説明

光学的なファイバゾンデ

【課題】光学的な測定装置のための光学的なファイバゾンデであって、光学的なファイバ(20)が内部を通されている機械的な受容体(10)と該機械的な受容体(10)から突出しかつ測定光線を測定対象に導くために構成されたファイバエンドピース(22)とを有する形式のものを改良して、できるだけ操作が簡単で、高い測定精度で、直径の小さい、深さの大きい中空空間の探査を可能にする光学的なファイバゾンデを提供すること。
【解決手段】光学的なファイバ(20)が、ファイバエンドピース(22)の領域及び/又は機械的な受容体(10)の領域にて、少なくとも領域的に、光学的なファイバ(20)を機械的に安定化するコーティング(30)を備えていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な測定装置のための光学的なファイバゾンデであって、光学的なファイバが内部を通されている機械的な受容体と該機械的な受容体から突出しかつ測定光線を測定対象に導くために構成されたファイバエンドピースとを有する形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
前記の如きファイバゾンデが使用される干渉形式の測定装置は文献DE10244553号に開示されている。この文献には測定対象の表面の形又は粗さ又は間隔をモジュレーション干渉計で検出する干渉形式の測定装置が記載されている。このモジュレーション干渉計には光線源から短干渉性の光線が供給される。このモジュレーション干渉計は供給された光線を第1のアームを介して案内された第1の部分光線と第2のアームを介して案内された第2の部分光線とに分ける第1の分光器を有している。前記部分光線の一方は他方に対し、モジュレーション装置によってその光位相又は光周波においてずらされかつ遅延区間を通過させられ、次いでモジュレーション干渉計の別の分光器にて両方の部分光線は、モジュレーション干渉計から空間的に離されかつこれと光導ファイバ装置を介して連結された又は連結可能な測定ゾンデで合体させられる。前記測定ゾンデにて合体させられた部分光線は、傾斜した対象側の出光面を有するゾンデ光導ファイバユニットを通って表面に案内された測定光線と基準光線とに分けられかつ該光導ファイバ装置において表面にて反射した測定光線(r(t))と基準面にて反射した基準光線(r(t))とが重畳されかつ受信装置と評価装置とでそれに供給された光線が電気的な信号に変換されかつ位相差の基準状態で信号が評価される。この場合、光学的なゾンデ軸に対する出光面の傾斜角(y)は少なくとも46°である。
【0003】
この文献に示された図5と図6とに相応して、対象物側のゾンデ光導ファイバユニットは傾斜した出光面で管状の受容体から突出し、したがって突出するゾンデ光導ファイバユニット、つまりファイバエンドピースは光学的、特に干渉計的な測定課題のために例えば狭まい中空空間内に導入されることができる。
【0004】
探査しようとする中空空間の深さはファイバエンドピースの長さによって制限される。今日使用されるゾンデ光導ファイバユニットではファイバエンドピースの長さはファイバの典型的な直径20μmで約2mmである。ファイバエンドピースの機械的な敏感性と測定精度に対する負の作用を有するファイバエンドピースの振動の傾向とに基づき、ファイバエンドピースを著しく長く構成することはできない。これは干渉計的な測定ユニットの使用を、比較的に深さの小さい中空空間の探査に制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題はできるだけ簡単な操作と高い測定精度で、直径が小さくかつ深さの大きい空間の探査を可能にする光学的なファイバゾンデを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、光学的なファイバがファイバエンドピースの領域にてかつ/又は機械的な受容体の領域にて少なくとも領域的に、光学的なファイバを機械的に安定化させるコーティングを備えていることによって解決された。この場合、コーティングはファイバ又はファイバエンドピースを機械的に安定化させる外套として作用する。
【0007】
ファイバエンドピースは選択された材料及びコーティングの厚さとに関連して、いまや損傷しにくい。特に曲げに対しては損傷しにくい。さらに高められた機械的な安定性はファイバエンドピースの振動傾向を低減させる。したがってファイバエンドピースは公知のファイバエンドピースよりも明らかに長く構成できる。これは、光学的なファイバゾンデの測定精度又は機械的な安定性を減じることなしに、2mmをはっきりと超える深さを有する空間の光学的、特に干渉計的な探査を可能にする。したがって光学的なファイバゾンデはキー保護接触器を備えて構成された測定機においても使用されることができる。キー保護接触器はキーアームがファイバエンドピースで測定対象に当接すると、光学的なファイバゾンデが取付けられているキーアームの運動を自動的にストップさせるように働く。
【0008】
