説明

光反射器及び光学装置

【課題】サブミクロン光導波路に設けられ、反射可能な波長範囲を広くし、かつ、反射率を高くする。
【解決手段】サブミクロン光導波路16の光入出力端面16aに接続され、反射領域20と遷移領域16とに区分され、反射領域及び遷移領域は、それぞれ1個以上の単位構造体USを含み、単位構造体は、低屈折率部SPと高屈折率部WSとを備えており、低屈折率部の長さをSとし、高屈折率部の長さをLとしたとき、反射領域において、S=Smaxであり、及びL=Lminであり、遷移領域が2個以上の単位構造体を含むときに、Sは、光入出力端面側から数えた単位構造体の席次とともに増加し、及び遷移領域が2個以上の前記単位構造体を含むときに、Lは、光入出力端面側から数えた単位構造体の席次とともに減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光反射器、及びこの光反射器を備えた光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、よりコンパクトな光回路を作成するために、伝播光の波長未満の断面寸法を有する光導波路サブミクロン光導波路が開発されており、最近では、サブミクロンの断面寸法を有する、所謂サブミクロン光導波路が全体としてもmmサイズの非常にコンパクトな光回路を実現する手段として注目されている。このサブミクロン光導波路には、更に反射効率を高めるため、光反射器を設ける必要が生じる場合がある。
【0003】
従来型の光導波路の場合には、光反射器として、光導波路の光入出力端面に誘電体多層膜ミラーや、光導波路中に作り込んだ回折格子などが用いられている。
【0004】
しかし、このような反射器は直ちにサブミクロン光導波路には適用できるものではない。なぜなら、例えば、誘電体多層膜ミラーの場合は、サブミクロン光導波路の寸法が波長より極端に短いため、その端面から出射する光の回折角が非常に大きく、広い角度範囲にわたって出射され、その結果、誘電体多層膜ミラーで反射されない光成分が増加し、光の損失が大きくなってしまうからである。
【0005】
一方、反射器として回折格子を用いる例としては、シリコン細線導波路に等間隔で溝を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第5838870号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、等間隔に形成した溝からなる回折格子を用いているために、反射可能な光の波長範囲が非常に狭くなるという問題が生じる。また、光導波路領域(溝が存在しない領域)と、回折格子領域(溝が存在する領域)との境界で等価屈折率が急激に変化するため、光の放射による光の損失が発生し、光の反射率が減少するという問題が生じる。
【0007】
この発明は、このような問題に鑑みなされたものである。したがって、この発明の課題は、サブミクロン光導波路に好適に設けられる光反射器であって、反射可能な波長範囲が広く、かつ、反射率が高い光反射器、及びこの光反射器を備えた光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、この発明の光反射器は、光導波路の中心軸を通り、光伝播方向に垂直に光導波路を貫通する直線の光導波路内における長さの最小値よりも長い波長の光を伝播する光導波路の光入出力端面に光結合されている。
【0009】
この光反射器は、光伝播方向に沿って互いに区分された、反射領域及び反射領域と光入出力端面との間に介在する遷移領域を備えており、反射領域及び遷移領域は、それぞれ1個以上の単位構造体を含んでいる。
【0010】
単位構造体は、光導波路から近距離に位置する低屈折率部と、光導波路から遠距離に位置する高屈折率部とが、光伝播方向に沿って互いに接触して配置されている。
【0011】
ここで、低屈折率部の光伝播方向に沿った長さをSとし、高屈折率部の光伝播方向に沿った長さをLとする。このとき、反射領域において、SはSmaxで一定であり、及びLはLminで一定である。
【0012】
また、遷移領域において、SはSmax未満の大きさであり、かつ、遷移領域が2個以上の単位構造体を含むときに、Sは、光導波路側から反射領域側にかけて増加する。そして、Lは、Lminを超過する大きさであり、かつ、遷移領域が2個以上の単位構造体を含むときに、Lは、光導波路側から反射領域側にかけて減少する。
【0013】
この光反射器によれば、光を反射する反射領域を、低屈折率部と高屈折率部とが交互に配置された回折格子としている。よって、反射領域においては、回折格子の格子間隔に対応した波長の光が反射される。
【0014】
また、相対的に等価屈折率が大きい光導波路から、相対的に等価屈折率が小さい反射領域までの間を、等価屈折率が徐々に減少する遷移領域で接続している。つまり、光導波路と反射領域との間で等価屈折率はなだらかに変化する。その結果、光導波路と反射領域との間での等価屈折率の急峻な変化が抑制される。よって、従来の光反射器とは異なり、この境界部での光の放射(損失)が抑制される。
【0015】
この光反射器の第1の好適実施例においては、光の中心波長をλとし、低屈折率部の屈折率をnとし、高屈折率部の屈折率をnとしたとき、反射領域において、Smaxをλ/(4n)とし、及びLminをλ/(4n)とすることが好ましい。
【0016】
反射領域において、Smax及びLminをこのような長さとすることにより、低屈折率部と高屈折率部との間の各界面で反射された戻り光の位相が一致する。これにより、戻り光の強度が強められ、光反射器の反射率が増加する。
