説明

光学活性モノスルホネート化合物の製造方法

【課題】光学活性モノスルホネート化合物の製造方法の提供。
【解決手段】ジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化する、モノスルホネート化合物の製造方法。特に、メソ−1,2−ジオール化合物(II)およびスルホニル化剤(III)を、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)、金属塩(V)および塩基の存在下反応させる、光学活性モノスルホネート化合物(I)の製造方法;

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にスルホニル化することで得られる、光学活性モノスルホネート化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性ジオール類は各種キラル医薬の合成素子として重要であり、その不斉合成法の開発研究が活発に行われている。
光学活性ジオール類の合成法としては、近年発明者らにより、不斉銅錯体を触媒とする、メソ−1,2−ジオール類の不斉モノアシル化(非特許文献1および特許文献1参照)ならびにメソ−1,2−ジオール類のモノカルバモイル化(非特許文献2参照)などの不斉合成法が報告されている。
しかし、上記した不斉モノアシル化やモノカルバモイル化法では、適用されるジオール類の種類によってエナンチオ選択性がそれほど高くない場合があった(非特許文献3参照)。
【0003】
一方、スルホン酸エステル類は、アシル基やカルバモイル基に比べ求核試薬や塩基に対するより良好な脱離基となることが知られている。よってジオール類をエナンチオ選択的にモノスルホニル化することにより得られた化合物も同様に、種々のキラル医薬の合成素子となり得る。
【0004】
ジオール類のモノスルホニル化反応としては、ピリジンなどの塩基存在下、アルキルまたはアリールスルホニルハライドと反応させる方法が古くから知られている(例えば、非特許文献4参照)。しかし、この方法によればジスルホネート体も同時に生じるため、片方の水酸基を選択的にモノスルホニル化するための方法の開発が求められていた。
近年、Martinelliらによって、下記式で示すように触媒量のジブチル酸化スズでメソ−1,2−ジオール類のモノスルホニル化が効率的に進行する手法が報告された(非特許文献5〜7参照)。
【0005】
【化1】

【0006】
しかし、上記方法で得られるモノスルホネート体はラセミ体であった。さらに光学活性なモノスルホネート体を得る方法としては、下記式で示すような光学活性アルコールのモノスルホニル法(非特許文献8)およびα−ケトスルホネートの不斉還元法(非特許文献9)が知られているだけである。
【0007】
【化2】

【0008】
【化3】

【0009】
このように、ジオール類をエナンチオ選択的にモノスルホニル化する方法はほとんど知られていない。従って、当該方法であって従来法(不斉モノアシル化やモノカルバモイル化法)より簡便で、かつ高い立体選択性を有する新たな方法が求められている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−313153号公報
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc. 2003,125,2052−2053.
【非特許文献2】Tetrahedron Lett.2006,47,8453−8456.
【非特許文献3】有機合成化学協会誌 第65巻 No.3、2007年、216−225頁
【非特許文献4】Duthaler,R.O.;Maienfisch,P.Helv.Chim.Acta 1984,67,832−44.
【非特許文献5】J.Am.Chem.Soc.2002,124,3578−3585.
【非特許文献6】Tetrahedron Lett.2000,41,3773−3776.
【非特許文献7】Organic Lett.1999,1,447−450.
【非特許文献8】J.Org.Chem.1997,62,827−835.
【非特許文献9】J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2001,1204−1211.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、キラル医薬品の中間体として有用な、光学活性なジオール誘導体の立体選択的な製造方法を提供することである。詳細には、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化することを特徴とする、光学活性モノスルホネート化合物(本明細書中、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化することで得られた「光学活性モノスルホネート化合物」を、「光学活性ジオール誘導体」または「光学活性ジオール類」と記載する場合がある)の製造方法を提供することである。
【0012】
特に本発明は、プロキラルジオール化合物のうち、メソ−1,2−ジオール化合物をエナンチオ選択的にモノスルホニル化したり、1,3−ジオール化合物をモノスルホニル化することによってジオール化合物を不斉対称化することで、光学活性モノスルホネート化合物を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、光学活性ビスオキサゾリン−金属錯体を不斉触媒として用いることにより、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化できることを見出した。
特に、メソ−1,2−ジオール化合物をエナンチオ選択的にモノスルホニル化することで、また1,3−ジオール化合物をモノスルホニル化することで不斉対称化して、光学活性モノスルホネート化合物を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化することを特徴とする、光学活性モノスルホネート化合物の製造方法。
[2]モノスルホニル化が、プロキラルジオール化合物および式(III)
【0015】
【化4】

【0016】
[式中、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示し、
Xは、ハロゲン原子を示す]で表されるスルホニル化剤(以下、スルホニル化剤(III)と記載する)を、式(IVa)
【0017】
【化5】

【0018】
[式中、
は、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいは二つのRが一体となって置換されていてもよいC2−6アルキレン基を示し、
は、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC7−16アラルキル基、または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物(以下、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)と記載する)もしくは式(IVb)
【0019】
【化6】

【0020】
[式中、各記号は、前記と同義を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物(以下、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)と記載する)、または式(IVc)
【0021】
【化7】

【0022】
[式中、
は、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいは二つのRが一体となって置換されていてもよいC2−6アルキレン基を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物(以下、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)と記載する)もしくは式(IVd)
【0023】
【化8】

【0024】
[式中、各記号は、前記と同義を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物(以下、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)と記載する。また以下において、「光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)もしくは光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)、または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)もしくは光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)」をまとめて、「光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)」と記載する)、式(V)
【0025】
【化9】

【0026】
[式中、
Mは、2価の金属原子を示し、
X’は、ハロゲン原子、OTf、NTf、BF、PFまたはSbFを示す]で表される金属塩(以下、金属塩(V)と記載する)および塩基の存在下で反応させることを特徴とする、[1]記載の製造方法。
[3]プロキラルジオール化合物が、式(II)
【0027】
【化10】

【0028】
[式中、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、置換されていてもよい炭素環、置換されていてもよい縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示す]で表されるメソ−1,2−ジオール化合物(以下、化合物(II)と記載する)であって、光学活性モノスルホネート化合物が、式(I)
【0029】
【化11】

【0030】
[式中、
は、前記と同義を示し、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示す]で表される化合物(以下、化合物(I)と記載する)、または式(I’)
【0031】
【化12】

【0032】
[式中、各記号は、前記と同義を示す]で表される化合物(以下、化合物(I’)と記載する)である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]Rが、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、炭素環、縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示し、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示し、
Xが、塩素原子を示す、[3]記載の製造方法。
[5]Rが、置換されていてもよいメチル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、テトラヒドロナフタレン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、N−ベンゾイルピロリジン環またはテトラヒドロチオフェン環を示し、
が、メチル基または置換されていてもよいフェニル基を示し、
Xが、塩素原子を示す、[4]記載の製造方法。
[6]プロキラルジオール化合物が、式(VII)
【0033】
【化13】

【0034】
[式中、RおよびRは互いに異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す]で表される1,3−ジオール化合物(以下、化合物(VII)と記載する)であって、光学活性モノスルホネート化合物が、式(VI)
【0035】
【化14】

