説明

偏光眼鏡および立体画像表示システム

【課題】右目用画像または左目用画像の画像光が偏光軸制御板を透過するときに吸収されたり偏光軸が回転されることにより生じる色味の変化を補償することができる。
【解決手段】右目用画像および左目用画像の画像光として出射する画像生成部、および、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光の偏光軸を互いに直交させる偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射するこれらの画像光を立体画像として観察するときに装着する偏光眼鏡であって、右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、右目用画像透過部の偏光方向と直交しており、左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、当該波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光眼鏡および立体画像表示システムに関する。特に、本発明は、観察者に右目用画像および左目用画像を投影することにより立体画像を表示する立体画像表示システムおよび当該立体画像表示システムに用いられる偏光眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
観察者に対して立体画像を認識させる装置として、右目用の画像と左目用の画像をそれぞれ異なる領域に表示させる画像生成部、および、二つの異なる領域に入射した偏光の偏光軸を互いに直交させる偏光軸制御板を含む画像表示装置が知られている。また、このような画像表示装置により表示される上記右目用の画像および左目用の画像を観察者に立体画像として認識させる偏光眼鏡が知られている(例えば特許文献1および2を参照)。
【特許文献1】特開平10−232365号公報
【特許文献2】特開2004−264338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような画像表示装置に上記右目用の画像および左目用の画像を表示させてこれらの画像を観察するときに、これらの画像に画像表示装置からの色とは異なる色味がつく。これは、上記画像表示装置の偏光軸制御板において上記画像光の偏光軸が回転されるときに、当該画像光の色(波長)によって回転される角度が多少異なることによる。偏光軸制御板における偏光軸の回転角度がこのように光の波長に依存することにより、例えば緑色光が入射したときにその偏光軸を90度回転させる偏光軸制御板に画像光を入射した場合、画像光に含まれる青色光や赤色光は回転角度が90度からずれる。したがって、このような偏光軸制御板を配した画像表示装置から出射される画像光を偏光眼鏡に通した場合、例えば緑色など特定の色の光の強度が相対的に強くなることにより、原画像に対して色味の変化が生じるという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、右目用画像および左目用画像を生成してそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、画像生成部に対向して配されて、入射した右目用画像の画像光および左目用画像の画像光のうちの一方の画像光の偏光軸を回転して他方の偏光軸に直交させる偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射する右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を立体画像として観察するときに観察者が装着する偏光眼鏡であって、観察者の右目側に配されて、右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、観察者の左目側に配されて、右目用画像透過部の偏光方向と直交しており、左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、観察者の右目および左目のうち、偏光軸制御板において偏光軸が回転される一方の画像光に対応する一方の側に配されて、一方の画像光の波長帯域のうちで偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部とを備える偏光眼鏡が提供される。また、上記第1の形態の偏光眼鏡は、観察者の右目および左目のうちの他方の側に配され、一方の画像光が偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰したのと同じ分だけ、他方の画像光の強度を減衰させる強度調整部をさらに備えることが好ましい。
【0005】
また、本発明の第2の形態においては、右目用画像および左目用画像を生成してそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、画像生成部に対向して配されて、入射した右目用画像の画像光および左目用画像の画像光の偏光軸を共に回転させて互いに直交させる偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射する右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を立体画像として観察するときに観察者が装着する偏光眼鏡であって、観察者の右目側に配されて、右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、観察者の左目側に配されて、右目用画像透過部の偏光方向と直交しており、左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、観察者の右目側および左目側に配されて、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光の波長帯域のうちで偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部とを備える偏光眼鏡が提供される。
【0006】
また、本発明の第3の形態においては、右目用画像および左目用画像を生成してそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、画像生成部に対向して配されて、入射した右目用画像の画像光と左目用画像の画像光とを偏光軸が互いに反対の方向に回転する円偏光に変換する偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射する右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を立体画像として観察するときに観察者が装着する偏光眼鏡であって、観察者の右目側および左目側に配されて、画像表示装置から出射する右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を偏光軸が互いに直交する直線偏光および偏光軸が互いに平行な直線偏光の一方に変換する位相差板と、観察者の右目側に配されて、観察者の右目側に配された位相差板において直線偏光に変換された右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、観察者の左目側に配されて、観察者の左目側に配された位相差板において直線偏光に変換された左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、観察者の右目側および左目側に配されて、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光の波長帯域のうちで偏光軸制御板における吸収、円偏光への変換および位相差板における直線偏光への変換により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部とを備える偏光眼鏡が提供される。
