説明

光コネクタ、光コネクタの組立方法、融着接続部の補強方法、ピンクランプ、キャップ付き光コネクタ、光コネクタ用キャップ、光コネクタの組立工具および光コネクタ組立セット

【課題】ガイドピンの着脱が可能であり、かつガイドピンの脱落が起こらず、しかも大型化を回避できる光コネクタを提供する。
【解決手段】ガイドピン挿入穴15aを有するフェルール12と、一端部がフェルール12に固定されるとともに他端部がフェルール12から延出する光ファイバ40と、接合端面14側とは反対側から突出したガイドピン15の突出部分に、ガイドピン挿入穴15aに対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能なピンクランプ19とを備え、ピンクランプ19が、ガイドピン15の突出部分と嵌合することによりガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部183を有し、嵌合凹部183は、ガイドピン挿入穴15aに対し交差する方向にガイドピン15の突出部分を出し入れ自在となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバコードや光ファイバケーブル等の光伝送体の先端部に組み立てられる光コネクタ及びその組立方法に関し、特に、光伝送体の先端部が光ファイバ同士の融着接続によってフェルールに内挿された光ファイバ(短尺光ファイバ)と光接続される光コネクタ及び光コネクタの組立方法、該光コネクタに好適に利用可能な光ファイバの融着接続部の補強方法、光コネクタの組立工具および光コネクタ組立セットに関する。
本発明は、光ファイバコードや光ファイバケーブル等の光伝送体の先端部に組み立てられる光コネクタ、それに用いられるピンクランプ、および光コネクタの組立方法に関する。
本発明は、光ファイバコード又は光ファイバケーブルであり、光ファイバと該光ファイバに沿う繊維状の抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に光コネクタを組み立てる際に、光コネクタのハウジングに着脱自在に装着して前記光コネクタの組み立て作業に用いられる光コネクタ用キャップ、キャップ付き光コネクタ、光コネクタの組立方法に関する。
本願は、2010年1月14日に日本に出願された特願2010−6290号、同日に日本に出願された特願2010−6292号、および同日に日本に出願された特願2010−6331号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバコードや光ファイバケーブル等の光伝送体の先端部に光コネクタを組み立てる作業を、接続現場にて行うことができる光コネクタの一例として、一端部がフェルールに固定された内挿光ファイバを外部の光伝送体の光ファイバと突き合わせ接続した状態で2つ割り部品の間に挟み込んで突き合わせ接続状態を維持するメカニカルスプライス機構を内蔵した構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
また、光伝送体の光ファイバと、光コネクタのフェルールに内蔵された光ファイバとを、融着により接続する光コネクタが知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
特許文献1(特に段落0022〜0024及び図1〜4)には、光ファイバを調心する調心溝(V溝やU溝等)を有する2つ割り構造の素子の間に光ファイバ同士を精密に位置決めして突き合わせ接続する光コネクタが記載されている。
特許文献2(特にFIG.1〜3)には、フェルールに形成されたスロットに融着接続部が配置され、内蔵光ファイバの先端がフェルールの先端面上に位置し、かつ前記内蔵光ファイバの後端が前記スロット内に露出されて、前記スロット内で光伝送体の光ファイバ先端との融着接続が可能な構造の光コネクタが記載されている。
特許文献3(特に段落0033〜0036及び図3,4)には、一端側がフェルールに固定された光ファイバの他端を光ファイバ心線の先端と融着接続し、この融着接続部を熱収縮スリーブや金属製のスリーブ等の補強部材で補強した光コネクタが記載されている。
【0003】
光ファイバコードや光ファイバケーブル等の光伝送体の先端部に光コネクタを組み立てる作業を、接続現場にて行うことができる光コネクタの一例としては、一端部がフェルールに固定された内挿光ファイバと外部の光伝送体の光ファイバとを、融着などにより接続させる構成のものがある(例えば特許文献1、4参照)。
この種の光コネクタとしては、例えばJIS C5982等に規定される多心光コネクタ(MPO形光コネクタ。MPO:Multi−fiber Push On)等がある。
前記光コネクタ同士を突き合わせ接続する際には、一方の光コネクタのフェルールの接合端面に突設されているガイドピンを、他方の光コネクタのフェルールの接合端面のガイドピン挿入穴に挿入、嵌合させる。これによって、フェルール同士が高精度に位置決めされる。
前記一方の光コネクタはガイドピンがある雄形であり、他方の光コネクタはガイドピンがない雌形である。
前記ガイドピンは、フェルールに形成されたガイドピン挿入穴に挿通し、その後端部は、フェルールの後側に設けられるピンクランプに支持される。
【0004】
光ファイバコード端末に光コネクタを組み立てる場合、光ファイバコードを光コネクタに対して確実に引き留めるために、光ファイバコードの光ファイバに縦添えして光ファイバとともにシース内に収納されている抗張力繊維をコード端末に延出させ、この抗張力繊維を金属リングを用いて光コネクタのボディ(ハウジング)後端にかしめ固定することが広く行われている(例えば特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−196189号公報
【特許文献2】米国特許第5748819号明細書
【特許文献3】特開2008−65315号公報
【特許文献4】特開平10−319275号公報
【特許文献5】特開2001−235656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の光コネクタでは、接続前の光ファイバを互いに位置決めするために調心溝が必要となる。このため、精密加工を要する部品の存在により低コスト化に限界がある。
特許文献2の光コネクタでは、フェルールの側面位置での融着作業が必要となる。このため、融着作業に汎用の放電電極を使用すると、フェルールに悪影響が及ぶおそれがあることから、一般的な融着接続器が使用できず、融着作業が容易でなくなるという不都合がある。
特許文献3の光コネクタでは、フェルールに固定された光ファイバの他端部がフェルールの外側に引き出されているので、融着作業中のフェルールへの悪影響は低減される。しかしながら、補強用のスリーブは、融着作業前には光ファイバ心線に通しておき、融着作業後に融着接続箇所の外周を覆う位置まで移動させる必要があるので、接続補強部の形成に手間がかかる。また、光ファイバ心線の外径がスリーブの内径より小さい(光ファイバ心線の横断面の外周形状がスリーブの横断面の内周形状の内部に包含可能である)ことが必要である。このため、ドロップケーブルや多心光ファイバ等、外径(外周形状)の大きな光伝送体には適用が難しい。
また、接続作業現場においては、作業の効率化のため、ガイドピンの有無(雄形および雌形)を選択できる構造の光コネクタが要望されている。
前記光コネクタでは、後端部がピンクランプに固定されたガイドピンをフェルールの後方から挿入または引抜きすることによって、ガイドピンの着脱は可能である。
しかしながら、光ファイバ接続部(たとえば融着接続部)への悪影響を考慮すればガイドピンの着脱は実質的に困難であり、前記悪影響を避けるためには、フェルールと光ファイバ接続部との間に、ピンクランプの移動のためのスペースを確保する必要があることから、光コネクタの大型化は避けられない。
ガイドピンの後端部における固定力を弱め、ガイドピンをフェルール前方から容易に抜き差し可能に構成すれば前記フェルール後方のスペースは不要となるが、この構造ではガイドピンが脱落しやすくなるという不都合がある。
ところで、抗張力繊維を光コネクタのボディにかしめ固定する作業を行う際には抗張力繊維に張力を掛けた状態で金属リングをかしめる必要がある。そのため例えば上述の特許文献5のように、光コネクタ及び光ファイバコードを固定し、かつコード端末から延出された抗張力繊維を固定しておくことができる工具(以下、かしめ作業用工具とも言う)が必要であった。また、光コネクタ、光ファイバコード、コード端末から延出された抗張力繊維をかしめ作業用工具に固定する手間を要する。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は以下の通りである。
(1)光ファイバ同士の融着接続作業及び融着接続部の補強作業が容易な光コネクタ及び光コネクタの組立方法を提供する。
(2)ガイドピンの着脱が可能であり、かつガイドピンの脱落が起こらず、しかも大型化を回避できる光コネクタ、それに用いられるピンクランプ、および光コネクタの組立方法を提供する。
(3)光ファイバと該光ファイバに沿う繊維状の抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体(光ファイバコード又は光ファイバケーブル)の端末から延出させた抗張力体を光コネクタのハウジングに固定する作業を、光コネクタ、光ファイバコード、コード端末から延出された抗張力体を固定する工具を使用することなく簡単に行え、コネクタ組み立て作業の作業効率を向上できるキャップ付き光コネクタ、光コネクタの組立方法、光コネクタ用キャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、フェルールと、一端部が前記フェルールに固定されると共に他端部が前記フェルールから突出された内挿光ファイバと、先端部が前記内挿光ファイバの他端部と融着接続された外部光ファイバと、前記内挿光ファイバの他端部と前記外部光ファイバの先端部との融着接続部を間に挟み込んで補強する一対の補強部材を備え、これらの補強部材は、前記内挿光ファイバの他端部及び前記外部光ファイバの先端部と接触する側である内面に密着層を有し、前記密着層は、前記内挿光ファイバ及び前記外部光ファイバと接触した箇所で凹むことによりこれらの光ファイバの前記融着接続部における外周面と密着するものである光コネクタを提供する。
前記密着層としては、ゴム又はエラストマーからなるものが挙げられる。
前記融着接続部が前記一対の補強部材の間に挟み込まれた箇所において、光ファイバの左右両側で前記一対の補強部材の密着層同士が密着していることが好ましい。
前記一対の補強部材は、前記内挿光ファイバ及び前記外部光ファイバの長手方向に垂直な方向である幅方向の両側において互いに係合する凸部及び凹部を備え、これらの凸部と凹部とを係合させることによって前記一対の補強部材の密着層同士が互いに密着する状態が維持されていることが好ましい。
前記フェルールには、前記内挿光ファイバの前記フェルールから突出した部分の周囲を被覆するフェルール用ブーツが取り付けられ、前記一対の補強部材は、前記フェルール側の端部において前記フェルール用ブーツを把持していることが好ましい。
【0009】
また、前記課題を解決するため、本発明は、一端部がフェルールに固定されると共に他端部が前記フェルールから突出された内挿光ファイバの前記他端部を外部光ファイバの先端部と融着接続する工程と、前記内挿光ファイバの他端部及び前記外部光ファイバの先端部と接触する側である内面に、前記内挿光ファイバ及び前記外部光ファイバと接触した箇所で凹むことが可能な密着層を有する一対の補強部材を用意して、前記内挿光ファイバの他端部と前記外部光ファイバの先端部との融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込み、前記密着層をこれらの光ファイバの前記融着接続部における外周面と密着させる工程とを備える光コネクタの組立方法を提供する。
前記密着層としては、ゴム又はエラストマーからなるものが挙げられる。
前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際、前記融着接続部が前記一対の補強部材の間に挟み込まれた箇所において、光ファイバの左右両側で前記一対の補強部材の密着層同士を密着させることが好ましい。
前記一対の補強部材は、前記内挿光ファイバ及び前記外部光ファイバの長手方向に垂直な方向である幅方向の両側において互いに係合する凸部及び凹部を備え、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際、前記凸部と凹部とを係合させることによって前記一対の補強部材の密着層同士が互いに密着する状態が維持されるように前記一対の補強部材を組み合わせることが好ましい。
前記フェルールとして、前記内挿光ファイバの前記フェルールから突出した部分の周囲を被覆するフェルール用ブーツが取り付けられたものを用い、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際、前記一対の補強部材における前記フェルール側の端部において前記一対の補強部材の間に前記フェルール用ブーツを把持することが好ましい。
【0010】
前記一対の補強部材として、前記フェルールとは反対側の端部に軸部を有する第1補強部材と、前記第1補強部材に対向して配置される第2補強部材とを用い、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際に、前記第2補強部材を所定の位置に保持する補強部材保持部と、前記第1補強部材の前記軸部を回動可能に保持する軸受部を有する組立工具を用い、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む前に、前記第2補強部材を前記補強部材保持部に保持させる工程と、前記融着接続部を前記第2補強部材の上に載置する工程と、前記軸受部に前記第1補強部材の前記軸部を保持させる工程と、前記軸受部内で前記軸部を中心にして前記第1補強部材を前記第2補強部材に向けて前記融着接続部を挟み込むまで回動させる工程とを行うことが好ましい。
【0011】
また、本発明は、第1光ファイバ及び第2光ファイバの端部同士を融着接続してなる融着接続部を一対の補強部材の間に挟み込んで補強する補強方法であって、前記第1光ファイバ及び第2光ファイバの端部と接触する側である内面に、前記第1光ファイバ及び第2光ファイバと接触した箇所で凹むことが可能な密着層を有する一対の補強部材として、前記第1光ファイバ及び第2光ファイバの長手方向における片側の端部に軸部を有する第1補強部材と、前記第1補強部材に対向して配置される第2補強部材とを用意する工程と、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際に、前記第2補強部材を所定の位置に保持する補強部材保持部と、前記第1補強部材の前記軸部を回動可能に保持する軸受部を有する組立工具を用意する工程と、前記第2補強部材を前記補強部材保持部に保持させる工程と、前記融着接続部を前記第2補強部材の上に載置する工程と、前記軸受部に前記第1補強部材の前記軸部を保持させる工程と、前記軸受部内で前記軸部を中心にして前記第1補強部材を前記第2補強部材に向けて前記融着接続部を挟み込むまで回動させる工程と、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込み、前記密着層をこれらの光ファイバの前記融着接続部における外周面と密着させる工程とを備える融着接続部の補強方法を提供する。
前記密着層としては、ゴム又はエラストマーからなるものが挙げられる。
前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際、前記融着接続部が前記一対の補強部材の間に挟み込まれた箇所において、光ファイバの左右両側で前記一対の補強部材の密着層同士を密着させることが好ましい。
前記一対の補強部材は、前記第1光ファイバ及び前記第2光ファイバの長手方向に垂直な方向である幅方向の両側において互いに係合する凸部及び凹部を備え、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む際、前記凸部と凹部とを係合させることによって前記一対の補強部材の密着層同士が互いに密着する状態が維持されるように前記一対の補強部材を組み合わせることが好ましい。
【0012】
本発明は、接続相手の光コネクタにおける位置決め用のガイドピンが挿抜自在に挿入可能なガイドピン挿入穴を有するフェルールと、前記フェルールの接合端面に達する一端部が前記フェルールに固定されるとともに他端部が前記フェルールから延出する光ファイバと、前記ガイドピン挿入穴に挿入したガイドピンにおける前記フェルールの接合端面側とは反対側から突出した突出部分に、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能なピンクランプとを備え、前記ピンクランプが、前記ガイドピンの突出部分と嵌合することにより前記ガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部を有し、前記嵌合凹部は、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に前記ガイドピンの突出部分を出し入れ自在となるように形成されている光コネクタを提供する。
前記ガイドピンの突出部分には、太径部と、その先端側にあって前記太径部より細径の細径部とが形成され、前記嵌合凹部は、前記細径部が嵌合することにより前記太径部の先端方向移動を阻止できるように形成されていることが好ましい。
前記フェルールは、前記ガイドピン挿入穴を2つ有し、これらの2つのガイドピン挿入穴が、前記光ファイバを挟んだ両側にそれぞれ形成され、前記ピンクランプは、底部と、その両側にそれぞれ設けられた側壁部とを有し、前記底部と両側の前記側壁部で囲まれた空間が前記光ファイバの挿通空間とされ、前記ピンクランプが、前記嵌合凹部を2つ有し、これらの2つの前記嵌合凹部が、両側の前記側壁部にそれぞれ形成されていることが好ましい。
前記光ファイバは、内挿光ファイバであり、前記内挿光ファイバの他端部が外部光ファイバに接続され、前記内挿光ファイバの前記フェルールから延出した部分には、この部分を被覆するフェルール用ブーツが取り付けられ、前記ピンクランプは、前記フェルール用ブーツを前記挿通空間に嵌め込み可能に形成されていることが好ましい。
前記ピンクランプの側壁部には、内方に突出して前記挿通空間内のフェルール用ブーツの外方移動を規制する保持突起を形成することが好ましい。
【0013】
本発明は、接続相手の光コネクタにおける位置決め用のガイドピンが挿抜自在に挿入可能なガイドピン挿入穴を有するフェルールと、前記フェルールの接合端面に達する一端部が前記フェルールに固定されるとともに他端部が前記フェルールから延出する光ファイバとを備えた光コネクタに用いられるピンクランプであって、前記ガイドピン挿入穴に挿入したガイドピンにおける前記フェルールの接合端面側とは反対側から突出した突出部分に、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能であり、前記ガイドピンの突出部分と嵌合することにより前記ガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部を有し、前記嵌合凹部が、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に前記ガイドピンの突出部分を出し入れ自在となるように形成されているピンクランプを提供する。
【0014】
本発明は、接続相手の光コネクタにおける位置決め用のガイドピンが挿抜自在に挿入可能なガイドピン挿入穴を有するフェルールと、前記フェルールの接合端面に達する一端部が前記フェルールに固定されるとともに他端部が前記フェルールから延出する光ファイバと、前記ガイドピン挿入穴に挿入したガイドピンにおける前記フェルールの接合端面側とは反対側から突出した突出部分に、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能なピンクランプとを備え、前記ピンクランプが、前記ガイドピンの突出部分と嵌合することにより前記ガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部を有し、前記嵌合凹部が、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に前記ガイドピンの突出部分を出し入れ自在とされた光コネクタを組み立てる方法であって、前記光ファイバの他端部を外部光ファイバの先端部に接続する工程と、前記ガイドピンの突出部分が、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向から前記嵌合凹部に嵌合されるように、前記ピンクランプを前記ガイドピンの突出部分に取り付ける工程と、を含む光コネクタの組立方法を提供する。
【0015】
本発明は、光ファイバと該光ファイバに沿う繊維状の抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に組み立てられる光コネクタと、この光コネクタの先端部である前端部に脱着可能に装着される光コネクタ用キャップとを具備し、前記光コネクタは、フェルールと、このフェルールを収納するスリーブ状に形成され且つ外周にリング部材を固定するためのリング部材固定部を有するハウジングと、前記フェルールに内挿固定され且つ前記フェルールから後側に延出された部分が前記光伝送体端末に口出しされた光ファイバと光接続される内挿光ファイバとを具備し、前記光コネクタ用キャップの本体の外面には、前記光伝送体の前記抗張力体を引き留めるための抗張力体引留部を有し、前記光伝送体端末から前記リング部材固定部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を前記抗張力体引留部に引き留めた状態で前記リング部材を前記リング部材固定部に固定させることで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定可能であるキャップ付き光コネクタを提供する。
本発明は、光ファイバと該光ファイバに沿う繊維状の抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に組み立てられる光コネクタと、この光コネクタの先端部である前端部に脱着可能に装着される光コネクタ用キャップとを具備し、前記光コネクタは、前記光伝送体端末に口出しされた光ファイバが内挿固定されるフェルールと、このフェルールを収納するスリーブ状に形成され且つ外周にリング部材を固定するためのリング部材固定部を有するハウジングとを具備し、前記光コネクタ用キャップの本体の外面には、前記光伝送体の前記抗張力体を引き留めるための抗張力体引留部を有し、前記光伝送体端末から前記リング部材固定部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を前記抗張力体引留部に引き留めた状態で前記リング部材を前記リング部材固定部に固定させることで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定可能であるキャップ付き光コネクタを提供する。