【0036】
[式中、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示し、
およびRは、前記と同義を示す]で表される化合物(以下、化合物(VI)と記載する)である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[7]Rが、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示し、
が、C1−18アルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基またはアシル基を示し、
が、C1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す、
[6]記載の製造方法。
[8]Rが、メチル基または置換されていてもよいフェニル基を示し、
が、アシル基を示し、
が、C1−6アルキル基を示す、
[6]または[7]記載の製造方法。
[9]Rが、水素原子またはC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基を示し、
が、C1−6アルキル基、置換されていてもよいC6−14アリール基またはC7−16アラルキル基を示す、
[2]〜[8]のいずれか一に記載の製造方法。
[10]Rが、メチル基を示し、
が、フェニル基、tert−ブチル基またはベンジル基を示す、[9]記載の製造方法。
[11]Mが、2価の銅原子または2価の亜鉛原子を示し、
X’が、ハロゲン原子、OTf、BFまたはPFを示す、
[2]〜[10]のいずれか一に記載の製造方法。
[12]塩基が、炭酸カリウム、トリエチルアミン、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウムおよびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される少なくとも一つである、[2]〜[11]のいずれか一に記載の製造方法。
[13]テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトニトリルおよび酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒中で行われる、[1]〜[12]のいずれか一に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、プロキラルジオール化合物を、エナンチオ選択的にモノスルホニル化することができる。本発明の方法により得られる光学活性モノスルホネート化合物は、医薬品中間体として有用である。従って、本発明を適用することにより、各種医薬品を容易に合成することが可能となる。
【0038】
本発明によれば、不斉モノアシル化やモノカルバモイル化法といった従来公知のエナンチオ選択的な光学活性ジオール誘導体の製造方法よりも、より簡便に、高い立体選択性を有する光学活性ジオール誘導体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本明細書中において使用する各置換基および各記号などの定義は次の通りである。
【0040】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基(C1−6アルキル基)、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基、トリデカニル基、テトラデカニル基、ペンタデカニル基、ヘキサデカニル基、ヘプタデカニル基、オクタデカニル基などの直鎖または分枝鎖のC1−18アルキル基が挙げられる。
「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基などの直鎖または分枝鎖のC2−6アルケニル基が挙げられる。
「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基などの直鎖または分枝鎖のC2−6アルキニル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[3.2.2]ノニル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、ビシクロ[4.2.1]ノニル基、ビシクロ[4.3.1]デシル基、アダマンチル基等のC3−10シクロアルキル基が挙げられる。
【0041】
「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などのC6−14アリール基が挙げられる。
「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基などのC7−16アラルキル基が挙げられる。
【0042】
「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの直鎖または分枝鎖のC1−6アルコキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基などのC6−14アリールオキシ基が挙げられる。
「アラルキルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基などのC7−16アラルキルオキシ基が挙げられる。
【0043】
「アルキレン基」としては、例えばエチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等の直鎖または分枝鎖のC2−6アルキレン基が挙げられる。
【0044】
「アシル基」としては、例えば、ホルミル基、カルボキシル基、C1−6アルキル−カルボニル基、C3−8シクロアルキル−カルボニル基、C6−14アリール−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C6−14アリールオキシ−カルボニル基、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基、C6−14アリール−カルボニルオキシ基、C7−16アラルキル−カルボニルオキシ基、C7−16アラルキル−アミノカルボニル基、カルバモイル基、C1−6アルキル−カルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルバモイル基、C6−14アリール−カルバモイル基、C1−6アルキル−スルホニル基などが挙げられる。
ここで、「C1−6アルキル−カルボニル基」、「C1−6アルキル−カルボニルオキシ基」、「C1−6アルキル−カルバモイル基」および「C1−6アルキル−スルホニル基」における「C1−6アルキル」、「C1−6アルコキシ−カルボニル基」および「C1−6アルコキシ−カルバモイル基」における「C1−6アルコキシ」、「C3−8シクロアルキル−カルボニル基」における「C3−8シクロアルキル」、「C6−14アリール−カルボニル基」および「C6−14アリール−カルバモイル基」における「C6−14アリール」、「C6−14アリール−カルボニルオキシ基」、「C7−16アラルキル−カルボニルオキシ基」、「C7−16アラルキル−アミノカルボニル基」における「C7−16アラルキル」、「C6−14アリールオキシ−カルボニル基」における「C6−14アリールオキシ」、「C7−16アラルキルオキシ−カルボニル基」における「C7−16アラルキルオキシ」としては、それぞれ、上記「アルキル基」における「C1−6アルキル基」、「アルコキシ基」における「C1−6アルコキシ基」、「シクロアルキル基」における「C3−8シクロアルキル基」、「アリール基」における「C6−14アリール基」、「アラルキル基」における「C7−16アラルキル基」、「アリールオキシ基」における「C6−14アリールオキシ基」、「アラルキルオキシ基」における「C7−16アラルキルオキシ基」が、それぞれ例示される。
【0045】
「炭素環」としては、例えば、
(1)C3−10シクロアルカン(例、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等)、
(2)C3−10シクロアルケン(例、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロオクテン環等)
などのような脂環式炭化水素や、ベンゼンなどの芳香族炭化水素といった、他の環と縮合していない炭素環が挙げられる。
【0046】
「縮合炭素環」としては、例えば、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフチレン、ビフェニレンなどの二つ以上の炭素環が縮合して形成される、縮合多環式炭化水素が挙げられる。また、上記「縮合炭素環」には、上記で例示した各環の一部または全部の2重結合が飽和または不飽和である縮合炭素環も含まれる。
【0047】
「複素環」としては、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含有し、芳香族でも非芳香族であってもよい3〜12員の複素環を示し、例えば、
(1)3〜6員の単環式複素環(例、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等)、
(2)8〜12員の縮合多環式複素環(例、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾ[b]チオフェン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンズインダゾール環、ベンゾオキサゾール環、1,2−ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾピラゾール環、1,2−ベンゾイソチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、ブテリジン環、カルバゾール環、α−カルボリン環、β−カルボリン環、γ−カルボリン環、アクリジン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェノキサチイニン環、チアントレン環、フェナントリジン環、キサンテン環等)
などが挙げられる。また、上記「複素環」には、上記で例示した各環の一部または全部の2重結合が飽和または不飽和である複素環も含まれる。
【0048】
上記「炭素環」、「縮合炭素環」および「複素環」は、化合物(II)における二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に形成する環である。
従って、二つのRが一緒になって隣接する炭素原子と一緒になって示す、「炭素環」、「縮合炭素環」および「複素環」としては、上記で例示した各環でもよいが、少なくとも一つの二重結合が飽和した、「炭素環」、「縮合炭素環」および「複素環」であることが好ましい。
【0049】
少なくとも一つの二重結合が飽和した、「炭素環」としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロオクテン環等が挙げられる。
【0050】
少なくとも一つの二重結合が飽和した、「縮合炭素環」としては、1,2−ジヒドロベンゼン、2,3−ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、2,3−ジヒドロインデン等が挙げられる。
【0051】
少なくとも一つの二重結合が飽和した、「複素環」としては、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、インドリン環、イソインドリン環、クロマン環、イソクロマン環、テトラヒドロベンゾチオフェン環等が挙げられる。
【0052】
、R、R、RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリル基等が挙げられる。
【0053】
、R、R、RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えば
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)アルキル基、
(4)アリール基、
(5)カルボキシル基、
(6)アルコキシ基、
(7)アラルキルオキシ基、
(8)アシル基、
(9)ニトロ基
等が挙げられる。置換基の数は、炭化水素基によって異なるが、例えば、1〜5、好ましくは1〜3であり、置換基の数が2以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0054】
ここで、
、RおよびRで示される「置換されていてもよいC1−6アルキル基」の「C1−6アルキル基」、
で示される「置換されていてもよいメチル基」の「メチル基」、
で示される「置換されていてもよいフェニル基」の「フェニル基」、
で示される「置換されていてもよいC2−6アルキレン基」の「C2−6アルキレン基」、
、RおよびRで示される「置換されていてもよいC6−14アリール基」の「C6−14アリール基」、
で示される「置換されていてもよいC7−16アラルキル基」の「C7−16アラルキル基」、
二つのRが一緒になって隣接する炭素原子と一緒になって示す「置換されていてもよい炭素環」の「炭素環」、
二つのRが一緒になって隣接する炭素原子と一緒になって示す「置換されていてもよい縮合炭素環」の「縮合炭素環」、および
二つのRが一緒になって隣接する炭素原子と一緒になって示す「置換されていてもよい複素環」の「複素環」
がそれぞれ有していてもよい置換基としては、例えば、上記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基が挙げられる。
【0055】
本発明は、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化することを特徴とする、モノスルホネート化合物の製造方法を提供する。
【0056】
本発明の「プロキラルジオール化合物」とは、水酸基を二つ有する化合物であって、光学活性を示さないが、いずれかの水酸基が別の置換基に置換されることによって光学活性体となる化合物を広く含む。すなわち、当該化合物は、水酸基が置換されることにより初めて不斉炭素原子を有するようになる化合物のみならず、一つ以上の不斉炭素原子を有するがその構造上光学活性を示し得ない化合物であって、水酸基が置換されることにより初めて光学活性を示す化合物をも広く包含するものである。そのような化合物としては、好ましくは化合物(II)または化合物(VII)が挙げられる。
【0057】
本発明のプロキラルジオール化合物の一つである化合物(II)は、不斉炭素原子を二つ有するが、分子内に対称面があるメソ体であって、光学活性を示さない。しかしながら、後述のスルホニル化によって片方の水酸基がスルホニル化することで光学活性体(光学活性モノスルホネート化合物)となり得る。
【0058】
本発明の化合物(II)としては、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、置換されていてもよい炭素環、置換されていてもよい縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示す、化合物(II)が好ましい。
【0059】
また、本発明の化合物(II)としては、
が、置換されていてもよいメチル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、炭素環、縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示す、化合物(II)がより好ましい。
【0060】
さらに、本発明の化合物(II)としては、
が、ベンジルオキシメチル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、テトラヒドロナフタレン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、N−ベンゾイルピロリジン環またはテトラヒドロチオフェン環を示す、化合物(II)が特に好ましい。
【0061】
また、本発明のプロキラルジオール化合物である化合物(VII)は、後述のスルホニル化によって片方の水酸基がスルホニル化することで光学活性体(光学活性モノスルホネート化合物)となり得る。
【0062】
本発明の化合物(VII)としては、
が、C1−18アルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基またはアシル基を示し、
が、C1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す、化合物(VII)が好ましい。
【0063】
また、本発明の化合物(VII)としては、
が、アシル基を示し、
が、C1−6アルキル基を示す、
化合物(VII)がより好ましい。
【0064】
さらに、本発明の化合物(VII)としては、
が、エトキシカルボニル基またはフェニルカルバモイル基を示し、
が、メチル基またはエチル基を示す、
化合物(VII)が特に好ましい。
【0065】
本発明における「モノスルホニル化」は、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化する反応である。これにより、プロキラルジオール化合物、好ましくは化合物(II)および化合物(VII)を、光学活性モノスルホネート化合物に導くことが可能となる。
【0066】
本発明の「モノスルホニル化」反応は、下記の工程を含むことを特徴とする。
【0067】
(工程1)金属塩(V)と、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)とを混合して、金属錯体を得る工程。
(工程2)工程1で得られた金属錯体に、塩基存在下、上記プロキラルジオール化合物およびスルホニル化剤(III)を添加することで、光学活性モノスルホネート化合物を得る工程。
(工程3)得られた光学活性モノスルホネート化合物を、自体公知の方法で精製する工程。
なお、本発明において、上記工程1および2は便宜上分けて記載したに過ぎず、上記記載に限定されるものではない。例えば、上記プロキラルジオール化合物およびスルホニル化剤(III)の混合物中に工程1で得られた金属錯体を添加してもよいし、塩基存在下でスルホニル化剤(III)、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)、金属塩(V)および上記ジオール化合物を混合して一工程で反応を進行させてもよい。
【0068】
以下、各工程に従って、各化合物を説明する。
【0069】
工程1
本工程は、金属塩(V)と、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)とを混合して、式(IVa’)
【0070】
【化15】

