説明

偏光複合シートとその応用方法

【課題】 残留ひずみを除去するのに十分な温度と時間でアニール処理を行っても偏光積層シートに反りを生じさせない偏光複合シートの製造方法を提供する。
【解決手段】
偏光素子の両面を保護する為に、セルローストリアセテートフィルム層で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して接着し内面にセルローストリアセテートフィルム層、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させる手段を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く市場に流通しているセルローストリアセテートフィルムで挟持された汎用の偏光シートの両面にポリカーボネート樹脂フィルムを複合形成させ、セルローストリアセテート製偏光シートのみでは製造する事が困難であった。矯正用眼鏡、サングラス、ゴーグルなどのレンズとして用いる光学用複合成形品を経済的に得る事が可能な偏光複合シート及びその応用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニールアルコール(PVA)フィルム等の偏光フィルムをセルローストリアセテートフィルム(TAC)で積層して偏光シートと言われているのが一般的である。この偏光シートは、液晶画面用や携帯画面用として、広く普及している。該偏光シートは、入手容易で低価格であることから、近年偏光機能を備えたサングラスや前掛け眼鏡等の分野において応用され利用されている。
【0003】
そのような偏光機能を得る為の射出成形法の製造方法としては、
予備成形された偏光レンズ素子を型内に配置し溶融プラスチックをキャビティ内に充填しプラスチック基層を融着一体化し、生産効率よくレンズを製造する。
【0004】
偏光シートの片面にプラスチック基層を融着一体化した偏光レンズであって、上記偏光シートは偏光素子の両面に透明被覆層を積層して球面状に予備成形し、この偏光シートを金型にセットして溶融プラスチックを、キャビティ内に流し込んでプラスチック基層を成形すると共に偏光シートと融着一体化し、そして該プラスチック基層を後加工にて適度な度付きレンズに研磨したことを特徴とする偏光プラスチックレンズの製造方法。
【0005】
偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを、貼着して得た厚さが0.2mm以下、全光線透過率が40%以上、偏光度が99.0%以上である偏光シートを用い、この偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に全光線透過率80%以上、厚さ0.1〜0.3mmのプラスチックフィルムを、接着剤を用いて積層し、この積層シートを成型目的物の外側形態に近い形状に該シートのセルローストリアセテートフィルム面が外面になるように熱プレス加工にて成型し、これを成型型の内面に挿入した後、上記プラスチックフィルムと融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型することを特徴とする偏光性能を有する光学用積層成型品の製造方法
【0006】
偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを貼着して得た偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に透明着色剤よりなる透明インクにてカラー印刷を施し、この印刷面に全光線透過率80%以上、厚さ0.1〜0.3mmのプラスチックフィルムを、接着剤を用いて積層して積層シートを得、次いでこの積層シートを成型目的物の外側形態に近い形状に該シートのセルローストリアセテートフィルムが外面になるように熱曲げ加工にて成形し、これを成型型内に挿入し、上記内側のプラスチックフィルム側に、該フィルムと融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型して得ることを特徴とする偏光性能を有する光学用積層成型品。
射出成型法により得られる対物面が凸面、接眼面が凹面、また凸凹面のどちらか一方の表面に偏光機能を有する積層成形物であって、片面に接着剤層が塗工されたセルローストリアセテート製偏光シートの非接着剤層に、新たに接着剤層を塗工し、熱可塑性樹脂フィルムを貼着し積層する、得られた積層シートを目的の金型の外形形態に近い形状に熱プレス加工を施し、その加工シートの接着剤層が露出され熱可塑性樹脂フィルム層が凸凹面のどちらか一方の表面に形成されるよう射出成型機の金型のキャビティに装着する。貼着した熱可塑性樹脂フィルムと同素材の射出成型用光学樹脂を射出及び成型し加工シートの接着剤層と射出成型用光学樹脂を熱圧着する事で得られる積層成形物の技術的手段を本発明者は先に提案した。
【0007】
主原料のプラスチック、即ち、セルロースアセテート・プロピオネート中にスピロオキサジン系化合物を添加させ、又、安定剤、充填剤、帯電防止剤等の補助資材を必要に応じて適量加える。これらを混合混練した材料を用いて射出成形や圧縮成形の手段でレンズ全体が薄くカラー化されたフォトクロミズム現象を有する調光プラスチックレンズを製作する。更に、前述した調光プラスチックレンズの下方部位に紫外線吸収層を構成させる手段を本発明者は先に提案した。