【0007】
また、本発明の第4の形態においては、観察者に立体画像を表示する立体画像表示システムであって、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を観察者に向けて出射する画像表示装置と、観察者に装着される偏光眼鏡とを備え、画像表示装置は、右目用画像を生成する右目画像生成領域および前記左目用画像を生成する左目画像生成領域を含み、前記右目画像生成領域で生成される前記右目用画像および前記左目画像生成領域で生成される前記左目用画像をそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、前記右目画像生成領域に対向して配される第一偏光領域および前記左目画像生成領域に対向して配される第二偏光領域を含み、前記第一偏光領域に入射した前記右目用画像の画像光および前記第二偏光領域に入射した前記左目用画像の画像光の偏光軸を共に回転させて互いに直交させる偏光軸制御板を有し、前記偏光眼鏡は、前記観察者の右目側に配されて、前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部、前記観察者の左目側に配されて、前記右目用画像透過部の前記偏光方向と直交しており、前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部、および、前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部、を有する立体画像表示システムが提供される。
【0008】
また、本発明の第5の形態においては、観察者に立体画像を表示する立体画像表示システムであって、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を観察者に向けて出射する画像表示装置と、観察者に装着される偏光眼鏡とを備え、画像表示装置は、右目用画像を生成する右目画像生成領域および左目用画像を生成する左目画像生成領域を含み、右目画像生成領域で生成される右目用画像および左目画像生成領域で生成される左目用画像をそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、右目画像生成領域に対向して配される第一偏光領域および左目画像生成領域に対向して配される第二偏光領域を含み、第一偏光領域に入射した右目用画像の画像光と第二偏光領域に入射した左目用画像の画像光とを偏光軸が互いに反対の方向に回転する円偏光に変換する偏光軸制御板を有し、偏光眼鏡は、観察者の右目側および左目側に配されて、画像表示装置から出射する右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を偏光軸が互いに直交する直線偏光および偏光軸が互いに平行な直線偏光の一方に変換する位相差板、観察者の右目側に配されて、観察者の右目側に配された位相差板において直線偏光に変換された右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部、観察者の左目側に配されて、観察者の左目側に配された位相差板において直線偏光に変換された左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部、および、観察者の右目側および左目側に配されて、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光の波長帯域のうちで偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部、を有する立体画像表示システムが提供される。
【0009】
また、本発明の第6の形態においては、観察者に立体画像を表示する立体画像表示システムであって、右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を観察者に向けて出射する画像表示装置と、観察者に装着される偏光眼鏡とを備え、画像表示装置は、右目用画像を生成する右目画像生成領域および左目用画像を生成する左目画像生成領域を含み、右目画像生成領域で生成される右目用画像および左目画像生成領域で生成される左目用画像をそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、右目画像生成領域に対向して配される第一偏光領域および左目画像生成領域に対向して配される第二偏光領域を含み、第一偏光領域に入射した右目用画像の画像光または第二偏光領域に入射した左目用画像の画像光のうちの一方の画像光の偏光軸を回転して他方の偏光軸に直交させる偏光軸制御板を有し、偏光眼鏡は、観察者の右目側に配されて、右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部、観察者の左目側に配されて、右目用画像透過部の偏光方向と直交しており、左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部、および、観察者の右目および左目のうち、偏光軸制御板において偏光軸が回転される一方の画像光に対応する一方の側に配されて、一方の画像光の波長帯域のうちで偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部、を有する立体画像表示システムが提供される。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、右目用画像または左目用画像の画像光が偏光軸制御板を透過するときに吸収されたり偏光軸が回転されることにより生じる色味の変化を補償することができる。したがって、観察者は原画像により忠実な色調の立体画像を観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本実施形態の立体画像表示システム10の一部である画像表示装置100の分解斜視図である。本実施形態の立体画像表示システム10は、画像表示装置100と後述する偏光眼鏡200とを備える。図1に示すように、画像表示装置100は、光源120と、偏光板150と、画像生成部160と、偏光板170と、偏光軸制御板180とをこの順で備え、これらが筐体(不図示)に収容されている。この画像表示装置100に表示される立体画像を後述する観察者500が観察する場合、図1における偏光軸制御板180よりも右側から観察する。