【0071】
で表される化合物(以下、金属錯体(IVa’)と記載する)もしくは式(IVb’)
【0072】
【化16】

【0073】
で表される化合物(以下、金属錯体(IVb’)と記載する)または式(IVc’)
【0074】
【化17】

【0075】
で表される化合物(以下、金属錯体(IVc’)と記載する)もしくは式(IVd’)
【0076】
【化18】

【0077】
で表される化合物(以下、金属錯体(IVd’)と記載する。また以下において、「金属錯体(IVa’)もしくは金属錯体(IVb’)、または金属錯体(IVc’)もしくは金属錯体(IVd’)」をまとめて、「金属錯体(IV)」と記載する)
を形成する工程である。
【0078】
金属塩(V)は、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)に配位して、金属錯体(IV)をそれぞれ形成する。
【0079】
金属塩(V)としては、
Mが、2価の銅原子または2価の亜鉛原子を示し、
X’が、ハロゲン原子、またはトリフルオロメチルスルホニル(以下、OTfと記載する場合がある)、四フッ化ホウ素(以下、BFと記載する場合がある)、六フッ化リン(以下、PFと記載する場合がある)、六フッ化アンチモン(以下、SbFと記載する場合がある)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、NTfと記載する場合がある)を示す、
金属塩(V)が好ましい。
【0080】
また、金属塩(V)としては、
Mが、2価の銅原子または2価の亜鉛原子を示し、
X’が、フッ素原子、塩素原子、OTf、NFまたはPFを示す、
金属塩(V)がより好ましい。
【0081】
より具体的には、金属塩(V)としては、Cu(OTf)、Zn(OTf)、CuBr、CuCl、CuF、Cu(BF、Cu(PF、Cu(SbFおよびCu(NTfが好ましく、中でも、Cu(OTf)、Zn(OTf)、CuCl、CuF、Cu(BFおよびCu(PFが特に好ましい。
なお、このような金属塩(V)は、市販品を用いてもよいし、自体公知の方法で製造してもよい。
【0082】
本工程において、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)は、金属塩(V)の配位子として作用し、金属錯体(IV)をそれぞれ形成する。
【0083】
光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)としては、
が、水素原子またはC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基を示し、
が、C1−6アルキル基、置換されていてもよいC6−14アリール基またはC7−16アラルキル基を示す、
光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)が好ましい。
【0084】
また、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)としては、
が、メチル基を示し、
が、フェニル基、tert−ブチル基またはベンジル基を示す、
光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)がより好ましい。
【0085】
光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)としては、Rが、水素原子またはC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基を示す、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)が好ましい。
【0086】
また、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)としては、Rが、メチル基を示す、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)がより好ましい。
【0087】
なお、本明細書中、
(1)Rが、メチル基を示し、Rが、フェニル基を示す光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)、(IVb)をそれぞれ、「(R,R)−Ph−BOX」、「(S,S)−Ph−BOX」と記載し、
(2)Rが、メチル基を示し、Rが、tert−ブチル基を示す光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)、(IVb)をそれぞれ、「(R,R)−t−Bu−BOX」、「(S,S)−t−Bu−BOX」と記載し、
(3)Rが、メチル基を示し、Rが、ベンジル基を示す光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)、(IVb)をそれぞれ、「(R,R)−Bn−BOX」、「(S,S)−Bn−BOX」と記載し、かつ
(4)Rが、メチル基を示す光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)、(IVd)をそれぞれ、「(4S,5R)−In−BOX」、「(4R,5S)−In−BOX」と記載する。
【0088】
このような光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)は、自体公知の方法で製造することができる。当該製造方法としては、例えば、J.Am.Chem.Soc.,113,728−729(1991)記載の方法などが挙げられる。
【0089】
本発明における、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)と金属塩(V)との好ましい組合せとしては、例えば、
(1)(R,R)−Ph−BOXとCu(OTf)との組合せ、
(2)(R,R)−Ph−BOXとCuClとの組合せ、
(3)(R,R)−Ph−BOXとCuFとの組合せ、
(4)(R,R)−Ph−BOXとZn(OTf)との組合せ、
(5)(R,R)−Ph−BOXとCu(BFとの組合せ、
(6)(R,R)−Ph−BOXとCu(PFとの組合せ、
(7)(R,R)−t−Bu−BOXとCu(OTf)との組合せ、
(8)(R,R)−Bn−BOXとCu(OTf)との組合せ
等が挙げられる。
【0090】
また、本発明における、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)と金属塩(V)との好ましい組合せとしては、例えば、
(1’)(S,S)−Ph−BOXとCu(OTf)との組合せ、
(2’)(S,S)−Ph−BOXとCuClとの組合せ、
(3’)(S,S)−Ph−BOXとCuFとの組合せ、
(4’)(S,S)−Ph−BOXとZn(OTf)との組合せ、
(5’)(S,S)−Ph−BOXとCu(BFとの組合せ、
(6’)(S,S)−Ph−BOXとCu(PFとの組合せ、
(7’)(S,S)−t−Bu−BOXとCu(OTf)との組合せ、
(8’)(S,S)−Bn−BOXとCu(OTf)との組合せ
等が挙げられる。
【0091】
さらに、本発明における、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)と金属塩(V)との好ましい組合せとしては、例えば、
(9)(4S,5R)−In−BOXとCu(OTf)との組合せが挙げられる。
【0092】
また、本発明における、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)と金属塩(V)との好ましい組合せとしては、例えば、
(9’)(4R,5S)−In−BOXとCu(OTf)との組合せが挙げられる。
【0093】
上記組合せのうち、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7’)、(8)および(9)の組合せが特に好ましい。
【0094】
本工程における光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)の使用量は、金属塩(V)1モルあたり、通常0.5モル〜2モル、好ましくは0.8モル〜1.2モルである。
【0095】
本工程は、反応が進行する限り溶媒中で行っても無溶媒で行ってもよいが、通常、溶媒中で行われる。使用できる溶媒としては、本工程に影響を与えない限り特に限定されないが、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサンなどであり、より好ましくは、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチルである。溶媒の使用量は、当業者であれば適宜設定することが可能である。
【0096】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、0℃〜50℃で行うことが好ましく、室温で行うことがさらに好ましい。なお本明細書中、室温とは、15℃〜35℃の範囲における温度のことをいう。
本工程の反応時間は、使用する試薬や溶媒の量、反応温度によっても異なるが、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜1時間である。
【0097】
本工程で得られた金属錯体(IV)は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって単離・精製することができるが、反応混合物のまま次工程2に付すことが好ましい。
【0098】
工程2
本工程は、工程1で得られた金属錯体に、塩基存在下、上記プロキラルジオール化合物およびスルホニル化剤(III)を添加することで、光学活性モノスルホネート化合物を得る工程である。
【0099】
本工程において、スルホニル化剤(III)は、工程1で得られた金属錯体存在下、プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化して、光学活性モノスルホネート化合物を得るために用いられる。
【0100】
スルホニル化剤(III)としては、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示し、
Xが、塩素原子を示す、
スルホニル化剤(III)が好ましい。
【0101】
また、スルホニル化剤(III)としては、
が、メチル基または置換されていてもよいフェニル基を示し、
Xが、塩素原子を示す、
スルホニル化剤(III)がより好ましい。
【0102】
さらに、スルホニル化剤(III)としては、
が、メチル基、またはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基から選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基を示し、
Xが、塩素原子を示す、
スルホニル化剤(III)がより好ましい。
【0103】
より具体的には、スルホニル化剤(III)としては、塩化p−トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化p−メトキシベンゼンスルホニル、塩化p−クロロベンゼンスルホニル、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル、塩化メタンスルホニルが好ましい。
なお、このようなスルホニル化剤(III)は、市販品を用いてもよいし、自体公知の方法で製造してもよい。
【0104】
また、本工程におけるスルホニル化剤(III)の使用量は、プロキラルジオール化合物1モルあたり、通常0.5モル〜5モル、好ましくは0.8モル〜3モル、より好ましくは0.8モル〜1.5モルである。
【0105】
本工程で用いられる塩基としては、反応が進行する限り特に限定されず、有機塩基、無機塩基などの自体公知の塩基が用いられるが、好ましくは炭酸カリウム、トリエチルアミン、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウムおよびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される。
【0106】
本工程における塩基の使用量は、プロキラルジオール化合物1モルあたり、通常0.25モル〜5モル、好ましくは0.4モル〜3モル、より好ましくは0.4モル〜1.5モルである。
【0107】
本工程は、反応が進行する限り溶媒中で行っても無溶媒で行ってもよいが、通常、工程1で得られた金属錯体を単離・精製しない限り、工程1で挙げられた溶媒中で行われる。
工程1で得られた金属錯体を単離・精製した場合には、本工程は溶媒中で行うことが好ましい。選択される当該溶媒としては、本工程に影響を与えない限り特に限定されないが、好ましくは工程1で挙げられた溶媒が挙げられる。当該溶媒の使用量は、当業者であれば適宜設定することが可能である。
【0108】
プロキラルジオール化合物については、上記で説明したとおりであるが、プロキラルジオール化合物として特に化合物(VII)を適用する場合は、上記記載のスルホニル化剤(III)のうち、塩化p−トルエンスルホニルを用いることが好ましく、上記記載の塩基のうち、炭酸カリウムを用いることが好ましい。
【0109】
一方、プロキラルジオール化合物として特に化合物(II)を適用する場合、スルホニル化剤(III)、塩基などは、上記工程2記載と同様のものを用いることができる。
【0110】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、0℃〜50℃で行うことが好ましく、室温で行うことがさらに好ましい。なお本明細書中、室温とは、15℃〜35℃の範囲における温度のことをいう。
本工程の反応時間は、使用する試薬や溶媒の量、反応温度によっても異なるが、通常1時間〜72時間、好ましくは3時間〜48時間である。
【0111】
本工程により、光学活性モノスルホネート化合物を得ることができる。光学活性モノスルホネート化合物としては、上記プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを、上記工程1ないし2を経て選択的にモノスルホニル化して得られた化合物であって、光学活性を有する限り特に限定されないが、好ましくは化合物(I)もしくは化合物(I’)、または化合物(VI)である。
【0112】
本発明の光学活性モノスルホネート化合物の一つである化合物(I)または化合物(I’)は、それぞれ、上記化合物(II)を上記工程1および2に付すことによって得られる化合物である。
詳細には、化合物(I)は、下記式
【0113】
【化19】

