光ピックアップヘッド装置及び光情報装置及び光情報再生方法
【課題】 光記憶媒体のトラックである溝を作製するときに誤差が有り、TE信号振幅が変動する光記憶媒体を用いた場合に、TE信号振幅の変動を低減する。
【解決手段】 所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用い、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記複数のビームは、トラックと直交する方向の異なる位置を照射し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記複数のビームから得られる信号を操作する。
【解決手段】 所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用い、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記複数のビームは、トラックと直交する方向の異なる位置を照射し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記複数のビームから得られる信号を操作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク及びスペースで情報を記録する光記憶媒体に対して情報の記録、再生もしくは消去を行う光ピックアップヘッド装置、光情報装置及び情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度・大容量の記憶媒体として、近年、DVDと称する高密度・大容量の光ディスクが実用化され、動画のような大量の情報を扱える情報媒体として広く普及している。
【0003】
図70は、記録再生が可能な光情報装置としての光ディスクシステムにおける光ピックアップで用いられている、一般的な光学系の構成を示した図である。従来の構成は、光記憶媒体に3つのビームを照射してトラッキング誤差信号を検出している(例えば、特開平3−005927号公報(第5−8頁、第2図)(特許文献1)参照)。
【0004】
半導体レーザなどの光源1は、波長λ1が405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射された発散性のビーム70は、焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52に入射する。偏光ビームスプリッタ52に入射したビーム70は、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40の透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NAを0.85としている。透明基板40aの厚さは、0.1mmである。光記憶媒体40は、情報記録面40bを有している。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、トラックピッチtpは0.32μmである。
【0005】
情報記録面40bで反射されたビーム70は、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射されたビーム70は、焦点距離f3が30mmの集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を経て、光検出器30に入射する。ビーム70には、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0006】
光検出器30は、4つの受光部30a〜30dを有している。受光部30aから30dは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I30a〜I30dを出力する。
【0007】
非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号は、(I30a+I30c)−(I30b+I30d)により得られ、プッシュプル法によるトラッキング誤差(以下TEとする)信号は、(I30a+I30d)−(I30b+I30c)により得られ、光記憶媒体40に記録された情報(以下RFとする)信号は、I30a+I30b+I30c+I30dにより得られる。FE信号及びTE信号は、所望のレベルに増幅及び位相補償が行われた後、アクチュエータ91及び92に供給されて、フォーカス及びトラッキング制御がなされる。
【0008】
しかしながら、1枚の光記憶媒体40に記憶する情報の容量を増加するために、トラックピッチを狭くしていくと、トラックを作製するときの精度もその分向上しなければならないが、現実には、ある絶対的な量の誤差が存在するために、トラックピッチを狭くしていくと、トラックピッチに対する作製誤差量は相対的に増大する。したがって、DVDと比較して、この誤差の影響は非常に大きくなっている。
【0009】
図71に、光記憶媒体40に形成されたトラックと直交する方向にビーム70を走査したときに得られるTE信号を示す。横軸に示すTn−4、・・・、Tn+4は、光記憶媒体40の情報記録面40bに形成されたトラックを示しており、図中において垂直方向に伸びる実線はトラックピッチがtpで一律に形成された場合の各トラックTn−4、・・・、Tn+4の中心位置をそれぞれ示している。ここで、トラックTn−1はΔn−1だけ、トラックTnはΔnだけ、本来のトラックTn−1およびTnが形成されるべき位置からそれぞれずれた位置に形成されており、Δn−1は+25nm、Δnは−25nmである。その結果、TE信号の振幅は、トラックTn−1の近傍で最大が振幅a、最小が振幅bを示し、すなわち大きく変動する。また、TE信号のゼロクロス点の位置は、トラックTn−1ではoft1だけ、トラックTnではoft2だけ、トラックTn−1およびTnの中心からそれぞれずれる。すなわち、ずれoft1とずれoft2はオフトラック量を表す。
【特許文献1】特開平3−005927号公報(第5−8頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
TE信号振幅の変動量をΔPP=(振幅a−振幅b)/(振幅a+振幅b)と定義し、上記のような従来の構成によってTE信号を検出する場合、変動量ΔPPは0.69、ずれoft1は+33nm、ずれoft2は−33nmと、大きな値を示す。このようにTE信号振幅の変動量ΔPPが大きく変動すると、トラックTn−1及びTnではトラッキング制御の利得が低下して、トラッキング制御が不安定になり、情報を信頼性高く記録及び再生することができないという問題があった。
【0011】
本発明は、TE信号振幅の変動を低減し、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光ピックアップヘッド装置、光情報装置、及び情報再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと第1のサブビームと第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームがトラック上に位置するとき、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームとはトラック間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる第1のプッシュプル信号の振幅が変動するとき、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成することを特徴とする。
【0013】
前記第1のプッシュプル信号は、前記メインビームの中央付近における領域が用いられずに生成され、前記第2のプッシュプル信号は、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームの中央付近における領域が用いられずに生成されることが好ましい。
【0014】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0015】
前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームとはそれぞれ4つの受光部で受光され、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームとをそれぞれ受光する前記4つの受光部からの出力をI1〜I4、kを実数としたとき、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号とは、(I1−I2)−k・(I3−I4)の演算でそれぞれ得られることが好ましい。
【0016】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0017】
本発明に係る他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記ビームは前記複数の受光部で受光され、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するとき、前記ビームを受光する4つの受光部の出力をI1〜I4、kを実数とし、プッシュプル信号を(I1−I2)−k・(I3−I4)の演算で得ることを特徴とする。
【0018】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0019】
前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記ビームの中央付近における領域が用いずに前記プッシュプル信号を生成することが好ましい。
【0020】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0021】
前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を多く含む領域を通った光を前記受光部で受光することで前記出力I1と前記出力I2とが前記受光部から出力され、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を殆ど含まない領域を通った光を前記受光部で受光することで前記出力I3と前記出力I4が前記受光部から出力され、前記集光光学系で集光されるビームの集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における領域の前記集光光学系の中心からの距離をL1とし、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光の集光光学系の中心からの最小の距離をL2としたとき、距離L1と距離L2との間の領域を通った光を前記受光部で受光することで出力I3と出力I4とが前記受光部から出力されることが好ましい。
【0022】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記ビームは前記複数の受光部で受光され、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するとき、前記ビームの中央付近における領域が用いずに前記プッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記ビームは前記複数の受光部で受光され、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するとき、前記ビームの中央付近における領域が用いずに前記プッシュプル信号を生成することを特徴とする。
【0024】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、前記集光光学系における前記トラックの写像と平行な線分に対して対称な形状を有していることが好ましい。
【0025】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、矩形であることが好ましい。
【0026】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、正方形であることが好ましい。
【0027】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、糸巻き形状であることが好ましい。
【0028】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けたビームの光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、所望の焦点位置にビームを照射させる制御を行うための信号であるフォーカス誤差信号を生成するフォーカス誤差信号生成手段と、前記光記憶媒体に集光されたビームの位置に情報が記録されているかどうかを検出する記録未記録検出手段と、前記トラッキング誤差信号の振幅を係数kで制御する振幅制御手段とを具備し、前記振幅制御手段が、前記記録未記録検出手段から生成される信号と前記フォーカス誤差信号生成手段から生成される信号とを用いて制御されることを特徴とする。
【0029】
記録未記録検出手段が、光記憶媒体に記録されたマーク及びスペースに応じて変化する信号の振幅と、光検出手段から出力される信号から低域濾波手段を用いて低い周波数成分の信号とを検出することで、光記憶媒体に集光されたビームの位置に情報が記録されているかどうかを検出することが好ましい。
【0030】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するときの前記振幅の変化量が最小となるように、kを設定することが好ましい。
【0031】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となる光ビームの位置が、前記トラックの中央に近づくように、kを設定することが好ましい。
【0032】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときの変化量が最小となるkの値をk1とし、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となるときの光ビームの位置が、前記トラックの中央に最も近づくときのkの値をk2としたとき、前記kが前記k1と前記k2との間の値に設定されることが好ましい。
【0033】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記ビーム分岐手段は複数の領域を有し、前記ビーム分岐手段上におけるビームの大きさをDとし、前記集光光学系の開口数をNAとし、前記光記憶媒体から前記光検出器に至るまでの光ピックアップヘッド装置における光学系の横倍率をαとし、前記情報記録面と反射面との間の間隔をdとし、前記情報記録面と前記反射面との間の間隔dに存在する屈折率をn2とし、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記ビーム分岐手段が、前記ビームが照射される中央付近における領域が幅hに渡って、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部とは異なる方向に向かって前記ビームを分岐するとき、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部の幅Sは、S≦2・h・α・NA・d/(D・n2)の関係を有することを特徴とする。
【0034】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記ビーム分岐手段は、5つの異なる領域を有し、前記ビームが照射される中央付近における領域において幅hに渡って、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部とは異なる方向に向かって前記ビームを分岐し、他の4つの領域において大略同じ方向に向かって前記ビームを分岐することを特徴とする。
【0035】
前記集光光学系は、トラッキング制御に伴い駆動され、前記ビーム分岐手段は、前記集光光学系が駆動されたときに前記受光部上の写像が移動する方向とは略直交する方向に沿って前記ビームを分岐し、前記ビームを用いて前記トラッキング誤差信号が生成されることが好ましい。
【0036】
前記ビーム分岐手段における複数の領域から分岐されたビームは、概隣接した複数の受光部で受光されることが好ましい。
【0037】
前記ビーム分岐手段の第1の領域と第2の領域とにおいて分岐されたビームは、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を多く含み、前記ビーム分岐手段の第3の領域と第4の領域とにおいて分岐されたビームは、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を殆ど含まず、前記第1の領域で分岐されたビームと前記第2の領域で分岐されたビームとを結ぶ前記光検出手段上における第1の仮想の線分と前記第3の領域で分岐されたビームと前記第4の領域で分岐されたビームとを結ぶ前記光検出手段上における第2の仮想の線分とは前記光検出手段上におけるトラックの写像とそれぞれ直交していることが好ましい。
【0038】
前記概隣接した複数の受光部の輪郭が矩形であることが好ましい。
【0039】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記ビーム分岐手段は、5つの異なる領域を有し、前記ビームが照射される中央付近の領域において幅hに渡って、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部とは異なる方向に向かって前記ビームを分岐し、他の4つの領域において大略同じ方向に向かって前記ビームを分岐し、前記光検出手段は、5つの受光部を互いに近接した位置に有し、前記ビーム分岐手段における他の4つの領域において分岐されたビームはそれぞれ1つの受光部で受光され、前記ビーム分岐手段の他の4つの領域で分岐されたビームを受光する4つの受光部から出力される信号をI1〜I4とし、前記ビーム分岐手段によって分岐されたビームを受光する4つの受光部に近接して設けられた受光部から出力される信号をI5とし、kを実数としたとき、前記トラッキング誤差信号生成手段は前記プッシュプル信号を{(I1−I5)−k1・(I2−I5)}−k・{(I3−I5)−k2・(I4−I5)}の演算で得ることを特徴とする。
【0040】
前記ビーム分岐手段で分岐されたビームは、前記受光部上で概焦点を結ぶことが好ましい。
【0041】
前記フォーカス誤差信号を検出するための信号を出力する受光部と、前記トラッキング誤差信号を検出するための信号を出力する受光部とが一体化されていることが好ましい。
【0042】
前記光ピックアップヘッド装置は,前記光記憶媒体から前記光検出器に至る光路中に、非点収差をビームに付与する非点収差発生手段をさらに含んでおり、前記フォーカス誤差信号は、前記非点収差を与えられたビームに基づいて検出されることが好ましい。
【0043】
前記ビーム分岐手段が、前記非点収差発生手段で前記ビームに与えられる前記非点収差を相殺するための波面を、分岐するビームに与えることが好ましい。
【0044】
前記プッシュプル信号を生成するために用いられないビームの中央付近における前記領域が、前記光記憶媒体で反射、回折されたビームの前記0次回折光と前記1次回折光とが互いに重ならない領域であることが好ましい。
【0045】
前記複数の受光部が各々部分的にビームを受光することによって前記ビームを分割することが好ましい。
【0046】
前記光記憶媒体から前記光検出手段に至る光路中にビーム分割手段を設けることによって前記ビームを分割することが好ましい。
【0047】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックとが隣接する領域において生じていることが好ましい。
【0048】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、前記光記憶媒体に形成されたトラックピッチが変動していることによって生じていることが好ましい。
【0049】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、前記光記憶媒体に形成されたトラックの幅が変動していることによって生じていることが好ましい。
【0050】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、前記光記憶媒体に形成されたトラックの深さが変動していることによって生じていることが好ましい。
【0051】
メインビームをトラックと直交する方向に走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−1、Tn、Tn+1とし、前記メインビームが前記トラックTnの中央に位置するとき、第1のサブビームが前記トラックTn−1と前記トラックTnとの間に位置し、第2のサブビームが前記トラックTnと前記トラックTn+1との間に位置することが好ましい。
【0052】
メインビームをトラックと直交する方向に走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−2、Tn−1、Tn、Tn+1、Tn+2とし、前記メインビームが前記トラックTnの中央に位置するとき、第1のサブビームが前記トラックTn−2と前記トラックTn−1との間に位置し、第2のサブビームが前記トラックTn+1と前記トラックTn+2との間に位置することが好ましい。
【0053】
前記光源の波長をλとし、前記集光手段の有する開口数をNAとしたとき、tp/0.8<λ/NA<0.5μmの関係を満足することが好ましい。
【0054】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けて前記ビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面を有し、前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面によって反射されたビームが前記受光部に入射しないように前記受光部を配置していることを特徴とする。
【0055】
前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面が、第2の情報記録面であることが好ましい。
【0056】
前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面が、前記光記憶媒体にビームが入射する表面であることが好ましい。
【0057】
前記トラッキング誤差信号を生成するために用いられるビームを受光する受光部が、他のビームを受光する受光部の大きさよりも小さいことが好ましい。
【0058】
前記光記憶媒体が複数の情報記録面を有していることが好ましい。
【0059】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記ビームに球面収差を付与する球面収差付与手段と、前記球面収差付与手段からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段と、前記集光手段を駆動してトラッキング制御を可能にする駆動手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、前記駆動手段によって駆動される前記集光手段の位置に応じて前記トラッキング誤差信号に生じるオフセットを補償するためのオフセット補償手段とを具備し、前記球面収差付与手段は、前記光記憶媒体に集光されるビームの状態に応じて、前記ビームに付与する球面収差量を調節することが可能であり、前記オフセット補償手段は、前記球面収差付与手段が付与する前記球面収差量に応じて制御されることを特徴とする。
【0060】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域によって分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段に配置された前記複数の領域のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域から得られる電圧信号から、前記第2の領域から得られる電圧信号に係数をかけて差し引くことでトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを備え、前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて、前記第2の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことを特徴とする。
【0061】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域によって分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段に設けられた前記複数の領域のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域を通った光ビームから得られる電流信号と前記第2の領域を通った光ビームから得られる電流信号とを同一の変換手段によって電圧に変換してトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備することを特徴とする。
【0062】
前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて、前記第2の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0063】
前記第2の領域を通った光ビームの一部が前記光検出手段に到達する効率が、前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて高いことが好ましい。
【0064】
前記第2の領域の外周部を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0065】
前記第2の領域のトラック接線方向に沿った周辺部を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0066】
前記第2の領域のトラック横断方向に沿った周辺部を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0067】
前記光検出手段は少なくとも第1〜第4の検出領域を有しており、前記第1の領域は、トラック接線方向に略平行な分割線とトラック直交方向に略平行な分割線とにより少なくとも4つの領域に分割され、前記第2の領域も、トラック接線方向に略平行な分割線とトラック直交方向に略平行な分割線とにより少なくとも4つの領域に分割され、前記第2の領域を通った光は、前記第1の領域の対角方向にある領域を通った光を受光して得られた電流信号を変換するための変換手段によって電圧信号に変換されることが好ましい。
【0068】
前記第2の領域を通った光を前記光検出手段上で焦点を結ぶように集光することが好ましい。
【0069】
前記第1の領域を通った光を前記検出手段上で焦点を結ぶように集光することが好ましい。
【0070】
前記少なくとも第1〜第4の検出領域を持つ光検出手段により得られた信号に基づいてフォーカス誤差信号と情報再生信号とを生成することが好ましい。
【0071】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からの光ビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐された光ビームを複数の領域によって分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでいる光ピックアップと、所望のトラックに前記光ビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、前記光記憶媒体に記録された情報信号を生成する情報信号生成手段とを具備し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記分割手段は、前記情報信号と前記プッシュプル信号とを生成するために光ビームを分割し、前記プッシュプル信号は、前記光ビームの中央付近以外の領域からの信号に基づいて生成され、前記情報信号を生成するために前記光ビームの中央付近の領域から得る信号の比率は、前記光ビームの外周側の領域から得る信号の比率よりも高いことを特徴とする。
【0072】
前記分割手段の前記複数の領域のうちの前記光ビームの中央付近における領域は、矩形であることが好ましい。
【0073】
前記ビーム分割手段が、前記集光手段と一体化されていることが好ましい。
【0074】
前記分割手段は回折素子であり、前記到達効率の違いは前記回折素子の回折効率の違いに基づいて生じることが好ましい。
【0075】
本発明に係る光ピックアップヘッド装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを具備し、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記メインビームをトラックと直交する方向に沿って走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−2、Tn−1、Tn、Tn+1、Tn+2とし、前記メインビームがトラックTnの中央に位置するとき、前記第1のサブビームがトラックTn−2とトラックTn−1との間に位置し、前記第2のサブビームがトラックTn+1とトラックTn+2との間に位置することを特徴とする。
【0076】
本発明に係る他の光ピックアップヘッド装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体の記録面上に集光する第1の集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受光し、その光量に応じた信号を出力する光検出手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを、前記光検出手段に配置された複数の受光領域に対応するように複数のビームに分割するビーム分割手段と、前記ビームを前記光検出手段に集光する第2の集光手段とを具備し、前記光記憶媒体は前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記第1の集光手段と第2の集光手段との間には開口制限手段が設けられており、前記光情報記憶媒体の前記ビームを反射させる反射面で反射してきたビームの外周部を遮光し、前記光情報記憶媒体の前記ビームを反射させる反射面で反射してきたビームが前記光検出手段に混入しないようにしたことを特徴とする。
【0077】
前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面が、前記記録面よりもビームの入射する側に形成されていることが好ましい。
【0078】
前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面が、前記光記録媒体の他の記録面であることが好ましい。
【0079】
前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面が前記光記録媒体の表面であることが好ましい。
【0080】
前記開口制限手段は、前記ビーム分割手段の近傍に設けられていることが好ましい。
【0081】
前記開口制限手段が前記ビーム分割手段と一体で構成されていることが好ましい。
【0082】
前記集光手段が前記記憶媒体のトラッキング方向に沿って変位した場合でも、前記光記憶媒体の記録面から反射してきた光を遮ることがないように、前記開口制限手段の開口は、トラッキング方向とは直交する方向に沿ったサイズよりも前記トラッキング方向に沿ったサイズの方が大きいことが好ましい。
【0083】
本発明に係る光情報装置は、本発明に係る光ピックアップヘッド装置と、前記光記憶媒体と前記光ピックアップヘッド装置と間の相対的な位置を変化させる駆動部と、前記光ピックアップヘッド装置から出力される信号を受けて演算を行い所望の情報を得る電気信号処理部とを備えたことを特徴とする。
【0084】
本発明に係る光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを具備し、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均がtpであり、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときに、前記ビームの一部の領域を用いない、もしくは前記ビームの前記一部の領域から得られる信号を操作することによって、前記プッシュプル信号の振幅の変化を低減することを特徴とする。
【0085】
本発明に係る他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記複数のビームは、トラックと直交する方向に沿った異なる位置を照射し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均がtpであり、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときに、前記複数のビームから得られる信号を操作することにより、前記プッシュプル信号の振幅の変化を低減することを特徴とする。
【0086】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するように、予め未記録のトラックと記録済みのトラックとを前記光記憶媒体に形成していることが好ましい。
【0087】
前記記録済みのトラックと前記未記録のトラックとを交互に配置していることが好ましい。
【0088】
本発明に係るさらに他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域から得られる電圧信号から前記第2の領域から得られる電圧信号に係数をかけて差し引くことでトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて、前記第2の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率を高くすることによって前記トラッキング誤差信号のオフセットを低減することを特徴とする。
【0089】
本発明に係るさらに他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域の光ビームから得られる電流信号と前記第2の領域の光ビームから得られる電流信号を同一の変換手段で電圧に変換してトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを備えることでトラッキング誤差信号のオフセットを低減することを特徴とする。
【0090】
本発明に係るさらに他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源からの光ビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐された光ビームを複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでいる光ピックアップと、所望のトラックに光ビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、前記光記憶媒体に記録された情報信号を生成する情報信号生成手段を用いた光情報再生方法であって、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記分割手段は、前記情報信号と前記プッシュプル信号とを生成するために光ビームを分割し、前記プッシュプル信号は、前記光ビームの中央付近以外の領域からの信号に基づいて生成され、前記光ビームの外周側の領域からの信号に基づいて生成される情報信号の比率よりも、前記光ビームの中央付近の領域からの信号に基づいて生成される情報信号の比率を高めて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0091】
本発明によれば、TE信号振幅の変動を低減し、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光ピックアップヘッド装置、光情報装置、及び情報再生方法を提供することができる光ピックアップヘッド装置、光情報装置、光情報再生方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、本発明の光情報装置、光ピックアップヘッド装置及び光情報再生方法の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の符号は同一の構成要素または同様の作用、動作をなすものを表す。
【0093】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1として、光情報装置の構成を示している。光ピックアップヘッド装置4(または光ピックアップとも言う)は、波長λが405nmのレーザ光を光記憶媒体40に照射し、光記憶媒体40に記録された信号の再生を行う。移送制御器5は、光記憶媒体40上の任意の位置で情報を記録もしくは再生するために光ピックアップヘッド装置4を光記憶媒体40の半径方向に沿って移動させる。光記憶媒体40を駆動するモータ6は、光記憶媒体40を回転させる。制御器7は、光ピックアップヘッド装置4と移送制御器5とモータ6とを制御する。
【0094】
増幅器8は、光ピックアップヘッド装置4によって読み取られた信号を増幅する。制御器9には、増幅器8からの出力信号が入力される。制御器9は、この信号に基づいて、光ピックアップヘッド装置4が光記憶媒体40の信号を読み取る際に必要とされるFE信号やTE信号などのサーボ信号を生成し、これを制御器7に出力する。また、制御器9に入力される信号はアナログ信号であるが、制御器9はこのアナログ信号をディジタル化(2値化)する。復調器10は、光記憶媒体40から読み取られてディジタル化された信号を解析するとともに、元の映像や音楽などのデータを再構築し、再構築された信号は出力手器14から出力される。
【0095】
検出器11は、制御器9から出力される信号に基づいてアドレス信号等を検出し、これをシステム制御器12に出力する。システム制御器12は、光記憶媒体40から読み取られた物理フォーマット情報及び光記憶媒体製造情報(光記憶媒体管理情報)に基づいて光記憶媒体40を識別し、記録再生条件等を解読し、この光情報装置全体を制御する。光記憶媒体40に情報を記録再生する場合、システム制御器12からの指示に従って、制御器7は移送制御器5を駆動制御する。その結果、移送制御器5は図2において後述する光記憶媒体40に形成された情報記録面40bの所望の位置の上に光ピックアップヘッド装置4を移動させ、光ピックアップヘッド装置4は光記憶媒体40の情報記録面40bに情報を記録再生する。
【0096】
図2は、実施の形態1係る光ピックアップヘッド装置4の構成の一例を示した図である。
【0097】
光源1は、波長λが405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射された発散ビーム70は、焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、回折格子58に入射する。回折格子58に入射したビーム70は、0次及び±1次回折光の3つのビームに回折される。0次回折光が情報の記録/再生を行うメインビーム70a、±1次回折光がTE信号の検出を行うためのディファレンシャルプッシュプル(DPP)法用の2つのサブビーム70b及び70cとなる。回折格子58によって回折される0次回折光70aと1つの1次回折光70bもしくは70cの回折効率の比は、サブビームにより不要な記録がなされることを避けるために、通常10:1〜20:1に設定され、ここでは20:1である。回折格子58で生成された3つのビーム70a〜70cは、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40に形成された透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55によって制限され、開口数NAを0.85としている。光記憶媒体40に形成された透明基板40aの厚さは0.1mm、屈折率nは、1.57である。
【0098】
図3は、光記憶媒体40に形成された情報記録面40b上のビームとトラックとの関係を示している。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、Tn−1、Tn、Tn+1はそれぞれ、トラックである。情報はトラックとなる溝上に記録される。トラックピッチtpは0.32μmである。メインビーム70aがトラックTnの上に位置するとき、サブビーム70bがトラックTn−1とトラックTnの間に位置し、サブビーム70cがトラックTnとトラックTn+1の間に位置するように、各ビームを配置している。メインビーム70aとサブビーム70b、70cとの各トラックと直交する方向に沿った間隔Lは0.16μmである。
【0099】
情報記録面40bで反射されたビーム70a〜70cは、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射したビーム70a〜70cは、焦点距離f3が30mmの検出レンズ59とシリンドリカルレンズ57とを経て、光検出器32に入射する。ビーム70a〜70cには、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0100】
図4は、光検出器32と光検出器32へ入射した70a〜70cとの関係を模式的に示している。光検出器32は全部で8つの受光部32a〜32hを有し、マトリックス状に配置された受光部32a〜32dがビーム70aを受光し、受光部32eおよび32fがビーム70bを受光し、受光部32gおよび32hがビーム70cを受光する。受光部32a〜32hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I32a〜I32hを出力する。
【0101】
FE信号は、光検出器32から出力される信号I32a〜I32dを用いて非点収差法により、すなわち(I32a+I32c)−(I32b+I32d)の演算で得られる。また、TE信号は、DPP法により、すなわち{(I32a+I32d)−(I32b+I32c)}−C・{(I32e+I32g)−(I32f+I32h)}の演算でそれぞれ得られる。ここでCは、回折格子58の0次回折光と1つの1次回折光との間の回折効率の比によって決まる係数である。これらのFE信号及びTE信号は、所望のレベルに増幅及び位相補償が行われた後、対物レンズ56を動かすためのアクチュエータ91及び92に供給されて、フォーカス及びトラッキング制御がなされる。
【0102】
図5は、光記憶媒体40に形成されたトラックと直交する方向に沿ってビーム70a〜70cを走査したときに得られるプッシュプル法によるTE信号を示す。光記憶媒体40の作製時に生じた誤差のため、光記憶媒体40の情報記録面40b上に形成されたトラックTn−1とTnは、本来の位置から25nmずれた位置に形成されている。ここでは、メインビーム70aとサブビーム70bおよび70cとは、トラックと直交する方向に沿ってtp/2だけずらして配置しているため、図5に示すように、メインビーム70aがトラックTn−1とTnとの間に位置して、振幅S1の信号が得られるとき、サブビーム70cはトラックTn−1とTn−2との間に位置して、振幅S2の信号が得られ、サブビーム70bはトラックTn−1とTnとの間におけるトラックTnに近い場所に位置して、振幅S3の信号が得られる。
【0103】
振幅S2の信号と振幅S3の信号とを平均した信号が、2つのサブビーム70bと70cとから得られるプッシュプル法によるTE信号であり、ここでは、|(S2+S3)/2|>|S1|の関係にある。メインビーム70aから得られるTE信号を第1のプッシュプル信号とし、2つのサブビーム70bと70cから得られるTE信号を第2のプッシュプル信号としたとき、DPP法では、第1のプッシュプル信号と第2のプッシュプル信号とを差動演算することによりTE信号が得られる。
【0104】
前述したように|(S2+S3)/2|>|S1|の関係にあることから、DPP法によってTE信号の振幅の変動が改善される。これは、前述した従来の光情報装置で得られるTE信号は、光記憶媒体におけるトラックの作製位置に誤差がある場合、この誤差がTE信号の振幅にそのまま反映されてしまう。実施の形態1では、トラックと直交する方向に沿ったメインビーム70aと異なる位置に別のサブビーム70bおよび70cを照射することにより、メインビーム70aが作製位置に誤差のあるトラック上に位置したときでも、サブビーム70bおよび70cは別の場所に位置するので、光記憶媒体40のトラックを形成する際の作製位置に誤差があっても、この誤差の影響が軽減される。TE信号の変動量ΔPPが、従来の光情報装置では0.69であったものが、実施の形態1に係る光情報装置では0.44と従来の光情報装置の約2/3に改善される。したがって、実施の形態1に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動を低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる。
【0105】
また、従来の光情報装置ではトラックTn−1におけるオフトラックoft1が+33nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2が−33nmであったものが、実施の形態1に係る光情報装置では、オフトラックoft1が+10nm、オフトラックoft2が−10nmと、従来の光情報装置の約1/3に改善される。したがって、実施の形態1に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動する安価な光記憶媒体を用いた場合でも、オフトラック量は少なく、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが少なくなる。したがって、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置を得ることができる。
【0106】
(実施の形態2)
図6は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、情報記録面40b上におけるビームとトラックとの関係を示している。前述した実施の形態1の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置4では、メインビーム70aがトラックTnの上に位置するとき、サブビーム70bがトラックTn−1とトラックTnの間に、サブビーム70cがトラックTnとトラックTn+1の間に位置するように、ビームを配置していた。実施の形態2に係る光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置では、メインビーム70aがトラックTnの上に位置するとき、サブビーム70cがトラックTn−2とトラックTn−1の間に、サブビーム70bがトラックTn+1とトラックTn+2の間に位置するように、ビームを配置している。すなわち、メインビームとサブビームとの間のトラックと直交する方向に沿った間隔Lは(3・tp)/2=0.48μmである。光ピックアップヘッド装置4における回折格子58を少し回動することで、実施の形態2に係る光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置を構成することができる。TE信号は、実施の形態1に示した演算と同様の演算により得ることができる。
【0107】
このようにメインビームとサブビームとの間のトラックと直交する方向に沿った間隔Lを実施の形態1において図3を参照して前述した間隔よりも広くすることにより、TE信号振幅の変動は、実施の形態1に係る光情報装置よりも低減することができる。TE信号の変動量ΔPPが、実施の形態1に係る光情報装置では0.44であったものが、実施の形態2に示す光情報装置では0.21と約1/2に改善される。したがって、実施の形態2に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動を更に低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる。
【0108】
