説明

光トランシーバ

【課題】電気光学部品の外部リードと回路基板との電気的接続部に発生する応力を抑制する光トランシーバを提供することを目的とする。
【解決手段】光トランシーバは、電気的な接続のための外部リード12を有する電気光学部品10と、外部リード12がはんだ付けされた回路基板22と、電気光学部品10と回路基板22を接着する接着部26と、電気光学部品10と回路基板22を接着部26よりも強固に固定する固定部28と、を有し、固定部28は、接着部26よりも外部リード12のはんだ付けされる部分から離れて設けられ、接着部26の少なくとも一部は、固定部28よりも外部リード12のはんだ付けされる部分に近い位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に実装される電気光学部品は、光学的な接続部の他に電気的な接続部(例えば外部リード)を有している。外部リードは、通常、回路基板にはんだ付けされる。また、光トランシーバでは、電気光学部品を回路基板や筺体にねじで局所的に締結することが多い。
【0003】
光トランシーバは、その使用環境により、振動・熱など様々な影響を受けるが、特に振動は、回路基板や電気光学部品に伝達され、外部リードのはんだ付け部に悪影響を及ぼす。特に、固有振動時は、回路基板と電気光学部品が乖離または外部リードを圧縮する動きをとる振動モードがあるため影響が大きい。
【0004】
この問題に対して、特許文献1には、電子部品の外部リードの中間に形成された保持部を基板にはんだ付けして、先端にある導通部のはんだ付け部にかかる応力を抑制する方法が開示されている。また、特許文献2には、電子部品の外部リードを立体的形状にすることで、発生する振動を外部リードのばね性で減衰させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−279579号公報
【特許文献2】特開2000−223812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、外部リードを保持部で折り返すために、外部リードの成形が単純な成形法では困難である。また、外部リード自体の長さも長くする必要があり、実用的ではなかった。また、特許文献2に記載された技術は、外部リードの成形を必要とし、汎用的ではなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電気光学部品の外部リードと回路基板との電気的接続部に発生する応力を抑制する光トランシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る光トランシーバは、電気的な接続のための外部リードを有する電気光学部品と、前記外部リードがはんだ付けされた回路基板と、前記電気光学部品と前記回路基板を接着する接着部と、前記電気光学部品と前記回路基板を前記接着部よりも強固に固定する固定部と、を有し、前記固定部は、前記接着部よりも前記外部リードのはんだ付けされる部分から離れて設けられ、前記接着部の少なくとも一部は、前記固定部よりも前記外部リードのはんだ付けされる前記部分に近い位置に設けられることを特徴とする。本発明によれば、強固に固定する固定部を支点として回路基板が撓むので、支点の近くでは撓みによって大きな応力が生じる。
【0009】
(2)(1)に記載された光トランシーバにおいて、前記接着部は、前記電気光学部品の底面に貼り付けられ、前記外部リードは、前記電気光学部品の前記底面から上方に立ち上がる側面から延出して、前記底面の外側ではんだ付けされることを特徴としてもよい。
【0010】
(3)(2)に記載された光トランシーバにおいて、前記電気光学部品の前記底面は、前記外部リードの根元の直下に隣接する領域を含み、前記領域に前記接着部の少なくとも一部が設けられ、前記領域を避けて前記固定部が設けられることを特徴としてもよい。
【0011】
(4)(3)に記載された光トランシーバにおいて、複数の前記固定部を有し、前記複数の前記固定部の全てを頂点又は内側に配置する最小面積の多角形が、前記外部リードの前記根元の直下に隣接する前記領域を避けて位置することを特徴としてもよい。
【0012】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、前記電気光学部品、前記回路基板及び前記接着部を収容するケースをさらに有し、前記ケースは、上ケース及び下ケースを含み、前記回路基板の周縁部が、前記上ケース及び前記下ケースに挟まれて配置されることを特徴としてもよい。
【0013】
(6)(5)に記載された光トランシーバにおいて、前記固定部は、前記下ケースと前記回路基板の固定も兼ねることを特徴としてもよい。
【0014】
(7)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、前記電気光学部品、前記回路基板及び前記接着部を収容するケースをさらに有し、前記ケースは、上ケース及び下ケースを含み、前記固定部は、前記下ケースと前記回路基板の固定も兼ねることを特徴としてもよい。