【0014】
光源120は、観察者500から見て画像表示装置100の最も奥側に配され、立体画像表示システム10の一部として画像表示装置100を使用している状態(以下、「画像表示装置100の使用状態」と略称する)において、白色の無偏光を偏光板150の一面に向けて出射する。なお、本実施形態では、光源120に面光源を用いているが、面光源に替えて例えば点光源と集光レンズとの組み合わせでもよい。この集光レンズの一例は、フレネルレンズシートである。
【0015】
偏光板150は、画像生成部160における光源120側に配される。偏光板150は、透過軸および当該透過軸に直交する吸収軸を有し、光源120から出射した無偏光が入射すると、その無偏光のうち透過軸方向と平行な偏光軸の光を透過し、吸収軸方向と平行な偏光軸の光を遮断する。ここで、偏光軸の方向とは、光における電界の振動方向のことであり、偏光板150における透過軸の方向は、図1に矢印で示すように、観察者500が画像表示装置100を見たときの水平方向から右上45度の方向である。
【0016】
画像生成部160は、右目画像生成領域162および左目画像生成領域164を有する。これら右目画像生成領域162および左目画像生成領域164は、図1に示すように、画像生成部160を水平方向に区切った領域であり、複数の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164が鉛直方向に互い違いに配されている。画像表示装置100の使用状態において、画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164には、それぞれ右目用画像および左目用画像が生成される。このときに偏光板150を透過した光が画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164に入射すると、右目画像生成領域162の透過光は右目用画像の画像光(以下、「右目用画像光」と略称する)となり、左目画像生成領域164の透過光は左目用画像の画像光(以下、「左目用画像光」と略称する)となる。なお、右目画像生成領域162を透過した右目用画像光および左目画像生成領域164を透過した左目用画像光は、それぞれ特定方向の偏光軸を有する直線偏光である。ここで、それぞれ特定方向の偏光軸とは、互いに同じ方向であってもよく、図1に示す例においては、ともに偏光軸が後述する偏光板170における透過軸の方向と同じ方向である。このような画像生成部160には、例えば水平方向及び垂直方向に二次元的に複数の小さなセルが配され、各セルにおいて配向膜間に液晶を封止したLCD(液晶ディスプレイ)が用いられる。このLCDにおいて各セルを電気的に駆動することにより、各セルは、通過する光をその偏光軸の方向を変えずに透過する状態と、偏光軸の方向を90度回転させて透過する状態とを切り替える。
【0017】
偏光板170は、画像生成部160における観察者500側に配される。この偏光板170は、上記右目画像生成領域162を透過した右目用画像光、および、上記左目画像生成領域164を透過した左目用画像光が入射すると、これらのうち偏光軸が透過軸と平行な光を透過し、偏光軸が吸収軸と平行な光を遮断する。ここで、偏光板170における透過軸の方向は、図1に矢印で示すように、観察者500が画像表示装置100を見たときの水平方向から左上45度の方向である。
【0018】
偏光軸制御板180は、第一偏光領域181および第二偏光領域182を有する。この偏光軸制御板180における第一偏光領域181および第二偏光領域182の位置および大きさは、図1に示すように、画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164の位置および大きさに対応している。したがって、画像表示装置100の使用状態において、第一偏光領域181には、上記右目画像生成領域162を透過した右目用画像光が入射し、第二偏光領域182には、上記左目画像生成領域164を透過した左目用画像光が入射する。
【0019】
第一偏光領域181は、入射した右目用画像光の偏光軸を回転させずにそのまま透過する。また、第二偏光領域182は、入射した左目用画像光の偏光軸を第一偏光領域181に入射した右目用画像光の偏光軸に対して直交する方向に回転させる。したがって、第一偏光領域181を透過した右目用画像光の偏光軸と、第二偏光領域182を透過した左目用画像光の偏光軸とは、図1に矢印で示すように、その方向が互いに直交する。なお、図1の偏光軸制御板180における矢印は、偏光軸制御板180を通過した偏光の偏光軸を示している。第一偏光領域181には、例えば透明なガラスまたは樹脂などが用いられ、第二偏光領域182には、例えば入射される左目用画像光の偏光軸の方向に対して45度の角度の光学軸を有する半波長板が用いられる。図1に示す例において、第二偏光領域182の光学軸の方向は、水平方向または鉛直方向である。ここで、光学軸とは、光が第二偏光領域182を透過するときの進相軸または遅相軸の一方を指す。
【0020】
また、上記画像表示装置100は、偏光軸制御板180よりも観察者500側(図1における偏光軸制御板180の右側)に、上記偏光軸制御板180の第一偏光領域181および第二偏光領域182を透過した右目用画像光および左目用画像光を水平方向または鉛直方向の少なくとも一方の方向に拡散する拡散板を有してもよい。このような拡散板には、例えば水平方向または鉛直方向に延伸するかまぼこ状の凸レンズ(シリンドリカルレンズ)が複数配されたレンチキュラーレンズシート、または、凸レンズが平面状に複数配されたレンズアレイシートが用いられる。
【0021】
図2は、立体画像表示システム10の使用状態を示す概略図である。また、図3は、立体画像表示システム10により表示される立体画像の観察に用いる偏光眼鏡200の分解斜視図である。立体画像表示システム10により立体画像を観察するときに、観察者500は、図2に示すように、画像表示装置100から投影される右目用画像光および左目用画像光を、偏光眼鏡200をかけて観察する。この偏光眼鏡200には、図3に示すように、観察者500がこの偏光眼鏡200をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に右目用画像透過部232および強度調整部212が配され、左目514側にあたる位置に左目用画像透過部234および色味補償部214が配される。右目用画像透過部232と強度調整部212、および、左目用画像透過部234と色味補償部214は、例えばそれぞれ互いに貼り付けられてフレーム250に固定されている。
【0022】
