説明

光学系、画像表示装置及び画像撮像装置

【課題】 プリズムによる色収差の補正により優れる高性能の光学系を提供することを目的とする。
【解決手段】光学系(100)は、プリズム(12)と回折光学素子(13)とを備える。また、プリズム(12)は偏心収差を補正する非回転対称な非球面を有し、回折光学素子(13)は光学系(100)の光軸(Ax)の周りに非対称な格子構造を有する回折光学面(DM)を含む。ここで、e線(546.074nm)における回折光学面(DM)の屈折率差をΔNeとすると、以下の条件を満たす。
0.53 > ΔNe > 0.005 …(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折光学素子を組込んだ自由曲面プリズムを有する光学系、画像表示装置及び画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光軸の周りに対称でない非球面、すなわち「自由曲面」が使われ始めている。自由曲面は、回転対称な光学系と異なりレイアウト上の自由度と収差補正上の自由度とを併せ持っているため、小型で高性能な光学系が得られる利点を有する。特に、自由曲面を有するプリズム技術は射出成形ガラスや樹脂の材料・成形技術の発展に伴い、高精度な形状を実現できるので小型でハイスペックかつ高性能な光学系を達成するポテンシャルが極めて高い。しかしながら、プリズムの分光性により光学系に色収差が生じてしまうことがある。
【0003】
特許文献1は、偏心プリズムによる色収差を補正するために自由曲面を有する偏心プリズムと入射瞳との間に回折光学素子(DOE)を配置することで、偏心プリズム単体に残留する色収差を補正することができる光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3559624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された光学系において、その回折光学素子の屈折率の差が0.59となり、格子の製造誤差感度が大きくなりすぎる。
【0006】
本発明は、プリズムによる色収差の補正により優れる高性能の光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の光学系は、プリズムと回折光学素子とを備える。また、プリズムは偏心収差を補正する非回転対称な非球面を有し、回折光学素子は光学系の光軸の周りに非対称な格子構造を有する回折光学面を含む。ここで、e線(546.074nm)における回折光学面の屈折率差をΔNeとすると、以下の条件を満たす。
0.53 > ΔNe > 0.005
【0008】
第2観点の画像表示装置は、第1観点の光学系と、光学系によって導いて結像された画像を表示する表示素子と、を備える。
【0009】
第3観点の画像撮像装置は、第1観点の光学系と、光学系によって導いて結像された画像を撮像する撮像素子と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、プリズムによる色収差の補正により優れる高性能の光学系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】光学系100の側面図である。
【図2】(a)は、回折光学素子13の概念断面図である。 (b)は、+Z側から見た回折光学素子13の一例を等高線CL1で示した平面図である。 (c)は、+Z側から見た回折光学素子13の別の例を等高線CL2で示した平面図である。
【図3】第1実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。
【図4】第2実施形態の光学系200の側面図である。
【図5】回折光学素子23の概念断面図である。
【図6】第2実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。
【図7】第3実施形態の光学系300の側面図である。
【図8】第3実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。
【図9】第4実施形態の光学系400の側面図である。
【図10】第4実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。
【図11】(a)は、頭部装着型画像表示装置50の全体構成を示した斜視図である。 (b)は、装着本体501の側面図である。
【図12】投影装置60の構成を示した概略図である。
【図13】(a)は、カメラ70の全体構成を示した斜視図である。 (b)は、カメラ70の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
<光学系100の全体構成>
図1は、第1実施形態の光学系100の全体構成を示した側面図である。図1では、絞り14に入射する光の光軸Axの方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な平面をXY平面として説明する。図1において、理解を助けるために画像を表示する画像素子11と絞り14とが描かれているが、光学系100に付属されたものではない。画像素子11とは、例えば光学系100がプロジェクタなどの画像表示装置に用いられる場合には液晶パネルなどの画像表示素子である(図12を参照)。例えば、光学系100がカメラなどの画像撮像装置に用いられる場合には、画像素子11はCCDなどの画像撮像素子となる(図13を参照)。
【0013】
図1に示されたように、光学系100は第1面121〜第3面123からなる偏心プリズム12と、その偏心プリズム12による色収差を補正する回折光学素子13とを備えている。ここで、変心プリズム12の第1面121〜第3面123は偏心収差を補正する光軸Axの周りに対称でない非回転対称な非球面である。なお図1に示された光学系100は、画像素子11から発生する光を絞り14に導き(図12を参照)、又は絞り14から入射した光を画像素子11に導く(図13を参照)。絞り14は、光量の調整が可能であるものである。
【0014】