【0008】
樹脂製のレンズ基体の表面に偏光フィルムを接着した偏光樹脂製レンズの製造方法において、レンズ基体の形状に合わせて偏光フィルム成形体を成形する工程と、前記偏光フィルム成形体の両面にプライマを塗布して乾燥する工程と、プライマを塗布した前記偏光フィルム成形体を成形型の凹面に載置し、その上面の全体に、均一な肉厚のUV系接着剤層を形成する工程と、前記UV系接着剤層の上に前記レンズ基体を重ね、偏光フィルム成形体とレンズ基体とを加圧する工程と、UV照射により前記UV系接着剤層を固化させてレンズ積層基体を形成する工程と、前記レンズ積層基体を前記成形型から離型した後、前記成形型の凹面に熱硬化性樹脂モノマーを均一な肉厚で充填して熱硬化性樹脂モノマー層を形成する工程と、前記熱硬化性樹脂モノマー層の上に前記レンズ積層基体を載置して加熱し、熱硬化性樹脂モノマーを重合・硬化させ、熱硬化性樹脂モノマー層と前記レンズ積層基体とを接合する工程と、を有することを特徴とする偏光樹脂製レンズの製造方法とする技術的手段を、本発明者は先に提案した。
【0009】
樹脂又はガラスにより形成したレンズ基体の一面に一つ又は複数の機能レンズを形成する積層レンズの製造方法において、成形しようとする前記機能レンズの形状に応じて形成された下型と、この下型の周囲を封止するシール部材とを準備し、予め前記レンズ基体を形成するとともに、前記レンズ基体の周縁部分から径方向に張り出す張り出し部を前記周縁部分の全周にわたって形成し、前記シール部材に前記下型を嵌入するとともに、前記レンズ基体を前記シール部材に嵌め込んだときに前記レンズ基体と前記下型との間に形成されるキャビティの深さ寸法が、形成しようとする前記機能レンズの肉厚と実質的に同じになるように、前記シール部材における前記下型の位置決めを行い、前記下型の型面に、前記機能レンズを形成するためのレンズ材料を流動状態で供給し、前記レンズ基体を前記下型に対向させた状態で前記シール部材に嵌め込み、前記レンズ基体で前記レンズ材料を加圧しつつ展延させて、前記キャビティを前記レンズ材料で満たし、前記レンズ材料を硬化させて前記レンズ基体の一面に前記機能レンズを形成する技術的手段を、本発明者は先に提案した。
【0010】
偏光フィルム成形体と、該偏光フィルム成形体の裏面に塗布されたUV系接着剤層と、該UV系接着剤層上に重ね合わせてUV照射により接合されたレンズ基体と、前記偏光フィルム成形体の表面に形成された硬化性樹脂モノマー層と、からなる偏光樹脂製レンズとする技術的手段を、本発明者は先に提案した。
【0011】
射出成形金型においてスプリット金型を分割式にし、深さ調節自在な段差を作ることができ、偏光フィルムを確実に位置決めできるとともに、また、溶融状態のレンズ成形樹脂を金型に連なるランナーに充満させながらゲートより当該金型のキャビティ内に射出することにより、熱および流動による偏光フィルムの変形や位置ズレを防止することができて、確実に位置決めすることができる。しかも、レンズ素型を均一な密度で成形することができ、歪みが殆ど無い高精度な製品をする方法を本発明者は先に提案した。
【0012】
熱可塑性樹脂フィルムの片側に蒸着膜層を形成したフィルムであって、蒸着膜層に接着剤を塗布処理し、該フィルムを熱プレス加工にてレンズ形状に予備成形したのち、この成形物を成形型の内面に挿入し、該フィルムの接着剤層と融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型することを特徴とする技術手段を、本発明者は先に提案した。
【0013】
ホットプレス加工による偏光フィルムの歪みを劇的に減少させ、かつ、成形金型内に確実に位置決めすることができ、製品レンズの安定した画一性の確保することができる偏光レンズの製造方法を本発明者は先に提案した。
【0014】
低温でホットプレス加工をすることができて加工性が良く、かつ、熱による偏光フィルムの歪みを劇的に減少させるとともに、使用材料を軽減して製造コストを抑えることもできる偏光レンズの製造方法、およびそれに用いる偏光板を提供する技術手段を先に提案した。
【0015】
金型のキャビティ内に溶融した透明熱可塑性樹脂を射出成型法により形成される対物面が凸面、接眼面が凹面である眼鏡用レンズであって、屈折率1.60以上である高屈折率を有する高流動性及び低分散性の透明熱可塑性樹脂からなる一次成形品に同系の屈折率1.59以下である中屈折率もしくは低屈折率を有する高分散性の透明熱可塑性樹脂をバック樹脂として二次成形し溶融一体的に成形した複合成形品であって、一次成形品及び二次成形品のそれぞれどちらか一方に偏光機能及び視矯正領域の視力補正機能が付与されている事を特徴とする技術手段を本発明者は先に提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公昭61-57167号
【特許文献2】特願平7−350450号
【特許文献3】特許第3681325号
【特許文献4】特開2008−276150号
【特許文献5】特許第4117657号
