説明

光学式測定装置

【課題】測定対象物に対して、可視観察のみならず、近赤外観察や蛍光観察といった特殊観察を行うことを可能とした光学式測定装置を提供する。
【解決手段】白色光を出射する白色光源と、白色光源と測定対象物との間に配され、白色光源から出射された白色光と、測定対象物からの戻り光と、を通過させる第1対物レンズと、第1対物レンズを通過した戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズと、複数のチューブレンズのうち戻り光上に配置させる一のチューブレンズを選択的に切り替え可能なレンズ切替機構と、を備える可視観察部と、特殊光を出射する特殊光源と、特殊光源と測定対象物との間に配され、特殊光源から出射された特殊光と、測定対象物からの戻り光と、を通過させる第2対物レンズと、を備える特殊観察部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倍率の異なる複数のチューブレンズのうち一のチューブレンズを選択的に切り替え可能なパワーターレットを備えることにより、容易に変倍を可能としたことで、様々な測定対象物(ワーク)の可視観察に対応した光学式測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の光学式測定装置7においては、例えば、図7に示すように、白色光源710から出射された白色光が、ミラー720及びビームスプリッタ730を介して対物レンズ740を通過し、ワークWに照射される。ワークWに照射された白色光は、ワークWの表面で反射され、対物レンズ740及びビームスプリッタ730を介して、複数のチューブレンズ750(750a、750b、750c)のうちパワーターレット760により選択的に切り替えられた一のチューブレンズ(図中ではチューブレンズ750a)を通過し、CCDカメラ770に入射される。従来の光学式測定装置7は、上記構成を具備したことにより、ワークWの像を観察できるようになっている。
【0004】
ところで、近年、シリコンやフィルム等の素材に覆われた配線の観察や、ICウエハ上に形成されるソルダーレジストのような樹脂膜に覆われた配線の観察といった多種多様な観察及び測定への要望が高まっているが、上記の光学式測定装置では、照射光がワークWの表面部分(即ち、配線に到達する前)で反射されてしまうため、配線を観察することが困難であるという課題があった。
【0005】
上記の課題に対応したものとして、例えば、近赤外観察や蛍光観察といった特殊観察を可能とした装置が知られている。
近赤外観察とは、近赤外光の性質、即ち、可視光よりも波長が長く、肉眼では見ることができない光であり、可視光とは異なり、シリコンやフィルム等の薄い素材や皮膚組織を透過する性質を利用して、近赤外光が透過する物質越しに行われる観察である。
近赤外観察の主な用途としては、シリコンやフィルム等の薄い素材を使用した回路基盤の検査、セキュリティに利用される静脈認証等が挙げられる。
【0006】
従来の近赤外観察用光学式測定装置8は、図8に示すように、近赤外LED光源等の近赤外光のみを出射する特殊光源810を使用し、特殊光源810から出射された近赤外光を、ミラー820及びビームスプリッタ830を介して対物レンズ840を通過させ、ワークWに照射させる。ワークWに照射された近赤外光は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射され、対物レンズ840及びビームスプリッタ830を介してチューブレンズ850を通過し、CCDカメラ860に入射される。従来の近赤外観察用光学式測定装置8は、上記構成を具備したことにより、ワークW内部の配線の像を観察できるようになっている。
【0007】
一方、蛍光観察とは、ワークに対応した励起光を照射し、ワークから放射された蛍光を観察するものである。具体的には、ワークに当てた光(励起光)が、ワークの表面に形成された蛍光体の色素分子に吸収された後、蛍光体が厚みに応じて光(蛍光)を放射する現象を利用して、ワーク内部の配線を観察するものである。配線の構造により配線を覆う蛍光体の厚みが変わるため、蛍光体から放射された蛍光の強弱を観察することで、配線の構造を知ることができる。ここで、蛍光体とは、蛍光を発光する物質のことであり、多種多様な種類があるため、各蛍光体に対応する励起光、及び各蛍光体から放射される蛍光の波長も様々である。
蛍光観察の主な用途としては、ソルダーレジストが用いられたICウエハの検査、蛍光色素で染色された生物組織や細胞の観察等が挙げられる。
【0008】
従来の蛍光観察用光学式測定装置9は、図9に示すように、励起光のみを出射する特殊光源910を使用し、特殊光源910から出射された励起光の光軸上に、ワークWに対応した波長の励起光のみを透過する励起フィルタ920を設けることで、ワークWに対応した励起光を得、当該得られた励起光を、ミラー930及びダイクロイックミラー940を介して対物レンズ950を通過させ、ワークWに照射させる。励起光が照射されたワークWにおいては、ワークWの表面に形成された蛍光体から厚みに応じた蛍光が放射されるとともに、照射された励起光が反射される。ワークWからの蛍光及び励起光は、対物レンズ950及びダイクロイックミラー940を介して、蛍光のみを透過する蛍光フィルタ970を透過する。蛍光フィルタ970を透過した蛍光は、チューブレンズ960を通過し、CCDカメラ980に入射される。従来の蛍光観察用光学式測定装置9は、上記構成を具備したことにより、ワークW内部の配線の像を観察できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3363703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の近赤外観察用光学式測定装置のように、ワークに近赤外光のみを照射する構成の場合、ワークを白色光で照明する必要がある通常の可視観察を行うことができない。
同様に、上記の蛍光観察用光学式測定装置のように、ワークに対応した励起光のみをワークに照射する構成の場合、ワークを白色光で照明する必要がある通常の可視観察を行うことができない。
【0011】
本発明は、測定対象物に対して、可視観察のみならず、近赤外観察や蛍光観察といった特殊観察を行うことを可能とした光学式測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、光学式測定装置において、測定対象物の可視観察を行う可視観察部と、
前記測定対象物の特殊観察を行う特殊観察部と、を備え、
前記可視観察部は、
白色光を出射する白色光源と、