図2(a)は回折光学素子13の概念断面図で、(b)は+Z側から見た回折光学素子13の一例を等高線CL1で示した平面図で、(c)は+Z側から見た回折光学素子13の別の例を等高線CL2で示した平面図である。なお、回折光学素子13は、紫外線硬化樹脂材料又はガラス材料により構成された単層型(表面レリーフ型)である。図2(a)に示されたように、回折光学素子13は連続した鋸歯状の格子構造を有する、キノフォーム型の回折光学面DMを含んでいる。回折光学面DMは、凸状に膨らんでいる曲面である回折面131と、Z軸方向に伸びた端面132とがピッチP1を持って形成されている。また、ピッチP1は光軸Axから周辺に向かって徐々に狭くなっている。端面132の高さhは中心でも周辺でも一定である。
【0015】
図2(a)において、端面132は光軸Axに平行な直線状となっているが、光軸Axに対して傾斜した直線状となってもよいし、曲面状となってもよいし、階段状となってもよい。例えば、端面を階段状にすることで、各波長の光が端面で発生するフレア光が均一になる。
【0016】
図2(b)に示されたように、回折光学素子13Aの回折光学面DMは、画像素子11から絞り14まで(図1を参照)の光軸Axの周りに非対称な格子構造を有している。つまり、基準線BL及び等高線CL1から見ると、回折光学面DMは光軸Axに対して楕円状となっている。ここで、回折光学素子13AにおいてY軸方向においても等高線CL1(即ち端面)のピッチP2は光軸Axから周辺に向かって徐々に狭くなっている。また、等高線CL1同士の間隔が大きいX軸方向において回折光学素子13Aのパワーが弱く、等高線CL1同士の間隔が小さいY軸方向において回折光学素子13Aのパワーが強い。
【0017】
図2(c)に示された回折光学素子13Bは回折光学素子13の別の一例である。図2(c)において、等高線CL2の形状が角丸長方形であり、回折光学素子13Bも光軸Axの周りに非対称な格子構造となっている。ここで、回折光学素子13BにおいてY軸方向においても等高線CL2(即ち端面)のピッチP3は光軸Axから周辺に向かって徐々に狭くなっている。また、等高線CL1同士の間隔が大きいX軸方向において回折光学素子13Bのパワーが弱く、等高線CL1同士の間隔が小さいY軸方向において回折光学素子13Bのパワーが強い。
また、回折光学素子13について、図2(b)及び(c)に示された回折光学素子13A及び13Bを例として説明したが、様々な変形が可能である。
【0018】
図1に戻り、光学系100において、画像素子11から発生した光は偏心プリズム12の第1面121で屈折して偏心プリズム12に入射する。そして、光は偏心プリズム12の第2面122及び第3面123に順に反射して再び偏心プリズム12の第2面122に入射する。その後、光は偏心プリズム12の第2面122で屈折されて偏心プリズム12を射出する。偏心プリズム12から射出した光は回折光学素子13を通過し、その際に偏心プリズム12による色収差が補正される。
【0019】
<光学系100の概要>
<<回折光学素子13の概要>>
回折光学素子13は数式(1)の条件を満たすことが望ましい。
0.53 > ΔNe > 0.005 … (1)
数式(1)はe線(546.074nm)における回折光学素子13の回折光学面DMの屈折率差ΔNeの適切な範囲を規定する。
【0020】
回折光学素子13は、回折光学面DMの光軸Ax方向の両側で屈折率が異なることが必要である。すなわち、回折光学素子13において例えばその材料である紫外線硬化樹脂の屈折率が空気より高いので、e線における紫外線硬化樹脂の屈折率と空気の屈折率との屈折率差がΔNeとなる。より具体的には、製造上の誤差感度を低めるために、数式(1)の上限値を0.53とすることが好ましい。
【0021】
数式(1)の上限値を上回ると、屈折率差ΔNeが大きくなりすぎてしまい、回折光学素子13の製造誤差感度が大きくなりすぎる。数式(1)の効果を十分に発揮するには、上限値を0.2とすることがより好ましい。反対に、数式(1)の下限値を下回ると、屈折率差ΔNeが小さくなりすぎてしまい、必要な回折を生じさせるためには回折光学素子13の端面132の高さh(図2(a)を参照)を大きくしなければならない。このため、数式(1)の下限値を下回ると、回折光学素子13は製造上不利となり、端面132により入射光に対する影響が生じてしまう。また、ブレーズ光の回折効率の低下と端面132に入射する入射光による散乱又は反射による迷光が大きくなってしまう。したがって、数式(1)の効果を十分に発揮するには、下限値を0.01とすることがより好ましい。
【0022】
回折光学素子13において、その屈折力は数式(2)及び(3)の条件を満たすことが望ましい。
1×10−1 > Φs/Φ > 1×10−7 … (2)
数式(2)において、Φsは非対称な格子構造を有する回折光学素子13の最も近軸パワーの強い方向(図2のX軸方向)のe線における屈折力を示し、Φは光学系100全体のe線における屈折力を示し、(Φs/Φ)の適切な範囲を規定する。
【0023】
数式(2)の上限値を上回ると、パワーが小さくなりすぎてしまい色収差補正の能力が不足してしまう。反対に、数式(2)の下限値を下回ると、最も強い方向の格子の製造誤差感度が大きくなりすぎる不都合も生じやすくなり、色収差の補正が過剰となりがちとなって、画質を損ねる原因となってしまう。なお、効果を十分に発揮するには数式(2)の上限値を1×10−4とすることがより望ましい。また、下限値を1×10−6とすることが望ましい。
【0024】
5.0 > Φs/Φm > 1.02 … (3)
数式(3)において、Φmは非対称な格子構造を有する回折光学素子13の最も近軸パワーの弱い方向(図2のY軸方向)のe線における屈折力を示し、(Φs/Φm)の適切な範囲を規定する。
【0025】
数式(3)の上限値を上回ると、パワー差が大きくなりすぎてしまい、近軸パワーの強い方向と弱い方向とで色収差の出方の差が大きくなって収差補正上アンバランスとなりがちとなって不都合である。反対に、数式(3)の下限値を下回ると、パワー差が小さくなりすぎてしまい、異なる方向での色収差の補正が十分でなくなり、画質を損ねる原因となってしまう。また、最も強い方向の格子の製造誤差感度が大きくなりすぎる不都合も生じやすくなる。なお、効果を十分に発揮するには数式(3)の上限値を3.0とすることが望ましい。また、下限値を1.05とすることが望ましい。
