説明

光制御板の製造方法

【課題】凹凸形状を一側面に有する光制御板をより効率的に製造可能な光制御板の製造方法を提供する。
【解決手段】光制御板の製造方法では、押出し成形で形成した樹脂シートの一側面に形状ロールを利用して凹凸形状を付形して検査用光制御板1を得て、検査用光制御板の凹凸形状が許容範囲内か否かを検査する。許容範囲内の場合、凹凸形状を有する樹脂シートを分割して光制御板とし、許容範囲内でない場合、形状ロールの温度及び樹脂シートの搬送速度の少なくとも一方を調整する。検査用光制御板を検査する工程では、凹凸形状の形成側と形成されていない側からそれぞれ光を入射した場合の第1及び第2の全光線透過率の少なくとも一方で規定されており凹凸形状を示す指標を取得し、基準光制御板に対する指標に基づいて、検査用光制御板に対する指標から、検査用光制御板の凹凸形状を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御板を製造する方法に関し、詳しくは、片面に凹凸形状が形成された光制御板を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入射する光を均一に出射させるための光学部品として光拡散板といった光制御板がある。光制御板としては、近年、表面に微細な凹凸を形成し、出射光の均一化を図ったものが知られている。このような光制御板においては、当該凹凸の形状によって出射性能が変化する。このため、光制御板を製造する過程では、形成された凹凸形状が所望の凹凸形状となっているか否かの検査が行われる必要がある。
【0003】
凹凸形状を検査する方法として、例えば特許文献1(特開2007−270132号公報)には、水平力顕微鏡を用いて光学シートに形成された凹凸形状を測定する方法が記載されている。また、例えば特許文献2(特開平10−119096号公報)には、レーザ顕微鏡によって金型及び成形品の2次元平面像と3次元立体像とをそれぞれ取得し、これらの像から金型側の凹部の容積と成形品の凸部の容積とを算出し、凹凸形状を取得する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−270132号公報
【特許文献2】特開平10−119096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示された方法では、光制御板に形成された凹凸形状を顕微鏡で観察するために、凹凸形状の検査対象となる光制御板の試験断面片を用意する必要がある。また、光制御板は透明部材であることが多いので、当該形状を顕微鏡で明確に把握するために着色をする等の工夫が必要であり手間を要する。その結果、所望の凹凸形状を有する光制御板の製造時間が長くなる傾向にあった。
【0006】
そこで、本発明は、凹凸形状を一側面に有する光制御板をより効率的に製造可能な光制御板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光制御板の製造方法は、押出し成形によって樹脂シートを形成する樹脂シート形成工程と、一方向に延びる複数の凸部又は凹部から構成される凹凸形状を、樹脂シートの一側面に付形する凹凸形状付形工程と、凹凸形状が付形された樹脂シートから検査用光制御板を準備する検査用光制御板準備工程と、検査用光制御板の凹凸形状が、所望の凹凸形状に対する許容範囲内か否かを検査する検査工程と、検査用光制御板の凹凸形状が許容範囲内である場合に、凹凸形状付形工程で凹凸形状が付形された樹脂シートを分割して光制御板を得るシート分割工程と、検査用光制御板の凹凸形状が許容範囲内でない場合に、凹凸形状付形工程における凹凸形状を付形するための付形条件を調整する条件調整工程と、を備え、凹凸形状付形工程では、所望の凹凸形状の反対型が表面に形成された形状ロールに樹脂シートの一側面を密着させて搬送することによって、凹凸形状を樹脂シートに形成し、条件調整工程では、形状ロールの温度及び樹脂シートの搬送速度の少なくとも一方を調整し、検査工程は、以下の取得工程及び評価工程を有する。
【0008】
上記取得工程は、凹凸形状が形成されている側から光を入射した場合の第1の全光線透過率及び凹凸形状が形成されている側と反対側から光を入射した場合の第2の全光線透過率の少なくとも一方を検査用光制御板に対して測定して、第1及び第2の全光線透過率の少なくとも一方で規定されており凹凸形状を示す指標を取得する工程である。上記評価工程は、凹凸形状が既知である基準光制御板に対して予め取得した凹凸形状を示す指標に基づいて、取得工程で得られた指標から、検査用光制御板の凹凸形状を評価する工程である。
【0009】
この光制御板の製造方法では、押出し成形により形成された樹脂シートに形状ロールを用いて凹凸形状を付形する。次に、凹凸形状が付形された樹脂シートから検査用光制御板を準備し、検査用光制御板の凹凸形状が、所望の凹凸形状からの許容範囲内か否かを検査する。この検査では、第1及び第2の全光線透過率の少なくとも一方を測定することにより凹凸形状を示す指標を取得し、光制御板の凹凸形状を検査する。樹脂シートに付形された凹凸形状が、上記許容範囲内である場合には、凹凸形状が形成された樹脂シートを分割して光制御板とする。また、樹脂シートに付形された凹凸形状が、上記許容範囲内にない場合には、形状ロールの温度及び樹脂シートの搬送速度の少なくとも一方を調整した後、樹脂シートに凹凸形状を付形する。この製造方法では、上述した指標を規定すべき第1及び第2の全光線透過率は、例えば透過率計等を用いて容易に測定することができるので、検査用光制御板の検査に要する時間を短縮できる。そのため、光制御板を効率的に製造することができる。