前記リング部材固定部は、螺着リング部材を螺着可能なねじ部であり、前記光伝送体端末から前記ねじ部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を前記抗張力体引留部に引き留めた状態で前記螺着リング部材を前記ねじ部に螺着させることで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定可能であることが好ましい。
前記リング部材固定部は、かしめリングをかしめ固定可能なかしめリング装着部であり、前記光伝送体端末から前記かしめリング装着部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を前記抗張力体引留部に引き留めた状態で前記かしめリングを前記かしめリング装着部にかしめ固定することで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定可能であることが好ましい。
前記光コネクタ用キャップの前記抗張力体引留部は、該光コネクタ用キャップの本体の外面側に突設され前記抗張力体を引っ掛けて引き留め可能な引っ掛け用突片であることが好ましい。
前記フェルールは、該フェルール及び突き合わせ接続する相手側のフェルールのうち、一方の先端面の開口された一対のガイドピン穴に、他方の先端面に突設された一対のガイドピンを嵌合することで位置決めして突き合わせ接続されるピン嵌合位置決め方式の多心用フェルールであり、前記内挿光ファイバが複数心内挿固定されていることが好ましい。
【0016】
本発明は、光ファイバと該光ファイバに沿う繊維状の抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に光コネクタを組み立てる方法であって、フェルールに内挿固定された内挿光ファイバのフェルールから後側に延出された部分である後側延出部と、前記光伝送体端末に口出しされた光ファイバとを光接続するファイバ接続工程と、このファイバ接続工程の後、前記光伝送体端末の前方に前記光コネクタのハウジングを組み立てて、前記内挿光ファイバと前記光伝送体の光ファイバとの接続部及び前記フェルールを収納するハウジング組立工程と、光コネクタ用キャップが前記ハウジングの前端部に脱着可能に装着された状態にて、前記光伝送体端末から前記ハウジングの外周に設けられたリング部材固定部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を、前記光コネクタ用キャップの本体の外面側に設けられている抗張力体引留部に引き留めた後、前記リング部材固定部にリング部材を固定させることで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定する抗張力体固定工程とを具備する光コネクタの組立方法を提供する。
前記リング部材固定部は、螺着リング部材を螺着可能なねじ部であり、前記抗張力体固定工程では、前記光伝送体端末から前記ねじ部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を前記抗張力体引留部に引き留めた状態で前記螺着リング部材を前記ねじ部に螺着させることで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定することが好ましい。
前記リング部材固定部は、かしめリングをかしめ固定可能なかしめリング装着部であり、前記抗張力体固定工程では、前記光伝送体端末から前記かしめリング装着部付近を通るようにして前方に延出させた抗張力体を前記抗張力体引留部に引き留めた状態で前記かしめリングを前記かしめリング装着部にかしめ固定することで、前記抗張力体を前記ハウジングに固定することが好ましい。
前記光コネクタ用キャップの前記抗張力体引留部は、前記光コネクタ用キャップの本体の外面側に突設され前記抗張力体を引っ掛けて引き留め可能な引っ掛け用突片であることが好ましい。
前記ファイバ接続工程は、前記内挿光ファイバと前記光伝送体の光ファイバとを融着接続した後、融着接続部を補強部材を用いて補強する融着・補強工程であることが好ましい。
前記融着・補強工程は、前記内挿光ファイバと前記光伝送体の光ファイバとを融着接続した後、前記補強部材として、前記内挿光ファイバの後側延出部及び前記光伝送体の光ファイバと接触する側である内面に前記内挿光ファイバ及び前記光伝送体の光ファイバと接触した箇所で凹むことが可能な密着層を有する一対の挟持部材を用いて該一対の挟持部材の間に前記融着接続部を挟み込み、前記密着層をこれらの光ファイバの前記融着接続部における外周面と密着させることが好ましい。
前記一対の挟持部材は互いに係合することで、融着接続部を挟み込み、かつ、前記密着層を前記内挿光ファイバ及び前記光伝送体の光ファイバの前記融着接続部における外周面と密着させる押し付け力を維持するための挟持用係合部を具備することが好ましい。
前記密着層がゴム又はエラストマーからなることが好ましい。
前記フェルールが、該フェルール及び突き合わせ接続する相手側のフェルールのうち、一方の先端面の開口された一対のガイドピン穴に、他方の先端面に突設された一対のガイドピンを嵌合することで位置決めして突き合わせ接続されるピン嵌合位置決め方式の多心用フェルールであり、前記内挿光ファイバが複数心内挿固定されていることが好ましい。
【0017】
光コネクタの先端部に脱着可能に装着される光コネクタ用キャップであって、光ファイバと該光ファイバに沿う繊維状の抗張力体とが外装被覆によって覆われてなる光伝送体の端末に光コネクタを組み立てる際に、前記光伝送体端末から延出された抗張力体を引き留めるための抗張力体引留部を外面に具備する光コネクタ用キャップを提供する。
前記抗張力体引留部は、前記抗張力体を引っ掛けて引き留め可能な引っ掛け用突片であることが好ましい。
【0018】
本発明は、フェルールと、一端部が前記フェルールに固定されると共に他端部が前記フェルールから突出された内挿光ファイバと、先端部が前記内挿光ファイバの他端部と融着接続された外部光ファイバと、前記内挿光ファイバの他端部と前記外部光ファイバの先端部との融着接続部を間に挟み込んで補強する一対の補強部材を備え、前記一対の補強部材が、前記フェルールとは反対側の端部に軸部を有する第1補強部材と、前記第1補強部材に対向して配置される第2補強部材とからなる光コネクタの組み立てにあたって、前記第2補強部材を所定の位置に保持する補強部材保持部と、前記第1補強部材の前記軸部を回動可能に保持する軸受部が形成された軸受け支持部とを有し、前記軸受け支持部が、前記補強部材保持部に保持された前記第2補強部材に向けて、前記第1補強部材が前記融着接続部を挟み込むまで回動可能である光コネクタの組立工具を提供する。
本発明の光コネクタの組立工具は、前記外部光ファイバを保持する心線保持部と、前記外部光ファイバを前記心線保持部上に押さえ込む押さえ蓋とをさらに備えていることが好ましい。
前記軸部は、前記第1補強部材の一側方および他側方に突出して形成され、前記軸受け支持部は、向かい合って配置された一対の支持体からなり、前記軸受部は、前記一対の支持体にそれぞれ形成され、前記第1補強部材の一側方および他側方に突出した前記軸部をそれぞれ支持することが好ましい。
【0019】
本発明は、前記光コネクタの組立工具と、前記光コネクタとを備えた光コネクタ組立セットを提供する。
【0020】
本発明は、前記光コネクタの組立工具を用いて光コネクタを組み立てるにあたって、前記融着接続部を前記一対の補強部材の間に挟み込む前に、前記第2補強部材を前記補強部材保持部に保持させる工程と、前記融着接続部を前記第2補強部材の上に載置する工程と、前記軸受部に前記第1補強部材の前記軸部を保持させる工程と、前記軸受部内で前記軸部を中心にして前記第1補強部材を前記第2補強部材に向けて前記融着接続部を挟み込むまで回動させる工程とを行う光コネクタの組立方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一端部がフェルール内に固定された内挿光ファイバの他端部と外部光ファイバの先端部とをフェルール外で融着接続した後にその融着接続部を一対の補強部材の間に挟みこんで保持することができ、融着接続前に補強部材を外部光ファイバに通しておく必要がないので、光ファイバ同士の融着接続作業及び融着接続部の補強作業が容易になる。また、補強部材の内面には光ファイバとの接触により凹んで光ファイバの外周面と密着する密着層が設けられているので、補強部材の内面に光ファイバを調心するためのV溝やU溝等の機構が不要となる。
本発明によれば、ピンクランプが、ガイドピンの突出部分を、ガイドピン挿入穴に交差する方向に出し入れ自在とされた嵌合凹部を有するので、前記方向にピンクランプを移動させることによって、ガイドピンの長さ方向の移動規制を解除し、ガイドピンを取り外し可能な状態とすることができる。
このため、ガイドピンを有する形態(雄形)と、ガイドピンがない形態(雌形)とを容易に切り替えでき、接続現場での作業性を向上できる。
ガイドピンの取り外しにあたって、ピンクランプを後方移動させる必要がないため、光ファイバ接続部に悪影響がおよぶことはない。よって、フェルールと接続部の間にピンクランプの移動のためのスペースを確保する必要がなく、光コネクタの長さ方向の寸法を小さくできる。
また、ピンクランプは、ガイドピンの突出部分が嵌合する嵌合凹部を有するため、ガイドピンが先端方向に脱落するのを防止できる。
本発明によれば、光伝送体端末に光コネクタを組み立てる作業において、光伝送体端末から延出させた抗張力体を、光コネクタのハウジングに装着した光コネクタ用キャップの抗張力体引留部に引き留めておくことができる。このため、従来のように、光コネクタ、光ファイバコード、コード端末から延出された抗張力体を固定する工具を使用することなく、光伝送体端末から延出する抗張力体を光コネクタ用キャップの抗張力体引留部に引き留めるだけで、光伝送体端末から延出する抗張力体に張力を掛けた状態を簡単に得ることができる。結果、光伝送体端末に光コネクタを組み立てる作業の手間を軽減でき、組み立て作業の作業効率を向上できる。
また、光コネクタ用キャップは、従来のかしめ作業用工具に比べて構成が単純で済み、かしめ作業用工具に比べて低いコストで得ることが容易であるため、光コネクタの組み立てに掛かるコストの低減も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の第1実施形態の光コネクタを示す断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図1B】前図に示す光コネクタの断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図2A】図1Aおよび図1Bに示す光コネクタのフェルール及び接続補強部を示す断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図2B】図1Aおよび図1Bに示す光コネクタのフェルール及び接続補強部を示す断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図3】図1Aおよび図1Bに示す光コネクタの内挿光ファイバ及び外部光ファイバを示す平面図である。
【図4A】図2Aおよび図2Bに示す接続補強部の第1補強部材を示す斜視図である。
【図4B】図2Aおよび図2Bに示す接続補強部の第2補強部材を示す斜視図である。
【図5】図4Aおよび図4Bに示す第1補強部材及び第2補強部材を、間を離して対向させた状態を示す側面図である。
【図6】図4Aおよび図4Bに示す第1補強部材及び第2補強部材を組み合わせた状態を示す側面図である。
【図7】図6のS−S線に沿う断面図である。
【図8】組立工具の上に第2補強部材を載置した状態の一例を示す模式図である。
【図9】融着接続部を第2補強部材の上に載置した状態の一例を示す模式図である。
【図10】組立工具の軸受部に第1補強部材の軸部を保持した状態の一例を示す模式図である。
【図11】組立工具の押さえ蓋を閉じた状態の一例を示す模式図である。
【図12】融着接続部を第1補強部材及び第2補強部材の間に保持した状態の一例を示す模式図である。
【図13】組立工具から接続補強部を取り外した状態の一例を示す模式図である。
【図14】補強部材の両側に押さえ蓋を備える組立工具を用いて融着接続部を第1補強部材及び第2補強部材の間に保持した状態の一例を示す模式図である。
【図15】補強部材の両側に押さえ蓋を備える組立工具を用いて組み立てた接続補強部を組立工具から取り外した状態の一例を示す模式図である。
【図16】接続補強部において光ファイバを保持した状態を示す断面図である。
【図17A】本発明の光コネクタの変形例を示す断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図17B】前図に示す光コネクタの変形例を示す断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態の光コネクタのフェルールおよびピンクランプを示す斜視図である。
【図19】図18のピンクランプを示す斜視図である。
【図20】図18のピンクランプを示す平面図である。
【図21】図18のピンクランプを示す正面図である。
【図22】図18のガイドピンを示す斜視図である。
【図23A】光コネクタを示す断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図23B】前図の光コネクタを示す断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図24A】図23Aおよび図23Bに示す光コネクタのフェルール及び接続補強部を示す断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図24B】図23Aおよび図23Bに示す光コネクタのフェルール及び接続補強部を示す断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図25】光コネクタの内挿光ファイバ及び外部光ファイバを示す平面図である。
【図26】ピンクランプの使用方法を示す説明図である。
【図27】ピンクランプの使用方法を示す説明図である。
【図28】ピンクランプの使用方法を示す説明図である。
【図29】ピンクランプの他の例を示す斜視図である。
【図30】前図に示すピンクランプを示す正面図である。
【図31】本発明に係る第3実施形態の光コネクタ、キャップ付き光コネクタを説明する断面図である。
【図32A】図31に示す光コネクタの組立方法を説明する図である。
【図32B】前図に続く光コネクタの組立方法を説明する図である。
【図33】本発明に適用可能な光ファイバコードの構造を一例を説明する斜視図である。
【図34】図33の光ファイバコードから延出する抗張力繊維集合束に、光コネクタ用キャップの引っ掛け用突片に引っ掛けるためにループ部を形成した例を示す図である。
【図35】第1実施形態の光コネクタの組立方法におけるファイバ接続工程を説明する図である。
【図36】第1実施形態の光コネクタの組立方法のファイバ接続工程(融着・補強工程)にて使用して好適な補強スリーブの一例の構造を説明する断面斜視図である。
【図37】図36の補強スリーブを用いたファイバ接続工程(融着・補強工程)を説明する図である。
【図38】図31の光コネクタにつまみを設けて組み立てられる光コネクタを説明する断面図である。
【図39】本発明に係る第1実施形態の光コネクタ、キャップ付き光コネクタを説明する断面図である。
【図40A】第4実施形態の光コネクタの組立方法を説明する図である。
【図40B】前図に続く光コネクタの組立方法を説明する図である。
【図41】第4実施形態の光コネクタの組立方法において、光ファイバコード端末から延出させた光ファイバの先端にフェルールを取り付ける工程を説明する図である。
【図42A】本発明に係る第5実施形態の光コネクタ、キャップ付き光コネクタを説明する断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図42B】前図の光コネクタ、キャップ付き光コネクタを説明する断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図43A】図42Aおよび図42Bに示す光コネクタの要部(接続点補強部及びその近傍)を説明する断面図であって、多心光ファイバが配列した面に沿う断面図である。
【図43B】図42Aおよび図42Bに示す光コネクタの要部(接続点補強部及びその近傍)を説明する断面図であって、前図の面に垂直で、光ファイバの長手方向に対しては平行な面に沿う断面図である。
【図44】図43Aおよび図43Bの接続点補強部における内挿光ファイバの他端部と外部光ファイバの先端部との関係を説明する図である。
【図45A】図43Aおよび図43Bの接続点補強部の組み立てに用いられる補強部材(挟持部材)(第1補強部材)の構造を説明する斜視図である。
【図45B】図43Aおよび図43Bに示す接続点補強部の第2補強部材を示す斜視図である。
【図46】図45Aおよび図45Bの一対の補強部材を一体化する方法を説明する図である。
【図47】図45Aおよび図45Bの一対の補強部材を一体化する方法を説明する図である。
【図48】図45Aおよび図45Bの一対の補強部材を一体化したときの各補強部材の密着層の関係を説明する断面図である。
【図49】図45Aおよび図45Bの一対の補強部材を一体化して、光ファイバ同士を融着接続した融着接続部を挟み込んだ状態を説明する断面図である。
【図50】図42Aおよび図42Bの光コネクタを組み立てる工程において、一対の補強部材を一体化して、光ファイバ同士を融着接続した融着接続部を挟み込む作業を説明する図である。
【図51A】図42Aおよび図42Bの光コネクタの先端部に装着可能な光コネクタキャップの構造を説明する斜視図である。
【図51B】図42Aおよび図42Bの光コネクタの先端部に装着可能な光コネクタキャップの構造を説明する断面図である。
【図51C】図42Aおよび図42Bの光コネクタの先端部に装着可能な光コネクタキャップの構造を説明する前面図である。
【図52】図42Aおよび図42Bの光コネクタを組み立て作業における抗張力体固定工程を説明する斜視図である。
【図53A】本発明の光コネクタの組立方法における抗張力体固定工程の別態様を説明する図であって、かしめリングを用いて、光コネクタのハウジングのかしめリング装着部に抗張力繊維を固定する構成を説明する図である。
【図53B】前図に続く抗張力体固定工程の別態様を説明する図である。
【図54】本発明に係る光コネクタ用キャップの別態様を説明する図である。
【図55】組立工具の一例の斜視図である。
【図56】図55の組立工具の平面図である。
【図57】図55の組立工具の側面図である。
【図58】図55の組立工具の縦断面図である。
【図59】図55の組立工具の要部を拡大した平面図である。
【図60】図55の組立工具の横断面図である。
【図61】図55の組立工具を用いて接続補強部を組み立てる方法を示す工程図である。
【図62】前図に続く工程図である。
【図63】前図に続く工程図である。
【図64】前図に続く工程図である。
【図65】図55の組立工具を用いて接続補強部を組み立てる方法を示す工程図である。
【図66】前図に続く工程図である。
【図67】前図に続く工程図である。
【図68】前図に続く工程図である。
【図69】図55の組立工具上の第2補強部材に向けて第1補強部材を押圧する押圧治具を示す斜視図である。
【図70】前図の押圧治具を異なる方向から見た斜視図である。
【図71】図69の押圧治具の使用方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1Aおよび図1Bに第1実施形態の光コネクタ10を示し、図2Aおよび図2Bにこの光コネクタ10の要部を示す。この光コネクタ10は、一端部42がフェルール12に固定された内挿光ファイバ40の他端部43を、外部光ファイバ45の先端部46と融着接続し、その融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強した接続補強部50をハウジング等の内部に収容した構成である。なお、図1Aおよび図1Bを単に「図1」と総称することがある。
以下の説明において、光ファイバの長手方向(図1の左右方向)に沿う両方向を区別するため、フェルール12の接合端面14が向かう側(図1の左側)を「先端側」といい、その反対側(図1の右側)を「後端側」ということがある。また、図2Aおよび図2Bを「図2」、図4Aおよび図4Bを「図4」と総称することがある。
【0024】
外部光ファイバ45は、光ファイバコードや光ファイバケーブル等、光ファイバを有する光伝送体から構成されている。本実施形態の場合、外部光ファイバ45は、複数本の光ファイバ(光ファイバ素線。図示略)がその長手方向に垂直な横方向に一列に整列された構成の光ファイバテープ心線からなる多心の光ファイバ心線47と、多心の光ファイバ心線47の周囲を取り囲むチューブ状の外被48と、光ファイバ心線47と外被48との間に収容された抗張力繊維49とを備えた光ファイバコードである。外部光ファイバ45の先端部46では、光ファイバ心線47の樹脂被覆及び光ファイバ素線の樹脂被覆が除去されて、複数本の裸光ファイバ(コア及びクラッドの部分)が分離されている。
光ファイバ心線47に含まれる裸光ファイバ46の本数(心数)は、例えば2心、4心、8心、12心等が挙げられる。なお、図1Aでは、12心の構成を簡略化して、6本のみを図示している。本実施形態の光ファイバコードは、1本の光ファイバテープ心線を外被内に収納した構成であるが、特にこれに限定されるものではない。例えば、1つの外被に複数本の単心光ファイバ心線を収納した構成、複数本の光ファイバテープ心線を収納した構成、光ファイバテープ心線と単心光ファイバ心線とをそれぞれ1本以上収納した構成等も、外部光ファイバとして採用可能である。
【0025】
なお、後述する一対の補強部材51,54にはV溝等の調心機構が必要とされないので、密着層53,56の幅の範囲内に収容可能である限り、一対の補強部材51,54間に保持される光ファイバの心数は、一対の補強部材51,54の構造によっては特定されない。例えば2心、4心、8心、12心等の心数の異なる光コネクタに適用される一対の補強部材51,54の仕様を共通化することができる。すなわち、フェルールのみ適切な心数のものに交換するだけで、心数が異なる光コネクタを構成することができ、低コスト化に寄与することが可能である。
【0026】