【0026】
回折光学素子13において、偏心量は数式(4)の条件を満たすことが望ましい。
2.0 > δ/fe > 0.001 … (4)
数式(4)において、δは非対称な格子構造を有する回折光学素子13の最も近軸パワーの強い断面の光軸が絞り14の光軸Axに対する偏心量を示し、feはe線における焦点距離を示し、(δ/fe)の適切な範囲を規定する。
【0027】
数式(4)の上限値を超えると、回折面の偏芯量が大きくなりすぎて、X軸方向とY軸方向のスポットの大きさの差が大きくなりすぎてしまい、優れた画質は得られない。また、加工しづらくなる不都合も生じる。なお、効果を十分に発揮するには数式(4)の上限値を0.95とすることが望ましい。また、下限を0.003とすることが望ましい。
【0028】
回折光学素子13において、回折効率は数式(5)の条件を満たすことが望ましい。
(Eg+EC)/(2×Ee) > 0.8 … (5)
数式(5)において、Eeは主波長(e線546.074nm)の回折効率を示し、Egは主波長に対する短波長(g線435.8nm)の回折効率を示し、ECは主波長に対する長波長(C線656.3nm)の回折効率を示している。数式(5)は広帯域化した際の回折効率のパランスの適切な範囲を規定する。
【0029】
数式(5)の下限値を下回ると、短波長又は長波長のいずれかで回折効率が低下してしまい、回折フレアが大きくなり迷光が発生する。なお、広帯域の可視光域で迷光を防ぐためには、下限値を0.9にすることが望ましい。また、数式(5)の効果を十分に発揮するには、下限値を0.95にすることが好ましい。数式(5)の下限値を0.95にすると、フレアがより少なくなり、高精細な画質が要求される写真レンズにもより使用しやすくなる。
【0030】
さらに、光学系100はより優れた性能・仕様を達成するために以下の数式(6)〜(8)を満たすことが望ましい。
−20.0 < ΔNe/Δ(Ng−Nc) < −2.0 … (6)
数式(6)において、Ngは回折光学素子13のg線(435.8nm)に対する屈折率を示し、Ncは回折光学素子13のC線(656.3nm)に対する屈折率を示している。また、Δ(Ng−Nc)は例えば高屈折率低分散である紫外線硬化樹脂と低屈折率高分散である空気との主分散の差を示している。
【0031】
数式(6)の上限値を上回ると、波長広帯域にわたっての高い回折効率は得られない。反対に、条件式(6)の下限値を下回ると、同様に波長広帯域にわたっての高い回折効率は得られない。なお、回折光学素子13が波長の広帯域にわたり十分に高い回折効率を得るためには、下限値を−8.0とすることが望ましい。また、効果を十分に発揮するには上限値を−2.8とすることが望ましい。
【0032】
Φm/Φ > 1×10−7 … (7)
数式(7)は、(Φm/Φ)の適切な範囲を規定する。
【0033】
数式(7)の下限値を下回ると、相対的にΦmが強くなりすぎてしまい、色収差が過剰に発生する不都合が生じやすくなる。なお、効果を十分に発揮するには下限値を1×10−5とすることが望ましい。
【0034】
h/λe < 100.0 … (8)
数式(8)において、hは図2(a)に示された回折光学素子13の高さを示し、λeは基準波長となるe線の波長を示し、(h/λe)の適切な範囲を規定する。
【0035】
数式(8)の上限値を上回ると、回折光学素子13の端面132の高さhが大きくなりすぎて、斜め入射光に対する回折効率が低下してしまい、不要なフレア光が発生し不都合である。なお、端面132の高さhは、端面近傍を通る主たる光線角度の方向に沿っての高さであって、光軸Ax方向の高さに限定したものではない。高さhにおいて、光軸方向の高さが通常屈折率差と設計中心波長との乗算で定められるスカラー理論によるブレーズ高さとされることが多い。しかし、光軸方向とは異なる方向からの入射光に対しては最適ブレーズではないので回折効率が下がってしまう。このため、端面132の高さhは端面近傍を通る主たる光線の角度の方向に沿っての高さとする。
【0036】
回折光学素子13の端面132による散乱とブレーズ光の回折効率の低下とを軽減するためには、端面132を絞り14に向けて勾配を与え、傾けることが好ましい。すなわち、主光線に倣って勾配を与えることが好ましい。これは、端面132を絞り14に向けると言い換えても同じである。そして、金型を用いて樹脂整形により回折光学素子13を形成する製法がコストダウンも計れて好ましい。さらには、この端面部分には、階段状のステップや粗面として正反射を防ぐ構造とすれば迷光が減ってより好ましい。なお、効果を十分に発揮するには上限値を50.0とすることが望ましい。
【0037】
実際に光学系100を構成するには、以下に述べる要件を満たすことが好ましい。偏心プリズム12を構成する際は、樹脂ないしはモールドガラスによる射出成形で製作することが好ましい。高精細な画像用光学系など内部歪による複屈折を小さく押さえるためにはモールドガラスによる射出成形が望ましい。また、ガラスないしは樹脂の成形を金型で行なえば、加工製造が容易になりコストダウンを図れるという利点もある。
【0038】
回折光学素子13はUV硬化型樹脂で構成されることが、生産効率がアップするので、生産上好ましい。この場合、工数が削減でき、コストダウンにも繋がり好都合である。また、小型軽量化のためには、回折光学素子13を構成する光学材料は、比重が2.0以下の樹脂材料であることが好ましい。ガラスに比して樹脂は比重が小さいため、光学系の軽量化に有効である。そして、更に効果を発揮するには、比重が1.6以下であることが好ましい。さて、回折光学素子13の屈折力が正パワーでも負パワーの場合でも、高屈折率の山側をシャープにさせることが、製造時に回折効率の低下を抑制するには重要である。すなわち、凹パワーの場合には、絞り14に近い方を低屈折率とすることが必要である。
【0039】
また、回折光学素子13の回折光学面の形状を決める位相多項式は、以下の数式(9)に示されたとおりである。
【数1】


