説明

光位相変調器および光位相変調装置

【課題】半導体の光吸収により生じる直交成分による周波数チャーピングの影響を低減す
ることができる光位相変調器および光位相変調装置を提供する。
【解決手段】光変調器100は、使用波長における初期位相差がπの第1及び第2のメイ
ンアーム光導波路11a,11bを有するメインマッハツェンダ干渉計11と、第1のメ
インアーム光導波路11aに形成された使用波長における初期位相差が0の第1及び第2
のサブアーム光導波路21a,21bを有する第1のサブマッハツェンダ干渉計21と、
第2のメインアーム光導波路に形成された使用波長における初期位相差が0の第3及び第
4のサブアーム光導波路22a,22bを有する第2のサブマッハツェンダ干渉計22と
を有する。各メインアーム光導波路および第1乃至第4のサブアーム光導波路のうち、少
なくとも高周波電極が形成された部分は、半導体光導波路からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の位相を利用した光位相変調に用いられる光位相変調器および光位相変調
装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信において光を信号で変調する方式として、従来の強度変調のほかに、光位相変調
がある。光位相変調は、従来の光強度のオン/オフ間で変調を行う光強度変調とは異なる
ものであり、例えば2つの異なる光の位相を使って変調を行う2値光位相変調方式(例え
ば差動位相偏移変調方式(DPSK:Differential Phase Shif
t Keying))や、4つの異なる光の位相を使って変調を行う4値光位相変調方式
(例えば差動直交位相偏移変調方式(DQPSK:Differential Quad
rature Phase Shift Keying))、16種の異なる振幅・位相
の組合せを用いる16QAM(Quadrature Amplitude Modul
ation)などが知られている。光位相変調では、一般的に、光強度変調に比べて受信
感度を向上させることが可能である。また、DQPSK方式や16QAM以上の多値光位
相変調方式では、1位相(シンボル)あたり複数ビット分の情報を伝送できるので、効率
よく伝送容量を大容量化することが可能である。
【0003】
位相変調信号の生成には、例えば特許文献1に記載されたようなマッハツェンダ(Ma
ch−Zehnder)型変調器(MZ変調器)による2値光位相変調器(DPSK光位
相変調器)が用いられる。
【0004】
図16は、2値光位相変調器の一例としてMZ変調器からなるDPSK光位相変調器の
構成を示した模式図である。MZ変調器11は、2本のアーム光導波路11a,11bを
有している。MZ変調器11に入力された光は、各アーム光導波路11a,11bに分波
される。各アーム光導波路11a,11bには、電極11a1,11b1がそれぞれ設け
られ、これらの電極に電圧を印加したときの電気光学効果による屈折率変化を利用して、
各アーム光導波路11a,11bを通過する光の位相を変化させる。しかる後に、これら
2つの光を合波する。ここで、アーム光導波路11a,11bは、使用波長において無変
調時の初期位相差がπ、すなわち出力光が消光状態となるように光路長差が調整されてい
る。
【0005】
図17(a)は、各アーム光導波路11a,11bを経た光電界の位相を、同相成分I
(Inphase)と直交成分Q(Quadrature)を用いて、極座標上に表した
ものである。図17において、原点からの距離は光の電界振幅を、I軸からの角度は位相
角を表す。上側アーム光導波路11aに電極11a1を介して印加される電圧V11aは
、逆バイアス電圧(V11a=−Vb)を中心として−Vb+ΔV〜−Vb−ΔV(なお
、Vb>ΔV)の間で変化させ、これに応じて上側アーム光導波路11aの出力光電界P
11aの位相がπ〜0の間で変化する。また、下側アーム光導波路11bに電極11b1
を介して印加される電圧V11bは、逆バイアス電圧(V11b=−Vb)を中心として
−Vb−ΔV〜−Vb+ΔVの間で変化させ、これに応じて下側アーム光導波路11bの
出力光電界P11bの位相が−π〜0の間で変化する。したがって、各アーム光導波路1
1a,11bにそれぞれ信号ΔVとこれを反転させた信号を、逆バイアス電圧(−Vb)
を重畳して印加すると、各アーム光導波路11a,11bの光が合成されたMZ変調器1
1の出力光電界P11の位相は、0(V11a=−Vb−ΔV,V11b=−Vb+ΔV
)またはπ(V11a=−Vb+ΔV,V11b=−Vb−ΔV)となる。すなわち、M
Z変調器11においては、出力光電界P11の位相が0とπの間の2値間でI軸上での位
相変調が行われる。図17(b)は、各アーム光導波路11a,11bへの印加電圧(−
V11a,−V11b)と出力光の位相との関係を示したものである。
【0006】
図18は、4値光位相変調器の一例としてDQPSK光位相変調器の構成を示した模式
図である。図18に示すように、DQPSK光位相変調器13は、図16に示したMZ変
調器(DPSK光位相変調器)の2つ(11−1,11−2)が分岐光導波路31、合流
光導波路32を用いて並列に接続されており、分岐光導波路31の一方の枝には、通過光
の位相をπ/2だけずらす位相シフタ30が配設されている。図19(a),図19(b
)は、それぞれDPSK光位相変調器11−1、11−2の出力光の位相をI成分とQ成
分を用いて極座標上に表したもので、DPSK光位相変調器11−1では上述のように位
相0とπの2値間でI軸上で位相変調が行われ、DPSK光位相変調器11−2では、π
/2位相シフタ30によりπ/2だけ位相がシフトされるので、π/2と3π/2の2値
間でQ軸上で位相変調が行われる。その結果、DQPSK光位相変調器13からの出力光
の位相は、2つのDPSK光位相変調器11−1、11−2の出力電界P11−1,P1
1−2のベクトル和の位相となり、図18(c)に示すように、DPSK光位相変調器1
1−1,11−2に加えられる信号電圧に応じてπ/4、3π/4、5π/4、7π/4
となる。
【0007】
2値光位相変調器を並列化する数をさらに増やすと、16QAMや256QAMなど、
より多値の位相変調(直交振幅変調)を実現することができる。
このように、2値光位相変調器は、入力信号に応じて0とπの2つの位相を有する光を出
力するもので、4値光位相変調器や16QAMなどの多値光位相変調器も、2値光位相変
調器が複数個組合されて構成されるものである。
【0008】
材料としてLiNbOを用いたMZ変調器が既に実用化されている。LiNbO
用いたMZ変調器は、電気光学効果として、ポッケルス効果を利用する。LiNbO
用いたMZ変調器は、光の損失が小さいという特徴があるが、サイズが数インチ程度と大
きく、駆動電圧も高い。一方、InPなどの半導体を用いたMZ変調器は、電気光学効果
としてフランツ・ケルディッシュ効果(Franz−Keldysh Effect)や
量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Eff
ect:QCSE)を用いるため、LiNbOを用いたものに比べて小型化が可能で、
駆動電圧を小さくできる。また、光源等のデバイスとの集積が容易であるといった利点を
有している。このため、今後多値光位相変調などのように変調器の構成が複雑になる場合
においては、小型化・集積化が可能な半導体のMZ変調器が有望である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−061766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の半導体からなるMZ変調器には、次のような問題があった。
すなわち、半導体からなるMZ変調器では、前述のように、フランツ・ケルディッシュ
効果や量子閉じ込めシュタルク効果を用いるため、電圧印加によって光の位相だけではな
く吸収係数が変化する。このため、図20に示すように、印加する逆方向電圧が大きいと
きに光電界の減衰が大きくなり、その振幅が小さくなる。この結果、各アーム光導波路1
1a,11bの光電界P11a,P11bのベクトル和としての出力光の光電界P11に
直交成分が生じる。たとえば、位相0を表現する場合、アーム光導波路11aに印加され
る逆方向電圧は大きく(V11a=−Vb−ΔV)、アーム光導波路11bに印加される
逆方向電圧は小さい(V11b=−Vb+ΔV)。したがって、アーム光導波路11aに
おける光の吸収がアーム光導波路11bにおける光の吸収よりも大きくなり、図20のよ
うに光電界の振幅に上下非対称性が生じる。このため、各アーム光導波路11a,11b
に印加する電圧を−Vb−ΔVと−Vb+ΔVとの間で変化させた場合、光電界のベクト
ル和の軌跡に、図20のように直交成分(Q成分)が生じる。この直交電界による位相誤
差は周波数チャーピングの原因となり、光信号を伝送した際にファイバの分散によって伝
送信号が劣化してしまう。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、半導体における光の吸収に起因して
生じる上記直交成分による周波数チャーピングの影響を低減することができる光位相変調
器および光位相変調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、次のような光位相変調器を提供する。
(1)それぞれ第1の高周波電極および第2の高周波電極を有し使用波長における初期位
相差がπである第1のメインアーム光導波路及び第2のメインアーム光導波路を有するメ
インマッハツェンダ干渉計と、前記第1のメインアーム光導波路に形成され、それぞれ第
3の高周波電極および第4の高周波電極を有する使用波長における初期位相差が0である
第1のサブアーム光導波路および第2のサブアーム光導波路を有する第1のサブマッハツ
ェンダ干渉計と、前記第2のメインアーム光導波路に形成され、それぞれ第5の高周波電
極および第6の高周波電極を有する使用波長における初期位相差が0である第3のサブア
ーム光導波路および第4のサブアーム光導波路を有する第2のサブマッハツェンダ干渉計
と、を有し、前記第1、第2のメインアーム光導波路および前記第1乃至第4のサブアー
ム光導波路のうち、少なくとも前記第1乃至第6の高周波電極が形成された部分が半導体
基板上に形成された半導体光導波路からなることを特徴とする2値光位相変調器。
【0013】
(2)前記第1乃至第6の高周波電極が形成された部分以外の部分は、基板上に形成され
た石英光導波路を含み、前記半導体光導波路と前記石英光導波路は、端面で突き合わせて