前記白色光源と前記測定対象物との間に配され、前記白色光源から出射された白色光と、前記測定対象物からの戻り光と、を通過させる第1対物レンズと、
前記第1対物レンズを通過した前記戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズと、
前記複数のチューブレンズのうち前記戻り光上に配置させる一のチューブレンズを選択的に切り替え可能なレンズ切替機構と、を備え、
前記特殊観察部は、
特殊光を出射する特殊光源と、
前記特殊光源と前記測定対象物との間に配され、前記特殊光源から出射された特殊光と、前記測定対象物からの戻り光と、を通過させる第2対物レンズと、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学式測定装置において、前記特殊光は、近赤外光であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光学式測定装置において、前記特殊光源と前記第2対物レンズとの間に配され、前記測定対象物から蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタと、
前記第2対物レンズを通過した戻り光のうち前記測定対象物から放射された蛍光のみを透過する蛍光フィルタと、を更に備え、
前記特殊光は、励起光であり、
前記第2対物レンズは、前記特殊光源から出射された励起光のうち前記励起フィルタを透過した励起光を通過させることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、光学式測定装置において、特殊光を含む白色光を出射する白色光源と、
前記白色光源と測定対象物との間に配され、前記白色光源から出射された白色光と、前記測定対象物からの戻り光と、を通過させる対物レンズと、
前記対物レンズを通過した戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズと、
前記複数のチューブレンズのうち一のチューブレンズに設けられ、所定の光のみを透過する特殊フィルタと、
前記複数のチューブレンズのうち前記戻り光上に配置させる一のチューブレンズを選択的に切り替え可能なレンズ切替機構と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光学式測定装置において、前記特殊光は、近赤外光であり、
前記特殊フィルタは、前記近赤外光のみを透過する近赤外光フィルタであることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の光学式測定装置において、前記白色光源と前記対物レンズとの間に配され、前記測定対象物から蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタを、前記白色光源から出射された白色光上に配置するか否かを選択的に切り替え可能なフィルタ切替機構を更に備え、
前記特殊光は、励起光であり、
前記対物レンズは、前記白色光源から出射された白色光のうち前記フィルタ切替機構を通過した白色光又は励起光を通過させ、
前記特殊フィルタは、前記戻り光のうち前記測定対象物から放射された蛍光のみを透過する蛍光フィルタであることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光学式測定装置において、前記特殊光は、近赤外光を含み、
前記フィルタ切替機構は、前記励起フィルタ及び前記近赤外光のみを透過する近赤外光フィルタのうちいずれか一のフィルタを前記白色光源から出射された白色光上に配置するか、又は双方とも配置しないか、を選択的に切り替え可能であり、
前記対物レンズは、前記白色光源から出射された白色光のうち前記フィルタ切替機構を通過した白色光、近赤外光又は励起光を通過させることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の光学式測定装置において、前記特殊光は、近赤外光を含み、
前記複数のチューブレンズは、少なくとも3つ以上であり、前記蛍光フィルタが設けられていないチューブレンズのうち一のチューブレンズに前記近赤外光のみを透過する近赤外光フィルタが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、測定対象物の可視観察を行う可視観察部と、測定対象物の特殊観察を行う特殊観察部と、を備えるので、測定対象物に対して、可視観察のみならず、近赤外観察や蛍光観察といった特殊観察を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図2】第2実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図3】第3実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図4】第4実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図5】第5実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図6】第5実施形態に係る光学式測定装置の変形例の構成を示す模式図である。
【図7】従来の光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図8】従来の近赤外観察用光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【図9】従来の蛍光観察用光学式測定装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を参照して、本発明に係る光学式測定装置について、詳細に説明する。本発明の光学式測定装置は、例えば、顕微鏡、画像測定機などの光学装置に搭載されるものである。
【0023】
(第1実施形態)
まず、構成について説明する。
第1実施形態に係る光学式測定装置1は、図1に示すように、ワークWの可視観察を行う可視観察部100と、ワークWの蛍光観察を行う特殊観察部としての蛍光観察部200と、を備えて構成されている。
【0024】
可視観察部100は、白色光源10と、ミラー20と、ビームスプリッタ30と、対物レンズ40と、チューブレンズ50a、50b、50cと、パワーターレット60と、CCDカメラ70と、を備えて構成されている。
【0025】
白色光源10は、例えば、ハロゲン、放電灯、発光ダイオード等で構成され、白色光を発生させて出射する。白色光源10から出射された白色光は、白色光源10の鉛直下方に配置されたミラー20に照射される。