【0017】
この光反射器の第2の好適実施例においては、遷移領域に含まれる単位構造体の個数をN個(ただし、NはN≧1の整数)とする。そして、遷移領域に直列に並ぶN個の単位構造体を、光入出力端面側から反射領域にかけて順番に第1〜第N単位構造体とする。
【0018】
このとき第j単位構造体(ただし、jは1≦j≦Nの整数)において、SをSmax×(j/(N+1))とし、及び、LをLmin×(2−(j/(N+1)))とすることが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、光導波路(等価屈折率:大)から反射領域(等価屈折率:小)にかけて延在する遷移領域において、等価屈折率をなだらかに減少させることができる。つまり、第1〜第N単位構造体にかけて、高屈折率部の長さLは、Lminに向かって徐々に減少する。逆に、低屈折率部の長さSは、第1〜第N単位構造体にかけて、Smaxに向かって徐々に増加する。その結果、光反射器と光導波路との境界部で等価屈折率の急峻な変化が抑制され、境界部における光の放射に由来する光の損失を低減できる。
【0020】
この光反射器の第3の好適実施例においては、第2の好適実施例と同様に第1〜第N単位構造体が設けられているときに、第j単位構造体(ただし、jは1≦j≦Nの整数)において、SをSmax×(j/(N+1))とし、及び、LをLmin+Smax×(1−j/(N+1))とすることが好ましい。
【0021】
このように構成することによっても、光導波路(等価屈折率:大)から反射領域(等価屈折率:小)にかけて延在する遷移領域において、等価屈折率をなだらかに減少させることができる。その結果、第2の好適実施例には劣るものの、光反射器と光導波路との境界部での急峻な等価屈折率変化を抑制できる。よって、境界部における光の放射に由来する光の損失が低減される。
【0022】
この光反射器の第4の好適実施例においては、遷移領域を構成する第1〜第N単位構造体にかけて、単位構造体の光伝播方向に直交する面の寸法を徐々に増大させ、かつ、反射領域を構成する単位構造体の光伝播方向に直交する面の寸法を第N単位構造体と等しくすることが好ましい。
【0023】
このように、単位構造体の断面寸法を遷移領域から反射領域にかけて大きくすることにより、光反射器全体としての等価屈折率を大きくすることができる。その結果、光反射器に入射する光を閉じ込める能力が増大する。よって、光反射器からの光の放射に由来する光の損失を低減できる。
【0024】
この発明の光学装置は、上述の光反射器を備えている。
【発明の効果】
【0025】
上述のように、この発明では、光導波路と反射領域との間に遷移領域を設けることにより、光導波路から反射領域にかけての等価屈折率をなだらかに変化させている。その結果、サブミクロン光導波路に設けられる光反射器であって、反射可能な波長範囲が広く、かつ、反射率が高い光反射器を得ることができる。また、この光反射器を備えた光学装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示したものにすぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。したがって、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。
【0027】
(実施の形態1)
図1及び図2を参照して実施の形態1の光反射器10の構造の一例について説明する。
【0028】
図1は、光反射器10を含む光学装置12の構造の主要部を概略的に示す斜視図である。図2は、光反射器10を含む光学装置12の、図1に対応する部分の構造を概略的に示す上面図である。
【0029】
図1の光反射器10は、光学装置12の一部品として構成されている。光学装置12は、基板14と、光導波路16と、光反射器10とを備えている。
【0030】
基板14は、互いに平行に対向する第1主面14a及び第2主面14bを備えた板状体である。基板14の材料は、好ましくは、例えば石英とする。
【0031】
光導波路16は、基板14の第1主面14a上に配置されている。光導波路16は、光伝播方向に対して垂直な断面の形状が矩形、例えば正方形のチャネル型導波路である。光導波路16の光反射器10側の端面は、光反射器10に向けて光を出射し、かつ光反射器10からの戻り光が入射される光入出力端面16aになっている。光導波路16は、大気中に配置されている。なお、大気の屈折率は光導波路よりも小さい。光導波路16の材料は、好ましくは、例えばシリコンとする。
【0032】
図1において、光伝播方向(光導波路16の中心軸を通る光の延長方向)に垂直に切断したと仮定した光導波路16の断面を16bとし、及びこの断面16bの中心点を16cとする。そして、中心点16cを通過し、光伝播方向に垂直に、この断面16bを横切る(貫通する)直線を考えた場合、この直線と、上記断面16bの外周との交点cp1,cp2を通り、この交点cp1及びcp2間の距離が最小値となるものを直線Aとする。
【0033】
図1では、光導波路の断面16bの形状が正方形であるので、交点cp1及びcp2間の距離は、光導波路16の光入出力端面16aの1辺の長さに等しく、光導波路16を伝播する実際の光の波長よりも小さい長さとする。換言すれば、光導波路16は、交点cp1及びcp2間の距離よりも長い波長の光を伝播する。光導波路16の断面16bの1辺の長さは0.2μmである。