【0015】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、前記固定部は、ネジを含むことを特徴としてもよい。
【0016】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、前記接着部は、両面接着テープであることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る光トランシーバの分解斜視図である。
【図2】電気光学部品の底面斜視図である。
【図3】回路基板の上面図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例に係る光トランシーバの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る光トランシーバの分解斜視図である。図2は、電気光学部品の底面斜視図である。図3は、回路基板の上面図である。
【0020】
光トランシーバは、電気光学部品10を有する。電気光学部品10の一例である光変調器(例えばLN変調器)は変調光を出力する。電気光学部品10は、高速かつ長距離光伝送に必要な大型光デバイスである。電気光学部品10は、電気的な接続のための外部リード12を有する。外部リード12は、単純な屈曲により形成されている。外部リード12は、電気光学部品10の底面14(図2参照)から上方に立ち上がる側面16から延出している。外部リード12(詳しくはその先端部)は、電気光学部品10の底面14の外側ではんだ付けされる。電気光学部品10の底面14は、外部リード12の根元の直下に隣接する領域18を含む。また、電気光学部品10の底面14には、取付用のねじ穴20が設けられている。
【0021】
光トランシーバは、回路基板22を有する。回路基板22は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる基板と、基板上に形成された図示しない配線パターンと、を含む。回路基板22上には、図示しない光学部品や電子部品が搭載されている。回路基板22(詳しくは図示しない配線パターン)に、外部リード12がはんだ付けされる。図3に示すように、回路基板22には、電気光学部品10とのねじ締結用の孔24aが形成されている。回路基板22は、上ケース32とのねじ締結に使用される孔24bと、上ケース32及び下ケース34のねじ締結に使用される孔(又は切り欠き)24cも有する。
【0022】
光トランシーバは、図1に示すように、電気光学部品10と回路基板22を接着する接着部26を有する。接着部26は、電気光学部品10の底面14に貼り付けられる。外部リード12の根元の直下に隣接する領域18に接着部26の少なくとも一部が設けられている。接着部26は、両面接着テープである。両面接着テープは、たとえば、基材が不織布からなり、基材両面にアクリル系粘着剤を有する。
【0023】
光トランシーバは、電気光学部品10と回路基板22を接着部26よりも強固に固定する複数の固定部28を有する。固定部28は局所的に設けられる。固定部28は、ネジ28a及びねじ穴20(図2参照)を含む。ネジ28aを回路基板22の孔24a(図3参照)に通して、電気光学部品10のねじ穴20に締結する。固定部28は、外部リード12の根元の直下に隣接する領域18を避けて設けられる。図2に示すように、複数の固定部28の全てが頂点又は内側に位置する最小面積の多角形Pを描いたときに、この多角形Pは、外部リード12の根元の直下に隣接する領域18を避けて位置する。
【0024】
固定部28は、接着部26よりも外部リード12のはんだ付けされる部分(例えば先端部)から離れて設けられている。そして、接着部26の少なくとも一部は、固定部28よりも外部リード12のはんだ付けされる部分に近い位置に設けられる。
【0025】
本実施形態によれば、強固に固定する固定部28を支点として回路基板22が撓むので、支点の近くでは撓みによって大きな応力が生じる。
【0026】
光トランシーバは、電気光学部品10、回路基板22及び接着部26を収容するケース30を有する。言い換えると、ケース30は、種々の部品(電気光学部品10など)を収納するための内部空間を有する。ケース30は、その内部空間に収納される部品を保護する役割を果たす。ケース30は、たとえばアルミニウムからなる。ケース30は、上ケース32及び下ケース34を含む。上ケース32には、回路基板22がネジ28bで固定される。ネジ28bは回路基板22の孔24b(図3参照)を通る。上ケース32と下ケース34は、ネジ28cで固定される。ネジ28cは、回路基板22の周縁部22a(図3参照)を貫通するネジと、回路基板22の中央部(周縁部22aを除く部分)を貫通するネジとを含む。なお、回路基板22は、下ケース34にはねじ止めされていないが、図3に示すように、回路基板22の周縁部22aが、上ケース32及び下ケース34に挟まれることでケース30に挟持される。
