保護電極1123を、薄膜トランジスタ1120のソース電極及びドレイン電極1128は保護電極1124を有しているが、必要のない場合には特に設けなくとも良い。
【0148】
以上のようにして、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ1119及び薄膜トランジスタ1120を作製することができる(図13(A)を参照)。
【0149】
次に、絶縁膜1115上に、p型半導体層1129p、i型半導体層1129i、及びn型半導体層1129nを有する光電変換層1129を形成する(図13(B)を参照)。光電変換層は、代表的にはアモルファスシリコンを用いて形成される。
【0150】
p型半導体層1129pは、13族の不純物元素(例えばホウ素)を含んだアモルファスシリコン膜により、プラズマCVD法を用いて形成しても良いし、アモルファスシリコン膜を形成後、13族の不純物元素を導入してもよい。
【0151】
i型半導体層1129iは、例えばプラズマCVD法によりアモルファスシリコン膜を形成すればよい。また、n型半導体層1129nは、15族の不純物元素(例えばリン)を含んだアモルファスシリコン膜により、プラズマCVD法を用いて形成しても良いし、アモルファスシリコン膜を形成後、15族の不純物元素を導入してもよい。
【0152】
以上のように、p型半導体層1129pを形成した後、i型半導体層1129i及びn型半導体層1129nを順に形成する。このようにして、p型半導体層1129p、i型半導体層1129i、及びn型半導体層1129nを有する光電変換層1129が形成される。
【0153】
また、p型半導体層1129p、i型半導体層1129i、及びn型半導体層1129nはセミアモルファス半導体膜であってもよい。なお、セミアモルファス半導体膜とは、非晶質半導体膜と結晶構造を有する半導体(単結晶、多結晶を含む)膜の中間的な構造を有する膜である。
【0154】
次いで、封止層1130、端子1131、及び端子1132を形成する(図13(C)を参照)。端子1131はn型半導体層1129nに接続されており、端子1132は端子1131と同一の工程で形成される。
【0155】
さらに、電極1135及び電極1136を有する基板1137を、ハンダ1133及びハンダ1134で実装する。なお、基板1137上の電極1135は、ハンダ1134で端子1131に実装されている。同様に、基板1137上の電極1136は、ハンダ1133で端子1132に実装されている(図14を参照)。
【0156】
図14に示す半導体装置において、光電変換層1129に入射する光は、主に基板1100側から入射することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0157】
なお、本実施例では一例としてボトムゲート型薄膜トランジスタを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、トップゲート型薄膜トランジスタを用いても良い。
【0158】
以上のように、検知部114に用いる光センサを作製することができる。
【実施例5】
【0159】
本実施例では、本発明の個体管理システムの具体的な使用例について説明する。
【0160】
図15(A)は、本発明のシステムのイメージを示す。個体管理装置101、個体識別装置102、個体情報管理装置103、及び通信回線104、が示されている。図15(A)では、個体管理装置101が、管理対象物に貼付されている。図15(A)では、個体管理装置101は薄いシール型の形状としたが、個体管理装置101が小さく薄いシール型であれば、様々な物品に貼付することができる。さらに、個体管理装置101が柔軟性を有し、曲げられるのであれば、曲面にも貼り付けることができる。このように、薄く、柔らかい個体管理装置101は、プラスチックのような可撓性基板に薄膜トランジスタを設けることで作製することができる。
【0161】
しかし、管理対象物が物理的に過酷な状況におかれるような場合、個体管理装置101を保護する必要がある。そのため、シール状に形成された個体管理装置101上に、樹脂等で厚い保護層を形成し、ドーム型のシール状にすることも可能である。
【0162】
個体管理装置101の表面に保護層を形成する等の加工を行う場合には、その上面に図柄をプリントする等、外観上の加工を施すことが可能である。個体管理装置101の表面に美感を生じさせる形状又は模様を付することで、個体管理装置101の意匠的価値を高めることができる。
【0163】
また、個体管理装置101は、管理対象物の装飾具の一部になるように外観を形成することも可能である。たとえば、図15(B)に示すように、管理対象物が鍵である場合、個体管理装置はキーホルダー105のように成形されていてもよい。これは、半導体集積回路によって形成された個体管理装置を人形又はマスコット等の中に内蔵させることで作製することができる。例えば、個体管理装置を内蔵するマスコットが耐衝撃性を有する素材で形成されているならば、上記の例と同様に、個体管理装置を衝撃等から保護することができる。