外被48は、例えばポリエチレン等の樹脂等からなり、好ましくは可撓性を有する。抗張力繊維49は、多数本が光ファイバの長手方向に沿って延在し、光伝送体への引張力(張力)を受ける抗張力体として機能する。抗張力繊維49に用いられる繊維材料は必要な引張強さが得られるものであれば特に限定されず、例えばアラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
なお、抗張力体や外被等は、本発明において特に必須のものではない。例えば、外被のない光ファイバ心線や光ファイバテープ心線を外部光ファイバとして用いることも可能である。また、光ファイバケーブル等の構造によっては、例えば鋼線等の金属線や繊維強化プラスチック(FRP)等の各種線材を抗張力体として用いることもできる。光ファイバケーブルとしては、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等を挙げることができる。
【0027】
内挿光ファイバ40は、一端部42がフェルール12に固定されると共に他端部43がフェルール12から後方に突出(延出)された光ファイバである。本実施形態の場合、内挿光ファイバ40は、光ファイバテープ心線からなる多心の光ファイバ心線41からなり、光ファイバ心線41の一端部42及び他端部43のそれぞれにおいて、光ファイバ心線41の樹脂被覆及び光ファイバ素線の樹脂被覆が除去されて、複数本の裸光ファイバ(コア及びクラッドの部分)が分離されている。
なお、内挿光ファイバ40として用いられる光ファイバは多心光ファイバに限定されるものではなく、1個のフェルールに短尺の単心光ファイバを1本又は複数本内挿した構成、複数本の光ファイバテープ心線を収納した構成、光ファイバテープ心線と単心光ファイバ心線とをそれぞれ1本以上収納した構成等も、採用可能である。
【0028】
図3に示すように、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46とは、1対1で対応付けられ、融着接続される。そして、図2に示すように、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46との融着接続部44は、一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強される。なお、図3では、内挿光ファイバ40の周囲のフェルール12の図示を省略しているが、内挿光ファイバ40の一端部42は、外部光ファイバ45との融着接続に先立って、フェルール12の光ファイバ挿通孔13内に固定しておくことが好ましい。
【0029】
図2に示すように、フェルール12は、他の光コネクタのフェルール(図示せず)と突き合わせて接合される先端面(接合端面)14と、接合端面14とは反対側の端面である後端面16と、接合端面14に開口した光ファイバ挿通孔(微細孔)13と、後端面16に開口したブーツ収容穴17とを有する。フェルール12は、例えばプラスチック製の一体成形品として製造することができる。フェルール12の接合端面14は、光ファイバ挿通孔13の中心軸(ほぼ光ファイバ42の光軸に一致する。)に対して垂直な垂直面でもよく、あるいは他の光コネクタのフェルールと対応する所定の方向に傾斜した傾斜面でもよい。
【0030】
光ファイバ挿通孔13は、内挿光ファイバ40の一端部42における光ファイバと同じ数が形成される。内挿光ファイバ40の一端部42である裸光ファイバをフェルール12に固定する方法としては、例えば光ファイバ挿通孔13内に接着剤を注入して接着する方法が簡便である。それぞれの光ファイバ挿通孔13は、ブーツ収容穴17とつながっている。光ファイバ心線41の周囲には、フェルール用ブーツ18が装着され、ブーツ収容穴17に収容されている。フェルール用ブーツ18は、例えばゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料から構成することが好ましいが、樹脂や金属等の可撓性の低い材料からフェルール用ブーツ18を構成することも可能である。
フェルール12に設けられる光ファイバ挿通孔13の数(心数)は、例えば2心、4心、8心、12心等が挙げられる。なお、図1Aでは、12心の構成を簡略化して、6本のみを図示している。また、本実施形態の光コネクタ10において、フェルール12として単心用のフェルールを用いることも可能である。
多心用フェルール12の接合端面14における光ファイバ挿通孔13の配列は、後述する補強部材51,54間に挟みこまれる光ファイバの配列に合わせて、一列に横並びした配列とすることが好ましい。なお、本発明は、フェルール12における光ファイバの配列と接続補強部50における光ファイバの配列を同一とする構成に限定されるものではなく、フェルール12と接続補強部50との間で単心ごとに分離された光ファイバの配列を変更することもできる。
【0031】
フェルール12と他の光コネクタのフェルールとの接合する際の位置決めのため、接合端面14と後端面16との間を貫通するガイドピン15を設けることができる。ガイドピン15は、先端側が接合端面14から突出しており、他の光コネクタのフェルールに設けられたガイドピン挿入穴(図示せず)に挿入することで、接合端面14の面に沿った方向(図2Aの上下方向、図2Bの上下方向や、これらを合成した斜め方向)のぐらつきを抑制する。なお、他の光コネクタのフェルールにガイドピンを設けたときは、フェルール12にはガイドピン挿入穴が設けられる。ガイドピン挿入穴15aは、フェルール12からガイドピン15を引き抜いた跡に残る穴15aを利用することができる。あるいは、初めからガイドピン15の代わりにガイドピン挿入穴が設けられたフェルール12を用いることもできる。
【0032】
ガイドピン15は、ガイドピン挿入穴15aから挿入及び引抜により着脱可能であると、この光コネクタ10と他の光コネクタとのいずれにガイドピンを設けるかを接続現場で容易に選択することができ、好ましい。例えばこの光コネクタ10と他の光コネクタとの接合状態を解消したときに、ガイドピン15の予期しない引抜きを防止するため、フェルール12の後端面16にはピンクランプ19が設けられている。図1に示す本実施形態の場合、ピンクランプ19は、フェルール12と接続補強部50との間の隙間を埋めると共に、フェルール用スプリング24から付勢力(弾性による押圧力)を受けるためのスプリング座20を有する。このため、フェルール12にガイドピン15が設けられないときにも、ピンクランプ19がフェルール12に取り付けられる。ピンクランプ19は、例えば、図示しない凹凸等によりフェルール12に嵌合して固定することできる。
なお、ガイドピン15は、ガイドピン挿入穴15aに固定して(例えば接着やインサート成形による埋込み等)用いることも可能である。
【0033】
図4〜図7に、本実施形態で用いられる補強部材51,54の一例を示す。図2Bの上側に用いられる第1補強部材51を図4Aに示し、図2Bの下側に用いられる第2補強部材54を図4Bに示す。本実施形態の場合、これらの補強部材51,54は、樹脂や金属等の硬質の部材から構成される補強部材本体52,55と、内挿光ファイバ40の他端部43及び外部光ファイバ45の先端部46と接触する側である内面側に設けられた密着層53,56とを有する。
【0034】
図16に示すように、密着層53,56は、内挿光ファイバ及び外部光ファイバ(図16ではこれらを総称して光ファイバFとして示す。)と接触した箇所で凹むことによりこれらの光ファイバFの融着接続部44付近における外周面と密着する。これにより、補強部材の内面に光ファイバを調心するためのV溝やU溝等の機構が不要となる。本実施形態の場合、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46とはあらかじめ融着接続されているので接続損失が低く、両光ファイバの軸ずれ(光軸のずれ)や端面の離間等による損失増加のおそれもない。
【0035】
V溝やU溝等の溝状の機構の場合、光ファイバの元々の(融着接続前の)外径に比べて融着接続部44付近の外径がより大きくなると融着接続部44に過度の押圧力が加わって寿命を短くしてしまうおそれがある。その反対に、融着接続部44付近の外径がより小さくなると光ファイバの位置決めが安定せず、溝状の機構の中で光ファイバの位置が横方向にずれるおそれがある。これに対して、本実施形態のように、密着層53,56が光ファイバFの外周面に追従可能な変形性を有する場合には、光ファイバFの位置決めが安定し、経時的な光ファイバFの曲がりや損失増加を抑制することができる。
【0036】
さらに本実施形態の場合、図16に示すように、融着接続部44における光ファイバFが一対の補強部材51,54の間に挟み込まれた箇所において、光ファイバFの左右両側(長手方向に垂直な幅方向の両側)で一対の補強部材51,54の密着層53,56同士が密着している。これにより、経時的な光ファイバFの曲がりや損失増加を抑制することができる。また、密着層53,56同士の対向する隙間がなくなるため、裸光ファイバ(特に石英系光ファイバの場合)の寿命に悪影響を与えかねない水分等の浸入を防ぐことができる。また、密着層53,56に不透明な材料を用いた場合には、密着層53,56の隙間からの光の漏れ(漏光)を防ぐことができる。
【0037】
密着層53,56は、ゴムやエラストマー等の柔軟な弾性体から構成することが好ましい。これにより、押圧力をかけて密着層53,56の間に光ファイバFを挟み込むと、光ファイバFと接触した箇所で凹み、さらに密着層53,56の弾性力によって光ファイバFの外周面に密着する。密着層53,56の弾性力は、凹んだ後に押圧力を解消したときには、元の平坦な表面状態に復元する程度が好ましい。
発泡体を密着層53,56に用いる場合は、気泡が小さく、かつ各気泡が独立しているもの(気泡間がつながっていないもの)が好ましい。密着層53,56として粘着剤(感圧接着剤)を用いることもできるが、裸光ファイバ43,46を仮置きした後で置き直すためには、密着層53,56が非粘着性(仮置き後に裸光ファイバ43,46を容易に外すことができる程度に接着力が小さく、あるいは接着力がないこと)であることが好ましい。密着層53,56の表面の接着力が小さい場合には、裸光ファイバ43,46に密着層53,56が密着しにくいため、第1補強部材51と第2補強部材54との位置関係を固定して両側からの適度な押圧力を維持できるようにすることが好ましい。
【0038】
図4〜6に示すように、一対の補強部材51,54は、内挿光ファイバ40及び外部光ファイバ45の長手方向に垂直な方向である幅方向(図5,6の紙面に垂直な方向)の両側において互いに係合する凸部61及び凹部62を備え、これらの凸部(係合凸部)61と凹部(係合凹部)62とを係合させることによって一対の補強部材51,54の密着層53,56同士の互いに密着する状態が維持されるようになっている。これにより、密着層53,56同士の接着力のみでは相互の密着性が維持できない場合においても、より確実に密着層53,56を密着させ、第1補強部材51と第2補強部材54とが互いに離れてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
本実施形態の場合、図4Bに示すように、第2補強部材54の本体55は、底壁部57とその幅方向両側に設けられた側壁部58,58とを有し、係合凹部62は側壁部58に形成された貫通穴である。これにより、肉眼や拡大鏡等を用いた目視で外側から係合凹部61の係合状態を容易に確認することができる。補強部材51,54の一体化という観点からは、側壁部58の内面のみを凹まして外面には貫通していない穴(めくら穴)を係合凹部とすることも可能である。また、第1補強部材に係合凸部を設けて第2補強部材54に係合凹部を設ける代わりに、第2補強部材に係合凸部を設けて第1補強部材54に係合凹部を設けることもできる。また、第1補強部材に係合凸部と係合凹部とを交互に設け、これと相補的となるように、第2補強部材に係合凹部と係合凸部とを交互に設ける等、種々の組み合わせも可能である。
【0040】
第2補強部材54の側壁部58は、切欠部59を介して複数の部分(舌片状の部分)に分かれており、一つの片には1つ以下の係合凹部62が設けられている。これにより、図7に示すように、前記幅方向に対向する各対の側壁部58の間に第1補強部材51を挟み込んだとき、それぞれの係合凹部62を有する側壁部58はそれぞれが独立して開閉することが可能であり、仮に一組の係合部が緩んでも他の係合部が連動して緩むおそれがない。また、側壁部58の底壁部57から突出した先端部(図7の上方)には、側壁部58の内面側に斜面58aが設けられている。これにより、前記幅方向に対向する各対の側壁部58の間に第1補強部材51を挟み込むのが容易になっている。また、一対の補強部材51,54を組み合わせた後で、係合凸部61と係合凹部62との係合を外す場合には、側壁部58の斜面58aと第1補強部材本体52との隙間に工具等を挿入して側壁部58を幅方向の外側に容易に押し開くことができる。
【0041】
また、本実施形態の密着層53,56は、融着接続部44付近で表面の高さがより高く隆起した隆起部53a,56aを有しており、隆起部53a,56a間では押圧力をより高く保つことができる。また、隆起部53a,56aの両側(裸光ファイバ43,46の長手方向の両側)には、隆起部53a,56aに比べて表面の高さが低く、押圧力が緩和される緩和部53b,56bを有している。隆起部53a,56aの形成方法としては、例えば、密着層53,56の裏側で補強部材本体52,55側に突起を設ける方法や、密着層53,56の厚さを部分的に厚くする方法が挙げられる。
【0042】
上述の係合凸部61と係合凹部62との組からなる係合部は、光ファイバの長手方向に沿って複数組設けられている。具体的には、隆起部53a,56aの位置で1組(または2組以上)、内挿光ファイバ40側の緩和部53b,56bの位置でも1組(または2組以上)、さらに外部光ファイバ45側の緩和部53b,56bの位置でも1組(または2組以上)である。これにより、隆起部53a,56aにより融着接続部44に対して付与される押圧力は、隆起部53a,56aにおける係合部の位置関係で調節できる。また、仮に隆起部53a,56a間の押圧力が強すぎて隆起部53a,56a同士の反発力によりその係合部が緩んだとしても、緩和部53b,56bにおける係合部は緩みにくくなり、第1補強部材51と第2補強部材54とが互いに離れてしまうことを防ぐことができる。
【0043】
図2Bに示すように、フェルール12には、内挿光ファイバ40のフェルール12から突出した部分の周囲を被覆するフェルール用ブーツ18が取り付けられている。一対の補強部材51,54(詳しくはその本体52,55)は、フェルール12側の端部にブーツ把持部52a,55aとなる突起を有し、このブーツ把持部52a,55a間にフェルール用ブーツ18を把持している。これにより、フェルール12と一対の補強部材51,54との間においてフェルール用ブーツ18の両端がしっかりと保持され、内挿光ファイバ40の曲がりや損傷をより確実に防ぐことができる。
【0044】
本実施形態の光コネクタ10の組立方法は、一端部42がフェルール12に固定されると共に他端部43がフェルール12から突出された内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続した後、その融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで一体化する工程を含む。これにより、補強部材51,54の内面にそれぞれ設けられた密着層53,56を裸光ファイバ43,46同士の融着接続部44における外周面と密着させることができる。
【0045】
本実施形態の補強部材51,54は、フェルール12とは反対側の端部に軸部60を有する第1補強部材51と、第1補強部材51に対向して配置される第2補強部材54からなる。この場合の好適な組立方法を、図8〜13を参照して説明する。なお、図12、13では、密着層53,56間の裸光ファイバ43,46の位置を分かりやすくするため裸光ファイバ43,46が見えるように図示しているが、図16に示すように、補強部材51,54を閉じた後は裸光ファイバ43,46が密着層53,56間に密封されることが好ましい。
【0046】
まず、図8の上側に示すように、フェルール12から突出された内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続したものを用意する。本実施形態の場合、フェルール12には、あらかじめガイドピン15、フェルール用ブーツ18、ピンクランプ19及び内挿光ファイバ40が取り付けられたものが用いられ、接続現場では内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続するだけで良いようになっている。なお、ピンクランプ19が、接続補強部50の組立後に着脱可能な構造である場合は、ガイドピン15やピンクランプ19をフェルール12から外した状態で図8〜13の各工程を実施することもできる。
【0047】
また、図8の下側に示すように、組立工具70に第2補強部材54を保持させる。この組立工具70は、第2補強部材54を所定の位置に保持する補強部材保持部71と、外部光ファイバ45の光ファイバ心線47の部分を保持する心線保持部72と、第1補強部材51の軸部60を回動可能に保持する軸受部74が形成された腕部73(図10参照)と、外部光ファイバ45の光ファイバ心線47の部分を心線保持部72の上から押さえ込む押さえ蓋75(図11参照)を有する。
【0048】
補強部材保持部71は、第2補強部材54が幅方向にずれ動かないようにするため、底壁部57の幅方向(図7の左右方向)両側から第2補強部材54を保持するよう、溝状の構造となっていることが好ましい。本実施形態の場合、側壁部58が底壁部57の上方に突出するので、両側壁部58間に第1補強部材51を押し込むと、第1補強部材51の凸部61が上から係合凹部62に到達するまで、両側壁部58が開いた状態になることができる。
【0049】
次に、図9に示すように、裸光ファイバ43,46の融着接続部44を第2補強部材54の上に載置する。第2補強部材54の内面に設けられた密着層56は上方に向けられ、融着接続部44は、密着層56の隆起部56a上に配置される。裸光ファイバ43,46は細く(一般に直径は60〜150μm程度、例えば125μm前後)、直接手で触れて取り扱うことは好ましくないので、フェルール12の下方に図示しないホルダを設け、このホルダ及び外部光ファイバ45の太い部分を手にとって作業することが好ましい。
【0050】
また、図10に示すように、軸受部74に第1補強部材51の軸部60を保持させる。このとき、第1補強部材51の内面に設けられた密着層53は、第2補強部材54に対向する側に向けられる。
また、図11に示すように、外部光ファイバ45の光ファイバ心線47の部分の上から押さえ蓋75を閉じて、心線保持部72と押さえ蓋75との間に光ファイバ心線47を挟み込む。押さえ蓋75を閉じる前には、手等で外部光ファイバ45をフェルール12から離れる方向(図11では右向きの方向)に引っ張って、裸光ファイバ43,46やその前後の光ファイバ心線41,47のたるみを解消することが好ましい。外部光ファイバ45を引っ張る際、第2補強部材54のフェルール12側の端部(詳しくはブーツ把持部55a)はフェルール12の後端側(詳しくはピンクランプ19)に当たり、内挿光ファイバ40側の動きが止まるので、特にフェルール12を手等で押さえる必要はない。
以上の工程のうち、軸受部74に第1補強部材51の軸部60を保持させる工程の実施時期は、融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込む前であれば特に限定されず、例えば押さえ蓋75を閉じた後に実施しても良い。押さえ蓋75を設けることにより、手等で押えなくても光ファイバ45に張力をかけた状態で保持することができ、作業性が向上する。押さえ蓋75を開閉自在にする方法としては、係合爪や突起などを有するラッチのほか、磁石やネジやバネなどを用いる方法が挙げられる。
また、本実施形態では心線保持部72と押さえ蓋75との間に光ファイバ心線47を挟み込むようにしたが、光ファイバコードや光ファイバケーブルの部分を挟み込むようにすることも可能である。
【0051】
次に、図12に示すように、軸受部74内で軸部60を中心にして第1補強部材51を第2補強部材54に向けて回動させ、融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込む。これにより、フェルール12の後方に接続補強部50が組み立てられ、裸光ファイバ43,46が密着層53,56の間に密封される。
融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込む際、図16に示すように、係合凸部61を係合凹部62に係合させる。また、一対の補強部材51,54のフェルール12側の端部に設けられたブーツ把持部52a,55aの間にフェルール用ブーツ18を把持する。
次に、図13に示すように、フェルール12の後方に接続補強部50が組み立てられたもの(断面構造は図2を参照)を組立工具70から取り外す。軸受部74は、下方が半円状で上方が平行に開口したU字状であるので、接続補強部50を手等で持ち上げれば、軸受部74から軸部60を容易に取り外すことができる。
【0052】
このように、中心軸線の方向が光ファイバの長手方向に垂直な軸部60を有する第1補強部材51と、軸受部74を有する組立工具70を用いることにより、第2補強部材54に対して第1補強部材51が光ファイバの長手方向に沿う方向に倒れ込むことになり、第1補強部材51が光ファイバに接触したときに光ファイバの軸周りに回転する(ねじれる)力が作用することを抑制することができる。
また、補強部材保持部71と軸受部74との位置関係があらかじめ適切に定められているので、軸部60を支える軸受部74は、第2補強部材54に対して第1補強部材51の位置合わせをする基準として用いることができる。すなわち、軸受部74に軸部60を装着するときに誤って第2補強部材54を動かしてしまうことがないので、補強部材51,54の寸法が小さくても作業が容易になる。
【0053】
フェルール12の後方に接続補強部50を組み立てた後には、これらフェルール12及び接続補強部50を収容するハウジング等を組み立てることで、図1に示す光コネクタ10を完成することができる。
本実施形態で説明する光コネクタ10は多心用の光コネクタであり、図示例はMPO形光コネクタ(JIS C 5982に規定されるF13形多心光ファイバコネクタ。MPO:Multi−fiber Push On)である。本発明に適用可能な光コネクタは単心用、多心用を問わず、特に限定されるものではない。
【0054】