ファイバエンドピースの十分な機械的な安定化は、コーディングがラック、プラスチック、金属及び/又はカーボンから構成されていることで達成される。この場合には特にファイバエンドピースの金属化、所定の値への層厚さの正確な調節もしくは所望される厚さに応じた複数の層の連続的な積層が可能になる。光学的なファイバがファイバコアと外套とから構成され、その際、導光がファイバコアと外套との間の境界線の反射で行なわれていると、コーティングは光学的なファイバもしくはファイバエンドピースの光学的な特性に対する影響をもたない。
【0009】
本発明による有利な変化実施例によれば、コーティングの厚さが10μmと100μmとの間、有利には40μmと60μmとの間であることが提案されている。記述した形式のファイバゾンデは有利には、典型的には約150μmの直径を有する内燃機関の噴射ノズルの測定に使用される。ファイバ自体は約20μmの太さを有している。前記厚さのコーティングによってファイバエンドピースには、ファイバエンドピースが噴射ノズルの孔内へ挿込むことができ、同時に十分な機械的な安定性を有するような外径が与えられる。しかし、より大きな直径の中空空間を測定するためにはより太く構成されることもできる。
【0010】
光学的なファイバもしくはファイバエンドピースの別の機械的な安定化は、光学的なファイバの周囲に少なくとも領域的に保護管が設けられることで達成される。この場合、保護管は光学的なファイバもしくはファイバエンドピースを直接的に取囲むか又はコーティングに付加的に設けられていることができる。保護管の内径は相応して、光学的なファイバもしくはファイバエンドピースの外径又はコーティングされた光学的なファイバもしくはコーティングされたファイバエンドピースの外径に適合させることが必要である。この配置で、直径が保護管の直径よりも大きい中空空間が干渉的に測定されることができる。この場合、保護管の外径は機械的な受容体の直径よりも小さく選ばれることができる。ファイバエンドピースが保護管から外へ突出すると、ファイバエンドピースの直径はファイバエンドピースの突出する部分に相応する、所定の深さで測定可能な最小の直径を決定する。
【0011】
光学的なファイバもしくはファイバエンドピースの十分な機械的な保護は保護管のできるだけ小さい外径で、保護管が金属、セラミック及び/又はカーボンから構成されることで達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、今日例えば内燃機関の噴射ノズルの光学的な、特に干渉計的な測定のために使用される光学的なファイバゾンデが示されている。
【0013】
光学的なファイバ20は機械的な受容体10の軸方向に配置された切欠き11を通して案内されている。
【0014】
機械的な受容体10から突出する光学的なファイバ20の部分、ファイバエンドピース22のファイバ先端23には図示されていないレンズと図示されていないミラーとが配置されている。光学的なファイバ20はファイバ光学的な光導体21と結合されている。
【0015】
光学的なファイバゾンデ1は1実施例では光導体21を介し、図示されていない干渉計と接続されている。光線は干渉計から光導体21を介し光学的なファイバ20に供給されている。光学的なファイバ20は例えば図示されていない反射面を有し、この反射面にて、供給された光線は透過された測定光線と反射された基準光線とに分けられる。透過した測定光線はファイバエンドピース22とファイバ先端23に供給され、光学的なコンポーネント、レンズとミラーとを介して測定対象に向けられかつフォーカスされる。測定された対象から反射された光線は再びファイバ先端内に結合され、光学的なファイバ20と光導体21とを介して干渉計へ戻し変向される。
【0016】
ファイバエンドピース22は、例えば内燃機関の噴射ノズルに設けられているような細かい孔において干渉的な測定を実施するために用いられる。このためにはファイバエンドピース22が孔へ導入される。このような噴射ノズルにおける孔の直径は約150μmであるのに対し、ファイバエンドピース22は典型的には約20μmの直径を有している。
【0017】
直径が小さいことに基づきファイバエンドピース22はきわめて壊れやすい。すでにファイバエンドピース22の軽い接触又はより強い空気流は、ファイバエンドピース22の破壊をもたらすことがある。これによって必要となる光学的なファイバゾンデの交換には多くの費用が必要である。したがってファイバエンドピース22はできるだけ短く保たれなければならない。
【0018】
機械的な破壊性の他に、比較的に細いファイバエンドピース22の振動の傾向はファイバエンドピースの最大長さを制限する。今日の光学的なファイバゾンデ1の場合にはファイバエンドピース22の長さは、発生する振動によって約2mmに制限されている。
【0019】
図2にはコーティングされたファイバ20とコーティングされたファイバエンドピース22とを有する光学的なファイバゾンデ1が概略的に示されている。既に図1で示されたコンポーネントに加えて適当なコーティング30が示されている。この場合には光学的なコンポーネントを保持するファイバ先端23はコーティングされていない。
【0020】
コーティング30は異なる材料から、この実施例では金属から構成されていることができる。
【0021】
ファイバエンドピース22はコーティングされていないファイバエンドピース22に較べてはっきりと改善された安定性を有している。これは一方では機械的な負荷可能性を高め、他方では測定精度を減退させる振動を減じる。ファイバエンドピース22は公知のファイバエンドピース22に較べて相応に長く構成でき、ひいてはより深い中空空間が測定されることができる。