また、実施の形態1の光情報装置ではトラックTn−1におけるオフトラックoft1が+10nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2が−10nmであったものが、実施の形態2に係る光情報装置では、オフトラックoft1が−6nm、オフトラックoft2が+6nmと、実施の形態1の約1/2に改善される。したがって、実施の形態2に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動する安価な光記憶媒体を用いた場合でも、オフトラック量は更に少なく、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが更に少なくなる。したがって、情報を更に信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。
【0109】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る別の光情報装置の一例として、光検出器33とビーム70a〜70cとの関係を模式的に示している。光ピックアップヘッド装置4を構成する光検出器32の代わりに光検出器33を用いることで、光情報装置を構成することができる。光検出器33は全部で12個の受光部33a〜33lを有し、受光部33a〜33hがビーム70aを、受光部33i〜33jがビーム70bを、受光部33k〜33lがビーム70cを、それぞれ受光する。受光部33a〜33lは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I33a〜I33lを出力する。FE信号は、光検出器33から出力される信号I33a〜I33hを用いて非点収差法により、すなわち(I33a+I33b+I33e+I3f)−(I33c+I33d+I33g+I33h)の演算で得られる。この演算は、複雑な演算に見えるが、光検出器33が光検出器32よりも多くの受光部を有しているためであって、実質的には、非点収差法でFE信号を得る一般的な演算である。
【0110】
一方、TE信号は、DPP法により得る。ここでのTE信号は、{(I33a+I33h)−(I33d+I33e)}−C・{(I33i+I33k)−(I33j+I33l)}の演算で得る。メインビーム70aから得られるTE信号を第1のプッシュプル信号とし、2つのサブビーム70bと70cから得られるTE信号を第2のプッシュプル信号としたとき、DPP法では、第1のプッシュプル信号と第2のプッシュプル信号を差動演算することによりTE信号が得られることは、前述した実施の形態1の光情報装置と同様である。
【0111】
しかし、第1のプッシュプル信号を生成するのに、メインビーム70aの中央付近を受光する受光部33b、33c、33f、33gから出力される信号は用いられていない。また、サブビーム70bを受光する受光部33iと33jは、ビーム70bの中央付近を受光しない。なお、ここで、ビームを受光しない領域の幅は、ビームの直径の70%としている。同様に、サブビーム70cを受光する受光部33kと33lは、ビーム70cの中央付近を受光しない。すなわち第1のプッシュプル信号は、メインビームの中央付近の領域が用いられずに生成され、第2のプッシュプル信号は、第1のサブビームと第2のサブビームとの中央付近の領域が用いられずに生成される点が前述した実施の形態1および2と異なる。これは、トラックが周期tpに対して変動して形成されたときの変動成分は、ビームの中心付近に多くあり、その部分を用いないことで、改善されるという原理に基づいている。例えば、トラックの位置ずれが3本毎に生じている場合には、3本のトラックを1つの周期構造体として考えればよく、このときの周期はtpの3倍となる。この周期構造体からの回折光は、周期が長い分だけビームの回折角は小さく、すなわち周期構造体からの1次回折光は、ビームの中心部に多く存在するようになる。
【0112】
TE信号振幅の変動は、実施の形態2の光情報装置よりも低減することができる。TE信号の変動量ΔPPが、本光情報装置では0.14であり、従来の光情報装置の1/4以下である。したがって、実施の形態3に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動を更に低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、更に情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる。
【0113】
また、トラックTn−1におけるオフトラックoft1が−11nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2が+11nmであり、従来の光情報装置の約1/3に改善される。したがって、実施の形態3に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動する安価な光記憶媒体を用いた場合でも、オフトラック量は更に少なく、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが更に少なくなる。したがって、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。
【0114】
なお、TE信号を生成する際に用いないビームの中央付近の領域は、トラックピッチtpと開口数NAと波長λとに回折角が依存する光記憶媒体による0次回折光と1次回折光が重なる領域を除いた部分とすることで、効果的にTE信号振幅の変動を低減することができる。
【0115】
(実施の形態4)
図8は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光検出器34とビーム70a〜70cとの関係を模式的に示している。光ピックアップヘッド装置4を構成する光検出器32の代わりに光検出器34を用いることで、光情報装置を構成することができる。光検出器34は全部で16個の受光部34a〜34pを有し、受光部34a〜34hがビーム70aを、受光部34i〜34j、34m〜34nがビーム70bを、受光部34k〜34l、34o〜34pがビーム70cを、それぞれ受光する。
【0116】
16個の受光部34a〜34pは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I34a〜I34pを出力する。FE信号は、光検出器34から出力される信号I34a〜I34hを用いて非点収差法により得る。演算については図7を参照して前述した光検出器33を用いる場合と同様である。
【0117】
一方、TE信号は、DPP法により得る。ここでのTE信号は、{(I34a+I34h)−(I34d+I34e)}−k・{(I34b+I34g)−(I34c+I34f)}−C・[{(I34i+I34k)−(I34j+I34l)}−k・{(I34m+I34o)−(I34n+I34p)}]の演算で得る。kは係数であり、実数である。メインビーム70aから得られるTE信号を第1のプッシュプル信号とし、2つのサブビーム70bと70cから得られるTE信号を第2のプッシュプル信号としたとき、DPP法では、第1のプッシュプル信号と第2のプッシュプル信号を差動演算することによりTE信号が得られることは、前述した実施の形態1の光情報装置と同様である。
【0118】
しかし、第1のプッシュプル信号を生成するのに、メインビーム70aの中央付近を受光する受光部34b、34c、34f、34g、サブビーム70bの中央付近を受光する受光部34m、34n、サブビーム70cの中央付近を受光する受光部34o、34pから出力される信号にそれぞれ係数kを掛けて演算している点が、通常のDPP法による演算と異なっている。これは、トラックが周期tpに対して変動して形成されたときの変動成分は、ビームの中心付近に多くあり、その部分を操作することで、改善されるという原理に基づいている。例えば、トラックの位置ずれが3本毎に生じている場合には、3本のトラックを1つの周期構造体として考えればよく、このときの周期はtpの3倍となる。この周期構造体からの回折光は、周期が長い分だけビームの回折角は小さく、すなわち周期構造体からの1次回折光は、ビームの中心部に多く存在するようになる。
【0119】
前述した実施の形態3の光情報装置では、単にビームの中央付近を用いないことで、TE信号の変動を抑えていたが、実施の形態4では、さらに、TE信号を検出する受光部34a、34d、34e、34h〜34lに混入している変動成分を受光部34b、34c、34f、34g、34m〜34pで受光されるビーム70a〜70cの中央付近から得られる信号を用いて相殺することで、さらにTE信号の変動を低減している。
【0120】
したがって、TE信号の振幅の変動は、前述した実施の形態2の光情報装置よりも低減することができる。係数k=−0.45としたとき、TE信号の変動量ΔPPは0.28、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は0nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は0nmであり、従来の光情報装置と比較してTE信号の変動は1/2以下に低減し、オフトラックはほとんど0に低減できる。すなわち、実施の形態4の光情報装置では、光記憶媒体の作製時にトラックの位置がずれている場合でも、常に溝の中心に情報を記録再生することができる。一方、係数k=0.35としたとき、TE信号の変動量ΔPPは0.04、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は−21nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は+21nmであり、従来の光情報装置と比較してTE信号の変動は殆ど0に低減することができる。したがって、実施の形態4の光情報装置におけるトラッキング制御は極めて安定であり、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。また、オフトラックoft1、oft2は溝の中心から見たずれ量を表しているが、本来、光記憶媒体上に常にトラックピッチtpで情報が記録されるとし、仮想的にトラックが、常にtpの間隔に存在しているとした場合の、トラックTn−1、Tnにおけるオフトラック量をそれぞれオフトラック量toft1、toft2とすれば、オフトラック量toft1は+4nm、オフトラック量toft2は−4nmと、非常に小さい。すなわち、実施の形態4の光情報装置では、光記憶媒体の作製時に溝の位置がずれている場合でも常に一定のピッチで情報を記録することが可能であり、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが更に少なくなる。したがって、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。
【0121】
なお、光検出器34を構成する受光部34a〜34pでビーム70a〜70cを分割することにより、他の光学部品を追加する必要が無く、光学系を複雑にすることなく本光情報装置を構成することができる。したがって、安価な光情報装置を提供することができる。
【0122】
また、係数kは、TE信号の変動量を最小にする値とオフトラックを最小にする値が異なるので、光情報装置の求める性能に応じて、kの値を両者の間に設定してもよく、性能バランスのとれた光情報装置となる。
【0123】
(実施の形態5)
図9は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置400の構成の一例を示した図である。
【0124】
前述した実施の形態1に示す光ピックアップヘッド装置4と本光ピックアップヘッド装置400の違いは、偏光ビームスプリッタ52と集光レンズ59との間にビーム分割素子60を設けていることと、光検出器32の代わりに光検出器35を用いていることである。光ピックアップヘッド装置4の代わりに光ピックアップヘッド装置400を用いることで、実施の形態5に係る光情報装置を構成することができる。
【0125】
図10は、ビーム分割素子60の構成を模式的に示している。ビーム分割素子60は、2種類の領域60aと60bとを有している。領域60aは透明で、入射したビームをそのまま透過させる。一方、領域60bにはブレーズ化された回折格子が形成されており、入射したビームを効率よく一方向に回折させる。したがって、ビーム70a〜70cが領域60aと60bの両方にそれぞれ入射することにより、ビーム70a〜70cはそれぞれ2つに分割される。
【0126】
図11は、光検出器35とビーム70a〜70cとの関係を模式的に示している。光検出器35は全部で16個の受光部35a〜35pを有し、受光部35a〜35hがビーム分割素子60の領域60aを透過したビーム70a〜70cを、受光部35i〜35pがビーム分割素子60の領域60bで回折されたビーム70a〜70cを、それぞれ受光する。全部で16個の受光部35a〜35pは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I35a〜I35pを出力する。FE信号は、(I35a+I35c+I35i+I35k)−(I35b+I35d+I35j+I35l)の演算により得られる。この演算は、複雑な演算に見えるが、光検出器35が光検出器32よりも多くの受光部を有しているためであって、実質的には、非点収差法でFE信号を得る一般的な演算である。
【0127】
TE信号は、DPP法により得る。ここでのTE信号は、{(I35a+I35d)−(I35b+I35c)}−C・{(I35e+I35g)−(I35f+I35h)}−k・[{(I35i+I35l)−(I35j+I35k)}−C・{(I35m+I35o)−(I35n+I35p)}]の演算で得る。
【0128】
得られるTE信号の特性は、前述した実施の形態4に示す光情報装置と同様である。また、TE信号を{(I35a+I35d)−(I35b+I35c)}−k・{(I35e+I35g)−(I35f+I35h)}の演算で得てもよい。このときのTE信号の特性は、前述した実施の形態3に示す光情報装置と同様である。
【0129】
一方、実施の形態5の光情報装置では、光記憶媒体40に集光されるビーム70a〜70cが有する球面収差量を示す信号である球面収差誤差信号を生成することができる。球面収差誤差信号は、(I35a+I35c)−(I35b+I35d)}−C2・{(I35i+I35k)−(I35j+I35l)}の演算で得られる。すなわち、メインビーム70aの中央付近の領域を受光する受光部70i〜70lから出力される信号を差動演算して第1のFE信号を生成し、メインビーム70aの外側付近の領域を受光する受光部70a〜70dから出力される信号を差動演算して第2のFE信号を生成し、第1のFE信号と第1のFE信号とを差動演算して球面収差誤差信号を得ている。ここで、係数C2は実数であり、所望の球面収差量のときに球面収差誤差信号が0となるように調整するための補正係数である。光ピックアップヘッド装置4に球面収差補正手段を設け、球面収差誤差信号を用いて球面収差補正手段を制御することにより、光記憶媒体40に集光されるビームが有する球面収差を低減することができ、光記憶媒体にジッタの少ないマークを記録することができ、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。なお、球面収差補正手段は、液晶素子、凹凸の組み合わせレンズ、等、一般的な構成が適用できるので、ここでは説明を略している。
【0130】
(実施の形態6)
図12は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置401の構成の一例を示した図である。
【0131】
前述した実施の形態1に示す光ピックアップヘッド装置4と実施の形態6の光ピックアップヘッド装置401との間の違いを、以下に述べる。まず、回折格子58を用いていないため、光記憶媒体40の情報記録面40b上には1つのビーム71が集光されている。また、ビーム分割素子61を設け、さらに、ビーム分割素子61と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化し、アクチュエータ91と92は、ビーム分割素子61と4分の1波長板54と対物レンズ56とを駆動して、フォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、ビーム分割素子61は、偏光依存性の素子であり、光源1から光記憶媒体40に向かう往路においては、入射するビーム71を全て透過する。一方、光記憶媒体40で反射されたビームが光検出器36に向かう復路においては、入射するビームの大半の光量は透過するが、一部の光量は回折され、複数の回折光が生成される。また、光検出器32の代わりに光検出器36を用いている。光ピックアップヘッド装置4の代わりに光ピックアップヘッド装置401を用いることで、実施の形態6に係る光情報装置を構成することができる。
【0132】
図13は、ビーム分割素子61の構成を模式的に示している。ビーム分割素子61は、4種類の領域61a〜61dを有しており、入射したビーム70の大半を透過させて0次回折光710を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域61a〜61dからビーム71a〜71dを生成する。
【0133】
図14は、光検出器36とビーム71a〜71d、710との間の関係を模式的に示している。光検出器36は全部で8個の受光部36a〜36hを有し、受光部36a〜36dがビーム710を、受光部36gがビーム71aを、受光部36eがビーム71bを、受光部36fがビーム71cを、受光部36hがビーム71dを、それぞれ受光する。受光部36a〜36hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I36a〜I36hを出力する。FE信号は、(I36a+I36c)−(I36b+I36d)の演算により得られる。
【0134】
一方、TE信号は、(I36g−I36h)−k・(I36e−I36f)の演算で得られる。係数k=0.35としたとき、TE信号の変動量ΔPPは0.04、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は−19nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は+19nmであり、従来の光情報装置と比較してTE信号振幅の変動は殆ど0にまで低減でき、トラッキング制御は極めて安定になる。
【0135】
また、TE信号は、(I36g−I36h)の演算で得ても良い。このとき、TE信号の変動量ΔPPは0.24、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は−1nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は+1nmであり、光記憶媒体の作製時にトラックの位置がずれている場合でも、常に溝の中心に情報を記録することができる。
【0136】
実施の形態6に係る光情報装置では、1つのビーム71しか、光記憶媒体40に集光していないため、光記憶媒体40が大きな偏心を有していた場合でも、TE信号振幅の変動量が大きくなることはなく、安定にトラッキング制御を行うことができる。
【0137】
また、ビーム分割素子61と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化し、アクチュエータ91と92とで駆動しているために、光記憶媒体40が偏心を有していて、トラッキング追従する場合でも、ビーム71を分割する位置は常に一定であるので、光記憶媒体40の有する偏心量に依存せず、TE信号振幅の変動は、常に安定して低減することができる。また、ビーム71を分割する幅を、光記憶媒体の有する偏心を考慮せずに、TE信号振幅の変動が最も低減できるように設定することが可能であり、よりTE信号振幅の変動を低減できる光情報装置となる。また、トラッキング追従したときにTE信号に発生するオフセットも少なくできる。
【0138】
また、回折格子58を設けていないので、光記憶媒体40に情報を記録するために必要な光源1から出射する出力は、前述した光ピックアップヘッド装置4と比較して少なくて済むので、光源1の負担はその分軽くなり、光源1の寿命が長くなる。したがって、長期に渡って使用可能な光情報装置を提供することができる。
【0139】
また、ビーム分割素子61の領域61a〜61dに、回折光が光検出器36上で焦点を結ぶように、レンズ効果を持たせることで、受光部36e〜36hの大きさを小さくすることができる。受光部36e〜36hの大きさが小さい程、迷光の影響をうけにくくなるので、その分、安定したトラッキング制御を行うことができるようになる。光記憶媒体に複数の情報記録面を有する光記憶媒体を用いた場合には、特に有効である。受光部の大きさを小さくしたときには、その分、集光レンズ59の焦点距離を短くしても、すなわち検出光学系の倍率を低くしても、迷光の影響が大きくならないので、経時変化に対して安定な光情報装置を提供することができる。
【0140】
(実施の形態7)
図15は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光検出器37とビーム71b〜71c、710との間の関係を模式的に示している。前述した実施の形態6に示す光検出器36に代わりに光検出器37を用いることで実施の形態7に係る光情報装置を構成することができる。光検出器37は光検出器36から受光部36gと36hとを無くしたものと同等である。光検出器37は全部で6個の受光部37a〜37fを有し、受光部37a〜37dがビーム710を、受光部37eがビーム71bを、受光部37fがビーム71cを、それぞれ受光する。
【0141】
TE信号は、{(I37a+I37d)−(I37b+I37c)}−k・(I37e−I37f)の演算で得られる。係数kを適切に選ぶことにより、前述した実施の形態6に示す光情報装置と同等の特性を得ることができる。光検出器37は実施の形態6の光検出器36よりも小さく、その分小型の光ピックアップヘッド装置となる。また、光検出器37は光検出器36よりも受光部数が少ないので、その分、信号を処理する回路の規模も小さくなり安価となる。
【0142】
また、ビーム分割素子の領域61aと61dから回折光を生成しなくてもよいので、領域61aと61dを形成せず、単にビームが透過するようにすれば、その分、ビーム710の光量が増加するので、光記憶媒体40に記録された情報を読み出す際のS/Nが良くなる。
【0143】
(実施の形態8)
図16は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、ビーム分割素子62の構成を模式的に示している。前述した実施の形態6に示すビーム分割素子61の代わりにビーム分割素子62を、光検出器36に代わりに光検出器38を用いることで実施の形態8に係る光情報装置を構成することができる。ビーム分割素子62は、2種類の領域62a〜62bを有しており、入射したビーム70の大半を透過させて0次回折光710を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域62a〜62bからビーム73a〜73bを生成する。
【0144】
図17は、光検出器38とビーム73a〜73b、710との関係を模式的に示している。
【0145】
光検出器38は全部で12個の受光部38a〜38lを有し、受光部38a〜38dがビーム710を、受光部38e〜38hがビーム73aを、受光部38i〜38lがビーム73bを、それぞれ受光する。受光部38a〜38lは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I38a〜I38lを出力する。FE信号は、(I38a+I38c)−(I38b+I38d)の演算により得られる。
【0146】
TE信号は、(I38e+I38h)−(I38f+I38g)の演算で得られる。また、{(I38e+I38h)−(I38f+I38g)}−k・{(I38i+I38l)−(I38j+I38k)}の演算で得ても良い。ビーム分割素子62を対物レンズ56と一体化した場合には、どちらの演算でも構わないが、ビーム分割素子62を対物レンズ56と一体化しない場合には、後者の演算を用いることが好ましい。後者の演算では、トラッキング追従により、アクチュエータが移動した場合にTE信号に生じるオフセットは前者よりも小さくなるからである。
【0147】
球面収差誤差信号は、(I38e+I38g)−(I38f+I38h)}−C2・{(I38i+I38k)−(I38j+I38l)}の演算で得られる。
【0148】
実施の形態8に係る光情報装置は、実施の形態5に示す光情報装置と同様に、TE信号振幅の変動を低減できる。また、球面収差誤差信号の品質は、実施の形態5に示す光情報装置よりも良好であり、より精度よく球面収差を補正することができ、光記憶媒体にジッタの少ないマークを記録することができ、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0149】
また、ビーム分割素子62を対物レンズ56と一体化せずに、偏光ビームスプリッタ52から光検出器38に至る光路中に配置しても構わない。その場合には、ビーム分割素子62が偏光依存性を有している必要はなく、無偏光型の素子で構わない。極めて安価な樹脂成形でビーム分割素子62が作製できるので、その分安価な光情報装置を提供することができる。
【0150】
(実施の形態9)
図18は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、ビーム分割素子63の構成を模式的に示している。前述した実施の形態6に示すビーム分割素子61の代わりにビーム分割素子63を、光検出器36に代わりに光検出器39を用いることで実施の形態9に係る光情報装置を構成することができる。ビーム分割素子63は、3種類の領域63a〜63cを有しており、入射したビーム70の大半を透過させて0次回折光710を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域63a〜63cからビーム74a〜74cを生成する。
【0151】
図19は、光検出器39とビーム74a〜74c、710との関係を模式的に示している。光検出器39は全部で16個の受光部39a〜39pを有し、受光部39a〜39dがビーム710を、受光部39e〜39hがビーム74aを、受光部39i〜39lがビーム74bを、受光部39m〜39pがビーム74cを、それぞれ受光する。受光部39a〜39pは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I39a〜I39pを出力する。FE信号は、(I39a+I39c)−(I39b+I39d)の演算により得られる。
【0152】
TE信号は、(I39m+I39p)−(I39n+I39o)の演算で得られる。また、{(I39m+I39p)−(I39n+I39o)}−k・{(I39e+I39h)−(I39f+I39g)}の演算で得ても良い。また、{(I39m+I39p)−(I39n+I39o)}−k・{(I39i+I39l)−(I39j+I39k)}の演算で得ても良い。また、{(I39m+I39p)−(I39n+I39o)}−k・{(I39e+I39g+I39i+I39l)−(I39f+I39g+I39j+I39k)}の演算で得ても良い。いずれの演算を用いた場合も、TE信号振幅の変動を低減できる。ビーム分割素子63を対物レンズ56と一体化した場合には、いずれの演算でも構わないが、ビーム分割素子63を対物レンズ56と一体化しない場合には、2番目以降の演算を用いることが好ましい。2番目以降の演算では、トラッキング追従により、アクチュエータが移動した場合にTE信号に生じるオフセットは前者よりも小さくなる。1番目の演算と4番目の演算とのいずれかを用いた場合、前述した実施の形態6に示す光情報装置と同様の特性が得られる。また、2番目の演算を用いた場合には、デフォーカスが生じた場合でも、オフトラックが少なく、デフォーカス等の外乱に対して信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0153】
球面収差誤差信号は、(I39i+I39k)−(I39j+I39l)}−C2・{(I39e+I39g+I39m+I39o)−(I39f+I39h+I39n+I39p)}の演算で得られる。また、球面収差誤差信号の品質は、前述した実施の形態5に示す光情報装置よりも良好であり、より精度よく球面収差を補正することができ、光記憶媒体にジッタの少ないマークを記録することができ、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0154】
これまでに述べた実施の形態では、全てTE信号振幅の変動を抑えるためにビームの中央付近の幅をビームの直径の0.7倍としたが、これはΔPPとオフトラックの改善量とを比較できるように同一の条件にしたためであって、この範囲に特に制約はなく、自由に設定することができる。必ずしも直線で分割する必要がないことも勿論である。
【0155】
また、いままで、溝を形成する際の位置誤差によってTE信号振幅の変動が生じている場合について説明したが、溝の幅、深さに誤差がある場合や、光記憶媒体において情報が記録されたトラックと情報が未記録のトラックとの間の境界付近でも同様にTE信号振幅の変動が生じるが、これらの場合にも本発明は有効である。
【0156】
(実施の形態10)
図20は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置402の構成の一例を示した図である。
【0157】
前述した実施の形態5に示す光ピックアップヘッド装置400と実施の形態10に係る光ピックアップヘッド装置402との違いは、回折格子58を用いていないこと、光記憶媒体41が2つの情報記録層41bと41cを有していること、ビーム分割素子60の代わりにビーム分割素子64を、光検出器35の代わりに光検出器45をそれぞれ用いていることである。回折格子58を用いていないため、光源1から出射された1つのビーム70が光記憶媒体41の情報記録面上に集光される。
【0158】
光記憶媒体41は2つの情報記録面41bと41cとを有しているが、ここでは対物レンズ56で集光されたビーム70が、情報記録面41cに焦点を結んでいるときの様子を示している。光記憶媒体41は、透明基板41aと情報記録面41b、41cからなり、光記憶媒体41の光が入射する面から情報記録面41cまでの距離d2を100μm、情報記録面41bと41cの間隔d1を25μmとしている。また、ここでは図示していないが、情報記録面41bと41cとに形成されるトラックの周期tpは、0.32μmである。
【0159】
また、光源1の波長λは405nm、対物レンズの開口数NAは0.85である。情報記録面41bと41cの等価的な反射率はそれぞれ4〜8%程度である。ここで、等価的な反射率は、光記憶媒体41に入射するビームの光量を1としたとき、情報記録面41bもしくは41cで反射された後に、光記憶媒体41を再び出射する際のビームの光量を示している。情報記録面41cは、入射したビームの光量の大半を吸収もしくは反射するが、情報記録面41bは、情報記録面41cにビームを到達させるために、入射したビ−ムの約50%の光量を透過させ、残りの50%の光量を吸収もしくは反射する。
【0160】
光記憶媒体41の情報記録面41cで反射されたビーム70は、対物レンズ56を透過した後、偏光ビームスプリッタ52で反射されて、ビーム分割素子64に入射する。ビーム分割素子64は複数のビーム75を生成し、ビーム分割素子64で生成された複数のビーム75は、シリンドリカルレンズ57を透過して非点収差が付与された後、光検出器45で受光される。
【0161】
図21は、ビーム分割素子64の構成を、図21は、光検出器45と光検出器45で受光されるビーム75との関係を、それぞれ模式的に示している。ビーム分割素子64は、全部で7種類の領域64a〜64gを有している。ビーム分割素子64において、Dは偏光ビームスプリッタ52によって反射された後にビーム分割素子64に入射するビーム70の直径を示しており、通常2〜4mm程度に設計される。ここでは、3mmとしている。
【0162】
ビーム75は、0次回折光である75aと7つの1次回折光である75b〜75hとを含んでいる。ビーム分割素子64は、一種の回折格子であり、ここでは、0次回折光の回折効率を80%、1次回折光の回折効率を8%としている。0次回折光の回折効率を1次回折光の回折効率よりも高くしているのは、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cに記録された情報を、0次回折光を用いて読み出し、1次回折光は、トラッキング誤差信号の生成のみに用いるためである。0次回折光の回折効率を高くする程、情報記録面41b及び41cに記録された情報を読み出す際の信号対雑音比を高くすることができるので、忠実に情報を再生できる。
【0163】
ビーム75aは領域64a〜64gから、ビーム75bは領域64aから、ビーム75cは領域64bから、ビーム75dは領域64cから、ビーム75eは領域64dから、ビーム75fは領域64eから、ビーム75gは領域64fから、ビーム75hは領域64gから、それぞれ生成される。領域64a〜64gに形成するパターンは、いずれも等周期で直線状の単純格子である。トラッキング制御に応じて、ビーム分割素子64上でビーム70が矢印TRKの方向に沿って移動する。
【0164】
ビーム70の半径rよりも十分大きく領域64a〜64fを形成することで、トラッキング制御時に、TE信号が低下することを防止している。ここでは、領域64a〜64fの矢印TRKの方向に沿った大きさh3を、ビーム70の半径rに比べて、それぞれ500μm大きくしている。一方、トラッキング追従方向を示す矢印TRKとは直交する方向に沿った大きさについては、光ピックアップヘッド装置を組み立てる際のビーム分割素子64とビーム70との位置ずれ公差分だけあれば良いので、通常10〜100μmあれば十分であり、ここでは、幅h4をビーム70の直径Dよりも100μm大きくしている。また、幅h1を0.35D、幅h2を0.6Dとしている。
【0165】
図22を参照すると、光検出器45は、全部で10個の受光部45a〜45jを有している。受光部45a〜45dはFE信号と光記憶媒体41に記録された情報を再生するための信号との検出に、受光部45e〜45jはTE信号の検出にそれぞれ用いられる。FE信号を検出するための受光部45a〜45dとTE信号を検出するための受光部45e〜45jとを同一の半導体基板上に形成することで、光ピックアップヘッド装置を小型にすることができ、また光ピックアップヘッド装置を組み立てる際の工数を少なくすることができる。
【0166】
ビーム75aは4つの受光部45a〜45dで、ビーム75bは受光部45eで、ビーム75cは受光部45fで、ビーム75dは受光部45gで、ビーム75eは受光部45hで、ビーム75fは受光部45iで、ビーム75gは受光部45jで、それぞれ受光される。ビーム75hは、どの受光部でも受光されないようにしている。この構成により、先に述べた実施の形態3等と同様に光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減している。
【0167】
また、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、不要な光がTE信号を検出するために用いられる受光部に入射することを避ける役目も果たしている。受光部45a〜45jは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I45a〜I45jを出力する。FE信号は、(I45a+I45c)−(I45b+I45d)の演算により得られる。TE信号の検出方法については後述する。
【0168】
ビーム75a〜75hは、情報記録面41cで反射されたビーム70がビーム分割素子64に入射して生成されたビームであるが、光記憶媒体41は、2つの情報記録面41bと41cとを有しているので、情報記録面41bで反射されたビームも偏光ビームスプリッタ52で反射された後に、ビーム分割素子64に入射して、ビーム分割素子64では回折光が生成される。ビーム76a〜76hは、情報記録面41bで反射されたビーム70がビーム分割素子64に入射して、生成された回折光である。ビーム76aは領域64a〜64gから、ビーム76bは領域64aから、ビーム76cは領域64bから、ビーム76dは領域64cから、ビーム76eは領域64dから、ビーム76fは領域64eから、ビーム76gは領域64fから、ビーム76hは領域64gから、それぞれ生成される。
【0169】
ビーム70は、情報記録面41cに焦点を結ぶようにしているので、情報記録面41bでは、大きくデフォーカスをしている。そのため、ビーム76a〜76hも光検出器45上で大きくデフォーカスをしている。ここで、ビーム76a〜76hが、いずれも受光部45e〜45jに入射しないようにしている。これは、ビーム76a〜76hが、受光部45e〜45jに入射すると、その入射の程度に応じてTE信号に乱れが生じ、その結果、安定なトラッキング制御ができなくなることがあるためである。ここでは、ビーム76aの半径よりも遠い位置に受光部45e〜45jを形成することで、ビーム76aが受光部45e〜45jに入射しないようにしている。
【0170】
また、受光部45e〜45jを近接して形成し、ビーム75b〜75gを受光している。また、図21に示すビーム分割素子64の中央部に領域64gを設け、領域64gから生成されたビーム75hをTE信号の生成には用いていない。このような配置により、ビーム76b〜76gは、受光部45e〜45jの外側に位置し、すなわち、受光部45e〜45jに入射しない。更に、ビーム75hをビーム75b〜75gとは直交する方向に回折させている。このことにより、受光部45e〜45jをビーム76aが入射しない位置に形成することで、ビーム76hは、確実に受光部45e〜45jに入射しなくなる。
【0171】
また、トラッキング制御に応じて、ビーム76aは矢印TRKの方向に沿って移動する。矢印TRKの方向とは直交する方向に受光部45e〜45jを形成することにより、トラッキング制御によって、ビーム76aが受光部45e〜45jに入射することは無くなり、その分、受光部45e〜45jを受光部45a〜45dに近づけて形成することができる。その分、光検出器45の大きさは小さくなり、安価な光ピックアップヘッド装置を提供することができる。
【0172】
ビーム76b〜76gが受光部45e〜45jへ入射しない条件として、受光部45e〜45jの幅S1が、2・h1/D・d1/n2・α・NA以下であればよい。また、受光部45e〜45jの幅S2についても同様に、2・h2/D・d1/n2・α・NA以下であればよい。ここで、d1は情報記録面41bと41cとの間の間隔、n2は、光記憶媒体41の情報記録面41bと41cとの間に存在する媒質の屈折率、αは、光記憶媒体41から光検出器45に至る光学系の横倍率、Dはビーム分割素子64上におけるビーム70の直径、h1とh2は、ビーム分割素子64の領域64gの幅、NAは対物レンズ56の開口数である。ここでは、横倍率αは、大略f3/f2となる。この条件を満足するように、ビーム分割素子64の領域64gの幅h1と幅h2、受光部45e〜45jの幅S1と幅S2を設定する。光学系の横倍率は4〜40倍程度が適切である。
【0173】
なお、ここでは、光記憶媒体41が情報記録面を2つ有する場合について説明したが、光記憶媒体が3つ以上の情報記録面を有している場合でも同様に本発明を適用することができる。また、光記憶媒体の光が入射する面(以下表面とする)は通常、反射防止膜が形成されないので、光記憶媒体の表面でもビームが反射された後、光検出器に向かう。この光記憶媒体の表面で反射されたビームも、トラッキング制御を不安定にすることがあるので、受光部45e〜45jに入射しないことが望ましい。光記憶媒体の表面で反射されたビームについても、先に述べた設計方法により、受光部45e〜45jに入射しないようにすることが可能である。すなわち、情報記録面41bと41cとの間隔d1に代わりに、所望の情報記録面と、光記憶媒体の表面等、他のビームを反射する面との間の間隔dを用いることで、任意の面に拡張することができる。
【0174】
図23は、TE信号を生成するための信号処理部の構成を示している。受光部45eと45fから出力される信号I45eとI45fは差動演算部801で差動演算がなされる。差動演算された信号であるI45f−I45eは、所謂プッシュプル法によるTE信号である。
【0175】
ビーム分割素子64を対物レンズ56と一体化していないため、光記憶媒体41の偏心に応じて対物レンズ56をトラッキング追従させると、TE信号にトラッキング追従に応じたオフセットの変動が生じる。そこで、図23に示す信号処理部では、受光部45gと45hから出力される信号I45gとI45hは加算部802で、受光部45iと45jから出力される信号I45iとI45jは加算部803で、それぞれ加算される。加算部802と803とから出力される信号は、差動演算部804で差動演算がなされる。差動演算部804から出力される信号は、可変利得増幅部805に入力され、所望の信号強度に増幅もしくは減衰がなされる。ここでは、約2.5の増幅度を持たせている。可変利得増幅部805から出力される信号は、差動演算部801から出力される信号が有するオフセット変動と同じ変動を有する。これらのオフセット変動は、偏芯を有する光記憶媒体に対してトラッキング動作を行ったときや、アクセス動作を行ったとき、等に生じる。
【0176】
差動演算部806は、差動演算部801から出力される信号と可変利得増幅部805から出力される信号とを受けて差動演算を行うことで、差動演算部801から出力される信号が有する上述のオフセット変動を減ずる。差動演算部806から出力される信号は、トラッキング追従してもオフセット変動が殆ど無いTE信号であるが、そのままでは、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cの反射率、光記憶媒体41に照射するビームの強度の変化に応じて信号強度が変化するので、除算部808に入力して、一定の振幅になるようにする。
【0177】
受光部45a〜45dから出力される信号I45a〜I45dは加算部807で加算された後、除算部808に除算を行う信号として入力される。加算部807から出力される信号は、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cの反射率や光記憶媒体41に照射するビームの強度に比例した信号であり、除算部808から出力される信号は所望の強度を有するTE信号となる。
【0178】
実施の形態10に係る光ピックアップヘッド装置及び信号処理部を用いた光情報装置では、光記憶媒体が複数の情報記録面を有する場合でも、安定なトラッキング動作が可能であり、信頼性の高い光情報装置となる。また、ビーム75d〜75gを受光部45g〜45jでそれぞれ受光しているため、受光部45g〜45jから出力される信号の強度を比較することにより、ビーム分割素子64の設定位置がビーム70に対してどのような位置にあるのかを容易に認識することができる。そのため、ビーム分割素子64をビーム70に対して精度良く設定するための調整が容易にでき、光ピックアップヘッド装置の生産性を高めることができる。
【0179】
勿論、前述した実施の形態6に示す光ピックアップヘッド装置と同様に、ビーム分割素子64を偏光依存性素子で作製し、対物レンズ56と一体化してもよい。その場合、ビーム分割素子64上のビーム70の位置は、常に一定になるので、領域64gの幅h1を広くしても、TE信号の振幅の低下はない。その分、受光部45e〜45jにビーム76d〜76gが入射しにくくなる。
【0180】
(実施の形態11)
図24は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置を構成する光検出器46とビーム75a〜75h、76a〜76hとの関係の一例を模式的に示した図である。前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402における光検出器45の代わりに光検出器46を用い、ビーム分割素子64の領域64dと64fに形成するパターンを少し変更することにより、実施の形態11に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0181】
この光ピックアップヘッド装置においては、ビーム75dと75eを1つの受光部46gで、ビーム75fと75gを1つの受光部46hで、それぞれ受光している。更に、ビーム75dと75eを受光部46g上で、ビーム75fと75gを受光部46h上で、それぞれ重ねることにより、受光部46gと46hが、大きくならないようにしている。そのため、光検出器46の大きさは図22を参照して前述した光検出器45よりも小さくでき、光検出器46は光検出器45よりも安価となる。また、受光部46e〜46hが占める面積は、前述した受光部45e〜45jが占める面積よりも小さく、その分、情報記録面41bで反射されたビーム76a〜76hが受光部46e〜46hに入りにくくなり、実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置を用いた場合よりも更にTE信号の変動を低減でき、安定なトラッキング制御を行うことができる。勿論、光記憶媒体41の表面で反射されたビームに対しても同様である。
【0182】
ビーム75dと75eを1つの受光部46gで、ビーム75fと75gを1つの受光部46hで、それぞれ受光するために、図21に示すビーム分割素子64の領域64dと64fとに形成するパターンの周期と空間周波数軸とを少し変更している。領域64dと64fとに形成するパターンは、いずれも等周期で直線状の単純格子である。なお、受光部46a〜46dは前述した受光部45a〜45dと同様である。
【0183】
また、加算部802と803が不要となるので、その分安価な光情報装置を提供することができる。また、光学的にビーム76a〜76hが受光部46g〜46hに入射しないように、受光部46g〜46hを配置したとしても、意図しない迷光が受光部46g〜46hに入射する場合がある。しかしながら、受光部46g〜46hの面積が前述した受光部45e〜45jの面積よりも狭くなる分、意図しない迷光の光量は相対的に低下し、より安定なトラッキング制御が可能となる。
【0184】
(実施の形態12)
図25は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成する光検出器47とビーム75a〜75h、76a〜76hとの関係の一例を模式的に示した図である。前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402における光検出器45の代わりに光検出器47を用い、ビーム分割素子64の領域64a〜64fに形成するパターンを少し変更することにより、実施の形態12に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0185】
この光ピックアップヘッド装置においては、前述した実施の形態11に示す光ピックアップヘッド装置と同様にビーム75dと75eとを1つの受光部47gで、ビーム75fと75gとを1つの受光部47hで、それぞれ受光し、更に、ビーム75dと75eを受光部47g上で、ビーム75fと75gを受光部47h上で、それぞれ重ねている。
【0186】
更に、シリンドリカルレンズ57をビーム75b〜75gが透過することにより付与される非点収差を相殺して、光検出器47上で焦点を結ぶように、図21に示すビーム分割素子64の領域64a〜64fに形成するパターンに、パワーを持たせているということである。したがって、光検出器47上のビーム75b〜75hは、前述した光検出器46上のビーム75b〜75hよりも小さく、その分、受光部47e〜47hを受光部46e〜46hよりも小さくでき、光検出器47は光検出器46よりも更に安価となる。
【0187】
また、受光部47e〜47hが占める面積は、前述した受光部46e〜46jが占める面積よりも小さく、その分、情報記録面41bで反射されたビーム76a〜76hが受光部47e〜47hに入りにくくなり、更に安定なトラッキング制御を行うことができる。勿論、光記憶媒体41の表面で反射されたビームに対しても同様である。なお、受光部47a〜47dは前述した受光部46a〜46dと同様である。また、光学的にビーム76a〜76hが受光部47e〜47hに入射しないように、受光部47e〜47hを配置したとしても、意図しない迷光が受光部47〜47hに入射する場合がある。しかしながら、受光部47e〜47hの面積が小さくなる分、意図しない迷光の光量は相対的に低下し、実施の形態11に示す光ピックアップヘッド装置を用いた場合よりもよりも更にTE信
号の変動を低減でき、安定なトラッキング制御が可能となる。
【0188】
(実施の形態13)
図26は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子65を模式的に示した図である。前述した実施の形態10における図21に示す光ピックアップヘッド装置402におけるビーム分割素子64の代わりに、ビーム分割素子65を用いることにより、実施の形態13に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0189】