この光コネクタ10のハウジングは、スリーブ状(筒状)のプラグフレーム21と、プラグフレーム21の後端側に取り付けられたスリーブ状(筒状)のストップリング30とを具備する。フェルール12の側面は、プラグフレーム21の先端側の開口部22によって周囲から保持されている。プラグフレーム21とストップリング30とを一体化するため、ストップリング30の外面には、プラグフレーム21の側壁部に形成された係合窓27に係合可能な係合爪33が形成されている。フェルール用スプリング24は、接続補強部50の周囲に配設され、スプリング24の先端側をピンクランプ19の後端側のスプリング座20に、スプリング24の後端側をストップリング30の先端側のスプリング座31に接触させている。
【0055】
フェルール12の接合端面14が他の光コネクタのフェルールに接合されると、開口部22内で案内されながらフェルール12が後方に押されてフェルール用スプリング24が収縮し、フェルール12の接合端面14と他の光コネクタのフェルールの接合端面との間に適度な押圧力が作用して接合端面間が密着する。また、フェルール12と他の光コネクタのフェルールとの接合が解除されると、フェルール用スプリング24が伸長して、フェルール12が開口部22内を移動し、元の位置に復帰する。
【0056】
プラグフレーム21の幅方向に対向する両側(図1Aの上下両側)には、MPO形コネクタプラグがMPO形コネクタアダプタ又はレセプタクルの係合爪(図示せず)と係合するための係合部23が設けられている。また、プラグフレーム21の外周には、カップリング25が設けられ、プラグフレーム21の外周面とカップリング25の内周面との間には、一対のカップリング用スプリング26,26が収容されている。これにより、カップリング用スプリング26,26の伸縮に伴い、プラグフレーム21に対してカップリング25が相対的に前後移動可能になっている。これら係合部23やカップリング25は、MPO形光コネクタプラグとして上記JIS等に規定されたのと同様な構成である。
なお、本発明を他の種類の光コネクタに適用する場合は、光コネクタの接合(コネクタ接続)に必要な構成が適宜フェルールやハウジング等に設けられる。
【0057】
図1の光コネクタ10においては、光コネクタプラグのフェルール12等の先端部を保護するため、キャップ11が設けられている。このキャップ11は、使用時(他の光コネクタとの接合時)には取り外される。キャップ11の内面には、プラグフレーム21の側面のうち一つの面に形成されたキー21aと嵌合するキー溝11aが設けられている。プラグフレーム21のキー21aは、光コネクタプラグを上下(図1Bの上下)反対に使用することを防ぐために従来から設けられているものであるが、キャップ11のキー溝11aが上下両方に設けられている。これにより、キャップ11の上下の向きを区別することなく、光コネクタ10にキャップ11を取り付けることができる。
【0058】
ストップリング30の内部には、光ファイバの長手方向に沿った前後方向(図1の左右方向)に貫通する貫通孔32が形成されている。この貫通孔32の横断面形状(光ファイバの長手方向に垂直な面における断面形状)は、少なくとも接続補強部50の横断面形状を含むことができる大きさを有する。これにより、フェルール12をプラグフレーム21の開口部22に挿入した状態で、接続補強部50の後方からストップリング30をプラグフレーム21に向けて押し込んだとき、ストップリング30が接続補強部50と干渉する(押し込みが妨害される)ことがないようになっている。接続補強部50の後方からストップリング30をプラグフレーム21に向けて押し込む際、係合爪33が係合窓27に到達する直前で、係合爪33が接続補強部50の側に引っ込むことになる。このため、係合爪33の背面側には、貫通孔32の内面に溝部32aが設けられ、係合爪33の背面と接続補強部50との干渉を避けるようになっている。
【0059】
ストップリング30の後端部の外周面には、雄ねじ部34が形成されている。この雄ねじ部34には、スクリューリング35の内周面に形成された雌ねじ部36が締付けられるようになっている。これらの雄ねじ部34と雌ねじ部36との間には、外部光ファイバ45の抗張力繊維49の先端部を挟み込んで固定することができる。スクリューリング35は、後端側に開口部37を有し、この開口部37には、外部光ファイバ45の抗張力繊維49及び光ファイバ心線47の部分が挿通されている。開口部37の横断面形状(光ファイバの長手方向に垂直な面における断面形状)は、抗張力繊維49が接続補強部50と接触するのを避けるため、ある程度の開口寸法を確保することが好ましい。
【0060】
スクリューリング35の外周面には、外部光ファイバ45を保護するための外部光ファイバ用ブーツ65が取り付けられている。ブーツ65は、一般にゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料から構成される。本実施形態の場合、外部光ファイバ45の外被48の周囲には保護チューブ66が取り付けられ、チューブ66の先端側で大径となった環状嵌合部67はブーツ65の内側に嵌め込まれている。
【0061】
上記のハウジング等を組み立てる手順は特に限定されるものではないが、例えば以下の手順が例示できる。
融着接続前に行う事前準備として、外部光ファイバ45の周囲に、フェルール用スプリング24、ストップリング30、スクリューリング35、外部光ファイバ用ブーツ65及び保護チューブ66を通しておく。これらの部品は、融着接続の際に邪魔にならないよう、後方側(図1の右側)に配置することが好ましい。
上述したように裸光ファイバ43,46を融着接続し、接続補強部50を組み立てた後(図8〜13参照)、フェルール12の前方側(図1の左側)からプラグフレーム21を装着してフェルール12をプラグフレーム21の開口部22内に配置した後、ストップリング30をプラグフレーム21側に押し込んで係合爪33を係合窓27に係合させ、フェルール12及び接続補強部50と共にフェルール用スプリング24を収容する。キャップ11及びカップリング25は、あらかじめプラグフレーム21上に装着しておいても、あるいはストップリング30の取付後に装着しても構わない。
抗張力繊維49の先端部をストップリング30の雄ねじ部34上に配置し、スクリューリング35の雌ねじ部36を雄ねじ部34に締め付けて抗張力繊維49の先端部を固定する。抗張力繊維49の先端部がプラグフレーム21の外周上まで伸びている場合は、必要に応じて切除する。さらに、ブーツ65をストップリング30の上に装着する。以上の手順により、図1に示す光コネクタ10を組み立てることができる。
なお、外部光ファイバが抗張力繊維を有しないものである場合は、抗張力繊維を挟み込むことなく、スクリューリング35の雌ねじ部36をストップリング30の雄ねじ部34に締め付けてハウジングを一体化することができる。
【0062】
(光ファイバの融着接続部の補強方法)
本実施形態の接続補強部50は、光コネクタ内の融着接続部44の補強に限定されるものではなく、図14、図15に示すように、第1光ファイバ91及び第2光ファイバ92の端部88,89同士を融着接続してなる融着接続部90を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強する補強方法に利用することが可能である。
【0063】
図14に示す組立工具80は、第2補強部材54を所定の位置に保持する補強部材保持部81と、第1光ファイバ91の光ファイバ心線の部分を保持する第1心線保持部82と、第1補強部材51の軸部60を回動可能に保持する軸受部84が形成された腕部83と、第1光ファイバ91の光ファイバ心線の部分を第1心線保持部82の上から押さえ込む第1押さえ蓋85と、第2光ファイバ92の光ファイバ心線の部分を保持する第2心線保持部86と、第2光ファイバ92の光ファイバ心線の部分を第2心線保持部86の上から押さえ込む第2押さえ蓋87を備える。
【0064】
一対の補強部材51,54は、図4〜7に示すように、第1光ファイバ91及び第2光ファイバ92の端部88,89と接触する側である内面に、第1光ファイバ91及び第2光ファイバ92と接触した箇所で凹むことが可能な密着層53,56を有する。また、第1補強部材51は、第1光ファイバ91及び第2光ファイバ92の長手方向(図14の左右方向)における片側の端部に軸部60を有する。
一対の補強部材51,54の間に融着接続部90を挟み込んで接続補強部50を組み立てる手順は、図8〜12に示す手順と同様である。その結果を図14に示す。また、組み立てた接続補強部50を組立工具80から取り外した状態を図15に示す。
また、本実施形態では心線保持部82,86と押さえ蓋85,87との間に光ファイバ心線91,92を挟み込むようにしたが、光ファイバコードや光ファイバケーブルの部分を挟み込むようにすることも可能である。
【0065】
このように、中心軸線の方向が光ファイバ91,92の長手方向に垂直な軸部60を有する第1補強部材51と、軸受部84を有する組立工具80を用いることにより、第2補強部材54に対して第1補強部材51が光ファイバ91,92の長手方向に沿う方向に倒れ込むことになり、第1補強部材51が光ファイバ91,92の端部88,89に接触したときに光ファイバの軸周りに回転する(ねじれる)力が作用することを抑制することができる。
また、補強部材保持部81と軸受部84との位置関係があらかじめ適切に定められているので、軸部60を支える軸受部74は、第2補強部材54に対して第1補強部材51の位置合わせをする基準として用いることができる。すなわち、軸受部74に軸部60を装着するときに誤って第2補強部材54を動かしてしまうことがないので、補強部材51,54の寸法が小さくても作業が容易になる。
【0066】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0067】
(光コネクタの変形例)
上述したように、光コネクタが適用される外部光ファイバは抗張力繊維を有しないものであってもよい。この場合に使用可能で、より簡略化された構成の光コネクタ10Aの例を図17Aおよび図17Bに示す。以下、図17Aおよび図17Bを「図17」と総称することがある。
この光コネクタ10Aは、抗張力繊維を有しない外部光ファイバ45Aの先端に組み立てることができる。ストップリング38は、プラグフレーム21の内側に挿入される前半部38aと、ブーツ65が装着される後半部38bとを有し、プラグフレーム21の係合窓27に係合可能な係合爪33がストップリング38の前半部38aの外周面に形成されている。つまり、この構成におけるストップリング38は、図1に示すストップリング30とスクリューリング35とを一体化した構成からなる。
【0068】
上記のハウジング等を組み立てる手順は特に限定されるものではないが、例えば以下の手順が例示できる。
融着接続前に行う事前準備として、外部光ファイバ45Aの周囲に、フェルール用スプリング24、ストップリング38、外部光ファイバ用ブーツ65及び保護チューブ66を通しておく。これらの部品は、融着接続の際に邪魔にならないよう、後方側(図17の右側)に配置することが好ましい。キャップ11及びカップリング25は、あらかじめプラグフレーム21上に装着しておいても、あるいはストップリング38の取付後に装着しても構わない。
上述したように裸光ファイバ43,46を融着接続し、接続補強部50を組み立てた後(図8〜13参照)、フェルール12の前方側(図17の左側)からプラグフレーム21を装着してフェルール12をプラグフレーム21の開口部22内に配置した後、ストップリング38をプラグフレーム21側に押し込んで係合爪33を係合窓27に係合させ、フェルール12及び接続補強部50と共にフェルール用スプリング24を収容する。さらに、ブーツ65をストップリング38の後半部38bの上に装着する。以上の手順により、図17に示す光コネクタ10Aを組み立てることができる。
このように、本変形例の光コネクタ10Aによれば、外部光ファイバ45Aが抗張力繊維を有しないため、図1に示す光コネクタ10よりも組立手順が簡略化される。
【0069】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の光コネクタ110を説明する。
図23Aおよび図23Bに、第2実施形態の光コネクタ110を示し、図24Aおよび図24Bに、この光コネクタ110の要部を示す。この光コネクタ110は、一端部42がフェルール12(光コネクタフェルール)に固定された内挿光ファイバ40の他端部43を、外部光ファイバ45の先端部46と融着接続し、その融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強した接続補強部50をハウジング等の内部に収容した構成である。なお、図23Aおよび図23Bを「図23」と総称することがある。同様に、図24Aおよび図24Bを「図24」と総称することがある。
以下の説明において、光ファイバの長手方向(図23の左右方向)に沿う両方向を区別するため、フェルール12の接合端面14が向かう方向(図23の左方)を「先端方向」または「前方」といい、その反対方向(図23の右方)を「後端方向」、「後方」、「基端方向」ということがある。前後方向は、内挿光ファイバ40の一端部42における長さ方向であり、光コネクタ110が接続相手となる光コネクタに接続する際の接続方向でもある。
【0070】
外部光ファイバ45は、光ファイバコードや光ファイバケーブル等、光ファイバを有する光伝送体から構成されている。本実施形態の場合、外部光ファイバ45は、複数本の光ファイバ(光ファイバ素線。図示略)がその長手方向に垂直な横方向に一列に整列された構成の光ファイバテープ心線からなる多心の光ファイバ心線47と、多心の光ファイバ心線47の周囲を取り囲むチューブ状の外被48と、光ファイバ心線47と外被48との間に収容された抗張力繊維49とを備えた光ファイバコードである。外部光ファイバ45の先端部46では、光ファイバ心線47の樹脂被覆及び光ファイバ素線の樹脂被覆が除去されて、複数本の裸光ファイバ(コア及びクラッドの部分)が分離されている。
光ファイバ心線47に含まれる裸光ファイバ46の本数(心数)は、例えば2心、4心、8心、12心等が挙げられる。なお、図23A、図24Aおよび図25では、12心の構成を簡略化して、4本のみを図示している。本実施形態の光ファイバコードは、1本の光ファイバテープ心線を外被内に収納した構成であるが、特にこれに限定されるものではない。例えば、1つの外被に複数本の単心光ファイバ心線を収納した構成、複数本の光ファイバテープ心線を収納した構成、光ファイバテープ心線と単心光ファイバ心線とをそれぞれ1本以上収納した構成等も、外部光ファイバとして採用可能である。
【0071】
外被48は、例えばポリエチレン等の樹脂等からなり、好ましくは可撓性を有する。抗張力繊維49は、多数本が光ファイバの長手方向に沿って延在し、光伝送体への引張力(張力)を受ける抗張力体として機能する。抗張力繊維49に用いられる繊維材料は必要な引張強さが得られるものであれば特に限定されず、例えばアラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
なお、抗張力体や外被等は、本発明において特に必須のものではない。例えば、外被のない光ファイバ心線や光ファイバテープ心線を外部光ファイバとして用いることも可能である。また、光ファイバケーブル等の構造によっては、例えば鋼線等の金属線や繊維強化プラスチック(FRP)等の各種線材を抗張力体として用いることもできる。光ファイバケーブルとしては、光ドロップケーブル、光インドアケーブル等を挙げることができる。
【0072】
内挿光ファイバ40は、一端部42がフェルール12に固定されると共に他端部43がフェルール12から後方に突出(延出)された光ファイバである。本実施形態の場合、内挿光ファイバ40は、光ファイバテープ心線からなる多心の光ファイバ心線41からなり、光ファイバ心線41の一端部42及び他端部43のそれぞれにおいて、光ファイバ心線41の樹脂被覆及び光ファイバ素線の樹脂被覆が除去されて、複数本の裸光ファイバ(コア及びクラッドの部分)が分離されている。
内挿光ファイバ40の先端は接合端面14に露出しており、接続相手の光コネクタの光ファイバに突き合わせ接続される。
なお、内挿光ファイバ40として用いられる光ファイバは多心光ファイバに限定されるものではなく、1個のフェルールに短尺の単心光ファイバを1本又は複数本内挿した構成、複数本の光ファイバテープ心線を収納した構成、光ファイバテープ心線と単心光ファイバ心線とをそれぞれ1本以上収納した構成等も、採用可能である。
【0073】
図25に示すように、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46とは、1対1で対応付けられ、融着接続される。そして、図24に示すように、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46との融着接続部44は、接続補強部50において、一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強される。
補強部材51,54は、樹脂や金属等の硬質の部材から構成される補強部材本体52,55と、内挿光ファイバ40の他端部43及び外部光ファイバ45の先端部46と接触する側である内面側に設けられた密着層53,56とを有する。
なお、図25では、内挿光ファイバ40の周囲のフェルール12の図示を省略しているが、内挿光ファイバ40の一端部42は、外部光ファイバ45との融着接続に先立って、フェルール12の光ファイバ挿通孔13内に固定しておくことが好ましい。
【0074】
図18、図23および図24に示すように、フェルール12は、他の光コネクタ(接続相手となる光コネクタ)のフェルール(図示せず)と突き合わせて接合される先端面(接合端面)14と、接合端面14とは反対側の端面である後端面16と、接合端面14に開口した光ファイバ挿通孔(微細孔)13と、後端面16に開口したブーツ収容穴17とを有する。フェルール12は、例えばプラスチック製の一体成形品として製造することができる。
フェルール12の接合端面14は、光ファイバ挿通孔13の中心軸(ほぼ光ファイバ42の光軸に一致する。)に対して垂直な垂直面でもよく、あるいは他の光コネクタのフェルールと対応する所定の方向に傾斜した傾斜面でもよい。
【0075】
光ファイバ挿通孔13は、内挿光ファイバ40の一端部42における光ファイバと同じ数が形成される。内挿光ファイバ40の一端部42である裸光ファイバをフェルール12に固定する方法としては、例えば光ファイバ挿通孔13内に接着剤を注入して接着する方法が簡便である。それぞれの光ファイバ挿通孔13は、ブーツ収容穴17とつながっている。光ファイバ心線41の周囲には、フェルール用ブーツ18が装着され、ブーツ収容穴17に収容されている。フェルール用ブーツ18は、例えばゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料から構成することが好ましいが、樹脂や金属等の可撓性の低い材料からフェルール用ブーツ18を構成することも可能である。
【0076】
フェルール12に設けられる光ファイバ挿通孔13の数(心数)は、例えば2心、4心、8心、12心等が挙げられ、光ファイバ心線47の心数に応じて形成される。なお、本実施形態の光コネクタ110において、フェルール12として単心用のフェルールを用いることも可能である。
多心用フェルール12の接合端面14における光ファイバ挿通孔13の配列は、補強部材51,54間に挟みこまれる光ファイバの配列に合わせて、一列に横並びした配列とすることが好ましい。なお、本発明は、フェルール12における光ファイバの配列と接続補強部50における光ファイバの配列を同一とする構成に限定されるものではなく、フェルール12と接続補強部50との間で単心ごとに分離された光ファイバの配列を変更することもできる。
【0077】
図24Bに示すように、フェルール12には、内挿光ファイバ40のフェルール12から突出した部分の周囲を被覆するフェルール用ブーツ18が取り付けられている。一対の補強部材51,54(詳しくはその本体52,55)は、フェルール12側の端部にブーツ把持部52a,55aとなる突起を有し、このブーツ把持部52a,55a間にフェルール用ブーツ18を把持している。
これにより、フェルール12と一対の補強部材51,54との間においてフェルール用ブーツ18の両端がしっかりと保持され、内挿光ファイバ40の曲がりや損傷をより確実に防ぐことができる。
【0078】
フェルール12には、接続相手の光コネクタのフェルールに対する位置決めのため、先端側が接合端面14から前方に突出するガイドピン15が設けられている。
ガイドピン15は、接合端面14と後端面16との間を貫通するガイドピン挿入穴15aに挿通して設けられ、他の光コネクタのフェルールに設けられたガイドピン挿入穴(図示せず)に挿入することで、接合端面14の面に沿った方向(図24Aの上下方向、図24Bの上下方向や、これらを合成した斜め方向)の位置ずれを抑え、光コネクタ110と前記接続相手の光コネクタとの正確な位置決めを可能とするものである。
ガイドピン15によって接続相手の光コネクタとの位置決めを行う方式をガイドピン位置決め方式という。
【0079】
図24Aに示すように、ガイドピン挿入穴15a、15aは、ガイドピン15を挿抜(挿入および引抜き)自在に挿入できるものであって、前後方向に沿って形成されている。
本実施形態では、ガイドピン挿入穴15aは2つ形成されており、内挿光ファイバ40が挿通する光ファイバ挿通孔13を挟んで両側方にそれぞれ形成されている。
ガイドピン15は、これら一対のガイドピン挿入穴15aにそれぞれ挿通して設けられている。
【0080】
図22に示すように、ガイドピン15は、概略円筒状に形成され、先細形状の先端部190aを有する本体部190と、その後端側に形成された基端部191とを有する。
基端部191は、本体部190の後端から後方に延出する首部192と、首部192の後端に設けられたヘッド部193とを有する。ヘッド部193の前面は、後述するピンクランプ19の前板部177に当接する係止段部193aとなる。
図示例の本体部190、首部192およびヘッド部193はいずれも略円筒状であり、その中心軸方向は互いに一致している。
首部192はヘッド部193より細径とされている。以下、首部192を細径部といい、ヘッド部193を太径部ということがある。本体部190は首部192より太径とされている。
【0081】
図23および図24に示すように、本体部190はガイドピン挿入穴15aに挿通し、先端部分が接合端面14から前方に突出している。
図24Aに示すように、ガイドピン15の基端部分はフェルール12の後端面16から突出しており、突出部分である基端部191がピンクランプ19に保持されている。
なお、図23に示す形態の光コネクタ110は、ガイドピン15を有する形態(雄形)であるが、後述するように、ガイドピン15がない形態(雌形)とすることもできる。
【0082】
図18、図23および図24に示すように、フェルール12の後端面16側にはピンクランプ19が設けられている。ピンクランプ19は融着接続部44よりも前方に設けられている。
図19〜図21に示すように、ピンクランプ19は、ガイドピン15を支持するものであって、フェルール12の後端面16から突出したガイドピン15の基端部191に着脱自在に取り付けられる。