【0034】
光反射器10は、光導波路16の光入出力端面16aに連続して、光導波路16の光伝播方向に沿った延長線上に配置されている。
【0035】
詳しくは後述するが、光反射器10は、長尺な直方体状に形成された光導波路の端部付近に、一定の規則で複数の溝SP(ただし、kは1≦k≦7の整数)を掘り込んで形成される。つまり、光反射器10では、光導波路の断片(導波路セグメントWS(ただし、kは1≦k≦7の整数)が、光伝播方向に沿って直線的かつ断続的に並んでいる構成となっている。これらの断片は、光伝播方向に直交する切断面を有する直方体である。
本発明でいう単一構造体とは、上記溝SPと断片WSとを1つずつ組み合わせたもののことをいい、たとえば、図1の例では、溝SPと断片WSとを1単位構造体、同様にしてSPと断片WSまでの合計7個の単位構造体が例示されている。 光反射器10は、光導波路16側から、光伝播方向に沿って順次に配列された遷移領域18と反射領域20とに区分されている。
【0036】
ここで、反射領域20は、光導波路16の光伝播方向に沿った延長線上に、第1番目の単位構造体US(光導波路の溝SPと断片WS)から第3番目の単位構造体US(光導波路の溝SPと断片WS)を設けた領域とし、遷移領域18は、第4番目の単位構造体US(光導波路の溝SPと断片WS)から第7番目の単位構造体US(光導波路の溝SPと断片WS)を設けた領域となっている。以下、下付数字は光導波路16から近い順第1、第2・・・第7とする。なお、これら反射領域20と遷移領域18の設定は、取り付けられる光導波路からの位置で規定し、光導波路に近い位置を反射領域20、設定された反射領域20以外を遷移領域18と設定し、使用する単位構造体の数、形状によって適宜調整されるが、通常、単位構造体の数を1〜4個とした場合には、単位構造体が存在する領域を等分した領域、5個以上の場合には、全単位構造体が存在する領域の反射領域:遷移領域の割合は、2:3〜4:5、好ましくは、3:4の領域にすることが所望の反射率が得られる点から推奨される。
【0037】
また、反射領域端面、遷移領域端面とは、光反射器10の端面であって、反射領域、遷移領域が存する位置を意味し、例えば図1の例であれば、第1の単位構造体USが光導波路16に接する部分が反射領域端面、遷移領域端面とは、第7の単位構造体USの断片WSの外側面のことをいう。
これらの単位構造体US,US,US,US,US,US及びUSは、隣り合ったもの同士が互いに接触し、直列に配置されている。
【0038】
導波路セグメントWSは、「高屈折率部」を構成する。また、溝SPは、高屈折率部よりも屈折率が小さい「低屈折率部」を構成する。
【0039】
個々の導波路セグメントWSは、光伝播方向に直交する断面形状が光導波路16と同一形状である。また、導波路セグメントWSの材料は、光導波路16と同様にシリコンとする。
【0040】
ここで、導波路セグメントWSの屈折率をnとする。nは、添字kの値によらず一定とする。つまり、すべての導波路セグメントWS1〜7において、屈折率はnで等しいものとする。既に説明した通り、導波路セグメントWSの屈折率nは、後述する溝SPの屈折率nよりも大きい(n>n)。また、導波路セグメントWSの光伝播方向に沿った長さを、それぞれLとする。このLについては後述する。
【0041】
個々の溝SPは、光導波路16を、周知のエッチングにより、光伝播方向に直交する方向に掘り込むことで形成されている。ここで、溝SPの屈折率をnとする。nは、添字kの値によらず一定である。つまり、すべての溝SP1〜7において、屈折率はnで等しい。また、溝SPの光伝播方向に沿った長さを、それぞれSとする。このSについては後述する。
【0042】
次に、主に図2を参照して、単位構造体USを構成する導波路セグメントWSの長さL、及び溝SPの長さSについて説明する。
【0043】
まず反射領域20における長さL及びSについて説明する。
【0044】
反射領域20では、Lを一定値Lminとし、及びSを一定値Smaxとする。つまり、L,L,L及びLは、それぞれ等しくLminとする。また、S,S,S及びSは、それぞれ等しくSmaxとする。
【0045】
ここで、光入出力端面16aから光反射器10に入射される光の中心波長をλとする。このとき、Lminは、λ/(4n)とする。また、Smaxは、λ/(4n)とする。ここで、上述のようにn>nであるので、Smax>Lminである。
【0046】
反射領域20における単位構造体USの光伝播方向に沿った長さをΛmaxとする。このとき、Λmaxは(Lmin+Smax)で与えられる。
【0047】
min及びSmaxを上述の長さとすることにより、導波路セグメントWSと溝SPとの間の各界面で反射される光の位相を揃えることができる。その結果、光反射器10で反射されて光導波路16に入射する戻り光の強度を強めることができる。
【0048】
なお、反射領域20を構成する単位構造体USの総数をMとしたときに、反射領域20で反射される光の反射率Rは、周知のように下記(1)式で与えられる。
R=(n2M+2−n/(n2M+2+n・・・(1)
(ただし、この実施の形態ではM=4である。)
(1)式は、Mの増加、すなわち、反射領域20を構成する単位構造体USの総数が増えるとともに、反射率Rが1に漸近するように増加する。
【0049】
次に、遷移領域18における長さL及びSについて説明する。
【0050】