ビーム分割素子65における領域65a〜65gはそれぞれ、前述したビーム分割素子64における領域64a〜64gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子64とビーム分割素子65との違いは、領域64gに相当する領域65gの幅h5が狭く、その分、領域65c〜65fの範囲が広くなっていることである。
【0190】
領域65c〜65fの範囲を図21に示す領域64c〜64fよりも広くすることで、図22に示す受光部45g〜45jで受光されるビーム75d〜75gの光量は増加し、その分、可変利得増幅部805の増幅度を小さくすることができる。ここでは幅h6を0.35Dとすることで、可変利得増幅部805の増幅度を約2.3倍に下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号が、加算部802、803等で発生し、出力される信号に付加されることのある電気的なオフセットの影響を低減することができる。
【0191】
また、ビーム76a〜76hが受光部45g〜45jに光学的に入射しないように、受光部45g〜45jを配置したとしても、意図しない迷光が受光部45g〜45jに入射する場合がある。しかしながら、受光部45g〜45jで受光されるビーム75d〜75gの光量が増加する分、意図しない迷光の光量は相対的に低下するので、より安定なトラッキング制御が可能となる。
【0192】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0193】
(実施の形態14)
図27は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子66を模式的に示した図である。前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402におけるビーム分割素子64の代わりに、ビーム分割素子66を用いることにより、実施の形態14に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0194】
ビーム分割素子66における領域66a〜66gはそれぞれ、図21を参照して前述したビーム分割素子64における領域64a〜64gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子64とビーム分割素子66の違いは、領域64gに相当する領域66gの幅が広く、その分、領域66a〜66bの範囲が狭くなっていることである。
【0195】
領域66a〜66bの範囲を領域64a〜64bよりも狭くすることで、受光部45e〜45fで受光されるビーム75b〜75cの光量は低下するが、その分、図23を参照して前述した可変利得増幅部805の増幅度を小さくすることができる。ここでは、幅h2を0.35D、幅h5を0.65Dとしていることで、可変利得増幅部805の増幅度を約1.4倍に下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号において、加算部802、803等で発生して出力される信号に付加される電気的なオフセットの影響を低減することができる。
【0196】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0197】
また、幅h2を0.3D〜0.5Dとすることで、光記憶媒体41の情報記録面が有するトラックに情報が記録されている場合と記録されていない場合とが混在することで生じるTE信号振幅の変動を非常に小さくすることができ、安定に情報を記録可能な光情報装置を提供することができる。
【0198】
(実施の形態15)
図28は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子67を模式的に示した図である。図21を参照して前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402におけるビーム分割素子64の代わりに、ビーム分割素子67を用いることにより、実施の形態15に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0199】
ビーム分割素子67における領域67a〜67gはそれぞれ、前述したビーム分割素子64における領域64a〜64gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子64とビーム分割素子67との違いは、領域67aと67bの一部分に領域67h〜67kを設け、その分、領域67aと67bを狭くしていることである。
【0200】
領域67h〜67kには領域67gと同じパターンを記録している。すなわち、領域67h〜67kから生成されるビームは受光部45e〜45jで受光されないようにしている。領域67aと67bとを狭くすることにより、その分、領域67aと67bから生成されるビーム76bと76cが受光部45e〜45jに入射しにくくなる。特に、ビーム分割素子67から生成されるビームが図20を参照して前述したシリンドリカルレンズ57を透過するときに有効である。
【0201】
また、領域67h〜67kを設けることにより、領域67aと67bとから生成されるビーム75bと75cとに含まれる、トラッキング追従に応じたオフセット変動は小さくなり、その分、図23に示す可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号において、加算部802、803等で発生して出力される信号に付加される電気的なオフセットの影響を低減することができる。また、領域67h〜67kを設けてもTE信号の振幅は低下しない。
【0202】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0203】
(実施の形態16)
図29は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構
成するビーム分割素子68を模式的に示した図である。前述した実施の形態15に示すビーム分割素子67の代わりに、ビーム分割素子68を用いることにより、実施の形態16に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0204】
ビーム分割素子68における領域68a〜68kはそれぞれ、前述したビーム分割素子67における領域67a〜67kに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子68とビーム分割素子67との違いは、領域68h〜68kに形成するパターンが領域67h〜67kに形成するパターンと異なることである。
【0205】
領域68hには領域68cと同じパターンを、領域68iには領域68dと同じパターンを、領域68jには領域68eと同じパターンを、領域68kには領域68fと同じパターンを、それぞれ記録している。このため、ビーム75d〜75gの光量は増加し、図23に示す可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号において、加算部802、803等で発生して出力される信号に付加される電気的なオフセットの影響を低減することができる。また、受光部45g〜45jで受光されるビーム75d〜75gの光量が増加する分、意図しない迷光の光量は相対的に低下し、より安定なトラッキング制御が可能となる。
【0206】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0207】
なお、これまでに述べたビーム分岐素子64〜68における領域64a、64b、65a、65b、66a、66b、67a、67b、68aおよび68bは、プッシュプル法によるTE信号を検出する領域である。幅h2は、(1−(λ/2/tp/NA)2)1/2・D〜(1−(λ/2/tp/NA)2)1/2・D/2程度の範囲で、良好なTE信号を得ることができる。また、幅h1は、(λ/tp/NA−1−Δ)・D以下であれば、トラッキング制御に対応して、ビーム分割素子上でビーム70が移動しても、全くTE信号の劣化はない。幅h1が1.5・(λ/tp/NA−1−Δ)・D以下であれば実用上問題のない良好なTE信号が得られる。
【0208】
なお、Δは、ビーム分割素子上でのビーム70の直径を1として規格化したときのビーム分割素子上をビーム70が動く距離である。勿論、幅h2を更に大きくしたい場合や、TE信号の振幅を常に一定に保ちたい場合には、トラッキング制御に対応して、TE信号の振幅が一定となるような振幅制御部を設けてもよい。トラッキング制御がどのような状態にあるかについては、例えば図23に示す差動演算部804の出力から容易に知ることができる。
【0209】
(実施の形態17)
図30は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、TE信号を生成するための信号処理部の構成を示した図である。図23を参照して前述した実施の形態10に示す信号処理部の代わりに、本信号処理部を用いることにより、実施の形態17に係る光情報装置を構成できる。
【0210】
受光部45e〜45jから出力される信号I45e〜I45jが、差動演算部806で差動演算されることは、図23を参照して前述した実施の形態10に示した信号処理部と同様である。受光部45a〜45dから出力される信号I45a〜I45dは、加算部807で加算される。
【0211】
図31は、加算部807で加算された信号をオシロスコープで観察した時の様子を示す図であり、所謂アイパターンである。加算部807から出力された信号は、低域濾波部809と振幅検出部811とに入力される。低域濾波部809では、光記憶媒体41の情報記録面41b、41cに記録されたマーク及びスペースからなる信号よりも十分低い周波数成分に応じた信号を出力する。情報記録面41b、41cに情報が記録されている場合には図31に示す信号強度Idcが出力される。情報記録面41b、41cに情報が記録されていない場合には図31に示す信号強度Itが出力される。
【0212】
一方、振幅検出部811では、光記憶媒体41の情報記録面41b、41cに記録されたマーク及びスペースからなる信号周波数成分の振幅に応じた信号を出力する。振幅検出部811は、一般的な実効値を検出する回路を用いることができる。また、包絡線を検出する回路等、振幅に応じた信号を出力可能で有れば、特に制約はない。情報記録面41b、41cに情報が記録されている場合には図31に示す信号強度Irfに応じた信号が出力される。情報記録面41b、41cに情報が記録されていない場合には0が出力される。
【0213】
低域濾波部809と振幅検出部811とから出力される信号は、それぞれ可変利得増幅部810と812とに入力され、所望の信号強度に増幅もしくは減衰がなされる。可変利得増幅部810と812とから出力される信号は、加算部813で加算された後、除算部808に除算を行う信号として入力される。
【0214】
加算部807と低域濾波部809と振幅検出部811と可変利得増幅部810と812と加算部813とは、記録未記録検出手段を構成している。除算部808は、振幅制御手段を構成している。
【0215】
図32は、可変利得増幅部810と812との利得の一例を示す図である。直線k2は可変利得増幅部810の利得を、直線k3は可変利得増幅部812の利得を、それぞれ示している。可変利得増幅部810の利得は、デフォーカスに依存せず一定の値としているが、可変利得増幅部812の利得は、情報記録面41bもしくは41cに集光されるビームのデフォーカスの状態に依存して変化させている。ここでは、直線k3によって示される利得の値を、デフォーカスが−0.2μmのときに1、デフォーカスが0μmのときに0としている。直線k2によって示される利得の値は常に1である。デフォーカスの値は、FE信号を用いることで、容易に知ることができる。
【0216】
直線k3によって示される可変利得増幅部812の利得をデフォーカスに応じて変化させると、記憶媒体41の情報記録面が有するトラックに情報が記録されている場合と記録されていない場合とが混在することで生じるTE信号の振幅の変動を非常に小さくすることができ、安定に情報を記録可能な光情報装置を提供することができる。
【0217】
なお、ここで示した直線k2と直線k3とによって示される利得の値は一例であり、可変利得増幅部810と812との利得及び利得の変化の割合は光学設計により最適な値に設定すればよい。利得の最適な値は、光情報装置の求める性能に応じて、TE信号の変動量を最小にする値としてもよいし、オフトラックを最小にする値としてもよい。また、両者の間に設定してもよい。
【0218】
また、本構成は一例であり、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cが有するトラックが記録済みのトラックか未記録かのトラックであるかを検出し、その状態とデフォーカスの状態とに応じてTE信号の振幅を制御することができれば、如何なる構成でもよい。また、光記憶媒体が有する情報記録面の数に制約はなく、トラックに情報が記録されている場合と記録されていない場合とが混在することでTE信号の振幅に変動が生じる情報記録面を有する光記憶媒体であれば、全ての光記憶媒体に、本発明の光情報装置を適用することができる。
【0219】
図33は、図20を参照して前述した光記憶媒体41の情報記録面41b、41cに情報を記録した場合の一例を示す図である。ここでは、トラックTn−2、Tn、Tn+2に情報を記録し、トラックTn−1、Tn+1には情報を記録していない。すなわち、記録済みのトラックと未記録のトラックとを交互に形成している。トラックと直交する方向にビームを走査することでTE信号が得られる。記録済みのトラックと未記録のトラックを混在させることにより、TE信号の振幅に変動が生じるが、この変動が小さくなるように直線k2と直線k3とによってそれぞれ示される可変利得増幅部810と812との利得を調整すればよい。記録済みのトラックと未記録のトラックとを交互に形成した場合が、最もTE信号の振幅の変動は顕著であり、可変利得増幅部810と812の利得を精度良く調整することができる。
【0220】
(実施の形態18)
図34は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置403の構成の一例を示した図である。図20を参照して前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402と本光ピックアップヘッド装置403との違いは、偏光ビームスプリッタ52と4分の1波長板43との間に凹レンズ81と凸レンズ82とを設けたことである。
【0221】
凹レンズ81の位置をアクチュエータ93で変えることにより、ビーム70に与える球面収差量を調整できるようにしている。情報記録面41b、41cに集光されるビーム70の有する球面収差量は、光記憶媒体41の表面から情報記録層41b、41cまでの距離に応じて変化するが、情報記録面41b、41cに集光されるビーム70が有する球面収差が小さくなるように、凹レンズ81と凸レンズ82を用いて球面収差を補正している。凹レンズ81と凸レンズ82とを設けることにより、情報記録面41bと41cとのどちらにも、球面収差が少ない状態で情報を記録することができる。
【0222】
ここで、対物レンズ56に入射するビームの直径D1は、アパーチャ55で開口が制限されるために一定であるが、ビーム分割素子64に入射するビームの直径D2は、凹レンズ81の位置に応じて変化する場合がある。ビーム分割素子64に設けられた領域64a〜64gの大きさは一定であるので、ビームの直径D2が小さくなると、領域64a〜64bで生成されるビーム75b〜75cの光量は増加し、領域64c〜64fで生成されるビーム75d〜75gの光量は低下する。直線k1によって示される可変利得増幅部805の利得が一定のままであれば、差動演算部801から出力される信号が有するトラッキング追従に応じたオフセット変動を適切に減ずることができなくなる。
【0223】
図35は、本実施の形態におけるビームの直径の比D2/D1と直線k1によって示される可変利得増幅部805の利得との間の関係を示す図である。ビームの直径の比D2/D1が小さくなる程、可変利得増幅部805の利得が大きくなるようにしている。
【0224】
図36は、図34に示すアクチュエータ93の駆動電圧とビームの直径の比D2/D1との間の関係を示す図である。アクチュエータ93の駆動電圧とビームの直径の比D2/D1とは相関関係があり、ここでは、アクチュエータ93の駆動電圧に応じて、直線k1によって示される可変利得増幅部805の利得を制御している。ビームの直径の比D2/D1を測定することは困難であるが、アクチュエータ93の駆動電圧は容易に知ることができる。情報記録面41bもしくは41cに集光されるビームの球面収差が少なくなるように、凹レンズ81を変位させた場合でも、常に、差動演算部801から出力される信号が有するトラッキング追従に応じたオフセット変動を適切に減ずることができる。すなわち、情報記録面を複数有する光記憶媒体に対して情報の記録を行う光情報装置の信頼性を高めることができる。
【0225】
(実施の形態19)
図37は、本発明に係る別の光ピックアップヘッド装置を示す構成図である。
【0226】
半導体レーザなどの光源1は、波長λ1が405nmの直線偏光のビーム70を出射する。光源1から出射されたビーム70は、コリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52に入射する。偏光ビームスプリッタ52を通過した光は立ち上げミラー24で光路を折り曲げられ、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、対物レンズ56に入射し集光する。対物レンズ56の焦点距離fは2mmで、開口数NAは0.85である。対物レンズ56は図示しない対物レンズ駆動装置により駆動され、ビーム70は厚さ0.1mmの透明保護層を透過して光記憶媒体40の記録面上に集光する。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、トラックピッチtpは0.32μmである。
【0227】
光記憶媒体40で反射したビーム70は対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、ビーム分岐手段としての偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射し向きを変えたビーム70は開口制限素子83を通り、開口制限素子83に接している回折素子22を通って、複数のビーム700及び21a〜21eに分割される。分割されたビームは集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を透過して非点収差が付与された後、光検出器51に入射する。光検出器51に入射した光は電気信号として出力される。
【0228】
図38は、回折素子22と開口制限素子83との構成を模式的に示している。図39は、光検出器51の受光部の形状とビーム700及び21a〜21dとの間の関係を模式的に示している。
【0229】
回折素子22は4つの領域22a〜22eを有しており、入射したビーム70の大半をそのまま透過させ0次回折光210を生成し、一部の光量を回折させて領域22a〜22eからそれぞれビーム70a〜70eを生成する。
【0230】
光検出器51は全部で8つの受光部51a〜51hを有している。受光部51a〜51hは信号検出用の受光部であり、受光部51a〜51dがビーム210を、受光部51gがビーム21cを、受光部51eがビーム21aを、受光部51fがビーム21cを、受光部51hがビーム21dを、それぞれ受光する。領域22eは他の領域に比べて大きな回折角で回折するような特性が与えてあり、領域22eにおいて回折したビームは光検出器51に入らない。光検出器51における受光部51a〜51hには、それぞれその一端に電極84が設けられており、受光した光量に応じた電流信号I51a〜I51hが電極84から図示しない半導体回路へ出力される。
【0231】
FE信号は、非点収差法により(I51a+I51c)−(I51b +I51d)の演算により得られ、それに基づき対物レンズ56の位置を制御する。
【0232】
また、TE信号は、(I51g−I51h)−k・(I51e−I51f)の演算で得られる。得られたTE信号に基づいて対物レンズの位置を制御し、信号を記録再生することができる。
【0233】
回折素子22の領域分割は実施の形態19では直線としたが、光記憶媒体40の特性等に応じてTE信号特性を最適にするように任意の位置形状で分割されるものである。kは実数であり、回折素子22の領域分割の位置や光記憶媒体40の特性により最適な値が選ばれる。
【0234】
また、情報の再生時において、情報記憶媒体に記録されている情報信号(以下RF信号)はI51a+I51b+I51c+I51dにより得られる。
【0235】
このとき、光検出器51に対して入射する光は210及び21a〜21dだけでなく、図37の迷光21で示されるように光記憶媒体40の透明基板の表面40dからの反射光が発散光となって光検出器51側に向かって戻ってくる。
【0236】
この迷光21も回折素子22を透過した後に集光レンズ59に入るが、正規のビーム70よりも発散した発散光のため、検出器51の表面ではビーム700によって作られるスポットよりも大きく広がって入射しようとする。
【0237】
この光は、そのままでは信号用の受光部にも入ってしまい、特に比較的光量の少ない回折光21e〜21dを受ける受光部51e〜51hに入った場合、信号品質を大きく劣化させてしまい、トラッキング制御を不安定にさせ高い信頼性をもっての情報の記録再生が不可能となる。実施の形態19では途中の経路に開口制限素子83を挿入して迷光21の周囲の光を遮断することで、図39で示すように光検出器51の表面での迷光21によるスポット320を小さくすることができる。このため、回折光21a〜21dを受けるための受光部51e〜51hに迷光21が入射しないようにすることができる。
【0238】
また、直接受光部に入らない光であっても迷光21をできるだけ減らすと、図示しないレンズ鏡筒内面や光ヘッド内面での反射によって受光部に不要な受光部へ向かう光も遮断でき、安定なトラッキング制御が可能となる。
【0239】
なお、この迷光21についても回折素子22で回折するが、その回折光が受光部51e〜51hに入らないように、回折素子22の中央部の領域22eでは大きな回折角で回折するようになっており、光検出器51外の所へ回折光が向かうようになっている。
【0240】
開口制限素子83の開口径は、光記憶媒体40の記録面から反射した正規のビーム70を遮光しないように、図38に示すように対物レンズのNAから決まる径83a以上としている。
【0241】
さらに、対物レンズがトラックに追従してトラッキング方向に変位するとビーム70の位置も変化してしまう。その場合にもビーム70を遮光してしまわないように開口制限素子83の開口は、トラック方向に対しては対物レンズの変位を考慮した分だけ大きくした径83bを持つ長円径の開口形状にすることが望ましい。
【0242】
また、迷光21をできるだけ多く遮るためにはビーム70に対して迷光21の径ができるだけ大きく広がっている位置に、いいかえればビーム70を通すための開口内を通る迷光21の光量がもっとも少なくなる位置に開口制限素子83を配置することで、最も効率的に迷光21を遮光することができる。その目的のため実施の形態19では開口制限素子83は回折素子22と接した位置に配置している。
【0243】
この理由は図37で示すように、迷光21はビーム70に比べて発散しながら光検出器51に向かうので、光記憶媒体40からできるだけ遠ざかった位置で開口制限すれば多くの迷光21をさえぎることができる。しかしながら、一方で回折素子22よりも光検出器51側では、回折素子22の働きによって分岐したビーム70a〜70dがビーム700に対して広がっていくため、それを遮らないようにビーム700対して大きな開口径にすると、その分だけ迷光21の遮断量が低下する。
【0244】
また、開口制限素子83の開口中心と回折素子の22の中心とが一致していない場合、通過し分岐していく光量にアンバランスが生じてしまう。このため、TE信号が不正規な誤差を持ってしまいトラッキング性能を悪化させることになる。実施の形態19では、回折素子22に接した位置に開口制限素子83を配置しているため、互いの位置あわせが容易である。例えば回折素子22を光ヘッド装置に組み込む前に、回折素子22の分割パターンを見ながら開口制限素子83の位置を合わせて固定しておいてから、光ヘッド装置に取り付けるということも可能である。従って、光ヘッド装置を組み立てる際の工数が少なくて済み、安価な光ヘッド装置を提供することができる。
【0245】
なお、実施の形態19では開口制限素子83と回折素子22とが別の部材から構成されているとしたが、必ずしもその必要はなく例えば図40に示すように回折素子22の開口制限相当部分を別の回折特性をもつ領域22fとして分割し、この領域22fを通る光のすべてが光検出器51に入射しないよう回折する特性にすることでも同様の効果が得られる。さらにこの場合は開口制限素子83の位置を合わせる必要もなくなる。領域22fは実質的に受光部51e〜51hへの迷光21を遮光する機能を有していればいかなる構成でも構わず、例えば反射膜であっても吸収膜であっても構わない。また、高い回折効率を持つ回折格子であっても良い。
【0246】
以上のような構成により、情報記憶媒体の保護層からの反射による迷光の影響が少ない良好なTE信号を得ることができ、高い信頼性をもって情報を記録再生できる光ヘッド装置を提供することができる。
【0247】
また、実施の形態1に示す光情報装置における光ピックアップヘッド装置4の代わりに実施の形態19に係る光ピックアップヘッド装置を用いることにより、光情報装置を構成することができ、信頼性の高い信号出力を得ることができ、良好な記録再生特性を得ることが可能な光情報装置を提供できる。
【0248】
また、迷光21を発生させる反射面は、透明基板の表面40dに限られることはなく、光記憶媒体40が複数の記録面を有している場合には、情報を記録もしくは再生している記録面以外からの迷光も発生される。その場合にも本発明は同様に有効である。
【0249】
(実施の形態20)
実施の形態20ではホログラム素子によりTE信号に必要な領域を分岐すると同時に分割し、電気的に最適な補正係数を決める場合について述べる。
【0250】
図41は実施の形態20に係る光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示している。半導体レーザ(光源)1から出射された光ビームはコリメータレンズ53により平行光にされ、ビームスプリッタ(分岐手段)103で反射して対物レンズ(集光手段)56で光記憶媒体40の情報記録面40bに集光される。光記憶媒体40の情報記録面40bにはマークとスペースとを選択的に配置したトラック、もしくはマークとスペースを配置するための案内溝が、トラックとして所定の間隔で同心円もしくはスパイラル状に並んでいる。対物レンズ56はアクチュエータ91、92により、光記憶媒体の面ぶれと光記憶媒体の偏芯とに応じて光軸方向とトラック横断方向とに沿って移動させられる。
【0251】
情報記録面40bで反射・回折した光ビームは再び対物レンズ56を通り平行光になりビームスプリッタ(分岐手段)103を透過しホログラム素子(分割手段)201により一部の光が回折される。ホログラム素子201を通った光は検出レンズ107により集光される。検出レンズ107は、図2を参照して前述した実施の形態1に示す集光レンズ59とシリンドリカルレンズ57との機能を1つの素子で有する複合機能レンズである。光検出器(光検出手段)46はホログラム素子201を通った光ビーム203と回折光204とを受光する。
【0252】
図42はホログラム素子201の分割と光ビームとの間の関係を示している。ホログラム素子201は3本の分割線201a、201b、201cにより、6つの領域220a〜220fに分割される。光ビーム221は略円形であり、光記憶媒体のトラックで回折された±1次光と0次光とが重なる部分を斜線で示している。この斜線で示す部分がTE信号を主に含む領域(第1の領域)である。この領域を含む領域220cと220dとからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。一方領域220a、220b、220e、220fはTE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2の領域)でありここからオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。
【0253】
一点鎖線222に沿ったホログラム素子201の回折効率の分布を図43に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。破線は分割線201bと201cとの交点における位置を示す。図43に示すように分割線201bと201cとの外側での回折効率η2は、内側での回折効率η1より高い構成とする。このようにしてオフセット成分を主に含む領域の光ビームが光検出器46に到達する効率を高めている。
【0254】
図44は光検出器46と電気回路との構成を示している。光検出器46に設けられた0次光受光部46a〜46dはホログラム素子201を透過した0次光である光ビーム203を受光する。受光部46a〜46dから出力される信号を用いてFE信号と情報再生用信号とを検出する。ここではFE信号検出の詳細については省略する。
【0255】
受光部46e〜46hはホログラム素子201で回折された回折光204(図41)を受光し、光量に応じた電流信号を出力する。受光部46eには図42に示す領域220cを通った光が入射し、受光部46gには領域220dを通った光が入射する。受光部46eと46gとからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)130は受光部46eからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)131は受光部46gからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0256】
更に、受光部46fには図42に示す領域220aと220eとを通った光が入射し、受光部46hには領域220bと220fとを通った光が入射する。受光部46fと46hからはオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)132は受光部46hからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)133は受光部46fからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0257】
差動演算部134はIVアンプ130と131とからの出力信号を受け、その差信号を出力する。これがTE信号成分を主に含む信号となる。一方、差動演算部135はIVアンプ132と133とからの出力を受けてその差信号を出力する。これがオフセット成分を主に含む信号となる。差動演算部135から出力された信号は可変利得増幅回路136により利得(係数)kが掛けられk倍された信号が出力される。差動演算部(TE信号生成手段)137は差動演算部134と可変利得増幅回路136とからの出力信号を受けてその差信号を出力する。
【0258】
可変利得増幅回路136の利得kは、対物レンズが移動した時の、差動演算部135から出力した信号のDC成分の変動量と可変利得増幅回路136から出力される信号のDC成分の変動量とが等しくなるように決められる。差動演算部137からは、対物レンズが移動しても、オフセット変動がないTE信号が得られる。
【0259】
利得kは、分割線201bと201cとの間の間隔と光ビーム221の直径との比や、光ビーム221内の光の強度分布に依存する。ここでは領域220a,220b,220e,220fの回折効率η2を領域220c,220dの回折効率η1の2倍にすることで、利得kを1程度とすることができる。
【0260】
IVアンプ130〜133で各々に発生する電気オフセットを平均的にΔEとすると、従来例では利得kが2程度であるため、最悪の場合ΔEの6倍の電気オフセットが補正後のTE信号に発生する。ところが、実施の形態20の場合、利得kは1程度でよいため、最悪の場合でもΔEの4倍の電気オフセットで収まる。したがって温度等により変化するオフセットの発生量を従来例の2/3に低減することができる。
【0261】
この例ではTE信号のオフセットを低減するための係数である利得をヘッド毎、また光記憶媒体毎に最適な値にすることができるため、TE信号のオフセットを小さく抑えることができる。さらにホログラム素子の分割線の位置は回折効率とは独立に決められるため、分割パターンとして最適な形を使用できるという自由度を確保できる。
【0262】
なお、オフセット成分を主に含む信号を得るための領域における回折効率を更に高くすれば、利得kを更に小さくすることができるため温度等による電気オフセットの発生量を小さくすることができる。
【0263】
また、このような例ではRF信号を得るための0次光のタンゼンシャル方向に沿った透過効率も変化するが、波形等化や最尤復号法(PRML法)などによりRF信号に与える影響を低減できる。
【0264】
別の分割手段を用いた例として、図45は別の例のホログラム素子(分割手段)241の分割と光ビームとの間の関係を示している。図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりにこのホログラム素子241を用いる。ホログラム素子241は分割線241a,241b,241cにより6つの領域245a〜245fに分割される。分割された各領域から生成された回折光は図44を参照して前述した例と同様に検出系に入射し検出される。
【0265】
一点鎖線246に沿った回折効率分布を図46に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。回折効率は中心部でη3であり、両端でη4となるように直線的に変化する。破線は一点鎖線246と分割線241bおよび241cとの交点における位置をそれぞれ示す。
【0266】
このような構成でもオフセットを主に含む領域である245a,245b,245e,245fを通った光ビームが光検出器46(図41)に到達する効率が高いので可変利得増幅回路の利得kを小さくすることができる。このため、温度等により変化する電気オフセットの変動によるオフセットの発生量を低減することができる。
【0267】
更に別の分割手段を用いた例として、図47は更に別の例のホログラム素子(分割手段)251の分割と光ビームとの間の関係を示している。図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりにこのホログラム素子251を用いる。ホログラム素子251は分割線251a,251b,251cにより6つの領域255a〜255fに分割される。分割された各領域から生成される回折光は図44を参照して前述した例と同様に検出系に入射し検出される。
【0268】
一点鎖線256に沿った回折効率分布を図48に示す。横軸はラジアル方向(トラック横断方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。回折効率は中心部でη5であり、端でη5よりも高いη6となるようにホログラム素子251は作られている。破線は点線257と258と一点鎖線256とが交わる点の位置を示す。
【0269】
このような構成でもオフセットを主に含む領域である255a,255b,255e,255fのうち、対物レンズの移動により面積が変化する割合が大きい光ビームの周辺部が光検出器46(図41)に到達する効率が高いので、可変利得増幅回路の利得kを小さくすることができる。このため、温度等により変化する電気オフセットの変動によるオフセットの発生量を低減することができる。このように同じ領域内で回折効率を変えても良い。このような例ではタンゼンシャル方向に沿った回折効率の変化が小さいので、RF信号を得るための0次光の透過効率の部分的な違いを小さくでき、RF信号に与える影響を低減できる。
【0270】
更に別の分割手段を用いた例として、図49は更に別の例のホログラム素子(分割手段)261の分割と光ビームとの間の関係を示している。図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりにこのホログラム素子261を用いる。ホログラム素子261は分割線261a,261b,261cにより6つの領域265a〜265fに分割される。分割された各領域から生成される回折光は図44を参照して前述した例と同様に検出系に入射し検出される。
【0271】
一点鎖線266に沿った回折効率分布を図50に示す。横軸はラジアル方向に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。回折効率は中心部でη7であり、両端でη7よりも高いη8となるようにホログラム素子261は作られている。破線は点線267と268と一点鎖線266とが交わる点の位置を示す。
【0272】
このような構成でもオフセットを主に含む領域である265a,265b,265e,265fのうち、対物レンズの移動により面積が変化する割合が大きい光ビームの周辺部が光検出器46(図41)に到達する効率が高いので可変利得増幅回路の利得kを小さくすることができる。このため、温度等により変化する電気オフセットの変動によるオフセットの発生量を低減することができる。このように光ビームに沿って回折効率を変えても良い。
【0273】
(実施の形態21)
実施の形態21ではホログラム素子によりTE信号に必要な領域を分岐すると同時に分割し、光学的に位置を入れ替えて演算を行う場合について述べる。
【0274】
光学系の構成については前述した実施の形態20とほぼ同様なので構成図は省略する。実施の形態20と異なるのは、図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりに、ホログラム素子(分割手段)301を用い、光検出器46の代わりに光検出器(光検出手段)303を用いる点である。
【0275】
図51にホログラム素子(分割手段)301の分割と光ビームとの間の関係示す。ホログラム素子301は3本の分割線301a、301b、301cにより、6つの領域302a〜302fに分割される。光ビーム321は略円形であり、光記憶媒体のトラックで回折された±1次光と0次光とが重なる部分を斜線で示している。この斜線で示した部分がTE信号を主に含む領域である。この領域302cと302dからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。一方、領域302a、302b、302e、302fからはTE信号のオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。
【0276】
一点鎖線322に沿った回折効率の分布を図52に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。破線は分割線301bと301cと一点鎖線322との交点の位置を示す。図52に示すように分割線301bと301cの外側での回折効率η10は、内側における回折効率η9の約2倍となるようにする。このようにしてオフセット成分を主に含む領域を通った光ビームが光検出器に到達する効率を高めている。
【0277】
図53は光検出器303と電気回路の構成を示す。光検出器303に設けられた0次光受光部303a〜303dはホログラム素子301を透過した0次光である光ビーム331を受光する。受光部303a〜303dから出力される信号を用いてFE信号と情報再生用信号とを検出する。受光部303e,303fはホログラム素子301で回折された回折光を受光し、光量に応じた電流信号を出力する。受光部303eには領域302b,302c,302fを通った光が入射し、受光部303fには領域302a,302d,302eを通った光が入射する。
【0278】
IVアンプ(変換手段)340は受光部303eからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)341は受光部303fからの電流信号を電圧信号に変換する。領域302aと302bからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができ、領域302a,302b,302e,302fからはオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。このように、分割線301aをまたいで互い異なる側にある領域が同じ受光部に入るように各受光部を配置する。これにより対物レンズの移動によるオフセットを低減することができる。差動演算部342はIVアンプ340と341との出力信号を受け、その差信号を出力する。これにより対物レンズが移動しても、オフセット変動がないTE信号が得られる。
【0279】
実施の形態21の場合、IVアンプは2個でよい。このためIVアンプ各々で発生する電気オフセットを平均的にΔEとすると、最悪の場合ΔEの2倍の電気オフセットが補正後のTE信号に発生する。したがって温度等により変化するオフセットの発生量を従来例の1/3に低減することができる。
【0280】
(実施の形態22)
実施の形態22では、プリズムによりファーフィールドを分割し、電気的に補正係数を掛けてTE信号のオフセットを低減する場合について述べる。
【0281】
図54は実施の形態22の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示している。半導体レーザ(光源)1から出射された光ビームはコリメータレンズ53により平行光にされ、ビームスプリッタ(分岐手段)103で反射して対物レンズ(集光手段)56で光記憶媒体(光記憶媒体)40の情報記録面40bに集光される。対物レンズ56はアクチュエータ91、92により、光記憶媒体の面ぶれと光記憶媒体の偏芯とに応じて光軸方向とトラック横断方向とに移動させられる。情報記録面40bで反射・回折した光ビームは再び対物レンズ56を通り平行光になりビームスプリッタ(分岐手段)103を透過しもう1つのビームスプリッタ(分岐手段)104により一部の光が反射し、残りの光は透過する。
【0282】
ビームスプリッタ104を通った光は検出レンズ107により集光され、光検出器(光検出手段)30により受光される。一方ビームスプリッタ104で反射した光はプリズム(分割手段)105によりビームが分割される。分割された光は検出レンズ106により集光され、光検出器(光検出手段)305により検出される。
【0283】
図55は、プリズム105の分割と光ビームとの間の関係を示す。プリズム105は3本の稜410、411、412により、6つの領域420a〜420fに分割される。光ビーム421は略円形であり、光記憶媒体のトラックで回折された±1次光と0次光とが重なる領域を斜線で示している。この斜線で示した領域がTE信号を主に含む領域である。この領域420cと420dとからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。一方領域420a、420b、420e、420fからはTE信号のオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。
【0284】
一点鎖線422に沿った透過率の分布を図56に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は透過率を示している。破線は稜411と412との位置を示す。このように稜411と412との外側での透過率η12は、内側での透過率η11より高い構成とする。このようにしてオフセット成分を主に含む領域を通った光ビームが光検出器305に到達する効率を高めている。
【0285】
図57は光検出器305と電気回路との構成を示す。6個の受光部305a〜fはビームスプリッタ104で反射されプリズム105で分割された光を受光し、光量に応じた電流信号を出力する。受光部305cには図55に示す領域420cを通った光が入射し、受光部305dには領域420dを通った光が入射する。受光部305cと305dからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)130は受光部305cからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)131は受光部305dからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0286】
更に、受光部305aには領域420aを通った光が、受光部305eには領域420eを通った光が入射し、受光部305bには領域420bを通った光が、受光部305fには領域420fを通った光が入射する。受光部305a,305b,305e,305fからはオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)132は受光部305bと305fからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)133は受光部305aと305eとからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0287】
差動演算部134はIVアンプ130と131との出力信号を受け、その差信号を出力する。これがTE信号成分を主に含む信号となる。一方、差動演算部135はIVアンプ132と133との出力を受けてその差信号を出力する。これがオフセット成分を主に含む信号となる。差動演算部135から出力された信号は可変利得増幅部136により利得kが掛けられk倍された信号が出力される。差動演算部137は差動演算部134と可変利得増幅部136との出力信号を受けてその差信号を出力する。
【0288】
可変利得増幅部136の利得kは、対物レンズが移動した時において、差動演算部135から出力した信号のDC成分の変動量と可変利得増幅部136から出力される信号のDC成分の変動量とが等しくなるように決められる。差動演算部137からは、対物レンズが移動しても、オフセット変動がないTE信号が得られる。
【0289】
利得kは稜411と412との間の間隔と光ビーム421の直径との比や、光ビーム421内の光の強度分布に依存する。ここでは領域420a,420b,420e,420fの透過率η12を領域420c,420dの透過率η11の2倍にすることで、利得kを1程度とすることができる。
【0290】
IVアンプ130〜133で各々に発生する電気オフセットを平均的にΔEとすると、実施の形態22の場合、前述した実施の形態20と同じように、利得kは1程度でよいため、最悪の場合でもΔEの4倍の電気オフセットで収まる。したがって温度等により変化するオフセットの発生量を従来例の2/3に低減することができる。
【0291】
実施の形態22に示す例では前述した実施の形態20と同様に、TE信号のオフセットを低減するための係数である利得をヘッドごと、また光記憶媒体毎に最適な値にすることができるため、TE信号のオフセットを小さく抑えることができる。さらにホログラム素子の分割線の位置は回折効率とは独立に決められるため、分割パターンとして最適な形を使用できるという自由度を確保できる。さらにプリズムを用いるためホログラム素子を使う場合に比べて回折による損失が少なく、光の利用効率をあげることができるため、電気オフセットの影響を低減することができる。
【0292】
(実施の形態23)
実施の形態23では、対物レンズと一体で移動するホログラム素子で光の一部を回折し、領域を入れ替える場合の例について述べる。
【0293】
図58は本実施の形態の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示している。半導体レーザ(光源)1から出射された直線偏光の光ビームはコリメータレンズ53により平行光にされ、ビームスプリッタ(分岐手段)103で反射して、偏光ホログラム素子(分割手段)501と4分の1波長板54とを透過し、円偏光となって対物レンズ(集光手段)56で光記憶媒体40の情報記録面40bに集光される。対物レンズ56、偏光ホログラム素子501および4分の1波長板54はアクチュエータ91、92により、光記憶媒体の面ぶれと光記憶媒体の偏芯とに応じて光軸方向とトラック横断方向とに沿って移動させられる。情報記録面40bで反射・回折した光ビームは再び対物レンズ56を通り、平行光になり4分の1波長板54を通り、行きの光ビームとは90度偏光面が異なる直線偏光となる。
【0294】
直線偏光となった光は偏光ホログラム素子501で一部の光が回折され、光ビームの進行方向が変えられる。偏光ホログラム素子501を出た光は、ビームスプリッタ(分岐手段)103を透過し、検出レンズ107により非点収差を与えられて、集光され、光検出器(光検出手段)30により受光される。
【0295】