【0114】
で表される(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−スルホニルオキシ体であり、化合物(I’)は、下記式
【0115】
【化20】

【0116】
で表される(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−スルホニルオキシ体である。
【0117】
化合物(I)は、上記工程1において、例えば二価銅塩を用いた場合、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVa)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVd)を用いることにより製造することができる。一方、化合物(I’)は、上記工程1において、例えば二価銅塩を用いた場合、光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVb)または光学活性ビスオキサゾリン化合物(IVc)を用いることにより製造することができる。
すなわち、上記工程1において光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)を適宜使い分けることによって、ジオール化合物(例えば、化合物(II))から、光学活性の異なるモノスルホネート化合物(例えば、化合物(I)または化合物(I’))を任意に製造することが可能である。
【0118】
本発明の化合物(I)または化合物(I’)としては、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、置換されていてもよい炭素環、置換されていてもよい縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示し、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す、
化合物(I)または化合物(I’)が好ましい。
【0119】
また、本発明の化合物(I)または化合物(I’)としては、
が、置換されていてもよいメチル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、炭素環、縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示し、
が、メチル基、イソプロピル基または置換されていてもよいフェニル基を示す、
化合物(I)または化合物(I’)がより好ましい。
【0120】
さらに、本発明の化合物(I)または化合物(I’)としては、
が、ベンジルオキシメチル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、テトラヒドロナフタレン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、N−ベンゾイルピロリジン環またはテトラヒドロチオフェン環を示し、
が、メチル基、イソプロピル基、またはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロゲン原子およびニトロ基から選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基を示す、
化合物(I)または化合物(I’)が特に好ましい。
【0121】
一方、本発明の光学活性モノスルホネート化合物の一つである化合物(VI)は、上記化合物(VII)を上記工程1および2に付して得られる化合物である。
当該化合物は、S体、R体のいずれであってもよい。
そして、これらの化合物は、工程1における光学活性ビスオキサゾリン化合物(IV)を使い分けることによって、プロキラルジオール化合物(例えば、化合物(VII))から、特定の立体化学を有する光学活性モノスルホネート化合物(例えば、S体の化合物(VI)またはR体の化合物(VI))を製造することが可能である。
【0122】
本発明の化合物(VI)としては、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示し、
が、C1−18アルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基またはアシル基を示し、
が、C1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す、
化合物(VI)が好ましい。
【0123】
また、本発明の化合物(VI)としては、
が、メチル基、イソプロピル基または置換されていてもよいフェニル基を示し、
が、アシル基を示し、
が、C1−6アルキル基を示す、
化合物(VI)がより好ましい。
【0124】
さらに、本発明の化合物(VI)としては、
が、p−トリル基を示し、
が、エトキシカルボニル基またはフェニルカルバモイル基を示し、
が、メチル基またはエチル基を示す、
化合物(VI)が特に好ましい。
【0125】
工程3
本工程は、工程2で得られた光学活性モノスルホネート化合物を精製する工程である。
【0126】
上記工程で得られる光学活性モノスルホネート化合物は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)等の手段を用いることによって単離・精製することができる。
【0127】
上記工程により、目的物である光学活性モノスルホネート化合物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体または他の塩に変換することもできる。
光学活性モノスルホネート化合物は、種々の塩を形成することができる。本発明のモノスルホネート化合物は、かかる化合物をも包含する。
光学活性モノスルホネート化合物の塩としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等があげられる。
【0128】
金属塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トロメタミン〔すなわち、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン〕、tert−ブチルアミン等との塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
【0129】
光学活性モノスルホネート化合物は、水和物および非水和物のいずれであってもよい。光学活性モノスルホネート化合物の水和物としては、例えば、0.5水和物、1水和物、1.5水和物および2水和物等が挙げられる。また、自体公知の溶媒との溶媒和物であってもよい。
また、光学活性モノスルホネート化合物は、同位元素(例、H、14C、35S)などで標識されていてもよい。
本発明の光学活性モノスルホネート化合物は、上記の水和物、溶媒和物等の種々の化合物をも包含する。
【0130】
本発明により得られた光学活性モノスルホネート化合物を、例えば国際公開第2006−053037号パンフレットおよび国際公開第2006−138673号パンフレットに記載の方法に適用することで、抗不整脈剤の有効成分である下記化合物を製造することができる。
【0131】
【化21】

【0132】
また、本発明の光学活性モノスルホネート化合物を、例えば国際公開第2006−106054号パンフレットに記載の方法に適用することで、抗肥満薬の有効成分である下記化合物を製造することもできる。
【0133】
【化22】

【0134】
さらに、本発明の光学活性モノスルホネート化合物を、例えばJournal of Medicinal Chemistry(2004),47(8),2097−2109に記載の方法に適用することで、抗癌剤の有効成分である下記化合物を製造することもできる。
【0135】
【化23】

【実施例】
【0136】
以下、実施例を示してさらに具体的に本発明を説明する。以下は代表的な実施例を示すものでこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0137】
実施例1
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロペンタンの製造
【0138】
【化24】

【0139】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへメソ−シクロペンタン−1,2−ジオール(51.1mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(104.4mg,0.75mmol)、続いて塩化p−トルエンスルホニル(114.4mg,0.6mmol)を加えた。12時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロペンタン(収率91%,95%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
IR(neat)νmax;3550,2959,1356,1177cm−1
[α]19 −8.5(c 1.0,CHCl,95%ee).
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.83(d,J=9.0Hz,2H),7.36(d,J=9.0Hz,2H),4.72−4.62(m,4H),4.18−4.08(m,1H),2.45(s,3H),2.29−2.08(brs,1H),1.95−1.40(m,6H).
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.8,133.5,129.7,127.6,84.0,72.6,29.8,27.7,21.5,18.7.
MS[FAB(+)]:m/z 257[M+H]
HPLC:キラルセルOD−Hカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=20:1,波長:220nm,流速:1.0mL/min.保持時間:30.1min([+]),32.3min([−],enriched).
【0140】
比較例1−1(ベンゾイル化)
1−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンの製造
【0141】
【化25】

【0142】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへメソ−シクロペンタン−1,2−ジオール(51.1mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(104.4mg,0.75mmol)、続いて塩化ベンゾイル(0.058mL,0.5mmol)を加えた。3時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して1−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン(収率47%,0%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
IR νmax; 3445,2971,1717,1451,1275,1123,984,712cm−1
HNMR(300MHz,CDCl)δ; 1.59−1.70(m,2H),1.74−1.84(m,2H),1.86−2.15(m,2H),4.32(q,J=4.8Hz,1H),5.24(q,J=5.4Hz,1H),7.45(t,J=7.5Hz,2H),7.58(t,J=7.2Hz,1H),8.06(d,J=7.2Hz,2H).
キラルHPLC:Daicel キラルセルOJカラム(4.6 mmφ,25 cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220 nm,流速:0.5 mL/min.保持時間:15.1分,18.2分.
【0143】
比較例1−2(モノカルバモイル化)
(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−(N−フェニルカルバモイル)オキシシクロペンタンの製造
【0144】
【化26】

【0145】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへメソ−シクロペンタン−1,2−ジオール(51.1mg、0.5mmol)、続いてフェニルイソシアネート(0.054mL,0.5mmol)を加えた。30分間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−(N−フェニルカルバモイル)オキシシクロペンタン(収率91%,72%ee)を白色固体として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
mp 62−64C; [α]28.9 0.81(c 0.5,CHCl,72% ee).
IR νmax; 3310,2971,1717,1603,1541,1509,1441,1318,1225,1090,752,693 cm−1
HNMR(300MHz,CDCl)δ; 1.56−1.64(m,2H),1.66−1.78(m,2H),1.79−2.07(m,2H),2.17(s,1H),4.25(t,J=3.6Hz,1H),5.02(q,J=5.4Hz,1H),6.78(s,1H),7.08(t,J=7.2Hz,1H),7.28−7.39(m,4H).
キラルHPLC:Daicel キラルセルOJカラム(4.6 mmφ,25 cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0mL/min.保持時間:8.3分((1S,2R)−(−)−isomer,major),11.4分((1R,2S)−(+)− isomer,minor).
【0146】
実施例2
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサンの製造
【0147】
【化27】

【0148】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへメソ−シクロヘキサン−1,2−ジオール(58.1mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(104.4mg,0.75mmol)、続いて塩化p−トルエンスルホニル(114.4mg,0.6mmol)を加えた。12時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサン(収率94%,97%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
[α]19 −8.1(c 1.0,CHCl,97%ee).
IR(neat) νmax; 3550,2942,1356,1175cm−1
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.82(d,J=9.0Hz,2H),7.35(d,J=9.0Hz,2H),4.68−4.58(m,4H),3.88−3.78(m,1H),2.45(s,3H),2.10−1.20(m,9H).
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ144.6,134.0,129.7,127.5,83.0,68.8,30.1,27.5,21.5(2C),20.6.
MS [FAB(+)]:m/z 271 [M+H]
HPLC:キラルセルOD−Hカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0mL/min.保持時間:15.2分([+]),16.9分([−],enriched).
【0149】
比較例2−1(ベンゾイル化)
(1S,2R)−(+)−1−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンの製造
【0150】
【化28】