【0010】
また、本発明に係る光制御板の製造方法では、形状ロールから樹脂シートが剥離した略直後の樹脂シートの表面温度であり形状ロールに密着していた側の表面温度を測定する温度測定工程を更に備え、条件調整工程では、測定された表面温度が樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度より低い場合に、形状ロールの温度を調整する、とすることができる。
【0011】
形状ロールから樹脂シートが剥離した略直後の表面温度が、樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度より低い場合、形状ロールの表面に形成されている凹凸形状に樹脂シートが十分成形されないことによって、凹凸形状が所望の凹凸形状に形成されていない傾向にある。この場合、形状ロールの温度を変更することで、凹凸形状をより所望の凹凸形状に近づけることが可能である。
【0012】
本発明に係る光制御板の製造方法では、形状ロールから樹脂シートが剥離した略直後の樹脂シートの表面温度であり形状ロールに密着していた側の表面温度を測定する温度測定工程を備え、条件調整工程では、測定された表面温度が樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度より5℃以上高い場合に、樹脂シートの搬送速度を調整する、とすることもできる。
【0013】
形状ロールから樹脂シートが剥離した略直後の表面温度が、樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度より5℃以上高い場合、樹脂シートが形状ロールから剥離した後に、形状が熱戻りしている傾向にある。この場合、樹脂シートの搬送速度を変更することで、凹凸形状をより所望の凹凸形状に近づけることが可能である。
【0014】
本発明に係る光制御板の製造方法では、第1の全光線透過率の測定の際に凹凸形状が形成されている側から入射する光は、上記一方向と直交する方向に延びるスリットを通過した光であり、第2の全光線透過率の測定の際に凹凸形状が形成されている側と反対側から入射する光は、上記一方向と一致する方向に延びるスリットを通過した光である、とすることができる。
【0015】
第1の全光線透過率では、光制御板の構成材料等による影響が大きく、凹凸形状による影響が小さくなる傾向があり、第2の全光線透過率では、光制御板の構成材料等及び凹凸形状の両方に影響を受けやすいという傾向がある。上記構成では、これらの第1及び第2の全光線透過率の少なくとも一方を用いて上記指標を規定している。これにより、例えば光制御板の構成材料等に応じて、適宜上記指標を規定することができるようになり、より正確に光制御板の凹凸形状を評価することが可能となる。
【0016】
上記の指標は、第1の全光線透過率と第2の全光線透過率との差であってもよいし、第2の全光線透過率であってもよい。指標を、第1の全光線透過率と第2の全光線透過率との差とした場合には、凹凸形状によって影響を受けた度合いを抽出することができるので、より正確に光制御板の凹凸形状を検査することができる。また、指標を、第2の全光線透過率とした場合には、より簡易に光制御板の凹凸形状を検査することが可能となる。
【0017】
本発明に係る光制御板の製造方法では、基準光制御板が有する凹凸形状が、所望の凹凸形状であり、評価工程では、基準光制御板に対して予め取得した所望の凹凸形状を示す指標を基準指標とし、取得工程で得られた指標が、基準指標に対する許容範囲内か否かを評価してもよい。
【0018】
この場合、指標を、所望の凹凸形状を示す基準指標を利用して評価するので、より正確に凹凸形状を検査することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、片面に凹凸形状が形成された光制御板をより効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る製造方法によって製造される光拡散板の斜視図である。
【図2】樹脂シートを製造する製造装置の概略構成図及びB部を拡大して樹脂シートの層構造を模式的に示した拡大図である。
【図3】下ロールとしての形状ロールの要部拡大断面図である。
【図4】全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。
【図5】第1の全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。
【図6】第2の全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。
【図7】本実施形態に係る光拡散板の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明に係る光制御板の製造方法の実施形態について説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0022】
〔光拡散板〕
最初に、本実施形態に係る製造方法によって製造される光拡散板(光制御板)1について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、光拡散板1は、第1の面11と第2の面12とを有する。第2の面12は、第1の面11と反対側に位置する面である。第1の面11から入射した光は、第2の面12から出射可能である。また、第2の面12から入射した光も、第1の面11から出射可能である。