図示例のピンクランプ19は、合成樹脂材料などからなり、底部171と、底部171の両側に設けられた側壁部172、172とを有する概略コ字状に形成され、底部171と側壁部172、172に囲まれた空間は、内挿光ファイバ40が挿通する挿通空間173となっている(図23および図24参照)。
【0083】
挿通空間173は、フェルール用ブーツ18を嵌め込み可能に形成することができる。すなわち、側壁部172、172間の距離を、フェルール用ブーツ18の幅寸法とほぼ同じかまたはこれよりやや小さく設定することによって、フェルール用ブーツ18の両側縁が側壁部172、172の内面に当接して位置決めされる構成とすることができる。
以下の説明において、側壁部172の延出方向、すなわち図21における上方向を上方(または高さ方向)といい、その反対方向を下方ということがある。図21における上下方向は、ガイドピン15が挿通するガイドピン挿入穴15aの形成方向に対し略垂直な方向である。
【0084】
側壁部172は、外側板部175と、外側板部175から内方に間隔をおいて形成された内側板部176と、底部171の前縁部に形成された前板部177と、底部171の後縁部に形成された後板部178とを有する。
外側板部175は、底部171の側縁部から底部171に対し略垂直に立設されている。
内側板部176は、底部171に対し略垂直に立設されており、外側板部175との間の空間は、ガイドピン15のヘッド部193が収容される収容部179となっている。
内側板部176は、外側板部175よりも低く形成されている。収容部179の底面179aは、ヘッド部193の外周面に沿う湾曲面とすることができる。
【0085】
図19〜図21に示すように、前板部177は、底部171の前縁部から底部171に対し略垂直に立設されている。このため、前板部177は、前後方向に対し略垂直となる。
前板部177には、上縁部177aから下方に向けて嵌合凹部183が形成されている。図示例の嵌合凹部183は略U字状とされ、その最深部である底部183aが収容部179の底面179aよりも高い位置となるように形成されている。
【0086】
図21に示すように、嵌合凹部183は、上縁部177aから下方に向けて形成されているため、下方に移動するガイドピン15の首部192を受容できる。
また、外側板部175、内側板部176および後板部178は略上方に延出して形成されているため、これらに囲まれた空間である収容部179は、下方移動するヘッド部193を受容できる。
このため、ガイドピン15の首部192およびヘッド部193は、それぞれ嵌合凹部183および収容部179に対し、図21における上下方向に出し入れ自在となっている。
なお、図示例では嵌合凹部183は、下方(すなわちガイドピン挿入穴15aの形成方向に対し略垂直な方向)に向けて形成されているが、嵌合凹部183の形成方向はこれに限らず、ガイドピン挿入穴15aの形成方向に対し交差する方向であれば他の方向であってもよい。例えば図21における上下方向に対して0°を越え、90°未満の角度で傾斜する方向であってもよい。
【0087】
図20および図21に示すように、嵌合凹部183の幅W1は、ガイドピン15の首部192の外径より大きく、かつヘッド部193の外径より小さくされているため、嵌合凹部183はヘッド部193の前方移動を規制し、この方向のガイドピン15の移動を規制できる。
すなわち、図20に示すように、ガイドピン15に先端方向(図20における下方)の力が加えられると、ヘッド部193の前面である係止段部193aが前板部177の後面177aに当接するためヘッド部193の前方移動は阻止される。このため、ガイドピン15の脱落を防ぐことができる。
【0088】
後板部178は、底部171の後縁部から底部171に対し略垂直に立設されている。後板部178の外側縁部は外側板部175の後縁部に達している。図示例では後板部178は外側板部175とほぼ同じ高さに形成されている。
後板部178または前板部177は、ガイドピン15の後方移動を規制できるように構成することができる。すなわち、後板部178または前板部177は、ガイドピン15に後方(図20における上方)の力が加えられたときに、本体部190の後面190bが前板部177に当接するか、またはヘッド部193が後板部178に当接することによって、ガイドピン15の後方移動が阻止されるように構成することができる。
【0089】
図20に示すように、後板部178の後面178aには、後方に突出する位置決め凸部181が形成されている。
図23に示すように、位置決め凸部181は、フェルール用スプリング24の位置ずれを防ぐものであって、フェルール用スプリング24の前端部に挿入される。
後板部178の後面178aは、フェルール用スプリング24から付勢力(弾性による押圧力)を受けるためのスプリング座20となる。このため、フェルール12にガイドピン15が設けられないときにも、ピンクランプ19はフェルール12に取り付けられる。ピンクランプ19は、例えば、図示しない凹凸等によりフェルール12に嵌合して固定することができる。
【0090】
本実施形態で説明する光コネクタ110は多心用の光コネクタであり、MPO形光コネクタ(JIS C 5982に規定されるF13形多心光ファイバコネクタ。MPO:Multi−fiber Push On)と同様の構造を採用できる。本発明に適用可能な光コネクタは単心用、多心用を問わず、特に限定されるものではない。
【0091】
この光コネクタ110のハウジング11は、スリーブ状(筒状)のプラグフレーム21と、プラグフレーム21の後端側に取り付けられたスリーブ状(筒状)のストップリング30とを具備する。
プラグフレーム21の先端側の開口部22にはフェルール12が挿通している。
プラグフレーム21とストップリング30とを一体化するため、ストップリング30の外面には、プラグフレーム21の側壁部に形成された係合窓27に係合可能な係合爪33が形成されている。
フェルール用スプリング24(付勢手段)は、ピンクランプ19を介してフェルール12を前方に付勢するものであって、接続補強部50の周囲に配設され、スプリング24の先端側をピンクランプ19の後端側のスプリング座20に、スプリング24の後端側をストップリング30の先端側のスプリング座31に接触させている。
【0092】
フェルール12の接合端面14が他の光コネクタのフェルールに接合されると、開口部22内で案内されながらフェルール12が後方に押されてフェルール用スプリング24が収縮し、フェルール12の接合端面14と他の光コネクタのフェルールの接合端面との間に適度な押圧力が作用して接合端面間が密着する。また、フェルール12と他の光コネクタのフェルールとの接合が解除されると、フェルール用スプリング24が伸長して、フェルール12が開口部22内を移動し、元の位置に復帰する。
【0093】
プラグフレーム21の幅方向に対向する両側(図23Aの上下両側)には、MPO形コネクタプラグがMPO形コネクタアダプタ又はレセプタクルの係合爪(図示せず)と係合するための係合部23が設けられている。また、プラグフレーム21の外周には、カップリング25が設けられ、プラグフレーム21の外周面とカップリング25の内周面との間には、一対のカップリング用スプリング26,26が収容されている。これにより、カップリング用スプリング26,26の伸縮に伴い、プラグフレーム21に対してカップリング25が相対的に前後移動可能になっている。これら係合部23やカップリング25は、MPO形光コネクタプラグとして上記JIS等に規定されたのと同様な構成である。
なお、本発明を他の種類の光コネクタに適用する場合は、光コネクタの接合(コネクタ接続)に必要な構成が適宜フェルールやハウジング等に設けられる。
【0094】
ストップリング30の内部には、光ファイバの長手方向に沿った前後方向(図23の左右方向)に貫通する貫通孔32が形成されている。この貫通孔32の横断面形状(光ファイバの長手方向に垂直な面における断面形状)は、少なくとも接続補強部50の横断面形状を含むことができるようにされる。これにより、フェルール12をプラグフレーム21の開口部22に挿入した状態で、接続補強部50の後方からストップリング30をプラグフレーム21に向けて押し込んだとき、ストップリング30が接続補強部50と干渉する(押し込みが妨害される)ことがないようになっている。接続補強部50の後方からストップリング30をプラグフレーム21に向けて押し込む際、係合爪33が係合窓27に到達する直前で、係合爪33が接続補強部50の側に引っ込むことになる。このため、係合爪33の背面側には、貫通孔32の内面に溝部32aが設けられ、係合爪33の背面と接続補強部50との干渉を避けるようになっている。
【0095】
ストップリング30の後端部の外周面には、雄ねじ部34が形成されている。この雄ねじ部34には、スクリューリング35の内周面に形成された雌ねじ部36が締付けられるようになっている。これらの雄ねじ部34と雌ねじ部36との間には、外部光ファイバ45の抗張力繊維49の先端部を挟み込んで固定することができる。スクリューリング35は、後端側に開口部37を有し、この開口部37には、外部光ファイバ45の抗張力繊維49及び光ファイバ心線47の部分が挿通されている。開口部37の横断面形状(光ファイバの長手方向に垂直な面における断面形状)は、抗張力繊維49が接続補強部50と接触するのを避けるため、ある程度の開口寸法を確保することが好ましい。
【0096】
スクリューリング35の外周面には、外部光ファイバ45を保護するための外部光ファイバ用ブーツ65が取り付けられている。ブーツ65は、一般にゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料から構成される。本実施形態の場合、外部光ファイバ45の外被48の周囲には保護チューブ66が取り付けられ、チューブ66の先端側で大径となった環状嵌合部67はブーツ65の内側に嵌め込まれている。
【0097】
上記のハウジング等を組み立てる手順は特に限定されるものではないが、例えば以下の手順が例示できる。
融着接続前に行う事前準備として、外部光ファイバ45の周囲に、フェルール用スプリング24、ストップリング30、スクリューリング35、外部光ファイバ用ブーツ65及び保護チューブ66を通しておく。これらの部品は、融着接続の際に邪魔にならないよう、後方側(図23の右側)に配置することが好ましい。
裸光ファイバ43,46を融着接続し、融着接続部44を、接続補強部50において一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強する。
【0098】
図19および図21に示すように、ピンクランプ19の嵌合凹部183は下方に向けて形成されているため、上下方向からガイドピン15の首部192を出し入れできる。
このため、図18に示すように、仮想線で示すピンクランプ19を上方に移動させることによって、ガイドピン15の首部192を上方から嵌合凹部183に嵌合させることができる。この際、ヘッド部193は収容部179に収容される。
これによって、ピンクランプ19は、ガイドピン15の基端部191を保持した状態でフェルール12の後端側に設置される。
【0099】
図20および図21に示すように、嵌合凹部183の幅W1はヘッド部193の外径より小さいため、ガイドピン15に先端方向(図20における下方)の力が加えられると、ヘッド部193の前面である係止段部193aが前板部177の後面177aに当接するためヘッド部193の前方移動は阻止される。このため、ガイドピン15の前方移動は規制される。
また、ガイドピン15に後方(図20における上方)の力が加えられると、本体部190の後面190bが前板部177に当接することによって、またはヘッド部193が後板部178に当接することによって、ガイドピン15の後方移動は規制される。
【0100】
フェルール12の前方側(図23の左側)からプラグフレーム21を装着してフェルール12をプラグフレーム21の開口部22内に配置した後、ストップリング30をプラグフレーム21側に押し込んで係合爪33を係合窓27に係合させ、フェルール12及び接続補強部50と共にフェルール用スプリング24を収容する。カップリング25は、あらかじめプラグフレーム21上に装着しておいても、あるいはストップリング30の取付後に装着しても構わない。
【0101】
抗張力繊維49の先端部をストップリング30の雄ねじ部34上に配置し、スクリューリング35の雌ねじ部36を雄ねじ部34に締め付けて抗張力繊維49の先端部を固定する。抗張力繊維49の先端部がプラグフレーム21の外周上まで伸びている場合は、必要に応じて切除する。さらに、ブーツ65をストップリング30の上に装着する。以上の手順により、図23に示す光コネクタ110を組み立てることができる。
なお、外部光ファイバが抗張力繊維を有しないものである場合は、抗張力繊維を挟み込むことなく、スクリューリング35の雌ねじ部36をストップリング30の雄ねじ部34に締め付けてハウジングを一体化することができる。
【0102】
図23に示す形態の光コネクタ110は、ガイドピン15を有する形態(雄形)であるが、ガイドピン15がない形態(雌形)とすることもできる。
以下、図26〜図28を参照して、図23に示す形態(雄形)の光コネクタ110からガイドピン15を取り外し、ガイドピン15がない形態(雌形)の光コネクタ110を得る手順を説明する。
前記手順とは逆の手順に従って、プラグフレーム21を取り外し、フェルール12およびピンクランプ19を露出させる。
上述のように、ピンクランプ19の嵌合凹部183は、図21における上下方向からガイドピン15の首部192を出し入れできるため、図26および図27に示すように、ピンクランプ19を下方に移動させると首部192が嵌合凹部183から外れる。
これによって、ガイドピン15は長さ方向に移動可能な状態となり、先端方向に引き抜くことができる。
図28に示すように、ガイドピン15を引き抜いた後、ピンクランプ19を上方に移動させ、再びフェルール12の後端側に設置する。プラグフレーム21を再び装着することによって、ガイドピン15がない形態(雌形)の光コネクタ110が得られる。
【0103】
ガイドピン15がない形態の光コネクタ110は、ガイドピン15がないこと以外は図23に示す光コネクタ110と同じ構成である。この形態の光コネクタ110では、ガイドピン挿入穴15aは、接続相手の光コネクタのガイドピンが挿入される挿入穴として機能する。
ガイドピン15がない形態(雌形)の光コネクタ110を、ガイドピン15を有する形態(雄形)とする場合には、前記手順と逆の手順に従ってガイドピン15をフェルール12に装着すればよい。
【0104】
光コネクタ110では、ピンクランプ19が嵌合凹部183を有し、嵌合凹部183は、ガイドピン挿入穴15aに略垂直な方向にガイドピン15の首部192を出し入れ自在とされているので、この方向にピンクランプ19を移動させることによって、ガイドピン15の長さ方向の移動規制を解除し、ガイドピン15を取り外し可能な状態とすることができる。
このため、ガイドピン15を有する形態(雄形)と、ガイドピン15がない形態(雌形)とを容易に切り替えでき、接続現場での作業性を向上できる。
ガイドピン15の取り外しにあたっては、ピンクランプ19を後方移動させる必要がないため、内挿光ファイバ40と外部光ファイバ45との融着接続部44に悪影響が及ぶことはない。よって、フェルール12と融着接続部44の間にピンクランプ19の移動のためのスペースを確保する必要がなく、光コネクタ110の長さ方向の寸法を小さくできる。
また、ピンクランプ19は、ガイドピン15の基端部191が嵌合する嵌合凹部183を有するため、ガイドピン15が先端方向に脱落するのを防止できる。
【0105】
なお、上記実施形態では、内挿光ファイバ40と外部光ファイバ45との融着接続部44が、接続補強部50にて一対の補強部材51,54の間に挟み込まれた構成であるが、これに限らず、融着接続部44を公知の補強スリーブによって補強した構成も可能である。
また、内挿光ファイバ40と外部光ファイバ45の接続には、他の接続方式、例えばクランプ部の一対の素子間で光ファイバを突き合わせ接続させる方式(メカニカルスプライス方式)を採用してもよい。
【0106】
図29および図30は、ピンクランプの他の例を示すもので、ここに示すピンクランプ119は、前板部177、177に、保持突起184を有する延出部182が形成されている点で、図19〜図21に示すピンクランプ19と異なる。
延出部182は、前板部177、177の上縁部に、嵌合凹部183よりも内方側の位置から上方に延出して形成されている。
保持突起184は、延出部182の内縁部に、内方(互いに近づく方向)に突出して形成されている。
図30に示すように、保持突起184、184の先端間距離はフェルール用ブーツ18の幅より小さいため、保持突起184は挿通空間173内のフェルール用ブーツ18の上方移動(外方移動)を規制することができる。このため、ピンクランプ119がフェルール用ブーツ18から脱落するのを防ぐことができる。
保持突起184の上面184aは突出方向(内方)に向けて徐々に下降する傾斜面となっているため、フェルール用ブーツ18を挿通空間173に嵌め込む際には、フェルール用ブーツ18が上面184aを外方に押圧し、前板部177の曲げ変形により保持突起184を外方移動させてフェルール用ブーツ18の嵌め込みを可能にする。
【0107】
以下、本発明に係るキャップ付き光コネクタ、光コネクタの組立方法、光コネクタ用キャップの実施形態について、図面を参照して説明する。
(第3実施形態)
本発明に係る第3実施形態を説明する。
図31はこの実施形態のキャップ付き光コネクタ210Aを示す。
前記キャップ付き光コネクタ210Aは、光ファイバコード2(光伝送体)の端末に組み立てられた光コネクタ210の先端部(フェルール211が設けられている側の端部)に、光コネクタ用キャップ150(以下、単にキャップとも言う)を脱着可能に装着したものである。
なお、図31、図32A、図32Bにおいて、キャップ付き光コネクタ210A、光コネクタ210について、左側を前、右側を後として説明する。
以下、図32Aおよび図32Bを「図32」と総称することがある。同様に、図40Aおよび図40Bを「図40」、図42Aおよび図42Bを「図42」、図43Aおよび図43Bを「図43」、図45Aおよび図45Bを「図45」と総称することがある。
【0108】
図31において、図示例の光コネクタ210は単心用の光コネクタである。
また、この光コネクタ210は、いわゆる現場組立形の光コネクタである。
図31、図32A、図32Bに示すように、前記光コネクタ210は、キャピラリ部材211aの外周にフランジ部211bが突設された構造のフェルール211と、このフェルール211(具体的にはキャピラリ部材211a)に内挿固定された短尺の光ファイバである内挿光ファイバ212と、前記フェルール211と該フェルール211(具体的にはキャピラリ部材211a)に内挿固定された前記内挿光ファイバ212とによって構成された光ファイバ付きフェルール213を収納するスリーブ状のハウジング214と、このハウジング214内に収納され前記光ファイバ付きフェルール213をハウジング214に対して前側(以下、コネクタ前側とも言う)へ弾性付勢するスプリング215と、前記ハウジング214の前記フェルール211が配置された前端部とは反対の後端部である抗張力体固定筒部214a(後述)に螺着される螺着リング部材216とを具備する概略構成となっている。
また、前記光コネクタ210は、螺着リング部材216に外嵌めして該螺着リング部材216から後側へ延出するように設けられるブーツ217も具備している。
【0109】
図38に示すように、前記光コネクタ210は、スリーブ状のつまみ218(カップリング)を前記ハウジング214に外挿して取り付けることが可能である。このつまみ218は、ハウジング214に前後方向の可動範囲を確保してスライド移動可能に設けられる。
図38の、つまみ218を設けた構成の光コネクタに符号210Bを付す。
【0110】
前記ハウジング214は、スリーブ状のプラグフレーム141の後端部に、スリーブ状のストップリング142を内嵌めして固定し、一体化したものである。
前記ストップリング142は、プラグフレーム141から後側に延出するように設けられている。また、このストップリング141の前記プラグフレーム141よりも後側に位置する後端部が、ハウジング214の前記抗張力体固定筒部214aとされている。
【0111】
前記抗張力体固定筒部214aは、その外周に形成された外ねじ部214b(ねじ部)を有しており、図31に示すように前記外ねじ部214bに螺合可能な内ねじ部216aを有する前記螺着リング部材216を該抗張力体固定筒部214aの後側から螺着できる。
以下、この抗張力体固定筒部214aを螺着筒部とも言う。
【0112】
フェルール211、プラグフレーム141、つまみ218としては、例えばSC形光コネクタ(JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等の単心用光コネクタ(プラグ)のフェルール、プラグフレーム、つまみを採用できる。
【0113】
前記光ファイバ付きフェルール213の内挿光ファイバ212は、前記フェルール211のキャピラリ部材211a先端の突き合わせ接続用の接合端面211c(先端面)とは反対の後端側に延出された部分である後側延出部212cを有している。また、この内挿光ファイバ212は、後側延出部212cとは反対側の端部(先端部)の端面を、キャピラリ部材211a先端の研磨済みの前記接合端面211cに揃えた状態で前記フェルール211のキャピラリ部材211aに内挿固定されている。
【0114】
図31に示すように、光ファイバコード2の端末に組み立てられた光コネクタ210は、前記内挿光ファイバ212の後側延出部212cの端部(内挿光ファイバ212の後端部)と光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aの先端とを光接続した接続部3を前記ハウジング214内に収納している。
【0115】
光ファイバコード2の光ファイバ2aは、裸光ファイバ2dにその外周を覆うように樹脂被覆材2e(以下、単に被覆材とも言う)を被着、一体化した構成の単心の被覆光ファイバである。
一方、内挿光ファイバ212は、例えば図35に示すように、その長手方向両端に裸光ファイバ2aが口出しされた単心の被覆光ファイバ(具体的には光ファイバ心線)である。そして、この内挿光ファイバ212は、フェルール211のキャピラリ部材211a内側を貫通するファイバ孔211dの前側(接合端面211c側)部分であり前記接合端面211cに開口部を有する位置決め孔部211d1に、裸光ファイバ12aのうち被覆材12bによって被覆された被覆部の両側に突出する部分の片方を内挿し、前記ファイバ孔211dの前記位置決め孔部211d1から後側の部分であり前記位置決め孔部211d1に比べて径大(内径が大きい)に形成された被覆部収納孔部211d2に前記被覆部を内挿した状態で、前記ファイバ孔211d内に設けられた接着剤によってフェルール211(具体的にはキャピラリ部材211a)に接着固定されている。