遷移領域18では、L及びSを添字jの変化とともに変化させる。つまり、L及びSを、光入出力端面16a側から数えた単位構造体USの席次(順序)とともに変化させる。
【0051】
より詳細には、単位構造体USを構成する導波路セグメントWSの長さLを、添字jの増加とともに減少させる。つまり、単位構造体US,US及びUSの順番で、導波路セグメントWSの長さL,L及びLを短くする(L>L>L)。ただし、L〜Lは、いずれもLminを超過する値、すなわちL1〜3>Lminとする。
【0052】
遷移領域18を構成する単位構造体USの総数をNとしたときに、Lは、下記(2)式により決定される。
=Lmin×(2−(j/(N+1)))・・・(2)
(ただし、この実施の形態においてはN=3である。)
(2)式を用いた具体的な数値を挙げると、L=(7/4)Lmin、L=(6/4)Lmin、及びL=(5/4)Lminである。つまり、Lは、添字jの増加とともに、Lminに向かって漸減する。
【0053】
また、単位構造体USを構成する溝SPの長さSを、添字jの増加とともに増加させる。つまり、単位構造体US,US及びUSの順番で、溝の長さS,S及びSを長くする(S<S<S)。ただし、S〜Sは、いずれもSmax未満の値、すなわち、S1〜3<Smaxとする。
【0054】
具体的には、Sは、下記(3)式により決定される。
=Smax×(j/(N+1))・・・(3)
(ただし、この実施の形態においてはN=3である。)
(3)式を用いた具体的な数値を挙げると、S=(1/4)Smax、S=(2/4)Smax、及びS=(3/4)Smaxである。つまりSは、添字jの増加とともに、Smaxに向かって漸増する。
【0055】
ここで、遷移領域18に含まれる単位構造体USの光伝播方向に沿った長さをΛとすると、Λは、下記(4)式で与えられる。
Λ=L+S
=Lmin×(2−(j/(N+1)))+Smax×(j/(N+1))
=2Lmin+(Smax−Lmin)×(j/(N+1))・・・(4)
ところで、上述のようにSmax>Lminである。したがって、遷移領域18において単位構造体USの長さΛは、添字jの増加とともに長くなっていく。
【0056】
(4)式を用いた具体的な数値を挙げると、Λ=(1/4)Smax+(7/4)Lmin、Λ=(2/4)Smax+(6/4)Lmin、及びΛ=(3/4)Smax+(5/4)Lminである。つまりΛは、添字jの増加とともに、Λmaxに向かって漸増する。
【0057】
なお、(2)式及び(3)式は、S及びLを種々に変更したシミュレーションから、最適の結果(広い波長範囲の光を高反射率で反射できる)を与えるSとLを定式化したものである。
【0058】
次に、図3及び図4に示したシミュレーション結果を参照して、光反射器10の動作について説明する。
【0059】
シミュレーションに当たっては、光反射器10のモデル(以下、第1光反射器モデルと称する。)と、従来型の光反射器のモデル(以下、従来型モデルと称する。)とを計算に用いた。
【0060】
図3(A)は、第1光反射器モデルに入力された光の電場強度を模式的に示す図である。図3(B)は、従来型モデルに入力された光の電場強度を模式的に示す図である。図4(A)は、第1光反射器モデルの反射率の波長依存性を模式的に示す図である。図4(B)は、従来型モデルの反射率の波長依存性を示す模式的に示す図である。
【0061】
図3(A)及び(B)、並びに図4(A)及び(B)は、FDTD(Finite Difference Time Domain)法によるシミュレーション結果である。ここで、FDTD法とは、マックスウェルの方程式を時間及び空間で差分化し、解析空間の電磁界をシミュレートする方法である。
【0062】
まず、シミュレーションの条件について説明する。
【0063】
第1光反射器モデルは、以下の3点を除いて光反射器10と同様に設計されている。
(1)光導波路16及び導波路セグメントWSの高さを無限大と設定した点。
(2)反射領域20に含まれる単位構造体USの総数Mを10とした点。
(3)遷移領域18に含まれる単位構造体USの総数Nを10とした点。
【0064】
なお、ここで導波路セグメントWSの高さとは、基板14の第1主面14aと導波路セグメントWSの上面との間の距離をいう。
【0065】
一方、従来型モデルは、遷移領域18が設けられていない点を除き、第1光反射器モデルと同様に設計されている。つまり、従来型モデルでは、反射領域20が、光導波路16の光入出力端面16aに直接、接続されている。
【0066】
また、第1光反射器モデル及び従来型モデルの両者ともに、導波路セグメントWSの屈折率nを3.4とし、及び溝SPの屈折率nを1.4とした。
【0067】
次に、シミュレーションの結果について説明する。
【0068】
図3(A)及び(B)は、縦軸(以下、Z軸とも称する。)が、光伝播方向に沿った位置座標(μm)を示す。横軸(以下、X軸とも称する。)が、第1主面14a内において光伝播方向に直交する方向の位置座標(μm)を示す。
【0069】
図3(A)及び(B)で白黒のグラデーション(濃淡)で表された図形は、それぞれ第1光反射器モデル及び従来型モデルに入射した光の光電場の大きさを示している。このグラデーションにおいて、白色は、光電場の大きさが正(>0)であることを示し、及び黒色は、光電場の大きさが負(<0)であることを示す。
【0070】
光電場の大きさが0の周りで周期的に振動することを反映して、図3(A)及び(B)において、白色部と黒色部とは光伝播方向に沿って交互に並んでいる。なお、シミュレーションに用いた光の波長λは1μmとした。