図59は偏光ホログラム素子501の分割と光ビームとの間の関係を示している。偏光ホログラム素子501は4つの分割線510,511,512,513により6つの領域に分割される。このうち、領域520aと領域520bとはTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)であり、この領域にはホログラムの溝はなく、光ビームは全て透過する。領域521a,521b,521c,521dはTE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2領域)であり、この領域にはブレーズされた溝が形成されており、光ビームは特定の方向に回折される。第2の領域はトラック接線方向に略平行な分割線511とトラック直交方向に略平行な分割線513で4つの領域に分割される。
【0296】
図60は光検出器30と電気回路との構成を示す図である。光検出器30はトラック接線方向に略平行な分割線530とトラック直交方向に略平行な分割線531とにより分けられる4つの受光部30a〜30dからなる。図59に示す偏光ホログラム素子501の領域520aを通過した光は、光ビーム540aとなり受光部30aと30bとにまたがるように配置される。領域520bを通過した光は、光ビーム540bとなり受光部30cと30dとにまたがるように配置される。このようにTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)520aと520bとを通った光ビームはホログラム素子501上のトラック接線方向に略平行な分割線510,512と光検出器30上のトラック直交方向に略平行な分割線531とにより4つの領域に分割される。
【0297】
一方、図59に示す分割線510と512ではさまれた4つの領域(第2の領域)を通った光は第1の領域を通った光と互いに対角の位置に配置される。すなわち、領域521aを通過した光は、光ビーム541dとなり、受光部30cで受光され、領域521bを通過した光は、光ビーム541cとなり、受光部30bで受光され、領域521cを通過した光は、光ビーム541bとなり、受光部30dで受光され、領域521dを通過した光は、光ビーム541aとなり、受光部30aで受光される。
【0298】
受光部30aで受光された光は電流信号として出力され、IVアンプ130により電圧信号に変換される。IVアンプ130から出力される信号を信号Aとする。受光部30dで受光された光は電流信号として出力され、IVアンプ131により電圧信号に変換される。IVアンプ131から出力される信号を信号Bとする。受光部30bで受光された光はIVアンプ133により電圧信号に変換される。IVアンプ133から出力される信号を信号Cとする。受光部30cで受光された光はIVアンプ132により電圧信号に変換される。IVアンプ132から出力される信号を信号Dとする。
【0299】
加算回路550は信号Aと信号Cとを受け、その和(A+C)を出力する。加算回路551は信号Bと信号Dとを受け、その和(B+D)を出力する。差動演算部552は、加算回路550と551とからの信号を受けてその差信号{(A+C)−(B+D)}を出力する。差動演算部522の信号からTE信号を得ることができる。
【0300】
この例ではFE信号は非点収差法で検出する。光ビームは図58に示す検出レンズ107により非点収差が与えられているため、対物レンズ56と光記憶媒体40との間の距離が変わると光検出器30上のスポットが歪み、光ビームは略円の状態から長円の状態を経て焦線になる。非点収差を与える方向を、焦線が光検出器30の分割線となす角が45度となる方向とし、(A+D)−(B+C)という信号を生成することでフォーカス誤差を検出することができる。
【0301】
また、ピット列で情報が記録された再生専用光記憶媒体を再生する際に、(A+D)の信号と(B+C)の信号とを位相比較することで位相差法によるトラッキング制御をおこうなうことができる。また4つの検出信号を全て加算することで情報再生のための再生用信号を得ることができる。
【0302】
実施の形態23によれば、対物レンズの移動と同時に偏光ホログラム素子も移動するため、分割線の相対的な移動は無くオフセットの発生量が少ない。しかしこの場合でも半導体レーザの光量分布が移動する影響を受けるため、オフセットが発生する。このオフセット発生量を低減するため、光ビームの中央付近の領域を入れ替えて検出する。こうすることで光量分布の移動の影響を低減することができる。この時、対角位置の領域の入れ替えを行うことにより、非点収差法のFE信号や、位相差法のTE信号に大きな影響を与えずにすむ。
【0303】
このように実施の形態23の構成を用いれば、4つの受光部という少ない受光部と少ない回路構成でオフセットの無いTE信号と、FE信号、情報再生用信号および位相差用TE信号を得ることができる。
【0304】
(実施の形態24)
実施の形態24では、前述した実施の形態23で回折した光を回折限界近くに集光する場合の例について述べる。実施の形態23との違いのみを説明する。光学構成としては偏光ホログラム素子501の代わりに偏光ホログラム素子(分割手段)307を用いる。
【0305】
図61は偏光ホログラム素子(分割手段)307の分割と光ビームとの間の関係を示している。偏光ホログラム素子307は4つの分割線307a,307b,307cおよび307dにより6つの領域に分割される。このうち、領域620aと領域620bとはTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)であり、この領域にはホログラムの溝はなく、光ビームは全て透過する。領域621a,621b,621cおよび621dはTE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2領域)であり、この領域にはブレーズされた溝が形成されており、光ビームは特定の方向に回折され、その際図58に示す検出レンズ107で付与される非点収差を予めキャンセルするように非点収差を与える。第2の領域はトラック接線方向に略平行な分割線307bとトラック直交方向に略平行な分割線307dで4つの領域に分割される。
【0306】
図62は光検出器(光検出手段)30と電気回路との構成を示している。偏光ホログラム素子307の領域620aを通過した光は、光ビーム640aとなり受光部30aと30bとにまたがるように配置され、領域620bを通過した光は、光ビーム640bとなり受光部30cと30dとにまたがるように配置される。このようにTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)620aと620bとを通った光ビームはホログラム素子307上のトラック接線方向に略平行な分割線307a,307cと光検出器30上のトラック直交方向に略平行な分割線531とにより4つの領域に分割される。
【0307】
一方、分割線307aと307cではさまれた4つの領域(第2の領域)を通った光は第1の領域を通った光と互いに対角の位置に配置される。4つの領域(第2の領域)を通った光のそれぞれは、検出レンズ107で与えられる非点収差をキャンセルされ、回折限界に近い集光された点となる。すなわち、領域621aを通過した光は、光ビーム641dとなり、受光部30cで受光され、領域621bを通過した光は、光ビーム641cとなり、受光部30bで受光され、領域621cを通過した光は、光ビーム641bとなり、受光部30cで受光され、領域621dを通過した光は、光ビーム641aとなり、受光部30aで受光される。
【0308】
受光部30aからの電流信号を受けてIVアンプ130は電圧信号Aを出力する。受光部30bからの電流信号を受けてIVアンプ131は電圧信号Bを出力する。受光部30cからの電流信号を受けてIVアンプ133は電圧信号Cを出力する。受光部30dからの電流信号を受けてIVアンプ132は電圧信号Dを出力する。加算回路550と551と差動演算部522とは、これらの信号を演算し、信号{(A+C)−(B+D)}をTE信号として得る。
【0309】
実施の形態24によれば、前述した実施の形態23と同様にFE信号、RF信号および位相差法のTE信号が得られ、オフセットの少ないプッシュプル信号が得られるという効果がある。さらに、光ビーム641a〜641dが集光されているため、フォーカスずれや、光検出器の位置ずれがあっても光ビームが受光部をはみ出すことがなくなるため、TE信号を安定に得ることができる。
【0310】
すなわち、反射率が低い光記憶媒体を用いた場合に周囲の温度が変化しても、TE信号のオフセット変動が小さいので、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置を実現できる。
【0311】
なお、光ビームの分割パターンは前述した実施の形態20〜24で説明したものに限るものではない。これ以外のホログラムの分割パターンでも同じような効果を得ることができる。特にここではTE信号を主に含む領域(第1の領域)は全てのTE信号を生じる全ての領域を含み、TE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2の領域)はTE信号を生じる領域をまったく含まない例を示したが、これに限るものではなく、第1の領域がTE信号を生じる領域の一部のみを含み、第2の領域がTE信号を生じる領域の一部を含んでいても良い。
【0312】
またTE信号を作るために光ビーム内の全ての領域を使用する必要はなく、例えば光ビームの中央付近はTE信号を使用しない場合でも本発明を適用でき、その効果を得ることができる。
【0313】
なお、実施の形態24では光ビームを分割する手段として、ホログラム素子とプリズムとを用いる例を用いたが、光検出器の受光部を分割し、これを分割手段としても良い。この場合光検出器に到達する効率を変えるために、部分的に透過効率の異なるフィルターを用いたり、ビームスプリッターの透過率を部分的に変えても良い。
【0314】
(実施の形態25)
図63は、本発明の更に別の光情報装置の実施の形態として、光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置404の構成の一例を示している。
【0315】
光源1は、波長λが405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射された発散ビーム70は、焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40に設けられた透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NAを0.85としている。透明基板40aの厚さは0.1mm、屈折率nは、1.62である。
【0316】
情報記録面40bで反射されたビーム70は、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射されたビーム70は、ビーム分割素子108でビーム70の大半の光量は透過して0次回折光のビーム700となり、一部の光量は回折され、複数の1次回折光のビーム701が生成される。ビーム分割素子108を透過したビーム700およびビーム701は、焦点距離f3が30mmの検出レンズ59とシリンドリカルレンズ57とを通り抜けて、光検出器46に入射する。ビーム700およびビーム701は、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0317】
図64は、ビーム分割素子108の構成を模式的に示している。ビーム分割素子108は、分割された7つの領域108a〜108gを有しており、109はビーム分割素子108を通過するビームを示している。入射したビーム70の大半を透過させて、RF信号を生成する0次回折光のビーム700を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域108a〜108fからTE信号を生成する1次回折光のビーム701a〜701fを生成する。図64におけるhはビーム分割素子108を通過するビームの直径、hrは108gの領域の光記憶媒体40の半径方向の長さ、htは領域108gにおける光記憶媒体40のトラック方向に沿った長さを示す。実施の形態25では、hr/h=0.35、ht/h=0.65、ビーム分割素子108の領域108a〜108fでの0次回折光および1次回折光の回折効率は80%および20%、ビーム分割素子108における領域108gの0次回折光の効率は100%に設定している。つまりビーム分割素子108の中央付近の領域108gは単にビーム70が透過する領域となっており、ビーム70の外周側の領域(108a〜108f)よりも0次回折光の回折効率を高く設定している。
【0318】
図65は、光検出器46とビーム701a〜701g、700との間の関係を模式的に示している。光検出器46は全部で8つの受光部46a〜46hを有し、受光部46a〜46dがビーム700を、受光部46eがビーム701bを、受光部46fがビーム701aを、受光部46gがビーム701eおよびビーム701fを、受光部46hがビーム701cおよびビーム701dを、それぞれ受光する。受光部46a〜46hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I46a〜I46hを出力する。
【0319】
FE信号は、光検出器46から出力される信号I46a〜I46dを用いて非点収差法により、すなわち(I46a+I46c)−(I46b+I46d)の演算で得られる。
【0320】
またTE信号は、(I46g−I46h)−k・(I46e−I46f)の演算で得られる。補正係数kを最適化することにより、対物レンズ56の半径方向への移動に伴うTE信号のオフセットを補正することができる。またTE信号は、ビームの中央付近の領域(ビーム分割素子108の領域108g)を用いずに生成されている。これは光記憶媒体40に形成されるトラックが周期tpに対して変動して形成されたときに生じる変動成分は、光ビームの中心付近に多く生じるので、その中心付近において生じた変動成分を用いないことで、改善されるという原理に基づいている。例えばトラックの位置ずれが3本ごとに生じている場合には、3本のトラックを1つの周期構造体として考えればよく、このとき生じている周期はtpの3倍となる。この周期構造体からの回折光は、周期が長い分だけビームの回折角は小さく、すなわち周期構造体からの1次回折光は、ビームの中心部に多く存在するようになる。
【0321】
RF信号は、(I46a+I46c+I46b+I46d)の演算で得られる。このようにRF信号は、ビーム分割素子108の7つの領域(108a〜108g)を透過した0次回折光700に基づいて生成されている。
【0322】
またビーム分割素子108の中央付近の領域108gでは単にビーム70が透過するため、光記録媒体40から反射したビームを0次回折光および1次回折光に分割し、0次回折光よりRF信号を生成していた従来の光情報装置と比較すると、0次回折光のビーム700の光量が増加するので光記憶媒体40に記録された情報を読み出す際のS/Nが良くなる。したがって、光記憶媒体40に記録された情報を信頼性高く再生することができる光情報装置を実現できる。
【0323】
図66にビーム中央付近の領域における0次回折光の回折効率に対する3Tおよび8T振幅の関係を示す。条件は、8−14変調、3Tマーク長=0.23μm、ht/h=0.65、hr/h=0.35、ビーム分割素子の中央付近以外の領域(108a〜108f)の0次回折効率を80%とした。図66に示すの黒丸●は規格化3T振幅、白丸○は規格化8T振幅を示す。3T振幅および8T振幅は、ビーム分割素子108の中央付近における領域108gの0次光回折効率が80%の場合の振幅で規格化を行った。ビーム中央付近の領域108gにおける0次回折光の回折効率を80%から100%に増加することにより3T振幅および8T振幅はそれぞれ約7%および8%それぞれ改善した。実施の形態25のようにビーム中央付近の領域における0次回折効率を増加すれば、TE信号の特性には影響を与えずに、RF信号のS/Nを改善することができる。
【0324】
また実施の形態25は、8−14変調に限らず、如何なる変調方式に対しても効果が得られる。なお1−7変調等、最短マーク長が2Tである変調方式とパーシャルレスポンス(PRML)による信号検出方法とを併用した場合、3T信号の振幅が改善される条件(例えば2T=0.15μm、3T=0.23μm)にすると、特に誤り率の改善が大きい。
【0325】
実施の形態25に係るビーム分割素子108は、無偏光型の素子で構わないので、極めて安価な樹脂成形で作製できる。このため、その分安価な光情報装置を提供することができる。
【0326】
実施の形態25では、ビーム分割素子108の中央付近の領域の形状を矩形で説明したが、ビーム分割素子108の中央付近の領域の分割パターンはこれに限らない。例えば前述した図28に示すような分割形状でも同様の効果を得ることができる。
【0327】
実施の形態25では、ビーム分割素子108を偏光ビームスプリッタ52から光検出器46に至る光路中に配置する構成で説明したが、ビーム分割素子108と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化する構成にしても構わない。その場合にはビーム分割素子108を偏光依存性の素子とし、光源1から光記録媒体40に向かう往路においては、入射するビーム70を全て透過する。一方、光記憶媒体40で反射されたビームが光検出器46に向かう復路においては、ビーム分割素子108へ入射するビーム70の大半の光量は透過して0次回折光のビーム700となり、一部の光量は回折され、複数の1次回折光のビーム701が生成される。ビーム分割素子108と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化する構成にした場合、ビーム70と領域108gとの位置関係は常に一定に保たれるので、3T信号の増加する割合が一定となり、より安定に光記憶媒体に記録された情報を再生することが可能となる。
【0328】
(実施の形態26)
図67は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子69を模式的に示した図である。前述した実施の形態16に示すビーム分割素子68の代わりに、ビーム分割素子69を用いることにより、実施の形態26に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0329】
ビーム分割素子69における領域69a〜69gはそれぞれ、前述したビーム分割素子68における領域68a〜68gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子69における領域69hは、ビーム分割素子68における領域68hと68iに、ビーム分割素子69における領域69iは、ビーム分割素子68における領域68jと68kにそれぞれ対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子69とビーム分割素子68との間の違いは、ビーム分割素子68における領域68hと68iに相当する、ビーム分割素子69における領域69hの幅を広くし、その分、領域69aの幅が68aよりも狭くなっていることである。領域68j、68k、69i、69b、68bの関係についても同様である。
【0330】
光記憶媒体に、前述した図33に示すようにトラック1本置きに複素反射率が変化するマーク列として情報が記録された場合、光記憶媒体に記録されたマーク列はトラックの周期がtpの2倍の回折格子として振る舞う。したがって、光記憶媒体に照射されたビームは周期tpの溝状トラックと周期が2・tpの回折格子とによって、回折光が生成される。
【0331】
図67において、破線領域70eと70fとはビーム70の中で、光記憶媒体の周期tpを有する溝状トラックによって回折された1次回折光の像を示す。一方、破線70gと70hとは、周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光の像のビーム70内における最内周の位置を示す。図が煩雑となるので、詳しくは示していないが、周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光は、破線70g及び70hから、ビーム70の外側、すなわち領域70e、70f側に向う領域に入射する。
【0332】
TE信号の対称性の変動は、周期が2・tpの回折格子によって生成された回折光によってもたらせられる。今、領域69a、69c、69dにおいて、周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光の入射する量を比較すると、領域69aの方が領域69cと69dとの和よりも遙かに多い。領域69b、69e、69fについても同様である。
【0333】
先に述べたように、TE信号を生成する際、領域69aから得られる信号と領域69c、69dから得られる信号とは、係数を掛けた後に減算処理を行うので、領域69aに含まれるTE信号において変動する成分は低減される。しかし、領域69cと69dとに含まれる周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光の光量は、減算処理でTE信号から変動成分を無くすためには不十分な量である場合がある。
【0334】
実施の形態26においては、領域69hの面積を広くしている。領域69hから得られる信号の極性と領域69cと69dから得られる信号の極性とは同一であり、領域69hの面積を広くすることで、TE信号の変動を十分に低減することができる。ここでは、ビーム分割素子69上のビーム70の半径を1としたとき、領域70hの幅h1を0.70、領域69aにおける最も内側のビーム分割素子69の中心からの幅L2を0.40としている。この幅は一例であって、光記憶媒体の特性、光学系の開口数、光源の波長、等を考慮して、最適設計を行えば良い。
【0335】
光記憶媒体に形成されるマークの反射率が変化することでTE信号の振幅の変動する場合でも、実施の形態26に係るビーム分割素子69を用いることにより、TE信号の変動は軽減され、安定にトラッキング動作を行うことができる光情報装置を提供することができる。本実施の形態に示す光情報装置は、特に、記録状態未記録状態での反射率の比が3倍以上と大きな反射率比を有する光記憶媒体を用いる場合に有効である。
【0336】
なお、前述した実施の形態10に示すように、可変利得増幅部を用いてTE信号の振幅を制御することにより、更にTE信号の振幅を安定させることができるのは言うまでもない。
【0337】
また、ここでは、説明を単純化するために、前述した図33に示すようにトラック1本置きに情報を記録した状態を例として説明したが、記録済みトラックと未記録のトラックとの位置関係により様々な周期が存在する。いずれの場合でも、等価的には基本周期tpよりも長い周期となり、実施の形態26に係るビーム分割素子69を用いた場合の効果が得られる。特に、トラックに情報を記録する際の制限は無い。また、未記録のトラックの周期が部分的に異なる場合にも、実施の形態26のビーム分割素子を用いた場合の効果が得られる。
【0338】
(実施の形態27)
図68は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成する光検出器45とビーム75a〜75h、76a〜76hとの間の関係の一例を模式的に示した図である。前述した実施の形態11に示す光検出器46の代わりに光検出器45を用い、後述するTE信号を生成するための信号処理部を用いることで、実施の形態27に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0339】
本光ピックアップヘッド装置においては、前述した実施の形態11に示す光ピックアップヘッド装置と同様にビーム75dと75eを1つの受光部45gで、ビーム75fと75gを1つの受光部45hで、それぞれ受光している。受光部45iと45jは、TE信号を生成するために用いられるビームは入射しない。
【0340】
図69は、TE信号を生成するための信号処理部の構成を示している。図23を参照して前述した実施の形態10に示す信号処理部との違いは、ビーム75dと75eとを1つの受光部45gで、ビーム75fと75gとを1つの受光部45hで、それぞれ受光しているために、加算部802、803が不要なのでなくしていることと、差動演算部814〜817、可変利得増幅部818〜821を設けていることである。
【0341】
差動演算部814〜817は受光部45e〜45hから出力される信号を受け、それぞれ受光部45iから出力される信号を減算する。光ピックアップヘッド装置を構成する光学部品の周辺部から乱反射した光や、光源から発せられる自然放出光、等、不要な迷光が受光部45e〜45iに入射することがある。これらの不要な迷光は、光検出器45上では大きく発散したビームである場合が大半であり、受光部45e〜45iには、それぞれ概ね同量の迷光が入射する。受光部45iは、TE信号を生成するために用いられるビームは入射しないようにしているため、受光部45iから出力される信号は迷光に起因した信号である。差動演算部814〜817を設けることにより、受光部45e〜45hから出力される信号から迷光に起因した信号を低減することができる。受光部45jは使用していないので、必ずしも光検出器45に形成する必要はない。
【0342】
差動演算部814〜817から出力される信号は可変利得増幅部818〜821にそれぞれ入力され、所望の信号レベルに調整される。ここでは、アクチュエータが中立の位置にあるとき、受光部45eと45fとに入射するビーム分割素子で分割されたビームの光量に基づく信号レベルが互いに等しくなるように可変利得増幅部820と821の利得を調整する。また、同様に受光部45gと45hに入射するビーム分割素子で分割されたビームの光量に基づく信号レベルが互いに等しくなるように、可変利得増幅部818と819との利得を調整する。可変利得増幅部818〜821から出力される信号の処理方法は、前述した実施の形態10と同様である。光記憶媒体に反射率に変化を生じさせる欠陥や指紋が付着した場合でも、差動演算部804、801から出力される信号は意図しない変動が少なく、安定なトラッキング動作をさせることが可能となる。
【0343】
なお、ここでは迷光の検出に受光部45iを用いたが、受光部45iの代わりに受光部45jを用いても構わない。
【0344】
また、受光部45e〜45hと受光部45iをそれぞれ同じ大きさとしたため、単純に差動演算を行ったが、迷光の検出に受光部45iと45jとの双方を用いすなわち2倍の面積の受光部を用い、受光部45iと45jから出力される信号を1/2に減衰させてから差動演算をしても同様の効果を得られる。迷光を検出する受光部の面積を大きくすることで、迷光の分布の偏りの影響を軽減することができるので、より精度よく迷光に起因した信号を取り除くことができる。
【0345】
なお、以上に説明した実施の形態1〜27は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な形態を採り得る。無偏光の光学系を用いる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であることは言うまでもない。本発明の趣旨とは関係ないので、非点収差法以外のFE信号検出方式については説明しなかったが、本発明はFE信号の検出方式には何ら制約はなく、スポットサイズディテクション法、フーコー法、等通常のFE信号検出方式は全て用いることができる。
【0346】
また、光記憶媒体の作製時にトラックの位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで、TE信号振幅が変動する光記憶媒体を用いた場合でも、本実施の形態に示す全ての光情報装置では、TE信号振幅の変動を低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、光記憶媒体の歩留まりを向上させて、安価な光記憶媒体を提供することができる。
【0347】
また、TE信号振幅が変動する光記憶媒体を許容できることから、レーザビームを用いて光記憶媒体の原盤を高速にカッティングできるので、電子ビームを用いて原盤をカッティングするよりも早く、また安価に原盤を作製できる。その分、安価な光記憶媒体を提供することができる。
【0348】
また、ここでは、光源1の波長λを405nm、対物レンズ56の開口数NAを0.85としたが、tp/0.8<λ/NA<0.5μmであるとき、本実施に形態に係る光情報装置は、特にこれまでに述べた特長を顕著に示す。
【0349】
また、ビーム分割素子に回折素子を用いた場合、通常±1次回折光が発生するが、共役光を利用する場合は、共役光のそれぞれを受光する受光部を設けても良い。共役光を利用しない場合は、回折素子をブレーズ化して、光の利用効率を高めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0350】
【図1】本発明の実施の形態1の光情報装置の構成の概略を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の光情報装置における光記憶媒体上のトラックとビームの関係を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図5】本発明の実施の形態1の光情報装置で得られるTE信号の様子を示す図
【図6】本発明の実施の形態2の光情報装置における光記憶媒体上のトラックとビームの関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態3の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図8】本発明の実施の形態4の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図9】本発明の実施の形態5の光情報装置における光ピックアップを構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図10】本発明の実施の形態5の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図11】本発明の実施の形態5の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図12】本発明の実施の形態6の光情報装置における光ピックアップを構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図13】本発明の実施の形態6の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図14】本発明の実施の形態6の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図15】本発明の実施の形態7の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図16】本発明の実施の形態8の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図17】本発明の実施の形態8の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図18】本発明の実施の形態9の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図19】本発明の実施の形態9の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図20】本発明の実施の形態10の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図21】本発明の実施の形態10の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図22】本発明の実施の形態10の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図23】本発明の実施の形態10の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図
【図24】本発明の実施の形態11の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図25】本発明の実施の形態12の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図26】本発明の実施の形態13の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図27】本発明の実施の形態14の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図28】本発明の実施の形態15の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図29】本発明の実施の形態16の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図30】本発明の実施の形態17の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図
【図31】本発明の実施の形態17の光情報装置から読み出された情報信号を示す図
【図32】本発明の実施の形態17の光情報装置を構成する信号処理部における可変利得増幅部の利得を示す図
【図33】本発明の実施の形態17の光情報装置における光記憶媒体上の記録済みトラックと未記録トラックとの関係を示す図
【図34】本発明の実施の形態18の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図35】本発明の実施の形態18の光情報装置を構成する信号処理部における可変利得増幅部の利得を示す図
【図36】本発明の実施の形態18の光情報装置を構成する光ピックアップヘッドにおけるアクチュエータの駆動電圧とビーム径の関係を示す図
【図37】本発明の実施の形態19における光ヘッド装置を示す構成図
【図38】本発明の実施の形態19における回折素子と開口制限素子の構成を示す模式図
【図39】本発明の実施の形態19における光検出器の受光面形状と入射するビームの関係を示す図
【図40】本発明の実施の形態19における回折素子と開口制限の他の例の構成を示す模式図
【図41】本発明の実施の形態20の光情報装置の光学系の構成を説明する図
【図42】本発明の実施の形態20の光情報装置のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図43】本発明の実施の形態20の光情報装置のホログラム素子のタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図44】本発明の実施の形態20の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図45】本発明の実施の形態20の光情報装置の別の例のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図46】本発明の実施の形態20の光情報装置の別の例のホログラム素子のタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図47】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図48】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子のラジアル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図49】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図50】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子のラジアル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図51】本発明の実施の形態21の光情報装置のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図52】本発明の実施の形態21の光情報装置のホログラム素子のタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図53】本発明の実施の形態21の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図54】本発明の実施の形態22の光情報装置の光学系の構成を説明する図
【図55】本発明の実施の形態22の光情報装置のプリズムの分割と光ビームの関係を示す図
【図56】本発明の実施の形態22の光情報装置のプリズムのタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図57】本発明の実施の形態22の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図58】本発明の実施の形態23の光情報装置の光学系の構成を説明する図
【図59】本発明の実施の形態23の光情報装置の偏光ホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図60】本発明の実施の形態23の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図61】本発明の実施の形態24の光情報装置の偏光ホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図62】本発明の実施の形態24の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図63】本発明の実施の形態25の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図64】本発明の実施の形態25の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図65】本発明の実施の形態25の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図66】本発明の実施の形態25の光情報装置で得られるビーム分割素子の中央付近の領域の0次回折光の効率に対する振幅の様子を示す図
【図67】本発明の実施の形態26の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図68】本発明の実施の形態27の光情報装置を構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図69】本発明の実施の形態27の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図
【図70】従来の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図71】従来の光情報装置で得られるTE信号の様子を示す図
【符号の説明】
【0351】
4,400〜403 光ピックアップ
5 移送制御器
6 モータ
7 第1の制御手段
8 増幅器
9 第2の制御手段
10 復調手段
11 検出手段
12 システム制御手段
14 出力手段
32〜39,45〜47 光検出器
32a〜32h,33a〜33l,34a〜34p,35a〜35p,36a〜36h,37a〜37f,38a〜38l,39a〜39p,45a〜45j,46a〜46h,47a〜47h 受光部
41 光記憶媒体
58 回折格子
60〜68 ビーム分割素子
60a,60b,61a〜61c,62a〜62b,63a〜63c,64a〜64g,65a〜65g,66a〜66g,67a〜67k,68a〜68k 領域
70a〜70c,71a〜71d,73a,73b,74a〜74c,75a〜75h,76a〜76h,710 ビーム
81 凹レンズ
82 凸レンズ
93 アクチュエータ
801,804,806 差動演算部
802,803,807,813 加算部
805,810,812 可変利得増幅部
808 除算部
809 低域濾波部
811 振幅検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク及びスペースで情報を記録する光記憶媒体に対して情報の記録、再生もしくは消去を行う光ピックアップヘッド装置、光情報装置及び情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度・大容量の記憶媒体として、近年、DVDと称する高密度・大容量の光ディスクが実用化され、動画のような大量の情報を扱える情報媒体として広く普及している。
【0003】
図70は、記録再生が可能な光情報装置としての光ディスクシステムにおける光ピックアップで用いられている、一般的な光学系の構成を示した図である。従来の構成は、光記憶媒体に3つのビームを照射してトラッキング誤差信号を検出している(例えば、特開平3−005927号公報(第5−8頁、第2図)(特許文献1)参照)。
【0004】
半導体レーザなどの光源1は、波長λ1が405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射された発散性のビーム70は、焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52に入射する。偏光ビームスプリッタ52に入射したビーム70は、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40の透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NAを0.85としている。透明基板40aの厚さは、0.1mmである。光記憶媒体40は、情報記録面40bを有している。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、トラックピッチtpは0.32μmである。
【0005】
情報記録面40bで反射されたビーム70は、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射されたビーム70は、焦点距離f3が30mmの集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を経て、光検出器30に入射する。ビーム70には、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0006】
光検出器30は、4つの受光部30a〜30dを有している。受光部30aから30dは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I30a〜I30dを出力する。
【0007】
非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号は、(I30a+I30c)−(I30b+I30d)により得られ、プッシュプル法によるトラッキング誤差(以下TEとする)信号は、(I30a+I30d)−(I30b+I30c)により得られ、光記憶媒体40に記録された情報(以下RFとする)信号は、I30a+I30b+I30c+I30dにより得られる。FE信号及びTE信号は、所望のレベルに増幅及び位相補償が行われた後、アクチュエータ91及び92に供給されて、フォーカス及びトラッキング制御がなされる。
【0008】
しかしながら、1枚の光記憶媒体40に記憶する情報の容量を増加するために、トラックピッチを狭くしていくと、トラックを作製するときの精度もその分向上しなければならないが、現実には、ある絶対的な量の誤差が存在するために、トラックピッチを狭くしていくと、トラックピッチに対する作製誤差量は相対的に増大する。したがって、DVDと比較して、この誤差の影響は非常に大きくなっている。
【0009】
図71に、光記憶媒体40に形成されたトラックと直交する方向にビーム70を走査したときに得られるTE信号を示す。横軸に示すTn−4、・・・、Tn+4は、光記憶媒体40の情報記録面40bに形成されたトラックを示しており、図中において垂直方向に伸びる実線はトラックピッチがtpで一律に形成された場合の各トラックTn−4、・・・、Tn+4の中心位置をそれぞれ示している。ここで、トラックTn−1はΔn−1だけ、トラックTnはΔnだけ、本来のトラックTn−1およびTnが形成されるべき位置からそれぞれずれた位置に形成されており、Δn−1は+25nm、Δnは−25nmである。その結果、TE信号の振幅は、トラックTn−1の近傍で最大が振幅a、最小が振幅bを示し、すなわち大きく変動する。また、TE信号のゼロクロス点の位置は、トラックTn−1ではoft1だけ、トラックTnではoft2だけ、トラックTn−1およびTnの中心からそれぞれずれる。すなわち、ずれoft1とずれoft2はオフトラック量を表す。
【特許文献1】特開平3−005927号公報(第5−8頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
TE信号振幅の変動量をΔPP=(振幅a−振幅b)/(振幅a+振幅b)と定義し、上記のような従来の構成によってTE信号を検出する場合、変動量ΔPPは0.69、ずれoft1は+33nm、ずれoft2は−33nmと、大きな値を示す。このようにTE信号振幅の変動量ΔPPが大きく変動すると、トラックTn−1及びTnではトラッキング制御の利得が低下して、トラッキング制御が不安定になり、情報を信頼性高く記録及び再生することができないという問題があった。
【0011】
本発明は、TE信号振幅の変動を低減し、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光ピックアップヘッド装置、光情報装置、及び情報再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと第1のサブビームと第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームがトラック上に位置するとき、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームとはトラック間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる第1のプッシュプル信号の振幅が変動するとき、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成することを特徴とする。
【0013】
前記第1のプッシュプル信号は、前記メインビームの中央付近における領域が用いられずに生成され、前記第2のプッシュプル信号は、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームの中央付近における領域が用いられずに生成されることが好ましい。
【0014】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0015】
前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームとはそれぞれ4つの受光部で受光され、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームとをそれぞれ受光する前記4つの受光部からの出力をI1〜I4、kを実数としたとき、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号とは、(I1−I2)−k・(I3−I4)の演算でそれぞれ得られることが好ましい。
【0016】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0017】
本発明に係る他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記ビームは前記複数の受光部で受光され、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するとき、前記ビームを受光する4つの受光部の出力をI1〜I4、kを実数とし、プッシュプル信号を(I1−I2)−k・(I3−I4)の演算で得ることを特徴とする。
【0018】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0019】
前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記ビームの中央付近における領域が用いずに前記プッシュプル信号を生成することが好ましい。
【0020】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることが好ましい。
【0021】