… (9)
【0040】
ここで、数式(9)においてjとm及びnとは以下の数式(10)を満たす。
j=[(m+n)+m+3n]/2 … (10)
すなわち、Xの係数はC、Yの係数はC、Xの係数はC10、Yの係数はC14となる。
【0041】
<<偏心プリズム12の概要>>
偏心プリズム12において、偏心収差を補正する非回転対称な非球面である第1面121〜第3面123の形状を決める多項式は、以下の数式(11)に示されたとおりである。
【数2】

… (11)
【0042】
ここで、
zは光軸Axに平行な面のサグ量を示し、
cは面頂点(光軸Ax上)曲率を示し、
hは光軸Axからの距離を示し、
kはコーニック係数を示している。
【0043】
また、数式(11)においてjとm及びnとは以下の数式(12)を満たす。
j=[(m+n)+m+3n]/2+1 … (12)
すなわち、Xの係数はC、Yの係数はC、XYの係数はC、Yの係数はC10、Xの係数はC11、Xの係数はC13、Yの係数はC15、XYの係数はC17、Xの係数はC19、Yの係数はC21となる。
【0044】
<光学系100の具体例>
光学系100を構成する偏心プリズム12及び回折光学素子13の面データは表1に示されたとおりである。表1において、面番号は図1を参照する。
【表1】

【0045】
表1に示された多項式FFS[1]は、偏心プリズム12の非球面である第2面122の形状を決める数式(11)で、表2は第2面122に関する数式(11)の各係数を示している。
【表2】

【0046】
同様に、多項式FFS[2]は偏心プリズム12の非球面である第3面123の形状を決める数式(11)で、表3は第3面123に関する数式(11)の各係数を示している。
【表3】

【0047】
同様に、多項式FFS[3]は偏心プリズム12の非球面である第1面121の形状を決める数式(11)で、表4は第1面121に関する数式(11)の各係数を示している。
【表4】

【0048】
また表1において、偏心(1)は偏心プリズム12の第2面122の偏心パラメータを示している。表5に示されたように、偏心パラメータはX、Y、Zの偏心データと、α、β、γ回転を示した偏心データとを含んでいる。
【表5】