【0071】
また、図3(A)及び(B)において、Z=0(μm)の点が、光導波路16と第1光反射器モデル及び従来型モデルとの境界部である。つまり、Z<0の領域には、光導波路16が延在している。そして、Z≧0の領域に、第1光反射器モデル及び従来型モデルが延在している。
【0072】
図3(B)を参照すると、従来型モデルでは、光導波路16と従来型モデルとの境界部(Z=0μm付近)で、光電場が、X方向に大きくはみ出していることがわかる。光電場のX方向へのはみ出し長さは、最大で±0.5μmに達している。このはみ出しが、境界部における等価屈折率差などに由来する光の放射(損失)である。
【0073】
それに対して、図3(A)に示した第1光反射器モデルでは、このような光電場のはみ出しは見られない。
【0074】
図3(A)及び(B)から、光導波路16と反射領域20との間に遷移領域18を設けた第1光反射器モデルでは、従来型モデルに比べて境界部での光の放射による損失が大幅に抑えられていることがわかる。
【0075】
図4(A)及び(B)は、縦軸が、第1光反射器モデル及び従来型モデルの反射率(単位:無次元)を示す。横軸が、第1光反射器モデル及び従来型モデルに光導波路16から入射される光の波長(単位:μm)を示す。
【0076】
なお、図4(A)及び(B)では、第1光反射器モデル及び従来型モデルにTE(Transverse Electric Wave)偏光が入射された場合を示している。ここでTE偏光とは、光の電場ベクトルが含まれる振動面が基板14の第1主面14aに垂直な方向である光を示す(図1参照)。
【0077】
図4(A)を参照すると、第1光反射器モデルでは、約0.74〜約1.09μmの比較的広い波長範囲で、ほぼ一定の反射率(約0.95)であることがわかる。
【0078】
それに対して、図4(B)に示した従来型モデルでは、反射率が一定となる領域はほとんど存在しない。反射率は約1.09μmで最大値(約0.90)となり、光の波長が短くなるにつれて減少する。これは、光の波長が短くなるほど光の放射による損失が大きくなるためである。
【0079】
図4(A)及び(B)から、光導波路16と反射領域20との間に遷移領域18を設けた第1光反射器モデルでは、従来型モデルに比べて、広い波長範囲の光をより高い反射率で反射できることがわかる。
【0080】
次に、光反射器10の奏する効果について説明する。
【0081】
上述のように光反射器10は、遷移領域18を設けることで、光導波路16から反射領域20にかけての等価屈折率をなだらかに変化させている。その結果、光反射器10は、広い波長範囲の光をより高い反射率で反射できる。
反射領域20において、Lmin=λ/(4n)、及びSmax=λ/(4n)とすることにより、反射領域20で反射される光の位相を揃えることができる。その結果、反射領域20から光導波路16へ戻る戻り光の強度が増加する。よって、光反射器10の反射率を向上させることができる。
【0082】
また、遷移領域18及び反射領域20は、光導波路16と同時に形成される。つまり、光導波路16を形成するためのエッチングを、溝SPの掘り込みに兼用できるので、光反射器10と光導波路16とを同時に形成することができる。よって、光反射器10の製造に当たり工程が増えることがなく、有利な製造方法として採用できる。
【0083】
次に、光反射器10の設計条件について説明する。
【0084】
光反射器10では、遷移領域18に含まれる単位構造体USの総数Nを3とした。しかし、Nは、1以上の整数であれば、光反射器10の設計に応じて適当な値を選択することができる。光導波路16から反射領域20にかけて等価屈折率をなだらかに変化させるためには、Nは2以上であることが好ましい。このようにすることにより、より広い波長範囲の光をより高い反射率で反射することができる。ただし、N=1の場合であっても、上述した従来型モデルと比べれば、広い波長範囲の光をより高い反射率で反射することができる。
【0085】
光反射器10では、反射領域20に含まれる単位構造体USの総数Mを4とした。しかし、Mは、1以上の整数であれば、設計に応じて適当な値を選択することができ、特に制限されるものではない。より詳細には、反射領域20の反射率は上述の(1)式で与えられる。よって、反射率を高めるためにはMを大きくすることが好ましい。しかし、Mを大きくすると、反射領域20のブラッグ反射条件が厳しくなり、反射率が一定に保たれる光の波長範囲が狭まってしまう。よって、Mは、これらの要素を勘案して適当な値とすることが好ましい。
光反射器10では、単位構造体USを構成する溝SP中には介在するものがない。しかし、溝SPの屈折率nが導波路セグメントWSよりも小さければ(n<n)、溝SPに物質を充填することができ、例えば、導波路セグメントWSの材料としてシリコンを用いる場合には、例えばポリイミドや石英等を溝SPに充填することができる。
【0086】
また、この実施の形態では、基板14の材料として石英を用い、並びに光導波路16及び導波路セグメントWSの材料としてシリコンを用いた。しかし、基板14、光導波路16及び導波路セグメントWSの材料はこれらには限定されない。例えば、光導波路16を、化合物半導体(例えば、i−GaAs等)を材料として形成し、この光導波路16の上下をn型クラッド層及びp型クラッド層で挟持するようにしてもよい。