右目用画像透過部232は、透過軸方向が図3に示すように第一偏光領域181を透過した右目用画像光と同じ方向であり、吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である。左目用画像透過部234は、透過軸方向が図3に示すように第二偏光領域182を透過した左目用画像光と同じ方向であり、吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である。これら右目用画像透過部232および左目用画像透過部234には、例えば二色性染料を含浸させたフィルムを一軸延伸して得られる偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。
【0023】
観察者500は、立体画像表示システム10により立体画像を観察するときに、上記偏光軸制御板180の第一偏光領域181および第二偏光領域182を透過した右目用画像光および左目用画像光の出射する範囲内において、上記のように、偏光眼鏡200をかけて画像表示装置100を観察することにより、右目512では右目用画像光だけを観察することができ、左目514では左目用画像光だけを観察することができる。したがって、観察者500は、これら右目用画像光および左目用画像光を立体画像として認識することができる。
【0024】
また、上記偏光眼鏡200は、図3に示すように、観察者500の右目512側に強度調整部212が配され、左目514側に色味補償部214が配される。偏光眼鏡200において、これら強度調整部212および色味補償部214は、上記右目用画像透過部232および左目用画像透過部234にそれぞれ貼り付けられるか、またはフレーム250に固定されている。
【0025】
色味補償部214は、左目用画像光が上記偏光眼鏡200の左目用画像透過部234を透過するときに、左目用画像光における強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記のように左目用画像透過部234を透過した左目用画像光が上記波長帯域で減衰するのは、偏光軸制御板180の第二偏光領域182が、入射する光の色(波長)によって透過する光の偏光軸の方向が多少異なるという特性を有することによる。すなわち、上記偏光軸制御板180の第二偏光領域182に、例えば入射した光が緑色光のときにその偏光軸をほぼ正確に90度だけ回転させる特性を有する半波長板が用いられている場合、左目用画像光に含まれる青色光や赤色光が第二偏光領域182を透過するときのこれらの偏光軸の回転角度は90度と異なる角度となる。したがって、左目用画像光に含まれる青色光および赤色光などの偏光軸の方向は、上記偏光眼鏡200の左目用画像透過部234の透過軸方向と平行でなく、左目用画像透過部234を透過するときに、その強度が減衰する。また、上記一定の割合は、左目用画像光が偏光軸制御板180の第二偏光領域182を透過する前後において強度が減衰する上記波長帯域における減衰の割合に対応する。
【0026】
さらに、色味補償部214は、左目用画像光が偏光軸制御板180の第二偏光領域182を透過するときに、第二偏光領域182に吸収されることにより強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収する。これにより、左目用画像光における上記第二偏光領域182に吸収されることにより強度が減衰する波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。なお、上記色味補償部214には、例えばカラーフィルターなどが用いられる。
【0027】
このような色味補償部214を上記偏光眼鏡200における左目514側に配することにより、左目用画像光が偏光軸制御板180の第二偏光領域182を透過するときに吸収されることにより生じる色味の変化、または、偏光軸が回転されることにより生じる色味の変化を補償することができる。したがって、観察者500は、左目514において例えば青みがかったり赤味がかった左目用画像光を観察することがないので、原画像により忠実な色調の立体画像を観察することができる。
【0028】
強度調整部212は、右目用画像光が入射したときに、上記一定の割合だけ、すなわち、左目用画像光が偏光軸制御板180における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰したのと同じ分だけ、右目用画像光の強度を減衰させる。したがって、強度調整部212を透過した右目用画像光の強度は、上記色味補償部214を透過した左目用画像光の強度と略等しくなる。上記偏光眼鏡200における右目512側にこのような強度調整部212を配することにより、観察者500が右目用画像光と左目用画像光とに強度差を感じることがない。
【0029】
図4は、図1に示す画像表示装置100に替えて立体画像表示システム10に用いることのできる画像表示装置101の分解斜視図である。図4に示す画像表示装置101において、上記画像表示装置100と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。図4に示すように、画像表示装置101は、上記画像表示装置100の偏光軸制御板180に替えて偏光軸制御板185を備える。この偏光軸制御板185は、第一偏光領域186および第二偏光領域187を有する。ここで、第一偏光領域186および第二偏光領域187は、ともに1/4波長板であり、それぞれの光学軸が互いに直交する。この偏光軸制御板185における第一偏光領域186および第二偏光領域187の位置および大きさは、上記偏光軸制御板180における第一偏光領域181および第二偏光領域182の位置および大きさと同様に、画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164の位置および大きさに対応している。したがって、画像表示装置101の使用状態において、第一偏光領域186には、上記右目画像生成領域162を透過した右目用画像光が入射し、第二偏光領域187には、上記左目画像生成領域164を透過した左目用画像光が入射する。
【0030】
図4に示す偏光軸制御板185は、入射した光を偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する。例えば、第一偏光領域186は入射した光を右回りの円偏光として出射し、第二偏光領域187は入射した光を左回りの円偏光として出射する。ここで、図4の偏光軸制御板185の矢印は、この偏光軸制御板185を通過した偏光の回転方向を示している。第一偏光領域186には、例えば光学軸が水平方向である1/4波長板が用いられ、第二偏光領域187には、例えば光学軸が鉛直方向である1/4波長板が用いられる。
【0031】
図4に示す偏光軸制御板185を備えた画像表示装置101を観察する場合、観察者500は、例えば図5に示す偏光眼鏡201をかけて観察することが好ましい。図5に示す偏光眼鏡201において、上記偏光眼鏡200と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。この偏光眼鏡201には、観察者500がこの偏光眼鏡201をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に位相差板243、右目用画像透過部233および色味補償部213が図5に示す順序で配され、左目514側にあたる位置に位相差板245、左目用画像透過部235および色味補償部215が図5に示す順序で配される。位相差板243および右目用画像透過部233は、例えば互いに貼り付けられており、さらに色味補償部213に貼り付けられるか、またはフレーム250に固定されている。また、位相差板245および左目用画像透過部235は、上記位相差板243および右目用画像透過部233と同様に、例えば互いに貼り付けられており、さらに色味補償部215に貼り付けられるか、またはフレーム250に固定されている。