【0026】
ミラー20は、白色光源10から照射された白色光を、水平方向左側に配置されたビームスプリッタ30に向かって反射させる。ミラー20により反射された白色光は、水平方向右側からビームスプリッタ30に照射される。
【0027】
ビームスプリッタ30は、ミラー20から照射された白色光を、鉛直下方に配置された対物レンズ40に向かって反射させる。ビームスプリッタ30により反射された白色光は、鉛直上方から対物レンズ40に入射する。
また、ビームスプリッタ30は、ワークWの表面にて反射され、鉛直下方から対物レンズ40を透過して進んできた戻り光を透過する。ビームスプリッタ30を透過した戻り光は、鉛直上方に配置されたチューブレンズ50(図中ではチューブレンズ50a)に入射する。
【0028】
対物レンズ40は、ワークWに対向するように設けられ、ビームスプリッタ30から入射した白色光を透過する。対物レンズ40を透過した白色光は、鉛直上方からワークWに向かって照射される。
また、対物レンズ40は、ワークWの表面(内面)にて反射された戻り光を透過する。対物レンズ40を透過した戻り光は、鉛直上方に配置されたビームスプリッタ30に照射される。
即ち、対物レンズ40は、白色光源10とワークWとの間に配され、白色光源10から出射された白色光と、ワークWからの戻り光と、を通過させる。
【0029】
チューブレンズ50(50a、50b、50c)は、例えば、各々倍率が異なる3つの光学レンズであり、ビームスプリッタ30から入射した戻り光上に一のチューブレンズ50(図中ではチューブレンズ50a)が配置され、当該戻り光を所定の倍率に変倍するとともに透過する。チューブレンズ50を透過した戻り光は、パワーターレット60を介して、鉛直上方に配置されたCCDカメラ70に入射する。
なお、チューブレンズ50の数は3つに限らず、2つ以上であれば任意の数とすることができる。
【0030】
パワーターレット60は、例えば、ワークWからの戻り光と異なる位置にその戻り光と平行な軸を中心として回転可能に設けられ、かつその軸から戻り光までの距離を半径とする円周上に3つのチューブレンズ50a、50b、50cを等間隔(120度間隔)で取り付けたターレットである。
即ち、パワーターレット60は、複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)のうち戻り光上に配置させる一のチューブレンズ50を選択的に切り替え可能なレンズ切替機構として機能する。
【0031】
CCDカメラ70は、ワークWからの戻り光に基づいてワークWの画像を撮像し、画像データを取得する撮像素子であり、取得した画像データを、各種画像処理を行うための図示しない制御部等に出力する。
【0032】
蛍光観察部200は、特殊光源110と、励起フィルタ120と、ミラー130と、ダイクロイックミラー140と、対物レンズ150と、チューブレンズ160と、蛍光フィルタ170と、CCDカメラ180と、を備えて構成されている。
【0033】
特殊光源110は、例えば、ハロゲン、放電灯、発光ダイオード等で構成され、励起光を発生させて出射する。特殊光源110から出射された励起光は、特殊光源110の鉛直下方に配置された励起フィルタ120に照射される。
【0034】
励起フィルタ120は、ワークWから蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過するフィルタである。
即ち、励起フィルタ120は、特殊光源110とワークWとの間に配され、特殊光源110から入射された励起光のうちワークWから蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過し、鉛直下方に配置されたミラー130に照射させる。
【0035】
ミラー130は、励起フィルタ120を透過した励起光を、水平方向左側に配置されたダイクロイックミラー140に向かって反射させる。ミラー130により反射された励起光は、水平方向右側からダイクロイックミラー140に照射される。
【0036】
ダイクロイックミラー140は、ミラー130から照射された励起光を、鉛直下方に配置された対物レンズ150に向かって反射させる。ダイクロイックミラー140により反射された励起光は、鉛直上方から対物レンズ150に入射する。
また、ダイクロイックミラー140は、鉛直下方から対物レンズ150を透過して進んできた戻り光を透過する。ダイクロイックミラー140を透過した戻り光は、鉛直上方に配置された蛍光フィルタ170に照射される。
【0037】
対物レンズ150は、ワークWに対向するように設けられ、ダイクロイックミラー140から入射した励起光を透過する。対物レンズ150を透過した励起光は、鉛直上方からワークWに向かって照射される。
また、対物レンズ150は、ワークWにて反射された励起光及びワークWに形成された蛍光体から放射された蛍光から成る戻り光を透過する。対物レンズ150を透過した戻り光は、鉛直上方に配置されたダイクロイックミラー140に照射される。
即ち、対物レンズ150は、特殊光源110とワークWとの間に配され、特殊光源110から出射された励起光のうち励起フィルタ120を透過した励起光と、ワークWからの戻り光と、を通過させる。
【0038】
蛍光フィルタ170は、蛍光のみを透過するフィルタである。
即ち、蛍光フィルタ170は、ダイクロイックミラー140を透過した戻り光のうちワークWから放射された蛍光のみを透過する。
【0039】
チューブレンズ160は、蛍光フィルタ170を透過した蛍光を所定の倍率に変倍するとともに透過する。チューブレンズ160を透過した蛍光は、鉛直上方に配置されたCCDカメラ180に入射する。
【0040】
CCDカメラ180は、ワークWからの戻り光に基づいてワークWの画像を撮像し、画像データを取得する撮像素子であり、取得した画像データを、各種画像処理を行うための図示しない制御部等に出力する。
【0041】
次に、作用について説明する。
光学式測定装置1では、可視観察部100において、白色光源10から出射された白色光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。ワークWに照射された白色光は、ワークWの表面で反射され、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)のうちパワーターレット60により選択的に切り替えられた一のチューブレンズ(図中ではチューブレンズ50a)を通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0042】
