説明

光ファイバコード

【課題】GE−PONの光配線に使用され、局内のOLTとIDMとを光接続する光ファイバコードに係り、光ファイバコードをOLTとIDMに接続したまま、然も光ファイバコードが折損している場合でも、所定の光ファイバコードの端末の光コネクタを迅速に特定することが可能な光ファイバコードを提供すること。
【解決手段】光ファイバコード1は、複合コード10、光コネクタ12a、12bを有し、光コネクタ12bには電源供給部14、光コネクタ12aには発光部16がそれぞれ設けられている。複合コード10は、光ファイバ素線10aの長手方向に一対の導体10bを沿わせ、一括して外部被覆層28を施したものである。光コネクタ12bに対応する端末の光コネクタ12aの確認は、電源供給部14と外部電源18とを外部電源ケーブル18cで接続し、スイッチ18aをオン状態にし、発光部16に電圧を印加して発光体を発光させることにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワークの局内光接続用の光ファイバコード、特にGE−PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network)の光配線に使用され、局内のOLT(Optical Line Terminal:光回線終端装置)と、IDM(Integrated Distribution Module:光成端架)とを光接続する光ファイバコードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭ユーザにおいて、インターネット接続やIP電話サービスが活発化している。使用されている主な通信方式は、GE−PONと呼ばれるブロードバンド通信であり、1本の光ファイアバケーブルが最大で32分岐され、最大100Mbpsの通信速度を実現している。
【0003】
図7は、GE−PONにおける光配線の概略図である。特定のエリア内の複数の家屋42が、一つの光ネットワークの局40によって管理され、複数の家屋42は局40とクロージャー44を介して光ファイバケーブル48により接続されている。クロージャー44は、地下のとう道64或いは電柱46等に設置・固定され、電柱46に設置・固定されたクロージャー44から各家屋42に光ファイバケーブル48が分岐される。
【0004】
光ネットワークの局40は、他のエリアの局(図示していない)と、FTTH(Fiber To The Home)用の光ファイバケーブル50で相互に接続されており、局40内には、OLT52、IDM54が設置されている。そして、OLT52とIDM54は、後述するように光ファイバコード56で光接続されている。
【0005】
家屋42内には、ONU(Optical Network Unit:光加入者終端装置)56が設置され、それにIP電話アダプタ58が接続され、パソコン60や電話機62等が使用できるように構成されている。
【0006】
図8は、IDM54の概略斜視図であり、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は同図(a)の矢印Aで示した領域の拡大斜視図である。IDM54とOLT52は、光ファイバコード56により回線1本1本毎に光接続されており、図8に示すように光ファイバコード56の長さは長く、総合の本数は膨大であり、高密度実装になっている。なお、光ファイバコード56の両端には、光コネクタが設けられており、それぞれの光コネクタは、OLT52及びIDM54の所定の位置に設けられたレセプタクル60(OLT側のレセプタクルは図示していない)と嵌合し、光接続が円滑に行われるように構成されている。
【0007】
複数本の光ファイバコード56がレセプタクル60に嵌合している状態では、OLT52の特定の場所に接続された光ファイバコード56が、IDM54の所定の場所に正しく接続されているかを確認することが難しい。光ファイバコード56が長く膨大な本数が収容されているので、手繰り寄せることができないためである。更に、例えばOLT52の特定の場所に接続された光ファイバコード56の他端のIDM54側の光コネクタ56bをIDM54から取り外す必要がある場合、迅速にその他端の光コネクタ56bを特定できないため、光ファイバコード56を迅速に取り外すことは難しい。また、取り外す光ファイバコードが確実に特定できない場合には、間違って通信中の光ファイバコードを取り外してしまい、インターネット接続や電話サービスを中断してしまう等の問題が生じる。
【0008】
図9は、従来の光ファイバコードの識別方法を示した説明図である。通常、OLT52の特定の場所に接続された光ファイバコード56の他端の光コネクタ、即ちIDM54側の光コネクタが、IDM54のどの位置に接続されているかを確認するため、OLT52に接続されている光ファイバコード56の光コネクタ56aを外し、その光コネクタ56aからファイバチェッカー58により可視光線を入射させる。すると、光ファイバコード56の他端のIDM54側の光コネクタ56bで、入射した可視光線が反射・散乱するため、その光コネクタ56bの位置を確認することが可能になる。このようにして、OLT52の特定の場所に接続された光ファイバコード56が、IDM54の所定の場所に正しく接続されているかを確認することができる。なお、可視光線は波長633nmの赤色が多く用いられるが、可視光線であれば波長は拘らない。