【0027】
[変形例]
図4は、本発明の実施形態の変形例に係る光トランシーバの分解斜視図である。上述した実施形態(図1参照)では、4つのネジ28aが回路基板22を貫通して電気光学部品10と回路基板22を固定している。これに対して、図4に示す本変形例では、少なくとも1つの固定部128は、下ケース134と回路基板122の固定も兼ねる。すなわち、電気光学部品110を固定するネジ128aは、下ケース134及び回路基板122を貫通して、電気光学部品110と下ケース134を固定しており、両者間に回路基板122が挟まれる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。また上記実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。たとえば、上記実施形態では、電気光学部品10(光変調器)は直方体だが、円柱状のものを採用してもよい。
【符号の説明】
【0029】
P 多角形、10 電気光学部品、12 外部リード、14 底面、16 側面、18 領域、20 ねじ穴、22 回路基板、22a 周縁部、24a 孔、24b 孔、24c 孔、26 接着部、28 固定部、28a ネジ、28b ネジ、28c ネジ、30 ケース、32 上ケース、34 下ケース、110 電気光学部品、122 回路基板、128 固定部、128 ネジ、134 下ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な接続のための外部リードを有する電気光学部品と、
前記外部リードがはんだ付けされた回路基板と、
前記電気光学部品と前記回路基板を接着する接着部と、
前記電気光学部品と前記回路基板を前記接着部よりも強固に固定する固定部と、
を有し、
前記固定部は、前記接着部よりも前記外部リードのはんだ付けされる部分から離れて設けられ、
前記接着部の少なくとも一部は、前記固定部よりも前記外部リードのはんだ付けされる前記部分に近い位置に設けられることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載された光トランシーバにおいて、
前記接着部は、前記電気光学部品の底面に貼り付けられ、
前記外部リードは、前記電気光学部品の前記底面から上方に立ち上がる側面から延出して、前記底面の外側ではんだ付けされることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項3】
請求項2に記載された光トランシーバにおいて、
前記電気光学部品の前記底面は、前記外部リードの根元の直下に隣接する領域を含み、
前記領域に前記接着部の少なくとも一部が設けられ、
前記領域を避けて前記固定部が設けられることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項4】
請求項3に記載された光トランシーバにおいて、
複数の前記固定部を有し、
前記複数の前記固定部の全てを頂点又は内側に配置する最小面積の多角形が、前記外部リードの前記根元の直下に隣接する前記領域を避けて位置することを特徴とする光トランシーバ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、
前記電気光学部品、前記回路基板及び前記接着部を収容するケースをさらに有し、
前記ケースは、上ケース及び下ケースを含み、
前記回路基板の周縁部が、前記上ケース及び前記下ケースに挟まれて配置されることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項6】
請求項5に記載された光トランシーバにおいて、
前記固定部は、前記下ケースと前記回路基板の固定も兼ねることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、
前記電気光学部品、前記回路基板及び前記接着部を収容するケースをさらに有し、
前記ケースは、上ケース及び下ケースを含み、
前記固定部は、前記下ケースと前記回路基板の固定も兼ねることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、
前記固定部は、ネジを含むことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された光トランシーバにおいて、
前記接着部は、両面接着テープであることを特徴とする光トランシーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−94687(P2012−94687A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240822(P2010−240822)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】