更に、この実施の形態では、光導波路を切断する溝SPを低屈折率部とし、光導波路の非切断部分(導波路セグメントWS)を高屈折率部とした。しかし、低屈折率部及び高屈折率部は溝SPと導波路セグメントWSとに限定されない。例えば、光導波路を切断することなく、光導波路の端部付近に屈折率変調型回折格子を設けてもよい。
【0087】
一方、光伝播方向に直交する光導波路16の断面の一辺の長さは、0.2μmに限定されない。つまり、光導波路16の光伝播方向に直交する断面16bの中心点16cを通る直線Aが、この断面16bの外周と2個の交差点cp1及びcp2で交差するときに、この2個の交差点cp1及びcp2間の距離の最小値が伝播する光の波長よりも短ければよい。
【0088】
なお、光導波路16はサブミクロン光導波路のチャネル型導波路であったが、本発明はこのような光導波路には限定されない。例えば、光導波路16としては、断面が円形の光ファイバを用いてもよい。
【0089】
(実施の形態2)
図5を参照して、実施の形態2の光反射器30の構造の一例について説明する。
【0090】
図5は、光反射器30を含む光学装置32の主要部の構造を概略的に示す上面図である。なお、図5において、図2と同様の構成要素には同符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0091】
まず、光反射器30と光反射器10(図2)との相違点について概説する。光反射器30は、遷移領域34を構成する単位構造体USの長さΛが、一定値Λmax(反射領域20の単位構造体USの長さ)とされている点が光反射器10と異なっている。
【0092】
以下、この相違点につき詳細に説明する。
【0093】
光反射器30では、遷移領域34は、3個の単位構造体US,US及びUSで構成されている。つまり、光反射器30においてNは3である。
【0094】
遷移領域34を構成する単位構造体USにおける導波路セグメントWSの長さLは、下記(5)式で決定される。
=Lmin+Smax×(1−j/(N+1))・・・(5)
(5)式を用いた具体的な数値を挙げると、L=Lmin+(3/4)Smax、L=Lmin+(2/4)Smax、及びL=Lmin+(1/4)Smaxである。つまり、Lは、添字jの増加とともに、Lminに向かって漸減する。
【0095】
また、遷移領域34を構成する単位構造体USにおける溝SPの長さSは、下記(6)式で決定される。
=Smax×(j/(N+1))・・・(6)
(6)式を用いた具体的な数値を挙げると、S=(1/4)Smax、S=(2/4)Smax、及びS=(3/4)Smaxである。つまり、Sは、添字jの増加とともに、Smaxに向かって漸増する。
【0096】
また、遷移領域34を構成する単位構造体USの長さΛは、下記(7)式で与えられる。
Λ=L+S=Lmin+Smax=Λmax・・・(7)
つまり、ΛはΛmaxで一定である。
【0097】
次に、図3(A)、図3(B)及び図6に示したシミュレーション結果を参照して、光反射器30の動作について説明する。
【0098】
図6は、光反射器30のモデル(以下、第2光反射器モデルと称する。)に入力された光の電場強度を模式的に示す図である。なお、図6の縦軸及び横軸は、図3(A)及び(B)と同様の意味である。
【0099】
なお、図6のシミュレーションはFDTD法で行っている。また、第2光反射器モデルにおいて、導波路セグメントWSの屈折率nを3.4とし、及び溝SPの屈折率nを1.4とした。
【0100】
第2光反射器モデルは、以下の3点を除いて光反射器30と同様に設計されている。
(1)光導波路16及び導波路セグメントWSの高さを無限大と設定した点。
(2)反射領域20に含まれる単位構造体USの総数Mを10とした点。
(3)遷移領域34に含まれる単位構造体USの総数Nを10とした点。
【0101】
図6によれば、第2光反射器モデルでは、光導波路16と第2光反射器モデルとの境界部(Z=0μm付近)では、光電場のはみ出しはほとんど見られない。しかし、Z座標が約0.5〜約1μmの範囲において、わずかに光電場のはみ出しが見られる。
【0102】
このことより、第2光反射器モデルの光の損失は、従来型モデル(図3(B))よりも小さく、かつ、第1光反射器モデル(図3(A))よりも大きいということができる。
【0103】
次に、光反射器30の奏する効果について説明する。
【0104】
図6より明らかなように、光反射器30(第2光反射器モデル)は、光反射器10(第1光反射器モデル)には劣るものの、実用上十分に広い波長範囲の光を、実用上十分に大きな反射率で反射できる。
【0105】
また、光反射器10の場合と同様に、光反射器30と光導波路16とを同時に形成することができる。よって、光反射器30の製造に当たり反射器の取り付け工程等のような特別な工程を増やすことなく製造することができる。
【0106】
光反射器30は、遷移領域34を除いては光反射器10と同様の構造である。したがって、光反射器30では、光反射器10の場合と同様に設計条件を選択できる。
【0107】
(実施の形態3)
図7及び図8を参照して実施の形態3の光反射器40の構造の一例について説明する。
【0108】
図7は、光反射器40を含む光学装置42の構造の主要部を概略的に示す上面図である。なお、図7において、図2と同様の構成要素には同符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0109】
まず、光反射器40と光反射器10(図2)との相違点について概説する。光反射器40は、遷移領域44において、導波路セグメントWSの光伝播方向に直交する方向の幅が、添字jとともに徐々に大きくなっている点が光反射器10と異なっている。