【0151】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへメソ−シクロヘキサン−1,2−ジオール(58.1mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(104.4mg,0.75mmol)、続いて塩化ベンゾイル(0.058mL,0.5mmol)を加えた。3時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−(+)−1−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサン(収率90%,98%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
[α]24 12.1(c 1.0,MeOH).
IR νmax; 3480,2939,1721,1450,1288,1113,984,715cm−1
HNMR(300MHz,CDCl)δ; 1.39−1.52(m,2H),1.68−1.90(m,4H),1.98−2.07(m,2H),3.96−3.99(m,1H),5.22−5.24(m,1H),7.46(t,J=7.5Hz,2H),7.55−7.60(m,1H),8.05−8.08(m,2H).
キラルHPLC:Daicel キラルセルOJカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=30:1,波長:254nm,流速:1.0mL/min.保持時間:13.1分((1S,2R)−(−)−isomer,major),16.5分((1R,2S)−(+)−isomer,minor).
【0152】
比較例2−2(モノカルバモイル化)
(1S,2R)−(+)−2−ヒドロキシ−1−(N−フェニルカルバモイル)オキシシクロヘキサンの製造
【0153】
【化29】

【0154】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへメソ−シクロヘキサン−1,2−ジオール(58.1mg、0.5mmol)、続いてフェニルイソシアネート(0.054mL,0.5mmol)を加えた。30分間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−(+)−2−ヒドロキシ−1−(N−フェニルカルバモイル)オキシシクロヘキサン(収率92%,76%ee)を白色固体として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
mp 72−76C; [α]22 4.9(c 0.5,CHCl).
IR νmax; 3321,2940,2863,1701,1601,1545,1501,1450,1314,1233,1065,1001,756,694 cm−1
HNMR(300MHz,CDCl)δ; 1.38−1.43(m,2H),1.66−1.83(m,4H),1.86−1.97(m,2H),2.18(s,1H),3.96(t,J=2.7Hz,1H),4.94(d,J=8.4Hz,1H),6.81(s,1H),7.07(t,J=7.2Hz,1H),7.28−7.40(m,4H).
キラルHPLC:Daicel キラルセルOJカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:210nm,流速:1.0mL/min.保持時間:7.7分((1S,2R)−(−)−isomer,major),12.0分((1R,2S)−(+)−isomer,minor).
【0155】
実施例3〜12、比較例3−1〜12−2
メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化、モノベンゾイル化およびモノカルバモイル化による不斉非対称化の比較
【0156】
実施例1、比較例1−1または比較例1−2におけるメソ−シクロペンタン−1,2−ジオールを種々のメソ−1,2−ジオール(表1中の「ジオール」)に変えた以外は、それぞれ同様の方法でメソ−1,2−ジオールの不斉非対称化を試みた(ただし、実施例12は24時間反応させた)。
得られた化合物の収率と光学純度を表1に示す。なお参考として、実施例1、比較例1−1および比較例1−2、ならびに実施例2、比較例2−1および比較例2−2の収率と光学純度を掲載している。
また、表1中、例えば、「番号3」の行の「実施例」の列に記載されたデータは、「実施例3の化合物の収率および光学純度」を示し、「番号4」の行の「比較例1」の列に記載されたデータは、「比較例4−1の化合物の収率および光学純度」を示し、「番号5」の行の「比較例2」の列に記載されたデータは、「比較例5−2の化合物の収率および光学純度」を示す。
【0157】
【表1】

【0158】
この結果から、本発明のメソ−1,2−ジオールの光学活性モノスルホニル化(光学活性モノトシル化)は、メソ−1,2−ジオールをモノベンゾイル化、モノカルバモイル化するよりも高収率、高光学純度で達成されることが分かった。
【0159】
得られた実施例化合物の物性データを以下に示す。
【0160】
(実施例3)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘプタン
【0161】
【化30】

【0162】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.81(d,J=8.1Hz,2H),7.35(d,J=8.4Hz,2H),4.72−4.62(m,1H),4.00−3.89(m,1H),2.46(s,3H),2.20−1.20(m,11H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.6,133.8,129.7,127.5,86.6,72.2,30.8,28.4,26.4,22.1,21.4,21.3;
IR(neat) 3530,2936,1599,1356,1179cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=30:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:31.6分([+]),35.9分([−],enriched);
[α]19 −11.8(c 1.0,CHCl,99%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1421Sからの計算値 [M+H]:285.1161,実測値:285.1176.
【0163】
(実施例4)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロオクタン
【0164】
【化31】

【0165】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.82(d,J=8.4Hz,2H),7.36(d,J=8.1Hz,2H),4.81−4.70(m,1H),4.00−3.89(m,1H),2.46(s,3H),2.18−1.27(m,13H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.6,133.9,129.7,127.5,85.8,71.5,29.9,27.9,26.7,25.3,23.7,21.6,21.5;
IR(neat) 3530,2926,1599,1356,1175cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=30:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:29.3分([+]),30.3分([−],enriched);
[α]19 −18.3(c 1.0,CHCl,98%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1523Sからの計算値 [M+H]:299.1317,実測値:299.1317.
【0166】
(実施例5)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシ−4−シクロヘキセン
【0167】
【化32】

【0168】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.82(d,J=8.7Hz,2H),7.35(d,J=8.1Hz,2H),5.62−5.42(m,2H),4.81−4.72(m,1H),4.10−3.99(m,1H),2.45(s,3H),2.42−2.10(m,5H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.7,133.8,129.7,127.6,123.8,122.2,80.4,66.9,31.3,28.3,21.5;
IR(neat) 3528,2924,1599,1360,1180cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:24.2分([−],enriched),30.3分([+]);
[α]19 −15.9(c 1.0,CHCl,97%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1317Sからの計算値[M+H] :269.0848,実測値:269.0851.
【0169】
(実施例6)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシ−5−シクロオクテン
【0170】
【化33】

【0171】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.80(d,J=8.1Hz,2H),7.35(d,J=7.8Hz,2H),5.75−5.55(m,2H),4.83−4.73(m,1H),4.10−3.96(m,1H),2.64−2.49(m,2H),2.45(s,3H),2.41−2.25(brs,1H),2.06−1.55(m,6H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.7,133.5,130.5,129.7,129.0,127.6,87.5,73.2,32.9,30.5,21.5(2C),21.0;
IR(neat) 3530,2938,1599,1356,1175cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:17.3分([+]),21.9分([−],enriched);
[α]21 −33.5(c 1.0,CHCl,99%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1521Sからの計算値[M+H] :297.1161,実測値:297.1171.
【0172】
(実施例7)
(2S,3R)−(+)−3−ヒドロキシ−2−(p−トルエンスルホニル)オキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン
【0173】
【化34】

【0174】
無色結晶;
Mp:126−128℃;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.82(d,J=8.4Hz,2H),7.35(d,J=8.1Hz,2H),7.18−6.91(m,4H),4.97−4.87(m,1H),4.28−4.18(m,1H),3.22−2.87(m,4H),2.45(s,3H),2.29(brs,1H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.9,133.6,132.2,131.3,129.8,129.0,128.6,127.6,126.5,126.2,80.5,67.4,34.5,31.8,21.5;
IR(neat) 3530,2926,1597,1356,1177cm−1
HPLC キラルパックASカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=5:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:11.2分([−]),13.8分([+],enriched);
[α]21 +15.2(c 1.0,CHCl,98%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1719Sからの計算値 [M+H]:319.1004,実測値:319.1005.
【0175】
(実施例8)
(3S,4R)−(+)−1−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−3−(p−トルエンスルホニル)オキシピロリジン
【0176】
【化35】

【0177】
泡状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.84(d,J=8.4Hz,1H),7.76(d,J=8.4Hz,1H),7.68−7.20(m,7H),5.01−4.91,4.78−4.65(m,total 1H),4.50−4.38,4.38−4.25(m,total 1H),3.92−3.43(m,4H),3.25,3.14(brs,total 1H),2.46,2.42(s,total 3H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 169.9,145.5,135.2,130.3,130.0,129.9,128.2,127.7,127.1,78.6,78.2,70.1,68.8,52.6,50.4,50.0,48.4,21.5;
IR(neat) 3350,2925,1620,1364,1177cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=3:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:16.1分([+],enriched),19.7分([−]);
[α]21 +22.7(c 1.0,CHCl,94%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1820NOSからの計算値[M+H]:362.1062,実測値:362.1073.
【0178】
(実施例9)
(3S,4R)−(−)−4−ヒドロキシ−3−(p−トルエンスルホニル)オキシテトラヒドロフラン
【0179】
【化36】


無色結晶;
Mp:92−94℃;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.83(d,J=8.4Hz,2H),7.38(d,J=8.1Hz,2H),4.90−4.80(m,1H),4.43−4.33(m,1H),4.02−3.65(m,4H),2.55(brs,1H),2.47(s,3H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 145.4,132.6,129.9,127.8,79.0,71.9,70.3,69.1,21.5;
IR(neat) 3425,2955,1597,1372,1180cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=5:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:19.7分([+]),21.5分([−],enriched);
[α]24 −10.0(c 1.0,CHCl,95%ee);
MS[LR−FAB(+)]:m/z 259[M+H]
【0180】
(実施例10)
(3R,4S)−(−)−4−ヒドロキシ−3−(p−トルエンスルホニル)オキシテトラヒドロチオフェン
【0181】
【化37】

【0182】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.83(d,J=8.4Hz,2H),7.38(d,J=8.1Hz,2H),4.91−4.81(m,1H),4.46−4.35(m,1H),3.02−2.74(m,4H),2.58(d,J=6.5Hz,1H),2.46(s,3H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 145.3,132.9,129.9,127.7,82.8,73.3,32.3,29.8,21.5;
IR(neat) 3530,2946,1597,1362,1179cm−1
HPLC キラルパックASカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=8:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:37.7分([+]),47.4分([−],enriched);
[α]22 −4.1(c 1.0,CHCl,94%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1115からの計算値[M+H]:275.0412,実測値:275.0414.
【0183】
(実施例11)
(2S,3R)−(−)−3−ヒドロキシ−2−(p−トルエンスルホニル)オキシブタン
【0184】
【化38】