【特許文献6】特開平08−254603号
【特許文献7】特許第3823225号
【特許文献8】特開2007−164030号
【特許文献9】WO2006/035494号
【特許文献10】WO2004096529号
【特許文献11】特許公開2006−168133号
【特許文献12】特許公開2007−152704号
【特許文献13】特許公開2007−293030号
【特許文献14】特許4179284号
【0017】
第一の不具合として、特許文献1乃至3記載の製造方法は、いずれも汎用のセルローストリアセテート性偏光シートの一方に、熱可塑性樹脂フィルムを貼着し目的のレンズ金型の外形形態に近い形状に熱プレス加工を施し、この加工シートを射出成型機の金型のキャビティに設置し、射出成形法によって、光学材料と溶融一体的に偏光機能を有した成形体を得るものであるが、前項いずれの製造方法はいくつもの不具合を有し、安定した製品を供給するのは困難であった。特許文献1乃至3から得られる偏光レンズは、凸凹面の素材が同一でないために射出成形後の強化工程に使用される強化液が一般的に製造されているアクリルレンズ又はポリカーボネートレンズに使用されている強化液を使用し凸凹面の異素材に同時に密着させる事は困難である、このような問題を回避する為に一般的に使用している方法は、凸凹面に密着するプライマーコート層を設けた上にさらにトップコートを付与する方法である。しかしこの方法は2回ディップする上での塵及び埃等の不良が多発し、経済的な負担が多大である。また対物面及び接眼面の両素材に密着する最適な強化液が発見されてもアクリルレンズ又はポリカーボネートレンズに使用されている液単価の10倍から20倍からの経済負担が発生したり、液のポットライフが従来の物と比べ大幅に短い為に経済的損失を強いるといった問題が生じている。
【0018】
第二の不具合として、特許文献4記載の光学積層成型品は、偏光性能は目的の色調にあった偏光性能を有する染料を使用して偏光シートを製造し、そのシートを使用して成型することで対応しているが、多様な色に対応するためには大量の色揃えをしたシートを用意せねばならず、当該光学積層成型品は偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを貼着して得た偏光シートの一方のセルローストリアセテートフィルム面に透明着色剤よりなる透明インクにてカラー印刷を施し、この印刷面に全光線透過率80%以上、厚さ0.1〜0.3mmのプラスチックフィルムを、接着剤を用いて積層して積層シートを得、次いでこの積層シートを成型目的物の外側形態に近い形状に該シートのセルローストリアセテートフィルムが外面になるように熱曲げ加工にて成形し、これを成型型内に挿入し、上記内側のプラスチックフィルム側に、該フィルムと融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型して得ることを特徴とするが、本来透明着色剤によって透明インクをセルローストリアセテートフィルム面にカラー印刷した後、プラスチックフィルムを積層しプラスチックフィルム面を成型型内に露出するように設置し、該プラチックフィルムと融着するレンズ成型用樹脂材料を射出成型して、目的の多種多様な色を有する偏光レンズは得られない。得られない理由として、射出成形法に使用されるのは、高耐久性を有していなければならない為、染料系の偏光フィルムを選択しなければならない。セルローストリアセテート製偏光シートは、全光線透過率30%以上の灰色である場合がほとんどである。特許文献4記載の光学成型品の構成は、セルローストリアセテートフィルム層・全光線透過率30%以上の染料系偏光フィルム・セルローストリアセテートフィルム層・カラーインク印刷層・接着剤層・熱可塑性樹脂フィルムとなり、目視によって対物面側から色相を確認した場合、確認できるカラーは自然光の下では、必ず全光線透過率30%以上の灰色である。結局多種多様な色揃えをした偏光フィルムを入手しなければならない。特許文献1乃至3記載の製造方法と同様に眼鏡用レンズの対物面を凸面又は接眼面を凹面とした場合、眼鏡用レンズの凸凹面が同一な素材ではないため、強化工程でプライマーコート層を設けた上にトップコート層を塗布加工し強化膜層を形成しなければならない。上記いずれの製造方法に使用される偏光シートは、セルローストリアセートフィルムで挟持された偏光フィルムの一方に熱可塑性樹脂フィルムを、接着剤又は粘着剤を介して貼着したことを特徴とする。
【0019】