また、光学式測定装置1では、蛍光観察部200において、励起光のみを出射する特殊光源110を使用し、特殊光源110から出射された励起光の光軸上に、ワークWに対応した波長の励起光のみを透過する励起フィルタ120を設けることで、ワークWに対応した励起光を得、当該得られた励起光を、ミラー130及びダイクロイックミラー140を介して対物レンズ150を通過させ、ワークWに照射させる。励起光が照射されたワークWにおいては、ワークWに形成された蛍光体から厚みに応じた蛍光が放射されるとともに、照射された励起光が反射される。ワークWからの蛍光及び励起光から成る戻り光は、対物レンズ150及びダイクロイックミラー140を介して、蛍光のみを透過する蛍光フィルタ170を透過する。蛍光フィルタ170を透過した蛍光は、チューブレンズ160を通過し、CCDカメラ180に入射される。
【0043】
なお、対物レンズ40及び対物レンズ150は、一体的に水平方向に移動させることができるので、用途に応じて一方をワークWに対向させることができる。
即ち、可視観察を行う際には対物レンズ40を、蛍光観察を行う際には対物レンズ150を、ワークWに対向させる位置に移動させることで、容易に観察方法を変更することができる。
【0044】
以上のように、第1実施形態に係る光学式測定装置1は、ワークWの可視観察を行う可視観察部100と、ワークWの特殊観察を行う特殊観察部(蛍光観察部200)と、を備え、可視観察部100は、白色光を出射する白色光源10と、白色光源10とワークWとの間に配され、白色光源10から出射された白色光と、ワークWからの戻り光と、を通過させる対物レンズ40と、対物レンズ40を通過した戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)と、複数のチューブレンズ50のうち戻り光上に配置させる一のチューブレンズ50を選択的に切り替え可能なパワーターレット60と、を備え、特殊観察部は、特殊光を出射する特殊光源110と、特殊光源110とワークWとの間に配され、特殊光源110から出射された特殊光と、ワークWからの戻り光と、を通過させる対物レンズ150と、を備える。
このため、ワークWに対して、可視観察と特殊観察を行うことができることとなって、使用者の用途に応じて容易に観察方法を変更することができる。
【0045】
特に、第1実施形態に係る光学式測定装置1は、特殊光源110と対物レンズ150との間に配され、ワークWから蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタ120と、対物レンズ150を通過した戻り光のうちワークWから放射された蛍光のみを透過する蛍光フィルタ170と、を更に備え、特殊光は、励起光であり、対物レンズ150は、特殊光源110から出射された励起光のうち励起フィルタ120を透過した励起光を通過させる。
このため、ワークWに対して、可視観察のみならず、蛍光観察を行うことができることとなって、例えば、ソルダーレジストが用いられたICウエハの検査、蛍光色素で染色された生物組織や細胞の観察等を行うことができる。
【0046】
(第2実施形態)
まず、構成について説明する。なお、説明の簡略化のため、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態に係る光学式測定装置2は、図2に示すように、ワークWの可視観察を行う可視観察部100と、ワークWの近赤外観察を行う特殊観察部としての近赤外観察部300と、を備えて構成されている。
【0047】
近赤外観察部300は、特殊光源210と、ミラー220と、ビームスプリッタ230と、対物レンズ240と、チューブレンズ250と、CCDカメラ260と、を備えて構成されている。
【0048】
特殊光源210は、例えば、ハロゲン、放電灯、発光ダイオード等で構成され、近赤外光を発生させて出射する。特殊光源210から出射された近赤外光は、特殊光源210の鉛直下方に配置されたミラー220に照射される。
【0049】
ミラー220は、特殊光源210から照射された近赤外光を、水平方向左側に配置されたビームスプリッタ230に向かって反射させる。ミラー220により反射された近赤外光は、水平方向右側からビームスプリッタ230に照射される。
【0050】
ビームスプリッタ230は、ミラー220から照射された近赤外光を、鉛直下方に配置された対物レンズ240に向かって反射させる。ビームスプリッタ230により反射された近赤外光は、鉛直上方から対物レンズ240に入射する。
また、ビームスプリッタ230は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射され、鉛直下方から対物レンズ240を透過して進んできた戻り光を透過する。ビームスプリッタ230を透過した戻り光は、鉛直上方に配置されたチューブレンズ250に入射する。
【0051】
対物レンズ240は、ワークWに対向するように設けられ、ビームスプリッタ230から入射した近赤外光を透過する。対物レンズ240を透過した近赤外光は、鉛直上方からワークWに向かって照射される。
また、対物レンズ240は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射された戻り光を透過する。対物レンズ240を透過した戻り光は、鉛直上方に配置されたビームスプリッタ230に照射される。
即ち、対物レンズ240は、特殊光源210とワークWとの間に配され、特殊光源210から出射された近赤外光と、ワークWからの戻り光と、を通過させる。
【0052】
チューブレンズ250は、ビームスプリッタ230から入射した戻り光を所定の倍率に変倍するとともに透過する。チューブレンズ250を透過した戻り光は、鉛直上方に配置されたCCDカメラ260に入射する。
【0053】
CCDカメラ260は、ワークWからの戻り光に基づいてワークWの画像を撮像し、画像データを取得する撮像素子であり、取得した画像データを、各種画像処理を行うための図示しない制御部等に出力する。
【0054】
次に、作用について説明する。
光学式測定装置2では、可視観察部100において、白色光源10から出射された白色光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。ワークWに照射された白色光は、ワークWの表面で反射され、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)のうちパワーターレット60により選択的に切り替えられた一のチューブレンズ(図中ではチューブレンズ50a)を通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0055】