【0049】
同様に、偏心(2)は偏心プリズム12の第3面123の偏心パラメータを示し、表6に示されている。
【表6】

【0050】
同様に、偏心(3)は偏心プリズム12の第1面121の偏心パラメータを示し、表7に示されている。
【表7】

【0051】
また、偏心(4)は画像素子11に結像された像の偏心パラメータを示し、表8に示されている。
【表8】

【0052】
一方、図1に示された回折光学素子13の回折光学面の形状は数式(9)により決まり、その係数は表9に示されたとおりである。
【表9】

【0053】
つまり、上述のデータで求めた数式(1)〜(8)に関する具体的な数値は表10に示されたとおりである。
【表10】

【0054】
表10の条件値によると、数式(1)から数式(8)に関する計算結果は表11のとおりである。光学系100は、表11に示されたように数式(1)から数式(8)の条件を満たしている。
【表11】

【0055】
また、図3は第1実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。図3において、スポットダイアグラムの左側の4つの数字の中、上段の2つの数字は、長方形の画面中央の座標(X,Y)を(0.00,0.00)、右端中央の座標を(0、00,−1.00)、右上隅の座標を(1.00,−1.00)、上端中央の座標を(1.00,0.00)のように表現した場合の相対座標(X,Y)を示している。下段の2つの数字は、視軸(画面中央)に対して上記座標(X,Y)方向がなす角度のX成分、Y成分(度表示)を示している。
図3に示されたように、回折光学素子13は偏心プリズム12の透過面(第1面121及び第2面122)で発生する色収差を十分に補正している。
【0056】
(第2実施形態)
<光学系200の全体構成>
第2実施形態の光学系200の構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は第2実施形態の光学系200の側面図で、図5は回折光学素子23の概念断面図である。なお、画像素子11は光学系200に付属されるものではないが、理解を助けるために描かれている。また、第1実施形態で説明された構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0057】
図4に示されたように、回折光学素子23は画像素子11と偏心プリズム12との間に斜めに配置されている。また、第2実施形態において図5に示されたように回折光学素子23は複層型である。さらに、図4に示された回折光学素子23が座標系に斜めに配置されているが、理解を助けるために図5は図4と同じ座標系が用いられている。図5において、−Y側が画像素子11で、+Y側が偏心プリズム12である。
【0058】
図5に示されたように、回折光学素子23は、第1回折格子23Aと、第2回折格子23Bとが密着されたものである。回折光学素子23全体が矩形となり、第1回折格子23Aの形状は第1実施形態で説明された回折光学素子13と同じである。また、第1回折格子23Aと回折格子23Bとの間には回折光学面DMが形成される。ここで、回折光学面DMは、凸状に膨らんでいる曲面である回折面231と、Y軸方向に伸びた端面232とがピッチP1を持って形成されている。また、ピッチP1は光軸Axから周辺に向かって徐々に狭くなっている。端面232の高さhは一定である。また、端面232が直線状となっているが、階段状となってもよいし、曲面状となってもよい。例えば、端面を階段状にすることで、各波長の光が端面で発生するフレア光を均一させる効果がある。
【0059】
回折光学素子23の回折光学面DMは、画像素子11から絞り14まで(図4を参照)の光軸Axの周りに非対称な格子構造を有している。つまり、第1実施形態の図2(b)及び(c)に示されたように基準線BL及び等高線CL1、CL2から見ると、回折光学面DMは光軸Axに対して楕円状又は角丸長方形となっている。
【0060】
さらに、回折光学素子23において偏心プリズム12側の第1回折格子23Aが高屈折率、画像素子11側の第2回折格子23Bが低屈折率となっている。第1回折格子23AのC線、e線及びg線に対する屈折率はそれぞれ1.5713、1.5598及び1.5538である。また、第2回折格子23BのC線、e線及びg線に対する屈折率はそれぞれ1.5491、1.5315及び1.5233である。
【0061】
また、回折光学素子23は成形性を良好に保ち、優れた量産性を確保するには、第1回折格子23Aを構成する材料の粘度(未硬化物粘度)は、少なくとも40mPa・s以上であることが好ましい。40mPa・s以下であると、成型中に樹脂が流れやすくなってしまうので精密形状を成形することが困難となってしまう不都合が生じる。一方、第2回折格子23Bを構成する材料の粘度は、逆に少なくとも2000mPa・s以上であることが好ましい。
【0062】
回折光学素子23を形成する光学部材はいずれもUV硬化型樹脂で構成されることが、生産効率がアップするので生産上好ましい。この場合、工数が削減できコストダウンにもつながり好都合である。
【0063】
また、小型軽量化のためには、回折光学素子23を構成する光学材料は比重が2.0以下の樹脂材料であることが好ましい。ガラスに比して樹脂は比重が小さいため、光学系の軽量化に有効である。そして、更に効果を発揮するには比重が1.6以下であることが好ましい。
【0064】
さて、回折格子の屈折力が正パワーでも負パワーの場合でも、高屈折率の山側をシャープにさせることが、製造時に回折効率の低下を抑制するには重要である。すなわち、凹パワーの場合には、絞り14側が低屈折率とすることが必要である。
【0065】
また、図5に示されたように回折光学素子23は第2回折格子23Bの−Y側に点線で描かれた平板状のガラス平板23Cをさらに有している。
【0066】
<光学系200の具体例>
光学系200を構成する偏心プリズム12及び回折光学素子23の面データは表12に示されたとおりである。表12において、面番号は図4を参照する。
【表12】