ポリカーボネート樹脂フィルムを、汎用のセルローストリアセテート性偏光シートの一方に積層した場合、目的の金型の球面率と同程度の球面率にベンリング加工させる工程時や、射出成形後の成形品に光学的歪が残留し、積層面がひび割れを生じる。この残留ひずみを除去する為に通常110℃から120℃で30分から90分のアニール処理を行うが、アニール処理に十分な温度と時間を偏光複合シートに与えると、収縮熱によって大きく反ろうとしてカールしてしまう。カールしてしまった偏光複合シートをベンリング工程時に合致するように、型抜き工程を行うと作業性が悪く事業者に経済的損失を強いてしまうという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたもので、第一に、セルローストリアセテートフィルムにポリカーボネート樹脂フィルムを貼着した偏光積層シートであっても反りが生じず、作業性に優れるとともに、残留ひずみを生じさせるおそれがない偏光複合シートとその応用方法の確立である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第一の目的を達成する為に、偏光素子をセルローストリアセテートフィルム間で挟持された汎用の偏光シートの一方ではなく双方に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して接着し内面に汎用のセルロースアセテートフィルムを偏光素子の保護層として複合し、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させ偏光複合シートを得るという手段を採用した。
【0022】
本発明の第二の目的を達成する為に、偏光素子をセルローストリアセテートフィルム間で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して貼着し内面に汎用のセルロースアセテートフィルムで偏光素子の保護層として積層し、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させた偏光積層シートの一方に、当該ポリカーボネート樹脂フィルム面に射出成形法によって、溶融一体的に融着可能なポリカーボネート樹脂層を形成させる手段を採用した。
【0023】
本発明の第三の目的を達成する為に、セルローストリアセテートフィルム層とポリカーボネート樹脂フィルム層と貼着する接着基層として、ポリイソシアネート化合物の主剤とポリオールの化合物の硬化剤とからなる紫外線硬化形の接着剤によって接着する手段を採用した。
【0024】
本発明において該偏光素子は、肉厚0.03〜0.05mm程度で均一厚みのものであるのが好ましく、ポリビニールアルコール系フィルム、ポリビニルアセタール系フィルム、ポリビニルブチラールフィルムをベースフィルムとし、耐湿熱性を有する二色性染料を用いて染色、一軸延伸して得られる物であれば特に限定しない。
【0025】
本発明において偏光シートは、前述した偏光素子の両面に、光学的に優れた透
明性を有するセルローストリアセテートフィルムを、グラビアコーティング法、
オフセットコーティング法などにより、平均分子量が10,000以上から、
200,000以下のポリエステルウレタン樹脂、または、ポリエーテルウレ
タン樹脂、あるいは、ポリエステルポリエーテルウレタン樹脂等を主にしたポ
リオールに、架橋硬化剤としてポリイソシアネートを配合する二液硬化型接着
剤を用いて張り合わせて構成された偏光シ−トであれば特に限定しないが、最
も好ましい偏光シートの総厚は0.2mm以下であり、またその全光線透過率
が40%以内、偏光度90.0%以上のものである。偏光シ−トの総厚さを0.
2mm以下とするのは、0.2mm以下であれば全光線透過率を目的の40%
以内に維持しやすくなると共に材料コストが、最も優れ経済性が良い為である。
【0026】
本発明に好適に使用できるポリカーボネート樹脂フィルムは、ポリビスフェノールAカーボネートがある。その他、1,1´−ジヒドロキシジフェニル−フェニルメチルメタン、1,1´−ジヒドロキシジフェニル−ジフェニルメタン、1,1´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニル−2,2−プロパンの単独ポリカーボネート、それら相互の共重合ポリカーボネート、ビスフェノールAとの共重合ポリカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂などである。
【0027】
一般的にポリカーボネート系樹脂は、複屈折の大きくなりやすいことが欠点として挙げられる。即ち、成形体の内部へ、成形歪みや局所的配向に起因する光学的異方性を生じやすい。そのため、本発明でポリカーボネート系樹脂を用いる場合は、極力、光学的異方性の形成を防ぐことが重要であり、その対策として、流動性が高く、成形時に過度な剪断力を受けにくい、つまり残留歪みや局所的配向が起こりにくい、比較的重合度の低い樹脂を使用することが好ましい。本発明では、特に重合度120以下、より好ましくは重合度100以下のポリカーボネート系樹脂の使用が推奨される。ポリカーボネート系樹脂の複屈折の大きくなりやすいという欠点は、目的レンズの対物面を形成するポリカーボネート層の表面に、アクリルウレタン樹脂系の主剤とイソシアネートの化合物の硬化剤からなる薄膜層を形成する手段も好ましい。
【0028】
本発明に明記された調光色素について以下に説明する。調光機能は、調光性色
素を用いることにより付与する。本発明で用いる調光性色素の種類については、
スピロピラン系、ナフトピラン系、フラン系、スピロオキサジン系、フルギド
系、クロメン系など一般に用いられているものであれば特に限定しないが、紫
外線に対する発色濃度が高く、発色速度の速いもの、且つ紫外線除去後の色相
ができるだけ無色に近く、消色速度の速いもの、並びに熱、光、湿度など加工