【0032】
上記位相差板243および位相差板245には、それぞれの光学軸が互いに直交する1/4波長板が配される。例えば、位相差板243には、ポリカーボネートで形成された光学軸が水平方向である1/4波長板が用いられ、位相差板245には、ポリカーボネートで形成された光学軸が鉛直方向である1/4波長板が用いられる。位相差板243は、偏光軸が観察者500から見て右回りの円偏光が入射したときに、その円偏光を右斜め45度の直線偏光に変換する。また、位相差板245は、偏光軸が観察者500から見て左回りの円偏光が入射したときに、その円偏光を右斜め45度の直線偏光に変換する。
【0033】
右目用画像透過部233および左目用画像透過部235は、ともに透過軸方向が観察者500から見て右斜め45度であり、吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である。これら右目用画像透過部233および左目用画像透過部235には、例えば二色性染料を含浸させたフィルムを一軸延伸して得られる偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。観察者500は、上記偏光眼鏡201をかけて画像表示装置101を観察することにより、右目512では右目用画像光だけを観察することができ、左目514では左目用画像光だけを観察することができる。
【0034】
色味補償部213は、右目用画像光が入射したときに、右目用画像光のうちの特定の波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、上記特定の波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記特定の波長帯域は、偏光軸制御板185の第一偏光領域186および偏光眼鏡201の位相差板243などを透過するときに右目用画像光において強度が減衰する波長帯域に対応する。
【0035】
色味補償部215は、左目用画像光が入射したときに、左目用画像光のうちの特定の波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、上記特定の波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記特定の波長帯域は、偏光軸制御板185の第二偏光領域187および偏光眼鏡201の位相差板245などを透過するときに左目用画像光において強度が減衰する波長帯域にそれぞれ対応する。
【0036】
このように、偏光眼鏡201は、観察者500の右目512側および左目514側にそれぞれ色味補償部213および色味補償部215を配することにより、右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ偏光軸制御板185の第一偏光領域186および第二偏光領域187、さらには偏光眼鏡201の位相差板243および位相差板245を透過するときに生じる色味の変化を補償することができる。したがって、観察者500は、例えば青味がかったり赤味がかった右目用画像光および左目用画像光を観察することがないので、原画像により忠実な色調の立体画像を観察することができる。
【0037】
また、上記画像表示装置101を観察する場合、観察者500は、図6に示す偏光眼鏡202をかけて観察してもよい。図6に示す偏光眼鏡202において、上記偏光眼鏡200、201と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。この偏光眼鏡202には、図6に示すように、観察者500がこの偏光眼鏡202をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に位相差板343、右目用画像透過部333および色味補償部313が図6に示す順序で配され、左目514側にあたる位置に位相差板345、左目用画像透過部335および色味補償部315が図6に示す順序で配される。
【0038】
偏光眼鏡202の位相差板343および位相差板345は、光学軸がともに水平方向である1/4波長板である。したがって、位相差板343は、偏光軸が観察者500から見て右回りの円偏光が入射したときに、その円偏光を左斜め45度の直線偏光に変換する。また、位相差板345は、偏光軸が観察者500から見て左回りの円偏光が入射したときに、その円偏光を右斜め45度の直線偏光に変換する。
【0039】
また、偏光眼鏡202の右目用画像透過部333には、透過軸方向が右斜め45度の方向であり吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。また、左目用画像透過部335には、透過軸方向が左斜め45度の方向であり吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。
【0040】
観察者500は、偏光眼鏡202をかけて画像表示装置101を観察することにより、上記偏光眼鏡201をかけて画像表示装置101を観察するときと同様に、右目512では右目用画像光だけを観察することができ、左目514では左目用画像光だけを観察することができる。
【0041】
また、偏光眼鏡202の色味補償部313は、右目用画像光が入射したときに、右目用画像光のうちの特定の波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、上記特定の波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記特定の波長帯域は、偏光軸制御板185の第一偏光領域186および偏光眼鏡202の位相差板343などを透過するときに右目用画像光において強度が減衰する波長帯域に対応する。
【0042】
また、偏光眼鏡202の色味補償部315は、左目用画像光が入射したときに、左目用画像光のうちの特定の波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、上記特定の波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記特定の波長帯域は、偏光軸制御板185の第二偏光領域187および偏光眼鏡202の位相差板345などを透過するときに左目用画像光において強度が減衰する波長帯域にそれぞれ対応する。
【0043】