【0023】
第1の面11には、凸部13が形成されている。この凸部13は、第1の方向X11に延在すると共に、第1の方向X11と直交する第2の方向X12に並列して複数形成されている。従って、第1の面11には、複数の凸部13により凹凸形状14が形成されていることになる。
【0024】
凸部13は、第1の方向X11に直交する断面が半円弧形状に形成されており、その高さHは、例えば5μm〜500μmに形成されている。なお、凸部13の断面形状は、図1に示すような半円弧形状のものだけでなく、例えば円柱体をその軸線を含まない平面で切ったうちのいずれか一方の部材に相当する形状(シリンドリカルレンズ形状)であってもよい。また、凸部13の断面形状としては、半楕円弧形状、扁平な湾曲線形状等であってもよい。第2の面12は、通常、平坦面であり、光拡散性を有しない平滑面とすることもできる。ただし、第2の面12は、全面に亙って光拡散性を有する面とすることもできる。
【0025】
光拡散板1は透光性材料からなる。透光性材料の屈折率は通常1.46〜1.62である。透光性材料としては、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料が例示でき、透光性樹脂材料としては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)(屈折率1.49)、シクロオレフィン樹脂(屈折率1.51〜1.55)、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)などが例示され、コストの面および吸湿率が低い点で、好ましくはポリスチレン樹脂である。
【0026】
このような光拡散板1は、例えば液晶テレビといった透過型画像表示装置において好適に用いられ、具体的には、複数の光源上に配置され、光源からの入射光を均一化して、輝度均斉度の高い面状の光の生成に用いられる。
【0027】
[光拡散板の製造方法]
光拡散板1を製造する方法について説明する。まず、図2(A)及び図2(B)並びに図3を参照して光拡散板1を製造するための装置について説明する。光拡散板1を製造する方法の説明における凹凸形状は、図1に示したように凹凸形状14と称する。
【0028】
図2(A)は、光拡散板となるべき樹脂シートを製造する製造装置の概略構成図である。図2(B)は、B部を拡大して樹脂シートの層構造を模式的に示した拡大図である。図3は、下ロールとして装着される形状ロールの要部拡大断面図である。光拡散板1は、図2(A)に示すような樹脂シート製造装置3によって製造された樹脂シート2を所定の長さに切り出すことで製造される。
【0029】
樹脂シート製造装置3は、基層(中間層)16(図2(B)参照)の透光性樹脂を加熱溶融するための第1押出機31と、表層15(図2(B)参照)の透光性樹脂を加熱溶融するための第2押出機32と、第1及び第2押出機31,32で溶融された樹脂が供給されるフィードブロック33と、フィードブロック33内の樹脂をシート状態で押し出すためのダイ34と、ダイ34から押し出されたシート状樹脂としての樹脂シート2を成形するための3つの押圧ロール35〜37と、一対の引取りロール38A,38Bと、樹脂シート2の面2aの表面温度を測定する温度センサ39と、を備えている。
【0030】
第1及び第2押出機31,32としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機など、公知の押出成形機を用いることができる。第1及び第2押出機31,32には、押出機のシリンダ内に樹脂を投入するためのホッパ40,41が取り付けられている。
【0031】
フィードブロック33としては、2種以上の樹脂をダイ34に供給し、積層した状態で共押出しできる型式であれば特に制限されず、例えば2種2層分配型など、公知のフィードブロックを用いることができる。
【0032】
ダイ34としては、共押出し用のダイであれば特に制限されず、例えばマルチマニホールドダイなど、公知のダイを用いることができる。
【0033】
3つの押圧ロール35〜37は、それぞれ円柱状の金属製(例えば、ステンレス鋼製、鉄鋼製など)ロールからなり、全ての回転軸が平行な状態で上下方向に連続して配置されている。本明細書では、図2(A)に示す3つの押圧ロール35〜37を、上から順に上ロール35、中間ロール36及び下ロール(形状ロール)37と称す。なお、3つの押圧ロール35〜37は、水平方向に連続して配置されていてもよい。隣り合う押圧ロールの間には、樹脂を所定の厚さで通過させるための微小な隙間が形成されている。各押圧ロール35〜37の直径は、例えば100mm〜500mmである。押圧ロール35〜37として金属製ロールが用いられる場合、その表面に、例えば、クロームメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、Ni−Pメッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0034】