条件、実用条件、保管条件での短期、長期の耐久性面で良好なものが好ましい。
発色後の色相として、ブラウンやグレーが一般に好まれるため、通常は、複数
の調光性素材を同時に用い、好みの色相になるように、各素材の使用比率と使
用量を決めハンドブレンド法又は練り込み法のような添加法、染色法やコーテ
ィング法のような加工法で配合付与するのが好ましい。また透明着色剤よりな
る透明インクに前述した調光性色素の群から一種選択された色素を添加して、
セルローストリアセテートフィルムの表面に印刷する手段を用いても良い。
【0029】
次に、本発明で用いる捕色用色素および色素の配合または付与方法について説明する。私用する色素、染料、顔料いずれでも良いが、補色後の透明感の高さでは一般染料の方がより好ましい。本発明で用いる染料、顔料の種類については、上記の長期耐久性に合格するものであれば特に限定しない。一般的に、アゾ系、アントラキノン系、インジゴイド系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、オキサジン系染料などが含まれる。また顔料については、フタロシアニン系、キナクリドン系、アゾ系などの有機顔料、ウルトラマリンブルー、クロムグリーン、カドミウムイエローなどの無機顔料が含まれる。これらの中から、補色用色素として選択使用する。
【0030】
本発明では、これらの補色用色素を、偏光複合シートを構成するポリカーボネート樹脂フィルム層の表面の一方又は双方(双方とするのは、補色後偏光複合シートの正面あるいは背面を目視しいづれの面から見ても、偏光フィルム層が補色されるからである。)又はポリカーボネート樹脂フィルム内もしくはセルローストリアセテートフィルム層のいずれかへ、練り込みのような先添加法、あるいは染色法の後、添加法で配合する。配合量のコントロールの容易性から、一般的にポリカーボネート樹脂フィルム層へは練り込み法をとることが多い。また、本発明の少なくても、いずれかの表面もしくは内面へ、補色用色素を科学的または物理的に染色や含漫や拡散する方法も、比較的低温で付与可能であり、筒便性から好ましく使用できる。
【0031】
また、本発明の光学用複合成形品に視力矯正領域の補正機能を付与する方法を
以下に説明する。アーブルグオールラウンド金型等の金型により、径60から
98mmφ、曲率半径60から87mm、キャビティ厚みが3mmから18mm
の物が近視眼用度数を付与する方法として好適に使用できる。キャビティの第
一面の屈折面(装用状態において眼と反対側の面すなわち前方屈折面)には、
加工のし易さのために球面が採用されている。第二面の屈折面(装用状態にお
いて接眼側の面すなわち後方屈折面)には球面ばかりでなく、乱視等の矯正の
ためにトーリック面も採用される。以下、第一面に球面が採用されているレン
ズを球面レンズと呼び、第一面に非球面が採用されているレンズを非球面レン
ズと呼ぶ。一般に、レンズの屈折力はディオプター(以下、「D」で示す)とい
う単位で表され、レンズの表面における屈折力(面屈折力)はその面の曲率ρ
(単位はm-1:曲率半径R=1/ρ)とレンズ素材の屈折率nとにより次の式(1)
のように定義される。面屈折力=(n−1)×ρ=(n−1)/R (1)なお、
レンズの第一面の屈折力は、特にベースカーブと呼ばれる。以下、ベースカー
ブに対応する曲率をベースカーブ曲率という。近視眼用度数は、主に第一面の
屈折力と第二面の屈折力とにより決定される。このため、二つの屈折力の組合
せの仕方によって、一つの近視眼度数を得るのにもいろいろなベースカーブの
値をとることができる。
【0032】
老視眼用度数を本発明の光学用複合成形品に付与する方法は、成形金型のキャ
ビティの内表面が凹面、外表面が凸面からなり、キャビティの形状としては種々
の形状のものがある。クリップトップ型、シームレスクリップトップ型、アイ
デアル型、累進型の群から一種選択された設計を便宜的に選択し使用できる。
特に好ましいのは、前記小玉部の外表面が非球面であることを特徴とするもの
である。前記小玉部分の外表面は、その中心を通る法線方向の断面が楕円、双
曲線、放物線、サイクロイド曲線又はインボリュート曲線等の曲線(好ましく
は楕円)で形成される非球面とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の方法によれば、偏光素子をセルローストリアセテートフィルム間で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して貼着し内面に、セルロースアセテートフィルムを偏光素子の保護層として複合し、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させた事を特徴とする偏光複合シートを得る事によって、従来のセルロースアセテートフィルムの一方だけにポリカーボネート樹脂フィルムで構成された偏光積層シートに、残留ひずみを除去するために必ず必要とするアニール処理で、90℃から120℃で30分から120分の収縮熱を与える際発生していたカールする事によって、偏光積層シートが一方に反ってしまう現象を、偏光複合シートではセルローストリアセテートフィルムの双方にポリカーボネート樹脂フィルムを貼着した事により、アニール時のカールする現象を双方に貼着されたポリカーボネート樹脂フィルムによって、互いに打ち消しあうため反りの発生を実質0に抑制できる為、ベンリング工程時に合致するように、型抜き工程を行う為の作業性が向上し、事業者に経済的損失を強いてしまうという問題を解消出来高品質で安価な光学用複合成形品を提供できる。
