説明

光センサ

【課題】コンパクトな設計が可能な光センサを提供する。
【解決手段】複数の光センサ画素がマトリクス状に配置された光センサアレイと、前記光センサアレイの下側に配置されたバックライトとを備え、前記光センサアレイは、表面遮光膜(例えば、Al膜)を有し、前記表面遮光膜は、前記各光センサ画素に被写体からの光が入射される入射孔と、前記入射孔の周囲に設けられ前記バックライトからの照射光を前記被写体に照射する通過孔とを有する。前記バックライトは、導光板と、前記導光板の側面に配置される光源とを有する。前記導光板の前記光センサアレイと反対側の面に配置される反射膜を有する。前記バックライトは、導光板と、前記導光板の前記光センサアレイと反対側の面に配置される光源とを有する。前記導光板の前記光センサアレイ側の面に配置される複数の光学シート類を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサに係わり、特に、光センサアレイの下側に光源を配置した、静脈認証センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静脈認証センサは、赤外光発光ダイオード(700〜900nm)を光源として受光側にCCD及びピントの合った画像を得るためのレンズを装着している。従来構造を図12〜図14に示す。
図12は、赤外光発光ダイオード8を指1の上に付けた構造、図13は、指1の左右に赤外光発光ダイオード8を設けた構造、図14は、指1の左右斜めに赤外光発光ダイオード8を設けた構造である。
従来の静脈認証センサは、受光素子である光センサアレイ2の上に、手あるいは指1を置き、その手あるいは指1の上、または横、あるいは斜めから赤外光を照らし、手あるいは指1の中に赤外光を入れて、出てきた光をレンズ3にて集光し、光センサアレイ2に入射して静脈の影を投影して認証している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−39594号公報
【特許文献2】特開2010−97483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の静脈認証センサでは、手あるいは指の内部に赤外光を入射させて、静脈の影を映すようにしているので光量が必要とされる。このため、映像が暗く静脈を確認するため映像処理により感度を上る必要がある。さらに、構造的にも、光センサアレイ2以外にレンズ3を使用する必要があるため、赤外光発光ダイオード8と手あるいは指、並びに、手あるいは指と光センサアレイ3との間に距離をとる必要があり、光センサ自体が大きくなり、コンパクトな設計ができないという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、コンパクトな設計が可能な光センサを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)複数の光センサ画素がマトリクス状に配置された光センサアレイと、前記光センサアレイの下側に配置されたバックライトとを備え、前記光センサアレイは、表面遮光膜(例えば、Al膜)を有し、前記表面遮光膜は、前記各光センサ画素に被写体からの光が入射される入射孔と、前記入射孔の周囲に設けられ前記バックライトからの照射光を前記被写体に照射する通過孔とを有する。
(2)(1)において、前記バックライトは、導光板と、前記導光板の側面に配置される光源とを有する。
(3)(2)において、前記導光板の前記光センサアレイと反対側の面に配置される反射膜を有する。
(4)(1)において、前記バックライトは、導光板と、前記導光板の前記光センサアレイと反対側の面に配置される光源とを有する。
(5)(2)または(4)において、前記導光板の前記光センサアレイ側の面に配置される複数の光学シート類を有する。
【0006】
(6)(1)ないし(5)の何れかにおいて、前記各光センサ画素は、金属膜から成る下部電極と、前記下部電極上に設けられるアモルファスシリコン膜と、前記アモルファスシリコン膜上に設けられるn型アモルファスシリコン膜と、前記n型アモルファスシリコン膜上に設けられる上部電極(例えば、ITO)とを有する。
(7)(6)において、前記各光センサ画素の間に設けられる平坦化膜(例えば、有機絶縁膜)を有する。
(8)(6)または(7)において、前記表面遮光膜は、前記平坦化膜と前記上部電極との間に配置され、前記下部電極の前記表面遮光膜の前記貫通孔に対応する箇所にも、前記バックライトからの照射光を前記被写体に照射する通過孔が形成されている。
(9)(6)ないし(8)の何れかにおいて、前記下部電極と前記アモルファスシリコン膜との間に設けられる絶縁膜を有し、前記絶縁膜は、前記各光センサ画素に対応する領域に孔を有し、前記下部電極と前記アモルファスシリコン膜とは、前記絶縁膜上に形成された孔において電気的に接続されている。
(10)(6)ないし(9)の何れかにおいて、前記下部電極は、透明基板上に形成されている。
(11)(6)ないし(10)の何れかにおいて、前記上部電極上に設けられる表面保護層を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、コンパクトな設計が可能な光センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例の光センサの構造を説明するための概略図である。