【0110】
以下、この相違点につき詳細に説明する。
【0111】
光反射器40では、遷移領域44は、3個の単位構造体US,US及びUSで構成されている。つまり、光反射器40においてNは3である。
【0112】
ここで、光伝播方向に直交し、かつ第1主面14aに平行な方向を、幅方向とし、また、光伝播方向及び第1主面14aの両者に垂直な方向を高さ方向と呼ぶこととする。
【0113】
そして、光導波路16の幅方向の長さをDmin(以下、単に、「光導波路16の幅Dmin」とも称する。)とする。また、遷移領域44における単位構造体USの幅方向の長さをD(以下、単に、「遷移領域44の幅D」とも称する。)とする。更に、反射領域20における単位構造体USの幅方向の長さをDmax(以下、単に、「反射領域20の幅Dmax」とも称する。)とする。
【0114】
このとき遷移領域44での単位構造体USの幅Dは、光導波路16の幅Dminを用いて、下記(8)式により決定される。
=Dmin+C×j・・・(8)
(ここで、CはC>1の実数である。)
また、反射領域20での単位構造体USの幅Dmaxは、下記(9)式により決定される。
max=Dmin+C×N・・・(9)
次に、図8に示したシミュレーション結果を参照して、光反射器40の動作について説明する。
【0115】
シミュレーションに当たっては、光反射器40のモデル(以下、第3光反射器モデルと称する。)と、上述した第1光反射器モデル(光反射器10のモデル)とを計算に用いた。
【0116】
図8(A)は、第3光反射器モデルの反射率の波長依存性を模式的に示す図である。図8(B)は、第1光反射器モデルの反射率の波長依存性を示す模式的に示す図である。なお、図8(A)及び(B)の縦軸及び横軸は、図4(A)及び(B)と同様の意味である。
【0117】
また、図8のシミュレーションはFDTD法で行っている。また、第3光反射器モデルにおいて、導波路セグメントWSの屈折率nを3.4とし、及び溝SPの屈折率nを1.4とした。
【0118】
また、このシミュレーションにおいては、第3光反射器モデル及び第1光反射器モデルに、TM(Transverse Magnetic Wave)偏光が入射された場合を示している。ここでTM偏光とは、光の電場ベクトルが含まれる振動面が基板14の第1主面14aに平行な方向である光を示す(図1参照)。
【0119】
第3光反射器モデルは、以下の4点を除いて光反射器40と同様に設計されている。
(1)光導波路16及び導波路セグメントWSの高さを無限大と設定した点。
(2)反射領域20に含まれる単位構造体USの総数Mを10とした点。
(3)遷移領域44に含まれる単位構造体USの総数Nを10とした点。
(4)反射領域20の幅Dmaxの大きさを2×Dminとした点。
【0120】
図8(B)を参照すると、第1光反射器モデルでは、反射率が一定となる領域はほとんど存在しない。反射率は、波長が約0.80μmで最大値(約0.95)となり、光の波長が長くなるにつれて単調に減少する。これは、光の波長が長くなると、光導波路16及び第1光反射器からの光(TM偏光)はみ出し量が多くなることに由来する。つまり、光導波路16及び第1光反射器の光の閉じ込め能力が減少し、結果として光の損失が増えるためである。
【0121】
それに対して、図8(A)に示した第3光反射器モデルでは、約0.75〜約0.92μmの波長範囲で、反射率が約0.90で一定であることがわかる。これは、(1)遷移領域44の幅Dを添字jとともに増加していること、及び、(2)反射領域20の幅Dmaxを光導波路16の幅Dminの2倍としていることに由来する。その結果、第3光反射器モデルを伝播する光(TM偏光)の遷移領域44及び反射領域20からのはみ出し量を、第1光反射器モデルよりも少なくすることができる。その結果、より広い波長範囲の光をより高い反射率で反射できることがわかる。
【0122】
次に、光反射器40の奏する効果について説明する。
【0123】
上述のように光反射器40は、遷移領域44の幅D及び反射領域の幅Dmaxが大きいことを除けば、光反射器10と同様の構造である。したがって、光反射器40は光反射器10と同様の効果を奏する。
【0124】
また、光反射器40は、単位構造体USの幅Dを遷移領域44から反射領域20にかけて大きくしている。これにより、光反射器40の等価屈折率を大きくすることができる。その結果、光反射器40に対する入射光の閉じ込める能力が増大する。よって、光反射器40からの光の放射に由来する光の損失を低減できる。
【0125】
次に、光反射器40の設計条件について説明する。
【0126】
光反射器40は、上述した理由により光反射器10の場合と同様に設計条件を選択できる。
【0127】
また、光反射器40においては、遷移領域44及び反射領域20において、単位構造体USの断面寸法を幅方向に大きくしている。しかし、断面寸法を増加する方向は幅方向には限定されない。つまり、単位構造体USの断面寸法を高さ方向に大きくしてもよい。このようにすることによっても、上述したと同様の効果が得られる。
【0128】
また、遷移領域44及び反射領域20において、単位構造体USの断面寸法を、添字kとともに幅方向及び高さ方向の両方向に大きくしてもよい。このようにすることにより、光反射器40の等価屈折率を、更に大きくすることができる。その結果、入射光を閉じ込める能力が増大し、光反射器40からの光の放射に由来する光の損失を低減できる。