【0034】
また本発明に明記されたポリイソシアネート化合物の主剤とポリオールの化合物の硬化剤とからなる紫外線硬化形の接着剤を介して、セルローストリアセテートフィルムとポリカーボネート樹脂フィルムを貼着し、ポリカーボネート樹脂フィルム層に溶融一体的に融着可能なポリカーボネート樹脂フィルム層を形成させる事が出来る為、接着剤で射出成形用光学樹脂を、高温で金型の中で溶融一体的に圧着する為の接着剤を選別する必要が緩和され事業者に経済的損失を強いてしまうという問題を解消出来高品質で安価な光学成形品を提供できる。
【0035】
また本発明は、対物面と接顔面が同系のポリカーボネート樹脂である為、引用文献1乃至3記載の発明のように、対物面と接顔面の表面が異素材であるがゆえに、凸凹面に密着するプライマーコート層を設けた上にさらにトップコートを付与する為に2回ディップする上での塵及び埃等の不良の発生が軽減され、従来アクリルレンズやポリカーボネートレンズに使用され市場に広く流通している強化液を一回ディップのみで良い為、事業者に経済的損失を強いるという問題を大幅に緩和する事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
染料系染料を用いて偏光度99.95%のポリビニールアルコールで出来た厚さ0.02mmの偏光フィルムの両面に0.08mmのセルローストリアセテートフィルムを接着する事により得られた厚さが約0.18mmの全光線透過率38%である、偏光シート(ポラテクノ社製)の一方のセルローストリアセテートフィルム層に、厚さ0.123mm重合度120以下のポリカーボネート系樹脂、1,1´−ジヒドロキシジフェニル−フェニルメチルメタン、1,1´−ジヒドロキシジフェニル−ジフェニルメタン、1,1´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニル−2,2−プロパンの単独ポリカーボネートとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネートからなるポリカーボネート樹脂フィルム(General Electric社製Lexan8010登録商標)を、主剤,硬化剤からなる紫外線硬化形接着剤(ヘンケルジャパン株式会社製LOCTITE製品番号3311 登録商標)を接着基層として採用し貼着した。該接着剤の配合処方は、重量比により主剤100、硬化剤15、希釈剤(酢酸エチル)190である。ドライラミネート加工機により加工速度140m/minで塗布すると同時に紫外線を放射しながら、当該ポリカーボネート樹脂フィルムと貼着し、同様の方法でもう一方のセルローストリアセテートフィルムと該ポリカーボネート樹脂フィ
ルムと貼着し偏光複合シートを得た。この偏光積層シートの残留ひずみを除去
する為に、100℃45分のアニール処理を、真空乾燥機を使用し行った。アニー
ル処理後の偏光複合シートはほぼフラットであり反りの発生は、実質0であっ
た。
【0038】
上記の偏光複合シートは、市販で汎用のものを用いる事ができ、例えば、コニ
カミノルタ社製のKCシリーズや、富士フィルム社製の「フジタック」(商品名)
等を挙げることができる。また接着剤はセルローストリアセテートフィルムや
ポリカーボネート樹脂フィルムとの貼着に好適なものであれば市販品を用いる
ことができ、例えば株式会社アーデル製のクリアルーチュ(登録商標)MA21
やポリイソシアネート化合物の主剤とポリオール化合物の硬化剤からなる紫外
線硬化型の接着剤を用いることができる。これら接着剤を偏光シートの両面に
塗布する厚さは、0・1〜100μm程度、好ましくは0.5〜80μm程度
である。また、偏光シートの両面に接着剤を塗布する方法としては、ローラ間
に接着剤を供給しつつ偏光シートを通過させる方法や、ディスペンサやスクリ
ーン印刷などで塗布する方法など、公知の種々のものを採用することができ、この偏光複合シートの双方のセルローストリアセテートフィルム層の表面に全光線透過率が18%になるように濃度調整したグレー色に着色した透明インクを、グラビア印刷機にて印刷を施し、前項と同様の方法でポリカーボネート樹脂フィルム層を貼着し補色された偏光複合シートを得た。
【実施例2】
【0039】