【図2】図1に示すバックライトとして、エッジライト形バックライトを採用した場合の、本実施例の光センサの概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示すバックライトとして、直下形バックライトを採用した場合の、本実施例の光センサの概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例の光センサにおいて、赤外光通過孔の設ける位置、孔の形状の一例を示す図である。
【図5】図1に示す光センサアレイの平面図である。
【図6】図5に示すA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図7】図1に示す光センサアレイの電極構造を説明するための図である。
【図8】図5ないし図7に示す光センサ画素の等価回路を示す回路図である。
【図9】図5ないし図7に示す光センサアレイの回路構成を示す回路図である。
【図10】図9に示す光センサアレイの駆動方法を説明するためのタイミング図である。
【図11】本発明の実施例の光センサの使用例の一例を示す図である。
【図12】従来の静脈認証センサの一例を説明するための図である。
【図13】従来の静脈認証センサの他の例を説明するための図である。
【図14】従来の静脈認証センサの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例の光センサの構造を説明するための概略図である。
図1において、2は光センサアレイ、B/Kはバックライトである。図1に示すように、本実施例の光センサは、液晶表示パネルのように、光センサアレイ2の下側にバックライト(B/L)を配置し、光センサアレイ2の背面から、被写体である手あるいは指に赤外光を照射し、手あるいは指の表面や少し中に入った静脈を映し出す方式である。そのため、光センサアレイ2には、赤外光通過孔4が形成される。
本実施例において、光センサアレイ2の背面から赤外光を手あるいは指に照射する構造としては、液晶表示パネルのバックライトのように、エッジライト形バックライトと、直下形バックライトの2種類がある。
【0010】
図2は、図1に示すバックライト(B/L)として、エッジライト形バックライトを採用した場合の、本実施例の光センサの概略構成を示す分解斜視図である。
図2に示す構成の場合、バックライト(B/L)は、略矩形形状である導光板6と、この導光板6の一側面(入射面)に配置された赤外光発光ダイオード(光源)8と、導光板6の下面(光センサアレイ2とは反対側の面)側に配置される反射シート7と、導光板6の上面(光センサアレイ2側の面)に配置される光学シート群5と、樹脂モールドフレーム10とを有する。光学シート群5は、例えば、下拡散シート、2枚のレンズシート、および上拡散シートから構成される。尚、光学シート群5は、削除することも可能である。
図3は、図1に示すバックライト(B/L)として、直下形バックライトを採用した場合の、本実施例の光センサの概略構成を示す分解斜視図である。
図3に示す構成の場合、バックライト(B/L)は、略矩形形状である導光板6と、導光板6の下面(光センサアレイ2とは反対側の面)側に配置された赤外光発光ダイオード(光源)8と、導光板6の上面(光センサアレイ2側の面)に配置される光学シート群5と、樹脂モールドフレーム10とを有する。ここでは、光源として、3行×3列の9個の赤外光発光ダイオードが配置されている。光学シート群5は、例えば、下拡散シート、2枚のレンズシート、および上拡散シートから構成される。尚、光学シート群5は、削除することも可能である。
【0011】
図2、図3に示す構成では、赤外光発光ダイオード8から照射された赤外光は、導光板6(あるいは、導光板6と光学シート群5)により均一な光とされ、光センサアレイ2に形成された赤外光通過孔4から照射される。そして、赤外光通過孔4から照射された均一な赤外光は、光センサアレイ2上にかざした手あるいは指内に入射し、表面及び静脈がある部分で反射された光が、光センサアレイ2の各光センサ画素に入射されて映像化される。
赤外光通過孔4の設ける位置、孔の形状は、光センサアレイ2の各光センサ画素のサイズ、表示サイズなどにより、適宜設定する必要があるが、光センサアレイ2の各光センサ画素に直接光が入らず、手あるいは指に照射してから光センサアレイ2の各光センサ画素に入射する位置、構造が望ましい。
図4に、赤外光通過孔4の設ける位置、孔の形状の一例を示す。図4において、20は表面遮光膜であり、表面遮光膜20には、入射孔11と、赤外光通過孔4が形成される。光センサ画素PXには、入射孔11から赤外光が入射される。なお、表面遮光膜20については後述する。
図4(a)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の4隅の周辺の位置に、赤外光が透過する四角な穴を設けたものである。
図4(b)、図4(c)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の相対向する2隅の周辺の位置に、赤外光が透過する四角な穴を設けたものである。