このように、偏光眼鏡202は、観察者500の右目512側および左目514側にそれぞれ色味補償部313および色味補償部315を配することにより、右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ偏光軸制御板185の第一偏光領域186および第二偏光領域187、さらには偏光眼鏡202の位相差板343および位相差板345を透過するときに生じる色味の変化を補償することができる。したがって、観察者500は、例えば青味がかったり赤味がかった右目用画像光および左目用画像光を観察することがないので、原画像により忠実な色調の立体画像を観察することができる。
【0044】
また、上記画像表示装置101を観察する場合、観察者500は、図7に示す偏光眼鏡203をかけて観察してもよい。図7に示す偏光眼鏡203において、上記偏光眼鏡202などと同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。この偏光眼鏡203には、図7に示すように、観察者500がこの偏光眼鏡203をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に位相差板347、右目用画像透過部337および色味補償部317が図7に示す順序で配され、左目514側にあたる位置に位相差板349、左目用画像透過部339および色味補償部319が図7に示す順序で配される。
【0045】
偏光眼鏡203の位相差板347および位相差板349は、光学軸がともに鉛直方向である1/4波長板である。したがって、位相差板347は、偏光軸が観察者500から見て右回りの円偏光が入射したときに、その円偏光を右斜め45度の直線偏光に変換する。また、位相差板349は、偏光軸が観察者500から見て左回りの円偏光が入射したときに、その円偏光を左斜め45度の直線偏光に変換する。
【0046】
また、偏光眼鏡203の右目用画像透過部337には、透過軸方向が左斜め45度の方向であり吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。また、左目用画像透過部339には、透過軸方向が右斜め45度の方向であり吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。
【0047】
観察者500は、偏光眼鏡203をかけて画像表示装置101を観察することにより、上記偏光眼鏡201および偏光眼鏡202をかけて画像表示装置101を観察するときと同様に、右目512では右目用画像光だけを観察することができ、左目514では左目用画像光だけを観察することができる。
【0048】
また、偏光眼鏡203の色味補償部317は、右目用画像光が入射したときに、右目用画像光のうちの特定の波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、上記特定の波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記特定の波長帯域は、偏光軸制御板185の第一偏光領域186および偏光眼鏡203の位相差板347などを透過するときに右目用画像光において強度が減衰する波長帯域に対応する。
【0049】
また、偏光眼鏡203の色味補償部319は、左目用画像光が入射したときに、左目用画像光のうちの特定の波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収することにより、上記特定の波長帯域の画像光の強度を相対的に強める。ここで、上記特定の波長帯域は、偏光軸制御板185の第二偏光領域187および偏光眼鏡203の位相差板349などを透過するときに左目用画像光において強度が減衰する波長帯域にそれぞれ対応する。
【0050】
このように、偏光眼鏡203は、観察者500の右目512側および左目514側にそれぞれ色味補償部317および色味補償部319を配することにより、右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ偏光軸制御板185の第一偏光領域186および第二偏光領域187、さらには偏光眼鏡203の位相差板347および位相差板349を透過するときに生じる色味の変化を補償することができる。したがって、観察者500は、例えば青味がかったり赤味がかった右目用画像光および左目用画像光を観察することがないので、原画像により忠実な色調の立体画像を観察することができる。
【0051】
なお、観察者500が上記偏光眼鏡201をかけて上記画像表示装置101を観察する場合、画像表示装置101の偏光板170を透過した右目用画像光および左目用画像光は、ともに偏光軸の方向が左上45度の直線偏光であるのに対し、偏光眼鏡201の位相差板243で変換されて右目用画像透過部233を透過した右目用画像光、および、位相差板245で変換されて左目用画像透過部235を透過した左目用画像光は、ともに偏光軸の方向が右上45度の直線偏光である。したがって、偏光板170を透過した右目用画像光および左目用画像光は、偏光眼鏡201の右目用画像透過部233および左目用画像透過部235を透過するまでにそれぞれ同じ角度だけ偏光軸が回転されていることになる。故に、観察者500が観察する右目用画像光および左目用画像光に生じる色味の変化はほぼ同じになるので、偏光眼鏡201の色味補償部213および色味補償部215には、同じものを用いてもよい。
【0052】
これに対し、観察者500が上記偏光眼鏡202をかけて上記画像表示装置101を観察する場合、偏光眼鏡201の位相差板343で変換されて右目用画像透過部333を透過した右目用画像光、および、位相差板345で変換されて左目用画像透過部335を透過した左目用画像光は、偏光軸の方向がそれぞれ右上45度および左上45度の直線偏光である。したがって、偏光板170を透過した右目用画像光および左目用画像光は、偏光眼鏡202の右目用画像透過部333および左目用画像透過部335を透過するまでにそれぞれ異なる角度だけ偏光軸が回転されていることになる。故に、観察者500が観察する右目用画像光および左目用画像光に生じる色味の変化は異なるので、偏光眼鏡202の色味補償部313および色味補償部315には、それぞれの画像光の色味の変化に対応したものを用いることが好ましい。また、上記偏光眼鏡203をかけた観察者500が観察する右目用画像光および左目用画像光に生じる色味の変化は上記偏光眼鏡202の場合と同様の理由により異なる。したがって、偏光眼鏡203の色味補償部317および色味補償部319についても、それぞれの画像光の色味の変化に対応したものを用いることが好ましい。
【0053】
なお、上記画像表示装置101において、偏光軸制御板185の第一偏光領域186および第二偏光領域187は、互いの光学軸が45度の角度を成す半波長板であってもよい。この場合、第一偏光領域186を透過した右目用画像光、および、第二偏光領域187を透過した左目用画像光は、偏光軸が互いに直交する直線偏光となる。例えば、第一偏光領域186の光学軸の方向が左上67.5度であり、第二偏光領域187の光学軸の方向が左上22.5度である場合、第一偏光領域186を透過した右目用画像光は偏光軸が鉛直方向の直線偏光となり、第二偏光領域187を透過した左目用画像光は偏光軸が水平方向の直線偏光となる。
【0054】