【0009】
なお、特許文献1には、複数本の光ファイバの束の両端部での各光ファイバの両端部の対応関係の特定を容易且つ確実に行うことを目的とし、光ファイバの束の一方の端部から光ファイバの端部それぞれに異なる色の光を入射させ、光ファイバの束の他方の端部において、光ファイバの端部から出射する光を色判別部で受光してその色を判別し、これにより光ファイバのそれぞれについて両端部の対応関係を特定する方法が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−4971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の特許文献1を含めて、図9に示す方法では、光ファイバコード56に可視光線を入射させるために、OLT52から光ファイバコード56の光コネクタ56aを外さなければならず、光ファイバコード56をOLT52とIDM54に接続したままでは確認することができなかった。また、従来の方法ではIDM54から間違って確認する必要のない光ファイバコード56の光コネクタ56bを取り外して、インターネット接続及びIP電話サービスを停止させる恐れもあった。更に、光ファイバコード56の折損障害についても、迅速に対応することができなかった。即ち、OLT52に接続されている光ファイバコード56の内で特定の光ファイバコードが折損していることが解り、直ちに交換しようとしても、その光ファイバコードの他端の光コネクタが迅速に特定できず、IDM54から他端の光コネクタを迅速に取り外すことができなかった。なお、光ファイバコードが折損している場合、OLT52側の光コネクタから入射した可視光線は、光ファイバコードの折損している箇所で大部分が放射・散乱するため、光ファイバコードの他端の光コネクタでの反射・散乱光は強度が弱くなって確認することが難しく、途中の折損している場所での放射・散乱光により光ファイバコードを確認することとなり、折損している場所によっては他の光ファイバコードの下に隠されて確認することができないという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、GE−PONの光配線に使用され、局内のOLTとIDMとを光接続する光ファイバコードに関して、光ファイバコードをOLTとIDMに接続したまま、然も光ファイバコードが折損している場合でも、所定の光ファイバコードの端末の光コネクタを迅速に特定することが可能な光ファイバコードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の光ファイバコードは、コアとクラッドと被覆層とを含む光ファイバ素線の両端に光コネクタを取り付けた光ネットワークの局内光接続用の光ファイバコードにおいて、前記光ファイバ素線の長手方向に沿わせた一対の導体と、前記光コネクタに設けられ前記一対の導体と接続された発光部と、前記発光部に電圧を供給する電源供給部と、を有し、前記光ファイバ素線と前記一対の導体とを一括して外部被覆層で被覆したことを特徴とする。
【0014】
従って、OLTとIDMが膨大な本数の光ファイバコードによって光接続されている状態で、特定の光ファイバコードの電源供給部から電圧を供給すると、その光ファイバコードの光コネクタに設けられた発光部が発光するので、光ファイバコードの長さ、実装状態、折損等に関係なく、光ファイバコードの端末の光コネクタを迅速に特定することが可能である。また、OLT側とIDM側の光コネクタの両方に発光部を設ければ、特定の光ファイバコードの両端の光コネクタを迅速に特定することができる。
【0015】
請求項2に記載の光ファイバコードは、請求項1に記載の光ファイバコードにおいて、一方の前記光コネクタは光加入者終端装置に接続可能とされ、他方の前記光コネクタは光成端架に接続可能とされ、前記光成端架側に接続される光コネクタに前記発光部を設け、前記光加入者終端装置側に接続される光コネクタに前記電源供給部を設けた、ことを特徴とする。
【0016】
従って、光ファイバコードの一端がOLTに、また他端がIDMに、それぞれ光コネクタを介して接続されている状態で、OLT側の光コネクタに設けられた電源供給部から電源を供給すると、IDM側の光コネクタに設けられた発光部の発光体が発光するので、光ファイバコードの長さ、実装状態、折損等に関係なく光ファイバコードの他端を迅速に特定することが可能である。
【0017】
請求項3に記載の光ファイバコードは、請求項2に記載の光ファイバコードにおいて、前記光ファイバ素線の被覆層は、一次被覆層と二次被覆層とからなり、且つ前記一対の導体には、それぞれ絶縁層が被覆されており、前記光ファイバ素線と前記一対の導体とを前記光ファイバ素線を中心として一列に並べて配置したことを特徴とする。従って、一対の導体を光ファイバ素線の長手方向に沿って配置し外部被覆層を施す場合に、一対の導体間で短絡が発生する心配はない。また、光ファイバ素線と一対の導体を上記のように一列に並べることで、光ファイバ素線と一対の導体を含む面の可とう性を良好にしている。故に、使い勝手の良い光ファイバコードを提供することができる。
【0018】