上ロール35の周面及び中間ロール36の周面は、例えば鏡面加工が施されることにより平滑面とされている。下ロール37は、樹脂シート2の面(一側面)2aに所望の凹凸形状を転写するための形状ロールである。下ロール37の周面には、図3に示すように、半円弧形状の凸部13とは反対型の複数の凹溝42が、下ロール37の周方向に沿って筋状に形成されている。すなわち、凹溝42は、その長手方向(周方向)に直交する切断面が略半円弧形状の輪郭を有している。複数の凹溝42で形成される下ロール37の周面の凹凸形状は、樹脂シート2に所望の凹凸形状を転写するように設計されているが、凹溝42の深さDは、凸部13の高さHよりもやや大きく形成してもよい。
【0035】
一対の引取りロール38A,38Bは、下ロール37の後段に設けられると共に、樹脂シート2を厚さ方向に挟むように設けられている。引取りロール38A,38Bの回転速度を制御することで、樹脂シート2の搬送速度であるラインスピードを調整することができる。
【0036】
温度センサ39は、下ロール37から樹脂シート2が剥離した直後の面2aの表面温度を測定する装置である。温度センサ39の例は、光を利用した非接触型の装置である。このような温度センサ39の例は、株式会社キーエンス社製のITS−80である。温度センサ39は、樹脂シート2が下ロール37から離れた時、すなわち、図2(A)では、下ロール37の中心の鉛直下方の表面部分を測定することが好ましい。しかしながら、下ロール37から離れたときの表面温度からの変化が小さい範囲内であれば、樹脂シート2が一定距離進行した後の表面温度を測定してもよい。例えば、図2(A)に示すように、下ロール37の中心の鉛直下方から例えば下ロール37の半径分までの領域α内を測定すればよい。
【0037】
上記樹脂シート製造装置3では、ダイ34から押し出された樹脂シート2の面2aに、下ロール37によって凹凸形状14を付与する。凹凸形状14が付与された樹脂シート2を一定の長さで切り出すことによって、光拡散板1とすることができる。光拡散板1に形成された凹凸形状14が所望の凹凸形状からの許容範囲を超えていると、光拡散板1が所望の光学性能を実現できないことになる。そのため、光拡散板1の製造過程では、樹脂シート2に転写された凹凸形状14の検査が必要になる。
【0038】
本実施形態の光拡散板1の製造方法では、凹凸形状14が付形された樹脂シート2を所定の長さLで切り、検査用光拡散板(検査用光制御板)を準備する。検査用光拡散板は、樹脂シート2に所望の凹凸形状が形成されているか否かを検査するための検査用の光拡散板1である。本実施形態では、基準光拡散板(基準光制御板)が有する凹凸形状14を示す指標である基準指標に基づいて、検査用光拡散板の凹凸形状14に対する指標を評価することによって、検査用光拡散板を検査する。基準光拡散板は、検査用光拡散板と同じ材料から構成されると共に、所望の凹凸形状が片面に形成されている光拡散板1である。
【0039】
上記検査方法で使用する指標について図4〜図6を用いて説明する。図4〜図6では、便宜的に、検査用光拡散板及び基準光拡散板も光拡散板1として示しており、指標に関する説明では「光拡散板1」を用いて説明する。図4は、全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。図5は、第1の全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。図6は、第2の全光線透過率の取得方法を説明するための模式図である。
【0040】
凹凸形状14を評価するための指標として、JIS K7361−1(1997年)に準拠して測定される全光線透過率に基づいたものを使用する。すなわち、図4に模式的に示すように、光源51と光拡散板1との間にスリット52を設け、光源51から出力されスリット52を通った光を光拡散板1に照射し、積分球53で受光した当該透過光に基づいて測定したものを使用する。本実施形態で説明する全光線透過率は、例えば、村上色彩技術研究所製の「HM−150」を利用して測定することができる。
【0041】
凹凸形状14が形成された側、すなわち、第1の面11側から光拡散板1に光を入射した場合の全光線透過率を第1の全光線透過率Tt1と称し、凹凸形状14が形成された側と反対側から光拡散板1に光を入射した場合の全光線透過率を第2の全光線透過率Tt2と称す。この第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2について説明する。
【0042】
第1の全光線透過率Tt1は、図5に示すように、スリット52の開放部の長辺方向X22と、凸部13の延在方向X11とを互いに直交させると共に、凸部13が形成された第1の面11を光源51に向けて光拡散板1を配置することによって測定した値である。
【0043】
第2の全光線透過率Tt2は、図6に示すように、スリット52の開放部の長辺方向X21と、凸部13の延在方向X11とを互いに一致させると共に、凸部13が形成されていない第2の面12を光源51に向けて光拡散板1を配置することによって測定した値である。
【0044】
そして、凹凸形状14を示す指標は、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の少なくとも一方に基づいて規定することができる。本実施形態では、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の差を指標として説明する。
【0045】
次に、光拡散板1を製造する方法の一例について詳細に説明する。図7は、光拡散板を製造する方法のフローチャートである。以下の説明では、検査用光拡散板及び基準光拡散板を検査用光拡散板(検査用光制御板)1及び基準光拡散板(基準光制御板)1とも称す。