【0022】
さらにコーティングされたファイバエンドピース22の高められた機械的な安定性は光学的なファイバゾンデ1をキー保護接触器を有する測定機に使用することも可能にする。キー保護接触器はキーアームがファイバエンドピース22では例えば測定対象に当接するとキーアームの運動を自動的に遮断する。
【0023】
図3には図2に示されたファイバエンドピース22がこれを取囲むコーティング30と共に実寸とは異なる寸法で示されている。コーティング30は約50μmの厚さで、約20μmである本来のファイバエンドピース22の直径よりも明らかに太い。結果として約120μmの総太さは、典型的な約150μmの直径を有する噴射ノズルの孔を干渉計的に測定することを可能にする。
【0024】
図4にはコーティングされたファイバ20とコーティングされたファイバエンドピース22とを有する光学的なファイバゾンデ1が概略的に示されている。既に先きの図面で記述したコンポーネントに加えてファイバエンドピース22は保護管31を備えている。この保護管31はファイバエンドピース22のコーティング30を取囲んでいる。
【0025】
図示の変化実施例では保護管31は機械的な受容体10と接続されている。しかしながら保護管31が機械的な受容体10の領域でも光学的なファイバ20を介して案内されかつ機械的な受容体10によって保持されている変化実施例も可能である。
【0026】
保護管31は機械的な安定性の更なる改善とファイバエンドピース22の振動傾向の減退とをもたらす。ファイバエンドピース30の前方部分は露出していることができ、したがって測定可能な最小の直径はコーティングされたファイバエンドピース30の直径によって決定される。この場合にはより深い孔のためには保護管31の外側の直径が重要であるが、この直径は機械的な受容体10の直径よりも著しく大きく構成することができる。保護管31によってファイバエンドピース22の最大長さはさらにはっきりと増大されることができる。
【0027】
図5には図4に示されたファイバエンドピース22がこれを取囲むコーティング30と保護管31のエンドピースと共に実寸ではない寸法関係で示されている。
【0028】
保護管31は金属、セラミック又はカーバイトから製作されることができる。ファイバエンドピース22もしくはコーティング30への結合は例えば接着にて行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】公知技術による光学的なファイバゾンデを概略的に示した図。
【図2】コーティングされた光学的なファイバとコーティングされたファイバエンドピースとを有する光学的なファイバゾンデを概略的に示した図。
【図3】コーティングされたファイバエンドピースの概略的な斜視図。
【図4】コーティングされた光学的なファイバとコーティングされたファイバエンドピースと保護管とを有する光学的なファイバゾンデの概略図。
【図5】保護管を有するコーディングされたファイバエンドピースの概略的な斜視図。
【符号の説明】
【0030】
1 光学的なゾンデ
10 受容体
11 切欠き
20 ファイバ
21 光導体
22 ファイバエンドピース
23 ファイバ先端
30 コーティング
31 保護管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的な測定装置のための光学的なファイバゾンデであって、光学的なファイバ(20)が内部を通されている機械的な受容体(10)と該機械的な受容体(10)から突出しかつ測定光線を測定対象に導くために構成されたファイバエンドピース(22)とを有する形式のものにおいて、光学的なファイバ(20)が、ファイバエンドピース(22)の領域及び/又は機械的な受容体(10)の領域にて、少なくとも領域的に、光学的なファイバ(20)を機械的に安定化するコーティング(30)を備えていることを特徴とする、光学的な測定装置のための光学的なファイバゾンデ。
【請求項2】
コーティングがラッカ、プラスチック、金属及び/又はカーボンから構成されている、請求項1記載の光学的なファイバゾンデ。
【請求項3】
コーティング(30)の厚さが10μmと100μmとの間である、請求項1又は2記載の光学的なファイバゾンデ。
【請求項4】
コーティング(30)の厚さが40μmと60μmとの間である、請求項3記載の光学的なファイバゾンデ。
【請求項5】
光学的なファイバ(20)の周囲に少なくとも領域的に保護管(31)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の光学的なファイバゾンデ。
【請求項6】
保護管(31)が金属、セラミックの及び/又はカーボンから成る、請求項5記載の光学的なファイバゾンデ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−122368(P2008−122368A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266704(P2007−266704)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】