請求項4に記載の光ファイバコードは、請求項3に記載の光ファイバコードにおいて、前記一対の導体には絶縁層が被覆されていないことを特徴とする。従って、光ファイバ素線の長手方向に一対の導体を沿わせた複合コードは、光ファイバ素線と一対の導体を含む面の径を小さくすることができるので、より可とう性に富む使い勝手の良い光ファイバコードを提供することが可能である。
【0019】
請求項5に記載の光ファイバコードは、請求項4に記載の光ファイバコードにおいて、前記光ファイバ素線の被覆層は一次被覆層のみであり、前記外部被覆層の厚さを前記光ファイバ素線の一次被覆層又は二次被覆層の厚さと同程度にしたことを特徴とする。従って、複合コードの直径がより小さなものとなり、高密度実装に適した可とう性に富む使い勝手の良い光ファイバコードを提供することができる。なお、外部被覆層は光ファイバ素線の一次被覆層と同程度に厚くしたので、光ファイバコードの耐久性、耐衝撃性等は実用上十分なものである。
【0020】
請求項6に記載の光ファイバコードは、請求項1〜5の何れか1項に記載の光ファイバコードにおいて、前記発光部から放射される光が、前記電力供給部側から容易に認識できるように、前記発光部内の発光体の位置が定められていることを特徴とする。従って、電源供給部から電源を供給したときに光ファイバコードの光コネクタの発光部から放射される光を、より容易に確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光ファイバコードによると、OLTとIDMが膨大な本数の光ファイバコードによって光接続されている状態で、特定の光ファイバコードの電源供給部から電圧を供給すると、その光ファイバコードの光コネクタに設けられた発光部が発光するので、光ファイバコードの長さ、実装状態、折損等に関係なく、光ファイバコードの端末の光コネクタを迅速に特定することが可能である。また、OLT側とIDM側の光コネクタの両方に発光部を設ければ、特定の光ファイバコードの両端の光コネクタを迅速に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態を、以下図面を参照しながら詳述する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。また、光ファイバコードが使用される場所は従来と同じ、即ち局内のOLTとIDM間の光接続に用いられるものとする。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の光ファイバコードの第一の実施の形態に係り、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は正面図である。光ファイバコード1は、複合コード10と、光コネクタ12a、12bと、電源供給部14と、発光部16とを有している。光ファイバコード1の両端には光コネクタ12a、12bが設けられており、一端の光コネクタ12bは局内のOLTに接続され、他端の光コネクタ12aはIDMに接続される。詳細は後述するが、光コネクタ12bに対応する端末の光コネクタ12aを確認する際には、光ファイバコード1の電源供給部14と、スイッチ18a付きの外部電源18とを外部電源ケーブル18cで接続する必要がある。
【0024】
図2は、光ファイバコードの複合コードに係り、同図(a)は複合コードの斜視図、同図(b)は複合コードの断面図である。複合コード10は、光ファイバ素線10aの長手方向に2本の絶縁層10c付きの導体10bを沿わせ、一括して外部被覆層28を施したものである。なお、光ファイバ素線10aは、ちょうど一対の導体10bの間に位置するように一列に並んで配置されている。なお、導体10bには絶縁層10cが施されているので、この配置関係に拘らず、光ファイバ素線10aと一対の導体10bとの三者が互いに接触する配置も可能である。
【0025】
光ファイバ素線10aは、コア20とクラッド22とからなる裸ファイバに一次被覆層24と二次被覆層26を施したものであり、コア20の直径の大きさにより単一モード光ファイバ、多モード光ファイバに分類される。一次被覆層24及び二次被覆層26は、裸ファイバを保護するためのものであり、シリコーン、ポリイミド、ナイロン、紫外線硬化樹脂等が使用環境に応じて適宜選択される。
【0026】
導体10bは細経銅線を用いて構成され、それぞれの銅線には絶縁層10cが被覆され、互いに電気的に短絡することがないように構成されている。一対の導体10bと光ファイバ素線10aとは、押出機により押し出されて一括して外部被覆層28が施されている。外部被覆層28はプラスチック樹脂材料を用いた。なお、一次被覆層24、二次被覆層26、絶縁層10c、外部被覆層28の厚さは、光ファイバコード1を使用する環境に応じて適宜決定され、複合コード10の光ファイバ素線10aと一対の導体10bを含む面は十分な可とう性を有し、使い勝手の良いものになっている。
【0027】