【0067】
表12に示された多項式FFS[1]〜FFS[3]の係数はそれぞれ第1実施形態で説明された表2、表3及び表4に示されたとおりである。また、偏心(1)〜偏心(4)は、それぞれ第1実施形態で説明された表5、表6、表7、及び表8に示されたとおりである。
【0068】
一方、図4に示された回折光学素子23の回折光学面の形状は数式(9)により決まり、その係数は表13に示されたとおりである。
【表13】

【0069】
つまり、上述のパラメータで求めた第1実施形態で説明された数式(1)〜(8)に関するパラメータの具体的な数値は表14に示されたとおりである。
【表14】

【0070】
表14の条件値によると、数式(1)から数式(8)に関する計算結果は表15のとおりである。光学系200は、表15に示されたように数式(1)から数式(8)の条件を満たしている。
【表15】

【0071】
また、図6は第1実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。図6に示されたように、回折光学素子23は偏心プリズム12の透過面(第1面121及び第2面122)で発生する色収差を十分に補正している。
【0072】
(第3実施形態)
<光学系300の全体構成>
第3実施形態の光学系300の構成について、図7を参照しながら説明する。図7は第3実施形態の光学系300の側面図である。なお、画像素子11は光学系300に付属されるものではないが、理解を助けるために描かれている。また、第1実施形態で説明された構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0073】
図7に示されたように、回折光学素子33は偏心プリズム12の内部に斜めに配置されている。ここで、回折光学素子33は第2実施形態で説明された回折光学素子23と同様に2枚の回折格子を密着した複層型である。但し、回折光学素子33は第2実施形態の図5で点線に示されたガラス平板23Cが形成されていない。また、回折光学素子33において画像素子11側が低屈折率の回折格子で、絞り14側が高屈折率の回折格子である。
【0074】
<光学系300の具体例>
光学系300を構成する偏心プリズム12及び回折光学素子33の面データは表16に示されたとおりである。表16において、面番号は図7を参照する。
【表16】

【0075】
表13において、多項式FFS[1]〜FFS[3]の係数はそれぞれ第1実施形態で説明された表2、表3及び表4に示されたとおりである。また、偏心(1)〜偏心(4)は、それぞれ第1実施形態で説明された表5、表6、表7、及び表8に示されたとおりである。
【0076】
また、第3実施形態では回折光学素子33の各面も偏心面となっている。例えば図7の面番号5における偏心(5)の偏心パラメータは表17に示されたとおりである。
【表17】

【0077】
回折光学素子33の回折光学面である図7の面番号6及び面番号7における偏心(6)の偏心パラメータは表18に示されたとおりである。
【表18】

【0078】
図7の面番号8における偏心(7)の偏心パラメータは表19に示されたとおりである。
【表19】

【0079】
一方、図7に示された回折光学素子33の回折光学面の形状は数式(9)により決まり、その係数は表20に示されたとおりである。
【表20】

【0080】
つまり、上述のパラメータで求めた第1実施形態で説明された数式(1)〜(8)に関するパラメータの具体的な数値は表21に示されたとおりである。
【表21】

【0081】
表21の条件値によると、数式(1)から数式(8)に関する計算結果は表22のとおりである。光学系300は、表22に示されたように数式(1)から数式(8)の条件を満たしている。
【表22】

【0082】
また、図8は第1実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。図8に示されたように、回折光学素子33は偏心プリズム12の透過面(第1面121及び第2面122)で発生する色収差を十分に補正している。
【0083】
(第4実施形態)
<光学系400の全体構成>
第4実施形態の光学系400の構成について、図9を参照しながら説明する。図9は第4実施形態の光学系400の側面図である。なお、画像素子11は光学系400に付属されるものではないが、理解を助けるために描かれている。なお、第1実施形態で説明された構成要件には同じ符号を付して説明する。
【0084】
図9に示されたように、回折光学素子43は偏心プリズム12の第1面121に密着して形成されている。ここで、回折光学素子43は第2実施形態で説明された回折光学素子23と同様に2枚の回折格子を密着した複層型である。但し、回折光学素子43は第2実施形態の図5で点線に示されたガラス平板23Cが形成されていない。また、回折光学素子43において画像素子11側が低屈折率の回折格子で、偏心プリズム12側が高屈折率の回折格子である。
【0085】
<光学系400の具体例>
光学系400を構成する偏心プリズム12及び回折光学素子43の面データは表23に示されたとおりである。表23において、面番号は図9を参照する。
【表23】