図4(d)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の1隅の周辺の位置に、赤外光が透過する四角な穴を設けたものである。
図4(e)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の4辺の周辺の位置に、赤外光が透過する長方形な穴を設けたものである。
図4(f)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の上下2辺の周辺の位置に、赤外光が透過する長方形な穴を設けたものである。
図4(g)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の左右2辺の周辺の位置に、赤外光が透過する長方形な穴を設けたものである。
図4(h)は、赤外光通過孔4として、表面遮光膜20の入射孔11の1辺の周辺の位置に、赤外光が透過する長方形な穴を設けたものである。
図4(i)は、赤外光通過孔4として、隣接する2つの光センサ画素PXの間に、赤外光が透過する長方形な穴を設けたものである。
【0012】
以下、図1に示す光センサアレイ2の構造の一例について、図5ないし図7を用いて説明する。
図5は、図1に示す光センサアレイ2の平面図であり、図1に示す光センサアレイ2を上から見た図である。
図6は、図5に示すA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
図7は、図1に示す光センサアレイ2の電極構造を説明するための図である。
なお、図5、図7では、光センサ画素PXは、2×2の4個のみしか図示していないが、実際の光センサアレイ2では、例えば、100×150の光センサ画素PXが設けられる。
図6、図7に示す光センサアレイ2では、光センサ画素PXとして、アモルファスシリコン膜(a−Si)と、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)を使用する。
図6、図7に示すように、光センサ画素PXは、下部電極25と、下部電極25上に積層されるアモルファスシリコン膜(a−Si)31と、アモルファスシリコン膜(a−Si)31上に積層され、燐(ドーズ)をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30と、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30上に配置される上部電極21とで構成される。
即ち、本実施例では、上部電極21と下部電極25との間に、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30とアモルファスシリコン膜(a−Si)31とを挟持した構造である。
ここで、上部電極21と下部電極25とはそれぞれ、アモルファスシリコン膜(a−Si)31と、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30とオーミックな接続を取れるもの、又は、後述する順バイアス方向に関してはオーミックな接続を取れるものを選択するのが好ましい。また、光センサとして用いるため、光の入射側の電極は、所望の波長の光を透過するものを選ぶ必要がある。一例を挙げれば、上部電極21は、ITO(Indium Tin Oxide)、下部電極25は、MoW/Al−Si/MoWで構成される。
【0013】
下部電極25は、透明絶縁基板(例えば、ガラス基板)(SUB)上に形成される。さらに、下部電極25上には、SiOで構成される絶縁膜24が形成される。絶縁膜24には孔が形成され、絶縁膜24に形成された孔で、下部電極25とアモルファスシリコン膜(a−Si)31とは接続(オーミックな接続)される。なお、下部電極25は、バックライト(B/L)から照射された赤外光が、直接光センサ画素に入射されるのを防止する裏面遮光膜を兼用する。
各光センサ画素PXの間には、光硬化性樹脂で構成される有機平坦化膜23が設けられる。換言すれば、各光センサ画素PXは、有機平坦化膜23に形成された孔の中に配置されている。
有機平坦化膜23上には、Alなどで構成される表面遮光膜20が形成される。この表面遮光膜20は、光センサ画素PXのアモルファスシリコン膜(a−Si)31に、例えば、不要な赤外光が斜めに入射し、光センサ画素PXで検出されるセンサ出力にノイズが重畳されるのを防止する。図6に示すように、表面遮光膜20は、上部電極21と有機平坦化膜23との間に設けられる。
図6に示すように、赤外光通過孔4は、下部電極25、絶縁膜24、有機平坦化膜23、表面遮光膜20を貫通するように形成される。なお、有機平坦化膜23と絶縁膜24とが、赤外光を通過する材質であれば、有機平坦化膜23と絶縁膜24に赤外光通過孔4を形成する必要はない。
さらに、各光センサ画素PXの上部電極21上には、SiNで構成される表面保護層22が形成される。
図7に示すように、下部電極25は、例えば、図7のY方向に延在し、上部電極21と表面遮光膜20とは、例えば、図7のX方向に延在する。そして、下部電極25と上部電極21との交差部分に、光センサ画素PXが形成される。
【0014】
図8は、図5ないし図7に示す光センサ画素PXの等価回路を示す回路図である。