これら光ファイバ2a、212は、ここでは単心の光ファイバ心線であるが、例えば光ファイバ素線等を採用することも可能である。
【0116】
なお、内挿光ファイバ212は、その全長が裸光ファイバであっても良い。
また、図35に示すように前記内挿光ファイバ212の被覆部は、フェルール211から後側に延出された部分を有する。
【0117】
図35に示すように、前記接続部3は、ここでは前記光ファイバ付きフェルール213の内挿光ファイバ212の後端と、光ファイバコード2端末から延出された光ファイバ2aの先端とを融着接続した融着接続部である。以下、接続部3が融着接続部を指す場合、融着接続部と称して説明する場合がある。
前記融着接続部3は、具体的には、前記内挿光ファイバ212の後端部に口出しされた裸光ファイバと、光ファイバコード2端末から延出された光ファイバ2aの先端部に口出しされた裸光ファイバ2dとを融着接続した融着接続部である。
光コネクタ210のハウジング214内には、融着接続部3に該融着接続部3を覆う補強部材(図示略)を一体化して補強した融着補強部(接続点補強部)を収納する。
【0118】
また、この光コネクタ210は、光ファイバコード2の樹脂製のシース2c(外装被覆)内に光ファイバ2aに縦添えして光ファイバ2aとともに収納された繊維状の抗張力体2b(以下、抗張力繊維とも言う)のシース2c先端から延出された部分を、前記ハウジング214後端の螺着筒部214aの外周面と該螺着筒部214aに螺着された螺着リング部材216の内周面との間に挟み込んで固定しており、これによりハウジング214に対して光ファイバコード2を引き留めている。
【0119】
次に、キャップ150について説明する。
図31、図32A、図32Bに示すように、キャップ150は、光コネクタ210のハウジング214の前端部(プラグフレーム141の前端部)に脱着可能に外嵌めされる有底筒状の本体151(以下、キャップ本体とも言う)の外面側に、光ファイバコード2端末に光コネクタ210を組み立てる作業において、光ファイバコード2端末から延出された抗張力繊維2bを引っ掛けて引き留めるための引っ掛け用突片152(抗張力体引留部)が突設された構成になっている。
【0120】
図示例のキャップ150の前記キャップ本体151は、光コネクタ210のハウジング214の前端部に外挿可能な筒状胴部151aの軸線方向片端が端部壁151bによって塞がれた有底筒状に形成され、前記ハウジング214の前端部に外嵌めして脱着可能に装着されるようになっている。
前記引っ掛け用突片152は、前記キャップ本体151の筒状胴部151aから、前記キャップ本体151の端部壁151bによって塞がれた先端側に行くにしたがって筒状胴部151aの外周面からの距離が増大するように、筒状胴部151aの軸線に対して傾斜して突出されている。
また、図示例のキャップ150は、前記引っ掛け用突片152が、キャップ本体151の筒状胴部151aのその軸線を介して両側に1つずつ突設された構成になっている。
また、前記キャップ150はプラスチック製の一体成形品であり、安価に製造できる。
【0121】
次に、前記光コネクタ210を光ファイバコード2端末に組み立てる組立方法(光コネクタの組立方法)を説明する。
まず、図35に示すように、予め組み立てておいた光ファイバ付きフェルール213の内挿光ファイバ212の後端と、光ファイバコード2端末から延出された光ファイバ2aの先端とを融着接続し、この融着接続によって形成された融着補強部3を補強部材を用いて補強した融着補強部(接続点補強部)を組み立てる融着・補強工程(ファイバ接続工程)を行う。
【0122】
融着補強部としては、例えば図36、図37に示す補強スリーブ4を好適に用いることができる。
図36、図37に示すように、前記補強スリーブ4は、熱収縮チューブ4aと、その内面に沿って設けられた熱可塑性樹脂層4bとを有し、さらに、前記熱収縮チューブ4aの肉厚に該熱収縮チューブ4aの長手方向(軸線方向)全長にわたって挿入された棒状抗張力部材4c(金属棒)とを具備するものである。
【0123】
この補強スリーブ4を用いた前記融着補強部の組み立ては、図35に示すように、内挿光ファイバ212と光ファイバコード2の光ファイバ2aとを融着接続した後、予め光ファイバコード2に外挿しておいた補強スリーブ4をフェルール211側へ移動して、図37に示すように前記融着接続部3と、前記内挿光ファイバ212の後側延出部212cと、光ファイバコード2の光ファイバ2aの光ファイバコード2端末から延出された部分とに被せ、この状態で補強スリーブ4を加熱して前記熱可塑性樹脂層4bを形成する熱可塑性樹脂を溶融させるとともに熱収縮チューブ4aを熱収縮させる。そして、冷却(例えば空冷)により、溶融状態の熱可塑性樹脂を固化させる。これにより、固化した熱可塑性樹脂中に融着接続部3が埋め込まれた状態となり、熱収縮チューブ4aとその内側の熱可塑性樹脂と融着接続部3とが一体化し、融着接続部3を熱収縮チューブ4aと熱可塑性樹脂と棒状抗張力部材4cとによって補強した構成の融着補強部が組み立てられる。
【0124】
なお、熱収縮チューブ4aとしては、熱収縮性の樹脂からなるものが使用され、例えば100〜160℃で収縮するポリオレフィンなどが使用できる。
また、熱可塑性樹脂層4bを形成する熱可塑性樹脂としては、ホットメルト樹脂(ホットメルト接着剤)を好適に使用できる。ホットメルト樹脂としては、例えば、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアミド、エチレン―アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。また、この熱可塑性樹脂としては、熱収縮チューブ4aの収縮温度において軟化することが好ましい。この軟化温度は、例えば100〜160℃である。
【0125】
また、図37では、補強スリーブ4の長手方向片端を、フェルール211後端の後端筒部211eに外挿しており、補強スリーブ4を加熱して融着補強部を組み立てたときに、熱収縮チューブ4aがフェルール211後端の後端筒部211eに固定され、フェルール211の後側に融着補強部が一体化された構成の融着補強部付きフェルール組み立てられるが、これに限定されず、補強スリーブ4をフェルール211から後側(光ファイバコード2側)に離隔した位置に配置し、フェルール211と一体化されていない融着補強部をフェルール211から後側に離隔した位置に組み立てても良い。
なお、内挿光ファイバ212は前記後端筒部211eの内側に通されて、後端筒部211eから後側に延出されている。
【0126】
融着・補強工程が完了したら、次に、図32Aに示すように、プラグフレーム141にストップリング142を嵌合してハウジング214を組み立て、光ファイバ付きフェルール213と融着補強部とスプリング215(コイルスプリング)とをハウジング214内に収納するハウジング組立工程を行う。
このハウジング組立工程では、予め光ファイバコード2に外挿しておいたスプリング215及びストップリング142をフェルール211側に移動し、スリーブ状のプラグフレーム141にその後端側から、フェルール211、融着補強部、スプリング215、ストップリング142を内挿し、ストップリング142外周に突設されている係合爪142bをプラグフレーム141後端部内面に形成されている係合凹所141aに入り込ませることで、ストップリング142の螺着筒部214aよりも前側に位置する前側スリーブ部142aをプラグフレーム141に嵌合する。
【0127】
その結果、ストップリング142がプラグフレーム141に固定され、プラグフレーム141とストップリング142とが一体化してなるスリーブ状のハウジング214に、フェルール211、融着補強部、スプリング215が収納される。
【0128】
フェルール211は、そのキャピラリ部材211aが、プラグフレーム141前端内周に突設されている前端突壁141b内側に確保された前端開口部141c内にプラグフレーム141の軸線方向に移動自在に内挿されて、ハウジング214の前端部に該ハウジング214の軸線方向に移動可能に収納されるが、フランジ部211bがハウジング214内側から前記前端突壁141bに当接することで、ハウジング214から前側への抜け出しが規制される。
【0129】
前記スプリング215は、ストップリング142後端部内側に突設されたスプリング受け壁142cによってストップリング142から後側へ抜け出さないように抜け止めされる。前記フェルール211は、このスプリング215の弾性付勢力によって、前記フランジ部211bがプラグフレーム141の前記前端突壁141bに当接する位置に配置され、また、スプリング215の弾性付勢力に抗してハウジング214後側へ押し込み可能である。
【0130】
ハウジング組立工程にてハウジング214が組み立てられたなら、次に、図32Aに示すように、前記ハウジング214の前端部に前記キャップ150のキャップ本体151を嵌合してハウジング214にキャップ150を装着し、光ファイバコード2端末から延出させておいた抗張力繊維2bを前記キャップ150の引っ掛け用突片152に引っ掛けて引き留め、この引き留め状態を維持したまま前記ハウジング214後端の螺着筒部214aに螺着リング部材216を螺着して(図32B)、前記抗張力繊維2bを前記螺着筒部214aに固定する抗張力体固定工程を行う。
【0131】
前記ハウジング組立工程では、ハウジング214の組み立てが完了したとき、光ファイバコード2端末がハウジング214から後側に離隔した位置に配置されるようにする。
そして、抗張力体固定工程では、まず、光ファイバ2aとともに予め光ファイバコード2端末に口出しして光ファイバコード2端末から延出させた抗張力繊維2bの先端部を、ハウジング214の前端部に装着したキャップ150の引っ掛け用突片152に例えば巻き付け、結び付け等により取り付けて引き留める。
【0132】
本明細書においては、巻き付けや結び付けも、キャップ150の引っ掛け用突片152に抗張力繊維2bを「引っ掛ける」ことに相当するものとして扱う。
また、例えば図34に示すように、光ファイバコード2端末から延出する抗張力繊維2bは、その先端部をループ状にしたループ部2gと、抗張力繊維このループ部2gを維持するための結び目2fとを形成し、前記ループ部2fを引っ掛け用突片152に外挿して引っ掛けても良い。
【0133】
既述のように、前記引っ掛け用突片152は、前記キャップ本体151の筒状胴部151aから、前記キャップ本体151の端部壁151bによって塞がれた先端側に行くにしたがって筒状胴部151aの外周面からの距離が増大するように、筒状胴部151aの軸線に対して傾斜して突出されているため、巻き付け、結び付け等によって前記引っ掛け用突片152に引っ掛けた抗張力繊維2bの引っ掛け用突片152からの脱落が生じにくいといった利点がある。
また、抗張力繊維2bは、前記引っ掛け用突片152に引っ掛けて引き留めることで、光ファイバコード2端末と前記引っ掛け用突片152との間に延在する部分に張力を掛けた状態とする。
【0134】
抗張力繊維2bとしては例えばアラミド繊維が好適であるが、前記アラミド繊維の他、例えばガラス繊維、炭素繊維なども使用できる。
また、前記抗張力繊維2bは光ファイバコード2のシース2c内側に多数本収納されており、ハウジング214の前端部に装着したキャップ150の引っ掛け用突片152への抗張力繊維2bの引っ掛けによる引き留めは、具体的には、光ファイバコード2端末から延出された多数本の抗張力繊維2bを光ファイバ2aを介して両側に振り分けるようにして、概ね同じ太さの2本の抗張力繊維集合束2hを形成し、この抗張力繊維集合束2hの先端部を、キャップ150の2つの引っ掛け用突片152に1本ずつ引っ掛ける。
【0135】
キャップ150の引っ掛け用突片152への抗張力繊維2bの引っ掛けによる引き留めが完了したら、次いで、予め光ファイバコード2に外挿しておいた螺着リング部材216をハウジング214側に移動して、図32Bに示すように前記螺着リング部材216をハウジング214後端部(ストップリング142後端部)の前記螺着筒部214aの外周にその後側から螺着する。
既述のように、光ファイバコード2端末がハウジング214から後側に離隔した位置に配置されているため、螺着リング部材216を螺着筒部214aの外周に螺着すると、光ファイバコード2端末から螺着筒部214aの外ねじ部214b付近を通るようにして前方へ延びる2本の抗張力繊維集合束2hを、螺着筒部214a外周面と螺着リング部材216内周面との間に挟み込まれるようにして固定できる。抗張力繊維集合束2hは、具体的には、螺着筒部214aの外ねじ部214bと螺着リング部材216の内ねじ部216aとの間に挟み込まれるため、ハウジング214後端部に強固に固定できる。
【0136】
抗張力体固定工程を完了したら、抗張力繊維集合束2hの螺着リング部材216によってハウジング214に固定された箇所からキャップ150側の部分を除去した後、予め光ファイバコード2に外挿しておいたスリーブ状のブーツ217をハウジング214方向に移動して、螺着リング部材216に外嵌めして取り付ける(図31参照)。これにより、光コネクタ210全体を組み立てることができる。
【0137】
また、組み立てが完了した光コネクタ210は、その先端部にキャップ150が装着されたままであるため、光コネクタ210の組み立て完了と同時にキャップ付き光コネクタ210Aが得られることとなる。光コネクタ210に装着された前記キャップ150は、キャップ本体151によって光コネクタ210のフェルール211のキャピラリ部材211a先端の接合端面211cを覆うため、光コネクタ210に装着された状態にしておくことで、フェルール211の接合端面211cを保護する保護カバーとして機能させることができる。
【0138】
光ファイバコード2の端末は、螺着リング部材216から後側へ延出するように設けられたブーツ217を貫通する内孔217a内に配置される。
また、光ファイバコード2は、その端末から延出された前記抗張力繊維2bが前記螺着リング部材216によってハウジング214後端の螺着筒部214aに固定されることで、前記端末が、該螺着リング部材216から後側へ延出するように設けられたスリーブ状のブーツ217からコネクタ後側へ抜け出さないように引き留められる。
【0139】
図38に示すつまみ218は、光コネクタ210の前側(コネクタ前側)からハウジング214に外挿することで、前後方向の可動範囲を確保してハウジング214外側にスライド移動可能に取り付けることができる。
このつまみ218を、光ファイバコード2端末への組み立てを完了したキャップ150付きの光コネクタ210、すなわち図31に例示するキャップ付き光コネクタ210Aに設けるには、光コネクタ210からキャップ150を取り外し、前記つまみ218を光コネクタ210の前側からハウジング214に外挿すれば良い。
【0140】
上述のように、光ファイバコード2端末に光コネクタ210を組み立てる作業において、ハウジング214を組み立てた段階で、このハウジング214にキャップ150を装着することで、光ファイバコード2端末から延びる抗張力繊維集合束2hの先端部をキャップ150の引っ掛け用突片152に引っ掛けて(巻き付け、結び付け等)引き留めることができ、抗張力繊維集合束2hに張力を掛けることができる。
このため、従来のかしめ作業用工具を使用しなくても、抗張力繊維集合束2hに張力を掛けた状態で、抗張力繊維集合束2hをハウジング214後端に固定する作業を行える。
【0141】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態を説明する。
図39に示すように、この実施形態の光コネクタ20は、第3実施形態にて説明した光ファイバ付きフェルール213にかえて、光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aの先端に直接取り付けたフェルール211をハウジング214内に収納している点が前記第3実施形態の光コネクタ210と異なる。
光ファイバ2aの先端に直接取り付けたフェルール211をハウジング214内に収納していること以外の構成は、前記第3実施形態の光コネクタ210と同様である。
【0142】
前記フェルール211には、光ファイバコード2端末に口出しされた光ファイバ2aの先端が内挿固定されている。図41に示すように、光ファイバ2aは、その先端に口出しされた裸光ファイバ2dをフェルール211のファイバ孔211dの位置決め孔部211d1(図35参照)、被覆材2eによって被覆された被覆部の先端部を被覆部収納孔部211d2に挿入してフェルール211に接着固定される。このフェルール211の接合端面211cは、例えば、光ファイバ2aの内挿固定後に研磨される。
【0143】
この光コネクタ20は、光ファイバ2a先端にフェルール211を取り付けた後、図40Aに示すようにハウジング214を組み立てて前記フェルール211及びスプリング215を収納し、以下、図40A、図40Bに示すように、第3実施形態にて説明した抗張力体固定工程の手順にてハウジング214後端部の螺着筒部214aに光ファイバコード2の抗張力繊維集合束2hを固定し、次いで、ハウジング214後端部(螺着筒部214a)に取り付けられた状態の螺着リング部材216に外嵌めして取り付けることで組み立てられる。
【0144】
図40A、図40Bに示すように、ハウジング214後端部の螺着筒部214aに光ファイバコード2の抗張力繊維集合束2hを固定する作業は、第3実施形態の抗張力体固定工程の手順にて、ハウジング214前端部に装着したキャップ150のキャップ本体151に突設されている引っ掛け用突片152に抗張力繊維集合束2hを引っ掛けて引き留めた状態で行うので、光コネクタ20の組み立てが完了したとき、光コネクタ20前端部にキャップ150が装着された構成のキャップ付き光コネクタ20Aが得られる。
【0145】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態を説明する。
本発明は、多心の光ファイバコード(光伝送体)端末への光コネクタの組み立てにも適用できる。
【0146】
図42に、この実施形態の光コネクタ100を示し、図43に、この光コネクタ100の要部を示す。この光コネクタ100は、一端部42がフェルール280に固定された内挿光ファイバ40の他端部43を、外部光ファイバ45の先端部46と融着接続し、その融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強した接続点補強部50をハウジング等の内部に収容した構成である。
以下の説明において、光ファイバの長手方向(図42の左右方向)に沿う両方向を区別するため、フェルール280の接合端面281が向かう側(図42の左側)を前、その反対側(図42の右側)を後として説明する。また、前側を「先端側」、その反対側(図42の右側)を「後端側」ということがある。
【0147】
外部光ファイバ45は、光ファイバコードや光ファイバケーブル等、光ファイバを有する光伝送体から構成されている。本実施形態の場合、外部光ファイバ45は、複数本の光ファイバ(光ファイバ素線。図示略)がその長手方向に垂直な横方向に一列に整列された構成の光ファイバテープ心線からなる多心の光ファイバ心線47と、多心の光ファイバ心線47の周囲を取り囲むチューブ状の外被48(シース。外挿被覆)と、光ファイバ心線47と外被48との間に収容された抗張力繊維49とを備えた光ファイバコードである。外部光ファイバ45の先端部46では、光ファイバ心線47の樹脂被覆及び光ファイバ素線の樹脂被覆が除去されて、複数本の裸光ファイバ(コア及びクラッドの部分)が分離されている。
【0148】
光ファイバ心線47に含まれる裸光ファイバ46の本数(心数)は、例えば2心、4心、8心、12心等が挙げられる。なお、図42Aでは、12心の構成を簡略化して、6本のみを図示している。本実施形態の光ファイバコードは、1本の光ファイバテープ心線を外被内に収納した構成であるが、特にこれに限定されるものではない。例えば、1つの外被に複数本の単心光ファイバ心線を収納した構成、複数本の光ファイバテープ心線を収納した構成、光ファイバテープ心線と単心光ファイバ心線とをそれぞれ1本以上収納した構成等も、外部光ファイバとして採用可能である。
【0149】
なお、後述する一対の補強部材51,54にはV溝等の調心機構が必要とされないので、密着層53,56の幅の範囲内に収容可能である限り、一対の補強部材51,54間に保持される光ファイバの心数は、一対の補強部材51,54の構造によっては特定されない。例えば2心、4心、8心、12心等の心数の異なる光コネクタに適用される一対の補強部材51,54の仕様を共通化することができる。すなわち、フェルールのみ適切な心数のものに交換するだけで、心数が異なる光コネクタを構成することができ、低コスト化に寄与することが可能である。
【0150】
外被48は、例えばポリエチレン等の樹脂等からなり、好ましくは可撓性を有する。抗張力繊維49は、多数本が光ファイバの長手方向に沿って延在し、光伝送体への引張力(張力)を受ける抗張力体として機能する。抗張力繊維49に用いられる繊維材料は必要な引張強さが得られるものであれば特に限定されず、例えばアラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
なお、抗張力体や外被等は、本発明において特に必須のものではない。例えば、外被のない光ファイバ心線や光ファイバテープ心線を外部光ファイバとして用いることも可能である。また、光ファイバケーブル等の構造によっては、例えば鋼線等の金属線や繊維強化プラスチック(FRP)等の各種線材を抗張力体として用いることもできる。
【0151】
内挿光ファイバ40は、一端部42がフェルール280に固定されると共に他端部43がフェルール280から後方に突出(延出)された光ファイバである。本実施形態の場合、内挿光ファイバ40は、光ファイバテープ心線からなる多心の光ファイバ心線41からなり、光ファイバ心線41の一端部42及び他端部43のそれぞれにおいて、光ファイバ心線41の樹脂被覆及び光ファイバ素線の樹脂被覆が除去されて、複数本の裸光ファイバ(コア及びクラッドの部分)が分離されている。
なお、内挿光ファイバ40として用いられる光ファイバは多心光ファイバに限定されるものではなく、1個のフェルールに短尺の単心光ファイバを1本又は複数本内挿した構成、複数本の光ファイバテープ心線を収納した構成、光ファイバテープ心線と単心光ファイバ心線とをそれぞれ1本以上収納した構成等も、採用可能である。
【0152】
図44に示すように、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46とは、1対1で対応付けられ、融着接続される。そして、図43に示すように、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46との融着接続部44は、一対の補強部材51,54の間に挟み込んで補強される。なお、図44では、内挿光ファイバ40の周囲のフェルール280の図示を省略しているが、内挿光ファイバ40の一端部42は、外部光ファイバ45との融着接続に先立って、フェルール280の光ファイバ挿通孔283(ファイバ孔)内に固定しておくことが好ましい。