光結合されていることを特徴とする2値光位相変調器。
【0014】
(3)(1)または(2)の2値光位相変調器の一つと、(1)または(2)の2値光位
相変調器の他の一つと、入力した光を前記2値光位相変調器の一つと前記2値光位相変調
器の他の一つの入力端に分波する入力光導波路と、前記2値光位相変調器の一つと前記2
値光位相変調器の他の一つの出力端からの光を合波する出力光導波路と、前記2値光位相
変調器の一つと前記2値光位相変調器の他の一つの出力光の位相をπ/2だけ異ならせる
位相シフタと、を有することを特徴とする4値光位相変調器。
【0015】
(4)2分岐分波器がn(nは自然数)段縦続接続されてなる分岐光導波路と、前記分岐
光導波路の分岐端に並列に接続された2個の2値光位相変調器と、前記2個の2値光
位相変調器の出力端に接続された、2分岐合波器がn段縦続接続されてなる合流光導波路
と、を有し、前記2個の2値光位相変調器のうち、少なくとも一つが(1)または(2
)に記載の2値光位相変調器であることを特徴とする多値光位相変調器。
【0016】
また、本発明は、上記課題を解決するため、次のような光位相変調装置を提供する。
(5)(1)または(2)に記載の2値光位相変調器と、両極性信号を発生させる信号発
生器と、前記両極性信号の反転信号を発生させる反転信号発生器と、を含む信号発生手段
と、前記信号発生器から前記両極性信号を入力してその電圧振幅を小さくした信号を出力
する第1の電圧調整器と、前記反転信号発生器から前記反転信号を入力してその電圧振幅
を小さくした信号を出力する第2の電圧調整器と、を含む電圧調整手段と、前記両極性信
号の電圧振幅値(ΔV)よりも大きな絶対値を有する逆バイアス電圧(−Vb1)を供給
する第1のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅及び前記第2の
電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第2の逆バイアス電圧(−Vb2
)を供給する第2のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅及び前
記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第3の逆バイアス電圧(
−Vb3)を供給する第3のバイアス電圧供給部と、を有するバイアス電圧供給手段と、
を具備し、前記第1の高周波電極および前記第2の高周波電極に、それぞれ前記両極性信
号および前記反転信号と、前記第1のバイアス電圧供給部の前記第1の逆バイアス電圧(
−Vb1)とが重畳されて印加され、前記第3乃至第6の高周波電極には、前記第1また
は第2の高周波電極への電圧印加によって生じる光の吸収の大きさの差を前記第1および
第2のサブマッハツェンダ干渉計の出力光強度差で補償するように、前記第1および前記
第2の電圧調整器の出力および前記第2および前記第3の逆バイアス電圧(−Vb2,−
Vb3)が設定されて接続されている、ことを特徴とする2値光位相変調装置。
【0017】
(6)(1)または(2)に記載の2値光位相変調器と、両極性信号を発生させる信号発
生器と、前記両極性信号の反転信号を発生させる反転信号発生器と、を含む信号発生手段
と、前記信号発生器から前記両極性信号を入力してその電圧振幅を小さくした信号を出力
する第1の電圧調整器と、前記反転信号発生器から前記反転信号を入力してその電圧振幅
を小さくした信号を出力する第2の電圧調整器と、を含む電圧調整手段と、前記両極性信
号の電圧振幅値(ΔV)よりも大きな絶対値を有する第1の逆バイアス電圧(−Vb1)
を供給する第1のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅及び前記
第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第2の逆バイアス電圧(−
Vb2)を供給する第2のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅
及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第3の逆バイアス
電圧(−Vb3)を供給する第3のバイアス電圧供給部と、を有するバイアス電圧供給手
段と、を具備し、前記第1の高周波電極および前記第2の高周波電極に、それぞれ前記両
極性信号および前記反転信号と、前記第1のバイアス電圧供給部の前記第1の逆バイアス
電圧(−Vb1)とが重畳されて印加され、前記第3の高周波電極および前記第5の高周
波電極に、前記第1の電圧調整器の出力電圧が、それぞれ前記第2のバイアス電圧供給部
の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)および前記第3のバイアス電圧供給部の前記第
3の逆バイアス電圧(−Vb3)に重畳されて印加され、前記第4の高周波電極および前
記第6の高周波電極に、前記第2の電圧調整器の出力電圧が、それぞれ前記第3のバイア
ス電圧供給部の前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)および前記第2のバイアス電圧供
給部の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)に重畳されて印加され、前記第2の逆バイ
アス電圧(−Vb2)と前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)は、前記第3の高周波電
極または前記第5の高周波電極の印加電圧(−Vu)および前記第4の高周波電極または
前記第6の高周波電極の印加電圧(−Vl)間の同相条件を表す関係式(Vu=Vl)の
示す直線の近傍に設定され、前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)の絶対値が前記第3
の逆バイアス電圧(−Vb3)の絶対値よりも小さい(Vb2<Vb3)、ことを特徴と
する2値光位相変調装置。
【0018】
(7)(1)または(2)に記載の2値光位相変調器と、両極性信号を発生させる信号発
生器と、前記両極性信号の反転信号を発生させる反転信号発生器と、を含む信号発生手段
と、前記信号発生器から前記両極性信号を入力してその電圧振幅を小さくした信号を出力
する第1の電圧調整器と、前記反転信号発生器から前記反転信号を入力してその電圧振幅
を小さくした信号を出力する第2の電圧調整器と、を含む電圧調整手段と、前記両極性信
号の電圧振幅値(ΔV)よりも大きな絶対値を有する第1の逆バイアス電圧(−Vb1)
を供給する第1のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅及び前記
第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第2の逆バイアス電圧(−
Vb2)を供給する第2のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅
及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第3の逆バイアス
電圧(−Vb3)を供給する第3のバイアス電圧供給部と、を有するバイアス電圧供給手
段と、を具備し、前記第1の高周波電極および前記第2の高周波電極に、それぞれ前記両
極性信号および前記反転信号と、前記第1のバイアス電圧供給部の前記第1の逆バイアス
電圧(−Vb1)とが重畳されて印加され、前記第3の高周波電極および前記第5の高周
波電極に、前記第2の電圧調整器の出力電圧が、それぞれ前記第2のバイアス電圧供給部
の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)および前記第3のバイアス電圧供給部の前記第
3の逆バイアス電圧(−Vb3)に重畳されて印加され、前記第4の高周波電極および前
記第6の高周波電極に、前記第1の電圧調整器の出力電圧が、それぞれ前記第3のバイア
ス電圧供給部の前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)および前記第2のバイアス電圧供
給部の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)に重畳されて印加され、前記第2の逆バイ
アス電圧(−Vb2)と前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)は、前記第3の高周波電
極または前記第5の高周波電極の印加電圧(−Vu)および前記第4の高周波電極または
前記第6の高周波電極の印加電圧(−Vl)間の同相条件を表す関係式(Vu=Vl)の
示す直線の近傍に設定され、前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)の絶対値が前記第3
の逆バイアス電圧(−Vb3)の絶対値よりも大きい(Vb2>Vb3)、ことを特徴と
する2値光位相変調装置。
【0019】
(8)(5)乃至(7)の何れか1つに記載の2値光位相変調装置の一つと、(5)乃至
(7)の何れか1つに記載の2値光位相変調装置の他の一つと、入力した光を前記2値光
位相変調装置の一つの2値光位相変調器と前記2値光位相変調装置の他の一つの2値光位
相変調器の入力端に分波する入力光導波路と、前記2値光位相変調装置の一つの2値光位
相変調器と前記2値光位相変調装置の他の一つの2値光位相変調器の出力端からの光を合
波する出力光導波路と、前記2値光位相変調装置の一つの2値光位相変調器と前記2値光
位相変調装置の他の一つの2値光位相変調器の出力光の位相をπ/2だけ異ならせる位相
シフタと、を有することを特徴とする4値光位相変調装置。
【0020】
(9)(5)乃至(7)の何れか1つに記載の2値光位相変調装置の少なくとも一つを一
部に含むことを特徴とする16値以上の多値光位相変調装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半導体における光吸収に起因して生じる直交成分による周波数チャー
ピングの影響を低減することのできる光位相変調器および光位相変調装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光位相変調器であるDPSK光位相変調器の構成を示す模式的な平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器の変形例の構成を示す模式的な平面図(a)および正面図(b)である。