図8のダイオードDに示すように、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30は、アモルファスシリコン膜(a−Si)31に比べ強いn型半導体であるため、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30とアモルファスシリコン膜(a−Si)31の接続面は、アモルファスシリコン膜(a−Si)31側を正極(アノード)に、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)30側を負極(カソード)にしたときに順方向となるようなダイオード特性を示す。また、図8のASに示すように、アモルファスシリコン膜(a−Si)31は、光依存性可変抵抗素子を構成する。
そして、アモルファスシリコン膜(a−Si)の上に燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)を積層することで、燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)と、アモルファスシリコン膜(a−Si)とで構成されるダイオードにより増幅された光電流を得ることができる。
実験によれば、図5ないし図7に示すアモルファスシリコン膜(a−Si)の上に燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)を積層した構造では、アモルファスシリコン膜(a−Si)のみの構造に比べ、10000倍程度の電流増幅効果がある。
【0015】
以下、図9、図10を用いて、図5ないし図7に示す光センサアレイ2について説明する。
図9は、図5ないし図7に示す光センサアレイ2の回路構成を示す回路図である。なお、図9では、PX1〜PX4の4つの光センサ画素のみを図示しているが、実際は、例えば、100×150の光センサ画素が配置される。
マトリクス状に配置された光センサ画素(PX1〜PX4)の各行の光センサ画素の上部電極21は、複数の走査線(G1,G2,..)に接続される。したがって、各光センサ画素(PX1〜PX4)のダイオードDは、カソードが走査線(G1,G2,..)に接続される。
各走査線(G1,G2,..)は、シフトレジスタ52に接続され、シフトレジスタ52は、1水平走査期間毎に、Lowレベル(以下、Lレベル)の選択走査電圧を順次走査線(G1,G2,..)に供給する。
また、マトリクス状に配置された光センサ(PX1〜PX4)の各列の光センサ画素の下部電極25は、複数の読出線(S1,S2,..)に接続される。1水平走査期間の読出線(S1,S2,..)の電圧変化が、信号電圧としてボンディングパッド(PAD1、PAD2,..)から外部の信号処理回路(図示せず)に出力される。
シフトレジスタ52は、半導体チップ内に搭載される回路で構成され、光センサアレイが作製される基板上に配置される。あるいは、シフトレジスタ52は、ガラス基板などの光センサアレイ基板上に、半導体層がポリシリコン膜から成る薄膜トランジスタからなる回路で構成される。
【0016】
図10は、図9に示す光センサアレイ2の駆動方法を説明するためのタイミング図である。以下、図10を用いて、図5ないし図7に示す光センサアレイ2の駆動方法について説明する。なお、図10において、シフトレジスタ52により、各光センサ画素行は、紙面上、上から下へ順次走査されるもの、即ち、図10において、ゲート線Gには、番号の若い順に順次Lレベルの電圧が加わるものとする。
まず、1水平走査期間HSYNCのブランキング期間に、信号RGがHighレベル(以下、Hレベル)となり、リセットトランジスタTLSがオンとなる。これにより、各読出線(S1,S2,..)がリセットされ、各読出線(S1,S2,..)は、一定電位(例えば、3V)に揃えられる。この信号RGがHレベルの期間は、各走査線(G1,G2,..)はHレベル(例えば、3V)となっている。
次に、信号RGがLレベルとなると、G1の走査線の電圧レベルがLowレベル(以下、Lレベル;例えば、0Vの接地電位)、それ以外の走査線の電圧レベルがHレベルとなる。これにより、G1の走査線に、カソードが接続されている光センサ画素のダイオードDがON状態、G1の走査線以外の走査線に、カソードが接続されている光センサ画素のダイオードDがOFF状態となるので、PX1とPX2の光センサ画素がON状態、PX3とPX4の光センサ画素がOFF状態となる。
PX1とPX2の光センサ画素には、光が入射しており、入射光に応じて光センサ画素の光依存可変抵抗素子ASの抵抗値が変化する。これにより、読出線(S1,S2,..)から走査線G1に流れる電流が変化し、各読出線(S1,S2,..)の電位(詳しくは、各読出線に接続される浮遊容量Csの電位)が低下する。
この電圧変化を、各読出線(S1,S2,..)の信号電圧として読み取る。この様子を、図10の、読出線波形S1〜として図示する。
G1以外の走査線についても、同様の処理を行い信号電圧を取り込む。
【0017】
図11は、本実施例の光センサの使用例の一例を示す図であり、図11(a)に示すように、本実施例の光センサを、静脈認証装置の静脈センサ55として、ノートパソコンに組み込んだものである。