また、このような偏光軸制御板185を用いた画像表示装置101を観察する場合、観察者500は、上記偏光眼鏡200と略同様の構成を有する偏光眼鏡をかけて観察することが好ましい。ただし、この場合、偏光眼鏡200の右目用画像透過部232には、第一偏光領域186を透過した右目用画像光の偏光軸の方向と透過軸方向が略同じ垂直方向である偏光レンズが用いられ、左目用画像透過部234には、第二偏光領域187を透過した左目用画像光の偏光軸の方向と透過軸方向が略同じ水平方向である偏光レンズが用いられる。
【0055】
また、この場合、偏光眼鏡200には、上記強度調整部212に替えて、右目用画像光が偏光軸制御板185の第一偏光領域186を透過するときに、第一偏光領域186に吸収されたり偏光軸が回転されることにより強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を一定の割合だけ吸収する色味補償部が配される。また、右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ偏光軸制御板185において偏光軸が回転されるときの回転角度が異なる場合、観察者500が観察する右目用画像光および左目用画像光に生じる色味の変化は異なるので、偏光眼鏡200の色味補償部214および上記強度調整部212に替えて配される色味補償部には、それぞれの画像光の色味の変化に対応したものを用いることが好ましい。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態の立体画像表示システム10の一部である画像表示装置100の分解斜視図である。
【図2】立体画像表示システム10の使用状態を示す概略図である。
【図3】立体画像表示システム10により表示される立体画像の観察に用いる偏光眼鏡200の分解斜視図である。
【図4】図1に示す画像表示装置100に替えて立体画像表示システム10に用いることのできる画像表示装置101の分解斜視図である。
【図5】画像表示装置101を用いた立体画像表示システム10により表示される立体画像の観察に用いる偏光眼鏡201の分解斜視図である。
【図6】画像表示装置101を用いた立体画像表示システム10により表示される立体画像の観察に用いる偏光眼鏡202の分解斜視図である。
【図7】画像表示装置101を用いた立体画像表示システム10により表示される立体画像の観察に用いる偏光眼鏡203の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
10 立体画像表示システム、100、101 画像表示装置、120 光源、150 偏光板、160 画像生成部、162 右目画像生成領域、164 左目画像生成領域、170 偏光板、180、185 偏光軸制御板、181、186 第一偏光領域、182、187 第二偏光領域、200、201、202、203 偏光眼鏡、212 強度調整部、213、214、215 色味補償部、232、233 右目用画像透過部、234、235 左目用画像透過部、243、245 位相差板、250 フレーム、313、315、317、319 色味補償部、333、337 右目用画像透過部、335、339 左目用画像透過部、343、345、347、349 位相差板、500 観察者、512 右目、514 左目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右目用画像および左目用画像を生成してそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、前記画像生成部に対向して配されて、入射した前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光のうちの一方の画像光の偏光軸を回転して他方の偏光軸に直交させる偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射する前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光を立体画像として観察するときに観察者が装着する偏光眼鏡であって、
前記観察者の右目側に配されて、前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、
前記観察者の左目側に配されて、前記右目用画像透過部の前記偏光方向と直交しており、前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、
前記観察者の前記右目および前記左目のうち、前記偏光軸制御板において偏光軸が回転される前記一方の画像光に対応する一方の側に配されて、前記一方の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部と
を備える偏光眼鏡。
【請求項2】
前記観察者の前記右目および前記左目のうちの他方の側に配され、前記一方の画像光が前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰したのと同じ分だけ、他方の画像光の強度を減衰させる強度調整部をさらに備える請求項1に記載の偏光眼鏡。
【請求項3】
右目用画像および左目用画像を生成してそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、前記画像生成部に対向して配されて、入射した前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光の偏光軸を共に回転させて互いに直交させる偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射する前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光を立体画像として観察するときに観察者が装着する偏光眼鏡であって、
前記観察者の右目側に配されて、前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、
前記観察者の左目側に配されて、前記右目用画像透過部の前記偏光方向と直交しており、前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、
前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部と
を備える偏光眼鏡。
【請求項4】
右目用画像および左目用画像を生成してそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、前記画像生成部に対向して配されて、入射した前記右目用画像の画像光と前記左目用画像の画像光とを偏光軸が互いに反対の方向に回転する円偏光に変換する偏光軸制御板を有する画像表示装置から出射する前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光を立体画像として観察するときに観察者が装着する偏光眼鏡であって、