【0185】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.81(d,J=8.4Hz,2H),7.35(d,J=8.4Hz,2H),4.61−4.51(m,1H),3.95−3.82(m,1H),2.45(s,3H),2.13(brs,1H),1.21(d,J=6.3Hz,3H),1.12(d,J=6.3Hz,3H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.6,133.9,129.7,127.6,83.0,69.1,21.4,17.4,14.7;
IR(neat) 3530,2984,1599,1356,1181cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:17.8分([−],enriched),20.0分([+]);
[α]18 −11.3(c 1.0,CHCl,99%ee);
MS[LR−FAB(+)]:m/z 245[M+H]
【0186】
(実施例12)
(2S,3R)−(+)−1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−2−(p−トルエンスルホニル)オキシブタン
【0187】
【化39】

【0188】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.75(d,J=8.4Hz,2H),7.39−7.17(m,12H),4.79−4.69(m,1H),4.52−4.29(m,4H),4.10−4.00(m,1H),3.78−3.42(m,4H),2.72(d,J=6.0Hz,1H),2.38(s,3H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 144.5,137.5,137.4,133.7,129.5,128.3,128.2,127.7(2C),127.6(2C),127.5,80.3,73.2(2C),69.8,69.2,68.3,21.5;
IR(neat) 3530,2869,1599,1362,1179cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=2:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:25.3分([−]),29.4分([+],enriched);
[α]20 +0.8(c 1.0,CHCl,93%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C2529Sからの計算値 [M+H]:457.1685,実測値:457.1687.
【0189】
実施例13
メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化反応における、塩基の影響
【0190】
炭酸カリウムを他の塩基に変えた以外は実施例2と同様の方法で、メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化を試みた。
得られた化合物の収率と光学純度を表2に示す。
【0191】
【表2】

【0192】
この結果から、トリエチルアミン、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびジイソプロピルエチルアミンを本発明の製造方法における塩基として用いた場合でも、高い光学純度で目的の光学活性モノスルホネート体が得られることが分かった。
【0193】
実施例14
メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化反応における、溶媒の影響
【0194】
ジクロロメタンを他の溶媒に変えた以外は実施例2と同様の方法で、メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化を試みた。
得られた化合物の収率と光学純度を表3に示す。
【0195】
【表3】

【0196】
この結果から、上記溶媒を本発明の製造方法における溶媒として用いた場合でも、高い光学純度で目的の光学活性モノスルホネート体が得られることが分かった。
【0197】
実施例15〜19
メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化反応における、スルホニル化剤の影響
【0198】
塩化p−トルエンスルホニルを他のスルホニル化剤に変えた以外は実施例2と同様の方法で、メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化を試みた。
得られた化合物の収率と光学純度を表4に示す。
【0199】
【表4】

【0200】
これらの結果から、上記スルホニル化剤を本発明の製造方法におけるスルホニル化剤として用いた場合でも、高い光学純度で目的の光学活性モノスルホネート体が得られることが分かった。
【0201】
得られた光学活性モノスルホネート化合物の物性データを以下に示す。
【0202】
(実施例15)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−ニトロベンゼンスルホニル)オキシシクロヘキサン
【0203】
【化40】

【0204】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 8.40(d,J=8.7Hz,2H),8.15(d,J=8.7Hz,2H),4.85−4.72(m,1H),3.91−3.78(m,1H),2.08−1.22(m,9H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 150.5,142.8,128.9,124.2,84.6,68.9,30.0,27.9,21.2,20.8;
IR(neat) 3567,2944,1541,1360,1186cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=1:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:8.1分([+]),10.2分([−],enriched);
[α]27 −4.9(c 1.0,CHCl,92%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1216NOSからの計算値[M+H]:302.0698,実測値:302.0693.
【0205】
(実施例16)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−クロロベンゼンスルホニル)オキシシクロヘキサン
【0206】
【化41】

【0207】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.88(d,J=8.7Hz,2H),7.53(d,J=8.7Hz,2H),4.72−4.61(m,1H),3.88−3.77(m,1H),2.07(brs,1H),2.00−1.22(m,8H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 140.2,135.6,129.4,128.9,83.6,68.8,30.1,27.7,21.4,20.6;
IR(neat) 3530,2944,1478,1362,1184cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=5:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:8.6分([+]),11.2分([−],enriched);
[α]18 −5.5(c 1.0,CHCl,93%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1216ClOSからの計算値 [M+H]:291.0458,実測値:291.0468.
【0208】
(実施例17)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−ベンゼンスルホニルオキシシクロヘキサン
【0209】
【化42】

【0210】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.95(d,J=7.5Hz,2H),7.71−7.50(m,3H),4.71−4.60(m,1H),3.90−3.76(m,1H),2.15(brs,1H),2.00−1.18(m,8H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 137.0,133.6,129.1,127.4,83.3,68.8,30.0,27.6,21.5,20.6;
IR(neat) 3530,2942,1449,1360,1186cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:19.2分([+]),22.3分([−],enriched);
[α]19 −5.0(c 1.0,CHCl,98%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1217Sからの計算値[M+H]:257.0848,実測値:257.0862.
【0211】
(実施例18)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−メトキシベンゼンスルホニル)オキシシクロヘキサン
【0212】
【化43】

【0213】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.87(d,J=8.4Hz,2H),7.01(d,J=8.4Hz,2H),4.64−4.53(m,1H),3.91−3.76(m,4H),2.07−1.21(m,9H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 163.5,129.7,128.3,114.2,82.8,68.8,55.5,30.1,27.6,21.5,20.6;
IR(neat) 3650,2944,1597,1348,1163cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=5:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:16.7分([+]),19.7分([−],enriched);
[α]18 −7.4(c 1.0,CHCl,94%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1319Sからの計算値[M+H]:287.0953,実測値:287.0966.
【0214】
(実施例19)
(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−メタンスルホニルオキシシクロヘキサン
【0215】
【化44】

【0216】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 4.84−4.74(m,1H),3.93−3.82 (m,1H),3.09 (s,3H),2.39 (brs,1H),2.15−2.00 (m,1H),1.83−1.21 (m,7H).
【0217】
なお、この化合物は光学純度の分析が難しいので、以下の方法により安息香酸エステル化し、(1S,2R)−(−)−2−ベンゾイルオキシ−1−メタンスルホニルオキシシクロヘキサンに変換した。
【0218】
【化45】

【0219】
室温で(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−メタンスルホニルオキシシクロヘキサン(1mmol、97%ee)とトリエチルアミン(1.5当量)および4−ジメチルアミノピリジン(1.0当量)のジクロロメタン溶液(4mL)へ塩化ベンゾイル(1.5当量)を加えた。24時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−(−)−2−ベンゾイルオキシ−1−メタンスルホニルオキシシクロヘキサン(収率93%,77%ee)を無色結晶として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0220】
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 8.07(d,J=7.2Hz,2H),7.58(t,J=7.5Hz,1H),7.46(t,J=7.5Hz,2H),5.31−5.21(m,1H),5.05−4.96(m,1H),2.99(s,3H),2.25−1.40(m,8H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 165.6,133.1,129.5,128.3,79.1,71.5,38.5,29.3,27.1,21.7,20.7;
IR(neat) 2944,1720,1360,1183cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=3:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:16.7分([+]),18.9分([−],enriched);
[α]27 −4.6(c 1.0,CHCl,77%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1419S[M+H]における計算値:299.0953,実測値:299.0969.
【0221】
実施例20
メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化反応における、金属塩(触媒種)の影響
【0222】
トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)を他の金属塩に変えた以外は実施例2と同様の方法で、メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化を試みた。
得られた化合物の収率と光学純度を表5に示す。
【0223】
【表5】

【0224】
この結果から、上記金属塩のうち、CuCl、Zn(OTf)、CuF、Cu(BFおよびCu(PFを本発明の製造方法における金属塩として用いた場合でも、高い光学純度で目的の光学活性モノスルホネート体が得られることが分かった。
【0225】
実施例21
メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化反応における、不斉配位子(光学活性ビスオキサゾリン化合物)の影響
【0226】
(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)を他の不斉配位子に変えた以外は実施例2と同様の方法で、メソ−1,2−ジオールのモノスルホニル化を試みた。
得られた化合物の収率と光学純度を表6に示す。
【0227】
【表6】

【0228】
この結果から、上記不斉配位子のうち、(S,S)−t−Bu−BOX、(R,R)−Bn−BOXおよび(4S,5R)−In−BOXを本発明の製造方法における不斉配位子として用いた場合でも、高い光学純度で目的の光学活性モノスルホネート体が得られることが分かった。
【0229】
実施例22
(2S,3R)−(−)−3−ヒドロキシ−2−ベンゼンスルホニルオキシブタン
【0230】
【化46】

【0231】
塩化p−トルエンスルホニルの代わりに塩化ベンゼンスルホニルを使用した以外は実施例11と同様の方法で、表題化合物を得た。
無色油状物;
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.94(d,J=6.9Hz,2H),7.67(t,J=7.5Hz,1H),7.56(t,J=7.5Hz,2H),4.65−4.53(m,1H),3.95−3.82(m,1H),2.15(brs,1H),1.22(d,J=6.6Hz,3H),1.12(d,J=6.6Hz,3H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 136.9,133.6,129.1,127.5,83.3,69.1,17.4,14.7;
IR(neat) 3530,2986,1449,1364,1194cm−1
HPLC キラルパックASカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:16.6分([+]),19.4分([−],enriched);
[α]18 −10.4(c 1.0,CHCl,96%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1015Sからの計算値[M+H]:231.0691,実測値:231.0704.
【0232】
実施例23
(−)−2−ヒドロキシメチル−2−(p−トルエンスルホニル)オキシメチルプロピオン酸エチルの製造
【0233】
【化47】