【0164】
また、個体管理装置101に各種センサや機能ごとの複数のアンテナ等を搭載すると、装置のサイズが増大する。このような場合には、個体管理装置をマスコットの中に搭載することによって、個体管理装置の存在が邪魔にならないため、有効である。
【0165】
そのほか、管理対象物の態様に応じて個体管理装置101の外観や形状を変えることが可能である。たとえば、管理対象物が印鑑であった場合、印鑑は印鑑ケースに入れて保管されることが多いため、シール型の個体管理装置101を印鑑ケースに貼付してもよいし、印鑑ケース内部に個体管理装置101を搭載することもできる。
【0166】
このように、個体管理装置101の形状は、利用者の要求に応じて様々な形とすることが可能である。
【0167】
図16(A)乃至(D)に個体識別装置102の外観の例を示す。個体識別装置102は、共振回路210が有するアンテナ又は対利用者通知部125の形状によって外観が決定される。
【0168】
たとえば、図16(A)及び(B)は、対利用者通知部125の形状によって外観が決定されている個体識別装置102の例を示す。個体識別装置102A又は個体識別装置102Bは、表示部205A若しくは表示部205B、及び点灯表示部206A又は点灯表示部206Bを有する。表示部205A及び表示部205Bは、たとえば液晶表示装置やEL表示装置などのフラットディスプレイによって設けられ、個体管理装置101の使用時に、管理対象物までの距離又は管理対象物が存在する方向、管理対象物を検索する部屋のレイアウト等を示す。さらに、個体管理装置101は検知部114を有するため、検知部114が検知した情報を表示部205A又は表示部205Bに表示してもよい。
【0169】
また、あらかじめ個体情報管理装置103に、個体管理システムを利用する場所、例えば部屋のレイアウトを記憶させておき、本システムを使用する際に、表示部205A及び表示部205Bに個体管理エリアを表示させるようにすることもできる。例えば、登録時に個体管理システムを使用するエリアを特定しておき、そのエリアに関する地図地図又は部屋のレイアウトを記憶させる。そして、例えばシステム使用時には、個体識別装置102A又は個体識別装置102Bが有する表示部205A又は表示部205Bに、個体管理装置101の所在を地図又は部屋のレイアウト上に表示することができる。
【0170】
また、点灯表示部206A及び点灯表示部206Bは、複数の発光素子が列をなして並べられており、たとえば、個体管理装置101と個体識別装置102との距離が近くなるほど順に多くの発光素子が発光する構成としてもよい。
【0171】
図16(B)では、上記例に加えて、個体識別装置102が振動器を有する例を示している。例えば、個体管理装置101と個体識別装置102Bとの距離が近くなるほど個体識別装置102Bが強く振動する構成としてもよい。または、個体識別装置102Bに指向性アンテナを設け、個体管理装置101が、個体識別装置102Bの指向性アンテナの発信方向に存在する場合に振動を強める構成としてもよい。このように、感覚によって利用者に情報を伝える構成を有することによって子供など、システムの構成を理解しにくい利用者でも容易にこのシステムを利用することが可能となる。
【0172】
さらに、図16(C)及び(D)では図16(A)及び(B)とは異なり、共振回路が有するアンテナが個体識別装置102の筐体に内蔵され、該アンテナにより個体識別装置102の形状が決定される例を示している。たとえば、個体管理装置101と個体識別装置102との距離が数メートル以上離れているような長距離の通信が必要な場合、個体識別装置102が有するアンテナは大きいほうが望ましい。たとえば、個体管理装置101と個体識別装置102が電波方式により通信を行う場合、個体識別装置102は電波の波長と等しい長さ、波長の半分の長さ、又は4分の1の長さのダイポールアンテナを要する。このように細長いアンテナを要する場合、個体識別装置102は細長い形状であることが望ましいため、図16(C)及び(D)に示すような形状としてもよい。
【0173】
また、個体識別装置102のアンテナを指向性アンテナとする場合には、個体識別装置102は複数のアンテナを有する。このような場合には、個体識別装置102はアンテナの形状によってその外観が決定される。
【0174】
たとえば、図16(C)では表示部205C、点灯表示部206C、及び点灯表示部206Dを有する例として個体識別装置102Cを示している。表示部205C及び点灯表示部206Cは図16(A)の表示部205A及び点灯表示部206Aと同様のものでよい。個体識別装置102Cを基準にして管理対象物が右側にあるか、左側にあるかを点灯表示部206C及び点灯表示部206Dにより図示する構成とすることができる。
【0175】