図3は、光ファイバコード1に係り、同図(a)は発光部の拡大斜視図、同図(b)は電源供給部の拡大斜視図である。光コネクタ12aに発光部16が一体化して設けられており、この発光部16内に発光体であるLED16aと抵抗16b(図示していない)が内蔵されている。LED16aと抵抗16bは直列に接続され、一対の導体10bに接続されている。なお、発光部16のLED16aの発光面は電力供給部14側を向いているので、電源供給部14から電源を供給したときに光ファイバコード1の他端の光コネクタ16bの発光部16から放射される光をより容易に確認することが可能となっている。
【0028】
OLT側の光コネクタ12bには、電源供給部14が一体化して設けられており、電源供給部14内には、外部電源コードと接続するためのインターフェイスコネクタ14aが設けられている。このインターフェイスコネクタ14aに一対の導体10bが接続されている。
【0029】
図4は、本発明の光ファイバコードの電気回路図である。同図(a)は発光部が一つの場合、同図(b)は発光部が二つの場合について示す。発光部16内のLED16aと抵抗16bに、外部電源18に内蔵されている電源18aから、スイッチ18b、電源供給部14、一対の導体10bを介して電圧が印加される構成になっている。従って、外部電源18のスイッチ18bをオン状態にしてLED16aに電圧が印加されるとLED16aが発光することとなる。なお、発光部16をOLT側の光コネクタ12bとIDM側の光コネクタ12aの2箇所に設けた場合には、二つのLED16aが同時に発光することとなり、光ファイバコードの両端末の光コネクタを同時に確認することが可能となる。
【0030】
以下、本発明の光ファイバコードの使用方法について説明する。基本的に、本発明の光ファイバコードは従来の光ファイバコードと同様に、局内のOLTとIDM間の光接続に用いられる。図8に示した光ファイバコード56が全て本発明の光ファイバコード1に置き換えられる。OLTに接続されている特定の光ファイバコードをOLT及びIDMから外す場合について説明する。従来は、前述のように取り外すべき光ファイバコードのOLT側の光コネクタをOLTから取り外し、ファイバチェッカー等から可視光線を入射させ、光ファイバコード他端の光コネクタで反射する光を確認していた。そのようにして取り外すべき光ファイバコードの他端の光コネクタを特定していた。
【0031】
本発明の光ファイバコードの場合は、取り外すべき光ファイバコードのOLT側の光コネクタをOLTから取り外さずに、電源供給部14のインターフェイスコネクタ14aに外部電源コード18cを接続して、外部電源18のスイッチ18aをオン状態にする。すると、取り外すべき光ファイバコードのIDM側の光コネクタに設けられた発光部16のLED6aが点灯するので、迅速に取り外すべき光コネクタを確認することができる。このようにして確認した後、光ファイバコードを安全に取り外すことができることとなる。故に、IDMから間違って取り外す必要のない光ファイバコードを取り外して、インターネット接続及びIP電話サービスを停止させる恐れは皆無となる。
【0032】
更に、光ファイバコードに折損障害があっても、迅速に対応することが可能である。即ち、光ファイバコードが折損しているか否かに拘わらず、その光ファイバコードの他端の光コネクタが上記の方法により、光ファイバコードの折損の影響を受けずに迅速に特定されるため、IDMから光ファイバコードの他端の光コネクタを迅速に取り外すことが可能である。
【0033】
(第二の実施の形態)
図5は、本発明の光ファイバコードの複合コードの第二の実施の形態を示す断面図である。複合コード32の構成だけが第一の実施の形態と異なっており、他は同様である。
【0034】
第二の実施の形態の複合コード32は、第一の実施の形態の複合コード10において、導体10bの絶縁層10cを除いた構成になっている。絶縁層10cがないことで、複合コード40の光ファイバ素線10aと一対の導体10bを含む面の直径が小さくなり、より可とう性に優れ取り扱い易くなっている。従って、光ファイバコード1の実装密度を向上させることが可能である。なお、一対の導体10bに絶縁層がないため、電気的に短絡しないように注意を要することとなるが、一旦図5に示すように構成されると、導体10bと光ファイバ素線10aの二次被覆層26との間の摩擦力及び外部被覆層28の収縮力により、一対の導体10bは光ファイバ素線10aの周方向へは動き難い構成となっている。
【0035】
また、光ファイバ素線10aの長手方向に一対の導体10bを沿わせ、外部被覆28を施し、図5に示すような構成とした場合において、導体10bと光ファイバ素線10aの隙間が外部被覆層28を構成する材料で埋まっていても構わない。更に、複合コード40の断面形状を円形に構成しても良く、この場合、導体10bは外部被覆層28に埋められた形となる。
【0036】
(第三の実施の形態)
図6は、本発明の光ファイバコードの複合コードの第三の実施の形態を示す断面図である。第三の実施の形態の複合コード34は、第二の実施の形態の複合コード40において、光ファイバ素線10aの二次被覆層26を取り除き、外部被覆層28の厚さを光ファイバ素線10aの一次被覆層24と同程度に厚くした構成になっており、他は同一である。この場合、外部被覆層28の厚さを光ファイバ素線10aの一次被覆層24と同程度に厚くしたので、光ファイバコード1の耐久性、耐衝撃性は実用上十分である。この構成においては、複合コード34の断面積は第二の実施の形態の複合コード32よりも小さくすることが可能であるため、光ファイバコードは、高密度実装により適した構成となっている。第三の実施の形態においても、光ファイバ素線10aと導体10bとの間が外部被覆層28を構成する材料で埋まっても良いし、複合コード50全体の断面を円形としても良い。