【0046】
まず、図5及び図6に示した配置関係で基準光拡散板1に対して第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2を測定し、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の差を算出して基準指標を準備する(S1:基準指標準備工程)。
【0047】
次に、樹脂シート2を形成する。具体的には、第1押出機31のホッパ38に基層16となる透光性樹脂を投入する。投入された透光性樹脂は、溶融混練された後、フィードブロック33に供給される。一方、第2押出機32のホッパ39に表層15となる透光性樹脂を投入する。投入された透光性樹脂は、溶融混練された後、フィードブロック33に供給される。第1押出機31及び第2押出機32のシリンダ温度の例は、190〜250℃である。次に、ダイ34が、フィードブロック33内の樹脂を共押出する。これにより、基層16及び当該基層16を挟む表層15から構成される3層の樹脂シート2(図2(B)参照)が形成されることになる(S2:樹脂シート形成工程)。
【0048】
次に、ダイ34から押し出された連続樹脂シートとしての樹脂シート2を3つの押圧ロール35〜37で押圧しながら搬送することによって、樹脂シート2を成形する。この際、下ロール37により樹脂シート2の面2aに凹凸形状14を付形する(S3:凹凸形状付形工程)。
【0049】
具体的には、図2(A)に示すように、樹脂シート2は、上ロール35と中間ロール36とで挟み込まれて押圧された後、中間ロール36の周面に密着して搬送され、その際に冷却される。上ロール35及び中間ロール36の表面温度は、樹脂シート2の押出温度よりも低いことが好ましく、例えば、50℃〜120℃である。その後、樹脂シート2は、中間ロール36と下ロール37とで挟み込まれて押圧される。下ロール37の表面温度の例は、50℃〜120℃である。そして、中間ロール36と下ロール37との押圧の際、樹脂シート2の一方の面2aには、下ロール37の周面に形成された複数の凹溝42が転写される。これにより、樹脂シート2には、シートの流れ方向に平行な複数の筋状の凸部が形成され、樹脂シート2に凹凸形状14が形成されることになる。
【0050】
下ロール37に密着して搬送されている樹脂シート2は、一定距離(例えば半周分程度)搬送されると、下ロール37から剥離する。本実施形態では、樹脂シート2が下ロール37から離れた略直後の面2aの温度を温度センサ39により測定する(S4:温度測定工程)。
【0051】
その後、凹凸形状14が付形された樹脂シート2から一定の長さ分の樹脂シート2を切り出して、検査用光拡散板1とし(S5:検査用光拡散板準備工程)、検査用光拡散板1を検査する(検査工程)。
【0052】
すなわち、検査用光拡散板1に対して第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2を測定し、その差を算出して検査用光拡散板1の凹凸形状14の評価のための指標を取得する(S6A:取得工程)。次いで、取得工程S6Aで取得した指標が、準備工程S1で準備した基準指標に対する許容範囲内か否かを評価する(S6B:評価工程)。
【0053】
検査用光拡散板1の指標が、許容範囲内にない場合(評価工程S6BでNO)には、凹凸形状付形工程S3における凹凸形状14を付形するための付形条件を調整する(S7:条件調整工程)。調整する付形条件は、下ロール37の温度及びラインスピード(搬送速度)である。凹凸形状14は、下ロール37から樹脂シート2に転写されるため、下ロール37に密着しているときの樹脂シート2の表面温度が重要であるが、下ロール37の温度及びラインスピードにより、その温度を調整できるからである。ラインスピードは、引取りロール38A,38Bの回転速度を変更することによって、調整することができる。
【0054】
本実施形態では、温度センサ39により測定された表面温度が検査用光拡散板1を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)より低い場合に、下ロール37の温度を変更する。一方、測定された表面温度が樹脂のガラス転移温度(Tg)より5℃以上高い場合に、ラインスピードを調整する。Tg以上で(Tg+5)℃未満の場合は、まず、下ロール37の温度を調整し、下ロール37の温度調整だけで樹脂シート2に付形される凹凸形状14が所望の凹凸形状に対する許容範囲内に改善されない場合に、ラインスピードを調整する。
【0055】
付形条件を調整した後、凹凸形状付形工程S3に戻って、樹脂シート2への凹凸形状14の付形を実施する。
【0056】
一方、検査用光拡散板1に対する指標が、許容範囲内である場合(評価工程S6BでYES)には、図7に示した凹凸形状付形工程S3を、検査用光拡散板1を製造した場合と同じ条件で実施し、樹脂シート2に凹凸形状14を付形する。そして、凹凸形状14が付形された樹脂シート2を、所定の長さLで分割して、光拡散板1を製造する(S8:シート分割工程)。ここでは、光拡散板1を切り出すときの長さと、検査用光拡散板1を切り出すときの長さをどちらもLとしたが、これらの長さは異なっていてもよい。
【0057】