前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を多く含む領域を通った光を前記受光部で受光することで前記出力I1と前記出力I2とが前記受光部から出力され、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を殆ど含まない領域を通った光を前記受光部で受光することで前記出力I3と前記出力I4が前記受光部から出力され、前記集光光学系で集光されるビームの集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における領域の前記集光光学系の中心からの距離をL1とし、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光の集光光学系の中心からの最小の距離をL2としたとき、距離L1と距離L2との間の領域を通った光を前記受光部で受光することで出力I3と出力I4とが前記受光部から出力されることが好ましい。
【0022】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記ビームは前記複数の受光部で受光され、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するとき、前記ビームの中央付近における領域が用いずに前記プッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得ることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記ビームは前記複数の受光部で受光され、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するとき、前記ビームの中央付近における領域が用いずに前記プッシュプル信号を生成することを特徴とする。
【0024】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、前記集光光学系における前記トラックの写像と平行な線分に対して対称な形状を有していることが好ましい。
【0025】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、矩形であることが好ましい。
【0026】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、正方形であることが好ましい。
【0027】
前記集光光学系で集光されるビームの前記集光光学系上の写像において、前記プッシュプル信号を生成する際に用いられないビームの中央付近における前記領域が、糸巻き形状であることが好ましい。
【0028】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けたビームの光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、所望の焦点位置にビームを照射させる制御を行うための信号であるフォーカス誤差信号を生成するフォーカス誤差信号生成手段と、前記光記憶媒体に集光されたビームの位置に情報が記録されているかどうかを検出する記録未記録検出手段と、前記トラッキング誤差信号の振幅を係数kで制御する振幅制御手段とを具備し、前記振幅制御手段が、前記記録未記録検出手段から生成される信号と前記フォーカス誤差信号生成手段から生成される信号とを用いて制御されることを特徴とする。
【0029】
記録未記録検出手段が、光記憶媒体に記録されたマーク及びスペースに応じて変化する信号の振幅と、光検出手段から出力される信号から低域濾波手段を用いて低い周波数成分の信号とを検出することで、光記憶媒体に集光されたビームの位置に情報が記録されているかどうかを検出することが好ましい。
【0030】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するときの前記振幅の変化量が最小となるように、kを設定することが好ましい。
【0031】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となる光ビームの位置が、前記トラックの中央に近づくように、kを設定することが好ましい。
【0032】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときの変化量が最小となるkの値をk1とし、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となるときの光ビームの位置が、前記トラックの中央に最も近づくときのkの値をk2としたとき、前記kが前記k1と前記k2との間の値に設定されることが好ましい。
【0033】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記ビーム分岐手段は複数の領域を有し、前記ビーム分岐手段上におけるビームの大きさをDとし、前記集光光学系の開口数をNAとし、前記光記憶媒体から前記光検出器に至るまでの光ピックアップヘッド装置における光学系の横倍率をαとし、前記情報記録面と反射面との間の間隔をdとし、前記情報記録面と前記反射面との間の間隔dに存在する屈折率をn2とし、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記ビーム分岐手段が、前記ビームが照射される中央付近における領域が幅hに渡って、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部とは異なる方向に向かって前記ビームを分岐するとき、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部の幅Sは、S≦2・h・α・NA・d/(D・n2)の関係を有することを特徴とする。
【0034】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記ビーム分岐手段は、5つの異なる領域を有し、前記ビームが照射される中央付近における領域において幅hに渡って、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部とは異なる方向に向かって前記ビームを分岐し、他の4つの領域において大略同じ方向に向かって前記ビームを分岐することを特徴とする。
【0035】
前記集光光学系は、トラッキング制御に伴い駆動され、前記ビーム分岐手段は、前記集光光学系が駆動されたときに前記受光部上の写像が移動する方向とは略直交する方向に沿って前記ビームを分岐し、前記ビームを用いて前記トラッキング誤差信号が生成されることが好ましい。
【0036】
前記ビーム分岐手段における複数の領域から分岐されたビームは、概隣接した複数の受光部で受光されることが好ましい。
【0037】
前記ビーム分岐手段の第1の領域と第2の領域とにおいて分岐されたビームは、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を多く含み、前記ビーム分岐手段の第3の領域と第4の領域とにおいて分岐されたビームは、前記光記憶媒体のトラックで回折された1次回折光を殆ど含まず、前記第1の領域で分岐されたビームと前記第2の領域で分岐されたビームとを結ぶ前記光検出手段上における第1の仮想の線分と前記第3の領域で分岐されたビームと前記第4の領域で分岐されたビームとを結ぶ前記光検出手段上における第2の仮想の線分とは前記光検出手段上におけるトラックの写像とそれぞれ直交していることが好ましい。
【0038】
前記概隣接した複数の受光部の輪郭が矩形であることが好ましい。
【0039】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記ビーム分岐手段は、5つの異なる領域を有し、前記ビームが照射される中央付近の領域において幅hに渡って、前記トラッキング誤差信号を生成するための信号を出力する受光部とは異なる方向に向かって前記ビームを分岐し、他の4つの領域において大略同じ方向に向かって前記ビームを分岐し、前記光検出手段は、5つの受光部を互いに近接した位置に有し、前記ビーム分岐手段における他の4つの領域において分岐されたビームはそれぞれ1つの受光部で受光され、前記ビーム分岐手段の他の4つの領域で分岐されたビームを受光する4つの受光部から出力される信号をI1〜I4とし、前記ビーム分岐手段によって分岐されたビームを受光する4つの受光部に近接して設けられた受光部から出力される信号をI5とし、kを実数としたとき、前記トラッキング誤差信号生成手段は前記プッシュプル信号を{(I1−I5)−k1・(I2−I5)}−k・{(I3−I5)−k2・(I4−I5)}の演算で得ることを特徴とする。
【0040】
前記ビーム分岐手段で分岐されたビームは、前記受光部上で概焦点を結ぶことが好ましい。
【0041】
前記フォーカス誤差信号を検出するための信号を出力する受光部と、前記トラッキング誤差信号を検出するための信号を出力する受光部とが一体化されていることが好ましい。
【0042】
前記光ピックアップヘッド装置は,前記光記憶媒体から前記光検出器に至る光路中に、非点収差をビームに付与する非点収差発生手段をさらに含んでおり、前記フォーカス誤差信号は、前記非点収差を与えられたビームに基づいて検出されることが好ましい。
【0043】
前記ビーム分岐手段が、前記非点収差発生手段で前記ビームに与えられる前記非点収差を相殺するための波面を、分岐するビームに与えることが好ましい。
【0044】
前記プッシュプル信号を生成するために用いられないビームの中央付近における前記領域が、前記光記憶媒体で反射、回折されたビームの前記0次回折光と前記1次回折光とが互いに重ならない領域であることが好ましい。
【0045】
前記複数の受光部が各々部分的にビームを受光することによって前記ビームを分割することが好ましい。
【0046】
前記光記憶媒体から前記光検出手段に至る光路中にビーム分割手段を設けることによって前記ビームを分割することが好ましい。
【0047】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックとが隣接する領域において生じていることが好ましい。
【0048】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、前記光記憶媒体に形成されたトラックピッチが変動していることによって生じていることが好ましい。
【0049】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、前記光記憶媒体に形成されたトラックの幅が変動していることによって生じていることが好ましい。
【0050】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化することが、前記光記憶媒体に形成されたトラックの深さが変動していることによって生じていることが好ましい。
【0051】
メインビームをトラックと直交する方向に走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−1、Tn、Tn+1とし、前記メインビームが前記トラックTnの中央に位置するとき、第1のサブビームが前記トラックTn−1と前記トラックTnとの間に位置し、第2のサブビームが前記トラックTnと前記トラックTn+1との間に位置することが好ましい。
【0052】
メインビームをトラックと直交する方向に走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−2、Tn−1、Tn、Tn+1、Tn+2とし、前記メインビームが前記トラックTnの中央に位置するとき、第1のサブビームが前記トラックTn−2と前記トラックTn−1との間に位置し、第2のサブビームが前記トラックTn+1と前記トラックTn+2との間に位置することが好ましい。
【0053】
前記光源の波長をλとし、前記集光手段の有する開口数をNAとしたとき、tp/0.8<λ/NA<0.5μmの関係を満足することが好ましい。
【0054】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けて前記ビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は情報を記録するための情報記録面を有し、前記光記憶媒体は、前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面を有し、前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面によって反射されたビームが前記受光部に入射しないように前記受光部を配置していることを特徴とする。
【0055】
前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面が、第2の情報記録面であることが好ましい。
【0056】
前記情報記録面にビームが集光されるときに前記ビームを反射させる反射面が、前記光記憶媒体にビームが入射する表面であることが好ましい。
【0057】
前記トラッキング誤差信号を生成するために用いられるビームを受光する受光部が、他のビームを受光する受光部の大きさよりも小さいことが好ましい。
【0058】
前記光記憶媒体が複数の情報記録面を有していることが好ましい。
【0059】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記ビームに球面収差を付与する球面収差付与手段と、前記球面収差付与手段からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段と、前記集光手段を駆動してトラッキング制御を可能にする駆動手段とを含んでおり、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、前記駆動手段によって駆動される前記集光手段の位置に応じて前記トラッキング誤差信号に生じるオフセットを補償するためのオフセット補償手段とを具備し、前記球面収差付与手段は、前記光記憶媒体に集光されるビームの状態に応じて、前記ビームに付与する球面収差量を調節することが可能であり、前記オフセット補償手段は、前記球面収差付与手段が付与する前記球面収差量に応じて制御されることを特徴とする。
【0060】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域によって分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段に配置された前記複数の領域のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域から得られる電圧信号から、前記第2の領域から得られる電圧信号に係数をかけて差し引くことでトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを備え、前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて、前記第2の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことを特徴とする。
【0061】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域によって分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段に設けられた前記複数の領域のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域を通った光ビームから得られる電流信号と前記第2の領域を通った光ビームから得られる電流信号とを同一の変換手段によって電圧に変換してトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備することを特徴とする。
【0062】
前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて、前記第2の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0063】
前記第2の領域を通った光ビームの一部が前記光検出手段に到達する効率が、前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて高いことが好ましい。
【0064】
前記第2の領域の外周部を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0065】
前記第2の領域のトラック接線方向に沿った周辺部を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0066】
前記第2の領域のトラック横断方向に沿った周辺部を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率が高いことが好ましい。
【0067】
前記光検出手段は少なくとも第1〜第4の検出領域を有しており、前記第1の領域は、トラック接線方向に略平行な分割線とトラック直交方向に略平行な分割線とにより少なくとも4つの領域に分割され、前記第2の領域も、トラック接線方向に略平行な分割線とトラック直交方向に略平行な分割線とにより少なくとも4つの領域に分割され、前記第2の領域を通った光は、前記第1の領域の対角方向にある領域を通った光を受光して得られた電流信号を変換するための変換手段によって電圧信号に変換されることが好ましい。
【0068】
前記第2の領域を通った光を前記光検出手段上で焦点を結ぶように集光することが好ましい。
【0069】
前記第1の領域を通った光を前記検出手段上で焦点を結ぶように集光することが好ましい。
【0070】
前記少なくとも第1〜第4の検出領域を持つ光検出手段により得られた信号に基づいてフォーカス誤差信号と情報再生信号とを生成することが好ましい。
【0071】
本発明に係るさらに他の光情報装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からの光ビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐された光ビームを複数の領域によって分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでいる光ピックアップと、所望のトラックに前記光ビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、前記光記憶媒体に記録された情報信号を生成する情報信号生成手段とを具備し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記分割手段は、前記情報信号と前記プッシュプル信号とを生成するために光ビームを分割し、前記プッシュプル信号は、前記光ビームの中央付近以外の領域からの信号に基づいて生成され、前記情報信号を生成するために前記光ビームの中央付近の領域から得る信号の比率は、前記光ビームの外周側の領域から得る信号の比率よりも高いことを特徴とする。
【0072】
前記分割手段の前記複数の領域のうちの前記光ビームの中央付近における領域は、矩形であることが好ましい。
【0073】
前記ビーム分割手段が、前記集光手段と一体化されていることが好ましい。
【0074】
前記分割手段は回折素子であり、前記到達効率の違いは前記回折素子の回折効率の違いに基づいて生じることが好ましい。
【0075】
本発明に係る光ピックアップヘッド装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを具備し、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記メインビームをトラックと直交する方向に沿って走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−2、Tn−1、Tn、Tn+1、Tn+2とし、前記メインビームがトラックTnの中央に位置するとき、前記第1のサブビームがトラックTn−2とトラックTn−1との間に位置し、前記第2のサブビームがトラックTn+1とトラックTn+2との間に位置することを特徴とする。
【0076】
本発明に係る他の光ピックアップヘッド装置は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体の記録面上に集光する第1の集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受光し、その光量に応じた信号を出力する光検出手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを、前記光検出手段に配置された複数の受光領域に対応するように複数のビームに分割するビーム分割手段と、前記ビームを前記光検出手段に集光する第2の集光手段とを具備し、前記光記憶媒体は前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面を有し、前記第1の集光手段と第2の集光手段との間には開口制限手段が設けられており、前記光情報記憶媒体の前記ビームを反射させる反射面で反射してきたビームの外周部を遮光し、前記光情報記憶媒体の前記ビームを反射させる反射面で反射してきたビームが前記光検出手段に混入しないようにしたことを特徴とする。
【0077】
前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面が、前記記録面よりもビームの入射する側に形成されていることが好ましい。
【0078】
前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面が、前記光記録媒体の他の記録面であることが好ましい。
【0079】
前記記録面上にビームが集光されるときに、前記ビームを反射させる反射面が前記光記録媒体の表面であることが好ましい。
【0080】
前記開口制限手段は、前記ビーム分割手段の近傍に設けられていることが好ましい。
【0081】
前記開口制限手段が前記ビーム分割手段と一体で構成されていることが好ましい。
【0082】
前記集光手段が前記記憶媒体のトラッキング方向に沿って変位した場合でも、前記光記憶媒体の記録面から反射してきた光を遮ることがないように、前記開口制限手段の開口は、トラッキング方向とは直交する方向に沿ったサイズよりも前記トラッキング方向に沿ったサイズの方が大きいことが好ましい。
【0083】
本発明に係る光情報装置は、本発明に係る光ピックアップヘッド装置と、前記光記憶媒体と前記光ピックアップヘッド装置と間の相対的な位置を変化させる駆動部と、前記光ピックアップヘッド装置から出力される信号を受けて演算を行い所望の情報を得る電気信号処理部とを備えたことを特徴とする。
【0084】
本発明に係る光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源からのビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射されたビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを具備し、前記光検出手段は複数の受光部を有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均がtpであり、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときに、前記ビームの一部の領域を用いない、もしくは前記ビームの前記一部の領域から得られる信号を操作することによって、前記プッシュプル信号の振幅の変化を低減することを特徴とする。
【0085】
本発明に係る他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記複数のビームは、トラックと直交する方向に沿った異なる位置を照射し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均がtpであり、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときに、前記複数のビームから得られる信号を操作することにより、前記プッシュプル信号の振幅の変化を低減することを特徴とする。
【0086】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するように、予め未記録のトラックと記録済みのトラックとを前記光記憶媒体に形成していることが好ましい。
【0087】
前記記録済みのトラックと前記未記録のトラックとを交互に配置していることが好ましい。
【0088】
本発明に係るさらに他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域から得られる電圧信号から前記第2の領域から得られる電圧信号に係数をかけて差し引くことでトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記第1の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率に比べて、前記第2の領域を通った光ビームが前記光検出手段に到達する効率を高くすることによって前記トラッキング誤差信号のオフセットを低減することを特徴とする。
【0089】
本発明に係るさらに他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源から出射された光ビームをトラックを有する光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐する分岐手段と、前記分岐された光ビームを複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを検出し、検出した光量に応じて電流信号を出力する複数の検出領域を有する光検出手段と、前記光検出手段から出力された電流信号を電圧信号に変換する複数の変換手段と、前記分割手段のうち、トラッキング誤差信号成分を主に含む領域を第1の領域とし、トラッキング誤差信号のオフセット成分を主に含む領域を第2の領域とし、前記第1の領域の光ビームから得られる電流信号と前記第2の領域の光ビームから得られる電流信号を同一の変換手段で電圧に変換してトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを備えることでトラッキング誤差信号のオフセットを低減することを特徴とする。
【0090】
本発明に係るさらに他の光情報再生方法は、光ビームを出射する光源と、前記光源からの光ビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射・回折された光ビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐された光ビームを複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段で分割された光ビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでいる光ピックアップと、所望のトラックに光ビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、前記光記憶媒体に記録された情報信号を生成する情報信号生成手段を用いた光情報再生方法であって、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記分割手段は、前記情報信号と前記プッシュプル信号とを生成するために光ビームを分割し、前記プッシュプル信号は、前記光ビームの中央付近以外の領域からの信号に基づいて生成され、前記光ビームの外周側の領域からの信号に基づいて生成される情報信号の比率よりも、前記光ビームの中央付近の領域からの信号に基づいて生成される情報信号の比率を高めて、前記光記憶媒体に記録された情報を再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0091】
本発明によれば、TE信号振幅の変動を低減し、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光ピックアップヘッド装置、光情報装置、及び情報再生方法を提供することができる光ピックアップヘッド装置、光情報装置、光情報再生方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、本発明の光情報装置、光ピックアップヘッド装置及び光情報再生方法の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の符号は同一の構成要素または同様の作用、動作をなすものを表す。
【0093】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1として、光情報装置の構成を示している。光ピックアップヘッド装置4(または光ピックアップとも言う)は、波長λが405nmのレーザ光を光記憶媒体40に照射し、光記憶媒体40に記録された信号の再生を行う。移送制御器5は、光記憶媒体40上の任意の位置で情報を記録もしくは再生するために光ピックアップヘッド装置4を光記憶媒体40の半径方向に沿って移動させる。光記憶媒体40を駆動するモータ6は、光記憶媒体40を回転させる。制御器7は、光ピックアップヘッド装置4と移送制御器5とモータ6とを制御する。
【0094】
増幅器8は、光ピックアップヘッド装置4によって読み取られた信号を増幅する。制御器9には、増幅器8からの出力信号が入力される。制御器9は、この信号に基づいて、光ピックアップヘッド装置4が光記憶媒体40の信号を読み取る際に必要とされるFE信号やTE信号などのサーボ信号を生成し、これを制御器7に出力する。また、制御器9に入力される信号はアナログ信号であるが、制御器9はこのアナログ信号をディジタル化(2値化)する。復調器10は、光記憶媒体40から読み取られてディジタル化された信号を解析するとともに、元の映像や音楽などのデータを再構築し、再構築された信号は出力手器14から出力される。
【0095】
検出器11は、制御器9から出力される信号に基づいてアドレス信号等を検出し、これをシステム制御器12に出力する。システム制御器12は、光記憶媒体40から読み取られた物理フォーマット情報及び光記憶媒体製造情報(光記憶媒体管理情報)に基づいて光記憶媒体40を識別し、記録再生条件等を解読し、この光情報装置全体を制御する。光記憶媒体40に情報を記録再生する場合、システム制御器12からの指示に従って、制御器7は移送制御器5を駆動制御する。その結果、移送制御器5は図2において後述する光記憶媒体40に形成された情報記録面40bの所望の位置の上に光ピックアップヘッド装置4を移動させ、光ピックアップヘッド装置4は光記憶媒体40の情報記録面40bに情報を記録再生する。
【0096】
図2は、実施の形態1係る光ピックアップヘッド装置4の構成の一例を示した図である。
【0097】
光源1は、波長λが405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射された発散ビーム70は、焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、回折格子58に入射する。回折格子58に入射したビーム70は、0次及び±1次回折光の3つのビームに回折される。0次回折光が情報の記録/再生を行うメインビーム70a、±1次回折光がTE信号の検出を行うためのディファレンシャルプッシュプル(DPP)法用の2つのサブビーム70b及び70cとなる。回折格子58によって回折される0次回折光70aと1つの1次回折光70bもしくは70cの回折効率の比は、サブビームにより不要な記録がなされることを避けるために、通常10:1〜20:1に設定され、ここでは20:1である。回折格子58で生成された3つのビーム70a〜70cは、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40に形成された透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55によって制限され、開口数NAを0.85としている。光記憶媒体40に形成された透明基板40aの厚さは0.1mm、屈折率nは、1.57である。
【0098】
図3は、光記憶媒体40に形成された情報記録面40b上のビームとトラックとの関係を示している。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、Tn−1、Tn、Tn+1はそれぞれ、トラックである。情報はトラックとなる溝上に記録される。トラックピッチtpは0.32μmである。メインビーム70aがトラックTnの上に位置するとき、サブビーム70bがトラックTn−1とトラックTnの間に位置し、サブビーム70cがトラックTnとトラックTn+1の間に位置するように、各ビームを配置している。メインビーム70aとサブビーム70b、70cとの各トラックと直交する方向に沿った間隔Lは0.16μmである。
【0099】
情報記録面40bで反射されたビーム70a〜70cは、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射したビーム70a〜70cは、焦点距離f3が30mmの検出レンズ59とシリンドリカルレンズ57とを経て、光検出器32に入射する。ビーム70a〜70cには、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0100】
図4は、光検出器32と光検出器32へ入射した70a〜70cとの関係を模式的に示している。光検出器32は全部で8つの受光部32a〜32hを有し、マトリックス状に配置された受光部32a〜32dがビーム70aを受光し、受光部32eおよび32fがビーム70bを受光し、受光部32gおよび32hがビーム70cを受光する。受光部32a〜32hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I32a〜I32hを出力する。
【0101】
FE信号は、光検出器32から出力される信号I32a〜I32dを用いて非点収差法により、すなわち(I32a+I32c)−(I32b+I32d)の演算で得られる。また、TE信号は、DPP法により、すなわち{(I32a+I32d)−(I32b+I32c)}−C・{(I32e+I32g)−(I32f+I32h)}の演算でそれぞれ得られる。ここでCは、回折格子58の0次回折光と1つの1次回折光との間の回折効率の比によって決まる係数である。これらのFE信号及びTE信号は、所望のレベルに増幅及び位相補償が行われた後、対物レンズ56を動かすためのアクチュエータ91及び92に供給されて、フォーカス及びトラッキング制御がなされる。
【0102】
図5は、光記憶媒体40に形成されたトラックと直交する方向に沿ってビーム70a〜70cを走査したときに得られるプッシュプル法によるTE信号を示す。光記憶媒体40の作製時に生じた誤差のため、光記憶媒体40の情報記録面40b上に形成されたトラックTn−1とTnは、本来の位置から25nmずれた位置に形成されている。ここでは、メインビーム70aとサブビーム70bおよび70cとは、トラックと直交する方向に沿ってtp/2だけずらして配置しているため、図5に示すように、メインビーム70aがトラックTn−1とTnとの間に位置して、振幅S1の信号が得られるとき、サブビーム70cはトラックTn−1とTn−2との間に位置して、振幅S2の信号が得られ、サブビーム70bはトラックTn−1とTnとの間におけるトラックTnに近い場所に位置して、振幅S3の信号が得られる。
【0103】
振幅S2の信号と振幅S3の信号とを平均した信号が、2つのサブビーム70bと70cとから得られるプッシュプル法によるTE信号であり、ここでは、|(S2+S3)/2|>|S1|の関係にある。メインビーム70aから得られるTE信号を第1のプッシュプル信号とし、2つのサブビーム70bと70cから得られるTE信号を第2のプッシュプル信号としたとき、DPP法では、第1のプッシュプル信号と第2のプッシュプル信号とを差動演算することによりTE信号が得られる。
【0104】
前述したように|(S2+S3)/2|>|S1|の関係にあることから、DPP法によってTE信号の振幅の変動が改善される。これは、前述した従来の光情報装置で得られるTE信号は、光記憶媒体におけるトラックの作製位置に誤差がある場合、この誤差がTE信号の振幅にそのまま反映されてしまう。実施の形態1では、トラックと直交する方向に沿ったメインビーム70aと異なる位置に別のサブビーム70bおよび70cを照射することにより、メインビーム70aが作製位置に誤差のあるトラック上に位置したときでも、サブビーム70bおよび70cは別の場所に位置するので、光記憶媒体40のトラックを形成する際の作製位置に誤差があっても、この誤差の影響が軽減される。TE信号の変動量ΔPPが、従来の光情報装置では0.69であったものが、実施の形態1に係る光情報装置では0.44と従来の光情報装置の約2/3に改善される。したがって、実施の形態1に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動を低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる。
【0105】
また、従来の光情報装置ではトラックTn−1におけるオフトラックoft1が+33nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2が−33nmであったものが、実施の形態1に係る光情報装置では、オフトラックoft1が+10nm、オフトラックoft2が−10nmと、従来の光情報装置の約1/3に改善される。したがって、実施の形態1に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動する安価な光記憶媒体を用いた場合でも、オフトラック量は少なく、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが少なくなる。したがって、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置を得ることができる。
【0106】
(実施の形態2)
図6は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、情報記録面40b上におけるビームとトラックとの関係を示している。前述した実施の形態1の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置4では、メインビーム70aがトラックTnの上に位置するとき、サブビーム70bがトラックTn−1とトラックTnの間に、サブビーム70cがトラックTnとトラックTn+1の間に位置するように、ビームを配置していた。実施の形態2に係る光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置では、メインビーム70aがトラックTnの上に位置するとき、サブビーム70cがトラックTn−2とトラックTn−1の間に、サブビーム70bがトラックTn+1とトラックTn+2の間に位置するように、ビームを配置している。すなわち、メインビームとサブビームとの間のトラックと直交する方向に沿った間隔Lは(3・tp)/2=0.48μmである。光ピックアップヘッド装置4における回折格子58を少し回動することで、実施の形態2に係る光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置を構成することができる。TE信号は、実施の形態1に示した演算と同様の演算により得ることができる。
【0107】
このようにメインビームとサブビームとの間のトラックと直交する方向に沿った間隔Lを実施の形態1において図3を参照して前述した間隔よりも広くすることにより、TE信号振幅の変動は、実施の形態1に係る光情報装置よりも低減することができる。TE信号の変動量ΔPPが、実施の形態1に係る光情報装置では0.44であったものが、実施の形態2に示す光情報装置では0.21と約1/2に改善される。したがって、実施の形態2に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動を更に低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる。
【0108】
また、実施の形態1の光情報装置ではトラックTn−1におけるオフトラックoft1が+10nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2が−10nmであったものが、実施の形態2に係る光情報装置では、オフトラックoft1が−6nm、オフトラックoft2が+6nmと、実施の形態1の約1/2に改善される。したがって、実施の形態2に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動する安価な光記憶媒体を用いた場合でも、オフトラック量は更に少なく、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが更に少なくなる。したがって、情報を更に信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。
【0109】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る別の光情報装置の一例として、光検出器33とビーム70a〜70cとの関係を模式的に示している。光ピックアップヘッド装置4を構成する光検出器32の代わりに光検出器33を用いることで、光情報装置を構成することができる。光検出器33は全部で12個の受光部33a〜33lを有し、受光部33a〜33hがビーム70aを、受光部33i〜33jがビーム70bを、受光部33k〜33lがビーム70cを、それぞれ受光する。受光部33a〜33lは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I33a〜I33lを出力する。FE信号は、光検出器33から出力される信号I33a〜I33hを用いて非点収差法により、すなわち(I33a+I33b+I33e+I3f)−(I33c+I33d+I33g+I33h)の演算で得られる。この演算は、複雑な演算に見えるが、光検出器33が光検出器32よりも多くの受光部を有しているためであって、実質的には、非点収差法でFE信号を得る一般的な演算である。
【0110】
一方、TE信号は、DPP法により得る。ここでのTE信号は、{(I33a+I33h)−(I33d+I33e)}−C・{(I33i+I33k)−(I33j+I33l)}の演算で得る。メインビーム70aから得られるTE信号を第1のプッシュプル信号とし、2つのサブビーム70bと70cから得られるTE信号を第2のプッシュプル信号としたとき、DPP法では、第1のプッシュプル信号と第2のプッシュプル信号を差動演算することによりTE信号が得られることは、前述した実施の形態1の光情報装置と同様である。
【0111】
しかし、第1のプッシュプル信号を生成するのに、メインビーム70aの中央付近を受光する受光部33b、33c、33f、33gから出力される信号は用いられていない。また、サブビーム70bを受光する受光部33iと33jは、ビーム70bの中央付近を受光しない。なお、ここで、ビームを受光しない領域の幅は、ビームの直径の70%としている。同様に、サブビーム70cを受光する受光部33kと33lは、ビーム70cの中央付近を受光しない。すなわち第1のプッシュプル信号は、メインビームの中央付近の領域が用いられずに生成され、第2のプッシュプル信号は、第1のサブビームと第2のサブビームとの中央付近の領域が用いられずに生成される点が前述した実施の形態1および2と異なる。これは、トラックが周期tpに対して変動して形成されたときの変動成分は、ビームの中心付近に多くあり、その部分を用いないことで、改善されるという原理に基づいている。例えば、トラックの位置ずれが3本毎に生じている場合には、3本のトラックを1つの周期構造体として考えればよく、このときの周期はtpの3倍となる。この周期構造体からの回折光は、周期が長い分だけビームの回折角は小さく、すなわち周期構造体からの1次回折光は、ビームの中心部に多く存在するようになる。
【0112】
TE信号振幅の変動は、実施の形態2の光情報装置よりも低減することができる。TE信号の変動量ΔPPが、本光情報装置では0.14であり、従来の光情報装置の1/4以下である。したがって、実施の形態3に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動を更に低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、更に情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる。
【0113】
また、トラックTn−1におけるオフトラックoft1が−11nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2が+11nmであり、従来の光情報装置の約1/3に改善される。したがって、実施の形態3に示す光情報装置は、TE信号振幅の変動する安価な光記憶媒体を用いた場合でも、オフトラック量は更に少なく、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが更に少なくなる。したがって、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。
【0114】
なお、TE信号を生成する際に用いないビームの中央付近の領域は、トラックピッチtpと開口数NAと波長λとに回折角が依存する光記憶媒体による0次回折光と1次回折光が重なる領域を除いた部分とすることで、効果的にTE信号振幅の変動を低減することができる。
【0115】
(実施の形態4)
図8は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光検出器34とビーム70a〜70cとの関係を模式的に示している。光ピックアップヘッド装置4を構成する光検出器32の代わりに光検出器34を用いることで、光情報装置を構成することができる。光検出器34は全部で16個の受光部34a〜34pを有し、受光部34a〜34hがビーム70aを、受光部34i〜34j、34m〜34nがビーム70bを、受光部34k〜34l、34o〜34pがビーム70cを、それぞれ受光する。
【0116】
16個の受光部34a〜34pは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I34a〜I34pを出力する。FE信号は、光検出器34から出力される信号I34a〜I34hを用いて非点収差法により得る。演算については図7を参照して前述した光検出器33を用いる場合と同様である。
【0117】
一方、TE信号は、DPP法により得る。ここでのTE信号は、{(I34a+I34h)−(I34d+I34e)}−k・{(I34b+I34g)−(I34c+I34f)}−C・[{(I34i+I34k)−(I34j+I34l)}−k・{(I34m+I34o)−(I34n+I34p)}]の演算で得る。kは係数であり、実数である。メインビーム70aから得られるTE信号を第1のプッシュプル信号とし、2つのサブビーム70bと70cから得られるTE信号を第2のプッシュプル信号としたとき、DPP法では、第1のプッシュプル信号と第2のプッシュプル信号を差動演算することによりTE信号が得られることは、前述した実施の形態1の光情報装置と同様である。
【0118】
しかし、第1のプッシュプル信号を生成するのに、メインビーム70aの中央付近を受光する受光部34b、34c、34f、34g、サブビーム70bの中央付近を受光する受光部34m、34n、サブビーム70cの中央付近を受光する受光部34o、34pから出力される信号にそれぞれ係数kを掛けて演算している点が、通常のDPP法による演算と異なっている。これは、トラックが周期tpに対して変動して形成されたときの変動成分は、ビームの中心付近に多くあり、その部分を操作することで、改善されるという原理に基づいている。例えば、トラックの位置ずれが3本毎に生じている場合には、3本のトラックを1つの周期構造体として考えればよく、このときの周期はtpの3倍となる。この周期構造体からの回折光は、周期が長い分だけビームの回折角は小さく、すなわち周期構造体からの1次回折光は、ビームの中心部に多く存在するようになる。
【0119】
前述した実施の形態3の光情報装置では、単にビームの中央付近を用いないことで、TE信号の変動を抑えていたが、実施の形態4では、さらに、TE信号を検出する受光部34a、34d、34e、34h〜34lに混入している変動成分を受光部34b、34c、34f、34g、34m〜34pで受光されるビーム70a〜70cの中央付近から得られる信号を用いて相殺することで、さらにTE信号の変動を低減している。
【0120】