【0086】
表23において、多項式FFS[1]〜FFS[3]の係数はそれぞれ第1実施形態で説明された表2、表3及び表4に示されたとおりである。
【0087】
また、偏心(1)〜偏心(4)は、それぞれ第1実施形態で説明された表5、表6、表7、及び表8に示されたとおりである。第4実施形態では、回折光学素子43が偏心プリズム12の第1面121に密着しているので、回折光学素子43の面番号6の偏心パラメータも第1面121の偏心(3)と同じである。
【0088】
さらに、回折光学素子43の回折光学面である図9の面番号7及び面番号8における偏心(8)の偏心パラメータは表24に示されたとおりである。
【表24】

【0089】
図9の面番号9における偏心(9)の偏心パラメータは表25に示されたとおりである。
【表25】

【0090】
一方、図9に示された回折光学素子43の回折光学面の形状は数式(9)により決まり、その係数は表26に示されたとおりである。
【表26】

【0091】
つまり、上述のパラメータで求めた第1実施形態で説明された数式(1)〜(8)に関するパラメータの具体的な数値は表27に示されたとおりである。
【表27】

【0092】
表27の条件値によると、数式(1)から数式(8)に関する計算結果は表28のとおりである。光学系400は、表28に示されたように数式(1)から数式(8)の条件を満たしている。
【表28】