上述した製造方法により、3層構造の光拡散板1を製造することができる。なお、図1では、これらの層を明示せずに模式的に示している。また、本実施形態で説明した製造方法では、準備工程S1を備えるとしているが、予め基準指標を取得しておけば、準備工程S1を実施しなくてもよく、直接樹脂シート形成工程S2から実施すればよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の光拡散板の製造方法によれば、評価用の指標を規定すべき第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2を測定することにより、検査用光拡散板1の凹凸形状14を評価する。これにより、光拡散板1の製造効率が向上する。この点について、製造過程において凹凸形状14を、顕微鏡を用いて評価する評価方法と比較しながら説明する。
【0059】
検査用光拡散板1の凹凸形状14の評価方法としては、凹凸形状14を顕微鏡で観察して評価することが考えられる。この場合、顕微鏡で観察するための試験断面片を準備する必要がある。この準備では、検査用光拡散板1を薄くスライスしなければならず、また、観察が容易になるように必要に応じて着色作業をしなければならない。そして、凹凸形状14が所望の凹凸形状に対する許容範囲内に収まるまで、上記作業を繰り返すことになる。そのため、光拡散板1の製造に多くの時間を要する。
【0060】
これに対して、本実施形態で説明した製造方法では、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2を利用して凹凸形状14を示す指標を規定し、その指標を基準指標と比較することで、検査用光拡散板1(光拡散板1)を検査している。この第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2は、透過率計を用いて容易に測定することが可能である。そのため、検査用光拡散板1の検査が容易で、検査のために要する時間を短縮することができる。その結果、光拡散板1の製造効率が向上する。
【0061】
また、本実施形態のように、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の差を指標として用いることで、より正確に凹凸形状14を評価できる傾向にある。この点について図5及び図6を参照して説明する。
【0062】
図5に示すような配置関係で測定した第1の全光線透過率Tt1では、光拡散板1の凹凸形状14の影響よりも、その他の要因、例えば光拡散板1に添加される拡散剤の濃度等による影響の方が大きい傾向がある。一方、図6に示すような配置関係で測定した第2の全光線透過率Tt2では、光拡散板1に添加される拡散剤の濃度の影響も受けるが、光拡散板1の凹凸形状14の影響の方がより大きい傾向がある。そのため、本実施形態で例示したように、指標として、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の差を採用することで、凹凸形状14の影響を受けた度合いを明確に抽出することができる。その結果、凹凸形状14をより正確に評価することが可能である。
【0063】
更に、上記製造方法で説明したように、温度測定工程S4で測定した表面温度に基づいて、凹凸形状14の付形条件を変更するようにすれば、樹脂シート2に付形される凹凸形状14をより早く所望の凹凸形状に近づけることができる。これは次の理由による。
【0064】
検査用光拡散板1に対する指標が、許容範囲内にない場合(換言すれば、転写率が低い場合)には、
(a)下ロール(形状ロール)37の表面に形成された型の先端まで樹脂が充填しないまま、下ロール37から樹脂シート2が剥離していること、または、
(b)下ロール37から樹脂シート2が剥離した後に、樹脂シート2の表面の温度が樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも高く、形状が熱戻りしていること、
が主な要因の例として考えられる。
【0065】
要因(a)を解消する方法としては、下ロール37の温度を調整することがある。調整の例は、下ロール37の温度を上げることである。これにより、下ロール37の表面に形成された型の先端まで樹脂をより確実に充填することができる傾向にあるからである。また、要因(b)を解消する方法としては、下ロール37の温度調整でも可能ではあるが、ラインスピードの調整が効果的である。ラインスピードを下げることで、下ロール37に到達するまでに樹脂シート2の温度を下げておくことができるからである。
【0066】
そして、温度センサ39による測定結果である表面温度がTgより低い場合には、要因(a)の影響が大きく、表面温度がTgより5℃以上高い場合には、要因(b)の影響が大きい傾向にある。そのため、例示したように、温度センサ39による測定結果である表面温度がTgより低い場合には、下ロール37の温度を調整し(例えば温度を上げる)、(Tg+5)℃以上の場合には、ラインスピードを調整する(例えばスピードを下げる)ことで、樹脂シート2に付形された凹凸形状14をより早く所望の凹凸形状に近づけられる。また、樹脂シート2を下ロール37に密着させて凹凸形状14を樹脂シート2に付形するため、まず、下ロール37の温度を調整する方が、所望の凹凸形状により早く近づけることができる傾向にある。そのため、Tg以上で(Tg+5)℃未満の場合は、はじめに、下ロール37の温度を調整すると、より早く所望の凹凸形状に近づけられる傾向にある。
【0067】