【0153】
図43に示すように、フェルール280は、他の光コネクタのフェルール(図示せず)と突き合わせて接合される先端面(接合端面)281と、接合端面281とは反対側の端面である後端面282と、接合端面281に開口した光ファイバ挿通孔(微細孔)283と、後端面282に開口したブーツ収容穴287とを有する。フェルール280は、例えばプラスチック製の一体成形品として製造することができる。フェルール280の接合端面281は、光ファイバ挿通孔283の中心軸(ほぼ光ファイバ42の光軸に一致する。)に対して垂直な垂直面でもよく、あるいは他の光コネクタのフェルールと対応する所定の方向に傾斜した傾斜面でもよい。
【0154】
光ファイバ挿通孔283は、内挿光ファイバ40の一端部42における光ファイバと同じ数が形成される。内挿光ファイバ40の一端部42である裸光ファイバをフェルール280に固定する方法としては、例えば光ファイバ挿通孔283内に接着剤を注入して接着する方法が簡便である。それぞれの光ファイバ挿通孔283は、ブーツ収容穴287とつながっている。光ファイバ心線41の周囲には、フェルール用ブーツ288が装着され、ブーツ収容穴287に収容されている。フェルール用ブーツ288は、例えばゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料から構成することが好ましいが、樹脂や金属等の可撓性の低い材料からフェルール用ブーツ288を構成することも可能である。
【0155】
フェルール280に設けられる光ファイバ挿通孔283の数(心数)は、例えば2心、4心、8心、12心等が挙げられる。なお、図42Aでは、12心の構成を簡略化して、6本のみを図示している。また、本実施形態の光コネクタ100において、フェルール280として単心用のフェルールを用いることも可能である。
【0156】
多心用フェルール280の接合端面281における光ファイバ挿通孔283の配列は、後述する補強部材51,54間に挟みこまれる光ファイバの配列に合わせて、一列に横並びした配列とすることが好ましい。なお、本発明は、フェルール280における光ファイバの配列と接続点補強部50における光ファイバの配列を同一とする構成に限定されるものではなく、フェルール280と接続点補強部50との間で単心ごとに分離された光ファイバの配列を変更することもできる。
【0157】
フェルール280と他の光コネクタのフェルールとの接合する際の位置決めのため、接合端面281と後端面282との間を貫通するガイドピン285を設けることができる(ピン嵌合位置決め方式)。ガイドピン285は、先端側が接合端面281から突出しており、他の光コネクタのフェルールに設けられたガイドピン挿入穴(図示せず)に挿入することで、接合端面281の面に沿った方向(図43Aの上下方向、図43Bの上下方向や、これらを合成した斜め方向)のぐらつきを抑制する。なお、他の光コネクタのフェルールにガイドピンを設けたときは、フェルール280にはガイドピン挿入穴が設けられる。ガイドピン挿入穴285aは、フェルール280からガイドピン285を引き抜いた跡に残る穴を利用することができる。あるいは、初めからガイドピン285の代わりにガイドピン挿入穴が設けられたフェルール280を用いることもできる。
【0158】
ガイドピン285は、ガイドピン挿入穴285aから挿入及び引抜により着脱可能であると、この光コネクタ100と他の光コネクタとのいずれにガイドピンを設けるかを接続現場で容易に選択することができ、好ましい。例えばこの光コネクタ100と他の光コネクタとの接合状態を解消したときに、ガイドピン285の予期しない引抜きを防止するため、フェルール280の後端面282にはピンクランプ19が設けられている。図42に示す本実施形態の場合、ピンクランプ19は、フェルール280と接続点補強部50との間の隙間を埋めると共に、フェルール用スプリング24から付勢力(弾性による押圧力)を受けるためのスプリング座20を有する。このため、フェルール280にガイドピン285が設けられないときにも、ピンクランプ19がフェルール280に取り付けられる。ピンクランプ19は、例えば、図示しない凹凸等によりフェルール280に嵌合して固定することできる。
なお、ガイドピン285は、ガイドピン挿入穴285aに固定して(例えば接着やインサート成形による埋込み等)用いることも可能である。
【0159】
図45〜図48に、本実施形態で用いられる補強部材51,54(挟持部材)の一例を示す。図43Bの上側に用いられる第1補強部材51を図45Aに示し、図43Bの下側に用いられる第2補強部材54を図45Bに示す。本実施形態の場合、これらの補強部材51,54は、樹脂や金属等の硬質の部材から構成される補強部材本体52,55(挟持部材本体)と、内挿光ファイバ40の他端部43及び外部光ファイバ45の先端部46と接触する側である内面側に設けられた密着層53,56とを有する。
【0160】
図49に示すように、密着層53,56は、内挿光ファイバ及び外部光ファイバ(図49ではこれらを総称して光ファイバFとして示す。)と接触した箇所で凹むことによりこれらの光ファイバFの融着接続部44付近における外周面と密着する。これにより、補強部材の内面に光ファイバを調心するためのV溝やU溝等の機構が不要となる。本実施形態の場合、内挿光ファイバ40の他端部43と外部光ファイバ45の先端部46とはあらかじめ融着接続されているので接続損失が低く、両光ファイバの軸ずれ(光軸のずれ)や端面の離間等による損失増加のおそれもない。
【0161】
V溝やU溝等の溝状の機構の場合、光ファイバの元々の(融着接続前の)外径に比べて融着接続部44付近の外径がより大きくなると融着接続部44に過度の押圧力が加わって寿命を短くしてしまうおそれがある。その反対に、融着接続部44付近の外径がより小さくなると光ファイバの位置決めが安定せず、溝状の機構の中で光ファイバの位置が横方向にずれるおそれがある。これに対して、本実施形態のように、密着層53,56が光ファイバFの外周面に追従可能な変形性を有する場合には、光ファイバFの位置決めが安定し、経時的な光ファイバFの曲がりや損失増加を抑制することができる。
【0162】
さらに本実施形態の場合、図49に示すように、融着接続部44における光ファイバFが一対の補強部材51,54の間に挟み込まれた箇所において、光ファイバFの左右両側(長手方向に垂直な幅方向の両側)で一対の補強部材51,54の密着層53,56同士が密着している。これにより、経時的な光ファイバFの曲がりや損失増加を抑制することができる。また、密着層53,56同士の対向する隙間がなくなるため、裸光ファイバ(特に石英系光ファイバの場合)の寿命に悪影響を与えかねない水分等の浸入を防ぐことができる。また、密着層53,56に不透明な材料を用いた場合には、密着層53,56の隙間からの光の漏れ(漏光)を防ぐことができる。
【0163】
密着層53,56は、ゴムやエラストマー等の柔軟な弾性体から構成することが好ましい。これにより、押圧力をかけて密着層53,56の間に光ファイバFを挟み込むと、光ファイバFと接触した箇所で凹み、さらに密着層53,56の弾性力によって光ファイバFの外周面に密着する。密着層53,56の弾性力は、凹んだ後に押圧力を解消したときには、元の平坦な表面状態に復元する程度が好ましい。
発泡体を密着層53,56に用いる場合は、気泡が小さく、かつ各気泡が独立しているもの(気泡間がつながっていないもの)が好ましい。密着層53,56として粘着剤(感圧接着剤)を用いることもできるが、裸光ファイバ43,46を仮置きした後で置き直すためには、密着層53,56が非粘着性(仮置き後に裸光ファイバ43,46を容易に外すことができる程度に接着力が小さく、あるいは接着力がないこと)であることが好ましい。密着層53,56の表面の接着力が小さい場合には、裸光ファイバ43,46に密着層53,56が密着しにくいため、第1補強部材51(第1挟持部材)と第2補強部材54(第2挟持部材)との位置関係を固定して両側からの適度な押圧力を維持できるようにすることが好ましい。
【0164】
図45〜図47に示すように、一対の補強部材51,54は、内挿光ファイバ40及び外部光ファイバ45の長手方向に垂直な方向である幅方向(図46,図47の紙面に垂直な方向)の両側において互いに係合する凸部61及び凹部62を備え、これらの凸部(係合凸部)61と凹部(係合凹部)62とを係合させることによって一対の補強部材51,54の密着層53,56同士の互いに密着する状態が維持されるようになっている。これにより、密着層53,56同士の接着力のみでは相互の密着性が維持できない場合においても、より確実に密着層53,56を密着させ、第1補強部材51と第2補強部材54とが互いに離れてしまうことを防ぐことができる。
【0165】
本実施形態の場合、図45Bに示すように、第2補強部材54の本体55は、底壁部57とその幅方向両側に設けられた側壁部58,58とを有し、係合凹部62は側壁部58に形成された貫通穴である。これにより、肉眼や拡大鏡等を用いた目視で外側から係合凹部61の係合状態を容易に確認することができる。補強部材51,54の一体化という観点からは、側壁部58の内面のみを凹まして外面には貫通していない穴(めくら穴)を係合凹部とすることも可能である。また、第1補強部材に係合凸部を設けて第2補強部材54に係合凹部を設ける代わりに、第2補強部材に係合凸部を設けて第1補強部材54に係合凹部を設けることもできる。また、第1補強部材に係合凸部と係合凹部とを交互に設け、これと相補的となるように、第2補強部材に係合凹部と係合凸部とを交互に設ける等、種々の組み合わせも可能である。
【0166】
第2補強部材54の側壁部58は、切欠部59を介して複数の部分(舌片状の部分)に分かれており、一つの片には1つ以下の係合凹部62が設けられている。これにより、図48に示すように、前記幅方向に対向する各対の側壁部58の間に第1補強部材51を挟み込んだとき、それぞれの係合凹部62を有する側壁部58はそれぞれが独立して開閉することが可能であり、仮に一組の係合部が緩んでも他の係合部が連動して緩むおそれがない。また、側壁部58の底壁部57から突出した先端部(図48の上方)には、側壁部58の内面側に斜面58aが設けられている。これにより、前記幅方向に対向する各対の側壁部58の間に第1補強部材51を挟み込むのが容易になっている。また、一対の補強部材51,54を組み合わせた後で、係合凸部61と係合凹部62との係合を外す場合には、側壁部58の斜面58aと第1補強部材本体52との隙間に工具等を挿入して側壁部58を幅方向の外側に容易に押し開くことができる。
【0167】
また、本実施形態の密着層53,56は、融着接続部44付近で表面の高さがより高く隆起した隆起部53a,56aを有しており、隆起部53a,56a間では押圧力をより高く保つことができる。また、隆起部53a,56aの両側(裸光ファイバ43,46の長手方向の両側)には、隆起部53a,56aに比べて表面の高さが低く、押圧力が緩和される緩和部53b,56bを有している。隆起部53a,56aの形成方法としては、例えば、密着層53,56の裏側で補強部材本体52,55側に突起を設ける方法や、密着層53,56の厚さを部分的に厚くする方法が挙げられる。
【0168】
上述の係合凸部61と係合凹部62との組からなる係合部は、光ファイバの長手方向に沿って複数組設けられている。具体的には、隆起部53a,56aの位置で1組(または2組以上)、内挿光ファイバ40側の緩和部53b,56bの位置でも1組(または2組以上)、さらに外部光ファイバ45側の緩和部53b,56bの位置でも1組(または2組以上)である。これにより、隆起部53a,56aにより融着接続部44に対して付与される押圧力は、隆起部53a,56aにおける係合部の位置関係で調節できる。また、仮に隆起部53a,56a間の押圧力が強すぎて隆起部53a,56a同士の反発力によりその係合部が緩んだとしても、緩和部53b,56bにおける係合部は緩みにくくなり、第1補強部材51と第2補強部材54とが互いに離れてしまうことを防ぐことができる。
【0169】
図43Bに示すように、フェルール280には、内挿光ファイバ40のフェルール280から突出した部分の周囲を被覆するフェルール用ブーツ288が取り付けられている。一対の補強部材51,54(詳しくはその本体52,55)は、フェルール280側の端部にブーツ把持部52a,55aとなる突起を有し、このブーツ把持部52a,55a間にフェルール用ブーツ288を把持している。これにより、フェルール280と一対の補強部材51,54との間においてフェルール用ブーツ288の両端がしっかりと保持され、内挿光ファイバ40の曲がりや損傷をより確実に防ぐことができる。
【0170】
本実施形態の光コネクタ100の組立方法は、一端部42がフェルール280に固定されると共に他端部43がフェルール280から突出された内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続した後、その融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで一体化する工程を含む。これにより、補強部材51,54の内面にそれぞれ設けられた密着層53,56を裸光ファイバ43,46同士の融着接続部44における外周面と密着させることができる。
【0171】
図50に示すように、まず、フェルール280から突出された内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続したものを用意する。そして、融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込んで一体化する。
本実施形態の場合、フェルール280には、あらかじめガイドピン285、フェルール用ブーツ288、ピンクランプ19及び内挿光ファイバ40が取り付けられたものが用いられ、接続現場では内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続するだけで良いようになっている。なお、ピンクランプ19が、接続点補強部50の組立後に着脱可能な構造である場合は、ガイドピン285やピンクランプ19をフェルール280から外した状態で組み立て作業を実施することもできる。
【0172】
フェルール280の後方に接続点補強部50を組み立てた後には、これらフェルール280及び接続点補強部50を収容するハウジングH等を組み立てることで、図31に示す光コネクタ100を完成することができる。
本実施形態で説明する光コネクタ100は多心用の光コネクタであり、図示例はMPO形光コネクタ(JIS C 5982に規定されるF13形多心光ファイバコネクタ。MPO:Multi−fiber Push On)である。本発明に適用可能な光コネクタは単心用、多心用を問わず、特に限定されるものではない。
【0173】
この光コネクタ100のハウジングHは、スリーブ状(筒状)のプラグフレーム21と、プラグフレーム21の後端側に取り付けられたスリーブ状(筒状)のストップリング30とを具備する。フェルール280の側面は、プラグフレーム21の先端側の開口部22によって周囲から保持されている。プラグフレーム21とストップリング30とを一体化するため、ストップリング30の外面には、プラグフレーム21の側壁部に形成された係合窓27に係合可能な係合爪33が形成されている。フェルール用スプリング24は、接続点補強部50の周囲に配設され、スプリング24の先端側をピンクランプ19の後端側のスプリング座20に、スプリング24の後端側をストップリング30の先端側のスプリング座31に接触させている。
【0174】
フェルール280の接合端面281が他の光コネクタのフェルールに接合されると、開口部22内で案内されながらフェルール280が後方に押されてフェルール用スプリング24が収縮し、フェルール280の接合端面281と他の光コネクタのフェルールの接合端面との間に適度な押圧力が作用して接合端面間が密着する。また、フェルール280と他の光コネクタのフェルールとの接合が解除されると、フェルール用スプリング24が伸長して、フェルール280が開口部22内を移動し、元の位置に復帰する。
【0175】
プラグフレーム21の幅方向に対向する両側(図42Aの上下両側)には、MPO形コネクタプラグがMPO形コネクタアダプタ又はレセプタクルの係合爪(図示せず)と係合するための係合部23が設けられている。また、プラグフレーム21の外周には、カップリング25が設けられ、プラグフレーム21の外周面とカップリング25の内周面との間には、一対のカップリング用スプリング26,26が収容されている。これにより、カップリング用スプリング26,26の伸縮に伴い、プラグフレーム21に対してカップリング25が相対的に前後移動可能になっている。これら係合部23やカップリング25は、MPO形光コネクタプラグとして上記JIS等に規定されたのと同様な構成である。
なお、本発明を他の種類の光コネクタに適用する場合は、光コネクタの接合(コネクタ接続)に必要な構成が適宜フェルールやハウジング等に設けられる。
【0176】
図42の光コネクタ100においては、光コネクタプラグのフェルール280等の先端部を保護するため、キャップ290が設けられている。このキャップ290は、使用時(他の光コネクタとの接合時)には取り外される。
このキャップ290の構造は、基本的な構造は、既述の第3実施形態にて説明したキャップ150と同様である。
すなわち、図42A、図42B、図51A〜図51Cに示すように、このキャップ290は、光コネクタ100のハウジングHの前端部(プラグフレーム21の前端部)に脱着可能に外嵌めされる有底筒状のキャップ本体291の外面側に、抗張力繊維49(抗張力繊維集合束にする)を引っ掛けて引き留めるための引っ掛け用突片292(抗張力体引留部)が突設された構成になっている。
【0177】
図示例のキャップ290の前記キャップ本体291は、光コネクタ100のハウジングHの前端部に外挿可能な筒状胴部291aの軸線方向片端が端部壁291bによって塞がれた有底筒状に形成され、前記ハウジングHの前端部、すなわち、ハウジングH(詳細にはプラグフレーム21)のカップリング25よりも前側に突出している部分に外嵌めして脱着可能に装着されるようになっている。
前記引っ掛け用突片292は、前記キャップ本体291の筒状胴部292から、前記キャップ本体291の端部壁291bによって塞がれた先端側に行くにしたがって筒状胴部292の外周面からの距離が増大するように、筒状胴部292の軸線に対して傾斜して突出されている。
また、図示例のキャップ290は、前記引っ掛け用突片292が、キャップ本体291の筒状胴部292のその軸線を介して両側に1つずつ突設された構成になっている。
また、前記キャップ290はプラスチック製の一体成形品であり、安価に製造できる。
【0178】
キャップ本体291の内面には、プラグフレーム21の側面のうち一つの面に形成されたキー21aと嵌合するキー溝291cが設けられている。プラグフレーム21のキー21aは、光コネクタプラグを上下(図42Bの上下)反対に使用することを防ぐために従来から設けられているものであるが、キャップ290のキー溝291cが上下両方に設けられている。これにより、キャップ290の上下の向きを区別することなく、光コネクタ100にキャップ290を取り付けることができる。
【0179】
ストップリング30の内部には、光ファイバの長手方向に沿った前後方向(図42の左右方向)に貫通する貫通孔32が形成されている。この貫通孔32の横断面形状(光ファイバの長手方向に垂直な面における断面形状)は、少なくとも接続点補強部50の横断面形状を含むことができる大きさを有する。これにより、フェルール280をプラグフレーム21の開口部22に挿入した状態で、接続点補強部50の後方からストップリング30をプラグフレーム21に向けて押し込んだとき、ストップリング30が接続点補強部50と干渉する(押し込みが妨害される)ことがないようになっている。接続点補強部50の後方からストップリング30をプラグフレーム21に向けて押し込む際、係合爪33が係合窓27に到達する直前で、係合爪33が接続点補強部50の側に引っ込むことになる。このため、係合爪33の背面側には、貫通孔32の内面に溝部32aが設けられ、係合爪33の背面と接続点補強部50との干渉を避けるようになっている。
【0180】
ストップリング30の後端部の外周面には、雄ねじ部34(ねじ部。外ねじ部)が形成されている。この雄ねじ部34には、スクリューリング35(螺着リング部材)の内周面に形成された雌ねじ部36(内ねじ部)が締付けられるようになっている。これらの雄ねじ部34と雌ねじ部36との間には、外部光ファイバ45の抗張力繊維49の先端部を挟み込んで固定することができる。スクリューリング35は、後端側に開口部37を有し、この開口部37には、外部光ファイバ45の抗張力繊維49及び光ファイバ心線47の部分が挿通されている。開口部37の横断面形状(光ファイバの長手方向に垂直な面における断面形状)は、抗張力繊維49が接続点補強部50と接触するのを避けるため、ある程度の開口寸法を確保することが好ましい。
【0181】
スクリューリング35の外周面には、外部光ファイバ45を保護するための外部光ファイバ用ブーツ65が取り付けられている。ブーツ65は、一般にゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料から構成される。本実施形態の場合、外部光ファイバ45の外被48の周囲には保護チューブ66が取り付けられ、チューブ66の先端側で大径となった環状嵌合部67はブーツ65の内側に嵌め込まれている。
【0182】
上記のハウジング等を組み立てる手順は特に限定されるものではないが、例えば以下の手順が例示できる。
融着接続前に行う事前準備として、外部光ファイバ45の周囲に、フェルール用スプリング24、ストップリング30、スクリューリング35、外部光ファイバ用ブーツ65及び保護チューブ66を通しておく。これらの部品は、融着接続の際に邪魔にならないよう、後方側(図42の右側)に配置することが好ましい。
【0183】
上述したように裸光ファイバ43,46を融着接続し、接続点補強部50を組み立てた後、フェルール280の前方側(図42の左側)からプラグフレーム21を装着してフェルール280をプラグフレーム21の開口部22内に配置した後、ストップリング30をプラグフレーム21側に押し込んで係合爪33を係合窓27に係合させ、フェルール280及び接続点補強部50と共にフェルール用スプリング24を収容する。キャップ290及びカップリング25は、あらかじめプラグフレーム21に装着しておいても、あるいはストップリング30の取付後に装着しても構わない。
【0184】
図52に示すように、抗張力繊維49の先端部をストップリング30の雄ねじ部34付近を通るようにして、プラグフレーム21に装着したキャップ290の引っ掛け用突片292に引っ掛けて引き留め、抗張力繊維49に張力を掛け、この状態で、スクリューリング35の雌ねじ部36を雄ねじ部34に締め付けて抗張力繊維49を固定する。