また、光学式測定装置2では、近赤外観察部300において、近赤外光のみを出射する特殊光源210を使用し、特殊光源210から出射された近赤外光を、ミラー220及びビームスプリッタ230を介して対物レンズ240を通過させ、ワークWに照射させる。ワークWに照射された近赤外光は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射され、対物レンズ240及びビームスプリッタ230を介してチューブレンズ250を通過し、CCDカメラ260に入射される。
【0056】
なお、対物レンズ40及び対物レンズ240は、一体的に水平方向に移動させることができるので、用途に応じて一方をワークWに対向させることができる。
即ち、可視観察を行う際には対物レンズ40を、近赤外観察を行う際には対物レンズ240を、ワークWに対向させる位置に移動させることで、容易に観察方法を変更することができる。
【0057】
以上のように、第2実施形態に係る光学式測定装置2は、特殊光源210として近赤外光を出射する光源を使用しているので、可視観察部100における可視観察のみならず、特殊観察部(近赤外観察部300)における近赤外観察を行うことができることとなって、例えば、シリコンやフィルム等の薄い素材を使用した回路基盤の検査、セキュリティに利用される静脈認証等を行うことができる。
【0058】
(第3実施形態)
まず、構成について説明する。なお、説明の簡略化のため、第1、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第3実施形態に係る光学式測定装置3は、図3に示すように、高輝度光源11と、ミラー20と、ビームスプリッタ30と、対物レンズ40と、チューブレンズ50a、50b、50cと、ハイパスフィルタ80と、パワーターレット60と、CCDカメラ70と、を備えて構成されている。
【0059】
高輝度光源11は、例えば、ハロゲン、放電灯、発光ダイオード等で構成される広帯域の光源であり、近赤外光を含む高輝度の白色光を発生させて出射する。高輝度光源11から出射された白色光は、高輝度光源11の鉛直下方に配置されたミラー20に照射される。
【0060】
ハイパスフィルタ80は、近赤外光のみを透過するフィルタである。
即ち、ハイパスフィルタ80は、ビームスプリッタ30を透過した戻り光(近赤外光を含む白色光)のうち近赤外光のみを透過する。
このハイパスフィルタ80は、複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)のうち一のチューブレンズ50(図中ではチューブレンズ50a)と一体となるように設けられており、パワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作に付随して移動するようになっている。
【0061】
次に、作用について説明する。
光学式測定装置3では、高輝度光源11から出射された近赤外光を含む高輝度の白色光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。ワークWに照射された白色光に含まれる近赤外光は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射される。ワークWからの戻り光は、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、近赤外光のみを透過するハイパスフィルタ80を透過する。ハイパスフィルタ80を透過した近赤外光は、チューブレンズ50aを通過し、CCDカメラ70に照射される。
【0062】
一方、パワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作により、ハイパスフィルタ80が設けられていないチューブレンズ50(例えばチューブレンズ50b)を戻り光上に配置させた場合、戻り光上にハイパスフィルタ80が存在しないこととなるため、ワークWからの戻り光は、そのままチューブレンズ50bを通過してCCDカメラ70に入射される。
【0063】
以上のように、第3実施形態に係る光学式測定装置3は、特殊光を含む白色光を出射する白色光源(高輝度光源11)と、高輝度光源11とワークWとの間に配され、高輝度光源11から出射された白色光と、ワークWからの戻り光と、を通過させる対物レンズ40と、対物レンズ40を通過した戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)と、複数のチューブレンズ50のうち一のチューブレンズ50(例えば、チューブレンズ50a)に設けられ、所定の光のみを透過する特殊フィルタ(ハイパスフィルタ80)と、複数のチューブレンズ50のうち戻り光上に配置させる一のチューブレンズ50を選択的に切り替え可能なパワーターレット60と、を備える。
このため、パワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作により、ワークWからの戻り光上に特殊フィルタを配置するか否かを選択することができることとなって、使用者は容易に可視観察と特殊観察とを切り替えることができる。
【0064】
特に、第3実施形態に係る光学式測定装置3は、白色光源として近赤外光を含む白色光を出射する光源を、特殊フィルタとして近赤外光のみを透過するハイパスフィルタ80を、それぞれ使用しているので、パワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作により、可視観察のみならず、近赤外観察を行うことができることとなって、例えば、シリコンやフィルム等の薄い素材を使用した回路基盤の検査、セキュリティに利用される静脈認証等を行うことができる。
【0065】
(第4実施形態)
まず、構成について説明する。なお、説明の簡略化のため、第1〜3実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第4実施形態に係る光学式測定装置4は、図4に示すように、高輝度光源12と、フィルタ切替ターレット90と、ミラー20と、ビームスプリッタ30と、対物レンズ40と、チューブレンズ50a、50b、50cと、蛍光フィルタ171と、パワーターレット60と、CCDカメラ70と、を備えて構成されている。
【0066】
高輝度光源12は、例えば、ハロゲン、放電灯、発光ダイオード等で構成される広帯域の光源であり、励起光を含む高輝度の白色光を発生させて出射する。高輝度光源12から出射された白色光は、高輝度光源12の鉛直下方に配置されたフィルタ切替ターレット90に照射される。