ここでは、要因(a),(b)に着目して温度センサ39の測定結果を用いた調整方法の一例を説明したが、調整方法はこれらに限定されない。凹凸形状自体の転写難易度等の他の要因等も考慮して、下ロール37の温度及びラインスピードを適宜調整すればよい。例えば、下ロール37の温度を上げることで、下ロール37の周面に形成された凹凸形状への樹脂の充填が改善される傾向にある。そして、凹凸形状の転写では形状ロールである下ロール37周面の凹形状への樹脂の充填が必要である。そこで、付形条件の調整では、下ロール37の温度を調整しながら、例えば高くしながら、必要に応じてラインスピードを調整する、例えば、ラインスピードを下げることで所望の凹凸形状により早く近づけられる傾向にある。ラインスピードの調整は、下ロール37の温度の調整と一緒でもよいし、例えば、まず、下ロール37の温度を調整(例えば温度を高くする)し、更に改善が必要の場合に、ラインスピードを調整する(例えばスピードを下げる)ようにしてもよい。
【0068】
本実施形態では、温度センサ39により表面温度を測定し、測定結果に基づいて、付形条件を変更する場合を例示した。しかしながら、条件調整工程S4で表面温度に基づいて調整しない場合には、温度センサ39による温度測定工程S4を設けなくてもよい。この場合には、前述したように、まず、下ロール37の温度を調整(例えば温度を高くする)し、更に改善が必要の場合に、ラインスピードを調整する(例えばスピードを下げる)ことにより、付形条件を調整することができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
上記実施形態においては、第1の全光線透過率Tt1と第2の全光線透過率Tt2との差を指標とする例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0071】
指標は、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の少なくとも一方を用いて規定すればよい。指標を、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の一方を用いて規定する場合には、より簡易に検査用光拡散板1の凹凸形状14を評価可能である。より正確に評価する観点から、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の一方を用いて規定する指標を使用する場合、検査用光拡散板1に添加されている拡散剤の濃度が既知であり、当該濃度が低い(例えば3%以下である)ことが好ましい。凹凸形状14の影響が全光線透過率により反映されやすいからである。
【0072】
更に、第1及び第2の全光線透過率Tt1,Tt2の一方を指標として用いる場合には、第2の全光線透過率Tt2を指標とすることがより好ましい。第2の全光線透過率Tt2の測定では、出射側に凹凸形状14が配置されているので、全光線透過率に凹凸形状14の影響が反映されやすいからである。
【0073】
指標を利用した検査方法では、実施形態で説明したように所望の凹凸形状を有する基準光拡散板1に対する基準指標を利用するものに限定されない。例えば、凹凸形状が既知の複数の光拡散板を基準光拡散板とし、次のように検査することも可能である。
【0074】
まず、凹凸形状14の高さ(すなわち、凸部13の高さ)が既知である複数の基準光拡散板に対して指標を取得し、それらの指標と、対応する凹凸形状14の高さとの相関関係を予め求めておく。そして、検査用光拡散板に対して指標を取得し、上記相関関係に基づいて検査用光拡散板1の凹凸形状14の高さHを求め、その高さHが所望の高さに対する許容範囲内か否かで評価することもできる。この方法では、所望の凹凸形状を有する基準光拡散板を準備しなくても、基準光拡散板の凹凸形状が既知であれば、検査用光拡散板1を評価することができる。ただし、実施形態で説明したように基準指標を採用することで、より簡易に検査用光拡散板1を検査することが可能である。
【0075】
ここでは、基準光拡散板1の凹凸形状14の高さに着目した相関関係について説明したが、凹凸形状14を構成する凸部13のアスペクト比に着目した相関関係を利用してもよい。なお、基準光拡散板の凹凸形状14の高さや、凸部13のアスペクト比などは、実施形態でも例示したように、顕微鏡による断面観察法により求めておくことができる。
【0076】
上記実施形態では、第1の全光線透過率は、図6に示すような配置関係で取得した例を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、図6に示す光拡散板1を、凸部13の延在方向X11がスリット52の長辺方向X22と一致するように配置して、第1の全光線透過率を測定してもよい。また、第2の全光線透過率についても同様であり、図7に示す光拡散板1を、凸部13の延在方向X11がスリット52の長辺方向X21と直交するように配置して、第2の全光線透過率を測定してもよい。この場合、光拡散板1の構成材料等の特性に応じて、適宜、上記指標を規定しておけばよい。
【0077】
更にまた、条件調整工程S7で調整する付形条件を下ロール37の温度及びラインスピードの2つを挙げて説明したが、光拡散板1の製造で調整する付形条件は、何れか一方でもよい。前述したように、凹凸形状の転写のためには、転写の際の樹脂シート2の表面温度が重要であるが、樹脂シート2の表面温度は、下ロール37の温度を調整しても変えられるし、ラインスピードを調整することによっても変えられるからである。更に、下ロール37の温度に加えて、上ロール35及び中間ロール36の少なくも一方を調整するようにすることもできる。
【0078】