染料系染料を用いて偏光度99.95%のポリビニールアルコールで出来た厚さ0.02mmの偏光フィルムの両面に0.08mmのセルローストリアセテートフィルムを接着する事により得られた厚さが約0.18mmの全光線透過率38%である、偏光シート(ポラテクノ社製)の一方のセルローストリアセテートフィルム層に、厚さ0.5mm重合度120以下のポリカーボネート系樹脂、1,1´−ジヒドロキシジフェニル−フェニルメチルメタン、1,1´−ジヒドロキシジフェニル−ジフェニルメタン、1,1´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニル−2,2−プロパンの単独ポリカーボネートとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネートからなるポリカーボネート樹脂フィルム(General Electric社製Lexan8010登録商標)を、主剤,硬化剤からなる紫外線硬化形接着剤(ヘンケルジャパン株式会社製LOCTITE製品番号3311 登録商標)を接着基層として採用し貼着した。該接着剤の配合処方は、重量比により主剤100、硬化剤15、希釈剤(酢酸エチル)190である。ドライラミネート加工機により加工速度140m/minで塗布すると同時に紫外線を放射しながら、当該ポリカーボネート樹脂フィルムと貼着し、同様の方法でもう一方のセルローストリアセテートフィルムと該ポリカーボネート樹脂フィルムと貼着し偏光複合シートを得た。次いで、前項で得た偏光複合シートを、楕円形状に型抜きし6Rの球面体に調整された凸凹面を有する熱プレス型内に装着し、120度で2分間加圧してレンズ形状に成形した。得られた偏光レンズは、JISST−8147の規格に合格するものであった。
【実施例3】
【0040】
実施例1により得た偏光複合シートを、型抜きし熱プレス型(東利眼鏡社製)にて120度で2分間加圧してシート状球面体に成形した。その後このシート状球面体をレンズ成形用成形機(型締め力;射出圧力;400Kgf/cm2)のアーブルグオールラウンド金型;径78mmφ、曲率半径84mmでキャビティ厚み=2.2mm金型温度;120℃(固定、可動共)の型内に装着し、ポリカーボネート樹脂フィルム層と同系の射出成形用ポリカーボネート樹脂(帝人化成 パンライトSP)を、シリンダーヒーター設定温度;280℃で射出成形し次いで強化液(セイコー化成 HC−280)をディップ加工し120度2時間乾燥し目的の光学用複合成形品を得た。この光学用複合成形品は、工業規格JIS、T−8147の規格に合格するものであった。
【0041】
上記のように形成した偏光複合シートから、レンズ形状のシート状球面体を切り出し、ホットプレス法等により、このシート状球面体を製造しようとする偏光レンズの凸面又は凹面に応じた形状に形成する。
レンズは、従来公知の方法で前記成形体の表面に形成することができる。例えば、上記の接着剤を用いて、ガラス製又は樹脂製のレンズの表面に前記シート状球面体を接着してもよいし、成形体をレンズ成形用の金型内に収容し、シート状球面体の一面にレンズを射出成形してもよい。ガラス製又は樹脂製のレンズの表面に前記成形体を接着する場合は、上記の接着剤を用いるとよい。
この後、90℃から120℃で30分から120分レンズを加熱してアニール処理を行う。
【実施例4】
【0042】
実施例1又は実施例2から得た偏光複合シートの一方に、アクリル系ウレタン樹脂(ハイアート240−3723)を主剤として、イソシアネートを4:1の配合で混合し10分間攪拌し、混合液を作成しラミネート加工機により加工速度140m/minで塗布し0・1μm程度の薄膜層を形成した。得られた薄膜層を有する偏光複合シートを実施例2又は実施例3と同様の手段を用いて、光学用複合品を作成した。作成した光学用複合品は目視により赤抜けや青抜けなどの発生が無かった。
【実施例5】
【0043】
主原料のプラスチック、即ち、セルロースアセテート・プロピオネート(イーストマン ケミカル製)中に通常使用されている安定剤、充填剤、帯電防止剤等の補助資材を必要に応じて適量添加させると共に、スピロオキサジン系化合物を添加させる。これらをよく混合して混練した材料を用いて、実施例2から得た光学用複合成形品の表面に、ディップ法によって調光性薄膜層を、塗布加工を施した。この調光性薄膜層は紫外線が当たると無色に近い状態からブラウン系やグレー系のやや濃い色に変化し、可視光線透過率が38%程度から20%〜25%程度に低下する。又、紫外線が当たらなければ可視光線透過率が20%〜25%程度から元の38%程度に復元する。
【0044】
本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の偏光複合シートは、偏光シートの両面にポリカーボネート樹脂フィルムを一枚ずつ貼り付けたものだが、ポリカーボネート樹脂フィルムを複数枚積層して貼り付けることも可能である。この場合も、ポリカーボネート樹脂フィルムどうしの接着には、上記の接着剤を用いるとよい。また、調光性色
素によって偏光複合シートに調光機能を付与する方法は、公知の特願2000