【0037】
第二の実施の形態の複合コード及び第三の実施の形態の複合コードを用いた場合においても、光ファイバコートとしては第一の実施の形態で示したものと同様の効果を奏する。即ち、光ファイバコードをOLTとIDMに接続したまま、然も光ファイバコードが折損している場合でもOLTに接続された光ファイバコードの他端の光コネクタを迅速に特定することが可能である。それ故、複合コードの断面形状は、収容する光ファイバコードの本数、OLTやIDMの収納場所の大きさ等を考慮して適宜決定することが可能である。
【0038】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、一対の導体は断面が円形のものを示したが、光ファイバ素線の外周に一致するような三日月型、又は平板状であっても良い。更に、外部被覆層は、光ファイバ素線10aと一対の導体10bを一括で被覆したものの他、テープ状のものを長手方向に螺旋状に巻いて構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の光ファイバコードの第一の実施の形態に係り、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は正面図である。
【図2】図1の光ファイバコードに係り、同図(a)は複合コードの斜視図、同図(b)は複合コードの断面図である。
【図3】図1の光ファイバコードに係り、同図(a)は発光部の拡大斜視図、同図(b)は電源供給部の拡大斜視図である。
【図4】図1の光ファイバコードの電気回路であって、同図(a)は発光部が一つの場合、同部(b)は発光部が二つの場合ついて示す。
【図5】本発明の光ファイバコードの複合コードの第二の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明の光ファイバコードの複合コードの第三の実施の形態を示す断面図である。
【図7】GE−PONにおける光配線の概略図である。
【図8】局内のIDMの概略斜視図であり、同図(a)は全体斜視図、同図(b)は同図(a)のAで示した領域の拡大斜視図である。
【図9】従来の光ファイバコードの識別方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 光ファイバコード
10 複合コード
10a 光ファイバ素線
10b 導体
12a、12b 光コネクタ
14 電源供給部
16 発光部
18 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとクラッドと被覆層とを含む光ファイバ素線の両端に光コネクタを取り付けた光ネットワークの局内光接続用の光ファイバコードにおいて、
前記光ファイバ素線の長手方向に沿わせた一対の導体と、
前記光コネクタに設けられ前記一対の導体と接続された発光部と、
前記発光部に電圧を供給する電源供給部と、を有し、
前記光ファイバ素線と前記一対の導体とを一括して外部被覆層で被覆したことを特徴とする光ファイバコード。
【請求項2】
一方の前記光コネクタは光加入者終端装置に接続可能とされ、他方の前記光コネクタは光成端架に接続可能とされ、
前記光成端架側に接続される光コネクタに前記発光部を設け、
前記光加入者終端装置側に接続される光コネクタに前記電源供給部を設けた、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバコード。
【請求項3】
前記光ファイバ素線の被覆層は、一次被覆層と二次被覆層とからなり、且つ前記一対の導体には、それぞれ絶縁層が被覆されており、前記光ファイバ素線と前記一対の導体とを前記光ファイバ素線を中心として一列に並べて配置したことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバコード。
【請求項4】
前記一対の導体には絶縁層が被覆されていないことを特徴とする請求項3に記載の光ファイバコード。
【請求項5】
前記光ファイバ素線の被覆層は一次被覆層のみであり、前記外部被覆層の厚さを前記光ファイバ素線の一次被覆層又は二次被覆層の厚さと同程度にしたことを特徴とする請求項4に記載の光ファイバコード。
【請求項6】
前記発光部から放射される光が、前記電力供給部側から容易に認識できるように、前記発光部内の発光体の位置が定められていることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の光ファイバコード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69378(P2009−69378A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236558(P2007−236558)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(390002635)タマチ電機株式会社 (9)
【Fターム(参考)】