さらに、図16(D)では個体識別装置102が方向指示器(誘導器)を有している例を示す。方向指示器207Dは、個体管理装置101が存在する方向に動く機能を有する。方向指示器207Dは、例えば、一方向にのみ導電性を有する二枚のシートを同方向に重ねてその端部を固定し、該二枚のシートに位相の異なる電流を流すことで駆動するアクチュエータによって実現することができる。また、電圧を印加することによって収縮する人工筋肉のようなものを用いても良い。図16(D)に示す形態は、システムの利用に際して利用者に楽しさを与えることもできる。もちろん上記以外にも、個体識別装置102の外観は様々なものにすることができる。
【0176】
さらには、既存の無線通信機器を利用して個体識別装置102の代わりとしてもよい。代表的には携帯電話を挙げることができる。個体識別装置102の機能を携帯電話に付与することで個体管理システムを実現することができる。この場合、携帯電話は、携帯電話が本来有する構成に加えて、個体識別装置102と同様の構成を有していればよい。さらに、携帯電話特有の構成を利用して個体管理システムの利便性を向上させることもできる。たとえば、携帯電話は、個体管理装置101と個体識別装置102が行う無線通信以外の方法で、他の機器と無線通信を行うことができる。このような無線通信機能を利用することで、個体管理システムは、個体識別装置102として機能する携帯電話と個体情報管理装置103が無線通信を行う構成とすることができる。このような構成にすることで、個体識別装置102は、個体管理装置101とも個体情報管理装置103とも無線通信を行うことができ、個体管理システムの利便性を向上させることができる。
【0177】
また、携帯電話は一般に情報入力部及び情報出力部を備えているため、個体管理装置101と同じく個体識別装置102にも直接、情報を入力すること及び出力することが可能になる。そのため、携帯電話は個体識別装置102と個体情報管理装置103の両方を内蔵した構成としても良い。情報入力部及び情報出力部としては、一般的な入力ボタンやスイッチのほか、タッチパネル方式の表示装置であってもよい。
【0178】
このように、利用者が個体識別装置102を使いながら情報を入力することによって、たとえば、一度に複数の管理対象物を検索したい場合や、途中で検索対象物を変更したい場合等に便利である。さらには、個体管理装置101が複数の検知部114を有し、検知部114で取得された検知情報が多岐にわたる場合に、その中から任意の情報を選択するといったことが個体識別装置102から直接行うことができるようになる。
【実施例6】
【0179】
本実施例では、個体管理装置101が貼付等された管理対象物の具体例について説明する。図17(A)は、鍵201aに個体管理装置101aが付された状態を示す。図17(B)は、携帯電話201bに個体管理装置101bが付された状態を示す。図17(C)は、ぬいぐるみ201cに個体管理装置101cが付された状態を示す。図17(D)は、ペットボトル201dに個体管理装置101dが付された状態を示す。図17(E)は、瓶201eに個体管理装置101eが付された状態を示す。図17(F)は、パスポート201fに個体管理装置101fが付された状態を示す。図17(G)は、鞄201gに個体管理装置101gが付された状態を示す。
【0180】
以上のように本発明の個体管理システムは、個体管理装置101を様々な物品に付けて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明のシステムを説明する図。
【図2】本発明のシステムを説明する図。
【図3】本発明のシステムを説明する図。
【図4】本発明のシステムを説明する図。
【図5】本発明のシステムを説明する図。
【図6】本発明のシステムを説明する図。
【図7】本発明のシステムを説明する図。
【図8】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図9】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図10】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図11】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図12】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図13】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図14】本発明のシステムが有する装置を作製する方法について説明する図。
【図15】本発明のシステムの構成要素である個体管理装置の具体例。
【図16】本発明のシステムの構成要素である個体識別装置の具体例。
【図17】本発明のシステムを利用するために個体管理装置を管理対象物に付す具体例。
【符号の説明】
【0182】
101 個体管理装置