したがって、TE信号の振幅の変動は、前述した実施の形態2の光情報装置よりも低減することができる。係数k=−0.45としたとき、TE信号の変動量ΔPPは0.28、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は0nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は0nmであり、従来の光情報装置と比較してTE信号の変動は1/2以下に低減し、オフトラックはほとんど0に低減できる。すなわち、実施の形態4の光情報装置では、光記憶媒体の作製時にトラックの位置がずれている場合でも、常に溝の中心に情報を記録再生することができる。一方、係数k=0.35としたとき、TE信号の変動量ΔPPは0.04、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は−21nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は+21nmであり、従来の光情報装置と比較してTE信号の変動は殆ど0に低減することができる。したがって、実施の形態4の光情報装置におけるトラッキング制御は極めて安定であり、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。また、オフトラックoft1、oft2は溝の中心から見たずれ量を表しているが、本来、光記憶媒体上に常にトラックピッチtpで情報が記録されるとし、仮想的にトラックが、常にtpの間隔に存在しているとした場合の、トラックTn−1、Tnにおけるオフトラック量をそれぞれオフトラック量toft1、toft2とすれば、オフトラック量toft1は+4nm、オフトラック量toft2は−4nmと、非常に小さい。すなわち、実施の形態4の光情報装置では、光記憶媒体の作製時に溝の位置がずれている場合でも常に一定のピッチで情報を記録することが可能であり、隣接したトラックに記録された情報を消去してしまうことが更に少なくなる。したがって、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置となる。
【0121】
なお、光検出器34を構成する受光部34a〜34pでビーム70a〜70cを分割することにより、他の光学部品を追加する必要が無く、光学系を複雑にすることなく本光情報装置を構成することができる。したがって、安価な光情報装置を提供することができる。
【0122】
また、係数kは、TE信号の変動量を最小にする値とオフトラックを最小にする値が異なるので、光情報装置の求める性能に応じて、kの値を両者の間に設定してもよく、性能バランスのとれた光情報装置となる。
【0123】
(実施の形態5)
図9は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置400の構成の一例を示した図である。
【0124】
前述した実施の形態1に示す光ピックアップヘッド装置4と本光ピックアップヘッド装置400の違いは、偏光ビームスプリッタ52と集光レンズ59との間にビーム分割素子60を設けていることと、光検出器32の代わりに光検出器35を用いていることである。光ピックアップヘッド装置4の代わりに光ピックアップヘッド装置400を用いることで、実施の形態5に係る光情報装置を構成することができる。
【0125】
図10は、ビーム分割素子60の構成を模式的に示している。ビーム分割素子60は、2種類の領域60aと60bとを有している。領域60aは透明で、入射したビームをそのまま透過させる。一方、領域60bにはブレーズ化された回折格子が形成されており、入射したビームを効率よく一方向に回折させる。したがって、ビーム70a〜70cが領域60aと60bの両方にそれぞれ入射することにより、ビーム70a〜70cはそれぞれ2つに分割される。
【0126】
図11は、光検出器35とビーム70a〜70cとの関係を模式的に示している。光検出器35は全部で16個の受光部35a〜35pを有し、受光部35a〜35hがビーム分割素子60の領域60aを透過したビーム70a〜70cを、受光部35i〜35pがビーム分割素子60の領域60bで回折されたビーム70a〜70cを、それぞれ受光する。全部で16個の受光部35a〜35pは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I35a〜I35pを出力する。FE信号は、(I35a+I35c+I35i+I35k)−(I35b+I35d+I35j+I35l)の演算により得られる。この演算は、複雑な演算に見えるが、光検出器35が光検出器32よりも多くの受光部を有しているためであって、実質的には、非点収差法でFE信号を得る一般的な演算である。
【0127】
TE信号は、DPP法により得る。ここでのTE信号は、{(I35a+I35d)−(I35b+I35c)}−C・{(I35e+I35g)−(I35f+I35h)}−k・[{(I35i+I35l)−(I35j+I35k)}−C・{(I35m+I35o)−(I35n+I35p)}]の演算で得る。
【0128】
得られるTE信号の特性は、前述した実施の形態4に示す光情報装置と同様である。また、TE信号を{(I35a+I35d)−(I35b+I35c)}−k・{(I35e+I35g)−(I35f+I35h)}の演算で得てもよい。このときのTE信号の特性は、前述した実施の形態3に示す光情報装置と同様である。
【0129】
一方、実施の形態5の光情報装置では、光記憶媒体40に集光されるビーム70a〜70cが有する球面収差量を示す信号である球面収差誤差信号を生成することができる。球面収差誤差信号は、(I35a+I35c)−(I35b+I35d)}−C2・{(I35i+I35k)−(I35j+I35l)}の演算で得られる。すなわち、メインビーム70aの中央付近の領域を受光する受光部70i〜70lから出力される信号を差動演算して第1のFE信号を生成し、メインビーム70aの外側付近の領域を受光する受光部70a〜70dから出力される信号を差動演算して第2のFE信号を生成し、第1のFE信号と第1のFE信号とを差動演算して球面収差誤差信号を得ている。ここで、係数C2は実数であり、所望の球面収差量のときに球面収差誤差信号が0となるように調整するための補正係数である。光ピックアップヘッド装置4に球面収差補正手段を設け、球面収差誤差信号を用いて球面収差補正手段を制御することにより、光記憶媒体40に集光されるビームが有する球面収差を低減することができ、光記憶媒体にジッタの少ないマークを記録することができ、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。なお、球面収差補正手段は、液晶素子、凹凸の組み合わせレンズ、等、一般的な構成が適用できるので、ここでは説明を略している。
【0130】
(実施の形態6)
図12は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置401の構成の一例を示した図である。
【0131】
前述した実施の形態1に示す光ピックアップヘッド装置4と実施の形態6の光ピックアップヘッド装置401との間の違いを、以下に述べる。まず、回折格子58を用いていないため、光記憶媒体40の情報記録面40b上には1つのビーム71が集光されている。また、ビーム分割素子61を設け、さらに、ビーム分割素子61と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化し、アクチュエータ91と92は、ビーム分割素子61と4分の1波長板54と対物レンズ56とを駆動して、フォーカス制御及びトラッキング制御を行う。また、ビーム分割素子61は、偏光依存性の素子であり、光源1から光記憶媒体40に向かう往路においては、入射するビーム71を全て透過する。一方、光記憶媒体40で反射されたビームが光検出器36に向かう復路においては、入射するビームの大半の光量は透過するが、一部の光量は回折され、複数の回折光が生成される。また、光検出器32の代わりに光検出器36を用いている。光ピックアップヘッド装置4の代わりに光ピックアップヘッド装置401を用いることで、実施の形態6に係る光情報装置を構成することができる。
【0132】
図13は、ビーム分割素子61の構成を模式的に示している。ビーム分割素子61は、4種類の領域61a〜61dを有しており、入射したビーム70の大半を透過させて0次回折光710を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域61a〜61dからビーム71a〜71dを生成する。
【0133】
図14は、光検出器36とビーム71a〜71d、710との間の関係を模式的に示している。光検出器36は全部で8個の受光部36a〜36hを有し、受光部36a〜36dがビーム710を、受光部36gがビーム71aを、受光部36eがビーム71bを、受光部36fがビーム71cを、受光部36hがビーム71dを、それぞれ受光する。受光部36a〜36hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I36a〜I36hを出力する。FE信号は、(I36a+I36c)−(I36b+I36d)の演算により得られる。
【0134】
一方、TE信号は、(I36g−I36h)−k・(I36e−I36f)の演算で得られる。係数k=0.35としたとき、TE信号の変動量ΔPPは0.04、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は−19nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は+19nmであり、従来の光情報装置と比較してTE信号振幅の変動は殆ど0にまで低減でき、トラッキング制御は極めて安定になる。
【0135】
また、TE信号は、(I36g−I36h)の演算で得ても良い。このとき、TE信号の変動量ΔPPは0.24、トラックTn−1におけるオフトラックoft1は−1nm、トラックTnにおけるオフトラックoft2は+1nmであり、光記憶媒体の作製時にトラックの位置がずれている場合でも、常に溝の中心に情報を記録することができる。
【0136】
実施の形態6に係る光情報装置では、1つのビーム71しか、光記憶媒体40に集光していないため、光記憶媒体40が大きな偏心を有していた場合でも、TE信号振幅の変動量が大きくなることはなく、安定にトラッキング制御を行うことができる。
【0137】
また、ビーム分割素子61と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化し、アクチュエータ91と92とで駆動しているために、光記憶媒体40が偏心を有していて、トラッキング追従する場合でも、ビーム71を分割する位置は常に一定であるので、光記憶媒体40の有する偏心量に依存せず、TE信号振幅の変動は、常に安定して低減することができる。また、ビーム71を分割する幅を、光記憶媒体の有する偏心を考慮せずに、TE信号振幅の変動が最も低減できるように設定することが可能であり、よりTE信号振幅の変動を低減できる光情報装置となる。また、トラッキング追従したときにTE信号に発生するオフセットも少なくできる。
【0138】
また、回折格子58を設けていないので、光記憶媒体40に情報を記録するために必要な光源1から出射する出力は、前述した光ピックアップヘッド装置4と比較して少なくて済むので、光源1の負担はその分軽くなり、光源1の寿命が長くなる。したがって、長期に渡って使用可能な光情報装置を提供することができる。
【0139】
また、ビーム分割素子61の領域61a〜61dに、回折光が光検出器36上で焦点を結ぶように、レンズ効果を持たせることで、受光部36e〜36hの大きさを小さくすることができる。受光部36e〜36hの大きさが小さい程、迷光の影響をうけにくくなるので、その分、安定したトラッキング制御を行うことができるようになる。光記憶媒体に複数の情報記録面を有する光記憶媒体を用いた場合には、特に有効である。受光部の大きさを小さくしたときには、その分、集光レンズ59の焦点距離を短くしても、すなわち検出光学系の倍率を低くしても、迷光の影響が大きくならないので、経時変化に対して安定な光情報装置を提供することができる。
【0140】
(実施の形態7)
図15は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光検出器37とビーム71b〜71c、710との間の関係を模式的に示している。前述した実施の形態6に示す光検出器36に代わりに光検出器37を用いることで実施の形態7に係る光情報装置を構成することができる。光検出器37は光検出器36から受光部36gと36hとを無くしたものと同等である。光検出器37は全部で6個の受光部37a〜37fを有し、受光部37a〜37dがビーム710を、受光部37eがビーム71bを、受光部37fがビーム71cを、それぞれ受光する。
【0141】
TE信号は、{(I37a+I37d)−(I37b+I37c)}−k・(I37e−I37f)の演算で得られる。係数kを適切に選ぶことにより、前述した実施の形態6に示す光情報装置と同等の特性を得ることができる。光検出器37は実施の形態6の光検出器36よりも小さく、その分小型の光ピックアップヘッド装置となる。また、光検出器37は光検出器36よりも受光部数が少ないので、その分、信号を処理する回路の規模も小さくなり安価となる。
【0142】
また、ビーム分割素子の領域61aと61dから回折光を生成しなくてもよいので、領域61aと61dを形成せず、単にビームが透過するようにすれば、その分、ビーム710の光量が増加するので、光記憶媒体40に記録された情報を読み出す際のS/Nが良くなる。
【0143】
(実施の形態8)
図16は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、ビーム分割素子62の構成を模式的に示している。前述した実施の形態6に示すビーム分割素子61の代わりにビーム分割素子62を、光検出器36に代わりに光検出器38を用いることで実施の形態8に係る光情報装置を構成することができる。ビーム分割素子62は、2種類の領域62a〜62bを有しており、入射したビーム70の大半を透過させて0次回折光710を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域62a〜62bからビーム73a〜73bを生成する。
【0144】
図17は、光検出器38とビーム73a〜73b、710との関係を模式的に示している。
【0145】
光検出器38は全部で12個の受光部38a〜38lを有し、受光部38a〜38dがビーム710を、受光部38e〜38hがビーム73aを、受光部38i〜38lがビーム73bを、それぞれ受光する。受光部38a〜38lは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I38a〜I38lを出力する。FE信号は、(I38a+I38c)−(I38b+I38d)の演算により得られる。
【0146】
TE信号は、(I38e+I38h)−(I38f+I38g)の演算で得られる。また、{(I38e+I38h)−(I38f+I38g)}−k・{(I38i+I38l)−(I38j+I38k)}の演算で得ても良い。ビーム分割素子62を対物レンズ56と一体化した場合には、どちらの演算でも構わないが、ビーム分割素子62を対物レンズ56と一体化しない場合には、後者の演算を用いることが好ましい。後者の演算では、トラッキング追従により、アクチュエータが移動した場合にTE信号に生じるオフセットは前者よりも小さくなるからである。
【0147】
球面収差誤差信号は、(I38e+I38g)−(I38f+I38h)}−C2・{(I38i+I38k)−(I38j+I38l)}の演算で得られる。
【0148】
実施の形態8に係る光情報装置は、実施の形態5に示す光情報装置と同様に、TE信号振幅の変動を低減できる。また、球面収差誤差信号の品質は、実施の形態5に示す光情報装置よりも良好であり、より精度よく球面収差を補正することができ、光記憶媒体にジッタの少ないマークを記録することができ、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0149】
また、ビーム分割素子62を対物レンズ56と一体化せずに、偏光ビームスプリッタ52から光検出器38に至る光路中に配置しても構わない。その場合には、ビーム分割素子62が偏光依存性を有している必要はなく、無偏光型の素子で構わない。極めて安価な樹脂成形でビーム分割素子62が作製できるので、その分安価な光情報装置を提供することができる。
【0150】
(実施の形態9)
図18は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、ビーム分割素子63の構成を模式的に示している。前述した実施の形態6に示すビーム分割素子61の代わりにビーム分割素子63を、光検出器36に代わりに光検出器39を用いることで実施の形態9に係る光情報装置を構成することができる。ビーム分割素子63は、3種類の領域63a〜63cを有しており、入射したビーム70の大半を透過させて0次回折光710を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域63a〜63cからビーム74a〜74cを生成する。
【0151】
図19は、光検出器39とビーム74a〜74c、710との関係を模式的に示している。光検出器39は全部で16個の受光部39a〜39pを有し、受光部39a〜39dがビーム710を、受光部39e〜39hがビーム74aを、受光部39i〜39lがビーム74bを、受光部39m〜39pがビーム74cを、それぞれ受光する。受光部39a〜39pは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I39a〜I39pを出力する。FE信号は、(I39a+I39c)−(I39b+I39d)の演算により得られる。
【0152】
TE信号は、(I39m+I39p)−(I39n+I39o)の演算で得られる。また、{(I39m+I39p)−(I39n+I39o)}−k・{(I39e+I39h)−(I39f+I39g)}の演算で得ても良い。また、{(I39m+I39p)−(I39n+I39o)}−k・{(I39i+I39l)−(I39j+I39k)}の演算で得ても良い。また、{(I39m+I39p)−(I39n+I39o)}−k・{(I39e+I39g+I39i+I39l)−(I39f+I39g+I39j+I39k)}の演算で得ても良い。いずれの演算を用いた場合も、TE信号振幅の変動を低減できる。ビーム分割素子63を対物レンズ56と一体化した場合には、いずれの演算でも構わないが、ビーム分割素子63を対物レンズ56と一体化しない場合には、2番目以降の演算を用いることが好ましい。2番目以降の演算では、トラッキング追従により、アクチュエータが移動した場合にTE信号に生じるオフセットは前者よりも小さくなる。1番目の演算と4番目の演算とのいずれかを用いた場合、前述した実施の形態6に示す光情報装置と同様の特性が得られる。また、2番目の演算を用いた場合には、デフォーカスが生じた場合でも、オフトラックが少なく、デフォーカス等の外乱に対して信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0153】
球面収差誤差信号は、(I39i+I39k)−(I39j+I39l)}−C2・{(I39e+I39g+I39m+I39o)−(I39f+I39h+I39n+I39p)}の演算で得られる。また、球面収差誤差信号の品質は、前述した実施の形態5に示す光情報装置よりも良好であり、より精度よく球面収差を補正することができ、光記憶媒体にジッタの少ないマークを記録することができ、信頼性の高い光情報装置を提供することができる。
【0154】
これまでに述べた実施の形態では、全てTE信号振幅の変動を抑えるためにビームの中央付近の幅をビームの直径の0.7倍としたが、これはΔPPとオフトラックの改善量とを比較できるように同一の条件にしたためであって、この範囲に特に制約はなく、自由に設定することができる。必ずしも直線で分割する必要がないことも勿論である。
【0155】
また、いままで、溝を形成する際の位置誤差によってTE信号振幅の変動が生じている場合について説明したが、溝の幅、深さに誤差がある場合や、光記憶媒体において情報が記録されたトラックと情報が未記録のトラックとの間の境界付近でも同様にTE信号振幅の変動が生じるが、これらの場合にも本発明は有効である。
【0156】
(実施の形態10)
図20は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置402の構成の一例を示した図である。
【0157】
前述した実施の形態5に示す光ピックアップヘッド装置400と実施の形態10に係る光ピックアップヘッド装置402との違いは、回折格子58を用いていないこと、光記憶媒体41が2つの情報記録層41bと41cを有していること、ビーム分割素子60の代わりにビーム分割素子64を、光検出器35の代わりに光検出器45をそれぞれ用いていることである。回折格子58を用いていないため、光源1から出射された1つのビーム70が光記憶媒体41の情報記録面上に集光される。
【0158】
光記憶媒体41は2つの情報記録面41bと41cとを有しているが、ここでは対物レンズ56で集光されたビーム70が、情報記録面41cに焦点を結んでいるときの様子を示している。光記憶媒体41は、透明基板41aと情報記録面41b、41cからなり、光記憶媒体41の光が入射する面から情報記録面41cまでの距離d2を100μm、情報記録面41bと41cの間隔d1を25μmとしている。また、ここでは図示していないが、情報記録面41bと41cとに形成されるトラックの周期tpは、0.32μmである。
【0159】
また、光源1の波長λは405nm、対物レンズの開口数NAは0.85である。情報記録面41bと41cの等価的な反射率はそれぞれ4〜8%程度である。ここで、等価的な反射率は、光記憶媒体41に入射するビームの光量を1としたとき、情報記録面41bもしくは41cで反射された後に、光記憶媒体41を再び出射する際のビームの光量を示している。情報記録面41cは、入射したビームの光量の大半を吸収もしくは反射するが、情報記録面41bは、情報記録面41cにビームを到達させるために、入射したビ−ムの約50%の光量を透過させ、残りの50%の光量を吸収もしくは反射する。
【0160】
光記憶媒体41の情報記録面41cで反射されたビーム70は、対物レンズ56を透過した後、偏光ビームスプリッタ52で反射されて、ビーム分割素子64に入射する。ビーム分割素子64は複数のビーム75を生成し、ビーム分割素子64で生成された複数のビーム75は、シリンドリカルレンズ57を透過して非点収差が付与された後、光検出器45で受光される。
【0161】
図21は、ビーム分割素子64の構成を、図21は、光検出器45と光検出器45で受光されるビーム75との関係を、それぞれ模式的に示している。ビーム分割素子64は、全部で7種類の領域64a〜64gを有している。ビーム分割素子64において、Dは偏光ビームスプリッタ52によって反射された後にビーム分割素子64に入射するビーム70の直径を示しており、通常2〜4mm程度に設計される。ここでは、3mmとしている。
【0162】
ビーム75は、0次回折光である75aと7つの1次回折光である75b〜75hとを含んでいる。ビーム分割素子64は、一種の回折格子であり、ここでは、0次回折光の回折効率を80%、1次回折光の回折効率を8%としている。0次回折光の回折効率を1次回折光の回折効率よりも高くしているのは、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cに記録された情報を、0次回折光を用いて読み出し、1次回折光は、トラッキング誤差信号の生成のみに用いるためである。0次回折光の回折効率を高くする程、情報記録面41b及び41cに記録された情報を読み出す際の信号対雑音比を高くすることができるので、忠実に情報を再生できる。
【0163】
ビーム75aは領域64a〜64gから、ビーム75bは領域64aから、ビーム75cは領域64bから、ビーム75dは領域64cから、ビーム75eは領域64dから、ビーム75fは領域64eから、ビーム75gは領域64fから、ビーム75hは領域64gから、それぞれ生成される。領域64a〜64gに形成するパターンは、いずれも等周期で直線状の単純格子である。トラッキング制御に応じて、ビーム分割素子64上でビーム70が矢印TRKの方向に沿って移動する。
【0164】
ビーム70の半径rよりも十分大きく領域64a〜64fを形成することで、トラッキング制御時に、TE信号が低下することを防止している。ここでは、領域64a〜64fの矢印TRKの方向に沿った大きさh3を、ビーム70の半径rに比べて、それぞれ500μm大きくしている。一方、トラッキング追従方向を示す矢印TRKとは直交する方向に沿った大きさについては、光ピックアップヘッド装置を組み立てる際のビーム分割素子64とビーム70との位置ずれ公差分だけあれば良いので、通常10〜100μmあれば十分であり、ここでは、幅h4をビーム70の直径Dよりも100μm大きくしている。また、幅h1を0.35D、幅h2を0.6Dとしている。
【0165】
図22を参照すると、光検出器45は、全部で10個の受光部45a〜45jを有している。受光部45a〜45dはFE信号と光記憶媒体41に記録された情報を再生するための信号との検出に、受光部45e〜45jはTE信号の検出にそれぞれ用いられる。FE信号を検出するための受光部45a〜45dとTE信号を検出するための受光部45e〜45jとを同一の半導体基板上に形成することで、光ピックアップヘッド装置を小型にすることができ、また光ピックアップヘッド装置を組み立てる際の工数を少なくすることができる。
【0166】
ビーム75aは4つの受光部45a〜45dで、ビーム75bは受光部45eで、ビーム75cは受光部45fで、ビーム75dは受光部45gで、ビーム75eは受光部45hで、ビーム75fは受光部45iで、ビーム75gは受光部45jで、それぞれ受光される。ビーム75hは、どの受光部でも受光されないようにしている。この構成により、先に述べた実施の形態3等と同様に光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減している。
【0167】
また、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、不要な光がTE信号を検出するために用いられる受光部に入射することを避ける役目も果たしている。受光部45a〜45jは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I45a〜I45jを出力する。FE信号は、(I45a+I45c)−(I45b+I45d)の演算により得られる。TE信号の検出方法については後述する。
【0168】
ビーム75a〜75hは、情報記録面41cで反射されたビーム70がビーム分割素子64に入射して生成されたビームであるが、光記憶媒体41は、2つの情報記録面41bと41cとを有しているので、情報記録面41bで反射されたビームも偏光ビームスプリッタ52で反射された後に、ビーム分割素子64に入射して、ビーム分割素子64では回折光が生成される。ビーム76a〜76hは、情報記録面41bで反射されたビーム70がビーム分割素子64に入射して、生成された回折光である。ビーム76aは領域64a〜64gから、ビーム76bは領域64aから、ビーム76cは領域64bから、ビーム76dは領域64cから、ビーム76eは領域64dから、ビーム76fは領域64eから、ビーム76gは領域64fから、ビーム76hは領域64gから、それぞれ生成される。
【0169】
ビーム70は、情報記録面41cに焦点を結ぶようにしているので、情報記録面41bでは、大きくデフォーカスをしている。そのため、ビーム76a〜76hも光検出器45上で大きくデフォーカスをしている。ここで、ビーム76a〜76hが、いずれも受光部45e〜45jに入射しないようにしている。これは、ビーム76a〜76hが、受光部45e〜45jに入射すると、その入射の程度に応じてTE信号に乱れが生じ、その結果、安定なトラッキング制御ができなくなることがあるためである。ここでは、ビーム76aの半径よりも遠い位置に受光部45e〜45jを形成することで、ビーム76aが受光部45e〜45jに入射しないようにしている。
【0170】
また、受光部45e〜45jを近接して形成し、ビーム75b〜75gを受光している。また、図21に示すビーム分割素子64の中央部に領域64gを設け、領域64gから生成されたビーム75hをTE信号の生成には用いていない。このような配置により、ビーム76b〜76gは、受光部45e〜45jの外側に位置し、すなわち、受光部45e〜45jに入射しない。更に、ビーム75hをビーム75b〜75gとは直交する方向に回折させている。このことにより、受光部45e〜45jをビーム76aが入射しない位置に形成することで、ビーム76hは、確実に受光部45e〜45jに入射しなくなる。
【0171】
また、トラッキング制御に応じて、ビーム76aは矢印TRKの方向に沿って移動する。矢印TRKの方向とは直交する方向に受光部45e〜45jを形成することにより、トラッキング制御によって、ビーム76aが受光部45e〜45jに入射することは無くなり、その分、受光部45e〜45jを受光部45a〜45dに近づけて形成することができる。その分、光検出器45の大きさは小さくなり、安価な光ピックアップヘッド装置を提供することができる。
【0172】
ビーム76b〜76gが受光部45e〜45jへ入射しない条件として、受光部45e〜45jの幅S1が、2・h1/D・d1/n2・α・NA以下であればよい。また、受光部45e〜45jの幅S2についても同様に、2・h2/D・d1/n2・α・NA以下であればよい。ここで、d1は情報記録面41bと41cとの間の間隔、n2は、光記憶媒体41の情報記録面41bと41cとの間に存在する媒質の屈折率、αは、光記憶媒体41から光検出器45に至る光学系の横倍率、Dはビーム分割素子64上におけるビーム70の直径、h1とh2は、ビーム分割素子64の領域64gの幅、NAは対物レンズ56の開口数である。ここでは、横倍率αは、大略f3/f2となる。この条件を満足するように、ビーム分割素子64の領域64gの幅h1と幅h2、受光部45e〜45jの幅S1と幅S2を設定する。光学系の横倍率は4〜40倍程度が適切である。
【0173】
なお、ここでは、光記憶媒体41が情報記録面を2つ有する場合について説明したが、光記憶媒体が3つ以上の情報記録面を有している場合でも同様に本発明を適用することができる。また、光記憶媒体の光が入射する面(以下表面とする)は通常、反射防止膜が形成されないので、光記憶媒体の表面でもビームが反射された後、光検出器に向かう。この光記憶媒体の表面で反射されたビームも、トラッキング制御を不安定にすることがあるので、受光部45e〜45jに入射しないことが望ましい。光記憶媒体の表面で反射されたビームについても、先に述べた設計方法により、受光部45e〜45jに入射しないようにすることが可能である。すなわち、情報記録面41bと41cとの間隔d1に代わりに、所望の情報記録面と、光記憶媒体の表面等、他のビームを反射する面との間の間隔dを用いることで、任意の面に拡張することができる。
【0174】
図23は、TE信号を生成するための信号処理部の構成を示している。受光部45eと45fから出力される信号I45eとI45fは差動演算部801で差動演算がなされる。差動演算された信号であるI45f−I45eは、所謂プッシュプル法によるTE信号である。
【0175】
ビーム分割素子64を対物レンズ56と一体化していないため、光記憶媒体41の偏心に応じて対物レンズ56をトラッキング追従させると、TE信号にトラッキング追従に応じたオフセットの変動が生じる。そこで、図23に示す信号処理部では、受光部45gと45hから出力される信号I45gとI45hは加算部802で、受光部45iと45jから出力される信号I45iとI45jは加算部803で、それぞれ加算される。加算部802と803とから出力される信号は、差動演算部804で差動演算がなされる。差動演算部804から出力される信号は、可変利得増幅部805に入力され、所望の信号強度に増幅もしくは減衰がなされる。ここでは、約2.5の増幅度を持たせている。可変利得増幅部805から出力される信号は、差動演算部801から出力される信号が有するオフセット変動と同じ変動を有する。これらのオフセット変動は、偏芯を有する光記憶媒体に対してトラッキング動作を行ったときや、アクセス動作を行ったとき、等に生じる。
【0176】
差動演算部806は、差動演算部801から出力される信号と可変利得増幅部805から出力される信号とを受けて差動演算を行うことで、差動演算部801から出力される信号が有する上述のオフセット変動を減ずる。差動演算部806から出力される信号は、トラッキング追従してもオフセット変動が殆ど無いTE信号であるが、そのままでは、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cの反射率、光記憶媒体41に照射するビームの強度の変化に応じて信号強度が変化するので、除算部808に入力して、一定の振幅になるようにする。
【0177】
受光部45a〜45dから出力される信号I45a〜I45dは加算部807で加算された後、除算部808に除算を行う信号として入力される。加算部807から出力される信号は、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cの反射率や光記憶媒体41に照射するビームの強度に比例した信号であり、除算部808から出力される信号は所望の強度を有するTE信号となる。
【0178】
実施の形態10に係る光ピックアップヘッド装置及び信号処理部を用いた光情報装置では、光記憶媒体が複数の情報記録面を有する場合でも、安定なトラッキング動作が可能であり、信頼性の高い光情報装置となる。また、ビーム75d〜75gを受光部45g〜45jでそれぞれ受光しているため、受光部45g〜45jから出力される信号の強度を比較することにより、ビーム分割素子64の設定位置がビーム70に対してどのような位置にあるのかを容易に認識することができる。そのため、ビーム分割素子64をビーム70に対して精度良く設定するための調整が容易にでき、光ピックアップヘッド装置の生産性を高めることができる。
【0179】
勿論、前述した実施の形態6に示す光ピックアップヘッド装置と同様に、ビーム分割素子64を偏光依存性素子で作製し、対物レンズ56と一体化してもよい。その場合、ビーム分割素子64上のビーム70の位置は、常に一定になるので、領域64gの幅h1を広くしても、TE信号の振幅の低下はない。その分、受光部45e〜45jにビーム76d〜76gが入射しにくくなる。
【0180】
(実施の形態11)
図24は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置を構成する光検出器46とビーム75a〜75h、76a〜76hとの関係の一例を模式的に示した図である。前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402における光検出器45の代わりに光検出器46を用い、ビーム分割素子64の領域64dと64fに形成するパターンを少し変更することにより、実施の形態11に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0181】
この光ピックアップヘッド装置においては、ビーム75dと75eを1つの受光部46gで、ビーム75fと75gを1つの受光部46hで、それぞれ受光している。更に、ビーム75dと75eを受光部46g上で、ビーム75fと75gを受光部46h上で、それぞれ重ねることにより、受光部46gと46hが、大きくならないようにしている。そのため、光検出器46の大きさは図22を参照して前述した光検出器45よりも小さくでき、光検出器46は光検出器45よりも安価となる。また、受光部46e〜46hが占める面積は、前述した受光部45e〜45jが占める面積よりも小さく、その分、情報記録面41bで反射されたビーム76a〜76hが受光部46e〜46hに入りにくくなり、実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置を用いた場合よりも更にTE信号の変動を低減でき、安定なトラッキング制御を行うことができる。勿論、光記憶媒体41の表面で反射されたビームに対しても同様である。
【0182】
ビーム75dと75eを1つの受光部46gで、ビーム75fと75gを1つの受光部46hで、それぞれ受光するために、図21に示すビーム分割素子64の領域64dと64fとに形成するパターンの周期と空間周波数軸とを少し変更している。領域64dと64fとに形成するパターンは、いずれも等周期で直線状の単純格子である。なお、受光部46a〜46dは前述した受光部45a〜45dと同様である。
【0183】
また、加算部802と803が不要となるので、その分安価な光情報装置を提供することができる。また、光学的にビーム76a〜76hが受光部46g〜46hに入射しないように、受光部46g〜46hを配置したとしても、意図しない迷光が受光部46g〜46hに入射する場合がある。しかしながら、受光部46g〜46hの面積が前述した受光部45e〜45jの面積よりも狭くなる分、意図しない迷光の光量は相対的に低下し、より安定なトラッキング制御が可能となる。
【0184】
(実施の形態12)
図25は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成する光検出器47とビーム75a〜75h、76a〜76hとの関係の一例を模式的に示した図である。前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402における光検出器45の代わりに光検出器47を用い、ビーム分割素子64の領域64a〜64fに形成するパターンを少し変更することにより、実施の形態12に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0185】
この光ピックアップヘッド装置においては、前述した実施の形態11に示す光ピックアップヘッド装置と同様にビーム75dと75eとを1つの受光部47gで、ビーム75fと75gとを1つの受光部47hで、それぞれ受光し、更に、ビーム75dと75eを受光部47g上で、ビーム75fと75gを受光部47h上で、それぞれ重ねている。
【0186】
更に、シリンドリカルレンズ57をビーム75b〜75gが透過することにより付与される非点収差を相殺して、光検出器47上で焦点を結ぶように、図21に示すビーム分割素子64の領域64a〜64fに形成するパターンに、パワーを持たせているということである。したがって、光検出器47上のビーム75b〜75hは、前述した光検出器46上のビーム75b〜75hよりも小さく、その分、受光部47e〜47hを受光部46e〜46hよりも小さくでき、光検出器47は光検出器46よりも更に安価となる。
【0187】
また、受光部47e〜47hが占める面積は、前述した受光部46e〜46jが占める面積よりも小さく、その分、情報記録面41bで反射されたビーム76a〜76hが受光部47e〜47hに入りにくくなり、更に安定なトラッキング制御を行うことができる。勿論、光記憶媒体41の表面で反射されたビームに対しても同様である。なお、受光部47a〜47dは前述した受光部46a〜46dと同様である。また、光学的にビーム76a〜76hが受光部47e〜47hに入射しないように、受光部47e〜47hを配置したとしても、意図しない迷光が受光部47〜47hに入射する場合がある。しかしながら、受光部47e〜47hの面積が小さくなる分、意図しない迷光の光量は相対的に低下し、実施の形態11に示す光ピックアップヘッド装置を用いた場合よりもよりも更にTE信
号の変動を低減でき、安定なトラッキング制御が可能となる。
【0188】
(実施の形態13)
図26は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子65を模式的に示した図である。前述した実施の形態10における図21に示す光ピックアップヘッド装置402におけるビーム分割素子64の代わりに、ビーム分割素子65を用いることにより、実施の形態13に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0189】
ビーム分割素子65における領域65a〜65gはそれぞれ、前述したビーム分割素子64における領域64a〜64gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子64とビーム分割素子65との違いは、領域64gに相当する領域65gの幅h5が狭く、その分、領域65c〜65fの範囲が広くなっていることである。
【0190】
領域65c〜65fの範囲を図21に示す領域64c〜64fよりも広くすることで、図22に示す受光部45g〜45jで受光されるビーム75d〜75gの光量は増加し、その分、可変利得増幅部805の増幅度を小さくすることができる。ここでは幅h6を0.35Dとすることで、可変利得増幅部805の増幅度を約2.3倍に下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号が、加算部802、803等で発生し、出力される信号に付加されることのある電気的なオフセットの影響を低減することができる。
【0191】
また、ビーム76a〜76hが受光部45g〜45jに光学的に入射しないように、受光部45g〜45jを配置したとしても、意図しない迷光が受光部45g〜45jに入射する場合がある。しかしながら、受光部45g〜45jで受光されるビーム75d〜75gの光量が増加する分、意図しない迷光の光量は相対的に低下するので、より安定なトラッキング制御が可能となる。
【0192】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0193】
(実施の形態14)
図27は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子66を模式的に示した図である。前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402におけるビーム分割素子64の代わりに、ビーム分割素子66を用いることにより、実施の形態14に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0194】
ビーム分割素子66における領域66a〜66gはそれぞれ、図21を参照して前述したビーム分割素子64における領域64a〜64gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子64とビーム分割素子66の違いは、領域64gに相当する領域66gの幅が広く、その分、領域66a〜66bの範囲が狭くなっていることである。
【0195】
領域66a〜66bの範囲を領域64a〜64bよりも狭くすることで、受光部45e〜45fで受光されるビーム75b〜75cの光量は低下するが、その分、図23を参照して前述した可変利得増幅部805の増幅度を小さくすることができる。ここでは、幅h2を0.35D、幅h5を0.65Dとしていることで、可変利得増幅部805の増幅度を約1.4倍に下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号において、加算部802、803等で発生して出力される信号に付加される電気的なオフセットの影響を低減することができる。
【0196】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0197】
また、幅h2を0.3D〜0.5Dとすることで、光記憶媒体41の情報記録面が有するトラックに情報が記録されている場合と記録されていない場合とが混在することで生じるTE信号振幅の変動を非常に小さくすることができ、安定に情報を記録可能な光情報装置を提供することができる。
【0198】
(実施の形態15)
図28は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子67を模式的に示した図である。図21を参照して前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402におけるビーム分割素子64の代わりに、ビーム分割素子67を用いることにより、実施の形態15に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0199】
ビーム分割素子67における領域67a〜67gはそれぞれ、前述したビーム分割素子64における領域64a〜64gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子64とビーム分割素子67との違いは、領域67aと67bの一部分に領域67h〜67kを設け、その分、領域67aと67bを狭くしていることである。
【0200】
領域67h〜67kには領域67gと同じパターンを記録している。すなわち、領域67h〜67kから生成されるビームは受光部45e〜45jで受光されないようにしている。領域67aと67bとを狭くすることにより、その分、領域67aと67bから生成されるビーム76bと76cが受光部45e〜45jに入射しにくくなる。特に、ビーム分割素子67から生成されるビームが図20を参照して前述したシリンドリカルレンズ57を透過するときに有効である。
【0201】
また、領域67h〜67kを設けることにより、領域67aと67bとから生成されるビーム75bと75cとに含まれる、トラッキング追従に応じたオフセット変動は小さくなり、その分、図23に示す可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号において、加算部802、803等で発生して出力される信号に付加される電気的なオフセットの影響を低減することができる。また、領域67h〜67kを設けてもTE信号の振幅は低下しない。
【0202】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0203】
(実施の形態16)
図29は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構
成するビーム分割素子68を模式的に示した図である。前述した実施の形態15に示すビーム分割素子67の代わりに、ビーム分割素子68を用いることにより、実施の形態16に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0204】
ビーム分割素子68における領域68a〜68kはそれぞれ、前述したビーム分割素子67における領域67a〜67kに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子68とビーム分割素子67との違いは、領域68h〜68kに形成するパターンが領域67h〜67kに形成するパターンと異なることである。
【0205】
領域68hには領域68cと同じパターンを、領域68iには領域68dと同じパターンを、領域68jには領域68eと同じパターンを、領域68kには領域68fと同じパターンを、それぞれ記録している。このため、ビーム75d〜75gの光量は増加し、図23に示す可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる。可変利得増幅部805の増幅度を下げることができる分、可変利得増幅部805に入力される信号において、加算部802、803等で発生して出力される信号に付加される電気的なオフセットの影響を低減することができる。また、受光部45g〜45jで受光されるビーム75d〜75gの光量が増加する分、意図しない迷光の光量は相対的に低下し、より安定なトラッキング制御が可能となる。
【0206】
また、本実施の形態のビーム分割素子を用いた場合でも、光記憶媒体に形成される溝の位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで生じるTE信号の変動を低減でき、更に、光記憶媒体が複数の情報記録面を有している場合に、TE信号を検出するために用いる受光部に不要な光が入射してTE信号が変動するということを避ける構成としている。
【0207】
なお、これまでに述べたビーム分岐素子64〜68における領域64a、64b、65a、65b、66a、66b、67a、67b、68aおよび68bは、プッシュプル法によるTE信号を検出する領域である。幅h2は、(1−(λ/2/tp/NA)2)1/2・D〜(1−(λ/2/tp/NA)2)1/2・D/2程度の範囲で、良好なTE信号を得ることができる。また、幅h1は、(λ/tp/NA−1−Δ)・D以下であれば、トラッキング制御に対応して、ビーム分割素子上でビーム70が移動しても、全くTE信号の劣化はない。幅h1が1.5・(λ/tp/NA−1−Δ)・D以下であれば実用上問題のない良好なTE信号が得られる。
【0208】