【図4】図3(a)のB−B’断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位相変調装置の模式的なブロック図である。
【図6】図5のDPSK光位相変調装置における、サブマッハツェンダ干渉計の上側サブアーム光導波路の高周波電極と下側サブアーム光導波路の高周波電極とに印加される逆バイアス電圧の関係を説明する図である。
【図7】信号発生器からの信号が変化した場合における、DPSK光位相変調装置の各部の状態(印加電圧等)の変化を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位相変調装置の動作を説明する図(表1)である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位相変調装置における、各アーム光導波路の電界および合成電界を極座標上に表示した図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位相変調装置の変形例を表した模式的なブロック図である。
【図11】図10のDPSK光位相変調装置における、サブマッハツェンダ干渉計の上側サブアーム光導波路の高周波電極と下側サブアーム光導波路の高周波電極とに印加される逆バイアス電圧の関係を説明する図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位相変調装置の変形例の動作を説明する図(表2)である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る光位相変調器であるDQPSK光位相変調器の構成を示す模式的な平面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るDQPSK光位相変調器を用いたDQPSK光位相変調装置の模式的なブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る多値光位相変調器である16QAM光位相変調器の構成を示す模式的な平面図である。
【図16】従来の2値光位相変調器の一例として、MZ変調器からなるDPSK光位相変調器を示した模式図である。
【図17】DPSK光位相変調器における位相変調の動作を説明するための説明図である。
【図18】従来のDQPSK光位相変調器の一例を示した模式図である。
【図19】DQPSK光位相変調器における位相変調の動作を説明するための説明図である。
【図20】半導体からなるDPSK光位相変調器における各アーム光導波路の電界および合成電界を極座標上に表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施の形態における光位相変調器および光位相変調装置について、図
面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示および説明の
簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る光位相変調器の構成を、図1を用いて説明する。図1は
、本発明の第1の実施形態に係る光位相変調器である2値光位相変調器の一例として、D
PSK光位相変調器の構成を示す模式的な平面図である。DPSK光位相変調器100は
、半導体基板上に形成され、光導波路は半導体層により構成される。DPSK光位相変調
器100は2本のメインアーム光導波路11a,11bを有するマッハツェンダ干渉計1
1からなり、各メインアーム光導波路11a,11bには、それぞれ第1の高周波電極1
1a1、第2の高周波電極11b1が設けられている。また、メインアーム光導波路11
aには、第1のサブアーム光導波路21aと第2のサブアーム光導波路21bからなるサ
ブマッハツェンダ干渉計21が設けられ、メインアーム光導波路11bには、第3のサブ
アーム光導波路22aと第4のサブアーム光導波路22bからなるサブマッハツェンダ干
渉計22が設けられている。第1のサブアーム光導波路21aには、第3の高周波電極2
1a1が形成され、第2のサブアーム光導波路21bには第4の高周波電極21b1が形
成され、第3のサブアーム光導波路22aには第5の高周波電極22a1が形成され、第
4のサブアーム光導波路22bには第6の高周波電極22b1が形成されている。
【0025】
第1のサブマッハツェンダ干渉計21の2つのサブアーム光導波路21a,21bは、
第3の高周波電極21a1および第4の高周波電極21b1に電圧を印加しない状態にお
ける使用波長(例えば1550nm)の伝搬光の位相差(初期位相差)が0となるように
光導波路形状が作製されており、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の各サブアーム光
導波路22a,22bについても、同様に、使用波長における初期位相差が0となるよう
に光導波路形状が作製されている。
【0026】
一方、第1のサブマッハツェンダ干渉計21が形成された第1のメインアーム光導波路
11aと、第2のサブマッハツェンダ干渉計22が形成された第2のメインアーム光導波
路11bは、全体として使用波長における初期位相差がπとなるように、光導波路の形状
が作製されている。
【0027】
次に、このDPSK光位相変調器100の製造方法について、図1のA−A’断面図で
ある図2を参照しながら説明する。DPSK光位相変調器100は、次のような方法で作
製される。まず、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical
Vapor Deposition:MOCVD)法により、n−InP基板5上にn−
InPクラッド層15、量子井戸構造(InGaAsP/InGaAsP)からなる活性
層16、p−InPクラッド層17、p−InGaAsPコンタクト層18をそれぞれ積
層する。その後、SiNx膜を全面に成膜したのち、フォトリソグラフィと反応性イオン
エッチング(Reactive Ion Etching:RIE)により、SiNxか
らなるマッハツェンダ干渉計導波路パターンを形成する。
【0028】
次に、このSiNxからなるマッハツェンダ干渉計導波路パターンをマスクとして、塩
素系のドライエッチング等により、活性層を貫通しn−InPクラッド層15に到達する
までエッチングを行い、ハイメサ半導体光導波路(Deep Ridge Semico
nductor Optical Waveguide)を形成する。さらに、電気的な
接触が必要なアームに相当する部分を除いて絶縁層19を形成し、アームの上面およびボ
ンディングパッド部分にp電極20を形成する。なお、上述した半導体光導波路はハイメ
サ構造としたが、ローメサ構造や埋め込み構造としてもよい。ローメサ構造は、活性層の
直上までエッチングを行うことで形成される。最後に、基板を厚さ120μm程度に研磨
した後、裏面にn電極(図示せず)を形成する。次にこの基板を素子分離したものが光位
相変調器100となる。
【0029】
(光位相変調器の変形例)
図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器の変形例の構成を
示す模式的な平面図、図3(b)は正面図である。
図3(a),(b)に示した変形例に係るDPSK光位相変調器200は、光導波路の
形状は図1に示したものと同様であるが、光導波路のうち第1乃至第6の高周波電極(1
1a1,11b1,21a1,21b1,22a1,22b1)が形成された領域2は半
導体光導波路により構成され、それ以外の領域3、4は、石英光導波路により構成されて
いる点で異なっている。本変形例では、図3(a)において、第1のメインアーム光導波
路11aおよび第2のメインアーム光導波路11bが、それぞれ第1のサブアーム光導波
路21aと第2のサブアーム光導波路21b、および第3のサブアーム光導波路22aと
第4のサブアーム光導波路22bに分岐した位置(第3乃至第6の高周波電極21a1,
21b1,22a1,22b1の手前の位置)と、第1のメインアーム光導波路11aと
第2のメインアーム光導波路11bとが合流する前の位置(第1および第2の高周波電極
11a1,11b1の後の位置)との間の領域2が半導体光導波路により構成され、それ
以外の領域3、4が石英光導波路により構成されている。
【0030】
図4は、図3の領域3中のB−B’断面図である。図4に示すように、石英光導波路は
、PLC基板(例えばシリコン基板)33と、このPLC基板33上に形成された石英か
らなる下部クラッド層34と、この下部クラッド層34上に形成された石英からなるコア
層36と、下部クラッド層34およびコア層36上に形成された石英からなる上部クラッ
ド層35とから構成されている。コア層36には、ゲルマニウムがドーピングされること
により、コア層36の屈折率はクラッド層34,35の屈折率よりも大きくなっている。
【0031】
次に、本変形例に係るDPSK光位相変調器の製造方法を説明する。DPSK光位相変
調器200のうち、半導体光導波路からなる領域2は、既述の方法により作製され、シリ
コンサブマウント6上にボンディングされる。
【0032】
一方、DPSK光位相変調器200のうち、石英光導波路からなる領域3、4は次のよ
うに作製される。まず、火炎堆積(Flame Hydrolysis Deposit
ion:FHD)法により、PLC基板(シリコン基板)33上に下部クラッド層34お
よびコア層36となるガラス粒子を堆積し、加熱してガラス膜を溶融透明化する。この後
、半導体集積回路製造技術であるフォトリソグラフィとRIEで所望の光導波路パターン
を形成し、再びFHD法により上部クラッド35を形成し、加熱して溶融透明化する。
【0033】
そして、PLC基板33上の石英光導波路とシリコンサブマウント6上の半導体光導波
路とをバットジョイント(突き合わせ)し、石英光導波路と半導体光導波路とをハイブリ
ッド集積する。位置合わせには、例えばPLC基板33上およびシリコンサブマウント6
上にあらかじめ形成した位置マーカーや、位置合わせ用の凹凸形状等を利用することによ
って、石英光導波路と半導体光導波路との位置合わせをパッシブ調芯により行う。
【0034】
なお、PLC基板33の厚さに比べて半導体基板5の厚さが薄いため,本変形例では,
半導体基板5上の半導体光導波路はシリコンサブマウント6上に固定し,PLC基板33
とシリコンサブマウント6とを接着することで十分な接合強度をとるようにしている。
【0035】
また、石英光導波路と半導体光導波路とでは導波モードのスポットサイズが一般的には