また、上記実施形態では、複数の凸部13によって凹凸形状14が形成された光拡散板1を例に挙げて説明したが、複数の凹部が形成されることによって凹凸形状14が形成されていてもよい。
【0079】
更に、上記実施形態では、図2(B)に示すように、光拡散板1が3層により構成される例を挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、1層、2層、または4層以上の層により構成される光拡散板であってもよい。
【0080】
これまでの説明では、光制御板を光拡散板1として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の光源から出力された光の、複数の光源が配置される平面に平行な平面内での輝度の均一性を調整する光部品であればよい。例えば、光制御板は、光拡散剤を含有しておらず透明材料からなる板の光の入射側に上述した凹凸形状14を有する輝度調整板であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…光拡散板(光制御板)、1…検査用光拡散板、2…樹脂シート、2a…樹脂シートの面(一側面)、14…凹凸形状、37…下ロール(形状ロール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し成形によって樹脂シートを形成する樹脂シート形成工程と、
一方向に延びる複数の凸部又は凹部から構成される凹凸形状を、前記樹脂シートの一側面に付形する凹凸形状付形工程と、
前記凹凸形状が付形された前記樹脂シートから検査用光制御板を準備する検査用光制御板準備工程と、
前記検査用光制御板の前記凹凸形状が、所望の凹凸形状に対する許容範囲内か否かを検査する検査工程と、
前記検査用光制御板の前記凹凸形状が前記許容範囲内である場合に、前記凹凸形状付形工程で前記凹凸形状が付形された前記樹脂シートを分割して光制御板を得るシート分割工程と、
前記検査用光制御板の前記凹凸形状が前記許容範囲内でない場合に、前記凹凸形状付形工程における前記凹凸形状を付形するための付形条件を調整する条件調整工程と、
を備え、
前記凹凸形状付形工程では、前記所望の凹凸形状の反対型が表面に形成された形状ロールに前記樹脂シートの前記一側面を密着させて搬送することによって、前記凹凸形状を前記樹脂シートに形成し、
前記条件調整工程では、前記形状ロールの温度及び前記樹脂シートの搬送速度の少なくとも一方を調整し、
前記検査工程は、以下の取得工程及び評価工程を有する、
光制御板の製造方法。
取得工程:凹凸形状が形成されている側から光を入射した場合の第1の全光線透過率及び凹凸形状が形成されている側と反対側から光を入射した場合の第2の全光線透過率の少なくとも一方を前記検査用光制御板に対して測定して、前記第1及び第2の全光線透過率の少なくとも一方で規定されており凹凸形状を示す指標を取得する工程。
評価工程:凹凸形状が既知である基準光制御板に対して予め取得した凹凸形状を示す指標に基づいて、前記取得工程で得られた指標から、前記検査用光制御板の凹凸形状を評価する工程。
【請求項2】
前記形状ロールから前記樹脂シートが剥離した略直後の前記樹脂シートの表面温度であり前記形状ロールに密着していた側の前記表面温度を測定する温度測定工程を更に備え、
前記条件調整工程では、測定された前記表面温度が前記樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度より低い場合に、前記形状ロールの温度を調整する、請求項1記載の光制御板の製造方法。
【請求項3】
前記形状ロールから前記樹脂シートが剥離した略直後の前記樹脂シートの表面温度であり前記形状ロールに密着していた側の前記表面温度を測定する温度測定工程を備え、
前記条件調整工程では、測定された前記表面温度が前記樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移温度より5℃以上高い場合に、前記樹脂シートの搬送速度を調整する、請求項1記載の光制御板の製造方法。
【請求項4】
前記第1の全光線透過率の測定の際に凹凸形状が形成されている側から入射する前記光は、前記一方向と直交する方向に延びるスリットを通過した光であり、
前記第2の全光線透過率の測定の際に凹凸形状が形成されている側と反対側から入射する前記光は、前記一方向と一致する方向に延びるスリットを通過した光である、
請求項1〜3の何れか一項に記載の光制御板の製造方法。
【請求項5】
前記指標は、前記第1の全光線透過率と前記第2の全光線透過率との差である、請求項4に記載の光制御板の製造方法。

【請求項6】
前記指標は、前記第2の全光線透過率である、請求項4に記載の光制御板の製造方法。
【請求項7】
前記基準光制御板が有する凹凸形状が、前記所望の凹凸形状であり、
前記評価工程では、前記基準光制御板に対して予め取得した前記所望の凹凸形状を示す指標を基準指標とし、前記取得工程で得られた指標が、前記基準指標に対する許容範囲内か否かを評価する、請求項1〜6の何れか一項に記載の光制御板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−40846(P2012−40846A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186484(P2010−186484)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】