【0234】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸エチル(81.0mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(104.4mg,0.75mmol)、続いて塩化p−トルエンスルホニル(95.3mg,0.5mmol)を加えた。48時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して(−)−2−ヒドロキシメチル−2−(p−トルエンスルホニル)オキシメチルプロピオン酸エチル(収率57%,78%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.79(d,J=8.1Hz,2H),7.36(d,J=8.1,2H),4.26(d,J=9.6Hz,1H),4.14(q,J=7.2Hz,2H),4.09(d,J=9.6Hz,1H),3.69(d,J=4.0Hz,4H),2.46(s,3H)2.36(brt,J=4.0Hz,1H),1.23(t,J=7.2Hz,3H),1.16(s,3H);
HPLC キラルセルOD−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=15:1,波長:254nm,流速:1.0ml/min,保持時間:15.5分([−],enriched),17.1分([+]);
[α]25 −2.9(c 0.7,CHCl,78%ee).
【0235】
実施例24
(−)−2−ヒドロキシメチル−2−(p−トルエンスルホニル)オキシメチル−(N−フェニル)ブチルアミドの製造
【0236】
【化48】

【0237】
室温でトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(R,R)−(+)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を10分間撹拌した。そこへ2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−(N−フェニル)ブチルアミド(111.6mg、0.5mmol)、炭酸カリウム(104.4mg,0.75mmol)、続いて塩化p−トルエンスルホニル(114.4mg,0.6mmol)を加えた。12時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して(−)−2−ヒドロキシメチル−2−(p−トルエンスルホニル)オキシメチル−(N−フェニル)ブチルアミド(収率93%,87%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 8.68(brs,1H)、7.78(d,J=8.4Hz,2H),7.47(d,J=7.8Hz,2H),7.35−7.23(m,4H),7.11(t,J=7.8Hz,1H),4.28(d,J=10.2Hz,1H),4.17(d,J=10.2Hz,2H),3.95(dd,J=11.4,5.7Hz,1H),3.84(dd,J=11.4,5.7Hz,1H),3.00(brs,1H),2.44(s,3H)1.85−1.63(m,2H),0.87(t,J=7.5Hz,3H);
IR(neat) 3300,2926,1661,1599,1360,1177cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:45.7分([+]),52.1分([−],enriched);
[α]26 −43.2(c 1.0,CHCl,87%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1719Sからの計算値 [M+H]:378.1375,実測値:378.1383.
【0238】
比較例13
(−)−2−ヒドロキシメチル−2−(N−フェニル)カルバモイルオキシメチルブタン酸エチルの製造
【0239】
【化49】

【0240】
トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(S,S)−(−)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)を少量のジクロロメタン中(4mL)で混合し、溶解後(30分以内)ジクロロメタンを減圧留去すると青緑色の固体が残った。このフラスコ内に2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸エチル(0.088g,0.5mmol)を加えてテトラヒドロフラン2mlに溶解し、その溶液を氷水中で冷却した。約10分冷却した後フェニルイソシアネート0.054mL(分子量 119.12,d=1.10,0.5mmol)を加えて撹拌した。一時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で三回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して(−)−2−ヒドロキシメチル−2−(N−フェニル)カルバモイルオキシメチルブタン酸エチル0.129g(収率88%、55%ee)を得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下のとおりであった。
無色油状物。
IR νmax; 3341,2975,1736,1603,1545,1447,1318,1235,1144,1068,862,756,693cm−1
H NMR(300MHz,CDCl)δ; 0.91(t,J=7.5Hz,3H),1.28(t,J=6.9Hz,3H),1.56−1.72(m,2H),2.94(t,J=6.9Hz,1H),3.68(dd,J=6.9,12.0Hz,1H),3.79(dd,J=6.9,12.0Hz,1H),4.21(q,J=7.2Hz,2H),4.40(d,J=11.4Hz,1H),4.49(d,J=11.7Hz,1H),6.38(s,1H),7.09(t,J=6.6Hz,1H),7.29−7.36(m,4H).
HPLC:キラルパックADカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min.保持時間:16.4分([−],enriched),18.2分([+]),[α]23.8 −6.71(c 0.50,CHCl,55%ee).
【0241】
比較例14
2−ベンゾイルオキシメチル−2−ヒドロキシメチルブタン酸エチルの製造
【0242】
【化50】

【0243】
トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(S,S)−(−)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)を少量のジクロロメタン中(4mL)で混合し、溶解後(30分以内)ジクロロメタンを減圧留去すると青緑色の固体が残った。このフラスコ内に2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸エチル(0.088g,0.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.0131mL,0.75mmol)を加えてテトラヒドロフラン2mLに溶解させた後、塩化ベンゾイル(0.058mL,0.5mmol)を加えて撹拌した。一時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で三回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して2−ベンゾイルオキシメチル−2−ヒドロキシメチルブタン酸エチル0.033g(収率22%、0%ee)を得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下のとおりであった。
無色油状物.
IR νmax; 3510,2973,1728,1453,1318,1275,1113,1026,970,712cm−1
H NMR(300MHz,CDCl)δ; 0.95(t,J=7.5Hz,3H),1.27(t,J=7.2Hz,3H),1.65−1.74(m,2H),2.60(t,J=6.9Hz,1H),3.72−3.87(m,2H),4.23(q,J=7.2Hz,2H),4.53(d,J=11.1Hz,1H),4.65(d,J=11.1Hz,1H),7.45(t,J=7.2Hz,2H),7.58(t,J=7.5Hz,1H),8.01(d,J=8.4Hz,2H.
HPLC:キラルパックADカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:220nm,流速:1.0mL/min.保持時間:10.4分,11.4分.
【0244】
比較例15
(+)−2−ヒドロキシメチル−2−(N−フェニル)カルバモイルオキシメチル−(N−フェニル)ブチルアミドの製造
【0245】
【化51】

【0246】
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸エチルを、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−(N−フェニル)ブチルアミド(112mg,0.5mmol)に変え、塩化ベンゾイルをフェニルイソシアネートに変えた以外は、比較例14と同様の方法で製造した。生成物の分析結果は以下のとおりであった。
白色固体。
融点、47−50℃.
IR νmax; 3300,3061,2970,1713,1663,1601,1501,1445,1316,1231,1069,899,754,693,507cm−1
H NMR(300MHz,CDCl) δ; 0.97(t,J=7.5Hz,3H),1.62−1.69(m,1H),1,86−1.95(m,1H),3.78(d,J=8.7Hz,2H),3.79−3.95(m,1H),4.19(d,J=11.7Hz,1H),4.74(d,J=11.7Hz,1H),6.86(s,1H),7.11(t,J=7.2Hz,2H),7.27−7.35(m,6H),7.55(d,J=8.1Hz,2H),9.13(s,1H).
HPLC:キラルセルOJカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=10:1,波長:254nm,流速:1.0ml/min.保持時間:21.1分([+],enriched),15.7分([−]).[α]22.0 33.68(c 1.00,CHCl,61%ee).
1922からの計算値:C,66.65;H,6.48;N,8.18,実測値:C,66.47;H,6.56;N,8.08.
【0247】
比較例16
(+)−2−ベンゾイルオキシメチル−2−ヒドロキシメチル−(N−フェニル)ブチルアミドの製造
【0248】
【化52】

【0249】
トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(18.1mg,0.05mmol)と(S,S)−(−)−2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)(16.7mg,0.05mmol)を少量のジクロロメタン中(4mL)で混合し、溶解後(30分以内)ジクロロメタンを減圧留去すると青緑色の固体が残った。このフラスコ内に2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−(N−フェニル)ブチルアミド(111.6mg、0.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.0131mL,0.75mmol)を加えてテトラヒドロフラン2mLに溶解させた後、塩化ベンゾイル(0.058mL,0.5mmol)を加えて撹拌した。一時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL)で三回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(+)−2−ベンゾイルオキシメチル−2−ヒドロキシメチル−(N−フェニル)ブチルアミド0.077g(収率47%、23%ee)を得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下のとおりであった。
無色固体。
Mp:85−95℃
IR νmax; 3311,3063,2971,2882,1722,1655,1601,1541,1501,1447,1316,1279,1177,1115,1071,1028,970,911,756,712,693cm−1
H NMR(300MHz,CDCl)δ; 1.00(t,J=7.5Hz,3H),1.71−1.83(m,1H),1.93−2.05(m,1H),3.39(s,1H),3.79(d,J=12.0Hz,1H),4.00(d,J=12.0Hz,1H),4.88(d,J=11.7Hz,1H),7.11(t,J=7.5Hz,1H),7.33(t,J=7.8Hz,2H),7.47(t,J=7.5Hz,2H),7.53−7.63(m,2H)8.05(t,J=7.2Hz,2H),9.00(s,1H).
HPLC:キラルセルODカラム(4.6mmφ,25cm),n−ヘキサン:イソプロパノール=30:1,波長:254nm,流速:1.0mL/min.保持時間:58.6分([+],enriched),64.8分([−]),[α]22.0 +3.9(c 0.78,CHCl,23%ee).
【0250】
応用例1(光学活性モノスルホネート体の利用)
工程1:(1S,2R)−(−)−2−ベンゾイルオキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサンの製造
【0251】
【化53】