なお、Δは、ビーム分割素子上でのビーム70の直径を1として規格化したときのビーム分割素子上をビーム70が動く距離である。勿論、幅h2を更に大きくしたい場合や、TE信号の振幅を常に一定に保ちたい場合には、トラッキング制御に対応して、TE信号の振幅が一定となるような振幅制御部を設けてもよい。トラッキング制御がどのような状態にあるかについては、例えば図23に示す差動演算部804の出力から容易に知ることができる。
【0209】
(実施の形態17)
図30は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、TE信号を生成するための信号処理部の構成を示した図である。図23を参照して前述した実施の形態10に示す信号処理部の代わりに、本信号処理部を用いることにより、実施の形態17に係る光情報装置を構成できる。
【0210】
受光部45e〜45jから出力される信号I45e〜I45jが、差動演算部806で差動演算されることは、図23を参照して前述した実施の形態10に示した信号処理部と同様である。受光部45a〜45dから出力される信号I45a〜I45dは、加算部807で加算される。
【0211】
図31は、加算部807で加算された信号をオシロスコープで観察した時の様子を示す図であり、所謂アイパターンである。加算部807から出力された信号は、低域濾波部809と振幅検出部811とに入力される。低域濾波部809では、光記憶媒体41の情報記録面41b、41cに記録されたマーク及びスペースからなる信号よりも十分低い周波数成分に応じた信号を出力する。情報記録面41b、41cに情報が記録されている場合には図31に示す信号強度Idcが出力される。情報記録面41b、41cに情報が記録されていない場合には図31に示す信号強度Itが出力される。
【0212】
一方、振幅検出部811では、光記憶媒体41の情報記録面41b、41cに記録されたマーク及びスペースからなる信号周波数成分の振幅に応じた信号を出力する。振幅検出部811は、一般的な実効値を検出する回路を用いることができる。また、包絡線を検出する回路等、振幅に応じた信号を出力可能で有れば、特に制約はない。情報記録面41b、41cに情報が記録されている場合には図31に示す信号強度Irfに応じた信号が出力される。情報記録面41b、41cに情報が記録されていない場合には0が出力される。
【0213】
低域濾波部809と振幅検出部811とから出力される信号は、それぞれ可変利得増幅部810と812とに入力され、所望の信号強度に増幅もしくは減衰がなされる。可変利得増幅部810と812とから出力される信号は、加算部813で加算された後、除算部808に除算を行う信号として入力される。
【0214】
加算部807と低域濾波部809と振幅検出部811と可変利得増幅部810と812と加算部813とは、記録未記録検出手段を構成している。除算部808は、振幅制御手段を構成している。
【0215】
図32は、可変利得増幅部810と812との利得の一例を示す図である。直線k2は可変利得増幅部810の利得を、直線k3は可変利得増幅部812の利得を、それぞれ示している。可変利得増幅部810の利得は、デフォーカスに依存せず一定の値としているが、可変利得増幅部812の利得は、情報記録面41bもしくは41cに集光されるビームのデフォーカスの状態に依存して変化させている。ここでは、直線k3によって示される利得の値を、デフォーカスが−0.2μmのときに1、デフォーカスが0μmのときに0としている。直線k2によって示される利得の値は常に1である。デフォーカスの値は、FE信号を用いることで、容易に知ることができる。
【0216】
直線k3によって示される可変利得増幅部812の利得をデフォーカスに応じて変化させると、記憶媒体41の情報記録面が有するトラックに情報が記録されている場合と記録されていない場合とが混在することで生じるTE信号の振幅の変動を非常に小さくすることができ、安定に情報を記録可能な光情報装置を提供することができる。
【0217】
なお、ここで示した直線k2と直線k3とによって示される利得の値は一例であり、可変利得増幅部810と812との利得及び利得の変化の割合は光学設計により最適な値に設定すればよい。利得の最適な値は、光情報装置の求める性能に応じて、TE信号の変動量を最小にする値としてもよいし、オフトラックを最小にする値としてもよい。また、両者の間に設定してもよい。
【0218】
また、本構成は一例であり、光記憶媒体41の情報記録面41b及び41cが有するトラックが記録済みのトラックか未記録かのトラックであるかを検出し、その状態とデフォーカスの状態とに応じてTE信号の振幅を制御することができれば、如何なる構成でもよい。また、光記憶媒体が有する情報記録面の数に制約はなく、トラックに情報が記録されている場合と記録されていない場合とが混在することでTE信号の振幅に変動が生じる情報記録面を有する光記憶媒体であれば、全ての光記憶媒体に、本発明の光情報装置を適用することができる。
【0219】
図33は、図20を参照して前述した光記憶媒体41の情報記録面41b、41cに情報を記録した場合の一例を示す図である。ここでは、トラックTn−2、Tn、Tn+2に情報を記録し、トラックTn−1、Tn+1には情報を記録していない。すなわち、記録済みのトラックと未記録のトラックとを交互に形成している。トラックと直交する方向にビームを走査することでTE信号が得られる。記録済みのトラックと未記録のトラックを混在させることにより、TE信号の振幅に変動が生じるが、この変動が小さくなるように直線k2と直線k3とによってそれぞれ示される可変利得増幅部810と812との利得を調整すればよい。記録済みのトラックと未記録のトラックとを交互に形成した場合が、最もTE信号の振幅の変動は顕著であり、可変利得増幅部810と812の利得を精度良く調整することができる。
【0220】
(実施の形態18)
図34は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、本発明に係る光ピックアップヘッド装置403の構成の一例を示した図である。図20を参照して前述した実施の形態10に示す光ピックアップヘッド装置402と本光ピックアップヘッド装置403との違いは、偏光ビームスプリッタ52と4分の1波長板43との間に凹レンズ81と凸レンズ82とを設けたことである。
【0221】
凹レンズ81の位置をアクチュエータ93で変えることにより、ビーム70に与える球面収差量を調整できるようにしている。情報記録面41b、41cに集光されるビーム70の有する球面収差量は、光記憶媒体41の表面から情報記録層41b、41cまでの距離に応じて変化するが、情報記録面41b、41cに集光されるビーム70が有する球面収差が小さくなるように、凹レンズ81と凸レンズ82を用いて球面収差を補正している。凹レンズ81と凸レンズ82とを設けることにより、情報記録面41bと41cとのどちらにも、球面収差が少ない状態で情報を記録することができる。
【0222】
ここで、対物レンズ56に入射するビームの直径D1は、アパーチャ55で開口が制限されるために一定であるが、ビーム分割素子64に入射するビームの直径D2は、凹レンズ81の位置に応じて変化する場合がある。ビーム分割素子64に設けられた領域64a〜64gの大きさは一定であるので、ビームの直径D2が小さくなると、領域64a〜64bで生成されるビーム75b〜75cの光量は増加し、領域64c〜64fで生成されるビーム75d〜75gの光量は低下する。直線k1によって示される可変利得増幅部805の利得が一定のままであれば、差動演算部801から出力される信号が有するトラッキング追従に応じたオフセット変動を適切に減ずることができなくなる。
【0223】
図35は、本実施の形態におけるビームの直径の比D2/D1と直線k1によって示される可変利得増幅部805の利得との間の関係を示す図である。ビームの直径の比D2/D1が小さくなる程、可変利得増幅部805の利得が大きくなるようにしている。
【0224】
図36は、図34に示すアクチュエータ93の駆動電圧とビームの直径の比D2/D1との間の関係を示す図である。アクチュエータ93の駆動電圧とビームの直径の比D2/D1とは相関関係があり、ここでは、アクチュエータ93の駆動電圧に応じて、直線k1によって示される可変利得増幅部805の利得を制御している。ビームの直径の比D2/D1を測定することは困難であるが、アクチュエータ93の駆動電圧は容易に知ることができる。情報記録面41bもしくは41cに集光されるビームの球面収差が少なくなるように、凹レンズ81を変位させた場合でも、常に、差動演算部801から出力される信号が有するトラッキング追従に応じたオフセット変動を適切に減ずることができる。すなわち、情報記録面を複数有する光記憶媒体に対して情報の記録を行う光情報装置の信頼性を高めることができる。
【0225】
(実施の形態19)
図37は、本発明に係る別の光ピックアップヘッド装置を示す構成図である。
【0226】
半導体レーザなどの光源1は、波長λ1が405nmの直線偏光のビーム70を出射する。光源1から出射されたビーム70は、コリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52に入射する。偏光ビームスプリッタ52を通過した光は立ち上げミラー24で光路を折り曲げられ、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、対物レンズ56に入射し集光する。対物レンズ56の焦点距離fは2mmで、開口数NAは0.85である。対物レンズ56は図示しない対物レンズ駆動装置により駆動され、ビーム70は厚さ0.1mmの透明保護層を透過して光記憶媒体40の記録面上に集光する。光記憶媒体40には、トラックとなる連続溝が形成されており、トラックピッチtpは0.32μmである。
【0227】
光記憶媒体40で反射したビーム70は対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、ビーム分岐手段としての偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射し向きを変えたビーム70は開口制限素子83を通り、開口制限素子83に接している回折素子22を通って、複数のビーム700及び21a〜21eに分割される。分割されたビームは集光レンズ59を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ57を透過して非点収差が付与された後、光検出器51に入射する。光検出器51に入射した光は電気信号として出力される。
【0228】
図38は、回折素子22と開口制限素子83との構成を模式的に示している。図39は、光検出器51の受光部の形状とビーム700及び21a〜21dとの間の関係を模式的に示している。
【0229】
回折素子22は4つの領域22a〜22eを有しており、入射したビーム70の大半をそのまま透過させ0次回折光210を生成し、一部の光量を回折させて領域22a〜22eからそれぞれビーム70a〜70eを生成する。
【0230】
光検出器51は全部で8つの受光部51a〜51hを有している。受光部51a〜51hは信号検出用の受光部であり、受光部51a〜51dがビーム210を、受光部51gがビーム21cを、受光部51eがビーム21aを、受光部51fがビーム21cを、受光部51hがビーム21dを、それぞれ受光する。領域22eは他の領域に比べて大きな回折角で回折するような特性が与えてあり、領域22eにおいて回折したビームは光検出器51に入らない。光検出器51における受光部51a〜51hには、それぞれその一端に電極84が設けられており、受光した光量に応じた電流信号I51a〜I51hが電極84から図示しない半導体回路へ出力される。
【0231】
FE信号は、非点収差法により(I51a+I51c)−(I51b +I51d)の演算により得られ、それに基づき対物レンズ56の位置を制御する。
【0232】
また、TE信号は、(I51g−I51h)−k・(I51e−I51f)の演算で得られる。得られたTE信号に基づいて対物レンズの位置を制御し、信号を記録再生することができる。
【0233】
回折素子22の領域分割は実施の形態19では直線としたが、光記憶媒体40の特性等に応じてTE信号特性を最適にするように任意の位置形状で分割されるものである。kは実数であり、回折素子22の領域分割の位置や光記憶媒体40の特性により最適な値が選ばれる。
【0234】
また、情報の再生時において、情報記憶媒体に記録されている情報信号(以下RF信号)はI51a+I51b+I51c+I51dにより得られる。
【0235】
このとき、光検出器51に対して入射する光は210及び21a〜21dだけでなく、図37の迷光21で示されるように光記憶媒体40の透明基板の表面40dからの反射光が発散光となって光検出器51側に向かって戻ってくる。
【0236】
この迷光21も回折素子22を透過した後に集光レンズ59に入るが、正規のビーム70よりも発散した発散光のため、検出器51の表面ではビーム700によって作られるスポットよりも大きく広がって入射しようとする。
【0237】
この光は、そのままでは信号用の受光部にも入ってしまい、特に比較的光量の少ない回折光21e〜21dを受ける受光部51e〜51hに入った場合、信号品質を大きく劣化させてしまい、トラッキング制御を不安定にさせ高い信頼性をもっての情報の記録再生が不可能となる。実施の形態19では途中の経路に開口制限素子83を挿入して迷光21の周囲の光を遮断することで、図39で示すように光検出器51の表面での迷光21によるスポット320を小さくすることができる。このため、回折光21a〜21dを受けるための受光部51e〜51hに迷光21が入射しないようにすることができる。
【0238】
また、直接受光部に入らない光であっても迷光21をできるだけ減らすと、図示しないレンズ鏡筒内面や光ヘッド内面での反射によって受光部に不要な受光部へ向かう光も遮断でき、安定なトラッキング制御が可能となる。
【0239】
なお、この迷光21についても回折素子22で回折するが、その回折光が受光部51e〜51hに入らないように、回折素子22の中央部の領域22eでは大きな回折角で回折するようになっており、光検出器51外の所へ回折光が向かうようになっている。
【0240】
開口制限素子83の開口径は、光記憶媒体40の記録面から反射した正規のビーム70を遮光しないように、図38に示すように対物レンズのNAから決まる径83a以上としている。
【0241】
さらに、対物レンズがトラックに追従してトラッキング方向に変位するとビーム70の位置も変化してしまう。その場合にもビーム70を遮光してしまわないように開口制限素子83の開口は、トラック方向に対しては対物レンズの変位を考慮した分だけ大きくした径83bを持つ長円径の開口形状にすることが望ましい。
【0242】
また、迷光21をできるだけ多く遮るためにはビーム70に対して迷光21の径ができるだけ大きく広がっている位置に、いいかえればビーム70を通すための開口内を通る迷光21の光量がもっとも少なくなる位置に開口制限素子83を配置することで、最も効率的に迷光21を遮光することができる。その目的のため実施の形態19では開口制限素子83は回折素子22と接した位置に配置している。
【0243】
この理由は図37で示すように、迷光21はビーム70に比べて発散しながら光検出器51に向かうので、光記憶媒体40からできるだけ遠ざかった位置で開口制限すれば多くの迷光21をさえぎることができる。しかしながら、一方で回折素子22よりも光検出器51側では、回折素子22の働きによって分岐したビーム70a〜70dがビーム700に対して広がっていくため、それを遮らないようにビーム700対して大きな開口径にすると、その分だけ迷光21の遮断量が低下する。
【0244】
また、開口制限素子83の開口中心と回折素子の22の中心とが一致していない場合、通過し分岐していく光量にアンバランスが生じてしまう。このため、TE信号が不正規な誤差を持ってしまいトラッキング性能を悪化させることになる。実施の形態19では、回折素子22に接した位置に開口制限素子83を配置しているため、互いの位置あわせが容易である。例えば回折素子22を光ヘッド装置に組み込む前に、回折素子22の分割パターンを見ながら開口制限素子83の位置を合わせて固定しておいてから、光ヘッド装置に取り付けるということも可能である。従って、光ヘッド装置を組み立てる際の工数が少なくて済み、安価な光ヘッド装置を提供することができる。
【0245】
なお、実施の形態19では開口制限素子83と回折素子22とが別の部材から構成されているとしたが、必ずしもその必要はなく例えば図40に示すように回折素子22の開口制限相当部分を別の回折特性をもつ領域22fとして分割し、この領域22fを通る光のすべてが光検出器51に入射しないよう回折する特性にすることでも同様の効果が得られる。さらにこの場合は開口制限素子83の位置を合わせる必要もなくなる。領域22fは実質的に受光部51e〜51hへの迷光21を遮光する機能を有していればいかなる構成でも構わず、例えば反射膜であっても吸収膜であっても構わない。また、高い回折効率を持つ回折格子であっても良い。
【0246】
以上のような構成により、情報記憶媒体の保護層からの反射による迷光の影響が少ない良好なTE信号を得ることができ、高い信頼性をもって情報を記録再生できる光ヘッド装置を提供することができる。
【0247】
また、実施の形態1に示す光情報装置における光ピックアップヘッド装置4の代わりに実施の形態19に係る光ピックアップヘッド装置を用いることにより、光情報装置を構成することができ、信頼性の高い信号出力を得ることができ、良好な記録再生特性を得ることが可能な光情報装置を提供できる。
【0248】
また、迷光21を発生させる反射面は、透明基板の表面40dに限られることはなく、光記憶媒体40が複数の記録面を有している場合には、情報を記録もしくは再生している記録面以外からの迷光も発生される。その場合にも本発明は同様に有効である。
【0249】
(実施の形態20)
実施の形態20ではホログラム素子によりTE信号に必要な領域を分岐すると同時に分割し、電気的に最適な補正係数を決める場合について述べる。
【0250】
図41は実施の形態20に係る光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示している。半導体レーザ(光源)1から出射された光ビームはコリメータレンズ53により平行光にされ、ビームスプリッタ(分岐手段)103で反射して対物レンズ(集光手段)56で光記憶媒体40の情報記録面40bに集光される。光記憶媒体40の情報記録面40bにはマークとスペースとを選択的に配置したトラック、もしくはマークとスペースを配置するための案内溝が、トラックとして所定の間隔で同心円もしくはスパイラル状に並んでいる。対物レンズ56はアクチュエータ91、92により、光記憶媒体の面ぶれと光記憶媒体の偏芯とに応じて光軸方向とトラック横断方向とに沿って移動させられる。
【0251】
情報記録面40bで反射・回折した光ビームは再び対物レンズ56を通り平行光になりビームスプリッタ(分岐手段)103を透過しホログラム素子(分割手段)201により一部の光が回折される。ホログラム素子201を通った光は検出レンズ107により集光される。検出レンズ107は、図2を参照して前述した実施の形態1に示す集光レンズ59とシリンドリカルレンズ57との機能を1つの素子で有する複合機能レンズである。光検出器(光検出手段)46はホログラム素子201を通った光ビーム203と回折光204とを受光する。
【0252】
図42はホログラム素子201の分割と光ビームとの間の関係を示している。ホログラム素子201は3本の分割線201a、201b、201cにより、6つの領域220a〜220fに分割される。光ビーム221は略円形であり、光記憶媒体のトラックで回折された±1次光と0次光とが重なる部分を斜線で示している。この斜線で示す部分がTE信号を主に含む領域(第1の領域)である。この領域を含む領域220cと220dとからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。一方領域220a、220b、220e、220fはTE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2の領域)でありここからオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。
【0253】
一点鎖線222に沿ったホログラム素子201の回折効率の分布を図43に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。破線は分割線201bと201cとの交点における位置を示す。図43に示すように分割線201bと201cとの外側での回折効率η2は、内側での回折効率η1より高い構成とする。このようにしてオフセット成分を主に含む領域の光ビームが光検出器46に到達する効率を高めている。
【0254】
図44は光検出器46と電気回路との構成を示している。光検出器46に設けられた0次光受光部46a〜46dはホログラム素子201を透過した0次光である光ビーム203を受光する。受光部46a〜46dから出力される信号を用いてFE信号と情報再生用信号とを検出する。ここではFE信号検出の詳細については省略する。
【0255】
受光部46e〜46hはホログラム素子201で回折された回折光204(図41)を受光し、光量に応じた電流信号を出力する。受光部46eには図42に示す領域220cを通った光が入射し、受光部46gには領域220dを通った光が入射する。受光部46eと46gとからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)130は受光部46eからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)131は受光部46gからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0256】
更に、受光部46fには図42に示す領域220aと220eとを通った光が入射し、受光部46hには領域220bと220fとを通った光が入射する。受光部46fと46hからはオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)132は受光部46hからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)133は受光部46fからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0257】
差動演算部134はIVアンプ130と131とからの出力信号を受け、その差信号を出力する。これがTE信号成分を主に含む信号となる。一方、差動演算部135はIVアンプ132と133とからの出力を受けてその差信号を出力する。これがオフセット成分を主に含む信号となる。差動演算部135から出力された信号は可変利得増幅回路136により利得(係数)kが掛けられk倍された信号が出力される。差動演算部(TE信号生成手段)137は差動演算部134と可変利得増幅回路136とからの出力信号を受けてその差信号を出力する。
【0258】
可変利得増幅回路136の利得kは、対物レンズが移動した時の、差動演算部135から出力した信号のDC成分の変動量と可変利得増幅回路136から出力される信号のDC成分の変動量とが等しくなるように決められる。差動演算部137からは、対物レンズが移動しても、オフセット変動がないTE信号が得られる。
【0259】
利得kは、分割線201bと201cとの間の間隔と光ビーム221の直径との比や、光ビーム221内の光の強度分布に依存する。ここでは領域220a,220b,220e,220fの回折効率η2を領域220c,220dの回折効率η1の2倍にすることで、利得kを1程度とすることができる。
【0260】
IVアンプ130〜133で各々に発生する電気オフセットを平均的にΔEとすると、従来例では利得kが2程度であるため、最悪の場合ΔEの6倍の電気オフセットが補正後のTE信号に発生する。ところが、実施の形態20の場合、利得kは1程度でよいため、最悪の場合でもΔEの4倍の電気オフセットで収まる。したがって温度等により変化するオフセットの発生量を従来例の2/3に低減することができる。
【0261】
この例ではTE信号のオフセットを低減するための係数である利得をヘッド毎、また光記憶媒体毎に最適な値にすることができるため、TE信号のオフセットを小さく抑えることができる。さらにホログラム素子の分割線の位置は回折効率とは独立に決められるため、分割パターンとして最適な形を使用できるという自由度を確保できる。
【0262】
なお、オフセット成分を主に含む信号を得るための領域における回折効率を更に高くすれば、利得kを更に小さくすることができるため温度等による電気オフセットの発生量を小さくすることができる。
【0263】
また、このような例ではRF信号を得るための0次光のタンゼンシャル方向に沿った透過効率も変化するが、波形等化や最尤復号法(PRML法)などによりRF信号に与える影響を低減できる。
【0264】
別の分割手段を用いた例として、図45は別の例のホログラム素子(分割手段)241の分割と光ビームとの間の関係を示している。図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりにこのホログラム素子241を用いる。ホログラム素子241は分割線241a,241b,241cにより6つの領域245a〜245fに分割される。分割された各領域から生成された回折光は図44を参照して前述した例と同様に検出系に入射し検出される。
【0265】
一点鎖線246に沿った回折効率分布を図46に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。回折効率は中心部でη3であり、両端でη4となるように直線的に変化する。破線は一点鎖線246と分割線241bおよび241cとの交点における位置をそれぞれ示す。
【0266】
このような構成でもオフセットを主に含む領域である245a,245b,245e,245fを通った光ビームが光検出器46(図41)に到達する効率が高いので可変利得増幅回路の利得kを小さくすることができる。このため、温度等により変化する電気オフセットの変動によるオフセットの発生量を低減することができる。
【0267】
更に別の分割手段を用いた例として、図47は更に別の例のホログラム素子(分割手段)251の分割と光ビームとの間の関係を示している。図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりにこのホログラム素子251を用いる。ホログラム素子251は分割線251a,251b,251cにより6つの領域255a〜255fに分割される。分割された各領域から生成される回折光は図44を参照して前述した例と同様に検出系に入射し検出される。
【0268】
一点鎖線256に沿った回折効率分布を図48に示す。横軸はラジアル方向(トラック横断方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。回折効率は中心部でη5であり、端でη5よりも高いη6となるようにホログラム素子251は作られている。破線は点線257と258と一点鎖線256とが交わる点の位置を示す。
【0269】
このような構成でもオフセットを主に含む領域である255a,255b,255e,255fのうち、対物レンズの移動により面積が変化する割合が大きい光ビームの周辺部が光検出器46(図41)に到達する効率が高いので、可変利得増幅回路の利得kを小さくすることができる。このため、温度等により変化する電気オフセットの変動によるオフセットの発生量を低減することができる。このように同じ領域内で回折効率を変えても良い。このような例ではタンゼンシャル方向に沿った回折効率の変化が小さいので、RF信号を得るための0次光の透過効率の部分的な違いを小さくでき、RF信号に与える影響を低減できる。
【0270】
更に別の分割手段を用いた例として、図49は更に別の例のホログラム素子(分割手段)261の分割と光ビームとの間の関係を示している。図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりにこのホログラム素子261を用いる。ホログラム素子261は分割線261a,261b,261cにより6つの領域265a〜265fに分割される。分割された各領域から生成される回折光は図44を参照して前述した例と同様に検出系に入射し検出される。
【0271】
一点鎖線266に沿った回折効率分布を図50に示す。横軸はラジアル方向に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。回折効率は中心部でη7であり、両端でη7よりも高いη8となるようにホログラム素子261は作られている。破線は点線267と268と一点鎖線266とが交わる点の位置を示す。
【0272】
このような構成でもオフセットを主に含む領域である265a,265b,265e,265fのうち、対物レンズの移動により面積が変化する割合が大きい光ビームの周辺部が光検出器46(図41)に到達する効率が高いので可変利得増幅回路の利得kを小さくすることができる。このため、温度等により変化する電気オフセットの変動によるオフセットの発生量を低減することができる。このように光ビームに沿って回折効率を変えても良い。
【0273】
(実施の形態21)
実施の形態21ではホログラム素子によりTE信号に必要な領域を分岐すると同時に分割し、光学的に位置を入れ替えて演算を行う場合について述べる。
【0274】
光学系の構成については前述した実施の形態20とほぼ同様なので構成図は省略する。実施の形態20と異なるのは、図42を参照して前述したホログラム素子201の代わりに、ホログラム素子(分割手段)301を用い、光検出器46の代わりに光検出器(光検出手段)303を用いる点である。
【0275】
図51にホログラム素子(分割手段)301の分割と光ビームとの間の関係示す。ホログラム素子301は3本の分割線301a、301b、301cにより、6つの領域302a〜302fに分割される。光ビーム321は略円形であり、光記憶媒体のトラックで回折された±1次光と0次光とが重なる部分を斜線で示している。この斜線で示した部分がTE信号を主に含む領域である。この領域302cと302dからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。一方、領域302a、302b、302e、302fからはTE信号のオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。
【0276】
一点鎖線322に沿った回折効率の分布を図52に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は回折効率を示している。破線は分割線301bと301cと一点鎖線322との交点の位置を示す。図52に示すように分割線301bと301cの外側での回折効率η10は、内側における回折効率η9の約2倍となるようにする。このようにしてオフセット成分を主に含む領域を通った光ビームが光検出器に到達する効率を高めている。
【0277】
図53は光検出器303と電気回路の構成を示す。光検出器303に設けられた0次光受光部303a〜303dはホログラム素子301を透過した0次光である光ビーム331を受光する。受光部303a〜303dから出力される信号を用いてFE信号と情報再生用信号とを検出する。受光部303e,303fはホログラム素子301で回折された回折光を受光し、光量に応じた電流信号を出力する。受光部303eには領域302b,302c,302fを通った光が入射し、受光部303fには領域302a,302d,302eを通った光が入射する。
【0278】
IVアンプ(変換手段)340は受光部303eからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)341は受光部303fからの電流信号を電圧信号に変換する。領域302aと302bからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができ、領域302a,302b,302e,302fからはオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。このように、分割線301aをまたいで互い異なる側にある領域が同じ受光部に入るように各受光部を配置する。これにより対物レンズの移動によるオフセットを低減することができる。差動演算部342はIVアンプ340と341との出力信号を受け、その差信号を出力する。これにより対物レンズが移動しても、オフセット変動がないTE信号が得られる。
【0279】
実施の形態21の場合、IVアンプは2個でよい。このためIVアンプ各々で発生する電気オフセットを平均的にΔEとすると、最悪の場合ΔEの2倍の電気オフセットが補正後のTE信号に発生する。したがって温度等により変化するオフセットの発生量を従来例の1/3に低減することができる。
【0280】
(実施の形態22)
実施の形態22では、プリズムによりファーフィールドを分割し、電気的に補正係数を掛けてTE信号のオフセットを低減する場合について述べる。
【0281】
図54は実施の形態22の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示している。半導体レーザ(光源)1から出射された光ビームはコリメータレンズ53により平行光にされ、ビームスプリッタ(分岐手段)103で反射して対物レンズ(集光手段)56で光記憶媒体(光記憶媒体)40の情報記録面40bに集光される。対物レンズ56はアクチュエータ91、92により、光記憶媒体の面ぶれと光記憶媒体の偏芯とに応じて光軸方向とトラック横断方向とに移動させられる。情報記録面40bで反射・回折した光ビームは再び対物レンズ56を通り平行光になりビームスプリッタ(分岐手段)103を透過しもう1つのビームスプリッタ(分岐手段)104により一部の光が反射し、残りの光は透過する。
【0282】
ビームスプリッタ104を通った光は検出レンズ107により集光され、光検出器(光検出手段)30により受光される。一方ビームスプリッタ104で反射した光はプリズム(分割手段)105によりビームが分割される。分割された光は検出レンズ106により集光され、光検出器(光検出手段)305により検出される。
【0283】
図55は、プリズム105の分割と光ビームとの間の関係を示す。プリズム105は3本の稜410、411、412により、6つの領域420a〜420fに分割される。光ビーム421は略円形であり、光記憶媒体のトラックで回折された±1次光と0次光とが重なる領域を斜線で示している。この斜線で示した領域がTE信号を主に含む領域である。この領域420cと420dとからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。一方領域420a、420b、420e、420fからはTE信号のオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。
【0284】
一点鎖線422に沿った透過率の分布を図56に示す。横軸はタンゼンシャル方向(トラック接線方向)に沿った位置、縦軸は透過率を示している。破線は稜411と412との位置を示す。このように稜411と412との外側での透過率η12は、内側での透過率η11より高い構成とする。このようにしてオフセット成分を主に含む領域を通った光ビームが光検出器305に到達する効率を高めている。
【0285】
図57は光検出器305と電気回路との構成を示す。6個の受光部305a〜fはビームスプリッタ104で反射されプリズム105で分割された光を受光し、光量に応じた電流信号を出力する。受光部305cには図55に示す領域420cを通った光が入射し、受光部305dには領域420dを通った光が入射する。受光部305cと305dからはTE信号成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)130は受光部305cからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)131は受光部305dからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0286】
更に、受光部305aには領域420aを通った光が、受光部305eには領域420eを通った光が入射し、受光部305bには領域420bを通った光が、受光部305fには領域420fを通った光が入射する。受光部305a,305b,305e,305fからはオフセット成分を主に含む信号を得ることができる。IVアンプ(変換手段)132は受光部305bと305fからの電流信号を電圧信号に変換する。またIVアンプ(変換手段)133は受光部305aと305eとからの電流信号を電圧信号に変換する。
【0287】
差動演算部134はIVアンプ130と131との出力信号を受け、その差信号を出力する。これがTE信号成分を主に含む信号となる。一方、差動演算部135はIVアンプ132と133との出力を受けてその差信号を出力する。これがオフセット成分を主に含む信号となる。差動演算部135から出力された信号は可変利得増幅部136により利得kが掛けられk倍された信号が出力される。差動演算部137は差動演算部134と可変利得増幅部136との出力信号を受けてその差信号を出力する。
【0288】
可変利得増幅部136の利得kは、対物レンズが移動した時において、差動演算部135から出力した信号のDC成分の変動量と可変利得増幅部136から出力される信号のDC成分の変動量とが等しくなるように決められる。差動演算部137からは、対物レンズが移動しても、オフセット変動がないTE信号が得られる。
【0289】
利得kは稜411と412との間の間隔と光ビーム421の直径との比や、光ビーム421内の光の強度分布に依存する。ここでは領域420a,420b,420e,420fの透過率η12を領域420c,420dの透過率η11の2倍にすることで、利得kを1程度とすることができる。
【0290】
IVアンプ130〜133で各々に発生する電気オフセットを平均的にΔEとすると、実施の形態22の場合、前述した実施の形態20と同じように、利得kは1程度でよいため、最悪の場合でもΔEの4倍の電気オフセットで収まる。したがって温度等により変化するオフセットの発生量を従来例の2/3に低減することができる。
【0291】
実施の形態22に示す例では前述した実施の形態20と同様に、TE信号のオフセットを低減するための係数である利得をヘッドごと、また光記憶媒体毎に最適な値にすることができるため、TE信号のオフセットを小さく抑えることができる。さらにホログラム素子の分割線の位置は回折効率とは独立に決められるため、分割パターンとして最適な形を使用できるという自由度を確保できる。さらにプリズムを用いるためホログラム素子を使う場合に比べて回折による損失が少なく、光の利用効率をあげることができるため、電気オフセットの影響を低減することができる。
【0292】
(実施の形態23)
実施の形態23では、対物レンズと一体で移動するホログラム素子で光の一部を回折し、領域を入れ替える場合の例について述べる。
【0293】
図58は本実施の形態の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示している。半導体レーザ(光源)1から出射された直線偏光の光ビームはコリメータレンズ53により平行光にされ、ビームスプリッタ(分岐手段)103で反射して、偏光ホログラム素子(分割手段)501と4分の1波長板54とを透過し、円偏光となって対物レンズ(集光手段)56で光記憶媒体40の情報記録面40bに集光される。対物レンズ56、偏光ホログラム素子501および4分の1波長板54はアクチュエータ91、92により、光記憶媒体の面ぶれと光記憶媒体の偏芯とに応じて光軸方向とトラック横断方向とに沿って移動させられる。情報記録面40bで反射・回折した光ビームは再び対物レンズ56を通り、平行光になり4分の1波長板54を通り、行きの光ビームとは90度偏光面が異なる直線偏光となる。
【0294】
直線偏光となった光は偏光ホログラム素子501で一部の光が回折され、光ビームの進行方向が変えられる。偏光ホログラム素子501を出た光は、ビームスプリッタ(分岐手段)103を透過し、検出レンズ107により非点収差を与えられて、集光され、光検出器(光検出手段)30により受光される。
【0295】
図59は偏光ホログラム素子501の分割と光ビームとの間の関係を示している。偏光ホログラム素子501は4つの分割線510,511,512,513により6つの領域に分割される。このうち、領域520aと領域520bとはTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)であり、この領域にはホログラムの溝はなく、光ビームは全て透過する。領域521a,521b,521c,521dはTE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2領域)であり、この領域にはブレーズされた溝が形成されており、光ビームは特定の方向に回折される。第2の領域はトラック接線方向に略平行な分割線511とトラック直交方向に略平行な分割線513で4つの領域に分割される。
【0296】
図60は光検出器30と電気回路との構成を示す図である。光検出器30はトラック接線方向に略平行な分割線530とトラック直交方向に略平行な分割線531とにより分けられる4つの受光部30a〜30dからなる。図59に示す偏光ホログラム素子501の領域520aを通過した光は、光ビーム540aとなり受光部30aと30bとにまたがるように配置される。領域520bを通過した光は、光ビーム540bとなり受光部30cと30dとにまたがるように配置される。このようにTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)520aと520bとを通った光ビームはホログラム素子501上のトラック接線方向に略平行な分割線510,512と光検出器30上のトラック直交方向に略平行な分割線531とにより4つの領域に分割される。
【0297】
一方、図59に示す分割線510と512ではさまれた4つの領域(第2の領域)を通った光は第1の領域を通った光と互いに対角の位置に配置される。すなわち、領域521aを通過した光は、光ビーム541dとなり、受光部30cで受光され、領域521bを通過した光は、光ビーム541cとなり、受光部30bで受光され、領域521cを通過した光は、光ビーム541bとなり、受光部30dで受光され、領域521dを通過した光は、光ビーム541aとなり、受光部30aで受光される。
【0298】
受光部30aで受光された光は電流信号として出力され、IVアンプ130により電圧信号に変換される。IVアンプ130から出力される信号を信号Aとする。受光部30dで受光された光は電流信号として出力され、IVアンプ131により電圧信号に変換される。IVアンプ131から出力される信号を信号Bとする。受光部30bで受光された光はIVアンプ133により電圧信号に変換される。IVアンプ133から出力される信号を信号Cとする。受光部30cで受光された光はIVアンプ132により電圧信号に変換される。IVアンプ132から出力される信号を信号Dとする。
【0299】
加算回路550は信号Aと信号Cとを受け、その和(A+C)を出力する。加算回路551は信号Bと信号Dとを受け、その和(B+D)を出力する。差動演算部552は、加算回路550と551とからの信号を受けてその差信号{(A+C)−(B+D)}を出力する。差動演算部522の信号からTE信号を得ることができる。
【0300】
この例ではFE信号は非点収差法で検出する。光ビームは図58に示す検出レンズ107により非点収差が与えられているため、対物レンズ56と光記憶媒体40との間の距離が変わると光検出器30上のスポットが歪み、光ビームは略円の状態から長円の状態を経て焦線になる。非点収差を与える方向を、焦線が光検出器30の分割線となす角が45度となる方向とし、(A+D)−(B+C)という信号を生成することでフォーカス誤差を検出することができる。
【0301】
また、ピット列で情報が記録された再生専用光記憶媒体を再生する際に、(A+D)の信号と(B+C)の信号とを位相比較することで位相差法によるトラッキング制御をおこうなうことができる。また4つの検出信号を全て加算することで情報再生のための再生用信号を得ることができる。
【0302】
実施の形態23によれば、対物レンズの移動と同時に偏光ホログラム素子も移動するため、分割線の相対的な移動は無くオフセットの発生量が少ない。しかしこの場合でも半導体レーザの光量分布が移動する影響を受けるため、オフセットが発生する。このオフセット発生量を低減するため、光ビームの中央付近の領域を入れ替えて検出する。こうすることで光量分布の移動の影響を低減することができる。この時、対角位置の領域の入れ替えを行うことにより、非点収差法のFE信号や、位相差法のTE信号に大きな影響を与えずにすむ。
【0303】
このように実施の形態23の構成を用いれば、4つの受光部という少ない受光部と少ない回路構成でオフセットの無いTE信号と、FE信号、情報再生用信号および位相差用TE信号を得ることができる。
【0304】
(実施の形態24)
実施の形態24では、前述した実施の形態23で回折した光を回折限界近くに集光する場合の例について述べる。実施の形態23との違いのみを説明する。光学構成としては偏光ホログラム素子501の代わりに偏光ホログラム素子(分割手段)307を用いる。
【0305】
図61は偏光ホログラム素子(分割手段)307の分割と光ビームとの間の関係を示している。偏光ホログラム素子307は4つの分割線307a,307b,307cおよび307dにより6つの領域に分割される。このうち、領域620aと領域620bとはTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)であり、この領域にはホログラムの溝はなく、光ビームは全て透過する。領域621a,621b,621cおよび621dはTE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2領域)であり、この領域にはブレーズされた溝が形成されており、光ビームは特定の方向に回折され、その際図58に示す検出レンズ107で付与される非点収差を予めキャンセルするように非点収差を与える。第2の領域はトラック接線方向に略平行な分割線307bとトラック直交方向に略平行な分割線307dで4つの領域に分割される。
【0306】
図62は光検出器(光検出手段)30と電気回路との構成を示している。偏光ホログラム素子307の領域620aを通過した光は、光ビーム640aとなり受光部30aと30bとにまたがるように配置され、領域620bを通過した光は、光ビーム640bとなり受光部30cと30dとにまたがるように配置される。このようにTE信号成分を主に含む領域(第1の領域)620aと620bとを通った光ビームはホログラム素子307上のトラック接線方向に略平行な分割線307a,307cと光検出器30上のトラック直交方向に略平行な分割線531とにより4つの領域に分割される。
【0307】
一方、分割線307aと307cではさまれた4つの領域(第2の領域)を通った光は第1の領域を通った光と互いに対角の位置に配置される。4つの領域(第2の領域)を通った光のそれぞれは、検出レンズ107で与えられる非点収差をキャンセルされ、回折限界に近い集光された点となる。すなわち、領域621aを通過した光は、光ビーム641dとなり、受光部30cで受光され、領域621bを通過した光は、光ビーム641cとなり、受光部30bで受光され、領域621cを通過した光は、光ビーム641bとなり、受光部30cで受光され、領域621dを通過した光は、光ビーム641aとなり、受光部30aで受光される。
【0308】
受光部30aからの電流信号を受けてIVアンプ130は電圧信号Aを出力する。受光部30bからの電流信号を受けてIVアンプ131は電圧信号Bを出力する。受光部30cからの電流信号を受けてIVアンプ133は電圧信号Cを出力する。受光部30dからの電流信号を受けてIVアンプ132は電圧信号Dを出力する。加算回路550と551と差動演算部522とは、これらの信号を演算し、信号{(A+C)−(B+D)}をTE信号として得る。
【0309】
実施の形態24によれば、前述した実施の形態23と同様にFE信号、RF信号および位相差法のTE信号が得られ、オフセットの少ないプッシュプル信号が得られるという効果がある。さらに、光ビーム641a〜641dが集光されているため、フォーカスずれや、光検出器の位置ずれがあっても光ビームが受光部をはみ出すことがなくなるため、TE信号を安定に得ることができる。
【0310】
すなわち、反射率が低い光記憶媒体を用いた場合に周囲の温度が変化しても、TE信号のオフセット変動が小さいので、情報を信頼性高く記録もしくは再生することができる光情報装置を実現できる。
【0311】
なお、光ビームの分割パターンは前述した実施の形態20〜24で説明したものに限るものではない。これ以外のホログラムの分割パターンでも同じような効果を得ることができる。特にここではTE信号を主に含む領域(第1の領域)は全てのTE信号を生じる全ての領域を含み、TE信号のオフセット成分を主に含む領域(第2の領域)はTE信号を生じる領域をまったく含まない例を示したが、これに限るものではなく、第1の領域がTE信号を生じる領域の一部のみを含み、第2の領域がTE信号を生じる領域の一部を含んでいても良い。