【0067】
フィルタ切替ターレット90は、高輝度光源12から出射された白色光上に、ワークWから蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタ121を配置するか否かを選択的に切り替え可能なターレットであり、フィルタ切替機構として機能する。
【0068】
蛍光フィルタ171は、蛍光のみを透過するフィルタである。
即ち、蛍光フィルタ171は、ビームスプリッタ30を透過した戻り光のうちワークWから放射された蛍光のみを透過する。
この蛍光フィルタ171は、複数のチューブレンズ50(50a、50b、50c)のうち一のチューブレンズ50(図中ではチューブレンズ50a)と一体となるように設けられており、パワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作に付随して移動するようになっている。
【0069】
次に、作用について説明する。
光学式測定装置4は、高輝度光源12から出射された白色光上に励起フィルタ121を配置するか否かを選択的に切り替え可能なフィルタ切替ターレット90を設けている。
このフィルタ切替ターレット90を操作して白色光上に励起フィルタ121を配置し、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171が設けられたチューブレンズ50aを戻り光上に配置させた場合(図4参照)、励起フィルタ121を透過したことで得られた励起光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。励起光が照射されたワークWにおいては、ワークWに形成された蛍光体から厚みに応じた蛍光が放射されるとともに、照射された励起光が反射される。ワークWからの蛍光及び励起光から成る戻り光は、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、蛍光のみを透過する蛍光フィルタ171を透過する。蛍光フィルタ171を透過した蛍光は、チューブレンズ50aを通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0070】
一方、フィルタ切替ターレット90を操作して白色光上に励起フィルタ121を配置しない状態とし、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171が設けられていないチューブレンズ50(例えばチューブレンズ50b)を戻り光上に配置させた場合、ワークWに対して高輝度光源12から出射された白色光がそのまま照射されるうえ、ワークWからの戻り光上に蛍光フィルタ171が存在しないこととなるため、ワークWからの戻り光は、そのままチューブレンズ50bを通過してCCDカメラ70に入射される。
【0071】
以上のように、第4実施形態に係る光学式測定装置4は、白色光源(高輝度光源12)と対物レンズ40との間に配され、ワークWから蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタ121を、高輝度光源12から出射された白色光上に配置するか否かを選択的に切り替え可能なフィルタ切替ターレット90を更に備え、白色光源として励起光を含む白色光を出射する光源を、特殊フィルタとして戻り光のうちワークWから放射された蛍光のみを透過する蛍光フィルタ171を、それぞれ使用し、対物レンズ40は、高輝度光源12から出射された白色光のうちフィルタ切替ターレット90を通過した白色光又は励起光を通過させる。
このため、フィルタ切替ターレット90による励起フィルタ121の切替操作及びパワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作により、可視観察のみならず、蛍光観察を行うことができることとなって、例えば、ソルダーレジストが用いられたICウエハの検査、蛍光色素で染色された生物組織や細胞の観察等を行うことができる。
【0072】
(第5実施形態)
まず、構成について説明する。なお、説明の簡略化のため、第1〜4実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第5実施形態に係る光学式測定装置5は、図5(a)、(b)に示すように、高輝度光源13と、フィルタ切替ターレット91と、ミラー20と、ビームスプリッタ30と、対物レンズ40と、チューブレンズ50a、50b、50cと、蛍光フィルタ171と、パワーターレット60と、CCDカメラ70と、を備えて構成されている。
【0073】
高輝度光源13は、例えば、ハロゲン、放電灯、発光ダイオード等で構成される広帯域の光源であり、近赤外光及び励起光を含む高輝度の白色光を発生させて出射する。高輝度光源13から出射された白色光は、高輝度光源13の鉛直下方に配置されたフィルタ切替ターレット91に照射される。
【0074】
フィルタ切替ターレット91は、高輝度光源13から出射された白色光上に、ワークWから蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタ121及び近赤外光のみを透過するハイパスフィルタ81のうちいずれか一のフィルタを配置するか、又は双方とも配置しないか、を選択的に切り替え可能なターレットであり、フィルタ切替機構として機能する。
【0075】
次に、作用について説明する。
光学式測定装置5は、高輝度光源13から出射された白色光上に、励起フィルタ121及びハイパスフィルタ81のうちいずれか一のフィルタを配置するか、又は双方とも配置しないか、を選択的に切り替え可能なフィルタ切替ターレット91を設けている。
このフィルタ切替ターレット91を操作して白色光上に励起フィルタ121を配置し、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171が設けられたチューブレンズ50aを戻り光上に配置させた場合(図5(a)参照)、励起フィルタ121を透過したことで得られた励起光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。励起光が照射されたワークWにおいては、ワークWに形成された蛍光体から厚みに応じた蛍光が放射されるとともに、照射された励起光が反射される。ワークWからの蛍光及び励起光から成る戻り光は、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、蛍光のみを透過する蛍光フィルタ171を透過する。蛍光フィルタ171を透過した蛍光は、チューブレンズ50aを通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0076】