【0252】
室温で(1S,2R)−(−)−2−ヒドロキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサン(200mg,0.74mmol,97%ee)とトリエチルアミン(1.5当量)および4−ジメチルアミノピリジン(1.0当量)のジクロロメタン(4mL)溶液へ塩化ベンゾイル(1.2当量)を加えた。24時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1S,2R)−(−)−2−ベンゾイルオキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサン(収率84%,97%ee)を無色結晶として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
Mp:102−104℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 7.89(d,J=6.9Hz,2H),7.71(d,J=8.7Hz,2H),7.54(t,J=7.8Hz,1H),7.40(t,J=7.8Hz,2H),7.08(d,J=7.8Hz,2H),5.02−4.92(m,1H),4.90−4.80(m,1H),2.26(s,3H),2.19−1.31(m,8H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 165.3,144.2,133.8,132.8,129.7 129.5(2C),128.0,127.4,79.0,71.7,29.1,26.6,22.2,21.4,20.1;
IR(neat) 2946,1719,1599,1362,1177cm−1
HPLC キラルセルOJ−Hカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=5:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:12.3分([−],enriched),19.5分([+]);
[α]27 −12.2(c 1.0,CHCl,97%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C2023Sからの計算値[M+H]:375.1266,実測値:375.1256.
【0253】
工程2:(1R,2R)−2−アジド−1−ベンゾイルオキシシクロヘキサンの製造
【0254】
【化54】

【0255】
上記工程1で得られた(1S,2R)−(−)−2−ベンゾイルオキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサン(374.5mg,1.0mmol,97%ee)のDMF(5mL)溶液へ、アジ化ナトリウム(130mg,2.0mmol)と15−クラウン−5(22mg,0.1mmol)を室温で加えた。12時間、90℃にて攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製して(1R,2R)−2−アジド−1−ベンゾイルオキシシクロヘキサン(収率93%,97%ee)を無色結晶として得た。生成物の分析結果は以下の通りであった。
Mp:90−92℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 8.07(d,J=7.2Hz,2H),7.57(t,J=7.5Hz,1H),7.45(t,J=7.8Hz,2H),5.00−4.83(m,1H),3.63−3.48(m,1H),2.28−1.28(m,8H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 165.6,132.9,129.9,129.5,128.2,75.8,63.2,30.3,30.2,23.6,23.3;
IR(neat) 2944,2110,1728,1452,1281cm−1
[α]20 −132.1(c 1.0,CHCl,97%ee);
MS[HR−FAB(+)]:m/z C1316からの計算値[M+H]:246.1243,実測値:246.1259.
【0256】
工程3:(1R,2R)−2−アミノ−1−ベンゾイルオキシシクロヘキサンの製造
【0257】
【化55】

【0258】
上記工程2で得られた(1R,2R)−2−アジド−1−ベンゾイルオキシシクロヘキサン(1.0mmol)のメタノール(5mL)溶液へ、10%パラジウム炭素(130mg)を室温で加え、1気圧の水素雰囲気下、室温にて12時間攪拌後、セライト濾過した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。濾液を減圧濃縮して(1R,2R)−2−アミノ−1−ベンゾイルオキシシクロヘキサン(定量的)を無色油状物として得た。
これは、精製することなく次の工程に用いた。
【0259】
工程4:(1R,2R)−(−)−1−ベンゾイルオキシ−2−(N−ベンゾイル)アミノシクロヘキサンの製造
【0260】
【化56】

【0261】
上記工程3で得られた(1R,2R)−(−)−2−アミノ−1−ベンゾイルオキシシクロヘキサン(1.0mmol)のトリエチルアミン(2.0当量)および4−ジメチルアミノピリジン(0.2当量)のジクロロメタン(4mL)溶液へ塩化ベンゾイル(1.2当量)を室温で加えた。12時間攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して(1R,2R)−(−)−1−ベンゾイルオキシ−2−(N−ベンゾイル)アミノシクロヘキサン(収率85%、97%ee)を無色結晶として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
Mp:149−151℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 8.01(d,J=7.2Hz,2H),7.67(d,J=7.2Hz,2H),7.58−7.28(m,6H),6.62(d,J=7.8Hz,1H),5.11−4.98(m,1H),4.31−4.17(m,1H),2.37−1.21(m,8H);
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ 167.6,166.9,134.3,133.0,131.1,129.7,129.6,128.3,128.2,126.6,75.2,53.6,32.0,31.1,24.1(2C);
IR(neat) 3300,2940,1717,1638,1541,1273cm−1
HPLC キラルセルODカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=20:1,波長:220nm,流速:1.0ml/min,保持時間:11.1分([+]),14.8分([−],enriched);
[α]21 −85.6(c 1.0,CHCl,97%ee);
MS[LR−FAB(+)]:m/z 324[M+H]
【0262】
応用例2(光学活性モノスルホネート体の利用)
(3R)−(+)−3−ベンゾイルオキシシクロヘキセンの製造
【0263】
【化57】

【0264】
上記応用例1の工程1で得られた(1S,2R)−(−)−2−ベンゾイルオキシ−1−(p−トルエンスルホニル)オキシシクロヘキサン(2.0mmol,97%ee)のDMF(5mL)溶液へ、室温でDBU(2.0当量)を加え、18時間、120℃にて攪拌後、反応液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。有機相を集めて無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製して(3R)−(+)−3−ベンゾイルオキシシクロヘキセン(収率80%,97%ee)を無色油状物として得た。光学純度はHPLCにより決定した。生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 8.06(d,J=7.2Hz,2H),7.57(t,J=7.5Hz,1H),7.42(t,J=7.5Hz,6H),6.07−5.91(m,1H),5.91−5.78(m,1H),5.58−5.44(m,1H),2.30−1.56(m,8H).
HPLC キラルパックADカラム(4.6mmφ,250mm),n−ヘキサン:イソプロパノール=99.7:0.3,波長:210nm,流速:0.5ml/min,保持時間:13.6分([+],enriched),15.0分([−]);
[α]26 +215.6(c 1.0,CHCl,97%ee);
MS[LR−FAB(+)]:m/z 203[M+H]
【0265】
なお、(3S)−(−)−3−ベンゾイルオキシシクロヘキセンは、本応用例2の方法に準じた方法によって容易に合成することができ、当該化合物は、ロイコトリエンB4合成の中間体となり得る(Tetrahedron Letters(1990)、31(23)、3355−3356参照)。
【0266】
以上のように、本発明の製造方法によって得られたモノスルホネート化合物を利用することにより、種々のキラル医薬に係る合成中間体を製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0267】
本発明によれば、ジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化することによって、各種キラル医薬の合成素子として重要な光学活性モノスルホネート化合物を高収率かつ高立体選択的に得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロキラルジオール化合物の片方の水酸基のみを選択的にモノスルホニル化することを特徴とする、光学活性モノスルホネート化合物の製造方法。
【請求項2】
モノスルホニル化が、プロキラルジオール化合物および式(III)
【化1】


[式中、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示し、
Xは、ハロゲン原子を示す]で表されるスルホニル化剤を、式(IVa)
【化2】


[式中、
は、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいは二つのRが一体となって置換されていてもよいC2−6アルキレン基を示し、
は、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC7−16アラルキル基、または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物もしくは式(IVb)
【化3】


[式中、各記号は、前記と同義を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物、または式(IVc)
【化4】


[式中、
は、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいは二つのRが一体となって置換されていてもよいC2−6アルキレン基を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物もしくは式(IVd)
【化5】


[式中、各記号は、前記と同義を示す]で表される光学活性ビスオキサゾリン化合物、式(V)
【化6】


[式中、
Mは、2価の金属原子を示し、
X’は、ハロゲン原子、OTf、NTf、BF、PFまたはSbFを示す]で表される金属塩および塩基の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
プロキラルジオール化合物が、式(II)
【化7】


[式中、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、置換されていてもよい炭素環、置換されていてもよい縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示す]で表されるメソ−1,2−ジオール化合物であって、光学活性モノスルホネート化合物が、式(I)
【化8】


[式中、
は、前記と同義を示し、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示す]で表される化合物、または式(I’)
【化9】


[式中、各記号は、前記と同義を示す]で表される化合物である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、炭素環、縮合炭素環または置換されていてもよい複素環を示し、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示し、
Xが、塩素原子を示す、
請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
が、置換されていてもよいメチル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、隣接する炭素原子と共に、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、テトラヒドロナフタレン環、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、N−ベンゾイルピロリジン環またはテトラヒドロチオフェン環を示し、
が、メチル基または置換されていてもよいフェニル基を示し、
Xが、塩素原子を示す、
請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
プロキラルジオール化合物が、式(VII)
【化10】


[式中、RおよびRは互いに異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す]で表される1,3−ジオール化合物であって、光学活性モノスルホネート化合物が、式(VI)
【化11】


[式中、
は、置換されていてもよい炭化水素基を示し、
およびRは、前記と同義を示す]で表される化合物である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示し、
が、C1−18アルキル基、C6−14アリール基、C7−16アラルキル基またはアシル基を示し、
が、C1−6アルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基を示す、
請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
が、メチル基または置換されていてもよいフェニル基を示し、
が、アシル基を示し、
が、C1−6アルキル基を示す、
請求項6または7記載の製造方法。
【請求項9】
が、水素原子またはC1−6アルキル基を示すか、あるいは二つのRが一緒になって、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基を示し、
が、C1−6アルキル基、置換されていてもよいC6−14アリール基またはC7−16アラルキル基を示す、
請求項2〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
が、メチル基を示し、
が、フェニル基、tert−ブチル基またはベンジル基を示す、請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
Mが、2価の銅原子または2価の亜鉛原子を示し、
X’が、ハロゲン原子、OTf、BFまたはPFを示す、
請求項2〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
塩基が、炭酸カリウム、トリエチルアミン、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウムおよびジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項2〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトニトリルおよび酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒中で行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−290981(P2008−290981A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139161(P2007−139161)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【Fターム(参考)】