異なるため、両光導波路が結合する部分にスポットサイズ変換構造を設けて、石英光導波
路と半導体光導波路のスポットサイズを合わせておくと、より高い結合効率を得ることが
できる。
【0036】
本変形例による光位相変調器200では,半導体光導波路領域2の長さを短くできるた
めに、半導体での損失を低く抑えることができる。また、合分波器や光導波路は石英光導
波路の方がより精度良く作製が可能であり、半導体光導波路で作製する合分波器の数を最
小限に留めることにより、迷光などによる消光劣化や挿入損失の増加を低減させることが
可能である。
【0037】
なお、半導体光導波路により構成する領域2は、作製または位置合わせの容易さ等を考
慮して、光導波路が第1および第2のメインアーム光導波路11a,11bに分岐後、そ
れぞれ第1のサブアーム光導波路21aと第2のサブアーム光導波路21b、および第3
のサブアーム光導波路22aと第4のサブアーム光導波路22bに分岐する手前の位置と
、第1のメインアーム光導波路11aと第2のメインアーム光導波路11bとが合流する
前の位置(第1および第2の高周波電極11a1,11b1の後の位置)との間の領域と
してもよい。
【0038】
(光位相変調装置)
次に、本発明の第1の実施形態に係る2値光位相変調器を用いた2値光位相変調装置の
一例として、DPSK光位相変調装置について説明する。以下では、図1に示したDPS
K光位相変調器100を用いたDPSK光位相変調装置を示して説明するが、DPSK光
位相変調器100を図3に示したDPSK光位相変調器200でそのまま置き換えること
ができることはいうまでもない。
【0039】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位相
変調装置の模式的なブロック図である。図5に示すように、DPSK光位相変調装置10
0Aは、図1に示したDPSK光位相変調器100と、両極性信号を発生させる信号発生
器43と、信号発生器43の信号の極性を反転させた反転信号を発生させる反転信号発生
器44と、信号発生器43および反転信号発生器44の電圧信号振幅をそれぞれ減衰させ
る第1、第2の電圧調整器45、46と、第1乃至第3のバイアス電圧供給部51、52
、53と、を有する。
【0040】
図5において、信号発生器43は、伝送する信号の1/0に応じて電圧値が+ΔV/−
ΔV(ΔV>0)の電圧信号を発生するものであり、反転信号発生器44は、信号発生器
43の信号の極性を反転させた信号を発生させるものである。信号発生器43および反転
信号発生器44の出力電圧は、第1のバイアス電圧供給部51の逆バイアス電圧(−Vb
1)を重畳して、それぞれDPSK光位相変調器100の第1の高周波電極11a1およ
び第2の高周波電極11b1に供給されている。ここで、第1の高周波電極11a1,第
2の高周波電極11b1に加えられる電圧が信号が変化しても常に負電圧となるよう、V
b1>ΔVとなっている。
【0041】
第1の電圧調整器45は、信号発生器43から両極性信号を入力し、その振幅(ΔV)
を電圧減衰率αで減衰させて出力する。また、第2の電圧調整器46は、反転信号発生器
44から反転信号を入力し、その振幅(ΔV)を電圧減衰率βで減衰させて出力する。第
1の電圧調整器45の出力電圧(±αΔV)は、第2のバイアス電圧供給部52の供給す
る第2の逆バイアス電圧(−Vb2)を重畳して第3の高周波電極21a1に印加される
とともに、第3のバイアス電圧供給部53の供給する第3の逆バイアス電圧(−Vb3)
を重畳して第5の高周波電極22a1に印加されている。また、第2の電圧調整器46の
出力電圧(±βΔV)は、第3のバイアス電圧供給部53の供給する第3の逆バイアス電
圧(−Vb3)を重畳して第4の高周波電極21b1に印加されるとともに、第2のバイ
アス電圧供給部52の供給する第2の逆バイアス電圧(−Vb2)を重畳して第6の高周
波電極22b1に印加されている。なお、第3乃至第6の高周波電極(21a1,21b
1,22a1,22b1)に印加される電圧が常に負電圧であるよう、Vb2,Vb3>
αΔV,βΔVとなるように設定されている。第1および第2の電圧調整器45、46の
電圧減衰率α、βは、典型的には略同一の値とすればよいが、異なる場合を排除するもの
ではない。
【0042】
第1のサブマッハツェンダ干渉計21の第3および第4の高周波電極21a1,21b
1に加えられる逆バイアス電圧(−Vb2,−Vb3)、および第2のサブマッハツェン
ダ干渉計22の第5および第6の高周波電極22a1,22b1に加えられる逆バイアス
電圧(−Vb3,−Vb2)は、次のように設定される。
【0043】
すなわち、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の上下サブアーム光導波路21a,2
1bのバイアス点(Vb2,Vb3)および第2のサブマッハツェンダ干渉計22の上下
サブアーム光導波路22a,22bのバイアス点(Vb3,Vb2)は、図6に示すよう
に、Vuを上側サブアーム光導波路21a,22aの高周波電極21a1,22a1に印
加される電圧とし、Vlを下側サブアーム光導波路21b,22bの高周波電極21b1
,22b1に印加される電圧とした場合に、使用波長における初期位相差0で作製されて
いる第1および第2のサブマッハツェンダ干渉計21,22の上側サブアーム光導波路2
1a,22aおよび下側サブアーム光導波路21b,22bを伝搬する光の位相が同相と
なる条件:Vu=Vlの示す直線の近傍の対称の位置であって、Vb2<Vb3となるよ
うに選択されている。
【0044】
このとき、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の上下各サブアーム光導波路21a,
21bに加わる逆方向電圧(−Vu,−Vl)が、(−Vb2,−Vb3)を基点に第1
および第2の電圧調整器45、46を経て重畳される信号電圧(−αΔV,+βΔV)だ
け振れて同相条件を表す直線Vu=Vlに近づくとき(各サブアーム光導波路21a,2
1bの光電界が同相となるとき)には、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の上下各サ
ブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧は、(−Vb3,−Vb2)を基点
に第1および第2の電圧調整器45、46を経て重畳される信号電圧(−αΔV,+βΔ
V)だけ振れて同相条件を表す直線Vu=Vlから離れる(各サブアーム光導波路22a
,22bの光電界の位相が離れる)。逆に、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の上下
各サブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧(−Vu,−Vl)が、(−V
b3,−Vb2)を基点に第1および第2の電圧調整器45、46を経て重畳される信号
電圧(+αΔV,−βΔV)だけ振れて同相条件を表す直線Vu=Vlに近づくとき(各
サブアーム光導波路22a,22bの光電界が同相となるとき)には、第1のサブマッハ
ツェンダ干渉計21の上下各サブアーム光導波路21a,21bに加わる逆方向電圧は、
(−Vb2,−Vb3)を基点に第1および第2の電圧調整器45、46を経て重畳され
る信号電圧(+αΔV,−βΔV)だけ振れて同相条件を表す直線Vu=Vlから離れる
(各サブアーム光導波路21a,21bの光電界の位相が離れる)。
【0045】
次に、このDPSK光位相変調装置100Aの動作について、説明する。
図7は、信号発生器43からの信号が変化した場合における各部の状態(印加電圧等)
の変化を図示したものであり、また、図8は、DPSK光位相変調装置100Aの動作を
表にまとめたものである。
【0046】
まず、本実施形態例のDPSK位相変調装置において、位相“0”を表現する(図7(
i)、図8)ためには、信号発生器43の電圧出力を−ΔVとする。このとき、反転信号
発生器44の電圧出力は+ΔVであり、第1および第2の高周波電極11a1,11b1
には、第1のバイアス電圧供給部51により逆バイアス電圧(−Vb1)が重畳されて、
それぞれ−Vb1−ΔV,−Vb1+ΔVの電圧が印加される(図7(a),図7(b)
,図8)。この場合、第1のメインアーム光導波路11aに加わる逆方向電圧の方が第2
のメインアーム光導波路11bに加わる逆方向電圧よりも大きいので、第1のメインアー
ム光導波路11aにおける光吸収の方が、第2のメインアーム光導波路11bにおける光
吸収よりも大きくなる(図7(c),図7(d),図8)。
【0047】
一方、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサブマッハツェンダ干渉
計21の第3の高周波電極21a1には、第1の電圧調整器45(電圧減衰率α)および
第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2−αΔVの電圧が印加され、第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の第4の高周波電極21b1には、第2の電圧調整器46(
電圧減衰率β)および第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3+βΔVの電圧
が印加される(図8)。したがって、図6を参照すると、第1のサブマッハツェンダ干渉
計21の各サブアーム光導波路21a,21bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−Vl
)=(−Vb2,−Vb3)を基点として、同相条件:Vu=Vlに近づく方向に変化す
るので、各サブアーム光導波路21a,21bの光は合波されて強め合い、第1のサブマ
ッハツェンダ干渉計21の出力が大きくなる(図7(e),図8)。
【0048】
他方、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサブマッハツェンダ干渉
計22の第5の高周波電極22a1には、第1の電圧調整器45(電圧減衰率α)および
第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3−αΔVの電圧が印加され、第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の第6の高周波電極22b1には、第2の電圧調整器46(