【0129】
以上、本発明の反射器について種々の例を挙げて説明した、が本発明の反射器は、構成要件を逸脱しない限り、種々の変更は差し支えない。
【0130】
また、上記実施の形態においては、本発明の反射器を第1の実施形態にかかる反射きに示される光導波路16と一体に設置されるように同一基板上に構成した例を示したが、特に制限されるものではなく、例えば、反射器と光導波路とを別体に設け、反射器を光導波路とが同様の効果を奏するように配置できれば、反射器を単体の部品として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】実施の形態1の光反射器を含む光学装置の構造を概略的に示す斜視図である。
【図2】実施の形態1の光反射器を含む光学装置の構造を概略的に示す上面図である。
【図3】(A)は、第1光反射器モデルに入力された光の電場強度を模式的に示す図である。(B)は、従来型モデルに入力された光の電場強度を模式的に示す図である。
【図4】(A)は、第1光反射器モデルの反射率の波長依存性を模式的に示す図である。(B)は、従来型モデルの反射率の波長依存性を示す模式的に示す図である。
【図5】実施の形態2の光反射器を含む光学装置の構造を概略的に示す上面図である。
【図6】第2光反射器モデルに入力された光の電場強度を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態3の光反射器を含む光学装置の構造を概略的に示す上面図である。
【図8】(A)は、第3光反射器モデルの反射率の波長依存性を模式的に示す図である。(B)は、第1光反射器モデルの反射率の波長依存性を示す模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0132】
10 光反射器
12 光学装置
14 基板
14a 第1主面
14b 第2主面
16 光導波路
16a 光入出力端面
16b 断面
16c 中心点
18 遷移領域
20 反射領域
30 光反射器
32 光学装置
34 遷移領域
40 光反射器
42 光学装置
44 遷移領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の溝部と断片を単位構造体として含み、かつこれら単位構造体中に光を伝播させる光反射器において、
前記単位構造体の溝部を低屈折率部とすると共に断片を高屈折率部とし、
前記単位構造体が存する領域を光反射領域と該反射領域と前記光入出力端面との間に介在する遷移領域とすると共に、
前記溝部の長さをSとし、前記断片の長さをLとしたとき、
前記反射領域において、前記SはSmaxで一定であり、及び前記LはLminで一定であり、
前記遷移領域において、前記Sは前記Smax未満の大きさであり、かつ、該遷移領域が2個以上の前記単位構造体を含むときに、該反射領域内の溝部の長さSは反射領域端面から遷移領域端面にかけて増加し、及び前記断片の長さLは、前記Lminを超過する大きさであり、かつ、該反射領域内の断片の長さLは、前記反射領域端面から遷移領域端面にかけて減少したものであることを特徴とする光反射器。
【請求項2】
前記光の中心波長をλとし、前記低屈折率部の屈折率をnとし、前記高屈折率部の屈折率をnとしたとき、
前記反射領域において、前記Smaxをλ/(4n)とし、及び前記Lminをλ/(4n)とすることを特徴とする請求項1に記載の光反射器。
【請求項3】
前記遷移領域に含まれる前記単位構造体の個数をN個(ただし、NはN≧1の整数)とし、
該遷移領域に直列に並ぶN個の前記単位構造体を、前記光入出力端面側から前記反射領域にかけて順番に第1〜第N単位構造体としたときに、
第j単位構造体(ただし、jは1≦j≦Nの整数)において、前記SをSmax×(j/(N+1))とし、及び、前記LをLmin×(2−(j/(N+1)))とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の光反射器。
【請求項4】
前記遷移領域に含まれる前記単位構造体の個数をN個(ただし、NはN≧1の整数)とし、
該遷移領域に直列に並ぶN個の前記単位構造体を、前記光入出力端面側から前記反射領域にかけて順番に第1〜第N単位構造体としたときに、
第j単位構造体(ただし、jは1≦j≦Nの整数)において、前記SをSmax×(j/(N+1))とし、及び、前記LをLmin+Smax×(1−j/(N+1))とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の光反射器。
【請求項5】
前記遷移領域を構成する前記第1〜第N単位構造体にかけて、該単位構造体の前記光伝播方向に直交する面の寸法を徐々に増大させ、かつ、前記反射領域を構成する前記単位構造体の前記光伝播方向に直交する面の寸法を前記第N単位構造体と等しくすることを特徴とする請求項3又は4に記載の光反射器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光反射器を備えた光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−279455(P2007−279455A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106749(P2006−106749)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】