図11(b)に示すように、光センサアレイ2の下側に配置されたバックライト(B/L)から赤外光を手あるいは指1に照射し、図11(c)に示すように、手あるいは指1の表面や少し中に入った静脈56を映し出する。
図11では、ノートパソコンのキーボード部分に設ける構造であるためコンパクト設計を有する。本実施例は、赤外光LEDを持つバックライト(B/L)を、光センサアレイ2の背面に配置する構造であるため、薄く設計でき、コンパクトな設計とすることができる。
これに対して、従来の光センサ画素として、CCDもしくはMOSを使用する光センサアレイでは、背面からの照射は不可能であり、また、レンズを使用するため、赤外光光源と、手あるいは指、あるいは、手あるいは指と、レンズ間に一定の距離を有し、コンパクトな設計が不可能である。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0018】
1 指
2 光センサアレイ
3 レンズ
4 赤外光通過孔
5 光学シート群
6 導光板
7 反射シート
8 赤外線光発光ダイオード
10 樹脂モールドフレーム
11 入射孔
20 表面遮光膜
21 上部電極
22 表面保護層
23 有機平坦化膜
24 絶縁層
25 下部電極
30 燐をドープしたn型アモルファスシリコン膜(n+a−Si)
31 アモルファスシリコン膜(a−Si)
52 シフトレジスタ
55 静脈センサ
56 静脈
B/L バックライト
PX 光センサ画素
TLS トランジスタ
AS 光依存可変抵抗素子
D ダイオード
G 走査線
S 読出線
Cs 浮遊容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光センサ画素がマトリクス状に配置された光センサアレイと、
前記光センサアレイの下側に配置されたバックライトとを備え、
前記光センサアレイは、表面遮光膜を有し、
前記表面遮光膜は、前記各光センサ画素に被写体からの光が入射される入射孔と、
前記入射孔の周囲に設けられ前記バックライトからの照射光を前記被写体に照射する通過孔とを有することを特徴とする光センサ。
【請求項2】
前記バックライトは、導光板と、
前記導光板の側面に配置される光源とを有することを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
前記導光板の前記光センサアレイと反対側の面に配置される反射膜を有することを特徴とする請求項2に記載の光センサ。
【請求項4】
前記バックライトは、導光板と、
前記導光板の前記光センサアレイと反対側の面に配置される光源とを有することを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
【請求項5】
前記導光板の前記光センサアレイ側の面に配置される複数の光学シート類を有することを特徴とする請求項2または請求項4に記載の光センサ。
【請求項6】
前記各光センサ画素は、金属膜から成る下部電極と、
前記下部電極上に設けられるアモルファスシリコン膜と、
前記アモルファスシリコン膜上に設けられるn型アモルファスシリコン膜と、
前記n型アモルファスシリコン膜上に設けられる上部電極とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光センサ。
【請求項7】
前記各光センサ画素の間に設けられる平坦化膜を有することを特徴とする請求項6に記載の光センサ。
【請求項8】
前記絶縁膜は、有機絶縁膜であることを特徴とする請求項7に記載の光センサ。
【請求項9】
前記表面遮光膜は、前記平坦化膜と前記上部電極との間に配置され、
前記下部電極の前記表面遮光膜の前記貫通孔に対応する箇所にも、前記バックライトからの照射光を前記被写体に照射する通過孔が形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の光センサ。
【請求項10】
前記下部電極と前記アモルファスシリコン膜との間に設けられる絶縁膜を有し、
前記絶縁膜は、前記各光センサ画素に対応する領域に孔を有し、
前記下部電極と前記アモルファスシリコン膜とは、前記絶縁膜上に形成された孔において電気的に接続されていることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の光センサ。
【請求項11】
前記下部電極は、透明基板上に形成されることを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれか1項に記載の光センサ。
【請求項12】
前記上部電極上に設けられる表面保護層を有することを特徴とする請求項6ないし請求項11のいずれか1項に記載の光センサ。
【請求項13】
前記上部電極は、ITOであり、
前記表面遮光膜は、Alであることを特徴とする請求項6ないし請求項12のいずれか1項に記載の光センサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−73701(P2012−73701A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216375(P2010−216375)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】