電圧減衰率β)および第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2+βΔVの電圧
が印加される(図8)。したがって、図6を参照すると、第2のサブマッハツェンダ干渉
計22の各サブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−Vl
)=(−Vb3,−Vb2)を基点として、同相条件:Vu=Vlから離れる方向に変化
するので、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の出力が小さくなる(図7(f),図8
)。
【0049】
したがって、第1のメインアーム光導波路11aで生じている大きな光吸収による光強
度の低下が、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサブマッハツェンダ
干渉計21の出力が大きくなることによって補償され、光吸収が小さい第2のメインアー
ム光導波路11aの光強度が、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の出力が小さくなることによって補償される(図7(g),
図7(h))。
【0050】
次に、位相“π”を表現する(図7(i)、図8)ためには、信号発生器43の電圧出
力を+ΔVとする。このとき、反転信号発生器44の電圧出力は−ΔVであり、第1およ
び第2の高周波電極11a1,11b1には、第1のバイアス電圧供給部51により逆バ
イアス電圧(−Vb1)が重畳されて、それぞれ−Vb1+ΔV,−Vb1−ΔVの電圧
が印加される(図7(a),図7(b),図8)。この場合、第1のメインアーム光導波
路11aに加わる逆方向電圧の方が第2のメインアーム光導波路11bに加わる逆方向電
圧よりも小さいので、第1のメインアーム光導波路11aにおける光吸収の方が、第2の
メインアーム光導波路11bにおける光吸収よりも小さくなる(図7(c),図7(d)
,図8)。
【0051】
一方、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサブマッハツェンダ干渉
計21の第3の高周波電極21a1には、第1の電圧調整器45(電圧減衰率α)および
第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2+αΔVの電圧が印加され、第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の第4の高周波電極21b1には、第2の電圧調整器46(
電圧減衰率β)および第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3−βΔVの電圧
が印加される(図8)。したがって、図6を参照すると、第1のサブマッハツェンダ干渉
計21の各サブアーム光導波路21a,21bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−Vl
)=(−Vb2,−Vb3)を基点として、同相条件:Vu=Vlから離れる方向に変化
するので、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の出力が小さくなる(図7(e),図8
)。
【0052】
他方、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサブマッハツェンダ干渉
計22の第5の高周波電極22a1には、第1の電圧調整器45(電圧減衰率α)および
第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3+αΔVの電圧が印加され、第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の第6の高周波電極22b1には、第2の電圧調整器46(
電圧減衰率β)および第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2−βΔVの電圧
が印加される(図8)。したがって、図6を参照すると、第2のサブマッハツェンダ干渉
計22の各サブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−Vl
)=(−Vb3,−Vb2)を基点として、同相条件:Vu=Vlに近づく方向に変化す
るので、各サブアーム光導波路22a,22bの光は合波されて強め合い、第2のサブマ
ッハツェンダ干渉計22の出力が大きくなる(図7(f),図8)。
【0053】
したがって、第2のメインアーム光導波路11bで生じている大きな光吸収による光強
度の低下が、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサブマッハツェンダ
干渉計22の出力が大きくなることによって補償され、光吸収が小さい第1のメインアー
ム光導波路11aの光強度が、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の出力が小さくなることによって補償される(図7(g),
図7(h))。
【0054】
よって、“0”,“π”いずれの位相を表現する場合においても、第1または第2の高
周波電極11a1,11b1への電圧印加によって生じる光の吸収の大きさの差が、第1
および第2のサブマッハツェンダ干渉計21,22の出力光強度差で補償される。この結
果、両メインアーム光導波路11a,11bの光電界P11a,P11bの大きさが、第
1および第2の高周波電極11a1,11b1に加わる電圧の大きさに関わらずほぼ等し
くなり、これらの光電界の合成としての光電界P11における直交成分の発生が抑制され
る。この様子を図9に示す。したがって、信号発生器43の電圧信号を高速に変化させた
場合であっても、光電界P11の位相角の時間微分、すなわち周波数の帯域が広くなるこ
とが防止され、光ファイバの分散により伝送信号が劣化することが防止される。
【0055】
(光位相変調装置の変形例)
図10は、本発明の第1の実施形態に係るDPSK光位相変調器を用いたDPSK光位
相変調装置の変形例を表した模式的なブロック図である。図10に示した変形例のDPS
K光位相変調装置100Bは、図5に示したDPSK光位相変調器100Aと比較して、
第1および第2の電圧調整器45,46と第3乃至第6の高周波電極21a1,21b1
,22a1,22b1との結線状態、およびバイアス電圧Vb2とVb3の大小関係が異
なる。
【0056】
すなわち、本変形例では、第1の電圧調整器45の出力電圧(±αΔV)は、第3のバ
イアス電圧供給部53の供給する第3の逆バイアス電圧(−Vb3)を重畳して第4の高
周波電極21b1に印加されるとともに、第2のバイアス電圧供給部52の供給する第2
の逆バイアス電圧(−Vb2)を重畳して第6の高周波電極22b1に印加されている。
また、第2の電圧調整器46の出力電圧(±βΔV)は、第2のバイアス電圧供給部52
の供給する第2の逆バイアス電圧(−Vb2)を重畳して第3の高周波電極21a1に印
加されるとともに、第3のバイアス電圧供給部53の供給する第3の逆バイアス電圧(−
Vb3)を重畳して第5の高周波電極22a1に印加されている。
【0057】
また、本変形例では、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の第3および第4の高周波
電極21a1,21b1に加えられる逆バイアス電圧(−Vb2,−Vb3)、および第
2のサブマッハツェンダ干渉計22の第5および第6の高周波電極22a1,22b1に
加えられる逆バイアス電圧(−Vb3,−Vb2)は、次のように設定される。
【0058】
すなわち、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の上下サブアーム光導波路21a,2
1bのバイアス点(Vb2,Vb3)および第2のサブマッハツェンダ干渉計22の上下
サブアーム光導波路22a,22bのバイアス点(Vb3,Vb2)は、図11に示すよ
うに、Vuを上側サブアーム光導波路21a,22aの高周波電極21a1,22a1に
印加される電圧とし、Vlを下側サブアーム光導波路21b,22bの高周波電極21b
1,22b1に印加される電圧とした場合に、使用波長における初期位相差0で作製され
ている第1および第2のサブマッハツェンダ干渉計21,22の上側サブアーム光導波路
21a,22aおよび下側サブアーム光導波路21b,22bを伝搬する光の位相が同相
となる条件:Vu=Vlの示す直線の近傍の対称の位置であって、Vb2>Vb3となる
ように選択されている。
【0059】
このとき、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の上下各サブアーム光導波路21a,
21bに加わる逆方向電圧(−Vu,−Vl)が、(−Vb2,−Vb3)を基点に第1
および第2の電圧調整器45、46を経て重畳される信号電圧(+βΔV,−αΔV)だ
け振れて同相条件を表す直線Vu=Vlに近づくとき(各サブアーム光導波路21a,2
1bの光電界が同相となるとき)には、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の上下各サ
ブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧は、(−Vb3,−Vb2)を基点
に第1および第2の電圧調整器45、46を経て重畳される信号電圧(+βΔV,−αΔ
V)だけ振れて同相条件を表す直線Vu=Vlから離れる(各サブアーム光導波路22a
,22bの光電界の位相が離れる)。逆に、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の上下
各サブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧(−Vu,−Vl)が、(−V
b3,−Vb2)を基点に第1および第2の電圧調整器45、46を経て重畳される信号
電圧(−βΔV,+αΔV)だけ振れて同相条件を表す直線Vu=Vlに近づくとき(各
サブアーム光導波路22a,22bの光電界が同相となるとき)には、第1のサブマッハ
ツェンダ干渉計21の上下各サブアーム光導波路21a,21bに加わる逆方向電圧は、
(−Vb2,−Vb3)を基点に第1および第2の電圧調整器45、46を経て重畳され
る信号電圧(−βΔV,+αΔV)だけ振れて同相条件を表す直線Vu=Vlから離れる
(各サブアーム光導波路21a,21bの光電界の位相が離れる)。
【0060】