【0312】
またTE信号を作るために光ビーム内の全ての領域を使用する必要はなく、例えば光ビームの中央付近はTE信号を使用しない場合でも本発明を適用でき、その効果を得ることができる。
【0313】
なお、実施の形態24では光ビームを分割する手段として、ホログラム素子とプリズムとを用いる例を用いたが、光検出器の受光部を分割し、これを分割手段としても良い。この場合光検出器に到達する効率を変えるために、部分的に透過効率の異なるフィルターを用いたり、ビームスプリッターの透過率を部分的に変えても良い。
【0314】
(実施の形態25)
図63は、本発明の更に別の光情報装置の実施の形態として、光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置404の構成の一例を示している。
【0315】
光源1は、波長λが405nmの直線偏光の発散ビーム70を出射する。光源1から出射された発散ビーム70は、焦点距離f1が15mmのコリメートレンズ53で平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52を透過し、4分の1波長板54を透過して円偏光に変換された後、焦点距離f2が2mmの対物レンズ56で収束ビームに変換され、光記憶媒体40に設けられた透明基板40aを透過し、情報記録面40b上に集光される。対物レンズ56の開口はアパーチャ55で制限され、開口数NAを0.85としている。透明基板40aの厚さは0.1mm、屈折率nは、1.62である。
【0316】
情報記録面40bで反射されたビーム70は、対物レンズ56、4分の1波長板54を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ52で反射される。偏光ビームスプリッタ52で反射されたビーム70は、ビーム分割素子108でビーム70の大半の光量は透過して0次回折光のビーム700となり、一部の光量は回折され、複数の1次回折光のビーム701が生成される。ビーム分割素子108を透過したビーム700およびビーム701は、焦点距離f3が30mmの検出レンズ59とシリンドリカルレンズ57とを通り抜けて、光検出器46に入射する。ビーム700およびビーム701は、シリンドリカルレンズ57を透過する際、非点収差が付与される。
【0317】
図64は、ビーム分割素子108の構成を模式的に示している。ビーム分割素子108は、分割された7つの領域108a〜108gを有しており、109はビーム分割素子108を通過するビームを示している。入射したビーム70の大半を透過させて、RF信号を生成する0次回折光のビーム700を生成し、一部の光量を回折させて、それぞれ領域108a〜108fからTE信号を生成する1次回折光のビーム701a〜701fを生成する。図64におけるhはビーム分割素子108を通過するビームの直径、hrは108gの領域の光記憶媒体40の半径方向の長さ、htは領域108gにおける光記憶媒体40のトラック方向に沿った長さを示す。実施の形態25では、hr/h=0.35、ht/h=0.65、ビーム分割素子108の領域108a〜108fでの0次回折光および1次回折光の回折効率は80%および20%、ビーム分割素子108における領域108gの0次回折光の効率は100%に設定している。つまりビーム分割素子108の中央付近の領域108gは単にビーム70が透過する領域となっており、ビーム70の外周側の領域(108a〜108f)よりも0次回折光の回折効率を高く設定している。
【0318】
図65は、光検出器46とビーム701a〜701g、700との間の関係を模式的に示している。光検出器46は全部で8つの受光部46a〜46hを有し、受光部46a〜46dがビーム700を、受光部46eがビーム701bを、受光部46fがビーム701aを、受光部46gがビーム701eおよびビーム701fを、受光部46hがビーム701cおよびビーム701dを、それぞれ受光する。受光部46a〜46hは、それぞれ受光した光量に応じた電流信号I46a〜I46hを出力する。
【0319】
FE信号は、光検出器46から出力される信号I46a〜I46dを用いて非点収差法により、すなわち(I46a+I46c)−(I46b+I46d)の演算で得られる。
【0320】
またTE信号は、(I46g−I46h)−k・(I46e−I46f)の演算で得られる。補正係数kを最適化することにより、対物レンズ56の半径方向への移動に伴うTE信号のオフセットを補正することができる。またTE信号は、ビームの中央付近の領域(ビーム分割素子108の領域108g)を用いずに生成されている。これは光記憶媒体40に形成されるトラックが周期tpに対して変動して形成されたときに生じる変動成分は、光ビームの中心付近に多く生じるので、その中心付近において生じた変動成分を用いないことで、改善されるという原理に基づいている。例えばトラックの位置ずれが3本ごとに生じている場合には、3本のトラックを1つの周期構造体として考えればよく、このとき生じている周期はtpの3倍となる。この周期構造体からの回折光は、周期が長い分だけビームの回折角は小さく、すなわち周期構造体からの1次回折光は、ビームの中心部に多く存在するようになる。
【0321】
RF信号は、(I46a+I46c+I46b+I46d)の演算で得られる。このようにRF信号は、ビーム分割素子108の7つの領域(108a〜108g)を透過した0次回折光700に基づいて生成されている。
【0322】
またビーム分割素子108の中央付近の領域108gでは単にビーム70が透過するため、光記録媒体40から反射したビームを0次回折光および1次回折光に分割し、0次回折光よりRF信号を生成していた従来の光情報装置と比較すると、0次回折光のビーム700の光量が増加するので光記憶媒体40に記録された情報を読み出す際のS/Nが良くなる。したがって、光記憶媒体40に記録された情報を信頼性高く再生することができる光情報装置を実現できる。
【0323】
図66にビーム中央付近の領域における0次回折光の回折効率に対する3Tおよび8T振幅の関係を示す。条件は、8−14変調、3Tマーク長=0.23μm、ht/h=0.65、hr/h=0.35、ビーム分割素子の中央付近以外の領域(108a〜108f)の0次回折効率を80%とした。図66に示すの黒丸●は規格化3T振幅、白丸○は規格化8T振幅を示す。3T振幅および8T振幅は、ビーム分割素子108の中央付近における領域108gの0次光回折効率が80%の場合の振幅で規格化を行った。ビーム中央付近の領域108gにおける0次回折光の回折効率を80%から100%に増加することにより3T振幅および8T振幅はそれぞれ約7%および8%それぞれ改善した。実施の形態25のようにビーム中央付近の領域における0次回折効率を増加すれば、TE信号の特性には影響を与えずに、RF信号のS/Nを改善することができる。
【0324】
また実施の形態25は、8−14変調に限らず、如何なる変調方式に対しても効果が得られる。なお1−7変調等、最短マーク長が2Tである変調方式とパーシャルレスポンス(PRML)による信号検出方法とを併用した場合、3T信号の振幅が改善される条件(例えば2T=0.15μm、3T=0.23μm)にすると、特に誤り率の改善が大きい。
【0325】
実施の形態25に係るビーム分割素子108は、無偏光型の素子で構わないので、極めて安価な樹脂成形で作製できる。このため、その分安価な光情報装置を提供することができる。
【0326】
実施の形態25では、ビーム分割素子108の中央付近の領域の形状を矩形で説明したが、ビーム分割素子108の中央付近の領域の分割パターンはこれに限らない。例えば前述した図28に示すような分割形状でも同様の効果を得ることができる。
【0327】
実施の形態25では、ビーム分割素子108を偏光ビームスプリッタ52から光検出器46に至る光路中に配置する構成で説明したが、ビーム分割素子108と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化する構成にしても構わない。その場合にはビーム分割素子108を偏光依存性の素子とし、光源1から光記録媒体40に向かう往路においては、入射するビーム70を全て透過する。一方、光記憶媒体40で反射されたビームが光検出器46に向かう復路においては、ビーム分割素子108へ入射するビーム70の大半の光量は透過して0次回折光のビーム700となり、一部の光量は回折され、複数の1次回折光のビーム701が生成される。ビーム分割素子108と4分の1波長板54とを対物レンズ56と一体化する構成にした場合、ビーム70と領域108gとの位置関係は常に一定に保たれるので、3T信号の増加する割合が一定となり、より安定に光記憶媒体に記録された情報を再生することが可能となる。
【0328】
(実施の形態26)
図67は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成するビーム分割素子69を模式的に示した図である。前述した実施の形態16に示すビーム分割素子68の代わりに、ビーム分割素子69を用いることにより、実施の形態26に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0329】
ビーム分割素子69における領域69a〜69gはそれぞれ、前述したビーム分割素子68における領域68a〜68gに対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子69における領域69hは、ビーム分割素子68における領域68hと68iに、ビーム分割素子69における領域69iは、ビーム分割素子68における領域68jと68kにそれぞれ対応して1次回折光を生成する。ビーム分割素子69とビーム分割素子68との間の違いは、ビーム分割素子68における領域68hと68iに相当する、ビーム分割素子69における領域69hの幅を広くし、その分、領域69aの幅が68aよりも狭くなっていることである。領域68j、68k、69i、69b、68bの関係についても同様である。
【0330】
光記憶媒体に、前述した図33に示すようにトラック1本置きに複素反射率が変化するマーク列として情報が記録された場合、光記憶媒体に記録されたマーク列はトラックの周期がtpの2倍の回折格子として振る舞う。したがって、光記憶媒体に照射されたビームは周期tpの溝状トラックと周期が2・tpの回折格子とによって、回折光が生成される。
【0331】
図67において、破線領域70eと70fとはビーム70の中で、光記憶媒体の周期tpを有する溝状トラックによって回折された1次回折光の像を示す。一方、破線70gと70hとは、周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光の像のビーム70内における最内周の位置を示す。図が煩雑となるので、詳しくは示していないが、周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光は、破線70g及び70hから、ビーム70の外側、すなわち領域70e、70f側に向う領域に入射する。
【0332】
TE信号の対称性の変動は、周期が2・tpの回折格子によって生成された回折光によってもたらせられる。今、領域69a、69c、69dにおいて、周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光の入射する量を比較すると、領域69aの方が領域69cと69dとの和よりも遙かに多い。領域69b、69e、69fについても同様である。
【0333】
先に述べたように、TE信号を生成する際、領域69aから得られる信号と領域69c、69dから得られる信号とは、係数を掛けた後に減算処理を行うので、領域69aに含まれるTE信号において変動する成分は低減される。しかし、領域69cと69dとに含まれる周期が2・tpの回折格子によって回折された1次回折光の光量は、減算処理でTE信号から変動成分を無くすためには不十分な量である場合がある。
【0334】
実施の形態26においては、領域69hの面積を広くしている。領域69hから得られる信号の極性と領域69cと69dから得られる信号の極性とは同一であり、領域69hの面積を広くすることで、TE信号の変動を十分に低減することができる。ここでは、ビーム分割素子69上のビーム70の半径を1としたとき、領域70hの幅h1を0.70、領域69aにおける最も内側のビーム分割素子69の中心からの幅L2を0.40としている。この幅は一例であって、光記憶媒体の特性、光学系の開口数、光源の波長、等を考慮して、最適設計を行えば良い。
【0335】
光記憶媒体に形成されるマークの反射率が変化することでTE信号の振幅の変動する場合でも、実施の形態26に係るビーム分割素子69を用いることにより、TE信号の変動は軽減され、安定にトラッキング動作を行うことができる光情報装置を提供することができる。本実施の形態に示す光情報装置は、特に、記録状態未記録状態での反射率の比が3倍以上と大きな反射率比を有する光記憶媒体を用いる場合に有効である。
【0336】
なお、前述した実施の形態10に示すように、可変利得増幅部を用いてTE信号の振幅を制御することにより、更にTE信号の振幅を安定させることができるのは言うまでもない。
【0337】
また、ここでは、説明を単純化するために、前述した図33に示すようにトラック1本置きに情報を記録した状態を例として説明したが、記録済みトラックと未記録のトラックとの位置関係により様々な周期が存在する。いずれの場合でも、等価的には基本周期tpよりも長い周期となり、実施の形態26に係るビーム分割素子69を用いた場合の効果が得られる。特に、トラックに情報を記録する際の制限は無い。また、未記録のトラックの周期が部分的に異なる場合にも、実施の形態26のビーム分割素子を用いた場合の効果が得られる。
【0338】
(実施の形態27)
図68は、本発明に係る別の光情報装置の一例として、光ピックアップヘッド装置を構成する光検出器45とビーム75a〜75h、76a〜76hとの間の関係の一例を模式的に示した図である。前述した実施の形態11に示す光検出器46の代わりに光検出器45を用い、後述するTE信号を生成するための信号処理部を用いることで、実施の形態27に係る光ピックアップヘッド装置を構成できる。
【0339】
本光ピックアップヘッド装置においては、前述した実施の形態11に示す光ピックアップヘッド装置と同様にビーム75dと75eを1つの受光部45gで、ビーム75fと75gを1つの受光部45hで、それぞれ受光している。受光部45iと45jは、TE信号を生成するために用いられるビームは入射しない。
【0340】
図69は、TE信号を生成するための信号処理部の構成を示している。図23を参照して前述した実施の形態10に示す信号処理部との違いは、ビーム75dと75eとを1つの受光部45gで、ビーム75fと75gとを1つの受光部45hで、それぞれ受光しているために、加算部802、803が不要なのでなくしていることと、差動演算部814〜817、可変利得増幅部818〜821を設けていることである。
【0341】
差動演算部814〜817は受光部45e〜45hから出力される信号を受け、それぞれ受光部45iから出力される信号を減算する。光ピックアップヘッド装置を構成する光学部品の周辺部から乱反射した光や、光源から発せられる自然放出光、等、不要な迷光が受光部45e〜45iに入射することがある。これらの不要な迷光は、光検出器45上では大きく発散したビームである場合が大半であり、受光部45e〜45iには、それぞれ概ね同量の迷光が入射する。受光部45iは、TE信号を生成するために用いられるビームは入射しないようにしているため、受光部45iから出力される信号は迷光に起因した信号である。差動演算部814〜817を設けることにより、受光部45e〜45hから出力される信号から迷光に起因した信号を低減することができる。受光部45jは使用していないので、必ずしも光検出器45に形成する必要はない。
【0342】
差動演算部814〜817から出力される信号は可変利得増幅部818〜821にそれぞれ入力され、所望の信号レベルに調整される。ここでは、アクチュエータが中立の位置にあるとき、受光部45eと45fとに入射するビーム分割素子で分割されたビームの光量に基づく信号レベルが互いに等しくなるように可変利得増幅部820と821の利得を調整する。また、同様に受光部45gと45hに入射するビーム分割素子で分割されたビームの光量に基づく信号レベルが互いに等しくなるように、可変利得増幅部818と819との利得を調整する。可変利得増幅部818〜821から出力される信号の処理方法は、前述した実施の形態10と同様である。光記憶媒体に反射率に変化を生じさせる欠陥や指紋が付着した場合でも、差動演算部804、801から出力される信号は意図しない変動が少なく、安定なトラッキング動作をさせることが可能となる。
【0343】
なお、ここでは迷光の検出に受光部45iを用いたが、受光部45iの代わりに受光部45jを用いても構わない。
【0344】
また、受光部45e〜45hと受光部45iをそれぞれ同じ大きさとしたため、単純に差動演算を行ったが、迷光の検出に受光部45iと45jとの双方を用いすなわち2倍の面積の受光部を用い、受光部45iと45jから出力される信号を1/2に減衰させてから差動演算をしても同様の効果を得られる。迷光を検出する受光部の面積を大きくすることで、迷光の分布の偏りの影響を軽減することができるので、より精度よく迷光に起因した信号を取り除くことができる。
【0345】
なお、以上に説明した実施の形態1〜27は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な形態を採り得る。無偏光の光学系を用いる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であることは言うまでもない。本発明の趣旨とは関係ないので、非点収差法以外のFE信号検出方式については説明しなかったが、本発明はFE信号の検出方式には何ら制約はなく、スポットサイズディテクション法、フーコー法、等通常のFE信号検出方式は全て用いることができる。
【0346】
また、光記憶媒体の作製時にトラックの位置、幅、深さにばらつきがあるときやトラックに情報が記録されることで、TE信号振幅が変動する光記憶媒体を用いた場合でも、本実施の形態に示す全ての光情報装置では、TE信号振幅の変動を低減し、安定にトラッキング動作を行うことができるので、光記憶媒体の歩留まりを向上させて、安価な光記憶媒体を提供することができる。
【0347】
また、TE信号振幅が変動する光記憶媒体を許容できることから、レーザビームを用いて光記憶媒体の原盤を高速にカッティングできるので、電子ビームを用いて原盤をカッティングするよりも早く、また安価に原盤を作製できる。その分、安価な光記憶媒体を提供することができる。
【0348】
また、ここでは、光源1の波長λを405nm、対物レンズ56の開口数NAを0.85としたが、tp/0.8<λ/NA<0.5μmであるとき、本実施に形態に係る光情報装置は、特にこれまでに述べた特長を顕著に示す。
【0349】
また、ビーム分割素子に回折素子を用いた場合、通常±1次回折光が発生するが、共役光を利用する場合は、共役光のそれぞれを受光する受光部を設けても良い。共役光を利用しない場合は、回折素子をブレーズ化して、光の利用効率を高めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0350】
【図1】本発明の実施の形態1の光情報装置の構成の概略を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の光情報装置における光記憶媒体上のトラックとビームの関係を示す図
【図4】本発明の実施の形態1の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図5】本発明の実施の形態1の光情報装置で得られるTE信号の様子を示す図
【図6】本発明の実施の形態2の光情報装置における光記憶媒体上のトラックとビームの関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態3の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図8】本発明の実施の形態4の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図9】本発明の実施の形態5の光情報装置における光ピックアップを構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図10】本発明の実施の形態5の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図11】本発明の実施の形態5の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図12】本発明の実施の形態6の光情報装置における光ピックアップを構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図13】本発明の実施の形態6の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図14】本発明の実施の形態6の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図15】本発明の実施の形態7の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図16】本発明の実施の形態8の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図17】本発明の実施の形態8の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図18】本発明の実施の形態9の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図19】本発明の実施の形態9の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図20】本発明の実施の形態10の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図21】本発明の実施の形態10の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図22】本発明の実施の形態10の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図23】本発明の実施の形態10の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図
【図24】本発明の実施の形態11の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図25】本発明の実施の形態12の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図26】本発明の実施の形態13の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図27】本発明の実施の形態14の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図28】本発明の実施の形態15の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図29】本発明の実施の形態16の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図30】本発明の実施の形態17の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図
【図31】本発明の実施の形態17の光情報装置から読み出された情報信号を示す図
【図32】本発明の実施の形態17の光情報装置を構成する信号処理部における可変利得増幅部の利得を示す図
【図33】本発明の実施の形態17の光情報装置における光記憶媒体上の記録済みトラックと未記録トラックとの関係を示す図
【図34】本発明の実施の形態18の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図35】本発明の実施の形態18の光情報装置を構成する信号処理部における可変利得増幅部の利得を示す図
【図36】本発明の実施の形態18の光情報装置を構成する光ピックアップヘッドにおけるアクチュエータの駆動電圧とビーム径の関係を示す図
【図37】本発明の実施の形態19における光ヘッド装置を示す構成図
【図38】本発明の実施の形態19における回折素子と開口制限素子の構成を示す模式図
【図39】本発明の実施の形態19における光検出器の受光面形状と入射するビームの関係を示す図
【図40】本発明の実施の形態19における回折素子と開口制限の他の例の構成を示す模式図
【図41】本発明の実施の形態20の光情報装置の光学系の構成を説明する図
【図42】本発明の実施の形態20の光情報装置のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図43】本発明の実施の形態20の光情報装置のホログラム素子のタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図44】本発明の実施の形態20の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図45】本発明の実施の形態20の光情報装置の別の例のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図46】本発明の実施の形態20の光情報装置の別の例のホログラム素子のタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図47】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図48】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子のラジアル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図49】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図50】本発明の実施の形態20の光情報装置の更に別の例のホログラム素子のラジアル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図51】本発明の実施の形態21の光情報装置のホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図52】本発明の実施の形態21の光情報装置のホログラム素子のタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図53】本発明の実施の形態21の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図54】本発明の実施の形態22の光情報装置の光学系の構成を説明する図
【図55】本発明の実施の形態22の光情報装置のプリズムの分割と光ビームの関係を示す図
【図56】本発明の実施の形態22の光情報装置のプリズムのタンゼンシャル方向の回折効率の変化の様子を示す図
【図57】本発明の実施の形態22の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図58】本発明の実施の形態23の光情報装置の光学系の構成を説明する図
【図59】本発明の実施の形態23の光情報装置の偏光ホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図60】本発明の実施の形態23の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図61】本発明の実施の形態24の光情報装置の偏光ホログラム素子の分割と光ビームの関係を示す図
【図62】本発明の実施の形態24の光情報装置の光検出器の分割と光ビームの関係と電気回路の構成を示す図
【図63】本発明の実施の形態25の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図64】本発明の実施の形態25の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図65】本発明の実施の形態25の光情報装置における光ピックアップを構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図66】本発明の実施の形態25の光情報装置で得られるビーム分割素子の中央付近の領域の0次回折光の効率に対する振幅の様子を示す図
【図67】本発明の実施の形態26の光情報装置を構成するビーム分割素子の構成を示す図
【図68】本発明の実施の形態27の光情報装置を構成する光検出器とビームの関係を示す図
【図69】本発明の実施の形態27の光情報装置を構成する信号処理部の構成を示す図
【図70】従来の光情報装置を構成する光ピックアップヘッド装置の構成を示す図
【図71】従来の光情報装置で得られるTE信号の様子を示す図
【符号の説明】
【0351】
4,400〜403 光ピックアップ
5 移送制御器
6 モータ
7 第1の制御手段
8 増幅器
9 第2の制御手段
10 復調手段
11 検出手段
12 システム制御手段
14 出力手段
32〜39,45〜47 光検出器
32a〜32h,33a〜33l,34a〜34p,35a〜35p,36a〜36h,37a〜37f,38a〜38l,39a〜39p,45a〜45j,46a〜46h,47a〜47h 受光部
41 光記憶媒体
58 回折格子
60〜68 ビーム分割素子
60a,60b,61a〜61c,62a〜62b,63a〜63c,64a〜64g,65a〜65g,66a〜66g,67a〜67k,68a〜68k 領域
70a〜70c,71a〜71d,73a,73b,74a〜74c,75a〜75h,76a〜76h,710 ビーム
81 凹レンズ
82 凸レンズ
93 アクチュエータ
801,804,806 差動演算部
802,803,807,813 加算部
805,810,812 可変利得増幅部
808 除算部
809 低域濾波部
811 振幅検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームがトラック上に位置するとき、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれトラック間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる第1のプッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動し、前記第1のプッシュプル信号は、メインビームの中央付近の領域が用いられずに生成され、前記第2のプッシュプル信号は、第1のサブビームと第2のサブビームの中央付近の領域が用いられずに生成され、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成する光情報装置。
【請求項2】
前記プッシュプル信号を生成するために用いられないビームの中央付近における前記領域が、前記光記憶媒体で反射、回折されたビームの前記0次回折光と前記1次回折光とがお互いに重ならない領域である、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項3】
前記複数の受光部が各々部分的にビームを受光することで、前記ビームを分割する、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項4】
前記光記憶媒体から前記光検出手段に至る光路中にビーム分割手段を設けることによって前記ビームを分割する、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項5】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得る、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項6】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームがトラック上に位置するとき、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれトラック間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる第1のプッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動し、前記第1のプッシュプル信号は、メインビームの中央付近における領域に対して通常のプッシュプル信号を得る際の演算とは異なる極性もしくは増幅係数kが用いられて生成され、前記第2のプッシュプル信号は、第1のサブビームと第2のサブビームのそれぞれの中央付近における領域に対して通常のプッシュプル信号を得る際の演算とは異なる極性もしくは増幅係数kが用いられて生成され、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成する光情報装置。
【請求項7】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得る、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項8】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するときの前記振幅の変化量が最小となるように、前記増幅係数kを設定する、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項9】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となる光ビームの位置が、前記トラックの中央に近づくように、前記増幅係数kを設定する、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項10】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときの変化量が最小となる前記増幅係数kの値をk1とし、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となるときの光ビームの位置が、前記トラックの中央に最も近づくときの前記増幅係数kの値をk2としたとき、前記増幅係数kが前記k1と前記k2との間の値に設定される、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項11】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームをトラックと直交する方向に走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−2、Tn−1、Tn、Tn+1、Tn+2とし、前記メインビームがトラックTnの中央に位置するとき、前記第1のサブビームがトラックTn−2とトラックTn−1との間に位置し、前記第2のサブビームがトラックTn+1とトラックTn+2との間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる前記第1のプッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動し、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成する光情報装置。
【請求項12】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記複数のビームは、トラックと直交する方向に沿った異なる位置を照射し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる前記プッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動するとき、前記複数のビームの中央付近の領域が用いられずに、もしくは中央付近における領域に対して通常のプッシュプル信号を得る際の演算とは異なる極性もしくは増幅係数が用いられて前記プッシュプル信号が生成されることにより前記プッシュプル信号の振幅の変動を低減することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項13】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するように、予め未記録のトラックと記録済みのトラックとを前記光記憶媒体に形成している、請求項12に記載の光情報再生方法。
【請求項14】
前記記録済みのトラックと前記未記録のトラックとを交互に配置している、請求項13に記載の光情報再生方法。
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームがトラック上に位置するとき、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれトラック間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる第1のプッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動し、前記第1のプッシュプル信号は、メインビームの中央付近の領域が用いられずに生成され、前記第2のプッシュプル信号は、第1のサブビームと第2のサブビームの中央付近の領域が用いられずに生成され、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成する光情報装置。
【請求項2】
前記プッシュプル信号を生成するために用いられないビームの中央付近における前記領域が、前記光記憶媒体で反射、回折されたビームの前記0次回折光と前記1次回折光とがお互いに重ならない領域である、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項3】
前記複数の受光部が各々部分的にビームを受光することで、前記ビームを分割する、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項4】
前記光記憶媒体から前記光検出手段に至る光路中にビーム分割手段を設けることによって前記ビームを分割する、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項5】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得る、請求項1に記載の光情報装置。
【請求項6】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームがトラック上に位置するとき、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれトラック間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる第1のプッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動し、前記第1のプッシュプル信号は、メインビームの中央付近における領域に対して通常のプッシュプル信号を得る際の演算とは異なる極性もしくは増幅係数kが用いられて生成され、前記第2のプッシュプル信号は、第1のサブビームと第2のサブビームのそれぞれの中央付近における領域に対して通常のプッシュプル信号を得る際の演算とは異なる極性もしくは増幅係数kが用いられて生成され、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成する光情報装置。
【請求項7】
前記光記憶媒体に集光されるビームが有する球面収差量を示す球面収差誤差信号を生成する球面収差誤差信号生成手段をさらに具備し、前記球面収差誤差信号生成手段は、前記メインビームの中央付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第1のフォーカス誤差信号を生成し、前記メインビームの外側付近における領域を受光する複数の受光部から出力される信号を差動演算して第2のフォーカス誤差信号を生成し、前記第1のフォーカス誤差信号と前記第2のフォーカス誤差信号とを差動演算して前記球面収差誤差信号を得る、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項8】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が前記周期tpとは異なる周期で変化するときの前記振幅の変化量が最小となるように、前記増幅係数kを設定する、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項9】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となる光ビームの位置が、前記トラックの中央に近づくように、前記増幅係数kを設定する、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項10】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するときの変化量が最小となる前記増幅係数kの値をk1とし、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号が実質的にゼロクロス点となるときの光ビームの位置が、前記トラックの中央に最も近づくときの前記増幅係数kの値をk2としたとき、前記増幅係数kが前記k1と前記k2との間の値に設定される、請求項6に記載の光情報装置。
【請求項11】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを含んでおり、前記回折手段で生成される0次回折光をメインビームとし、前記回折手段で生成される1次以上の2つの回折光を第1のサブビームと第2のサブビームとし、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記メインビームと前記第1のサブビームと前記第2のサブビームはそれぞれ複数の受光部で受光される光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを具備し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記メインビームをトラックと直交する方向に走査したときに前記メインビームが照射されるトラックを、Tn−2、Tn−1、Tn、Tn+1、Tn+2とし、前記メインビームがトラックTnの中央に位置するとき、前記第1のサブビームがトラックTn−2とトラックTn−1との間に位置し、前記第2のサブビームがトラックTn+1とトラックTn+2との間に位置し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記メインビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第1のプッシュプル信号を生成し、前記第1のサブビームと前記第2のサブビームを受光する受光部から出力される信号を差動演算して第2のプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる前記第1のプッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動し、前記第1のプッシュプル信号と前記第2のプッシュプル信号を差動演算することにより前記トラッキング誤差信号を生成する光情報装置。
【請求項12】
光ビームを出射する光源と、前記光源から出射されたビームを受けて0次及び1次以上からなる複数の回折ビームを生成する回折手段と、前記回折手段からの複数のビームを受けて光記憶媒体上に集光する集光手段と、前記光記憶媒体で反射された複数のビームを受けてビームを分岐するビーム分岐手段と、前記ビーム分岐手段で分岐されたビームを受け、その受けた光量に応じた信号を出力する光検出手段とを有する光ピックアップヘッド装置と、所望のトラックにビームを照射させる制御を行うための信号であるトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段とを用いた光情報再生方法であって、前記光検出手段は複数の受光部を有し、前記複数のビームは、トラックと直交する方向に沿った異なる位置を照射し、前記トラッキング誤差信号生成手段は、前記受光部から出力される信号を差動演算してプッシュプル信号を生成し、前記光記憶媒体は、概略一定の周期で並んだトラックを有しており、前記周期の平均が周期tpであり、前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られる前記プッシュプル信号の振幅が、情報の記録されていないトラックと情報の記録されたトラックが隣接したことによって、もしくは前記光記憶媒体に形成されたトラックの周期が部分的に周期tpとは異なることによって、周期tpとは異なる周期で変動するとき、前記複数のビームの中央付近の領域が用いられずに、もしくは中央付近における領域に対して通常のプッシュプル信号を得る際の演算とは異なる極性もしくは増幅係数が用いられて前記プッシュプル信号が生成されることにより前記プッシュプル信号の振幅の変動を低減することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項13】
前記光記憶媒体のトラックと直交する方向に沿って前記光ビームを走査したときに周期tpで得られるプッシュプル信号の振幅が周期tpとは異なる周期で変化するように、予め未記録のトラックと記録済みのトラックとを前記光記憶媒体に形成している、請求項12に記載の光情報再生方法。
【請求項14】
前記記録済みのトラックと前記未記録のトラックとを交互に配置している、請求項13に記載の光情報再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
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【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
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【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
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【図22】
【図23】
【図24】
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【図30】
【図31】
【図32】
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【図35】
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【図37】
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【図39】
【図40】
【図41】
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【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
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【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【公開番号】特開2008−282528(P2008−282528A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180536(P2008−180536)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【分割の表示】特願2007−332624(P2007−332624)の分割
【原出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【分割の表示】特願2007−332624(P2007−332624)の分割
【原出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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