前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記画像表示装置から出射する前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光を偏光軸が互いに直交する直線偏光および偏光軸が互いに平行な直線偏光の一方に変換する位相差板と、
前記観察者の右目側に配されて、前記観察者の右目側に配された前記位相差板において直線偏光に変換された前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部と、
前記観察者の左目側に配されて、前記観察者の左目側に配された前記位相差板において直線偏光に変換された前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部と、
前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収、円偏光への変換および前記位相差板における直線偏光への変換により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部と
を備える偏光眼鏡。
【請求項5】
観察者に立体画像を表示する立体画像表示システムであって、
右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を観察者に向けて出射する画像表示装置と、
前記観察者に装着される偏光眼鏡と
を備え、
前記画像表示装置は、
前記右目用画像を生成する右目画像生成領域および前記左目用画像を生成する左目画像生成領域を含み、前記右目画像生成領域で生成される前記右目用画像および前記左目画像生成領域で生成される前記左目用画像をそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、
前記右目画像生成領域に対向して配される第一偏光領域および前記左目画像生成領域に対向して配される第二偏光領域を含み、前記第一偏光領域に入射した前記右目用画像の画像光または前記第二偏光領域に入射した前記左目用画像の画像光のうちの一方の画像光の偏光軸を回転して他方の偏光軸に直交させる偏光軸制御板
を有し、
前記偏光眼鏡は、
前記観察者の右目側に配されて、前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部、
前記観察者の左目側に配されて、前記右目用画像透過部の前記偏光方向と直交しており、前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部、および、
前記観察者の前記右目および前記左目のうち、前記偏光軸制御板において偏光軸が回転される前記一方の画像光に対応する一方の側に配されて、前記一方の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部、
を有する立体画像表示システム。
【請求項6】
観察者に立体画像を表示する立体画像表示システムであって、
右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を観察者に向けて出射する画像表示装置と、
前記観察者に装着される偏光眼鏡と
を備え、
前記画像表示装置は、
前記右目用画像を生成する右目画像生成領域および前記左目用画像を生成する左目画像生成領域を含み、前記右目画像生成領域で生成される前記右目用画像および前記左目画像生成領域で生成される前記左目用画像をそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、
前記右目画像生成領域に対向して配される第一偏光領域および前記左目画像生成領域に対向して配される第二偏光領域を含み、前記第一偏光領域に入射した前記右目用画像の画像光および前記第二偏光領域に入射した前記左目用画像の画像光の偏光軸を共に回転させて互いに直交させる偏光軸制御板
を有し、
前記偏光眼鏡は、
前記観察者の右目側に配されて、前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部、
前記観察者の左目側に配されて、前記右目用画像透過部の前記偏光方向と直交しており、前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部、および、
前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部、
を有する立体画像表示システム。
【請求項7】
観察者に立体画像を表示する立体画像表示システムであって、
右目用画像の画像光および左目用画像の画像光を観察者に向けて出射する画像表示装置と、
前記観察者に装着される偏光眼鏡と
を備え、
前記画像表示装置は、
前記右目用画像を生成する右目画像生成領域および前記左目用画像を生成する左目画像生成領域を含み、前記右目画像生成領域で生成される前記右目用画像および前記左目画像生成領域で生成される前記左目用画像をそれぞれ特定方向の偏光軸の画像光として出射する画像生成部、および、
前記右目画像生成領域に対向して配される第一偏光領域および前記左目画像生成領域に対向して配される第二偏光領域を含み、前記第一偏光領域に入射した前記右目用画像の画像光と前記第二偏光領域に入射した前記左目用画像の画像光とを偏光軸が互いに反対の方向に回転する円偏光に変換する偏光軸制御板
を有し、
前記偏光眼鏡は、
前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記画像表示装置から出射する前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光を偏光軸が互いに直交する直線偏光および偏光軸が互いに平行な直線偏光の一方に変換する位相差板、
前記観察者の右目側に配されて、前記観察者の右目側に配された前記位相差板において直線偏光に変換された前記右目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する右目用画像透過部、
前記観察者の左目側に配されて、前記観察者の左目側に配された前記位相差板において直線偏光に変換された前記左目用画像の画像光の偏光軸と平行な偏光方向の光を透過する左目用画像透過部、および、
前記観察者の右目側および左目側に配されて、前記右目用画像の画像光および前記左目用画像の画像光の波長帯域のうちで前記偏光軸制御板における吸収および偏光軸の回転により強度が減衰する波長帯域以外の波長帯域の画像光を吸収することにより、強度が減衰する前記波長帯域の画像光の強度を相対的に強める色味補償部、
を有する立体画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−170557(P2008−170557A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1789(P2007−1789)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000155698)株式会社有沢製作所 (117)
【Fターム(参考)】