次に、本変形例に係るDPSK光位相変調装置100Bの動作を、図6に替えて図11
を、図8に替えて図12を用いて説明する。
【0061】
図12は、DPSK光位相変調装置100Bの動作を表にまとめたものである。
まず、本実施形態例のDPSK位相変調装置において、位相“0”を表現する(図7(
i)、12)ためには、信号発生器43の電圧出力を−ΔVとする。このとき、反転信号
発生器44の電圧出力は+ΔVであり、第1および第2の高周波電極11a1,11b1
には、第1のバイアス電圧供給部51により逆バイアス電圧(−Vb1)が重畳されて、
それぞれ−Vb1−ΔV,−Vb1+ΔVの電圧が印加される(図7(a),図7(b)
,図12)。この場合、第1のメインアーム光導波路11aに加わる逆方向電圧の方が第
2のメインアーム光導波路11bに加わる逆方向電圧よりも大きいので、第1のメインア
ーム光導波路11aにおける光吸収の方が、第2のメインアーム光導波路11bにおける
光吸収よりも大きくなる(図7(c),図7(d),図12)。
【0062】
一方、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサブマッハツェンダ干渉
計21の第3の高周波電極21a1には、第2の電圧調整器46(電圧減衰率β)および
第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2+βΔVの電圧が印加され、第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の第4の高周波電極21b1には、第1の電圧調整器45(
電圧減衰率α)および第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3−αΔVの電圧
が印加される(図12)。したがって、図11を参照すると、第1のサブマッハツェンダ
干渉計21の各サブアーム光導波路21a,21bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−
Vl)=(−Vb2,−Vb3)を基点として、同相条件:Vu=Vlに近づく方向に変
化するので、各サブアーム光導波路21a,21bの光は合波されて強め合い、第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の出力が大きくなる(図7(e),図12)。
【0063】
他方、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサブマッハツェンダ干渉
計22の第5の高周波電極22a1には、第2の電圧調整器46(電圧減衰率β)および
第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3+βΔVの電圧が印加され、第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の第6の高周波電極22b1には、第1の電圧調整器45(
電圧減衰率α)および第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2−αΔVの電圧
が印加される(図12)。したがって、図11を参照すると、第2のサブマッハツェンダ
干渉計22の各サブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−
Vl)=(−Vb3,−Vb2)を基点として、同相条件:Vu=Vlから離れる方向に
変化するので、第2のサブマッハツェンダ干渉計22の出力が小さくなる(図7(f),
図12)。
【0064】
したがって、第1のメインアーム光導波路11aで生じている大きな光吸収による光強
度の低下が、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサブマッハツェンダ
干渉計21の出力が大きくなることによって補償され、光吸収が小さい第2のメインアー
ム光導波路11aの光強度が、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の出力が小さくなることによって補償される(図7(g),
図7(h))。
【0065】
次に、位相“π”を表現する(図7(i)、図12)ためには、信号発生器43の電圧
出力を+ΔVとする。このとき、反転信号発生器44の電圧出力は−ΔVであり、第1お
よび第2の高周波電極11a1,11b1には、第1のバイアス電圧供給部51により逆
バイアス電圧(−Vb1)が重畳されて、それぞれ−Vb1+ΔV,−Vb1−ΔVの電
圧が印加される(図7(a),7(b),12)。この場合、第1のメインアーム光導波
路11aに加わる逆方向電圧の方が第2のメインアーム光導波路11bに加わる逆方向電
圧よりも小さいので、第1のメインアーム光導波路11aにおける光吸収の方が、第2の
メインアーム光導波路11bにおける光吸収よりも小さくなる(図7(c),図7(d)
,図12)。
【0066】
一方、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサブマッハツェンダ干渉
計21の第3の高周波電極21a1には、第2の電圧調整器46(電圧減衰率β)および
第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2−βΔVの電圧が印加され、第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の第4の高周波電極21b1には、第1の電圧調整器45(
電圧減衰率α)および第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3+αΔVの電圧
が印加される(図12)。したがって、図11を参照すると、第1のサブマッハツェンダ
干渉計21の各サブアーム光導波路21a,21bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−
Vl)=(−Vb2,−Vb3)を基点として、同相条件:Vu=Vlから離れる方向に
変化するので、第1のサブマッハツェンダ干渉計21の出力が小さくなる(図7(e),
図12)。
【0067】
他方、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサブマッハツェンダ干渉
計22の第5の高周波電極22a1には、第2の電圧調整器46(電圧減衰率β)および
第3のバイアス電圧供給部53を介して、−Vb3−βΔVの電圧が印加され、第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の第6の高周波電極22b1には、第1の電圧調整器45(
電圧減衰率α)および第2のバイアス電圧供給部52を介して、−Vb2+αΔVの電圧
が印加される(図12)。したがって、図11を参照すると、第2のサブマッハツェンダ
干渉計22の各サブアーム光導波路22a,22bに加わる逆方向電圧は、(−Vu,−
Vl)=(−Vb3,−Vb2)を基点として、同相条件:Vu=Vlに近づく方向に変
化するので、各サブアーム光導波路22a,22bの光は合波されて強め合い、第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計22の出力が大きくなる(図7(f),図12)。
【0068】
したがって、第2のメインアーム光導波路11bで生じている大きな光吸収による光強
度の低下が、第2のメインアーム光導波路11bに設けられた第2のサブマッハツェンダ
干渉計22の出力が大きくなることによって補償され、光吸収が小さい第1のメインアー
ム光導波路11aの光強度が、第1のメインアーム光導波路11aに設けられた第1のサ
ブマッハツェンダ干渉計21の出力が小さくなることによって補償される(図7(g),
図7(h))。
【0069】
よって、“0”,“π”いずれの位相を表現する場合においても、第1または第2の高
周波電極11a1,11b1への電圧印加によって生じる光の吸収の差が、第1および第
2のサブマッハツェンダ干渉計21,22の出力光強度差で補償される。この結果、両メ
インアーム光導波路11a,11bの光電界P11a,P11bの大きさが、第1および
第2の高周波電極11a1,11b1に加わる電圧の大きさに関わらずほぼ等しくなり、
これらの光電界の合成としての光電界P11における直交成分の発生が抑制される。この
様子を図9に示す。したがって、信号発生器43の電圧信号を高速に変化させた場合であ
っても、光電界P11の位相角の時間微分、すなわち周波数の帯域が広くなることが防止
され、光ファイバの分散により伝送信号が劣化することが防止される。
【0070】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る光位相変調器の構成を、図13を用いて説明する。図1
3は、本発明の第2の実施形態に係る光位相変調器である4値光位相変調器の一例として
、DQPSK光位相変調器の構成を示す模式的な平面図である。図13に示すように、D
QPSK光位相変調器300は、第1の実施形態の変形例として説明したDPSK光位相
変調器200の2つ(200−1,200−2)が、分岐光導波路31、合流光導波路3
2を用いて並列に接続されており、分岐光導波路31の一方の枝には、通過光の位相をπ
/2だけずらす位相シフタ30が配置されている。なお、位相シフタ30は、合流光導波
路32の一方の枝に設けられていてもよい。
【0071】
DQPSK光位相変調器300のうち、DPSK光位相変調器200−1のメインマッ
ハツェンダ干渉計11の第1乃至第6の高周波電極11a1,11b1,21a1,21
b1,22a1,22b1、およびDPSK光位相変調器200−2のメインマッハツェ
ンダ干渉計11の第1乃至第6の高周波電極11a1,11b1,21a1,21b1,
22a1,22b1が形成された領域2は半導体光導波路により構成されており、分岐光
導波路31と合流光導波路32を含むそれ以外の領域3、4は、石英光導波路により構成
されている。これにより、半導体光導波路領域2の長さを短くできるために、半導体での
損失を低く抑えることができる。また、合分波器や光導波路は石英光導波路の方がより精
度良く作製が可能であり、半導体光導波路で作製する合分波器の数を最小限に留めること
により、迷光などによる消光劣化や挿入損失の増加を低減させることが可能である。
【0072】
なお、上記実施形態例では、石英光導波路領域3、4を有する図3に示したDPSK光
位相変調器200を2つ並列に配置した例を示したが、図1に示した半導体光導波路のみ