また、フィルタ切替ターレット91を操作して白色光上にハイパスフィルタ81を配置し、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171が設けられていないチューブレンズ50(例えばチューブレンズ50b)を戻り光上に配置させた場合(図5(b)参照)、ハイパスフィルタ81を透過したことで得られた近赤外光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。ワークWに照射された近赤外光は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射され、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、チューブレンズ50bを通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0077】
一方、フィルタ切替ターレット91を操作して白色光上に励起フィルタ121及びハイパスフィルタ81を配置しない状態とし、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171が設けられていないチューブレンズ50(例えばチューブレンズ50b)を戻り光上に配置させた場合、ワークWに対して高輝度光源13から出射された白色光がそのまま照射されるうえ、ワークWからの戻り光上に蛍光フィルタ171が存在しないこととなるため、ワークWからの戻り光は、そのままチューブレンズ50bを通過してCCDカメラ70に入射される。
【0078】
第5実施形態に係る光学式測定装置5は、白色光源(高輝度光源13)として励起光及び近赤外光を含む白色光を出射する光源を使用し、フィルタ切替ターレット91は、励起フィルタ121及び近赤外光のみを透過するハイパスフィルタ81のうちいずれか一のフィルタを高輝度光源13から出射された白色光上に配置するか、又は双方とも配置しないか、を選択的に切り替え可能であり、対物レンズ40は、高輝度光源13から出射された白色光のうちフィルタ切替ターレット91を通過した白色光、近赤外光又は励起光を通過させる。
このため、フィルタ切替ターレット91によるフィルタの切替操作及びパワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作により、可視観察のみならず、蛍光観察や近赤外観察を行うことができることとなって、例えば、ソルダーレジストが用いられたICウエハの検査、蛍光色素で染色された生物組織や細胞の観察や、シリコンやフィルム等の薄い素材を使用した回路基盤の検査、セキュリティに利用される静脈認証等を行うことができる。
【0079】
(第5実施形態の変形例)
まず、構成について説明する。なお、説明の簡略化のため、第1〜5実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第5実施形態の変形例に係る光学式測定装置6は、図6(a)、(b)に示すように、高輝度光源13と、フィルタ切替ターレット90と、ミラー20と、ビームスプリッタ30と、対物レンズ40と、チューブレンズ50a、50b、50cと、蛍光フィルタ171と、ハイパスフィルタ80と、パワーターレット60と、CCDカメラ70と、を備えて構成されている。
【0080】
即ち、第5実施形態と比較し、ハイパスフィルタ80を、フィルタ切替ターレット90内ではなく、チューブレンズ50bに設けた点において異なる。
【0081】
次に、作用について説明する。
光学式測定装置6は、高輝度光源13から出射された白色光上に励起フィルタ121を配置するか否かを選択的に切り替え可能なフィルタ切替ターレット90を設けている。
このフィルタ切替ターレット90を操作して白色光上に励起フィルタ121を配置し、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171が設けられたチューブレンズ50aを戻り光上に配置させた場合(図6(a)参照)、励起フィルタ121を透過したことで得られた励起光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。励起光が照射されたワークWにおいては、ワークWに形成された蛍光体から厚みに応じた蛍光が放射されるとともに、照射された励起光が反射される。ワークWからの蛍光及び励起光から成る戻り光は、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、蛍光のみを透過する蛍光フィルタ171を透過する。蛍光フィルタ171を透過した蛍光は、チューブレンズ50aを通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0082】
また、フィルタ切替ターレット90を操作して白色光上に励起フィルタ121を配置しない状態とし、かつパワーターレット60を操作してハイパスフィルタ80が設けられたチューブレンズ50bを戻り光上に配置させた場合(図6(b)参照)、高輝度光源13から出射された近赤外光を含む高輝度の白色光が、ミラー20及びビームスプリッタ30を介して対物レンズ40を通過し、ワークWに照射される。ワークWに照射された白色光に含まれる近赤外光は、ワークWの表面を透過して図示しない配線で反射される。ワークWからの戻り光は、対物レンズ40及びビームスプリッタ30を介して、近赤外光のみを透過するハイパスフィルタ80を透過する。ハイパスフィルタ80を透過した近赤外光は、チューブレンズ50bを通過し、CCDカメラ70に入射される。
【0083】
一方、フィルタ切替ターレット90を操作して白色光上に励起フィルタ121を配置しない状態とし、かつパワーターレット60を操作して蛍光フィルタ171及びハイパスフィルタ80が設けられていないチューブレンズ50(例えばチューブレンズ50c)を戻り光上に配置させた場合、ワークWに対して高輝度光源13から出射された白色光がそのまま照射されるうえ、ワークWからの戻り光上に蛍光フィルタ171及びハイパスフィルタ80が存在しないこととなるため、ワークWからの戻り光は、そのままチューブレンズ50cを通過してCCDカメラ70に入射される。
【0084】