102 個体識別装置
103 個体情報管理装置
104 通信回線
105 キーホルダー
111 無線通信部
112 記憶部
113 蓄電部
114 検知部
121 無線通信部
122 記憶部
123 情報処理部
124 回線通信部
125 対利用者通知部
126 蓄電部
127 撮像部
128 位置解析部
131 回線通信部
132 情報処理部
133 記憶部
134 情報入出力部
150 識別情報
151 個体情報
152 データベース
207D 方向指示器
210 共振回路
211 復調回路
212 変調回路
213 復号化回路
214 符号化回路
215 ロジック回路
216 電源回路
217 整流回路
218 電流・電圧制御回路
219 充電制御回路
220 バッテリ
230 センサ
231 A/D変換回路
232 情報処理回路
241 整流回路
242 比較回路
243 比較電位生成回路
251 受信用アンテナ
252 発信用指向性アンテナ
261 整流回路
262 比較回路
263 比較電位生成回路
264 通信電力制御回路
300 ステップ
301 ステップ
302 ステップ
303 ステップ
304 ステップ
305 ステップ
306 ステップ
307 ステップ
400 ステップ
401 ステップ
402 ステップ
406 ステップ
407 ステップ
408 ステップ
801 ガラス基板
802 剥離層
803 絶縁層
804 半導体層
805 ゲート絶縁層
806 ゲート電極層
807 N型不純物領域
808 P型不純物領域
809 絶縁層
810 N型不純物領域
811 N型不純物領域
812 N型トランジスタ
813 P型トランジスタ
814 絶縁層
815 導電層
816 絶縁層
817 導電層
820 開口部
821 半導体素子
822 可撓性基板
823 可撓性基板
830 可撓性基板
831 可撓性基板
832 アンテナ
900 基板
902 電界効果型トランジスタ
903 ゲート絶縁層
904 ゲート電極層
908 層間絶縁層
911 層間絶縁層
913 導電層
914 絶縁層
101a 個体管理装置
101b 個体管理装置
101c 個体管理装置
101d 個体管理装置
101e 個体管理装置
101f 個体管理装置
101g 個体管理装置
102A 個体識別装置
102B 個体識別装置
102C 個体識別装置
1100 基板
1101 下地絶縁層
1102 導電層
1103 ゲート電極層
1104 ゲート電極層
1105 配線
1106 配線
1107 端子電極
1108 ゲート絶縁層
1109 島状半導体領域
1110 島状半導体領域
1111 マスク
1112 ソース領域及びドレイン領域
1113 ソース領域及びドレイン領域
1114 絶縁膜
1115 絶縁膜
1116 保護電極
1117 配線
1118 接続電極
1119 薄膜トランジスタ
1120 薄膜トランジスタ
1122 保護電極
1123 保護電極
1124 保護電極
1125 端子電極
1126 保護電極
1127 ソース電極及びドレイン電極
1128 ソース電極及びドレイン電極
1129 光電変換層
1130 封止層
1131 端子
1132 端子
1133 ハンダ
1134 ハンダ
1135 電極
1136 電極
1137 基板
121a 無線通信部
128a 位置解析部
150a 管理番号
150b システム番号
150c 利用者番号
151a 名称等
151b 情報
151c 管理対象物画像データ
151d システムパスワード
151e 登録作業履歴
201a 鍵
201b 携帯電話
201c ぬいぐるみ
201d ペットボトル
201e 瓶
201f パスポート
201g 鞄
205A 表示部
205B 表示部
205C 表示部
206A 点灯表示部
206B 点灯表示部
206C 点灯表示部
206D 点灯表示部
403A ステップ
403B ステップ
404A ステップ
404B ステップ
405A ステップ
405B ステップ
901a 素子分離領域
901b 素子分離領域
901c 素子分離領域
901d 素子分離領域
901e 素子分離領域
905a ソース領域及びドレイン領域
905b ソース領域及びドレイン領域
906a LDD領域
906b LDD領域
907a サイドウォール
907b サイドウォール
909a ソース配線及びドレイン配線
909b ソース配線及びドレイン配線
1129i i型半導体層
1129n n型半導体層
1129p p型半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象物に付され、該管理対象物の周囲の情報を検知する検知部が設けられた個体管理装置と、
前記個体管理装置との距離を算出する位置解析部が設けられ、前記個体管理装置と無線通信を行う個体識別装置と、
前記管理対象物に関する情報を記憶する記憶部が設けられ、前記個体識別装置と無線通信又は有線通信を行う個体情報管理装置と、を有し、