からなるDPSK光位相変調器100を2つ並列に配置してもよい。
【0073】
(光位相変調装置)
次に、本発明の第2の実施形態に係る4値光位相変調器を用いた4値光位相変調装置に
ついて説明する。図14は、本発明の第2の実施形態に係る4値光位相変調装置の一例と
して、DQPSK光位相変調器を用いたDQPSK光位相変調装置の模式的なブロック図
を示したものである。図14に示すように、DQPSK光位相変調装置300Aは、DQ
PSK光位相変調器300中のDPSK光位相変調器200−1、200−2のそれぞれ
について信号発生器、反転信号発生器、第1および第2の電圧調整器、第1乃至第3のバ
イアス電圧供給部を用意し、これらを、図5に示したように配線したものである。換言す
れば、DQPSK光位相変調装置300Aは、図3に示したDPSK光位相変調器200
を用いたDPSK光位相変調装置を2台用意し、各DPSK光位相変調器200−1、2
00−2を、分岐光導波路31、合流光導波路32を用いて並列に接続したものである。
なお、DQPSK光位相変調器300中のDPSK光位相変調器200−1、200−2
の一方または双方について、図10に示したような配線を施してもよいことはいうまでも
ない。
【0074】
このDQPSK光位相変調装置300AのDPSK光位相変調器200−1においては
、第1実施形態で説明したように、第1および第2のサブマッハツェンダ干渉計21,2
2により第1および第2の高周波電極11a1,11b1への印加電圧の差による直交電
界成分の発生を抑制しつつ、信号発生器43の信号に応じて“0”,“π”の2値で光位
相変調が行われる。また、π/2位相シフタ30が接続されたDPSK光位相変調器20
0−2においても同様に、第1および第2のサブマッハツェンダ干渉計21,22により
第1および第2の高周波電極11a1,11b1への印加電圧の差による直交電界成分の
発生を抑制しつつ、信号発生器47の信号に応じて“π/2”,“3π/2”の2値で、
それぞれ光位相変調がされる。DQPSK光位相変調装置300Aは、これらの光を合波
することによって、“π/4”,“3π/4”,“5π/4”,“7π/4”の位相を持
った光を出力する。
【0075】
したがって、信号発生器43、47の電圧信号を高速に変化させた場合であっても、合
成光の電界の位相角の時間微分、すなわち周波数の帯域が広くなることが防止され、光フ
ァイバの分散により伝送信号が劣化することが防止される。
【0076】
(第3実施形態)
本発明の光位相変調器または光位相変調装置は、第2実施形態で説明した4値の位相変
調(DQPSK)よりもさらに高次の多値光変調にも、次のように一般化して適用できる

【0077】
すなわち、2分岐の分波器をn段(nは自然数)縦続接続して2個の分岐端を有する
分岐光導波路を形成し、当該2個の分岐端に2個の2値光位相変調器または2値光位
相変調装置を並列に接続する。そして、当該2個の2値光位相変調器または2値光位相
変調装置の出力端に、2分岐の合流器をn段縦続接続してなる合流光導波路を接続して、
すべての2値光位相変調器または2値光位相変調装置の出力光を合波する。分岐光導波路
または合流光導波路の最後の分岐端には、一つおきにπ/2位相シフタを設ける。ここで
、上記2個の2値光位相変調器または2値光位相変調装置のうち、電圧印加による光の
吸収によって生じる直交成分が問題となるものについては、第1の実施形態で説明した2
値光位相変調器100,200等または2値光位相変調装置100A,100B等を適用
する。
【0078】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る光位相変調器である16QAM光位相変調器
の構成を示す模式的な平面図であって、n=2の場合に相当する。図15に示すように、
光位相変調器400は、2分岐の分波器31a,31bが2段縦続接続されて2(=4
)個の分岐端を有する分岐光導波路31と、各分岐端に並列に接続された4つのDPSK
光位相変調器200−1,200−2,11−1,11−2と、2分岐の合流器32a,
32bが2段縦続接続されてなる合流光導波路32と、π/2位相シフタ30a,30b
とを有する。ここで、上2つのDPSK光位相変調器200−1,200−2には、大き
な信号電圧が加わるために半導体の光吸収による直交電界成分が問題となることから、本
発明の第1の実施形態のDPSK光位相変調器200を適用し、下2つのDPSK光位相
変調器11−1,11−2には、大きな信号電圧が加わらないので半導体の光吸収のよる
直交電界成分が問題とならないことから、サブマッハツェンダ干渉計21,22を具備し
ないDPSK光位相変調器を適用する。
【0079】
この光位相変調器400は、高周波電極がある領域2は半導体光導波路で構成し、分岐
光導波路31と合流光導波路32を含む他の領域3,4は石英光導波路で構成されている
。これにより、半導体光導波路領域2の長さを短くできるために、半導体での損失を低く
抑えることができる。また、合分波器や光導波路は石英光導波路の方がより精度良く作製
が可能であり、半導体光導波路で作製する合分波器の数を最小限に留めることにより、迷
光などによる消光劣化や挿入損失の増加を低減させることが可能である。
なお、上記にかかわらず、すべての領域を半導体光導波路で構成してもよい。
【0080】
図が複雑になるため省略するが、この16QAM光位相変調器400では、DPSK光
位相変調器200−1,200−2については図5または図10に示したような配線がさ
れ、DPSK光位相変調器11−1,11−2については、従来どおりの配線がなされる
ことにより、16QAM光位相変調装置400Aが構成できる。16QAM光位相変調装
置400Aは、その一部にDPSK光位相変調器200−1,200−2を用いたDPS
K光位相変調装置を含んでおり、このDPSK光位相変調器200−1,200−2を用
いたDPSK光位相変調装置では、第1実施形態で説明したように、第1および第2のサ
ブマッハツェンダ干渉計21,22により第1および第2の高周波電極11a1,11b
1への印加電圧の差による直交電界成分の発生を抑制しつつ、光位相変調が行われる。一
方、従来のDPSK光位相変調器11−1,11−2を用いたDPSK光位相変調装置は
、所定の逆バイアス電圧を中心に小さな信号電圧で駆動され、小さな電界振幅の光を出力
する。
【0081】
これら4つのDPSK光位相変調装置は、図15に示すように各DPSK光位相変調器
が分岐光導波路31および合流光導波路32並びに位相シフタ30a,30bを用いて並
列に接続されているので、16QAM光位相変調装置400Aは、16種の振幅・位相の
組合せを有する光を出力する。
【0082】
したがって、信号発生器の電圧信号を高速に変化させた場合であっても、位相角の時間
微分、すなわち周波数の帯域が広くなることが防止され、光ファイバの分散により伝送信
号が劣化することが防止される。
【0083】
なお、本発明の特許請求の範囲にいう2値光位相変調器または2値光位相変調装置は、
4値以上の多値光位相変調器または多値光位相変調装置(DQPSK,16QAM,25
6QAM等)の一部として集積され作動する場合を含むものとして解釈される。
【符号の説明】
【0084】
2 半導体光導波路領域
4 石英光導波路領域
5 n−InP基板
6 シリコンサブマウント
11,11−1,11−2 メインマッハツェンダ干渉計(MZ変調器)
11a,11b メインアーム光導波路
11a1 第1の高周波電極
11b1 第2の高周波電極
15 n−InPクラッド層
16 活性層
17 p−InPクラッド層
18 p−InGaAsPコンタクト層
19 絶縁層
20 p電極
21,22 サブマッハツェンダ干渉計
21a,21b,22a,22b サブアーム光導波路
21a1 第3の高周波電極
21b1 第4の高周波電極
22a1 第5の高周波電極
22b1 第6の高周波電極
30,30a,30b π/2位相シフタ
31 分岐光導波路
31a、31b 分波器
32 合流光導波路
32a,32b 合流器
33 PLC基板
34 下部クラッド層
35 上部クラッド層
36 コア層
43、47 信号発生器
44、48 反転信号発生器
45、49 第1の電圧調整器
46、50 第2の電圧調整器
51、54 第1のバイアス電圧供給部
52、55 第2のバイアス電圧供給部
53、56 第3のバイアス電圧供給部
100、200、200−1、200−2 DPSK光位相変調器
100A、100B DPSK光位相変調装置
300 DQPSK光位相変調器
300A DQPSK光位相変調装置
400 16QAM光位相変調器
400A 16QAM光位相変調装置
P11,P11a,P11b 光電界
P11−1a,P11−1b,P11−1 光電界
P11−2a,P11−2b,P11−2 光電界
V11a,V11b 印加電圧
Vb バイアス電圧
ΔV 信号電圧振幅(=Vpp/2)
Vb1 第1のバイアス電圧
Vb2 第2のバイアス電圧
Vb3 第3のバイアス電圧
α 第1の電圧調整器の電圧減衰率
β 第2の電圧調整器の電圧減衰率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1の高周波電極および第2の高周波電極を有し使用波長における初期位相差
がπである第1のメインアーム光導波路及び第2のメインアーム光導波路を有するメイン
マッハツェンダ干渉計と、
前記第1のメインアーム光導波路に形成され、それぞれ第3の高周波電極および第4の
高周波電極を有する使用波長における初期位相差が0である第1のサブアーム光導波路お
よび第2のサブアーム光導波路を有する第1のサブマッハツェンダ干渉計と、
前記第2のメインアーム光導波路に形成され、それぞれ第5の高周波電極および第6の
高周波電極を有する使用波長における初期位相差が0である第3のサブアーム光導波路お
よび第4のサブアーム光導波路を有する第2のサブマッハツェンダ干渉計と、
を有し、
前記第1、第2のメインアーム光導波路および前記第1乃至第4のサブアーム光導波路の
うち、少なくとも前記第1乃至第6の高周波電極が形成された部分が半導体基板上に形成
された半導体光導波路からなる2値光位相変調器。
【請求項2】
前記第1乃至第6の高周波電極が形成された部分以外の部分は、基板上に形成された石
英光導波路を含み、
前記半導体光導波路と前記石英光導波路は、端面で突き合わせて光結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の2値光位相変調器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の2値光位相変調器の一つと、