−133845に示されるように接着剤や粘着剤に混入する手段を用いてもよい。また光学用複合成形品に調光機能を付与する方法は、公知の特許第3852612号又は実用新案登録第3132376号に示されている手段などを用いる事が良いが、発色後の色相として、ブラウンやグレーが一般に好まれるため、通常は、複数の調光性素材を同時に用い、好みの色相になるように、各素材の使用比率と使用量を決めると良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、偏光素子をセルローストリアセテートフィルム間で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して貼着し内面にセルローストリアセテートフィルム、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させた事により、従来のセルローストリアセテートの一方だけにポリカーボネート樹脂フィルムで構成された偏光積層シートに、残留ひずみを除去するために必ず必要とするアニール処理で、90℃から120℃で30分から120分の収縮熱を与える際発生していたカールする事によって、偏光積層シートが一方に反ってしまう現象を、本発明の偏光複合シートではセルローストリアセテートフィルムの双方にポリカーボネート樹脂フィルムを貼着した事により、アニール時のカールする現象を双方に貼着されたポリカーボネート樹脂フィルムによって、互いに打ち消しあうため反りの発生を実質0に抑制できる為、ベンリング工程時に合致するように、型抜き工程を行う作業性が向上し、事業者に経済的損失を強いてしまうという問題を解消でき、偏光性と耐衝撃性に優れた偏光レンズの製造に好適に適用が可能である。また、本発明の偏光複合シートは、サングラスや前掛け眼鏡用の偏光レンズに限らず、液晶ディスプレイ等、他の分野にも適用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡用レンズの製造方法に使用される偏光シートであって、偏光素子の両面を保護する為に、セルローストリアセテートフィルム層で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して接着し内面にセルローストリアセテートフィルム層、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させた事を特徴とする偏光複合シート。
【請求項2】
請求1記載の偏光複合シートを、ラミネート法によって得る事を特徴とする偏光複合シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の偏光複合シートをベンリング法によって、レンズ形状に形成する事を特徴とする光学用複合成形品。
【請求項4】
眼鏡用レンズの製造方法に使用される偏光シートであって、偏光素子の両面を保護する為に、セルローストリアセテートフィルム層で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して接着し内面にセルロースアセテートフィルム層、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させた偏光複合シートの一方に、当該ポリカーボネート樹脂フィルム層に射出成形法によって、溶融一体的に融着可能な射出成形材料を形成させた事を特徴とする光学用複合成形品の製造方法。
【請求項5】
眼鏡用レンズの製造方法に使用される偏光シートであって、偏光素子の両面を保護する為に、セルローストリアセテートフィルム層で挟持された汎用の偏光シートの両面に、ポリカーボネート樹脂フィルムを、接着基層を介して接着し内面にセルロースアセテートフィルム層、外面にポリカーボネート樹脂フィルム層を複合形成させた偏光複合シートの一方に、当該ポリカーボネート樹脂フィルム層に射出成形法によって、溶融一体的に融着可能な射出成形材料を形成させた事を特徴とする光学用複合成形品。
【請求項6】
請求項1乃至3に記載された偏光複合シートの最外層の表面に、調光性色素によって、調光機能が付与されている事を特徴とする調光偏光複合シート。
【請求項7】
請求項4乃至5記載の光学用複合成形品に調光性色素によって、調光機能が付与されている事を特徴とする光学用調光性複合成形品。
【請求項8】
視力矯正領域の補正機能が付与されている事を特徴とする請求項4乃5に記載された光学用複合成形品又は請求項7に記載された光学用調光性複合成形品。
【請求項9】
請求項1乃至8記載のセルローストリアセテートフィルムの両面に透明着色剤よりなる透明インクにてカラー印刷され、多種多様な色相又は模様を、偏光フィルムに補正する為の補色層を有する偏光複合シート。
【請求項10】
請求項1乃至9記載のポリカーボネート樹脂フィルム層が、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂フィルムである事を特徴とする偏光複合シート。
【請求項11】
請求項1乃至10記載の偏光複合シートの一方の表面上に、アクリルウレタン樹脂系の主剤とイソシアネートの化合物の硬化剤からなる薄膜層を形成し、複屈折の発生を軽減させる事を特徴とした偏光複合シート。
【請求項12】
請求項1乃至10記載の偏光複合シートの一方のポリカーボネート樹脂フィルム層が、屈折率1.60以上である事を特徴とする偏光複合シート。

【公開番号】特開2009−139964(P2009−139964A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−5252(P2009−5252)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(303015723)有限会社 マグティク (5)
【Fターム(参考)】