第5実施形態の変形例に係る光学式測定装置6は、白色光源(高輝度光源13)として励起光及び近赤外光を含む白色光を出射する光源を使用し、複数のチューブレンズ50は、少なくとも3つ以上であり、蛍光フィルタ171が設けられていないチューブレンズ50のうち一のチューブレンズ50(例えば、チューブレンズ50b)に近赤外光のみを透過するハイパスフィルタ80が設けられている。
このため、フィルタ切替ターレット90による励起フィルタ121の切替操作及びパワーターレット60によるチューブレンズ50の切替操作により、可視観察のみならず、蛍光観察や近赤外観察を行うことができることとなって、例えば、ソルダーレジストが用いられたICウエハの検査、蛍光色素で染色された生物組織や細胞の観察や、シリコンやフィルム等の薄い素材を使用した回路基盤の検査、セキュリティに利用される静脈認証等を行うことができる。
【0085】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、蛍光フィルタやハイパスフィルタをチューブレンズと対物レンズの間に設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、チューブレンズとCCDカメラの間に設けるようにしてもよい。
【0087】
その他、光学式測定装置を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である
【符号の説明】
【0088】
1〜6 光学式測定装置
100 可視観察部
200 蛍光観察部(特殊観察部)
300 近赤外観察部(特殊観察部)
10 白色光源
11、12、13 高輝度光源(白色光源)
20、130、220 ミラー
30、230 ビームスプリッタ
40 対物レンズ(第1対物レンズ)
50(50a、50b、50c)、160、250 チューブレンズ
60 パワーターレット(レンズ切替機構)
70、180、260 CCDカメラ
80 ハイパスフィルタ(近赤外光フィルタ;特殊フィルタ)
90、91 フィルタ切替ターレット(フィルタ切替機構)
110、210 特殊光源
120、121 励起フィルタ
140 ダイクロイックミラー
150、240 対物レンズ(第2対物レンズ)
170、171 蛍光フィルタ(特殊フィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の可視観察を行う可視観察部と、
前記測定対象物の特殊観察を行う特殊観察部と、を備え、
前記可視観察部は、
白色光を出射する白色光源と、
前記白色光源と前記測定対象物との間に配され、前記白色光源から出射された白色光と、前記測定対象物からの戻り光と、を通過させる第1対物レンズと、
前記第1対物レンズを通過した前記戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズと、
前記複数のチューブレンズのうち前記戻り光上に配置させる一のチューブレンズを選択的に切り替え可能なレンズ切替機構と、を備え、
前記特殊観察部は、
特殊光を出射する特殊光源と、
前記特殊光源と前記測定対象物との間に配され、前記特殊光源から出射された特殊光と、前記測定対象物からの戻り光と、を通過させる第2対物レンズと、を備えることを特徴とする光学式測定装置。
【請求項2】
前記特殊光は、近赤外光であることを特徴とする請求項1に記載の光学式測定装置。
【請求項3】
前記特殊光源と前記第2対物レンズとの間に配され、前記測定対象物から蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタと、
前記第2対物レンズを通過した戻り光のうち前記測定対象物から放射された蛍光のみを透過する蛍光フィルタと、を更に備え、
前記特殊光は、励起光であり、
前記第2対物レンズは、前記特殊光源から出射された励起光のうち前記励起フィルタを透過した励起光を通過させることを特徴とする請求項1に記載の光学式測定装置。
【請求項4】
特殊光を含む白色光を出射する白色光源と、
前記白色光源と測定対象物との間に配され、前記白色光源から出射された白色光と、前記測定対象物からの戻り光と、を通過させる対物レンズと、
前記対物レンズを通過した戻り光を所定の倍率に変倍する複数のチューブレンズと、
前記複数のチューブレンズのうち一のチューブレンズに設けられ、所定の光のみを透過する特殊フィルタと、
前記複数のチューブレンズのうち前記戻り光上に配置させる一のチューブレンズを選択的に切り替え可能なレンズ切替機構と、
を備えることを特徴とする光学式測定装置。
【請求項5】
前記特殊光は、近赤外光であり、
前記特殊フィルタは、前記近赤外光のみを透過する近赤外光フィルタであることを特徴とする請求項4に記載の光学式測定装置。
【請求項6】
前記白色光源と前記対物レンズとの間に配され、前記測定対象物から蛍光を放射させる波長の励起光のみを透過する励起フィルタを、前記白色光源から出射された白色光上に配置するか否かを選択的に切り替え可能なフィルタ切替機構を更に備え、
前記特殊光は、励起光であり、
前記対物レンズは、前記白色光源から出射された白色光のうち前記フィルタ切替機構を通過した白色光又は励起光を通過させ、
前記特殊フィルタは、前記戻り光のうち前記測定対象物から放射された蛍光のみを透過する蛍光フィルタであることを特徴とする請求項4に記載の光学式測定装置。
【請求項7】
前記特殊光は、近赤外光を含み、
前記フィルタ切替機構は、前記励起フィルタ及び前記近赤外光のみを透過する近赤外光フィルタのうちいずれか一のフィルタを前記白色光源から出射された白色光上に配置するか、又は双方とも配置しないか、を選択的に切り替え可能であり、
前記対物レンズは、前記白色光源から出射された白色光のうち前記フィルタ切替機構を通過した白色光、近赤外光又は励起光を通過させることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置。
【請求項8】
前記特殊光は、近赤外光を含み、
前記複数のチューブレンズは、少なくとも3つ以上であり、前記蛍光フィルタが設けられていないチューブレンズのうち一のチューブレンズに前記近赤外光のみを透過する近赤外光フィルタが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の光学式測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−128295(P2012−128295A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281102(P2010−281102)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】