請求項1または2に記載の2値光位相変調器の他の一つと、
入力した光を前記2値光位相変調器の一つと前記2値光位相変調器の他の一つの入力端
に分波する入力光導波路と、
前記2値光位相変調器の一つと前記2値光位相変調器の他の一つの出力端からの光を合
波する出力光導波路と、
前記2値光位相変調器の一つと前記2値光位相変調器の他の一つの出力光の位相をπ/
2だけ異ならせる位相シフタと、
を有することを特徴とする4値光位相変調器。
【請求項4】
2分岐分波器がn(nは自然数)段縦続接続されてなる分岐光導波路と、
前記分岐光導波路の分岐端に並列に接続された2個の2値光位相変調器と、
前記2個の2値光位相変調器の出力端に接続された、2分岐合波器がn段縦続接続され
てなる合流光導波路と、
を有し、
前記2個の2値光位相変調器のうち、少なくとも一つが請求項1または2に記載の2
値光位相変調器であることを特徴とする多値光位相変調器。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の2値光位相変調器と、
両極性信号を発生させる信号発生器と、前記両極性信号の反転信号を発生させる反転信
号発生器と、を含む信号発生手段と、
前記信号発生器から前記両極性信号を入力してその電圧振幅を小さくした信号を出力す
る第1の電圧調整器と、前記反転信号発生器から前記反転信号を入力してその電圧振幅を
小さくした信号を出力する第2の電圧調整器と、を含む電圧調整手段と、
前記両極性信号の電圧振幅値(ΔV)よりも大きな絶対値を有する逆バイアス電圧(−
Vb1)を供給する第1のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電圧振幅
及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第2の逆バイアス
電圧(−Vb2)を供給する第2のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力
電圧振幅及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第3の逆
バイアス電圧(−Vb3)を供給する第3のバイアス電圧供給部と、を有するバイアス電
圧供給手段と、
を具備し、
前記第1の高周波電極および前記第2の高周波電極に、それぞれ前記両極性信号および
前記反転信号と、前記第1のバイアス電圧供給部の前記第1の逆バイアス電圧(−Vb1
)とが重畳されて印加され、
前記第3乃至第6の高周波電極には、前記第1または第2の高周波電極への電圧印加に
よって生じる光の吸収の大きさの差を前記第1および第2のサブマッハツェンダ干渉計の
出力光強度差で補償するように、前記第1および前記第2の電圧調整器の出力および前記
第2および前記第3の逆バイアス電圧(−Vb2,−Vb3)が設定されて接続されてい
る、
ことを特徴とする2値光位相変調装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の2値光位相変調器と、
両極性信号を発生させる信号発生器と、前記両極性信号の反転信号を発生させる反転信
号発生器と、を含む信号発生手段と、
前記信号発生器から前記両極性信号を入力してその電圧振幅を小さくした信号を出力す
る第1の電圧調整器と、前記反転信号発生器から前記反転信号を入力してその電圧振幅を
小さくした信号を出力する第2の電圧調整器と、を含む電圧調整手段と、
前記両極性信号の電圧振幅値(ΔV)よりも大きな絶対値を有する第1の逆バイアス電
圧(−Vb1)を供給する第1のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電
圧振幅及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第2の逆バ
イアス電圧(−Vb2)を供給する第2のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器
の出力電圧振幅及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第
3の逆バイアス電圧(−Vb3)を供給する第3のバイアス電圧供給部と、を有するバイ
アス電圧供給手段と、
を具備し、
前記第1の高周波電極および前記第2の高周波電極に、それぞれ前記両極性信号および
前記反転信号と、前記第1のバイアス電圧供給部の前記第1の逆バイアス電圧(−Vb1
)とが重畳されて印加され、
前記第3の高周波電極および前記第5の高周波電極に、前記第1の電圧調整器の出力電
圧が、それぞれ前記第2のバイアス電圧供給部の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)
および前記第3のバイアス電圧供給部の前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)に重畳さ
れて印加され、
前記第4の高周波電極および前記第6の高周波電極に、前記第2の電圧調整器の出力電
圧が、それぞれ前記第3のバイアス電圧供給部の前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)
および前記第2のバイアス電圧供給部の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)に重畳さ
れて印加され、
前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)と前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)は、
前記第3の高周波電極または前記第5の高周波電極の印加電圧(−Vu)および前記第4
の高周波電極または前記第6の高周波電極の印加電圧(−Vl)間の同相条件を表す関係
式(Vu=Vl)の示す直線の近傍に設定され、前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)
の絶対値が前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)の絶対値よりも小さい(Vb2<Vb
3)、
ことを特徴とする2値光位相変調装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の2値光位相変調器と、
両極性信号を発生させる信号発生器と、前記両極性信号の反転信号を発生させる反転信
号発生器と、を含む信号発生手段と、
前記信号発生器から前記両極性信号を入力してその電圧振幅を小さくした信号を出力す
る第1の電圧調整器と、前記反転信号発生器から前記反転信号を入力してその電圧振幅を
小さくした信号を出力する第2の電圧調整器と、を含む電圧調整手段と、
前記両極性信号の電圧振幅値(ΔV)よりも大きな絶対値を有する第1の逆バイアス電
圧(−Vb1)を供給する第1のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器の出力電
圧振幅及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第2の逆バ
イアス電圧(−Vb2)を供給する第2のバイアス電圧供給部と、前記第1の電圧調整器
の出力電圧振幅及び前記第2の電圧調整器の出力電圧振幅よりも大きな絶対値を有する第
3の逆バイアス電圧(−Vb3)を供給する第3のバイアス電圧供給部と、を有するバイ
アス電圧供給手段と、
を具備し、
前記第1の高周波電極および前記第2の高周波電極に、それぞれ前記両極性信号および
前記反転信号と、前記第1のバイアス電圧供給部の前記第1の逆バイアス電圧(−Vb1
)とが重畳されて印加され、
前記第3の高周波電極および前記第5の高周波電極に、前記第2の電圧調整器の出力電
圧が、それぞれ前記第2のバイアス電圧供給部の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)
および前記第3のバイアス電圧供給部の前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)に重畳さ
れて印加され、
前記第4の高周波電極および前記第6の高周波電極(22b1)に、前記第1の電圧調
整器の出力電圧が、それぞれ前記第3のバイアス電圧供給部の前記第3の逆バイアス電圧
(−Vb3)および前記第2のバイアス電圧供給部の前記第2の逆バイアス電圧(−Vb
2)に重畳されて印加され、
前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)と前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)は、
前記第3の高周波電極または前記第5の高周波電極の印加電圧(−Vu)および前記第4
の高周波電極または前記第6の高周波電極の印加電圧(−Vl)間の同相条件を表す関係
式(Vu=Vl)の示す直線の近傍に設定され、前記第2の逆バイアス電圧(−Vb2)
の絶対値が前記第3の逆バイアス電圧(−Vb3)の絶対値よりも大きい(Vb2>Vb
3)、
ことを特徴とする2値光位相変調装置。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか1つに記載の2値光位相変調装置の一つと、
請求項5乃至7の何れか1つに記載の2値光位相変調装置の他の一つと、
入力した光を前記2値光位相変調装置の一つの2値光位相変調器と前記2値光位相変調
装置の他の一つの2値光位相変調器の入力端に分波する入力光導波路と、
前記2値光位相変調装置の一つの2値光位相変調器と前記2値光位相変調装置の他の一
つの2値光位相変調器の出力端からの光を合波する出力光導波路と、
前記2値光位相変調装置の一つの2値光位相変調器と前記2値光位相変調装置の他の一
つの2値光位相変調器の出力光の位相をπ/2だけ異ならせる位相シフタと、
を有することを特徴とする4値光位相変調装置。
【請求項9】
請求項5乃至7の何れか1つに記載の2値光位相変調装置の少なくとも一つを一部に含
むことを特徴とする16値以上の多値光位相変調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−22390(P2011−22390A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167703(P2009−167703)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】