【0093】
また、図10は第1実施形態の収差補正状態を示したスポットダイアグラムである。図10に示されたように、偏心プリズム12の透過面(第1面121及び第2面122)で発生する色収差が十分に補正されている。
【0094】
(応用例1)
<画像表示装置――頭部装着型画像表示装置50>
応用例1の画像表示装置の一例として、頭部装着型画像表示装置(HMD:Head Mounted Display)50について図11を参照しながら説明する。図11(a)は頭部装着型画像表示装置50の全体構成を示した斜視図で、(b)は装着本体501の側面図である。
【0095】
図11に示されたように、頭部装着型画像表示装置50は、上述の第2実施形態で説明された光学系200を収納した装着本体501と、装着本体501に左右に連続して本体を観察者OSの眼前に固定するフレーム502とを備えている。図11(b)において、光学系200は人の眼球EYが上述の第2実施形態で説明された絞り14に位置するように本体501内に配置されている。応用例1では、第2実施形態で説明された光学系200が用いられたが、第1、第3及び第4実施形態で説明された光学系100、300及び400が用いられてもよい。
【0096】
このような構成によれば、観察者OSは回折光学素子23により偏心プリズム12による色収差が補正された画像を観察することができる。
【0097】
また、図11(a)に示されたように装着本体501は画像伝達コード503を介してボータブルビデオカセット等の再生装置504に接続されている。観察者OSはこの再生装置504を図示のようにベルト箇所等の任意の位置に保持して、画像を見ることができるようになっている。
【0098】
(応用例2)
<画像表示装置――投影装置60>
応用例2の画像表示装置の一例として、プロジェクタなどの投影装置60について図12を参照しながら説明する。図12は、投影装置60の構成を示した概略図である。図12において、理解を助けるためにパソコンPCとスクリーンSRとが書かれているが、投影装置60に付属されているものではない。
【0099】
図12に示されたように、投影装置60の投影光学系としては上述の第2実施形態で説明された光学系200が用いられている。図12において、パソコンPC上で作成された画像・原稿データは、モニターMTの出力から分岐してプロジェクタ60の処理制御部601に出力される。プロジェクタ60の処理制御部601では、この入力されたデータが処理され、液晶パネル602に出力される。液晶パネル602では、この入力画像データに応じた画像が表示される。そして、光源603からの光は、液晶パネル602に表示した画像の階調によってその透過量が決定された後、液晶パネル602直前に配置した光学系200に投影される。
【0100】
このような構成によれば、観察者は回折光学素子23により偏心プリズム12による色収差が補正された投影像を観察することができる。
【0101】
応用例2では、投影装置60の投影光学系として第2実施形態で説明された光学系200が用いられたが、第1、第3及び第4実施形態で説明された光学系100、300及び400が用いられてもよい。
【0102】
(応用例3)
<画像撮像装置――カメラ70>
応用例3の画像撮像装置の一例として、カメラ70について図13を参照しながら説明する。図13(a)はカメラ70の全体構成を示した斜視図で、(b)はカメラ70の構成示した概略図である。
【0103】
図13(a)に示されたように、カメラ70は立方体のカメラ本体701とその正面に配置された撮像光学系702とを有している。また、図13(b)に示されたように被写体(図示しない)からの光が撮像光学系702を通過して光学系200に入射される。そして、光学系200の光路に配置されたCCDなどの撮像素子703により被写体の画像が撮像される。撮像素子703で撮像された被写体の画像は、処理手段(図示しない)を介して画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニター(図示しない)に表示される。
【0104】
このような構成によれば、カメラ70の操作者は回折光学素子23により偏心プリズム12による色収差が補正された画像を観察することができる。
【0105】
応用例3では、カメラ70に第2実施形態で説明された光学系200が用いられたが、第1、第3及び第4実施形態で説明された光学系100、300及び400が用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上、本発明の最適な実施形態について説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更を加えて実施することができる。
なお、本発明の光学素子を組み込んで得られる複数の構成要素からなる光学系も、本発明の範囲を逸脱するものではない。さらには、屈折率分布型レンズ、結晶材料レンズなどを組み込んで得られる光学系に関しても同様である。
また、本発明では複層型の回折光学素子として、一対の回折格子が密着した密着型について説明したが、一対の回折格子が分離した分離型にも適用される。
【符号の説明】
【0107】
11 … 画像表示素子
12 … プリズム
13、13A、13B、23、33、43 … 回折光学素子
14 … 入射瞳
23A、23B … 回折格子
23C … ガラス平板
50 … 頭部装着型画像表示装置
501 … 装着本体
502 … フレー
503 … 画像伝達コード
504 … 再生装置
60 … プロジェクタ
601 … 処理制御部
602 … 液晶パネル
603 … 光源
70 … カメラ
701 … カメラ本体
702 … 撮像光学系
703 … 撮像素子
100、200、300、400 … 光学系
121 … 第1面、 122 … 第2面、 123 … 第3面
131、231 … 回折面、 132、232 … 端面
Ax … 光軸
DM … 回折光学面
h … 回折光学素子の高さ
P1、P2、P3 … 端面同士の間隔
PC … パソコン
SR … スクリーン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリズムと回折光学素子とを備える光学系であって、
前記プリズムは偏心収差を補正する非回転対称な非球面を有し、
前記回折光学素子は前記光学系の光軸の周りに非対称な格子構造を有する回折光学面を含み、
e線(546.074nm)における前記回折光学面の屈折率差をΔNeとすると、以下の条件を満たす光学系。
0.53 > ΔNe > 0.005 …(1)
【請求項2】
前記非対称な格子構造の最も近軸パワーの強い断面のe線における屈折力をΦs、前記光学系全体のe線における屈折力をΦとすると、以下の条件を満たす請求項1に記載の光学系
1×10−1 > Φs/Φ > 1×10−7 …(2)
【請求項3】
前記非対称な格子構造の最も近軸パワーの強い断面のe線における屈折力をΦs、前記非対称な格子構造の最も近軸パワーの弱い方向のe線における屈折力をΦmとすると、以下の条件を満たす請求項1又は請求項2に記載の光学系。
5.0 > Φs/Φm > 1.02 …(3)
【請求項4】
前記非対称な格子構造の最も近軸パワーの強い断面の光軸が前記光学系の光軸に対する偏心量をδ、前記光学系全体のe線における焦点距離をfeとすると、以下の条件を満たす請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学系。
2.0 > δ/fe > 0.001 …(4)
【請求項5】
e線(546.074nm)での回折効率をEeとし、g線(435.8nm)での回折効率をEgとし、C線(656.3nm)での回折効率をECとすると、以下の数式を満たす請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学系。
(Eg+EC)/(2×Ee) > 0.8 …(5)
【請求項6】
前記回折光学素子は単層型又は複層型を含む請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項7】
前記光学系を通過した光が光量を調整する絞りに入射し、
前記回折光学素子における前記絞りに近い方が高屈折率で、前記回折光学素子における前記絞りから遠い方が低屈折率である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項8】
光量を調整する絞りを通過した光が前記光学系に入射し、
前記回折光学素子における前記絞りに近い方が高屈折率で、前記回折光学素子における前記絞りから遠い方が低屈折率である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項9】
前記回折光学素子の前記回折光学面が前記プリズムの内部に形成されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項10】
前記回折光学素子の前記回折光学面が前記プリズムの前記非球面に形成されている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項11】
前記回折光学素子の材料は紫外線硬化樹脂である請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光学系と、
前記光学系によって導いて結像された画像を表示する表示素子と、
を備える画像表示装置。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光学系と、
前記光学系によって導いて結像された画像を撮像する撮像素子と、
を備える画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−103572(P2012−103572A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253478(P2010−253478)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】