ストップリング30への固定が完了した抗張力繊維49の先端部がプラグフレーム21の外周上まで伸びている場合は、必要に応じて切除する。さらに、ブーツ65をスクリューリング35に外嵌めしてストップリング30後端を収納するように装着する。以上の手順により、図42に示す光コネクタ100を組み立てることができる。
また、光コネクタ100の組み立て完了と同時に、光コネクタ100前端部にキャップ290が装着された構成のキャップ付き光コネクタ100Aが得られる。
【0185】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、その主旨を変更しない範囲で適宜設計変更可能である。
(1)抗張力繊維をハウジングに固定する方法としては、かしめリングを用いたかしめ固定も採用可能である。
例えば図53A、図53Bに示すように、フェルールを収納するスリーブ状に形成され且つ外周にかしめリング216Aが固定されるかしめリング装着部214cを有するハウジング214Aを採用し、光伝送体(図53A、図53Bでは光ファイバコード2)端末から前記かしめリング装着部214c付近を通るようにして前方に延出させた抗張力繊維集合束2hをキャップ150の引っ掛け用突片152に引き留め、この状態で前記かしめリング216Aを前記かしめリング装着部214cにかしめ固定することで、前記抗張力繊維集合束2hを前記ハウジング214Aに固定可能とした構成も採用可能である。かしめリング装着部214cの外周には、かしめ時にかしめリング216Aを部分的に変形させ、抗張力繊維の固定力を高めるための突部が突設されている。
但し、かしめ固定はかしめリングをかしめるためのかしめ用工具を必要とするのに対し、螺着リング部材の螺着による抗張力繊維の固定は螺着リング部材を回転操作してねじ部に螺着するだけで簡単に実現でき、抗張力繊維の固定に工具を必要としない点で有利である。
(2)光伝送体端末に口出しされた光ファイバをフェルールに内挿固定された内挿光ファイバと光接続するための手法としては特には限定は無い。例えば光ファイバ同士の突き合わせ接続した光ファイバの対を把持固定して突き合わせ接続状態を維持するメカニカルスプライス等も採用可能である。
(3)キャップの抗張力体引留部としては、抗張力繊維の引き留めを実現可能なものであれば良く、引っ掛け用突片に限定されない。
例えば図54に示すキャップ300のように、キャップ本体310の両側にヒンジ部320を介して回転可能に設けられた押さえ板330(抗張力体引留部)によって、抗張力繊維をキャップ本体310外面との間に挟み込んで固定できるようにした構成等も採用可能である。図54のキャップ300の押さえ板330は、該押さえ板330に形成された係合凹所331によって、キャップ本体310に突設された係合爪311に係合することで、キャップ本体310外面に閉じ合わせた状態を維持できる。
【0186】
図55〜図60は、図8〜図13等に示す組立工具の具体例を示すものである。
図55は組立工具370の斜視図である。図56は組立工具370の平面図である。図57は組立工具370の側面図である。図58は組立工具370の縦断面図であり、図56のA1−A1断面図である。図59は組立工具370の要部を拡大した平面図である。図60は組立工具370の横断面図であり、図56のA2−A2断面図である。
【0187】
この組立工具370は、接続補強部50を組み立てるものであって、基台376と、第2補強部材54を所定の位置に保持する補強部材保持部371と、外部光ファイバ45の光ファイバ心線47の部分を保持する心線保持部372と、第1補強部材51の軸部60を回動可能に保持する軸受部374が形成された軸受け支持部373と、外部光ファイバ45の光ファイバ心線47の部分を心線保持部372上に押さえ込む押さえ蓋375とを有する。
以下、図56における右方向を先端方向といい、その反対方向(図56における左方向)を後端方向ということがある。また、図56における左右方向を前後方向ということがある。図示例では裸光ファイバ43,46および外部光ファイバ45は前後方向に沿って配線される(図62等を参照)。
【0188】
図55、図56および図59に示すように、補強部材保持部371は、基台376の上面に上方に突出して形成されており、その上面には、第2補強部材54を保持する保持凹部381が形成されている。保持凹部381は前後方向(図56の左右方向)に沿って形成され、第2補強部材54を前後方向に沿う姿勢で位置決めできる。
図59に示すように、この実施形態では、保持凹部381の両側縁に位置決め凸部381aが内方に突出して形成され、これら両側縁の位置決め凸部381a、381a間に第2補強部材54が嵌合可能である。
【0189】
図55および図56に示すように、心線保持部372は、基台376の上面に上方に突出して形成されており、平坦に形成された上面372aに外部光ファイバ45の光ファイバ心線47を載置可能である(図62等を参照)。上面372aには外部光ファイバ45の幅方向移動を規制する一対の規制凸部383が形成されている。外部光ファイバ45を規制凸部383間に配置することによって、外部光ファイバ45の幅方向位置を定めることができる。
心線保持部372の上面372aには、押さえ蓋375のラッチ部382が嵌入する嵌入凹部384が形成されている。
【0190】
図55、図56および図60に示すように、軸受け支持部373は、向かい合って配置された一対の支持体385、385からなる。図60に示すように、支持体385は、基台376上面に立設された側板部386と、側板部386の上縁から外方(互いに離れる方向)に延出する上板部387とを有するL字状に形成されている。
側板部386は、前後方向に沿う板状とされ、基台376の上面から上方(基台376に垂直な方向)に延出している。これら一対の側板部386、386は向かい合って形成されている。側板部386、386は、軸受部374、374が互いに接近および離間することができるように弾性的に曲げ変形可能とするのが好ましい。
側板部386、386の離間距離は、光ファイバ心線47の幅寸法にほぼ等しいか、またはこれよりわずかに大きく設定することによって、光ファイバ心線47の幅方向の位置決めが可能となる。
図57および図65に示すように、側板部386の前縁部下部は切り欠かれ、これによって側板部386の前縁部には、保持凹部381底部よりやや高い位置に段部386aが形成されている。
【0191】
図55、図58、図60および図65に示すように、軸受部374は、側板部386の前縁部に近い位置に貫通形成された断面略円形の孔部である。軸受部374は、軸部60の外径とほぼ同じ、またはこれよりやや大きい内径を有し、挿入された軸部60を回動自在に支持できる。軸受部374、374は、一対の側板部386、386の互いに対向する位置に形成されている。
側板部386の内面には、上下方向に沿って進入溝部388が形成されている。進入溝部388は、第1補強部材51の軸部60を軸受部374に導くために形成された溝部であり、軸部60が通過可能な幅とされ、側板部386の上縁部から軸受部374に達して形成されている。
図60および図65に示すように、進入溝部388の底部には、凸部388aが形成されている。凸部388aは、軸受部374に嵌合した軸部60が上方移動しにくくなるような高さとされているため、軸受部374に嵌合した軸部60は軸受部374から外れにくくなる。
【0192】
図55および図56に示すように、押さえ蓋375は長板状に形成され、その基端部375aが心線保持部372の一方の外側縁372bにヒンジ結合されている。ヒンジ結合の採用によって、押さえ蓋375を心線保持部372と一体に成形でき、製造コストの点で有利となる。
図62に示すように、押さえ蓋375は基端部375aを支点として回動し、心線保持部372の上面372aに重ねることによって、上面372aとの間に光ファイバ心線47を挟み込むことができる。
押さえ蓋375を心線保持部372の上面372aに重ねた状態で、ラッチ部382を嵌入凹部384に嵌入させ、係止凸部382aを嵌入凹部384内の係止凹部(図示略)に係止させることで、押さえ蓋375が光ファイバ心線47を挟み込んだ状態を維持できる。
ラッチ部382は、外部からの操作により弾性的に曲げ変形させることによって、係止凸部382aの前記係止凹部(図示略)に対する係止および解除を選択できる。
【0193】
図55および図56に示すように、補強部材保持部371の前方には、フェルール12を保持する保持具390を位置決めする位置決め突起391が形成されている。位置決め突起391は、補強部材保持部371との間の収容空間392に収容された保持具390の前方移動を規制することができる。
【0194】
図69および図70は、組立工具370上の第2補強部材54に向けて第1補強部材51を押圧する押圧治具393を示す。図69は押圧治具393を上面側から見た斜視図であり、図70は押圧治具393を下面側から見た斜視図である。
押圧治具393は、基部394と、基部394の両側縁から垂下する脚部395、395とを有し、基部394の下面側には、第1補強部材51を押圧する複数の押圧凸部396が形成されている。図示例では、複数の押圧凸部396は、第1補強部材51の両側縁部に沿う2列に配列され、第1補強部材51の側縁部近傍を第1補強部材51の長さ方向にわたる複数点で押圧できる。
【0195】
次に、組立工具370を用いて接続補強部50を組み立てる方法の一例について説明する。
図61および図66に示すように、補強部材保持部371の保持凹部381内に、第2補強部材54を前後方向に沿う姿勢で保持させる。
図59に示すように、第2補強部材54は位置決め凸部381aによって幅方向のずれが阻止される。
また、図66に示すように、第2補強部材54の底壁部57の前端部57aを側板部386の段部386aの下方に位置させることによって、底壁部57の上方移動を抑えることができるため、上下方向の位置決めも可能となる。底壁部57の前端部または側壁部58の前端部を側板部386に当接させることによって前後方向の位置ずれも規制することができる。
【0196】
次いで、図62に示すように、フェルール12から突出された内挿光ファイバ40の他端部43を外部光ファイバ45の先端部46と融着接続したユニット(図8参照)を組立工具370上に載置する。図示例では、フェルール12は保持具390内に収容されて保持されている。
裸光ファイバ43,46の融着接続部44は、第2補強部材54の上に載置される。
保持具390を補強部材保持部371と位置決め突起391との間の収容空間392に配置すると、保持具390の前後方向の移動が規制されるため、第2補強部材54上における裸光ファイバ43,46の前後方向の位置が定められる。
外部光ファイバ45の光ファイバ心線47は、心線保持部372の上面372aに載置され、一対の規制凸部383、383間に配置することによって幅方向位置が定められる。光ファイバ心線47は側板部386、386によっても幅方向移動が規制される。
【0197】
押さえ蓋375を回動させ、押さえ蓋375と心線保持部372との間に光ファイバ心線47を挟み込むことによって、光ファイバ心線47の位置ずれを防止できる。ラッチ部382を嵌入凹部384に嵌入させ、係止凸部382aを嵌入凹部384内の係止凹部(図示略)に係止させることで、押さえ蓋375が光ファイバ心線47を挟み込んだ状態が維持される。
押さえ蓋375によって光ファイバ心線47を位置決めすることによって、光ファイバ心線47の位置を正確に定め、光ファイバ心線47を直線状に配線することができる。このため、光ファイバ心線47がたわむことなどにより接続補強部50内の裸光ファイバ43,46の固定位置が不適切となるのを防止できる。
【0198】
次いで、図63および図67に示すように、第1補強部材51の軸部60を側板部386の進入溝部388から進入させ、軸受部374に嵌合させる。第1補強部材51の一側方および他側方に突出した軸部60、60は、それぞれ側板部386、386の軸受部374、374に挿入され、これら軸受部374、374に回動可能に支持される。
【0199】
次いで、図64および図68に示すように、軸受部374に嵌合した軸部60を支点として第1補強部材51を回動させ、融着接続部44および裸光ファイバ43,46を一対の補強部材51,54の間に挟み込む。図68に示すように、融着接続部44を一対の補強部材51,54の間に挟み込む際には、係合凸部61を係合凹部62に係合させる。これにより、フェルール12の後方に接続補強部50が組み立てられる。
【0200】
図71に示すように、第1補強部材51を押圧し、融着接続部44および裸光ファイバ43,46を補強部材51,54の間に挟み込む際には、押圧治具393を第1補強部材51上に配置し、押圧凸部396(図70参照)により第1補強部材51を下方に押圧することもできる。
これによって、第1補強部材51の両側縁部近傍を第1補強部材51の長さ方向にわたる複数点で押圧し、すべての係合凸部61を係合凹部62に確実に係合させることができる。
押圧治具393の使用によって、すべての係合凸部61を係合凹部62にほぼ同時に係合させることができるため、係合凸部61が係合凹部62に係合するときに発せられる音が大きくなり、接続補強部50の組み立て完了を作業者が認識しやすくなり、作業性が向上する。
【0201】
次いで、フェルール12の後方に接続補強部50が組み立てられたユニットを組立工具370から取り外す。
凸部388aによって軸部60が上方移動しにくくなっている場合には、側板部386を互いに離れる方向に変形させることによって、軸受部374から軸部60を容易に取り外すことができる。
【0202】
組立工具370によれば、第1補強部材51を第2補強部材54に対して正確に位置決めし、接続補強部50を容易に組み立てできる。
【0203】
本発明では、組立工具370と光コネクタ10とを、光コネクタ組立セットとして扱うことができる。光コネクタ組立セットは、組立工具370と光コネクタ10以外の構成(例えば押圧治具393)を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0204】
2 光ファイバコード(光伝送体)
10,10A 光コネクタ
12 フェルール
17 ブーツ収容穴
18 フェルール用ブーツ
40 内挿光ファイバ
42 一端部(裸光ファイバ)
43 他端部(裸光ファイバ)
44 融着接続部
45,45A 外部光ファイバ(光伝送体)
46 先端部(裸光ファイバ)
50 接続補強部
51 第1補強部材
52a,55a ブーツ把持部
53,56 密着層
54 第2補強部材
61 係合凸部
62 係合凹部
60 軸部
70,80 組立工具
71,81 補強部材保持部
74,84 軸受部
88,89 光ファイバの端部(裸光ファイバ)
90 融着接続部
91,92 光ファイバ(光ファイバ心線)
14 接合端面
15 ガイドピン
15a ガイドピン挿入穴
19 ピンクランプ
171 底部
172 側壁部
173 挿通空間
183 嵌合凹部
190 本体部
191 基端部(突出部分)
192 首部
193 ヘッド部
210 光コネクタ
210A キャップ付き光コネクタ
211 フェルール
214 ハウジング
150 光コネクタ用キャップ
220 光コネクタ
220A キャップ付き光コネクタ
280 フェルール
100 光コネクタ
100A キャップ付き光コネクタ
F 光ファイバ
H ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続相手の光コネクタにおける位置決め用のガイドピンが挿抜自在に挿入可能なガイドピン挿入穴を有するフェルールと、
前記フェルールの接合端面に達する一端部が前記フェルールに固定されるとともに他端部が前記フェルールから延出する光ファイバと、
前記ガイドピン挿入穴に挿入したガイドピンにおける前記フェルールの接合端面側とは反対側から突出した突出部分に、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能なピンクランプとを備え、
前記ピンクランプが、前記ガイドピンの突出部分と嵌合することにより前記ガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部を有し、
前記嵌合凹部は、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に前記ガイドピンの突出部分を出し入れ自在となるように形成されている光コネクタ。
【請求項2】
前記ガイドピンの突出部分には、太径部と、その先端側にあって前記太径部より細径の細径部とが形成され、
前記嵌合凹部は、前記細径部が嵌合することにより前記太径部の先端方向移動を阻止できるように形成されている請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記フェルールは、前記ガイドピン挿入穴を2つ有し、これらの2つのガイドピン挿入穴が、前記光ファイバを挟んだ両側にそれぞれ形成され、
前記ピンクランプは、底部と、その両側にそれぞれ設けられた側壁部とを有し、前記底部と両側の前記側壁部で囲まれた空間が前記光ファイバの挿通空間とされ、
前記ピンクランプが、前記嵌合凹部を2つ有し、これらの2つの前記嵌合凹部が、両側の前記側壁部にそれぞれ形成されている請求項1または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記光ファイバは、内挿光ファイバであり、
前記内挿光ファイバの他端部が外部光ファイバに接続され、
前記内挿光ファイバの前記フェルールから延出した部分には、この部分を被覆するフェルール用ブーツが取り付けられ、
前記ピンクランプは、前記フェルール用ブーツを前記挿通空間に嵌め込み可能に形成されている請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記ピンクランプの側壁部に、内方に突出して前記挿通空間内のフェルール用ブーツの外方移動を規制する保持突起が形成されている請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項6】
接続相手の光コネクタにおける位置決め用のガイドピンが挿抜自在に挿入可能なガイドピン挿入穴を有するフェルールと、前記フェルールの接合端面に達する一端部が前記フェルールに固定されるとともに他端部が前記フェルールから延出する光ファイバとを備えた光コネクタに用いられるピンクランプであって、
前記ガイドピン挿入穴に挿入したガイドピンにおける前記フェルールの接合端面側とは反対側から突出した突出部分に、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能であり、
前記ガイドピンの突出部分と嵌合することにより前記ガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部を有し、前記嵌合凹部が、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に前記ガイドピンの突出部分を出し入れ自在となるように形成されているピンクランプ。
【請求項7】
接続相手の光コネクタにおける位置決め用のガイドピンが挿抜自在に挿入可能なガイドピン挿入穴を有するフェルールと、前記フェルールの接合端面に達する一端部が前記フェルールに固定されるとともに他端部が前記フェルールから延出する光ファイバと、前記ガイドピン挿入穴に挿入したガイドピンにおける前記フェルールの接合端面側とは反対側から突出した突出部分に、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に着脱できるように取り付け可能なピンクランプとを備え、前記ピンクランプが、前記ガイドピンの突出部分と嵌合することにより前記ガイドピン長さ方向の移動を規制する嵌合凹部を有し、前記嵌合凹部が、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向に前記ガイドピンの突出部分を出し入れ自在とされた光コネクタを組み立てる方法であって、
前記光ファイバの他端部を外部光ファイバの先端部に接続する工程と、
前記ガイドピンの突出部分が、前記ガイドピン挿入穴に対し交差する方向から前記嵌合凹部に嵌合されるように、前記ピンクランプを前記ガイドピンの突出部分に取り付ける工程と、を含む光コネクタの組立方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40A】
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【図40B】
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【図41】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43A】
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【図43B】
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【図44】
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【図45A】
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【図45B】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51A】
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【図51B】
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【図51C】
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【図52】
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【図53A】
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【図53B】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公開番号】特開2013−68976(P2013−68976A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8478(P2013−8478)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2011−550022(P2011−550022)の分割
【原出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】