前記検知部及び前記位置解析部の情報が、前記管理対象物の位置の特定に用いられることを特徴とする個体管理システム。
【請求項2】
管理対象物に付され、該管理対象物の周囲の情報を検知する検知部が設けられた個体管理装置と、
前記個体管理装置の存在する方向を特定する位置解析部が設けられ、前記個体管理装置と無線通信を行う個体識別装置と、
前記管理対象物に関する情報を記憶する記憶部が設けられ、前記個体識別装置と無線通信又は有線通信を行う個体情報管理装置と、を有し、
前記検知部及び前記位置解析部の情報が、前記管理対象物の位置の特定に用いられることを特徴とする個体管理システム。
【請求項3】
管理対象物に付され、該管理対象物の周囲の情報を検知する検知部が設けられた個体管理装置と、
前記個体管理装置との距離を算出し、方向を特定する位置解析部が設けられ、前記個体管理装置と無線通信を行う個体識別装置と、
前記管理対象物に関する情報を記憶する記憶部が設けられ、前記個体識別装置と無線通信又は有線通信を行う個体情報管理装置と、を有し、
前記検知部及び前記位置解析部の情報が、前記管理対象物の位置の特定に用いられることを特徴とする個体管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記個体管理装置はアンテナを有し、
前記位置解析部は、前記アンテナから受信した電磁波の強度により前記管理対象物の位置の特定を行うことを特徴とする個体管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記記憶部には不揮発性メモリを有することを特徴とする個体管理システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記不揮発性メモリは、ライトワンス型であることを特徴とする個体管理システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記個体管理装置は、無線によって給電することが可能な蓄電部を有することを特徴とする個体管理システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記個体識別装置は、無線によって給電することが可能な蓄電部を有することを特徴とする個体管理システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
前記個体識別装置は、前記個体管理装置との通信の状態を利用者に知らせる対利用者通知部を有することを特徴する個体管理システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記対利用者通知部は、表示部、照明素子、バイブレータ、音声機器、又は音声通知部であることを特徴とする個体管理システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記表示部には周囲のレイアウトを表示できることを特徴とする個体管理システム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一において、
前記個体識別装置は、撮像部を有することを特徴とする個体管理システム。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一において、
前記検知部は、光センサを有し、
前記光センサにより検知された情報が、前記管理対象物の位置の特定に用いられることを特徴とする個体管理システム。
【請求項14】
個体管理装置、前記個体管理装置との無線通信が可能な個体識別装置、及び前記個体識別装置との通信が可能な個体情報管理装置を有し、
前記個体管理装置は、個々の個体管理装置を識別するための識別情報を記憶する記憶部と、検知部と、を有し、
前記個体識別装置は、前記個体管理装置との距離を算出する位置解析部を有し、
前記個体管理装置は管理対象物に付され、
前記個体情報管理装置は、前記個体識別装置が特定の識別情報を有する個体管理装置と通信を行うように、前記個体識別装置と前記個体管理装置との無線通信を制御し、
前記個体識別装置と前記個体管理装置との無線通信により、前記個体管理装置は前記記憶部が記憶する前記識別情報及び前記検知部が得た検知情報を前記個体識別装置に送信し、前記個体識別装置は前記位置解析部で個体管理装置との距離を算出することにより、前記個体管理装置が付された前記管理対象物の位置を特定することを特徴とする個体管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−268193(P2008−268193A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78619(P2008−78619)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】